JP2000516092A - 改変アシル―acpデサチュラーゼ - Google Patents

改変アシル―acpデサチュラーゼ

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Abstract

(57)【要約】 可溶性植物脂肪酸デサチュラーセの鎖長及び二重結合位置特異性を改変するための方法が開示されている。さらに特定的に、該方法は脂肪酸と接触する可溶性脂肪酸デサチュラーゼの基質結合チャンネル内のアミノ酸接触残基を改変することを含む。特にアシル−ACPデサチュラーゼの改変が開示されている。基質結合チュンネル内にあるアミノ酸接触残基を同定し、続いて種々の残基で置換し、活性の改変を行う。

Description

【発明の詳細な説明】 改変アシル−ACPデサチュラーゼ発明の背景 還元炭素の再生可能な(renewable)供給源としての植物油の利用の 可能性のために、高級植物における脂肪酸生合成が引き付ける興味は近年増加し てきた。植物において脂肪酸生合成は緑色組織の葉緑体又は非光合成組織の色素 体で行われる。ほとんどの植物における一次産物は飽和パルミチン酸及びステア リン酸のアシルキャリヤータンパク質(ACP)エステルである。 Δ9ステアロイル−アシルキャリヤータンパク質デサチュラーゼ(Δ9デサチュ ラーゼ)は色素体局在化非−膜結合可溶性デサチュラーゼであり、それは飽和脂 肪酸中に第1の二重結合を導入する(対応するモノ−不飽和脂肪酸を生ずる)。 近年、いくつかの関連する可溶性デサチュラーゼが、二重結合の位置が異常な脂 肪酸を有している種々の植物の種子組織で同定された。この種類の可溶性デサチ ュラーゼのメンバーは特定の基質鎖長に特異的であり、脂肪酸のカルボキシル末 端から数えて特定の炭素原子の間に二重結合を導入する;例えばΔ9デサチュラ ーゼはステアロイル−ACPに関して特異的であり、炭素9及び10の間に二重 結合を導入する。動物及び菌・カビにおける初期の脱飽和反応ならびに続く植物 における脱飽和反応は別の種類の脂肪酸デサチュラーゼにより媒介され、それは 内在性膜タンパク質である。ほとんどの植物には18:0のレベルに働く他のデ サチュラーゼがないので、高級植物における 飽和脂肪酸対不飽和脂肪酸の比率は主に飽和脂肪酸からモノ−不飽和脂肪酸への 転換を触媒する酵素により制御される。Δ9デサチュラーゼcDNAは色素体を 標的とするためのN−末端トランジットペプチドを含有する前駆体タンパク質を コードしている。ベニバナ及びトウゴマ(castor)の場合、33残基のト ランジットペプチドが開裂して離れ、SDS−PAGEによりサブユニット当た り37kDaの見掛けの分子量を有する363アミノ酸の成熟デサチュラーゼポ リペプチドを与える。酵素は約70kDaの2量体として存在する。酵素反応に は酸素分子、NAD(P)H、NAD(P)Hフェレドキシンオキシド−レダク ターゼ及びフェレドキシンが必要である。 以前の研究は、可溶性及び膜−結合Δ9デサチュラーゼの両方が触媒活性のた めに非ヘム鉄を必要とすることを示した。もっと最近、分光分析及びアミノ酸配 列比較は、Δ9デサチュラーゼが二鉄クラスターを含有していることを確定した 。この種類の二鉄タンパク質は約100アミノ酸離れた2つの配列モチーフE− X−X−Hが存在することを特徴としており、リボヌクレオチドレダクターゼの R2サブユニット及びメタンモノオキシゲナーゼヒドロキシラーゼ成分を含む。 アシル−ACPデサチュラーゼ酵素の触媒機構をもっと理解することは、植物種 子油の製造にそのような酵素を利用することを可能にし得る。発明の概略 本発明は可溶性植物脂肪酸デサチュラーゼの鎖長及び二重結合位置特異性を改 変するための方法に関する。さらに特定的に該方法は、脂肪酸に接触する可溶性 脂肪酸デサチュラーゼの基質結合チャンネルにおけるアミノ酸接触残基の改変を 含む。好ましい実施態様の場合、可溶性植物 脂肪酸デサチュラーゼはアシル−ACPデサチュラーゼである。 基質結合チャンネル内にあるアミノ酸接触残基は、例えば最初にアシル−AC Pデサチュラーゼの一次アミノ酸配列を与えることにより同定される。多くのそ のような配列が既知であり、他は慣例的実験を適用することにより決定すること ができる。次いでそのようなアミノ酸配列を最大配列保存のためにリシヌス・コ ムニス(Ricinus communis)Δ9デサチュラーゼの一次アミノ 酸配列と整列させる。次いでリシヌス・コムニスΔ9デサチュラーゼとの配列保 存に基づいてアシル−ACPデサチュラーゼに関する3次元モデルを構築する。 次いでモデル化された構造の基質結合チャンネル内のアミノ酸接触残基を同定す る。次いで、1つ又はそれ以上のアミノ酸接触残基を他のアミノ酸残基で置換す ることにより、改変された鎖長及び二重結合位置特異性を有する突然変異アシル −ACPデサチュラーゼを生成させる。 他の側面において本発明は、鎖長が異なる第1の脂肪酸と第2の脂肪酸の脱飽 和を触媒する能力を特徴とする突然変異アシル−ACPデサチュラーゼに関する 。この突然変異体はさらに、差が約4倍以下である速度で第1及び第2の脂肪酸 の両方を脱飽和させる能力を特徴としている。 本発明は上記の型の突然変異アシル−ACPデサチュラーゼをコードする核酸 配列及び発現ベクターなどの組成物にも関する。本発明の他の組成物にはそのよ うな発現ベクターを用いて形質転換された細胞が含まれる。他の側面において本 発明は、改変された鎖長及び二重結合位置特異性を有するキメラアシル−ACP デサチュラーゼに関する。図面の簡単な説明 図1は野生型及び突然変異アシル−ACPデサチュラーゼの比活性を まとめている。発明の詳細な記載 本発明は部分的に、Δ9アシル−ACPデサチュラーゼにおける基質結合溝及 び溝を内張りしている重要接触残基(critical contact re sidues)の同定に基づいている。さらに本発明は理論に基づく部位指定突 然変異の効果のアッセイを含む。この研究以前、アシル−ACPデサチュラーゼ の基質結合チャンネル及び重要基質接触残基の相対的位置は未知であった。 アシル−ACPデサチュラーゼは高度に保存されており、Δ4、Δ6及びΔ9ア シル−ACPデサチュラーゼなどの異なる群のメンバーの間で>70%のアミノ 酸配列相同性が見いだされる。これらのデサチュラーゼのそれぞれは同じ又は類 似の基質脂肪酸の炭素原子の間の二重結合の形成を触媒することが知られている 。種々のアシル−ACPデサチュラーゼ活性の間の主な相違は、基質脂肪酸内に おける脱飽和されるべき炭素原子の位置である。 アミノ酸配列保存はΔ9などの特定の群のアシル−ACPデサチュラーゼ内で いくぶん高い。本開示に基づき、当該技術分野における熟練者は、すべてのΔ9 −アシル−ACPデサチュラーゼメンバーの基質結合チャンネル内の接触残基が 下記の実施例1に記載するΔ9−アシル−ACPデサチュラーゼにおいて同定さ れるものと、同一でないとしても実質的に類似していることを予測するであろう 。 同じ酵素反応を触媒するアシル−ACPデサチュラーゼの群内のアミノ酸配列 相同性及び異なる酵素反応を触媒するアシル−ACPデサチュラーゼの群の間の アミノ配列相同性の高い度合は、酵素のある部分が類 似の三次構造を示すであろうことを示唆している。これはアミノ酸残基相同性の 保存が問題の分子の機能的構造の保持に伴うアミノ酸内で通常最大である他の分 子、例えば抗体に関する発見と一致している。 異なるアシル−ACPデサチュラーゼの間で保存されているアシル−ACPデ サチュラーゼ中の1つのそのような構造領域は、下記の実施例の部分で記載する 基質結合チャンネルである。下記の基質結合チャンネルは、脂肪酸基質への完全 に近い適応を与える構造を示す。先例がなくはないとしても、そのような見事な 適合は非常にまれである。 この基質結合チャンネルが高度に保存されているという事実は、他のアシル− ACPデサチュラーゼ群のメンバーのアミノ酸配列を下記の実施例1に記載する トウゴマ(すなわちリシヌス・コムニス)Δ9アシル−ACPデサチュラーゼの アミノ酸配列と最大一致に関して整列させることにより(通常の方法により)確 証することができる。このトウゴマタンパク質の推定アミノ酸配列はShank lin and Somervilleにより報告されている(Proc.Na tl.Acad.Sci.USA 88:2510(1991))。この整列に 続き、3次元構造モデルを作ることができ、それは特徴的基質結合チャンネルを 明らかにするであろう。今日までに決定された種々の植物源からのアシル−AC Pデサチュラーゼ配列の中で、以下をGenBankを介して入手できる(角括 弧内に受け入れコードを示す):[BRSACP]B.ラパ(B.rapa); [CAHSACPD]C.チンクトリウス(C.tinctorius);[S MMSCPD]シモンドシア・キネンシス(Simmondsia chine nsis);[SOACCPDS]S.オレラセア(S.oleracea); [SSMSACPD] ゴマ植物源;[TAU07597]チュンベルギア・アラタ(Thunberg ia alata)(クローンpTAD2 Δ9);[TAU07605]チュ ンベルギア・アラタ(クローンpTAD3 Δ9);[ATSTACPDS]A .タリアナ(T.thaliana);[BNAACPDES]B.ナプス(B .napus);[BNSACPD]B.ナプス;[GHSACPDES]G. ヒンスチム(G.hinsutum);[LUSACPDE]L.ウシタチシム ム(L.usitatissimum);[RCSTEA]R.コムニス(R. communis);[SOYSACPD]グリシン・マクス(Glycine max);[SSMSACPDA]ゴマ植物;[SSMSACPDB]ゴマ植 物;[TAU07552]チュンベルギア・アラタ(クローンPtad1 Δ9 )。 下記でトウゴマΔ9アシル−ACPデサチュラーゼと関連して行ったように、 いずれのアシル−ACPデサチュラーゼに関する分子モデル化の結果を研究する ことによっても、脂肪酸基質に非常に密接するであろうように配向している基質 結合チャンネル内のアミノ酸残基を同定することができる。そのような残基は「 接触残基」と呼ばれる。下記の実験研究の記載を介して明らかにされる通り、接 触残基(及びいくつかの場合は実施例2のキメラにより例示されるような他の残 基)の改変はアシル−ACPデサチュラーゼの鎖長及び二重結合位置特異性を変 えることができる。 例えば下記の実施例2に示す通り、Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの アミノ酸172〜202がΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼのアミノ酸1 78〜207により置換されているキメラが作製され た。これはΔ6−16:0−ACPデサチュラーゼの基質結合チャンネル中に、 野生型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼ中の対応する位置におけるアミノ 酸と異なる9個の新しいアミノ酸を導入することになる。キメラは、野生型がそ れに関して最高に機能する16:0脂肪酸を脱飽和させることができたのみでな く、18:0をΔ6及びΔ9位置の両方において同じレベルで脱飽和させることも できた。 アシル−ACPデサチュラーゼの基質結合チャンネル内のアミノ酸接触残基が 鎖長及び二重結合位置特異性の決定においてそのような重要な役割を果している という事実は、独特で有用な性質を有する突然変異アシル−ACPデサチュラー ゼの理論的な設計の機会を与える。 そのような新規な突然変異分子は、例えば最初に基質結合チャンネル内の接触 残基を同定することにより設計することができる(上記の通りトウゴマΔ9アミ ノ酸配列との整列及び続く3次元モデル化を介して)。次いで問題のアシル−A CPデサチュラーゼ分子内に特定の点突然変異を導入することができる。これは 特定部位の突然変異誘発などの通常の方法を用い、遺伝子レベルで最も簡単に行 われる。 多様な特定部位の突然変異誘発法を、そのようなDNAs内への特定のアミノ 酸コドン変化(すなわち置換)の導入のために適用することができる。野生型ア シル−ACPデサチュラーゼの基質結合チャンネル中の既存の接触残基の代わり に置換されるべき残基の選択に注意をはらわねばならない。一般に初期の研究で は、例えば側鎖の寸法又は電荷に関して根本的に異ならない残基を置換のために 選択するのが重要である。例えばグリシン接触残基(その簡潔な脂肪族側鎖が特 徴である)が基質結合チャンネル内で同定される場合、アルギニン(嵩高い塩基 性側鎖の 存在が特徴である)などのアミノ酸残基での置換は立体障害を介して基質結合チ ャンネル内への脂肪酸基質の侵入を阻害するように働き得る。一般に接触残基の ための初期のアミノ酸置換は、側鎖の嵩の点で相違が比較的小さく、類似の電荷 特性を有するアミノ酸を用いて行われるべきである。こうは言ったが、野生型接 触残基と根本的に異なる性質を有するアミノ酸での置換が特に有用な突然変異ア シル−ACPデサチュラーゼを与えられることは確かにあり得る。そのような分 子が本発明により意図されている。上記の置換戦略の簡単な議論は、アシル−A CPデサチュラーゼの有益な改変への指針として働くことのみを目的としている 。 かくして、当該技術分野における熟練者が酵素触媒反応を行うその能力を妨げ ずに酵素の鎖長及び二重結合位置特異性を変えることができる改変を酵素に行う ことを可能にするのは、アシル−ACPデサチュラーゼ内の接触残基の独自性( identity)に関する知識である。この知識自身は、基質結合チャンネル を同定し、3次元モデルを形成する当該技術分野における熟練者の能力に依存し ている。 すでに議論した通り、多くのアシル−ACPデサチュラーゼのヌクレオチド配 列が報告されている。さらに、それらの高度の保存が示され、問題の植物から単 離されるDNAを用いて行われる慣例的核酸ハイブリド形成実験は、さらに別の アシル−ACPデサチュラーゼをコードするDNAを与えると思われる。 さらに、上記で示した通り当該技術分野における熟練者は、Δ9アシル−AC Pデサチュラーゼ群内で、基質結合溝内のアミノ酸接触残基が同一でないとして も実質的に類似しているであろうことを予測するであろう。実施例1に記載する X−線結晶学的研究により同定されるアミノ 酸接触残基は残基M114、L115、T117、L118、P179、T18 1、G188及びF189である。Δ9アシル−ACPデサチュゼにおけるこれ らの残基の改変が実際に酵素の鎖長及び二重結合位置特異性を変えることは、実 施例2に記載する実験において確証された。さらに特定的に、予備的実験研究は 、トウゴマΔ9アシル−ACPデサチュラーゼ中の118位における1個のアミ ノ酸置換(LeuからPhe)が16:0−ACPとのその活性において約10 倍の向上を生ずることを明らかにした。かくして接触残基位置における1個のア ミノ酸の置換が新規で有用な性質を有するアシル−ACPデサチュラーゼを生成 させることができる。 本発明以前、変異アシル−ACPデサチュラーゼの唯一の供給源はモノ不飽和 脂肪酸の異常な異性体を生合成する植物組織であった。例えばΔ4−16:0− ACPデサチュラーゼは、大量の異常なモノ不飽和脂肪酸であるペトロセリン酸 (18:1Δ6)を生産する組織であるコリアンダーの種子内乳から誘導された 。本発明は新規な型のアシル−ACPデサチュラーゼを、植物源からこれらの酵 素のためのcDNAsを単離する必要なく設計及び製造することを可能にする。 さらに、本発明は自然界では見いだされない経済的に価値のあるモノ不飽和脂肪 酸の合成を触媒することができるアシル−ACPデサチュラーゼの設計を可能に する。 より特定的な例において、本発明は植物におけるペトロセリン酸生産の代わり となる手段を提供する。この脂肪酸は複数の工業的及び栄養的用途の可能性を有 する。植物におけるペトロセリン酸生成の唯一の既知の経路は16:0−ACP をΔ4脱飽和し、続いて得られる16:1Δ4 −ACPを延長して18:1Δ6(又はペトロセリノイル)−ACPを生成させ ることを含む。この経路は他の中でも新規なアシル−ACPデサチュラーゼ及び 特異的アシル−ACP延長系を必要とする。下記の突然変異デサチュラーゼの中 に、18:0−ACPのΔ6脱飽和を触媒してペトロシノイル−ACPを生成さ せることができる酵素がある。そのような酵素は、16:1Δ4−ACP延長経 路のための追加の遺伝子を転移させる必要なく、形質転換された作物植物中にお いてペトロセリン酸を生産するために有用である。この延長経路はΔ4−16: 0−ACPデサチュラーゼのための遺伝子の導入を介して形質転換された作物植 物においてペトロセリン酸を生産する試みにおける現在の限界である。 かくして基質結合チャンネル内の1つ又はそれ以上の接触残基の独自性を変え ることにより生成する突然変異体を用い、独特の機能性を有するアシル−ACP デサチュラーゼを生成させることができる。そのような酵素は例えばモノ不飽和 脂肪酸の豊富な植物油の生産に用いることができる。そのような植物油はヒトの 栄養において重要であり、工業的化学品の再生可能な供給源として用いることが できる。さらに、これらの分子の鎖長選択性及び二重結合位置を操作できること は、通常の植物油の物理的性質及び商業的利用を操作する方法を与える。さらに 、異常な型のモノ不飽和脂肪酸を生産することができる形質転換された作物の開 発(development)を本開示に基づいて利用することができる。 下記の実施例2に開示する突然変異体はある独特の性質を示す。例えば野生型 アシル−ACPデサチュラーゼは特定の鎖長の脂肪酸及び結合位置に対する非常 に強い選択性を示す傾向がある。しかし下記の実験に おいて、基質結合チャンネル内の接触残基のためのアミノ酸置換はこの選択性を 改変させることが示された。例えば種々の長さ(例えば16:0及び18:0) の基質の脱飽和を約4倍以下の速度の差において触媒する能力を示すキメラ突然 変異体が記載されている。 これらの突然変異アシル−ACPデサチュラーゼをコードする核酸配列を用い 、組み換えDNA法を用いて突然変異酵素を発現させることができる。例えば適 した発現ベクター内でクローニングすると、例えば原核細胞及び真核細胞を含む 多様な細胞型において突然変異アシル−ACPデサチュラーゼを発現させること ができる。 原核発現ベクターは例えば問題のDNA配列によりコードされる大量のタンパ ク質の製造のために有用である。通常の方法による精製に続き、このタンパク質 を用いて脂肪酸を脱飽和させることができる。さらにいくつかの用途の場合、そ のような原核細胞培養の粗ライセートが有用であり得る。 真核発現ベクターは、タンパク質への炭水化物側鎖の付加(すなわちグリコシ ル化)が重要な場合に有用である。炭水化物側鎖はいくつかの方法でタンパク質 の活性に影響する。例えばある種のタンパク質はその非−グリコシル化状態にお いて不活性であることが知られている。さらに非−グリコシル化タンパク質が他 のタンパク質(例えば抗体又は調節分子)と複合体を形成する能力はグリコシル 化の不在下で悪影響を受け得る。真核系(例えばバクロウィルス発現系)におい て発現されたアシル−ACPデサチュラーゼ突然変異体を、通常の方法による精 製に続いて脂肪酸の鎖長及び二重結合位置の改変に用いることができる。このタ ンパク質を多くの状況で、粗ライセートの一部として用いることもでき る。 突然変異アシル−ACPデサチュラーゼを植物発現ベクター中にクローニング することもできる。これらのベクターは、基質脂肪酸が存在する植物細胞の内部 で所望のタンパク質産物、例えば突然変異アシル−ACPデサチュラーゼを生産 することを可能にする。インサイチューで酵素を生産することにより、収穫の前 に産物の改変を行うことができ、経費のかかる製造段階を必要とせずに適した二 重結合位置を有する所望の脂肪酸を迅速に精製することが可能になる。いくつか の場合には複数の位置に二重結合を有する脂肪酸を生産するために、特定の形質 転換された植物において1種より多い突然変異アシル−ACPデサチュラーゼが 望まれることがある。植物は大量に培養し、生育させるのも容易である。 このタンパク質を多くの状況で粗ライセートの一部として用いることもできる。 実施例 実施例1 結果と検討 モデルの電子密度地図及び品質: 飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に変換する可溶性植物脂肪酸デサチュラーゼの原型 である組み換えホモ二量体Δ9ステアロイル−アシルキャリヤータンパク質デサ チュラーゼの3次元構造をタンパク質結晶学的方法により2.4Åの分解能まで 決定した。ポリペプチド鎖のほとんどに関し、主鎖及び側鎖に関する6回平均( six−fold averaged)電子密度が十分に限定される。例外はN −末端における最初の18残基であり、それは電子密度が限定されず、結晶格子 中で柔軟性であり得る。 ループ領域に位置する残基336〜347は電子密度地図で非常に不十分に限定 され、非結晶学的対称性からの最大の変動が見られるのもタンパク質構造のこの 部分においてである。全体的な残基毎の真の空間相関(Brサブユニット及び6 回平均2Fo−Fc電子密度地図)は0.76である。結晶学的R−因子(非結 晶学的対称性束縛を用いてR=22.0%、Rfree=28.5%)、モデルの優 れた立体化学(0.008Åの結合長二乗平均(rms))、Ramachan dranプロット(グリシン残基を除いて許される領域からの逸脱はサブユニッ ト当たりに1つのみ)ならびに観察される水素結合パターンなどの基準はすべて 脂肪酸デサチュラーゼとして追跡している鎖が正しいことを示している。許容さ れない主鎖コンホメーションを有するLys262のペプチド酸素に関する非常 に明確な密度がある。高い平均β−因子は、分子が柔軟性であることを示唆して いる。分子の最も秩序のある部分は2量体及び6量体相互作用に含まれる領域で あるが、表面ループは多くの場合に非常に高いβ−因子を有する。 誘導化デサチュラーゼ結晶中のAu(CN)2 -イオンのための主要結合部位は 、分子の表面におけるK56及びC61の側鎖の近くに見られる。あまり主要で ない部位の1つは内部のH203とC222の側鎖の間にあり、第2のあまり主 要でない部位は、おそらく鎖のN−末端が位置している領域にある。 Δ9デサチュラーゼサブユニットの全体的形態は、寸法が35x35x50で 16773の接近表面積を有する密集した円筒である。鎖のちょうどC−末端に おけるβ−ヘアピンループの他に、サブユニットは主に1つの大きなドメインに 折り畳まれたらせん状二次構造から成る。合計 11個のα−らせんの9個は逆平行らせん束を形成している。 鎖のN−末端部分は乱れており、最初の18残基に関して電子密度は観察され ない。次の15残基は二次構造がなく、その構造を安定化するための数個の特異 的相互作用でらせん束に沿って充填された長い鎖を形成している。第1のらせん 、α1は23残基から成り、310コンホメーションで開始され且つ終わっており 、非常に湾曲し、その最初の半分が束の一端でキャップを形成し、その第2の部 分は束の最初のらせんである。鎖は同じ方向に続き、水素結合回転及び310−ら せんを形成している。束の他方の端のキャップはらせんα2及びαΔ9ならびに C−末端−ヘアピンにより形成されている。これらのらせんの4個、非常に長く てそれぞれ28、29、30及び31残基であるα3、α4、α6及びα7は二 鉄中心にリガンドとして寄与している。 α3は残基107〜108における中心でらせん構造に中断を有しているが、 α3及びα4はα6及びα7に対称であり、44残基に関して1.39Åの二乗 平均変動で重ねることができる。そのような重ね合わせは鉄原子も1.0Å以内 まで整列させる。対応する配列の整列は、鉄クラスターの結合に含まれる残基の 他にほとんど配列保存がないことを示している。この重ね合わせは又、α1のキ ャップ部分をα2上に配向させる。これらのらせんの間の連結も大体重なるが、 詳細な構造的類似性はない。α3bとα4の間に突き出たループ構造があり、数 個の水素結合回転により安定化されている。らせんα5、α8、α10及びα1 1は非常に曲がっており、束を完成させている。 サブユニット内に、鉄イオンとのこれらの相互作用を除いて25という多数の 塩橋がある。これは残基当たり0.069のイオン対に相当し、 それは38個の高分解タンパク質構造の調査から誘導される0.04という残基 当たりのイオン対の平均数より高い。Δ9デサチュラーゼ中の塩橋の7個は束内 のらせん間相互作用に含まれ、正しい相互充填及びいくつかの場合には鉄−リガ ンドの正しい配向を確実にしている。8個の対はらせん内接触を形成し、残りの 中の3個は束−らせん間の回転の固定に含まれる。3個の対は310−らせん及び α8の後のループへの接触に含まれる。Δ9デサチュラーゼサブユニットの固有 の特徴はらせんα1、α6、α7、α10及びα11により形成される幾分平ら な表面である。この表面は2量体中のサブユニット−サブユニット接触に含まれ ず、溶液から接近可能である。2量体 2量体におけるサブユニット−サブユニット界面は2量体当たり5826Å2 の表面積を埋め、これは2量体の面積の17.4%である。これらの2重の(t wo fold)相互作用は束内のらせんの間の強力な接触;α3bから第2の サブユニット中の同じらせんへ、α4及びα5の間ならびにα2からα4までか ら他のサブユニット中の対応するらせんへの接触を含む。α3b及びα4の間の 突き出たループとN−末端、α3b及びα5の間にも多くの接触がある。さらに 、α1及びα2の連結内の残基は第2のサブユニット中のα4及びα5と接触し ている。2量体接触領域に3つの帯電相互作用があり、これらの2つはα5から の残基を含んでいる。二鉄中心は2量体において23Åより離れており、互いに 直接の接触はない。非結晶学的対称性及び結晶充填 結晶非対称単位は3つのΔ9デサチュラーゼ2量体を含有している。 これらの2量体においてサブユニットは非結晶学的2回軸により関連しており、 それは2量体の1つに関して結晶学的2回軸の1つに平行である。これに直角に 、aに平行に、3つの2量体を関連付ける非結晶学的3回スクリュー軸がある。 並進はaの長さの3分の1であり、すなわちそれは局部31軸(a local 31 axis)である。2量体間の接触は強力ではなく、他の結晶接触と同 じ大きさのものであり、結晶接触の構造への影響は、観察される非結晶学的対称 性における小さい変動から判断して小さいと思われる。最大の変動は、いくつか のサブユニットにおいて塩橋を含んでR336、E347及び/又はK346が 結晶接触をしている残基336〜347に関して得られる。この領域における電 子密度は上記の通りに弱い。非結晶学的対称性からの変動を有する他の領域は残 基19〜50を含み、それはサブユニットの回りを包んでおり、サブユニットに おける種々のゆるい結晶接触を成してもいる。1つの非対称単位に対応するサブ ユニットの充填が3回軸及び2回軸の1つに沿って見られる。二鉄中心 以前の研究は、Δ9デサチュラーゼが2量体当たり4個の鉄原子を含有してい ることを示し、光学的及びメスバウアー分光法は、これらの鉄イオンが二鉄−オ キソ−クラスターを含むことを示した。現在、二鉄−オキソ−クラスターは触媒 的機能及び非触媒的機能の両方を果す多様なタンパク質において同定されている 。それらはオキソ−もしくはヒドロオキソ−架橋リガンドのいずれかにより連結 されている2個の鉄原子を含有し、クラスターリガンドを与えている一次配列モ チーフの相違ならびにX−線結晶学により推定される構造的相違に基づいて分類 されてい る。4つの種類が記載されており、1つはヘムエリトリン及びミオヘムエリトリ ンを含有し、第2はリボヌクレオチドレダクターゼのR2サブユニット、バクテ リア炭化水素ヒドロキシラーゼ及びΔ9デサチュラーゼを含有し、第3はルブレ リトリン(rubrerythrin)を含有し、第4はFe(III)−Zn (II)パープル酸ホスファターゼ(purple acid phospha tase)(Strmammalian Fe(II)−Fe(II)酸ホスフ ァターゼ)を含有する。これらの可溶性タンパク質の他に、機能的に関連する内 在性膜タンパク質の別の種類があり、それは酸素−活性化非ヘム鉄中心を含有す る脂肪酸デサチュラーゼ及び炭化水素ヒドロキシラーゼを含んでおり、まだ構造 的に特徴付けられていない。 Δ9デサチュラーゼの結晶構造は、酵素が種類IIの二鉄タンパク質に属して いること及びそれが金属クラスターを含有していることを明らかにする。鉄イオ ン間の距離は4.2Åであり、鉄イオンの配位構造はリガンド位置の1つが占有 されていない捩れた八面体である。クラスターの構造は高度に対称性である。α 4からのE143及びα7からのE229の両方は架橋リガンドとして働いてい る。α3aからのE105は1つの鉄イオンへの2座リガンドであり、対応して α6からのE196は第2の鉄イオンへの2座リガンドである。各鉄イオンは窒 素原子、それぞれα4からのH146及びα7からのH232中のNδ1によっ ても連結されている。鉄リガンドの配向は、いくつかの場合には側鎖水素結合に より保持されており;E105はH203と、E143はW139中の原子Nε 1と、H146中のNε2はD228の側鎖と相互作用し、それ自身はR145 及びW62の側鎖と、H232中のNε2は E143の側鎖と相互作用し、それ自身はR231の側鎖と相互作用している。 鉄イオンの1つからずっと離れて、第2のシェルリガンドであると考えられ得る W139中の原子Nε1が見いだされている。鉄クラスターの近くに溶媒分子に 対応する電子密度がある。その鉄イオンへの距離はそれぞれ3.2及び3.4Å であり、従ってそれは金属中心の第1の配位シェルの一部ではない。結晶構造におけるデサチュラーゼの形態 二第2鉄塩状態のΔ9デサチュラーゼ中にμ−オキソ架橋二鉄クラスターが存 在することは、メスバウアー及び共鳴ラマン分光法を用いて明確に示されている 。従って、実験に用いた酵素は酸化状態にあり、還元剤は母液に加えられなかっ たので、Δ9デサチュラーゼの電子密度地図にμ−オキソ架橋が観察されなかっ たことは驚くべきことである。さらに鉄イオン間の距離(4.2Å)は完全なμ −オキソ架橋を有する二鉄クラスターの場合に予測されるより長い。μ−オキソ 架橋が存在するリボヌクレオチドレダクターゼの酸化形態の場合、鉄−鉄距離は 3.3Åである。Δ9デサチュラーゼで観察される形は、R2が化学的に還元さ れて鉄イオン間の距離が3.8Åに増加し、μ−オキソ架橋が失われ、リガンド 配置が非常に対称性となっていることがタンパク質結晶学及びメスバウアー分光 法によって示されるリボヌクレオチドレダクターゼの還元形態において見られる 形と著しく類似している。デサチュラーゼ結晶のX−線照射への暴露が金属中心 の光化学的還元を生じ、それがμ−オキソ架橋の喪失及びリガンドの再配置を伴 うことが示唆され得る。かくしてここで示すΔ9デサチュラーゼの構造が酵素の 還元形態を示していることが最もあり得ることである。Δ9デサチュラーゼの結 晶構造は、 共鳴ラマン研究と一致して、二第1鉄塩形態の酵素における鉄クラスターの高度 に対称性のリガンド配置を明らかにしている。以前の温度依存性メスバウアーデ ータから示唆される還元状態の酵素における対称性リガンド配置における変動は 、2つの金属部位における結合長及び結合角における変動の故かもしれず、それ は小さすぎて現在の分解能において電子密度地図で観察できない。活性部位及び他のタンパク質との相互作用 本明細書に記載のΔ9デサチュラーゼの構造は、生体内におけるΔ9デサチュラ ーゼとフェレドキシンの相互作用から生ずる二第1鉄形態の酵素の構造と非常に 似ている。3次元構造から、表面から鉄中心への電子伝達に関する2つの可能な 経路を仮定することができる。これらの1つはらせん束の軸に沿って延び、W1 39、W135、Y236、F189、W132の芳香族側鎖の構造的に連続す るクラスターを含む。W139のNε1原子は鉄の1つにいくぶん近い距離にあ り、W132のNe1原子はα3bとα4の間の突き出たループに近いサブユニ ットの表面を向いている。それでこのループ及びα1のキャップ部分はフェレド シキン分子のための考えられ得る相互作用表面を形成することができる。表面か ら鉄中心への電子伝達のための他の可能な経路は、R2に関して示唆されたもの と類似して、残基W62、D228及びH146を含む。この経路はらせんα1 、α6、α7、α10及びα11により形成される平らな表面に導く。 鉄中心の近くに拘束される(bound)溶媒分子は小さい疎水性ポケット内 に位置し、この溶媒分子に最も近いアミノ酸側鎖はT199及びW139である 。同等位置にThr側鎖を有する類似の穴がMMOに おいて見いだされ、この穴は酸素分子のための適した結合部位を与え得ることが 示唆されている。MMO中のT213の側鎖はシトクロムP450における残基 T252と類似の方法で酸素活性化に含まれると見られている。 鉄中心はΔ9デサチュラーゼの内部に埋められているので、酵素の表面を活性 部位に連結している疎水性残基で内張りされた基質用裂け目が同定されることが 期待された。事実、狭くて非常に深いチャンネルが表面からずっとタンパク質中 に延びているのを見いだすことができる。チャンネルは提案された酸素結合部位 と同じ側上で二鉄中心を通過する。このチャンネルの底にL115の側鎖が見ら れ、壁は残基W139、T192、Y111、M114、Y191、Q195、 P266、T99及びT104から成る。次いでチャンネルは鉄クラスターを通 過し、この裂け目の狭い入り口における残基Y292、M265、F279及び S283を有する表面に向かって続く。鉄クラスターの位置で湾曲している基質 用チャンネルの全体的形は生成物、二重結合においてシス立体配置を有するオレ オイル−ACPの結合を容易にする。 精密化(refinement)の後、平均2Fo−Fc電子密度地図におい て、溶媒又はタンパク質原子に指定されていない強くて長い電子密度がこのチャ ンネルで見いだされた。この密度の形及びポケットの疎水性に基づき、この電子 密度がβ−オクチルグルコシド分子の疎水性アシルーテイル(acyl−tai l)を示し得ることを推論できる。オクチルグリコシドの炭化水素テイルはこの 密度に十分に適合するが、糖部分に対応する密度はあまり限定されない。この推 定上のオクチルグルコシド分子はそのテイルを二鉄クラスターに近い疎水性ポケ ット内に 深く下ろし、炭水化物部分を表面に延ばして配向している。分子のこの部分に関 する弱い電子密度は、酵素との特異的相互作用の低さから生ずる局部的乱れを示 しているかも知れない。 推定された基質結合ポケットにおけるステアリン酸のモデル化は鉄イオンの1 つから約5.5ÅにC9炭素原子を与えている。そこで二重結合が形成されるで あろうこの炭素原子は溶媒分子が拘束されている小さいポケットにも近く、実際 に水分子は基質のC9炭素原子及び最も近い鉄イオンの間の距離を架橋している 。活性酵素においては、おそらくこのポケットは鉄原子の1つ又は両方に結合し ている酸素分子により占有される。触媒反応の間に、脂肪酸のC9位における水 素原子の1つを引き抜くことができる過酸化物ラジカルが生成し得る。他の二鉄タンパク質への比較 Δ9デサチュラーゼの構造を2つの他の二鉄タンパク質、エシェリキア・コリ (Escherichia coli)からのリボヌクレオチドレダクターゼの R2サブユニット及びメチロコックス・カプスラテ(Methylococcu s capsulate)からのMMOのα−サブユニットの3次元構造上に重 ね合わせると、全体的構造がいくぶん類似であり、144Cα−原子に関する二 乗平均フィットは1.90Å(Δ9デサチュラーゼ対R2)であり、同等の11 7Cα原子に関する二乗平均フィットは1.98(Δ9デサチュラーゼ対MMO )であることが示される。折り畳みは非常に類似しており、α−らせんのほとん ど、α1〜α8及びα10はR2及びMMO中にその相手がある。鉄リガンドの 他に保存アミノ酸はほとんどないが、これらの酵素が進化的に関連していること にほとんど疑いはあり得ない。 3つのタンパク質において、鉄中心の構造には有意な相違がある。一般にΔ9 デサチュラーゼ中の金属中心は他の2つのタンパク質の場合より有意に対称性で ある。しかし還元形態のR2の構造に比較した場合、Δ9デサチュラーゼ及びR 2における2核鉄中心の配位構造はより類似している。最も有意な相違は、Δ9 デサチュラーゼにおいては末端カルボキシレートE105及びE196がそれぞ れ二座リガンドとして働いているが、R2においては同等の側鎖が鉄イオンに対 して一座リガンドであることである。 R2は、Y122位において安定したラジカルを形成する点でこれらの酵素の 中で独特である。Δ9デサチュラーゼにおける対応する残基はL150であり、 鉄クラスターを結びつけている4−らせん束における充填相互作用を形成する疎 水性クラスター内に位置しており、この残基が触媒活性に必要であることを示し 得る証拠は得られない。 3つの酵素すべてにおいて保存されているアミノ酸残基は非常に少数である。 これらの中にE105を除く金属イオンへのリガンドがあり、E105はR2に おいてはアスパラギン酸に置き換えられている。わずかな(only)他の不変 の残基は1225及びD228である。残基1225は二鉄クラスターの近く( 最も近い距離は4.6Å)で基質用チャンネルの反対側にある。該側鎖は3次元 構造においてH203、H146及びW62の間に充填され、その機能のもっと 詳細な実験は特定部位の突然変異誘発研究からの結果を待たねばならない。3つ の酵素における他の不変のタンパク質残基であるD228は、R2に関して示唆 された2核鉄中心からタンパク質の表面への電子伝達経路の一部である。R2に おいて、この経路は鉄イオンの1つからH118、D237の側 鎖を介してタンパク質の表面に位置するW48の側鎖まで続く。これらの残基は Δ9デサチュラーゼにおいて保存されており、前記の通り構造的に同等の残基H 146、D228及びW62を含む電子伝達のための類似の経路を仮定すること ができる。さらに、電子伝達のためのわずかに改変された経路をMMOに関して 示唆することもできる。この場合、鉄リガンド(H147)及びアスパラギン酸 残基(D242)が保存されているが表面における構造は異なる。それにもかか わらず、表面における芳香族側鎖(Y67)はD242の側鎖の近くにある。 一方でΔ9デサチュラーゼとR2ならびに他方でΔ9デサチュラーゼとMMOの 間で保存されている他の残基のほとんどは、タンパク質の表面に位置しているか 又は充填相互作用に含まれている。二鉄部位の近辺においてR2及びΔ9デサチ ュラーゼの間に共通の保存残基はW135及びW139である。W135及びW 139はデサチュラーゼ中で厳密に保存されているが、R2中の対応する残基W 107及びW111は厳密には保存されていない。T4及びE.コリタンパク質 の場合を除いて、W135はフェニルアラニン又はチロシン側鎖により置き換え られている。同様にW139はグルタミン残基により置き換えられている。材料及び方法 酵素精製及び結晶化 組み換えΔ9デサチュラーゼは以前に記載されている通りにE.コリ細胞中で 発現され、精製された(Fox et al.,Biochemistry 3 3:127766(1993))。酵素の結晶化は、わずかな修正を以て(Sc hneider,et al.,J.Mol.Biol.225:561,(1 992))に従って行った。酵素試料 を12〜18mg/mlに濃縮した。タンパク質溶液の7.5mlのアリコート を同量の貯蔵溶液(reservoir solution)と混合し、カバー スリップ上に置き、20℃において1mlのウェル溶液上で平衡化させた。貯蔵 溶液は0.08Mのカコジル酸塩緩衝液pH5.4、200mMのMg−酢酸塩 、75mMの硫酸アンモニウム、2mMのLiCl、1mMのKCl、0.2% のβ−オクチルグルコシド及び沈澱剤としての12〜15%のPEG 4000 を含んだ。結晶は斜方晶であり、空間群P2111であり、細胞ディメンジョ ンはa=82.2、b=147.8及びc=198.2Åであった。データ収集及び重金属誘導体の製造 酵素の本来の結晶に母液中の種々の重金属塩の溶液を浸み込ませることにより 重金属誘導体を製造する試みはあまり成功しなかった。ほとんどの浸漬実験は結 晶の割れ又は非一同形結晶を生じ、5mMのKAu(CN)2を含有する母液中 にデサチュラーゼ結晶を1週間浸漬することにより唯一の有用な重金属誘導体を 製造することができた。本来の結晶及び誘導体結晶からのX−線データをdep artment of Molecular Biology,Uppsala においてUCSDマルチ−ワイア面積検出システム(multi−wire a rea detector system)(Hamlin,Methods Enzymol.114:416(1985))上で集めた。測定された枠(f rame)をMADNES(Pflugrath,MADNES:Munich area detector NE system,Users Guide , Cold Spring Harbor Laboratory,NY,U SA,(1987))を用いて処理 した。第2の生データセットをNSLS,Department of Bio logy,Brookhaven National Laboratoryに おいてビームライン X12−Cで集めた。データ枠をMAR Researc h画像版を用いて10振動として集めた。データ枠をDENZOを用いて処理し 、SCALEPACKを用いて概算した(scaled)。相の決定、モデル構築及び結晶学的精密化 ほとんどの結晶学的計算をCCp4プログラムスーツ(Collaborat ive Computational Project,Number 4,A cta Crystallogr.D50:760,(1994))を用いて行 った。初期の結晶学的分析は、マルチ−ワイア検出器上で集めたデータセットを 用い、3.1Åの分解能まで行った。金誘導体に関する差パターソン地図(di fference Patterson map)はRSPS(Knight, PhD thesis,Swedish University of Agr icultural Sciences,Uppsala 1989)を用いて 分析した。差パターソン地図において強い交差−ピークにより関連付けられる2 つの部位を差フーリエ地図の計算に用い、新しい部位を同定した。最後に6つの 主要部位及び12のあまり主要でない部位を見いだし、MLPHAREを用いて 重金属パラメーターを精密化した。回転関数計算の結果及び金属イオンの位置か ら、非対称単位においてΔ9デサチュラーゼの6個のサブユニットを関連付ける 局部対称オペレーターの方向及び位置を決定することができた。次いでRAVE プログラム(Jones,in CCP4 Study Weekend 19 92:Mol ecular Replacement(Dodson,E.J.,Gover ,S.and Wolf,W.,Eds.)pp.91−105,Daresb ury Laboratory,Daresbury,UK,(1992))を 用いる6回非結晶学的対称平均化及び1つのΔ9デサチュラーゼサブユニットの 推定位置を中心とする球状包絡線(spherical envelope)を 用いて初期SIR相を精密化した。これらの相に基づく低い分解能における電子 密度地図から、二鉄中心に配位している中心の4−らせん束の一部及び鉄原子を 同定することができた。鉄原子の座標を変則的な生データから精密化し、新しい 相をAu−誘導体及び鉄原子からの変則的寄与に基づいて計算した。R2のサブ ユニットをらせん一束に関して正しい位置に大体配向させることにより、MAM A(Kleywegt and Jones,Acta Cryst.D50: 178(1994))を用いてサブユニットに関する新しい包絡線を作成した。 非結晶学的平均化の後、電子密度地図からデサチュラーゼの出発モデルを構築 することが可能であった。モデル構築、XPLOR(Brunger,A.,A cta Crystallogr.A45:50,(1989)(Brunge r,A.,The X−PLOR manual,Yale Universi ty,New Haven,CT,(1990))における精密化、包絡線の再 限定、IMP(Kleywegt and Jones,Acta Cryst .D50:171,(1994))を用いる対称オペレーターの精密化及び平均 化のサイクルを、平均化された地図において新しい電子密度が現れなくなるまで 行った。この段階で、サブユニットにおいて異なる構造を有すると思われる もう1つのループが2Fo−Fc−地図から構築された。 Engh及びHuber力場(Engh and Huber,Acta C rystallogr.A47:392,(1991))ならびに非結晶学的対 称束縛を用い、XPLORで結晶学的精密化を行った。データセットの低い分解 能のために(3.1Å)、全体的B−値を用いた。この段階におけるモデルは精 密化において課せられた6回非結晶学的対称束縛を以て26.7%という結晶学 的R−因子を有した。精密化のこの段階で、NSLSにおいて集められた2.4 Åまでの分解能の新しい生データセットが利用可能となり、このデータセットを 用いて精密化を続けた。精密化のプロセスは2.5%の鏡映(reflecti ons)により監視され、それは精密化には含まれなかったがRfreeの計算 に用いられた(Brunger,A.,Nature 355:472(199 2))。 2.4Åの分解能においても、観察値対パラメーターの比率はやっと約1であ り、精密化の問題は決定が不十分であった。従って回折データの過剰−適合化を 避けるために、全部の精密化プロセスの間に非結晶学的対称束縛を用いた。構造 において、平均電子密度地図から非結晶学的対称性に従っていないと判断される 部分のみを束縛しなかった。これは残基19〜50、121〜122、127〜 129、208〜212、241〜253、259〜260、308〜319、 336〜348及びいくつかの側鎖を含む。領域336〜347におけるいくつ かの残基に関する電子密度は弱すぎ、それらの位置は不定であると考えなければ ならず、従ってこれらの原子の占有値(occupancies)をゼロに設定 した。全体的な異方的精密化は自由(free)R−因子を約 2%低下させた。この段階で、モデルに水分子を加えた。個々のB−因子も精密 化したが、非結晶学的対称性により束縛した。最終的モデルは22.0%という 結晶学的R−因子を有した(R freeは28.5%)。サブユニットAの束 縛されたCα位置(263原子)に関する他のサブユニットの対応する部分への 二乗平均変動は0.06であり、すべてのCα原子(345原子)に関してはそ れぞれ0.26、0.23、0.24、0.32、0.25である。 タンパク質モデルをPEPFLIP and RSFIT options in O(Jones et al.,Acta crystalllogr. A47:100,(1991))ならびにプログラムPROCHECK(Las kowski et al.,J.Appl.Crystallogr.26: 282,(1993))を用いて分析した。原子座標をBrookhaven Protein Data Bankに寄託する。構造の比較 O(Jones et al.,Acta crystalllogr.A4 7:100,(1991))を用いる最小二乗法によりすべての構造を重ね合わ せ、それを対毎に行った。二鉄中心へのリガンドを含有する4つのらせんから、 4つの延びたポリペプチド鎖(それぞれ約10残基)から成る同等のCα原子の 最初のセットを選ぶことにより、重ね合わせを行った。この最初の整列を、続い て原子モデルからのすべてのCα原子を含むことにより最大まで拡大した。それ らが互いから3.8以内であり、3つより多い同等の残基の連続内にあれば、残 基は構造的に同等であると考えた。実施例2 結果と議論 異なる性質を有する構造的に関連する酵素からのアミノ酸配列要素を組み合わ せる方法は、哺乳類リポキシゲナーゼ及び植物アシル−ACPチオエステラーゼ などの脂肪酸改変酵素の基質及び位置特異性の特性化において有効であることが 証明された。本明細書では、それぞれT.アラタ cDNAs pTAD2及び pTAΔ4によりコードされるΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼ及びΔ6− 16:0−ACPデサチュラーゼの性質の相違を担う残基を同定するためにこの 方法を用いた。これらのcDNAsによりコードされる成熟ポリペプチドは65 %のアミノ酸配列の正体を共有している。最初に2つのキメラ突然変異体を構築 した:(a)キメラ1は成熟Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの最初の1 71アミノ酸をΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼの残りの185アミノ酸 と連結して含有し、(b)キメラ2は成熟Δ9−18:0−ACPデサチュラー ゼの最初の227アミノ酸をΔ6−16:0−ACPデサチュラーゼの残りの1 34アミノ酸と連結して含有する。両酵素は検出可能なΔ9−18:0−ACP デサチュラーゼ活性のみを示した。類似の活性を触媒する他に、これらの突然変 異体はΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼの重複の50残基領域(残基17 8〜227)を共有する。 これは、鎖長及び二重結合位置特異性の決定因子がΔ9−18:0−ACPデ サチュラーゼのこの部分に存在することを示唆している。かくしてΔ6−16: 0−ACPデサチュラーゼの残基172〜221をΔ9−18:0−ACPデサ チュラーゼからの対応する50アミノ酸領域で 置換したキメラ3を構築した。得られる酵素は16:0−ACP及び18:0− ACPの両方のΔ6又はΔ9脱飽和を触媒した。このドメインの30アミノ酸サブ セット(Δ9−18:0−ACPデサチュラーゼの残基178〜207)をΔ6− 16:0−ACPデサチュラーゼ中に転位させたキメラ4の場合はほとんど同じ 活性が得られた。図1に示す通り、野生型Δ6−16:0−ACPデサチュラー ゼの活性とはっきり対照的に、この酵素は16:0−ACP及び18:0−AC Pの場合にそれぞれほとんど3:1及び1:1の比率でΔ6及びΔ9脱飽和を触媒 した。さらに、基質として18:0−ACPを用いた比活性は16:0−ACP を用いて検出される比活性のほとんど2倍であった。これらの結果は野生型Δ6 −16:0−ACPデサチュラーゼの活性とはっきり対照的である。このキメラ 酵素は18:0−ACPの1つより多い位置における二重結合の挿入を触媒する ことができるが、野生型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼは16:0−A CPの場合の検出可能なΔ6脱飽和活性を有しているのみである。さらに、野生 型酵素は18:0−ACPより16:0−ACPの場合に約6倍活性であった。 Δ9−18:0−ACPデサチュラーゼの50アミノ酸領域をさらに特性化す るために、この配列のもっと小さい領域(残基178〜202)をΔ6−16: 0−ACPデサチュラーゼ中に転位させた(キメラ5)。野生型Δ6−16:0 −ACPデサチュラーゼの比活性と異なり、得られる酵素の比活性は16:0− 及び18:0−ACPの場合にほとんど同じであった。広がった脂肪酸鎖長特異 性の他に、突然変異デサチュラーゼは二重結合の挿入を、ほとんど排他的に16 :0−及び18:0−ACPのΔ6位置において触媒した。さらに、この酵素の 比活性は野生 型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの比活性より2倍以上高かった。これ は部分的にE.コリ中における突然変異酵素のより高い安定性を反映しているか も知れない(すなわち突然変異デサチュラーゼは野生型Δ6−16:0−ACP デサチュラーゼより多量に発現され、より高い溶解性を示す)。 Δ9−18:0−ACPデチュラーゼの領域178〜207は、Δ6−16:0 −ACPデサチュラーゼの類似の部分に存在するアミノ酸と異なるアミノ酸を9 個含有している。Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの部位指定突然変異誘 発を介し、これらの残基のそれぞれを、個別に又は組み合わせて、Δ9−18: 0−ACPデサチュラーゼ中に存在するものに転換した。Δ6−16:0−AC Pデチュラーゼの以下の突然変異:A181T/A188G/Y189F/S2 05N/L206T/G207Aにより、キメラ4の活性と質的に類似の活性が 得られた。(注意:アミノ酸の番号付けは、Δ9−18:0−ACPデサチュラ ーゼに関して示してある。)さらに、キメラ5表現型(すなわち広がった鎖長特 異性)がΔ6−16:0−ACPデサチュラーゼの突然変異A188G/Y18 9Fにより質的に達成された。これらの実験で予想に反する活性を有する突然変 異デサチュラーゼも得られた。例えばΔ6−16:0−ACPデサチュラーゼの 突然変異A181T/A200Fは、主に18:0−ACPのΔ9脱飽和を触媒 するが、16:0−ACPの場合はΔ6デサチュラーゼとして機能する酵素を生 じた。しかし18:0−ACPの場合のこの酵素の比活性は16:0−ACPの 場合に検出される比活性より約3倍低い。さらにΔ6−16:0−ACPデサチ ュラーゼの突然変異A181T/A200F/S205N/L206T/ G207Aは、18:0−ACPの場合には検出可能なΔ9デサチュラーゼ活性 のみを有し、16:0−ACPの場合よりこの基質の場合にほとんど4倍活性で ある酵素を与えた。突然変異体A181T/A200Fと同様に、この酵素は1 6:0−ACPの場合のΔ6デサチュラーゼ活性を保持していた。 これらの酵素の基質結合性の変化は、観察される効果の基となる原因として割 り引いて考えることができ、それはそれらの値が野生型酵素の値と有意に異なら ないからである。野生型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼ、キメラ5及び 突然変異体188G/Y189Fに関するKm値は16:0−及び18:0−A CPの両方に関して0.2〜0.6μMの範囲内にあると見積もられた。 実施例1で記載した通り、トウゴマΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼの 結晶構造が決定され、活性部位の配置を見てキメラ及び突然変異体についての結 果を説明することが可能ななった。サブユニット構造は非常に深くて狭いチャン ネルを含有しており、それは基質のステアリン酸部分のための結合部位に相当す ると思われる。チャンネルの形態は炭素9及び10の間の二重結合が導入される 点における脂肪族鎖の、オレイン酸生成物のシス立体配置に対応する湾曲したコ ンホメーションを強いており、サブユニット中の触媒性鉄中心のいくぶん近くに 二重結合の可能性を置いている。かくしてこの基質結合チャンネルは導入される 二重結合より先の脂肪族鎖の長さに厳格な制限を設定し、それはこの群の酵素に 関する特異性における相違を部分的に説明することができる。わかる通り、二重 結合より先の炭素原子をもっと少なくして基質を受け入れる酵素の変異体は、よ り嵩高い側鎖を有するアミノ酸を用いる置換 により閉じられた結合裂け目を有する。結合部位のこの部分における特異性の決 定に含まれるアミノ酸は114〜115、117〜118、179、181及び 188〜189である。 酵素−基質−ACP複合体に関する構造モデルがなくて、二重結合と別の、ア シルキャリヤータンパク質に向かう鎖長特異性の決定因子は、推定が直接的では ない。ACPがこの種類の種々の酵素において同じやり方で結合すると仮定する と、基質用チャンネルの上部及びサブユニットの表面の入り口におけるアミノ酸 側鎖の相違は、二重結合とACPのホスホパンテイン補欠分子族の間のアルキル 鎖の種々の長さに酵素が適応することを可能にするであろう。しかし結合部位の 上部の二重結合からタンパク質の表面までを内張りするアミノ酸は、入手できる 酵素配列において保存されており、特異性に関する決定因子は基質用チャンネル の入り口及びアシル−ACPと相互作用する酵素表面に見いだされると最も考え られる。ここで結合ポケットは広がり、ステアロイル−ACPのホスホパンテイ ン部分をモデル化するのは不可能であった。この領域の残基280、283、2 86及び294は種々の酵素間で保存されておらず、基質特異性の決定に含まれ ているかも知れない。 この領域における結合部位の構造から、キメラ及び突然変異体に関する結果の いくつかを理論的に説明することが可能である。キメラ及び突然変異体のすべて は決定因子179〜189(実際には残基179、181、188〜189)を 含んでおり、かくして特異性への影響を見いだすことは驚くに値しない。キメラ 1及び2の両方は、おそらくその生成の時のいくつかの立体的衝突のために、非 常に小さい残留活性を有する。キメラ1は深いポケットにおけるΔ9−18:0 ACPデサチュ ラーゼのこの決定因子ならびに又Δ9−18:0 ACPデサチュラーゼに特異 的な表面決定因子を有し、Δ6−16:0 ACPデサチュラーゼに特異的な唯 一の決定因子、残基114〜115及び117〜118を有し、かくしてこのキ メラの小さい残留活性はΔ9−18:0 ACPデサチュラーゼの活性である。 キメラ2は埋め込まれたポケットの領域におけるΔ9−18:0 ACPデサチ ュラーゼの決定因子全体及び表面端におけるΔ6−16:0 ACPデサチュラ ーゼの既知の決定因子を有し;このキメラもΔ9−18:0 ACP活性を有す る。キメラ3及び4は保持されたその活性を有し、深いポケットにおける決定因 子の1つはΔ9−18:0 ACPに関するものであり、残基A181はより大 きなトレオニン側鎖の代わりに置換されているが、同時にA188がグリシンの 代わりに置換され、Y189がフェニルアラニンの代わりに置換され、実際には 深い穴において空間をより利用可能にしており、かくしてΔ6−18:0 AC P活性をも可能にしている。キメラ5は、それが残基203〜207に関してΔ6 −16:0 ACPデサチュラーゼ配列を保持している点のみでキメラ4と異 なる。これらの残基は基質用チャンネルの上部にあるが、基質に直接の接触はせ ず、基質特異性への影響を理解するのは困難である。これらの残基はこの群の既 知のデサチュラーゼの間で正しく保存され、Δ6−16:0 ACPデサチュラ ーゼのみが残基205〜207に関して異なる配列を有しており、この領域はお そらく基質特異性に関する自然の決定因子の一部を構成していない。突然変異体 A181T/A200Fの場合、野生型酵素と比較したΔ6−16:0 ACP 活性の低下は、A181をトレオニンに変えることによるこの穴の寸法の縮小の 故の基質用チャンネルにお ける構造的変化と一致している。A200Fの影響は理論的に説明するのが不可 能であり、この残基は基質用チャンネルに背を向けているサブユニットの表面上 にある。Δ6−16:0 ACPを除くこの群の配列決定されたデチュラーゼの すべてにおいて、この残基はフェニルアラニンである。前記の議論から、A18 1T/A200F/S205N/L206T/G207Aの活性を構造の点で説 明するのが不可能であることが明らかであり、我々は残基200及び205〜2 07における変化の影響を理論的に説明できない。 かくして脂肪酸デサチュラーゼの位置−及び鎖長特異性を特定のアミノ酸置換 により変え得ることが示された。鎖長特異性のための決定因子は、3次元構造に おける基質結合チャンネルの形と寸法を限定する領域上の地図に部分的に載る。 しかしこれらの残基のいくつかは基質結合チャンネル外にあり、そのような残基 の変化は新しくて有用な活性を生じ得る。脂肪酸ACPデサチュラーゼの3次元 構造が利用でき、本明細書に示す基質特異性を変えるための成功に満ちた試みを ここで、種々の鎖長−及び位置−特異性を有する理論的に設計された酵素の変異 体に拡張することができる。しかしこれは、基質複合体の結晶構造及びこの群の 酵素の複数のアミノ酸配列を利用できることから、基質用チャンネルの入り口に おける特異性のための決定因子が何であるかを我々が解決できて初めて成功する であろう。材料及び方法 脂肪酸の名前はx:ydzの式で略し、ここでxは脂肪酸における鎖長又は炭 素原子の数であり、yは二重結合の数であり、zは分子のカルボキシル末端に対 する脂肪酸中の二重結合の位置である(例えばオレイ ン酸又は18:1Δ9は1つの二重結合を有する18炭素脂肪酸であり、二重結 合は分子のカルボキシル末端に対して9番目の炭素原子に位置する)。キメラ突然変異体の製造 キメラ突然変異体は、成熟T.アラタΔ6−16:0−及びΔ9−18:0−A CPデサチュラーゼのコード配列の部分を本来の制限酵素部位又はPCRにより 生成する制限酵素部位を介して連結することにより製造した。Δ9−18:0− ACPデサチュラーゼのアミノ酸178〜202(Δ6−16:0−ACPデサ チュラーゼの残基172〜196と同等)のコード配列における部位指定突然変 異は、Pfuポリメラーゼ(Stratagene)を用いるPCRを用いて重 複オリゴヌクレオチドプライマーを伸長し、増幅することにより導入した。突然 変異A181T/A188G/Y189Fは以下のオリゴヌクレオチドを用いて 行った:突然変異A188G/Y189Fは以下のオリゴヌクレオチドを用いて導入した :5’ATGGATCCTGGCGCGGATAACAACC CGTAC3’(プライマー1B);プライマー2A;プライマー3A;プライ マ−4A。突然変異A181T/A200Fは以下を用いて発生させた:プライ マー1A;5’ACGAGGTGTAGATATATGCGAGGTACGGG TTGTTATCCG3’(プライマー2B);プライマー3A;5’TTGA ATTCCATGGGAAATGAATGTCGCCCTCTCCTG3’(プ ライマー4B)。PCR反応は鋳型を加えず、12.5ピコモルのプライマー1 A又はB及び4A又はBならびに6.25ピコモルのプライマー2A又はB及び 3Aを用いて行った。最初の10回のPCRサイクルの場合、37℃のアニーリ ング温度及び72℃の伸長温度を用いた。これに続き、55℃に上げたアニーリ ング温度を用いてさらに20サイクル行った。PCR反応からの生成物をBam HI及びEcoRIを用いて消化し、pBluescript II KS(− )(Stratagene)の対応する部位中に挿入し、それからSequen ase 2.0キット(Amersham)を用いて核酸配列を決定した。次い でこのプラスミドをBamHI及びEcoRIを用いて消化し、回収された挿入 片を発現ベクターpET3a(Novagen)中で成熟Δ6−16:0−AC Pデサチュラーゼのアミノ酸1〜171のコード配列に連結した。得られる構築 物(今や突然変異もしくは野生型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼのアミ ノ酸1〜196のコード配列を含有する)をNcoI及びEcoRIで制限し、 Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの残りのアミノ酸(残基197〜355 )のコード配列及びpET3dプラスミド(ヌクレオチド)の一部を含有するN coI/EcoRIフラグメントに連結した。突然変異S205N/L206T /G207Aは、pBlue script SK(−)中でこの酵素に関する最初のcDNAを鋳型として用 い、Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼのアミノ酸197〜355のコード 配列をPCR増幅させることにより発生させた。5’オリゴヌクレオチド(5’ TTTCCATGGGAACACGGCTCGGCTAGCGAGGCAGAA GG3’)は適した突然変異コドンを含有し、T7プライマーをPCR反応のた めの3’オリゴヌクレオチドとして用いた。増幅生成物をNcoI及びBcII で消化し、pET3dのNcoI/BamHI部位中に挿入した。この構築物か らのNcoI/EcoRIフラグメントを次いで適した突然変異Δ6−16:0 −ACPデサチュラーゼ(例えばA181T/A200F)のアミノ酸1〜19 6のコード配列に連結し、全長コード配列を生成させた。PCR反応の生成物を 配列決定し、所望の突然変異の存在を確認した。アシル−ACPデサチュラーゼの製造 野生型及び突然変異アシル−ACPデサチュラーゼは、ベクターpET3a又 はpET3dを用い、T7 RNAポリメラーゼプロモーターの後のE.コリB L21(DE3)中でコード配列を発現させることにより得た。図1にその活性 が記載されている組み換え酵素は、20〜25℃で誘導された6〜9リットルの バクテリア培養から精製した。タンパク質精製は、Biocad Sprint HPLC(Perseptive Biosystems)を用いるDEAE −アニオン性交換クロマトグラフィ及びそれに続く20HS(Persepti ve Biosystems)カチオン性交換クロマトグラフィーを用いて行っ た。突然変異デサチュラーゼは90%の純度で得られ、野生型Δ6−16:0− ACPデサチュラーゼは約80%の純度で回収された。精製に 続き、酵素を40mMのTris−HCl(pH7.5)、40mMのNaCl 及び10%のグリセロールから成る緩衝液中に交換し、液体窒素中におけるフラ ッシュ−フリージングの後に−75℃においてアリコートとして保存した。アシル−ACPデサチュラーゼのアッセイ及び分析 反応生成物のアシル−ACP脱飽和アッセイ及び分析を以下の修正を以て以前 に記載されている通りに(Cahoon,E.B.,et al..Proc. Nat.Acad.Sci.,USA.89:1184,(1994))行った : 組み換えアナエベナ(Anaebena)成長(vegetative)フェレ ドキシン(22fg/アッセイ)及びトウモロコシ根FNR(0.4U/アッセ イ)をホウレンソウフェレドキシン及びFNRの代わりに用い、アッセイ当たり のNADPH及び[1−14C}16:0−又は18:0−ACPの量をそれぞ れ2.5mM及び178ピコモル(又は1.2fM)に増加させた。基質の合成 に用いたACPは組み換えホウレンソウACP−Iであった。[1−14C}1 6:0及び18:0(American Radiolabeled Chem icals)の比活性は55mCi/ミリモルであった。酵素活性は、脱飽和ア ッセイで生成するモノ不飽和生成物のパーセンテージを決定することにより測定 した。生成物及び未反応基質の間の放射性の分布は、Imagequantソフ トウェアを用いる銀錯体化(argentation)TLC分離のリン光像( phosphorimages)から及びTLC掻き落とし物の液体シンチレー ションカウンティングにより測定した。二重結合位置の決定 モノ不飽和脂肪酸生成物の二重結合位置は、15%銀錯体化TLC板上のメチ ルエステル誘導体の移動度により及びこれらの誘導体のジメチルジスルフィド付 加物のGC−MS分析により決定した。GC−MS分析のための脱飽和アッセイ は、非標識16:0−、17:0−及び18:0−ACPを基質としてならびに 精製された酵素を用いて行った。本文に示す結果の他に、17:0−ACPと野 生型Δ6−16:0−ACPデサチュラーゼの反応により生成する約15%の脱 飽和生成物が17:1Δ7異性体として検出された。生成物の残りは17:1Δ6 であり、微量の17:1Δ9も検出された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, UZ,VN (72)発明者 シヤンクリン,ジヨン アメリカ合衆国ニユーヨーク州11786シヨ アハム・ダツチエスストリート4 (72)発明者 シユナイダー,グンター スウエーデン・エス―175 63ジヤルフア ラ・フロツテイルイバゲン8 (72)発明者 リンドクビスト,イルバ スウエーデン・エス―175 63ジヤルフア ラ・フロツテイルイバゲン8 (72)発明者 カフーン,エドガー アメリカ合衆国ニユーヨーク州11786シヨ アハム・エステイトレイン11

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.可溶性植物脂肪酸デサチュラーゼの鎖長及び二重結合位置特異性を改変する ための方法であり、脂肪酸と接触する可溶性脂肪酸デサチュラーゼの基質結合チ ャンネル内のアミノ酸接触残基を改変することを含む方法。 2.可溶性植物脂肪酸デサチュラーゼがアシル−ACPデサチュラーゼである請 求の範囲第1項の方法。 3.アシル−ACPデサチュラーゼがΔ9デサチュラーゼである請求の範囲第2 項の方法。 4.Δ9デサチュラーゼをチュンベルギア・アラタ又はリシヌス・コムニスから 成る群より選ばれる植物により生産する請求の範囲第3項の方法。 5.アミノ酸接触残基が残基114、115、117、118、179、181 、188及び189から成る群より選ばれる請求の範囲第4項の方法。 6.アシル−ACPデサチュラーゼの鎖長及び二重結合位置特異性を改変するた めの方法であり: a)アシル−ACPデサチュラーゼの一次アミノ酸配列を得; b)アシル−ACPデサチュラーゼの一次アミノ酸配列をリシヌス・コムニス Δ9デサチュラーゼの一次アミノ酸配列と最大配列保存に関して整列させ; c)リシヌス・コムニスΔ9デサチュラーゼとの配列保存に基づいてアシル− ACPデサチュラーゼに関する3次元モデルを構築し; d)段階c)においてモデル化された構造の基質結合チャンネル内の アミノ酸接触残基を同定し; e)段階d)で同定されたアミノ酸接触残基の1つ又はそれ以上を他のアミノ 酸残基で置換することにより、改変された鎖長及び二重結合位置特異性を有する 突然変異アシル−ACPデサチュラーゼを生成させることを含む方法。 7.第1の脂肪酸及び第2の脂肪酸の脱飽和を触媒する能力を特徴とする突然変 異アシル−ACPデサチュラーゼであり、第1及び第2の脂肪酸はその鎖長が異 なっており、第1及び第2の脂肪酸の両方の脱飽和速度の差が約4倍以下である 突然変異アシル−ACPデサチュラーゼ。 8.基質結合チャンネル内のアミノ酸接触残基における点突然変異を含有する請 求の範囲第7項の突然変異アシル−ACPデサチュラーゼ。 9.第1の脂肪酸が16:0の鎖長を有し、第2の脂肪酸が18:0の鎖長を有 している請求の範囲第7項の突然変異アシル−ACPデサチュラーゼ。 10.基質結合チャンネル内の接触残基においてアミノ酸置換を有する突然変異 アシル−ACPデサチュラーゼ。 11.相手の野生型アシル−ACPデサチュラーゼと比較して鎖長及び二重結合 位置特異性の変化を特徴としている請求の範囲第10項の突然変異アシル−AC Pデサチュラーゼ。 12.アシル−ACPデサチュラーゼがΔ9アシル−ACPデサチュラーゼであ り、基質結合チャンネル内の接触残基が114、115、117、118、17 9、181、188及び189から成る群より選ばれる請求の範囲第11項の突 然変異アシル−ACPデサチュラーゼ。 13.Δ9アシル−ACPデサチュラーゼをチュンベルギア・アラタ又 はリシヌス・コムニスからクローニングされる核酸を突然変異させることにより 生産する請求の範囲第12項の突然変異体。 14.第1の脂肪酸及び第2の脂肪酸の脱飽和を触媒する能力を特徴とする突然 変異アシル−ACPデサチュラーゼをコードする核酸配列であり、第1及び第2 の脂肪酸はその鎖長が異なっており、第1及び第2の脂肪酸の両方の脱飽和速度 の差が約4倍以下である核酸配列。 15.突然変異アシル−ACPデサチュラーゼが基質結合チャンネル内のアミノ 酸接触残基における点突然変異を含有する請求の範囲第14項の核酸配列。 16.アシル−ACPデサチュラーゼがΔ9デサチュラーゼである請求の範囲第 15項の核酸配列。 17.アミノ酸接触残基が残基114、115、117、118、179、18 1、188及び189から成る群より選ばれる請求の範囲第16項の核酸配列。 18.第1の脂肪酸及び第2の脂肪酸の脱飽和を触媒する能力を特徴とする突然 変異アシル−ACPデサチュラーゼをコードする核酸配列を発現可能な形態で含 むDNA発現構築物であり、第1及び第2の脂肪酸はその鎖長が異なっており、 第1及び第2の脂肪酸の両方の脱飽和速度の差が約4倍以下であるDNS発現構 築物。 19.突然変異アシル−ACPデサチュラーゼが基質結合チャンネル内のアミノ 酸接触残基における点突然変異を含有する請求の範囲第18項のDNA発現構築 物。 20.アシル−ACPデサチュラーゼがΔ9デサチュラーゼである請求の範囲第 19項のDNA発現構築物。 21.アミノ酸接触残基が残基114、115、117、118、179、18 1、188及び189から成る群より選ばれる請求の範囲第20項のDNA発現 構築物。 22.第1の脂肪酸及び第2の脂肪酸の脱飽和を触媒する能力を特徴とする突然 変異アシル−ACPデサチュラーゼをコードする核酸配列を発現可能な形態で含 むDNA発現構築物を用いて形質転換された細胞であり、第1及び第2の脂肪酸 はその鎖長が異なっており、第1及び第2の脂肪酸の両方の脱飽和速度の差が約 4倍以下である細胞。 23.突然変異アシル−ACPデサチュラーゼが基質結合チャンネル内のアミノ 酸接触残基における点突然変異を含有する請求の範囲第22項の細胞。 24.アシル−ACPデサチュラーゼがΔ9デサチュラーゼである請求の範囲第 23項の細胞。 25.アミノ酸接触残基が残基114、115、117、118、179、18 1、188及び189から成る群より選ばれる請求の範囲第24項の細胞。 26.原核細胞である請求の範囲第22項の細胞。 27.真核細胞である請求の範囲第22項の細胞。 28.植物細胞である請求の範囲第27項の細胞。 29.第1の脂肪酸及び第2の脂肪酸の脱飽和を触媒する能力を特徴とするキメ ラアシル−ACPデサチュラーゼであり、第1及び第2の脂肪酸はその鎖長が異 なっており、第1及び第2の脂肪酸の両方の脱飽和速度の差が約4倍以下である キメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 30.アミノ酸172〜201がΔ9−18:0 ACPデサチュラー ゼからのアミノ酸178〜207で置換されているΔ6−16:0を含む請求の 範囲第29項のキメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 31.アミノ酸172〜196がΔ9−18:0 ACPデサチュラーゼからの アミノ酸178〜202で置換されているΔ6−16:0を含む請求の範囲第2 9項のキメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 32.アミノ酸176、183、184、200、201及び202がそれぞれ Δ9−18:0 ACPデサチュラーゼからのアミノ酸181、188、189 、205、206及び207で置換されているΔ6−16:0を含む請求の範囲 第29項のキメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 33.アミノ酸183及び184がそれぞれΔ9−18:0 ACPデサチュラ ーゼからのアミノ酸188及び189で置換されているΔ6−16:0を含む請 求の範囲第29項のキメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 34.アミノ酸176及び195がそれぞれΔ9−18:0 ACPデサチュラ ーゼからのアミノ酸181及び200で置換されているΔ6−16:0を含む請 求の範囲第32項のキメラアシル−ACPデサチュラーゼ。 35.アミノ酸176、195、200、201及び202がそれぞれΔ9−1 8:0 ACPデサチュラーゼからのアミノ酸181、200、205、206 及び207で置換されているΔ6−16:0を含む請求の範囲第32項のキメラ アシル−ACPデサチュラーゼ。
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