【発明の詳細な説明】キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害活性を有する4−フェニル−4−オキソ −2−ブテン酸誘導体
本発明は、例えば、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、後天性免疫不全
症候群(AIDS)によって引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低酸素
症、パーキンソン病、てんかん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、緑
内障/網膜症、脳の感染および炎症のような、神経変性疾患の予防および/また
は治療における、キヌレニンの代謝に関わる酵素であるキヌレニン−3−ヒドロ
キシラーゼ(KYN−3−OHase)の阻害剤として作用する、4−フェニル
−4−オキソ−2−ブテン酸誘導体の使用に関する。本発明はさらに、前記4−
フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸誘導体の選択された種類を代表する、Zま
たはE幾何異性体としての新規化合物、それらの医薬的に許容される塩、それら
の製造方法、およびそれらを含有する医薬組成物を含む。
図1に示されるように、キヌレニン(KYN)経路によって、トリプトファン
代謝が、一方におけるキノリン酸(QUIN)、
および、他方におけるキヌレン酸(KYNA)の形成させることが当分野におい
て既知である。
この10年間において、キヌレニン代謝の2つの中間体、(QUIN)および
(KYNA)が、CNSに注入された場合に、神経毒として、および神経保護物
質として、それぞれ作用するということを、いくつかの証拠が示している。従っ
て、キヌレニン経路のこれら2つの代謝物質(血液脳関門を通過することができ
ない)が、哺乳動物の脳の通常の成分であるということの証明は、CNSにおけ
るこの経路の存在を表すものであり、並びに、脳生理学および病理学におけるQ
UINおよびKYNAの関与を提案するものである(Stone T.W.,P
harmacol.Rew.,(1993)310−379)。
QUINおよびKYNAの両方が、イオントロピー興奮性アミノ酸受容体と相
互作用することができる。特に、QUINは、N−メチル−D−アスパルテート
(NMDA)受容体において、高選択アゴニストであり(Stone T.W.
,Eur.J.Pharmacol.,72,(1981)411−412)、
一方、KYNAは、NMDA受容体のグリシン共アゴニスト部位において優先的
に作用する、イオントロピー興奮性アミノ酸
受容体の広域アンタゴニストである(J.Neurochem.,52,(19
89)1319−1328)。
生体外試験は、ニューロン細胞培養物の、比較的低いQUIN濃度への曝露が
、長期間適用されるかまたはグルタメートと組み合わせて適用される場合に、神
経毒性であることを証明している(Schurr A.,Brain Res.
,568,(1991)199−204)。生体内QUINは、ヒト神経変性疾
患において記述される神経細胞損失によく似ている、痙攣および軸索欠乏障害(
axon sparing lesions)を、発生させることが示されてい
る(Schwarcz R.,Science,219,(1983)316−
318)。さらに、虚血後のアレチネズミの脳(Saito K.,J.Neu
rochem.,60,(1993)180−192)、続いて、ラット(St
okes B.T.,Brain Res.,633,(1994)348−3
52)、およびモルモット(Blight A.R.,Brain Res.,
632,(1993)314−316)における脊髄外傷、最後に、実験的アレ
ルギー性脳脊髄炎のモデル(Flagan E.M.,J.Neurochem
.,64,
(1995)1192−1196)において、QUIN産生の増加が証明された
。
一方、KYNAは、いくつかの動物モデルにおいて、抗痙攣特性および神経保
護特性を示し(Stone T.W.Pharmacol.Rev.45,(1
993)309−379)、さらに、KYNA濃度の実験的に誘発される上昇は
、神経保護および発作減少に導くことができる(Nozaki K.,J.Ce
reb.Blood Flow Metab.,(1992),12,400−
407;Russi P.,J.Nuerochem.,59,(1992)2
076)。
特に、KYNAは、QUINと共に注入された場合に、神経毒によって誘発さ
れる興奮毒性(excitotoxic)ニューロン損傷を防止することができ
る(Foster A.C.,Neurosci.Lett.,48,(198
4)273−278)。
これらのデータは、病理学的症状に導く興奮毒性および発作のような症状に対
する、脳の自衛手段として、KYNAが作用することを示している(Schwa
rcz R.,Neurotoxin and neurodegenerat
ive
disease,Ann.N.Y.Sci.,140,vol.648,199
2)。
従って、KYNA形成を増加させ、および/またはQUIN合成を阻止するこ
とを目的とする薬理的媒介物が、興奮毒性脳疾患の治療に有用である。
キヌレニン経路(図1)において、KYN−3−OHaseが、KYN化合物
からのQUINの形成に関与する第一酵素であるので、この酵素の阻害剤として
作用する化合物が、QUINに向かう代謝を阻止し、同時に、KYNA形成を増
加させると考えられる。
従って、この酵素を阻害することができる化合物が、キノリン酸に関わる種々
の病理、または興奮性アミノ酸受容体によって媒介される神経伝達の過度の活性
化の、予防および/または治療に、有用である。
従って、本発明は、治療によってヒトまたは動物の体を処置する方法に使用す
るための、単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(I):
[式中:
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6
アルキル;フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキシ;C1−C6アルキルチオ;
SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、C2
−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];SO2N(R6)2[式中、各
R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ア
ルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;
Rは、ヒドロキシ;−OR5[式中、R5は前記と同意義];
−N(R6)2または−N(R6)OR6[式中、R6は前記と同意義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである]
で示される4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸誘導体、またはその医薬的
に許容される塩を提供する。
一般に、4−フェニル−4−オキソ−ブテン酸誘導体が、キヌレニン−3−ヒ
ドロキシラーゼ阻害剤として使用するために提供される。
特に、本発明は、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻止が必要とされ
る神経変性疾患の予防および/または処置における、式(I)の化合物、または
その医薬的に許容される塩の使用に関する。
さらに、本発明は特に、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、後天性免疫
不全症候群(AIDS)によって引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低
酸素症、パーキンソン病、てんかん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症
、緑内障/網膜症、脳の感染および炎症を含む神経変性疾患の、予防および/ま
たは治療における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用に
関する。
本発明の式(I)の化合物の好ましい種類は、
式中:
Rは、ヒドロキシ、または−OR5[式中、R5はC1−C6
アルキル]であり;
X、Y、およびZの1つが水素であり、他の2つがそれぞれ独立して、水素;
ハロゲン;ニトロ;C1−C6アルキル;フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキ
シ;C1−C6アルキルチオ;SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキ
ル、フェニル、ベンジル、C2−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];
SO2N(R6)2[式中、各R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−
C4アルケニル、C2−C4アルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである;
式(I)の化合物、およびそれらの医薬的に許容される塩である。
単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(I)で示される
好ましい化合物の特定の例を下記に示す:
4−(3’−ブロモフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’,4’−ジブロモフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(4’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
2−ヒドロキシ−4−(4’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
メチル4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート
;
および医薬的に許容されるそれらの塩。
本発明はまた、新規化合物としての、式(I)で示される4−フェニル−4−
オキソ−2−ブテン酸誘導体の選択された種
類にも関する。
従って、本発明は、単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、
式(IA):
[式中:
Xは、ハロゲン;ニトロ;SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキ
ル、ベンジル、フェニル、C2−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];
またはSO2N(R6)2[式中、各R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、
ベンジル、フェニル、またはC2−C4アルケニル]であり;
Yは、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6アルキル;C1−C6アルコキシ;C1
−C6アルキルチオ;SOR5、SO2R5[式中、R5は前記と同意義];または
SO2N(R6)2[式中、R6は前記と同意義]であり;
Rは、ヒドロキシ;OR5[式中、R5は前記と同意義];
N(R6)2またはN(R6)OR6[式中、R6は前記と同意
義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである。]
で示される4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸誘導体、またはその医薬的
に許容される塩を提供するが;
但し、
(i) YおよびR2がどちらも水素であり、R1がメチルであるとき、Xはニ
トロでない;
(ii) Xがハロゲンであり、フェニル残基の4’の位置にあるYがC1−
C4アルキルであるとき、R1およびR3はどちらも水素でない;
(iii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるYが、どちらも塩素
、臭素、またはフッ素であるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(iv) Xが塩素であり、フェニル残基の6’の位置にあるYがフェニル、
メチル、またはメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(v) Xが塩素であり、フェニル残基の4’の位置にある
Yがフェニルまたはメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(vi) Xが臭素であり、Yがフェニル残基の4’の位置にあるとき、Y、
R1、およびR2は同時に水素でない;および
(vii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるYが、どちらも塩素
であるとき、R1はベンジルでない;
ことを条件とする。
式(IA)の化合物の好ましい種類は、
式中:
Xは、ハロゲンまたはニトロであり;
Yは、水素、ハロゲン、またはC1−C6アルコキシであり;
Rは、ヒドロキシまたは−OR5[式中、R5はC1−C6アルキル]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである。];
で示される式(IA)の化合物、およびそれらの医薬的に許容される塩であるが
;
但し、
(i) YおよびR2がどちらも水素であり、R1がメチルであるとき、Xはニ
トロでない;
(ii) Xがハロゲンであり、フェニル残基の4’の位置にあるYがC1−
C4アルキルであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(iii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるYが、どちらも塩素
、臭素、またはフッ素であるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(iv) Xが塩素であり、フェニル残基の6’の位置にあるYがフェニル、
メチル、またはメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(v) Xが塩素であり、フェニル残基の4’の位置にあるYがフェニルまた
はメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(vi) Xが臭素であり、Yがフェニル残基の4’の位置にあるとき、Y、
R1、およびR2は同時に水素でない;および
(vii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるY
が、どちらも塩素であるとき、R1はベンジルでない;
ことを条件とする。
単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(IA)の好まし
い化合物の特定の例を、下記に挙げる:
4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸;
3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸;
3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸;
3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸;
2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ
−2−ブテン酸;
およびそれらの医薬的に許容される塩。
本発明は、ヒトおよび動物の体を処置する方法において使用するための、式(
IA)で示される化合物をも提供する。
一般に、式(IA)の化合物は、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤と
して使用するために提供される。
式(I)または(IA)で示される化合物の医薬的に許容される塩は、例えば
、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属、またはカルシウムまたはマ
グネシウムのようなアルカリ土類金属の、水酸化物のような、無機塩基との塩、
ならびに、
例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンのような脂肪族アミン、
または、ピペリジンのような複素環式アミンのような、有機塩基との塩を包含す
る。
式(I)および(IA)に関して、種々の置換基の意義は下記の通りである。
特に記載のない限り、アルキル、アルコキシ、およびアルキルチオ鎖は、分岐
鎖であっても直鎖であってもよい。
C1−C6アルキル鎖の代表的な例は、メチル、エチル、n−およびイソ−プロ
ピル、n−、イソ−、sec−およびtert−ブチルのような、C1−C4アル
キル鎖を包含する。
C1−C6アルコキシ基の代表的な例は、メトキシおよびエトキシのような、C1
−C4アルコキシ基を包含する。
C1−C6アルキルチオ基の代表的な例は、メチルチオ、エチルチオ、およびイ
ソプロピルチオのような、C1−C4アルキルチオ基を包含する。
ハロゲン原子は、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり;特に、フ
ルオロまたはクロロである。
C2−C4アルケニル基の代表的な例は、ビニルおよびアリルを包含する。
C2−C4アルキニルの代表的な例は、エチニルまたはプロパルギルを包含する
。
式(I)または(IA)の化合物は、
a) 式(II):
[式中、X、Y、およびZは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1−C6
アルキル、フェニル、ベンジル、C1−C6アルコキシ、またはC1−C6アルキル
チオである。]
で示される化合物を、式(III):
[式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、C1−C6アルキル、フェ
ニル、ベンジル、またはハロゲンである。]
で示される化合物と反応させ、
それによって、X、Y、Z、R1、およびR2が前記と同意義であり、Rがヒド
ロキシである式(I)または(IA)の化
合物を得る;または、
b) 式(IV): [式中:
X、YおよびZは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6ア
ルキル;フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキシ;C1−C6アルキルチオ;S
OR5、SO2R5[式中、R5はC1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、C2−
C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];または、SO2N(R6)2[式中
、各R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4
アルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;および、
R2は、水素、C1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、またはC1−C6アル
コキシである。]
で示される化合物を、式(V):
[式中:
Wは、水素、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、またはC1−C6アルコキシであ
り;および、
Rは、ヒドロキシまたは−OR5[式中、R5はC1−C6アルキル]である。]
で示される化合物と反応させ、
それによって、X、Y、Z、R1、R2、およびRが、前記と同意義である式(
I)または(IA)の化合物を得る;および、所望であれば、
c) 段階a)またはb)で得られる式(I)または(IA)の化合物を、R1
および/またはR2が異なる意義を有する、式(I)または(IA)の他の化合
物に変換する;および/または、所望であれば、
d) 段階a)、b)またはc)で得られる、Rがヒドロキシである式(I)
または(IA)の化合物を、Rがヒドロキシ以外のものである式(I)または(
IA)の他の化合物に変換
する;および/または、所望であれば、
e) 式(I)または(IA)の化合物を、その医薬的に許容される塩に変換
するか、または、対応する塩から遊離化合物を得る;
ことを含んで成る方法によって製造することができる。
段階a)に記載されている、式(II)の化合物と式(III)の化合物との
反応は、既知の方法によって行うことができる(Kazuya Kameo,C
hem.Pharm.Bull.,36,6,2050−2060(1988)
;Bianchi M.,Eur.J.Med.Chem.,23,45−52
(1988))。
例えば、この反応は、好適なルイス酸触媒の存在下に、例えばジクロロメタン
または1,2−ジクロロエタンのような不活性溶媒中において、またはクロロベ
ンゼン、ニトロベンゼンのような適切な芳香族炭化水素中において、または式(
II)の化合物自体の過剰量中において;約−10℃〜約100℃の範囲の温度
において;任意に、共溶媒、例えばニトロメタンの存在下において、行うことが
できる。
好適なルイス酸は、無水三塩化アルミニウム、無水二塩化錫、
四塩化チタン、または無水二塩化亜鉛であり、一般に、無水三塩化アルミニウム
である。
式(II)の化合物は、既知の化合物である。
式(III)の化合物は、既知の化合物であるか、または既知の化合物から既
知の方法によって製造することができる。
段階b)に記載されている、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との反応
は、既知の方法によって行うことができる(Witiak M.,J.Med.
Chem,,14,8.758−766(1971);Williams H.
W.R.,J.Med.Chem.,26,1196−1200(1983);
Wermuth,C.G.Chim.Ther.,141−145(1971)
;Tomassini J.,Baldwin,J.,M.Bourgeois
,Antimicrob.Agents Chemother.,38,282
7−37(1994))。
例えば、この反応は、例えば、塩酸、硫酸、またはナトリウムメトキシドのよ
うな好適な酸性または塩基性触媒を用いて、あるいは触媒を用いずに行うことが
できる。一般的な溶媒は、例えば、酢酸、ジオキサン、トルエン、またはベンゼ
ンであり、
あるいは、反応を、式(IV)の化合物自体の過剰量中において行うことができ
;反応温度は、約50℃〜約120℃の範囲である。
式(IV)の化合物は、既知の化合物であるか、または、当分野において既知
の方法によって既知の化合物から得ることができる。
段階d)に記載されている、Rがヒドロキシである式(I)または(IA)の
化合物の、Rがヒドロキシでない式(I)または(IA)の他の化合物への変換
は、既知の方法によって行うことができる。
従って、Rがヒドロキシである式(I)または(IA)の化合物を、Rが−O
R5[式中、R5は、前記と同意義]である式(I)または(IA)の他の化合物
へ、通常のエステル化法によって、変換することができる。エステル化反応は、
式R5OH[式中、R5は、前記と同意義]で示される適切なアルコールとの反応
によって、単離されるかまたはされないカルボン酸の反応性中間体を介して、行
うのが好ましい。この反応は、通例の溶媒、例えば、ジクロロメタン、テトラヒ
ドロフラン、トルエン中において、またはアルコール自体の過剰量の存在下
において行うことができる。反応温度は、約−20℃〜約50℃の範囲である。
カルボン酸の中間反応性誘導体は、例えば、酸ハロゲン化物、例えばクロライド
、混合無水物、例えばエトキシカルボニルまたはイソ−ブチルオキシカルボニル
無水物、あるいは、例えば、ジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド
またはカルボニルジイミダゾールとの反応によって系中で得られる好適な反応性
中間体である。エステル化反応は、式(I)または(IA)の化合物を、式R5
−X[式中、R5は前記と同意義であり、Xは、適切な脱離基、例えば、ハロゲ
ン原子、好ましくはヨウ素、または硫酸エステルである。]で示される好適なア
ルキル化剤を用いて、無機塩基、例えば、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウム
の存在下において、または、有機塩基、例えばジアザビシクロウンデセン(DB
U)の存在下において、好適な溶媒、例えばジメチルホルムアミド中において、
約0℃〜約60℃の範囲の反応温度において、処理することによっても行うこと
ができる。
さらに、Rがヒドロキシである式(I)または(IA)の化合物を、既知の方
法によって、好ましくは、単離することができるかまたはできないその中間反応
性誘導体を介して、Rが−
N(R6)2または−N(R6)OR6[式中、R6は、前記と同意義]である式(
I)または(IA)で示される対応する化合物へ、変換することができる。中間
誘導体は、活性エステル、例えば、NO2−フェニルエステルまたはN−ヒドロ
キシスクシンイミドエステル;酸ハロゲン化物、好ましくはクロライド;混合無
水物、例えば、エトキシカルボニルまたはイソ−ブチルオキシカルボニル無水物
;または、酸と、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはカルボニル−ジイミダ
ゾールとの反応によって「系中」で得られる反応性中間体であってもよい。例え
ば、ペプチドの合成に通常使用される下記の従来法によって得られる、前記に定
義された反応性中間体を、アンモニア、または適切なアミンHN(R6)2[式中
、各R6は前記と同意義である]と反応させるか、あるいはヒドロキシルアミン
または保護されたヒドロキシルアミンHN(R6)O−R7[式中、R7は、C1−
C6アルキル、ベンジル、または保護基]と反応させる;この最後の場合におい
て、R7はベンジルまたはトリアルキル−シリルであるのが好ましい。反応溶媒
は、通例の溶媒、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンで
あってもよく、またはアミン自体の過剰量であってもよく、反応温
度は、約−20℃〜約50℃の範囲である。
式(I)または(IA)の化合物の光学的塩化、および遊離化合物への塩の変
換、ならびに、段階e)に記載されるE/Z幾何異性体の混合物の単一の異性体
への分離は、従来法によって行うことができる。特に、レジオ異性体またはE/
Z幾何異性体の分離は、好適な溶媒からの分別結晶によって、あるいは、フラッ
シュカラムクロマトグラフィーまたは高圧液体クロマトグラフィーのいずれかの
クロマトグラフィーによって、行うことができる。
すでに述べたように、式(IA)の化合物は、式(I)の化合物の選択された
種類を代表するものであり、従って、式(I)の化合物が治療薬として指定され
ている全ての疾患の予防および/または治療において有効である。
従って、式(IA)の化合物は、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤と
して有用であり:特に、それらは、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻
害が必要とされる神経変性疾患の予防および/または治療に有用である。
より特には、式(IA)の化合物は、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病
、後天性免疫不全症候群(AIDS)によっ
て引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低酸素症、パーキンソン病、てん
かん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、緑内障/網膜症、脳の感染お
よび炎症の、予防および/または治療に有用である。
従って、式(I)または(IA)の化合物、あるいはその塩の、医薬的に有効
な量の投与を含んで成る方法によって、ヒトまたは動物を処置することができる
。
式(I)または(IA)の化合物の、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素
の阻害における有効性を、ラットの脳のホモジェネート、およびラットの肝臓の
ホモジェネートの両方において評価し、下記の方法によって、L−キヌレニンの
L−3−ヒドロキシ−キヌレニンへの変換を測定した。ラットの脳におけるキヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ検定
脳を、氷冷0.32Mスクロース中で均質化し、12000×gで30分間4
℃において遠心分離に掛けた。ペレットを、.32Mスクロースを用いて、遠心
分離によって3回洗浄し、pH7の20mM K−燐酸塩緩衝液中の、0.14
MKCl中に懸濁させた(緩衝液2mL中に、組織1g)。
反応混合物は、下記のものを含有した:懸濁ホモジェネート
75μl;pH7.5の50mM K−燐酸塩緩衝液、2mMMgCl2、0.
4mM NADPH、50μM L−キヌレニン(最終濃度)、および25μl
の種々の濃度の阻害剤溶液を含有する、基質溶液100μl。60分間の培養後
、200μlの1M HClO4を添加することによって、反応を停止させた。
形成されるL−3−ヒドロキシキヌレニンを、使用圧力+0.2Vにおける電量
検出を用いて、HPLCによって定量した。カラムは、10cm C18逆相(3
μm)であった。移動相は、950mlの蒸留水、20mlのアセトニトリル、
9mlのトリエチルアミン、5.9mlの燐酸、100mgのナトリウムEDT
A、および1.5gのヘプタンスルホン酸を含んで成った。流速は1mL/分で
あった。ラットの肝臓におけるキヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ検定
キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻害における、式(I)の化合物の
有効性を、下記に報告されるように、ラット肝臓のミトコンドリア抽出物におい
て、少しの改変を加えた既知の方法によって、評価した(A Radiomet
ric Assay for Kynurenine3−Hydroxylas
e Based on the Release of3
H2O during Hydroxylation of L−(3,5−3
H)Kynurenine;Joel B.Erickson,Ellen M
.Flanagan,Suzanne Russo,and John F.R
einhard.Jr.;Analytical Biochem.(1992
),205,257−262)。
キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼの検定は、ヒドロキシル化反応の間のトリ
チウム化水(tritiated water)の酵素合成に基づいた。同位体
基質(isotopicsubstrate)およびその代謝物質の、活性炭を
用いた選択吸着に続いて、放射能標識された水を定量した。
ラットの肝臓のミトコンドリア抽出物を、この検定のための酵素調製物として
使用した。
キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ活性の検定を、37℃において、30分間
で行った。合計容量100mlの反応混合物は、44mgの懸濁抽出物、pH8
.1の100mM トリス/Cl-緩衝液、10mM EDTA、100mM
KCl、0.8mM NADPH、0.025mM L−キヌレニン、0.5m
Ci L−(3,5−3H)キヌレニン(10Ci/
mmol)、および種々の濃度の阻害剤溶液10mlで構成された。培養後、1
mLの7.5%(w/v)活性炭を加えて反応を停止させ、渦を巻かせ、7分間
遠心分離にかけた。
上澄み液のアリコート500mlを、液体シンチレーション5ml中でのシン
チレーション分光分析によって計数した。
例として、下記の本発明の化合物を、前記の方法によって試験した。
(E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
(内部符号:PNU 157694);
(E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸(内部符号:PNU 157961);
(E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(内部
符号:PNU 158388);
(E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(内部符
号:PNU 158390);
(E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(内部符
号:PNU 158389);
(E)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−
2−ブテン酸(内部符号:PNU 158785);
3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸(内部符号:PNU 161213);
3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テン酸(内部符号:PNU 167535);
(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸(内部符号:PNU 161216);
(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸(内部符号:PNU 161217);
(E)−2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸(内部符号:PNU 166909);
(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキ
ソ−2−ブテン酸(内部符号:PNU158776);
(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルロロフェニル)−4−オ
キソ−2−ブテン酸(内部符号:PNU161219);
メチル−(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−
4−オキソ−ブテノエート(内部符号:PNU 158775);及び
エチル−(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−
4−オキソ−ブテノエート(内部符号:PNU 161215)。
得られた結果を、下記表1に示す。 試験された化合物は、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻害において
、有意に活性であることが見い出された。
本発明の化合物は、種々の投与形態、例えば、錠剤、カプセル、砂糖またはフ
ィルムコーティング錠剤、液体溶剤、または懸濁剤の形態において、非経口的に
、例えば、筋肉内、または静脈内注射または点滴によって、投与することができ
る。
成人への投与に好適な投与量レベルは、患者の年齢、体重、健康状態、および
投与経路に依存し;例えば、本発明の化合物の経口投与に用いられる投与量は、
1用量当たり約10mg〜約500mg、一日1回〜5回である。
本発明は、活性成分としての式(I)または(IA)の化合物を、医薬的に許
容される賦形剤(担体または稀釈剤であってもよい)と組み合わせて含んで成る
医薬組成物をも提供する。
さらに、本発明は、活性成分としての式(I)の化合物を、医薬的に許容され
る賦形剤(担体または稀釈剤であってもよい)と組み合わせて含んで成る、キヌ
レニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として使用するための、医薬組成物を提供
する。
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、通常、下記の従来の方法によって製
造され、医薬的に適切な形態で投与される。
例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、稀釈剤、例えば、ラクトース、
ブドウ糖、サッカロース、スクロース、セルロース、コーンスターチ、またはポ
テトスターチ;潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸
マグネシウムまたはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合
剤、例えば、スターチ、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;分解剤、例えば、スターチ
、アルギン酸、アルギン酸塩、またはナトリウムスターチグリコレート:気泡混
合物;着色料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリル
スルフェート;および、一般に、医薬製剤に使用される非毒性および医薬的に不
活性な物質を、含有してもよい。該医薬製剤は、既知の方法によって、例えば、
混合、粒状化、錠剤化、砂糖コーティング、またはフィルムコーティング法によ
って、製造することができる。
経口投与のための液体分散剤は、例えば、シロップ剤、乳剤、および懸濁剤で
あってもよい。
シロップ剤は、例えば、サッカロース、またはグリセリンおよび/またはマン
ニトールおよび/またはソルビトールと組み
合わせたサッカロースを、担体として、含有してもよい。
懸濁剤および乳剤は、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペク
チン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアル
コールを、担体として、含有してもよい。
筋肉内注射用の懸濁剤または溶剤は、活性化合物と共に、医薬的に許容される
担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、
プロピレングリコール、および、所望であれば、適量の塩酸リドカインを、含有
してもよい。静脈内注射または点滴用の溶剤は、例えば滅菌水を、担体として含
有してもよく、あるいは、それらが滅菌、水性、等張性の生理食塩水溶剤の形態
であるのが好ましい。
坐剤は、活性化合物と共に、医薬的に許容される担体、例えば、ココアバター
、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面
活性剤、またはレシチンを含有してもよい。
下記実施例は、本発明を例示するものであるが、限定するものではない。
実施例1(E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸 (PNU 1157961)
無水塩化アルミニウム(32.6g、0.245mol)を、室温において、
乾燥窒素雰囲気下に、乾燥ジクロロメタン中の無水マレイン酸(9.6g、0.
098mol)およびジフルオロベンゼン(20mL、0.195mol)の溶
液に、加えた。反応混合物を4時間加熱還流し;次に、冷却し、氷/37%塩酸
(100g/100mL)を用いて反応を静めた。ジクロロメタン(200mL
)を加え、相を分離し、水性層をジクロロメタン(50mL)で2回抽出し、集
めた有機抽出物を、2N HCl、次にブラインで洗浄した。得られる溶液を乾
燥し(Na2SO4)、真空中で蒸発させて、粗生成物を濃黄色油状物質として得
、これをジエチルエーテル(60mL)中に溶解した。有機相を炭酸水素ナトリ
ウム飽和溶液(150mL)で抽出し、集めた水性層をジエチルエーテルで洗浄
し、0℃で冷却し、次に、アルカリ水性溶液に、37%塩酸を、pHが2になる
まで攪拌下に加えた。得られる懸濁液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し
、集めた有機抽出物をブラインで洗浄
し、乾燥し(Na2SO4)、真空中で蒸発させて、黄色固形物(11g)を得た
。トルエンからの結晶化によって、純粋な標記化合物(7.6g、40%)を得
た、融点107℃〜108℃。C10H6F2O3の計算値:C 56.61;H
2.85実測値:57.85;3.07
MS(EI)m/z:212.0(M)+.;141.1。1
H−NMR(d6−DMSO、200MHz)ppm:6.68(1H,d,J
=15.4Hz);7.60(1H,t);7.78(1H,d);7.85(
1H,d,J=15.4Hz);8.05(2H,m);13.20(1H,ブ
ロードs)。
同様に、下記の化合物を製造することができる:
(E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
(RN:80937−20−8)(PNU157694):
融点146〜47℃(lit.:141〜44℃)、
C10H6Cl2O3の計算値:C 48.98;H 2.45;Cl 28.98
実測値:48.56;2.57;28.48
MS(EI)m/z:244.0(M)+.;173.0(C6H3Cl2CO)+。1
H−NMR(d6−DMSO、200MHz)ppm: 6.72(1H,d,
J=15.4Hz);7.76(1H,d);7.80(1H,d,J=15.
4Hz);7.95(1H,dd);8.18(1H,d);13.10(1H
,ブロードs);
(E)−4−(3’,4’−ジブロモフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
(E)−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸;
(E)−4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸;および、
2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸。
実施例2(E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(PNU 158390)
3’−クロロアセトフェノン(15mL、97mmol)お
よびグリオキシル酸一水化物(9g、97mmol)の攪拌混合物を、130℃
において、減圧下に(1.5mmHg)、8時間加熱した。この間に、減圧を維
持して、反応の間に生成される水を除去した。冷却後、粗反応生成物を10%炭
酸カリウム水溶液(100mL)に取り、得られる溶液をジエチルエーテルで洗
浄し(3×30mL)、アルカリ水性層を0℃で冷却し、次に6N HClを用
いて慎重に酸性にした。得られる懸濁液を酢酸エチル(3×50mL)を用いて
抽出し、集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒
を真空中で濃縮して、黄色固形物(8g)を得、これをクロマトグラフィーにか
けて(SiO2;CH2Cl2/MeOH98:2)、純粋な酸(6g、30%)
を、淡黄色固形物として得た、融点158〜59℃(ジイソプロピルエーテル)
。
C10H7ClO3の計算値:C 57.00;H 3.35;Cl 16.86
実測値:56.93;3.40;17.01
MS(FD)m/z:210(Mf+.)、1
H−NMR(d6−DMSO,200MHz)ppm:6.68(1H,d,J
=15.6Hz);7.50−1.70
(1H,m);7.84(1H,d,J=15.6Hz);7.87−8.10
(2H,m);13.20(1H,ブロードs)。
同様に、適切なアセトフェノンを用いて、下記の化合物を製造することができ
る:
(E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(PNU
158389):
融点178−79℃、
C10H7NO5の計算値:C 54.29;H 3.19;N 6.33
実測値:53.46;3.26;6.20
MS(FD)m/z:221(M+.)1
H−NMR(d6−DMSO、200MHz)ppm:6.66(1H,d,J
=15.5Hz);7.83(1H,m);7.85(1H,d,J=15.5
Hz);8.48(2H,dt);8.63(1H,s);
(E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸(PN
U 158388) :
融点110℃〜111℃(ジエチルエーテル/ヘキサン)、
C10H7FO3の計算値:C 61.85;H 3.64
実測値:61.13;3.72
MS(FD)m/z:194(M)+. 1
H−NMR(d6−DMSO、200MHz)ppm:6.78(1H,d,J
=15.6Hz);7.40−7.70(3H,m);7.83(1H,d,J
=15.5Hz);7.78−7.90(1H,m);13.10(1H,ブロ
ードs);および、
(E)−4−(3’−フルオロ−4’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸。
同様に、適切なケトンを使用して、下記の化合物を製造することができる:
3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸(PNU 161213):3,4−ジクロロプロピオフェノンから収率6
5%で製造される、無色板状晶、融点143℃〜144℃(トルエン)、
C11H8Cl2O3の計算値:C 50.99;H 3.11;Cl 27.37
実測値:51.26;3.18;26.93
MS、EI(m/z):258.0(M)+.;223.0(M−Cl)+;20
5.0(M−Cl−H2O)+;172.9(C6H3Cl2CO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:2.20(3H,s)
;6.08(1H,s);7.63(1H,dd);7.75(1H,d);7
.09(1H,d);3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−
4−オキソ−2−ブテン酸(PNU 167534);1−(3’,4’−ジク
ロロフェニル)−2−フェニル−エタノン(融点80℃〜81℃、ヘキサン)か
ら、収率40%で製造される、淡黄色針状晶、融点101℃〜103℃(ジエチ
ルエーテル/ヘキサン)、
C16H10Cl2O3の計算値:C 59.86;H 3.14;Cl 22.09
実測値:60.21;3.18;21.59;
および、
3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テン酸(PNU 167535):1−(3’,4’−ジクロロフェニル)−3
−フェニル−プロパノン(無色
の油)から、収率46%で製造される、淡黄色針状晶、融点154℃〜156℃
(ジイソプロピルエーテル/ヘキサン)、
C17H12Cl2O3の計算値:C 60.95;H 3.61;Cl 21.17
実測値:61.07;3.78;20.96。
同様に、グリオキシル酸の代わりにピルビン酸を用いて、下記の化合物を得る
ことができる:
2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸(PNU 158785):無色柱状晶、融点153℃〜154℃(ジイソ
プロピルエーテル/ヘキサン)、
C11H8Cl2O3の計算値:C 50.99;H 3.11;Cl 27.37
実測値:51.16;3.26;26.82
MS、EI(m/z):260.(M)+.;223.0(M−Cl・)+;21
3.0(M−COOH)+;205.0(M−Cl・−H2O)+;173.0(
C6H3Cl2CO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:2.00(3H,s)
;7.60(1H,s);7.56(1
H,d);7.65(1H,dd);8.04(1H,d);13.20(1H
,ブロードs)。
実施例3メチル2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル−4−オキソ−2 −ブテノエート(PNU 158755)
乾燥ベンゼン(10mL)中の、新たに製造したナトリウムエチラート(82
0mg、12mmol)の充分に攪拌した懸濁液に、乾燥ベンゼン(20mL)
中に溶解した3,4−ジクロロアセトフェノン(1.89g、10mmol)お
よび蓚酸ジメチル(1.18g、10mmol)を、+5℃における冷却下、お
よび乾燥窒素雰囲気下に、滴下した。得られる暗赤色懸濁液を、室温で4時間攪
拌した。次に、反応混合物を、氷/2N HCl(1:1 w/w)に注ぎ、5
分間攪拌し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、
乾燥し、真空中で濃縮して、淡黄色固形物を得、これをアセトニトリルから再結
晶して、純粋なエステル(2.4g、86%)を得た、無色針状晶、融点122
℃〜123℃。
C11H8Cl2O4の計算値:C 48.03;H 2.93;Cl 25.78
、
実測値:48.11;3.06;26.12、
MS、EI(m/z):274.0(M)+.;215.0(M−COOCH3)+
;173.0(C6H3Cl2CO)+、1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:3.9(3H,s);
7.09(1H,s);7.79(1H,d);7.98(dd,1H);8.
22(1H,d)。
同様に、蓚酸ジエチルおよび適切なアセトフェノンから出発して、下記の化合
物を製造することができる:
エチル2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ
−2−ブテノエート(PNU 161215):無色針状晶、融点59℃〜61
℃、
C12H10Cl2O4の計算値:C 49.85;H 3.49;Cl 24.53
、
実測値:49.85;3.48;24.59、
MS、EI(m/z):288.0(M)+.;215.0(M−COOCH3)+
;173.0(C6H3Cl2CO)+、1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:1.23(3H,t)
;4.28(2H,q);7.09(1H,s);7.79(1H,d);7.
98(dd,1H);
8.22(1H,d);
エチル2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テノエート:無色針状晶、融点57℃〜58℃、
C12H10ClO4の計算値:C 56.63;H 4.36;Cl 13.95
実測値:56.65;4.41;14.00 エチル2−ヒドロキシ−4−(4
’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート:無色針状晶、融点59
℃〜61℃、
C12H10ClO4の計算値:C 56.63;H 4.36;Cl 13.95
実測値:56.70;4.44;13.95; エチル2−ヒドロキシ−4−(
3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート:無色針状晶、融点
56℃〜57℃、
C12H10FO4の計算値:C 60.55;H 4.66、実測値:60.5
2;4.70、
MS、EI(m/z):238.0(M)+.;165(M
−COOCH2CH3)+;123(C6H3FCO)+1H−NMR(200MHz
;d6−DMSO)、ppm:
1.23(3H,t);4.32(2H,q);7.09(1H,s);7.4
3−7.61(2H,m);7.80−7.93(2H,m);および
エチル2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキ
ソ−2−ブテノエート:無色針状晶、融点69℃〜70℃、
C12H10FO4の計算値:C 56.30;H 3.94実測値:56.30;
3.981
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:1.23(3H,t)
;4.38(2H,q);7.11(1H,s);7.50−7.68(1H,
m);7.91−8.02(1H,m);8.08−8.18(1H,m)。
実施例42−ヒドロキシ−4−3’4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン 酸(PNU 158776)
95%エタノール(120mL)中のメチル2−ヒドロキシ−4−(3’,4
’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート(1g、3.6mmo
l)の氷冷溶液に、1N水酸化ナトリウム(7.2mL、7.2mmol)を攪
拌下に加
え、得られる混合物を、0℃で2時間、および室温でさらに3時間攪拌した。溶
媒のほとんどを減圧下に除去し、残留物を2N HClで取り、得られる懸濁液
を5分間攪拌し、次に濾過した。固形物を水で洗浄し、乾燥し、メタノールから
再結晶して、純粋な酸を無色柱状晶(845mg、90%)として得た、融点1
80℃〜181℃。
C10H6Cl2O4の計算値:C 46.01;H 2.32;Cl 27.16
実測値:46.13;2.43;27.60
MS、EI(m/z):260.0(M)+.;215.0(M−COOCH3)+
;173.0(C6H3Cl2CO)+、1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:7.09(1H,s)
;7.80(1H,d);8.00(dd,1H);8.27(1H,d)。
同様に、下記の化合物を、対応するエチルエステルから得ることができる:
2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
(PNU 161216):無色固形物、融点169℃〜170℃
C10H7ClO4の計算値:C 53.00;H 3.11;Cl 15.64
実測値:52.63;3.65;15.62
MS、EI(m/z):226(M)+.;181(M−COOH)+;139(
C6H4ClCO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:7.09(1H,S)
;7.60(1H,t);7.88(1H,m);8.02 (2H,m);
2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
(PNU 166909):無色針状晶、融点169℃〜170℃、
C10H7ClO4の計算値:C 53.02;H 3.11;Cl 15.67
実測値:52.42;3.13;14.87
MS、EI(m/z):226(M)+.;181(M−COOH)+;139(
C6H4CICO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:6.50(1H,s)
;7.50(2H,d);7.88(2H,dm);
2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸(PNU 161217):無色柱状晶、融点134℃〜135℃、
C10H7FO4の計算値:C 57.15;H 3.36
実測値:57.04;3.66
MS、EI(m/z):210.0(M)+.;165.0(M−COOH)+;
123(C6H4FCO)+、1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:7.85(1H,s)
;7.45−7.85(4H,m);および、
2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸(PNU 161219):無色固形物、融点163℃〜166℃、
C10H6F2O4の計算値:C 52.64;H 2.65実測値:52.68;
2.82
MS、EI(m/z):228.0(M)+.;183.0(M−COOH)+;
141(C6H4F2CO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:7.55(1H,s)
;7.50−7.62(1H,m);
7.90−8.0(1H,m);8.04−8.18(1H,m)。
実施例5(E)−メチル−4−(3’4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ ノエートPNU 158777)
乾燥DMF(80mL)中の(E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)
−4−オキソ−2−ブテン酸(2.4g、0.01mol)の氷冷溶液に、DB
U(1.5mL、0.01)を、攪拌しつつ、窒素雰囲気下に滴下した。得られ
る攪拌溶液に、乾燥DMF(20mL)中に溶解したヨードメタン(3.1mL
、0.05mol)を20分間で滴下した。得られる溶液を、0℃で1時間、お
よび室温で3時間攪拌した。得られる反応混合物を攪拌下に氷水に注ぎ、沈殿物
を濾過し、水、次にヘキサンで洗浄した。ジイソプロピルエーテル/ヘキサンか
らの再結晶によって、純粋なエステル(2.2g,86%)を得た、淡黄色針状
晶、融点108℃〜109℃。
C11H8Cl2O3の計算値:C50.99;H 3.11;Cl 27.37
実測値:51.13;3.15;27.39
MS、EI(m/z):258.0(M)+.;227.0(M−OCH3)+;1
73.0(C6H3Cl2CO)+ 1
H−NMR(200MHz;d6−DMSO)、ppm:3.78(3H,s)
:6.78(1H,d);7.83(1H,d);7.95(1H,d);8.
00(dd,1H);8.23(1H,d)。
実施例6
それぞれ0.23gの重さであり、活性物質50mgを含有するカプセルを、
下記のように製造することができる:500個のカプセルの組成:
(E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)
−4−オキソ−2−ブテン酸 25g
ラクトース 80g
コーンスターチ 5g
ステアリン酸マグネシウム 5g
この配合物を、各カプセルの重さが0.23gの、ツーピースの2個の硬質ゼ
ラチンカプセル中に入れることができる。
実施例750mg/mlの筋肉注射
50gの(E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−
4−オキソ−2−ブテン酸を、滅菌プロピレングリコール(1000ml)中に
溶解させ、1〜5mlのアンプルに封入して、注射可能な医薬組成物を製造する
ことができる。
図1の凡例:キヌレニン経路
IDO:インドールアミンオキシゲナーゼ
KYN:キヌレニン
KYN−3−OHase:キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ
KYN−3−OH:3−ヒドロキシキヌレニン
KAT:キヌレニンアミノ転移酵素
3−OHAA:3−ヒドロキシアントラニル酸
KYNase:キヌレニナーゼ
3−HAO:3−ヒドロキシアントラニル酸ジオキシゲナーゼ
KYNA:キヌレン酸
QUIN:キノリン酸
TDO:トリプトファンジオキシゲナーゼ
【手続補正書】特許法第184条の4第4項
【提出日】平成9年4月7日(1997.4.7)
【補正内容】
請求の範囲
1. 治療によってヒトまたは動物の体を処置する方法に使用するための、単一
の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(I):
{式中:
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6
アルキル;フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキシ;C1−C6アルキルチオ;
SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、C2
−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];SO2N(R6)2[式中、各
R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ア
ルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;
Rは、ヒドロキシ;−OR5[式中、R5は前記と同意義];
−N(R6)2または−N(R6)OR6[式中、R6は前記と同意義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである}
で示される、4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医
薬的に許容される塩であって;
上記式において、同時に、X、Y、およびZの全てがC1−C6アルキルである
か、またはX、Y、およびZの2つがC1−C6アルキルであり、残りの1つがハ
ロゲンまたはC1−C6アルコキシであり、Rがヒドロキシであるとき、R1およ
びR2の少なくとも1つが水素以外のものであり;および、
上記式において、同時に、RがヒドロキシまたはC1−C6アルコキシであり、
Zが水素であり、XおよびYがどちらも水素またはC1−C3アルコキシであるか
、またはXが水素であり、Yがハロゲンまたはニトロであるとき、R1およびR2
の少なくとも1つが水素以外のものであり;および、
上記式において、同時に、Xが水素であり、Yが水素、ハロゲン、またはフェ
ニルであり、Zが水素、C1−C6アルキル
またはC1−C6アルコキシであり、R2が水素であり、RがヒドロキシまたはC1
−C6アルコキシであるとき、R1はメチル以外のものである;
上記4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医薬的に許容
される塩。
2. キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として使用するための、請求項
1に記載の化合物。
3. キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻害が必要とされる神経変性疾
患の予防および/または治療に使用するための、請求項1に記載の化合物。
4. 神経変性疾患が、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、後天性免疫不
全症候群(AIDS)によって引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低酸
素症、パーキンソン病、てんかん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、
緑内障/網膜症、脳の感染および炎症を含む、請求項3に記載の化合物。
5. 活性物質としての請求項1に定義される式(I)の化合物、またはその医
薬的に許容される塩、ならびに医薬的に許容される担体および/または稀釈剤を
含んで成る医薬組成物。
6. 活性物質としての請求項1に定義される式(I)の化合
物、またはその医薬的に許容される塩、ならびに医薬的に許容される担体および
/または稀釈剤を含んで成る、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として
使用するための医薬組成物。
7. 単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(I): {式中:
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6
アルキル;フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキシ;C1−C6アルキルチオ;
SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、C2
−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];SO2N(R6)2[式中、各
R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ア
ルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;
Rは、ヒドロキシ;−OR5[式中、R5は前記と同意義];
−N(R6)2または−N(R6)OR6[式中、R6は前記と同意義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである}
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩の、キヌレニン−3−ヒ
ドロキシラーゼ阻害剤として使用するための薬剤の製造における使用。
8. 薬剤が、キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻害を必要とする神経
変性疾患の予防および/または治療に使用するためのものである、請求項7に記
載の使用。
9. 神経変性疾患が、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、後天性免疫不
全症候群(AIDS)によって引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低酸
素症、パーキンソン病、てんかん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、
緑内障/網膜症、脳の感染および炎症を含む、請求項8に記載の使用。
10. 単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(IA): {式中:
Xは、ハロゲン;ニトロ;SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキ
ル、ベンジル、フェニル、C2−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];
またはSO2N(R6)2[式中、各R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、
ベンジル、フェニル、またはC2−C4アルケニル]であり;
Yは、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6アルキル:C1−C6アルコキシ;C1
−C6アルキルチオ;SOR5、SO2R5[式中、R5は前記と同意義];または
SO2N(R6)2[式中、R6は前記と同意義]であり;
Rは、ヒドロキシ;OR5[式中、R5は前記と同意義];N(R6)2またはN
(R6)OR6[式中、R6は前記と同意義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニ
ル、またはベンジルである。}
で示される、4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医薬
的に許容される塩であって;
但し、
(i) YおよびR2がどちらも水素であり、R1がメチルであるとき、Xはニ
トロでない;
(ii) Xがハロゲンであり、フェニル残基の4’の位置にあるYがC1−
C4アルキルであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(iii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるYが、どちらも塩素
、臭素、またはフッ素であるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(iv) Xが塩素であり、フェニル残基の6’の位置にあるYがフェニル、
メチル、またはメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(v) Xが塩素であり、フェニル残基の4’の位置にあるYがフェニルまた
はメトキシであるとき、R1およびR2はどちらも水素でない;
(vi) Xが臭素であり、Yがフェニル残基の4’の位置
にあるとき、Y、R1、およびR2は同時に水素でない;および
(vii) X、およびフェニル残基の4’の位置にあるYが、どちらも塩素
であるとき、R1はベンジルでない;
(viii) 同時に、Xがハロゲンまたはフェニルであり、Yが水素、C1
−C6アルキル、またはC1−C6アルコキシであり、R2が水素であり、Rがヒド
ロキシまたはC1−C6アルコキシであるとき、R1はメチル以外のものである;
ことを条件とする;
上記4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医薬的に許容
される塩。
11. 式中:
Xは、ハロゲンまたはニトロであり;
Yは、水素、ハロゲン、またはC1−C6アルコキシであり;
Rは、ヒドロキシまたは−OR5[式中、R5はC1−C6アルキル]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである;
請求項10に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
12. 単一の異性体としての、または異性体の混合物としての、あるいは医薬
的に許容される塩としての、下記化合物: 4−(3’−フルオロフェニル)−
4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸;
2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸;
3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテ
ン酸;
3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テン酸;
3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブ
テン酸;
2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
;
2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン
酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−
ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2
−ブテン酸;
2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキ
ソ−2−ブテン酸;
から選択される化合物。
13. 活性物質としての請求項10に定義される化合物、またはその医薬的に
許容される塩、ならびに医薬的に許容される担体および/または稀釈剤を含んで
成る医薬組成物。
14. 治療によってヒトまたは動物の体を処置する方法において使用するため
の、請求項10に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
15. キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として使用するための、請求
項10に記載の化合物、またはその医薬的に
許容される塩。
16. キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ酵素の阻害が必要とされる神経変性
疾患の予防および/または治療に使用するための、請求項10に記載の化合物、
またはその医薬的に許容される塩。
17. 神経変性疾患が、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、後天性免疫
不全症候群(AIDS)によって引き起こされる痴呆、梗塞痴呆、脳虚血、脳低
酸素症、パーキンソン病、てんかん、頭部および脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症
、緑内障/網膜症、脳の感染および炎症を含む、請求項16に記載の化合物、ま
たはその医薬的に許容される塩。
18. キヌレニン−3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を必要とする患者の治療方法
であって、請求項7および10にそれぞれ定義される式(I)または式(IA)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を該患者に投与することを
含んで成る方法。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成9年7月28日(1997.7.28)
【補正内容】
請求の範囲
1. 治療によってヒトまたは動物の体を処置する方法に使用するための、単一
の異性体としての、または異性体の混合物としての、式(I):
{式中:
X、Y、およびZは、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;ニトロ;C1−C6
アルキル:フェニル;ベンジル;C1−C6アルコキシ;C1−C6アルキルチオ;
SOR5、SO2R5[式中、R5は、C1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、C2
−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニル];SO2N(R6)2[式中、各
R6は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4ア
ルキニル、フェニル、またはベンジル]であり;
Rは、ヒドロキシ;−OR5[式中、R5は前記と同意義];
−N(R6)2または−N(R6)OR6[式中、R6は前記と同意義]であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6
アルコキシ、C1−C6アルキル、フェニル、またはベンジルである}
で示される、4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医薬
的に許容される塩であって;
上記式において、同時に、X、Y、およびZの全てがC1−C6アルキルである
か、またはX、Y、およびZの2つがC1−C6アルキルであり、残りの1つがハ
ロゲンまたはC1−C6アルコキシであり、Rがヒドロキシであるとき、R1およ
びR2の少なくとも1つが水素以外のものであり;および、
上記式において、同時に、RかヒドロキシまたはC1−C6アルコキシであり、
Zが水素であり、XおよびYがどちらも水素、ハロゲン、またはC1−C3アルコ
キシであるか、またはXが水素であり、Yがハロケンまたはニトロであるとき、
R1およびR2の少なくとも1つが水素以外のものであり;および、
上記式において、同時に、Xが水素であり、Yが水素、ハロゲン、またはフェ
ニルであり、Zが水素、C1−C6アルキルま
たはC1−C6アルコキシであり、R2が水素であり、RがヒドロキシまたはC1−
C6アルコキシであるとき、R1はメチル以外のものである;
上記4−フェニル−4−オキソ−2−ブテン酸化合物、またはその医薬的に許容
される塩。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 31/192 A61K 31/19 602
C07C 59/205 C07C 59/205
59/21 59/21
59/215 59/215
59/88 59/88
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AU,BB,BG,BR
,BY,CA,CN,CZ,EE,GE,HU,IL,
IS,JP,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,L
V,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO
,RU,SG,SI,SK,TR,TT,UA,US,
UZ,VN
(72)発明者 スペチアーレ,カルメラ
イタリー国、イ−20014・ネルビアノ、ビ
ア・ジヨバンニ・ビジエシモ・テルゾ、21
(72)発明者 バラシ,マリオ
イタリー国、イ−20146・ミラノ、ビア・
ジヤンベリーノ、80