【発明の詳細な説明】
時計/トランスポンダチップを有する電子時計
本発明は、ケースと、このケース内に収容された支持体により支持された時間
表示装置と、同じくこの支持体により支持され、前記時間表示装置を制御する時
計チップと、前記ケース内に収容されたトランスポンダチップと、同じく前記ケ
ース内に収容され、前記トランスポンダチップに電気接続されているトランスポ
ンダコイルであって、このトランスポンダコイルを介して前記トランスポンダチ
ップが少なくとも1つのトランスポンダ通信装置と通信しうるようにする当該ト
ランスポンダコイルとを有する電子時計に関するものである。
上述した種類の電子時計としては、既知のように、種々のものが知られている
。これら既知の電子時計のあらゆる種類のものでは、時計機能を実現する手段と
、トランスポンダ機能を実現する手段とが互いに少なくとも殆ど独立して設けら
れている。既知の時計は特に、個別の時計チップと、個別のトランスポンダチッ
プとを有しており、この構成は比較的高価であるとともに問題ともなる。その理
由は、時計チップとトランスポンダチップとの間に必要となる導電接続体も別々
に設ける必要があり、このことは信頼性を高める点で好ましくないためである。
本発明の目的は、頭書に記載した種類の時計の構成を改善することにある。こ
の目的のために、本発明によれば、頭書に記載した種類の電子時計において、前
記トランスポンダチップが、前記時計チップと同様に支持体により支持されてお
り、これらトランスポンダチップ及び時計チップが、支持体に連結された共通基
板上に形成されていることを特徴とする。この本発明によれば、このような電子
時計の電子回路の、ほぼ全体の構成を、特に廉価で、信頼的で、コンパクトで、
空間節約型にすることができる。更に、時計チップとトランスポンダチップとの
間には実質上いかなる所望の本数の導電接続体を設けることができ、これをチッ
プで内部的に容易に実現することができ、これにより時計機能とトランスポンダ
通信により得られるデータ機能とを簡単に組み合わせることができ、従って、こ
のような時計の、これまで知られていない又は達成できていない多数の可能な機
能を実現できる。
本発明による電子時計では、トランスポンダチップに電気接続されているトラ
ンスポンダコイルが支持体に連結されているようにするのが有利であるというこ
とを確かめた。このことは、構成をコンパクトにするのにも有利である。更に、
このような構成は、トランスポンダチップとトランスポンダコイルとの間の導電
接続を簡単に実現させたり、信頼的にする点で有利である。
更に、前記支持体が文字盤を以って構成されているようにするのが有利である
ことも確かめた。
本発明の上述した特徴及びその他の特徴は、例示として以下に説明する2つの
実施例から明らかになるであろう。
以下、図面を参照して本発明を2つの実施例につき詳細に説明するも、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は本発明の第一実施例による時計の線図的断面図であり、この時計は時間
表示装置に対する支持体を有し、この支持体は文字盤より成り、時計の外部から
見ることのできないこの文字盤の面が、時計チップとトランスポンダチップとを
有する基板を具えている。
図2は本発明の第二実施例による時計を図一と同様にして示し、この時計は、
液晶ディスプレイとこの液晶ディスプレイに対するドライバとを有する時間表示
装置に対する支持体を具え、この支持体は文字盤より成り、時計の外部から見る
ことのできないこの文字盤の面が、時計チップとトランスポンダチップとを有す
る基板を具えている。
図1は腕時計の形態の電子時計1を示す。この電子時計1はケース2を有し、
このケースは基本的にリング部3と、不浸透性、好ましくは水密性として(図示
せず)リング部分3に連結され、透明材料よりなる上側部4と、不浸透性、好ま
しくは水密性としてリング部分3に連結され、導電性材料、好ましくは金属より
成るほぼ皿状の底部5とを有する。リング部3には時計バンドTが取り付けられ
ている。ケース2は時間表示装置6を構成する時計仕掛け機構を収容する。時計
仕掛け機構6より成る時間表示装置6は一対の針7を有し、これらの双方の針8
及び9は、軸として線図的に示す駆動手段10により駆動しうる。これらの2本
の針は図1に線図的にのみ示す時間表示装置6の表示手段11と共働する。表示
手段11は例えば、既知のように、付加的な銘刻した字号を有する円形の分目盛
りよりなっている。この表示手段11は支持体12上に装着されており、この支
持体はこれをリング部分3内にスナップ係合させることによりケース2内に収容
される。支持体12はいわゆる文字盤を構成する。支持体12は図示していない
方法で時間表示装置6をも有し、駆動手段10が支持体12を貫通する。
時計1は更にケース2内に収容した時計チップ13を有し、この時計チップは
時間表示装置を制御する作用をする。
時計1は更にケース2内に収容したトランスポンダチップ14を有する。更に
、同様にケース2内に収容されたトランスポンダコイル15が設けられており、
このトランスポンダコイルはトランスポンダチップ14に電気的に接続され、こ
のトランスポンダコイルを介してトランスポンダチップが少なくとも1つのトラ
ンスポンダ通信装置と通信しうる。
図1に示すような時計1では、指示手段11に対する支持体12は少なくとも
部分的に、しかし好ましくは本例の場合のように完全にプリント回路板として構
成するのが有利であり、トランスポンダコイル15は本質的に支持体12上に直
接形成された導体細条16を持って構成されている。トランスポンダコイル15
及びその導体細条16に関しては、図面を明瞭にする為に、図面の断面の領域に
配置されたトランスポンダコイル15及びその導体細条16の部分のみを図1に
図示しており、図面の断面の領域以外に配置されたトランスポンダコイル15及
びその導体細条16の部分は図1に図示していないことに注意すべきである。
トランスポンダコイル15に関しては、図1に示す時計1内のこのトランスポ
ンダ15を、スクリーン印刷により支持体12に形成した導体細条で形成するこ
とに注意すべきである。本例の場合、トランスポンダコイル15を、低部5に対
抗する支持体12の面上に配置し、このトランスポンダコイル15が時計1の外
部から見えないようにする。
図1に示す時計1内の支持体12はトランスポンダコイル15以外にトランス
ポンダチップ14をも支持する。このトランスポンダチップ14は、図1に線図
的にのみ示す導電性接続体17を介してトランスポンダコイル15に電気接続さ
れている。
図1に示す時計1内の支持体12はトランスポンダコイル15及びトランスポ
ンダチップ14に加えて、時間表示装置6及び時計チップ13をも支持する。こ
の時計チップ13は他の導電性接続体18を経て時間表示装置6に電気接続され
ている。
図1に示す時計1では、トランスポンダチップ14と時計チップ13とが図1
に線図的に示すように共通基板19上に特に有利に実現されている。基板19は
支持体12に連結されているため、トランスポンダチップ14と時計チップ13
との双方が支持体12により支持される。従って、トランスポンダチップ14と
時計チップ13との双方が、図示していない方法で導電性接続体17及び18に
電気接続される。基板19とこの基板によって支持された2つのチップ13及び
14とが相俟ってドーム状の保護用カバー内に収容されてこれらが保護されてい
る。
時計1のケース2はバッテリ21を収容することに注意すべきである。バッテ
リ21のハウジング22は、ホルダ23内に緊締され、このホルダ23は、当該
ホルダに固着された装着用ブラケット24により底部5に機械的且つ電気的に接
続されている。バッテリ21は時間表示装置6、トランスポンダチップ14及び
時計チップ13に電力を供給する作用をし、これらには給電導体細条27を介し
て図示していない方法で電圧を供給しうる。
図2は他の時計1を示す。この時計1は時間表示装置6を有し、この時間表示
装置の表示手段は液晶表示装置28を以って構成されている。しばしばLCDと
称されるこの液晶表示装置28は、しばしばLCDドライバと称される電子制御
装置29に接続されている。LCD28及びLCDドライバ29は図示していな
い方法で支持体12に連結されており、この支持体はプリント回路板の形態をし
ている。制御装置29は導電性接続体30を介して時計チップ13に接続されて
いる。図2に示す時計1でも、時計チップ13とトランスポンダチップ14とが
、支持体12に連結されている1つの共通基板19上に形成されている。トラン
スポンダチップ14は、支持体12を貫通する導電性接続体31を介してトラン
スポンダコイル15に電気接続されている。本例の場合、トランスポンダこいる
1
5は、エッチング処理により支持体12上に形成した導体細条16を以って構成
する。トランスポンダコイル15、すなわちその導体細条16はケース2の透明
上側部4に面する支持体12の面上に配置されている。従って、トランスポンダ
コイル15は上側部4を通して見ることができ、この時計1を見る人はこの時計
がトランスポンダ通信機能を有する時計であることを確認し得る。更に、トラン
スポンダコイル15は模様の特徴として用いうるようになる。更に、このように
することにより、低部5に面する支持体12の面側に、例えば大型の集積回路を
収容するためのより大きな空間をもたらす。
図1及び2に示す2種類の時計1では、これらのトランスポンダコイル15が
、極めて廉価に製造できるとともに、極めて正確に製造できその結果としてこれ
らのトランスポンダコイル15の特性が極めて狭い許容範囲内に収まるという利
点をも有するということが簡単に達成された。更に、トランスポンダチップ14
及び時計チップ13が共通基板上に形成されており、すなわち単一チップ構造を
成しているということは極めて有利なことである。その理由は、このようにする
と、チップを2つ別々に設ける必要がなく、従ってこれら別々のチップ間にいか
なるチップ外接続を行う必要がないためである。トランスポンダチップ14及び
時計チップ13が共通基板上に形成されているということは、共通基板19上の
トランスポンダチップ14及び時計チップ13間に特にいかなる本数のチップ上
導電性接続体をも設けることができ、その結果として時計機能とトランスポンダ
通信により可能となるデータ機能とを簡単に組み合わせることができ、従ってこ
のような時計のこれまで知られていない又は達成できていない多数の可能な機能
が実現され、このような時計に対する機能をできるだけ多く達成できるという点
で特に有利である。
本発明は上述した2例に限定されるものではない。例えば、トランスポンダコ
イルは支持体の両面上の導体細条を有するようにしうる。