JP2000509079A - 自由流動性脂肪組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 長鎖多不飽和脂肪酸を含む、高レベルのトリグリセリドを有し、自由流動性脂肪組成物は、(1)９０：１０乃至１０：９０の重量比の脂肪(Ａ)及び(Ｂ)のブレンド、(2)０乃至９５重量％の充填物質を含み、脂肪Ａは、長鎖多不飽和脂肪酸を０.５重量％以上含む脂肪酸であり、脂肪Ｂはハード脂肪であり、組成物は、［脂肪(Ａ)又はブレンド＋組成物中の充填剤（％）のＮ₃₀（不安定）］≧７０という要件を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】 自由流動性脂肪組成物 自由流動性脂肪組成物は、市場において入手可能である。これらの市場で入手 可能な組成物の中には、１０乃至２０重量％の天然魚油が存在するものがある。 これらの組成物に自由流動性を与える、すなわち、これらをさらさら流れるよう にするためには、澱粉又は砂糖のような支持物質も又存在させなければならず、 その場合にもこれらの組成物が魚油を２５重量％を越えて含むことはできない。 従って、これらの組成物は、さらさらしているという利点を有する一方、例えば 、食品中に使用することによって、制限された量のみの魚油が添加されるという 不利な点を有するため、利用が制限される。従って、魚油又は共役リノール酸（ ＝ＣＬＡ'ｓ）のような多不飽和トリグリセリドを高濃度でも使用する場合に添 加することが可能な、自由流動性脂肪組成物に対する非常に高い要求が存在する 。 国際公開第94/00146号では、海産物油が固体脂の結晶構造の一部となるような 方法で、海産物油と固体脂をブレンドする。このブレンドは、液状で、性質の特 定されない多孔性ペレットヘ適用され、続いて脂肪を冷却し、結晶化する。固体 脂の例は、テンパリングされた菜種油、モノグリセリド、ジグリセリド又はこれ らの混合物である。生成物は、水性生物の飼料として使用される。 特開平7-133491号から、液性油溶解性物質をシリカゲルへ添加し、それを凝固 させることによって、固体物質を含む油溶性物質を製造する方法が公知である。 液性油溶解物質は、多不飽和脂肪酸組成物を含む。この開示の組成物は、比較的 多量の無機充填物質（＝シリカゲル）が組成物中に存在しなければならず、その ため食品においてはあまり有用ではないという不利な点を有する。さらに、本発 明者らは、さらさらしている組成物中に組み込むことが可能な魚油の量が制限さ れていることに気付いた。 特開平3-269096号は、魚油又は硬化魚油のような油を含有する流動性組成物 が、２０乃至７０重量％の穀粉、特に大豆粉とブレンドされる場合に得られるこ とを開示している。従って、これらの製品も又、充填物質の存在を必要としてい る。このような充填剤の存在は、食品には必ずしも好まれない。すなわち、この 刊行物は、さらさらしていて、比較的多量の魚油を含むが、充填物質を含まない 組成物を与える解決法を示していない。又、欧州特許第425,213号には、澱粉又 はカゼイネート（caseinate）のような充填物質の存在を必要とする自由流動性 組成物が開示されている。 本発明者らは、本発明においてハード脂肪が存在すると、多量の多不飽和脂肪 酸を含む組成物が、自由流動性ままであって、かつ充填剤の存在を必要としない ということが分かった。充填物質は存在してもよいが、その場合にはハード脂肪 も存在しなければならないことが理解されるべきである。 従って、本発明者らは、長鎖多不飽和トリグリセリドとハード脂肪の組み合わ せを、充填（又は支持）物質と共に、又は充填（又は支持）物なしに使用するこ とによって、さらさらしており、より高濃度（すなわち、少なくとも１０％）の 長鎖多不飽和脂肪酸を添加することが可能な組成物を得られることを発見した。 従って、本発明は、自由流動性脂肪組成物に関し、この組成物は、 (i) ９０：１０乃至１０：９０重量比の脂肪(Ａ)及び(Ｂ)のブレンド、 (ii) ０乃至９５重量％の充填物質を含み、 脂肪Ａは少なくとも０.５重量％の長鎖多不飽和脂肪酸、好ましくはω−３脂 肪酸又は共役リノール酸であり、脂肪Ｂはハード脂肪であって、［脂肪(Ａ)又は ブレンド＋組成物中の充填剤（％）のＮ₃₀（不安定）］が少なくとも７０、好ま しくは少なくとも７５、特に８０乃至１６０である。 上記の組成物は、公知の組成物に勝る多くの利点を有する。 (1) 上記の組成物を使用すると、非油脂性物質が使用される系への、これらの導 入を避けることが可能である。 (2) 高濃度の長鎖多不飽和脂肪酸物質を、自由流動性製品に含有させることが可 能である。 (3) 生成物は、冷水において卓越する分散性を示す。 (4) 生成物は、例えば、幼児用の配合に使用するために最も適するようにさせる ことのできる粒子径分布を有する。 より多量の長鎖多不飽和脂肪酸を添加することを可能にするために、２重量％ より多く、好ましくは４乃至５０重量％、及び最も好ましくは５乃至２０重量％ のこれらの長鎖多不飽和脂肪酸を含む、脂肪Ａを使用することが好ましい。 適切には、Ｎ₃₀値が＞２５、好ましくは＞３５、より好ましくは４０乃至８０ 、特に４５乃至７５を示す脂肪ブレンドを使用する。 本明細書において、Ｎ値は、不安定化された脂肪についてＮＭＲパルス技術に よって測定される固体脂含量をいう。不安定化とは、脂肪を８０℃において融解 し、６０℃において５分間維持し、０℃へ冷却し、０℃において１時間維持し、 そして測定温度において３０分間維持することを意味する。 充填剤が存在しない場合も、長鎖多不飽和トリグリセリドを含む１０乃至２５ 重量％の脂肪を含む自由流動性組成物を製造することが可能であるが、これらの 後者の（ソフト）脂肪のレベルは、充填剤が組成物中に存在する場合、約３５重 量％まで増加されることが可能であることがわかった。充填物質の量は２.５乃 至９０重量％の範囲であり得る。好ましくは１０乃至８０重量％、最も好ましく は１５乃至７０重量％である。 適する充填物質は、グルコース、フルクトース、又はスクロースのような糖類 、穀粉、ココアパウダー、コーヒーパウダー、コーヒー顆粒、ホエーパウダー、 スキムミルクパウダー、バターミルクパウダー、シリカ、アルミナ、チタニア、 及びジルコニアのような、食品レベルの無機固体粉末からなる群から選択される 。 脂肪Ａ及びＢが使用される場合、脂肪Ｂが９０乃至１０重量％、最も好ましく は８０乃至２０重量％であるのに対して、脂肪Ａは１０乃至９０重量％、最も好 ましくは２０乃至８０重量％の範囲の比を取り得る。 ハード脂肪は、硬化油又は植物脂肪のステアリン画分のようなハード脂肪の広 範な範囲から選択され得る。しかしながら、３５℃より高い、好ましくは４５℃ より高い、特に５０より高く８０℃までの融点を有する脂肪Ｂの使用が、最良の 結果を導く。 このようなハード脂肪Ｂの例は、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセ リド又はこれらの混合物であり、特にパーム油ステアリン、融点６５℃の硬化大 豆油、融点６５℃の硬化ヒマワリ油、ジステアリン、モノステアリン、モノパル ミチンから選択される。 本発明の自由流動性脂肪は、５乃至５００μｍ、好ましくは１０乃至２５０μ ｍ、最も好ましくは２０乃至２００μｍの粒子径分布（ふるい分けによる）によ って特徴付けられる。５００μｍよりも大きい粒子は、塊が存在することを意味 し、使用する場合に組成物の分散の間に問題を生じる。 脂肪Ａとして使用し得る脂肪の例は、少なくとも二つの異なる長鎖多不飽和脂 肪酸のＬ₁及びＬ₂を含む脂肪であって、特にＬ₁：Ｌ₂＞２、好ましくは＞３の比 で存在する。このような脂肪の例は、本発明者の係属中の出願である、欧州特許 出願第95302942.8号、欧州特許出願第95302843.6号、欧州特許出願第95302944.4 号、及び欧州特許出願第95308228.6号に開示されている。 このような脂肪Ａの特定の例は、天然の魚油、改質された魚油、魚油濃縮物、 分画された魚油、酵素的に処理された魚油又は微生物起源による油に由来する。 脂肪Ａの他の例は、共役リノール酸を含むトリグリセリドである。ＣＬＡ'ｓの 起源の例は、米国特許第5,430,066号明細書、米国特許第5,428,072号明細書、米 国特許第5,070,104号明細書、米国特許第5,017,614号明細書、米国特許第5,208, 356号明細書、又は欧州特許第411,011号明細書に見受けられる。 脂肪は、酵素的又は化学的に変換することによってこれらのＣＬＡ'ｓから製 造し得る。上記の脂肪から、二つの異なる長鎖多不飽和脂肪酸が少なくとも２、 好ましくは少なくとも３の比で存在する、これらの脂肪を使用することが好まし い。 本発明の一部は、請求項１乃至１１の自由流動性組成物の形で脂肪が存在する 、少なくとも脂肪を含む食品でもある。 これらの食品の例は、パン、ケーキ、ペストリー、又はクロワッサン等のベー カリー製品、幼児用の配合食品、クリーマー、コーヒーホワイトナーなどである 。 自由流動性組成物は、脂肪Ａ及びＢをブレンドし、得られたブレンドを冷凍粉 砕（cryomilled）、噴霧結晶化又は噴霧乾燥することにより製造し得る。固体Ｃ Ｏ₂又は液体Ｎ₂の存在下での冷凍粉砕が最も好ましい方法である。冷凍粉砕は、 固体ＣＯ₂のような低温剤の存在下で、ミルにおいて行われる。ミルとしては低 温で使用するのに適するいずれの公知のタイプのミルをも使用し得る。 実施例 Ｉ．魚油の使用 魚油として半精製された、３０.９重量％の多不飽和脂肪酸部分（主にＤＨＡ 及びＥＰＡ）を含むツナ油を使用した。ハード脂肪として、融点６５℃の大豆油 を使用した。充填物質として糖類又は穀粉のいずれかを使用した。生成物の自由 流動性特性は、パネルによって評価された。これは、１乃至５（１＝悪い、５＝ 非常によい）の範囲の数字によって表わされた。 魚油又は魚油とハード脂肪のブレンドは、およそ等重量の固体ＣＯ₂と混合さ れ、ターミックスブレンダーで１乃至５分間粉砕された。その後、適切であれば 、充填物質を表に示された量で添加した。 II．共役リノール酸の使用 実施例Ｉを繰り返した。しかし、魚油の代わりにＣＬＡを使用した。使用した 組成物は、３１重量％の遊離ＣＬＡ、１３重量％の硬化大豆油６５、及び６５重 量％の糖類を含んだ。得られた混合物は、４の自由流動性特性を得た。 ^*＝本発明によるものでない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デッカー、ウィリアム オランダ国、1521・エイエックス・ウォー マービール、ザアンディーケルウェグ 36、ロダース・クロックラーン・ビー・ブ イ (72)発明者 ムーア、スティーブン・レイモンド 英国、ベッドフォードシャー・エムケイ 41・１エルキュー、シャーンブルック、コ ロワース・ハウス（番地なし）、ユニリー バー・リサーチ・コルワース・ラボラトリ ー

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．自由流動性脂肪組成物であって、 (i) ９０：１０乃至１０：９０の重量比の脂肪(Ａ)及び(Ｂ)のブレンド、 (ii) ０乃至９５重量％の充填物質を含み、 脂肪Ａは少なくとも０.５重量％の長鎖多不飽和脂肪酸、好ましくはω−３ 脂肪酸又は共役リノール酸であり、脂肪Ｂはハード脂肪であって、［ブレンド ＋組物中の充填剤（％）のＮ₃₀（不安定）］が少なくとも７０、好ましくは少 なくとも７５、特に８０乃至１６０である、自由流動性脂肪組成物。 ２．脂肪Ａ中の長鎖多不飽和脂肪酸の含量が、２重量％より多く、好ましくは４ 乃至５０重量％、及び最も好ましくは５乃至２０重量％である、請求項１の自 由流動性脂肪組成物。 ３．脂肪ブレンド(Ａ)＋(Ｂ)がＮ₃₀＞２５、好ましくは＞３５、より好ましくは ４０乃至８０、及び特に４５乃至７５を示す、請求項１又は２の自由流動性脂 肪組成物。 ４．充填物質の含量が、２.５乃至９０重量％、好ましくは１０乃至８０重量％ 、最も好ましくは１５乃至７０重量％である、請求項１乃至３のいずれか１請 求項の自由流動性脂肪組成物。 ５．充填物質が、グルコース、フルクトース、又はスクロースのような糖類、穀 粉、ココアパウダー、コーヒーパウダー、コーヒー顆粒、ホエーパウダー、ス キムミルクパウダー、バターミルクパウダー、シリカ、アルミナ、チタニア、 及びジルコニアのような、食品レベルの無機固体粉末からなる群から選択され る、少なくとも一つの成分である、請求項１乃至４のいずれか１請求項の自由 流動性脂肪組成物。 ６．脂肪ブレンドが、長鎖多不飽和脂肪酸を含む脂肪Ａを２０乃至８０重量％、 及び８０乃至２０重量％の脂肪Ｂを含む、請求項１乃至５のいずれか１請求項 の自由流動性脂肪組成物。 ７．ハード脂肪Ｂが、３５℃より高い、好ましくは４５℃より高い、特に５０乃 至９０℃の融点を有する、請求項６の自由流動性脂肪組成物。 ８．脂肪Ａが、天然の魚油、改質された魚油、魚油濃縮物、分画された魚油、酵 素的に処理された魚油又は微生物起源による油に由来する、請求項６の自由流 動性脂肪組成物。 ９．ハード脂肪Ｂが、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド及びこれ らの混合物であり、特にパーム油ステアリン、融点６５℃の硬化大豆油、融点 ６５℃の硬化ヒマワリ油、ジステアリン、モノステアリン、モノパルミチンで ある、請求項１乃至８のいずれか１請求項の自由流動性脂肪組成物。 10．組成物が、５乃至５００μｍ、好ましくは１０乃至２５０μｍ、最も好まし くは２０乃至２００μｍの分子径分布（ふるい分けによる）を有する、請求項 １乃至９のいずれか１請求項の自由流動性脂肪組成物。 11．脂肪Ａが、少なくとも二つの異なる長鎖多不飽和脂肪酸Ｌ₁及びＬ₂を含み、 Ｌ₁：Ｌ₂＞２、好ましくは＞３の比で存在する、請求項８の自由流動性脂肪組 成物。 12．少なくとも脂肪を含み、脂肪が請求項１乃至１１のいずれか１請求項の自由 流動性組成物の形で存在する、食品。 13．食品が、パン、ケーキ、ペストリー、又はクロワッサン等のベーカリー製品 、幼児用の配合食品、クリーマー、及びコーヒーホワイトナーからなる群から 選択される、請求項１２の食品。 14．脂肪Ａ及びＢからブレンドが製造され、ブレンドは冷凍粉砕、噴霧結晶化、 又は噴霧乾燥される、請求項１乃至１１のいずれか１請求項の自由流動性組成 物の製造方法。