JP2000506735A - B型肝炎感染の転帰を予測するための方法 - Google Patents

B型肝炎感染の転帰を予測するための方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、B型肝炎感染の発症の予後に関する。本発明による方法は、また、例えばα−インターフェロンのような抗ウイルス性化合物による抗ウイルス療法をモニターするためにも使用することかできる。本発明は、HBeAgと複合体を形成することができる特異的生体分子の存在が、さらなる急性B型肝炎感染の進展についての予後マーカーであるという知見に基づく。感染の急性期における該特異的生体分子あるいは該生体分子とHBeAgの複合体の存在の有無に基づいて、患者が急性感染後に回復してウイルスを除去するか、あるいは慢性感染を発現するかを予測できることが認められた。本発明は、従って、急性HBV感染を生じた患者での感染の経過を予測するための方法における、HBeAgと結合した特異的生体分子を含む循環複合体検出のためのアッセイの使用を含む。本発明は、抗ウイルス薬による治療をモニターし、かかる治療の効果がどのようであるかを示すためにも使用することができる、B型肝炎感染の発症の予後のための新しい方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 B型肝炎感染の転帰を予測するための方法 本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)による感染の経過を予測及び監視する ための方法に関する。さらに本発明は、そうした方法において使用できる抗体類 及びアミノ酸配列に関する。 B型肝炎ウイルス(HBV)は、ヒトにおいて急性及び慢性感染を引き起こす 。本感染は潜伏性であったり、軽度若しくは重度の急性肝炎に至ったりすること があるが、さらに場合によっては肝硬変及び原発性肝臓癌を引き起こす慢性感染 へ進行することがある。B型肝炎ウイルスは、脂質エンベロープとウイルスゲノ ム及びDNAポリメラーゼを含有するインナーコアとから構成される小さいDN Aウイルスである。HBVコア遺伝子(ヌクレオチド1814−2449)は、 各々29及び183個のコドンから構成されるプレコアとコア領域に分かれてい る。この遺伝子は、機能的に相違する2種のタンパク質、組立てられて感染細胞 の細胞質中でヌクレオカプシド粒子(HBcAg)を形成する21.5kDaタ ンパク質と小胞体を指向し引き続いてN末端及びC末端がプロセシングされてe 抗原(HBeAg) として分泌されるプレコアタンパク質、をコードしている。 HBeAgは1972年に初めて同定された。HBeAgはHBV感染患者の 血清中に非粒子状態で存在する。HBeAgの存在は、一般には感染宿主におけ る活性ウイルス複製の指標であると見なされている。これまでに行われた実験は HBeAgが抗原の複合体である可能性があることを示しており、e1、e2及 びe3と呼ばれる3つまでの沈降素系が個々の患者から採取した血清中に寒天ゲ ル拡散により検出されている。約300kDaの分子量をもつIgG結合HBe Agとこれより小さい約16kDaの分子量をもつHBeAg成分の両方がHB V感染患者の血清中で検出されている。HBcAgは、変性及び/又は限定され たタンパク分解を受けるとHBcAgがHBeAgに転換され得るという事実に 基づいてHBeAgに関連付けられている。 HBcAgとHBeAgとの免疫学的識別は、どちらかの抗原に対して特異的 なモノクローナル抗体の導入によって可能になっている。HBcAgは、1つの 大きな不連続エピトープをもっていると提案されてきたが、さらに線状HBcA g決定基及び内部決定基が存在することも又示唆されてきた。 相違するマウスモノクローナル抗体を使用することによって、HBeAg上の 2つの別個のB細胞エピトープが検出されている。HBe/α若しくはHBe1 は線状決定基であり、アミノ酸配列(76)L−E−D−P−A−S−R−D− L−V−V−S−Y(89)に存在する。HBe1決定基は立体配座HBc決定 基と重複しており、コア粒子表面上のHBe立体配座においても露出していると 思われる(Salfeldら,J.Virol.,63,798−808,19 89)。 HBe/β若しくはHBe2は不連続決定基であって、その正確な立体配座の ためには、アミノ酸138付近で終了するアミノ酸配列だけでなくアミノ末端ア ミノ酸配列の間接的若しくは直接的な分子内関与を必要とする。HBe2決定基 はコア粒子表面上では不在であるか接近不可能であるかのどちらかである(Sa lfeldら,1989)。Sallbergら(Mol.Immunol., 28,719−726,1991)によれば、マウスモノクローナル抗体及びヒ ト血清はHBe2エピトープをaa130の付近に存在する線状決定基として認 識する可能性がある。2種の抗HBe2モノクローナル抗体が残基128−13 3で配列T−P−P−A−Y−Rを認識する ことが発見された。置換合成により、これら2種のモノクローナル抗体により認 識されるためにはPPが不可欠であることが証明された。線状HBe2エピトー プを含有しているペプチドを単一ピークとして認識したモノクローナル抗体は、 HBe抗体RIAにおいて最も有効な阻害活性をもつ抗体であった。患者におい ては、ペプチドを含有するHBe2エピトープへの血清反応性は主としてHBe 抗体RIAにおいて強力な阻害(95%)を生じさせた患者血清において発見さ れた。 HBeAgの機能は明らかではないが、感染中に細胞毒性T細胞をブロックす ることによって肝細胞に感染したウイルスを防護する可能性がある。1990年 にMilichら(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,87, 6599−6603,1990)は、HBeAgが子宮内で免疫耐性を引き起こ す可能性があることを示唆した。HBeAgの発現は出産期感染後の持続性を保 証するためのウイルス戦略を表している可能性がある。 患者らがHBe抗体への血清変換により近付いたときは、彼らはこの感染から 回復して抗ウイルス療法へ応答すると思われる。 感染の経過を決定する機序及び因子についてはほとんど分かっていない。慢性 HBV感染患者の治療法には通常はインターフェロン療法が含まれている。しか し、インターフェロン療法に応答して完全なウイルス除去を示す患者の数は極め て限られている。感染が自己限定性であるのか慢性であるのか、そしてどの患者 が最終的にインターフェロン療法に応答するのかを予測することは困難である。 このため、B型肝炎の予後を確実に予測できる方法が必要である。そうした方法 を利用できれば、患者を抗ウイルス薬で治療すべきかどうかを確定することがで き、さらにそうした治療法の効果を予測又は監視することができる。 本発明はB型肝炎感染の展開の予後に関する。本発明による方法はさらに又、 例えばα−インターフェロンのような抗ウイルス薬を用いた抗ウイルス療法を監 視するために使用できる。 B型肝炎の予後に関しては既に数種の方法が記載されてきた。WO91/14 70では、B型肝炎感染の転帰を予測するのに役立たせるために患者サンプルを プレコア突然変異体の存在/不在について試験する方法が記載されている。しか し、他の研究(GuentherらVirology 187(1),271 −279,1992)は、プレコア領域における突然変異の存在又は不存在はウ イルスの除去とは無関係であることを証明している。慢性B型肝炎の発生の予測 のために抗HBsのIgG及びIgMの比率(IgG/IgM)を使用するB型 肝炎感染の予後を予測する方法が、SU1751680に記載されている。多数 の研究者は急性及び慢性B型肝炎感染の識別に焦点を当ててきた。急性及び慢性 B型肝炎感染の識別は予後及び可能な治療様式に関して重要である。慢性HBV 感染においてはHBV XAgに対する抗体が優先的に産生されると報告されて いる(Moriartyら,Science,227,429−433、198 5)。 また、慢性感染と比較して急性期には一般により高レベルの抗HBc IgM が産生されるので、この量的相違が慢性感染の急性上昇の急性HBV感染を識別 するための唯一の血清学的手段となっていることも記載されている(Gerli chら,J.Clin.Microbiol.,2,228−293,1986 )。さらに、抗HBe IgMを分子量によって分離することが急性HBVと慢 性B型肝炎感染とを識別するために有用であることも報告されている(Tsud aら, Gastroenterology,87,159−164,1984)。急性 と慢性のHBV感染の識別における抗HBc IgMアッセイの有用性について は疑問も投げかけられてきた。しかしこれらの方法はどれも感染の経過を予測す る可能性を提供しない。 これは、感染の慢性期中のHBeAgの循環免疫複合体の存在を調べたMar uyamaらの研究においても当てはまる。Maruyamaら(J.Immu nol.Meth.,155,65−75,1992)は、慢性HBV感染を有 する患者から採取した血清中の循環免疫複合体を検出するためのアッセイを開発 した。このアッセイは、HBe73−87:GVNLEDPASRDLVVSC と呼ばれるアミノ酸73−87(プレコア配列を除いて)を含有するHBeAg /ayw由来ペプチドに対して産生した抗体を被覆した固相から構成される。M aruyamaらによると、抗ペプチド抗体は天然HBeAgに対して産生した 抗体とは競合しない。抗体競合実験は両方向で実施され、同一成績を得た。この ため、競合の欠如は抗ペプチド抗体と天然タンパク質に対して産生された抗体と の間の抗体結合活性における相違によって引き起こされるの ではないと結論された。 Maruyamaらによれば、選択された抗ペプチド抗体は、天然タンパク質 に対して産生された抗体による同時結合を実質的に妨げない特有な部位に結合す る。免疫複合体を検出するためのアッセイはさらにWO94/08597におい ても記載されている。同一著者らのさらに別の論文(Maruyamaら,Ga stroenterology,105,1141−1151,1993)にお いては、このアッセイの最適化が記載されている。抗ペプチド抗体は、血清抗H Be抗体に同時に複合化されている天然HBeAgを効率的に結合するモノクロ ーナル抗体に取り換えられた。このアッセイは、慢性HBV感染の患者における 無症状免疫応答を検出するときに使用された。1994年に、Maruyama ら(Gastroenterology,106,1006−1015,199 4)は疾患から完全に回復した急性HBVの患者及び1年間以上に渡ってHBe Ag及びHBsAgに対して持続的に陽性であった慢性HBV患者を含めた研究 について発表した。擬似抗HBe抗体、HBeAg/抗HBe複合体及びHBs Ag/抗HBs複合体の血清濃度は急性HBVの 患者より慢性HBV患者における方が上昇していることが観察された。 免疫複合体が感染の慢性期中に検出されたという上記の観察所見とは対照的に 、本発明は、HBeAgとの複合体を形成することができる特異的生体分子の存 在が急性B型感染のさらなる展開についての予後マーカーであるとの発見を基礎 としている。感染の急性期中の前記特異的生体分子若しくは前記生体分子とHB eAgとの複合体存在又は不在に基づくと、患者が急性感染後に回復してウイル スを除去するのか、又は慢性感染を発生するのかを予測することができる。この ため本発明は、急性HBV感染の患者における感染の経過を予測するための方法 においてHBeAgに結合した特異的生体分子を含む循環複合体を検出するため のアッセイの使用を含んでいる。全員が同一源からの同一ウイルス株で感染して おり、全員が市販で入手可能な診断検査(アボット[Abbott]HBeAg EIA(エンザイムイムノアッセイ);Organon Teknika He panostika HBeAg/HBe抗体)においてHBeAg陽性である 一群の患者を対象に、感染3ヶ月後に前記生体分子の存在について試験した。こ れらの患者の感染の経 過を監視したところ、感染の急性期に前記生体分子に対して陽性の患者はウイル ス除去を示したが、前記生体分子に対して陰性の患者は遅延血清変換又は慢性感 染を発生した。 これらの観察所見に基づいて、本発明は抗ウイルス薬療法を監視するためにも そうした療法によりどのような効果を得られるかを示すためにも使用できる、B 型肝炎感染の展開を予測するための新規方法を提供する。 本発明による方法を用いて検出される生体分子(その存在が感染の予後の経過 についての指標となる)はおそらくIgGタイプの抗体類である。前記生体分子 類は、完全なHBeAgアミノ酸配列のアミノ酸85−109を含有する領域に 位置するHBeAg上のエピトープをマスキングすることができる(ナンバリン グはHBeAg配列の最初から開始する)。マスキングとは、生体分子がHBe Agとの複合体を形成した場合に、通常はエピトープを認識する一定の抗体類が HBeAgが生体分子類との複合体として存在するときにはHBeAgへの結合 が妨害されることを意味している。 本発明による方法は数種類の方法で実施することができる。生体分子類の存在 又は不在は数種類の方法で測定することがで きる。例えば、複合体類(HBeAgに結合した生体分子類)の存在を測定する ことによってできる。アッセイは、前記エピトープに特異的な特定の抗体類の結 合に対してHBeAg上のエピトープをマスキングする生体分子類の能力に基づ いてすることができる。前記抗体類は生体分子類が不在の場合にのみHBeAg に結合することができるであろう。生体分子類がHBeAgに結合している場合 には、抗体類はそれらのエピトープに結合することができないであろう。従って 、前記抗体類にいずれかのHBeAgが結合するかどうかを検出することによっ て、生体分子類の存在又は不在を測定することができる。 使用する抗体類は好ましくはモノクローナル抗体類である。本発明の方法によ り使用する抗体類は、好ましくはHBeAgに任意的に複合された生体分子類の 親和性に比較して、サンプル中に存在するHBeAgに対して低親和性を有する 抗体類である。HBeAgに対するそれらの親和性がより低い結果として、抗体 類はそれらのエピトープをマスキングできる生体分子類が不在の場合にのみHB eAgへ結合する。抗体類は、例えば、固相担体上に被覆して使用することがで きる。固相上に形成された免疫複合体は、例えば全ての形態のHBeAgを認識 する別の抗HBe抗体又は抗ヒト抗体を用いて検出することができる。この第2 抗体はいずれかのラベルに結合されていてもよい。 このようなアッセイにおける陰性反応は、HBeAgがサンプル中に複合体と して存在していること、従って固相上の抗体類へ結合することができないことを 示す。(もちろん、検査中のサンプル中において、あらゆる場合にもHBeAg 陽性を検出するアッセイを用いるスクリーニング方法、例えば、アボットHBe AgEIA、Organon Teknika Hepanostika HB eAg/抗HBe若しくはHBeMABアッセイ(実施例2参照)又はSDS− ページ若しくは免疫ブロッティングのような代替方法、によってHBeAgの存 在が確認されていることを前提条件とする)。アッセイにおける陽性反応は、サ ンプルがHBeAg陽性であること、及びHBeAgエピトープに抗体類がアプ ローチできることを示す。明らかに、HBeAgは非複合形で、又は抗体によっ て認識されるエピトープがマスキングされていない複合体として存在している。 HBeAgに結合している生体分子類の存在又は不在を検出 するために本発明による方法に使用するのに好ましい抗体類は、No.9509 0611としてECACCに保管されている細胞系によって産生されるモノクロ ーナル抗体類と同一のHBeAgに対する反応性を有するモノクローナル抗体類 である。No.95090611としてECACCに保管されている細胞系によ って産生されるモノクローナル抗体類は、配列RDLVVNYVNTNの近辺に 位置するHBeAg上のエピトープを認識する。このエピトープは、Salfe ldら(J.Virol.,63(2),798−808,1989)によって HBe1と定義された配列に重複している。HBe1配列に比較して、組換えH BeAg(これに対しHB.OT95A抗体類が生成された)の配列は、Sal feldらによって記載されているように、HBe1配列の第87位のセリン( S)残基からアスパラギン(N)残基への置換を有している。(Salfeld らにより付されたナンバリングはHBcAg配列の最初から始まる。文献によっ て様々なナンバリングが使用されている。ナンバリングが完全なHBeAg配列 の最初から始まる場合には、N末端部位では10個の追加のアミノ酸が存在して いるので、ナンバー87(Salfeldによる)を有するアミノ酸はナ ンバー97をもつようになる。完全なHBeAg配列の最初から始まるナンバリ ングを本特許出願の実施例及び特許請求の範囲において採用する)。本特許出願 の全体を通して、第97位にセリン(S)残基を含有するHBeAgは「Sタイ プ」HBeAgと呼ばれ、第97位でアスパラギン(N)残基を含有するHBe Agは「Nタイプ」のHBeAgと呼ばれる。 HB.OT95A抗体類はNタイプHBeAgに対して産生されたので、第9 7位にS残基を含有するHBeAg「SタイプHBeAg」に対する親和性は、 おそらくその位置でN残基を含有するHBeAgに対する親和性より低いであろ う。これはNタイプHBeAgに対して産生された抗体類がなぜ生体分子類の存 在下でSタイプのHBeAgの同一領域へ結合することができないかの理由と考 えられる。おそらく、Nタイプに対して産生した抗体類は、SタイプHBeAg に対する親和性が低いために、SタイプのHBeAgに結合した生体分子類と競 合できないのであろう。 同じ方法で、例えば「Sタイプ」のHBeAgに対しては高いが「Nタイプ」 のHBeAgに対しては低い親和性をもつ他のモノクローナル抗体を産生させる ことができることは、明白 である。 特定の患者がHBeAgの第97位にN又はS残基を含有するHBVに感染し ているかどうかは数種類の方法で知ることができる。例えば、サンプル内に存在 するHBeAgの、異なる「サブタイプ」(S又はNタイプのHBeAg)に対 して異なる親和性をもつ抗体との反応性を比較することができる。さらに、サン プルとHB.OT95Aのような抗体との反応性とHBeAgの検出のために市 販で入手可能な通常のアッセイにおける抗HBeAg抗体とサンプル内のHBe Agの反応性との比較もまた、サンプル中にどのタイプのHBeAgが存在する かの指標を提供する。「Sタイプ」のHBeAgと「Nタイプ」のHBeAgと を区別するための方法も又本発明の一部である。この方法は下記のステップ、 (a)HBeAgを含有するサンプルの一部を、HBeAgに対する、No. 95090611としてECACCに保管されている細胞系に由来するモノクロ ーナル抗体類と同一の反応性を有する抗体類を用いて被覆された固相に接触させ 、固相上に形成された免疫複合体を検出すること、及び (b)サンプルの一部を、NタイプのHBeAg及びSタイ プのHBeAgに対して同一の反応性を有する抗HBeAg抗体を用いて被覆さ れた固相と接触させ、固相上に形成された免疫複合体を検出すること、及び (c)ステップ(a)及び(b)において入手したシグナル間の比率からサン プル中に存在するB型肝炎e抗原がNタイプ又はSタイプのいずれであるかを判 定すること、を含んでいる。「Sタイプ」のHBeAgを含有する血清サンプル は、ステップ(a)において「Nタイプ」のHBeAgを含有する血清サンプル より低いシグナルを産生する。従ってステップ(a)及び(b)において入手さ れたシグナル間の比率は「Nタイプ」HBeAgを含有するサンプルにおける方 が高い。Sタイプ及びNタイプHBeAgに特徴的な比率の正確な数値は使用す るアッセイシステムのフォーマットに依存している。 (もちろん、サンプル中に存在するHBeAgが「Nタイプ」であるか「Sタ イプ」であるかを知るには、特定ウイルスのHBeAg遺伝子の特定部分の核酸 塩基配列の決定によってもできる。) 本発明による感染の予後の経過の指標となる生体分子の存在を指示するその他 の方法には下記が含まれる。生体分子類は、 ペプチド、組換えタンパク質又は生体分子が結合するエピトープの最小塩基配列 を少なくとも模倣しているあらゆるその他の生体材料で被覆した固相担体と血清 とを接触させることによって測定することができる。生体分子類は解離HBeA g複合体から、抗HBe陽性血清から、又はウイルス除去後のHBV感染患者に 由来するあらゆるその他の血清から得ることができる。固相上に被覆されたペプ チド類と血清中に存在する生体分子類との間で形成された複合体は、診断的アッ セイの分野の当業者には周知の種々の方法で可視化することができる。 生体分子類はさらに阻害アッセイを使用することによって検出することができ る。この場合、生体分子類が存在していないHBeAg陽性血清又は組換えHB eAgのような他の形態のHBeAgを、陽性サンプルとして使用することがで きる。このサンプルはエピトープをマスキングしている生体分子類を含有してい るかどうかが不明なサンプルと一緒にプレインキュベートすることができる。例 えばHB.OT95Aのような抗体に基づくHBeAgアッセイにおけるシグナ ルの阻害は、サンプル中にマスキング生体分子類の存在を示す。 HBV感染の臨床的転帰に関連付けることのできるHBeA gと複合体を形成する生体分子類は、例えば親和性クロマトグラフィーによって 精製することができる。次いでこれらの分子類をHBeAgアッセイにおける試 薬として使用することができる。これらの分子類は非複合HBeAgとしか反応 しないので、従って急性HBV感染の患者のサンプル中における複合体の存在又 は不在を検出するためにも使用することができる。 本発明による方法に使用できる固相担体は、当分野では周知であり、例えばマ イクロテスト・ウェル若しくはキュベット、試験管若しくは毛細管、膜、フィル ター、試験ストリップの内壁、又は例えばラテックス粒子、赤血球、染料ゾル、 金属ゾル若しくはゾル粒子のような金属化合物、BSA若しくはKLHのような キャリアタンパク質のような粒子の表面である。 使用できる標識物質は、中でも放射性同位体、蛍光化合物、酵素、染料ゾル、 金属ゾル又はゾル粒子のような金属化合物である。使用するアッセイ法の性質及 びその他の特徴に依存して起こる免疫化学反応は、いわゆるサンドイッチ反応、 凝集反応、競合反応又は阻害反応である。 本発明による方法に使用できるモノクローナル抗体類も又本発明の一部である 。本発明によるモノクローナル抗体類は、 No.95090611としてECACCに保管されている細胞系に由来する、 HBeAgに対するモノクローナル抗体類と同一の反応性を有するモノクローナ ル抗体類である。 本発明によるモノクローナル抗体類を分泌できる不死化細胞系も又本発明の一 部である。 モノクローナル抗体類を産生する細胞系の調製は、例えば、Kohler a nd Milstein法(Kohler and Milsteinはモノク ローナル抗体産生ハイブリドーマ類の形成を生じさせる技術を発明した(G.K ohler and C.Milstein,1975,Nature 256 :495−497;1976,Eur.J.Immunol.6:511−51 9))、エプスタイン・バー・ウイルスを用いての形質転換、又は腫瘍原性DN Aを用いてのBリンパ球の直接変換法、又はヒト若しくはマウス−ヒトハイブリ ッド骨髄腫細胞系のいずれかである融合相手とヒトBリンパ球との直接融合、又 は前記骨髄腫細胞系とEBV形質転換B細胞系との直接融合によって行うことが できる。 本発明による好ましい細胞系は、寄託番号95090611としてECACC (欧州動物細胞培養コレクション:European Collection of Animal Cell Cultures、ポ ートンダウン、英国)に寄託されている細胞系である。このハイブリドーマ細胞 系は、E.coliからの組換えHBeAgを前もって接種されたマウスに由来 する脾リンパ球とマウス骨髄腫細胞との融合によって生産された。図面の簡単な説明 図1: A)アボットHBeAgEIA。臨床環境において偶発的にHBVに感染した ドナーから採取された8例の血清(No.162、216、255、336、1 81、343、098、228)の反応性。サンプルは感染の急性期中に採取さ れた(実施例3)。全サンプルがHBeAg陽性であった。慢性感染に移行した 患者から入手した血清と感染から6ヶ月後(回復)又は9ヶ月後(遅延回復)の 間に回復した患者から入手した血清とを識別することはできなかった。 B)HBe MABアッセイ。図1Aで言及した血清の反応性。全サンプルが HBeAg陽性であった。慢性感染に移行した患者から入手した血清と感染から 6ヶ月後(回復)又は9ヶ月後(遅延回復)の間に回復した患者から入手した血 清とを識 別することはできなかった。 C)HBe選択反応アッセイ。図1A及び図1Bで言及した血清の反応性。感 染後6ヶ月間以内にウイルスを除去した患者から採取した血清(陰性=A450 nm<0.2又はS/CO<0.9)と慢性感染に移行した、又は遅延回復を示 した患者から入手した血清(陽性=A450nm>0.3又はS/CO>2.3 )とを識別することができた。 図2: A)アボットHBeAgEIA及びHBe選択反応アッセイにおいて試験した HBV感染ドナーからの血清。標準ヒト血清(NHS)を陰性対照として使用し た。陽性対照(PS)は感染の急性期中の患者から入手した。この血清サンプル はどちらのアッセイにおいても陽性であった。血清343bは感染から4年を経 過したHBV感染ドナーから入手した。血清162aは6ヶ月以内にウイルスを 除去したドナーから感染の急性期中に入手した。血清162bは血清162aと 同一ドナーから一次感染から10ヶ月後のウイルス除去後に入手されている。 B)図2Aで言及した陽性対照(PS)の、標準ヒト血清(NHS)、血清3 43b、162a及び162bとのインキュベ ーション後の反応性。NHSを除いて、最初のシグナルは上記の血清の1つを添 加後に低下する。 図3:HBe MABアッセイ及びHBe選択反応アッセイを使用することに よるHBe−Sタイプ及びHBe−Nタイプの判定。1000の吸光度に関連付 けた任意単位の総量(1任意単位=希釈の逆数)を両方のアッセイにより各血清 について測定した(AU1000)。HBe MABアッセイにおいて測定され たAU1000をHBe選択反応アッセイによるAU1000で割る(y−ax )。比が0.03未満であればHBe−Sタイプであることを示している。比が 0.13より上である場合はHBe−Nタイプであることを示している。S及び Nタイプについては完全なHBeAgDNA配列の決定によって確認した。実施例 実施例1 本実施例では、本発明による抗体類がどのようにして産生させられ、 対応するエピトープがどのようにしてマッピングされたのかを例示する。 マウスモノクローナル抗体HB.OT95A マウスモノクローナル抗体類は、Balb/cマウスに、フ ロイントの完全アジュバントに溶解させた大腸菌(E.coli)由来組換えH BeAg又はHBcAgを注射することによって産生させた。2ヶ月後に、マウ スをフロイントの不完全アジュバントに混合した抗原を用いて追加刺激し、これ をさらに2週間後に繰り返し実施した。最高に応答したマウスにPBS中に溶解 させた組換え抗原の静脈内投与を行った。3日後、脾臓を切除し、脾リンパ球を 、標準方法に従ってポリエチレングリコール1000を用いて、P3×63Ag 8.6.5.3マウス骨髄腫細胞に融合させた。ハイブリドーマ細胞を、ヒト血 清及び/又は組換え抗原を用いて、HBeAg又はHBcAg特異的抗体の産生 について検査した。反応性クローンを、単個細胞クローニングの技術によって、 100%クローンへ再クローン化させた。 ヒトモノクローナルHBe.OTHu03 末梢血をヒト慢性HBs抗原保有者から採取した。血液サンプル100mlに 10.9mlのデキストラン(分子量200,000)、0.37mlのNaC l溶液(0.27g.ml-1)及び1mlのヘパリン溶液(510 IU ml-1 )を添加した。この混合液を室温で1時間インキュベートして赤血球を沈殿さ せた。白血球を含有する上層を分離し、2000N kg-1で10分間速心した 。細胞ペレットを10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加した完全培地 (10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ修正イーグル培地(DMEM))中に再 懸濁させ、冷凍し、液体窒素中で貯蔵した。形質転換反応試験のために、白血球 を解凍し、完全培地を用いて一度洗浄し、2×106cells ml-1へ再懸 濁させた。マーモセットB95.8細胞系からの上清を含有するエプスタイン− バーウイルス(EBV)を添加し、懸濁液を24ウエル培養皿(Costar) 上に配分した。37℃での16−24時間のインキュベーション後、5%CO2 下で1×108の生存リンパ球を分離し、培地中で1×104細胞ml-1となるよ うに希釈し、支持細胞としてヒト線維芽細胞を含有する10枚の96ウエル・ク ラスター皿上に配分した。その後培養を4−6週間インキュベートした。培地は 週2回新鮮なものに取り換えた。顕微鏡的に視認可能な形質転換されたリンパ球 クローンを含有するウエルから、天然HBeAgに対する特異的抗体の存在を試 験するための上清を採取した。陽性成績は7日後に確認された。培養を継続し、 液体窒素中に冷凍保管した。アミド化ペプチド類の合成及び精製 アミノ酸及びペプチド類に対する略語及び記号は下記に示すようなIUPAC −IUB合同生化学命名法委員会の勧告に従っている:IUPAC−IUB合同 生化学命名法委員会(JCBN)、Eur.J.Biochem.(1984) ,138:9−37。その他の略語:NMP、N−メチル−ピロリドン;Fmo c、N−9−フルオレニルメチルオキシカルボニル;PS、ポリスチレン。 1983年にOnoらによって発表されたHBeAg配列に基づいて(adw )完全な遺伝子を含む25−マーを構築した。下記のペプチド類を入手した: 1)H−SKLCL GWLWG MDIDP YKEFG ATVEL−NH2 2)H−LWGMD IDPYK EFGAT VELLS FLPSD−NH2 3)H−PYKEF GATVE LLSFL PSDFF PSVRD−NH2 4)H−TVELL SFLPS DFFPS VRDLL DTASA−NH2 5)H−LPSDF FPSVR DLLDT ASALY REALE−NH2 6)H−SVRDL LDTAS ALYRE ALESP EHCSP−NH2 7)H−TASAL YREAL ESPEH CSPHH TALRQ−NH2 8)H−EALES PEHCS PHHTA LRQAI LCWGE−NH2 9)H−HCSPH HTALR QAILC WGELM TLATW−NH2 10)H−ALRQA ILCWG ELMTL ATWVG NNLED−N H2 11)H−CWGEL MTLAT WVGNN LEDPA SRDLV−N H2 12)H−LATWV GNNLE DPASR DLVVN YVNTN−N H2 13)H−NLEDP ASRDL VVNYV NTNMG LKIRQ−N H2 14)H−RDLVV NYVNT NMGLK IRQLL WFHIS−NH2 15)H−VNTNM GLKIR QLLWF HISCL TFGRE−N H2 16)H−KIRQL LWFHI SCLTF GRETV LEYLV−N H2 17)H−FHISC LTFGR ETVLE YLVSF GVWIR−N H2 18)H−FGRET VLEYL VSFGV WIRTP PAYRP−N H2 19)H−EYLVS FGVWI RTPPA YRPPN APILS−N H2 20)H−WIRTP PAYRP PNAPI LSTLP ETTVV−N H2 ペプチド類の固相合成は半自動化法で実施した。Fmocアミノ酸誘導体はB achem社(ブーベンドルフ、スイス)から入手した。ペプチド類はFmoc /tBu化学によってTentaGel S RAM Fmoc樹脂(RAPP Polymere社、チュービンゲン、ドイツ)上で合成した。リンカーは、 自動的にC末端がアミド化されたペプチドを産生 するRink−アミドタイプのものである。ペプチドの固相合成中、アミノ酸側 鎖は酸解離保護基を用いて、すなわちリシンのε−アミノ基はBocを用いて、 アルギニンのδ−グアニジノ基は2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン− 6−スルホニル(Pmc)を用いて、グルタミン酸のγ−カルボキシル基及びア スパラギン酸のβ−カルボキシル基は、OtBuを用いて、グルタミン酸のγ− アミド基及びアスパラギンのβ−アミド基はトリチル(Trt)を用いて、ヒス チジン及びシステインはTrtを用いて、セリンのβ−ヒドロキシル基及びトレ オニンはtBuを用いて、そしてチロシンはtBuを用いて、保護した。全反応 物はNMP中に溶解させた。Fmoc基の開裂は各6分間の連続3サイクルの間 に、NMPに溶解させた25%(vol/vol)ピペリジンを用いて実施した 。最初のFmocアミノ酸誘導体の結合(Fmoc−Aaa−OH、2.5当量 )は、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、2.5当量)及び1−ヒドロキ シベンゾトリアゾール(HOBt、2.6当量)を用いてのin situ活性 化により実施した。アシル化反応はブロモフェノールブルーによって監視した( アシル化反応のエンドポイントは黄色がかった緑色によって指示 される)。アシル化反応後に、NMPに溶解させた無水酢酸を用いてキャッピン グ・ステップを実施した。完全に保護されたペプチド類を、トリフルオロ酢酸( 87.5%、vol/vol)中に溶解させた5%チオアニソール(vol/v ol)、3%エタンチオール(vol/vol)、2.5%水(vol/vol )及び2%アニソール(vol/vol)により、窒素下で室温での2時間の反 応の間に、樹脂から開裂させ、その後にジエチルエーテル中に沈殿させた。粗ペ プチド類をジエチルエーテルを用いて2度洗浄し、空気中で乾燥させ、水/アセ トニトリル(3:1)中に溶解させて凍結乾燥させた。 HPLC分析及び精製(必要な場合)はベックマン(Beckman)Gol d HPLCシステム上で実施した。HPLC分析は、アセトニトリル中に溶解 させた0.1%トリフルオロ酢酸を用いた3分間アイソクラチック溶出を使用し て流速1ml/minでRP−C2/C18カラム(Superpackpre pS、4×250mm、ファルマシア(Pharmacia)社製)上で実施し 、その後に水中での100%から75%への30分間直線グラジェントを実施し た。ペプチド類は206nmでのUV測定によって検出した。アミド化ペプチド類OTP−145及びOTP−146の合成及び精製 アミノ酸及びペプチド類に対する略語及び記号は下記に示すようなIUPAC −IUB合同生化学命名法委員会の勧告に従っている:IUPAC−IUB合同 生化学命名法委員会(JCBN)、Eur.J.Biochem.(1984) ,138:9−37。その他の略語:NMPNN−メチル−ピロリドン;Fmo c、N−9−フルオレニルメチルオキシカルボニル;PS、ポリスチレン。 OTP−145の配列:H−NLEDPASRDLVV NYVNTNMGL KIRG−NH2 OTP−146の配列:H−NLEDPASRDLVV SYVNTNMGL KIRG−NH2 これらのペプチド類の合成は、UVモニタリング及びフィードバックオプショ ンを用いる標準FastMoc 0.25mmol方法を用いて、Perkin Elmer(パーキン・エルマー)/Applied Biosystems Inc.433Aペプチドシンセサイザー(ペプチド合成機)上で実施した。F mocアミノ酸誘導体はBachem(ブーベンドル フ、スイス)社から入手した。ペプチド類はFmoc/tBu化学によってTe ntaGel S RAM Fmoc樹脂(RAPP Polymere社、チ ュービンゲン、ドイツ)上で合成した。リンカーは、自動的にC末端がアミド化 されたペプチドを産生するRink−アミドタイプのものである。ペプチドの固 相合成中、アミド酸側鎖は酸解離保護基を用いて、すなわちリシンのε−アミノ 基はBocを用いて、アルギニンのδ−グアニジノ基は2,2,5,7,8−ペ ンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)を用いて、グルタミン酸のγ− カルボキシル基及びアスパラギン酸のβ−カルボキシル基はOtBuを用いて、 グルタミン酸のγ−アミド基及びアスパラギンのβ−アミド基はトリチル(Tr t)を用いて、ヒスチジン及びシステインはTrtを用いて、セリンのβ−ヒド ロキシル基及びトレオニンはtBuを用いて、そしてチロシンはtBuを用いて 、保護した。全反応物はNMP中に溶解させた。Fmoc基の開裂は、各1.5 分間の最低連続2サイクルの間に、NMPに溶解させた25%(vol/vol )ピペリジンを用いて実施した。最初のFmocアミノ酸誘導体の結合(Fmo c−Aaa−OH、4当量、1mmol)は、2−(1H−ベンゾ トリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフ ルオロホスフェート(HBTU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOB t、4当量、1mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を用 いてのin situ活性化により実施した。各アミノ酸誘導体の結合(最低2 0分間)後、アシル化反応の完了についての確認は実施しなかった。アシル化反 応後にNMPに溶解させた無水酢酸を用いてキャッピング・ステップを実施した 。完全に保護されたペプチド類は、トリフルオロ酢酸(87.5%、vol/v ol)中に溶解させた5%チオアニソール(vol/vol)、3%エタンチオ ール(vol/vol)、2.5%水(vol/vol)、及び2%アニソール (vol/vol)による窒素下で室温での2時間の反応の間に樹脂から開裂さ せ、その後にジエチルエーテル中に沈殿させた。粗ペプチド類をジエチルエーテ ルを用いて2度洗浄し、空気中で乾燥させ、水/アセトニトリル(3:1)中に 溶解させて凍結乾燥させた。 HPLC分析及び精製(必要な場合)はベックマン(Beckman)Gol d HPLCシステム上で実施した。HPLC分析は、アセトニトリル中に溶解 させた0.1%トリフル オロ酢酸を用いての3分間アイソクラチック溶出を使用して流速1ml/min でRP−C2/C18カラム(Superpack prepS、4×250m m、ファルマシア(Pharmacia)社製)上で実施し、その後に水中での 100%から75%への30分間の直線グラジエントを実施した。ペプチド類は 206nmでのUV測定によって検出した。 HB.OT95Aのエピトープ・マッピング ペプチド類をDMSO(最小濃度0.5mg/ml)中に溶解させ、0.05 M Na2CO3(pH9.6)中に希釈させ、最終濃度を5μgr/mlとした 。希釈したペプチド類を室温で一晩かけてマイクロタイタープレート(96ウエ ル)に被覆した。各ウエルは0.2%カゼインを含有する0.05MTRIS/ HCLを用いて30分間で後被覆した。MAB HV.OT95AをpH7.4 のPBS中に溶解させた20%標準ヤギ血清及び1%トリトン中に希釈させた。 1:500から1:16,000の間の一連の希釈液は1ウエル当たりに各希釈 サンプル100μlを添加することによって試験した。37℃で1時間のインキ ュベーション後に、4回の充分な洗浄ステップ後にサンプルをウサギ抗マウス複 合体(DAKO P 0260)と置換した。複合体を上記と同様に1:1000に希釈した。このペ プチドの反応性を可視化するためにはOrganon Teknika Uni Form ready−for−use TMB基質を使用した。20分後、1 M H2SO4を用いて反応を終了させ、吸光度を450nmで測定した。 試験成績は、HB.OT95Aがペプチド12及び13に対して高親和性を示 すことを示した(どちらの場合においてもS/CO比が30)。ペプチド14に ついてはS/CO比16が入手された。その他の全てのペプチド類は1未満のS /CO比を示した。これらの所見から、HB.OT95Aのエピトープは配列L ATWV GNNLE DPASR DLVVN VVNTN TNMGL K IRQRの近辺に位置すると結論された。この配列はSalfeldらによって 記載されたHBe1エピトープを含有している。 同一実験においてペプチド類OTP−145、OTP−146及びペプチド1 3を同時に試験した。ペプチドOTP−145(アミノ末端アミノ酸=グリシン )及びペプチド13(アミノ末端アミノ酸=グルタミン)はHB.OT95Aと の反応性に おける相違を示さなかった。従って、このペプチドのアミノ末端アミノ酸はHB .OT95Aとの反応性について不可欠ではなく、Q又はGに取り換えることが できると結諭しなければならない。これとは反対に、ペプチドOTP−145及 びOTP−146を用いたときには反応性における重度の相違が観察された(H B.OT95A濃度1:4000;OTP−145 S/CO比14;OTP− 146 S/CO比5.5)。そこでアミノ酸97(S又はN)はこのペプチド の反応性に相当に大きく影響を与えると結論された。HB.OT95Aは第97 位にSを含有するペプチドOTP−146に対して低親和性を示す。実施例2: 本実施例は、実施例1で述べたようにして生成された抗体に基づき、「HBe 選択アッセイ」と称される免疫アッセイをどのようにして構築したかを例示する ものである。サンプルがHBeAg陽性であることを確認するための第二のアッ セイを構築した(HBe MABアッセイと称する)。HBe選択アッセイ 本アッセイは2つのモノクローナル抗体に基づく。MAB HBe.OTHu03−HRP(HRP=ホースラディッシュペルオキシダーゼ )を1:8000希釈で複合体として使用する。SPDP結合手法(ファルマシ ア社(Pharmacia))に従ってHRPをIgGに結合する。簡単に述べ ると、PD−10クロマトグラフィー(ファルマシア社)を用いてHBe.OT Hu03を脱塩した。脱塩したMABHBe.OTHu03に0.040M S PDP(エタノールで希釈)を加えて(モル比 MAB−IgG:SPDP=1 :13)MAB−PDPを調製した。30分後、混合物を上述したように脱塩し た。HRPに0.040M SPDPを加えて(モル比 SPDP:HRP=1 .6:1)HRP−PDPを調製し、30分間インキュベートした後脱塩した。 HRP−PDP、1M HAC pH4.3および1.6M DTTを25:2 .5:1の割合で加えてHRP−SHを調製した。15分間インキュベートした 後、混合物を上述したように脱塩した。IgG−PDPとHRP−SHを13. 4:1mol/molの割合で混合して、2つの成分を結合させ、ATで30分 間インキュベートした後、2−8℃で一晩インキュベートした。複合体を必要な 時まで−20℃で保存した。 マウスMAB HB.OT95A(セレクター)を固相に被覆する。簡単に述 べると、被覆緩衝液(0.05M NaHCO3 pH9.6)中でHB.OT 95Aを最終濃度40μg/mlに希釈する。混合物をATで固相と共に一晩イ ンキュベートする(マイクロタイタープレートGreiner96ウエル)(1 35μl/ウエル)。インキュベーション後、MAB溶液を同じ容量の緩衝液( 0.2Mトリス/HCl、0.2M NaCl、0.05%ツイーン20 pH 7.4)に置き換えて、10分間インキュベートした。次に緩衝液を、ツイーン 20を除いた前記の緩衝液、0.2M NaCl pH7.4を含む0.2M トリス/HCl緩衝液、および0.05M トリス/HCl緩衝液pH7.4で 順次置き換えた。最後に、窒素ガスを用いてプレートを乾燥する。24時間後、 プレートを小袋に入れて4℃で保存した。 標準的な手法でEIAを実施した。簡単に述べると、サンプル100μlを3 7℃で1時間インキュベートし、その後PBS−ツイーン pH7.4を用いて 4回の洗浄段階に供した。洗浄後、複合体100μl(PBS pH7.4中希 釈用20%ヤギ血清および1%トリトンX100)を加え、上述したよう にインキュベートして取り出す。その後、TMBの既製基質(Organon Teknika、ユニフォームII(UniForm II)基質)100μl を加えて室温で30分間インキュベートする。1M硫酸(H2SO4)を用いて反 応を停止させる。450nmで吸光度を測定する。HBe MABアッセイ このアッセイは2つのモノクローナル抗体に基づく。HBe選択アッセイにお けるように、MAB HBeOT.Hu03−HRPを1:8000の希釈で複 合体として使用する。ソリン社(SorinのMAB364C8を固相に被覆す る(5μg/ml)。ソリン・ビオメディカ社(Sorin Biomedic a)(イタリア)からモノクローナル364C8を直接入手し、実際に使用した 。選択アッセイの特異性が、複合体中に使用したモノクローナルではなく、HB OT95Aモノクローナル抗体によるものであることを保証するために、アッセ イがHBeOT.Hu03−HRP複合体を含む必要があったので、このアッセ イを構築した。ソリン社のモノクローナルの選択は、この特定目的のためのアッ セイの性能にとって不可欠ではない。このモノクローナルは、HBeAg複合体 を認識する 他のどのような抗HBeAgモノクローナル抗体によっても置き換えることがで きる。 上述したように標準的な手法に従ってEIAを実施する。実施例3: この実施例は、HBe選択アッセイおよびHBe MABアッセイを用いて、 どのようにしてHBeAg陽性サンプルを試験するかを述べるものである。その 結果から、HBe選択アッセイを用いると、感染の急性期に感染の臨床的結果が 予測できると結論することができる。HBeAg陽性血清 1987年11月に、女性のグループが臨床環境において偶然にHBVウイル スに感染した。約4ヵ月後、感染は臨床的に明白になり、最初の血液サンプルを 採取した。合計8名の女性を試験に登録した。HBe領域の配列分析により、H BeAgがすべての症例において同じであることを明らかにした。そのウイルス は、HBeAgの97位にセリン(S)残基を持つHBeAgをコードしていた 。HBsAgサブタイプ(ayw2)を定義するために、HBsAgの選択ゲノ ミック領域を増幅し、ノーダーら(Norderら)、1992年(J.Gen . Virol.73:3141−3145)に従って配列決定した。HBeAgに 関する配列分析は以下に述べるようにして実施した。HBePCR断片の配列決定 すべての血液サンプルから、完全なHBe配列の決定によってウイルス株およ び/あるいはHBeの異質性について分析した。ブームのプロトコール(Boo mら,J.Clin.Microbiol.28、495−503、1990) に従ってDNAを単離した。簡単に述べると、溶解緩衝液9容に血清1容を加え た(各々225μlと25μl)。この混合物に、シリカ懸濁液70μlを加え た。この溶液を室温で10分間インキュベートし、一様に渦動撹拌した。インキ ュベーション後、シリカを最高速度で少なくとも15秒間遠心分離にかけて回転 沈澱させた。上清を取り除いた。ペレットをL2洗浄緩衝液(0.05Mトリス /HCl pH6.4、4.5M GuSCH)1ml中に溶解した。シリカを 再び回転沈澱させ、ペレットをL2洗浄緩衝液1mlでもう一度洗浄した。上清 を取り除いた後、ペレットを70%エタノールで2回洗浄し、アセトンでもう一 度洗浄した(前の段階と同様にして)。ペレットを56℃ の加熱台で10分間乾燥させた。水100μlを加えて核酸を溶出し、56℃で 10分間インキュベートした(5分後に1回渦動撹拌)。10,000gで2分 間遠心分離にかけた後、+/−80μlの核酸溶液を新しいエッペンドルフ試験 管に移した。さらにもう一度遠心分離の段階を経た後、すべてのシリカを除去す るため、+/−70μlの核酸溶液を新しい試験管に移し、−20℃で保存した 。 通常のPCRプロトコールに従ってPCRを実施した(総容量50μl)。D NAの投入量は分離した分画2μlであった。PCR後に生成物が得られない場 合は、より高いDNA投入量でもう一度PCRを実施した。PCRのために使用 したプライマーは、M13の前向き配列あるいはM13の逆向き配列で延長した 特異的HBe配列の既存プライマーであった。 4)プライマー配列: HBe M13の前向き5’CGA CGT TGT AAA ACG GCC AGT AGG AGG CTG TAG GCA TAA AT3’ HBe M13の逆向き5’CAG GAA ACA GCT ATG ACC TTC TGC GAC GCG GCG ATT GA3’ PCRが完了した後、生成物2μlを2%TAEアガロースゲルで定量的に検 討した。総産物(50μl)を2%アガロースゲル上に置いた。適当な(rig ht)断片(698塩基対)を切り出し、キアゲン社(Qiagen)からのキ エックス(Qiaex)プロトコールに従って精製した。精製後、精製断片の1 /10を2%アガロースゲル上に置いて精製レベルを調べた。精製が正しく行わ れていれば、配列を決定した。 セキサーム(Sequitherm)・ロング・リード・サイクル配列決定キ ット(エピセンター・テクノロジーズ社(Epicentre Technol ogies,Madison,USA)に従って配列分析を実施した。約300〜 500μgの精製PCR断片をDNA投入量として使用した。配列分析に使用し たプライマーは前向きM13と逆向きM13であった。反応は、標準的なプロト コールに従ってA.L.F.DNAシーケンサー(ファルマシア・バイオテック 社)で実施した。結果 結果は、感染の急性期には、アボット社のHBeAg EIA、オルガノン・ テクニカ社のヘパノスティカHBeAg/抗HBe、 ならびにすべての形態のHBeAgの検出に適した、新しく開発されたMAB HBeアッセイにおいて、すべてのサンプルが陽性であることを示した。結果を 図1AおよびBに示す。HBeAg選択アッセイを使用すると異なる結果が得ら れた。感染後6ヵ月以内にウイルスを除去した患者162、216、255およ び336からの血清は陰性のままであったのに対し、慢性的な感染に至った患者 343、098および228からの血清は陽性であった。抗HBeに対して遅延 血清転換(9ヵ月以上あと)を示した患者からの血清181も選択アッセイで陽 性であった(図1C参照)。この結果は、HBV感染の急性期に、選択アッセイ は、慢性感染に至る患者あるいは抗HBeに対する遅延血清転換を発現する患者 と、感染後6ヵ月以内に抗HBe血清転換を示す患者を識別できることを示して いる。この識別は、標準アッセイに従ってすべての血清において明らかであるH BeAgの免疫反応性の変動に基づく。全症例においてHBV.HBeAgは同 じ配列を持つことが示されているので、臨床経過の差をウイルスの変動に関連づ けることはできない。実施例4: この実施例は、阻害アッセイを用いて、HBe選択アッセイでは陰性で、別の HBeAgアッセイでは陽性であった被検サンプル中に、HB.OT95Aのエ ピトープを覆うことができる生体分子が存在することをどのようにして確認した かを示す。阻害アッセイ 研究対象の全女性からのHBV HBe遺伝子の配列決定により、それらが同 じウイルス株に感染していたことが明らかになった。HBe配列から感染の経過 中配列の変化がなかったことがわかった。それ故、HBeAgの免疫反応性の変 動はHBeAg自体の変動によって生じたものではありえなかった。血清中に存 在する1またはそれ以上の宿主由来の因子が重要な役割を果たしているに違いな いことが示唆された。これを阻害実験によって検討した。 患者No.343からの血清を感染の急性期に採取した(図2A参照)。この サンプルを陽性対照(PS)として使用した。最初に、正常ヒト血清を用いてP Sを2/3倍に希釈した。その後、異なる血清、343b、162a/bおよび 陽性対照をNHSで1:1希釈し、アボット社のHBeEIAとHBe選択アッ セイで測定した。結果を表2Aに示す。血清343b、 162aおよびPSがアボットHBeAgアッセイではHBeAg陽性とスクリ ーニングされたが、PSだけが選択アッセイでも陽性であった。162bと正常 ヒト血清のサンプルはどちらのアッセイにおいても陰性であった。サンプル34 3bとPSは同じ患者から得た。PSはHBV感染の急性期に採取したのに対し 、血清343bは感染後4年間の慢性期に採取したものであった。血清162a はHBV感染の急性期に患者から採取したが、患者162は6ヵ月以内にウイル スを除去した。血清162bは、回復後、一次感染から10ヵ月目に入手した。 第二段階として、陽性対照60μl(2/3希釈)に種々の血清60μl(1 00%)を加えた。混合物を室温で8時間インキュベートし、その後選択アッセ イにおいてHBeAgを検査した。結果(図2B)は、陽性対照は正常ヒト血清 とのインキュベーションすると高い吸光度を示したが、代わりに選択アッセイで の陰性血清(生体分子が存在するHBeAgに結合していたことを示す)あるい はアボット抗HBeアッセイで抗HBe陽性の血清を使用した場合シグナルは低 下した。これらの結果は、アボットHBeAg EIAあるいはHBe MAB アッセイでは陽性であるがHBe選択アッセイでは陰性の血清 は、HB.OT95Aのエピトープをブロックすることができる生体物質を含む ことを明確に示した。162bのような抗HBe陽性血清についても同じことが 結論されるはずである。実施例5: この実施例は、アボットHBeAg EIAではHBeAg陽性であるが選択 アッセイでは陰性の血清が、HBeAgと生体分子の複合体を含むこと、ならび にこれらの生体分子はおそらくIgG型の抗HBeAg抗体であることを示すも のである。 HBeAg陽性血清からのIgGとIgM分子を、従来の手法に従ってタンパ ク質Aクロマトグラフィーを用いて精製した。溶出分画中のHBeAgをオルガ ノン・テクニカ社(Organon Teknika)のヘパノステイカ(He panostika)HBeAg/抗HBeアッセイを用いて定量した。 つづいて、適当なEIAアッセイを用いてHBeAgに結合したIgGとIg M分子を検出した。このアッセイでは、ソリン社(Sorin)から入手したモ ノクローナル364C8を固相に被覆した。HBeAg−IgG複合HBeAg 陽性分画を1/30あるいは1/100倍に希釈し(希釈媒質はPBS中20% 正常ヤギ血清(7.2)と1%トリトン−X100)、 サンプル100μlを固相と接触させた。マウス抗ヒトIgGあるいはIgM HRP複合体を第二抗体として使用した。2番目の実験では、異なるHBV感染 ドナーからの種々の希釈していない血清を、前述の精製段階を経ずに個々にEI Aで検査した。 2つの実験の結果は、アボット社あるいはオルガノン・テクニカ社のHBeA g EIAで陽性であるが選択アッセイでは陰性の血清は、常に抗HBeに結合 したHBeAgを含むことを示唆した。HBeAgに結合した抗HBeはすべて IgGサブタイプであることが認められた。実施例6: 本実施例は、HBeAg複合体から得た生体分子(抗HBe抗体)が選択アッ セイにおいてHBeAgの反応性を阻害しうることを例証する。抗HBe抗体の精製 HBeAgを親和性クロマトグラフィーによって精製した。MABソリン36 4C8(セファロース5mg/ml)をファルマシア社(Pharmacia) が述べている方法に従って(「親和性クロマトグラフィーの原理と方法:リガン ドをCN Br活性化セファロース4Bに結合するための方法」)CNBr−セファロース 4B(ファルマシア社)に結合させた。HBeAg陽性血清(オルガノン・テク ニカ社(Organon Teknika)のヘパノスティカHBeAg/抗H Beアッセイ(陽性)および選択アッセイ(陰性))20mlを、MABソリン 364C8を含むセファロース1mlに加えてHBeAgを精製した。混合物を 回転下に4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、結合していな い分画をゲル物質から分離し、PBS/ツイーンpH7.2洗浄緩衝液(オルガ ノン・テクニカ社、PBS洗浄緩衝液)を用いてゲル物質を洗浄した。5M N aSCN(バッチワイズ5分 AT)を使用して結合分画を溶出した。溶出分画 をゲル濾過(セファデックスG75 0.5×14cm)によってさらに精製し た。合計0.5mlの溶出分画をTNE緩衝液(pH7.4、0.1Mトリス/ HCl、0.1M NaCl、0.1M EDTA)を用いて精製した。流量は 1ml/分であった。分画を0.5mlの間隔で収集した。溶出した最初のタン パク質を含む3番目の0.5ml分画(分画3)をその後の実験に使用した。阻害実験 分画3を正常ヒト血清中で希釈するか(1:10)、あるいはHBe選択アッ セイでHBeAg陽性のヒト血清(例えば血清nr343、実施例3参照)また は正常ヒト血清と直接1:1で混合した(陽性対照)。混合物を環境温度で一晩 インキュベートし、上述したように選択アッセイで試験した。実験結果 結果は、分画3とのインキュベーションにより、選択アッセイにおいてHBe Ag陽性血清のシグナルが低下することを示した。これは正常ヒト血清を使用し た陽性対照とは異なっていた。分画3を事前の希釈段階なしで使用した場合には 合計15.3%の阻害が得られた。分画3をHBeAg陽性血清とのインキュベ ーション前に濃縮すれば、より高い阻害が予想できる。 この結果は、分画3が選択アッセイにおいてHBeAgシグナルを低下させる ことができる生体分子を含むことを示した。これらの生体分子は、種々のHBe AgアッセイではHBeAg陽性であるがHBe選択アッセイでは陰性のヒト血 清中に自然に発現するHBeAg複合体から誘導される。明らかに、生体分子は 部分的精製後もエピトープマスキングの能力を保持して いる。実施例7: この実施例は、どのようにしてNaSCNを用いてHBeAg複合体を解離す ることができるかを示す。 方法 様々なHBeAg陽性血清(HBe MABアッセイ)をHBV感染患者から 採取した。血清を5M NaSCNあるいはPBS pH7.2で希釈した。正 常ヒト血清を陰性対照として使用した。血清を混合し、環境温度で1時間あるい は4℃で一晩、振とう装置でインキュベートした。インキュベーション後、正常 ヒト血清を用いて血清を希釈した(1:5、1:20、1:30および1:10 0)。HBe選択アッセイを使用して、HBe反応性に関して血清を試験した。 精製したHBeAg複合体を用いて同様の実験を実施した。HBeAg複合体 を実施例5で述べたように精製した。精製していない血清を陽性対照として使用 した。精製後、溶出分画をNaSCNあるいはPBS pH7.2で希釈し(1 :1)、HBe選択アッセイにおいて試験した(1:50)。正常ヒト血清を希 釈液として使用した。開始物質と非結合分画を同じよ うに処理した。結果 結果は、HBe選択アッセイにおいて中等度から高度に陽性(1:20希釈で 1000A450nmからのシグナル)である血清では、NaSCNを加えると 1:5の希釈で最初のシグナルがわずかに低下した。しかし、1:10以上の希 釈では、PBSあるいはNaSCN処理の間で差を認めなかった。最初にHBe 選択アッセイで軽度に陽性であった血清では、血清をNaSCNと共にインキュ ベートするとHBeシグナルが大きく上昇した。この作用は1:100の希釈で も認められた。選択アッセイでは完全に陰性で、HBe MABアッセイでは軽 度に陽性であった血清は、NaSCNによる処理後も陰性のままであった。この 作用はおそらくアッセイの感受性によって生じたものであろう。 精製後、HBeAg複合体がHBe MABアッセイを用いて溶出分画中で同 定できることが認められた。これらの複合体が、PBSによる希釈後はHBe選 択アッセイで陰性のままであるが、NaSCNによる処理後には陽性になること も認められた。結論として、NaSCNによるHBeAg複合体の解離 はHBe選択アッセイにおけるHBeAgエピトープの認識を生じさせる。実施例8: この実施例は、HBe S型とHBe N型を識別するために使用することが できる新しい方法を示す。生物学的物質 合計22の血清をHBV感染患者から入手し、そのうち19は感染の慢性期、 3は急性期に採集した。すべての血清が、アボット社のHBeAg IMXアッ セイおよびオルガノン・テクニカ社のHBe MABアッセイでHBeAg陽性 であった。配列決定 完全なHBeAg配列を実施例3で述べたようにして決定した。血清をアミノ 酸97(セリン(S)あるいはアスパラギン(N))に基づいてHBe S型と N型に分類した。二者択一サブタイピングのための方法 各々のHBeAg陽性血清を、オルガノン・テクニカ社のHBe MABアッ セイとオルガノン・テクニカ社のHBe選択アッセイにおいて広汎な希釈シリー ズ(1/3、1/5、1/10から1/1000まで)で試験した。正常ヒト血 清(両 方のアッセイでHBeAg陰性)を希釈液として使用した。どちらのアッセイも 同じ条件下で実施した。 累積、用量反応あるいはS字形のような様々なモデルを用いて、各希釈曲線の 最適のものを決定し、その後の計算に使用した。1000の吸光度に関連する任 意ユニットの総量(1任意ユニット=希釈の逆数)を各々の血清について測定し た(AU1000)。その後、各血清について、オルガノン・テクニカ社のHB e MABアッセイで測定したAU1000を、オルガノン・テクニカ社のHB e選択アッセイで測定したAU1000で割った。結果 我々の実験から、この方法が、HBeAgの配列決定を行わずにHBe S型 とHBe N型を識別するのに適していると結論することができた(図3)。我 々の結果は、0.03未満の比率はHBe S型を意味し、一方0.13を越え る比率はHBe N型と結びつくことを示唆した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 ヘエイテインク,ルドルフ・アルノルド オランダ国、エヌ・エル―4285・ウエー・ イエー・ウードリツヘム、アウデンデイ ク・67

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.完全なHBeAg配列のアミノ酸85−109を含む領域中に存在するHB eAg上のエピトープをマスキングすることができる生体分子とHBeAgとを 含む循環複合体の存在を、急性期のサンプルにおいて検出することによる、急性 B型肝炎感染の患者での感染の経過を予測するための方法。 2.該サンプルを、ECAACにNo.95090611として寄託されている 細胞系が産生する抗体と同じHBeAgに対する免疫反応性を有する抗体に接触 させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 3.該抗体が、ECAACにNo.95090611として寄託されている細胞 系によって産生されるモノクローナル抗体である請求項1または2に記載の方法 。 4.該抗体が固相を被覆していることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれ かに記載の方法。 5.固相上の抗体によって認識されるエピトープを認識しないHBeAgに対す る標識抗体と固相を接触させることにより、固相上に形成された免疫複合体を検 出することを特徴とする、 請求項4に記載の方法。 6.前記の標識抗体がヒトモノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項 5に記載の方法。 7.該サンプル中に存在するHBeAgを含む複合体を解離させ、それによって サンプル中に存在する生体分子を遊離させ、該生体分子に特異的に結合すること ができるペプチドあるいは組換えタンパク質あるいは他の何らかの物質にサンプ ルを接触させて、結合生体分子を検出することを特徴とする、請求項1に記載の 方法。 8.配列番号1あるいは配列番号2に記述されているアミノ酸配列の少なくとも 一部を含むペプチドを使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 9.急性HBV感染の患者での感染経過を予測するための方法において、HBe Agに結合した特異的生体分子を含む循環複合体の検出のためのアッセイの使用 。 10.−No.95090611としてECACCに寄託されている細胞系から 誘導されるモノクローナル抗体と同じHBeAgに対する反応性を有する第一抗 体で被覆した固相、 −第一抗体とサンプル中に存在するHBeAgの間で固相上に 形成された免疫複合体と反応することができる第二抗体を含む標識試薬 を含む、急性B型肝炎感染の経過を予測するための方法において使用することが できる試験キット。 11.No.95090611としてECACCに寄託されている細胞系から誘 導されるモノクローナル抗体と同じHBeAgに対する反応性を有するモノクロ ーナル抗体。 12.B型肝炎感染の結果を予測するための方法において、No.950906 11としてECACCに寄託されている細胞系から誘導されるモノクローナル抗 体と同じHBeAgに対する反応性を有するモノクローナル抗体の使用。 13.請求項11に記載のモノクローナル抗体を産生することができる細胞系。 14.No.95090611としてECACCに寄託されている細胞系。 15.(a)No.95090611としてECACCに寄託されている細胞系 から誘導されるモノクローナル抗体と同じHBeAgに対する反応性を有する抗 体で被覆した固相とHBeAgを含むサンプルの一部とを接触させ、固相上に形 成された免 疫複合体を検出し、 (b)S型のHBeAgとN型のHBeAgとに対して同じ反応性を持つ抗HB eAg抗体で被覆した固相とサンプルの一部を接触させ、 (c)(a)と(b)の段階で得られた反応性の割合から、サンプル中に存在す るBe型肝炎抗原がN型であるかS型であるかを判定する、 段階を含む、S型のBe型肝炎抗原(HBeAg)とN型のHBeAgを識別す るための方法。
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