JP2000505972A - 高入力インピーダンスと高電力効率を有する線形高周波増幅器 - Google Patents
高入力インピーダンスと高電力効率を有する線形高周波増幅器Info
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Abstract
(57)【要約】
高周波電力増幅回路は、小型かつ経済的な回路構成で高入力インピーダンス、良好な線形性、高い電力効率および正確なバイアス電流制御を提供する。この増幅器は、能動的プルダウン能力と能動プルアップ能力の両方を有する対称形のプッシュプル・エッミッタフォロワにより駆動される単一出力の出力段を含む。エミッタフォロワ段は、能動位相反転段によって駆動され、位相反転段のバイアス電流とその後続段のバイアス電流は、この位相反転段に直接接続されることがあるバイアス電流制御段によって供給される。電圧−電流線形変換段は、高周波入力電圧を受けて出力段の電流を制御するバイアス電流制御段の入力端子へ高周波電流信号を供給する。
Description
【発明の詳細な説明】
高入力インピーダンスと高電力効率を有する線形高周波増幅器
技術分野
本発明は、トランジスタ増幅器回路の分野に属し、特に、高効率の高周波線形
電力増幅器に関する。
背景技術
高周波電力増幅器は、最適のコレクタ効率を達成するため、出力電力段として
エミッタ接地(またはFETの場合はソース接地)の回路構成を用いるのが一般
的である。出力段の入力インピーダンスは、一般的に低く(一般的に数オーム以
下)、他の駆動回路またはインピーダンス変換段のいずれかにより駆動する必要
がある。増幅器全体の高い効率を保証するため、前段によって消費される電力は
、最小限にしなければならない。
L−C変換段を用いるときは、電力は一般的に回路内の寄生的成分になるまで
失われる。モノリシックシリコンにより実施する場合は、集積コイルを用いると
きに利用できる品質係数(Q)がもともと小さい(典型的な場合では、Qは5よ
りも小さくなる)ために、この損失は重大なものになり得る。例えば、830M
Hzで作動する1Wの電力増幅器では、インピーダンス変換段における損失は、
増幅器の効率を約30%に制限することの主な理由である。
インピーダンス変換網を用いる替りに、エミッタ(またはソース)フォロワ段
のような能動的なインピーダンスバッファを用いる方法がある。この段は、多少
の電流利得を提供することができ、また、高い値の入力インピーダンスを達成す
ることができる。しかしながら、この方法では、負性抵抗の効果が本来存在する
ために、増幅器の安定動作が可能になる前にこれを十分に補償しなければならな
い。これにもかかわらず、エミッタフォロワ技術は、830MHzの増幅器の入
力段と中間段の双方のインピーダンス値を押上げるためにうまく使用されてきた
。この技術の応用を出力段に拡大することは、エミッタフォロワ自体が大量の電
力を消散させる傾向にあったので、効率を考慮したために、これまで実行可能な
解決方法ではなかった。
従来のエミッタフォロワの設計では、出力に対称的な充電能力および放電能力
があることを保証するため、零入力電流を比較的高い値でバイアスしなければな
らない。しかしながら、このような高い電流値は、好ましくない電力損失をもた
らす。先行技術において、出力放電経路は、抵抗または定電流源のいずれかによ
って供給される。抵抗または電流源の値は、零入力電流がプルアップ・トランジ
スタにより供給されている駆動電流の最大値以上になるように選択しなければな
らない。この駆動電流は、出力トランジスタのコレクタ電流の最大値(f/fT
で決る。ここでfは動作周波数であり、fTはトランジスタの統一利得帯域であ
る。)の約10%であることが一般的に必要なので、このことは、コレクタ出力
電流の平均値の約31%(クラスBのバイアシング用)に相当する。しかしなが
ら、もしエミッタフォロワの零入力電流を出力トランジスタのコレクタ平均電流
の少なくとも31%にしなければならないとすれば、このことは、高効率の増幅
器の設計において、容認できない損失を意味する。
エミッタフォロワ段における損失の減少を助力する解決法の一つに、この段に
プッシュプル能力を導入する方法がある。これにより充電電流および放電電流を
零入力電流の値から独立させることができ、これによりバイアス電流の値を著し
く減少させることができる。しかしながら、このような方法をモノリシック形態
で実現すること、特にエミッタフォロワ段と出力段の双方で零入力電流の正確な
制御を維持することが望まれる場合には、明らかに効果的であるとはいえない。
この最後の要求は、プロセス、供給電圧および温度が変化しても、増幅器の能力
が変化しないように保証する上で重要である。
今日の携帯可能な通信機器、例えばセルラーホンやパーソナル通信システム(
PCS)などの多くで、高周波数(800MHz〜2GHz)でアンテナを駆動
するため、送信機の中に電力増幅器が必要とされる。これらの増幅器は、十分に
充電されていないうちにバッテリから電流が流れないようにするため、高レベル
の(典型的には40%を超える)効率で作動しなければならない。高い効率を達
成するための広く知られた方法は、増幅器を非線形動作モード、例えばクラスB
以上でバイアスすることである。しかしながら、クウォルコム社(Qualcomm Inc.
)によって開発されたコード分割マルチアクセス(CDMA;Code-Division-Mul
tiple-Access)として知られている近年普及した通信規格では、送信機の増幅器
は、広帯域の出力電力レベルにわたって一定の利得および位相特性を維持できな
ければならない。この要求は、クラスBのバイアシングのような非線形バイアシ
ング方法の利用を制限し、このため、線形でかつ電力効率が良く、この一方、高
周波数で動作できる増幅器の必要が生じる。このような増幅器はまた、容易に小
型化できるとともに、経済的に製造できるものでなければならない。
一般的に、効率が高く、利得および位相が一定の増幅を実現するのは、特に高
周波数では、困難である。従来の方法は、増幅器を線形、即ちクラスAモードで
作動することであった。このモードでは、傾き、即ち利得が出力値から独立して
一定を維持するように、出力パラメータが入力パラメータの変化に伴って線形に
変化する。たいていの増幅器の動作は本来非線形であるため(例えば、バイポー
ラトランジスタは、指数的な電圧−電流特性を有している)、増幅器は、その線
形性を保持するためにかなり大きな値の直流電流で、かつ、出力の振れをかなり
制限してバイアスしなければならない。交流の振れが小さいことと大きな直流バ
イアスとのこのような組合わせは、線形モードで得られる効率が低い(典型的に
は、25%未満)ことの直接の原因である。
前述したとおり、増幅器をバイアスしてより高い効率を実現するためには、ク
ラスBのバイアシングという従来の方法が一般的には好ましい。この方法では、
増幅器は非常に小さな零入力電流でバイアスされ、この一方、大きな交流信号が
出力を強制的に大電流の状態にするために用いられる。これを達成するため、非
常に大きな入力の振れがバイアス点の近傍で供給される。しかしながら、出力は
増幅機器の非線形特性に必ず従うため、増幅器の利得は、信号量の関数として変
化する。従って、クラスB増幅器の利得は、一般的に非線形であり、出力電力量
の関数として変化する。
増幅器の入出力特性を線形化するために回路技術が利用できるが、一般的に、
これには、負帰還を用いるか、線形化素子としての抵抗を用いるか、またはこれ
らの両方を用いる必要がある。負帰還を用いることは、一般的に困難である。こ
れは、高周波では寄生的な極が発生するために負帰還が正帰還に反転することが
あり、その結果、動作が不安定になったり、歪みが生じたりするからである。こ
の一方、出力段に抵抗を用いることは、−般的に大きな抵抗損失を意味し、この
抵抗損失は増幅器の電力効率の低下の大きな原因となる。
従って、プロセス、供給電圧、または温度が変化しても増幅器の特性が変化し
ないことを保証するためには、線形の動作、高入力インピーダンス、低電力消費
駆動段および独立制御のバイアス電流の利点を提供する高周波増幅器を有するこ
とが望ましい。これに加え、このような回路が設計上単純かつコンパクトで経済
的に製造されることが望ましい。
従って、本発明の目的は、増幅器の電力効率を最適化し、プロセス、供給電圧
および温度の変化に起因する特性の変化が最小限となることを保証するために、
線形動作、高入力インピーダンス、駆動段における低電力消費、および独立制御
のバイアス電流を含む特徴を組合わせた高周波増幅器を提供することにある。本
発明の目的はまた、設計上単純かつコンパクトで、経済的に製造される線形高周
波増幅器を提供することにある。
発明の開示
本発明によれば、上記目的は、能動的プルダウン能力と能動的プルアップ能力
の両方を有する対称的なプッシュプル・エミッタフォロワ段により単一出力の出
力段が駆動される新規な線形高周波増幅器回路により達成される。次に、プッシ
ュプル・エミッタフォロワ段は、少なくとも2つのトランジスタを用いてこのプ
ッシュプル・エミッタフォロワ段に2つの低インピーダンスの反転位相出力を供
給する位相反転段により駆動される。エミッタフォロワ段および出力段と同様に
位相反転段へのバイアス電流が正確に制御され得るように、バイアス電流制御段
(バイアス段)が位相反転段へバイアス電流を供給するために用いられる。
第1の実施の形態において、バイアス電流制御段は、高周波数において高周波
入力信号から、例えば、コイルまたは抵抗によって絶縁される。
第2の実施の形態において、バイアス電流制御段は位相反転段に直接接続され
、増幅されるべき高周波入力電圧は、電圧−電流線形変換段に供給され、その出
力は、位相反転段の入力に接続されて、これに入力される入力電圧に比例した高
周波電流信号を供給する。
バイアス電流をこのように正確に制御できることにより、電圧、プロセスおよ
び温度が変化しても、増幅器の特性を安定化することができる。また、これによ
り、増幅器の利得を例えば自動利得制御機能(AGC)により制御することがで
き、さらに、増幅器の特定の応用における効率、利得および線形性の要求の好ま
しい組合わせを最適に満たすため、増幅器の動作レベルを制御することも可能に
なる。
本発明の実施の一形態によれば、高周波数(600MHzを超える)でも利用
可能であるが出力段では損失をもたらす抵抗素子は何も用いていない、線形な利
得、傾きが一定の入出力特性を有する増幅器が提供される。従って、この回路は
、
いくつかの応用(例えばCDMA)で記述される一定の利得および位相の要求を
満たしながら、損失が小さく、また、小さなバイアス電流または0のバイアス電
流ですらバイアスすることができ、比較的高い効率を実現する。直流入力または
構成部分の値を適切に選択することにより、増幅器の重要な特性(利得、入力オ
フセット、電流バイアス量)を正確かつ電気的に調整することができるという点
でそのトポロジーは、全く柔軟でもある。これに加えて、このトポロジーは、従
来のシリコンバイポーラプロセスで高度に集積化でき、npnの構成部分により
高周波信号を増幅することができ、これにより、性能の高い相補的部品を用いる
高価なプロセスの必要が解消する。
本発明の好ましい実施形態において、位相反転段は、主電流経路が電力供給端
子とグランド端子との間に直列に接続された3つのトランジスタを備えており、
2つの反転位相出力信号は、第1および第2のトランジスタの主電流経路の間の
接続と、第2および第3のトランジスタの主電流経路の間の接続から取出される
。
本発明のより好ましい実施形態において、プッシュプル・エミッタフォロワ段
は、主電流経路が電力供給端子とグランド端子との間に直列に接続された2つの
トランジスタを備えており、位相反転段からの2つの反転位相出力が2つのトラ
ンジスタの制御端子に供給され、また、エミッタフォロワの出力は、これら2つ
のトランジスタの主電流経路の間の一点から取出される。
本発明のさらに好ましい実施形態において、バイアス電流制御段(バイアス段
)は、位相反転段の第1および第2のトランジスタの制御端子にバイアス電流を
直接供給し、また、位相反転段の入力端子は、第2のトランジスタの制御端子で
ある。
本発明に係る高周波増幅器は、優れた線形性、高い入力インピーダンス、高い
効率、および正確なバイアス電流制御を含む特徴の特に有利な組合わせを単純か
つ経済的な構成で取得することができるという顕著な改善を提供する。
本発明の上述した側面および他の側面は、以下に記述する実施形態を参照しな
がら明らかになる。
図面の簡単な説明
本発明は、添付図面との関連で以下の説明を読み参照することでより完全に理
解されるであろう。図面においては、
第1図は、本発明に係る高周波増幅器の第1の実施の形態の模式図を示し、
第2図は、本発明に係る高周波増幅器の第2の実施の形態の模式図を示し、
第3図は、本発明に係る高周波増幅器の第3の実施の形態の模式図を示し、さ
らに、
第4図は、第3図に示す回路中で用いるのに好適な電圧−電流線形変換器の模
式図を示す。
図面において、同一の部分は、一般的に同一の参照番号を用いて指示する。
発明を実施するための最良の形態
高周波増幅回路の第1の実施の形態を第1図に模式的に示す。同図に示す増幅
回路は、エミッタ共有で形成されたトランジスタQ1を有し、適切な電源に接続
され、作動中は負荷部分に接続される出力端子OUTに接続されるコレクタ端子
を有する単一出力の出力段を含んでいる。同図に示すトランジスタは、npnバ
イポーラトランジスタであるが、他の種類のトランジスタを代替的に用いること
もできると理解すべきであることは注目すべきことである。また、同図に示す回
路は、動作中は上方および下方の電源端子、即ち、それぞれ上向きと下向きの矢
印で示す、VCCおよびGNDの間に接続されるということも理解すべきである
。
出力トランジスタQ1は、トランジスタQ2およびQ3を備えたプッシュプル
・エミッタフォロワ段で駆動される。トランジスタQ2およびQ3は、いずれも
主電流経路が直列に接続され、トランジスタQ1のベースは、トランジスタQ2
のコレクタとトランジスタQ3のエミッタとの間の共通接続に接続されている。
トランジスタQ1のコレクタの出力は、電流として取出すことができ、さもなけ
れば、コイル、抵抗、または電流源のようなインピーダンスによって電圧または
電力レベルに変換することができる。
エミッタフォロワ段にプッシュプルの能力を与えるために、補足信号をトラン
ジスタQ2およびQ3のベースに供給しなければならない。これらの信号は、主
電流経路が電源端子間に直列に接続されたトランジスタQ4,Q5およびQ6を
備えた能動位相反転段で生成される。この位相反転段からの反転位相出力は、第
1図に示すように、それぞれ、トランジスタQ4およびQ5間の接続とトランジ
スタQ5およびQ6間の接続から取出される。
増幅器への高周波入力は、端子INから供給され、コンデンサC1によって位
相反転器のトランジスタQ5のベースに接続される。動作中において、位相反転
器は、Q5のエミッタで同位相の信号を生成し、トランジスタQ5のコレクタで
位相が180°移動した信号を生成して反転位相信号を生成し、これがトランジ
スタQ2およびQ3のベースにそれぞれ供給される。これに加えて、トランジス
タQ6は、トランジスタQ5に対する低インピーダンスの負荷として動作し、こ
れにより、トランジスタQ3のベースで発生する負性抵抗のいずれをも打消すこ
とに寄与し、また、ダイオード接続のトランジスタQ4は、トランジスタQ5に
対してエミッタ非形成トランジスタとして動作し、この一方、トランジスタQ2
およびQ4を備えたカレントミラーを経由して出力トランジスタQ1から放電す
る電流の供給をも行う。
出力段とエミッタフォロワ段におけるバイアス電流制御は、第1図に示すよう
に接続されたトランジスタQ7〜Q10と2つの電流源IB1およびIB2を備
えた直流バイアス段を用いることにより達成される。本回路において、トランジ
スタQ6のベースは、トランジスタQ9のベースおよびコレクタに直接接続され
ており、この一方、トランジスタQ5のベースは、バイアス電流制御回路を高周
波入力信号から絶縁するためにオフ・チップコイルL1によってトランジスタQ
8のベースに接続されている。
第1図に示す回路においては、出力段における零入力電流を電流源IB1に比
例させることができ、この一方、エミッタフォロワ段における電流を電流源IB
2に比例させることができる。IB1とIB2を外部から制御することにより、
出力段のバイアス条件の総合的な制御が得られる。
バイアス段が増幅器の電流に影響を及す様子を理解するために、回路中のトラ
ンジスタが全て同一であり、かつ、完全に整合がとれているものと仮定する。キ
ルヒホッフ(Kirchhoff)の法則により、直流電圧VBE4+VBE5は、VB
E7+VBE8に等しくなければならない。IB2がトランジスタQ7およびQ
8内を流れるので、IB2は、トランジスタQ4およびQ5内をも流れなければ
ならない。トランジスタQ2およびQ4は、カレントミラーを備えているので、
IB2は、エミッタフォロワ・トランジスタQ2およびQ3内をも流れなければ
ならない。同様にして、VBE1+VBE3+VBE6=VBE4+VBE5+
VBE10(コイルL1による電圧降下は無視できるものとする)であり、トラ
ンジスタQ2,Q3,Q4,Q5およびQ6は全てVBEおよびバイアス電流が
同一値であるので、VBE1は、VBE10に等しくなければならない。トラン
ジスタQ10の零入力電流が電流源IB1によって決定されるため、IB1は、
従って、出力トランジスタQ1における零入力電流を決定する。
トランジスタ対の間のエミッタ面積比を適切に設計することにより、トランジ
スタQ1内の電流をIB1の値に直接比例(むしろ等しく)させることができ、
また、トランジスタQ3およびQ2内の電流をIB2の値に比例させることがで
きる。例えば、その比率をそれぞれ32対1および4対1とさせることができる
。この回路構成を用いることにより、エミッタフォロワの零入力電流は、電力を
節減し、かつ効率を向上させる目的で比較的低い値にまで正確にバイアスするこ
と
ができ、この一方、出力トランジスタQ1のベースは、RF入力の周波数と等し
い周波数でトランジスタQ3およびQ2により補足的ではあるが効率の良い方法
で充電させ放電させることができる。
外部のコイルによりRF非接続を達成する第1図の回路の代替として、第2図
の先行技術中の抵抗R1に示すように、RF入力に対して開放した回路として効
果的に動作するようにその値が十分に大きなモノリシック抵抗でコイルを置換え
ることによりフルモノリシック回路への適用を達成することができる。抵抗R1
の典型的な値は、200〜1000オームの範囲にある。しかしながら、この抵
抗での直流電圧降下(一般的には小さく、約0.2V以下)を適合させるため、
上述したようにVBEの好ましい相殺を達成するために、等量の電圧降下をトラ
ンジスタQ6とQ8のベースに加えなければならない。このことは、抵抗R2お
よびR3にそれぞれ示すように、トランジスタQ6およびQ8のベースに等量の
抵抗値を追加しなければならないということを意味する。この抵抗は、一般的に
、RF増幅器の交流動作に大きな変動を及すことなく追加することができる。
高周波数と良好な線形性の両方を獲得する鍵は、線形な電圧特性および電流特
性を示し、かつ、高周波数においても線形性を維持する回路を提供することであ
る。これにより、クラスBの増幅器の場合のように、非常に低い零入力電流で増
幅器をバイアスするが、線形特性のために、より大きな電力量で駆動しても、利
得と位相のいずれも変化しない。
本発明に係る線形増幅器は、第3図に示すように、その上流に電圧−電流線形
変換(相互コンダクタンス)段20が設けられた線形電流利得電力段を備えてい
る。線形電流利得段は、第1図および第2図の非線形高効率相互コンダクタンス
利得増幅器から引出される。第1図および第2図において、RF入力は、交流結
合コンデンサC1によってトランジスタQ5のベースにおける入力ノードに印加
される。この入力ノードへの直流バイアスは、コイル(第1図)または抵抗(第
2図)によってバイアス段から供給される。これらの素子は、バイアス段をRF
入力信号から絶縁することを求められる。このバイアス段は、3つの段全ての直
流バイアス電流を直流バイアス電流IB1およびIB2によって制御できる、と
いう好ましい特性を有している。第1図および第2図においては、Q10のエミ
ッタは低インピーダンスノードであるために、これをQ5のベースに直接接続す
れば入力RF電圧を激しく減少させることになるため、絶縁素子を用いることが
必須である。
しかしながら、第3図に示す実施形態において、Q10のエミッタとQ5のベ
ースは、慎重に相互接続される。入力IINは、ここでは、上流の相互コンダクタ
ンス段20から生成される交流電流信号から供給される。この入力は、ここでは
電圧に代替する電流であるため、Q10のエミッタにおける低インピーダンスは
、信号を減衰するような動作をしない。Q10のVBEは、出力トランジスタQ
1のVBEを辿るため、Q10へ流れる上流段からの交流および直流のいずれも
出力トランジスタQ1によって線形に増幅され、Q1とQ10との間のエミッタ
面積比によって電流利得が与えられる。図3に示す回路配置において相互コンダ
クタンス段20は、出力段における電流を制御するバイアス電流制御段の入力端
子へ高周波電流信号を供給する。この信号がnpnトランジスタのみを流れるよ
うに保証することにより、高周波動作を取得することができる。
電圧−電流線形(相互コンダクタンス)段20の配設は、様々な方法で完遂す
ることができる。図4に好ましい実施形態を示す。同図には、線形抵抗R4によ
って絶縁された2つのテール電流源IBを有するnpnトランジスタQ11およ
びQ12を備えた差動段が示されている。この差動段は、出力段の電流よりもか
なり小さな電流で作動するため、抵抗R4によって被る損失は、無視できるもの
と考えることができる。VBIASの点で電圧VINが増大すると、出力電流IINは、
(VIN−VBIAS)/R4の関数としてほぼ0から2IBまで線形に増大する。R
4,IBおよびVBIASの値を制御することにより、バイアス点と相互コンダクタ
ンス利得とを柔軟に制御することが可能である。
図4に示す電圧−電流変換器20のような相互コンダクタンス段を図3に示す
増幅器回路に接続して用いると、単一の回路において低い零入力電流という効率
上の利点を線形増幅という動作上の利点に組合わせることができる。
この方法により、本発明は、増幅器の線形性と電力効率のいずれをも最適化し
、プロセス、供給電圧および温度における変化による特性の変動が最小のものに
なることを保証するため、線形性に優れ、入力インピーダンスが高く、駆動段に
おける電力消費が小さく、バイアス電流が独立に制御される高周波増幅回路を提
供する。加えて、本発明は、設計において単純かつコンパクトであり、経済的に
製造できる高周波増幅器を提供する。
いくつかの好ましい実施形態を参照しながら、本発明を特に示して説明したが
、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々
な変更を行うことができるということが当業者によって理解されるであろう。従
って、例えば、異なるタイプのトランジスタを好適に用いることもでき、また、
特定の設計要求に適合するように回路構成に対する些細な変更を行うこともでき
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 制御端子と出力端子を有する単一出力の出力段(Q1)と、 第1および第2の入力端子と、上記出力段の制御端子に接続された出力端子と を有するプッシュプル・エミッタフォロワ段(Q2,Q3)と、 入力端子と、少なくとも2のトランジスタと、上記エミッタフォロワ段の上記 第1および第2の入力端子に接続された第1および第2の低インピーダンス反転 位相出力端子と、を有する位相反転段(Q5,Q6)と、 上記位相反転段の上記少なくとも2のトランジスタにバイアス電流を供給する バイアス電流制御段(Q7〜Q10;IB2)と、を備えた線形高周波増幅器。 2. 上記バイアス電流制御段は、高周波数においてこの高周波数の入力信号 と絶縁されていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の線形高周波増幅器。 3. 上記バイアス電流制御段は、上記位相反転段に直接接続され、 高周波入力電圧の印加を受ける入力端子と、上記位相反転段の上記入力端子に 接続され上記入力電圧に比例する高周波電流信号を供給する出力端子と、を有す る電圧−電流線形変換段(20)をさらに備えたことを特徴とする請求の範囲第 1項記載の線形高周波増幅器。 4. 上記位相反転段は、それぞれの主電流経路が電力供給端子(Vcc)と グランド端子(GND)との間に直列に接続された第1(Q6)、第2(Q5) および第3(Q4)のトランジスタを備え、 上記第1の反転位相出力端子は、上記第1(Q6)および第2(Q5)のトラ ンジスタとの間の一点に接続され、 上記第2の反転位相出力端子は、上記第2(Q5)および第3(Q4)のトラ ンジスタの間の一点に接続されている、ことを特徴とする請求の範囲第1項記載 の線形高周波増幅器。 5. 上記プッシュプル・エミッタフォロワ段は、それぞれの主電流経路が上 記電力供給端子(Vcc)と上記グランド端子(GND)との間に直列に接続さ れた第4(Q5)および第5(Q2)のトランジスタを備え、 上記エミッタフォロワ段の上記第1および第2の入力端子は、上記第4(Q3 )および第5(Q2)のトランジスタの制御端子をそれぞれ備え、 上記エミッタフォロワの出力端子は、上記第4(Q3)および第5(Q2)の トランジスタの間の一点に接続されている、ことを特徴とする請求の範囲第4項 記載の線形高周波増幅器。 6. 上記バイアス電流制御段は、上記位相反転段の上記第1(Q6)および 第2(Q5)のトランジスタの制御端子にバイアス電流を供給し、 上記位相反転段の入力端子は、上記第2のトランジスタ(Q5)の制御端子を 備えた、ことを特徴とする請求の範囲第5項記載の線形高周波増幅器。 7. 上記電圧−電流線形変換段(20)は、差動段(Q11,Q12)を備 えた、ことを特徴とする請求の範囲第3項記載の線形高周波増幅器。
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