JP2000505645A - カルシウム結合プロテオリピド組成物および方法 - Google Patents

カルシウム結合プロテオリピド組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、インビトロでのカルシウム結合を誘導し得るC.matruchotiiからの膜会合プロテオリピドをコードするDNAのクローン化および配列決定に関する。プロテオリピドは、C.matruchotiiの培養物から抽出され、そして脂質成分およびSDS-PAGEによって決定される約5.0、5.5、および7.5kDaの分子量を有する3つのアポタンパク質に分離された。本発明はまた、膜会合プロテオリピドに対して指向するポリクローナルおよびモノクローナル抗体、ならびにこれらの抗体とともに開発された免疫学的アッセイを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 カルシウム結合プロテオリピド組成物および方法 1.0 発明の背景 1.1 発明の分野 本発明は、タンパク質化学および免疫学の分野に関する;特に、新規なカルシ ウム結合プロテオリピドの単離および特徴付け、コードDNA、ならびに歯石およ び心弁石灰化のような種々の病理学的状態における石灰化細菌の検出のための新 規なタンパク質の使用方法に関する。 1.2 関連技術の説明 多数の研究が、一過性の菌血症および心内膜炎の病因論における口腔細菌に関 係している(EverettおよびHirschmann,1977)。特に、いくつかの研究は、C.m atruchotiiが細菌性心内膜症の発生および二尖心弁の石灰化において役割を果た し得ることを示している(Cohenら、1992;Iakovidisら、1992)。 Corynebacterlum matruchotliは、歯石形成に関連する口腔の細菌居住者であ る。早くも1925年に、C.matruchotii(Leptothrix buccalisおよびBacterionem a matruchotiiとして以前知られていた)は、歯からかき取った石灰化堆積物中 に存在することが示された(Bulleid,1925)。その後、これらのリン酸カルシ ウム含有堆積物は、歯石中の細菌に起因しており、そしてその生成物は種々の環 境要因によって調節されることが示された(Ennever,1960;Wassermanら、195 8;Zanderら、1960)。光学および電子顕微鏡レベルでは、これらの細菌におけ る鉱物化が、細胞内(Actinomyces israeli、Escherichia coli、Streptococcus sanguis、Streptococcus mutans、Streptococcus salivarius、およびC.matruc hotiiのいくつかの株)、または細胞外(Veillonellaおよびジフテリア)のいず れかに生じることが見出されている(Enneverら、1974;LieおよびSelvig,1974 ;Rizzoら、1962;Streckfussら、1974;Wassermanら、1958)。鉱物化した堆 積物は、哺乳動物の骨に見出されるものと同様の電子回折パターンを生じた(Bo yan-Salyersら、l978b;Enneverら、1971;GonzalesおよびSognnaes,1960)。 また、骨形成と同様に(Anderson,1969)、石灰化細菌におけるヒドロキシアパ タイトの初期の堆積物は、膜(Enneverら、1968;Enneverら、1971;Vogelおよ びSmith,1976)または膜成分(BoyanおよびBoskey,1984;Boyan-Salyersら、1 978b;Boyan-SalyersおよびBoskey,1980;Enneverら、1976;Enneverら、1979) と会合している。 C.matruchotiiの石灰化は、多数のインビトロモデルを用いて試験されてきた (Boyan-Salyersら、1978b;Enneverら、1971;LieおよびSelvig,1974;Vogelお よびSmith,1976)。鉱物化は適当なカルシウム供給がないと生じないので、C.ma truchotiiは、石灰化許容または石灰化非許容のいずれかの条件下で研究され得 (Boyanら、1984;Boyan-SalyersおよびBoskey,1980;Enneverら、1971)、一 般には鉱物化、および特に微生物石灰化を研究するための優れたモデルとなる。 アパタイト形成における最初の工程は、酸性リン脂質(特にホスホイノシチドお よびホスフアチジルセリン)へのCa2+結合(Boyan-SalyersおよびBoskey,1980 ;Vogelら、1978)、続いて、無機リン酸およびCa2+を添加して水和によってヒ ドロキシアパタイトに変換されるアパタイト[Ca10(PO4)6]クラスターを形成させ る(VogelおよびBoyan-Salyers,1976)ことを包含する。膜における酸性リン脂 質は、特定のプロテオリピドと会合し、複合体を形成し、工程の最初の相を指向 すると考えられている(Boyanら、1992;BoyanおよびBoskey,1984,Boyan-Saly ersら、1978a;Enneverら、1976;Raggioら、1986;VogelおよびBoyan-Salyers ,1976)。 以前の研究は、C.matruchotiiから単離された石灰化可能なプロテオリピドが 、脂質二重層を横断するイオン移動に関与することを示した。再構成したバクテ リオロドプシン-プロテオリポソームを用いると、膜を横断するイオンの移動は 、C.matruchotiiから抽出されたプロテオリピドの存在下で非常に増強された(B oyanら、1992;Swainら、1989;SwainおよびBoyan,1988)。リポソーム膜を横 断するイオン輸送は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD、プロトンチャン ネルのインヒビター)によって阻害された。プロテオリピドはイオノホアを形成 し、これはカルシウムおよびリン酸イオンの細胞内蓄積またはプロトンの輸出、 続く 膜の内部小葉構造(leaflet)上での最初の鉱物化において役割を果たし得ると 示唆されてきた(Boyanら、1989a;1989b;1992;SwainおよびBoyan,1988;1989 )。 多数の研究により、石灰化可能な細菌が、適切な条件下で石灰化を支持し得る 構成物質を含むことが示された。C.matruchotiiから単離された膜は、インビト ロでのアパタイト形成のための核形成焦点を提供する(Enneverら、1976;Vogel およびSmith,1976)。より最近のデータにより、特定の石灰化可能なプロテオ リピドは、カルシウム-酸性リン脂質-リン酸複合体(CPLX)が形成し得るように、 細胞膜におけるリン脂質の秩序正しい構造化を許容することが示される(Boyan ら、1992;BoyanおよびBoskey,1984,Boyan-SalyersおよびBoskey,1980;Ragg ioら、1986)。 以前の研究は、C.matruchotii石灰化に関与する8〜10kDaのプロテオリピド を報告した(Boyan,1985)。初期の論文で、疎水性相互作用を介してタンパク 質部分と会合するリン脂質が報告され(Enneverら、1973);このリン脂質の部 分除去が石灰化能力の欠失を生じた(Enneverら、1978a;1978b)。後者の研究 は、細菌におけるさらなるプロテオリピドの存在を示し(Swainら、1989)、これ は、リポソーム膜を横断するイオン輸送を増強した。 プロテオリピドは、石灰化の間の2つの能力において機能することが示唆され てきた:CPLX形成のための部位として、ならびに石灰化部位へのCa2+およびPiの 輸送またはその部位から離れるプロトンの輸送において(Boyanら、1989a Swain およびBoyan,1989)。 プロテオリピドは、成長板軟骨マトリックスビヒクルにおけるカルシウム結合 (Caoら、1993;Gengeら、1991;1992)およびリン酸結合の両方において役割を果 たし、そして腎臓刷予縁膜を越えて輸送する(DebiecおよびLorenc,1988;Kess elerら、1982;1988)ことが報告されている。マトリックスビヒクルにおいて、 Ca2+、Pi、ホスファチジルセリンおよびアネキシン(プロテオリピド様の特徴を 示し、かつ核形成の開始が可能なタンパク質)の膜会合複合体から成る核形成コ ア複合体(CPLXを連想させる)が報告されている(Gengeら、1991;Wuら、1993 )。一方、腎臓刷子縁膜を横断するリン酸輸送体は、ホスホリン(3kDaの膜プ ロテオリピド)(Kesslerら、1982)、ならびにプロテオリピド様Na+,Pi結合タ ンパク(分子量155kDaを有する)(DebiecおよびLorenc,1988)と会合した。 2.0 発明の要旨 本発明は、歯石(「プラーク」)の形成および心弁石灰化に関与する、C.mat ruchotiiからの新規なプロテオリピド「バクテリオカルシフィン」の単離および 特徴付けに関する。新しいプロテオリピドは、「バクテリオカルシフィン」と称 されるカルシウム結合種の新しいクラスを表す。 本発明は、バクテリオカルシフィン1(配列番号1)(5.5kDaのプロテオリピ ド、「バクテリオカルシフィン1」と称される)およびバクテリオカルシフィン 2(配列番号2)(7.5kDaのプロテオリピド)のアミノ酸配列を含む生物学的に 活性なプロテオリピド、ならびに5.5kDaのバクテリオカルシフィンをコードする (配列番号3)の配列を含む(配列番号3)および(配列番号6)の5.5kDaのプ ロテオリピドのbcf-1遺伝子のヌクレオチド配列を提供する。本発明におけるバ クテリオカルシフィンの生物学的特性に共通するのは、インビボでヒドロキシア パタイトの形成を誘導する能力およびインビトロアッセイ系におけるカルシウム の結合である。 本発明の重要な局面は、C.matruchotiiからのプロテオリピドの単離、特徴付 け、アミノ酸配列決定、クローン化、およびヌクレオチド配列決定、ならびにイ ンビトロでの石灰化活性を決定するためのアッセイに関する。本発明はまた、C. matruchotiiからのプロテオリピド画分に対するポリクローナルおよびモノク口 ーナル抗体の生成、ならびにイムノブロット、ELISAアッセイにおけるプロテオ リピドの検出およびインビトロでの石灰化アッセイにおけるカルシウム結合活性 を阻止する使用におけるそれらの使用を含む。 本発明は、歯石(「プラーク」)の形成および心弁石灰化に関与する口腔細菌 Corynebacterium matruchotiiからのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動後の見 かけの分子量が5.5kDaである新規なタンパク質の単離および特徴付けを含む。カ ルシウム結合タンパク質複合体の特徴は、以下を含む: (a)独特のアミノ酸配列; (b)タンパク質コアに共有結合する脂質分子; (c)哺乳動物リンタンパク質ホスファターゼの細菌性ホモログである新規な5.5 kDaのタンパク質;および (d)C.matruchotiiの石灰化に関係する。 さらに、本発明は、細菌性リンタンパク質ホスファターゼに対するポリクロー ナルおよびモノクローナル抗体の生成を記載する。抗体は、口腔および病理学的 腐敗性石灰化堆積物におけるC.matruchotiiの存在を検出するために用いられ得 る。抗体はまた、C.matruchotiiおよび他の石灰化可能な細菌の培養物における リンタンパク質ホスファターゼおよび関連したタンパク質の存在を検出すること において有用である。抗体は開示されたカルシウム結合タンパク質の活性を阻止 するために用いられ得、そして歯石の形成および心弁石灰化の阻止における使用 を見出すことが期待される。 2.1 新規なカルシウム結合ポリペプチド 重要な局面において、本発明は、Cornyebacterium matruchotiiから単離され た新規なプロテオリピドカルシウム結合タンパク質の発見に関する。インタクト なプロテオリピドは、脂質に共有結台した3つのアポタンパク質を含み、そして 約10kDaの見かけの分子量を有する。プロテオリピドポリペプチド成分は、Strep tococcus(例えば、S.sanguis、II型)の石灰化株との実質的な相同性を示さな い。 3つのアポタンパク質のうちの一つは、SDS PAGEによる5.5kDaの見かけの分子 量を有し、そして哺乳乳動物リンタンパク質ホスファターゼの細菌性ホモログで あるようである。アポタンパク質のアミノ酸配列は配列番号1に一致して、そし てN-末端配列は配列番号5に一致して決定されている。 第二のアポタンパク質は、SDS PAGEによる7.5kDaの見かけの分子量を有する。 部分ペプチド配列(配列番号2)は、N-末端配列を表す。 第三のアポタンパク質は、SDS PAGEによる5.0kDaの見かけの分子量を有する。 そのアミノ酸配列は、配列番号8に一致する。N-末端配列を表す部分アミノ酸配 列は、配列番号5によって表される。 2.2 薬学的組成物 本発明の別の局面は、単離および精製されたアポタンパク質、プロテオリピド 、または開示されたプロテオリピドカルシウム結合タンパク質をコードする核酸 を含む新規な組成物を含む。核酸に関しては、もちろん、1つ以上のカルシウム 結合プロテオリピド遺伝子が、本発明の方法および組成物に用いられ得ることが 理解される。従って、核酸送達方法は、1、2、3、またはそれ以上の同種遺伝 子の投与を必要とし得る。適用され得る遺伝子の最大数は、実際的な考慮(例え ば、多数の遺伝予構築物を同時に調製することに関する努力、または有害な細胞 毒性効果を誘発する可能性でさえも)によってのみ限定される。 カルシウム結合タンパク質およびプロテオリピド組成物に関しては、このよう な組成物が、生物学的に有効な量の新規なペプチド(単数)、ペプチド(複数) 、またはこのようなペプチドの脂質会合形態を含むことが意図されている。本明 細書中で用いられるように、「生物学的に有効な量」のペプチドまたは組成物は 、カルシウム結合を刺激するかまたは促進するために有効な量をいう。本明細書 中で開示されるように、異なるペプチド量は、インビトロで示されるように、効 果的であり得る(例えば、約6〜約11mg/kgの間でインビボで有効であり得る) 。 もちろん、臨床的用量は、患者の栄養状態、年齢、体重、および健康によって 決定される。投与されたペプチド組成物の分量および容量は、被験体および投与 の経路に依存する。要求される活性なペプチドの正確な量は、実施者の判断に依 存し、そして各個体に特異的であり得る。しかし、本明細書中に示されるデータ を考慮すると、ヒトでの使用に適切な投薬量の範囲の決定は容易である。 本発明のカルシウム結合を阻止するための抗体の刺激における使用のための組 成物は、全長のペプチドまたは有効なエピトープを含む部分配列を含む組成物で ある。この意味での用語「ペプチド」または「ポリペプチド」は、前述の構造ま たはその改変体のいずれかの配列を含む、少なくとも1つのペプチドまたはポリ ペプチドを意味する。用語、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、交 換可能に用いられ得る。 配列番号1、配列番号2、配列番号4、または配列番号8のアミノ酸配列を含 むことに加えて、ペチドは、種々の他のより短いもしくは長いフラグメント、ま たは種々のアミノ酸の他の短いペプチジル配列を含み得る。特定の実施態様にお いて、ペプチドが、カルシウム結合剤としてなお機能し、そしてそれ自体がこの 活性を阻止するための抗体を刺激する限りは、ペプチドは、アポタンパク質のよ り短い配列(例えば、N-末端領域、配列番号5または配列番号6)またはさらな る配列(例えば、短い標的配列、タグ、標識した残基、ペプチドの半減期または 安定性の増加を意図したアミノ酸)、または意図した目的のための任意のさらな る残基を含み得る。このような機能性は、本明細書中に開示されたようなアッセ イによって容易に決定され得る。 任意の一般に存在するアミノ酸は、ペプチドに組み込まれ得る。このアミノ酸 は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グル タミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジ ン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプト ファン、チロシン、およびバリンを含む。同様に、いわゆる希なまたは改変され た任意のアミノ酸もまた、本発明のペプチドに組み込まれ得る。このアミノ酸は 、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、βアラニン(βアミノプロピオン 酸)、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸(ピペリジン酸)、6-アミノカプロン酸、2- アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸 、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプ ロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、ア ロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソエ スモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシンサルコシン、N-メチルイソロ イシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチン。 本発明の阻害組成物は、ペプチドを生物学的に保護されるように改変されたペ プチドを含み得る。生物学的に保護されたペプチドは、ヒト被験体へ投与される 場合、保護されていないペプチドを超える特定の利点を有し、そして米国特許第 5,028,592号(本明細書中で参考として援用する)に開示されたように、保護さ れたペプチドはしばしば、薬理学的な活性の増加を示す。 本発明における使用のための組成物はまた、全てのL-アミノ酸、全てのD-アミ ノ酸、またはその混合物を含むペプチドを含み得る。D-アミノ酸の使用は、ヒト 体内に天然に見出されるプロテアーゼに対するさらなる抵抗性を付与し得、そし て低免疫原性であり、そしてそれゆえ、より長い生物学的半減期を有することが 予期され得る。 同様に、カルシウム結合プロテオリピドをコードする遺伝子を使用する組成物 がまた、意図される。遺伝子の特定の組合せは、このような遺伝子の2つ以上の 改変体であり得る;または、カルシウム結合プロテオリピド遺伝子が、別の遺伝 子および/または別のタンパク質(例えば、アルカリホスファターゼ、中性ホス ファターゼ、または酸ホスファターゼ、補因子、または他の生物分子)と組み合 わされたような組合せであり得る;ホルモンまたは増殖因子遺伝子は、第一の遺 伝子のポリペプチド産物と相互作用し得る細胞表面レセプターをコードする遺伝 子とさえも組み合わされ得る。 複数の遺伝子の使用において、それらは、1つ以上のプロモーターの制御下で 単一の遺伝子構築物上で組み合わされ得るか、あるいはそれらは同じかまたは異 なる型の別々の構築物として調製され得る。従って、異なる遺伝子と遺伝子構築 物との無数の組合せのほとんどが使用され得る。特定の遺伝子の組合せが細胞増 殖および/または免疫応答の刺激の相乗効果を達成するように設計され得るか、 またはそうでなければそれらの使用が、それらを達成し得る。任意のおよび全て のこのような組合せは、本発明の範囲内であることが意図される。実際、多くの 相乗効果は学術文献に記載されており、そのため当業者は適切な相乗遺伝子組合 せまたは遺伝子-タンパク質組合せでさえも容易に同定し得る。 また、所望される場合、カルシウム結合プロテオリピドをコードする核酸セグ メントまたは遺伝子は、さらなる薬剤(例えば、タンパク質またはポリペプチド または種々の薬学的に活性な薬剤)と組み合わせて投与され得ることが理解され る。組成物がカルシウム結合プロテオリピド遺伝子を含む限りは、さらなる薬剤 が標的細胞または宿主組織と接触する際に重要な副作用を引き起こさないとされ れば、含まれ得る他の成分に対する実質的な制限はない。従って、核酸は、特定 の例において要求されるように、種々の他の薬剤とともに送達され得る。 本発明に従って調製された薬学的組成物は、歯石の形成の阻止および心弁石灰 化の予防を含む、いくつかの応用における使用を見出す。このような方法は一般 的に、哺乳動物に、免疫学的に有効な量のカルシウム結合プロテオリピドまたは アポタンパク質組成物を含む薬学的組成物を投与することを含む。この組成物は 、本明細書中に記載の免疫学的に有効な量のアポタンパク質またはリポタンパク 質のいずれか、あるいはその対応のコード核酸組成物を含み得る。このような組 成物は、代表的には、哺乳動物における免疫応答を刺激する。 前述のプロテオリピド、アポタンパク質成分または対応するコード核酸セグメ ントを含む治療キットは、本発明の別の局面を含む。このようなキットは一般的 に、適切なコンテナー手段中に、カルシウム結合プロテオリピド、アポタンパク 質、またはコード核酸組成物の薬学的に受容可能な処方物を含む。キットは、ポ リペプチド組成物を含む1つのコンテナー手段を有し得るか、または組成物およ びこのようなキット内に含まれ得る他の試薬のための別個のコンテナー手段を有 し得る。 キットの成分は、液体溶液(単数または複数)、または乾燥粉末(単数または 複数)として提供され得る。成分が液体溶液で提供される場合、液体溶液は水溶 液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。試薬または成分が乾燥粉末で提供される 場合、粉末は適切な溶媒の添加によって再構成され得る。溶媒はまた、別のコン テナー手段で提供され得ると想像される。 関連する実施態様において、本発明は、試料におけるカルシウム結合タンパク 質またはペプチドおよび/または抗体の存在を検出するために使用され得る診断 キットの調製を意図する。概して、本発明のキットは、免疫検出試薬ならびに抗 体または抗原および試薬を含む手段とともに、適切なカルシウム結合タンパク質 またはペプチドあるいはそのようなタンパク質またはペプチドに対する抗体を含 む。診断キットの成分は、水性媒体または凍結乾燥された形態のいずれかで包装 され得る。 免疫検出試薬は、代表的には、抗体または抗原と会合するか、あるいは二次結 合リガンドと会合する標識を含む。例示的なリガンドは、第1の抗体または抗原 に対する二次抗体、あるいは会合した標識を有するビオチンまたはアビジン(ま たはストレプトアビジン)リガンドを含み得る。もちろん、上記のように、多数 の例示的な標識は当該分野で公知であり、そして全てのこのような標識は、本発 明と関連して使用され得る。キットは、完全に結合した形態、中間体の形態、ま たはキットの使用者によって結合される別々の部分としてのいずれかの抗体-標 識結合体を含み得る。 コンテナー手段は一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、 ビン、注射器、または他のコンテナー手段を含み、それらの中に抗原または抗体 が置かれ得、そして好ましくは適切に分割され得る。第2の結合リガンドが提供 される場合、キットはまた、一般的に、このリガンドまたは抗体が置かれ得る第 二のバイアルまたは他のコンテナーを含む。本発明のキットはまた、代表的には 、市販に密に詰め込まれた抗体、抗原、および試薬コンテナーを含むための手段 を含む。このようなコンテナーは、所望のバイアルが保存される、注入またはブ ロー成型(blow-molded)プラスチックコンテナーを含み得る。 2.3 抗体 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドと免疫反応する抗体を含 む。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。好ましい実 施態様において、抗体はモノクローナル抗体であり得る。抗体を調製および特徴 づけるための手段は、当該分野で周知である(例えば、HowellおよびLane,1988 を参照のこと)。 簡単に述べれば、ポリクローナル抗体は、本発明のポリペプチドを含む免疫原 で動物を免疫し、そして免疫した動物からの抗血清を採取することによって調製 される。広範な動物種が、抗血清の産生のために用いられ得る。代表的には、抗 血清の産生ために用いられる動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、ま たはモルモットである。ウサギの比較的大量の血液のために、ウサギはポリクロ ーナル抗体の産生のために好ましく選択される。 プロテオリピドまたはプロテオリピドと会合したアポタンパク質に特異的な抗 体(ポリクローナルおよびモノクローナルの両方)は、一般的には当業者に公知 であるような従来の免疫技術を用いて調製され得る。このタンパク質の抗原性エ ピトープを含む組成物を用いて、1匹以上の実験動物(例えば、ウサギまたはマ ウス)を免疫し得、次いで、これらはこのタンパク質に対する特異的抗体を産生 し始める。抗体生成を許容する時間の後、ポリクローナル抗血清は、動物を出血 させ、そして全血液から血清試料を調製することによって簡単に得られ得る。 モノクローナル抗体を得るために、また、実験動物(しばしば好ましくはマウ ス)を、カルシウム結合プロテオリピドまたはこのようなプロテオリピド組成物 のアポタンパク質で最初に免疫する。次いで、抗体生成を許容するに十分な期間 の後に、動物からの脾臓またはリンパ細胞の集団を得る。次いで、脾臓細胞また はリンパ細胞は、抗体分泌ハイブリドーマを産生するために、細胞株(例えば、 ヒトまたはマウスミエローマ株)と融合され得る。これらのハイブリドーマは、 個々のクローンを得るために単離され得、次いで、所望のペプチドに対する抗体 の産生についてスクリーニングされ得る。 免疫に続いて、脾臓細胞が取り出され、そしてプラズマ細胞種との標準的な融 合技術を用いて融合されて、カルシウム結合プロテオリピドに対するモノクロー ナル抗体を分泌するハイブリドーマを産生する。選択された抗原に対するモノク ローナル抗体を産生するハイブリドーマは、標準的な技術(例えば、ELISAおよ びウエスタンブロット法)を用いて同定される。次いで、ハイブリドーマクロー ンは、液体培地中で培養され得、そして培養上清を精製して、カルシウム結合プ ロテオリピド特異的モノクローナル抗体を提供し得る。 本発明のモノクローナル抗体は、標準的な免疫化学手順(例えば、ELISAおよ びウエスタンブロット法)、ならびにカルシウム結合プロテオリピドエピトープ に対して特異的な抗体を利用し得る他の手順における有用な応用を見出すことが 提唱される。 さらに、特定のケモカインに対して特異的なモノクローナル抗体が、他の有用 な応用において利用され得ることが提唱される。例えば、免疫吸着プロトコルに おけるこれらの使用は、他の細菌種またはその改変体からの天然のまたは組換え カルシウム結合プロテオリピドの精製において有用であり得る。 一般的には、本明細書中に開示されるプロテオリピドに対するポリクローナル 抗体およびモノクローナル抗体の両方は、種々の実施態様において用いられ得る 。例えば、それらは、プロテオリピドまたは関連するタンパク質をコードするcD NA または遺伝子を得るための、抗体クローン化プロトコルにおいて用いられ得る。 それらはまた、細胞または動物におけるプロテオリピドの効果を分析するための 阻害研究において用いられ得る。抗カルシウム結合プロテオリピド抗体はまた、 種々の細胞事象中のカルシウム結合プロテオリピドの分布を分析するため(例え ば、異なる生理学的条件下のこのようなペプチドの細胞または組織特異的分布を 決定するため)の免疫局在化研究において有用である。プロテオリピドから生成 された抗体の特に有用な応用は、例えば、抗体アフィニティカラムを用いる天然 または組換えカルシウム結合プロテオリピドの精製である。このような免疫学的 技術の操作の全ては、本開示を考慮すれば当業者に公知である。 2.7 組換えポリペプチド タンパク質またはポリペプチドの組換えバージョンは、本発明の一部分と考え られる。従って、当業者によく知られた技術を用いて、このような細胞からポリ ペプチドを得るために、組換え細胞においてポリペプチドの組換えバージョンを 発現し得る。この技術は、DNAライブラリーからのポリペプチドをコードするDNA 分子のクローン化、すなわち、他のDNAと異なる特異的DNA分子を得ることに基づ く。例えば、cDNA分子をクローン化し得るか、またはゲノムDNAをクローン化し 得る。これらのような技術はまた、本発明のバクテリオカルシフィンポリペプチ ドの産生に適切である。 2.8 遺伝子 当業者に公知のように、治療的レジメにおいて用いられるための組換え遺伝子 またはDNAセグメントの起源は、治療されるための動物のような同じ種の起源で ある必要はない。このことに関しては、任意の組換えカルシウム結合プロテオリ ピド遺伝子が本明細書中に開示された方法(例えば、カルシウム結合プロテオリ ピドまたはタンパク質改変体をコードするDNAを含む細胞の同定)において使用 され得ることが意図される。 特に好ましい遺伝子は、細菌(特に、C.matruchotii)ならびに密接に関連する 種(例えば、Actinomyces israeli、Streptococcus sanguis、S.mitis、S.s alivarius、Veillonella、類ジフテリア、およびEscherichia coliの特定の株の ような他の口腔細菌を含む)から単離される遺伝子である。同様のカルシウム結 合活性を有するプロテオリピドをコードする相同な遺伝子が、C.glutamicum、B revibacterium flavum、Brevibacterium lactofermentum、およびCorynebacteri um pseudotuberculosisのような他の関連する種に見出されることが、意図され る。しかし、タンパク質をコードする遺伝子の配列相同性が種株にわたって保存 され得るので、ウマ、ネズミ、およびウシ種はまた、このような遺伝子およびDN Aセグメントが容易に入手可能な供給源として意図され得る;しかし、細菌形態 の遺伝子が、治療レジメにおいて用いられるのに最も好ましい。単離されたDNA セグメントおよび遺伝子によってコードされる組換えタンパク質およびポリペプ チドは、しばしば、組換え体については接頭語「r」およびヒト組換え体につい ては「rh」とともにいわれる。このように、rカルシウム結合プロテオリピドを コードするDNAセグメント、またはrカルシウム結合プロテオリピド関連遺伝子な どは、本発明に関して特に有用であることが意図される。任意の組換えプロテオ リピド遺伝子は同様に、本発明の方法で非常に有用である。 本明細書中で用いられるように、 「カルシウム結合プロテオリピド遺伝子」 の定義は、比較的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えば、Ma niatisら、1982を参照のこと)下で、カルシウム結合プロテオリピド遺伝子配列 を含むことが現在知られているDNA配列にハイブリダイズする遺伝子である。 カルシウム結合プロテオリピド遺伝子セグメントまたはcDNAを調製するために 、本明細書中に開示された技術、および本明細書中に具体的に援用される任意の 特許または科学的文書の教示に従い得る。分子生物学的技術(例えば、上記のヌ クレオチド配列に基づく配列を有するプライマーまたはプローブを用いる、ポリ メラーゼ連鎖反応(PCR)またはcDNAもしくはゲノムライブラリーのスクリーニ ング)を用いて、rカルシウム結合プロテオリピドコードDNAセグメントが得られ 得る。このようなフラグメントは、例えば、化学法によるフラグメントの直接合 成、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号(本明細書中で参考として援 用する)のPCR技術のような核酸再生成技術によって容易に調製され得る。これ らの技術の実施は、種々の科学テキスト(例えば、Sambrookら、1989を参照のこ と、 本明細書中で参考として援用する)に教示されるように、当業者には日常的な事 項である。特定の文書はさらに、適切な哺乳動物発現ベクターを特に記載する( 例えば、米国特許第5,168,050号、本明細書中で参考として援用する)。本方法 の特定の局面における使用のために特に好ましい遺伝子およびDNAセグメントは 、細菌性カルシウム結合プロテオリピドおよび関連するポリペプチドをコードす るものである。 また、カルシウム結合ペプチド、タンパク質、またはポリペプチドをコードす るさらなる遺伝子またはcDNAをクローン化し得ることが意図される。DNA分子を クローン化する技術(すなわち、DNAライブラリーからDNAの他の部分と異なる特 定のコード配列を得ること)は、当該分野で周知である。これは、例えば、カル シウム結合遺伝子(例えば、本明細書中に開示されるC.matruchotiiプロテオリ ピド)のクローン化に関連する適切なDNAライブラリーをスクリーニングするこ とによって達成され得る。スクリーニング手順は、関連するサイトカインタンパ ク質をコードする公知のDNA配列のアミノ酸配列の部分の決定から設計された、 オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに基づき得る。このよう なスクリ−ニングプロトコルの操作は当業者に周知であり、そして、科学文献( 例えば、Sambrookら、1989を参照のこと)に詳細に記載されている。 コードされたタンパク質またはポリペプチドの機能特性を変更するために設計 されたヌクレオチド配列に変化を導入する技術は、当該分野で周知であり(例え ば、米国特許第4,518,584号、本明細書中で参考として援用する)、この技術は また、本明細書中にさらに詳細に記載される。このような改変は、塩基の欠失、 挿入、または置換を含み、そして従って、アミノ酸配列を変える。変化は、タン パク質のサイトカイン活性を増加する、その生物学的安定性または半減期を増加 する、そのグリコシル化パターンを変化させるなどのためになされ得る。ヌクレ オチド配列に対するこのような改変の全ては、本発明によって包含される。 2.8.1カルシウム結合プロテオリピドコード化DNAセグメント 本発明はまた、一般的および全体的な意味において、C.matruchotiiから単離 される10kDaのプロテオリピドのアポタンパク質部分をコードする、新規なC.ma truchotiiカルシウム結合プロテオリピド遺伝子の単離および特徴付けに関係す る。本発明の好ましい実施態様は、配列番号1の少なくとも部分アミノ酸配列を 有するタンパク質をコードする精製された核酸セグメントである。本発明の別の 実施態様は、精製された核酸セグメントであり、配列番号3のヌクレオチド配列 を含むとさらに定義される。 より好ましい実施態様において、精製された核酸セグメントは、実質的に、配 列番号3のヌクレオチド配列、その補体、およびその縮重改変体からなる。本明 細書中で用いられるように、用語「核酸セグメント」および「DNAセグメント」 は、交換可能に用いられ、そして特定の種の全ゲノムDNAを含まずに単離されたD NA分子をいう。従って、本明細書中で用いられる「精製された」DNAまたは核酸 セグメントは、カルシウム結合プロテオリピドコード配列を含む、全ゲノムDNA (例えば、全cDNAまたはヒトゲノムDNA)から別に単離されるかまたはそれを含 まずに精製されたDNAセグメントをいう。用語「DNAセグメント」に含まれるのは 、DNAセグメントおよびこのようなセグメントのより小さなフラグメント、そし てまた、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換え ベクターである。 同様に、単離されたかまたは精製されたbcf遺伝子を含むDNAセグメントは、他 の天然に存在する遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に別に単離され たカルシウム結合プロテオリピドコード配列を含むDNAセグメントをいう。この 点に関して、用語「遺伝子」は、機能的タンパク質、ポリペプチド、またはペプ チドコードユニットを単純にいうために用いられる。当業者に理解されるように 、この機能的な用語は、ゲノム配列、cDNA配列、またはその組合せの両方を含む 。「他のコード配列から実質的に別に単離された」は、目的の遺伝子がDNAセグ メントのコード領域の重要な部分を形成し、そしてDNAセグメントが天然に存在 するコードDNAの巨大な部分(例えば、巨大な染色体フラグメントまたは他の機 能的遺伝予またはcDNAコード領域)を含まないことを意味する。もちろん、これ は、本来単離されたDNAセグメントをいい、そして人の手によって後にセグメン トに加えられた遺伝子またはコード領域を排除しない。 特定の実施態様において、本発明は、単離されたDNAセグメントおよびカルシ ウム結合プロテオリピド遺伝子をコードするDNA配列を組み込む組換えベクター に関し、そのアミノ酸配列内に配列番号1のアミノ酸配列を含む。他の実施態様 において、含まれるアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号5、または配列番号 8であり得る。さらに、他の特定の実施態様において、本発明は、単離されたDN Aセグメントおよびそのアミノ酸配列内に他の種、特にC.matruchotiiに関連す る細菌種中の相同遺伝子に対応するカルシウム結合プロテオリピド遺伝子のアミ ノ酸配列を含む遺伝子をコードするDNA配列を組み込む組換えベクターに関する 。 本発明の別の好ましい実施態様は、配列番号3のタンパク質をコードする精製 核酸セグメントであり、さらに組換えベクターとして定義される。本明細書中で 使用する用語「組換えベクター」は、カルシウム結合プロテオリピドまたはその フラグメントをコードする核酸セグメントを含むように改変されたベクターをい う。組換えベクターは、さらに、上記カルシウム結合プロテオリピドをコードす る核酸セグメントに作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクターとし て定義され得る。 本発明のさらなる好ましい実施態様は、カルシウム結合タンパク質をコードす る遺伝子を含む組換えベクターで組換えられた宿主細胞である。組換え宿主細胞 は、原核生物細胞であり得る。より好ましい実施態様において、組換え宿主細胞 は、真核生物細胞であり得る。本明細書中で使用する用語「操作」または「組換 え」細胞は、組換え遺伝子(例えば、カルシウム結合プロテオリピドをコードす る遺伝子)が導入されている細胞をいうことが意図される。従って、操作細胞は 、組換え導入された遺伝子を含まない天然に存在する細胞とは区別され得る。従 って、操作細胞は、人の手により導入された遺伝子(単数または複数)を有する 細胞である。組換え導入された遺伝子は、cDNA遺伝子(すなわち、イントロンを 含まない)(ゲノム遺伝子のコピー)の形態であるか、またはその特定の導入さ れた遺伝子とは天然では会合しないプロモーターに隣接して配置された遺伝子を 含むかのいずれかである。 一般的に、組換え遺伝子として、遺伝子のcDNAバージョンを用いることがより 便利であり得る。cDNAバージョンを使用すれば、遺伝子のサイズが一般的に非常 に小さく、そして標的細胞にトランスフェクトするためにより容易に用いられる という点で、ゲノム遺伝予(これは、代表的にはcDNA遺伝子よりも1桁の単位ま で大きい)よりも利点が提供されると考えられる。しかし、本発明者らは、所望 される場合は特定の遺伝子のゲノムバージョンを用いる可能性を排除しない。 特定の実施態様において、本発明は、そのアミノ酸配列中に、本質的に配列番 号1、または配列番号2、配列番号5、もしくは配列番号8に示すアミノ酸配列 を含むタンパク質またはペプチドをコードする、単離されたDNAセグメントおよ び組換えべクターに関する。本来、DNAセグメントまたはベクターが全長バクテ リオカルシフィンタンパク質をコードする場合、またはタンパク質の発現での使 用が意図される場合、最も好ましい配列は、本質的に配列番号1または配列番号 8に示される配列である。配列番号2、5および6は、C.matruchotiiから単離 されたタンパク質-脂質複合体を含むアポタンパク質のN末端における部分アミ ノ酸配列を示すが、しかしこれらは単離された遺伝子によりコードされ、そして これらは各アポタンパク質の全長までの配列および機能的改変体も同様にまた含 む意図された実施態様であることが理解される。 用語「本質的に配列番号1に示す配列」または本明細書中へ参照される任意の 他の配列は、本明細書中において、その配列が配列番号1の一部に本質的に対応 し、そしてそれが有する配列番号1のアミノ酸と同一でないかまたは生物学的機 能的等価物でないアミノ酸は比較的少数であることをいう。用語「生物学的機能 的等価物」は、当該分野において良く理解され、そしてさらに本明細書中に配列 番号3に示す配列を本質的に有し、そしてカルシウム結合プロテオリピドに関連 する遺伝子であるとして詳細に定義される。従って、約70%と約80%との間、ま たはより好ましくは約81%と約90%との間、もしくはなおより好ましくは約91% 、約95%と約99%との間の、配列番号1のアミノ酸と同一であるかまたは機能的 等価物であるアミノ酸の配列を有する配列は、「本質的に配列番号1に示す」配 列である。 特定の別の実施態様において、本発明は、その配列中に本質的に配列番号3に 示す核酸配列を含む単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。 用語「本質的に配列番号3に示す」は、上記と同じ意味で用いられ、そして核酸 配列が本質的に配列番号3の一部に対応し、そしてそれが有する配列番号3のコ ドンと同一でないかまたは機能的に等価でないアミノ酸は比較的少数であること を意味する。本明細書中で使用する用語「機能的に等価なコドン」は、表1に示 すのと同じアミノ酸(例えば、アルギニンまたはセリンについて6コドン)をコ ードするコドンをいい、そしてまた生物学的に等価なアミノ酸をコードするコド ンをいう。 アミノ酸配列および核酸配列が、配列が上記の基準(タンパク質の発現に関す る場合、生物学的タンパク質活性の保持を含む)を満たす限り、付加残基(例え ば、付加N-またはC-末端アミノ酸、もしくは5'または3'配列)を含み得、そし てなお本質的に本明細書中に開示される配列の1つであることもまた理解される 。末端配列の付加は、核酸配列(例えば、コード領域の5'または3'部分のいずれ かに隣接する種々の非コード配列を含み得るか、または遺伝子中に生じることが 公知の種々の内部配列(すなわち、イントロン)を含み得る)に特にあてはまる 。 イントロンまたは隣接領域を除き、そして遺伝子コードを縮重させ、配列番号 3のヌクレオチドと、約70%と約80%との間、またはより好ましくは約80%と約 90%との間、もしくはなおより好ましくは約90%と約99%との間の同一性を有す る配列は、「本質的に配列番号3に示す」配列である。配列番号3に示す配列と 本質的に同じである配列はまた、比較的ストリンジェントな条件下で配列番号3 の相補鎖を含む核酸セグメントにハイブリダイズ可能である配列として、機能的 に定義され得る。適切な比較的ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件 は、当業者に周知であり、そして本明細書中の実施例に記載するように、例えば サザンおよびノーザンブロット解析での使用のための条件は、本明細書中に明瞭 に示される。 本質的に、本発明はまた、配列番号3に示す配列に相補的であるか、または本 質的に相補的であるDNAセグメントを包含する。「相補的」である核酸配列は、 標準的なWatson-Click相補性規則に従い塩基対を形成し得る配列である。本明細 書中に使用する場合、用語「相補的配列」は、上記の同じ核酸比較により評価さ れ得るような、または比較的ストリンジェントな条件下(これはまた、高いスト リンジェンシーの条件を含むことが理解され得る)で配列番号3の核酸セグメン トにハイブリダイズし得ると定義されるような、本質的に相補的な核酸配列を意 味する。 本発明の核酸セグメントは、コード配列それ自体の長さに関わらず、その全長 が顕著に変動し得るように、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニ ル化シグナル、さらなる制限酵素部位、複数クローン化部位、他のコードセグメ ントなど)と組み合わせられ得る。従って、全長は、調製の容易さおよび目的の 組換えDNAプロトコルにおける使用により好ましくは制限されるが、ほぼいかな る長さの核酸フラグメントが用いられ得ることが意図され得る。例えば、配列番 号3に相補的な短いストレッチ(例えば、約10〜15、または20、30、もしくは40 程度のヌクレオチド、および200塩基対程度までの長さのヌクレオチド)を含む 核酸フラグメントが、調製され得る。全長が約500、200、100、および約50塩基 対の長さであるDNAセグメントもまた、有用であると意図される。 本発明の好ましい実施態様は、配列番号3の核酸配列に対応するか、または相 補的である、少なくとも14ヌクレオチド長のストレッチを含む核酸セグメントで ある。より好ましい実施態様において、核酸は、配列番号3の核酸配列に対応す るか、または相補的である、少なくとも20ヌクレオチド長のストレッチ、30ヌク レオチド長のストレッチ、50ヌクレオチド長のストレッチ、100ヌクレオチド長 のストレッチ、または少なくとも200ヌクレオチド長のストレッチを含むものと してさらに定義される。核酸セグメントは、配列番号3の核酸配列を有するもの としてさらに定義され得る。 本発明の関連する実施態様は、配列番号3の核酸配列に対応するか、または相 補的である、少なくとも14ヌクレオチド長のストレッチを含む核酸セグメントで あり、10,000塩基対の長さまでの核酸フラグメントを含むものとしてさらに定義 され得る。より好ましい実施態様は、配列番号3の14ヌクレオチドからを含む核 酸フラグメントの場合、5,000塩基対までの長さ、3,000塩基対の長さ、1,000塩 基対の長さ、500塩基対の長さ、または100塩基対の長さである。 本質的に、本発明は、配列番号3の特定の核酸およびアミノ酸配列に限定され ないことが理解される。従って、組換えベクターおよび単離されたDNAが、カル シウム結合プロテオリピドコード配列それ自体、基本コード配列において選択し た改変または修飾を有するコード領域を多様に含み得るか、もしくはこれらは、 カルシウム結合プロテオリピドコード領域を全く含まないより大きいポリペプチ ドをコードし得るか、または改変アミノ酸配列を有する生物学的機能的に等価な タンパク質またはペプチドをコードし得る。 本発明のDNAセグメントは、生物学的機能的に等価なカルシウム結合タンパク 質およびペプチドを包含する。このような配列は、核酸配列およびそれにコード されるタンパク質に自然に生じることが知られる、コドン縮重および機能的等価 性の結果として生じる。あるいは、機能的等価タンパク質またはペプチドは、組 換えDNA技術の適用を介して作製され得るが、ここでは交換されるアミノ酸の特 性の考慮に基づき、タンパク質構造における変化を操作し得る。人により設計さ れる変化は、部位特異的変異誘発技術(例えば、カルシウム結合プロテオリピド の抗原性に改善を導入する、または種々の細胞および組織におけるカルシウム結 合プロテオリピドの活性を分子レベルで試験するためまたは存在を決定するため に、変異体を試験する)の適用を通じて導入され得る。 本発明の好ましい実施態様は、配列番号1、2、5、6、または7のいずれか に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む精製された組成物である。本 明細書中で使用する用語「精製された」は、カルシウム結合プロテオリピド組成 物をいうことを意図される。ここで、リポタンパク質または任意のアポタンパク 質成分が、その自然に得られ得る状態と比較して(すなわち、この場合、真核生 物細胞抽出物中のその純度と比較して)任意の程度で精製される。タンパク質の 単離のために好ましい細胞は、細菌細胞(例えば、C.matruchotiiおよび関連す る種)である;しかし、プロテオリピドはまた、当業者に公知のように、本発明 の開示に照らして、患者標本、組換え細胞、組織、組織の単離亜集団などからも 単離され得る。従って、精製されたカルシウム結合プロテオリピド組成物はまた 、それが天然に存在し得る環境から離れている配列番号1または配列番号8のア ミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。 所望される場合、例えば、カルシウム結合プロテオリピドコード配列が、精製 または免疫検出目的のためのような所望の機能を有する、他のタンパク質または ペプチドの同じ発現単位中に配置されれば、融合タンパク質およびペプチド(例 えば、それぞれアフィニティクロマトグラフィーおよび酵素標識コード領域によ り精製され得るタンパク質)もまた調製され得る。 cDNAベースまたはゲノムDNA由来のいずれかのカルシウム結合プロテオリピド 遺伝子の発現について、任意の1つ以上のカルシウム結合プロテオリピドのアポ タンパク質の組換え調製のための発現系の調製を行い得る。原核生物系または真 核生物系における発現のためのDNAセグメントの操作は、組換え発現の当業者に 一般に公知の技術により行われ得る。例えば、GST(グルタチオン-S-トランスフ ェラーゼ)と、配列番号1または配列番号8のタンパク質もしくはカルシウム結 合プロテオリピド融合タンパク質に含まれ得るアポタンパク質配列の任意または 全てを含む配列とを結合させる、融合タンパク質を調製し得る。これは、細菌発 現の便利な手段であり得る。しかし、本質的に任意の発現系がこのようなカルシ ウム結合プロテオリピドの発現において使用され得ることが考えられる。 別の実施態様は、核酸発現およびタンパク質産生、続いてそのように産生され たタンパク質の回収を許容する条件下での、配列番号1、配列番号2、配列番号 5、または配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするベク ターを含む組換え宿主細胞を増殖させる工程を包含する、タンパク質組成物の調 製の方法である。宿主細胞、核酸発現、タンパク質産生および回収を許容する条 件は、コード遺伝子の本開示に照らして、当業者に公知である。 2.8.2遺伝子構築物およびDNAセグメント 本明細書中で使用する用語「遺伝子」および「DNAセグメント」の両方は、特 定種の全ゲノムDNAを含まずに単離されているDNA分子をいうために使用される。 従って、カルシウム結合プロテオリピドをコードする遺伝子またはDNAセグメン トは、カルシウム結合プロテオリピドをコードする配列を含むが、そのDNAが得 られる種の全ゲノムDNAから単離されているか、または精製されているDNAセグメ ントをいう。用語「DNAセグメント」には、DNAセグメントおよびこのようなセグ メントのより小さなフラグメント、ならびに組換えベクター(例えば、プラスミ ド、コスミド、ファージ、レトロウイルス、アデノウイルスなどを含む)が含ま れる。 用語「遺伝子」は、機能的タンパク質またはペプチドをコードする単位を明快 にいうために使用される。当業者に理解されるように、この機能的な用語は、ゲ ノム配列およびcDNA配列の両方を含む。「本質的に他のコード配列から単離され た」は、目的の遺伝子(この場合、カルシウム結合プロテオリピド遺伝子)が、 DNAセグメントのコード領域の有意な部分を形成し、そしてDNAセグメントが天然 に存在するコードDNA(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺 伝子またはcDNAコード領域)の大部分を含まないことを意味する。もちろん、こ れは、初めに単離され、そして遺伝子またはコード領域(例えば、リーダーペプ チドまたは標的化配列をコードする配列)を排除せず、そして後に人の手により セグメントに付加されたDNAセグメントをいう。 2.8.3カルシウム結合プロテオリピドタンパク質を発現する組換えベクター 本発明の特定の局面は、カルシウム結合プロテオリピドコードDNAセグメント およびプロテオリピドの成分タンパク質をコードするDNAセグメントを含む組換 えベクターを利用する、新規な方法を提供する。当業者に周知のように、多数の このようなベクターは容易に入手可能である。哺乳動物細胞における発現のため に好適なベクターの1つの特に詳細な例は、米国特許第5,168,050号(本明細書 中に参考として援用される)に記載されるものである。しかし、使用するコード セグメントがカルシウム結合タンパク質をコードし、そして細胞に悪影響を与え るいかなるコード配列または制御配列も含まない限りは、高度に精製されたベク ターを使用する必要はない。従って、有用な核酸配列は、さらなる残基(例えば 、コード領域の5'または3'部分のいずれかに隣接するさらなる非コード配列)を 含み得るか、または種々の内部配列(すなわち、遺伝子内に生じることが知られ ているイントロン)を含み得ることがまた理解される。 適切なカルシウム結合プロテオリピドをコードする遺伝子またはDNA分子を同 定した後、これは現在当該分野に公知の種々のベクターの任意の1つに挿入され 得、その結果、宿主細胞に組み込まれると、これはカルシウム結合タンパク質の 発現および産生を指向する。組換え発現ベクターにおいて、DNAセグメントのコ ード部分は、プロモーターの制御下におかれる。プロモーターは、コードセグメ ントまたはエキソンの上流に位置する5'非コード配列を(本明細書中に開示され る組成物に関連して、例えば、組換えクローン化技術および/またはPCR技術を 用いて)単離することにより得られ得るような、カルシウム結合タンパク質コー ド遺伝子に天然で会合するプロモーターの形態であり得る。 特定の実施態様において、バクテリオカルシフィンコードDNAセグメントを組 換えプロモーターまたは異種プロモーターの制御下に置くことにより、特定の利 点が得られることが意図される。本明細書中で使用する組換えプロモーターまた は異種プロモーターは、天然の環境に置いては通常カルシウム結合プロテオリピ ド遺伝子に会合しないプロモーターをいうことが、意図される。このようなプロ モーターは、通常他のカルシウム結合ポリペプチド遺伝子および/または任意の 他の細菌、ウイルス、真核生物、または哺乳動物細胞から単離されるプロモータ ーに会合するものを含み得る。本来、カルシウム結合タンパク質遺伝子を含むベ クターを含む特定の細胞において、DNAセグメントの発現を効果的に指向するプ ロモーターを用いることが重要である。 タンパク質発現を達成するための組換えプロモーターの使用は、一般的に、分 子生物学の当業者に公知である。例えば、Sambrookら(1989)を参照のこと。使用 されるプロモーターは、構造的、または誘導可能であり得、そして導入されたDN Aセグメントの高レベルの発現または発現の調節を指向するに適切な条件下で使 用され得る。現在好まれるプロモーターは、例えば、CMV、RSV LTR、SV40プロモ ーター単独、およびSV40エンハンサーと組み合わせたSV40プロモーターである。 2.9DNAトランスフェクションの方法 DNAの細胞への導入のための技術は、当業者に周知である。遺伝子を細胞に送 達するための4つの一般的な方法が記載されている:(1)化学的方法(Grahamおよ びVan der Eb,1973);(2)物理的方法(例えば、マイクロインジェクション(Ca pecchi,1980)、エレクトロポレーション(WongおよびNeumann 1982; Frommら、1 985)、および遺伝子銃(Yangら、1990));(3)ウイルスベクター(Clapp,1993; D anosおよびHeard,1992; EglitisおよびAnderson,1988);および(4)レセプタ ー媒介機構(Wuら、1991; Curielら、1991; Wagnerら、1992)。 2.9.1リボソームおよびナノカプセル リポソームの形成および使用は、当業者に一般的に公知である(例えば、Couv reurら、1991を参考のこと。これは、細胞内細菌感染および疾患の標的化抗生物 的治療におけるリポソームおよびナノカプセルの使用を記載する)。最近、改善 された血清安定性および循環半減期(GabizonおよびPapahadjopoulos,1988; All enおよびChoun,1987)を有するリポソームが開発された。以下は、これらのDNA 送達様式の簡単な説明である。 ナノカプセルは、一般的に、安定かつ再現可能な方法において化合物を捕獲し 得る(Henry-Michellandら、1987)。細胞内重合体過付加による副作用を回避する ために、非常に微小な粒子(約0.1umのサイズ)がインビボで分解され得るポリ マーを用いて設計されるべきである。これらの必要を充たす生分解性ポリアルキ ルシアノアクリレートナノ粒子は、本発明における使用のために意図され、そし てこのような粒子は、記載(Couvreurら、1984;1988)されるように容易に作成さ れ得る。 リポソームは、リン脂質から形成され、そして水性媒体中に分散され、そして 自然に多重膜同心性2重層ビヒクルを形成する(多重膜ビヒクル(MLV)ともまた 呼ばれる)。MLVは、一般的に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理に より、200〜500Åの範囲の直径を有し、核に水性溶液を含む小さな単一膜(unila mellar)ビヒクル(SUV)が形成される。 Couvreurら、(1991)の教示に加えて、リポソーム処方物の作製において、以下 の情報が利用され得る。リン脂質は、水中に分散された場合に、水に対する脂質 のモル比に依存してリポソーム以外の種々の構造を形成し得る。低い比では、リ ポソームが好ましい構造である。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、 および2価カチオンの存在に依存する。リポソームは、イオンおよび極性物質へ の低い透過率を示し得るが、温度が上昇すれば、相遷移してその透過率が顕著に 変化する。相遷移は、密接にパックされた、整列した構造(ゲル状態として知ら れる)から、緩くパックされた、整列の程度が低い構造(液体状態として知られ る)への変化を含む。これは、特徴的相遷移温度で生じ、そしてこれによりイオ ン、糖、および薬剤への透過率が増加する。 リポソームは、4つの異なる機構を介して細胞と相互作用する:マクロファー ジおよび好中球のような網内系の食細胞によるエンドサイトーシス;細胞表面へ の吸着(非特異的な弱い疎水性力または静電気力によるか、または細胞表面成分 との特異的相互作用のいずれかによる);リポソームの脂質2重層のプラズマ膜 への挿入によるプラズマ細胞膜との融合、これは細胞質へのリポソーム成分の自 然な放出を伴う;およびリポソーム成分が全く関連しないリポソーム脂質の細胞 膜または亜細胞膜への移入、またはその逆。どの機構が作動可能であるか、そし て1つ以上が同時に作用し得るかを決定することはしばしば困難である。 2.10カルシウム結合タンパク質の発現 カルシウム結合タンパク質の発現のために、一旦適切な(所望であれば、全長 )クローン(単数または複数)(これはcDNAベースでもゲノムでもよい)が得ら れれば、カルシウム結合タンパク質の組換え調製のための発現系の調製を進行さ せ得る。原核生物系または真核生物系における発現のためのDNAセグメント(単 数または複数)の操作は、組換え発現における当業者に一般的に公知の技術によ り、行われ得る。カルシウム結合タンパク質の発現において、本質的に任意の発 現系が用いられ得ると考えられる。 カルシウム結合プロテオリピドは、真核生物発現系において首尾よく発現され 得るが、細菌発現系もまた、本質的に全ての目的のためのバクテリオカルシフィ ンタンパク質の調製のために使用され得ることが想定される。バクテリオカルシ フィンタンパク質のためのcDNAは、細菌系において、β-ガラクトシダーゼ、ユ ビキチン、Schistosoma japonicumグルタチオンS-トランスフェラーゼ、緑色蛍 光タンパク質などとの融合体として発現される、コードされるタンパク質と共に 、別々に発現され得る。細菌発現は、使用の容易さおよびこれにより得られる物 質の量という点で、最終的には真核生物発現よりも優れた利点を有すると考えら れる。 バクテリオカルシフィンをコードするDNAセグメントでの宿主細胞の形質転換 は、カルシウム結合タンパク質およびペプチドを得るための便利な手段を提供す ると考えられる。cDNAおよびゲノム配列の両方が、真核生物発現のために適切で あり、宿主細胞は、もちろん、ゲノム転写物をプロセスし、タンパク質への翻訳 のための機能的mRNAを生じる。 同様に、ほとんど全ての真核生物発現系(例えば、バキュロウイルスベース系 、グルタミン合成酵素ベース系、またはジヒドロ葉酸レダクターゼベース系が用 いられ得る)が、カルシウム結合タンパク質の発現のために利用され得ると考え られる。しかし、好ましい実施態様において、複製起点および効率的な真核生物 プロモーターを取り込んだプラスミドベクター(pCMVシリーズ(例えば、pCMV5) の真核生物ベクターにより例示されるような)が最も使用されることが意図され る。 この様式における発現のために、コード配列をプロモーターに隣接して、そし てその制御下におく。コード配列をこのようなプロモーターの制御下におくこと は、タンパク質の転写読み取り枠の転写開始部位の5'末端を、選択したプロモー ターの「下流」(すなわち、3'の)約1と約50ヌクレオチドとの間におくこと が当該分野において理解される。 真核生物発現が意図される場合、もとのクローン化セグメント中に含まれない 場合、代表的には適切なポリアデニル化部位(例えば、5'-AATAAA-3')を、カルシ ウム結合タンパク質を含む転写単位への取り込むことがまた所望される。代表的 には、ポリA付加部位は、転写終結の前にある位置でタンパク質の終結部位の約 30〜2000ヌクレオチド「下流」におかれる。 翻訳エンハンサーがまた、ベクターDNAの部分として取り込まれ得る。従って 、本発明のDNA構築物はまた、好ましくは得られたmRNA転写物からの遺伝子産物 の発現増大に作用し得る1つ以上の5'非翻訳リーダー配列を含むべきである。こ のような配列は、遺伝子を発現するために選択されたプロモーターに由来し得る か、またはRNAの翻訳を増大するために特異的に改変され得る。このような領域 はまた、ウイルスRNAから、適切な真核生物遺伝子から、または合成遺伝子配列 (Griffithsら、1993)から得られ得る。 このような「エンハンサー」配列は、得られたmRNAの翻訳効率を増大させるか または変化させることが所望され得る。本発明は、エンハンサーがネイティブな 5'-非翻訳プロモーター配列由来である構築物に限定されないが、他の非関連プ ロモーター(例えば、他のエンハンサー、転写アクチベーターまたは遺伝子)由 来の非翻訳リーダー配列を含む)をまた含み得る。 実際に、通常用いられる任意の宿主細胞がカルシウム結合タンパク質の発現に 関連して、本発明に一致して使用され得ることが意図される。例として真核生物 発現のために代表的に用いられる細胞株(例えば、239、AtT-20、HepG2、VERO、 HeLa、CHO、WI 38、BHK、C0S-7、RIN、および4DCK細胞株)を含む。 カルシウム結合タンパク質が「過剰発現」され得る(すなわち、ヒト細胞にお けるその天然の発現に比較して、またはカルシウム結合タンパク質コードDNAセ グメントを含む組換え宿主細胞における他のタンパク質の発現に比較して、増加 したレベルで発現される)ことが意図される。このような過剰発現は、放射標識 および/またはタンパク質精製を含む種々の方法により評価され得る。しかし、 単純かつ直接的方法(例えば、SDS/PAGEおよびタンパク質染色またはウエスタン ブロッティング、その後の定量的分析(例えば、得られたゲルまたはブロットの 濃度測定スキャニング)が好ましい。天然のカルシウム結合タンパク質産生動物 細胞におけるレベルに比較して、組換えタンパク質またはペプチドのレベルにお ける特異的な増加は、宿主細胞により産生される他のタンパク質に関する特異的 タンパク質の比較量であり、そして例えば、ゲル上で視覚可能であるとして過剰 発現を示す。 本明細書中で使用されるように、用語「操作」または「組換え」細胞は、組換 え遺伝子(例えば、カルシウム結合ペプチドをコードする遺伝子)が導入されて いる細胞をいうことが意図される。従って、操作細胞は、組換え導入される遺伝 子を含まない天然に存在する細胞と区別され得る。従って、操作細胞は、人の手 により導入された遺伝子を有する細胞である。組換え導入された遺伝子は、cDNA 遺伝子(すなわち、それらはイントロンを含まない)の形態であるか、ゲノム遺 伝子のコピーの形態であるか、または特定の導入遺伝子に天然には関連しないプ ロモーターに隣接して位置する遺伝子を含むかのいずれかである。 組換えカルシウム結合タンパク質は、天然に産生されるカルシウム結合タンパ ク質とはいくつかの点で異なり得ることが理解される。詳細には、翻訳後修飾( 例えば、グリコシル化およびリン酸化など)の程度は、組換えカルシウム結合 タンパク質と天然供給源(例えば、石灰化細菌)から精製されたカルシウム結合 ポリペプチドとの間で異なり得る。 概していえば、組換え遺伝子として遺伝子のcDNAバージョンを用いることがよ り便利であり得る。cDNAバージョンの使用は、代表的には1桁の単位まででcDNA 遺伝子よりも大きいゲノム遺伝子よりも、一般的によりずっと小さくそしてより 容易に標的細胞を形質転換するために用いられる遺伝子のサイズにおいて、利点 を提供することが考えられる。しかし、本発明者らは、所望される場合、特定の 遺伝子のゲノムバージョンの使用の可能性を排除しない。 上記の任意の手段、またはそれらの組合せにより、適切なDNA分子を同定した 後、次いでDNAは、最近当該分野において知られている多数のベクターのいずれ かに挿入され、そしてタンパク質のいわゆる「組換え」バージョンの発現および 産生を指向する原核生物または真核生物宿主細胞に移入され得る。組換え宿主細 胞は、S.mutans、E.coli、S.cerevisae、Bacillussp、Lactococci sp.、Enter ococci sp.、またはSalmonella sp.からなる群から選択され得る。特定の好まし い実施態様において、組換え宿主細胞はrecA表現型を有する。 1つ以上の前記の遺伝子の組換えバージョンの導入が必要とされる場合、操作 のために選択された細胞型において遺伝子の発現を効率的に指向するプロモータ ーの制御下にあるように、遺伝子を導入することが重要である。一般に、目的の 遺伝子の構成性(定常性)発現を可能にするプロモーターを用いることを所望す る。通常用いられる構成プロモーターは、一般にウイルス起源であり、そしてサ イトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫長末端反復(LTR)配列、およ びSV40初期遺伝子プロモーターを含む。これらの構成プロモーターの使用は、導 入遺伝子の高い、定常性発現レベルを確実にする。目的の導入遺伝子からの発現 のレベルは、おそらく染色体DNAにおける組換え遺伝子の挿入の部位の機能とし て、異なるクローンで変動し得る。従って、特定の組換え遺伝子の発現のレベル は、各トランスフェクション実験由来の異なるクローンを評価することにより選 択され得る;一旦その株が選択されると、構成プロモーターは、所望の発現のレ ベルが永続的に維持されることを確実にする。操作に使用する細胞型に特異的で あるプロモーター(例えば、膵島細胞腺腫細胞株におけるインスリンプロモータ ー、または下垂体前葉細胞株におけるプロラクチンまたは成長ホルモンプロモー ター)を使用することが、また可能であり得る。 2.10.1カルシウム結合タンパク質の増大産生 天然供給源から単離されたカルシウム結合タンパク質の問題の1つは、低い収 量および広範な精製プロセスである。本発明の1つの局面は、細菌宿主における 組換え方法論による、グラム陽性細菌細胞またはグラム陰性細菌細胞を形質転換 するDNA構築物を用いるカルシウム結合タンパク質の増大産生である。例えば、E scherichia coli発現系の使用は、他の細菌種(例えば、Bacillus subtilisまた はStreptococcus sanguis)の使用のように当業者に周知である。 本発明のさらなる局面は、新規のバクテリオカルシフィンおよびその変異体を コードするDNAを取り込む高発現ベクターを含む。他の系(例えば、S.mutans) においてバクテリオカルシフィンの増強発現を提供するベクターがまた入手され 得ることが意図される。所望される場合、バクテリオカルシフィンの物理学的特 性の改変が、その可溶性または液体培養における発現の増加のために探究され得 る。bcf遺伝子座は高発現プロモーターの制御下におかれ得るか、または発現系 の成分は増大発現のために改変され得る。 さらなる実施態様において、本発明のバクテリオカルシフィンをコードするDN Aは、バクテリオカルシフィンポリペプチドの大規模産生および単離を可能にす る。これは、バクテリオカルシフィンポリペプチドをコードするDNAを適切な発 現べクターにクローン化することによる、ミュータシンポリペプチドの発現を指 向することにより達成され得る。次いで、このような発現ベクターは、バクテリ オカルシフィンタンパク質を産生し得る宿主細胞に形質転換され得る。次いで、 バクテリオカルシフィンタンパク質は、例えば、本開示において提供される手段 により精製され得、そして生物学的に活性な形態において利用され得る。生物学 的に非活性な組換えバクテリオカルシフィンはまた、例えば、抗バクテリオカル シフィン抗体を調製するための免疫原として利用性を有し得る。 2.10.3カルシウム結合タンパク質遺伝子のクローン化 なお別の実施態様において、本開示は、カルシウム結合ポリペプチドをコード するDNAをクローン化するための方法を提供する。当業者に周知の方法を使用し 、本発明の精製カルシウム結合タンパク質をコードするDNAは単離され得、そし て精製され得る。例えば、配列番号1または配列番号8の配列をコードするDNA に相補的なヌクレオチドを含む縮重オリゴヌクレオチドを設計することにより、 カルシウム結合タンパク質コードDNAは、C.matruchotii細胞ライブラリーから クローン化され得る。このような配列は、これらの配列(すなわち、配列番号9 、配列番号10、配列番号11、および配列番号12)のN-末端配列に基づき設計され ている。 本発明により開示されるDNA配列は、カルシウム結合ポリペプチドをコードす る遺伝子に特異的にハイブリダイズし得る能力を有する比較的短いDNA(またはR NA)配列の調製を可能にする。このような遺伝子は、本明細書中でbcf遺伝子と 呼ばれ、そしてカルシウム結合プロテオリピド構造遺伝子をコードする遺伝子座 を意味することが理解される。これらの局面において、適切な長さの核酸プロー ブが調製される。このようなプローブは、代表的には精製カルシウム結合タンパ ク質の明らかにされたアミノ酸配列の考慮に基づき調製される。cbp遺伝子配列 に特異的にハイブリダイズするためのこのような核酸プローブの能力は、これら を特に種々の実施態様における有用性に導いた。例えば、プローブは、口腔粘膜 サンプルにおけるcbp遺伝子の存在を検出するための種々の診断アッセイにおい て使用され得る;しかし、バクテリオカルシフィンに関連する同様のまたは変異 ポリペプチドをコードするbcf遺伝子配列の同定を含む、他の使用が構想される 。他の使用は、変異種プライマー、または他の遺伝的構築物を調製するためのプ ライマーの使用を含む。 このようなクローン化手順の第一の段階は、適切なDNAライブラリー(例えば 、この場合、適切な細胞ライブラリー(例えば、C.matruchotii細胞)から調製 されるゲノムまたはcDNA)のスクリーニングである。スクリーニング手順は、タ ンパク質に対して指向する抗体を用いる発現スクリーニングプロトコル、または 活性アッセイであり得る。あるいは、スクリーニングは、タンパク質のアミノ酸 配列の部分、または関連タンパク質をコードする遺伝子のDNA配列を考慮して設 計 される、オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに基づき得る。 特に適切であると意図される別のクローン化アプローチは、クローン化を所望す る構造遺伝子に、例えば、同じオペロン中に会合することが通常知られている遺 伝子に指向されるプローブまたはプライマーの使用である。 カルシウム結合タンパク質の産生を担う遺伝子(単数または複数)の同定への 別のアプローチは、隣接することが公知の遺伝子を関連するカルシウム結合タン パク質遺伝子に位置させることである。同様に機能的なペプチドをコードする遺 伝子における配列決定された遺伝子座から、これらの遺伝子が共通の配列の領域 を共有しているかを決定し得る。保存配列に相補的な一連のオリゴヌクレオチド プライマーは、介在配列を増幅するためのPCR反応において使用され、このアン プリコンは、推定バクテリオカルシフィン遺伝子を同定するためのプローブとし て使用され得る。PCR技術は、米国特許第4,603,102号(本明細書中に参考として 引用される)に記載されている。このようなバクテリオカルシフィン遺伝子が既 知の各カルシウム結合タンパク質遺伝子の部分であることが見出された場合、カ ルシウム結合タンパク質のための構造遺伝子は近くに存在するはずであり、そし て「染色体歩行」として知られる技術により容易に同定される。 C.matruchotii由来のプロテオリピドに対する抗体は、石灰化心弁におけるプ ロテオリピドの存在を免疫学的に検出している。細菌性プロテオリピドに対する 抗体は、細菌性心内膜炎および二尖心弁の石灰化の検出、処置および予防におけ る治療剤としての役割を果たし得る。 Corynebacterium matruchotii由来のプロテオリピドは、石灰化活性および10 キロダルトン未満の分子量を有する。本発明は、バクテリオカルシフィン-1(配 列番号1)およびバクテリオカルシフィン-2(配列番号2)のアミノ酸配列、な らびに(配列番号3)の5.5キロダルトンのプロテオリピドの遺伝子のヌクレオ チド配列を含む、生物学的に活性なプロテオリピドを提供する。本発明のプロテ オリピドの生物学的特性の中には、代謝安定なカルシウムリン酸溶液からインビ ボ、インビトロでヒドロキシアパタイトの形成を誘導する能力およびインビト口 アッセイにおけるカルシウムの結合がある。 精製は、カルシウムを含む培地におけるC.matruchotiiを培養する工程;クロ ロホルム:メタノール混合物を用いて培養C.matruchotii細胞からプロテオリピ ドを抽出する工程;アセトンおよび/またはジエチルエーテルを用いてクロロホ ルム:メタノール抽出物からプロテオリピドを沈殿させる工程;およびクロロホ ルム:メタノールを移動相として用いるSEPHADEXTM LH-20による疎水性相互作用 クロマトグラフィー工程を含むプロセスである。このプロテオリピドは、Ala-Gl y-Val-Pro-Gly-ValのN-末端アミノ酸配列(配列番号4)を有するタンパク質を 含む。このプロテオリピドは、(配列番号2)のより長いN-末端アミノ酸配列を 有する。 プロテオリピド調製は、脱脂の後、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミ ドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により決定されるように、約7.5キロダルトン、約5.5 キロダルトン、および約5.0キロダルトンの分子量を有する脱脂プロテオリピド (アポタンパク質)を含む。C.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調 製物の7.5キロダルトンアポタンパク質成分は、(配列番号2)のN-末端アミノ 酸配列を有する。 5.5キロダルトンアポタンパク質は、(配列番号5)のN-末端アミノ酸配列を 有する。C.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調製物の5.5キロダル トンアポタンパク質成分は、50アミノ酸の配列(配列番号1)を有する。 5.0キロダルトンアポタンパク質は、(配列番号5)のN-末端アミノ酸配列を 有する。C.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調製物の5.0キロダル トンアポタンパク質成分は、47アミノ酸の配列(配列番号8)を有する。 本発明はまた、5.5キロダルトンアポタンパク質のcDNAヌクレオチド配列およ び5.5キロダルトンアポタンパク質の遺伝子のヌクレオチド配列を含む任意の他 のヌクレオチド遺伝子配列、ならびに、PCRTM技術の使用によりこれらの配列を 生成するために使用される、5.5キロダルトンアポプロテオリピドのアミノ酸配 列に基づく、任意のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。5.5キロダルトンア ポタンパク質は、(配列番号3)のヌクレオチド配列を有する。 本発明の部分はまた、C.natruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調製物 に対して指向するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ならびにこれ らのポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の診断的および治療的使用で ある。本発明の抗体は、C.matruchotiiおよび石灰化に関与する本質的に相同な プロテオリピドを産生し、そして上記の抗体により特異的に検出され得る、他の 石灰化微生物(例えば、Escherichia coli株およびStreptococcus sanguis、こ れらに限定されない)の存在を検出することにおいて有用である。ポリクローナ ル抗体およびモノクローナル抗体はまた、歯石の形成および心弁の石灰化の阻害 においてまた有用である。本発明の方法は歯石および心弁石灰化の阻害のためで あり、そしてC.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調製物に対する免 疫誘導を包含する。 本発明はまた、本発明のプロテオリピド調製物または任意のそのアポタンパク 質成分を含む組成物(例えば、診断的、治療的、および薬学的組成物)、ならび に本発明のプロテオリピド調製物に対する抗体およびプロテオリピドならびに/ または抗体を処置および診断に用いる方法を提供する。 添付の図面と共に引用した場合、他のおよびさらなる目的、特徴、および利点 は、開示の目的のために与えられる本発明の現在好ましい実施態様の以下の説明 から明らかである。 3.0図面の簡単な説明 図1 C.matruchotiiプロテオリピドの脱脂の前および後のカルシウム結合。 4日間培養し、そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを抽出し、そして精 製した。次いで、精製プロテオリピド(25μgタンパク質)をカルシウム結合活 性について、ヒドロキシルアミンを用いる処置の後、またはSEPHADEXTM LH-20に よるカラムクロマトグラフィーおよびヒドロキシルアミンを用いる処置の後、任 意のさらなる処置を行わずに実施例1に記載のようにアッセイした。クロロホル ム:メタノール(2:1、v/v)をネガティブコントロールとして用いた。活性 を、任意に100%と設定した未処置のサンプルに見出されるカルシウムの割合と して表した。全ての値は、3つの個々のサンプルの平均士SEMである。*P<0.05 、処置対未処理コントロール。 図2 C.matruchotiiプロテオリピド抽出物のSEPHADEXTM LH-20によるクロマ トグラフィー。4日間培養し、そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを抽 出した。4mgの部分精製プロテオリピドタンパク質を、クロロホルム:メタノー ル(2:1、v/v)で平衡化したSEPHADEXTM LH-20カラム(2.5×25cm)にローし た。カラムを0.5ml/分の流速で溶出し、そして2ml画分を回収した。全ての画分 について、280nmにおける吸収を測定した。全ての画分を、インビトロカルシウ ム結合活性についてアッセイした。 図3 SEPHADEXTM LH-20によるクロマトグラフィーの前および後のプロテオリ ピドのSDS-PAGE。4日間培養し、そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを 抽出した。プロテオリピドを、塩抽出により単離し、そして実施例1に記載のエ ーテル沈殿、続いてSEPHADEXTM LH-20によるクロマトグラフィーにより単離した 。サンプルを、SDS-PAAゲルにおいてTris-トリシン緩衝液中で電気泳動し、そし てCoomassie Brilliant Blueにより染色し、その後銀染色した。Std:分子量マ ーカー;レーン1および3:Coomassie(レーン1)または銀(レーン3)を用 いて染色したプロテオリピド抽出物;レーン2およびレーン4:Coomassie(レ ーン2)または銀(レーン4)を用いて染色したSEPHADEXTM LH-20によるクロマ トグラフィー後のプロテオリピド抽出物。 図4 メタノールKOHを用いる処置の前および後のプロテオリピドのSDS-PAGE 。4日間培養し、そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを抽出した。プロ テオリピドを、実施例1に記載のように抽出し、次いでメタノールKOHを用いて 処置した。サンプルを、Tris-トリシン緩衝液中SDS-PAAゲルにより電気泳動に供 し、そしてCoomassie Brilliant Blueにより染色し、その後銀染色した。 Std:分子量マ0カー;レーン1および3:Comassie(レーン1)または銀(レ ーン3)で染色したプロテオリピド抽出物;レーン2および4:メタノール−KO Hでの処理後、Coomassie(レーン2)または銀(レーン4)で染色したプロテオ リピド抽出物。 図510キロダルトンのプロテオリピド調製物および7.5kDaのC.matruchotiiの アポタンパク質のN末端アミノ酸配列。4日間培養し、そして凍結乾燥した細菌 からプロテオリピドを抽出した。プロテオリピドを、実施例1に記載のように塩 抽出およびエタノール沈殿によって単離し、その後メタノールKOHで処理した。 サンプルを、Tris-トリシン緩衝液中SDS-PAAゲルにより電気泳動し、その後ProB lottメンブレンに電気泳動的に写し、Comassie Brilliant Blueで染色し、そし て続いて染色されたタンパク質のバンドのアミノ酸配列決定を行った。Ser(P): ホスホセリン残基。 図6 C.matruchotiiプロテオリピド抽出物のアミノ酸配列。4日間培養し、 そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを抽出した。プロテオリピドを、実 施例1に記載のように塩抽出およびエタノール沈殿によって抽出し、次いでメタ ノールKOHおよびCNBrを用いて処置した。サンプルを、Tris-トリシン緩衝液中SD S-PAAゲルにより電気泳動に供し、その後電気泳動的にProBlottメンブレンに写 し、Coomassie Brilliant Blueにより染色した。染色されたタンパク質バンドを 切り出し、そしてアミノ酸配列を決定した。図6A:5.5kDaプロテオリピドのア ミノ酸配列。図6B:5.0kDaプロテオリピドのアミノ酸配列。(Met)は、プロテ オリピドタンパク質コアの推定N-末端である(本文を参照のこと)。下線:ヒト およびブタリンタンパク質ホスファターゼ2A(Hemmingら、1990)との相同性。 四角:潜在的リン酸化部位。 図7 5.5kDaプロテオリピドcDNAのアクリルアミドゲル電気泳動。5.5キロダ ルトンプロテオリピド遺伝子を、5.5kDaプロテオリピドのアミノ酸配列に基づく オリゴヌクレオチドプライマーpp6-N5(配列番号9)およびpp6-C5(配列番号9 )を用いて、PCRTMによりC.matruchotii染色体DNAから増幅した。代表的には、 64℃のアニーリング温度で30 PCRTMサイクルを行った。PCRTM産物を、Tris-ホウ 酸塩-EDTA緩衝液中10%アクリルアミドゲルにより電気泳動し、エチジウムブロ マイドで染色し、そしてUV光で可視化した。レーン1:64℃で30サイクル後のPC RTM産物。レーン2:アガロースゲル精製したプロテオリピドcDNA。100bp Std: 100塩基対分子サイズマーカー;10bp Std: 10塩基対分子サイズマーカー。 図8 5.5kDaプロテオリピドcDNAのヌクレオチド配列。cDNAを、図7に記載の ように得た。オリゴヌクレオチドプライマーの配列を、ヌクレオチド配列の上に 示した。プライマーは、示された5'-および3'-伸長(CGおよびGC)ならびにさら なる制限部位(EcoRIおよびBamHI)を含んだ。 図9 プロテオリピドのSDS-PAGEおよびウエスタンブロット。4日間培養し、 そして凍結乾燥した細菌からプロテオリピドを抽出した。プロテオリピドを、材 料および方法の章に記載のように抽出した。サンプルを、Tris-トリシン緩衝液 中SDS-PAAゲルにより電気泳動に供し、ProBlottメンブレンにエレクトロブロッ トした。プロテオリピドを、材料および方法の章に記載の免疫染色により検出し た。図9A:ProBlueを用いて染色したSDS-PAAゲル;図9B:ウサギポリクロー ナル抗体を用いた免疫検出;図9C:マウスモノクローナル抗体を用いた免疫検 出。 図10 C.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピド調製物に対して産生し たポリクローナル抗体を用いたプロテオリピド含有調製物のELISAアッセイ。用 いた一次抗体希釈を示す。前免疫:前免疫血清;4D C.matruchotii:4日培養物 由来のプロテオリピド抽出物;12D C.matruchotii:12日培養物由来のプロテオ リピド抽出物C.matruchotii:4日培養物由来のメンブレン調製物;S.sanguis I型およびS.sanguis II型:Streptococcus sanguis I型およびStreptococcus II型由来のプロテオリピド抽出物;E.coli DE3 wt:Escherichia coli DE-3野 生型;E.coli DE-3PhoB-:Escherichia coli DE-3 PhoB-変異体。 4.0 例示的な実施態様の詳細な説明 4.1 ELISA ELISAは、本発明と供に使用され得る。ELISAアッセイにおいて、カルシウム結 合プロテオリピドまたはタンパク質を組み込むタンパク質またはペプチドを、選 択された表面(好ましくは、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルの ようなタンパク質親和性を示す表面)上で固定化する。不完全に吸着された物質 を除去するための洗浄の後に、アッセイプレートウェルを、試験抗血清に関して 抗原的に中性であることが公知である非特異的タンパク質(例えば、ウシ血清ア ルブミン(BSA)、カゼイン、または粉乳の溶液)で結合または被覆することが望 ましい。これは、固定化表面上の非特異的吸着部位の遮断を可能し、従って表面 上への抗血清の非特異的結合により引き起こされるバックグラウンドを低減させ る。 抗原性物質のウェルへの結合、バックグラウンドを低減するための非反応性物 質での被覆、そして結合していない物質を除去するための洗浄の後に、固定化表 面を、免疫複合体(抗原/抗体)形成を助長する様式で抗血清または試験される 臨床的もしくは生物学的抽出物と接触させる。このような条件は、好ましくは、 抗血清を希釈剤(例えば、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)、およびリン酸緩衝 薬剤はまた、非特異的なバックグラウンドの低減を補助する傾向がある。次いで 、重層された抗血清は、約2〜約4時間、好ましくはおよそ約25℃〜約27℃でイ ンキュベートする。インキュベートの次に、抗血清と接触させた表面を、免疫複 合化していない物質を除去するために洗浄する。好ましい洗浄手順は、PBS/Twe en 試験サンプルと結合抗原との間の特異的免疫複合体の形成、その後の洗浄の後 に、免疫複合体形成の出現および量でさえも、同一物を第一抗体に特異性を有す る第二抗体に供することにより決定し得る。検出手段を提供するために、第二抗 体は好ましくは、適切な色素生産性基質と共にインキュベートする際に発色を生 じる結合酵素を有する。従って、例えば、抗血清結合表面を、ウレアーゼ結合、 ペルオキシダーゼ結合、またはアルカリホスファターゼ結合の抗ウサギ、抗マウ ス、または抗ヒトIgGと共に、免疫複合体形成の発生に好ましい時間および条件 下にて、接触させそしてインキュベートすることが望ましい(例えば、PBS/Twe 第二酵素タグ化(enzyme-tagged)抗体とのインキュベーション、それに続く結 合していない物質を除去するための洗浄の後に、標識の量を、色素生産性基質( 例えば、酵素標識としてペルオキシダーゼの場合には、尿素およびブロモクレゾ ールパープルまたは2,2'-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン)-6-スルホン 酸(ABTS)およびH2O2、あるいは酵素標識としてアルカリホスファターゼの場合に は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルホスフェート(BCIP)およびニトロブルーテ トラゾリウム(NBT))と共にインキュベートすることにより定量する。次いで、 定量は、発色の程度を例えば、可視スペクトル分光光度計を用いて測定すること により達成される。 4.2 エピトープコア配列 本発明はまた、細胞全体および他のペプチドを有しないタンパク質またはペプ チド組成物に関する。これは、一つ以上の抗カルシウム結合プロテオリピドまた はカルシウム結合タンパク質抗体と免疫学的に交差反応性(cross-reactive)であ るエピトープを組み込む精製タンパク質または精製ペプチドを含む。 本明細書中で使用される、用語「一つ以上の抗カルシウム結合プロテオリピド またはカルシウム結合タンパク質抗体と免疫学的に交差反応性であるエピトープ を組み込む」は、カルシウム結合ポリペプチド内に位置するエピトープに類似し た一次、二次、または三次構造を含むペプチドまたはタンパク質抗原をいうこと が意図される。類似性のレベルは、一般に、カルシウム結合ポリペプチドに対す るモノクローナルまたはポリクローナル抗体がまた、交差反応性ペプチドまたは タンパク質抗原と結合し、反応し、またはそうでなければ認識する程度と同程度 である。種々の免疫アッセイ方法が、このような抗体と供に利用され得る(例え ば、ウエスタンブロッティング、ELISA,RIAなど、これらの全ては当業者に公知 である)。 ワクチンにおける使用のために適切なカルシウム結合エピトープおよび/また はこれらの機能的等価物の同定は、比較的簡単な問題である。例えば、親水性に 基づくアミノ酸配列からのエピトープの同定および調製を教示するHoppの方法( 米国特許第4,554,101号に教示される、本明細書中で参考として援用される)を 使用し得る。いくつかの他の論文中に記載される方法およびそれに基づくソフト ウェアプログラムもまた使用して、エピトープのコア配列を同定し得る(例えば 、JamesonおよびWolf、1988;Wolfら、1988;米国特許第4,554,101号を参照のこと )。次いで、これら「エピトープコア配列」のアミノ酸配列を、ペプチド合成ア プリケーションまたは組換え技術のいずれかを介してペプチド中に組み込み得る 。 本発明に従う使用のために好ましいペプチドは、一般に、およそ約5〜約25ア ミノ酸の長さ、そしてより好ましくは約8〜約20アミノ酸の長さである。より短 い抗原性カルシウム結合タンパク質由来ペプチド配列が、ある状況(例えば、ワ クチンの調製において、または免疫学的検出アッセイにおいて)における利点を 提供することが提唱される。例示的な利点は、調製および精製の容易性、生産の 相対的に低いコストおよび改良された再現性、ならびに有利な体内分布を含む。 本発明の特定の利点は、カルシウム結合タンパク質およびカルシウム結合タン パク質関連配列に対して「普遍的な」エピトープペプチドを生じる、改変および /または伸長されたエピトープ/免疫原性コア配列を含む合成ペプチドの調製を 介して理解され得ることが提唱される。これらの領域は、動物中でT細胞またはB 細胞の刺激を最も促進するらしい領域であることを表し、それ故このような動物 中で特異的な抗体産生を誘発することが提唱される。 本明細書中で使用される、エピトープコア領域は、カルシウム結合タンパク質 抗体上の抗原結合部位に「相補的」であり、それ故この部位に結合する相対的に 短い長さのアミノ酸である。さらにまたはあるいは、エピトープコア配列は、本 発明のペプチド組成物に対する抗体と交差反応性である抗体を誘発する配列であ る。本発明の開示の状況において、用語「相補的」は、相互に引力を示すアミノ 酸またはペプチドをいうことが理解される。従って、本発明の特定のエピトープ コア配列は、対応するタンパク質指向抗血清と競合し、またはおそらく所望のタ ンパク質抗原と対応するタンパク質指向抗血清との結合を置換するこれらの能力 の点で、操作可能に定義され得る。 一般に、ポリペプチド抗原のサイズは、同定されたコア配列または配列を有す るのに十分少なくとも大きい限り、特に重大であるとは考えられない。本発明の 開示により予測される最も小さい有用なコア配列は、一般に、およそ約5アミノ 酸の長さであり、より好ましくはおよそ8または25の配列である。従って、この サイズは、一般に、本発明に従って調製された最も小さいペプチド抗原に対応す る。しかし、抗原のサイズは、基本的なエピトープコア配列を含む限り、所望の 場合にはより大きくあり得る。 エピトープコア配列の同定は、例えば、親水性に基づくアミノ酸配列からのエ ピトープの同定および調製を教示する米国特許第4,554,101号(本明細書中で参 考として援用される)に記載されるように当業者に公知である。さらに、多数の コンピュータプログラムが、タンパク質の抗原性部分の予測における使用のため に利用可能である(例えば、JamesonおよびWolf、1988;Wolfら、1988を参照の ソフトウェア,DNAStar,Inc.,Madison,Wisc.)はまた、本発明の開示に従う合成 カルシウム結合ペプチドおよびペプチドアナログの設計において有用であり得る 。 それらの配列内に抗原性エピトープを含むエピトープ配列またはペプチドの合 成は、固相方法のような従来の合成技術(例えば、Applied Biosystems Model 4 30A Peptide Synthesizerにような市販のペプチド合成機の使用を介して)を使 用して容易に達成され得る。次いで、この様式で合成されたペプチド抗原を事前 に決定された量に等分し、そして従来の様式で(例えば、水溶液で、またはさら により好ましくは使用まで粉末もしくは凍結乾燥された状態で)保管し得る。 一般に、ペプチドの相対的な安定性に起因して、これらを水溶液中で、所望で あれば相当な長期間(例えば、6カ月までまたはそれ以上)、実質的にはかなり の分解または抗原活性の損失がない任意の水溶液中で、容易に保管し得る。しか し、延長された水溶液の保管が意図される場合、一般に、pHを約7.0〜約7.5に維 持するための緩衝液(例えば、Trisまたはリン酸緩衝液)を含む薬剤を含むこと が望ましい。さらに、微生物の増殖を阻害する薬剤(例えば、アジ化ナトリウム またはMerthiolate)を含むことが所望され得る。水性状態での延長された保管 のために、溶液を4℃で、またはより好ましくは凍結させて保管することが望ま しい。当然に、ペプチドを凍結乾燥状態または粉末化状態で保管する場合、これ らを、実質的に無期限に(例えば、使用前に事前に決定された量の水(好ましく は滅菌水)または緩衝液で再水和され得る計量されたアリコートにおいて)保管 し得る。 4.3 免疫沈降 本発明の抗体は特に、免疫沈降による抗原の単離のために有用である。免疫沈 降は、複雑な混合物からの標的抗原成分の分離に関与し、そして微小な量のタン パク質を識別または単離するために使用される。膜タンパク質の単離のために、 細胞は、界面活性剤のミセルへ可溶化されなければならない。胆汁酸塩のような 他の薬剤は酸性のpHまたは2価のカチオンの存在下で沈殿するので、非イオン性 の塩が好ましい。 別の実施態様において、本発明の抗体は、二つの抗原の近接した並置について 有用である。これは特に、抗原(例えば、酵素-基質の対)の局在的濃度を上昇 させるために有用である。 4.4 ウエスタンブロット 本発明の組成物は、イムノブロットまたはウエスタンブロット分析における重 大な使用を見出す。抗カルシウム結合タンパク質抗体は、固体支持マトリックス (例えば、ニトロセルロース、ナイロン、またはその組み合わせ)上に固定化さ れたタンパク質の同定のための高親和性一次試薬として使用され得る。免疫沈降 、それに続くゲル電気泳動を併用して、これらを、抗原(抗原の検出に使用され る二次試薬が不利なバックグラウンドを生ずる)の検出における使用のための単 一工程の試薬として使用し得る。これは、研究される抗原が免疫グロブリン(免 疫グロブリン結合細菌細胞壁成分の使用を防止する)であるか、研究される抗原 が検出薬剤との交差反応するか、またはこれらが交差反応のシグナルとして同一 の相対的分子量で移動する場合に特に有用である。 酵素学的、放射標識的、または蛍光的にタグ化された、プロテオリピドに対す る二次抗体を含むウエスタンブロッティングと併用した使用のための免疫学的に 基づいた検出方法は、この点において特に有用であると考慮される。 4.5 ワクチン 本発明は、能動免疫および受動免疫の両方の実施態様における使用のためのワ クチンを意図する。免疫原性組成物(ワクチンとしての使用に適切であることが 提唱される)を、本明細書に開示される様式で調製した免疫原性カルシウム結合 ペプチドから直接的に最も容易に調製し得る。好ましくは、抗原性物質を、よく 透析して所望でない小分子量分子を除去し、そして/または所望のビヒクルへの より容易な処方のために凍結乾燥する。 カルシウム結合ペプチド配列を活性成分として含むワクチンの調製は、一般に 、米国特許第4,608,251号;同第4,601,903号;同第4,599,231号;同第4,559,230 号;同第4,596,792号;および同第4,578,770号(全て本明細書中で参考として援 用される)に例証されるように当該分野で十分に理解される。代表的には、この ようなワクチンを、注射剤として調製する。液体の溶液または懸濁液のいずれか の場合:液体中の溶液または懸濁液に適切な固体形態をまた、注射前に調製する 。調製物はまた、乳化され得る。活性な免疫原性成分を、薬学的に受容可能であ りそして活性成分に適合する賦形剤としばしば混合する。適切な賦形剤は、例え ば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、およびこれら の組み合わせである。さらに、所望であれば、ワクチンは微量の補助物質(例え ば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、またはワクチンの有効性を増強するアジ ュバント)を含み得る。 ワクチンは、慣習的に非経口的に、注射によって(例えば、皮下または筋肉内 )投与され得る。投与の他の様式に適切なさらなる処方物は、座薬、およびいく つかの場合には経口処方物を含む。座薬のために、伝統的な結合剤およびキャリ アは、例えば、ポリアルカレングリコールまたはトリグリセリドを含み得る:こ のような座剤を、活性成分を約0.5%〜約10%、好ましくは約1〜約2%の範囲 で含む混合物から形成し得る。経口処方物は、例えば、薬学的等級のマンニトー ル、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セル ロース、炭酸マグネシウムなどのような通常使用される賦形剤を含む。これらの 組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放化処方物または粉末の形 態をとり、そして約10〜約95%、好ましくは約25〜約70%の活性成分を含む。 本発明のカルシウム結合タンパク質由来ペプチドを、中性または塩の形態とし てワクチンに処方化し得る。薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(acid additio n salt)(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)、および例えば、塩酸もしく はリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのよ うな有機酸と形成される塩を含む。遊離カルボキシル基と形成された塩はまた、 例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または鉄水酸化物 のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルア ミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基由来であり得る 。 ワクチンを、投与処方物と適合する様式で、および治療的に有効でありそして 免疫原性であるような量で投与する。投与されるべき量は、処置されるべき被験 者に依存する(例えば、抗体を合成する個体の免疫系の能力および所望の防御の 程度を含む)。投与されることが必要とされる活性成分の正確な量は、従業者の 判断に依存する。しかし、適切な投与量範囲は、1回のワクチン接種あたりおよ そ数百μgの範囲である。初期の投与および追加抗原注射の適切なレジメはまた 変更可能であるが、初期の投与それに続く次の接種または他の投与により代表さ れる。 適用の様式は、広く変化し得る。ワクチン投与の従来の方法のいずれもが、適 用可能である。これらは、固体の生理学的に受容可能な塩での経口の適用、また は非経口的に注射などによる生理学的に受容可能な分散を含むことが考えられる 。ワクチンの投与量は、投与の経路に依存し、そして宿主のサイズに従って変動 する。 ワクチンのためのアジュバントの効果を達成する種々の方法は、一般的にリン 酸緩衝化生理食塩水中約0.05〜約0.1%溶液として使用される水酸化アルミニウ ムまたはリン酸アルミニウム(alum)、約0.25%溶液として使用される糖の合成ポ で30秒〜2秒間の熱処理によるワクチン中のタンパク質凝集物のような薬剤の使 用をそれぞれ含む。遮断代替物(substitute)として使用される、アルブミンに対 するペプシン処理された(Fab)抗体を再活性化することによる凝集物、細菌細胞 (例えば、C.parvum)またはグラム陰性細菌のエンドトキシンまたはリポ多糖成 分、マンニドモノオレエート(Aracel A)のような生理学的に受容可能な油の 液での乳濁液もまた、利用し得る。 多くの場合において、通常は6回のワクチン接種を越えず、より通常は4回の ワクチン接種を越えず、そして好ましくは1回以上、通常は少なくとも約3回の ワクチン接種である、ワクチンの複数の投与を有することが所望される。ワクチ ン接種は、普通は2〜12週の間隔であり、より通常には3〜5週の間隔である。 1〜5年(通常は3年)の間隔の定期的な追加免疫は、抗体の防御レベルを維持 するために望ましい。免疫化の過程には、上清の抗原に対する抗体についてのア ッセイが続き得る。アッセイは、従来の標識(例えば、放射性核種、酵素、蛍光 など)を用いて標識することにより実施され得る。これらの技術は周知であり、 そしてアッセイのこれらのタイプが例証される米国特許第3,791,932;同第4,174 ,384号および同第3,949,064号のような多種多様の特許において見出され得る。 4.6 DNAセグメント 他の実施態様において、コードDNAセグメントを組換えまたは異種のプロモー ターの制御下に位置させることにより、特定の利点が得られることが意図される 。本明細書中で使用する場合、組換えまたは異種のプロモーターは、その天然の 環境においてカルシウム結合ペプチドをコードするDNAセグメントと普通に会合 しないプロモーターをいうことが意図される。このようなプロモーターは、他の 遺伝子と普通に会合するプロモーターおよび/または任意のウイルス、原核生物 (例えば、細菌)、真核生物(例えば、真菌、酵母、植物、または動物)細胞か ら単離されたプロモーター、特に哺乳動物細胞のプロモーターを含み得る。当然 に、発現のために選択される細胞型、生物体、またはさらに動物におけるDNAセ グメントの発現を効果的に指向するプロモーターを使用することが重要である。 タンパク質発現のためのプロモーターと細胞型との組み合わせの使用は、一般に 、分子生物学の分野の当業者に公知である(例えば、Sambrookら、1989を参照の こと)。使用されるプロモーターは、構成的または誘導性であり得、そして例え ば、組換えタンパク質またはペプチドの大量産生に有利である、導入されたDNA セグメントの高レベルの発現を指向するような適切な条件下で使用され得る。高 レベルの発現における使用が意図される適切なプロモーター/発現系は、Pichia 発現ベクター系(Pharmacia LKB Biotechnology)、昆虫細胞における発現のた めのバキュロウイルス系、または任意の適切な酵母もしくは細菌発現系を含むが 、これらには限定されない。 組換えタンパク質およびペプチドを調製するための発現の実施態様との関連に おいて、より長いDNAセグメントが最もよく使用され、ペプチド配列全体をコー ドするDNAセグメントが最も好ましいことが意図される。しかし、カルシウム結 合ペプチドまたはエピトープのコア領域の発現を指向するより短いDNAセグメン トの使用(例えば、抗カルシウム結合タンパク質抗体を生成するために使用され 得る)もまた、本発明の範囲内に入ることが理解される。約10〜約100アミノ酸 の長さ、またはより好ましくは約20〜約80アミノ酸の長さ、またはさらにより好 ましくは約30〜約70アミノ酸の長さであるカルシウム結合ペプチド抗原をコード するDNAセグメントが、特に有用であることが意図される。 本発明のカルシウム結合ペプチドの発現を指向するこれらの使用に加えて、本 明細書中で意図された核酸配列はまた、種々の他の使用を有する。例えば、これ らはまた、核酸ハイブリダイゼーションの実施態様におけるプローブまたはプラ イマーとしての有用性を有する。約14ヌクレオチド長の連続する配列番号3のDN Aセグメントと同一であるかまたは相補的である配列を有する少なくとも約14ヌ クレオチド長の連続する配列からなる配列領域を含む核酸セグメントは、特定の 有用性が見出されることが意図される。より長い連続する同一または相補的な配 列(例えば、約20、30、40、50、100、200(中間の長さを全て含む)の配列なら びに約150bp(完全長)配列までのおよびこれを含む配列)もまた、特定の実施 態様における使用の配列である。 カルシウム結合タンパク質コード配列に特異的にハイブリダイズするこのよう な核酸配列プローブの能力は、これらが、所定のサンプル中の相補的配列の存在 の検出における使用に有用であることを可能にする。しかし、変異体種プライマ ーまたは他の遺伝子構築物の調製における使用のためのプライマーの調製のため の配列情報の使用を含む他の使用が考えられる。 配列番号3のDNA配列に同一であるかまたは相補的である、約14、15〜20、30 、40、50、またはさらに約100〜約150ヌクレオチド程度の連続するヌクレオチド 範囲からなる配列領域を有する核酸分子は、例えば、サザンブロッティングおよ びノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーシヨンプロー ブとして特に意図される。より小さいフラグメントは、一般に、ハイブリダイゼ ーションの実施態様における使用を見出す。ここで、連続する相補的領域の長さ は変化し得るが(例えば、約10〜14と約100までのヌクレオチドとの間)、検出 することを望む相補的配列の長さに従って、より大きい連続する相補的範囲が使 用され得る。 約14ヌクレオチドの長さのハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定で ありかつ選択的である二本鎖分子の形成を可能にする。しかし、ハイブリッドの 安定性および選択性を増大し、それによって得られる特定のハイブリッド分子の 質および程度を改善するために、14塩基の長さより大きい範囲にわたる連続する 相補的配列を有する分子が、一般に好ましい。約15〜約20の連続するヌクレオチ ドまたは所望される場合さらにより長い連続するヌクレオチドの遺伝子相補的な 範囲を有する核酸分子を設計することが、一般に好ましい。 当然に、フラグメントはまた、他の技術により(例えば、機械的剪断により、 または制限酵素の消化により)得られ得る。小さな核酸セグメントまたはフラグ メントは、例えば、自動化されたオリゴヌクレオチドシンセサイザーを使用して 一般に実施されるように化学的手段による直接的なフラグメントの合成により容 易に調製され得る。フラグメントはまた、核酸複製技術(例えば、PCR)の適用 により、組換え生産のための選択された配列の組換えベクターへの導入により、 および分子生物学の分野の当業者に一般に公知の他の組換えDNA技術により得ら れ得る。 従って、本発明のヌクレオチド配列は、DNAフラグメントの相補的範囲と二本 鎖分子を選択的に形成するそれらの能力のための使用され得る。意図される適用 に依存して、標的配列に対するプローブの種々の選択性の程度を達成するために 、種々のハイブリダイゼーション条件を利用することが所望される。高い選択性 を要求する適用のためには、代表的には、ハイブリッドを形成するために比較的 ストリンジェントな条件が利用されることが所望される(例えば、約0.02Mから 約0.15M NaClで約50℃から約70℃の温度によって提供される条件のような比較的 低塩および/または高温の条件が選択される)。このような選択条件は、プロー ブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチ(もしあれば)をほとんど許 容せず、そしてカルシウム結合タンパク質コードDNAセグメントを単離するため に特に適切である。ハイブリダイゼーションを介したDNAセグメントの検出は当 業者に周知であり、そして米国特許第4,965,188号および同第5,176,995号(それ ぞれ本明細書中で参考として援用される)の教示は、ハイブリダイゼーション分 析の方法の模範である。Maloyら,1994;Segal、1976;Prokop、1991;およびKub y、1994のテキストに見出されるような教示は、特に関連する。 当然に、いくつかの適用のためには、例えば、基礎となるテンプレートにハイ ブリダイズする変異プライマー鎖を利用して変異体を調製することを所望する場 合、またはカルシウム結合タンパク質コード配列を関連種、機能的等価物などか ら単離しようとする場合、代表的には、よりストリンジェントでないハイブリダ イゼーション条件が、ヘテロ二本鎖の形成を可能にするために必要とされる。こ れらの場合、例えば、約0.15M〜約0.9Mの塩、約20℃〜約55℃の範囲の温度のよ うな条件を利用することを所望し得る。それによって、クロスハイブリダイズし た(cross-hybridizing)種は、コントロールハイブリダイゼーションに対して ポジティブにハイブリダイズしたシグナルとして容易に同定され得る。いずれに せよ、条件は、増大した温度と同一の様式でハイブリッド二本鎖を不安定化する ように作用する漸増量のホルムアルデヒドの添加によって、よりストリンジェン トになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は 容易に操作され得、そしてそれ故一般に所望の結果に依存して選択される方法で ある。 特定の実施態様において、ハイブリダイゼーションの決定のために、適切な手 段(例えば、標識)と組み合わせて本発明の核酸配列を利用することは有利であ る。多種多様な適切な指標の手段(検出可能なシグナルを示し得る蛍光性、放射 性、酵素的または他のリガンド(例えば、アビジン/ビオチン)を含む)が当該 分野で公知である。好ましい実施態様において、放射性または他の環境的に望ま しくない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ(例えば、ウレアーゼ、アル カリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼ)を利用することが所望されるよ うである。酵素タグの場合、相補的核酸含有サンプルでの特異的ハイブリダイゼ ーションを同定するために、肉眼でまたは分光光度的に可視である手段を提供す るために利用され得る比色分析の指示基質は、公知である。 一般に、本明細書中で記載されるハイブリダイゼーションプローブは、溶液ハ イブリダイゼーションにおけるならびに固相を利用する実施態様における両方の 試薬として有用であることが考えられる。固相に関与する実施態様において、試 験のDNA(またはRNA)は選択されたマトリックスまたは表面に吸着されるか、そ うでなければ固着(affix)される。次いで、この固定された一本鎖核酸を、所 望の条件下で選択されたプローブとの特異的ハイブリダイゼーションに供する。 選択される条件は、必要とされる特定の基準に基づいて個々の場合に依存する( 例えば、G+C含量、標的核酸のタイプ、核酸の供給源、ハイブリダイゼーション プローブのサイズなどに依存する)。非特異的結合プローブ分子を除去するため のハイブリダイズした表面の洗浄の後に、特異的ハイブリダイゼーションが標識 の手段によって検出されるか、または定量される。 4.7 生物学的機能等価物 修飾および変更が、本発明のペプチド、およびこれらをコードするDNAセグメ ントの構造において行われ得、そしてなお所望の特性を有するタンパク質または ペプチドをコードする機能的分子を得る。以下は、等価物またはさらに改良され た第二世代の分子を生成するためのタンパク質のアミノ酸の変更に基づく議論で ある。アミノ酸の変更は、以下のコドンの表に従って、DNA配列のコドンを変更 することにより達成され得る。 例えば、特定のアミノ酸が、構造(例えば、抗体の抗原結合領域または基質分 子上の結合部位のような)との相互作用的な結合能力のかなりの損失を伴うこと なく、タンパク質構造において、他のアミノ酸と置換され得る。それは、そのタ ンパク質の生物学的機能的活性を規定するタンパク質の相互作用的な能力および 性質であるので、特定のアミノ酸配列の置換は、タンパク質の配列および当然に その基礎となるDNAコード配列において行われ得、そしてそれにもかかわらず類 似の特性を有するタンパク質を得る。従って、開示された組成物のペプチド配列 、 または該ペプチド配列をコードする対応するDNA配列において、該ポリペプチド 配列の生物学的な有用性もしくは活性のかなりの損失を伴うことなく種々の変更 が行われ得ることが、本発明者らにより意図される。 このような変更を行う場合、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る。 タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能の授与におけるハイドロパシーの アミノ酸指標の重要性は、一般に当該分野で理解されている(KyteおよびDoolit tle、1982、本明細書中で参考として援用する)。アミノ酸の相対的ハイドロパ シー特性は、得られたタンパク質の二次構造に寄与することが認められている。 これは、次に、タンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA 、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。 各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の特性に基づいてハイドロパシー指 標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらは、以下であ る:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+ 2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリ シン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシ ン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミ ン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);および アルギニン(-4.5)。 特定のアミノ酸が、類似のハイドロパシー指標またはスコアを有する他のアミ ノ酸により置換され得、そしてなお類似の生物学的活性を有するタンパク質を生 じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお得る)ことが当該 分野において公知である。このような変更を行う場合、ハイドロパシー指標が± 2以内のアミノ酸の置換が好ましく、ハイドロパシー指標±1以内のアミノ酸の 置換が特に好ましく、そしてハイドロパシー指標±0.5以内のアミノ酸の置換が さらにより特に好ましい。 類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて有効に行われ得ることもまた、当該 分野において理解される。米国特許第4,554,101号(本明細書中で参考として援 用される)は、タンパク質の最も大きな局所平均親水性(隣接するアミノ酸の親 水性により支配される)は、タンパク質の生物学的特性に関連することを明言し ている。 米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基 に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3. 0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミ ン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン( -0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5 );ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン( -2.5);トリプトファン(-3.4)。 アミノ酸が、類似の親水性値を有する別のアミノ酸と置換され得、そしてなお 生物学的等価物、特に免疫学的に等価なタンパク質を得ることが理解される。こ のような変更において、親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、親水 性値±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、そして親水性値±0.5以内のア ミノ酸の置換がさらにより特に好ましい。 概要を上述したように、それ故、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換 の相対的類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づ く。種々の前記の特性を考慮に入れた模範的な置換は当業者に周知であり、そし て以下を含む:アルギニンとリジン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンと トレオニン;グルタミンとアスパラギン;およびバリン、ロイシンとイソロイシ ン。 4.8 部位特異的変異誘発 部位特異的変異誘発は、基礎となるDNAの特異的変異誘発を介する、個々のペ プチドまたは生物学的に機能的な等価のタンパク質もしくはペプチドの調製にお いて有用な技術である。この技術は、例えば、一つ以上の前記の考慮を組み入れ て、一つ以上のヌクレオチド配列変更をDNAに導入することによって、配列の変 異体を調製しそして試験するための容易な能力をさらに提供する。部位特異的変 異誘発は、横切られている(traversed)欠失連結部(deletion junction)の両 側で安定な二本鎖を形成するのに十分なサイズおよび配列の複雑性のプライマー 配列を提供するために、所望の変異のDNA配列をコードする特異的なオリゴヌク レオチド配列ならびに十分な数の隣接するヌクレオチドの使用を介して変異体の 産生を可能にする。代表的には、改変されている配列の連結部の両側に約5〜10 残基を伴う約17〜25ヌクレオチドの長さのプライマーが好ましい。本研究におい て、好ましいプライマーは、26〜36ヌクレオチドを表す配列番号9、配列番号10 、配列番号11、および配列番号12により例証される。 一般に、部位特異的変異誘発の技術は、種々の出版物により例証されるように 当該分野で周知である。理解されるように、この技術は、代表的に、一本鎖およ び二本鎖の両方の形態で存在するファージベクターを利用する。部位指向(site -directed)突然変異誘発において有用な代表的なベクターは、M13ファージのよ うなベクターを含む。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そ してこれらの使用は一般に、当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、プ ラスミド由来の目的の遺伝子をファージに移入する工程を排除する部位指向突然 変異誘発において、日常的に利用される。 一般に、本明細書に従う部位指向突然変異誘発はまず、その配列内に所望のペ プチドをコードするDNA配列を含む、一本鎖ベクターを得るかまたは二本鎖ベク ターの二本の鎖を溶解分離(melting apart)することにより実施される。所望 の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般に合成的に調製さ れる。次いで、このプライマーは一本鎖ベクターと共にアニールされ、変異保有 鎖の合成を完了するために、DNAを重合する酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメント)に供される。従って、一方の鎖は元の非変異配列をコード し、そして第2鎖は所望の変異を有するヘテロ二本鎖が形成される。次いで、こ のヘテロ二本鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換する ために使用され、そして変異配列の配置を保有する組換えベクターを含むクロー ンが選択される。 部位指向突然変異誘発を使用する選択されたペプチドをコードするDNAセグメ ントの配列変異体の調製が、潜在的に有用な種を産生する手段として提供され、 そしてこれはペプチドの配列変異体およびこれらをコードするDNA配列が得られ 得る他の方法が存在するように限定していることを意味しない。例えば、所望の ペプチド配列をコードする組換えベクターは、配列変異体を得るために、変異原 性物質(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理され得る。 4.9 モノクローナル抗体 抗体を調製し、そして特徴付ける手段は、当該分野で周知である(Harlowおよ びLane、1988を参照のこと;本明細書中で参考として援用する)。 モノクローナル抗体(mAb)を産生する方法は、一般的に、ポリクローナル抗 体を調製する手順と同一の手順に沿って始める。簡単に述べると、ポリクローナ ル抗体は、動物を本発明に従う免疫原性組成物で免疫化し、そしてその免疫化し た動物からの抗血清を収集することにより調製される。広範囲の動物種が、抗血 清の産生のために使用され得る。代表的には、抗血清の産生のために使用される 動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、またはヤギである 。ウサギの比較的大きな血量のために、ウサギはポリクローナル抗体の産生のた めの好ましい選択である。 当該分野で周知であるように、所定の組成物は、その免疫原性が変動し得る。 従って、ペプチドまたはポリペプチド免疫原をキャリアにカップリングさせて達 成され得るような宿主の免疫系を追加免疫することがしばしば必要となる。模範 的および好ましいキャリアは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)および ウシ血清アルブミン(BSA)である。他のアルブミン(例えば、オボアルブミン、 マウス血清アルブミン、またはウサギ血清アルブミン)もまた、キャリアとして 使用され得る。ポリペプチドをキャリアタンパク質に結合するための手段は当該 分野において周知であり、そしてグルタルアルデヒド、m-マレイミドベンコイル (m-maleimidobencoyl)-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド 、およびビスジアゾ化ベンジジンを含む。 当該分野においてもまた周知であるように、特定の免疫原組成物の免疫原性は 、アジュバントとして知られる免疫応答の非特異的刺激剤の使用により増強され 得る。模範的および好ましいアジュバントは、フロイント完全アジュバント(死 滅したMycobacterium tuberculosisを含む免疫応答の非特異的刺激剤)、フロイ ント非完全アジュバント、および水酸化アルミニウムアジュバントを含む。 ポリクローナル抗体産生において使用される免疫原組成物の量は、免疫原の性 質ならびに免疫化のために使用される動物により変動する。種々の経路が、免疫 原を投与するために使用され得る(皮下、筋肉内、皮内、静脈内、および腹腔内 )。ポリクローナル抗体の産生は、免疫化した動物の血液を免疫化後の種々の点 でサンプリングすることによりモニターされ得る。第二の(追加免疫の)注射も また、与えられ得る。追加免疫および力価検定のプロセスが、適切な力価が達成 されるまで反復される。所望のレベルの免疫原性が得られた場合、免疫化した動 物は採血され、そしてその血清が単離され保存され得、そして/またはこの動物 はmAbを産生するために使用され得る。 mAbは、周知の技術(例えば、米国特許第4,196,265号に例証される技術、本明 細書中で参考として援用される)の使用を介して容易に調製され得る。代表的に 、この技術は、適切な動物を選択された免疫原組成物(例えば、精製されたまた は部分的に精製されたカルシウム結合タンパク質、配列番号1、配列番号2、配 列番号5、または配列番号8により示されるようなポリペプチドまたはペプチド )で免疫化することを含む。免疫化組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効 な様式で投与される。マウスおよびラットのような齧歯類は、好ましい動物であ るが、ウサギ、ヒツジ、またはカエルの細胞の使用もまた可能である。ラットの 使用は特定の利点を提供し得る(Goding、1986)が、マウスの使用が好ましく、 BALB/Cマウスは最も日常的に使用され、そして一般に高いパーセントの安定な融 合を示すので最も好ましい。 免疫化の後、抗体(特にB-リンパ球(B-細胞))を産生する可能性を有する体細 胞が、mAb生産プロトコルの使用のために選択される。これらの細胞は、生検さ れた脾臓、扁桃腺、もしくはリンパ節から、または末梢血サンプルから得られ得 る。脾臓細胞および末梢血細胞が好ましい。なぜなら前者は、形質芽細胞の分化 の段階にある抗体産生細胞の豊富な供給源であり、そして後者は、末梢血が容易 に利用可能だからである。しばしば、動物のパネルは免疫化されて、そして最も 高い抗体力価を有する動物の脾臓が取り出され、そして脾臓のリンパ球が、シリ ンジを用いて脾臓をホモジナイズすることにより得られる。代表的には、免疫化 したマウスからの脾臓は、およそ5×107〜2×108のリンパ球を含む。 次いで、免疫化された動物からの抗体産生Bリンパ球は、不死化ミエローマ細 胞(一般に、免疫化された動物と同一の種の不死化ミエローマ細胞)の細胞と融 合される。ハイブリドーマ産生融合手順における使用のために適するミエローマ 細胞株は、好ましくは、非抗体産生であり、高い融合効率を有し、そして所望の 融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地での増殖を不 可能にする酵素の欠損を有する。 当該分野で公知であるような(Goding、1986;Campbell、1984)、多数のミエ ローマ細胞の任意の一つが使用され得る。例えば、免疫化された動物がマウスで ある場合、P3-X63/Ag8、X63-Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MP C-11、MPC11-X45-GTG1.7、およびS194/5XXOBulを使用し得;ラットの場合、R210. RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983F、および4B210を使用し得;そしてU-266、GM1500-GR G2、LICR-LON-HMy2、およびUC729-6は全て、ヒト細胞融合に関して有用である。 好ましいマウスミエローマ細胞は、NS-1ミエローマ細胞株(またはP3-NS-1-Ag 4-1称される)であり、これはNIGMS Human Genetic Mutant Cell Repositoryか ら細胞株保存所(repository)番号GM3573を請求することにより容易に入手可能 である。使用され得る別のマウスミエローマ細胞株は、8-アザグアニン耐性マウ スミエローマSP2/0非産生細胞株である。 抗体産生脾臓またはリンパ節細胞とミエローマ細胞とのハイブリッドを生成す るための方法は、通常は、細胞膜の融合を促進する薬剤(単数または複数)(化 学的または電気的)の存在下、体細胞とミエローマ細胞とを2:1の比で(しかし 、比はそれぞれ約20:1〜約1:1で変動し得る)混合する工程を包含する。Sendai ウイルスを使用する融合方法が記載されており(KohlerおよびMilstein、1975; 1976)、そして37%(v/v)PEGのようなポリエチレングリコール(PEG)を使用す る融合方法が、Gefterら(1977)により記載されている。電気的に誘導される融合 方法の使用もまた適切である(Goding、1986)。 融合手順は、通常、低頻度(約1×10-6〜1×10-8)で生存可能なハイブリッ ドを生成する。しかし、生存可能な融合ハイブリッドは、選択培地での培養によ って、親の未融合細胞(特に、通常、限り無く分裂し続けるであろう未融合ミエ ローマ細胞)から区別されるので、これは問題を引き起こさない。一般に、選択 培地は、組織培養培地中のヌクレオチドの新規合成を阻止する薬剤を含む培地で ある。例示的なおよび好ましい薬剤は、アミノプテリン、メトトレキセート、お よびアザセリンである。アミノプテリンおよびメトトレキセートは、プリンおよ びピリミジンの両方の新規合成を阻止し、一方、アザセリンはプリン合成のみを 阻止する。アミノプテリンまたはメトトレキセートを使用する場合、培地には、 ヌクレオチド供給源としてヒポキサンチンおよびチミジンを補う(HAT培地)。 アザセリンを使用する場合、培地には、ヒポキサンチンを補う。 好ましい選択培地は、HATである。ヌクレオチドサルベージ経路を作動し得る 細胞のみが、HAT培地中で生き残り得る。ミエローマ細胞は、サルベージ経路の 重要な酵素(例えば、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT ))を欠損しており、そしてそれらは生き残り得ない。B細胞は、この経路を作 動し得るが、培養中で制限された寿命を有し、そして一般に約2週間内に死滅す る。従って、選択培地中で生き残り得る唯一の細胞は、ミエローマとB細胞から 形成されるそれらのハイブリッドである。 この培養は、ハイブリードマの集団を提供し、そしてその集団から特定のハイ ブリドーマが選択される。代表的には、ハイブリードマの選択は、マイクロタイ タープレート中で単一クローン希釈によって細胞を培養し、続いて個々のクロー ンの上清(約2〜3週後の)を所望の反応性について試験することによって行わ れる。アッセイは、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、細胞傷害性ア ッセイ、プラークアッセイ、ドット免疫結合アッセイなどのように、感度が良く 、単純で、そして迅速であるべきである。 次いで、選択されたハイブリドーマは、連続的に希釈され、そして個々の抗体 産生細胞株にクローン化され、クローンは次いで、mAbを提供するために限り無 く増殖され得る。細胞株は、2つの基本的な方法でmAb産生について利用され得 る。ハイブリドーマのサンプルは、もとの融合のための体細胞およびミエローマ 細胞を提供するために使用されたタイプの組織適合性の動物に(しばしば腹腔内 に)注入され得る。注入を受けた動物は、融合細胞株によって生成される特定の モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発達させる。次いで、動物の体液(例えば 、血清または腹水液)は、高濃度でmAbを提供するために抜き取られ得る。個々 の 細胞株はまたインビトロで培養され得、mAbが培養培地中に自然に分泌される場 合、mAbは培養培地から容易に高濃度で得られ得る。いずれかの手段によって産 生されるmAbは、所望であれば、濾過、遠心、および種々のクロマトグラフィー 法(例えば、HPLCまたはアフィニティークロマトグラフィー)を使用してさらに精 製され得る。 4.10 薬学的組成物 本明細書中で開示される薬学的組成物は、例えば、不活性な希釈剤と共にまた は吸収可能なキャリアと共に経口的に投与され得るか、またはそれらは硬いまた は軟らかい外皮ゼラチンカプセルに封入され得るか、またはそれらは錠剤中に圧 縮され得るか、または食事の食品に直接組み込まれ得る。経口治療的な投与のた めに、活性な化合物は賦形剤と共に組み込まれ得、そして摂取可能な錠剤、舌下 錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエファーなどの形 態で使用され得る。このような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性 な化合物を含むべきである。組成物および調製物の割合は、当然、変化され得、 そして単位重量の約2〜約60%の間で好都合であり得る。このような治療的に有 用な組成物において活性な化合物の量は、適切な投薬が得られるような量である 。 錠剤、トローチ、丸薬、カプセルなどはまた、以下のものを含み得る:トラガ カントゴム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;賦形 剤(例えば、リン酸カルシウム(dicalcium phosphate));崩壊剤(例えば、 コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸など);潤滑剤(例えば、ステア リン酸マグネシウム);および甘味剤(例えば、添加され得るスクロース、ラク トース、またはサッカリン)、または香味剤(例えば、ペパーミント、ウィンダ ーグリーン油またはサクランボ風味付け)。投薬単位形態が、カプセルである場 合、それは、上記の物質に加えて、液体キャリアを含み得る。種々の他の物質が 被覆物として提示され得るか、さもなければ、投薬単位の物理的形態を修飾する ために提示され得る。例えば、錠剤、丸薬、またはカプセルが、シェラック、糖 、または両方で被覆され得る。エリキシルのシロップは、甘味剤として活性な化 合物スクロースを、防腐剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベンを、色 素 ならびに香味料(例えば、サクランボ味またはオレンジ味)を含み得る。当然、 任意の投薬単位形態を調製するに使用される任意の物質は、薬学的に純粋である べきであり、そして用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。さ らに、活性な化合物は、徐放調製物および徐放処方物に組み込まれ得る。 活性な化合物はまた、非経口的にまたは腹腔内に投与され得る。遊離の塩基ま たは薬学的に受容可能な塩として活性な化合物の溶液は、界面活性剤(例えば、 ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散 液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物 中でならびにオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これ らの調製物は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含む。 注射による使用に適切な薬学的な形態は、滅菌水溶液または滅菌分散液、およ び滅菌注射用溶液または滅菌注射用分散液の即時調製のための滅菌散剤を含む。 全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、そして容易な注射可能性 が存在する程度に液体でなければならない。それは、製造および保存の条件下で 安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に 対して保護されていなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、 ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエ チレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、ならびに植物油を含む溶 媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、被覆剤(例えば、レシ チン)の使用によって、分散液の場合においては必要な粒子サイズの維持によっ て、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種 々の抗細菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノ ール、ソルビン酸、チメロサルなど)によって達成され得る。多くの場合におい て、等張な薬剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことは望ましい。長 期吸収の注射用組成物は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、ステアリン酸アルミニ ウム(aluminium monostearate)およびゼラチン)の組成物中での使用によって 達成され得る。 滅菌注射用溶液は、先に列挙された種々の他の必要な成分を有する適切な溶媒 中で必要な量で活性な化合物を組み込むことによって、続いて濾過滅菌よって調 製される。一般に、分散液は、基礎分散媒体および先に列挙された必要とされる 他の成分を含む滅菌ビヒクル中に種々の滅菌された活性な成分を組込むことによ って調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌散剤の場合において、調製 の好ましい方法は、前もって滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望 の成分を足した活性な成分の粉末をもたらす真空乾燥技術および凍結乾燥技術で ある。 本明細書において使用される「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意のおよ び全ての溶媒、分散媒体、被覆物、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延 剤などを含む。薬学的に活性な物質についてのこのような媒体および薬剤の使用 は、当該分野で周知である。任意の通常の媒体または薬剤が活性な成分と適合性 でない限り、治療的組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性な成分 もまた、組成物に組み込まれ得る。 表現「薬学的に受容可能」は、ヒトに投与された場合、アレルギー性または類 似の有害な反応を生成しない分子実体および組成物をいう。活性な成分としてタ ンパク質を含む水溶性組成物の調製は、当該分野で十分に理解されている。代表 的には、このような組成物は、注射用液体溶液または注射用懸濁液のいずれかで 調製される;注射に先んじて、液体の溶液または懸濁液に適切な固体形態がまた 、調製され得る。調製物はまた乳化され得る。 組成物は、中性形態または塩の形態で処方され得る。薬学的に受容可能な塩は 、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)、および無機酸(例えば 、塩酸またはリン酸の付加塩)または酢酸、オキサリン酸、酒石酸およびマンデ ル酸などのような有機酸と形成される酸付加塩を含む。遊離のカルボキシル基と 形成された塩もまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム 、カルシウム、または水酸化鉄(III))、およびイソプロピルアミン、トリメチ ルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基から由来され得る。 処方に際して、溶液は、投薬処方物に適合的な方法でそして治療的に有効な量 で投与される。処方物は、種々の投薬形態(例えば、注射用溶液、薬物放出カプ セルなど)で容易に投与される。 水溶液での非経口投与のために、例えば、溶液は、必要ならば、適切に緩衝化 されるべきであり、そして液体希釈剤がまず充分な生理食塩水またはグルコース で等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、 皮下、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性 媒体は、本発明の開示に照らして当業者に公知である。例えば、1回の投与量は 、1mlの等張NaCl溶液中に溶解され得、そして1000mlの皮下注入液体に添加され るか、または提唱された注入部位に注射される(例えば、「Remington's Pharma ceutical Sciences」第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと) 。投薬におけるいくつかの変更が、必然的に、処置される被験体の症状に依存し て行われる。投与に責任のある人物は、何が起ころうとも、個々の被験体につい て適切な投薬量を決定する。さらに、ヒト投与について、調製物は、FDAの生物 学的基準によって要求される滅菌性、発熱性、一般的な安全性、および純度基準 を満たすべきである。 未保護の形態で経口的に与えられたペプチドは、活性の大きな損失を生じ得る 胃および腸においてペプチドの消化を受ける。胃酸分泌抑制剤(例えば、Tagame t、Zantac、またはPepcid)を用いる胃内容物の中和は、口腔消化酵素補足剤の 胃での不活化を防ぎ(Regan,ら、1977)、そして類似のプロトコルもまた、なお その上経口的に投与されるカルシウム結合タンパク質処方物を保護する。さらな る保護処方物が、薬剤をカプセルに包む微粒子の腸溶皮を含み得、その結果、微 粒子が十二指腸に到達するまでそれらの内容物が放出されない。これらの手段を 用いれば、2〜3mgの経口的に服用されたカルシウム結合タンパク質は、約1mg が十二指腸に到達すると予想される。カルシウム結合タンパク質の経口投薬形態 、その活性なフラグメント、誘導体、またはアナログは、任意の都合の良い投薬 可能な形態(例えば、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、または当業者に公知の他 の形態)であり得る。 5.0 実施例 5.1 実施例1−−C.matruchotiiプロテオリピドの単離および特徴付け Corynebacteriummatruchotii(ATCC♯14266、アメリカンタイプカルチャー Laboratories,Detroit,MI)中で培養し、そして撹拌を伴わずに好気的に37℃ にて4日間増殖させた。細胞は、この時間前にインビトロ石灰化を補助する能力 を示さない(Boyanら、1992; Boyan-Salyersら、1978b)。細胞を4℃にて10,00 0×gで20分間遠心して採集し、超純水で洗浄し、再び遠心し、そして凍結乾燥 した。細菌ペレットの乾燥重量を測定し、そしてペレットをプロテオリピドの抽 出前に-20℃にて保存した。 凍結乾燥細菌(300mg乾燥重量)を200mlクロロホルム:メタノール(2:1,V/V, Burdick and Jackson HPLC grade,Baxter,Muskegon,MI)中で4℃にて一晩緩 やかに撹拌することによって抽出した。残留細胞砕片を、グレード50FおよびGF/ Fフィルター(Whatman,Hillsboro,OR)を通す濾過によって除去し、そして有 機抽出物を0.2容量0.1M NaClを用いて4℃にて一晩洗浄した。有機相を回収し、 N2の流動中で乾燥し、次いで少量のクロロホルム:メタノール(2:1,V/V)中に 再度溶解した。粗製プロテオリピドを、10容量アセトンを用いて-20℃にて一晩 沈殿させ、そして4℃にて10000×gでの30分間の遠心分離によって回収した。 ペレットを、先のように、クロロホルム:メタノール中に再度溶解し、そして5 容量氷冷ジエチルエーテルを用いて沈殿させた。ペレットを、遠心分離によって 回収し、そして先のようにクロロホルム:メタノール中に再度懸濁させ、そして 酸化を防ぐためにチューブをN2でパージし、そして-80℃で保存した。タンパク 質濃度を、Lowryタンパク質アッセイの改変(LeesおよびPaxman 1972)によって 測定した。 プロテオリピド抽出物を、クロロホルム:メタノール(2:1,V/V)で平衡化し たSEPHADEXTM LH-20(Pharmacia,Piscataway,NJ)(ベッドボリューム2.5×25 cm)でのカラムクロマトグラフィーによつてさらに精製した(Enneverら、1976 )。代表的には、4〜5mgのプロテオリピドを、クロロホルム:メタノール(2: 1,V/V)中に1.25mgタンパク質/mlの最終濃度に溶解し、そしてカラムにロード した。0.5ml/mlnの流速でクロロホルム:メタノール(2:1,V/V)を用いてカラ ムから溶出した。分画の光学的濃度を280nmで測定した。分画のタンパク質の濃 度を、改変したLowryタンパク質アッセイ(LeesおよびPaxman 1972)によって測 定した。分画を、N2を用いてパージし、そして-80℃で保存した。 共有結合した脂肪酸を、100mM Tris、pH7.5中で10mMヒドロキシアミンを用い る室温にて一晩の穏やかな処理(それは優先的にセリン残基に共有結合した脂肪 酸を除去する(MageeおよびSchlesinger,1982; McIlhinney,1992))によって 除去するか、または無水メタノール中の0.1M KOHで37℃にて2〜4時間のより激 しい処理によって脂肪酸を除去した(McIlhinney,1992)。両方の場合において 、脱アシル化プロテオリピドを、12,000×gで15分間の遠心分離によって回収し 、エーテルで2回洗浄し、クロロホルム:メタノール(2:1,V/V)中に再度溶解 し、そして-80℃にて保存した。 ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を、Tr is−トリシン緩衝液中の前もって成形された10〜20%SDS-ポリアクリルアミド( SDS-PAA)ゲル(Integrated Separation Systems,Natick,MA)を使用して、 った。クロロホルム:メタノール(2:1,V/V)中のプロテオリピドを、N2下で乾 燥させ、0.4%SDSおよび1%β−メルカプトエタノールを含む還元SDS-PAGEサン プルローディング緩衝液中に溶解し、そして電気泳動前に37℃にて30分間インキ ュベートした(Laemmli,1970)。前もって染色された低分子量タンパク質基準 (3.5kDa〜29.0kDa、Integrated Separation Systems,Natick,MA)を、全ての ゲルに添加した。電気泳動後、タンパク質を、以前に記載された方法(Neuhoff ら、1988; RossおよびPeters,1990)を適用して、ISS Pro-BlueおよびDaiichiS ilver StainKit(Integrated Separation Systems,Natick,MA)を用いて染色 した。 プロテオリピドの疎水性および低分子量に起因して、Tris−トリシン緩衝液中 のSDS-ポリアクリルアミド勾配ゲルがプロテオリピドの充分な電気泳動分離を達 成するために必要とされた。分離のための最適な条件下で(続いてクーマシーブ ルーでの染色したところ)、プロテオリピドは7〜10kDaを有する単一で、拡散 したバンドとして移動した(図3、レーン1)。LH-20カラムから溶出する活性 のピークを、同じゲル系上で電気泳動した場合、類似の拡散タンパク質バンドが 観察された(図3、レーン2)。ゲルを銀で染色したところ、プロテオリピド抽 出物中に高分子量を有する幾つかのさらなる主要でないタンパク質が明らかにな り(図3、レーン3)、それらは、SEPHADEXTM LH-20上のクロマトグラフィー後 に減少した(図3、レーン4)。 プロテオリピドのヒドロキシルアミン処理は、タンパク質の活性を50%まで減 少したので、より強力な脱脂化技術が求められた。共有結合した脂質を完全に除 去するためにプロテオリピド抽出物が、メタノール性−KOHで処理された場合、S DS-PAGE上の7〜10kDaでの相対的に拡散したバンドは、5〜7.5kDaの分子量を有 する3つの異なるバンドに変換した(図4)。 C.matruchotii由来の10kDaプロテオリピド調製物の直接配列決定の最初の試み は、図5に示すような部分的なN末端アミノ酸配列をもたらした。SDS-PAGEおよ びProBlottメンブレンへの脱脂プロテオリピド調製物の電気ブロッティング後、 アポタンパク質調製物を含む5.0kDa〜7.5kDaのタンパク質バンドを配列決定した (図4、レーン2および4)。7.5kDaアポタンパク質についてのアミノ酸配列の みが得られ得た。アミノ酸配列は、メタノール性KOHでの処理前の10kDaプロテオ リピド調製物について得られたアミノ酸配列と同一であった(図5)。これは、 7.5kDaタンパク質が10kDaプロテオリピド調製物の一部であることを確認した。 アミノ酸配列は独特であり、そして以前に報告されていない。3つのリン酸化Se r残基が位置10、13、および25に存在する。5.5kDaアポタンパク質および5.0kDa アポタンパク質からのアミノ酸配列は得られ得なかった。これは、タンパク質の N末端が阻止されたことを示唆する。 精製プロテオリピドのメタノール性KOHでの脱脂、続いてSDS-PAAゲル上の電気 泳動、ProBlottメンブレンへのブロッティング(Applied Biosystems,Foster C ity,CA)、そしてクーマシーブルー染色バンドの配列決定は、アミノ酸配列を 生じなかった。従って、脱脂プロテオリピド調製物の5.5kDaおよび5.0kDa成分の N末端アミノ酸配列を得るためにプロテオリピド調製物を臭化シアン(CNBr)( Gross,1967)を用いて前処理する必要があった。メタノール性KOHを用いる脂質 の除去の後、プロテオリピドを、Matsudaira(Matsudaira、1990)によって記載 されるCNBr開裂反応の改変によって処理した。簡略には、100μgの脱脂プロテ オリピドを、1.7ml微量遠心管中でN2の流れによって乾燥させ、そして100μl70 %(V/V)ギ酸中に溶解した。いくつかのCNBrの結晶を添加し、そして穏やか なボルテックスによって溶解した。チューブを、N2でフラッシュし、キャップし 、パラフィルムでシールし、アルミホイルで包み、そして室温で撹拌を伴わずに 15〜18時間インキュベートした。反応を10容量の蒸留水の添加によってクエンチ し、続いて凍結乾燥した。CNBr処理プロテオリピドサンプルを、還元SDS-PAGEサ ンプル緩衝液中に溶解し、そしてアミノ末端の阻止を防ぐために0.1mMチオグリ コール酸ナトリウムの存在下のTris−トリシン緩衝液中で10〜20%勾配SDS-ポリ アクリルアミドゲル上で電気泳動した(Yuenら、1988)。同様に、LH-20カラム からの活性な画分をプールし、メタノール-KOHで処理し、続いて臭化シアン処理 し、SDS-PAGEを行った。電気泳動の後、プロテオリピドを、10%(V/V)メタノ ールを含む10mM 3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝 液(pH11.0)中で電気ブロッティングによってProBlottメンブレンにトランスフ ァーした(Matsudaira,1987)。メンブレンをクマシーブリリアントブルーR-25 0(40%(V/V)メタノール、1%(V/V)酢酸中の0.1%(W/V))で手短に染色し、 そして目的のタンパク質バンドを切り出した。アミノ酸配列決定を、ABI 473Aお よびABI 477A自動アミノ酸シークエンサー(Applied Biosystems,Foster City ,CA)で行った。 5.0および5.5kDaプロテオリピドの完全なアミノ酸配列を、上記のように決定 した(図6)。これはCNBr処理がMet残基をN末端から除去したと仮定すれば、5 .5kDaプロテオリピドは50アミノ酸から成り、そして5354の計算分子量および4.2 8の等電点(pI)を有する。5.0kDaタンパク質のアミノ酸配列は、C末端から最 後の3つのアミノ酸残基での短縮を除いて、5.5kDaタンパク質と同一であった。 得られたタンパク質は、5067の計算分子量を有する。興味深いことに、アミノ酸 配列は、ヒトホスホプロテインホスファターゼPP2A(Hemmingら、1990)と一続 きの相同性を含む(図6、下線付きセグメント)。5.5kDaタンパク質および5.0k Daタンパク質の両方が、Ser45に潜在的なリン酸化部位を含む。5.5kDaタンパク 質の配列決定の間、Thr50を越えるアミノ酸は観察されなかった。同様に、Leu47 を越えるアミノ酸は、5.0kDaタンパク質配列に見出されなかった。5.5kDaのアポ タンパク質および5.0kDaのアポタンパク質からのアミノ酸配列は得られ得なかっ た。これは、タンパク質のN末端が阻止されたことを示唆した。 ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を使用してウェスタンブロット 分析は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方と反応する主要な タンパク質は、8〜10kDa付近のバンドであったことを示した(図9)。ポリク ローナル抗体は、さらなる主要でないタンパク質バンドと反応した(データは示 さず)。これらのタンパク質が、EnneverおよびSwain(Enneverら、178a; Swain ら、1989)によって示唆されるようにプロテオリピドの混入物か、またはそのオ リゴ重合形態もしくは多重合形態であるかどうかは明らかでない。しかし、SDS- PAGEを用いる条件下でさえプロテオリピドの凝集は充分に記載されている(Blon din,1979; Greenら、1980; Leesら、1981)。 実施例5.2−インビトロ石灰化アッセイ プロテオリピド活性を、準安定な合成lympH溶液からカルシウムホスフェート の沈殿を誘導する能力によって測定した(1.35mM CaCl2、0.40mM MgCl2、0.25mM NaH2PO4、1.69mM Na2HPO4、0.024mM Tris、および117mM NaCl、pH7.4(Boskeyお よびPosner、1982; Cuervoら、1973))。10キロダルトンプロテオリピドは、カ ルシウムホスフェート沈殿を補助し、さらに形成するミネラル層はヒドロキシア パタイトであることが知られていた(Boyan、1985; Boyanら、1992; Boyan-Saly ersおよびBoskey、1980; Enneverら、1978a; Swainら、1989; SwainおよびBoyan ,1988)。 カルシウム結合(μg Ca2+/mgタンパク質として表される)を石灰化の指標と して用いた。なぜなら、ヒドロキシアパタイト形成における最初の工程はカルシ ウムの結合であるからである。クロロホルム:メタノール中のプロテオリピド( 10〜50μg)を、N2の流動により微小遠心チューブ中で乾燥させ、1分間激しく ボルテックスすることにより100μlの滅菌水中に懸濁し、続いて1時間37℃にて インキュベートした。サンプルを、遠心分離によってペレット化し、ボルテック スすることによって1.5mlの合成lympH中に再懸濁し、そして撹拌することなく7 日間37℃でインキュベートした。同程度の容量のクロロホルム:メタノール(2: 1,v/v)をN2で乾燥させることによって調製したコントロールチューブを全ての アッセイで実行した。7日間のインキュベーションの間、コントロールチューブ 中 の溶液のpH(すなわち、7.35〜7.45)は一定のままであり、そして沈殿物は観測 されなかった。これは溶液が核の非存在下で準安定のままであることを示す。イ ンキュベーションの終わりに、チューブを12,000×gで10分間4℃にて遠心分離 し、そして上清および全てのペレットを、市販のキットの使用によってカルシウ ム含量について分析した(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)。カルシウム 含量を、アッセイの開始時のチューブ中のmgプロテオリピドタンパク質あたりの 沈殿物中のμgカルシウムとして表した。 C.matruchotii由来のプロテオリピドは、合成lymphからCa2+(144±20μg/mg タンパク質)を沈殿させる能力に基づいて、インビトロカルシウム結合(図1、 クローズドな棒)を誘導し得た。アッセイの前にプロテオリピドをヒドロキシル アミンで処理した場合、カルシウム結合活性の50%損失を観察した(図1、オー プンな棒)。SEPHADEXTM LH-20クロマトグラフィーの後、インビトロカルシウム 結合活性は比較的ブロードなピークでカラムから溶出した。これはサンプル中の 不均一性を示唆する(図2、平行線が入った棒)。活性の大部分は、280nmでの 吸光度に基づいて、74〜84ml(1.8〜2.1 V0)で溶出し、そして2つのタンパク質 ピークの間にあった。カルシウム結合における50%減少を、ヒドロキシルアミン でSEPHADEXTM LH-20画分(74〜84ml Ve)の処理の後に観察した(図1、平行線 が入った棒)。 実施例5.3--C.matruchotiiからのDNAの調製 C.matruchotii全ゲノムDNAライブラリーを、pBK-CMV発現ベクター(STRATAGEN E)で構築し、そして当業者に公知の技術を用いて配列番号9および配列番号10 のオリゴヌクレオチドプライマーでのPCRTTMによって産生された標識オリゴヌク レオチドプローブでスクリーニングした。一次アミノ酸配列に基づいたプライマ ーを設計し、cDNAプローブを産生した。次いでこれをPCRTM技術の使用によって ゲノムライブラリーをスクリーニングするのに用いた。ポジティブクローンを同 定し、pBK-CMV中にサブクローン化し、そして得られた挿入物を配列決定した。 n Heart infusion培地(Difco Laboratories,Detroit,MI)中にC.matruchotii の1リットル培養物から抽出した。4日間の培養物を収集し、そして細菌ペレッ トを、18mlの10mM Tris-HCl、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH7.6中で 懸濁した。この懸濁物に、1mlの10%SDSおよび2mlのリゾチーム(H2O中に10mg/ ml)を添加し、そしてインキュベーションを氷上で10分間継続した。20μlのRNa seA(100ユニット/mgタンパク質;10mM Tris-HCl、pH7.5、15mM NaCl; Sigma Ch emical Co,St.Louis,MO中に10μg/μl)を添加し、そしてインキュベーショ ンをさらに30分間37℃にて継続し、続いて100μlのProteinase K(20ユニツト/m g;H2O中に20mg/ml;Bethesda ResearchLa boratories, Gaithersburg, MD)を添 加し、そして1時間37℃でインキュベートした。3.6mlのNaCl(5.0M)および0.7 M NaCl(CTAB/NaCl)を含有する3.0mlの0.27Mセチルトリメチルアンモニウムブロ ミドの添加の後、DNAをクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1,v/v)で2 回抽出し、6,000×gで10分間遠心分離し、そして0.6容量氷冷イソプロパノール でDNAを沈殿させた。沈殿したDNAを、1mM EDTAを含有する2.5mlの10mMTris-HCl ,pH7.5中で溶解させ、そして4℃にて保存した。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)のためのオリゴヌクレオチドプライマーは、7 .5キロダルトンアポタンパク質(プライマー2014Aおよびプライマー2014B)のN 末端アミノ酸配列(配列番号2)および5.5kDaアポタンパク質(プライマーpp6- N5およびpp6-C5)の完全なアミノ酸配列(配列番号1)に由来し、クローン化を 容易にするための各プライマーの5'末端への制限酵素部位の添加を伴う。オリゴ ヌクレオチドプライマーを、Corynebacterium種について報告された好ましいコ ドン用法(Eikmanns,1992; Malumbresら、1993)に基づいて設計し、そして合 成した。 表2:PCRTMのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー オリゴヌクレオチドプライマーpp6-N5およびpp6-C5は、それぞれ5.5kDaプロテ オリピドの最初の6つのN末端アミノ酸およびC末端の6アミノ酸に相当する。 オリゴヌクレオチドプライマー2014Aおよびプライマー2014Bは、それぞれ7.5キ ロダルトンアポタンパク質のアミノ酸1〜9およびアミノ酸21〜29に相当する。 PCRTM反応は、100μlの総容量中に10mM Tris-HCl,pH8.3、50mM KCl、20μMの各 デオキシヌクレオシドトリホスフェート、2.5mM MgCl2、20pmolの各1本鎖プラ イマー、10〜100ngのC.matruchotii染色体DNA、および2.5ユニットのAmpliTaq D NA Polymerase(Perkin Elmer,Foster City,CA)を含有していた。95℃で5分 間の最初の変性工程の後、PCRTM増幅反応を以下のようにPerkin-Elmer Thermal Cycler4 80(Perkin Elmer,Foster City,CA)において30サイクル行った:95 ℃で1分間のテンプレートDNAの変性、64℃で2分間のプライマーアニーリング 、続いて72℃で3分間のプライマー伸展。PCRTM産物を、45mM Tris-ホウ酸、1m M EDTA,pH7.8中の10%アクリルアミドゲルにおいて分析し、続いてアガロース ゲル精製した(Sambrookら、1989)。 cDNAを、DNAポリメラーゼFSおよびダイターミナルサイクル配列決定技術(Per kin Elmer,Foster City,CA)を用いてABI 373A自動DNAシーケンサー(Applied Biosystems,Foster City,CA)によって直接的に配列決定した。縮重オリゴヌ クレオチドプライマーpp6-N5(配列番号9)およびpp6-C5(配列番号10)を用い て、cDNA調製物をC.matruchotii染色体DNAからPCRTMにより得た。いくつかの主 要でない、より大きなDNAフラグメント(図7、レーン1)に加えて、約166塩基 対(bp)の主要なDNAフラグメントを含有していた。主要なDNAフラグメントのア ガロースゲル精製の後、166bpのcDNAフラグメントのみが調製物中に存在してい た(図7、レーン2)。166bpのcDNAのヌクレオチド配列は、5.5kDaプロテオリ ピドの50アミノ酸および2つの8bpの制限リンカー配列(配列番号3,図8)に 相当し、それにより5.5kDaプロテオリピドのアミノ酸配列を確認した。 実施例5.4--抗体の産生 実施例1に開示されたC.matruchotii 10キロダルトンプロテオリピド調製物に 対する抗体を、本質的に参考文献(HarlowおよびLane、1988)に記載されるよう に、フロイントのアジュバント中に乳化した50〜100μgのプロテオリピドのウサ ギにおける皮下注射によって産生した。フロイントの不完全なアジュバント中に 乳化した50〜100μgのプロテオリピドを用いる最初の注射の後、ブースター注射 を3週間与え、耳静脈から放血させた。ポリクローナル抗血清を、Protein A-SE PHAROSETM(Eyら、1978; Goding,1978; Kessler,1975; Lindmarkら、1983)に よるクロマトグラフィーによって精製した。抗体の力価を、本質的に記載(Bake rら、1982; PalfreeおよびElliot,1982)のようにELISAアッセイによって測定 した。 モノクローナル抗体を、抗原非含有システム(American Biogenetic Sciences ,NotreDame,IN)において産生した。マウスモノクローナル抗体細胞株由来の上 清を、当業者に公知の方法(AkerstromおよびBjorck,1986; Bennetら、1988) によって、らせん状限外濾過により濃縮し、続いて固定化Proteln G上でアフィ ニティー精製した。PBSに対して透析した後、上清を−80℃で保存した。免疫反 応性を、本質的にBakerら、(1982)またはPalfreeおよびElliot、(1982)に記 載のようにELISAアッセイによって試験した。 〜20%SDS-PAAゲル上でのゲル電気泳動の後、250mAで120分間4℃にて10mM CAPS (3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパンスルホン酸)pH 11、10%メタノール 中で、タンパク質を電気泳動的にProBlottメンブレン(Applied Biosystems,Fo ster City,CA)に移した(Matsudaira,1987)。 用いたインキュベーションおよび検出の方法は、HarlowおよびLane(1988)に より記載されており、そして当業者に公知である。H20でリンスした後、メンブ レンを、25mM Tris-HCl、0.5M NaCl、pH7.5中の5%脱脂粉乳中でインキュベー トし、非特異的結合を阻止した。阻止したメンブレンを、25mM Tris-HCl、0.5MN aCl、pH7.5中で室温にて1時間または4℃にて一晩、抗プロテオリピド抗体(ウ サギポリクローナル抗体に対して1:1,000の希釈度;マウスモノクローナル抗 体に対して1:500の希釈度)とともにインキュベートし、続いて25mM Tris-HCl 、0.5M NaC、pH7.5中の0.1%Triton X-100で3回洗浄した。メンブレンを、室温 で90分間25mM Tris-HCl、0.5M NaCl、pH7.5中の1:1,000の希釈物中でアルカリ ホスファターゼ(Sigma,St.Louis,MO)と結合したヤギ抗ウサギ抗体またはヤ ギ抗マウス抗体とともにインキュベートした。メンブレンを、25mM Tris-HCl、0 .5M NaCl,pH7.5中の0.1%Triton X-100で3回洗浄し、H2Oでリンスし、そして0 .1M NaHCO3,1.0mM MgCl2、pH9.8中で手短にインキュベートした。 メンブレンを0.1M NaHCO3、1.0mM MgCl2、pH9.8中の0.03%Nitro Blue Tetraz olium(NBT)および0.015%5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイル−ホスフェート(BC IP)(両方ともSigma,St.Louis,MOから)中で室温にてインキュベートすること によって、抗体結合を可視化した。H2Oでメンブレンをリンスすることによって 呈色発生を停止させた。 ELISAにおけるC.matruchotii由来の10キロダルトンのプロテオリピド調製物の 分析により用量依存性応答が示された(図10)。収集前に4日間または12日間培 養されたC.matruchotiiから抽出されたプロテオリピドは、ELISAにおいて本質的 に同一の応答を示した。C.matruchotiiの凍結乾燥メンブレン調製物は同一の応 答を示した。このことはC.matruchotii由来のプロテオリピドがメンブレン結合 性であることを確証する。さらに、ELISAは、E.coli DE-3の石灰化株(野生型、 ならびに変異体PhoA-およびPhoB-)、および同一のバクテリアのメンブランの有 機溶媒抽出物中の石灰可能プロテオリピドを検出し得た。これはC.matruchotii 由来およびE.coli由来のプロテオリピド調製物の間の実質的な相同性を示してい る。石灰化S.sanguis II型および非石灰化S.sanguis I型由来のプロテオリピド 抽出物は、ELISAにおいて免疫学的交差反応性を示さなかった。 実施例5.5--ポリクローナル抗体による鉱物化の阻止 C.matruchotti由来の中性のプロテオリピド画分に対してウサギにおいて惹起 された抗体は、インビトロ鉱物化を阻止し得た(Boyanら、1992)。定量的マイ クロアッセイを、バクテリオカルシフィン(bacteriocalcifin)によって誘導さ れるカルシウム結合を試験するために開発した。ヒドロキシアパタイトを形成す る能力をX線回折により確認した。ヒドロキシアパタイトの形成および析出を、 ポリクローナル抗体によって用量依存性様式で阻害した(Boyanら、1992)。S.m itisおよびS.sanguis II、口腔細菌S.sanguis Iの石灰化変異株による鉱物化は 、ポリクローナル抗体によって部分的にしか阻害されなかった。このことは石灰 化可能プロテオリピドの核形成部位における差異または抗原決定基における差異 を示唆する。 実施例5.6--材料および方法 統計学的分析。データは、図または表の説明文に示される培養物または定量の 数に対する平均値±SEMとして示される。群間の差異を、分散の分析、それに続 くBonferonniの改変を用いたスチューデントのt検定によって測定した。0.05未 満のP値を有意であると見なした。 考察 本発明において精製および配列決定したプロテオリピドを、クロロホルム:メ タノール(2:1、v/v)中に抽出した。しかし、成分アポタンパク質は、以前に報 告された分子量の約半分の分子量を有する。これは、プロテオリピドのジエチル エーテル沈殿による非共有結合的に付着した脂質の除去に部分的に起因するよう である。SDS-PAGEによる十分に分離したバンドを達成するために、プロテオリピ ドをさらに脱脂することが必要であり、なおその上結合した脂質を除去し、それ によって見かけ上の分子量を減少させる。5.5キロダルトンアポタンパク質の真 の分子量(アミノ酸およびヌクレオチド配列によって確認した)は、クロロホル ム:メタノール(2:L v/v)抽出によって単離されたプロテオリピドが5354の分 子量を有する単量体形態で存在することを示す。5.0キロダルトンアポタンパク 質(これは3アミノ酸のC末端切断を有する)は、5067の見かけ上の分子量を有 する。EnneverおよびSwain(Enneverら、1978a; Swainら、1989)によって報告 されたようなより高い分予量形態は、図3および4に示したより高い分子量形態 のカルシウム結合プロテオリピドに類似性であり得ること可能である。これらの より高い分子量形態は、ウエスタンブロットで示されるような5.5キロダルトン アポタンパク質に対して惹起されたポリクローナル抗体と交差反応する(図9) 。タンパク質のこのようなオリゴマーまたはマルチマーは、プロテオリピドの凝 集が十分に考証されているので予測され得る(Blondin,1979; Greenら、1980; Leesら、1981)。 Enneverおよび共同研究者(Enneverら、1978a)は、酸性化クロロホルム:メ タノールの存在下でのSEPHADEXTM LH-20におけるクロマトグラフィー後のタンパ ク質-リン脂質相互作用の破壊がプロテオリピドの石灰可能の損失を生じること を示した。このプロセスはタンパク質とそれに結合したリン脂質との間の疎水性 相互作用を破壊するので、CPLX形成が阻害されることはあり得る。共有結合した 脂質はその上インビトロカルシウム結合活性に重要でありそうである。カルシウ ムおよびリン酸を沈殿する能力は、境界のリン脂質のジエチルエーテル抽出後に は保持されたが、この能力はヒドロキシルアミンでのプロテオリピドの処理の後 には部分的に失われ、そしてメタノール性KOHでの全脱脂の後には完全に除去さ れた。石灰化プロセスに対する脂質成分およびタンパク質の三次元構造の相対的 寄与はいまだ決定されていない。 5.5kDaプロテオリピドのアミノ酸配列の分析により、いくつかの興味深い構造 特徴が示される。MetがN末端残基であると仮定すると、精製プロテオリピドは5 0のアミノ酸を有する。タンパク質コアは、5354の分子量および4.28のpIを有す る。酸性pIは二次構造の高度さを示す。二次構造予測(ChouおよびFasman.1978 ; RostおよびSander、1993)および疎水性プロットは、アミノ酸残基4〜22が疎 水性α-ヘリックスを形成し得、これはメンブレンにタンパク質を強力に固着 し得ることを示す。しかし、このタンパク質の極度の疎水性を説明するためには 、複雑な三次および/または四次構造が存在しそうである。共有結合した脂質は 、プロテオリピドの疎水性特性に寄与し得る。 5.5kDaタンパク質は、O-アシル化を許容するいくつかのヒドロキシル基含有ア ミノ酸(Ser、Thy、Tyr)を含有する(MageeおよびSchlesinger,1982)。Lys残 基は潜在的なN-アシル化部位である。しかし、ミリストイル化またはパルミト イル化に関して特異的な認識配列は見出されていない(MagreeおよびSchlesinge r,1982; McIlhinney、1992; Turner,1992)。アミノ酸配列は、ヒトおよびブ タのホスホプロテインホスファターゼ2A(ホスホリラーゼBキナーゼ、カゼイン キナーゼ2およびMAP-2キナーゼの調節に関与するホスファターゼ(Hemmingら、1 990))の65kDa調節サブユニットと相同性がある短いストレッチを示す。この相 同性は、C.matruchotiiによるヒドロキシアパタイト形成における5.5kDaプロテ オリピドの役割に対して機能的有意性を有し得る。Ser45での潜在的なリン酸化 部位は、ホスファターゼ活性ならびにカルシウムおよびリン酸イオンにおいて役 割を果たし得る。 7.5キロダルトンアポタンパク質のN末端アミノ酸配列の分析により、3つの リン酸化Ser残基:Ser10、Ser13、およびSer25の存在が示されている。リン酸化 アミノ酸残基は、カルシウムおよびリン酸イオンの結合および輸送に役割を果た し得る。この高度にリン酸化された7.5キロダルトンのプロテオリピドは、リン 酸およびカルシウム結合ならびに細胞膜を横切る輸送の調節によってアパタイト 形成の誘導に関与するプロテオリピド複合体の一部であり、それによってヒドロ キシアパタイトのインビボ形成を支持する条件に寄与する。以前の研究は、複数 のプロテオリピドがC.matruchotiiに存在することを示している。これらの内の 少なくとも2つは、バクテリオロドプシン含有リポソームによるH+輸送を増強す るように、ともに機能し得る(Swainら、1989)。 ELISAアッセイ由来のデータは、C.matruchotiiの10キロダルトンプロテオリピ ド調製物に対する抗体がC.matruchotiiおよび石灰化E.coli DE-3(野生型、およ び変異体PhoA-(アルカリホスファターゼ構造遺伝子を失っている)、およびPho B-(アルカリホスファターゼ遺伝子オペロン調節エレメントを失っている))の プロテオリピド抽出物および膜画分中のプロテオリピドに特異的に結合し、そし て検出し得ることを示す(図10)。Streptococcusの石灰化株(Streptococcus s anguis II型)は、これらの抗体と交差反応性を示さなかった。このことは、こ の株におけるプロテオリピドがC.matruchotiiプロテオリピド調製物の任意のア ポタンパク質成分と実質的な相同性を有さないことを示す。非石灰化株S.sangui s I型(これもまたプロテオリピドを欠失している(Boyanら、1992))は、いずれ の抗体とも交差反応しない。 メタノール性KOHで処理したプロテオリピド(McIlhinney,1992)は、ウェス タンブロットにおけるモノクローナル抗体と交差反応しなかった。このことはモ ノクローナル抗体が完全に脂質化され、それゆえ完全に活性な石灰化可能プロテ オリピドに特異的であることを示す。これは、プロテオリピドを単離する必要性 を伴うことなく、臨床的な細菌細胞の単離株における石灰化活性に関するスクリ ーニングに対する潜在的に強力なツールを提供する。これらの抗体は、C.matruc hotiiおよびC.matruchotiiプロテオリピドおよび/またはその成分タンパク質に 対して実質的なアミノ酸相同性を示す他の石灰化微生物由来の石灰化可能プロテ オリピドの存在を検出する選択的なツールを提供する。それ故、病理的歯石およ び心弁石灰化における石灰化細菌を決定および定量化するために、有用な診断が 、ウェスタンイムノブロット、ELISAおよびラジオイムノアッセイ(RIA)のよう なアッセイを用いて実施され得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/34 C07K 16/12 16/12 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 G01N 33/53 D 5/10 C12N 5/00 A G01N 33/53 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ディーン,デイビッド ディー. アメリカ合衆国 テキサス 78230,サン アントニオ,シャバノ ミスト 13715

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号3の核酸配列もしくはその相補体、または高ストリンジェンシーな 条件下で配列番号3の配列にハイブリダイズする少なくとも20ヌクレオチドの配 列を含む、精製された核酸セグメント。 2.RNAセグメントとしてさらに規定された、請求項1に記載の核酸セグメント 。 3.カルシウム結合プロテオリピドを含むタンパク質をコードする単離されたC. matruchotii遺伝子を含む単離されたDNAセグメントであって、該タンパク質は配 列番号1のアミノ酸配列を有する、DNAセグメント。 4.カルシウム結合プロテオリピドを含むタンパク質をコードする単離されたC. matruchotii遺伝子を含む単離されたDNAセグメントであって、該タンパク質は配 列番号8のアミノ酸配列を有する、DNAセグメント。 5.配列番号5に記載のN-末端アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする ようにさらに規定された、請求項3に記載のDNAセグメント。 6.配列番号5に記載のN-末端配列を有するポリペプチドをコードするようにさ らに規定された、請求項4に記載のDNAセグメント。 7.カルシウム結合プロテオリピドを含むタンパク質をコードする単離されたC. matruchotii遺伝子を含む単離されたDNAセグメントであって、該タンパク質は配 列番号2のN-末端配列を有する、DNAセグメント。 8.約50〜約100アミノ酸長のタンパク質をコードする、請求項7に記載のDNAセ グメント。 9.約100〜約200アミノ酸長のタンパク質をコードする、請求項7に記載のDNA セグメント。 10.約200〜約40アミノ酸長のタンパク質をコードする、請求項7に記載のDNA セグメント。 11.配列番号1、配列番号2、または配列番号8のアミノ酸配列をコードする ヌクレオチド配列を含むDNAセグメントを含む、組換えベクター。 12.配列番号1、配列番号2、または配列番号8のアミノ酸配列を有するポリ ペプチドに対して惹起される抗体と特異的に結合するカルシウム結合プロテオリ ピドを含むDNAセグメントを含む、組換えベクター。 13.前記DNAセグメントが配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、請求 項11または請求項12に記載の組換えベクター。 14.請求項11または請求項12に記載の組換えベクターを含む、組換え宿主 細胞。 15.以下の特徴: a)SDS-PAGEによって決定された約10kDaの分子量; b)各々約7.5kDa、5.5kDa、および5.0kDaの分子量を有するアポタンパク質成分; 約7.5kDaの分子量を有する成分は、配列番号3によってコードされるポリペプチ ドを含む、 c)約4.28のpI; d)脂質に共有結合するアポタンパク質成分;および e)準安定性リン酸カルシウム溶液からヒドロキシアパタイトを沈殿可能である 、を有する、プロテオリピド。 16.前記アポタンパク質成分が配列番号1のアミノ酸配列を含むと同定される 、請求項15に記載のプロテオリピド。 17.前記アポタンパク質成分が配列番号8のアミノ酸配列を含むと同定される 、請求項15に記載のプロテオリピド。 18.前記アポタンパク質成分が配列番号5に記載のN-末端配列を有すると同定 される、請求項15に記載のプロテオリピド。 19.配列番号1または配列番号8のアミノ酸配列のいずれかと少なくとも85% の相同性を有し、かつカルシウム結合活性を有する、プロテオリピド。 20.以下: a)配列番号1のアミノ酸配列 b)配列番号2のアミノ酸配列 c)配列番号5のアミノ酸配列;または d)配列番号8のアミノ酸配列; を含む、単離されたプロテオリピド。 21.請求項20に記載のポリペプチドを含む、組成物。 22.請求項20に記載のポリペプチドに特異的に結合する、精製された抗体。 23.前記抗体が検出可能な標識に結合される、請求項22に記載の抗体。 24.適切なコンテナー手段において請求項20に記載の1つ以上のタンパク質 、または請求項20に記載のタンパク質に結合する抗体、および免疫検出試薬を 含む、免疫検出キット。 25.Corynebacterium matruchotiiから精製された10kDa未満の分子量を有し、 かつ石灰化活性を有する、請求項20に記載の有機溶媒可溶性プロテオリピド。 26.脱脂後、約7.5kDa、約5.5kDa、および約5.0kDaの分子量を有するアポタン パク質を含むとさらに規定される、請求項25に記載のプロテオリピド。 27.前記5.5kDaのアポタンパク質が、配列番号5のN-末端アミノ酸配列を有す るとさらに規定される、請求項26に記載のプロテオリピド。 28.前記5.0kDaのアポタンパク質が、配列番号5のN-末端アミノ酸配列を有す るとさらに規定される、請求項26に記載のプロテオリピド。 29.配列番号2のN-末端アミノ酸配列を有する、C.matruchotiiプロテオリピ ドの7.5kDaのタンパク質成分。 30.配列番号1のアミノ酸配列を有する、C.matruchotiiプロテオリピドの5. 5kDaのタンパク質成分。 31.配列番号8のアミノ酸配列を有する、C.matruchotiiプロテオリピドの5. 0kDaのタンパク質成分。 32.配列番号9〜11のいずれかの配列を有する、オリゴヌクレオチド。 33.口腔におけるバクテリオカルシフィンを検出する方法であって: a)該口腔においてカルシウム結合タンパク質を有すると推測された被験体の該 口腔から試料を得る工程; b)複合体を形成させるのに有効な条件下で該カルシウム結合タンパク質に結合 する、請求項22または23に記載の抗体と、該試料とを接触させる工程;およ び c)そこで形成された複合体を検出する工程、 を包含する方法。 34.前記バクテリオカルシフィンが、配列番号1、配列番号2、配列番号4、 配列番号5、配列番号6、または配列番号8の配列を有すると同定される、請求 項33に記載の方法。 35.石灰化細菌の石灰化を阻止する方法であって、請求項22に記載の抗体を 該細菌の部位に提供する工程を包含し、該抗体は薬学的に受容可能な組成物中で 提供される、方法。 36.前記細菌がC.matruchotiiと同定される、請求項35に記載の方法。 37.前記細菌がC.matruchotii、Actinomyces israeli、Streptococcus sangu is、S.mitis、S.mutans、S.salvarius、Veillonella、またはE.coliと同定 される、請求項35に記載の方法。
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