JP2002538787A - 新規化合物 - Google Patents

新規化合物

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Abstract

(57)【要約】 CASB618ポリペプチドおよびポリヌクレオチド、ならびに組換え技術によりこのようなポリペプチドを製造する方法が開示される。また、CASB618ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを診断に利用する方法、さらに癌(特に卵巣癌および大腸癌)、自己免疫疾患、および関連病態の予防的ならびに治療的処置のためのワクチンも開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、本明細書中でCASB618ポリヌクレオチドと呼ぶポリヌクレオチド、
それによりコードされるポリペプチド(本明細書中でCASB618ポリペプチドと呼ぶ
)、組換え物質、ならびにその生産方法に関する。別の態様において、本発明は
、癌、特に大腸癌、および自己免疫疾患ならびに他の関連病態の治療をはじめと
する、前記ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの使用方法に関する。更なる態
様では、本発明は、本発明により提供される物質を用いてアゴニストおよびアン
タゴニスト/インヒビターを同定する方法、ならびに同定された化合物を用いて
CASB618平衡異常と関連した症状を治療することに関する。さらに他の態様にお
いて、本発明は不適当なCASB618ポリペプチド活性またはCASB618ポリペプチドレ
ベルと関連した疾病を検出するための診断アッセイに関する。
【0002】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、腫瘍に対する特定の予防ま
たは治療のための免疫用の重要な免疫原である。何故なら、前記ポリヌクレオチ
ドおよび前記ポリペプチドは、正常細胞と比較して腫瘍において特異的に発現さ
れるかまたはかなり過剰に発現され、抗原特異的免疫機構の標的となって前記腫
瘍細胞の破壊をもたらしうるからである。また、それらを使用して腫瘍細胞の発
生を診断することもできる。さらに、特定の環境における前記ポリヌクレオチド
および前記ポリペプチドの不適切な発現により、自己免疫性の不適切な免疫応答
の誘導を引き起こし得るが、該応答は前記同様のポリペプチドまたはポリヌクレ
オチドを用いる適切なワクチン接種により矯正することができる。この点におい
て、最も重要な生物学的特性は、本発明のポリペプチドの抗原性活性および免疫
原性活性である。また、本発明のポリペプチドは、CASB618ポリペプチドの少な
くとも1つの他の生物学的活性を示すものであってもよく、該活性により本発明
のポリペプチドを前記免疫療法剤としての使用に関連したものとは異なる治療的
または予防的介入の標的とみなすことができる。
【0003】 ゲノム機能学は、ハイスループットDNA配列決定技術および現在入手できる多
くの分子生物学データベースから目的のものであり得る遺伝子配列を同定するた
めの生物情報科学(bioinformatics)の様々なツールに大きく依存している。特定
の組織または生理学的条件と関連する遺伝子が豊富なcDNAライブラリーを、近年
開発された差引きクローニング法を用いて構築することができる。さらに、特定
の組織のライブラリーに見られるが他では見られないcDNAを、適切な電子的スク
リーニング法(electronic screening method)を用いて同定することができる。
ハイスループットのゲノムまたは遺伝子ベースの生物学により、癌および自己免
疫疾患等の疾病の予防およびワクチン治療に有用な免疫応答のための、標的遺伝
子の同定およびクローニングへの新たなアプローチが可能となる。
【0004】 最初の態様において、本発明はCASB618ポリペプチドに関する。この種のペプ
チドには、配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列に対して少な
くとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは
少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も
好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる
単離されたポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドには配列番号2のア
ミノ酸を含んでなるポリペプチドが含まれる。
【0005】 本発明の他のペプチドには、そのアミノ酸配列が配列番号2の全長にわたって
配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少な
くとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ま
しくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同
一性を有する単離されたポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドとして
は配列番号2のポリペプチドがある。
【0006】 本発明の更なるペプチドには、配列番号1に含まれる配列を含んでなるポリヌ
クレオチドによりコードされる単離されたポリペプチドが含まれる。
【0007】 また本発明は、CASB618ポリペプチドの免疫原性断片、すなわち配列番号2の
アミノ酸配列を含むCASB618ポリペプチドと同様のまたは類似した免疫原特性を
有する前記ポリペプチドの連続した部分、を提供する。すなわち、前記断片(必
要であれば、担体に結合されている)は、CASB618ポリペプチドを認識する免疫応
答を引き出すことができる。こうした免疫原性断片には、例えば、N末端のリー
ダー配列、膜貫通ドメインまたはC末端のアンカードメインを欠くCASB618ポリ
ペプチドが含まれる。好ましい態様において、本発明のCASB618の免疫原性断片
は、配列番号2の全長にわたって配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも
70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なく
とも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好まし
くは少なくとも97〜99%の同一性を有するポリペプチドの実質的に全ての細
胞外ドメインを含む。
【0008】 CASB618のエピトープを含むペプチド断片は、典型的に、配列番号2に由来す
る少なくとも7個、好ましくは9または10個の連続したアミノ酸を含んでなる。
好ましいエピトープを配列番号5〜配列番号77に示している。
【0009】 これらのエピトープを含むペプチドは、本発明の好ましい態様である。また、
これらのエピトープと同じ特性を有するミモトープ(mimotope)、およびそのよ
うなミモトープを含む免疫原であって、免疫応答を引き起こし、CASB618分子に
関するエピトープと交差反応するものは、本発明の一部を構成するものである。
【0010】 したがって本発明は、それらのエピトープ自体およびそれらの任意のミモトー
プを包含する単離されたペプチドを含む。ミモトープの意味は、天然CASB618エ
ピトープと十分に類似しているために、該天然分子を認識する抗体により認識さ
れ得るもの(Gheysen, H.M.ら, 1986, Synthetic peptides as antigens. Wiley
, Chichester, Ciba foundation symposium 119, p130-149; Gheysen, H.M., 19
86, Molecular Immunology, 23,7, 709-715)であるか、あるいは適切な担体に
結合した場合に該天然分子と交差反応する抗体を生じさせ得るものとして、定義
される。
【0011】 前記のエピトープのペプチドミモトープは、特定の目的のために、選択された
アミノ酸の付加、欠失または置換によって設計することができる。従って、本発
明のペプチドは、タンパク質担体への結合を容易にするために改変しても良い。
例えば、ある種の化学結合法では、エピトープの末端にシステインを含有させる
ことが好ましい。更に、タンパク質担体に結合させたペプチドについては、該ペ
プチドの結合末端から遠い位置に疎水性末端を含有させて、該ペプチドの非結合
遊離末端が担体タンパク質の表面に結合されないままにすることが好ましい。そ
れにより該ペプチドのコンホメーション上の自由度が低減するため、完全な分子
の場合にみられるようなペプチドコンホメーションと最も近似しているコンホメ
ーションで該ペプチドが提示される可能性が高まる。例えば、該ペプチドは、N
末端システインおよびC末端疎水性アミド化テールを含有するように改変しうる
。あるいは、1以上のアミノ酸のD-立体異性体の付加または置換を行うことによ
り、例えば該ペプチドの安定性を向上させるなど、有益な誘導体を作製しうる。
そのような改変ペプチドまたはミモトープは、その構成残基が20種の天然アミノ
酸に限定される必要はなく、全体としてもしくは部分的に非ペプチド性ミモトー
プであってもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。さらにそれらは
、当技術分野で公知の技術により環化して、該ペプチド配列が分子全体である場
合の形状によく似たコンホメーションとすることができる。ペプチドを環化する
好適な方法には、ジスルフィド架橋形成を生じうる一対のシステイン残基を付加
することが含まれる。
【0012】 さらに、当業者であれば、本発明のミモトープまたは免疫原が上記のエピトー
プより大きいものであって本明細書に開示した配列を含むものでありうることは
理解されるだろう。したがって、本発明のミモトープは、一方または両方の末端
においていくつかのさらなる天然残基をNおよび/またはC末端伸長部に付加した
ものからなっていてもよい。該ペプチドミモトープはまた、天然配列の逆配列、
すなわち配列の方向が逆であるものか、あるいは該配列が全体としてまたは少な
くとも一部がD-立体異性体のアミノ酸で構成されている(インベルソ(inverso)
配列)ものであってよい。また、該ペプチド配列は特徴として逆−インベルソ(r
etro-inverso)、すなわち配列の方向が逆でありかつアミノ酸がD-立体異性体で
あるものであってもよい。そのような逆ペプチドまたは逆−インベルソペプチド
は非自己であるという利点を有し、それにより免疫系における自己免疫寛容の問
題が克服されうる。
【0013】 あるいはペプチドミモトープは、本発明のエピトープに結合可能な抗体を用い
て、ファージディスプレイ技法(EP 0 552 267 B1)等の技術によって同定する
ことができる。この技術は、天然ペプチドの構造を模倣しておりそのため抗天然
ペプチド抗体に結合可能であるペプチド配列を多数生成するが、それらの配列自
体は天然ペプチドに対し有意に相同な配列を必ずしも共有していなくてもよい。
この方法は増強された免疫原特性を有するペプチドを同定することができるよう
にすることにより大きな利点を有しうるものであり、すなわち天然ペプチド配列
の使用に伴ういかなる潜在的な自己抗原免疫寛容の問題も克服することができる
。さらに、この技術により、各天然ペプチドに対する認識パターンを、認識され
たミモトープ配列の間で共有される化学的特性によって同定することができるよ
うになる。
【0014】 免疫原性担体へのペプチドの共有結合は当技術分野で周知の方法で行うことが
できる。したがって、例えば直接的な共有結合には、一般的な市販されているヘ
テロ二機能性リンカー、例えばCDAPおよびSPDPを(製造業者の説明書に従って)
利用して、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、またはN-[γ-マレイミドブチ
リルオキシ]スクシンイミドエステルを使用することができる。結合反応の後、
免疫原は、透析法、ゲルろ過法、分画法等により容易に単離および精製すること
ができる。
【0015】 本発明の免疫原に用いる担体の種類は、当業者であれば容易に認識できるであ
ろう。担体の機能は、ペプチドに対する免疫反応を誘導させるようにサイトカイ
ンを促進することである。本発明で用いられうる担体を非網羅的に列挙すると、
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)等の血清ア
ルブミン、破傷風毒素もしくはジフテリア毒素(TTおよびDT)等の不活性化細菌
性毒素、またはそれらの組換え断片(例えば、TTのフラグメントCのドメイン1
、もしくはDTの転座ドメイン)、あるいはツベルクリンの精製タンパク質誘導体
(PPD)が挙げられる。あるいは、ミモトープまたはエピトープは、T細胞を促進す
る免疫原をさらに含みうるリポソーム担体に直接結合させてもよい。好ましくは
ミモトープと担体の割合は1:1〜20:1であり、好ましくは各担体が3〜15個のペ
プチドを保持すべきである。
【0016】 本発明の実施形態において、好適な担体はインフルエンザ菌(Haemophilus inf
luenzae)由来のプロテインD(EP 0 594 610 B1)である。プロテインDは、イン
フルエンザ菌由来のIgD結合タンパク質であり、Forsgrenに特許が与えられてい
る(WO 91/18926、特許付与番号EP 0 594 610 B1)。ある種の状況では、例えば
組換え免疫原発現系においては、プロテインDの断片、例えばプロテインDの1/3
(プロテインDのN末端の100〜110個のアミノ酸を含むもの(GB 9717953.5))を
用いることが望ましい。
【0017】 本発明のペプチドを提示するための別の好適な方法は、組換え融合分子に関連
するものである。例えば、EP 0 421 635 Bは、ウイルス様粒子において外来ペプ
チド配列を提示するためのキメラヘパドナウイルスコア抗原粒子の使用について
記載している。同様に本発明の免疫原は、B型肝炎コア抗原からなるキメラ粒子
において提示されるペプチドを含んでもよい。さらに、組換え融合タンパク質は
本発明のミモトープと担体タンパク質(例えばインフルエンザウイルスのNS1等
)を含むものでありうる。本発明の一部を構成する組換え法により発現された任
意のタンパク質に関して、前記免疫原をコードしている核酸もまた本発明の一態
様を構成する。
【0018】 本発明において用いられるペプチドは、当技術分野で周知の固相法により容易
に合成できる。適切な合成は、「T-boc」法または「F-moc」法を用いることによ
り行うことができる。環状ペプチドは、よく知られた「F-moc」法およびポリア
ミド樹脂を用い、完全に自動化した装置にて、固相法で合成することができる。
あるいは、当業者であればその過程を手作業で行うために必要な実験室的手法を
認知しているであろう。固相合成のための技術および手法は、E. Athertonおよ
びR.C. Sheppardによる「固相ペプチド合成:実用的方法(Solid Phase Peptide
Synthesis: A Practical Approach)」(IRL(Oxford University Press)発行(1
989))に記載されている。あるいはペプチドは、細菌株または哺乳動物細胞系に
おいてミモトープをコードする核酸分子を発現させ、その後発現されたミモトー
プを精製することを含む、組換え法により生成することができる。ペプチドおよ
びタンパク質の組換え発現のための技術は当技術分野で公知であり、Maniatis,
T., Fritsch, E.F.およびSambrookらのMolecular cloning, a laboratory manua
l、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Y
ork (1989)に記載されている。
【0019】 本発明のポリペプチドまたは免疫原性断片は「成熟」タンパク質の形であって
も、前駆体または融合タンパク質のような、より大きいタンパク質の一部であっ
てもよい。しばしば、追加のアミノ酸配列を含めることが有利であり、このよう
なアミノ酸配列としては、分泌すなわちリーダー配列、プロ配列、多重ヒスチジ
ン残基のような精製に役立つ配列、または組換え体生産の間の安定性を確保する
付加的配列などがある。さらに、外来ポリペプチドまたは脂質テイル(lipid tai
l)またはポリヌクレオチド配列の追加により最終的な分子の免疫原としての可能
性を高めることも考慮される。
【0020】 1つの態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断片と、各
種サブクラス(IgG、IgM、IgA、IgE)の免疫グロブリンのH鎖またはL鎖の定常
領域の様々な部分と、を含んでなる遺伝子工学的に作製された可溶性融合タンパ
ク質に関する。免疫グロブリンとしてはヒトIgG、特にIgG1のH鎖の定常部が好
ましく、その場合は融合がヒンジ領域で起こる。特定例では、血液凝固因子Xa
で開裂され得る開裂配列を組み込むことで、Fc部分を簡単に除去できる。さら
に、本発明は、これら融合タンパク質の遺伝子工学的作製方法、ならびに薬物ス
クリーニング、診断および治療におけるそれらの使用に関する。また、本発明の
更なる態様はこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する
。融合タンパク質技術の例は国際特許出願 WO94/29458 およびWO94/22914に見い
だせる。
【0021】 前記タンパク質を化学的に結合するかまたは組換え融合タンパク質として発現
させることにより、発現系において該タンパク質が非融合タンパク質に比べて増
大されたレベルで産生される。融合パートナーはTへルパーエピトープ、好まし
くはヒトにより認識されるTヘルパーエピトープの提供を助ける(免疫学的融合
パートナー)か、または前記タンパク質の、元の組換えタンパク質より高い産生
量での発現を助ける(発現エンハンサー)ことができる。好ましくは、前記融合パ
ートナーは免疫学的融合パートナーおよび発現エンハンサーパートナーの両方で
ある。
【0022】 融合パートナーには、ヘモフィルス・インフルエンザB(Haemophilus influen
za B)由来のプロテインDおよびインフルエンザウイルス由来の非構造タンパク
質NS1(赤血球凝集素)が含まれる。別の免疫学的融合パートナーはLYTAとして知
られるタンパク質である。好ましくは、該分子のC末端部分を使用する。Lytaは
、N-アセチル-L-アラニンアミダーゼであるアミダーゼLYTA(lytA遺伝子によりコ
ードされる[Gene. 43(1986) page 265-272])、すなわちペプチドグリカン骨格内
の特定の結合を特異的に分解する自己分解酵素を合成するストレプトコッカス・
ニューモーニア(Streptococcus pneumoniae)から得られる。前記LYTAタンパク質
のC末端ドメインは、コリン、またはDEAE等の数種のコリン類似体に対する親和
性に関与している。この性質を融合タンパク質の発現に有用な大腸菌(E.coli)C-
LYTA発現プラスミドの開発に利用した。そのアミノ末端に前記C-LYTA断片を含有
するハイブリッドタンパク質の精製については、Biotechnology:10. (1992) pag
e 795-798に記載されている。前記Lyta分子のC末端に見出され、残基178から始
まる反復部分(例えば残基188〜305)を使用することができる。
【0023】 また、前記ポリペプチドの変異体、すなわち保存的アミノ酸置換(ある残基が
性質の似ている他の残基により置換される)により基準ポリペプチドと相違して
いるポリペプチドも本発明に含まれる。典型的なこうした置換は、Ala, Val, Le
u および Ileの間;Ser とThr の間;酸性残基 AspとGlu の間;Asn とGln の間
;塩基性残基 LysとArg の間;または芳香族残基 PheとTyr の間で起こる。特に
、数個、5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個または1個のアミノ酸が任
意の組合せで置換、欠失または付加されている変異体が好適である。
【0024】 本発明のポリペプチドは任意の適当な方法で製造することができる。このよう
なポリペプチドには、単離された天然のポリペプチド、組換え的に生産されたポ
リペプチド、合成的に製造されたポリペプチド、またはこれらの方法の組合せに
より製造されたポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドを製造するため
の手段は当業界でよく理解されている。
【0025】 更なる態様において、本発明は、CASB618ポリヌクレオチドに関する。このよ
うなポリヌクレオチドには、配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸
配列に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性
、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95
%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる単
離されたポリヌクレオチドが含まれる。これに関して、少なくとも97%の同一
性を有するポリペプチドが一層好ましいが、少なくとも98〜99%の同一性を
有するものがより一層好ましく、少なくとも99%の同一性を有するポリペプチ
ドが最も好ましいものである。かかるポリヌクレオチドとして、配列番号2のポ
リペプチドをコードする配列番号1に含まれるヌクレオチド配列を含んでなるポ
リヌクレオチドが挙げられる。
【0026】 本発明の更なるポリヌクレオチドには、配列番号2のポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列に対して、その全コード領域にわたって、少なくとも70%
の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも9
0%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチ
ド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチドが含まれる。これに関して、少
なくとも97%の同一性を有するポリヌクレオチドが一層好ましいが、少なくと
も98〜99%の同一性を有するものがより一層好ましく、少なくとも99%の
同一性を有するポリヌクレオチドが最も好ましいものである。
【0027】 本発明の更なるポリヌクレオチドには、配列番号1の全長にわたって配列番号
1のポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくと
も80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましく
は少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離された
ポリヌクレオチドが含まれる。これに関して、少なくとも97%の同一性を有す
るポリヌクレオチドが一層好ましいが、少なくとも98〜99%の同一性を有す
るものがより一層好ましく、少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチ
ドが最も好ましいものである。かかるポリヌクレオチドとして、配列番号1のポ
リヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドおよび配列番号1のポリヌクレオ
チドが挙げられる。前記ポリヌクレオチドを適当なプラスミドまたは組換え微生
物ベクターに挿入して免疫に用いることができる(例えば、Wolffら、Science 24
7:1465-1468(1990);Corrら、J.Exp.Med. 184:1555-1560(1996);Doeら、Proc.N
atl.Acad.Sci. 93:8578-8583(1996)を参照されたい)。また、本発明は前記の全
てのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドも提供する。
【0028】 また本発明は、被験体に投与された際に配列番号1のポリヌクレオチドと同様
の免疫原特性を有する、CASB618ポリヌクレオチドの断片も提供する。
【0029】 また本発明は、前記で定義したCASB618ポリペプチドの免疫学的断片をコード
するポリヌクレオチドも提供する。
【0030】 配列番号1のヌクレオチド配列はヒト(Homo sapiens)15番染色体クローン163 P 10マップ15(受託番号 GB HTG4:AC009700)との相同性を示す。配列番号1の
ヌクレオチド配列はcDNA配列であり、配列番号2のポリペプチドである320個の
アミノ酸からなるポリペプチドをコードするポリペプチドコード配列(ヌクレオ
チド番号259〜1219)を含む。配列番号2のポリペプチドをコードするヌクレオチ
ド配列は、配列番号1に含まれるポリペプチドコード配列と同一であっても、遺
伝子コードの重複性(縮重)のため、やはり配列番号2のポリペプチドをコード
する、配列番号1に含まれる配列以外の配列であってもよい。配列番号2のポリ
ペプチドは、セノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)の推定
上の42.1 kdのタンパク質c06e1.3(受託番号P34298)を除く、既知の機能を有する
その他のタンパク質のいずれとも関連がない。
【0031】 本発明の好適なポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、とりわけ、それと相
同なポリペプチドおよびポリヌクレオチドと同様の生物学的機能/性質をもつこ
とが期待される。さらに、本発明の好ましいポリペプチド、免疫学的断片および
ポリヌクレオチドは配列番号1または配列番号2のいずれかの少なくとも1つの
適当な活性を有する。
【0032】 また、本発明は、配列番号1および配列番号2の対応する全長配列の決定に先
立って最初に同定された部分的またはそれ以外の不完全なポリヌクレオチドおよ
びポリペプチド配列に関する。
【0033】 したがって、更なる態様において、本発明は、 (a) 配列番号3の全長にわたって配列番号3のヌクレオチド配列に対して少な
くとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは
少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も
好ましくは97〜99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離さ
れたポリヌクレオチド、 (b) 配列番号3の全長にわたって配列番号3のヌクレオチド配列に対して少な
くとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは
少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も
好ましくは97〜99%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する単離された
ポリヌクレオチド、 (c) 配列番号3のポリヌクレオチドである単離されたポリヌクレオチド、 を提供する。
【0034】 配列番号3のヌクレオチド配列はエクスプレスド・シーケンス・タグ(Expres
sed Sequence Tag:EST)配列から誘導される。当業者であれば、EST配列中に若
干のヌクレオチド配列読み取り誤差が必然的に存在することを理解するであろう
(Adams, M.D.ら, Nature 377 (supp)3, 1995を参照のこと)。したがって、配
列番号3のヌクレオチド配列は配列精度において同一の固有の限界を受けること
がある。
【0035】 本発明のポリヌクレオチドは、標準的なクローニングおよびスクリーニング技
術により、ヒト大腸癌、肺癌、子宮癌、および胎生組織の細胞中のmRNAから誘導
されたcDNAライブラリーから得ることができる(例えば、Sambrookら、Molecular
Cloning:A Laboratory ManuaL 2nd Ed. Cold Spring harbor Laboratory Pres
s. Cold Spring harbor, N.Y.(1989)を参照されたい)。また、本発明のポリヌク
レオチドはゲノムDNAライブラリーのような天然源から得ることができ、市販さ
れている周知の技術を用いて合成することもできる。
【0036】 本発明のポリヌクレオチドを本発明のポリペプチドの組換え体生産のために用
いる場合、そのポリヌクレオチドには、成熟ポリペプチドのコード配列単独、ま
たは他のコード配列(例えば、リーダーまたは分泌配列、プレ−またはプロ−ま
たはプレプロ−タンパク質配列、もしくは他の融合ペプチド部分をコードする配
列)と同じリーディングフレーム内にある成熟ポリペプチドのコード配列が含ま
れる。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列がコードされ
得る。本発明のこの態様の好ましい具体例として、マーカー配列は、pQEベクタ
ー(Qiagen, Inc.)により提供されかつ Gentzら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (
1989) 86:821-824に記載されるような、ヘキサ−ヒスチジンペプチド、またはH
Aタグである。また、このポリヌクレオチドは5'および3'非コード配列、例えば
、転写されるが翻訳されない配列、スプライシングおよびポリアデニル化シグナ
ル、リボソーム結合部位、およびmRNA安定化配列を含んでいてもよい。
【0037】 本発明の更なる具体例としては、数個、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3
個、1〜2個、または1個のアミノ酸残基が任意の組合せで置換、欠失または付
加されている、配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド変異体をコ
ードするポリヌクレオチドがある。
【0038】 配列番号1に含まれるヌクレオチド配列と同一であるか十分に同一であるポリ
ヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする全長cDNAおよびゲノムクロ
ーンを単離するために、また、配列番号1に対して高い配列類似性を有する他の
遺伝子(ヒト起源のパラログ体(paralog)ならびにヒト以外の種に由来するオー
ソログ体(ortholog)およびパラログ体をコードする遺伝子を含む)のcDNAおよび
ゲノムクローンを単離するために、cDNAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼー
ションプローブとして、または核酸増幅(PCR)反応用のプライマーとして用い
ることができる。一般的に、これらのヌクレオチド配列は基準のヌクレオチド配
列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%
同一である。プローブまたはプライマーはたいてい15個以上のヌクレオチドを
含み、好ましくは30個以上を含み、50個以上のヌクレオチドを有していても
よい。特に好ましいプローブは30〜50個の範囲のヌクレオチドを有するもの
である。特に好ましいプライマーは20〜25個の範囲のヌクレオチドを有する
ものである。特に、近縁な動物起源からの配列に由来するポリペプチドまたはポ
リヌクレオチドを免疫原として使用して、ヒトの遺伝子に対する交差反応性免疫
応答を得ることができる。
【0039】 本発明のポリペプチド(ヒト以外の種に由来する相同体を含む)をコードする
ポリヌクレオチドは、配列番号1の配列またはその断片を有する標識プローブを
用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で適当なライブラリ
ーをスクリーニングし、該ポリヌクレオチド配列を含む全長cDNAおよびゲノムク
ローンを単離する各工程を含んでなる方法により得られる。このようなハイブリ
ダイゼーション技法は当業者に周知である。好ましいストリンジェントなハイブ
リダイゼーション条件は、50% ホルムアミド、5×SSC (150mM NaCl, 15mM クエ
ン酸三ナトリウム) 、50mMリン酸ナトリウム (pH7.6)、5×Denhardt溶液、10%
デキストラン硫酸および20μg/mlの変性し剪断したサケ精子DNAを含有する溶液
中42℃で一夜インキュベートし、次いでフィルターを 0.1×SSC 中約65℃で
洗浄することを含む。かくして、本発明は、配列番号1の配列またはその断片を
有する標識プローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件
下で適当なライブラリーをスクリーニングすることにより得られるポリヌクレオ
チドをも包含する。
【0040】 当業者には理解されるように、多くの場合、ポリペプチドをコードする領域が
そのcDNAの5'末端で短く切断されることから、単離されたcDNA配列は不完全であ
るだろう。
【0041】 完全長cDNAを得るための、または短鎖cDNAを伸長させるための、当業者に周知
で利用可能な方法がいくつかあり、例えば、cDNA末端高速増幅法(RACE)に基づ
いた方法がある(例えば、Frohmanら, PNAS USA 85, 8998-9002, 1988を参照の
こと)。例えばMarathonTM技術(Clontech Laboratories Inc.)により示されるよ
うな、上記技法の最近の改良により、より長いcDNAの検索が大いに簡便化された
。MarathonTM技術では、所定の組織より抽出されたmRNAからcDNAを作製し、各末
端に「アダプター」配列を連結する。続いて、遺伝子特異的およびアダプター特
異的なオリゴヌクレオチドプライマーの組合せを用いて核酸増幅(PCR)を行い
、cDNAの「欠失」5'末端を増幅する。次に、「ネステッド(nested)」プライマー
、すなわち増幅産物の内部にアニールするように設計されたプライマー(典型的
には、アダプター配列のさらに3'側にアニールするアダプター特異的プライマー
および既知遺伝子配列のさらに5'側にアニールする遺伝子特異的プライマー)を
用いてPCR反応を繰り返す。その後、この反応の産物をDNA塩基配列決定により解
析し、この産物を既存のcDNAに直接結合して完全な配列とするか、または5'プラ
イマー設計用の新たな配列情報を用いて別の全長PCRを行うことにより、全長cDN
Aを構築することができる。
【0042】 本発明の組換え体ポリペプチドは、当業界で周知の方法を用いて、発現系を含
有する遺伝子操作宿主細胞から生産することができる。したがって、更なる態様
において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含有する発現系、該発現系に
より遺伝子操作された宿主細胞、および組換え法による本発明のポリペプチドの
生産に関する。本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いてこの種のタンパク
質を生産するために、無細胞翻訳系を使用することもできる。
【0043】 組換え体生産に関しては、本発明のポリヌクレオチドの発現系またはその一部
を組み込むために宿主細胞を遺伝子操作する。宿主細胞へのポリヌクレオチドの
導入は、Davisら, Basic Methods in Molecular Biology (1986) および Sambro
okら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbo
r Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989) などの多くの標準的な
実験室マニュアルに記載された方法により行うことができる。好適なこうした方
法として、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキス
トラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイク
ロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポ
レーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(b
allistic introduction)または感染などがある。
【0044】 好ましくは、本発明のタンパク質をトランス型チオレドキシン(thioredoxin i
n trans:TIT)と共発現させる。プロテアーゼを必要とすること無しに、抗原を
チオレドキシンの無い状態に維持するためには、シス型よりもトランス型のチオ
レドキシンを共発現させることが好ましい。チオレドキシンの共発現は本発明の
タンパク質の可溶化を容易にする。また、チオレドキシンの共発現はタンパク質
の精製収率、精製されたタンパク質の溶解性および品質に重大な影響を与える。
【0045】 適当な宿主の代表的な例として、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフ
ィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、真菌細胞(例:酵母、ア
スペルギルス)、昆虫細胞(例:ショウジョウバエS2、スポドプテラSf9)
、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C 127、3T3、BHK、HEK
293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞が挙げられる。
【0046】 多種多様な発現系を使用することができる。こうした発現系として、例えば、
染色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば、細菌プラスミド由来、バ
クテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入因子由
来、酵母染色体エレメント由来、ウイルス(例:バキュロウイルス、SV40の
ようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、
仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス)由来のベクター、およびこれらの組合せ
に由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバ
クテリオファージの遺伝的要素に由来するものがある。これらの発現系は発現を
起こさせるだけでなく発現を調節する制御領域を含んでいてもよい。一般的に、
宿主内でのポリペプチドの産生のためにポリヌクレオチドを維持し、増やし、発
現することができる系またはベクターはどれも使用しうる。Sambrookら, Molecu
lar Cloning: A Laboratory Manual (前掲) に記載されるような、日常的に用い
られる周知の技法のいずれかにより、適当なヌクレオチド配列を発現系に挿入す
ることができる。翻訳されたタンパク質を小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、また
は細胞外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的のポリペプチド
に組み込むことができる。これらのシグナルは目的のポリペプチドに対して内因
性であっても、異種シグナルであってもよい。
【0047】 また、前記発現系はウイルスまたは細菌等の組換え生存微生物であってもよい
。目的とする遺伝子を組換え生存ウイルスまたは細菌のゲノム内に挿入すること
ができる。この生存ベクターを用いての接種またはin vivo感染により、抗原のi
n vivo発現および免疫応答の誘導がもたらされる。この目的のために使用するウ
イルスおよび細菌としては、例えば、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウ
イルス、鶏痘ウイルス、カナリア痘ウイルス)、アルファウイルス(シンドビスウ
イルス、セムリキ森林ウイルス、ヴェネズエラウマ脳炎ウイルス)、アデノウイ
ルス、アデノ随伴ウイルス、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、ライノウイル
ス)、ヘルペスウイルス(水痘-帯状ヘルペスウイルス等)、リステリア、サルモネ
ラ、シゲラ、BCG、がある。これらのウイルスおよび細菌は有毒であっても、ま
たは生ワクチンを得るために種々の方法により弱毒化されていてもよい。そのよ
うな生ワクチンもまた、本発明の一部を成すものである。
【0048】 組換え細胞培養物から本発明のポリペプチドを回収し精製するには、硫酸アン
モニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマト
グラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマ
トグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた周知の方法を用いるこ
とができる。最も好ましくは、イオン金属アフィニティークロマトグラフィー(i
on metal affinity chromatography:IMAC)が精製に用いられる。ポリペプチドが
細胞内合成、単離および/または精製中に変性されるときは、タンパク質を再生
させるための周知の技法を用いて、活性のあるコンフォメーションを復元するこ
とが可能である。
【0049】 本発明の別の重要な態様は哺乳動物において免疫学的応答を誘導、増強または
モジュレートする方法に関するものであり、この方法は、癌および自己免疫疾患
および関連病態の予防または治療的処置のための抗体および/またはT細胞免疫
応答を生ずるのに十分な本発明の断片または全長ポリヌクレオチドもしくはポリ
ヌクレオチドを、哺乳動物に接種することを含んでなる。本発明のさらに別の態
様は、哺乳動物を前記疾患からの予防または治療のための免疫応答を生じさせる
ような免疫学的応答を引き出すために、in vivo で本発明のポリペプチドをコー
ドし、該ポリヌクレオチドの発現を指令するベクターまたは細胞を介して、本発
明のポリペプチドを送達することを含んでなる、哺乳動物において免疫学的応答
を誘導、増強またはモジュレートする方法に関する。
【0050】 本発明の更なる態様は、哺乳動物宿主に導入したとき、その哺乳動物において
本発明のポリペプチドに対する免疫学的応答を誘導、増強またはモジュレートす
る免疫学的/ワクチン製剤(組成物)に関し、この組成物は本発明のポリペプチ
ドもしくはポリヌクレオチドまたは上記で定義したその免疫原性断片を含有する
。ワクチン製剤は適当な担体をさらに含んでいてもよい。ポリペプチドは胃の中
で分解される可能性があるので、非経口的に(例えば、皮下、筋肉内、静脈内ま
たは皮内注射により)投与することが好ましい。非経口投与に適した製剤として
は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤およびこの製剤を受容者の血液と等張にする溶
質を含みうる水性および非水性の無菌注射液、並びに懸濁化剤または増粘剤を含
みうる水性および非水性の無菌懸濁液がある。こうした製剤は1回量容器または
数回量容器(例えば、密閉アンプルおよびバイアル)で提供することができ、ま
た、使用直前に無菌の液状担体を添加するだけでよい凍結乾燥状態で保管するこ
ともできる。
【0051】 本発明の更なる態様は、本発明の断片または完全なポリペプチドもしくはポリ
ヌクレオチド、あるいは本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチドを含む
分子に対する免疫応答を、哺乳動物の免疫系からの細胞を使用してin vitroで誘
導し、前記哺乳動物のこれらの活性化された免疫細胞を疾病の治療のために再注
入することに関する。免疫系からの細胞の活性化は、本発明の完全なポリペプチ
ドもしくはポリヌクレオチド、または本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレ
オチドを含む分子と共に種々の免疫モジュレーター分子の存在下または不在下で
in vitroにてインキュベートすることにより達成される。本発明の更なる態様は
、本発明の部分もしくは完全なポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含む
分子をin vitroで供給することにより改変した抗原提示細胞の投与による哺乳動
物の免疫化、ならびに免疫原性による方法にてin vivo投与することによる前記
免疫化に関する。あるいは、抗原提示細胞を本発明の断片もしくは完全なポリヌ
クレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含む分子を含有するベクターでin
vitroでトランスフェクトして、対応するポリペプチドを発現させることができ
、さらに免疫原性的方法でin vivoにて投与することができる。
【0052】 また、本発明のワクチン製剤は該製剤の免疫原性を増強するためのアジュバン
ト系を含んでいてもよい。好ましくは、前記アジュバント系は選択的にTH1型の
応答を生じさせる。
【0053】 免疫応答は極端な2つのカテゴリー(体液性または細胞媒介性免疫応答[慣例で
は、それぞれ抗体による、および細胞エフェクターによる防御機構によって特徴
付けられている])に大まかに区別することができる。これらの応答カテゴリーは
、TH1型応答(細胞媒介性応答)およびTH2型免疫応答(体液性応答)と呼ばれている
【0054】 極端なTH1型免疫応答は、抗原特異的でハプロタイプ拘束性細胞傷害性Tリン
パ球の生成およびナチュラルキラー細胞の応答により特徴付けられる。マウスで
はTH1型応答はIgG2aサブタイプの抗体の生成により特徴付けられることが多いが
、ヒトではこれらはIgG1型抗体に相当する。TH2型免疫応答はマウスIgG1、IgAお
よびIgMを含む広範囲の免疫グロブリンアイソタイプの生成により特徴付けられ
る。
【0055】 これらの2タイプの免疫応答の発生を陰で駆動している力はサイトカインであ
ると考えられる。高濃度のTH1型サイトカインは所与の抗原に対して細胞媒介性
免疫応答を好んで誘導する傾向があるが、高濃度のTH2型サイトカインは前記抗
原に対して体液性免疫応答を好んで誘導する傾向がある。
【0056】 TH1およびTH2型免疫応答の区別は絶対的なものではない。実際、ある人は、主
にTH1であるとか、主にTH21であると記載されるような免疫応答を支持している
。しかしながら、多くの場合、MosmannおよびCoffmanによりマウスCD4+veT細胞
クローンについて記載された内容(Mosmann,T.R.およびCoffmann,R.L. (1989) TH
1 and TH2 cells:differnt patterns of lymphokine secretion lead to differ
ent functional properties. Annual Review of Immnology, 7, p145-173)から
、サイトカインのファミリーを考慮するのが都合がよい。慣例上、TH1型応答は
Tリンパ球によるINF-γおよびIL-2サイトカイン産生と関連している。TH1型免
疫応答の誘導に直接関わることの多い他のサイトカインは、IL-12等のT細胞に
よっては産生されない。対照的に、TH2型応答はIL-4、IL-5、IL-6およびIL13の
分泌に関連している。
【0057】 特定のワクチンアジュバントがTH1またはTH2型のいずれかのサイトカイン応答
の刺激にとりわけ適していることが知られている。慣例上、ワクチン接種または
感染後の免疫応答におけるTH1:TH2平衡の最良の指標としては、抗原再刺激後の
in vitroでのTリンパ球によるTH1またはTH2サイトカイン産生の直接測定、およ
び/または抗原特異的抗体応答のIgG1:IgG2a比の測定が挙げられる。
【0058】 従って、TH1型アジュバントは、抗原によりin vitroで再刺激された際に優先
的に単離されたT細胞集団を刺激して高濃度のTH1型サイトカインを産生し、CD8
+細胞傷害性Tリンパ球の発生およびTH1型アイソタイプに関連した抗原特異的免
疫グロブリン応答を促進するものである。
【0059】 TH1細胞応答を優先的に刺激し得るアジュバントは、国際特許出願番号WO94/00
153およびWO95/17209に記載されている。
【0060】 3De-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)はそうしたアジュバントの
1つである。これはGB2220211(Ribi)により知られている。化学的には、該アジ
ュバントは3De-O-アシル化モノホスホリルリピドAと4、5、6本のアシル化された
鎖との混合物であり、Ribi Immunochem. Montanaにより製造される。3De-O-アシ
ル化モノホスホリルリピドAの好ましい形態は、欧州特許第0 689 454 B1号(Smit
hKline Beecham Biologicals SA)に開示されている。
【0061】 好ましくは、3D-MPLの粒子は、0.22ミクロンの膜を通り抜けて滅菌ろ過される
のに十分な程度小さい(欧州特許第0 689 454 B1号)。3D-MPLは投与量あたり10μ
g〜100μg、好ましくは25〜50μgの範囲で存在する。この場合、抗原は通常投与
量あたり2〜50μgの範囲で存在する。
【0062】 別の好ましいアジュバントは、QS21(Quillaja Saponaria Molinaの樹皮から得
た、Hplc精製した毒性の無い画分)を含む。任意でこれを3De-O-アシル化モノホ
スホリルリピドA(3D-MPL)と、場合により担体と共に混合することもできる。
【0063】 QS21の製造方法は米国特許第5,057,540号に開示されている。
【0064】 QS21を含有する反応性の無いアジュバント製剤は以前に記載されている(WO96/
33739)。QS21およびコレステロールを含むそうした製剤は、抗原と共に製剤する
場合には良好なTH1刺激性アジュバントであることが示されている。
【0065】 TH1細胞応答の優先的刺激物質である別のアジュバントとしては、免疫調節性
の(immunomodulatory)オリゴヌクレオチド、例えばWO96/02555に開示されている
非メチル化CpG配列が挙げられる。
【0066】 また、前述したもののような異なるTH1刺激アジュバントの組み合わせも、TH1
細胞応答の優先的な刺激物質であるアジュバントを提供する際に考慮される。例
えば、QS21を3D-MPLと共に製剤化することができる。通常、QS21:3D-MPL比は1:1
0〜10:1であり、好ましくは1:5〜5:1であり、多くの場合は実質的に1:1である。
最適な共働作用のために好ましい範囲は、2.5:1〜1:1の3D-MPL:QS21である。
【0067】 好ましくは、本発明のワクチン組成物中に担体も存在する。前記担体は水中油
型エマルジョンであっても、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム等の
アルミニウム塩であってもよい。
【0068】 好ましい水中油型エマルジョンは代謝可能な油、例えばスクアレン、α-トコ
フェロールおよびTween80を含む。特に好ましい態様では本発明のワクチン組成
物中の抗原をそのようなエマルジョン中でQS21および3D-MPLと組み合わせる。更
に、前記水中油型エマルジョンはスパン85および/またはレシチンおよび/また
はトリカプリリン(tricaprylin)を含んでいてもよい。
【0069】 通常、ヒトへの投与の場合は、QS21および3D-MPLは投与量あたり1〜200μgの
範囲内、例えば10〜100μg、好ましくは10〜50μgの範囲内でワクチン中に存在
する。通常、水中油型エマルジョンは、2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-ト
コフェロールおよび0.3〜3%のTween80を含む。好ましくは、スクアレン:α-ト
コフェロール比は1以下であり、これによってより安定なエマルジョンが提供さ
れる。また、スパン85は1%という濃度で存在しうる。幾つかの場合、本発明の
ワクチンが更に安定化剤を含むことが有益であろう。
【0070】 毒性の無い水中油型エマルジョンは、好ましくは、毒性の無い油(例えばスク
アランもしくはスクアレン)、または乳化剤(例えばTween80)を水性担体中に含む
。前記水性担体は、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水でありうる。
【0071】 水中油型エマルジョン中にQS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む特に有効
なアジュバント製剤はWO95/17210に記載されている。
【0072】 また本発明は、本発明のワクチン製剤を他の抗原、特に癌、自己免疫疾患およ
び関連病態の治療に有用な抗原と組み合わせて含む多価ワクチン組成物を提供す
る。そのような多価ワクチン組成物は前記のTH1誘導性アジュバントを含みうる
【0073】 本発明はまた、診断薬として、本発明のポリヌクレオチドに由来するプライマ
ーとしてのポリヌクレオチドの使用、および本発明のポリペプチドに特異的な抗
体または試薬としてのポリペプチドの使用に関する。
【0074】 発癌経路に伴うごく初期の変化の検出が可能になると思われる、血液もしくは
組織中の遺伝学的または生化学的マーカーを同定することは、患者にとって最良
の治療を決定する上で役立つ。ポリヌクレオチド発現等の代理腫瘍マーカーは、
癌の各種形態および状態を診断するために用いることができる。本発明のポリヌ
クレオチドの発現レベルを同定することは、癌疾患のステージ決定および癌組織
の性質の等級付けの両方において有用であろう。ステージ決定過程は、癌の進行
度を観察し、生検部位に悪性組織が存在するか存在しないかで判定する。本発明
のポリヌクレオチドは癌の侵襲性に関するマーカーを同定することにより、例え
ば身体の種々の部位におけるその存在を同定することにより、ステージ決定過程
を実施するのに役立たせることができる。癌の等級付けは、腫瘍が同じ種類の正
常組織にどれだけ近似しているかを示すものであり、それはその細胞の形態およ
び他の分化マーカーによって評価される。本発明のポリヌクレオチドは、それら
が腫瘍細胞の分化の状態を判別する上で役立つことから、腫瘍の等級を決定する
上で有用である。
【0075】 診断アッセイは、被験体から得られたサンプルからポリペプチドまたはmRNAの
レベルの異常な低下または増加を測定することを含む方法による診断を行うこと
で、癌、自己免疫疾患および関連病態への罹りやすさを診断または判定する方法
を提供する。この診断方法は示差的発現として知られる。特定の遺伝子の発現を
罹患組織と正常組織との間で比較するものである。2つの組織における該ポリヌ
クレオチドに関連する遺伝子、mRNA、またはタンパク質の差異、例えば分子量、
アミノ酸もしくはヌクレオチド配列、または相対的存在量の差異は、罹患が疑わ
れるヒトの組織における、該遺伝子またはそれを調節する遺伝子の変化を示して
いる。
【0076】 発現の低下または増加は、RNAレベルで測定することができる。まずポリA RNA
を2つの組織から単離し、さらに本発明の示差的に発現されるポリヌクレオチド
に対応する遺伝子がコードするmRNAを、例えば、組織切片におけるin situハイ
ブリダイゼーション、逆転写酵素PCR、ポリA+ mRNAを含むノーザンブロット、ま
たは他の任意の直接的もしくは間接的なRNA検出法によって検出することができ
る。正常組織と比較した場合の罹患組織における所定のRNAの発現の増大または
低減は、転写産物および/または発現されたタンパク質がその疾患に関与してい
ることを示唆する。したがって、正常レベルと比較した場合に、より高いレベル
またはより低いレベルの配列番号1または3に対応するmRNAが検出されることは
、患者における癌の存在を示唆するものである。
【0077】 サンプル中のmRNA発現レベルは、該サンプルに由来するエクスプレスド・シー
ケンス・タグ(EST)のライブラリーを作製することにより決定される。該ライブ
ラリー中のESTの相対的提示量を、出発サンプルにおける遺伝子転写産物の相対
的提示量を評価するために用いることができる。そしてその試験のEST分析を基
準サンプルのEST分析と比較して、目的とするポリヌクレオチドの相対的発現レ
ベルを決定することができる。
【0078】 その他のmRNA解析としては、遺伝子発現の連続的解析(SAGE)法(Velculescuら
Science (1995) 270:484)、ディファレンシャルディスプレイ法(例えば、米
国特許第5,776,683号)、またはヌクレオチドの相互作用の特異性に依存したハ
イブリダイゼーション分析を用いて行うことができる。
【0079】 あるいは、タンパク質レベルで比較を行ってもよい。2つの組織におけるタン
パク質のサイズを、2つの組織からのタンパク質抽出物のウェスタンブロットに
おいて、ポリペプチドを検出するための抗体を用い、比較する。また発現レベル
および細胞小器官局在化を、対応するタンパク質に対する抗体を用いて免疫学的
に検出することもできる。宿主に由来するサンプル中の、本発明のポリペプチド
等のタンパク質のレベルを測定するために用いることができる他のアッセイ技術
は、当業者には周知である。罹患組織におけるポリペプチドの発現レベルが、正
常組織における同タンパク質の発現レベルと比較した場合に増加または低減して
いることは、その発現されるタンパク質が該疾患に関与している可能性があるこ
とを示す。
【0080】 本発明のアッセイにおいて、配列番号1または3に記載の少なくとも片方の配
列にコードされた遺伝子の遺伝子産物発現レベルを検出することにより、上記の
診断を下すことができる。また、正常組織に対する罹患組織のmRNAまたはタンパ
ク質レベルの比較は、疾患の進行または寛解を追跡観察するためにも用いる。
【0081】 サンプル中の多量のポリヌクレチド配列は、ポリヌクレオチドアレイを用いて
アッセイすることができる。これらは遺伝子の示差的発現を調べ、遺伝子機能を
特定するために用いることができる。例えば、配列番号1または3のポリヌクレ
オチド配列のアレイは、該ポリヌクレオチドが正常細胞と癌細胞との間で示差的
に発現することがある場合には、それを判別するのに用いることができる。本発
明の1つの実施形態においては、配列番号1または3のヌクレオチド配列または
それらの断片を含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを構築して、例えば遺
伝子突然変異体の効率的なスクローニングを行うことができる。アレイ技法は周
知であり、一般的な適用可能性があり、さらに、遺伝子発現、遺伝的連鎖、およ
び遺伝的多様性を含む分子遺伝学における様々な問題に取り組む上で用いること
ができる(例えばM.Cheeら, Science, 274巻、pp610-613(1996))。
【0082】 本発明で用いる「診断」とは、被験体の疾患への罹りやすさの判定、被験体が
現在該疾患を罹っているかどうかの判定、および該疾患を罹っている被験体の予
後判定を含む。
【0083】 本発明はさらに、 (a) 本発明のポリヌクレオチド(好ましくは、配列番号1もしくは3のヌクレ
オチド配列)もしくはその断片、 (b) (a) のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、 (c) 本発明のポリペプチド(好ましくは、配列番号2のポリペプチド)もしく
はその断片、または (d) 本発明のポリペプチド(好ましくは、配列番号2のポリペプチド)に対す
る抗体、 を含んでなる、診断アッセイを実施するための診断用キットに関する。
【0084】 また、本発明のヌクレオチド配列は染色体位置決定にも有用である。この配列
は個々のヒト染色体上の特定の位置を特異的にターゲッティングし、その特定位
置とハイブリダイズすることができる。本発明に従って関連配列をマッピングす
ることは、これらの配列と遺伝子関連疾患とを相関させるうえで重要な第一段階
である。ひとたび配列が正確な染色体位置にマップされたら、その染色体上のそ
の配列の物理的位置を遺伝的地図データと相関させることができる。この種のデ
ータは、例えば、V. McKusick, Mendelian Inheritance in Man (Johns Hopkins
University Welch Medical Library からオンラインで入手可能) 中に見いだせ
る。その後、同一の染色体領域にマップされた遺伝子と疾患との関係を連鎖解析
(物理的に隣接した遺伝子の共遺伝)により確認する。罹患個体と非罹患個体と
のcDNAまたはゲノム配列の差異も調べることができる。
【0085】 本発明のポリペプチド、その断片もしくは類似体、またはそれらを発現する細
胞は、本発明のポリペプチドに免疫特異的な抗体を生産するための免疫原として
も使用することができる。「免疫特異的」とは、その抗体が従来技術における他
の関連ポリペプチドに対するその親和性よりも本発明のポリペプチドに対して実
質的に高い親和性を示すことを意味する。
【0086】 さらなる態様において、本発明は本発明のポリペプチドまたはその免疫原性断
片(本明細書中上記にて定義したとおりである)に対して免疫特異的な抗体を提
供する。好ましくは、該抗体はモノクローナル抗体である。
【0087】 本発明のポリペプチドに対する抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(
好ましくはヒト以外の動物)に該ポリペプチドまたはエピトープを含む断片、類
似体もしくは細胞を投与することにより得られる。モノクローナル抗体の調製に
は、連続細胞系の培養物から抗体を産生させる任意の技法を用いることができる
。例を挙げると、ハイブリドーマ法 (Kohler, G.およびMilstein, C., Nature (
1975) 256:495-497)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法 (Kozborら,
Immunology Today (1983) 4:72) およびEBV−ハイブリドーマ法 (Coleら, Monoc
lonal Antibodies and Cancer Therapy, 77-96, Alan R. Liss, Inc., 1985) な
どがある。
【0088】 本発明のポリペプチドに対する一本鎖抗体を産生するために、米国特許第4,94
6,778号に記載されるような一本鎖抗体の調製法も適応することができる。また
、ヒト化抗体を発現させるために、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動
物を含む他の生物を利用することができる。
【0089】 前記の抗体を用いて、そのポリペプチドを発現するクローンを単離・同定した
り、アフィニティークロマトグラフィーでそのポリペプチドを精製することもで
きる。本発明の抗体はまた、癌(特に卵巣癌および大腸癌)、自己免疫疾患およ
び関連病態を予防または治療するためにも用いられ得る。
【0090】 本発明の更なる態様は哺乳動物において免疫学的応答を誘導またはモジュレー
トする方法に関するものであり、この方法は、特に前記疾患の症状もしくは進行
を防ぐかまたは改善するための抗体および/またはT細胞免疫応答を生ずるのに
十分な本発明のポリペプチドを哺乳動物に接種することを含んでなる。本発明の
さらに別の態様は、哺乳動物を前記疾患から防御する抗体を産生させるような免
疫学的応答を誘導するために、in vivo で本発明のポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドの発現を指令するベクターを介して該ポリペプチドを送達するこ
とを含んでなる、哺乳動物において免疫学的応答を誘導またはモジュレートする
方法に関する。
【0091】 それゆえ、本発明によって、CASB618ポリペプチド活性の存在、該活性の過剰
、または該活性の過少発現のいずれかと関連した、例えば癌および自己免疫疾患
、特に卵巣癌および大腸癌などの異常な状態を治療する方法が提供されることが
理解されるであろう。
【0092】 さらに本発明は、CASB618ポリペプチドの機能を刺激または抑制する化合物を
同定するための化合物のスクリーニング法を提供する。一般的には、前記疾患の
治療および予防目的のためにアゴニストまたはアンタゴニストが使用される。種
々の供給源、例えば、細胞、無細胞調製物、化学物質ライブラリーおよび天然産
物の混合物から化合物を同定することができる。このように同定されたアゴニス
ト、アンタゴニストまたはインヒビターは、場合により、該ポリペプチドの天然
のまたは修飾された基質、リガンド、受容体、酵素などであってよく、また、そ
の構造的または機能的なミメティックであってもよい(Coliganら, Current Pro
tocols in Immunology 1(2): Chapter 5 (1991)を参照のこと)。スクリーニン
グ法は当業者には公知であろう。さらなるスクリーニング法は、例えば D. Benn
ettら, J. Mol. Recognition, 8:52-58 (1995) およびK. Johansonら, J. Biol.
Chem., 270(16):9459-9471 (1995)ならびに本明細書中の引用文献にみられる。
【0093】 したがって本発明は、本発明のポリペプチドの機能を刺激または抑制する化合
物を同定するためのスクリーニング法であって、以下: (a) 候補化合物と、上記ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持してい
る細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、該候補化合物に
直接または間接的に結合させた標識により測定すること、 (b) 候補化合物と、上記ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持してい
る細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、標識競合物質の
存在下で測定すること、 (c) 候補化合物が上記ポリペプチドの活性化または抑制により生ずるシグナ
ルをもたらすか否かを、該ポリペプチドを担持している細胞または細胞膜に適し
た検出系を用いて調べること、 (d) 候補化合物と、請求項1に記載のポリペプチドを含有する溶液とを一緒
にして混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプチドの活性を測定して、該混合
物の活性をスタンダードと比較すること、または (e) 候補化合物が細胞における上記ポリペプチドをコードするmRNAおよび該
ポリペプチドの産生に及ぼす効果を例えばELISAアッセイを用いて検出すること
、 よりなる群から選択される方法を含んでなるスクリーニング法を提供する。
【0094】 膜に結合した受容体または可溶性の受容体が存在するのであれば、当業界で公
知の標準的な受容体結合法によりこの種の受容体を同定するために本発明のポリ
ペプチドを用いることができる。また周知のスクリーニング法を用いて、その受
容体への本発明のポリペプチドの結合に関して競合する、本発明のポリペプチド
のアゴニストまたはアンタゴニストを(もし存在するのであれば)同定すること
もできる。
【0095】 かくして、他の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドに対するアゴ
ニスト、アンタゴニスト、リガンド、受容体、基質、酵素など、またはこの種の
ポリペプチドの産生を低減または増加させる化合物を同定するためのスクリーニ
ングキットに関し、このキットは、 (a) 本発明のポリペプチド、 (b) 本発明のポリペプチドを発現している組換え細胞、 (c) 本発明のポリペプチドを発現している細胞膜、または (d) 本発明のポリペプチドに対する抗体、 を含んでなり、前記ポリペプチドは好ましくは配列番号2のポリペプチドである
。 当業者であれば、本発明のポリペプチドは、その構造に基づいて該ポリペプチ
ドのアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターを設計する方法にも使用で
きることが容易に理解されよう。この方法は、 (a) 最初に該ポリペプチドの三次元構造を解析し、 (b) アゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターの確実と思われる反応部
位または結合部位の三次元構造を想定し、 (c) 想定された反応部位または結合部位と結合または反応すると予想される候
補化合物を合成し、そして (d) その候補化合物が実際にアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビター
であるか否かを調べる、 ことを含んでなる。
【0096】 また、遺伝子治療を利用して、被験体の適切な細胞によりCASB618ポリペプチ
ドを内生的に産生させることもできる。遺伝子治療の概要については、Human Mo
lecular Genetics, T StrachanおよびA P Read, BIOS Scientific Publishers L
td(1996)中、20章 Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeu
tic Approaches(および本明細書で引用した引用文献)を参照のこと。
【0097】 ワクチン調製については、Pharmaceutical Biotechnology, Vol.61 Vaccine D
esign-the subunit and adjuvant approach(PowellおよびNewmanによる編集),
Plenurn Press, 1995; New Trends and Developments in Vaccines(Vollerら
による編集), University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A. 1978に
一般的に記載されている。リポソーム内へのカプセル化は、例えばFullerton,
米国特許第4,235,877号に記載されている。タンパク質の巨大分子へのコンジュ
ゲート化は、例えばLikhite,米国特許第4,372,945号、およびArmorら,米国特許
第4,474,757号により開示されている。
【0098】 各ワクチン用量中のタンパク質量は、典型的なワクチンにおいては、重大かつ
不利益な副作用を引き起こすことなく免疫防御応答を誘導する量として選択され
る。そのような量は、用いた特定の免疫原によって異なるであろう。一般的には
、各用量はタンパク質を1〜1000μg、好ましくは2〜100μg、最も好ましくは
4〜40μg含むことが期待される。特定のワクチンについての最適な量は、被験
体における抗体力価およびその他の応答の測定を伴う標準的研究により確定する
ことができる。最初のワクチン接種に引き続いて、被験体は約4週間の間に1回
の追加免疫を受けることもある。
【0099】 「単離された」とは、天然の状態から「人間の手によって」改変されたことを
意味する。「単離された」組成物または物質が天然に存在するのであれば、それ
はそのもとの環境から変化しているか分離されており、またはその両方である。
例えば、生存している動物の体内に自然界で存在するポリヌクレオチドまたはポ
リペプチドは「単離された」ものではないが、その天然状態の共存物質から分離
されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書中で用いられるように
、「単離された」ものである。
【0100】 「ポリヌクレオチド」とは、一般に任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデ
オキシリボヌクレオチドを指し、これは一本鎖および二本鎖の領域を含む、修飾
されていないRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであり得る。
【0101】 本明細書中で用いる「変異体」とは、基準のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドと異なるが、不可欠な性質を保持しているポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのことである。典型的なポリヌクレオチドの変異体は基準ポリヌクレオチド
とヌクレオチド配列の点で相違する。この変異体のヌクレオチド配列の変化は、
基準ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変更
しても、しなくてもよい。ヌクレオチドの変化は、以下で述べるように、基準配
列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸の置換、欠失、付加、融合および
末端切断(トランケーション)をもたらしうる。典型的なポリペプチドの変異体
は基準ポリペプチドとアミノ酸配列の点で相違する。一般的には、基準ポリペプ
チドの配列と変異体の配列が全般的によく類似しており、多くの領域で同一とな
るような相違に限られる。変異体と基準ポリペプチドは任意に組み合わせた1以
上の置換、欠失、付加によりアミノ酸配列が相違していてよい。置換または付加
されるアミノ酸残基は遺伝子コードによりコードされるものであっても、なくて
もよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は対立遺伝子変異体のよ
うに天然に存在するものでも、天然に存在することが知られていない変異体であ
ってもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの天然に存在しない変異体は
、突然変異誘発法または直接合成により作製することができる。
【0102】 当技術分野で知られる「同一性」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオ
チド配列の比較により決定された、2以上のかかる配列間の類縁性のことである
。当技術分野ではまた、「同一性」はポリペプチド配列またはポリヌクレオチド
配列の鎖間の一致度(match)により決定された、このような配列間の配列類縁性
の程度を意味する。「同一性」および「類似性」は公知の方法により難なく算出
することができ、こうした方法として、例えば Computational Molecular Biolo
gy, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing:
Informatics and Genome Projects, Smith, D.W. 編, Academic Press, New Yo
rk, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M. and
Griffin, H.G. 編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in M
olecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysi
s Primer, Gribskov, M. and Devereux, J. 編, M Stockton Press, New York,
1991; および Carillo, H. and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073
(1988) に記載された方法があるが、これらに限らない。同一性を決定するため
の好ましい方法は、検討する配列間で最大級のマッチングが得られるように設計
される。同一性および類似性を決定する方法は一般に入手可能なコンピュータプ
ログラムに編集されている。2配列間の同一性および類似性を決定するための好
ましいコンピュータプログラム法としては、GCGプログラムパッケージ (Deve
reux, J.ら, Nucleic Acids Research 12(1):387 (1984))、BLASTP、BL
ASTNおよびFASTA (Atschul, S.F.ら, J. Molec. Biol. 215:403-410 (
1990)) があるが、これらに限らない。BLAST XプログラムはNCBIおよ
び他のソースから一般に入手可能である (BLAST Manual, Altschul, S.ら, NCBI
NLM NIH Bethesda, MD 20894; Altschul, S.ら, J. Mol. Biol. 215: 403-410
(1990))。公知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性の決定に使用することが
できる。
【0103】 使用した好適なアルゴリズムはFASTAである。このアルゴリズムを用いた
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列比較のための好適なパラメーターは
、以下のものを含む: ギャップペナルティー:12 ギャップ伸長ペナルティー:4 ワードサイズ:2、最大6 ポリペプチド配列をその他の方法で比較するための好ましいパラメーターは次
のものを含む: 1)アルゴリズム:Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970) 比較マトリックス:BLOSSUM62 、Hentikoff and Hentikoff, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 89: 10915-10919 (1992) ギャップペナルティー:12 ギャップ長ペナルティー:4 これらのパラメーターを用いて有効なプログラムは Genetics Computer Group
(Madison WI)から「gap」プログラムとして一般に入手可能である。前記の
パラメーターはポリペプチド比較のためのデフォルトパラメーター(default par
ameter) である(末端ギャップのペナルティーは無し)。
【0104】 ポリヌクレオチド配列を比較するための好ましいパラメーターは次のものを含
む: 1)アルゴリズム:Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970); 比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0 ギャップペナルティー:50 ギャップ長ペナルティー:3 これらのパラメーターを用いて有用であるプログラムは Genetics Computer G
roup(Madison WI)から「gap」プログラムとして公に入手可能である。前記パ
ラメーターはポリヌクレオチド比較のためのデフォルトパラメーターである。
【0105】 例として、本発明のポリヌクレオチド配列は、配列番号1の基準配列と同一で
ある、すなわち基準配列に対して100%の同一性を有するか、または該基準配列
に対して、一定の整数個までのヌクレオチド変異を含んでいてもよい。そのよう
な変異は少なくとも1個のヌクレオチドの欠失、置換(トランジションおよびト
ランスバージョンを含む)または挿入よりなる群から選択され、こうした変異は
基準ヌクレオチド配列の 5'もしくは 3'末端位置、またはこれらの末端位置の間
のどこに存在してもよく、基準配列中のヌクレオチドの間に個々に、または基準
配列内に1以上の連続するグループとして散在する。ヌクレオチド変異の数は、
配列番号1のヌクレオチドの総数に、それぞれの同一性%値の絶対比率(100で
割った値)を掛け、その積を配列番号1のヌクレオチドの総数から差し引くこと
により、すなわち、次式: n ≦x −(x・y) により求めることができる。式中、nはヌクレオチド変異の数であり、x
配列番号1のヌクレオチドの総数であり、yは例えば70%については0.70、80%
については0.80、85%については0.85、90%については0.90、95%については0.
95などであり、さらにxとyの非整数の積は、その積をxから引く前に、最
も近似する整数に切り下げる。配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌク
レオチド配列の改変は、そのコード配列にナンセンス、ミスセンスまたはフレー
ムシフト突然変異を生じさせ、それにより、こうした変異後に該ポリヌクレオチ
ドによりコードされたポリペプチドを改変させることができる。
【0106】 同様に、本発明のポリペプチド配列は、配列番号2の基準配列と同一である、
すなわち基準配列に対して100%の同一性を有するか、または同一性%が100%未
満であるように基準配列に対して一定の整数個までのアミノ酸変異を含むことが
できる。このような変異は少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(保存的およ
び非保存的アミノ酸置換を含む)または挿入よりなる群から選択され、これらの
変異は基準ポリペプチド配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置、またはこれ
らの末端位置の間のどこに存在してもよく、基準配列中のアミノ酸の間に個々に
、または基準配列内に1以上の連続したグループとして散在する。アミノ酸変異
の数は、配列番号2中のアミノ酸の総数にそれぞれの(100で割った)同一性%
の絶対比率を掛け、その積を配列番号2中のアミノ酸の総数から引くことにより
、すなわち次式により求められる。
【0107】 na ≦xa −(xa・y) 式中、naはアミノ酸変異の数であり、xaは配列番号2中のアミノ酸の総数であ
り、yは例えば70%については0.70、80%については0.80、85%については0.85
等であり、さらにxaとyの非整数の積は、その積をxaから引く前に、最も近似
する整数に切り下げる。
【0108】 「相同体」とは、当技術分野において用いられる、被験配列に対し高度な配列
近縁性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指す総称用語である
。この類縁性は前述のように比較した配列間の同一性および/または類似性の程
度を決定することにより定量化することができる。別々の種における機能的に等
価なポリヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する「オーソログ体」、同じ種
内で考える場合に機能的に類似した配列を意味する「パラログ体」という用語は
、この総称用語の範囲に含まれるものである。
【0109】図面の説明 図1 図1は、対応する大腸の正常および腫瘍サンプルにおけるCASB618の発現レベ
ルを示す。値は相当するアクチンレベルで示す。Nは正常大腸、Tは大腸腫瘍を
示す。
【0110】図2 図2A、2B、2Cおよび2Dは正常組織におけるCASB618発現のリアルタイムPCRデー
タを示す。
【0111】 略号は以下の通りである。
【0112】 図2A:Co:大腸、Ce:子宮頚部、Bra:脳、Bo Ma:骨髄、Bl:膀胱、Ao:大動脈、Ad G
l:副腎 図2B:Ov:卵巣、Oe:食道、Ly No:リンパ節、Lu:肺、Li:肝臓、Ki:腎臓、Il:回腸
、He:心臓、Fa Tu:ファローピウス管 図2C:Sp:脾臓、Sm In:小腸、Sk Mu:骨格筋、Sk:皮膚、Re:直腸、Pr:前立腺、Pl
:胎盤、Pa Thy:上皮小体 図2D:Tr:気管、Thy:甲状腺、Te:精巣、St:胃、Spl:脾臓図3 図3は、抗NS1モノクローナル抗体によって示した、ナリジキシン酸により誘
導したものまたはしないものを含む大腸菌AR120/pRIT15081抽出物のSDS-PAGEゲ
ル(12.5%)を示す。レーン1は分子量マーカーであり、レーン2は3時間誘導
しない大腸菌AR120/pRIT15081、レーン3は3時間誘導した大腸菌AR120/pRIT150
81、レーン4は4時間30分誘導しない大腸菌AR120/pRIT15081、レーン5は4時
間30分誘導した大腸菌AR120/pRIT15081を示す。
【0113】図4 図4は精製CASB618のSDS-PAGEゲルを示す。レーン1および8は分子量マーカ
ー、レーン2は溶解した細胞ペレット、レーン3は未透析の精製タンパク質、レ
ーン4は精製し透析したタンパク質、レーン6は精製し0.22μmで透析したタン
パク質を示す。
【0114】実施例 実施例1 リアルタイムRT-PCR分析 リアルタイムRT-PCR(U.Gibson, 1996, Genome Research:6, 996)を用いて複数
の患者由来の対応する腫瘍および正常大腸組織における候補抗原のmRNA転写産物
存在度を比較する。さらに、正常組織のパネルにおける候補遺伝子のmRNAレベル
を、この手法により評価する。
【0115】 正常大腸および腫瘍大腸由来の総RNAをTriPure試薬(Boehringer)を用いて急速
凍結生検材料から抽出する。正常組織由来の総RNAは、InVitrogen社から購入す
るか、またはTriPure試薬(Boehringer)を用いて急速凍結生検材料から抽出する
。ポリ-A+ mRNAをオリゴ-dT磁気ビーズ(Dynal)を用いてDNAse処理後に総RNAから
精製する。mRNAの定量化は、分光蛍光分析(VersaFluor, BioRad)によってSybrII
染料(Molecular Probes)を用いて行う。リアルタイムPCR増幅用のプライマーは
、TaqMan増幅条件用のデフォルトオプションを用いてPerkin-Elmer Primer Expr
essソフトウェアで設計する。
【0116】 リアルタイム反応を、各反応について、標準PCRプロトコルにしたがって2ngの
精製mRNAを用いてアセンブルする。SybrI染料(Molecular Probes)をリアルタイ
ム検出のために1/75000の最終希釈度で加える。増幅(40サイクル)およびリアル
タイム検出は、Perkin-Elmer Biosystems社製 PE7700システムにて通常の機器設
定を用いて行う。Ct値はPE7700 Sequence Detectorソフトウェアを用いて計算す
る。各患者サンプルについて2つのCt値が得られる。すなわちそれは、腫瘍Ct(C
tT)および対応する正常大腸Ct(CtN)である。リアルタイムPCRによって得られるC
t値は標的鋳型のコピー数と対数直線的に関連している。一般的な実験条件下で
のPCR増幅の効率は理論的な増幅効率に近似しているので、2(CtN-CtT)は、2つ
の組織における相対的転写産物レベルの推定値(すなわち、腫瘍中のmRNA過剰発
現の倍率)である。リアルタイムPCR反応は23人の患者に由来する生検材料につい
て行う。いくつかの患者サンプルについては2回測定した。各患者について、mR
NAの過剰発現レベルを記載の通りに算出する。次いで、候補抗原のmRNA過剰発現
の平均レベル、および該候補抗原を過剰発現している患者の割合を、このデータ
セットから計算する。それぞれの値は同一サンプル中のアクチンに関して標準化
され(比率)、それは図1に示される。ここで値が1であることはアクチン発現
が同レベルであることに対応する。これらの結果は対数スケールで示している。
【0117】 また、28種の組織に対応する全部で81個の正常組織サンプルを、同じ手法で試
験した。候補抗原に関するCt値を、同じ組織サンプルから得たアクチンについて
のCt値と比較した。標準化した値を図2A〜Dに示す。
【0118】大腸癌/正常大腸サンプルにおけるリアルタイムPCRの結果 概要 結論:隣接した正常大腸と比較して高い割合の腫瘍でCASB618が過剰発現されて
いる。CASB618は、その他の正常組織では、具体的には1つの前立腺サンプルで
、わずかに発現されるだけである。
【0119】実施例2 DNAマイクロアレイ DNAマイクロアレイを用いて、複数サンプル中の遺伝子の大規模コレクション
のmRNA発現プロファイルを調べる。この情報をリアルタイムPCRによって得られ
るデータを補完するために用いて、腫瘍と正常組織における遺伝子発現レベルの
独立した測定を行う。
【0120】 DNAマイクロアレイを製造する現在の技術の例としては、1)フォトリソグラフ
ィー法を用いた固相化学合成法によりオリゴヌクレオチドをチップ表面上で合成
する、Affymetrix社の「GeneChip」アレイ、2)少量のDNA溶液を自動機械で注出
して、固相(例えばガラス)表面上に固定化する、DNAスポッティング技術、が
挙げられる。どちらの場合でも、チップは、目的とする組織(例えば正常組織、
腫瘍等)から抽出して放射活性によりまたは蛍光リポーター分子により標識した
cDNAまたはcRNAとハイブリダイズさせる。標識された物質を該チップとハイブリ
ダイズさせ、チップ上のそれぞれの配列に結合したプローブの量を特殊なスキャ
ナーを使用して測定する。該実験は1種類の蛍光リポーター(または放射活性)
を用いて設定することができるが、その代わりに2種類の蛍光リポーターを用い
て実施することもできる。その後者の場合、2つのサンプルのそれぞれをリポー
ター分子のうちの一方で標識する。次いで2つの標識されたサンプルをDNAチッ
プ上の配列に競合的にハイブリダイズさせる。2種類の蛍光シグナルの比率をチ
ップ上の各配列について決定する。この比率を用いて2つのサンプル中の転写産
物の相対的存在量を算出する。詳細なプロトコルは、「DNAマイクロアレイ:実
用的アプローチ(DNA Microarrays: A practical approach.)Schena M. Oxford
University Press 1999」およびワールドワイドウェブ(World Wide Web)(http
://cmgm.stanford.edu/pbrown/protocols/index.html、http://arrayit.com/DNA
-Microarray-Protocols/)ならびに専門の販売業者(例えばAffymetrix社)を含
む数多くの情報源から入手可能である。
【0121】実施例3 ESTプロファイル 実験的な抗原組織発現特性解析に対する補足的アプローチは、ヒトの「エクス
プレスド・シーケンス・タグ(EST)」データベースを調べることである。ESTは特
定の組織または細胞系列から抽出されたmRNAのコレクションから作製された小断
片のcDNAである。現在このようなデータベースは、様々な種類および状態の疾患
に由来する腫瘍性組織を含む、数百種のcDNA組織ライブラリーから得た大量のES
T(106)を提供している。組織発現をさらに理解するために、情報科学ツール(
Blast)を用いてCASB616配列の比較検索を行う。
【0122】 このように大腸癌ESTの割合が高いことは、大腸癌においてこの遺伝子が過剰
発現することを明確に示唆している。さらに、その他の腫瘍(膵臓、甲状腺)も
また、該遺伝子を発現している。
【0123】実施例4 ノーザン−サザンブロット分析 限られた量の混合した腫瘍cDNAおよび対応する正常大腸cDNAをAdvantage PCR
によって増幅する(上記参照)。また、複数の正常組織からのメッセンジャーRN
Aを、同じ手法を用いて増幅する。増幅したcDNA(1μg)を1.2%アガロースゲル
で電気泳動し、ナイロンメンブレンにトランスファーする。該メンブレンは、候
補TAA cDNAの断片を用いて調製したプローブとハイブリダイズさせる(AlkPhos
Direct System)。ノーザン−サザン分析は、腫瘍組織および正常組織における
転写物の大きさ、スプライス変異体の存在および転写物量についての情報を提供
する。
【0124】実施例5 ノーザンブロット分析 ノーザンブロットはポリA+mRNAを1μg用いて標準的プロトコールにしたがっ
て行う。放射性プローブはReady-to-Goシステム(Pharmacia)を用いて調製する
【0125】実施例6 完全長cDNA配列の同定 大腸腫瘍cDNAライブラリーをλZapIIシステム(Stratagene)を用いて5μgのポ
リA+ mRNAから構築する。SuperscriptII(Life Technologies)を逆転写ステップ
に用いる以外は提供されたプロトコルに従う。オリゴdTでプライムしたライブラ
リーおよびランダムプライムしたライブラリーを構築する。各ライブラリースク
リーニングに対して約1.5×106の独立したファージを平板培養する。ファージプ
ラークをナイロンフィルター上に移し、AlkPhos Directで標識したcDNAプローブ
を用いてハイブリダイズさせる。陽性ファージを化学発光により検出する。陽性
ファージを寒天平板から切り出し、500μlのSMバッファーで溶離し、遺伝子特異
的PCRにより確認する。溶離したファージをin vivo切り出しによって1本鎖M13バ
クテリオファージに変換する。次いで、該バクテリオファージを大腸菌(E.coli)
の感染によって2本鎖プラスミドDNAに変換する。感染した細菌を平板培養し、cD
NAプローブによるスクリーニングの第2ラウンドを行う。プラスミドDNAを陽性細
菌クローンから精製し、両方の鎖について配列決定する。
【0126】 完全長遺伝子をcDNAライブラリーから直接取得することができない場合、欠けて
いる配列はRACE技術(Marathon Kit, ClonTech.)を用いて単離される。この手法
は、mRNAを2本鎖cDNAに逆転写し、cDNAの末端にリンカーをライゲートし、遺伝
子特異的プライマーおよびリンカーオリゴヌクレオチドの一つを用いてcDNAの所
望の末端を増幅することに依拠する。Marathon PCR産物をプラスミド(pCRII-TOP
O, InVitrogen)にクローニングし、配列決定する。
【0127】 得られた配列(配列番号1)は、259個のアミノ酸からなる推定上のオープン
リーディングフレーム(配列番号2)を有する。推定上のタンパク質配列は、細
胞内局在化に関する予測アルゴリズム(PSORT: http://psort.nibb.ac.jp/およ
びTopPred: http://www.biokemi.su.se/〜server/toppred2/toppred source.htm
l)にかけた。4〜5つの膜貫通部分を有することが予測される。用いた2つの
方法の一方だけが、シグナル配列を予測した。予測された膜貫通部分の1つに重
複してロイシンジッパーモチーフの可能性のあるものが存在する。Nグリコシル
化部位の可能性があるものが3つ存在する。細胞小器官における局在化は不明で
あるが、細胞膜が最も可能性がある。
【0128】実施例7: 7.1 腫瘍特異的抗原の発現および精製 ワクチン用途のために本発明の抗原を産生させるため、そして天然発現のタン
パク質の免疫組織化学による特性評価に必要な抗体の迅速な精製および作製、ま
たは精製の追跡用のタンパク質断片またはタンパク質全体を産生させるために、
微生物宿主における発現、またはその代わりにin vitroでの転写/翻訳を用いる
【0129】 組換えタンパク質が2つの微生物宿主、大腸菌および酵母(Saccharomyces cer
evisiaeまたはPichia pastorisなど)において発現され得る。このことによって
、この特定の抗原産生にとって最良の特性を有する発現系の選択が可能である。
一般的に、組換え抗原は大腸菌で発現され、試薬タンパク質は酵母で発現される
【0130】 発現の戦略は、まず、組換え抗原の一次構造の設計を含む。一般に、抗原の免
疫原性特性をモジュレートするのに有用な領域、免疫融合パートナー(IFP)をも
含み得る発現融合パートナー(EFP)が、発現レベルを向上させるためにN末端に配
置される。加えて、さらに精製を促進するのに有用なアフィニティ融合パートナ
ー(AFP)がC-末端に含まれる。
【0131】 組換え株が入手可能な場合、組換え産物は、発現レベルの評価、および粗抽出
物中の反応の分析によるタンパク質のさらなる可溶性の予測によって特徴付けら
れる。
【0132】 適当な培地上で増殖させ、組換えタンパク質の発現を誘導した後、全抽出物を
SDS-PAGEで分析する。組換えタンパク質を、染色ゲルで視覚化し、特異的抗体を
用いてウェスタンブロット分析で同定する。
【0133】 種々のタイプの発現した抗原を比較評価することで、さらなる精製および免疫
学的評価に用いられることになる最も有望な候補の選別が可能になる。
【0134】大腸菌AR120における発現 後述の構築物は以下のようにして設計し作製した。N末端およびC末端を欠失し
ている遺伝子CASB618(Δ1-74;Δ247-320アミノ酸)を、N末端にIFP(インフル
エンザウイルスのNS1タンパク質のN末端の1〜81アミノ酸をコードするNS1 DNA配
列)、またC末端にヒスチジンテイルを付加して(配列番号4)、ベクターpMG81
(pr PL 長)中にクローニングした。
【0135】 得られたプラスミドをpRIT 15081と称する。ナリジキシン酸誘導性の宿主細胞
である大腸菌AR120を用いる。LB培地+カナマイシン中の大腸菌培養物3Lの誘
導は、ナリジキシン酸を最終濃度60ng/mlとなるように添加することによって行
った。この培養物は37℃で4時間30分インキュベートした。
【0136】 誘導した培養物を遠心分離した後に得られるペレットを60mlのPBSバッファー
に再懸濁した。この細胞を次にフレンチプレスを用いて溶解させた。続いてその
溶解液を16000gで20分間遠心分離した。本発明者らは、そのペレット中に発現さ
れた前記タンパク質を確認した(図3)。
【0137】 精製スキームは、組換えタンパク質におけるアフィニティHis末端の存在に基
づく古典的な手法に従う。典型的な実験では、破壊した細胞を濾過し、細胞抽出
物を、組換えタンパク質を特異的に保持するイオン金属アフィニティクロマトグ
ラフィー(Ion Metal Affinity Chromatography)(IMAC: Qiagen製のNi++NTA)にか
ける。保持されたタンパク質をリン酸バッファー中0〜500mMのイミダゾール勾配
(可能な限り界面活性剤の存在下)で溶出する。
【0138】 本精製スキームは以下に詳述する。
【0139】 最終濃度の算出値(1mg/ml)は、最終精製産物に対するLowryタンパク質分析
によって得られる(図4参照)。
【0140】in vitro転写/翻訳 CASB618遺伝子産物は、in vitroでの共役した転写/翻訳によって特徴付けさ
れた。クローンCASB618の完全長コード配列を、in vitro転写が可能なSP72ベク
ター(Promega)中にクローニングした。TNT T7結合型網状赤血球溶解液(Prome
ga カタログ番号 L4611)を用いた、S35メチオニンの取り込みを伴うin vitro発
現は、35Kdの産物を与えるが、この産物はイヌ膵臓性ミクロソーム膜(Promega
カタログ番号Y4041)の存在下で30kdに切り詰められる。この結果は、47個のア
ミノ酸からなるシグナルペプチドの予測の通りにシグナルペプチドがプロセシン
グされること、および前記タンパク質がin vivoで膜結合性であるかまたは分泌
されることを示唆している。これらの実験についてPromega社が推奨しているプ
ロトコールは以下の通りであった。
【0141】7.2 抗体産生および免疫組織化学 少量の比較的精製されたタンパク質を用いて、 a) 正常または癌組織切片における免疫組織化学による発現を検出するため、 b) 発現を検出し、精製プロセス中のタンパク質を追跡するため(ELISA/ウェスタ
ンブロット)、または c) 精製タンパク質を特性評価/定量するため(ELISA) に、免疫学的ツールを作成することができる。
【0142】7.2.1 ポリクローナル抗体: 免疫感作 2〜3羽のウサギを、アジュバント3D-MPL/QS21中で処方した100μgのタンパク
質にて、3週間間隔で3回筋内投与(I.M.)により免疫感作する。各免疫感作の3週
間後、血液サンプルを採取し、抗体力価を、標準プロトコルにしたがってコーテ
ィング抗原としてタンパク質を用いて血清中でELISAによって評価する。
【0143】ELISA 96ウェルマイクロプレート(maxisorb Nunc)を5μgのタンパク質で4℃にて一晩
かけて被覆する。PBS NCS1%で37℃にて1時間飽和させた後、ウサギ血清の連続希
釈液を37℃で1時間30分かけて加える(1/10から出発)。PBS Tween中で3回洗浄し
た後、抗ウサギビオチニル化抗血清(Amersham)を加える(1//5000)。プレートを
洗浄し、ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(1/5000)を37℃で30分かけて
加える。洗浄後、50μlのTMB(BioRad)を7分かけて加え、次いで反応を0.2MのH2S
O4で停止させる。ODを450nmで測定し、SoftmaxProで中点希釈度を計算し得る。
【0144】7.2.2 モノクローナル抗体 免疫感作 5匹のBALB/cマウスを5μgの精製タンパク質にて3週間間隔で3回免疫感作する
。II後14日目、3後1週間目にブリージングを行う。この血清を、被覆抗原として
用いられる精製タンパク質についてElisaによって試験する。これらの結果(中点
希釈度>10000)に基づいて、融合のために1匹のマウスを選別する。
【0145】融合/HAT選別 標準プロトコルにしたがってPEG40%およびDMSO5%を用いて、脾臓細胞をSP2/0
骨髄腫と融合する。次いで、細胞を96ウェルプレートに2.5×104〜105細胞/ウェ
ルで接種して、耐性クローンをHAT培地中で選択する。これらのハイブリドーマ
の上清を特異的抗体のその含量について試験し、陽性の場合、限界希釈法を2サ
イクル行う。スクリーニングを2ラウンド行った後、3種のハイブリドーマを腹水
(ascitis)産生用に選択する。
【0146】7.2.3 免疫組織化学 抗体が入手可能な場合、 ・正常組織に対する癌における本発明の抗原の発現のレベル、または ・その抗原を発現している一定のタイプの癌の割合、 ・その他の癌のタイプもその抗原を発現するかどうか、 ・癌組織においてその抗原を発現している細胞の割合、 を測定するために、免疫染色を正常または癌組織切片で行う。
【0147】組織サンプル調製 切開後、組織サンプルをOCT化合物中でコルクディスク上にのせ、液体窒素(-1
60℃)中で予め過冷却したイソペンタン中で急速に凍結させる。次いで、ブロッ
クを使用するまで-70℃で保存する。7〜10μmの切片はクライオスタットチャン
バー(-20、-30℃)中で作製される。
【0148】染色 組織切片を室温(RT)で5分間乾燥し、アセトン中にRTにて10分間固定し、再び
乾燥し、PBS0.5%BSA5%血清で飽和する。RTで30分間置いた後、直接または間接染
色を抗原特異的抗体を用いて行う。直接染色は良好な特異性をもたらすが、染色
の強さは小さく、一方間接染色は染色の強さは大きいが染色の特異性が低い。
【0149】7.3 本発明の抗原に対するヒト細胞性免疫反応の分析 本発明の抗原の免疫学的な適切性はヒトT細胞のin vitro初回抗原刺激によっ
て評価することができる。全てのT細胞リンパ球系および樹状細胞を健康なドナ
ーのPBMC(末梢血単核細胞)(好ましくはHLA-A2サブタイプ)から誘導する。またHL
A-A2.1/KbトランスジェニックマウスをHLA-A2.1ペプチドのスクリーニングに用
いる。
【0150】 新たに発見された抗原特異的CD8+ T細胞系を週1回のin vitro刺激により生じ
させ、維持する。抗原または抗原由来のペプチドに応答したCD8系のγ-IFN産生
および溶菌活性を標準方法で試験する。
【0151】 CD8+ T細胞系を生じさせるために2つのストラテジー、すなわちペプチドに基
づく手法と全遺伝子に基づく手法が用いられる。両手法には、適当な送達システ
ム中にクローニングするか、またはHLA結合ペプチドの配列を予測するのに用い
られる、正確なリーディングフレームでの新たに発見された抗原の全長cDNAが必
要である。
【0152】ペプチドに基づく手法 HLA-A2結合ペプチド配列を、Parker'sアルゴリズム(Parker,K.C., M.A.Bedna
rek およびJ.E.Coligan 1994 Scheme for ranking potential HLA-A2 binding p
eptides based on independent binding of individual peptide side-chains.
J. Immunol. 152:163 ならびにhttp://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla bind/)
またはRammensee法(Rammensee, Friede, Stevanovic, MHC ligands and peptid
e motifs: 1st listing, Immunogenetics 41, 178-228, 1995; Rammensee, Bach
mann, Stevanovic: MHC ligands and peptide motifs. Landes Bioscience 1997
およびhttp://134.2.96.221/scripts/hlaserver.dll/home.htm)のいずれかを
用いて予測する。次いで、ペプチドをHLA-A2.1/Kbトランスジェニックマウスモ
デル(Vitielloら)でスクリーニングする。予測を行う上で用いた配列はEPHB2vで
あるが、それはC末端配列付加により伸長しているEPHB2と同一だからである。
【0153】 a) 予測されたエピトープ結合HLA A0201対立遺伝子: 簡単に述べると、トランスジェニックマウスをアジュバントを加えたHLA-A2ペ
プチドで免疫感作し、CD8応答(ペプチドでパルスした自己脾臓細胞の効率的な溶
解により定義される)を誘導できないものをヒト系においてさらに分析する。
【0154】 ヒト樹状細胞(Romaniらにしたがって培養したもの)をペプチドでパルスし、(F
acsにより)CD8で選別したT細胞を刺激するのに用いる。週1回の刺激を数回行っ
た後、CD8系をまずペプチドパルス化自己BLCL(EBV-B形質転換細胞系)にて試験す
る。ペプチドの適正なin vivoプロセシングを確認するために、CD8系をcDNAトラ
ンスフェクト腫瘍細胞(HLA-A2トランスフェクトLnCaP、Skov3またはCAMA腫瘍細
胞)にて試験する。
【0155】全遺伝子に基づく手法 CD8+ T細胞系を、遺伝子銃でトランスフェクトした樹状細胞、レトロウイルス
により形質導入されたB7.1-トランスフェクト線維芽細胞、組換えポックスウイ
ルス(Kimら)またはアデノウイルス(Butterfieldら)を感染させた樹状細胞のいず
れかで抗原刺激する。ウイルス感染細胞は、抗原が高レベルで発現されるので抗
原ペプチドを提示するのに非常に効率的であるが、ウイルスT細胞系の過剰増殖
を回避するために1回使用できるにすぎない。
【0156】 交互に刺激した後、CD8+系を上記のようなcDNAトランスフェクト腫瘍細胞にて
試験する。ペプチドの特異性および同一性を決定して免疫学的な有効性を確認す
る。
【0157】参考文献 Vitielloら(L.Sherman), J. Exp. Med., J. Exp. Med., 1991, 173:1007-1015。
【0158】 Romaniら, J. Exp. Med., 1994, 180:93-93。
【0159】 Kimら, J. Immunother., 1997, 20:276-286。
【0160】 Butterfieldら, J. Immunol., 1998, 161:5607-5613。
【0161】 本明細書に引用された全ての刊行物、例えば限定するものではないが、特許お
よび特許出願などは、それぞれの刊行物が、あたかも完全に記載されているかの
如く参照により本明細書に組み入れるものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、対応する大腸の正常および腫瘍サンプルにおけるCASB618の発現レベ
ルを示す。値は相当するアクチンレベルで示す。Nは正常大腸、Tは大腸腫瘍を
示す。
【図2】 図2A、2B、2Cおよび2Dは正常組織におけるCASB618発現のリアルタイムPCRデー
タを示す。
【図3】 図3は、抗NS1モノクローナル抗体によって示した、ナリジキシン酸により誘
導したものまたはしないものを含む大腸菌AR120/pRIT15081抽出物のSDS-PAGEゲ
ル(12.5%)を示す。
【図4】 図4は精製CASB618のSDS-PAGEゲルを示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 39/395 N 4C084 T 4C085 U 4C087 45/00 4H045 48/00 45/00 A61P 35/00 48/00 37/02 A61P 35/00 37/08 37/02 C07K 14/47 37/08 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/02 33/50 Z 1/68 33/68 G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 カサルト,ジャン−ポル ベルギー国 リキセンザール ビ−1330 ル−デ ランスティテュート 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (72)発明者 コキュ,シェリー ベルギー国 リキセンザール ビ−1330 ル−デ ランスティテュート 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (72)発明者 ヴィナルスィ デ バッソルス,カルロタ ベルギー国 リキセンザール ビ−1330 ル−デ ランスティテュート 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB20 BB41 CB01 DA13 DA36 FB02 FB12 4B024 AA01 AA12 BA36 CA04 CA07 CA09 CA20 DA06 EA04 GA11 HA03 HA11 HA13 HA14 HA17 4B063 QA01 QA05 QA13 QA19 QQ79 QR08 QR32 QR35 QR40 QR42 QR56 QR62 QR77 QR80 QR82 QS16 QS25 QS33 QS34 QX02 QX10 4B064 AG31 CA02 CA19 CC01 CC24 CD30 CE12 DA01 DA13 4B065 AA26X AA58X AA72X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 BB01 BC03 BD14 CA24 CA45 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA02 BA08 BA23 CA53 CA56 DA01 DA27 NA14 ZB072 ZB262 4C085 AA03 AA13 AA14 BB01 BB11 CC01 CC02 CC23 DD62 DD63 EE01 EE06 FF12 4C087 AA01 AA02 BB64 BB65 BC30 BC83 NA05 NA14 ZB07 ZB08 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA75 DA76 DA86 EA28 EA50 FA71 FA72 FA74 GA26

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列に対
    して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、単離された
    ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 アミノ酸配列が配列番号2に対して少なくとも95%の同一
    性を有するものである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項1に記載のポリペプ
    チド。
  4. 【請求項4】 配列番号2の単離されたポリペプチド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドの免疫原
    性断片を含んでなるポリペプチドであって、該免疫原性断片の免疫原活性が配列
    番号2のポリペプチドのものと実質的に同一である、上記ポリペプチド。
  6. 【請求項6】 ポリペプチドがより大きな融合タンパク質の一部である、請
    求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 担体タンパク質に化学的に結合された、請求項1〜6のいず
    れか1項に記載のポリペプチド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドをコード
    する、単離されたポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列に対
    して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド
    配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド、または単離された該ポリヌクレ
    オチドに相補的なヌクレオチド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 コード領域全体にわたって配列番号2のポリペプチドをコ
    ードするヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオ
    チド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド、または単離された該ポリヌ
    クレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチ
    ド。
  11. 【請求項11】 配列番号1の全長にわたって配列番号1のヌクレオチド配
    列に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単
    離されたポリヌクレオチド、または単離された該ポリヌクレオチドに相補的なヌ
    クレオチド配列を含んでなる単離されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 前記同一性が少なくとも95%である、請求項8〜11の
    いずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 以下の(a)〜(c)から選択される単離されたポリヌクレオチ
    ド: (a) 配列番号2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる
    ポリヌクレオチド; (b) 配列番号1のポリヌクレオチド;および (c) ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1の配
    列もしくはその断片を有する標識プローブを用いて適当なライブラリーをスクリ
    ーニングすることによって得られるポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオ
    チドが配列番号2のタンパク質に類似した免疫原特性を有するタンパク質をコー
    ドしている該ポリヌクレオチド; または単離された該ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列。
  14. 【請求項14】 請求項8〜13のいずれか1項に記載の単離されたポリヌ
    クレオチドを含む、発現ベクターまたは組換え生存微生物。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の発現ベクターまたは請求項8〜13の
    いずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の宿主細胞を、請求項1〜7のいずれか
    1項に記載のポリペプチドを産生させるのに十分な条件下で培養し、その培養培
    地から該ポリペプチドを回収することを含む、前記ポリペプチドの製造方法。
  17. 【請求項17】 有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチ
    ドおよび製薬上許容される担体を含むワクチン。
  18. 【請求項18】 有効量の請求項8〜13のいずれか1項に記載のポリヌク
    レオチドおよび製薬上許容される担体を含むワクチン。
  19. 【請求項19】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドをin v
    itroで加えることにより改変したか、または請求項1〜7のいずれか1項に記載
    のポリペプチドを発現するようにin vitroで遺伝的に改変した、有効量の抗原提
    示細胞、および製薬上許容される担体を含むワクチン。
  20. 【請求項20】 TH-1誘導アジュバントをさらに含む、請求項17〜19の
    いずれか1項に記載のワクチン。
  21. 【請求項21】 TH-1誘導アジュバントが、3D-MPL、QS21、QS21とコレステ
    ロールの混合物、およびCpGオリゴヌクレオチドを含むアジュバントの群から選
    択される、請求項20に記載のワクチン。
  22. 【請求項22】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは
    免疫原性断片に対して免疫特異的な抗体。
  23. 【請求項23】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドの機能
    を刺激または抑制する化合物を同定するためのスクリーニング法であって、 (a) 候補化合物と、上記ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持してい
    る細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質との結合を、該候補化合物に
    直接または間接的に結合させた標識により測定すること、 (b) 候補化合物と、上記ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持してい
    る細胞もしくはその膜)またはその融合タンパク質と、の結合を、標識競合物質
    の存在下で測定すること、 (c) 候補化合物が上記ポリペプチドの活性化または抑制により生ずるシグナ
    ルをもたらすか否かを、該ポリペプチドを担持している細胞または細胞膜に適し
    た検出系を用いて調べること、 (d) 候補化合物と、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドを含
    有する溶液とを一緒にして混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプチドの活性
    を測定して、該混合物の活性をスタンダードと比較すること、または (e) 候補化合物が細胞における上記ポリペプチドをコードするmRNAおよび該
    ポリペプチドの産生に及ぼす効果を例えばELISAアッセイを用いて検出すること
    、 よりなる群から選択される方法を含んでなるスクリーニング法。
  24. 【請求項24】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは
    請求項8〜13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを哺乳動物の免疫系に
    由来する細胞と共にin vitroでインキュベートすることにより、請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の分子に対する免疫応答をin vitroで誘導すること、および
    それらの活性化免疫細胞を疾病の治療のために該哺乳動物に再注入することを含
    む、免疫学的予防または治療による被験体の処置方法。
  25. 【請求項25】 前記処置が卵巣癌または大腸癌に対するものである、請求
    項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドに対す
    るアゴニストまたはアンタゴニスト。
  27. 【請求項27】 治療上使用するための、以下の(a)〜(c)のいずれかである
    化合物: (a) 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドに対するアゴニスト
    またはアンタゴニスト; (b) 請求項8〜13のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド;
    または (c) 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリぺプチドをコードするヌクレ
    オチド配列の発現をモジュレートする核酸分子。
  28. 【請求項28】 被験体から得られたサンプル中の請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のポリペプチドの存在または量を分析することを含む、該被験体にお
    ける該ポリペプチドの発現または活性に関連した該被験体の疾病または該疾病へ
    の罹りやすさを診断する方法。
  29. 【請求項29】 被験体から得られたサンプル中の請求項8〜13のいずれ
    か1項に記載のポリヌクレオチドの存在または量を分析することを含む、該被験
    体における該ポリヌクレオチドの発現または活性に関連した該被験体の疾病また
    は該疾病への罹りやすさを診断する方法。
  30. 【請求項30】 被験体から得られたサンプル中の請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のポリペプチドの存在または量を分析することを含む、該被験体にお
    ける該ポリペプチドの発現または活性に関連した該被験体の大腸癌の存在または
    大腸癌への罹りやすさを診断する方法。
  31. 【請求項31】 被験体から得られたサンプル中の請求項8〜13のいずれ
    か1項に記載のポリヌクレオチドの存在または量を分析することを含む、該被験
    体における該ポリヌクレオチドの発現または活性に関連した該被験体の大腸癌の
    存在または大腸癌への罹りやすさを診断する方法。
  32. 【請求項32】 以下の(a)〜(c)からなる群から選択される単離されたポリ
    ヌクレオチド: (a) 配列番号3の全長にわたって配列番号3のヌクレオチド配列に対して少
    なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる単離されたポリ
    ヌクレオチド; (b) 配列番号3のポリヌクレオチドを含んでなる単離されたポリヌクレオチ
    ド; (c) 配列番号3のポリヌクレオチド。
  33. 【請求項33】 請求項14に記載の発現ベクターまたは組換え生存微生物
    を含む生ワクチン組成物。
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