JP2000505414A - シーリングガラス懸濁液 - Google Patents

シーリングガラス懸濁液

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Abstract

(57)【要約】 セルロース系高分子の水溶液であるビヒクルおよびシーリングガラスフリットからなるシーリングガラス材料、並びにこのシーリングガラス材料を調製する方法が記載されている。

Description

【発明の詳細な説明】 シーリングガラス懸濁液 発明の分野 本発明は、揮発性有機化合物を含まないビヒクル中のシーリングガラスフリッ トの懸濁液に関するものである。 発明の背景 融着シールにより金属、ガラスおよびセラミックの部材を接合するのに、比較 的低温で溶融するガラスが長い間用いられている。最初は、そのようなシールは 天然でガラス質であった。鉛ガラス、特に鉛亜鉛ホウ酸塩が通常用いられていた 。 そのようなガラスを、熱処理によって制御された方法で結晶化できることが発 見されたために、シーリング業界に革命が起こった。これは、低融点ガラスの長 所を結晶状態における強力なシールと組み合わせたものであった。 ごく最近、スズ、亜鉛、および酸化リンから実質的になる非鉛ガラスが、従来 の鉛亜鉛ホウ酸塩ガラスの代替物として提案されている。米国特許第5,246,890 号(Aitken等)には、そのようなリン酸塩ガラスの実施例が開示されている。 そのようなシーリングガラスによりシールを形成する際に、ガラスフリットと して知られている粒子形態でガラスを使用することが慣習となっている。ガラス フリットを、ビヒクルおよび結合剤と混合すると、懸濁液、またはペーストが形 成される。この混合物は、例えば、押出しによりシーリング表面に施される。 数多くの有機ビヒクルおよび結合剤が提案されている。陰極線管の大量生産に は、ニトロセルロースおよび酢酸アミルの組合せが通常用いられている。 数多くの有機ビヒクルおよび結合剤が提案されている。陰極線管の大量生産に は、ニトロセルロースおよび酢酸アミルの組合せが通常用いられている。 最近、環境について関心が持たれ、可能な場合には、揮発性有機化合物(VO C)を使用しないことが望ましくなってきた。その関心の重要な分野は、LCD パネル、陰極線管、および照明製品のような種々の用途に用いられているシーリ ングガラスペーストである。 本発明の目的は、ペースト分散性、シール強度、電気的特性、およびシール中 の気密性に関する現在の加工仕様を満たしながら、揮発性有機化合物を使用しな いシーリングガラス懸濁液を提供することにある。さらなる目的は、滑らかなコ ンシステンシーを有するそのような懸濁液を提供することにある。別の目的は、 流動が良好であり、施すのが容易な流動学的特性を有するシーリングガラス材料 を提供することにある。さらなる別の目的は、焼成してシールを形成したときに 電気的特性が許容されるシーリングガラス材料を提供することにある。 本発明を検討する際に、揮発性有機化合物と非揮発性有機化合物とを区別する 必要がある。前者は、周囲温度でまたはその近辺で特徴的に気化し、したがって 、気体状の有機形態で大気に加わる。 後者は、許容されるものであるが、有機形態では気化しない。むしろ、気化す る唯一の材料は水である。 発明の概要 本発明は、揮発性有機化合物を含まず、シーリングガラスフリットおよびセル ロース系高分子の水溶液からなるシーリングガラス材料にある。 本発明はさらに、シーリングガラス材料の焼成生成物である融着ガラスシール にある。 図面の簡単な説明 添付した図面の一つの図は、本発明の材料の特徴を示すグラフである。 従来の技術 関連する可能性のある文献が、別々に列記され、提供されている。 発明の記載 本発明は、融着シーリング材料の製造において揮発性有機物質を必要なくすた めの努力から生じたものである。どのような代替物も必ず、現在利用されている ガラスフリットとの相溶性を有さなければならないことが認識されていた。さら に、その材料を現在の方法および装置に適用するためには、同等の流動学的特性 を維持する必要がある。 この所望の目的は、水溶性のセルロース系結合剤を溶媒としてのメタノールま たは水とともに使用することによって達成できることが分かった。どのような可 溶性セルロース系結合剤を用いてもよいが、アルファメタルス(AMV)より提 供される側鎖官能タイプを研究の対象とした。この材料は、溶媒としての水の中 に分散した約1.25%の高分子固体を含有している。 シーリングペーストは、低融点ガラスフリットを水性セルロース系ビヒクルに 加えることにより容易に調製される。「低融点」ガラスフリットは、この業界に おいて、軟化して、シーリング表面を濡らし、それにより約400-450℃のシーリ ング温度でシールを形成する中温シーリングガラスを意味するものとして理解さ れている。このガラスは、約400-450℃の軟化点を有している。 広く酸化亜鉛を含有するホウケイ酸鉛ガラスを中心とする産業用途が成長して いる。このようなガラスは、70-80%のPbO、10-14%のZnO、6-12%のB2 3、0-3%のSiO2および0-3%のBaOから実質的になっていてもよい。ある 典型的なガラスは、コーニング社から市販されている、約75%のPbO、約12% のZnO、約9%のB23、約2%のSiO2および約2%のBaOからなる組 成を有しているコード7590のガラスである。 最近、非鉛ガラスが提案されている。SnO−ZnO−P25群のガラスが、 例えば、前述したAitken等の特許に開示されている。これらのガラスは、鉛を含 んでおらず、25-50モル%のP2並びにSnO:ZnOのモル比が1:1から 5:1までの範囲になるような量でSnOおよびZnOを含有する組成を有して いる。これらのガラスはさらに、5モル%までのSiO2、20モル%のB23、 5モル%までのアルカリ土類金属酸化物、および5モル%までのAl23を含む 20モル%までの改質酸化物を含有し、また、1から5モル%までのジルコンおよ び/または酸化ジルコニウムおよび1-15モル%のR2Oから選択される一種類以 上の結晶化促進剤並びに5モル%までのWO3、5モル%までのMoO3、0.10モ ル%までのAg金属およびこれらの混合物から選択されるシール付着力促進剤も 含有している。 本発明は、ホウケイ酸鉛ガラスに使用するために開発されたものである。しか しながら、本発明はまた、Aitken等の特許に開示されているガラスのような非鉛 ガラスに使用するのに効果的であることも示された。 ペーストは、ガラスフリットをビヒクルに加えることにより容易に調製するこ とができる。このフリットは、ホバート(Hobart)シェーカー内で混合することに よりビヒクル中に分散させてもよいが、高速ミキサーを用いてより滑らかなペー ストを形成してもよい。ガラスフリット対ビヒクルの比率は、6:1から10:1 までの間で変えられ、混合後には滑らかなペーストが得られる。 次に、このペーストをシーリング表面に施すために必要な流動学的特性を考慮 する必要がある。CRTパネルの縁のような狭い表面に施すために、通常、この ペーストを小さな開口部に通して押し出している。このペーストを、オリフィス 、シリンジ、または自動ディスペンサに通して圧力適用してもよい。 ペーストの流動学的特性、すなわち、施すという目的のための粘度または流動 特性を、レオメトリクスダイナミック分析器を用いて測定する。これは、プレー トの一方が振動させられている平行プレート機構である。材料の試料をプレート の間に配置して、振動速度を増大させて粘度を測定する。 添付した図面の一つの図は、ダイナミック分析器について行われた粘度測定を 示すグラフである。粘度が、縦軸にlogポアズでプロットされており、振動周 波数がラジアン/秒(ラジアン/s)で横軸にプロットされている。 曲線Aは、6部のコード7590のガラスを、受け入れたままの1部のセルロース 系ビヒクルと混合することにより調製されたペーストのレオロジーを示している 。このペーストは最初に値が大きいことが分かる。これは、剪断応力が施される につれて減少し、したがって、より薄く、より流動性のあるペーストであること を示している。酢酸アミル中に溶解したニトロセルロースのビヒクル中にガラス フリットが分散している現在市販されているペーストについても、同様に測定が 行われた。この曲線は実質的に曲線Aよりも低く、したがって、異なる粘度特性 を示した。曲線Aの材料を、現在市販されている材料に用いられている慣例を用 いて適切に施すことはできないことが明白である。 このことによって、ペーストをある方法で改質して、この適用の慣例に適合さ せる必要が生じた。最初に、ビヒクルをさらに加えることにより、ペーストを希 釈する試みを行った。このビヒクルの添加には、著しい効果が見られなかった。 曲線Aとして示されている曲線に対応する、レオロジー曲線を改良材料について 得た。 さらなる研究により、曲線Aのペーストのレオロジー曲線を所望のように低下 させられることが示された。驚くべきことに、これは、このビヒクルをメタノー ルまたは水のような溶媒で予め希釈することにより達成される。実際には、これ によって、ビヒクル中の高分子固体の比率が1:100未満に減少する。溶媒の量 を倍にすることにより、高分子固体がビヒクルの約0.6%まで減少するが、本発 明のペーストのレオロジーに近いレオロジーを有するペーストが製造されること が分かった。 曲線Cは、水で希釈されたビヒクルにより調製されたペーストについての測定 に基づくものである。ビヒクル中の溶媒の量は、ビヒクルがセルロース系高分子 の形態にある0.6%の固体を含有するように二倍にされた。この希釈ビヒクルに より調製されたペーストは、6部のコード7590のガラスおよび1部の希釈ビヒク ルからなるものであった。ビヒクルが水ではなくメタノールで希釈された、対応 する混合物により、曲線Cと形状が似ているが、やや高い曲線が得られた。曲線 Dは、1部のビヒクルに対して10部のガラスフリットを含有するペーストに基づ くものである。この場合、ビヒクルは、メタノールにより希釈されて、ビヒクル 中に0.6%の高分子固体が得られている。 融着シールを製造する際のさらに考慮すべき点は、焼成されたシールの色であ る。濃い色は、還元鉛が存在する可能性のあることを示している。その結果、黄 色またはオレンジ色が望ましいと考えられ、こられの色を定性工程対照として用 いてもよい。 6:1のフリットービヒクル比を有するペーストを焼成した場合、シールの色 は、単調なオリーブ色であった。電気的試験により、特性が許容されることが示 された。それにもかかわらず、シールの色を改良することにより、不安を和らげ る必要があるように思われた。 フリット−ビヒクル比が大きくなることによって色が改良されることが分かっ た。また、様々な酸化体を少量加えて、色を改良しても差し支えない。このよう な酸化体としては、過酸化物、過硫酸塩、および硫酸塩が挙げられる。過硫酸カ リウムを使用することが好ましい。 ガラスフリットを加える前に、ゲル化剤をビヒクルに加えることにより、ぺー ストのレオロジーをさらに調節できることが分かった。特に、このことによって 、材料に低剪断応力でより高い粘度を有するように改変できる一方で、まだ、よ り高い剪断応力で非常に低い粘度まで薄めることができる。このことは、ペース トが、シーリング表面に配置された後に流動しない、またはしたたらないように 急速にこのペーストを硬化させる一方で、ペーストを容易に施せるので非常に望 ましい。このように、本発明のペーストのレオロジーは、現在の実施様式に密接 に適合するように調節することができる。 粘土ゲル化剤を含有する材料を以下の様式で調製した。受け入れたままの100 グラムのビヒクルを100グラムの水で希釈した。次いで、この希釈したビヒクル に、7.7グラムの粘土型レオロジー改質剤を加えた。この改質剤は、Bentone LT. の名称でレオックス社(Rheox,Inc.)より入手できる。次いで、混合物を38℃で 加熱し、約90分間に亘り高速分散器により混合して、均質なプレゲルブレンドを 製造した。 次いで、14.28グラムのプレゲルを36.26グラムの希釈したビヒクルに加えるこ とにより、シーリングペーストを調製した。これを約20分間に亘り急速に撹拌し た。次いで、この混合物に500グラムのコード7590のフリットを少量ずつ加えた 。フリットの添加後に、混合物を、シーリング目的に使用するのに先だって、ク リーム状のコンシステンシーとなるまで撹拌した。 一連の試験を行って、非鉛SnO−ZnO−P25ガラスフリットとともに本 発明の効力を決定した。モル基準で、31.5%のP25、1.5%のB23、14.6% のZnO、51.2%のSnOおよび0.7%のAl23および0.5%のWO3からなる 組成を有するガラスを選択した。各々が74グラムのガラスフリット、6グラムの アルミナおよび20グラムのジルコンからなる四つのブレンドを調製した。このバ ッチのうちの二つを、受け入れたままのセルロースビヒクルと混合してペースト を形成した。フリット:ビヒクル比は、一方の混合物では4.8:1であり、他方 の混合物では6.7:1であった。他の二つのブレンド各々を、水により1:1に 希釈されたビヒクルと混合してペーストを形成した。各々のペーストにおいて、 フリット:ビヒクル比は4.8:1であった。 このように製造した四つのペーストのレオロジー特性を、上述したようにレオ メトリクスダイナミック分析器を用いて分析した。受け入れたままのビヒクルを 含有する二つのペーストにより、図面の曲線Aにより示される粘度曲線に匹敵す る粘度曲線が形成された。希釈したビヒクルにより調製された他の二つのペース トにより、図面の曲線CおよびDとして示される粘度曲線に匹敵する粘度曲線が 形成された。このことにより、本発明の利点は、従来のホウ酸鉛フリットおよび 新しい非鉛フリットの両方に得られることが示された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 モレナ,ロバート アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14830 キャトン ブラウンタウン ロード 438 (72)発明者 スミス,フランセス エム アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14901 エルミラ リンカーン ストリート 970 (72)発明者 ウ,ラン―ミン アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14845 ホースヘッズ オーヴァールック ドラ イヴ 162

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 揮発性有機化合物を含まないビヒクル中のシーリングガラスフリットの懸 濁液からなるシーリングガラス材料であって、該ビヒクルが、水またはメタノー ル中の水溶性セルロース系高分子の溶液であることを特徴とするシーリングガラ ス材料。 2. 前記ガラスフリットがホウケイ酸鉛であることを特徴とする請求の範囲第 1項記載のシーリングガラス材料。 3. 前記ガラスフリットが、重量パーセントで表した、酸化物基準のバッチか ら計算された、70-80%のPbO、10-14%のZnO、6-12%のB23、0-3%の SiO2および0-3%のBaOから実質的になることを特徴とする請求の範囲第1 項記載のシーリングガラス材料。 4. 前記ガラスフリットが、75%のPbO、12%のZnO、9%のB23、2 %のSiO2および2%のBaOから実質的になることを特徴とする請求の範囲 第3項記載のシーリングガラス材料。 5. 前記ガラスフリットが非鉛SnO−ZnO−P25ガラスであることを特 徴とする請求の範囲第1項記載のシーリングガラス材料。 6. 前記ガラスフリットが、25-50モル%のP2O5並びにモル比が1:1から 5:1までの範囲にあるような量のSnOおよびZnOから実質的になることを 特徴とする請求の範囲第5項記載のシーリングガラス材料。 7. 前記材料が、5:1から10:1までの重量比にある前記ガラスフリットお よび前記ビヒクルからなることを特徴とする請求の範囲第1項記載のシーリング ガラス材料。 8. 前記ビヒクル中の前記セルロース高分子の固体含有量が1%未満であるこ とを特徴とする請求の範囲第1項記載のシーリングガラス材料。 9. 前記ビヒクル中の前記固体含有量が約0.6%であることを特徴とする請求 の範囲第8項記載のシーリングガラス材料。 10. ゲル化剤を含有することを特徴とする請求の範囲第1項記載のシーリング ガラス材料。 11. 前記ゲル化剤が粘土であることを特徴とする請求の範囲第10項記載のシー リングガラス材料。 12. 請求の範囲第1項記載のシーリングガラス材料を製造する方法であって、 ビヒクルとして、該ビヒクル中のセルロース系高分子の固体含有量が1%未満で ある水溶性セルロース系高分子の溶液を調製し、該ビヒクルに、フリット対ビヒ クルの比率が少なくとも6:1であるが、12:1を越えないような量でシーリン グガラスフリットを加える各工程からなることを特徴とする方法。 13. 約1.2%の固体を含有するセルロース系高分子の水溶液が、1%未満の固 体含有量まで水またはメタノールにより希釈されることを特徴とする請求の範囲 第12項記載の方法。 14. 前記固体含有量が、水またはメタノールでの希釈により約半分となること を特徴とする請求の範囲第13項記載の方法。 15. プレゲルが、前記希釈されたビヒクルの一部にゲル化剤を加え、該ビヒク ル中に前記粘土を分散させ、該プレゲルを混合しながら前記ビヒクルに加え、前 記ガラスフリットをプレゲルおよびビヒクルの混合物に加えることにより調製さ れることを特徴とする請求の範囲第13項記載の方法。 16. 前記ゲル化剤が粘土であることを特徴とする請求の範囲第15項記載の方法 。
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