【発明の詳細な説明】
走査デバイス及びこの走査デバイスを有する装置
本発明は、コイル手段を支持するフレームと、
永久磁石手段及び放射ビームを偏向する偏向手段を具えるロータと、
前記ロータを前記フレームに対して支持すると共にロータを回転軸のまわりで
回転方向に回転させ、ロータの平衡位置を回転方向に安定させる磁気ベアリング
手段と、
前記コイル手段を作動周波数で付勢して前記ロータを駆動する転流手段とを具
える走査デバイスに関するものである。
本発明は、放射源及び/又は放射検出器と、前記放射ビームを前記物体及び/
又は検出器に対して移動させる走査デバイスとを具え、放射ビームにより物体に
情報を書き込む装置にも関するものである。
本発明は、放射検出器と、物体に対して放射ビームを移動させる走査デバイス
とを具え、放射ビームにより物体からの情報を読み取る装置にも関するものであ
る。
この走査装置は欧州特許第459585号から既知である。この既知の走査装
置は、永久磁石本体に固定したポリゴンミラーにより構成されるロータと、ポリ
ゴンミラーを回転軸のまわりで駆動する1組のコイルと、ロータの5個の自由度
を検出する測定装置とを具えている。
測定装置はコイルを流れる電流を制御する処理装置により用いられる信号を発
生させる。このようにして、ロータと機械的接触することなくロータをコイルに
対して位置決めすることができる。ロータは、数個のコイルを用いて交互に変化
する磁界を発生することにより駆動することができ、永久磁石本体は回転軸に対
して回転対称ではない永久磁界を発生させている。
コイルにより永久磁石本体に作用する電磁力の結果、ロータの平衡位置が回転
方向に発生する。コイルにより交互磁界を発生させることにより、ロータが一旦
回転するとロータを駆動することができるが、ロータが一旦停止すると交互磁界
によりロータの回転を信頼性をもって開始させることができないことが判明して
いる。
本発明の目的は、走査デバイスの付勢時にロータが信頼性をもって回転を開始
する最初の段落で規定した走査デバイスを提供することにある。この目的を達成
するため、本発明による走査デバイスは、前記ロータの回転位置に依存する信号
を発生する検出手段をさらに具え、前記転流手段を前記信号に応じてコイル手段
を付勢するように構成し、
さらに、濾波された信号を発生するフィルタ手段を具え、このフィルタ手段が
、前記ロータの、前記平衡位置付近における回転移動の自然周波数付近の周波数
に対して相対的に高い値を有すると共に前記作動周波数付近の周波数に対して相
対的に低い値を有する振幅関数を有することを特徴とする。
本発明は以下の事項に基づいている。走査デバイスが付勢されると、電磁ベァ
リングがロータを平衡位置に位置決めする。この位置は検出手段により検知され
、検出された位置に依存する転流手段の転流状態が生ずる。走査デバイスの周囲
からの機械的な外乱又は電磁ベァリングの磁界の揺動に起因して、ロータは平衡
位置のまわりで自然周波数で発振する。この自然周波数はロータの質量慣性及び
電磁ベァリングのから生ずる力に依存する。これらの発振は検出手段により検出
され、コイル手段をそれぞれ異なるように付勢する。電磁ベァリングは摩擦がな
くコイル手段の付勢はロータの自然周波数ふきんんの周波数に対してより強いも
のであるから、ロータは平衡位置を中心として自然周波数で発振を開始する。こ
の発振の振幅は急速に増大し、この発振の振幅は極めて大きくなりロータは回転
を開始した位置に到達する。実際に、平衡位置は、ロータの移動をその自然周波
数で増幅することにより不安定になってしまう。作動周波数付近の周波数の場合
、この増幅は望ましくない。この理由は、増幅により転流手段にクリップが生じ
、ロータに不規則な駆動が生ずると共にロータに対応する振動が発生してしまう
。極めて簡単な手段により選択増幅を実現することができる。さらに、電磁ベァ
リングのための及びロータを回転させる交互磁界を発生させるために同一のコイ
ルを用いる場合、本発明による方策をとることによりロータをスタートさせるこ
とができることが判明した。同一のコイルを用いる場合、ベァリングの磁界と交
互
磁界とが平行になるので、ロータがその平衡位置にあるときロータにはいかなる
トルクも発生しない。これにも係わらず、本発明による方策によりロータは信頼
性をもっと回転状態に設定される。この理由は、常時存在するロータの微小な行
き過ぎによりロータが発振し、ロータにトルクを作用させることができる位置ま
でロータが移動するからである。
欧州特許出願公開第105851号は、増大する振幅で発振させることにより
スタートするリラクタンスモータを開示している。一方、この発振は、ロータの
磁極を特別に設計すると共にリラクタンスモータのコイルを固定周波数の交互電
流を用いて付勢することにより発生する。
本発明による走査デバイスの実施例は、前記高い値を前記低い値の少なくとも
5倍にし、転流手段により付勢されるコイル手段の少なくとも一部を空芯型とし
たことを特徴とする。これらの方策により、ロータのスタートアップ中にロータ
に大きな電磁力を発生させることができると共に同時にコイルの加熱が制限され
る。空芯型のコイルを用いる場合、磁気飽和効果は制限されたファクタとはなら
ず、上述した電磁力はコイルを流れる電流により発生するオーミック損失に起因
するコイルの加熱により制限されるにすぎない。上述した方策により、電流はロ
ータのスタートアップ中の短い期間にわたってだけ大きくなるにすぎないので、
上記加熱は制限されたものとなる。選択増幅は10倍又は20倍まで増大させる
ことができ、ロータのスタートアップ時間は一層短くなる。
本発明による走査デバイスの実施例は、前記信号を、自然周波数以下のクロス
オーバ周波数のハイパスフィルタにより転流手段に交流結合したことを特徴とす
る。上記信号はロータの回転位置を表すので、この構成は第1の見地において感
知されないように思われる。この理由は、ロータが低速で移動する場合位置情報
が喪失し、ロータをスタートさせるのが一層困難にするからである。一方、この
交流結合はロータのスタートの開始を妨害することはない。上記信号中の直流成
分を補正するための調整を省くことができるので、交流結合は望ましいものであ
る。
本発明による走査デバイスの実施例は、前記検出手段をロータ位置の関数とし
てのサイン形状の信号を発生するように構成したことを特徴とする。この方策に
より、上記信号は、一旦ロータが所望の回転速度で回転すると1個の周波数成分
だけを含むことになる。別の周波数成分が存在しないことにより走査デバイスで
励起される共鳴の可能性が減少するため、このことは有益である。このような共
鳴は放射ビームに影響を与え本発明の装置の情報及び/又は画像品質に影響を与
えるおそれがあるため、これらの共鳴を回避することが好ましい。
本発明による走査デバイスの実施例は、転流手段を、濾波された信号に比例す
る電流を用いてコイル手段を付勢するように構成したことを特徴とする。この構
成は、入力信号に比例する出力を有する電流源を必要とするだげであるので、極
めて簡単な方法で転流手段が実現される。
本発明による走査デバイスの実施例は、永久磁石手段が、前記回転軸に平行な
磁化方向を有し、この永久磁石手段を、大きさが前記ロータの円周方向に沿って
変化する磁界を発生するように構成したことを特徴とする。これらの方策により
、この永久磁石手段は、欧州特許出願公開第459585号に開示されている磁
気ベァリングの可動部分としても作用することができる。
本発明による走査デバイスの実施例は、フィルタ手段が自然周波数の2倍以上
のクロスオーバ周波数を有するフィルタを具えることを特徴とする。この構成に
より、ロータの自然周波数が変化するとき、ロータがスタートすることになる。
この変化は、例えば走査デバイスの重力場に対する異なる方向に起因する磁気ベ
ァリング手段によりロータに供給される磁気力の変化により生ずる。
本発明は、放射ビームを発生する放射源と、この放射ビームを情報媒体に対し
て移動させる本発明による走査デバイスとを具え、情報媒体の情報を読み取り及
び/又は情報を書き込む装置にも関する。本発明による走査デバイスをこのよう
な走査に用いることは、極めて有益である。この理由は、ロータが極めて高い周
波数で回転することができ、高いデータレートを得ることができるからである。
さらに、ロータの素早く信頼性の高いスタートアップが得られ、この結果装置を
素早く且つ高い信頼性をもってスタートアップさせることができる。このような
装置は、例えばレーザプリンタ又は情報を記録し及び/又は再生する光テープ装
置とすることができる。
本発明は、放射ビームを発生する放射源と、この放射ビームを変調する手段と
、
放射ビームをディスプレイ上で走査する本発明による走査デバイスとを具え、デ
ィスプレイ上に情報を表示する装置にも関する。このような装置は、例えば欧州
特許出願公開第517517号又は欧州特許出願公開第3748578号に記載
されている表示装置とすることができる。本発明による走査デバイスを用いるこ
とにより、表示装置のスタートアップを高速で信頼性をもって行うことができる
。
本発明は、放射感知センサと、画像をセンサ上に結像する本発明による走査デ
バイスとを具え、画像を電気信号に変換する装置にも関する。このような装置は
、米国特許第3706484号に記載されている赤外線カメラとすることができ
る。本発明による構成により、このような装置の信頼性が改良される。
以下図面を参照して本発明を説明する。
図1は光テープを装置する装置の基本素子を示し、
図2は走査デバイスの一部の分解図であり、
図3は上記装置のポリゴンミラーの位置をチェックする光学式検出装置の原理
を示し、
図4はポリゴンミラーに形成した細条パターンの実施例を示し、
図5はポリゴンミラーの回転位置に依存し細条パターンにより得られた信号を
示し、
図6は本発明による走査デバイスの原理を示し、
図7は整流手段の詳細を示し、
図8はレーザプリンタの回路線図を示し、
図9は放射ビームにより走査することができる画像表示パネルを有する画像表
示装置の回路図を示し、
図10は赤外線カメラの回路図を示す。
図1はテープの形態の記録媒体を走査する装置の基本構成素子を示す。この記
録媒体1は供給リール3から巻取リール2へ静止した案内素子4を経て直接移送
する。両方のリールは個別のモータ(図示せず)により駆動する。テープ移送放
方向は矢印5により図示する。この装置の走査デバイスは、走査ビームbを発生
する放射源検出ユニット10と、(例えば、平行)ビームを集束してテープ上に
放射スポットVを形成する対物レンズ30に向けて反射する回転ポリゴンミラー
20とを具える。ポリゴンミラーは例えばミラー面f1〜f10を具え、これらの
ミラー面は例えばポリゴンミラーの回転軸に平行に延在する。動作中、ポリゴン
ミラー20は矢印20で示す方向に回転する。放射ビームの光路中で回転する各
ミラー面、図面上ではミラー面f2はビームbをテープ走行方向5と直交する矢
印25の方向に対物レンズ30の瞳を横切るように移動させる。次に、このレン
ズにより形成される放射スポットVは方向5と直交する方向に延在するトラック
を走査する。第2、第3等のトラックがミラー面f1、f10等により順次走査さ
れる。
ビームbは、例えば48°の角度にわたって偏向される。対物レンズは、例え
ば1.25mmの有効焦点距離及び0.45の開口数を有する。走査スポットV
は縦方向に例えば1mmの距離にわたって移動することができる。このようにし
て、テープ走行方向と直交する方向に1mmの長さを有するトラックに情報を書
き込み及び情報を読み出すことができる。記録されたテープの読出は書き込みと
同様な方法により行う。この理由は、テープ1により反射したビームは、放射源
検出ユニット10に向かう同一の光路を反対方向に進行するからである。情報信
号、フォーカスエラー信号及びトラッキング信号は光オーディオディスク(CD
)再生装置の方法と同様な方法により得られる。
放射源検出ユニットは、例えば780nmの波長を有する高パワーダイオード
レーザを具える。対物レンズが0.45のNAを有する場合、コンパクトディス
ク装置と解像力に匹敵する解像力が得られる。この場合、1ビット/μmの情報
密度を得ることができ、12.7mmの幅及び42mの長さを有するテープは5
0Gバイトの情報を記憶することができる。
トラック方向の情報密度は例えば0.6μm/ビットであるので、1本のトラ
ックは約1600ビットの情報を有することができる。ポリゴンミラーの通常の
回転周波数は、例えば2000回転/秒である。従って、10個の面を有するポ
リゴンミラーの走査周波数は20kHzとなる。トラック当たり1600ビット
の場合、32Mビット/秒のビットレートが達成される。トラック周期は、例え
ば1.6μm程度である。20kHzの走査周波数の場合、読出及び書込中のテ
ープ速度は3.2cm/秒となる。これは比較的低速であるので、複雑なテープ
移送機構は不要である。
図2は走査デバイスの一部の分解図である。この走査デバイスは1組のコイル
8を支持するフレーム7を具える。永久磁石9をコイル8の磁界内に配置しポリ
ゴンミラー20に固定する。さらに、図2は気密性ハウジングを構成する数個の
部材を示し、ポリゴンミラーが摩擦することなく回転できるように内部を低い空
気圧にする。磁石9はポリゴンミラーの回転軸20aに平行な方向9aに磁化す
る。永久磁石9aは均一に磁化しているが、2個の平坦な側部9b及び9cによ
りポリゴンミラー20の円周方向に沿って変化する磁界を発生する。この磁界の
変化により、図7に示すようにコイル8a〜8dを付勢することによりポリゴン
ミラー20をその回転方向に駆動することができる。
ポリゴンミラーは電磁的に支持され6個の自由度で移動することができる。こ
れらの移動を検出し、必要な場合補正する必要がある。このため、位置検出装置
を設け、この位置検出装置を用いてポリゴンミラーの3個の軸方向の移動及び2
本の軸の回りの傾きを検出する。このシステムは、ポリゴンミラーのその回転軸
回りの回転も測定することができる。このシステムは簡単なセットアップを有し
、有用な測定信号を効率よく利用して最大強度の測定信号が得られる。
図3は位置検出システム80の原理を示す。このシステムは、ポリゴンミラー
の球面素子23(図1参照)が配置されている側に配置する。図3において、参
照符合33は放射ビーム40を放出するダイオードレーザを示す。このビーム4
0は、初めにコリメータレンズ35により平行ビームに変換する。次に、ビーム
40は分離面37を有する分割キューブ36に入射し、この分離面により測定ビ
ーム40の一部は測定サブビーム50としてポリゴンミラーに向けて反射する。
このポリゴンミラーは図1において表示されている面31により図示され、以後
この面31は基準面と称する。分割キューブにより反射しなかった測定ビーム4
0の一部は反射器38に向けて通過し、反射器38はこのビーム部分を測定サブ
ビーム45として基準面31の球面素子23に向けて反射する。この第1の測定
サブビームは対物レンズ39により球面素子23の曲率中心に集束する。素子2
3に反射した測定サブビームは再び対物レンズ39を通過して反射器38でビー
ムスプリッタ36に向けて反射し、このビームスプリッタはビームの一部45を
複数の検出素子71〜78を有する放射感知検出系に向けて反射する。測定サブ
ビームを集束ビーム55に変換するレンズ41をビームスプリッタと検出系60
との間に配置する。ポリゴンミラーが紙面内のX方向及び紙面と直交するY方向
に移動すると、測定サブビーム45により検出面内に形成される放射スポットは
検出系60の素子に対してX及びY方向にそれぞれ移動する。この移動は既知の
方法で検出素子の出力信号を組合わすことにより測定することができる。シリン
ドリカルレンズ35を放射光路中に配置してポリゴンミラーのZ方向の移動を測
定する。このレンズ35はダイオードレーザビームを非点収差ビームに変換する
。基準面により反射した後、このビームは検出面に放射スポットを形成し、この
スポットは球面素子23の曲率中心におけるビームの集束度に依存する形状を有
する。ビームがこの点に鮮明に集束する場合、すなわち基準面が位置検出系に対
して正しい位置にある場合、この放射スポットは円形になる。基準面の位置が所
望の位置から変位している場合、すなわちビームが曲率中心に鮮明に集束してい
ない場合、放射スポットは楕円形になる。放射スポットの形状つまりポリゴンミ
ラーの基準面のZ方向の位置は検出系60に設けられている四分割検出器により
既知方法で検出することができる。
ビームスプリッタにより反射した第2の測定ビーム50基準面の平坦な部分に
入射する。このビームは基準面により反射しその一部はビームスプリッタを介し
て検出系60に入射し、このビームもレンズ41により集束する。基準面31が
X及び/又はY軸回りで傾いている場合、第2の測定ビームにより検出面に検出
される放射スポットは検出系60の検出素子71〜74上においてX及び/又は
Y方向に移動するので、これらの傾きを測定することができる。
図1の区域24で示すように、基準面の平坦な部分の領域について円周方向に
沿って反射係数を変化させることにより、第2の測定ビームの強度は、ポリゴン
ミラーが回転すると減少し又は増加する。つまり、ポリゴンミラーの回転位置又
は回転周波数を決定することができる。この区域24は、暗い又は不鮮明な区域
或いは粗面とすることにより又は回折格子を設けることにより得られる拡散区域
により構成することができる。反射係数は円周方向に沿って数個の最大値及び最
小値を有する。第2の測定サブビーム50により発生した検出信号は、1回転当
たりの最小値及び最大値の対応する数に有する。
区域24が360゜にわたって反射率が単調に線形に変化する場合、検出器信
号は1回の回転に対応する周期を有する鋸波形状の信号となる。反射率の線形な
増加又は減少は不鮮明な範囲を線形に変化させることにより又は反射面に360
゜にわたる細条が設けられている場合細条密度を線形に変化させることにより得
ることができる。
検出系60は図3の上側部分に下面図として示す。この検出系は検出素子71
、72、73及び74並びに76、77、78及び78をそれぞれ有する2個の
4分割検出器を具える。検出素子71、72、73及び74の信号をAa,b,c
及びdで表し、検出素子76、77、78及び79の信号をp,q,r及びsで
表すと、X,Y及びZ方向の移動量MMy及びMzは以下の式により与えられる。
Mx=(p+s)−(q+r)
My=(p+q)−(r+s)
Mz=(p+r)−(q+s)
X,Y及びZ軸まわりの回転jx,jy及びjzは以下の式により与えられる。
jx=(a+b)−(c+d)
jy=(a+d)−(b+c)
jz=a+b+c+d
ここで、信号jzは基準面によるサブビーム50の反射を示す。
図4は基準面上に形成される別のパターンを示す。図4に示すように、このパ
ターンは、それぞれ180゜にわたって延在する2個の細条群85及び86を具
える。回転位置φに応じて、このビームの強度は変化し、つまりこのビームによ
り発生する検出器信号は図5に示すように変化する。
図5において、回転位置φは横軸に沿ってプロットされ、サブビーム50の反
射を表わす検出信号jzの値は縦軸に沿って任意単位として表わす。垂直ライン
83と84との間の期間は1回転に対応する。1回転中に、シヌソイダル信号jz
は符号を4回変化する。この信号jzはポリゴンを回転方向に直接駆動するため
に極めて好適である。
図6は本発明による走査デバイスの原理を示す。四分割検出器70及び関連す
る電子的処理回路から発生する信号は、抵抗R及びキャパシタCとして線図的に
示すフィルタ66及びACカップリング67により濾波された信号kZに変換す
る。フィルタ66はクロスオーバ周波数faを有し、この周波数は磁気ベアリン
グのポリゴン20の自然周波数fbの約半分である。このクロスオーバ周波数fa
以下の範囲の周波数の信号は、走査デバイスの通常の動作中にコイルが付勢され
る作動周波数fc付近の信号の約1/10に減衰して通過する。濾波された信号
kzは転流手段68に供給する。
図7は転流手段を詳細に示す。転流手段は8個の電力増幅器68a〜68gを
具え、これらの増幅器68a〜68gは図2に示す8個のコイル8a〜8gに電
流をそれぞれ供給する。各電流は信号Mx,My,Mz,jx,jy,jzのうち
の2個の信号に比例する。この回路に基きコイル8a〜8gを付勢することによ
り、ポリゴンミラーは電磁的に支持され回転方向に駆動される。ポリゴンミラー
を回転方向に駆動する駆動力は、濾波された信号kzに線形に比例する電流を用
いてコイル8a〜8dを付勢することにより得られる。コイル8a及び8cを流
れる電流は濾波された信号kzに応じて同時に増加し又は減少する。同一のこと
がコイル8b及び8dを流れる電流にも適用される。従って、ポリゴンのX及び
Y方向の位置(図3参照)は濾波された信号kzにより影響されない。
図4に示すパターンは、電磁ベアリングの平衡位置が例えば図5に示す位置8
2,83又は84に対応するように磁石に対して位置決めする。走査デバイスが
付勢されると、コイル8a〜8dはポリゴン20を位置決めするように付勢され
る。この付勢は、磁石9の非回転対称性及びコイル8a〜8dにより発生する磁
界の非回転対称性に起因してポリゴン20を平衡位置に駆動する。一方、ポリゴ
ン20はその周囲に発生する機械的な振動に起因して又はコイルの初期付勢によ
り与えられる質量慣性及び速度により平衡位置から常時微小量行き過ぎてしまう
。これらの行き過ぎにより信号jzに振動が生じ、これによりコイル8a〜8d
により発生する磁界に対応する変化が生ずる。磁気ベアリングはポリゴンをほと
んど摩擦を生ずることなく支持し、信号jzはポリゴンの自然周波数fbで選択的
に増幅(kz)されるので、ポリゴンは平衡位置から90°超える位置に達する
まで回転方向に発振し、その後回転を開始する。
図8はレーザプリンタ90の原理を示す。このプリンタにおいて、感光層は走
査レーザビームにより走査される。次に、この感光層はインキ浴を通過し、ペー
パー上にプリントが行なわれる。感光層92は軸93のまわりで回転するローラ
91上に設けて順次のラインで走査されることができる。このライン走査は、例
えば6個の反射面fを有するポリゴンミラー20により行なわれる。参照符号3
0は対物レンズを示し、例えば高パワーダイオードレーザのような放射源11か
らの放射を集束し、この放射はミラー面fにより反射して媒体92上に放射スポ
ットVを形成する。レーザビームの強度は、ダイオードレーザを流れる電流を変
調することにより記録されるべき情報に応じて又は個別の音響光学変調器又は光
電変調器96により変調される。レーザプリンタについて信頼性のあるスタート
条件を設定するため、本装置に図6に基いて説明した位置検出装置80及びフィ
ルタ66を設ける。
図9は、反射性の放射感知パネルすなわち放射走査画像表示パネル110によ
り画像が発生する画像表示装置100の回路図を示す。画像投写装置にこのパネ
ルを用いることは欧州特許願第0,517,517号に記載されている。通常の
アクティブマトリックスパネルに比較して放射走査パネルの利点は、パネル表面
に電子スイッチ及び導体電極のマトリックスを設ける必要がなく且つこのパネル
は放射をほとんど吸収しないため、高い光効率を得ることができることである。
このパネルは、好ましくはレーザのような放射源及びビーム成形光学系を収納
するユニット125からの書込ビーム130によりライン順次走査され、ビーム
成形光学系には例えばビデオ信号のような表示すべき情報が供給され、レーザビ
ームは変調器127により情報に応じて強度変調される。レーザビーム130は
高速回転するポリゴンミラー20に入射し、次に低速で移動すると共に例えば振
動ミラー又は第2のポリゴンミラーにより構成される第2の走査素子131に入
射する。この走査素子131はビームをパネル110に向けて反射する。ポリゴ
ンミラー20は集束性ビーム130を反射するので、パネルの感光層上に形成され
る放射スポットはラインを形成する。第2の走査素子131は、この放射スポ
ットをラインの方向と直交する第2の方向に相対的に低速で移動させる。従って
、パネル110の放射感知層113は2次元的に走査され、画素の2次元マトリ
ックスが書き込まれる。書込ビームにより画像表示パネルを走査するためにポリ
ゴンミラーを用いることは、日本の特許出願62−56931号の英文の要約か
ら既知である。
図9に示すように、この書込システムを有するパネル110は画像投射装置に
利用することができる。この装置には、放射源140及びビーム成形光学系14
1を具える照明ユニットを設け、このユニットから照明ビーム145を発生する
。このビームは偏光感知ビームスプリッタ142を介してパネル110を照明す
る。このパネルに形成される画像は、パネルにより反射したビーム146及び投
影レンズ143により投射スクリーン上に投射される。
書込システムを有する走査パネルは観客が直接パネルを見る直接視認装置に用
いることができる。
6個の自由度のポリゴンミラー20の移動を決定するため、図6に基づいて説
明した位置検出装置80及びフィルタ66を用いることができる。
レーザTVとして知られ1本の走査レーザビームにより又はカラー画像の場合
3本のレーザビームにより画像が投射スクリーン上又は壁上に表示される画像表
示装置もポリゴンミラーを有する走査デバイスとして用いることができる。レー
ザTV装置は、例えば欧州特許出願第0374857号に記載されている。この
装置において、走査は高速度で行う必要があり、この場合にも前述したように、
高速度で回転すると共に真空中で自由に浮遊するポリゴンミラーを用いる。
本発明は、対物レンズにより形成されるシーン又は物体の像が検出器又は検出
器列上で移動する走査カメラ特に赤外線カメラの分野においても用いられる。こ
のようなカメラ200は図10に示され、例えば米国特許第3706484号に
記載されている。像205は遠くの物体から光学素子201及び202により形
成される。画像205を検出器上で順次移動させるために高速回転するポリゴン
ミラー220を用いる。本発明は、高い走査速度及び信頼性のあるスタート時の
条件設定を行うために用いることができる。
ポリゴンミラーは、物体又はワークをその製造中又は製造後に検査する装置、
或いは例えば物体上のバーコードのようなコードを読み取る装置にも用いられる
ので、本発明はこれらの装置にも用いることができる。
本発明は偏向手段をポリゴンミラーとした実施例に基づいて説明した。しかし
ながら、偏向手段は別の方法により、例えば透過型又は反射型の回折格子或いは
ホログラムのような別の方法で構成することもできる。