JP2000503391A - アルツハイマー疾患の検知方法 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
アルツハイマー疾患の検知方法。特に、アルツハイマー疾患組織を正常組織と識別できる、バンド3蛋白質に対する抗体を提供する。更に、バンド3リン酸化の差を測定することを含むアルツハイマー疾患の検知方法を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
アルツハイマー疾患の検知方法発明の分野
本発明はアルツハイマー疾患の検知方法に関する。特に、本発明はアルツハイ
マー疾患組織を正常組織から区別することができるバンド3蛋白質に対する抗体
を提供する。更に、本発明は、バンド3のリン酸化の差を測定することを含むア
ルツハイマー疾患の検知方法を提供する。発明の背景
バンド3は遍在するアニオン交換蛋白質である。これは細胞核、ゴルジ体、ミ
トコンドリアおよび細胞膜中に、およびこれまで試験されたすべての組織中に存
在する。有核細胞中のバンド3蛋白質はバンド3抗体により誘発された細胞表面
のパッチングおよびキャッピング中に存在している。バンド3はアニオンの交換
を媒介することによって酸−塩基のバランスを維持し、解糖酵素のための結合部
位であり、原形質膜を細胞骨格に結合する大きい構造蛋白質である。バンド3は
、そのCO2呼吸における中心的役割をなすために、脊椎動物のイオン輸送シス
テム中で最も重要なものとして使用される。
ヒトの赤血球バンド3蛋白質はすべてのバンド3蛋白質のプロトタイプである
。cDNAの翻訳された連鎖に基づけば、ヒトの赤血球のバンド3蛋白質は91
1個のアミノ酸からなっている〔タンナー他著、バイオケミカル・ジャーナル、
第256巻、第703頁(1988)〕。N末端から397個のアミノ酸は細胞の細胞質の
中に位置している。バンド3中の種および組織特定の変性体およびいくつかの既
知のバンド3多形物は、主としてこの細胞質セグメント中に位置しており、これ
は酵素分解研究に基づけば1から400番目までのアミノ酸であるといわれる。
バンド3分子の二つの重要な性質、即ちアニオン輸送および老化細胞抗原(SC
A)の抗原性は膜関連“領域”に位置しており、この領域はC末端から500個
目までのアミノ酸からなる〔ケイ(Kay)他著、トランザクションズ・オブ・メ ディカル・レビュー
、第5巻、第173-195頁(1991)〕。
老化および神経学的疾患のバイオ指標であるSCAは、バンド3の酸化および
破壊によって引き起こされる。SCAは古い細胞上に現れ、IgG自己抗体の結
合、および続いて起こる食細胞によるその細胞の除去としてその細胞の終結を示
す特定のシグナルとして働く〔ケイ著、ジャーナル・オブ・スーパーモレキュラ ー・ストラクチャー
、第9巻、第555-567頁(1978)〕。これは哺乳類や他の脊椎動
物における老化および損傷した細胞を除去するための一般的な生理学過程である
ように見える。SCAは、神経細胞を含めて試験されたすべての細胞上で見い出
されてきた。老化および損傷細胞の除去における中心的な役割に加えて、SCA
はアルツハイマー疾患の神経原繊維タングル(tangle)および老年性溶血斑中に
も存在し、神経細胞および血小板の除去および臨床的溶血性貧血、鎌型赤血球貧
血症およびマラリアにおける赤血球の除去にもからんでくる。
バンド3は赤血球および白血球中におけると同様成人の脳の中でも同じ構造的
および機能的活動を行う〔ケイ他著、プロシーディング・オブ・ナショナル・ア カデミック・サイエンス、ユーエスエー
、第80巻、第6882-6886頁(1983)〕。こ
のように、脳中のバンド3は赤血球および白血球中で見いだされたバンド3のも
のと同じ特性を示す〔カバー他著、ライフサイエンス、第58巻、第655-644頁(19
96);ケイおよびグッドマン著、ジェロントロジー、第11巻、印刷中〕。バンド
3は細胞および組織が老化するとともに老化する。最初、バンド3は、これまで
のところでは、非特徴的な構造変化を引き起こす。この構造変化に続いて、バン
ド3は膜内外のアニオン輸送領域において崩壊を引き起こし、その結果SCAを
生じる。本発明者は老化した細胞中で(ただし、中年または若い細胞ではそうで
はない)バンド3のはっきりした領域に結合するこの「老化したバンド3」に対
する抗体を開発した。バンド3上の「老化抗原部位」と呼ばれるこれらの領域は
、バンド3分子の538−554および812−830の残基に位置している。
バンド3の老化は、アニオン輸送効率の減少、グルコース輸送の減少、より小さ
いフラグメントへの崩壊の増加、および生理学的IgG自己抗体のその場での結
合の増加を含む機能的変化と関係している。
サイトー他、アナリティカル・ニューヨーク・アカデミック・サイエンス、第
674巻、第180頁(1992)およびケイ他著、アナリティカル・ニューヨーク・アカデ ミック・サイエンス
、第719巻、第419頁(1994)には、バンド3の崩壊はアルツハ
イマー疾患をもった患者からの脳膜中で生じることが提案された。免疫組織化学
によれば、バンド3合成ペプチド(pep‐COOH)ターナー等によりナンバ
リングされた812-827番目の残基)に対する抗体は正常なコントロールか
らの前頭皮質よりもアルツハイマー患者からの前頭皮質の神経細胞をより傷つけ
る。バンド3の588-602および822-839ペプチドに対する血清の自己
抗体はコントロールに比べて、アルツハイマー疾患患者において増加した。ケイ
著、アナリティカル・ニューヨーク・アカデミック・サイエンス、第621巻、第1
79頁(1991)は、脳のバンド3はアルツハイマー疾患中では変化するかもしれない
ことを暗示している。
本発明によれば、実に抗バンド3抗体は正常の赤血球細胞とアルツハイマー患
者の赤血球細胞を識別することができ、それによりこの病気の便利で信頼性のあ
るアッセイを提供し得ることを見いだした。更に、アルツハイマー患者のバンド
3のリン酸化の予期しない変質はこの病気に対する他のアッセイを提供する。更
に、翻訳後の変化がRBCバンド3において起こり、同様の変化は脳バンド3に
おいても起こることを発見した。これらの変化には、脳およびイン・ビトロでの
RBCにおけるバンド3ポリペプチドの32Pリン酸塩ラベリングの減少、バンド
3の崩壊の増加、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体によって認識さ
れるバンド3における変質、赤血球細胞によるアニオンおよびグルコース輸送の
減少およびバンド3のより小さいフラグメントへの崩壊の増加が含まれる。発明の要旨
本発明はアルツハイマー疾患の検知方法を提供するものであり、以下のものを
含む:アルツハイマーのバンド3を正常のバンド3から識別する抗体を、抗体‐
抗原複合体が形成される条件下で、アルツハイマー疾患があると見られる患者の
組織試料と接触すること;上記複合体を検出すること;上記複合体の量を健康な
個体からのコントロール試料について同じ条件下で形成した複合体の量と比較す
ること。好ましい態様においては、組織試料は大脳皮質、血液またはそのフラク
ション、赤血球細胞、白血球細胞または赤血球細胞膜である。
更に、本発明は以下のものを含むアルツハイマー疾患の検知方法を提供する:
アルツハイマーバンド3を正常バンド3と識別する抗体を、抗体-抗原複合体が
形成される条件下でアルツハイマー疾患を有すると見なされる患者からの組織サ
ンプルと接触させること、および上記複合体を検知すること。
本発明は更にアルツハイマー疾患を有すると見なされる患者の第1の組織試料
中のバンド3蛋白質のリン酸化またはその崩壊生成物の量を測定すること、およ
び上記バンド3蛋白質のリン酸化の量またはその崩壊生成物の量を、健康なコン
トロール個体の第2の組織試料中のバンド3蛋白質のリン酸化またはその崩壊生
成物の量と比較することを含むアルツハイマー疾患の検知方法を提供するもので
あり、上記第1の試料中のリン酸化の減少はアルツハイマー疾患を示すものであ
る。好ましい態様では、組織試料は大脳皮質、血液またはその部分、赤血球細胞
、白血球細胞または赤血球細胞膜である。図面の簡単な説明
図1A−1Dは、バンド3抗体を用いて評価した血液試料のイムノブロットの
結果を示す棒グラフである。
図2は、中年令のハツカネズミと比較した老年のハツカネズミのバンド3のリ
ン酸化の減少を示す。
図3は、コントロールの側頭皮質試料と比較したアルツハイマー患者における
バンド3リン酸化の減少を示す。
図4は、アルツハイマー疾患(AD)のRBCバンド3とコントロールのRB
Cバンド3への32リン酸塩の結合を示す。バンド3蛋白質バンドはアルカリホス
ファターゼによって検出されるように、抗体結合によって同定される。リン酸化
は32Pの結合により測定される。
図4Aは、アルツハイマー疾患およびコントロールからの前頭ジャイラス(gy
rus)脳膜または中年令のRBC膜中のバンド3への抗-ホスホチロシン抗体の結
合を示す。
A:コントロールの前頭ジャイラス、
B:アルツハイマー疾患の前頭ジャイラス、
C:アルツハイマー疾患の中年令のRBC膜、
D:コントロールの中年令のRBC膜。
図5は、コントロールではなくアルツハイマー疾患の脳膜への980抗体の結
合を示す。
レーンA、E、G、Hはコントロール膜、
レーンB、C、D、Fはアルツハイマー疾患のコントロール膜、
ABは蛋白質のアミド黒汚れ(black stain)、
ARはオートラジオグラフである。
図6は、抗体980が、内部バンド3アニオン輸送セグメント、ANION2
、バンド3に対する損傷のために老化しやすい部位である残基588-602(
LRKFKNSSYFPGKLR)を認識することを示す。ANION2(AN
2)、残基588-602(LRKFKNSSYFPGKLR)はCOOHに微
量結合している。ANION2は、ASN-593のところの潜在的N-糖化部位
が糖化されないので分子内であるように見える。
RBC:赤血球細胞膜、
ANION1(AN1):位置538-554(SKLIKIFQDHPL
QKTYN)、
COOH:812-827(LFKPPKYHPDVPYVKR)、
COOH-6、813-818(FKPPKY)、
G1ycos、630-648(QKLSVPDGFKVSNSSARGW
)、
BR:脳。
オートラジオクラフによれば、バンド3への抗体の結合は左側で行われおよび
老化バンド3への抗体の結合は右側で行われることを示している。
AB:蛋白質に対するアミド黒色汚れ、
AR:オートラジオクラフ。
図7Aは、抗体AD-BD3とペプチドCOOHがアルツハイマー疾患とコン
トロールの前頭皮質を識別することを示している。抗体はイムノドットにおいて
アルツハイマー疾患とコントロールとの側頭皮質に対して試験した。他の抗-バ
ンド3ペプチド抗体もアルツハイマー疾患を正常組織と識別する。
図7Bおよび7Cとは、バンド3ペプチドに対する抗体(AD-BD3とpe
p-CYTO)がイムノドットにおいて、アルツハイマー疾患とコントロールと
の前頭皮質および中年令(MA)のRBCを識別することを示している。
図8は、赤血球合成SCAに対する、アルツハイマー疾患組織とよりよく反応
するヘテロハイブリドーマ抗体の例を示している。継代(passage)1−3由来
のモノクローナル類をイムノドットにおいて試験した。抗体のインキュベーショ
ンは5時間であった。
図9は、赤血球合成SCAに対する、コントロール組織とよりよく反応するヘ
テロハイブリドーマ抗体の例を示している。継代(passage)6由来のモノクロ
ーナル類をイムノドットにおいて試験した。
図10は、バンド3およびバンド3の合成ペプチドに対する抗体がアルツハイ
マー疾患を、組織断面において正常コントロール脳と識別することを示している
。
抗ペプチド抗体と反応したアルツハイマー疾患およびコントロール脳組織のエッ
チング断面について電子顕微鏡観察が行われた。抗体の結合が金コロイドに結合
した蛋白質Aによって可視化された。バンド3の崩壊生成物(10A)およびグ
ルコース輸送体であるチャンネル蛋白質(10B)とを認識するpep-COO
Hに対する抗体はアルツハイマー疾患とは反応するが、コントロール脳組織とは
反応しない。抗体はコントロール組織(10C)とは反応しなかった。
図11は、アルツハイマー疾患とコントロールのRBCを識別する赤血球SC
Aに対するヘテロハイブリドーマ抗体を示している。
図12は、バンド3の合成ペプチドおよびSCAに対するアルツハイマー疾患
とコントロールの血清の抗体が、ELISAによって定量化されるのを示してい
る。示されている値は平均値±SEMである。発明の詳細な記述
本発明は、アルツハイマー疾患を検知する方法を提供する。特に、本発明によ
れば、バンド3またはそのフラグメントに対するある種の抗体はアルツハイマー
の組織試料と正常な組織試料を区別することができる。抗体は血液試料および脳
試料のいずれでも区別することができる。
好ましい実施態様では、本発明の方法に有用な好ましい抗体は、「老化バンド
3」として知られている種のバンド3に対する抗体である。輸送膜分子バンド3
は、バンド3のSCAへの崩壊に先立って起こる老化に伴う非特定的変化を引き
起こすことは当業者には公知であり、例えば「ケイ他著、アナリティカル・ニュ ーヨーク・アカデミック・サイエンス
、第719巻、第419頁(1994)」に記載されて
いる。この無傷ではあるが変性したバンド3は「老化バンド3」として知られて
いる。老化バンド3に対する抗体は、老化した細胞においてはバンド3には結合
するが、中年令または若い細胞においては結合しないというその能力によって確
認される。赤血球細胞は、公知の方法〔ベネット他著、エクスペリメンタル・ヘ マトール
、第9巻、第297頁(1981)〕によって異なる年令の集団に容易に分離され
、老化バンド3に対する抗体を確認するための細胞源を提供することができる。
老化バンド3に対する好ましい抗体である、抗体980は、ケイ他著、「プロシ ーディング・オブ・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー
、第
86巻、第5834頁(1989)」に記載されており、本発明の一部として組み込まれる。
抗体980はSCAの形成に先立って起こるバンド3における老化の変化を確認
する〔ケイ著、アナリティカル・ニューヨーク・アカデミック・サイエンス、第
621巻、第179-205頁(1991)〕。老化バンド3に対するもう一つの好ましい抗体、
抗体AD-BD3は、「ケイ他著、クリニカル・エクスペリメント・オブ・イム ノゲネティックス
、第7巻、第181-199頁(1990)」に記載されている。AD-BD
3は老化IgG(SC IgG)に対する抗イディオタイプとして作られ、老化
赤血球から溶離された自己抗体である。抗イディオタイプ抗体は、「ケイ著、プ ロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー
、第82巻、第1731-1735頁(1985)」の方法により従来通りに調製することができ
、これは本発明の一部とする。Pep-CYTOはバンド3の細胞質ペプチド、
残基122-144、に対する抗体である。老化バンド3に対する他の抗体はヒ
ト血清からIgG自己抗体として単離することができるし、または当業者にとっ
て公知
の標準法によって調製することもできる。ポリクローナル抗体もモノクローナル
抗体もどちらも本発明の方法において有用である。ゲッ歯類、うさぎ、ヒト、ヒ
ト様(humanized)、CDR移植された、およびキメラのものを含むモノクロー
ナル抗体が好ましい。老化バンド3に対するヒトおよびヒト様モノクローナル抗
体が特に好ましい。安定なヒト抗体‐分泌ヘテロハイブリドーマはヒトB細胞を
「トンプソン他著、ジャーナル・オブ・イミュノロジー、第94巻、第7-12頁(198
6)」のハツカネズミ骨髄腫細胞株と融合することによって調製される。
抗体980がバンド3ペプチド残基588−602を認識することが本発明者
によって発見された。残基588−602はまたANION 2としても知られ
ている。ANION 2は「老化を受け易い部位」である。本発明で定義する「
老化を受け易い部位」は、老化損傷を受け易く、バンド3崩壊を開始する多数の
アミノ酸を含むバンド3領域である。例えば、位置593のアスパラギンは、脱
アミノ化し、バンド3のコンフィグレーションに付随した変化を引き起こす。A
NION 2もまたセリンプロテアーゼに対して弱いものである。
したがって、ペプチド残基588−602に対する抗体もまた本発明のものと
される。残基588−602は連鎖LRKFKNSSYFPGKLRを持つ。
もうひとつの好ましい態様では、本発明の方法に有用な抗体は、タンナー(Ta
nner)等によって番号付けされたバンド3の残基812−830を有するペプチ
ドに対する抗体である。残基812−830は連鎖LFKPPKYHPDVPY
VKRVKTを持つ。
もうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バンド
3の残基822−839(VPYVKRVKTWRMHLFTGI)を有するペ
プチドに対する抗体である。
もうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バンド
3の残基538−554(SKLIKIFQDHPLQKTYN)を有するペプ
チドに対する抗体である。
もうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バンド
3の残基853−870を有するペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基122−144(DLQETSLAGVANQLLDRFIFED
Q)を有するペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基812−827(LFKPPKYHPDVPYVKR)を有するペ
プチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基526−541(FLISLIFIYETFSKLI)を有するペ
プチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基549−566(LQKTYNYNVLMVPKPQGP)を有す
るペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基561−578(PKPQGPLPNTALLSLVLM)を有す
るペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基573−591(LSLVLMAGTFFFAMMLRKF)を有
するペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基597−614(FPGKLRRVIGDFGVPISI)を有す
るペプチドに対する抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基818−827(YHPDVPYVKR)を有するペプチドに対す
る抗体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基818−823(YHPDVP)を有するペプチドに対する抗体で
ある。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基822−827(VPYVKR)を有するペプチドに対する抗体で
ある。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基804−811(QLFDRILL)を有するペプチドに対する抗
体である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基828−834(VKTWRMH)を有するペプチドに対する抗体
である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基534−540(YETFSKL)を有するペプチドに対する抗体
である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基538−544(SKLIKIF)を有するペプチドに対する抗体
である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基543−549(IFQDHPL)を有するペプチドに対する抗体
である。
更にもうひとつの好ましい態様では、本発明の方法において有用な抗体は、バ
ンド3の残基547−553(PLQKTYN)を有するペプチドに対する抗体
である。
例えばペプチド122−144、812−830、812−827、588―
602、822−839、538−554および853−870に対する抗体は
ペプチド合成の標準法によって作られたペプチドを用いて業界で公知の標準法に
よって調製することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は
本発明の方法において有用である。ゲッ歯類、うさぎ、ヒト、ヒト様、CDR移
植された、およびキメラの抗体を含むモノクローナル抗体が好ましく、業界で公
知の方法によって作ることができる。抗体の産生は、例えば、バートン(Burton
)他著、アドバンスト・イン・イムノロジー(Adv,Immunol.)、第57巻、第191
頁(1
994)、キャネラリ(Canerari)他著、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ バイオロジカル・マーカーズ
、第8巻、第147頁(1993)、ザッコロ(Zaccolo)他
著、インターナショナル・ジャーナル・オブ・クリニカル・ラボラトリアル・リ サーチ
、第23巻、第192頁(1993)、ポッター他著、インターナショナル・レビュ ー・オブ・イミュノロジー
、第10巻、第103頁(1993)、カルシ(Kalsi)他著、オ ートイミュニティー
、第13巻、第249頁(1992)、およびハーロー(Harlow)他著
、編集、アンチボディーズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー出版、コールド・スプリング・ハーバー、ニュー
ヨーク(1988)、に記載されている。
上記抗体類はアルツハイマー患者からの組織試料中のバンド3を、正常の年令
相応の対象物の組織試料中のバンド3と識別することができる。好適な組織試料
源としては大脳皮質、血液、血液フラクション、赤血球細胞、赤血球細胞膜、お
よび白血球細胞が含まれる。血液試料が特に好ましい。
本発明では、アルツハイマーのバンド3を正常バンド3から識別することので
きる抗体を、抗体-抗原複合体が形成される条件下で、アルツハイマー疾患を持
つと疑われる患者からの組織試料と接触させる。これに相当するコントロール試
料中では、同じ抗体を、同じ条件下で年令相応のコントロール組織試料と接触さ
せる。次いで、得られた抗体-抗原複合体を比較する。アルツハイマー疾患を有
すると予想される患者の試料中の抗体反応性のコントロール試料に対する統計的
有意差のある増加は疾患の存在を示している。更に、もしコントロール試料にお
いて抗体反応性が全く観察されないなら、アルツハイマー疾患を有すると予想さ
れる患者の試料中の正の反応性は疾患の存在を暗示している。
「統計的に有意」とは、アルツハイマー疾患があると疑われる患者の試料の抗
体反応とコントロール試料の抗体反応の差が10−60%であるか、および/ま
たはアルツハイマー疾患の患者の試料の反応が正であってコントロール試料に抗
体反応がないことを意味する。
本発明では、抗体-抗原複合体が形成される条件下で、アルツハイマーバンド
3を正常バンド3と識別することのできる抗体をアルツハイマー疾患を有すると
疑われる患者の試料と接触させる。その場合、抗体-抗体複合体の形成を検知す
るために当業者にとって公知の従来の方法が使用される。
本方法では、抗体の結合、検知および定量のために、当業者にとって公知の標
準的なイムノアッセイ法が用いられる。好適なイムノアッセイとしては、固相お
よび溶液アッセイ、放射性イムノアッセイ、ウェスターンブロット、酵素結合イ
ムノソルベントアッセイ、イムノ蛍光アッセイ、ケミルミネッセントアッセイ、
およびバイオルミネッセントアッセイが含まれる。アッセイ、条件および検知方
法は当業者にとって公知である。
本発明は、更に、アルツハイマー疾患を有すると疑われる患者の第1の組織試
料中のバンド3蛋白質またはその崩壊生成物のリン酸化の量の決定、上記バンド
3蛋白質またはその崩壊生成物の上記リン酸化の量を、健康なコントロール個体
の第2の組織試料中のバンド3蛋白質またはその崩壊生成物のリン酸化の量と比
較することを含むアルツハイマー疾患の検知方法を提供する。ここではコントロ
ール試料に対する上記第1の試料の中のリン酸化の統計的に有意な低下はアルツ
ハイマー疾患を示している。更に、コントロール試料中にリン酸化が観察されな
ければ、アルツハイマー疾患を有すると疑われる患者の試料中の正の反応性は疾
患の存在を示唆している。
好ましい態様では組織試料は大脳皮質、血液またはそのフラクション、赤血球
細胞または赤血球細胞膜である。
本発明では、バンド3またはそのフラグメントはアルツハイマー疾患において
はリン酸化が少ないことを示すことが発見された。
バンド3およびそのフラグメントのリン酸化の検知および定量は当業者にとっ
て公知の方法によって評価することができる。例えば、リン酸化はSDS-PA
GEゲル上の分子量のシフトを観察することによって、または抗ホスホチロシン
抗体との反応性を評価することによって検知することができる。好ましい態様で
は、リン酸化は、バンド3中のリン酸塩が32Pによって交換され、バンド3蛋白
質中へ組み込まれる32Pを検知し定量する条件下で、均一化した組織試料を標識
したリン酸塩とともにインキュベートすることにより、好ましくはγ32P-AT
Pの形で検知される。32P標識したバンド3は上記した抗バンド3抗体を用いた
イムノアッセイにより検知することができる。リン酸化を検知するための詳細な
方法は下記の実施例2に記載されている。本発明の方法では、年令相応のコント
ロール試料に比べてアルツハイマー疾患があると疑われる患者の組織試料中のバ
ンド3またはその崩壊生成物のリン酸化の統計的に有意な減少はアルツハイマー
疾患を示唆している。
本発明によれば、脳バンド3はグルコースおよびアニオンの輸送に於ける差異
のようなアルツハイマー疾患における顕著な変化を引き起こすこと、およびこれ
らの変化は下記の実施例7で示すように末端血液の変化を伴うことが発見された
。
バンド3蛋白質に加えて、老化し、アルツハイマー疾患組織と正常組織とを識
別するために用いることのできる他の蛋白質が存在することも発見された。この
ような蛋白質の例としてグルコール輸送蛋白質が挙げられる。例えば、肝グルコ
ール輸送蛋白質(HEPG2)およびインスリン規制グルコール輸送蛋白質(I
RGT)およびその他。加えて、アルツハイマー組織を正常組織と識別する抗体
と複合体を形成する上記のグルコール輸送蛋白質のフラグメントまたは抗原決定
基、例えばHEPG2残基(QGGASQSDKTPEELFHP)およびIR
GT残基(MPSGFQQIGSEDG)が存在することも発見された。もう一
つの例として、IRGT抗原決定基は、連鎖SQQLSGINAVFYYSTに
よって表される。このように、これらの蛋白質はいずれも、本発明の、アルツハ
イマー組織と正常組織を識別する上記方法においてバンド3蛋白質またはフラグ
メントの代わりに用いることができる。
以下の実施例により詳細に本発明を説明する。
実施例1
老化している脳試料およびアルツハイマー疾患の脳試料中の抗原性変化はバン
ド3、そのペプチドおよび崩壊生成物に対する抗体によって検知される。
次の蛋白質またはペプチドに対するポリクローナル抗体は標準方法により得ら
れまたはうさぎの中で産生される:
バンド3および崩壊生成物(band 3 Brk);
バンド3の細胞質ペプチド(Cyto);
バンド3のCOOH末端から812−827残基(R812−827)
SCAの生成に先立って生じる老化バンド3(980)
グルコース輸送蛋白質(Gluc)の469−485(QGGASQSD
KTPEELFHP)残基のチャンネルペプチド、および
バンド3のCOOH末端から812−830の残基(R812−827)
中年令(7カ月令)と老年令(12−13カ月令)のハツカネズミを頸部脱臼
(cervical dislocation)により屠殺した。無菌状態で脳を取り出し、氷冷した
均質化緩衝液〔5mMのヘペス(Hepes)、0.32Mの蔗糖、5.0mMの
イミダゾール、5.0mMのベンツアミジン、0.3mMのEDTA、0.5mM
のMgSO4、0.5mMのZnSO4、5.0mMのグリセロホスフェート、2.
0mMのメルカプトエタノール、0.1mg/mlのアプロティニン(シグマ社
製)、0.1mg/mlのロイペプチン(シグマ社)、0.05mg/mlのペプ
トスタチンA(シグマ社)、pH0.8〕中に入れた。脳を「ティシュテアロー
ル(Tissue Tearor)」(ブリンクマン社製)により5分間均質化し、ソーバル
(Sorball)RC-5B超遠心分離機中で4℃で8分間回転数5,000r
pmで分画型遠心分離機した。上澄みを傾斜法で取り出して氷上に置き、一方残
りのペレットは均質化緩衝液中で均質化して同じ設定条件で遠心分離にかけた。
これを3回繰り返した後、上澄みを4℃で30分間、20,000rpmで遠心
分離した。上澄みを捨て、ペレットを均質化緩衝液(10mMのATPおよび2
0%の超純粋グリセロール)に再懸濁し、イムノドットおよびリン酸化アッセイ
に備えて−70℃で保存した。
イムノドットアッセイは、若いハツカネズミ、老年のハツカネズミ、コントロ
ールおよびアルツハイマー疾患患者のバンド3、変性バンド3およびバンド3崩
壊生成物を比較するために用いた。膜またはバンド3抗体のいずれかが除かれて
いるコントロールを測定したが、いずれも同じであった。実験された値からコン
トロールの値を差し引いた。比較しようとする試料をすべて同時に測定にかけた
。
ニトロセルロース膜上に、ウエル当たり2ngから18μgの範囲の濃度で脳の
均質化した蛋白質をスポットとして載せた。次いで膜を室温で45分間乾燥し、
50mMのトリスマ(Trisma)(pH7.4)、0.1%のツイーン(Tw
een)および6.0%の脱脂乾燥ミルク(NFDM)を含むトリス(Tris
)緩衝塩溶液(TBS)-ツイーン緩衝液中で60分間遮断(block)した。それ
から膜をTBS−ツイーン(バイオラッド社製)緩衝液中で各1分間、合計3回
洗浄し、ポリクローナル抗体中で6時間インキュベートした。それから各々の膜
をTBSにより各4分間、合計4回洗浄した。TBS−ツイーンで10分間最終
水洗したのち、皿を取り換えて、各膜を6.0%NFDMの入ったTBS−ツイ
ーン中でインキュベートした。1時間後、膜を140μlの125I-蛋白質A(ア
メルシャム社製)および100mlのTBS−ツイーン中で2時間インキュベー
トした。膜をTBS−ツイーン中で各5分間、合計4回、次いで30分間ずつ2
回洗浄した。湿潤膜を、ガンマカウンター(ベックマン社製)でcpmを測定す
るため格子マークに沿って裁断した。測定はすべて3回行った。
イムノブロットアッセイの結果を表1に表した。表1
バンド3およびその崩壊生成物、老化バンド3、バンド3の合成ペプチド、合成
SCAペプチド、またはグルコース輸送チャンネルペプチド(GLUC)に対す
る抗体によって検知された老化およびアルツハイマー疾患脳中の抗原性変化コントロール:年令相応のコントロール、
結果はcpmで表されている。
*:P≦0.0001、+:P≦0.01、 ND:未測定。
バンド3の合成ペプチドに対する抗体は、若い処理および未処理ハツカネズミ
の脳組織と反応していた。
CYTO:バンド3の細胞質ペプチド、残基122−144に対する抗体、
BD3-BRK:バンド3およびその崩壊生成物を認識する抗体、
980:SCA(SCA)を生じる前の老化バンド3に対する抗体、
812−827および812−830:バンド3の輸送領域のカルボキシル末
端からのこれらペプチド残基に対する抗体、
GLUC:グルコース輸送蛋白質のチャンネルペプチドに対する抗体。
表1のデータは、バンド3の崩壊生成物での増加は年齢と関係があることを立
証している。更に、データは、アルツハイマー疾患膜への抗体980および81
2−830の結合は正常な脳の膜への結合に比べて有意に増加していることを示
している。このように抗体980および812−830はアルツハイマー疾患と
正常な脳組織とを識別する。
Cyto、バンド3Brk、980およびGluc抗体を用いるイムノドット
もアルツハイマー患者および正常な年齢相応なコントロールの血液試料から得ら
れた赤血球細胞に関して行った。結果を図1A-1Dにグラフにして表した。図
1Cから分かるように、抗体980もまた正常な対象およびアルツハイマー患者
とから得られた血液試料を識別することができる。
実施例 2
次の実施例は、アルツハイマー疾患と正常な年齢相応コントロールとのバンド
3のリン酸化の違いを示している。リン酸化は溶解した(lysed)細胞の膜中の
バンド3に結合している32Pの量をSDS−PAGEを用いて定量することによ
り比較した。
リン酸化反応は、最終濃度が100μg/mlの蛋白質キナーゼAインヒビタ
ー(シグマ社)、200mMのMgSO4、2mMのエチレンジニトリロ-テトラ
酢酸二ナトリウム塩(EDTA)、0.138mMの2-メルカプトエタノール、
および0.15mM(37 GBq/mmol)(ICN)のγ32P ATPを含
む200mMのトリス‐塩酸(Tris‐HCl)の70μlの入った均質化緩
衝液(pH7.6)50μlの中に、脳均質化物100μgを混合し、37℃で
12分間インキュベートした。リン酸化反応の終了時点で、試料を、40%のグ
リセロールと25mMのEDTAを含む1Mのトリス-塩酸緩衝液(pH6.8)
で希釈した。それぞれの試料(75μl)の50μgを6-23%のドデシル硫
酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)ゲルに載せ
、ゲルの底から2cm以内のところまで走らせた。バンド3は、イムノブロット
(ウエスターンブロット)の抗体/アルカリホスホターゼを載せた物(staining
)によって同定した。ウエスターンブロットは、ポリビニリデンジフルオライド
微多
孔膜(PVDF:ミリポア社製)上で28アンペアで22時間行った。トランス
ファーが完了した時点で、膜を50mMのトリツマ塩基(Trizma bas
e)、3%の魚ゼラチン、0.1%のツイーン(Tween)20を含むトリス
緩衝塩溶液(Tris Buffered Saline:TBS)中で、各回1
5分間、合計3回洗浄し、次いでバンド3ペプチド残基812-827に対する
ポリクローナル抗体をTBSに希釈した中で1時間インキュベートした。それか
らPVDF膜をTBS中で3×5分間洗浄し、50μlのヒツジの抗-ウサギア
ルカリホスファターゼ(ザイミッド(Zymed)社)、0.1%のマグネシウ
ムおよび亜鉛クロライド中でTBSで希釈してインキュベートした。膜を、再度
、0.1%のツイーン20を含む50mMのトリス(pH7.4)中で、各5分間
合計3回洗浄した。バンド3標識した抗体は、膜を、色が正に付き始めるまで、
2.5%のジエタノールアミン、0.3%の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-
β-D-ガラクトシド、0.7%のp-ニトロブルーテトラゾリウムクロライド中で
インキュベートすることにより同定した。放射能を持ったリン酸化した蛋白質は
、膜を光照射付き容器(lightning plus cassette)中に−70℃で24時間暴
露することにより同定した。
この実験の結果は、中年令の脳および若年の脳に比べて老齢のハツカネズミの
脳では、リン酸化は減少することを示している(図2)。更に、バンド3および
そのフラグメントのリン酸化は、年令相応のコントロールに対比してアルツハイ
マー疾患では減少している(図3)。アルツハイマー疾患の場合に観察されたバ
ンド3のリン酸化のちがい(differencial)はトリプシン残基で観察される。
バンド3のリン酸化は、脳組織の場合に記載したように、溶解した赤血球細胞
の膜中のバンド3に結合している32Pの量をSDS-PAGEを用いて定量する
ことによっても比較した。この実験の結果は、アルツハイマー疾患赤血球細胞で
は、リン酸化は、年令相応コントロールでのリン酸化に比較して減少しているこ
とを示している(図4)。
脳の結果に関しては、バンド3のリン酸化の減少/赤血球細胞への32Pの結合
の減少はイン・ビボ(即ち、分子内)でのリン酸化の増加によるものであり、し
たがって32Pで標識するには少しの部位しか残されていないことによる。図4A
は、アルツハイマー疾患およびコントロールの、前頭ジャイラス(gyrus)脳の
膜または中年令のRBC膜中のバンド3に対する抗ホスホチロシン抗体の結合を
示している。実施例 3
次の実施例は、アルツハイマー疾患とコントロール脳組織とを識別する抗体に
関するイン・ビトロでの研究を示している。
脳組織はジェイ・ロジャーズ博士(Dr.J.Rogers)(アリゾナ州、フ
ェニックスのサン・シティー・リサーチ)およびボスマン博士(Bosman)
〔ネザーランド州、ニジュメガン(Nijmegan)大学、医学部、生物化学
科〕から入手した。
バンド3に対する上記の抗体に関するイムノドットアッセイは上記の実施例に
示したようにして、およびカバー(Cover)他著、ライフ・サイエンス、第
58巻、第655-664頁(1996)(これは本発明の一部とする)に記載されたようにし
て行った。同様にニトロセルロース膜に、脳の均質化蛋白質を2ngから18μ
gの範囲の濃度でスポットとして載せた。膜を乾燥し、遮断し、ポリクローナル
バンド3抗体と一緒に6時間インキュベートした。膜は洗浄して100mlのT
GS-ツイーン中に入れた140μl(0.14μCi/ml)の125I-蛋白質A
〔比活性37MBq;0.100mCi/ml;アメルシャム(Amersha
m)社製〕中で2時間インキュベートした。洗浄した膜を、ガンマ・カウンター
(ベックマン社製)を用いてcpmを測定するために格子ラインに沿って裁断し
た。
イムノドットアッセイの結果を図5および図6に表した。図5は、抗体980
がアルツハイマー疾患と正常な脳の膜を識別することを示している。図6は、バ
ンド3および老化したバンド3への抗体の結合を示している。抗体980はバン
ド3の大きなアニオン輸送セグメント〔ANION 2;ケイ著、FASEBJ
、第5巻、第109-115頁(1990)〕を認識する。ANION 2、残基588-602
は抗体980が強く結合するバンド3の内部セグメントである。図6も、ANI
ON 1へではなく、COOHへの抗体980の微量の結合を示している。抗体
9
80によるANION 2の認識は、SCAの生成に先立つバンド3の変化がA
NION 2、残基588-602の内部またはその近くで起こることを暗示して
いる。
実施例 4
次の実施例は、バンド3に対する抗体がアルツハイマー疾患とコントロールと
の側頭皮質、およびアルツハイマー疾患とコントロールとの赤血球細胞を識別す
ることを示している。
バンド3の合成ペプチドに対する抗体は、正常な個体由来の脳の膜のバンド3
蛋白質をアルツハイマー疾患を持つ患者由来のものと識別する。これらのひとつ
である、バンド3合成ペプチドpep-COOHに対する抗体はアルツハイマー
疾患の患者由来の脳中の60,000−70,000ダルトンの範囲の3種類のも
のを検出するが、年令相応のコントロール由来の脳中のものは検出しない(参照
:サイトウ他著、アナリティカル・ニューヨーク・アカデミック・サイエンス、
第674巻、第180-192頁(1992))。pep-COOHに対する抗体はアルツハイマ
ー疾患および正常な前頭皮質の免疫組織化学的解析用に使用される。pep-C
OOHに対する抗体はCOOHが老化した細胞抗原の一成分であるために用いら
れる。pep-COOH抗体は正常な皮質中で神経細胞をほんの弱く汚染しただ
けである。ほんの少しの大きい神経細胞だけが強く反応性があった。アルツハイ
マー疾患の場合は、pep-COOHに対する抗体を標識している神経細胞の数
は260%増加した(p≦0.01)。コントロールに較べてアルツハイマー疾
患中の神経細胞の損失は50%になる(p≦0.002)ので、pep-COOH
に陽性である残留神経細胞の割合は540%増加した。アルツハイマー疾患にお
いては、pep-COOHに対する抗体は血小板の周辺で見いだされるグリア細
胞を標識した。このことはバンド3が、崩壊していない状態にあるものが支配的
である正常な神経細胞中に存在すること、およびバンド3の崩壊はpep-CO
OHへ抗体が結合しているアルツハイマー疾患において発生するを示唆している
。
図7は、バンド3のペプチド崩壊生成物および老化したバンド3を認識する、
AD-BD3およびCOOHに対する抗体を含む多数のバンド3抗体による、ア
ルツハイマー疾患の脳への結合とコントロールの脳とへの結合との間には有意差
がある(p≦0.001)ことを示している。
いくつかの抗-ペプチド抗体は、アルツハイマー疾患の脳と正常な脳とを識別
することに加えて、アルツハイマー疾患のRBCと正常なRBCとを識別する。
血清(sera)をバンド3の残基である、538-554、588-602、812
‐827に対する抗体に関してELISAを用いて選別した。これらの合成ペプ
チドはバンド3分子の関連する部分の主要な連鎖を複製する〔クドゥリスキー(
Kudrycki)およびシャル(Shull)著、ジャーナル・オブ・バイオ ロジカル・ケミストリ
、第264巻、第8185-8194頁(1989)〕。これは本発明の一部
とする。ELISAは、ベネット(Benett)およびケイ(Kay)著、エ クスペリメンタル・ヘマトロジー
、第9巻、第297-307頁(1981)に記載されたよう
にして行った。これは本発明の一部とする。パーオキシダーゼを結合したヒツジ
抗ハツカネズミイムノグログリンを第2の抗体として用いた。ペプチド抗原を0
.2mの炭酸塩緩衝液に1mg/mlの濃度で溶解し、プレートを被覆するため
にウェル当たり100μgを使用した。37℃で終夜乾燥したのち、プレートを
0.5%のツイーン20を含むリン酸塩緩衝塩溶液で3回洗浄し、それから遮断
緩衝液(blocking buffer)であるPBST中の0.01%ゼラチン(ブタの皮膚
)によって室温で振盪台(rocker)上で1時間クエンチ(quench)した。それか
らプレートをPBSTで3回洗浄し、最初は希釈率1:40、最後は希釈率1:
5で順次、遮断緩衝液(blocking buffer)中で希釈されたハツカネズミの血清
とともに1時間インクベートした。プレートを洗浄し、これをホースラディッシ
ュパーオキシダーゼを結合したヒツジ抗ハツカネズミIgGおよびIgM(重い
連鎖および軽い連鎖)(カルターク(Caltag)社製)を遮断緩衝液中で1
:6400の希釈率にした中でインクベートした。PBSTで洗浄した後、0.
1Mのクエン酸緩衝液(pH4.0)中の0.03%の2-2'ANZOビス(3-
エチルバンツチアゾリン-6-スルホン酸)ジアンモニア塩を0.01%のH2O2
とともにウエルに加えた。30分後、プレートをバイオラド(BioRad)3559ミク
ロプレートリーダー(バイオラド・ラボラトリーズ社製、カリフォルニア州リッ
チモ
ンド)で、405nmのところで読みとった。
アルツハイマー疾患のある個体および年令相応のコントロール個体に由来する
赤血球細胞中の、バンド3、変性バンド3、抗ペプチド抗体およびバンド3崩壊
生成物を比較するために“ドット-ブロット”/イムノドットアッセイを用いた
。アルツハイマー疾患のある患者由来の赤血球細胞膜と、コントロールとして用
いられる配偶者由来する赤血球細胞膜の間には、次の抗体:
AD-BD3(p≦0.04) (図7A)
と反応させたとき有意差が存在した。
また、次の抗体:
BD3-BRK(p≦0.01)、
グルコースチャンネル蛋白質(p≦0.05)、および
pep-CYTO
と反応させたとき、アルツハイマー疾患を持つ患者由来の赤血球細胞膜とコント
ロールとして用いた配偶者由来の赤血球細胞膜の間にも有意差があった。このよ
うに、赤血球と脳の中においては同じバンド3の変化が起こる(図7B−7C)
。
実施例 5
次の実施例は抗-SCAモノクローナル抗体はアルツハイマー疾患とコントロ
ールとの脳組織を識別することができることを示している。
SCAペプチドANION 1およびCOOHに対する抗体を産生する正常な
ドナーの抹消血液中で自然に発生するB細胞を、ヘテロハイブリドーマを産生す
るようにハツカネズミのP3X63-AG8.653骨髄腫細胞株へ融合した。赤
血球SCAを選別する多数のヘテロハイブリドーマはアルツハイマー疾患の脳と
コントロールの脳とを識別し(図8および9)、アルツハイマー疾患の赤血球を
コントロールの赤血球と識別した(下記参照)。ある種のモノクローナル抗体は
アルツハイマー疾患組織への結合を増し、一方他の種類のモノクローナル抗体は
コントロールに組織への結合を増加した。
これは、(a)アルツハイマー疾患組織は正常組織が含むある種の抗原性決
定基(determinant)またはその組み合わせを欠いており、また(b)アルツハ
イ
マー疾患組織は正常組織がもっていない後天性のある種の抗原性決定基またはそ
の組み合わせを持っていることを示唆している。これは、正常なヒトB細胞がS
CAに対する抗体を産生することを示している。これらの抗体は、老化に関係し
た免疫機能の低下がアルツハイマー疾患に有効であるかもしれないことを示唆し
ておりT-細胞の助けを必要とする。加えて、正常なヒト由来のB細胞がアルツ
ハイマー疾患バンド3をコントロールのバンド3と識別する抗体を産生する事実
は、健康な個体の免疫系による認識を開始することができるアルツハイマー疾患
中の変質(alteration)および遮断することができる別のものが存在することを
示唆している。これはアルツハイマー疾患に対する免疫学的および/または自己
免疫成分を支持している。
実施例 6
この実施例はバンド3およびバンド3合成ペプチドに対する抗体が組織切片中
でアルツアイマー疾患の脳を正常なコントロールの脳と区別することを示してい
る。
抗ペプチド抗体または免疫付与前のうさぎ血清と反応したアルツハイマー疾患
の脳組織およびコントロールの脳組織のエッチング切片について免疫電子顕微鏡
観察を行った。抗体の結合を、金コロイドと結合した蛋白質Aによって可視化し
た(図10)。pep-COOHおよびグルコース輸送体であるチャンネル蛋白
質に対する抗体はアルツハイマー疾患脳組織とは反応したがコントロール脳組織
とは反応しなかった。正常なうさぎ血清はアルツハイマー疾患組織とは反応せず
、コントロール組織と反応した。
実施例 7
この実施例は、アルツハイマー疾患のある10の個体のグルコースおよびアニ
オン輸送と年齢相応のコントロールの10の個体のそれとの間で観察された差異
を示している。
アニオンおよびグルコース輸送の差異は当業者にとって周知の方法により末端
血液中で観察できる。例えば、硫酸塩取り込みの測定は、カバー他著、ライフサ イエンス
、第58巻、第655-664頁(1996)に記載されているように、パーコル(Per
c
oll)勾配上での分離後の中年令者の赤血球に関して行った。赤血球を流入(inf
lux)緩衝液(300mMの蔗糖、10mMのトリスマ(Trisma)、pH7.0)
中で十分洗浄して、外部および細胞内部の塩化物を除いた。細胞を流入(influx
)緩衝液中に再懸濁させた後、5種類の硫酸塩(基質)濃度で3回アッセイを行
うためのホウケイ酸塩培養管へ2×108個の細胞を導入(aliquate)した。基
質濃度の適当なものを添加するに先立って、細胞を37℃で10分間インキュベ
ートした。最終基質濃度がそれぞれ40、20、10、5および2.5mMとな
るように、100μlの基質カクテル(400mMのK2SO4、0.25mCi
のNa2 35SO4)またはそれを連続的に希釈した一連の4種類の濃度のもの(2
00、100、50および25mMのK2SO4)のひとつを、適当な時間間隔で
適当な細胞懸濁液の入った管に加えた。37℃で正確に5分間インキュベートし
たのち、細胞懸濁液の0.5mlを抽出し、9.0mlの氷冷した洗浄用緩衝液(
1.15KCl、10mMのMOPS、pH7.4)に加えた。それから細胞を洗
浄緩衝液で3回洗浄し、遠心分離して、上澄み液をすべて捨てた。細胞のペレッ
ト状物を10%のトリクロロ酢酸0.8mlで脱蛋白し、遠心分離にかけて、そ
れぞれの管からの600μlの上澄み液を、β-線放射を測定するための5.0m
lのオプティ‐フルオル(Opti-Fluor)シンチレーションカクテルに
加えた。硫酸塩吸収速度はnmol/108cells/minとして表現した
。
D-グルコース取り込み測定はパーコル(Percoll)勾配上で分離した中年令者
の末梢赤血球に関して行った。外部および細胞内部のグルコースを除くために、
赤血球を20mMのリン酸塩緩衝液(pH7)中で十分洗浄した。細胞をリン酸
緩衝液中に再懸濁したのち、2×108個の細胞をホウケイ酸塩培養管中へ導入
(aliquote)し、アッセイを5種類のD-グルコース(基質)濃度で3回行うた
めに氷上に置いた。最終基質濃度がそれぞれ2、1、0.5、0.25および0.
125mMとなるように、100μlの基質カクテル(20mMのD‐グルコー
ス、0.3mCiのD-3H-グルコース)またはそれを連続的に希釈した一連の4
種類の濃度のもの(10、5、2.5および1.25mM D‐グルコース)のひ
とつを、適当な時間間隔で適当な細胞懸濁液の入ったチューブに加えた。0℃で
正確に5
分間インキュベートしたのち、細胞懸濁液の0.5mlを抽出し、9.0mlの氷
冷した停止用緩衝液(20mMのリン酸塩緩衝液、0.1mMのフロレチン(phl
oretin)、pH7.4)に加えた。それから細胞を停止用緩衝液で3回洗浄し、
遠心分離して、上澄み液をすべて捨てた。細胞のペレット状物を10%のトリク
ロロ酢酸0.8mlで脱蛋白し、遠心分離にかけて、それぞれの管からの600
μlの上澄み液を、β‐線放射を測定するための5.0mlのオプティ-フルオル
(Opti-Fluor)シンチレーションカクテルに加えた。D-グルコース取
り込み速度はpmol/108cells/minとして表現した。
アルツハイマー疾患患者の赤血球によるアニオンおよびグルコース輸送は、同
じ実験で平行して行ったコントロールでの試験よりも確実に低かった。試料の量
が少ないことと個体間のばらつきのために、データはコントロールの輸送に対す
る患者の相対的輸送として解析した。コントロールは常に配偶者とした。グルコ
ース輸送のVmaxとKmの差は統計的に有意(それぞれ、p≦0.04および0.0
3;表II)であった。また、アニオン輸送の差もVmax(p≦0.001)および
Km(p≦0.04;表II)について統計的に有意であった。
硫酸塩取り込み速度は、赤血球、脳および白血球において年令とともに減少し
た(即ち、アニオン輸送の減少)。特に脾臓白血球によるアニオン輸送は年令と
ともに24%減少した(老齢のハツカネズミと中年令のハツカネズミとでp≦0
.005;老齢ハツカネズミと若いハツカネズミとでは30%;p<0.001)
。
実施例10参照。
このように、アルツハイマー疾患のある個体由来のRBCはアニオンおよびグ
ルコース輸送の効率を低下し、その配偶者および年令相応のコントロールに比べ
て、アニオンおよびグルコース結合部位(Km)の数の減少を示した。アニオン
輸送もまた白血球において年令とともに減少した。
1)Vmax:mmol/108cells/min.、Km:mM。
2)Vmax:pmol/108cells/min.、Km:mM。
3)統計的解析(p値)は各実験について、コントロールの輸送に対し患者の
輸送を比較したものである。コントロールは通常環境効果を保証するための配偶
者を用いた。
実施例 8
この実施例は抗SCAモノクローナル抗体がアルツハイマー疾患とコントロー
ルの赤血球細胞を識別することができることを示している。実施例5で記載した
多数のヘテロハイブリドーマはアルツハイマー疾患とコントロールとの赤血球を
識別した(図11)。ある種のモノクローナル抗体はアルツハイマー疾患の赤血
球細胞と反応し、一方、他のモノクローナル抗体はコントロールの赤血球細胞と
反応した。
実施例 9
この実施例は、バンド3ペプチド588-602および822-839に対する
血清の自己抗体がコントロールに比べてアルツハイマー疾患患者中で増加するこ
とを示した。
自然に産生する自己抗体を、これらの抗体がアルツハイマー疾患とともに増加
するかどうかを測定するために熟成中ELISAによってヒト血清中の老化細胞
抗原に対して定量測定した。また自然に産生する自己抗体は、それらを既知のア
ルツハイマー疾患組織、例えば脳、と反応させることによっても検知し、、また
は定量することができる。
血清の自己抗体はバンド3ペプチド588-602および822-839に対し
て、コントロールよりもアルツハイマー疾患患者中で増加した(両側t検定p≦
0.06;図12)。有意性は試料の大きさが増加するに連れて増加することが
期待される。これらのバンド3残基はアニオン輸送/結合領域に存在する。この
ことは、変性は患者の免疫系によって抗原的に異なるものと認識されるから、ア
ルツハイマー疾患のこの領域の変性と一致する。これはアニオン輸送において観
察された減少と一致する(実施例7)。588-602領域に対する自己抗体の
発生は、これが「老化を受け易い部位」であることを示すデータと一致している
。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.(a)アルツハイマー疾患を持つと疑われる患者由来のバンド3を含む組 織試料を、アルツハイマーのバンド3を正常なバンド3と識別する抗体と、上記 抗体とバンド3との間で複合体を形成するに効果的な条件下で接触させること; (b)上記複合体を検知すること; (c)健康な個体由来のバンド3を含む組織試料を、アルツハイマー疾患を正常 バンド3から識別する抗体と接触させ、十分な時間およびもし複合体を形成する のであれば上記抗体とバンド3との間で複合体が形成されるに効果的な条件下で インキュベートさせること;および (d)ステップ(b)で形成された複合体の量をステップ(c)で形成された複 合体の量と比較すること、即ち、アルツハイマー疾患の存在を示す、ステップ( c)に比べてのステップ(b)で形成された複合体の統計的な増加量を比較する ことを含むアルツハイマー疾患の検知方法。 2.(a)アルツハイマー疾患を持つと疑われる患者由来のバンド3を含む組 織試料を、アルツハイマーのバンド3を正常なバンド3と識別する抗体と、上記 抗体とバンド3との間で複合体を形成するに効果的な条件下で接触させること; および (b)上記複合体を検知すること、 を含むアルツハイマー疾患の検知方法。 3.上記組織試料が大脳皮質、血液またはそのフラクション、赤血球細胞、赤 血球細胞膜または白血球細胞である請求項1または2に記載の方法。 4.上記抗体が抗体980である請求項1または2に記載の方法。 5.上記抗体がAD-BD3である請求項1または2に記載の方法。 6.上記抗体がバンド3のペプチド812-827と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 7.上記抗体がバンド3のペプチド812-830と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 8.上記抗体がバンド3のペプチド822-839と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 9.上記抗体がバンド3のペプチド853-870と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 10.上記抗体がバンド3のペプチド538-554と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 11.上記抗体がバンド3のペプチド588-602と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 12.上記抗体がバンド3のペプチド469-485と複合体を形成する請求項 1または2に記載の方法。 13.上記抗体がバンド3のペプチド538-554および812-827の混合 物と複合体を形成する請求項1または2に記載の方法。 14.上記抗体がバンド3のペプチド588-602および812-827の混合 物と複合体を形成する請求項1または2に記載の方法。 15.(a)アルツハイマー疾患を有する疑いのある患者の第1の組織試料中の 、バンド3蛋白質またはその崩壊生成物のリン酸化の量を測定すること;および (b)バンド3蛋白質またはその崩壊生成物の上記リン酸化の量を、健康なコン トロール個体中の第2の組織試料中のバンド3蛋白質またはその崩壊生成物のリ ン酸化の量と比較すること;を含み、 上記第1の試料中の統計的なリン酸化量の減少がアルツハイマー疾患を示唆して いるアルツハイマー疾患の検知方法。 16.上記組織試料が大脳皮質、血液またはそのフラクション、赤血球細胞、赤 血球細胞膜または白血球細胞である請求項15記載の方法。
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