JP2000034300A - 抗リン酸化タウ蛋白質抗体及びそれを用いるアルツハイマー病の検出方法 - Google Patents
抗リン酸化タウ蛋白質抗体及びそれを用いるアルツハイマー病の検出方法Info
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Abstract
マー病の検出方法を提供する。 【解決手段】 ペアード・ヘリカル・フィラメント中の
リン酸化タウ蛋白質の部分ペプチドであって、配列表の
配列番号1で表されるアミノ酸配列中の199位のセリ
ン残基を含み、そのセリン残基がリン酸化されているペ
プチド、231位のスレオニン残基を含み、そのスレオ
ニン残基がリン酸化されているペプチド、235位のセ
リン残基を含み、そのセリン残基がリン酸化されている
ペプチド、ならびに、231位のスレオニン残基及び2
35位のセリン残基を含み、そのスレオニン残基及びセ
リン残基がリン酸化されているペプチドから選ばれる部
分ペプチドを免疫原として得られ、前記部分ペプチドに
特異的に結合する前記リン酸化タウ蛋白質に対する抗体
と、アルツハイマー病の疑いのある個体から得られた試
料との反応性を調べることにより、アルツハイマー病の
検出を行う。
Description
検出に用い得る抗体に関し、更に詳細には、ペアード・
ヘリカル・フィラメント(Paired Helical Filament)
中のリン酸化タウ蛋白質のリン酸化部位を含む部分ペプ
チドに対する抗体、それを含む試薬キット、及び前記抗
体またはキットを用いたアルツハイマー病の検出方法に
関する。
才)に発病する進行性の痴呆で、病的な変化として神経
細胞の変質及び神経細胞数の減少による大脳皮質の萎縮
が認められ、また、病理学的には、その脳内に多数の老
人斑と神経原線維変化が認められる。65才以上の老年
期に発症するいわゆる自然老化による老年痴呆も、病理
学的に何ら本質的な差は認められないため、アルツハイ
マー型老年痴呆と呼ばれている。
ともに増大し、社会的に重要な疾患となっている。しか
し、この疾患の原因については諸説あるものの結果的に
は未だ不明であり、早期の解明が望まれている。
る老人斑の主要成分が、アミロイドβプロテインである
ことが解明されている(Annu. Rev. Neurosci., 12, 46
3-490(1989))。また、もうひとつの病理変化である神
経原線維変化は、神経細胞内にPHF(ペアード・ヘリ
カル・フィラメント:Paired helical filament)が蓄
積してくるものであり、その構成成分のひとつとしてタ
ウ蛋白質が同定されている(J. Biochem., 99, 1807-18
10(1986); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83,4913-4917
(1986))。
ミドゲル電気泳動で分子量48〜65kDに数本のバンド
を形成する一群の近縁蛋白質であり、微小管の形成を促
進することが知られている。
れたタウ蛋白質は、通常脳中のタウ蛋白質よりも異常に
リン酸化されていることが、PHFに対するポリクロー
ナル抗体(抗ptau; J. Biochem., 99, 1807-1810(198
6))や、タウ蛋白質に対するモノクローナル抗体(tau-1
抗体; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83. 4913-4917(19
86))を用いて証明されている。また、PHF中に組み
込まれたリン酸化タウ蛋白質のリン酸化部位も決定され
るなど(特開平6-239893)、アルツハイマー病における
タウ蛋白質の機構が判明しつつある。さらに、PHF中
のリン酸化タウ蛋白質のリン酸化部位を含む部分ペプチ
ドを免疫原とする抗体がアルツハイマー病の検出に有用
であることが見出されている(国際公開パンフレット第
WO97/34145号)。
マー病に対する特異性が一層高いアルツハイマー病の検
出方法を提供することを課題とする。
のリン酸化タウ蛋白質のリン酸化部位を含む部分ペプチ
ドを免疫原とする抗体を用いるアルツハイマー病の検出
において、特定の部分ペプチドを免疫原とする抗体を用
いた場合に、顕著にアルツハイマー病に対する特異性が
上昇することを見出し本発明を完成するに至った。
・フィラメント(Paired Helical Filament)中のタウ
蛋白質の部分ペプチドを免疫原として得られ得る、前記
リン酸化タウ蛋白質に対する抗体であって、前記部分ペ
プチドは、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列
中の199位のセリン残基に相当するセリン残基を含
み、そのセリン残基がリン酸化されているペプチド、2
31位のスレオニン残基に相当するスレオニン残基を含
み、そのスレオニン残基がリン酸化されているペプチ
ド、235位のセリン残基に相当するセリン残基を含
み、そのセリン残基がリン酸化されているペプチド、な
らびに、231位のスレオニン残基に相当するスレオニ
ン残基及び235位のセリン残基に相当するセリン残基
を含み、そのスレオニン残基及びセリン残基がリン酸化
されているペプチドから選ばれるものであり、前記抗体
は前記部分ペプチドに特異的に結合することを特徴とす
る抗体が提供される。
分ペプチドが、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸
配列中の231位のスレオニン残基に相当するスレオニ
ン残基及び235位のセリン残基に相当するセリン残基
を含み、そのスレオニン残基及びセリン残基がリン酸化
されているペプチドである上記抗体が提供される。
分ペプチドが、そのリン酸化部位のアミノ酸残基とその
前及び/または後の複数個のアミノ酸残基を含むペプチ
ドである上記抗体が提供される。このような抗体として
は、リン酸化部位を含む部分ペプチドが配列表の配列番
号2のアミノ酸番号2〜12、配列番号3のアミノ酸番
号2〜14、配列番号4のアミノ酸番号2〜12または
配列番号5のアミノ酸番号2〜12のアミノ酸配列で表
される上記抗体がある。
とも、上記いずれかの抗体を含んでなる、アルツハイマ
ー病の検出に用いるための試薬キットが提供される。
いずれかの抗体と、アルツハイマー病の疑いのある個体
から得られた試料との反応性を調べることを特徴とする
アルツハイマー病の検出方法が提供される。
ヒト由来のものである。タウ蛋白質の具体例としては、
Goedert et al., Neuron, 3, 519-526(1989)に記載の3
52アミノ酸残基〜441アミノ酸残基の一次構造を有
するタウ蛋白質等が挙げられる。
えば、一次構造が配列表の配列番号1で表されるアミノ
酸配列中の199位のセリン残基を含み、そのセリン残
基がリン酸化されているペプチド、231位のスレオニ
ン残基を含み、そのスレオニン残基がリン酸化されてい
るペプチド、235位のセリン残基を含み、そのセリン
残基がリン酸化されているペプチド、ならびに、231
位のスレオニン残基及び235位のセリン残基を含み、
そのスレオニン残基及びセリン残基がリン酸化されてい
るペプチドから選ばれるものが使用される。
のスレオニン残基及び235位のセリン残基を含み、そ
のスレオニン残基及びセリン残基がリン酸化されている
ペプチドを使用することが好ましい。
てはアミノ酸配列が相違する場合もあるが、アミノ酸配
列の比較によってこれらのスレオニン残基及びセリン残
基に相当するスレオニン残基及びセリン残基を容易に特
定できる。
部分ペプチドとしては、上記リン酸化部位のアミノ酸残
基とその前及び/または後の複数個のアミノ酸残基を含
むペプチドが好ましい。特に、リン酸化部位のアミノ酸
残基の前もしくは後ろの一方または両方に、1〜7アミ
ノ酸残基、より好ましくは3〜5アミノ酸残基含むペプ
チドが好ましい。更に、これら部分ペプチドの中では、
配列表の配列番号2のアミノ酸番号2〜12、配列番号
3のアミノ酸番号2〜14、配列番号4のアミノ酸番号
2〜12または配列番号5のアミノ酸番号2〜12のア
ミノ酸配列で表されるものが好ましく、配列番号2のア
ミノ酸番号2〜12のアミノ酸配列で表されるものが最
も好ましい。
は、少なくとも、特定された位置でリン酸化されていな
い部分ペプチドに結合しないことを意味する。
ウ蛋白質のリン酸化部位を含む部分ペプチドを免疫原と
して動物を免疫し、その動物から血清を調製することに
よって得られる。その際、上記ペプチドのアミノ末端も
しくはカルボキシル末端に反応性の官能基を有するアミ
ノ酸、例えばシステイン、リジン、グルタミン酸、アス
パラギン酸等を導入したものをハプテンとして担体蛋白
質に結合し、それを免疫原に用いることが好ましい。
アミノ酸及び複素環式アミノ酸を有さない場合には、Te
trahedron Lett., 32, 7083-7086 (1991)に記載されて
いるように、リン酸化部位に対する保護基としてフェニ
ル基を使用した固相法によるペプチド合成法により合成
される。
複素環式アミノ酸を有する場合には、Peptide Chemistr
y 1993, 109-112(1994)に記載されているように、リン
酸化部位に対する保護基としてシクロヘキシル基を使用
したペプチド固相法、あるいはChem. Lett., 1099-1112
(1994)に記載されているように、リン酸化部位に対す
る保護基としてベンジル基を使用したペプチド固相法に
より合成される。
成された部分ペプチドを、牛血清アルブミン(BS
A)、甲状腺グロブリン、キーホール・リンペットのヘ
モシアニン等の担体蛋白質に結合させる。結合は、適当
な縮合剤、例えばマレイミド、グルタールアルデヒド、
カルボジイミド等を用いて容易に行うことができる。か
くして得られる担体蛋白質に結合されたペプチドを動物
に免疫する。動物の免疫は、通常の抗体の製造と同様に
して行えばよい。すなわち、担体蛋白質に結合されたペ
プチドを含む溶液を、必要に応じてアジュバントと混合
し、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ等、
通常抗体の製造に用いられる動物の皮下または腹腔内に
投与する。初回免疫後、2〜3週間毎に追加免疫を行う
と、力価の高い抗血清が得られる。免疫した動物から血
液を採取し、血清を調製する。本発明においては、得ら
れた抗血清は、精製することなくそのまま用いることも
できるが、血清を熱処理して補体を失活させた後、硫酸
アンモニウムによる塩析、イオン交換クロマトグラフィ
ー等によってイムノグロブリン画分を精製してもよい。
また、特定の部分ペプチドを固定化したペプチドカラム
を用いて抗体を精製することにより、上記で示したリン
酸化部位またはその近傍を特異的に認識する抗体が得ら
れる。
取し、常法によって、同系動物由来のミエローマ細胞等
の培養細胞と融合させてハイブリドーマを作製し、その
ハイブリドーマの培養液からイムノグロブリン画分を調
製することによって、特定のエピトープを認識するモノ
クローナル抗体が得られる。
マー病の疑いのある個体から得られた試料とを、それ自
体既知の通常用いられる方法により免疫反応させ、抗原
−抗体反応物を検出して試料と抗体との反応性を調べる
ことによりアルツハイマー病を検出できる。また、得ら
れた抗体を用いて、上記免疫反応及び検出工程等を含む
アルツハイマー病の検出に用いるための試薬キットを調
製できる。このようなキットは、通常の免疫反応を利用
したキットと同様の構成によって提供される。すなわ
ち、本発明の試薬キットは、少なくとも本発明の抗体を
含み、さらに任意の要素として、試料希釈液、洗浄液、
標識化抗体または標識化抗原、色素、陽性コントロール
用のペプチド等を含む。
と、例えば次の通りアルツハイマー病を検出できる。
から試料を入手し、次いで上記のようにして得られた抗
体と反応させる。前記試料としては、大脳皮質等の組
織、脳脊髄液または血液等の体液が挙げられる。組織の
試料を本願発明に従って検出する場合、組織が約0.1
mg程度必要である。また脳脊髄液や血液を試料として
用いる場合、約0.5〜0.01ml程度が必要であ
る。
料を生理的緩衝液中でホモジナイズし、遠心分離し、次
いで得られた上清はまず分画して潜在している免疫グロ
ブリンを除去したのち、上記で得られた抗体に対する反
応性を指標として試験を行う。
で得られた抗体を加えて免疫ブロットを行う。このとき
抗体には通常使用されるような標識を付けることにより
検出してもよく、この抗体と免疫反応性のある二次抗体
と反応させることにより検出してもよい。
のある個体について、試料と抗体との反応性を調べ、ア
ルツハイマー病でない個体のコントロールと比較して反
応性が増大している場合は、その個体はアルツハイマー
病であると確認される。また、アルツハイマー病である
個体のコントロールと比較して反応性が低下している場
合は、その個体はアルツハイマー病でないと、確認され
る。このようにして、本発明によってアルツハイマー病
の検出を行うことができる。
特異性が一層高いアルツハイマー病の検出が可能になる
理由は、本発明で使用される抗体の反応するリン酸化部
位がアルツハイマー病に一層特異的なものであるためと
考えられる。
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
表1に示す通りである。表中、*はリン酸化部位を示
す。
ト第WO97/34145号記載の製造例に従い化学合成によって
得た。また、PT231PS235、PT231、PT235及びPS199につ
いては、リン酸化されていないペプチドも得た。
それぞれを、等重量のキーホール・リンペットのヘモシ
アニンに結合させて免疫原を調製した。免疫原0.2m
gを0.3mlの生理食塩水に溶解し、等容量のフロイ
ントアジュバントと乳濁させて、3週間毎にウサギに免
疫した。得られた抗血清を、先ずそれぞれの抗原ペプチ
ドの非リン酸化ペプチドを結合させたアフィゲル(Affig
el)15(Bio-Rad社製)カラムに通し、未吸着画分を回収
し、次いでこの画分を、それぞれの抗原ペプチドを結合
させたアフィゲル15(Bio-Rad社製)カラムを通し、吸
着画分をジェントルエリューションバッファ(gentle el
ution buffer, Pierce社製)で溶出させることにより精
製して、上記で示したリン酸化部位を特異的に認識する
抗体を得た。
WO97/34145号記載の実施例1と同様にドットブロットで
確認した。
下、脳脊髄液A)及び非アルツハイマー病のヒトの剖検
脳から得た脳脊髄液(以下、脳脊髄液N)11mlを凍結乾
燥し水に溶解することで体積を25分の1に濃縮し、1mM
EDTA及び1mM EGTAを含むTBS(組成:20 mM Tris-HCl (p
H7.5), 150 mM NaCl)に対し透析した。NaClを最終濃度
0.5 M、2-メルカプトエタノールを最終濃度0.1Mになる
ように加えて95℃で10分問加熱した。12,000rpm、10分
間の遠心で熱変性した蛋白質を除去し、タウ蛋白質を上
清に回収した。上清を凍結乾燥し水に溶解し体積を12.5
分の1に濃縮し、1mM EDTA及び1mM EGTAを含むTBSに対
し透析した。次いで、プロテインGセファロース(Prote
in G-Sepharose)をTBSに懸濁した液(5090懸濁液)を150
μl加え、一晩タッグローターにより撹拌し、12,000rp
m、短時間の遠心をして、プロテインGセファロースに
結合したヒト免疫グロブリンを除去した。得られた上清
にツイーン(Tween)20を最終濃度0.05%、NaClを最終濃
度0.5Mになるように加えた。これに抗体ビーズを加え、
一晩タッグローターで撹件し、タウ蛋白質を抗体ビーズ
に結合させた。このビーズをTBST(組成:0.05%ツイー
ン20を含むTBS)100μlで3回洗い、タウ蛋白質を結合し
た抗体ビーズとしてタウ蛋白質を得た。
号1におけるアミノ酸番号159〜163の部位に対するモノ
クローナル抗体HT7(Innogenetics社製)を抗マウスI
gGダイナビーズ(anti-mouse IgG-Dynabeads)にジメチ
ルピメリミデート(dimethylpimelimidate)・2HCl (DMP)
により化学結合させたものである。
さらに2倍濃度のLaemmliのサンプル処理液(0.125 M Tr
is-HCl(pH6.8), 4% SDS, 20% グリセロール,20ug/ml B
PB, 0.7 M 2-メルカプトエタノール)を5μl加え、95℃
で5分間加熱して、タウ蛋白質を可溶化した。
アミドゲルを用いてLaemmliの方法(Nature 227, 680-6
85 (1970))により電気泳動し、セミドライブロッター
によりPVDF膜に転写した。
して用いた。ビオチン化抗体は、0.16 Mホウ酸ナトリウ
ム緩衝液(pH8.5)中でスルホ-NHS-LC-ビオチンをIgGの80
倍当量加え、一晩4℃で反応させた後、NAP-5 (Pharmaci
a Biotech社製)で小分子量物質を除去し、BSAを1%にな
るように加えて作製した。
である。
ロット 操作1 ブロッキングと抗体処理 5%スキムミルク、1.5%正常ヤギ血清入りのTBS 20mlで
膜を1時問ブロッキングした。0.3μg/mlのビオチン化
抗PSl99抗体溶液を2.5ml膜に乗せ、湿箱中で一晩4℃で
反応させた。膜をTBST 20m1で10分間3回洗い、未反応
の抗体を除去した。
トレプトアビジン(streptoavidin)処理とECLによる免疫
ブロット HRP-ストレプトアビジン(Amersham社)を1200倍希釈し
た液に膜を浸して1時間反応させ、膜をTBST 20mlで5
分間6回洗い、未反応のHRP-ストレプトアビジンを除去
した。Amersham社のECL plusTMのA液2mlとB液50μlの混
合物で膜を湿らせ、透明シートに挟み、Hyperfilm ECL
TMと数十秒から数十分間密着させることで、膜上の抗原
の存在を化学発光により検出した。脳脊髄液Aの場合で
は、30〜35kDのバンドが検出された。脳脊髄液Nの場合
にも同様なバンドが検出されたが蛋白質量当たりの発光
は弱かった。
し、ストリッピングバッファ(stripping buffer)(2%S
DS, 100mM 2-メルカプトエタノール, 62.5mM Tris-HCl
(pH6.8)) 20ml中で50℃に1時間加熱することで、膜の
抗原に結合したビオチン化抗体、およびその抗体に結合
したHRP-ストレプトアビジンを解離させた。TBST 20ml
で10分問3回洗浄した。
時問ブロッキングし、操作2を繰り返し、化学発光しな
いことを確認することにより抗体の解離を確認した。
し、ストリッピングバッファ(2%SDS, 100mM 2-メルカ
プトエタノール, 62.5mM Tris-HCl (pH6.8)) 20ml中で
50℃に1時間加熱することで、膜に結合したHRP-ストレ
プトアビジンを解離させた。TBST 20mlで10分間3回洗
浄した。
い、さらに操作2により30〜35kDのバンドが消えること
を確認した。次いで、操作3,4,5により膜を再生し
た。
疫ブロット 再生した膜を使用し、ビオチン化抗PS199抗体のときと
同様にビオチン化抗PT231PS235抗体を用いて免疫ブロッ
トをして、同じ抗原が抗PT231PS235抗体と反応すること
を確認した。抗PT231PS235抗体では、脳脊髄Nの場合に
バンドが検出されなかった。
K1結合アフィゲルカラム、PT231結合アフィゲルカラ
ム、PS235結合アフィゲルカラムに次々と通して未吸着
画分を得て、それをさらにPT231PS235結合アフィゲルカ
ラムに通して吸着する画分をエリューションバッファに
より溶出して得たものである。
くともSerl99がリン酸化された分子量30,000〜35,000の
タウの断片が存在すること、しかも、アルツハイマー病
患者でリン酸化が亢進していることがわかった。さら
に、アルツハイマー病患者では、Thr231及びSer235がリ
ン酸化された分子量30,000〜35,000のタウの断片が認め
られることがわかった。
のエンザイムイムノアッセイ(EIA)による反応性の
検討 (1)可溶性ヒトPHF(ペアードヘリカルフィラメン
ト)タウ蛋白質の調製と定量 ヒト脳からのPHFタウ蛋白質の抽出及び精製 PHFタウ蛋白質はアルツハイマー病(AD)患者の剖
検脳組織からH. Ksiezak-Redingetal., Journal of Neu
roscience Research, 25, 412-419(1990)の方法に準じ
て抽出、精製した。すなわち、AD患者の剖検脳からで
きるだけ血管と白質とを取り除き、1g当たり、リアセ
ンブリバッファ(Reassembly Buffer(RAB);組成:
100mM MES(2−(N−モルホリノ)エタンス
ルホン酸)緩衝液(pH6.9)、1mM EGTA
(エチレングリコール−O,O’−ビス(2−アミノエ
チル)−N,N,N’,N’−四酢酸)、0.5mM
MgSO4、0.75M NaCl、0.5mM PMS
F(フェニルメタンスルフォニルフルオリド)、20m
M NaF、0.5mMオルトバナジン酸ナトリウム、
蛋白質分解酵素阻害剤カクテル(1μg/mlロイペプ
チン、1μg/mlアンチパイン、0.1μg/mlペ
プスタチン、5mM PMSF、1mg/ml TLCK
(トリシルリシンクロロメチルケトン)))を2ml加
えて細切し、超音波破砕し、ホモジナイザーで懸濁液に
した。4℃、45分間、40,000rpmで遠心分離
して沈殿を得た。PHFタウ蛋白質抽出緩衝液(組成:
10mMトリス、10%スクロース、1mM EGT
A、0.85M NaCl、0.5mMオルトバナジン
酸ナトリウム、0.5mM PMSF、20mM Na
F、蛋白質分解酵素阻害剤カクテル、pH7.4)に沈
殿を懸濁し(組織1g当たり12ml)、4℃、30分
間、13,000rpmで遠心分離して上清を得た。沈
殿に再度PHFタウ蛋白質抽出緩衝液を加えて懸濁し、
4℃、30分間、13,000rpmで遠心分離して上
清を得、前回の上清と合わせた。この上清に最終濃度が
1%になるように25%N−ラウロイルザルコシンナト
リウム水溶液を加えて、室温で45分間40,000r
pmで遠心分離して沈殿を得た。沈殿に最少量(1〜2
ml)のRABを加えて超音波により懸濁した後、上清
を捨てた。沈殿に2Mグアニジンイシチオシアン酸塩水
溶液を(組織1g当たり2.4ml)加えて超音波によ
り懸濁した後、37℃で15分間激しくかき混ぜた。2
5℃、60分間、40,000rpmで遠心分離して上
清を得た。上清を蒸留水に対し4℃で2日透析した(蒸
留水を4回交換した)。透析内液を約10分間煮沸した
後、冷却し、25℃、30分間、40,000rpmで
遠心分離し、沈殿が混入しないように注意して上清を得
た。得られた上清を10mlずつ小分けし、ドライアイ
ス上で凍結した後、凍結乾燥した。凍結乾燥粉末をPB
S(0.15M NaCl、10mMリン酸緩衝液pH
7.4)100μlに溶解し、10〜20μlずつ小分
けして凍結保存した。
61, 1828-1834(1993)の方法を用いたInnogenetics N.
V.社のタウ蛋白質測定キットを用いて、で得られたP
HFタウを定量した。測定方法はキットの方法に従っ
た。
ナル抗体HT7(Innogenetics社製;配列番号1のアミノ
酸番号159〜163に対する抗体)の0.1M炭酸ナ
トリウム緩衝溶液(4μg/ml、pH9)0.1ml
を加え、湿潤箱中で4℃、1晩インキュベートして固定
化した。上清を除去後、0.1M炭酸ナトリウム緩衝液
で洗浄し、1%BSA、1%スキムミルク、0.5%ゼ
ラチンを含むPBS(10mMリン酸ナトリウム、15
0mM NaCl、pH7.4)溶液、0.2mlを加
えて4℃で2時間ブロッキングした。洗浄液(20mM
トリス、0.05%ツイーン20、pH7.4)で洗浄
後、直ちに使用するか、または、すぐに使わない場合
は、ブロッキング液0.2mlを加えた段階で4℃湿潤
箱中に保存した(保存した場合、使用に先立ち、洗浄液
で洗浄する)。
酸化タウ蛋白質の測定 試料(脊髄液;CSF)50μlをウェルに加えた。更
に、アッセイ緩衝液(0.1%BSA、1mM EDT
A、1mM EGTA、20mMトリス、0.15M N
aCl、0.05%ツイーン20、pH7.4)25μ
lを加えた。検量線(標準曲線)用のウェルには、試料
とマトリックスを揃えるため、室温に放置してタウ蛋白
質を脱リン酸化させたCSF50μlをウェルに加え
た。そこへ上記(1)で定量済みの標準品(リン酸化タ
ウ蛋白質)のアッセイ緩衝溶液25μlをウェルに加え
た。
ン酸化タウ蛋白質ウサギ抗体(抗PT231PS235
抗体)を25ng/ml含む2%正常ヤギ血清含有アッ
セイ緩衝液25μlを加え、プレートシーラーでシール
し、振り混ぜながら、4℃で一晩インキュベートした。
ウサギIgG抗体(ENVISION+/HRPデキス
トランポリマー試薬;DAKO社)を1%正常ヤギ血
清、5%スキムミルク、0.5%正常マウス血清含有の
アッセイ緩衝溶液で80倍に希釈した液を100μl加
えて、プレートシーラーでシールし、振り混ぜながら、
4℃で2時間インキュベートした。
5’−テトラメチルベンジジン)2.6432mgを秤
取し、DMSO(ジメチルスルホキシド)0.1mlに
溶解後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.4)10m
lに加え、30%過酸化水素水を3.3μl添加して調
製した基質溶液を0.1ml加えて室温で30〜40分
間反応させた。1M硫酸0.1mlを加えて反応を停止
させ、プレートリーダーで450nmの吸光度を測定し
た。
量線の一例を図1に示す。また、抗PS199抗体を使
用した検量線の一例を図2に示す。
99抗体を使用して、アルツハイマー病(AD)患者及
び他の疾患患者のCSF中のリン酸化タウ蛋白質を測定
した結果(PT231PS235値及びPS199値)を表2及び表3
に示す。CSF−tau値は、リン酸化非依存的なタウ
蛋白質測定法(上記(1)ので用いたタウ蛋白質測定
キットによる)による測定値を示す。また、CSF中の
P−tau値とCSF−tau値との相関を図3及び図
4に示す。図3及び図4中、黒丸はAD群、白丸は非A
D群である。
ol/mlとすると、感度は100%(18/18)、
特異性は100%(23/23)であり、リン酸化非依
存的なタウタンパク質測定法(閾値を4fmol/ml
とすると、感度は100%(18/18)、特異性は5
2%(12/23)である)に比較して、抗PT231
PS235抗体を用いる検出方法は、疾患特異性が高
く、ADの診断に有用であることが明らかである。
ol/mlとすると、感度は100%(17/17)、
特異性は87%(20/23)であり、リン酸化非依存
的なタウタンパク質測定法に比較して、抗PS199抗
体を用いる検出方法は、疾患特異性が高く、ADの診断
に有用であることが明らかである。
を使用して、アルツハイマー病(AD)患者(5名)及
び他の疾患患者(5名)のCSF中のリン酸化タウ蛋白
を測定した結果、いずれも、全てのAD患者でのみリン
酸化タウ蛋白質が検出されたが、全ての他の疾患患者で
はリン酸化タウ蛋白質は検出されなかった。従って、抗
PT231抗体及び抗PS235抗体を用いる方法も疾
患特異性が高く、ADの診断に有用である。
層特異的なアルツハイマー病の検出方法を提供できる。
235抗体を用いるEIA測定系における検量線であ
る。
を用いるEIA測定系における検量線である。
EIA測定系によるリン酸化タウ蛋白質の測定値と、リ
ン酸化非依存的なタウ蛋白質測定法によるタウ蛋白質の
測定値との相関を示す。
系によるリン酸化タウ蛋白質の測定値と、リン酸化非依
存的なタウ蛋白質測定法によるタウ蛋白質の測定値との
相関を示す。
Claims (6)
- 【請求項1】 ペアード・ヘリカル・フィラメント(Pa
ired Helical Filament)中のリン酸化タウ蛋白質の部
分ペプチドを免疫原として得られ得る、前記リン酸化タ
ウ蛋白質に対する抗体であって、前記部分ペプチドは、
配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列中の199
位のセリン残基に相当するセリン残基を含み、そのセリ
ン残基がリン酸化されているペプチド、231位のスレ
オニン残基に相当するスレオニン残基を含み、そのスレ
オニン残基がリン酸化されているペプチド、235位の
セリン残基に相当するセリン残基を含み、そのセリン残
基がリン酸化されているペプチド、ならびに、231位
のスレオニン残基に相当するスレオニン残基及び235
位のセリン残基に相当するセリン残基を含み、そのスレ
オニン残基及びセリン残基がリン酸化されているペプチ
ドから選ばれるものであり、前記抗体は前記部分ペプチ
ドに特異的に結合することを特徴とする抗体。 - 【請求項2】 前記部分ペプチドが、配列表の配列番号
1で表されるアミノ酸配列中の231位のスレオニン残
基に相当するスレオニン残基及び235位のセリン残基
に相当するセリン残基を含み、そのスレオニン残基及び
セリン残基がリン酸化されているペプチドである請求項
1に記載の抗体。 - 【請求項3】 前記部分ペプチドがそのリン酸化された
アミノ酸残基とその前及び/または後の複数個のアミノ
酸残基を含むペプチドである請求項1または2に記載の
抗体。 - 【請求項4】 前記部分ペプチドが配列表の配列番号2
のアミノ酸番号2〜12、配列番号3のアミノ酸番号2
〜14、配列番号4のアミノ酸番号2〜12または配列
番号5のアミノ酸番号2〜12のアミノ酸配列で表され
る請求項1に記載の抗体。 - 【請求項5】 少なくとも、請求項1〜4のいずれか一
項に記載の抗体を含んでなる、アルツハイマー病の検出
に用いるための試薬キット。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗
体と、アルツハイマー病の疑いのある個体から得られた
試料との反応性を調べることを特徴とするアルツハイマ
ー病の検出方法。
Priority Applications (1)
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JP10204040A JP2000034300A (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | 抗リン酸化タウ蛋白質抗体及びそれを用いるアルツハイマー病の検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP10204040A JP2000034300A (ja) | 1998-07-17 | 1998-07-17 | 抗リン酸化タウ蛋白質抗体及びそれを用いるアルツハイマー病の検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=16483768
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000034300A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002050121A1 (fr) * | 2000-12-13 | 2002-06-27 | Taisho Pharmaceutical Co.,Ltd. | Nouvel anticorps |
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JP2019027952A (ja) * | 2017-07-31 | 2019-02-21 | 京都府公立大学法人 | リン酸化タウタンパク質の測定方法 |
-
1998
- 1998-07-17 JP JP10204040A patent/JP2000034300A/ja active Pending
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JP7029718B2 (ja) | 2017-07-31 | 2022-03-04 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | リン酸化タウタンパク質の測定方法 |
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