JP2000503206A - 成長因子―多糖結合融合タンパクを使用して細胞増殖を調節する組成物および方法 - Google Patents

成長因子―多糖結合融合タンパクを使用して細胞増殖を調節する組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 成長因子依存細胞のin vitro拡大の方法および組成物を提供する。拡大は、S1因子などの成長因子とポリサッカライダーゼ結合領域とを含む成長因子複合体の使用によって遂行される。この複合体は、細胞用成長チャンバ内で、基質結合領域をポリサッカライダーゼの基質に結合させることによって固定される。

Description

【発明の詳細な説明】 成長因子−多糖結合融合タンパクを使用して 細胞増殖を調節する組成物および方法 緒言 技術分野 本発明は、ポリサッカライダーゼ由来の成長因子および結合ドメインを含む融 合タンパクを使用して細胞増殖を調節する組成物および方法に関する。本発明は 、造血成長因子S1因子(SLF)(hematopoietic growth factor steel fact or)と、SCFと、細胞セルラーゼ由来の結合ドメインとを含む融合タンパクを in vitroでの骨髄細胞の増殖刺激に使用することによって具体化される。背景技術 バイオプロセスエンジニアリングの主な目的は、最大細胞密度および特定の細 胞由来の生成物回収に必要な環境条件を提供する細胞培養方法の開発である。in vivoでは、様々な標的細胞の成長因子が細胞外マトリックス(ECM)と関連 している場合が多い。主要な細胞外マトリックス成分はプロテオグリカン類で、 ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸およびヒアルロン酸という4 種の主要な形がある。これのECMタンパクの結合タンパクは主としてプロテオ グリカン上のグリコサミノグリカンの形によって決定される。これらの分子は、 成長因子をタンパク分解的分解から保護するようであり、EMC中の成長因子の 重要な貯蔵所であると考えられる。プロテオグリカン類は豊富で且つ遍在する組 織成分であり、アフィニティを有する細胞内成長因子の大部分を捕捉する公算が 高い。拡散性因子と非拡散性マトリックスシグナルの複合作用は、生物体内に広 く分布するサイトカインに対する細胞の限局応答に重要な機序であろうとされて い る。塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺 激因子(GM−CSF)、およびインターロイキン−3(IL−3)は、ECM のプロテオグリカン類に結合したとき機能することが証明されている。 in vitroでの培養に特に興味深いのは、造血系の細胞である。in vitroでの骨 髄細胞の培養や拡大には、放射線照射した予備形成ストロマ細胞支持細胞層を使 用することが必要である。Dexter et al.((1993)Nature,360:709-710)は、この 技術で、造血を再生することができる細胞増殖が維持されることを照射マウスで 証明した。この初期の試験以来、培地に添加されるサイトカイン類の様々な組み 合わせによって、培養中のヒト造血を維持するためのストローマ層が効果的に補 充されると報告されてきた。1例として、成長因子依存性IL−3細胞株および GM−CSF細胞株の場合、IL−3およびGM−CSFの固定に市販の人工E CMが使用されてきた。固定されたヘパリン硫酸を使用してマトリゲル(Matrige l)を補充することができる。さらに、数種の因子または因子の組合せを互いに置 換して、類似した標的細胞受容体を得ることができる。1例として、支持細胞層 の代わりにS1因子(steel factor:SLF)、SCFまたは顆粒球コロニー刺 激因子G−CSFプラスIL−3を使用してLTC−ICの維持を支援すること ができるが、比較的高濃度の因子が必要である。しかし、IL−3受容体の表面 発現は、高濃度のIL−3に応答してダウンレギュレートされる。一般に、G− CSF、GM−CSFおよびIL−3を単独で、あるいは組み合わせて産生する ようにトランスフェクトされた工作ストロマ細胞は、LTC−IC培養の維持を 有意に増強することも証明されている。 一部の進行した癌患者では、養子免疫療法用T細胞のin vitro拡大により腫瘍 が緩解した。この技術を用いて、癌患者からT細胞を取出し、培養で拡大させる 。いったん十分な数の細胞が産生されたら、患者に導入し直す。in vitroで活性 T細胞を拡大するのに対する主な障害は、従来の組織培養法を使用した培養の処 理 が複雑で高価なことであった。さらに、高濃度のIL−2などの成長因子をIL −2依存性細胞に加えるとき、IL−2濃度が上昇するに連れて細胞表面上のI L−2受容体はダウンレギュレートを受ける。この問題を和らげるために、CT LL細胞のIL−2依存性増殖増進にリポソームが使用されてきた。20nMの 脂質をリコンビナントヒトIL-2と一緒に使用すると細胞増殖が大いに増進し、増 殖は低用量のIL−2で最も顕著であった。IL−2飽和用量で、リポソームは 有意な作用を示さなかった。さらに、120nMより高い脂質濃度では、増殖を阻害 することがわかった。ex vivo拡大技術用の別の造血細胞はTリンパ球を必要と する。養子免疫療法のためのリンフォカイン活性化キラーT細胞を拡大するため の透析灌流バイオリアクターも使用されてきた。還流バイオリアクターまたは標 準組織培養プレートで産生された細胞では、倍加時間、表面分子表現型および細 胞溶解活性は類似していた。 SLFならびに多数の他の成長因子は、非特異的にプラスチックに吸着したと き、接着因子の役割をすることができ、原始前駆細胞の増殖を刺激すると報告さ れている(Long et al.(1992)J.Clill.Invest.90:251-255)。しかし、このよ うな固定方法では、成長因子が正しい配向で存在することが保証されない。極性 アフィニティタグは正しい配向での接着を容易にするが、ヘキサヒスチジン(Smi th et al.(1988).Biol.Chem.263:7211-7215),ストレプトアビジンStreptavidin (Kasher et al.(1986)Mol.Cell.Biol.6:3117-3127),またはGST(Smith and Johnson(1988)Gene 67:3140)など、一般に使用されるアフィニティタグは、その ほとんどがin vitro培養条件に抵触する可能性のあるマトリックスに依存する。 したがって、幹細胞および他の因子に依存性の細胞群を連続的に拡大する、体内 に治療的に再注入するための細胞をin vitro培養するシステムを開発することは 興味深い。特に興味深いのは、関心事の各細胞形に合せて調整された成長因子混 合物を調製する必要性をなくすために、またシステムを使用す る経費を低減するために、単一の回収可能な成長因子を使用するシステムを開発 することである。関連文献 成長因子が吸着されるか共有結合で付着された、表面加水分解ポリ(メチルメ タクリレート)フィルム(Ito et al.,(1992)Biomaterials 13:789-794)、また はガラスビーズ(Ito et al.(1992)Biotechnology and Bioengineering 40:1271 -1276)などの人工マトリックスが、成長している細胞の細胞外マトリックス(E CM)のin vitroでの補充に使用されてきた。固定されたインスリン(Liu et al .(1992)Biomaterials 13:50-58)、トランスフェリン(Liu et al.(1993)Internat ionalJ.Biological Macromolecules 12:449-453)、およびインスリン、トラン スフェリンおよびコラーゲン(Ito et al.(1991)Biomaterials 12:449-453)を 使用して、様々な程度の成功をおさめてきた。 米国特許第5,340,731号、米国特許第5,202,247号および米 国特許第5,137,819号には、セルロースおよび1,4-β−グリカン結合ド メインに関連した組成物および方法が記載されている。セルロース結合ドメイン タンパク(「スカフォールドタンパク」)について記載されているPCT出願PC T/US94/04132号も参照されたい。 発明の概要 本発明は、固定された成長因子を使用して、成長因子依存細胞を分離する、お よび/または成長因子依存細胞の増殖を刺激もしくは阻害する方法および組成物 を提供する。組成物は、細胞表面結合タンパクおよびポリサッカライダーゼ由来 の基質結合領域および結合タンパクに結合するリガンドを含む成長因子複合物を 含む。基質結合領域は、ポリサッカライダーゼの加水分解活性が実質的に欠如し ていることが好ましい。成長因子依存細胞のin vitro拡大の方法も提供する。こ の方法は、成長因子の細胞表面受容体を含む細胞を成長因子複合体と接触させて 成長させることを含む。成長因子依存細胞が多い細胞個体群を得るために、複数 の細胞を成長因子複合体に接触させた後、細胞表面受容体が欠如しているあらゆ る細胞を除去する。場合に応じて、細胞を複合体または基質からはずすことがで きる。場合に応じて創傷カバーに結合させた成長因子複合体と創傷を接触させる ことにより、成長因子複合体を使用して創傷治癒を亢進することができる。 図面の簡単な説明 図1は、セルロース結合ドメインの共通配列を示す図である。C.fimiセルラーゼ (CenAおよびCex)のセルロース結合ドメイン(CBD)のアミノ酸配列、およ びMbCelA(Microbiospora bisporaのエンドグルカナーゼ)、ClfX(翻訳されたCe llulomonas flavigena遺伝子フラグメントのオープンリーディングフレームの一 部)、Pfegl(Pseudomonas fluorescens var.cellulosaのエンドグルカナーゼ) 、およびBfeglI(Butyivibria fibrisolvensのエンドグルカナーゼ)の推定的結 合ドメイン。アミノ酸残基を、1文字コードで示す。肉太の大文字はCenA配列と の相同を示し、単純な大文字は他の6つの配列内のみに現れる相同を示す。小文 字は相同性が存在しないことを示す。*は成熟酵素のアミノ末端を示す。*** は、相応するDNA配列の停止コドンの出現から推理されるカルボキシ末端を示 す。−は、配列を改良するために残されたギャップを示す。数字は、それぞれの ラインの開始および末端の残基を指す。CenA残基、Cex残基、およびPfxynA残基 は、リーダーペプチド処理の部位が決定されていないため、未処理ポリペプチド の開始から番号をつけた。ClfXには、C.flavigena遺伝子フラグメントオープン リーディングフレームの開始から番号を付けた。 図2は、SLF-CBD融合タンパクおよびコントロールを示す図である。ネ ズミS1因子(murine steel factor)(図2A)の細胞外ドメインを使用して、 エキソグルカナーゼCex(図2B)の触媒ドメインを置き換え、融合タンパクSLF -CBD(図2C)を作った。ネズミS1因子のリコンビナント細胞外ドメインを陽 性コント ロールとして使用し(図2D)、CBDcexを陰性コントロールとして使用した (図示せず)。*融合接合部の細部。下線をつけたアミノ酸は、天然のSLF配 列である。 図3は、大腸菌(Escherichia coli)におけるSLF-CBD融合タンパクの高 レベル発現に使用された発現ベクターの起源であるpTugA発現ベクターのグラフ による表現である。pTugAを使用すると、高レベル誘導転写、RNA翻訳増進、 ポータビリティ、多数のコピー、安定性および融通性が得られる。pTugベクター は、コピー数を増大するためにpUC13由来の変異体pMBlori(Minton et al .Focus(1988)10:56)、LacIqにより強く抑制される、強くかつ高度に誘導可能な (IPTGにより)tacプロモータ(Ptac)を含む。PtacとlacIqの一定の比率 を維持し、E.coli宿主と関係なく十分なレベルのリプレッサーを確保するため に、lacIq対立遺伝子がpTugベクターに組込まれる。gene 10翻訳エンハンサー( Olins et al.Gene(1988)73:227)もpTUgに組込まれる。E.Coli上清からリコン ビナントポリペプチドを回収できるように、C.fimiのエンドグルカナーゼA(Ce nA)をベクターに組込んだ。図3Aは、NcoI−HindIII領域のヌクレオチドおよ びコード化されたアミノ酸配列、ならびに遺伝子10翻訳エンハンサー(「g1 0」)およびCenAリーダー配列(「リーダー」)を含む、NcoI部位の上流領域の ヌクレオチド配列を示す図である。図3Bは、pTugAベクター地図を示す図であ る。 図4は、pTugASのグラフによる表現である。図4Aは、SacI−HindIII領域の ヌクレオチドおよびコード化されたアミノ酸配列、ならびにSacI部位の上流領域 のヌクレオチド配列を示す図である。図4Bは、pTugASベクター地図を示す図で ある。 図5は、pTugE07K3の構築を示す図である。アンピシリン耐性の選択的マーカ ーの代わりにカナマイシン耐性の選択的マーカーを担持するpTugAの誘導体 pTugKを、NcoIで完全に消化した。付着末端をEscherichia coli DNAポリメラ ーゼI(クレノウフラグメント)で修復し、平滑末端制限部位を作製した。一部 変更したpTugKベクターをHindIIIで完全に消化し、4.2kbpフラグメントを分 離した。pTZE07(Ong et al.Biotechnol.Bioeng.(1993)42:401-409)をBamH Iで完全に消化し、付着末端をEscherichia coli DNAポリメラーゼI(クレノ ウフラグメント)で修復し、平滑末端制限部位を作製した。一部変更したpTZ E07をHindIIIで完全に消化し、2.1kbpフラグメントを分離した。4.2kbp フラグメントおよび2.1kbpフラグメントを連結してpTugE07K3とした。 図6は、pTugKN1の構築を示す図である。pTugE07K3をNheIおよびHindIIIで完 全に消化し、CBDCexを含む1.8kbpフラグメントおよび4.5kbpフラグメ ントを分離した。、オリゴヌクレオチド5'-TTACCTCATATGGCTA GC CCGATCGGGGAGGGAACG-3'を使用して、CBDN1をコード 化している遺伝子フラグメントの5'末端および3'末端に、適当な制限部位をcb dN1の5'末端におけるサイレント突然変異として、PCRを使用して導入した。 オリゴヌクレオチド5'−AGAATGAATTCAAGCTT−AGAGCT CGACCTCGGAGTC-3'を使用して、cbdN1の3'末端にHindIII部位を 導入した。このプライマーには、翻訳停止コドンも含まれていた。ポリメラーゼ 連鎖反応(PCR)混合物(総体積50μl)は、50mM トリス-HCl緩衝液、 pH 8.3中に10〜100ngの鋳型DNA(pTZ-JC3)(Coutinho et al.Mol.Mic robiol.(1992)6:1243-1252)、25〜50pmole(300ng)のプライマー、2 mM MgCl2、6%ジメチルスルホキシド、0.2mM2'-デオキシヌクレオチド 5'-トリホスフェートおよび1単位のTaq DNAポリメラーゼが含まれていた。 連続28サイクルを次の通りに実施した。94℃で15秒間の変性、57℃で1 .4分間のアニーリングおよび72℃で1.5分間のプライマー延長。このよう にして得られたcbdN1 PCRフラグメントをNheIおよびHindIIIで完全に消化し 、 0.5kbpフラグメントを沈降によって精製した。4.5kbpフラグメントと0. 5kbpフラグメントを連結してpTugKN1とした。 図7は、pTugKN1ベクターを示す図である。pTugKN1ベクターは、アンピシリン 耐性の選択的マーカー(β−ラクラマーゼコード化配列)を、カナマイシン耐性 の選択的マーカーと置き換えることによってpTugAベクターから誘導される。C.f imiのエンドグルカナーゼA(CenA)リーダーペプチドをコード化している配列 を、C.fimiのエキソグルカナーゼ(Cex)のリーダーペプチドのコード化配列と 置き換えた(Ong et al.Biotechnol.Bioeng.(1993)42:401-409). 図8は、SLF-CBD融合タンパクの精製を示す図である。SLF-CBDは 、その2種のアフィニティタグのいずれかを使用して精製することができる。図 8Aは、セルロースによるSLF-CBDの精製を示す図であり、レーン1はマ ーカー、レーン2は、コンディションド成長培地、レーン3はAvicel 5mgに吸 収することによってコンディションド成長培地5mlから回収された融合タンパク 、レーン4は細胞周辺抽出物、レーン5はAvicel 5mgにより細胞周辺抽出物1m lから直接抽出された融合タンパクである。図8Bはヘキサヒスチジンタグを使 用したニッケルセファロースによるSLF-CBDの精製を示す図であり、レー ス1はマーカー、レーン2は融合タンパク溶離ピークである。 図9は、SLF-CBDのSDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析を示 す図である。精製融合タンパクの同一性をウエスタンブロット分析で確認した。 図9AはSLF-CBDのSDS-PAGE(クマシーブルー染色)を示す図であ り、レーン1はマーカー、レーン2は予め染色したマーカー、レーン3は精製S LF-CBD 1μg、レーン4は因子Xaで切断したSLF-CBD 20ng(ゲ ル上では見えない)、レーン5はリコンビナントコントロールSLF 10ng( ゲル上では見えない、暗いバンドはBSAである)、レーン6はCNDcex 50 0ng、レーン7はベクターのみの細胞抽出物(陰性コントロール)である。図9 Bは、抗SLFポリクローナ ル抗体を用いたウエスタンブロットを示す図である(レーン呼称は図9Aと同じ であった)。図9Cは抗CBDポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット を示す図である(レーン呼称は図9Aと同じであった)。 図10は、溶液中のタンパクの活性および活性の中和を示すである。固定され たマトリックの非存在下における融合タンパクおよびコントロールタンパクの増 殖活性を分析した(MTTアッセイ)(図10A)。0.6nM SLF-CBDの 活性を抗SLF中和ポリクローナル抗体で中和した(図10B)。ベースライン MTT活性である0.2吸光度単位を減算した。 図11は、SLF-CBD活性をBMCC濃度の関数として示す図であり、B MCC濃度は変化させ、SLF/CBD濃度は130pM(図11A)か150 0pM(図11B)で一定に保った。 図12はSLF-CBDの活性をBMCC濃度の関数として示す図である。各 ウェルに加えたSLF-CBDの濃度は変化させ、BMCC濃度は指示された濃 度で一定に保った。図12Aは1μgl/ml BMCCを含む、または含まないSL Fを示す図である。図12Bは1μg/lm BMCCまたは14μg/ml BMCCの いずれかを含む、または含まないSLF-CBDを示す図である。 図13は、マトリックスに結合したタンパクとマトリックスに結合していない タンパクとの分離を示す図である。様々な量のSLF-CBDを1μg/mlのBM CCに結合させた。マトリックスを溶液から遠心分離で除去し、新鮮な培地に再 懸濁した。マトリックスに結合したタンパクの量を決定するために、最初の培地 および再懸濁したBMCCの活性を分析した。SLFを使用した場合、活性の大 部分は上清中にあり(図13A)、SLF-CBDを使用した場合、活性の大部 分はBMCCと関連していた(図13B)。SLF/CBDのセルロースアフィ ニティタグを因子XaでSLFから切断したとき、活性はもはやBMCCと関連 していなかった(図13C)。 図14は、再生セルロースに結合したSLF-CBDの活性を示す図である。 セルロース被覆微量滴定プレートにSLF-CBDを結合させ、上清を各ウェル から除去し、培地を補充した。細胞をプレートに加え、各ウェルに結合したまま の活性を前述の通りに分析した(図14A)。上述の通りにセルロース被覆微量 滴定ウェルにSLF-CBDを結合させ、ウェルを連続3回の細胞培養に使用し た。3回使用後の培養のMTTアッセイで、増殖活性の損失が全くないことがわ かる(図14B)。第3サイクルまで細胞を加えなかったこと以外は、同様にコ ントロールプレートを処理した。 図15は、セルロースに結合したSCF-CBDに応答して増強したネズミ骨 髄細胞の増殖を示す図である。図15Aは、セルロースの存在下(bおよびd) またはセルロースの非存在下(aおよびc)で、SCF(aおよびb)またはS CF-CBD(cおよびd)を含有する液体培養中に5日間維持したとき、一次 ネズミ骨髄細胞によって形成されたコロニーの数を示す。並行シリーズの培養は 、さらに、IL3を含んでいた(詰った棒)。図15Bは、液体培養をプレート に移した後のコロニーサイズを示し、目盛りの棒は1mmを表す。プレートの写 真は、セルロースを含むSCF-CBDによって刺激された細胞によって形成さ れた大コロニーを示す(プレーティング)。 図16は、PBDN1の陰イオン交換クロマトグラフィーの結果を示す図である 。部分的に精製したPBDN1(200ml中に150ng)を、20mMリン酸カリ ウム緩衝液pH 6.0で平衡化した陰イオン交換カラム(MonoQ)に充填した( 1ml/分)。pH 6.0の緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、塩勾配(60 0ml、20mMリン酸カリウム緩衝液pH 6.0中0〜1M NaCl)を使用して 、結合タンパクを回収した(8ml分画)。PBDN1が、カラムから300mM塩 中に回収された(ピーク1)。汚染タンパクはよりしっかり結合していたため、 より高濃度の塩に回収された(ピーク2)。 図17は、培養上清から精製中のPBDN1のSDS-PAGE分析を示す図で ある。pTugKN1を含むJM101の培養上清(誘導)(レーン2)、全培養懸濁液(細 胞およびブロス)(レーン3)、培養上清中のタンパクを結合した後のAvicel分 画(レーン4)、上清をAvicelに結合した後のフロースルー分画(レーン5)、 H20でAvicelから溶離した分画(レーン6)、およびMonoQ精製後のPBDN1 (レーン7)を、12.5%アクリルアミドを含むゲルで分析した。分子質量標 準(レーン1)は表示通りである、 図18は、PBD(PBDN1およびPBDN1N2)解析用のアフィニティ電気泳 動ゲルを示す図である。精製ウシ血清アルブミン(BSA)(レーン1)、PB DNI(レーン2)およびPBDNI(レーン3)の可溶性オリゴ糖への結合を、 13%アクリルアミドを含む未変性ゲルで分析した。オリゴ糖非存在下(−)の ゲルの移動と比較して、多糖(0.1w/vヒドロキシエチルセルロース(HEC )またはオオムギグルカン)存在下(+)でのゲルの減速は結合を示す。キシラ ンを非結合多糖として使用する。各タンパク5μgを各ゲルに負荷した。図18 Aは、オオムギβ−グルカンの存在下(+)と非存在下(−)での結合を比較す る。図18Bは樺のキシランの存在下(+)と非存在下(−)での結合を比較す る。 図19は、pH7、35℃の50mMリン酸緩衝液中、CBDN1へのヒドロキ エチルセルロースの結合に関する等温滴定微量熱量測定データを示す図である。 図20は、pH7、35℃の50mMリン酸緩衝液中、ヒドロキシエチルセル ロースとPluronlc P105の混合物に関する予備相平衡データを示す図である。 図21は、pTZ-JC13の構築に使用されるベクターを示す図である(図21C) 。図21Aは、PBDN1をコード化しているフラグメントを得るために使用した 、全CenCをコード化している遺伝子フラグメントを含むpTZ-JC2を示す。図21 Bは、CenAコードフラグメントを得るために使用したベクターpUC18- 1.6 cenAΔPTを示す。 図22は、SDS-PAGE分析を使用した、CenAおよびPBDN1-CenA融合タ ンパクからのタンパク分解生成物の分析結果を示す図である。各ポリペプチド8 μgを、C.fimlプロテアーゼを0単位(レーン5および9)、0.1単位(レー ン4および8)、0.5単位(レーン3および7)または1.0単位(レーン2 および6)を含むリン酸緩衝液、pH 7.0(50mM)50pl中、30℃で 3時間インキュベートした。12.5%アクリルアミドを含有するゲルで反応生 成物を分析した。分子質量マーカー(レーン1)は表示の通りである。P30は 、セルロース結合ドメインをタンパク分解的に除去した後の、CenAの触媒ドメイ ンに相応する(Gilkes et al.,J.Biol.Chem(1988)263:10401-10407)。 図23は、セルロースへの分画吸収によってCenAとPBDN1-CenAを分離した 後、SDS-PAGE分析を使用して未吸収ポリペプチドを分析した結果を示す 図である。図23Aは、ポリペプチド25μg(レーン2および3)、100μ g(レーン4および5)、または250μg(レーン6および7)を含み、細菌 の微晶質セルロース(bacterail microcrystalline cellulose:BMCC)を含 む場合と(+)ポリペプチドとBMCCを含まない場合の(−)、緩衝液の部分 標本をインキュベートした結果を示す図である。図23Bは、リン酸膨潤セルロ ース(PASC)とのBMCCインキュベーション混合物(+)由来の未吸収分 画を含有する上清をインキュベートした結果を示す図である。PASCを加えな い(−)コントロール試料を用いた結果も示す。 図24は、2種の脱着可能な標識組成物およびセルロース基質から成長因子複 合体を酵素的にはずす手段を示す図である。矢印は成長因子部分を示し、アウト ライン型の箱は特定のプロテアーゼのプロテアーゼ切断部位を示し、平行線を施 した箱セルロース結合ドメインを示す。 詳細な実施態様の説明 本発明は、成長因子依存細胞、特に幹細胞やT−リンパ球など、造血系細胞を ex vivo培養するための方法および組成物を提供する。この組成物には、成長因 子受容体および/または成長因子受容体含有細胞の分離、および自然治癒にも、 用途がある。この組成物は、成長因子および多糖基質に結合することができるア ミノ酸配列を含むキメラ分子を含む。成長因子は、成長因子の結合する対象であ る細胞表面受容体を有する関心事の標的細胞の増殖または分化を刺激もしくは調 節することができる因子、一般にポリペプチドを意味する。関心事の標的細胞は 、成長因子による刺激に応答して増殖および/または分化する任意の細胞である 。アミノ酸配列は一般に高いアフィニティで、β−グリカン、特にセルロースや キチンをはじめとするβ-1,4-グリカン類など、オリゴ糖ポリマーに結合する。 使用に際して、可溶性であっても不溶性であってもよい多糖基質上にキメラ分子 を固定し、成長因子依存細胞をキメラ分子と接触させて成長させる。この方法は 、幹細胞や巨核球などの造血細胞、他の骨髄細胞や血球、神経細胞、およびT細 胞を含め、成長因子依存細胞のin vitro培養に有用である。 固定された成長因子を使用すると、非固定成長因子ならびに成長因子、および 細胞の成長、分化、および増殖を調節する他の生物学的分子の固定に現在使用さ れている方法に勝る長所が幾つかある。たとえば、固定された成長因子は、細胞 増殖に連続した限局的刺激を与えることができる。細胞に吸収され、消費される 非固定成長因子と違って、固定された成長因子は、細胞に消費されない基質に結 合したままであり、したがって、別の細胞の成長を依然として刺激することがで きる。このことは、長期細胞増殖を可能にするために成長培地を連続的に加えて 除去する灌流培養に特に有用である。さらに、固定された成長因子は、可溶性バ ージョンの成長因子より活性な場合が多い。 本発明が提供する別の長所を以下に示す。セルロースおよびカラス麦やオオム ギから得られるような他のβ−グルカン類など、炭水化物ポリマーを含むオリゴ 糖ポリマーは、豊富であり且つ安価である。さらに、様々なタンパクが炭水化物 ポリマーや他のオリゴ糖に特異的に結合するため、本発明の多糖結合タンパク( PBP)源として使用することができる。1例として、融合タンパクを固定する 手段として、炭水化物に結合するタンパクの炭水化物ポリマー結合タンパクを含 む融合タンパクを調製することができる。それ故、PBPを使用すると、成長因 子または関連部分を多糖に結合することができるPBPに付けることによって、 任意の成長因子または関連部分を固定する一般的な手段が得られる。PBPをオ リゴ糖ポリマーに選択的に結合させことは、広く様々な化合物の精製および/ま たは固定に特に適している。 本発明は、成長因子依存細胞が多い細胞個体群を得る方法も提供する。この方 法は、たとえば、幹細胞(多能性幹細胞を含む)や他の比較的珍しい細胞型の精 製製剤を得るのに有用である。この方法は、複数の細胞を細胞因子複合体と接触 させ、細胞表面受容体が欠如しているあらゆる細胞を除去することを含む。関心 事の成長因子の受容体を有する細胞は成長因子複合体に特異的に結合するが、他 の成長因子非依存細胞は、さほどの量が成長因子複合体に結合しない。結合した 細胞は、成長因子複合体に依然として結合している間、使用することができ、あ るいは、成長因子複合体から細胞を溶離して、成長因子依存細胞の精製製剤を得 ることができる。場合によっては、応答細胞の増殖を優先的に増進する成長因子 複合体による特異的成長刺激によって濃厚化することができる。 本願明細書に記載の成長因子は、創傷の治癒亢進に使用することもできる。こ の場合、創傷治癒に関与する細胞の増殖を刺激し、且つ/またはこのような細胞 が走化性を示す薬剤を含む成長因子複合体と創傷を接触させることによって行わ れる。場合に応じて、成長因子複合体は、創傷カバー、好ましくはスポンジや綿 の包帯など、不溶性セルロースマトリックスを含むカバーに結合している。 本発明は、次式: PBP-MR-X (1) を有するものを含むことができる新規ポリペプチド組成物を提供する。 式中、 PBPはポリサッカライダーゼまたは多糖基質に結合してポリサッカライダー ゼの基質に高アフィニティ結合を提供する他のタンパクの基質結合領域のアミノ 酸の連続配列と見なされ、場合に応じて、ポリサッカライダーゼ活性の実質的欠 如は、多糖を結合するのに必要な配列中のアミノ酸の最小数と少なくとも同じぐ らいである。 MRは中央領域であって、炭素原子が2〜30個の短い連結基の結合であって もよく、または炭素原子を約2〜約20個有してもよい。この領域は、成長因子 複合体を含む融合タンパクの特異的切断を提供するアミノ酸配列、通常はIgA1プ ロテアーゼまたは因子Xaなど特異性の高いタンパク分解酵素によって認識され るものに相応する配列を含むことができる。 Xは、任意の成長因子であってもよく、または細胞表面受容体に結合すること によって、細胞増殖または活性化を刺激または抑制する他の部分であってもよい 。Xは、関心事のポリペプチドの全配列まで具有するとみなされる。Xは、細胞 増殖に対して望ましい作用を発揮するのに必要なポリペプチドの部分のみを有す る。Xは、たとえば、サイトカイン、リンホカイン、または他の成長因子であっ てもよい。たとえば、適当な成長因子としては、S1因子、インターロイキン− 2、インターロイキン−3、インターロイキン−6、インターロイキン−11、 マスト細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー 刺激因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、または表皮成長因子など がある。Xは部分の化学量論ではなく、部分のみを示し、不定であってもよい。 PBP-MR-Xは、分離されたXの受容体R、またはRを含む細胞に結合して いてもよく、その組成物は、式: PBP-MR-X:R (2) を有し、 式中、Rは細胞表面上に存在し、且つ相応するリガンド(X)に接触すると、R に特異的に結合する任意の部分であってもよい。RおよびXは、特異的結合対の 、それぞれ第1メンバーおよび第2メンバーである。一般に、XとRとの間の相 互作用は、静電気、水素結合、極性/非極性相互作用等々、非共有結合である。 Rは、たとえば、成長因子受容体、T細胞受容体、免疫グロブリン、またはMH Cポリペプチドであってもよい。特異的結合対の第1メンバーの第2メンバーへ の特異的結合は一般にアフィニティが高く、すなわち、Rが成長因子受容体のと き、およそ10-8〜10-11M程度である。 本発明で使用される特異的結合対の特徴は、第1メンバーと第2メンバーとの 相互作用が、直接または間接に、第1メンバーが存在する細胞に影響を及ぼすこ とである。たとえば、第2メンバーが成長因子であり、その相応する受容体が第 1メンバーである結合対の相互作用は、細胞を増殖させることができる。このよ うな増殖誘導成長因子の例は、S1因子、上皮成長因子、神経成長因子、脳由来 神経親和性因子、エリトロポイエチン、GM-CSF、インターロイキン類(I L-2およびIL-3などを含む)、等々である。他の特異的結合対のメンバーとの 相互作用は、細胞の活性化または不活化を引起こす可能性があり、細胞を分化さ せることができる。たとえば、適切なMHCポリペプチドはT細胞受容体と相互 に反応して、T細胞群のクローンエネルギーを誘導することができる。他の結合 対は、細胞移動を支配する走化性シグナルの役割をする。好中球や線維芽細胞に 対する血小板由来成長因子(PDGF)、Tリンパ球(特に活性化CD4+Tリ ンパ球)に対するIL-2、T細胞(CD4+とCD8+の両者)ならびに未活性 化T細胞に対するインスリンを含め、幾つかの成長因子に対して、それぞれの標 的細胞が走行性を示すことが判明している。この特徴は、創傷治癒で活用されて きた。走 化性部分の他の例には、インテグリン類、LAM−1、ICAM−1、LFA− 3、H−CAM、ELAM−1、および他の相応する受容体またはリガンドなど 、細胞接着受容体が含まれる。 特異的結合対のいずれかまたは両者は、ポリペプチドおよび/または炭水化物 を含んでもよい。本発明に有用な炭水化物には、シアリル-Lewisx(SLex)およ び細胞接着およびシグナル送信に関与する他の炭水化物部分など、リガンドに特 異的に結合するものが含まれる。たとえば、ポリサッカライダーゼ基質結合領域 に結合したSLexのリガンドを含む複合体(ELAM-1など)は、細胞表面上でSL exを示す細胞の精製、およびSLex含有オリゴ糖およびそのようなオリゴ糖が結合 しているタンパクの精製にも有用である。あるいは、SLexなどの炭水化物リガン ドは、ポリサッカライダーゼ基質結合領域に完全に結合することができ、このよ うな複合体は、SLexを結合するリガンドを細胞表面に示す細胞を引き付けるのに 有用である。これらの複合体を創傷カバーなどの多糖担体に固定すると、たとえ ば、感染との戦いに関与する細胞を創傷に向ける方法を提供する。 成長因子複合体は天然の成長因子または他の細胞調節因子全体を含む必要はな い。複合体は、所望の生物学的活性を保持する分子の一部分を含むだけで十分で ある。たとえば、ポリペプチド成長因子の場合、未変性の、天然の成長因子内に 存在する貫膜ドメインを含まない成長因子複合体の構築に有利である。このよう な貫膜ドメインの同定は、貫膜領域または他の望ましくない領域が欠如した、切 られた成長因子分子を得る方法であるため、当業者に周知である。S1因子の場 合、たとえば、アミノ酸189個の細胞外領域は、細胞増殖の刺激にとって特に 興味深い。このように、アミノ酸25個のシグナルペプチド、アミノ酸23個の 疎水性膜アンカー、アミノ酸36個の細胞質ドメインをコード化する部分をS1 因子遺伝子(steel factor gene)から削除することにより、S1因子複合体を構 築することができる(Huang et al.(1990)Cell 63:225-233;Flanagan et al. (1990)Cell 63:185-194,およびMartin et al.(1990)Cell 63:203-211)。 幾つかの用途で、二機能複合体が使用される。二機能複合体は、PBPに付い た1種より多い成長因子、通常は2種の成長因子を含む。この複合体は、特異的 結合対の第1の第2メンバーに加えて、結合対の第2の第2メンバーを含む。第 2の第2メンバーは一般に第1の第2メンバーと異なる成長因子である。第1の メンバーと第2のメンバーは両者ともPBPに付いている。このような二機能成 長因子複合体は、S1因子および1種以上の成長因子、好ましくはIL−3、I L−11、GM−CSF、および/またはEPOなど、S1因子が相乗的に作用 する成長因子が結合しているPBPである。 PBPは、ポリサッカライダーゼの基質結合領域(SBD、本願明細書では多 糖結合ドメイン(PBD)とも呼ぶ)由来のアミノ酸配列を含む。多糖結合ペプ チドは、オリゴ糖ポリマーに結合する任意のアミノ酸配列を含んでもよく、たと えば、PBPはポリサッカライダーゼのSBD、多糖結合タンパクの結合ドメイ ンまたは多糖に結合することができるようにデザインされ、工作されたタンパク に由来してもよい。PBPは、天然であっても合成であってもよい。PBPまた はSBDを得ることが可能な適当なポリサッカライダーゼには、β-14-グルカナ ーゼが含まれる。好ましい実施態様で、セルラーゼのPBPまたはSBDが使用 される。一般に、このアミノ酸配列はポリサッカライダーゼの加水分解活性が実 質的に欠如しているが、基質結合活性は保持している。このアミノ酸配列は、好 ましくは未変性ポリサッカライダーゼの加水分解活性の約10%未満、さらに好 ましくは約5%未満、最も好ましくは未変性ポリサッカライダーゼの加水分解活 性の約1%未満の加水分解活性を有する。 PBPは、本発明で用途を見つけることができるオリゴ糖に結合する酵素を含 め、様々な起源から得ることができる。下表5は、可溶性グルカン類に対してア フィニティを有する(∝:、β、および/または混合連結)すべての結合ドメイ ン を含む、1種以上の可溶性/不溶性多糖類に結合する結合ドメインの一覧表であ る。C.fimiのエンドグルカナーゼCenCのN1セルロース結合ドメインは、可溶性 セロサッカライドを結合することが判明している唯一のタンパクであり、且つ可 溶性多糖類を結合することが判明している一組のタンパクの1つである。また、 表1〜4は、推定されるβ-1,3-グルカン結合ドメインを含むタンパク(表1) 、連鎖球菌のグルカン結合反復を含むタンパク(Cplスーパーファミリ)(表2 )、キチン結合ドメインを含む酵素(表3)、およびデンプン結合ドメイン(表 4)の例の一覧表である。Clostlridium cellulovoransによって産生されるよう なセルロース結合ドメインタンパクを含むスカフォールドタンパク(Shoseyov e t al.,PCT/US94/04312)も、PBPの調製に使用することができる。Tricho derma種などを含め、若干の真菌もポリサッカライダーゼを産生し、それからP BPを分離することができる。 表1 推定されるβ-1,3-グルカン結合ドメインを含むタンパクの概観 表2 連鎖球菌グルカン結合反復を含むタンパク(Cplスーパーファミリー)の概観 興味深い結合特性および特異性を有する新規PBPを、NMR分光学(Zhu et al.Biochemistry(1995)34:,Gehring et al.Biochemistry(1991)30:5524- 5531)、UV差分光学(Belshaw et al.Eur.J.Biochem.(1993)211:717-724)、蛍 光(滴定)分光学(Miller et al.J.Biol.Chem.(1983)258:13665-13672)、UV または蛍光ストップトフロー分析(De Boeck et al.Eur.J.Biochem.(1985)149:1 41-415)などの分光学的(滴定)方法、固定された単糖類またはオリゴ糖を用い たアフィニティ電気泳動法(Mimura et al.J.chromatography(1992)597:345-350 )やアフィニティクロマトグラフィなどのアフィニティ法、濁度測定分析や比濁 法を含む沈降分析または凝集分析(Knibbs etal.J.Biol.Chem.(1993)14940-1494 7)、競合阻害アッセイ(定量的IC50測定を含むか含まない)、および示差走査熱 量分析法や等温滴定を含む様々な生理学的方法または生理化学的方法(Sigurskj old et al.J.Biol.Chem.(1992)267:8371-8376; Sigurskjold et al.Eur.J.Biol(1994)225:133-14)またはオリゴ糖の存在下また は非存在下で熱CDまたは蛍光分光学を使用した比較タンパク安定性アッセイ( 溶融)などを含め、様々な方法で同定し、スクリーニングすることができる。 一般に、固定された成長因子の構築に使用する場合、PBPをオリゴ糖に結合 するKaは、少なくとも弱い抗体−抗原抽出、すなわち、≧103、好ましくは1 04、最も好ましくは106の範囲である。PBPのオリゴ糖への結合が発熱反応 または吸熱反応であれば、その時は、結合は低温でそれぞれ増加または低減し、 固定化工程の温度調節手段となる。 個々の用途に最も適当な多糖結合部分がいったん同定されると、適当な多糖結 合部分をコード化しているDNAを含むDNA構築物を宿主細胞にトランスフォ ームすることによってPBPを調製することができる。熟語「多糖結合ペプチド 」は、少なくともポリサッカライダーゼまたは多糖結合タンパクの多糖結合部分 の機能部分を含むアミノ酸配列を意味する。「機能部分」は、関心事のオリゴ糖 ポリマーに結合するアミノ酸配列を意味する。関心事のタンパクをコード化して いるDNAをPBP DNA配列に連結することが好ましい。式(1)による組 成物をコード化している融合遺伝子、またはPBP DNA配列のみが、真核細 胞または原核細胞のいずれかの宿主細胞で発現する。要望に応じて、PBPのみ を調製する場合、発現し、分離した多糖結合ペプチドを関心事の化合物、すなわ ち、成長因子あるいは細胞増殖または細胞活性化を刺激または阻害する他の部分 に結合させることができる。 セルロース遺伝子や、多糖結合結合タンパクの遺伝子など、ポリサッカライダ ーゼ遺伝子の分離に使用する技術は、合成、ゲノムDNAからの分離、cDNA からの調製、またはそれらの組合せなど、当該技術上周知である。(米国特許第 5,137,819号、第5,202,247号、および5,340,731号 を参照されたい)。可溶性オリゴ糖に結合する幾つかのポリペプチド結合ドメイ ンの配列が判明している。(図1を参照)。様々なポリサッカライダーゼおよび 多糖結合タンパクのDNAコーディングを判明している。様々な遺伝子操作技 術が周知であり、制限、消化、切除、連結、in vitro 突然変異誘発、プライマ ー修復、リンカーまたはアダプターの使用等々がある。(Sambrook et al., Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Sprlng Harbor,New York,1989を参照されたい)。 ポリサッカライダーゼのアミノ酸配列をポリサッカライダーゼ遺伝子またはポ リペプチド結合タンパク遺伝子のドナー細胞として使用して、関心事の細胞のm RNAまたはDNAから調製したcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリー ニング用プローブをデザインすることができる。ポリサッカライダーゼcDNA または結合タンパクcDNAまたはそのフラグメントをハイブリッド形成プロー ブとして使用して、他の微生物に存在する構造的に関連した遺伝子を容易にクロ ーニングすることができる。特に期待されるのは、ポリサッカライダーゼの触媒 ドメインまたは結合ドメインが不連続な、微生物から得ることができる遺伝子の ヌクレオチド配列に基づいたオリゴ糖を使用するが、他の多糖結合タンパクも使 用することができる、ポリサッカライダーゼ活性を発現する微生物の遺伝子の分 離である。(たとえば、Shoseyev.et al.,Proc.Nat'l.Acad.Sci.(USA)(1992 )89:3483-3487を参照のこと)。 ポリサッカライダーゼまたは多糖結合タンパクの結合ドメインの共通配列を使 用して開発されたプローブは特に興味深い。今までに特性化されたC.fimiのβ-1 ,4-グルカナーゼは、エンドグルカナーゼA、B、CおよびD(それぞれ、CenA 、CenB、CenCおよびCenD)、およびエキソセロビオヒドロラーゼAおよびB(そ れぞれ、CbhAおよびCbhB)、およびキシラナーゼAおよびD(それぞれ、Cexお よびXylD)である。(Wong et al.(1986)Gene.44:315:Meinkeet al.(1991)J.Bac teriol.,173:308;Coutinho et al.,(1991)Mol.Microbiol.5:1221;Meinke et al. ,(1993)Bacreriol,175:1910;Meinke et al.,(1994)Mol.Microbiol.,12:413:She n et al.Biochem.J.,印刷中:O'Neill et al.,(1986)Gene, 44:325:およびMillward-Sadier et al.,(1994)Mol.Microbiol.,111:375を参照の こと)。すべて、複雑さの程度が様々な調節タンパクである(図1)が、互いに 独立に機能することができる触媒ドメイン(CD)およびセルロース結合ドメイ ン(CBD)という共通の特徴が2点ある。(Millward-Sadler et al.(1994)Mo l.Microbiol.,11:375;Gilkes et al.,(1988)J.Biol.Chem.,263:10401:Meinke et al.,(1991)J.Bacteriol.,173:7126;およびCoutinho et al.,(1992)Mol.Microbi ol.,6:1242を参照のこと)。上記酵素のうち4つ、すなわちCenB、CenD、CbhAお よびCbhBの場合、フィブロネクチンIII型(Fn3)反復によってC末端CBDとN末 端CDが分離される。酵素のCDは、グリコシドヒドロラーゼファミリーのうち の6つから生じる(Henrissat(1991)Biochem.J.,280:309:およびHenrissat et a l.,(1993)Biochem.J.,293:781を参照のこと)。上記酵素はすべて、N−末端C BDまたはC−末端CBDを有する。(Tomme et al.,Adv.Microb.Physiol.印刷 中、を参照のこと)。CenCは、そのN−末端にファミリーIV由来の縦列CBDを 有する。CenBおよびXylDは、それぞれファミリーIIIおよびIIに由来する第2の 内部CBDを有する。CexおよびXylDは明らかにキシリナーゼであるが、Cexは、 XylDと違って、セルロースに対する活性が低い。 それにも拘わらず、幾つかの他の細菌キシリナーゼと同様(Gilbert et al.,(19 93)J.Gen.Microbiol.,139:187を参照のこと)、CexおよびXylDはCBDを有する 。C.fimiは、恐らく他のβ-1,4-グリカナーゼを産生する。関連細菌によって同 様の系が作られる(Wilson(1992)Crit.Rev.Biotechnol.,12:45:およびHazlewood et al.,(1992)J.Appl.Bacrerjol.,K72:244を参照のこと)。非関連細菌もグリ カナーゼを産生する;たとえば、Clostridium thermocellumは20種以上のβ-1 .4-グルカナーゼを産生する(Beguin et al.,(1992)FEMSMicrobiol.Lett.,1 00:523を参照のこと)。固相回収系の場合、不溶性多糖類に 結合するCBDは特に有用である。成長因子複合体の相分離精製で使用する場合 、特に有用なCBDは、可溶性セロサッカライドに結合することが判明している 唯一のタンパクであり、且つ任意の可溶性多糖類に結合する一組のタンパクであ る、C.fimiエンドグルカナーゼCNlの結合ドメインである。 図1に示した適当な結合ドメインの例は、多糖類に結合する様々な酵素の結合 ドメインの配列を示し、酵素のほとんどまたは全ての間で保存されるアミノ酸残 基を同定する。この情報を使用し、当業者に周知の方法を使用して、適当なオリ ゴヌクレオチドプローブを得ることができる。このプローブは、全配列よりかな り短くてもよいが、少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは少なくとも14ヌ クレオチドの長さでなければならない。さらに長い、遺伝子の全長まで、好まし くは500ヌクレオチド未満、さらに好ましくは250ヌクレオチド未満の長さ のオリゴヌクレオチドが有用である。RNAプローブまたはDNAプローブを使 用することができる。使用に際して、一般に、検出可能な方式、たとえば、32P 、3H、ビオチン、またはアビジンでプローブを標識し、遺伝子の探索を行う生 物の1本鎖DNAまたはRNAとインキュベートする。ハイブリッド未形成プロ ーブをハイブリッド形成プローブと分離した後、標識を使用してハイブリッド形 成を検出する。一般に、ハイブリッド形成プローブは、ニトロセルロース紙など の固体担体上に固定される。オリゴヌクレオチドと一緒に使用するのに適したハ イブリッド化技術は、当業者に周知である。通常、プローブは容易に同定するこ とができる検出可能標識と一緒に使用されるが、未標識オリゴヌクレオチドも、 標識プローブの前駆体としても、二本鎖DNA(またはDNA/RNA)の直接 検出を提供する方法で使用する場合にも、有用である。したがって、用語「オリ ゴヌクレオチドプローブ」は、標識型と未標識型の両者を指す。 一般に、関心事の生物の核酸を精査することによって同定された結合ドメイン は、結合領域またはプローブを得た領域と少なくとも約40%の同一性を示し (同類置換の許容量、より良い配列のためのギャップなどを適宜含む)、Ka≧ 103-1で可溶性β-1,4-グルカンと結合する。さらに好ましくは、結合ドメイ ンは、プローブを得るために使用した結合領域と少なくとも約60%同じであり 、最も好ましくは少なくとも約70%同じである。同一性の割合は、ポリサッカ ライダーゼ結合ドメインの間に保存されるアミノ酸より高くなる。PC/Gene(Int elliGenetics,Inc.)のプログラムを使用して、アミノ酸配列比較の分析を行う ことができる。多様な配列および系統樹作成にPCLUSTALを使用すること ができる。 多糖に結合する酵素または群酵素からポリサッカライダーゼまたは多糖結合ド メインのPBPを分離するために、幾つかの遺伝学的アプローチを使用すること ができる。1つの方法は、制限酵素を使用して、PBP以外のタンパクの一部を コードする遺伝子のタンパクを除去する。残りの遺伝子フラグメントをフレーム 内で融合し、切れたタンパクをコード化する突然変異遺伝子を得る。別の方法は 、Bal31などのエキソヌクレアーゼを使用して、DNAの5'末端または3'末端 から外的に、または制限された遺伝子内のギャップから内的に、ヌクレオチドを 計画的に削除することを含む。この遺伝子削除方法を使用すると、短縮されたタ ンパク分子をコード化している突然変異遺伝子が生じるため、その基質結合力ま たは多糖結合力を評価することができる。結合力の評価に適した基質は、上表1 〜5に記載の酵素の基質、ならびに下表6に記載の炭水化物である。 同様に、成長因子あるいは細胞増殖、活性化、または分化を調節する他の部分 をコードする遺伝子を一部変更して、貫膜ドメインなど、所望の生物学的活性を 遂行するのに不可欠ではない因子のタンパクのコード領域を除去することができ 、成長因子複合体をコード化するキメラ遺伝子を構築するとき、削除することが 好ましい。切れた遺伝子にコード化されたタンパクの、所望の生物学的活性を遂 行する能力を試験する。 多糖結合領域および成長因子部分をコード化しているヌクレオチド配列がいっ たん同定されたら、そのヌクレオチド配列をcDNAまたは染色体DNAのいず れかとして様々な方法で操作し、発現生成物が上記式(1)で表される構造を有 する組成物を調製することができる。多糖結合領域をコードするヌクレオチド配 列は、成長因子をコード化しているDNA配列に融合することが可能である。成 分ポリペプチドの三次元構造を保持することは非常に好ましい。フラグメントの 起源および所望のポリペプチドの長さに応じて、1つ以上の制限部位を、キメラ ポリペプチドの構築に使用される合成遺伝子の設計に盛り込むことができる。可 能であれば、制限部位は、ポリペプチドのアミノ酸配列を未変化のままでおく。 しかし、新しい制限部位を組込むと、タンパクの活性を変えずに、変化したアミ ノ酸配列を生じる可能性がある。 通常、発現カセットの構築中に、様々なDNAのフラグメントが適当なクロー ニングベクターでクローニングされるが、このクローニングベクターを使用する とDNAの増幅、DNAの一部変更あるいは配列、リンカー等々の連結または除 去による操作が可能になる。 通常、ベクターは少なくとも比較的多いコピー数で、細菌内で複製することがで きる。pBR322、pTZ、pUCなどのベクターを含め、多数のベクターを、グラム陰性 菌、特にE.coliでのクローニングに利用することができる。クローニングベク ターは、宿主細胞内で機能することができる効率のよいシステムを具有すること を特徴とする。 一般に、クローニングベクターは少なくとも1個の独特の制限部位、通常は、 複数の制限部位を具有し、多様な制限部位を含んでもよい。さらに、クローニン グベクターは、形質転換体を選択することができる1種以上のマ一カーを具有し てもよい。通常、マーカーは、抗生物質、重金属、諸トキシン等々の細胞毒性の 薬剤に対する耐性、宿主を栄養要求性にさせる突然変異の相補性、またはファー ジに対する免疫を提供する。ベクターおよびカセットの適当な制限、および適宜 、末端の一部変更によって、平滑末端を準備するための突出部における噛み戻し または充填によって、リンカーを加えることによって、テーリングによって、ベ クターを発現カセットまたはその成分に連結するための相補的末端が提供される 。 カセット開発におけるDNAの各操作後、プラスミドを分離し、要望に応じて 、適当な配列が得られたことを保証するために、個々のカセット成分の配列に関 して分析する。操作の性質に応じて、適宜、所望のフラグメントをプラスミドか ら切り取って異なるベクターに導入するか、またはプラスミドを制限して発現カ セット成分を操作する。場合によっては、異なる複製システムを要する異なる宿 主で複製することができるシャトルベクターを使用する。これは、2種類の宿主 で機能することができるマーカーをさらに必要とする場合も、必要としない場合 もある。このようなマーカーが必要な場合、必要に応じて、カセット含有プラス ミド、2種の複製システムおよびマーカーを一方の宿主から他方に移動させるこ とができるように、マーカーをベクターに含めることができる。選択のため、任 意の有用なマーカーを使用することが可能である。適当な選択可能マーカーには 、アンピシリン、ヒグロマイシンB、G418、および/またはネオマイシン等 々に対する耐性を与える遺伝子が含まれる。しかし、選択用マーカーは便宜上極 めて好ましいものの、形質転換細胞をスクリーニングするための他の手順も当業 者に周知であり、たとえば、形質転換細胞が作る特異的な生成物によって、形質 転換細胞をスクリーニングしたり、免疫法または酵素法で所望の生成物の合成を 決定することが可能である。 成長因子複合体をコード化しているDNAを様々な方法で操作して発現させる 。たとえば、PBPおよび成長因子部分をコードする遺伝子を、所望の宿主生物 内で操作できる適当な転写シグナルおよび/または翻訳シグナルに、操作できる ように連結する。適当な宿主生物としては、E.coli、Streptomyces.および Bacillusを含む原核生物や、酵母Saccharomyces(特に、S.cerevisiae)やPich ia pastorisなどの真核生物などの微生物がある。哺乳類や他の高等な真核細胞 も成長因子複合体の発現に有用である。細菌の場合、具体的な転写調節領域また はプロモータとしては、lacプロモータ、trpプロモータ、Tacプロモータ(trpプ ロモータおよびlacプロモータのハイブリッドである)、λ左プロモータおよび λ右プロモータ等々がある。転写調節領域はさらに、たとえば、成長倍地中の栄 養または発現生成物の有無、温度等々によって、調節すべき融合遺伝子が発現す る時間を与える調節配列を含む。たとえば、バクテリオファージλPLプロモー タ、バクテリオファージλOLオペレータおよび温度感受性レプレッサーを含む 調節配列を使用して、温度により融合遺伝子の発現を調節することができる。プ ロモータの調節は、レプレッサーとオペレータとの相互作用によって行われる。 好ましいプロモータは強力なグルコース−レプレッション非感受性Tacプロモー タである。Graham et al.,(1995)Gene 158:51-54には、高レベル発現ベクターの 例が記載されている。 酵母で異種タンパクを合成する方法は周知である。Methods in YeastGenetics .Sherman et al.((1982)Cold Spring Harbor Laboratory Press)は、酵母で成長 因子複合体を産生させるために利用できる様々な方法を記載したよく知られてい る著作である。通常、酵母での発現に適したベクターは、要望に応じて、3-ホス ホグリセレートキナーゼや他の解糖酵素を含む諸プロモータ、複製起点、終結配 列等々などの発現調節配列を有する。適当なベクターは、文献に記載されている (たとえば、Botstein et al.(1979)Gene8:17-24:Broach et al.(1979)Gene8:12 1-133を参照のこと)。様々な真核宿主細胞に使用するのに適した発現バクター は、生物学的試薬の製造業者数社により製造されている(たとえば、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA;Clontech Laboratories,Palo Alto,CA;Promega Corporation.Madison WIの製品カタログを参照のこと)。 成長遺伝子複合体を発現することができる多数の適当な哺乳類宿主細胞系が当 該技術で開発されており、HEK293、BHK21およびCHO細胞系、ならびに COS細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系Jurkat細胞等々、様々なヒト細胞系など がある。上記細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター(たとえば、CM Vプロモータ、HSV tk(チミジンキナーゼ)プロモータまたはpgk(ホスホグ ルセレートキナーゼ)プロモータ)、エンハンサー(Queen et al.(1986)Immuno l.Rev.89:49)、およびリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデ ニル化部位(たとえば、SV40ラージT Ag poly A付加部位)などの必要な情 報処理部位、および転写ターミネータ配列などの発現調節配列を含んでもよい。 昆虫の細胞は、成長因子複合体の発現に有用な別の真核系である。昆虫細胞での 成長因子複合体の発現に適当なベクターは通常、SF9バキュロウイルスから誘 導される。適当な昆虫細胞系としては、カ幼虫、カイコ、アワヨトウ幼虫、シミ およびSchneider細胞系などのDrosophia細胞系(Schneider(1987)Emnbryol.Exp. Morphol,27:353-365を参照のこと)。発現カセットは、適当な細胞宿主のエピソ ーム維持用複製系内に含まれてもよく、ベクターを宿主ゲノム内に統合すること ができる、複製系無しで提供されてもよい。トランスフォーメーション、リン酸 カルシウム沈降DNAの使用、細胞をウイルスと接触させることによるトランス フェクション、細胞へのDNAマイクロインジェクション等々、周知の技術によ ってDNAを宿主細胞に導入することができる。 成長因子複合体をコード化しているDNAを適当な宿主にいったん導入すると 、宿主を成長させて複合体を発現させることができる。組換え生成物は、グリコ シル化されていることもグリコシル化されていないこともあり、野生型または他 のグリコシル化を有する。グリコシル化の量は、個々のペプチドの配列、ならび にペプチドが産生される生物にある程度左右される。それ故、E.coli細胞で生 成物が発すると、未グリコシル化生成物が生じ、昆虫で生成物が発現すると、一 般に、 哺乳類細胞における生成物の発現より少ないグリコシル化を生じる。酵母で発現 すると、超グリコシル化が生じる。 成長因子複合体の分離では、生成物が宿主細胞に保持される場合、当業者に周 知の方法を使用して、細胞を収穫し、溶解し、生成物を分離する。場合によって は、リーディングフレームの上流およびリーディングフレーム内のシグナル配列 (分泌リーダー)に、成長因子複合体を分泌させる、構造遺伝子を付けることが 望ましい。具体的な分泌リーダーとしては、ペニシリナーゼ、免疫グロブリン、 T細胞受容体、外膜タンパク等々の各分泌リーダーなどがある。適当なリーディ ングフレーム内の融合によって、成長因子複合体を培地中または細菌の細胞周辺 腔に分泌することができる。E.coliなどの細菌の発現系では、かなりの部分が 細胞外媒体内に漏れる(Ong et al.,Biotech.Bioeng.(1993)42:401)。生成物が 分泌される場合、当業者に周知の手順を使用して、栄養培地を回収し、生成物を 分離することができる。活性タンパクを産生するためには、タンパクを再生させ ることが必要である。好ましい実施態様で、成長因子複合体をアフィニティクロ マトグラフィーで精製する。基質結合領域を、適当な基質、または使用すする成 長因子複合体に組込まれる異なるアフィニティタグに結合させる。たとえば、ヘ キサヒスチジン、ストレプトアビジン、またはGSTなどのアフィニティタグを 含むように成長因子複合体を構築することができ、このようなアフィニティタグ は、たとえば、それぞれ、ニッケル−セファロース、ビオチン、およびグルタチ オンなどを使用するアフィニティ精製に有用である。 一般に、本発明の成長因子複合体はポリサッカライダーゼ結合ペプチドの基質 上に固定される。「固定」は、成長因子複合体が、可溶性または不溶性のいずれ かの、適当な基質に結合されることを意味し、たとえば、セルロース、β-1,4- グリコシド結合によって結合したD-グルコピラノース単位から成る多糖類およ びそのエステル類、たとえば、酢酸セルロースなどの不溶性多糖類、反復主鎖単 位がβ-1,4-D-キシロピラノースであるキシラン、β-1,4-結合N-アセチル、2- アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース単位から成る点でセルロースに似て いるキチンなどがある。他の有用なオリゴ糖としては、デンプンなど、α-1,4- グリカンなどがある。上記のような、多糖類に結合することができる酵素は、こ のような基質に結合することができるアミノ酸配列の起源として、本発明で興味 深い。基質は、微晶質セルロース、綿、紙、中空セルロース繊維、微小担体(た とえば、CellsnowTM、Kirin Brewing Co.,日本)スポンジ創傷カバー等々の形が 有用である。一般に、複合体は成長因子複合体と接触して配置される細胞によっ て吸収されたり消費されたりしない。 複合体の結合タンパク部分の基質上に固定された成長因子複合体は、成長因子 依存細胞、特に幹細胞ならびに巨核球やTリンパ球などの造血系細胞のex vivo 培養に用途がある。たとえば、この方法は、前CFU−S、BFU−E、MK, CFU−MK,GEMMおよびGMなど、骨髄成分の培養に有用である。この方 法は、固定された成長因子複合体に接触して成長因子に応答する細胞を成長させ ることを含む。好ましい実施態様で、成長因子複合体はポリサッカライダーゼの 基質、たとえば、β-1,4-グリカンや本願明細書に記載の他の多糖上に固定され ている。基質は、場合に応じて、固体担体に可逆的または不可逆的に結合してい てもよく、基質自体が固体担体を含んでもよい(たとえば、綿繊維、紙、セルロ ース中空繊維、成長チャンバ、微小担体など)。固定された因子は一般に細胞培 養によって消費されないため、因子は細胞増殖、活性化、および/または分化に 連続した限局的刺激を与えることができる。細胞培養は、培養プレート、成長チ ャンバ等々、特に長期細胞増殖および/または細胞増殖の大規模拡大を可能にす るために成長培地を連続的に加えて除去する灌流培養であってもよい。灌流培養 で培養することができる細胞としては、特異的エフェクターT細胞、骨髄または 血液から得られる幹細胞、巨核球または他の造血細胞等々がある。 成長因子は、PBPの基質を含む生体外用具、たとえば、濾紙や中空繊維、お よび成長因子依存細胞のex vivo拡大に使用される用具に、PBPによって結合 していてもよい。たとえば、特定の成長因子依存細胞型の拡大、活性化、または 分化を必要とする患者の血液を、成長因子複合体を構築するために基質結合ドメ インを獲得したポリサッカライダーゼの基質を含む固体担体上に成長因子複合体 が固定されている生体外用具を通過させてもよい。1つの実施態様で、成長因子 複合体は、生体外用具内に存在する中空繊維などのセルロースマトリックスに結 合している。したがって、繊維を通過する成長因子依存細胞は、細胞の増殖、活 性化または分化を刺激する固定された成長因子部分と接触する。この方法が有用 な例は、癌患者の血液を、インターロイキン2を含む成長因子複合体が結合して いる多糖を含有する生体外用具を通過させることによる抗腫瘍T細胞の活性化で ある。 特許請求した方法は、神経細胞など、因子の特定の局所濃度または勾配を必要 とする因子依存細胞の培養にも有用である。勾配は、当業者に周知の方法で発生 させる。たとえば、フロー技術を使用し、 多糖マトリックスをPBP成長因子複合体溶液と接触させることによって勾配を 発生させることができる。マトリックの近位領域は、流れから最大量の複合体を 吸収する。 成長因子複合体を使用して、特定の成長因子あるいは増殖または分化に関する 他の部分に依存する細胞が多い細胞群を獲得することができる。成長因子の細胞 表面受容体を担持する細胞を、基質結合ドメインの起源であるポリサッカライダ ーゼの基質上に固定されている成長因子複合体と接触させる。不溶性基質を使用 する場合、固定された成長因子依存細胞から望ましくない細胞を洗浄によって除 去する。 適当なオリゴ糖基質上に固定された細胞は、たとえば、相分離系、特に水性2 相抽出系を使用して、他の非結合細胞と分離することができる。一般に、相分離 系は、成分を混合したとき、相分離系の成分が不相溶性であることによって生じ る2相を含む。系の1成分は相形成オリゴ糖ポリマーであり、第2の成分は第2 のポリマーなど、相形成オリゴ糖ポリマーと不相溶性である相誘導性薬剤である か、または相分離を誘導することができるほど高い濃度で存在する強力な電解質 、特に、硫酸塩やクエン酸塩などの塩類である。生育可能な細胞を精製するため 、相分離条件は細胞生育能に適合しなければならない。伝統的なデキストラン/ PEG系に類似した特性を有するが、それより低価格の分配系を形成することが できるポリマー対の例は、デキストラン/PEG系と同様、炭水化物とポリ(オ キシ−エーテル)の不相溶性に基づいたものを含め、多い(Skuse et al.,(1992 )Enzyme Microb.Technol.14:785を参照のこと)。例としては、ヒドロキシプロ ピルスターチ(Tjerneld et al.,(1986)Enzyme Microb.Technol.8:417)、マル トデキストリン(Szlag et al.(1990)ACS Symposium Series 419:38-52)、 ヒドロキシプロピルセルロース(Skuse et al.前出)、およびカルボキシメチル セルロース(Albertsson(1971)Partition of Cell Partides and Macromolecule s,Wiley Intersclence)などがあり、全て、PEGを含む分離系の形成に使用し て成功をおさめている。系を展開するために、それより高い濃度で安定な2相分 配系が形成されるポリマー総濃度、言い換えればポリマーと他の相誘導剤の濃度 を決定するためのHaynes et al.((1989)Fluid Phase Equilibria 53:436)の手順 を使用して、第1成分と第2成分を組合せた相平衡データが得られている。一般 に、中性のpH、約10-3M〜約1Mの中間イオン強度緩衝液中で、PBP複合 体を相形成オリゴ糖に結合させることができる。相分離系の成分に応じて、約4 ℃から少なくとも70℃の温度で結合を行うことができる。結合は実質的に瞬間 的であり、温度は重要ではない。PBP複合体を相形成オリゴ糖にいったん結合 させると、PBP複合体はその相に分配される。 使用する際に、多糖結合ペプチドによって可溶性オリゴ糖に結合された細胞を すでに混合されている相分配系に加えるか、または成分のいずれかに、一般にオ リゴ糖ポリマーの乾燥型(たとえば、凍結乾燥)に、組成物を加えてもよく、そ の結果、この乾燥型は再水和され、その後で他の成分を加えることができる。複 合体結合がオリゴ糖ポリマー相に分配されるほど十分な時間の後、この相を分離 する。系のpHおよびポリマー濃度を調節し、分配電界質を加えることによって 、多糖の多い相に汚染物質タンパクが分配(非アフィニティ)されるのを最小限 に抑える。最適操作条件下で、2種の水層を多段接触を行うと、標的組成物の完 全精製または部分的(ではあるが十分な)精製のいずれかを行うことができる。 下表6は、他のポリマーまたは強電解質のいずれかと水性2相系を形成すること が判明しているオリゴ糖の一部の一覧表である。 2相系を形成する他の多糖類としては、低分子量セロサッカライド類の混合物 、キトサンおよび他のキチン誘導体、水溶性グルカン類(重合度>3のα、β、 および/または混合連結)、改質グルカン類、および/または誘導グルカン類、 オオムギβ−グルカンやカラスムギβ−グルカンなどの穀類β−グルカン類、な らびにマンナン、グルコマンナンおよびキシログルカンなどがある。 若干の用途では、固定された細胞を濃縮工程後に放出することが望ましい。幾 つかの方法を使用して、固定された成長因子複合体および/または付着細胞を多 糖基質ポリマーからはずすことができる。たとえば、PBP化合物はオリゴ糖ポ リマーに特異的に且つ強く結合するが、低イオン強度溶液(水など)、または撹 乱塩(chaotropic salt)の高pH溶液で容易にはずすことができる。上記方法 は、付着細胞および/または受容体一と緒に、オリゴ糖ポリマーから複合体全体 を放出することができる。脱着の温度は重要ではなく、一般に10℃〜40℃の 範囲であるが、環境温、すなわち、約20℃が一般に好ましい。生育可能な細胞 が望ましい場合、生理学的に適合する条件を使用する。たとえば、低イオン強度 、撹 乱塩を含まない生理的pH溶液を使用して、基質から細胞を放出することができ る。 成長因子複合体に付着した細胞の生育能が重要でなければ、たとえば、成長因 子そのものの受容体または成長因子受容体対を精製する場合、この脱着工程にp H9.5の炭酸塩緩衝液または6M グアニジンHClを使用することができる。希 水酸化ナトリウム(約0.1M)を使用することができる場合もある。PBPが 水で脱着されるように、要望によっては脱着されないように、その付着特性を変 えるために、PBPの性質を一部変更することができる。脱着媒体をマトリック スに適用すると、オリゴ糖ポリマーから複合体が放出される。 PBP複合体を基質から放出した後、PBP複合体と関連細胞との分離に、様 々な技術を使用することができる。 たとえば、PBP複合体が存在しないように多糖表面を上述の脱着溶液で洗浄す ることができる。次に、脱着溶液のイオン強度またはpHを変えたり、イオン交 換媒体または第2の多糖マトリックでPBP複合体を再吸着したりすることによ って、PBP複合体を脱着溶液から分離する。 あるいは、プロテイナーゼKやトリプシンなどの非特異的一般プロテアーゼか 、特異的プロテアーゼのいずれかを使用するタンパク分解によって成長因子複合 体を切断することにより、多糖基質上に固定された細胞または他のリガンドを基 質から放出することができる。非特異的プロテアーゼを使用してPBP複合体の PBP部分を完全に分解することができ、それ故、PBP部分がオリゴ糖ポリマ ーから放出される。たとえば、約37℃で、濃度約50μg/mlのプロテイナーゼ Kで約20分間処理することによって、放出を行うことができる。Die et al.(1 991)Bio/Technology,9:1096-1099。特異的プロテアーゼを使用して、結合した化 合物および/または細胞を、化合物および/または細胞が結合している多糖 基質から放出させることもできる。たとえば、成長因子部分とPBPとの間にプ ロテアーゼ認識部位またはキメラ切断部位を含めることができる。PBPはオリ ゴ糖ポリマーに結合したままである。認識部位の例としては、コラーゲナーゼ、 トロンビン、エンテロキナーゼ、およびそれぞれの酵素で特異的に切断される因 子Xaなどがある。因子Xaおよび因子Xa−CBD融合タンパクの適当な発現シ ステムが開発されている(Assouline et al.(1993)Protein Eng.,7:787を参照の こと)。2つのS1因子の未変性アイソマーの1つ(KL−1)は、その細胞外 ドメイン内にプロテアーゼ切断部分を含み(Huang et al.(1992)Mol.Cell.Biol .3:349-352;Pandiella et al.(1992)J.Biol.Chem.267:24028-24033)、それ故、 プロテアーゼによってこの部位を切断することは、成長因子複合体のS1因子部 分をPBPから放出させる手段である。たとえば、低pHまたは臭化シアンに感 受性のキメラ切断部位を使用することも可能である。PBは細胞をオリゴ糖ポリ マーに付着させることができる手段であり、その細胞は、後ではずすことができ る。 切断を使用する場合、多糖結合領域と成長因子部分との間に存在する配列に特 異的なプロテアーゼを使用して、PBPはオリゴ糖ポリマーに結合したまま、成 長因子部分および付着したリガンドおよび/または細胞を多糖結合領域から容易 に切断することができる。プロテアーゼは、成長因子部分をPBPから切断した 後、その除去が容易な形で提供されることが好ましい。1例として、切断プロテ アーゼを切断酵素複合体として調製することができ、この場合、プロテアーゼは 、関心事のポリペプチドに結合している第1多糖結合部分とは異なる基質特異性 を有し、且つ/または異なる結合特性を有する、第2の多糖結合部分に結合して いる(Assoluline et al.(1993)前出、Assoluline et al.(1995)Biotechnol.Pro g.11:45-49)。このように、関心事のリコンビナントタンパクから結合ドメイン を溶液中で切断し、その後、第1多糖結合部分は結合しない多糖基質に結合させ ることによって切断酵素複合体を除去する。あるいは、第1多糖結合部位が結合 しない多糖マトリックスに、切断酵素複合体を固定することができる(Assoulin e et al.(1993)前出、Assouline et al.(1995)前出を参照のこと)。精製した細 胞または成長因子部分を多糖ポリマーから放出させ、ポリマーに結合したままの 汚染PBPをなくす。 成長因子依存細胞型および/または受容体を濃縮する方法は、バッチ方式、ま たは細胞懸濁液をカラム内を通過させることによって、実施することができる。 たとえば、アフィニティクロマトグラフィカラムまたは他の適当な精製システム 内に含まれる多糖マトリックスに、成長因子複合体を結合させることができる。 リガンドが成長因子複合体に結合することが可能なイオン条件下で、細胞結合す るリガンドを含め、成長因子部分に結合するリガンドを含む試料混合物と、複合 体を接触させる。マトリックスで洗浄することによって、未結合分子および/ま たは細胞を除去する。結合分子を溶離する緩衝液でマトリックスを洗浄すること によって、結合分子および/または細胞を分離する。 創傷を成長因子複合体、通常は、複合体の結合する対象である多糖基質、たと えば、包帯の綿などに結合する成長因子複合体と接触させることによって、成長 因子複合体を創傷治癒増進に使用することができる。特許請求した方法で使用す る成長因子部分は、創傷治癒に関与する細胞が走化性を示すものである。あるい は、成長因子は、創傷治癒に関与する細胞の増殖を刺激したり、瘢痕組織形成を 妨げたり最小限に抑えたりする細胞の増殖を阻害したりすることができる。成長 因子複合体は、創傷部位への細胞移動および/または標的細胞成長の調節を増進 するのに有効な量で、創傷部位に投与される。 他の治療的摘要としては、神経再生亢進などがある。たとえば、脳由来神経親 和性因子および/または神経成長因子を含む複合体を、複合体の多糖結合ペプチ ド部分によって、膜などの多糖基質上に固定させ、傷害や病気によって損傷した 神経組織に適用する(たとえば、米国特許第5,229,500号を参照のこと )。損傷した神経付近に、神経が完全に、または部分的に再生するのに十分な期 間、固定された複合体を置く。 以下の実施例は、例証の目的で提供するものであって、本発明の範囲を制限する ためではない。 実施例 略語 pNPC=p-ニトロフェニル-β-セロビオシド HPA=ハイド粉末axure(hide powder axure) gCenAおよびgCex=C.fimi由来のCenAおよびCexのグリコシル化形 ngCenAおよびngCex=リコビナントE.coli由来のCenAおよびCexのグリ コシル化形。 RPC=逆相クロマトグラフィー SDS-PAGE=ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電 気泳動 a-Pro/Thr=合成CexPro/Thrボックスに対するウサギ抗血清 PMSF=フッ化フェニル−メチルスルホニル 生物学的培養寄託 American Type Collection(ATCC).12301 Park Lawn Drive,Rockville,Me ryland 20852に以下の寄託が行われている。Escherichia coli C600内のプラス ミドpcEC-2上のクローン化遺伝子CenAの誘導体は、1986年4月23日に寄託 され、ATCC受託番号第67101号を与えられた。プラスミドpEC-1上のクローン 化遺伝子Cexの誘導体は、1986年5月27日に寄託され、ATCC受託番号 第67120号を与えられた。E.coli JM83.pUC12-1.1cexは、1986年4月23 日に寄託され、ATCC受託番号第67102号を与えられた。pTugA(受託番号第L 24193号)、pTugAS(受託番号第L24367号)、C.fimi CenA(受託番号第 M15823号)およびC.fimi CenC(受託番号第X57858号)の全ヌクレオチド配列 は、GenBankに寄託されている。 実施例1 S1因子およびセルラーゼ結合ドメインをコード化している 融合遺伝子の構築 融合タンパクSLF-CBDは、SLF-CBD融合タンパク(図2C)と呼ば れる、S1因子(steel factor:SLF)とCexのセルロース結合ドメインとの 間で融合を作るためのCellulomonas fimiエキソグルカナーゼCexのセルロース結 合ドメインに結合したS1因子(図2A)の細胞外ドメインを含む。天然のCex 酵素の場合、一連の反復するプロリン−トレオニン単位から成るPTリンカーで 、触媒ドメインと結合ドメインとを分離させる。このリンカーを、SLF-CB D構築物中でインキュベートし、2つのドメインを分離した。CBDの除去を容 易にするために、必要に応じて、因子Xaタンパク分解切断部位を、PTリンカ ーより上流の2つのドメインの間に導入した。セルロース(Greenwood et al.(1 990)Cell63:203-211)かニッケル−セファロース(Laemmli(1970)Nature 227:68 0-685)のいずれかをマトリックスとして使用して精製できるように、ヘキサヒ スチジンアフィニティタグを、タンパクのアミノ末端に加えた。Cexシグナルペ プチドを除去して適切に処理したとき、SLF-CBDの予期される分子量は3 4.1kDaである。酵素および緩衝液は、GIBCO BRL(Grand Island,NY )から購入した。全ての遺伝子操作は、Escherichia coli(E.coli)菌株DH5a(H anahan(1983)J.Mol.Biol.166:557-580)内で実施した。 SLF-CBD融合タンパクをコード化している遺伝子を、以下の通りに構築 した。位置指定突然変異誘発(Zoller and Smith(1982)Nucleic Acids Res.10: 6478-6500)を使用して、セルラーゼCexのシグナルペプチドのコード配列(O'Nei llet al.(1986)Gene 44:331-335)を発現プラスミドpTUG AS(図3)に導入し た。 NheI制限部位が後続するヘキサヒスチジンアフィニティタグのコード配列を、Ce xシグナル配列コード領域の3'末端でフレームに導入した。このようにして得ら れたフラグンメントを、NcoI−HindIIIフラグメントとして、非発現プラスミドp SL1180(Pharmacia Ltd.,Piscataway,NJ)にサブクローニングした。 XbaI制限部位を遺伝子フラグメントの5'末端に導入し、StuIおよびHindIII部位 を遺伝子の3'末端に導入するために、ネズミS1因子の細胞外ドメインをコー ド化する遺伝子フラグメント(Anderson et al.(1990)Cell 63:235-243;GenBank 受託番号第M38436号)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で一部変更した(Kau fman and Evans(1990)BioTechniques 9:304-306)。この生成物を、QIAEX ゲル抽出キット(QIAGEN Ltd.,Chatsworth,CA)を使用してアガロース ゲルから精製し、Cexシグナルペプチド含有プラスミドをNheIおよびHindIIIで切 断した後、Cexシグナルペプチドより下流に挿入した。遺伝子の90%以上を含 む2つの独特な制限部位の間で、元のSLF遺伝子のDNAをPCR生成物と交 換し、残りのベクター接合部位とフランジングDNAの配列を決定した。Cexの セルロース結合ドメインをコード化している遺伝子配列、ならびにそのプロリン −トレオニンリンカーを、プラスミドpUC12-1.1 Cex(PTIS)からStuI-HindII Iフラグメントを切除し(米国特許第5,340,731号を参照のこと)、S 1因子細胞外ドメインをコード化している遺伝子より下流のフレームに挿入した 。構築物全体をNcoI-HindIIIフラグメントとしてpSLI1180から切除し、カセット を挿入することによってカナマイシン耐性を含むように予め一部変更してあった 高発現レベルプラスミドpTug ASに挿入した。このプラスミドをpSLF/CBD 1.0. と呼んだ。 実施例2 SLF-CBDの発現および精製 発現用に、プラスミドpSLF/CBD 1.0をE.coli JM101(Yanisch-Perron et al . (1985)Gene33:103-119)にトランスフォームした。幾つかのコロニーをプレート からこすり取り、これを使用して、50mg/mlのカナマイシンが入っている5ml のTeriffic Broth試験管(Tartof and Hobbs,Bethesda Res.Lab.Focus9:12)に接 種した。この試験管を振盪しながら、37℃で4時間インキュベートし、これを 使用して、同じ培地500mlが入っているフラスコ4個に0.2容量%で接種し た。細胞培養光学濃度(OD50)が到達するまで、このフラスコを250rpmで 振盪しながら37℃でインキュベートした。0.1mMIPTGを加え、100 rpmでさらに8時間振盪しながら30℃に変えることによって細胞を誘導した。 細胞を収穫し、低浸透圧ショック(Neu and Heppel(1965)J.Biol.Chem.240:3685 -3692)で細胞周辺タンパクを分離した。Avicel微晶質セルロース(FMC Inte rnational Cork,Ireland)5mgを、培養上清10mlまたは細胞周辺抽出物1mlの いずれかに加え、その後、遠心分離で除去した。SDS-PAGE装填緩衝液をA vivelに加え、これを2分間煮沸し、SDS-PAGE分析用ゲルに直接装填した (Laemmli.前出)(図8a)。 細胞周辺抽出物を、50mMトリス塩基(Boehringer-Mannheim. Indianapolis,IN)を使用してpH8.0に緩衝化し、10kDaポアサイズ膜に よる限外濾過で2mlに濃縮した。His-Bind樹脂(Novagen Inc.,Madison,WI,cat .no.69670)を詰めた20mlカラムを使用し、100mM〜200mMのイミダゾ ールでタンパクを溶離する金属キレートアフィニティクロマトグラフィー(MC AC)(Hochuli(1990)Genetic Engineering,Principles and Practice,Vol.12(J .Setlow.Ed.),pp.87-98,Plenum.NY)を使用して、試料を精製した。ピーク分画 をプールし、溶離緩衝液をリン酸緩衝食塩水(PBS)と交換し、濾過を使用し て試料を再度濃縮した。最終試料の純度をSDS-PAGE分析で評価し、タン パク濃度を280nmの波長における吸光度(Scopes(1974)Anal.Biochem.59:277 -282)、およびBradford法(Bradford(1976)Anal.Biochem.72:248-254)で 測定した。試料の体積を減らすために最初の沈降工程を加えたこと以外は同じ方 式で、培養上清に放出されたSLF-CBDを精製した。上清を0℃に冷却し、1 NNH4OHを加えることによりpHを6.05(融合タンパクの予期される等 電点に維持しながら、80%(w/v)飽和硫酸アンモニウムにした。沈降したタ ンパクを、10000で遠心分離して回収し、MCAC装填緩衝液に再懸濁した 。タンパクをSDS-PAGEと抗ネズミS1因子ポリクローナル中和抗体(R& D systems,Minneapolis,MN.cat.no.AB-455-NA)または抗-CBD抗体のい ずれかを使用したウエスタンブロッティング(Burnette(1981)Anal.Biochem.112: 195-203)の両者で分析した。 pTK-SLF-CBDでトランスフォームしたE.coli JM101(Ong et al.(1 993)Biotechnol.Bioeng.42:401 409)の培養では、細胞周辺にも培養上清にもS LF-CBD融合タンパクが存在しており、Avicel(図8A参照)に結合させる ことによっていずれかの起源から回収することが可能である。Avicelを用いたア フィニティクロマトグラフィでSLF-CBDを精製することができるが、融合 タンパクのセルロースへの結合は強力であり、逆転は困難である。精製用アミノ 末端ヒスチジンアフィニティタグを使用する方が簡便であった。 ニッケル−セファロース樹脂を詰めたカラムを使用した高速液体クロマトグラ フィで細胞周辺のSLF-CBDを直接精製した(図8B)。タンパクは、10 0〜200mMのイミダゾール濃度で、このカラムから単一ピークとして溶離し た。コンディションド成長培地中のSLF-CBDは、限外濾過で初期量を減ら した後、同じ方式で精製した。周辺細胞から最終収量0.7mg/Lの精製タンパ クが得られ、上清から1.8mg/Lが得られた。このタンパクのアミノ末端配列 分析で、シグナルペプチドが除去されていたことが確認され、ウエスタンブロッ ティングおよびSDS-PAGE分析でタンパクの同一性が確認された(図9) 。 実施例3 固定されたSLF-CBDを使用した細胞増殖の刺激 細菌の微晶質セルロースをGilkes et al.(1992)J,Biol.Chem.276:6743-6749) に記載の通りに調製し、様々な濃度でハイブリドーマ無血清培地(H-SFM)(G IBCO BRL,Grand Island,NY,Cat.No.12045-019)に懸濁した。 精製SLF-CBDの試料をH-SHM中で希釈した。タンパク被験試料20μ lを、滅菌96ウェル組織培養プレート(Costar Corp.,Cambridge,MA,Cat.No. 3595)のウェルに入れた。BMCCを使用する実験では、H-SMF中BMCC懸 濁液50μlを各ウェルに加え、BMCCを使用しない実験では、H-SFM50 μlのみを加えた。SLF-CBDとBMCCを一緒に、37℃、5%CO2で1 2時間インキュベートした後、密集の1日後まで成長させてから5×10-5細胞 /mlの濃度でH-SMFに懸濁しておいたB6SUtA細胞(Greenberger et al.(1983) Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 80:2931-2935)100μlを加え、最終アッセイ量170μlと した。次に、培養を37℃、5%CO2で48時間インキュベートし、細胞増殖 を測定した。血球計での直接計数、またはMTTアッセイ((Denizot and Lang(1 986)J.Immunol.Meth.89:271-277)のいずれかで測定した。リコンビナントS1 因子(R&D systems,Minneapolis,MN,Cat.No.455-MC)を陽性コントロール として使用しリコンビナントCBDを陰性コントロールとして使用した。 因子Xaを使用する実験では、B6SUtA1細胞を加える前に、12時間インキュ ベーション工程中に因子Xa(Boehringer-Mannheim,Indianapolis,IN,Cat.No. 1179 888)2.5ngを試験ウェルに加えたこと以外は、前記の通りにアッセイを 実施した。 GraFitバージョン3.0統計解析プログラム(Erithacus Software Ltd.,Staines, U.K.)の非線形回帰分析を使用し、2回繰り返して回帰曲線を当てはめて、デ ータの統計解析を実施した。 MTT試験およびSLF依存性骨髄細胞株B6SUtA1を使用して、非固定SLF- CBD 融合タンパクの活性を、アフィニティタグのないコントロールSLF(図10A )と比較した。タンパクの活性は類似しており、コントロールSLFの非活性に 基づいて予期される範囲内であった。SLF-CBDの活性を、抗-SLF中和ポ リクローナル抗体(図10B)で中和した。CBDのみでは、B6SUtA1細胞の増 殖を刺激しなかった(データ表示せず)。BMCC存在下での生物学的活性 細菌の微晶質セルロース(bacterial microcrystalline cellulose:BMCC) はAcetobacter xylium(ATCC 23769)により産生されるセルロースの高結晶質 形である。調製後、BMCCは、急速に沈降しない高表面積微細懸濁液を形成し 、したがって、容易に希釈して所望の最終濃度を得ることができる。 BMCCの広い濃度範囲におよぶ、BMCCの連続希釈液を調製し、その各濃 度を、一定量のSLF-CBDを使用して試験した。130pMのSLF-CBD の場合、約1μg/mlのBMCC濃度で最大活性が認められ(図11A)。SLF -CBD濃度が1500pMに上昇すると活性が増大し、ピークが右に移動し( 図11B)たため、この系では、SLF-CBDとBMCCの両者の濃度がBrSUt A1細胞の増殖応答に影響を与えることがわかり、BMCC上のSLF-CBD最 適表面濃度が必要なことが示唆された。一定量のBMCCに結合したSLF-CBDの影響 1μg/mlまたは14μg/mlの一定のBMCC濃度を使用して、利用できるB MCC表面の量を一定に保ち、SLF濃度を変化させ逆の一連の実験を実施した 。無アフィニティタグコントロールSLFによって生じる活性は、BMCCの存 在による影響を受けなかったが(図12A)、SLF-CBDはBMCCの非存在下 よりBMCCの存在下で明らかに活性が高く、総細胞増殖の増加、およびそのE D50値(最大応答の半分を引起こすのに要するタンパク濃度)の低下の両者が認 められた(図12B)。 SLF-CBDの分布を決定するために、遊離SLF-CBDおよび結合SLF -CBDを別々に試験した(図13A−13C).無タグSLFコントロールの 場合、活性の大部分は上清にあった(図13A)。SLF-CBDでは逆で、活 性の大部分はBMCC粒子と関連していた(図13B)。この試験から、使用し たSLF-CBDの最高濃度でも、BMCC 1μg/mlの結合能力を超えないこ とがわかった。 SLFとCBDの間に導入された因子Xa部位で融合タンパクを切断するため に因子Xaを加えることによって、BMCCに結合したSLF-CBDを放出す ることが可能である。この処理後、活性の大部分が上清中に認められた(図13 C)。 以上の結果から、可溶性形の融合タンパクによって生じる最高細胞密度は確か にコントロールタンパクによって生じるものほど高くないが、ED50値は同じで あったことがわかる。しかし、SLF-CBD融合タンパクをセルロース上に固 定した場合、溶液中のSLF-CBDより有意に強力であり、有意に高い最大増 殖応答を引起こし、より高い非活性を示した。この作用は、アフィニティタグが なく、固定することができないコントロールタンパクでは認められなかった。 固定されたSLF-CBDの高い増殖活性がBMCC濃度依存性であることは 注目に値する。一定のSLF-CBD濃度で、増殖応答はBMCC濃度が上昇す るにつれて最大値まで増大し、より高いBMCC濃度で低減した。この実験でS LF-CBDの濃度が上昇すると、最大値はより高いBMCC濃度に移動した( 図11B)。恐らく、非常に低いBMCC濃度では最大表面積が制限され、非常 に高いBMCC濃度では、制限されるのはS1因子であり、BMCC表面上のS LF-CBD密度が低減する。SLF-CBD濃度が上昇するとこの作用を弱め、 SLF-CBDの表面濃度が高くなる。特定のS1因子分子の表面濃度は、B6SUt A細胞の刺激に対して劇的な影響を与える。SLF-CBD濃度が130pMの場 合、BMCCを加えると1μg/mlで最大になり、1500pMのSLF-CBD 濃度では、4.4μg/mlまで右に移動し、刺激レベルが上昇した(図11)。明 らかに、この培養の刺激レベルは、SLFの表面温度 とセルロース表面の量の両者による影響を受ける。Gilkes et al,前出が報告し たBMCC粒子の寸法に基づけば、利用できる表面積は、BMCC μg当たり1 .22cm2である。両レベルのBMCCとも、表面上のSLF-CBDの密度は約 4×1010分子/cm2となるであろう。MO7e細胞と同様に、細胞直径を10m m、且つ35,000c-kit受容体/細胞(Turner et al.(1995)Blood 85:2052- 2058)と仮定すると、細胞表面上の受容体密度は1.1×1010受容体/cm2に なるであろう。これらの推定値に基づけば、固定化マトリックを加えた影響は、 SLF-CBD相対密度が細胞膜上のc-kit受容体の密度の4倍のときに最大であ った。 筆者らは、SLF-CBDを上昇させ、表面積を1μg/ml(1.22cm2/ml) で一定に保った影響も分析した。この場合、SLF-CBD密度7×1011分子 /cm2に等しいSLF-CBD濃度約2000pMのとき、最大刺激活性が確認さ れた。この数値は、筆者らが細胞表面上の受容体密度に使用した推定値の約60 倍である。総合すると、SLFの密度が細胞表面上の受容体密度の約4倍のとき 、刺激の閾値が存在することが、以上の結果から示唆される。SLF表面密度が 細胞膜上の受容体密度より30〜60倍高いとき、刺激活性が上昇し、SLF濃 度はその最大値に到達する。 実施例4 再生されたセルロース表面に固定されたときの SLF-CBD生理学的活性の持続性 酢酸セルロース(Kodak Inc.)1gを酢酸99mlに加えることにより、酢酸セ ルロースの1%(w/v)溶液を調製した。この溶液100μlを、上で使用した標 準96ウェル組織培養プレートの各ウェルに加え、酢酸を蒸発させた。50mM NaOH100μlを各ウェルに加え、20分間放置して、セルロース表面を再 生させた。NaOHを注ぎ出し、ウェルをPBSで3回すすいだ。70%(v/v )エタノール300μlを各ウェルに加え、プレートの蓋を元に戻し、滅菌工程 と同 様に、エタノールを蒸発させた。 BMCCの代わりに酢酸セルロース由来の表面を使用してSLF/CBDを固 定したこと以外は、前述の通りに活性試験を実施した。タンパク試験試料20μ lをセルロース被覆ウェルに入れた。H-SFM 50μlをウェルに加え、12時 間インキュベートした後、B6SUtA細胞100μlを加えて、標準最終体積170 μlとした。 48時間培養した後、MTT試験を使用し、データポイント4重に収集して活 性を測定した。コントロール群の細胞を、セルロース被覆プレートのウェル4個 の各々および非被覆プレートのウェル4個の各々に加えた。この細胞を48時間 インキュベートした後計数し、表面が何らかの毒性を示すかどうかを決定した。 上述の通りにセルロース被覆プレートにSLF-CBDを装填し、前記の通り にB6SUtA細胞を加えた。標準的な48時間インキュベート期間の後、MTT試験 で活性を測定するために細胞を別のプレートに移し、古いプレートを温H-SF M150μlで洗浄した。洗浄後、新たなB6SUtA試験細胞170μlを各ウェルに 加え、48時間インキュベーション期間を繰り返した。表面を細胞培養に計3回 使用するために、全手順を繰り返した。別の実験で、SLF-CBDをセルロー ス被覆プレートに結合させ、このウェルのH-SFM上清を、細胞を加えずに4 8時間毎に交換した。上清を3回交換した後、細胞をSLF/CBD被覆表面に 加え、48時間インキュベートした後、MTTアッセイを実施した。 無タグSLFをコントロールとして使用した。1組のコントロール実験で、前 記と同様、セルロース被覆組織培養ウェルにSLFを加え、表面に新たな細胞を 3回播種し、増殖を測定した。別の一連のコントロール実験で、セルロース被覆 されていない組織培養プレートにSLF/CBDタンパクを加えた。この表面に 細胞を3回接種し、活性を測定した。 SLF-CBDは、微量滴定プレートの底に適用された再構成セルロース表面 にも 結合した。この系で、セルロース表面からの細胞分離が容易になり、表面を連続 数回の細胞培養に再使用することが可能であった。プレートに結合した活性また は上清に残存する活性の分析で、実質的にすべてのSLF-CBDが結合してい ることがわかった(図14A)。同じ表面を繰り返し使用すると、3回の細胞成 長中に、増殖活性の損失がないことがわかった(図14B)。第3サイクルまで 細胞を加えなかったこと以外は同様に処理した別のプレートから、同様の結果が 得られた(図14B)。 SLF-CBD被覆プレートを繰り返し使用することが可能であったため、固 定されたS1因子は細胞により消費されないことは明白である。対照的に、可溶 性S1因子は細胞に吸収されて消費されるが、これは、刺激の持続期間を調節す るホメオスタシス機構である公算が高い(Miyazawa et al.(1995)Blood 85:641- 649)。それ故、SLFを固定すると、成長因子の消費によるダウンレグレーシ ョンを防止することになるであろう。 実施例5 再生セルロース表面に固定された SCF-CBDネズミ細胞増殖およびヒト細胞増殖の刺激 British Columbia Cnacer Reserch Centerの動物施設で生まれて飼育された 8週齢の(C57BL/6J x C3H/HeJ)F1マウスの大腿から骨髄細胞を吸引し た。SCFまたはSCF-CBDを含有し、且つ1μg/mlのBMCCを含有する または含有しない培地1mlに、細胞を最終濃度1×10-3細胞/mlで加えた。ネ ズミIL3(5ng/ml)を並行試験培養に加えた。培養を37℃/5% CO2で5 日間維持し、2回計数し、0.9%メチルセルロースを含有するMethocult GF M3434培地(StemCell Technologies)で1:10に希釈した。希釈した各培養 1mlを35mmのプレート2枚の各々に移し、14日間インキュベートした後、標 準的基準に従って、コロニーを評点化した。プレート2枚の各一対のコロニー計 数を合わ せ、1本の棒としてグラフにプロットした(図15A)。さらに14日間インキ ュベートした後、プレートを写真撮影した(図15B)。セルロース濃度を一定 に保ち、SCF濃度およびSCF-CBD濃度を1500Mから10,000p Mまで変化させた。 ヒト細胞株MO7eおよびTF−1を用いた実験を実施した。半最大応答(ED50 )(表7)を用量応答曲線(図4A)から算出した。 SCF依存性骨髄細胞株B6SUtAの場合、CBD単独ではB6SUtA細胞の増殖を刺 激しなかった(データ表示せず)。セルロースの存在は、無アフィニティタグコ ントロールSCFにより生じる活性に有意な影響を及ぼさなかった(表7)。し かし、半最大応答の低下(ED50値の低下)に必要なタンパク濃度の低下によっ て実証された通り、3種の細胞系全てで、セルロース存在下のSCF-CBDは セルロース非存在下よりも明らかに活性であった。IL3はコロニーのサイズに 影響を及ぼさなかった。 実施例6 CBDN1の分離 Escherishia coli JM101(SupE,thin-1,Δ(tac-proAB)、(FtraD36,pr oAB,taclqZΔM15)(Yanish-Perron et al.(1985)Gene33:103-119)をプラスミ ドの維持用およびリコンビナントタンパクの産生用の宿主菌株として使用した。 培養を、30℃、液体トリプトン−酵母抽出物−リン酸培地(TYP)中または Luriaブロス(カナマイシン(100g/ml)を加えたLB寒天)上で成長させた 。 pTugKN1(図7参照)を担持するE.coli菌株JM101の一晩培養を、100μ gカナマイシン/mlを加えたTYPで500倍希釈し、光学濃度2.0〜3. 0まで30℃で増殖させた。イソプロピル-1-チオ−β-D-ガラクトピラノシド (PTG)を最終濃度0.1mMまで加え、細菌を30℃でさらに18時間イン キュベートすることによってPBDN1産生を誘導した。13000×gで10分 間遠 心分離(4℃)することにより培養上清を清澄化させ、細胞を捨てた。セルロー スによるアフィニティクロマトグラフィを使用して、以下のようにPBDN1を精 製した。PBDN1を結合させるために時々攪拌しながら、清澄化した培養上清を 微晶質セルロース(Avicel)(50mg、L−1)とインキュベートした(4℃) 。Bushnerロート上のガラスフィルター(Whatman GF/A)で、セルロース上清 を濾過し、50mMリン酸カリウム、pH 7.0中1M NaClで簡単に洗浄した。 20mMリン酸カリウム緩衝液、pH 6.0で平衡化した陰イオン交換カラム( MonoQ)に、結合したPBDN1を充填し、流速1ml/分で操作した。タンパクは カラムにしっかり結合し、これを塩勾配(0〜1N NaCl、pH 6.0)ではず した(図16参照)。PBDN1を300mMの塩で回収した(図15、ピーク1 )。よりしっかり結合した汚染タンパクを、より高濃度の塩ではずした(図16 、ピーク2)。図17は、精製中のPBDN1のSDS-PAGE分析を示す図で ある。 実施例7 CBDN1およびCBDN1N2に結合している HEC、オオムギ−β−グルカンおよびキシランの アフィニティ電気泳動による分析 アフィニティ電気泳動(Mimura et al.(1992)J.Chromatography597:345-350 )を使用して、HECおよびオオムギβ−グルカンなどDP≧15の、CBDN1 およびCBDN1N2の可溶性多糖類への結合を同定し、評価した。オリジナルの連 続的ディスク電位泳動法を不連続法と置き換えた。1種は多糖を含み(0.1% w/v)、1種をリガンドを含まない、2種の未変性ゲルをBioRad電気泳動システ ムの同一プレート内に互いに隣接させて準備した。これによって、可溶性多糖の 存在下または非存在下での分析は実質的に同一条件で実施されることが保証され 、したがって観察された作用(結合性グルカンの存在下における減速)は変則的 な 電気泳動適移動の結果ではないことが保証される。各ゲルにおける陰性コントロ ールとしてBSAを使用した。タンパク(各5mg)をゲルに負荷した。電気泳動 は、4℃、pH 8.2〜8.8の未変性条件下で2〜3時間行われた。CBDN 1 およびCBDN1N2はHECおよびオオムギβ−グルカンと相互に強く作用し、 結果として、これらのオリゴ糖を含む(+)ゲルにおける移動は、β−グルカン が存在しない(−)ゲルにおける移動に比べて、ひどく遅れる(図18Aおよび 18Bを参照のこと)。CBDN1およびCBDN1N2はキシランに対してアフイニ ティを示さず、このグリカンの非存在下での移動に比べて、存在下でのゲルにお ける移動の遅れは全く観察されない(図18C参照)。N1およびN2は、それ ぞれCBDN1およびCBDN1N2を指す。 実施例8 CBDN1およびCBDN1-融合タンパクに対する オリゴ糖結合定数の等温滴定微量熱量測定 アフィニティ分配系に適した一組のリガンドを同定する目的で、微量熱量測定 法を使用して、広範囲の水溶性オリゴ糖に対するCBDN1の結合熱力学を測定し た。データを下表8に示す。図19は、Calorimetry Sciences Corp.モデル42 ITCを用いて測定した、50mM PBS中35℃、pH7でヒドロキシエチ ルセルロース(HEC)に結合しているCPDN1の可逆的結合−等温データを示 す。CPDN1はHECに強く結合し、その平衡結合定数は弱い抗体−抗原相互作 用の範囲である。上記条件で、CPDN1に結合しているオオムギβ−グルカン結 合はさらに強い(Ka=85,500M-1)。両オリゴ糖とも、CPDN1結合は 、アフィニティ分配系で現在使用されているほぼ全てのPEGを基礎とするアフ ィニティリガンド(たとえば、シバクロンブルー-PEG、Procionレッド、ジニ トロフェニル-PEG、二酢酸-PEG)と同等またはそれ以上に固い。この比較 的高い結合アフィニティと、1つのオリゴ糖鎖が複数のCPDN1融合タンパクに 結合する能力とを 組合せると、このアフィニティ分配系では能力も選択性もともに高くなることが 示唆される。N1結合熱力学を下表8にまとめて示す。CPDN1のHECおよび β-グルカンへの結合は、両者とも猛烈な発熱反応であり、結合は低温で亢進す るため、分配工程で温度低下を使用することができ、溶離工程で温度上昇を使用 することができる。 実施例9 HECとPluronicP105の混合物の 相平衡分析 35℃、pH7の50mM PBS中、HECとPluronlc P105(ポリ(エチ レングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)コポリマー)の混合物にHayn esら(Fluld Equilibria(1989)53:463)の手順を使用して相平衡データを得た。図 20に示すように、安定な2相分配系が形成された。Pluronlc P105が約3%(w t/wt)より高くHECが%である任意の総ポリマー濃度で、かなり広範囲の2相 組成物およびアフィニティ分配に有用な長さの平衡連絡線が得られる。 実施例10 オリゴ糖ポリマーのCBDN1に適した溶離条件の 等温滴定微量熱量測定法 平衡解離定数を温度、塩濃度およびタイプ、ならびにエチレングリコールや尿 素などの補助溶剤の濃度の関数として測定することによって適当な溶離条件を決 定するために、PBON1-炭水化物複合物の好都合な水素結合構造を中断させる ように設計されたITCも使用する。 実施例10 cen C CBD遺伝子フラグメントとC.fimiエンドヌクレアーゼA(cenA) 遺伝子フラグメントの融合を含む発現ベクターの 構築および融合タンパクの特性化 ベクターの構築 プラスミドp TZ−JC2(図21Aを参照)をSmaIおよびHindIIIで完全に 消化した。3.9kbpのフラグメントが回収された。プラスミドpUC18-1.6 ce nΔPT(図21Bを参照)をHpaIおよびHindIIIで完全に消化し、1.1kbpの フラグメントを回収した。3.9kbpのフラグメントと1.1kbpのフラグメント を連結するとpTZ-JC13が得られた(図21Cを参照)。E.coli JMl01の トランスフォームに、このベクターを使用する。融合タンパクの酵素的特性化 pTZ-JC13によりコード化された発現生成物(融合タンパク)の、Avicel 細菌の微晶質セルロース(BMCC)およびリン酸膨潤セルロース(PASC) に対する触媒活性を、もとのCenAとその分離された触媒ドメインp30とを比 較して、 特性化する。一定のアッセイ条件で、一定量の基質から生成した可溶性還元糖の 量から比活性を決定する。還元糖を熱量測定法で測定し、グルコース標準を使用 して決定する。クームスブリリアントブルーG-250の結合によってポリペプチド 濃度を決定する(Gilkes et al,(1988)J.Biol.Chem.263: 10401-10407)。タンパク分解的分解に対する融合タンパクの感受性の評価 融合タンパクを使用する際に考慮すべき重要なことは、タンパク分解的分解に 対する耐性を含め、様々な条件化でのポリペプチドの安定性である。リンカー配 列の非存在下におけるタンパク分解的分解に対する融合タンパクの感受性を、C .fimiプロテアーゼで評価した。C.fimiプロテアーゼによる融合タンパクの切断 をSDS-PAGEでモニタリングした(図22を参照)。CenAの安定性を基準 にして、融合タンパクの安定性を比較した。結果を最適化するために、プロテア ーゼ濃度およびタンパク分解条件を変えた。融合タンパクの結合特性の評価:分画吸収分析 異なるセルロース異形仮像に関してPBD融合タンパクのアフィニティを明確 にするために、様々なセルロースマトリックスへの結合を、結合分画のSDS- PAGE分析で簡単に評価することができる。この分析から、PBDN1は非晶質 セルロース(PASC)に結合するが、結晶質セルロース(bacterial microcry stallinecellulose: BMCC)に結合しないことがわかった。これに引き換え 、 CBCDCenAは両セルロース性材料に対してアフィニティを有する。このよう に結合特性が異なると、他者の存在下で1成分を選択的に除去することができる 。第1工程で、BMCCを加えてCenAを除去す。次に、第1工程後に溶液中に残 ったPBD融合タンパクを、PASCに吸収させることによって除去した(図2 3を参照)。セルロース濃度を基準にした様々なタンパク成分の濃度を、アッセ イ中に広く変化させ、セルロースの未飽和、セルロースの飽和、セルロースの過 飽和の影響を評価した。 この異なる成分の選択的除去または結合、融合タンパクの処理および精製に使 用する上で、重要な意味を有する。PBDを融合タンパクからタンパク分解的に 除去し、CBD-プロテアーゼを使用して多糖に結合させ、関心事の化合物を遊 離させることができる。セルロース(たとえば、BMCC)への結合によってプ ロテアーゼを除去すると、純粋な化合物が残る。 実施例11 オリゴ糖−ポリマーを基礎とするアフィニティ相分配を使用した Vero 細胞の分離に介在する 二官能融合タンパクの生産および特性 細菌菌株、細胞株および成長条件 化学薬品はHPLC分析用グレードであった。リコンビナントDNA実験は、 アンピシリン(Boehringer Mannheim GmbH,Mannheim,Germany)を100μg/mlで 加えたLB培地中、37℃で成長させたE.coli JM101で実施した。高レベル発 現試験および大規模タンパク生産は、アンピシリン(100μg/mL)を加え たTYP培地(1リットル当たりトリプトン16g、酵母抽出物16g、NaCl 5g、K2HPO4 2.5g)中、37℃で成長させたE.coli R1360で実施し た。細菌の培地成分はDifco Laboratories(Detroit,MI)のものであった。シェー カーフラスコ培養のシェーカー速度を250rpmに設定した。0.15mMのイ ソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG,Sigma Chemical Co.,St.Louis,M O)で培養を誘導した。接着試験に使用したVero(アフリカミドリサル、腎−AT CC CCL81)細胞は、37℃、5%CO2で、Tフラスコ内の、10%NCS( Gibco BRL)を加えたDMEM培地またはDMEM/F12培地で維持した。リコンビナントDNA技術 リコンビナントDNA作業はすべて前述の通りに実施した(Sambrook(1989)前 出)。アルカリ溶解法で二本鎖DNAを調製した。DNAフラグメントをアガ ロースゲル電気泳動で分離した。大きいDNAフラグメントを、GeneCleanTM(Bi o101m La Jolla,CA)を使用して単離した。小さいDNAフラグメント(10 0bp未満)を、液体窒素法で単離した。すべてのトランスフォーメーションに凍 結有能E.coli細胞を使用した。ABI 380A DNAシンセサイザー(Applie dBiosystems,Foster City,CA)でオリゴデオキシヌクレオチドを合成し、C18 カートリッジクロマトグラフィで精製した。オリゴヌクレオチドのアニーリング をシークエンス緩衝液(40mMトリス−HClまたはpH7.5、20mM MgCl2 、50mM NaCl)中、74℃で10分間実施し、続いて4℃でゆっくり冷却し た。一部変更したT7DNAポリメラーゼを使用して、ジデオキシ鎖末端法でD NAの配列決定を行った(Sanger et al.,Proc.Nat'l Acad,Sci.USA(1977)74:5 463-5467)。ポリペプチド分析 ドデシル硫酸ナトリムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE) でポリペプチドを分析した。ゲルをクームスブリリアントブルーR250(BioRad, Richmond,CA)で染色し、ImageQuantTMソフトウェアを備えた走査濃度計(Com puting Densitometer,Molecular Dynamics.Sunnyvale,CA)を使用してバンド を定量した。純粋なCBPN1/RGD標準を各組のゲルと共にインキュベートし た。純粋なCBD/RGDで決定された減光係数(Scopes(1974)Anal.Biochem.5 9:277-282)を使用して、CBPN1/RGDの純調製品の濃度を280nmの吸光度で 決定した。ウサギ抗CenA血清を一次抗体として使用し、西洋ワサビペルオキシ ダーゼ(Glbco BRL)に結合したヤギ抗ウサギ血清複を二次抗体として使用し て、ウエスタンブロットを実施した。オリゴ糖結合アッセイ これを、実施例8に記載の通りに実施した。CBPN1/RGDの大規模生産および精製 CBPN1のコード配列を、R1360/pTZ18U-CBD/RGD構築における Cellulomonas fimiエンドヌクレアーゼA(CenA)のセルラーゼ結合ドメイン(C BD)のコード配列と置き換えること以外はWierzba et al.Biotechnol.AndBoie ng.(1995)47: 147-154に記載の通りにCBPN1を生産する。構築物を含むE.co liを、37℃、12リットルの発酵槽(Chemap AG,Volketswil, Switzerlamd)内、アンピシリン(100μg/ml)およびIPTG(0.15mM )を加えたTYP培地中で成長させる。31,000gで遠心分離することによ り、細胞を培地から分離する(Sharples-Stokes Division,Pennwalt Corp.,Warmi nster,PA)。実施例8に記載のHECとPluronic P105の混合物を使用するアフ ィニティー相分配を使用して、培地中および細胞分画中のCBDN1/RGDを別 々に精製した。細胞屑を除去するために、培地をGF/Cグラスファイバーフィ ルター(Whatman International,Maidstone,UK)を通過させて濾過する。相分離 系に培地を加える。VBDN1融合物をHECに結合させることによって分離が大 幅に増強されるという重要な違いがある他の水性2相配分系の方法論(たとえば 、Joshi et al.,Bioseparations,(1990)11:31)に従う。(最も大規模の分配 系で使用される)商業的Graesser型接触器またはミキサー−沈殿装置(Haynes,Ph .D.Thesis,University of California,Berkeley(1991))のいずれかで、培養上 清または細胞抽出物由来のCBDN1融合タンパクのアフィニティ抽出が行われる ことがある。生成物の戻し抽出のため、CBDN1融合タンパクを含有し、炭水化 物の多い抽出物相を第2のミキサー−沈殿装置にポンピングし、ポリ(オキシ− エーテル)の多い相を不相溶性塩で除去し、アフィニティ接触器にリサイクルす る(Haynes et al.,AIChE J.,(1991)37: 140)。結合した標的タンパクを含み 、炭水化物の多い抽出物相に、塩(通常は硫酸塩またはクエン酸塩)を十分に加 えると、相が分離する(Walter et al.,Partjtioning in AqueousTwo-Phase Syst ems,Academic Press(1985)を参照のこと)。相分離に必要な 2Mおよびそれより高い塩濃度は、リガンド−タンパク複合体の解離、それゆえ 生成物回収の簡単な手段につながる場合が多い。CBDN1とHECとの間の猛烈 な発熱結合は、温度を適度に上昇させるか、または水素結合破壊性補助溶剤を添 加するかのいずれかによって解離を行えることを示す。ダイアフィルトレーショ ンまたは他の脱塩方法論で余分な塩を除去する。懸濁液を、4℃で一晩、穏やか に攪拌する。溶離物を濃縮し、1 kDカットオフ膜を使用する限外濾過でdH2O と交換する(50nM GdmC1未満まで)(Amnicon Division,W.R.Grace & Co.,Bevely,MA)。CBDN1/RGD溶液(5〜12mg/mL)を濾過滅菌し( 0.2μm)、−20℃で保存する。 E.coli細胞を50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.O)で洗浄し、3m MEDTAを加えた同緩衝液150mLに再懸濁し、フレンチプレス細胞(SL MInstruments,Urbana,IL)50mLで破壊した。フェニルメチルスルホニルフ ルオリド(1mM)およびペプスタチンA(1μm)を細胞抽出物に加えて、タ ンパク分解を最小限に抑える。4℃、17,400gで30分間遠心分離するこ とにより、細胞屑を除去する。硫酸ストレプトマイシン(Sigma)を上清に加える (1.5w/v)。4℃で一晩インキュベートした後、4℃、17,400gで3 0分間遠心分離することにより、沈殿を回収する。上清をアフィニティ分配系に 加え、培養ブロスに関して上述した通り、CBDN1/RGDを精製する。細胞分離アッセイ トリプシンおよびEDTAで細胞を培養皿からはずし、0.01%大豆トリプ シンインヒビター(Sigma)を含むDMEM培地で1回洗浄し、インヒビターを含 まないDMEM培地で2回洗浄する。合計4×106の洗浄細胞に、無血清培地 中のCBDN1を加える。37℃で1時間インキュベートした後、CBDN1/RG D結合した細胞をアフィニティ相分配系に加える。HEC相を分離した後、トリ プシンを加えて細胞をHECから遊離させ、遠心分離で細胞を回収する。トリパ ン ブルー除外を使用して、細胞の生育能を評価した。 上述の結果は、S1因子細胞外ドメインおよびセルラーゼ多糖結合ペプチド( SLF-CBD)から成る成長因子複合体の構築および精製を示す。SLF-CB Dは、微晶質セルロースに結合させると、非固定S1因子より大幅にS1因子応 答性細胞の増殖を刺激する。固定されたSLF-CBDは、非固定S1因子と比 較して、より高い比活性とより高い最大増殖応答の両者を示す。セルロース表面 に結合したSLF-CBDは、成長刺激活性を喪失せずに、数回再使用すること ができる。 本願明細書に記載のすべての出版物および特許出願は、本発明が属する当該技 術における熟練者の技術水準を示すものである。すべての出版物および特許出願 を、個々の出版物および特許出願を具体的且つ個別に引用して本願明細書の一部 とするように指定されているかのように、引用することにより本願明細書の一部 をなすものとする。 本発明を十分に説明したので、当該技術における普通のの技術者には、添付の 請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更および修飾を行 えることが明白であろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 9/42 C12R 1:01) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ハンフリーズ,キース・アール カナダ国、ヴイ5ピー 3シー9 ブリテ ィッシュ・コロンビア、ヴァンクーヴァ ー、ボーデン・ストリート 7625 (72)発明者 ドーニー,ジェイムズ・ジー カナダ国、ヴイ6アール 2ジェイ3 ブ リティッシュ・コロンビア、ヴァンクーヴ ァー、ウェスト・テンス・アヴェニュー 4691―#202 (72)発明者 ジャーヴィス,エリック カナダ国、ヴイ6ティー 2シー8 ブリ ティッシュ・コロンビア、ヴァンクーヴァ ー、モンゴメリー・ロード 5617 (72)発明者 アリモンティ,ジュディ カナダ国、ヴイ6エム 4エイ6 ブリテ ィッシュ・コロンビア、ヴァンクーヴァ ー、ヴァイン・ストリート 6020―#312

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.特異的結合対の第1メンバーと、 ポリサッカライダーゼ由来の基質結合領域を含むアミノ酸配列と前記特異 的結合対の第2メンバーとを含む複合体であって、前記アミノ酸配列は前記ポリ サッカライダーゼの加水分解活性が実質的に欠如しており、前記特異的結合対の 前記第1メンバーは成長因子受容体であることを特徴とする複合体と、 を含む組成物。 2.前記ポリサッカライダーゼがβ-1,4-グルカナーゼである、請求項1に記 載の組成物。 3.前記β-1,4-グルカナーゼがセルラーゼであることを特徴とする、請求項 2に記載の組成物。 4.前記セルラーゼがCellulomonas fimi(セルロモナス・フィミ)から得ら れることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。 5.前記アミノ酸配列が前記ポリサッカライダーゼの基質に結合していること を特徴とする、請求項1に記載の組成物。 6.前記基質が不溶性であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。 7.前記成長因子受容体がサイトカインの受容体またはリンホカインの受容体 であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 8.前記成長因子受容体がS1因子、インターロイキン−2、インターロイキ ン−3、インターロイキン−6、マスト細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子 、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成 長因子、および上皮成長因子の受容体から成る群から選択されることを特徴とす る、請求項1に記載の組成物。 9.特異的結合対の第1メンバーと、 ポリサッカライダーゼ由来の基質結合領域を含むアミノ酸配列と前記特異 的結合対の第2メンバーとを含む複合体であって、前記アミノ酸配列は前記ポリ サッカライダーゼの加水分解活性が実質的に欠如しており、前記特異的結合対の 前記第1メンバーはMHCポリペプチド、T細胞受容体、c-kit遺伝子生成物、 およびイムノグロブリンから成る群から選択されることを特徴とする複合体と、 を含む組成物。 10.前記成長因子受容体が幹細胞、キラーT細胞、巨核球および線維芽細胞 から成る群から選択された細胞に由来することを特徴とする、請求項1に記載の 組成物。 11.前記第1メンバーがin vitroで成長させた細胞の表面上の成長因子受容 体であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 12.ポリサッカライダーゼ由来の基質結合領域を含むアミノ酸配列であって 、前記アミノ酸配列は前記ポリサッカライダーゼの加水分解活性が実質的に欠如 しており、第1成長因子および第2成長因子に結合していることを特徴とし、前 記第1成長因子と第2成長因子は異なることを特徴とするアミノ酸を含む二官能 組成物。 13.前記第1成長因子はS1因子であり、前記第2成長因子がインターロイ キン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−6、マスト細胞成長因子 、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、線維芽細 胞成長因子、血小板由来成長因子、および上皮成長因子の受容体から成る群から 選択されることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。 14.成長因子依存細胞のin vitro拡大の方法であって、前記成長因子および 前記ポリサッカライダーゼの基質上に固定されたポリサッカライダーゼ由来の基 質結合領域を含むアミノ酸配列を含む組成物と接触させて前記細胞を成長させる ことを含み、前記アミノ酸配列は前記ポリサッカライダーゼの加水分解活性が実 質的に欠如していることを特徴とし、前記細胞は前記成長因子に対して成長応答 性であることを特徴とする前記方法。 15.前記細胞は造血細胞であることを特徴とする、請求項14に記載の方法 。 16.前記細胞は多能性であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。 17.前記細胞は幹細胞であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。 18.前記細胞は巨核球であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。 19.前記細胞は骨髄または血液に由来することを特徴とする、請求項15に 記載の方法。 20.前記アミノ酸配列は生体外用具内に含まれている多糖マトリックスに結 合していることを特徴とする、請求項14に記載の方法。 21.S1因子依存細胞のin vitro拡大の方法であって、S1因子および前記 ポリサッカライダーゼの基質上に固定されたポリサッカライダーゼ由来の基質結 合領域を含むアミノ酸配列を含む組成物と接触させて前記細胞を成長させること を含み、前記アミノ酸配列は前記ポリサッカライダーゼの加水分解活性が実質的 に欠如していることを特徴とする前記方法。 22.成長因子受容体を有する細胞の多い細胞個体群を得る方法であって、 前記成長因子の細胞表面受容体を有する複数の細胞を、前記成長因子および前 記ポリサッカライダーゼの基質に結合しているポリサッカライダーゼ由来の基質 結合領域を含むアミノ酸配列を含む組成物と接触させることと、 前記細胞表面受容体が欠如しているあらゆる細胞を除去し、それによって成長 因子受容体を有する細胞の多い細胞個体群を得ることと を含む前記方法。 23.前記基質が微小担体の形をとることを特徴とする、請求項22に記載の 方法。 24.前記アミノ酸配列が固体担体と関連した多糖マトリックスに結合してい ることを特徴とする、請求項14に記載の方法。 25.前記基質が酢酸セルロースであることを特徴とする、請求項14または 22に記載の方法。 26.前記基質が微晶質セルロースの形をとることを特徴とする、請求項14 または22に記載の方法。 27.前記基質が膜であることを特徴とする、請求項14または22に記載の 方法。
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