【発明の詳細な説明】
sPLA2インヒビターとしてのナフチルクリオキサミド類
本発明は敗血症ショックなどの状態に対するsPLA2媒介性の脂肪酸放出を
阻害するために有用な新規なナフチルグリオキサミド類に関する。これらの化合
物はナフチルオキシアラミド類またはナフチルオキサミド類としても知られる。
ヒト非膵分泌型ホスホリパーゼA2(以下、sPLA2と称する)の構造および
物理的性質は2つの論文、即ちSeilhamer,Jeffrey J.;Pruzanski,Waldemar
;Vadas Peter;Plant,Shelley;Miller,Judy A.;Kloss,Jean;およびJolms
on,Lorin K.による「関節リウマチ患者滑液に存在するホスホリパーゼA2のク
ローニングおよび組換え的発現(Cloning and RecombinantExpression of Phosph
olipase A2 Present in Rheumatoid Arthritic Synovial Fluid)」;The Journa
l of Biological Chemistry,Vol.264,No.10,4月5日発行,pp.5335-5338
,1989;および Kramer,Ruth M.;Hession,Catherine;Johansen,Berit;Hayes,G
retchen;HcGray,Paula;Chow,E.Pingchang;Tizard,Richard;およびPepinsky,R
.Blake による「ヒト非膵ホスホリパーゼA2の構造および性質(Structure and P
roperties of a Human Non-pancreaticPhospholipase A2)」;The Journal of B
iological Chemistry,Vol.264,No.10,4月5日発行,pp.5768-5775,1989
に詳細に記載されている(これらは引用によって本明細書に包含される)。
sPLA2は、膜リン脂質を加水分解するアラキドン酸カスケードにおける律
速酵素と考えられる。従って、sPLA2媒介性の脂肪酸(即ちアラキドン酸)
放出を阻害する化合物を開発するのは重要である。このような化合物はsPLA2
の過剰産生によって誘発および/または維持される症状、例えば敗血症ショッ
ク、成人呼吸不全症候群、膵炎、トラウマ、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、慢
性関節リウマチなどを全身処置するのに価値があるであろう。
Hayden G.Beatonらの編集者便り(Communication to the Editor),Journal
of Medicinal Chemistry,1994,vol.37,No.5には、非リン脂質sPLA2イ
ンヒビターの種々の新規(ナフチルチオ)メチル同族体が記載されている。
sPLA2誘発性の疾患を処置するための新規な化合物の開発が望まれている
。
本発明は、式I:
[式中、R1、R2、XおよびYは以下の定義と同意義である]。
で示されるようなナフチルグリオキサミド化合物として知られる化合物の新規用
途に関する。
これらのナフチルグリオキサミド化合物はヒトsPLA2媒介性の脂肪酸放出
を阻害するうえで有効である。
本発明はまた、ヒトsPLA2のインヒビターとして強力かつ選択的な有効性
を有する新規なクラスのナフチルグリオキサミド化合物に関する。
本発明はさらに、新規なクラスのナフチルグリオキサミド化合物の製造方法に
関する。
本発明はまた、ナフチルグリオキサミド化合物を含有する医薬組成物に関する
。
本発明はさらに、治療学的有効量のナフチルグリオキサミドと接触させること
による、敗血症ショック、成人呼吸不全症候群、膵炎、トラウマ、気管支喘息、
アレルギー性鼻炎、慢性関節リウマチ、および関連疾患を予防、処置する方法に
関する。定義
本発明のナフチルグリオキサミド化合物に関し、以下に示す定義の用語を用い
る。
「アルキル」なる用語は特に明記しない限り、それ自身または他の置換分の一
部として直鎖状または分枝鎖状の一価の炭化水素基、例えばメチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、se
c−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルなどを意味するが、これらに限
定されない。
「アルケニル」なる用語は単独または他の用語と一緒になって、記載している
数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の一価の炭化水素基を意味し、ビニ
ル、プロペニル、クロトニル、イソペンテニル、および種々のブテニル異性体基
などの基に代表される。
「C2−C6アルキニル」なる用語は三重結合を有する直鎖状または分枝鎖状の
炭素原子数2から6(2および6の数を含む)の基を意味する。このような基の
例としてはアセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2
−ベンチン、3−メチル−1−ブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3-ヘキ
シンなどのこのような基が挙げられる。
「ハロゲン」なる用語はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨウドを意味する。
「非妨害性置換分」なる用語は、ナフタレン環に結合しているフェニル環上の
置換基として適当な基を意味する。非妨害性置換分を例示すれば、C1−C6アル
キル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C7−C12アラルキル、C7−
C12アルカアリール、C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロアルケニル、フ
ェニル、トルイル、キシレニル、ビフェニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6ア
ルケニルオキシ、C1−C6アルキニルオキシ、C2−C12アルコキシアルキル、
C2−C12アルコキシアルキルオキシ、C2−C12アルキルカルボニル、C2−C1 2
アルキルカルボニルアミノ、C2−C12アルコキシアミノ、C2−C12
アルコキシアミノカルボニル、C1−C12アルキルアミのC1−C6アルキルチオ
、C2−C12アルキルチオカルボニル、C1−C6アルキルスルフィニル、C1−C6
アルキルスルホニル、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6ハロアルキルスルホ
ニル、C1−C6ハロアルキル、C1−C6ヒドロキシアルキル、−C(O)O(C1−
C6アルキル)、−C(CH2)n−O−(C1−C6アルキル)、ベンジルオキシ、フ
ェノキシ、フェニルチオ、−(CONHSO2R)、−CHO)アミノ、アミジ
ノ、ブロモ、カルバミル、カルボキシ、エトキシカルボニル、−C(CH2)n−
CO2H、クロロ、シアノ、シアノグアニジニル、フルオロ、グアニジノ、ヒド
ラジド(hydrazide)、ヒドラジノ、ヒドラジド(hydrazido)、ヒドロキシ、ヒドロ
キシアミノ、ヨウド、ニトロ、ホスホノ、−SO3H、チオアセタール、チオカ
ルボニル、およびC1−C6カルボニル(ここに、nは1から8である)が挙げら
れる。
本発明の化合物
本発明の化合物は以下の式Iで示される:
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素または非妨害性置換分であるが、
R1またはR2の少なくとも一方は水素であり、
Xは−CH2−または−O−であり、
Yは(CH2)nZであり、ここにnは1−3の数字であり、Zは−CO2H、−
SO3Hまたは−PO(OH)2からなる群の中から選ばれる酸基である]。
好ましい化合物
式Iで示される化合物の好ましいサブクラスはR1およびR2が水素またはフェ
ニルである化合物である。
式Iで示される化合物のうち別の好ましいサブクラスはYが(CH2)nZ(こ
こにnが1)である化合物である。
さらに好ましい化合物は、R1およびR2が水素またはフェニルであり、Xが酸
素または−CH2−であり、Yが−CH2CO2Hである化合物である。
本発明化合物を例示する化合物のうち特に好ましい化合物およびその製薬的に
許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ誘導体には、以下の化合物がある:
上記ナフチルグリオキサミド化合物の塩は本発明のさらに別の態様である。本
発明の化合物が酸性または塩基性官能基を有する場合には、その親化合物よりも
水に溶けやすく、生理学的により適している種々の塩が形成される。代表的な製
薬的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウム、アルミニウムなどのアルカリおよびアルカリ土類塩を含むが、これらに
限定されない。このような塩は、酸溶液を塩基で処理するかまたは酸をイオン交
換樹脂にさらすことによってその遊離酸から簡単に製造できる。
比較的無毒の、本発明化合物の無機および有機塩基付加塩、例えばアンモニウ
ム、4級アンモニウムおよびアミンカチオンは、医薬的に許容される塩の定義に
含まれ、これらは本発明の化合物との塩を形成するために充分な塩基性をもつ窒
素塩基から誘導される(例えばS.M.Berge,ら、「Pharmaceutical Salts,」J
.Phar.Sci.,66:1-9(1977)参照)。さらに、本発明化合物の塩基性基は適
当な有機または無機酸と反応し、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、
重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシレート(camsylat
e)、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、塩化物、エデテート(ede
tate)、エジシレート(edisylato)、エストレート(estolate)、エシレート
(esylate)、フッ化物、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコ
ン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycolylarsanilate)、
ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、臭化物、塩化物、ヒドロキシナ
フトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリン
酸塩、リンゴ酸塩、マルセエート(malseate)、マンデル酸塩、メシレート、臭
化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシレート(napsylate)、
硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸
塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、サブ酢酸塩(suba
cetate)、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシレート、トリフルオロ酢
酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、および吉草酸塩のような塩を形成する
。
プロドラッグとは、加溶媒分解によってまたは生理学的条件下にてインビボに
おいて医薬的に活性な本発明化合物となる、化学的または代謝的に分裂可能な基
を有している本発明化合物の誘導体である。プロドラッグ誘導体は溶解性、組織
適合性または哺乳動物における遅延放出上の利点を提供することが多い
[Bundgard,H.,Design of Prodrugs,pp.7-9,21-24,Elsevier,Amsterdam198
5を参照のこと]。プロドラッグには当業者には周知の酸誘導体が含まれ、例え
ば酸性化合物母体を適当なアルコールと反応させて製造されるエステル、また
は酸化合物母体を適当なアミンと反応させて製造されるアミドがある。本発明化
合物に結合している酸性基から誘導される単純脂肪族エステルまたは芳香族エス
テル体は好ましいプロドラッグである。ある場合には、(アシルオキシ)アルキ
ルエステルまたは((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル体など
のダブルエステル型プロドラッグを製造するのが望ましい場合がある。
合成方法
Xが酸素である式Iで示される化合物は以下の反応式Iによって製造できる:
反応式I 上記の反応式では、1,5−ジヒドロキシナフタレン出発物質(1)を水中に
分散し、次いで2当量の水酸化カリウムで処理する。得られた溶液を氷浴中で冷
却し、1当量の強鉱酸、例えば塩酸を加え、カリウム塩(2)を製造する。
次いで、メチル化剤、例えば硫酸ジメチルで処理し、ラジカル化合物(2)の
アルキル化を行い、エーテル(3)を製造できる。
炭酸カリウムおよび酸化第二銅を用いてウルマン型反応によりエーテル(3)
を適当に置換されたフェノールと反応させ、化合物(4)を製造する。
酢酸などのプロトン系極性溶媒中、還流下、化合物(4)を40%HBr/H
OAC溶液で処理し、化合物(4)を脱メチル化し、化合物(5)を製造する。
塩化メチレンなどのアルキルハライド溶媒中、化合物(5)を塩化オキサリルお
よび4−デメチルアミノピリジンとともに還流し、オキサリルクロライド(6)
を製造する。
化合物(6)の分子内環化は、塩化アルミニウムまたは他の同様の金属ハライ
ドを触媒として用いてフリーデル−クラフツ反応条件下に行うことができる。こ
の反応は、アルキルハライド溶媒、例えば1,2−ジクロロエタン中にて簡便に
行うことができる。
環化化合物(7)のアルキル化および加水分解は、化合物(7)をアルカリア
ミド塩基、例えばナトリウムアミドと反応させ、次いでヨウ化カリウムを触媒と
して用い、アルキル化剤、例えばブロモ酢酸メチルで処理することで行うことが
できる。
最後に、エステル体(8)をアルカリ塩基、例えば水酸化ナトリウム水溶液で
処理し、次いで鉱酸、例えば塩酸の希釈溶液で処理し、酸化合物(9)とする。
次いで、酸化合物(9)を酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出する。
最終生成物(9)は塩化メチレン/ヘキサンなどの適当な有機溶媒中、標準的
な再結晶法によって精製することができる。
Xがメチレンである式Iの化合物は以下の反応式IIによって製造できる:
反応式II 適当に置換されたフェニルブロミドを使用し、グリニャール試薬を調製する。
次いで、フェニルグリニャールを4−メトキシナフチルニトリルと反応させ、得
られた化合物を塩酸などの希釈酸で加水分解し、ベンゾイルナフチレン化合物(
1a)とする。
化合物(1a)の化合物(2a)への還元は、水素化ホウ素ナトリウムなどの
還元剤での処理によって行う。この反応は、トリフルオロ酢酸などの溶媒−触媒
中にて行い、氷浴中にて反応を開始させ、反応が進行する際には室温にまで上昇
させる。
次いで、クロロメチル化工程から始める反応式Iの操作に従い、化合物(2a
)から所望のナフチルグリオキサミドを製造できる。
当業者であれば、反応式IおよびIIに示される置換ベンジルブロミド、置換
フェノールおよび置換ナフチルニトリル化合物はいずれも市販されているか、ま
たは市販出発物質から既知の手法によって容易に製造できることは容易に理解さ
れよう。
本発明にて化合物の製造に使用している他のすべての反応剤は市販されている。
本発明の方法
本発明方法は、式I:
[式中、Xは−O−または−CH2−である]
で示される新規化合物を合成するための方法であって、式III:
[式中、X、R1およびR2は前記と同意義である]
で示される化合物をアルカリアミド塩基と反応させ;
アルキル化剤でアルキル化し、式II:[式中、R1、R2およびXは前記と同意義であり、R3はC1−C4アルキルであ
る]
で示される化合物を生成し;
得られた式IIの化合物を加水分解する、ことを特徴とする方法に関する。
本発明の方法は反応式Iの工程Aおよび工程Bにて示されている。
本発明の方法では、α−ケトラクトン出発物質(化合物III)を非プロトン系
溶媒、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)に溶解する。他の適当な非プ
ロトン系溶媒にはテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DM
SO)などがある。使用する溶媒の量は、所望の反応が終了するまですべての化
合物を溶液状態とする量であれば充分であろう。この溶液は氷浴中で約−10℃
から約−30℃、好ましくは-20℃にまで冷却する。
出発物質が溶解した後、アルカリアミド塩基、例えばナトリウムアミドを反応
混合物に加え、約30分から1時間、好ましくは1時間攪拌下に反応を進行させ
る。好ましくは、出発物質(III)1モル当たりアミド1モルを使用する。
出発物質1モル当たりアルキル化剤、例えばメチルブロモ酢酸1モルを少量の
触媒、好ましくはヨウ化カリウムとともに反応混合物に加え、エステルIIを製
造する。氷浴中、温度を−10℃以下に保持しつつ、反応をさらに30分から1
時間、好ましくはさらに1時間進行させる。
エステルIIIをアルカリ塩基、例えば水酸化ナトリウムで処理し、次いで強無
機酸、例えば塩酸で処理することで、酸化合物Iが製造される。この反応は低分
子量アルコール、例えばメタノール中、温度約0℃から約40℃、好ましくは2
5℃で行うのが好ましい。
以下に実施例を記載し、本発明化合物の製造および本方法に使用する化合物を
さらに説明する。以下の実施例は単に本発明を説明するためだけのものであり、
いかなる意味においても本発明の範囲の限定を意図するものでない。
実施例1
8−カルボキシメトキシ−4−フェノキシナフタ−1−イル グリオキサミド
の製造
A.ジヒドロキシナフタレンの一カリウム塩の製造
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた3頚フラスコに水150mlを、
次いで水酸化カリウム140gを加えた。アルゴン雰囲気下、このフラスコに1
,5−ジヒドロキシナフタレン128gを加え、混合物を5分間攪拌した。混合
物
を氷浴中にて冷却し、濃塩酸(37%)105mlを15分かけて加え、ジヒド
ロキシナフタレン出発物質の一カリウム塩を製造した。
B.1−ヒドロキシ−5−メトキシナフタレンの製造
上記にて製造したカリウム塩の溶液に硫酸ジメチル126gを温度30℃を超
えないように滴加し、処理した。得られた反応物を室温にてさらに4時間撹拌し
、温度を20分間70℃に維持した。冷却した後、反応混合物を濾過し、沈殿物
を水酸化カリウム水溶液で洗浄し、洗液と濾液をまとめた。まとめた濾液を濃塩
酸で酸性にし、沈殿した1−ヒドロキシ−5−メトキシナフタレンを濾別し、水
洗し、減圧下50℃で乾燥し、生成物82.2gを得た(59%)。
融点:127−8℃
元素分析(C11H10O2として)
理論値:C,75.84;H,5.79;O,18.37
実測値:C,75.58;H,5.79;O,18.30
C.1−メトキシ−5−フェノキシナフタレンの製造
メカニカルスターラーを備えた3頚フラスコにて、上記にて調製した1−ヒド
ロキシ−5−メトキシナフタレン26.1gをアルゴン雰囲気下、ピリジン30
0ml中、還流温度にてブロモベンゼン16ml、炭酸カリウム41.4gおよ
び酸化銅(I)24.gで処理した。16時間後、ブロモベンゼン3.2mlお
よび酸化銅4.8gをさらに加え、反応を4時間行った。得られた反応物を冷却
し、スーパーセルで濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液をまとめ、減圧下に濃
縮し、酢酸エチルで希釈し、冷希塩酸とともに2回振盪させた。有機層を硫酸マ
グネシウムで乾燥し、減圧下に蒸発させて油状物を得た。得られた粗生成物を塩
化メチレン30mlに溶解し、溶液をろ過し、ヘキサンで希釈して混濁させた。
冷凍機で冷却し、1−メトキシ−5−フェノキシナフタレンの結晶3.98g(
11%)を得た。
融点:65−66℃
元素分析(C11H14O2として)
理論値:C,81.58;H,5.64;O,12.78
実測値:C,80.01;H,5.66;O,13.47
D.1−ヒドロキシ−5−フェノキシナフタレンの製造
氷酢酸50ml中に、上記にて調製した1−メトキシ−5−フェノキシナフタ
レン3.7g、次いで40%臭化水素水溶液20mlを加え、攪拌した。得られ
た混合物を95−100℃にて16時間加熱した。溶媒を減圧下に留去し、残留
物を酢酸エチルに再溶解し、塩水で3回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで
乾燥し、濾過した。溶媒を除去した後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー
(ヘキサン中、0−30%酢酸エチルのグラジエント溶出液で溶出)にかけ、1
−ヒドロキシ−5−フェノキシナフタレン2.10g(59%)を得た。
融点:82−83℃
元素分析(C16H12O2として)
理論値:C,81.34;H,5.12;O,13.54
実測値:C,81.04;H,5.23;O,13.69
E.5−フェノキシ−1−ナフチルオキサリルクロライドの製造
クロロホルム100ml中に、上記にて調製した1−ヒドロキシ−5−フェノ
キシナフタレン2.0g、次いで4−ジメチルアミノピリジン(DAP)30m
gおよびオキサリルクロライド1.78mlを加え、溶解した。得られた混合物
を16時間還流し、溶媒を減圧下に留去し、所望のオキサリルクロライド中間体
を得、それをNMRによって特性化した。
F.5−フェノキシ−8−ヒドロキシナフチルグリオキシル酸ラクトンの製造
上記にて調製したオキサリルクロライドのすべてを塩化メチレン75mlに再
溶解し、それを、氷浴中で冷却した塩化メチレン75ml中、塩化アルミニウム
3.38gに15分かけて滴加した。この反応混合物を氷浴中にて1時間攪拌し
、
次いで30分、室温に暖めた。反応混合物を氷および濃塩酸の2:1混合物30
0ml中に注加し、撹拌した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、濾過した。減圧下に溶媒を留去した後、残留物をシリカゲルクロマ
トグラフィー(ヘキサン中、酢酸エチル0−100%グラジエント、次いで酢酸
エチル中0−20%メタノールで溶出)にかけ、1−シュウ酸中間体1.4g(
54%)を油状物として得た。この中間体をすべて塩化メチレン50mlに溶解
し、得られた溶液を氷浴中にて冷却しながら、過剰量のオキサリルクロライドお
よび触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)で処理した。30分後、この反応
物を室温にまで1時間温めた。溶媒を減圧下に除去し、固形物としてラクトン体
を得、これを濃塩化メチレン溶液から結晶化し、結晶0.883g(67%)を
得た。
融点:195−6℃
元素分析(C18H10O4として)
理論値:C,74.48;H,3.47;O,22.05
実測値:C,74.49;H,3.56;O,21.76
G.8−カルボメトキシ−4−フェノキシナフタ−イル−グリオキサミドの製造
上記にて調製したラクトン体0.290gをジメチルホルムアミド20mlに
溶解した。アルゴン雰囲気下、溶液を−20℃に冷却した後、ナトリウムアミド
0.049gを一度で加え、攪拌を15分間続行した。この反応混合物にブロモ
酢酸メチル0.118mlを加え、温度を−10℃に1時間、次いで0℃に1時
間維持した。得られた反応混合物を、若干の塩酸を含有する希釈冷却塩水中に注
加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。塩酸を含有する冷却塩水で有機
層を2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。減圧下に溶媒を留去し
た後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中、酢酸エチル0−8
0%グラジエント溶出)にかけ、副標題化合物186mg(49%)を結晶性固
形物として得た。
融点:103−5℃
元素分析(C21H17NO6として)
理論値:C,22.49;H,4.52;N,3.69
実測値:C,66.30;H,4.45;N,3.60
H.8−カルボキシメトキシ−4−フェノキシナフタ−1−イル グリオキサミ
ドの製造
メタノール10ml中、上記にて調製したメチルエステルアミド 180mg
を0.5N水酸化ナトリウム0.96mlで16時間室温にて処理した。減圧下
に殆どのメタノールを除去し、反応混合物を冷水50mlで希釈した。混合物を
酢酸エチルで抽出し、得られた水層を希塩酸で酸性にし、乾燥した後、標題化合
物120mg(69%)を得た。
融点:204−6℃
元素分析(C20H15NO6として)
理論値:C,65.75;H,4.14;N,3.83
実測値:C,66.01;H,4.03;N,3.76
ナフチルグリオキサミド化合物の治療上の用途
本明細書に記載のナフチルグリオキサミド化合物は、アラキドン酸、またはア
ラキドン酸カスケードにおけるアラキドン酸より下流の5−リポキシゲナーゼ、
シクロオキシゲナーゼなどの他の活性物質に対するアンタゴニストとして働くの
ではなく、主にヒトsPLA2を直接阻害することによってその有益な治療上の
作用を発揮していると考えられる。
sPLA2媒介性の脂肪酸放出を阻害する本発明の方法は、sPLA2を治療学
的有効量のナフチルグリオキサミド化合物、その塩またはそのプロドラッグ誘導
体と接触させることを特徴とする。
本発明の化合物は、敗血症ショック、成人性呼吸不全症候群、膵臓炎、トラウ
マ、気管支喘息、アレルギー性鼻炎および慢性関節リウマチの病的作用を緩和す
るために哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法に用いることができる:ここ
にこの方法は式(I)に代表されるナフチルグリオキサミド化合物の治療学的有
効量を哺乳動物に投与することを特徴とする。治療学的有効量とはsPLA2媒
介性脂肪酸放出を阻害し、それによりアラキドン酸カスケードおよびその有毒産
物を阻害あるいは予防するのに充分な量である。sPLA2を阻害するのに必要
な本発明化合物の治療量は、体液サンプルを採取し、それを常法によりsPLA2
含有量についてアッセイすることによって容易に決定することができる。
本発明にしたがって治療または予防効果を得るために投与される化合物の具体
的投与量は当然ながら、例えば投与する化合物、投与の経路および処置される状
態などの患者に関連する特有の状況に基づいて決定される。典型的な1日投与量
は本発明活性化合物約0.01mg/kg〜約50mg/体重kgの無毒服用レ
ベルを含有する。
本発明の医薬製剤
前記のように、本発明の化合物はsPLA2媒介性の脂肪酸、例えばアラキド
ン酸の放出を阻害するのに有用である。「阻害」なる用語は本発明の化合物によ
る、sPLA2により開始される脂肪酸放出の予防または治療上の有意な減少を
意味する。「製薬的に許容される」とは担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の
構成成分と適合しなければならず、服用者に害を与えないことを意味する。
好ましくは、医薬製剤は単位投与剤型である。単位投与剤型はカプセル剤また
は錠剤自体でありうるし、あるいはこれらの適当数でありうる。組成物の単位投
与における活性成分量はその特定の関連処置にしたがって約0.1〜約1000
ミリグラムの間で変化、調整することができる。患者の年齢および状態に応じて
投与量に定まったバリエーションを設けることが必要であることが認識されよう
。投与量は投与の経路にも依存する。
本化合物は経口、エアロゾル、直腸、経皮、皮下、静脈、筋肉内および鼻腔内
などのさまざまな経路によって投与できる。
本発明の医薬製剤は本発明のナフチルグリオキサミド化合物の治療学的有効量
を製薬的に許容されるその担体または希釈剤と一緒にする(例えば、混合する)
ことによって調製する。本医薬製剤は周知であり容易に入手可能な成分を用いる
既知の手法によって調製する。
本発明組成物の製造の際は、活性成分を通常、担体と混合し、あるいは担体で
希釈し、あるいはカプセル剤、サシエ剤、ペーパー剤または他のコンテナ剤型の
担体中に封入することができる。担体が希釈剤として働く場合、ビヒクルとして
働く固形、半固形または液状物質であり、例えば活性化合物を10%重量まで含
有する錠剤、ピル剤、粉末剤、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液
剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固形物として、または液状培質中)または軟膏
剤の剤型とすることができる。本発明の化合物は好ましくは、投与前に製剤化す
る。
医薬製剤には当分野において既知の適当ないくつかの担体を用いることができ
る。そのような製剤において、担体は固形物、液状物、あるいは固形物および液
状物の混合物でありうる。固形剤形の製剤としては粉末剤、錠剤およびカプセル
剤がある。固形の担体は香料、滑沢剤、溶液化剤、懸濁化剤、結合剤、錠剤崩壊
剤および被包物質としても働くことができる1つまたはそれ以上の物質であって
よい。
経口投与用の錠剤は炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カ
ルシウムのような適当な賦形剤をメーゼ(maize)、デンプンもしくはアルギン
酸のような崩壊剤、ならびに/またはゼラチンもしくはアカシア、ならびにステ
アリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクのような潤沢剤をいっしょ
に含有するものとすることができる。
粉末剤中、担体は細く分割した固形物であり、これは細く分割した活性成分と
の混合物となる。錠剤中、活性成分を必要とされる適当な割合の結合特性を有す
る担体と混合し、これを所望の形および大きさにまとめる。粉末剤および錠剤は
好ましくは本発明の新規化合物である活性成分を約1〜99重量パーセントで含
有する。適当な固形の担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タ
ルク、糖ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカントゴム、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、低融解ロウおよ
びココアバターである。
無菌の液状剤形製剤は懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤などであ
る。
活性成分は製薬的に許容される担体、例えば無菌水、無菌有機溶媒または両者
の混液中に溶解または懸濁することができる。多くは活性成分を適当な有機溶媒
、例えば水性プロピレングリコールに溶解できる。他の組成物は細分割した活性
成分を水性デンプンもしくはカルボキシメチルセルロース・ナトリウム溶液中ま
たは適当な油状物中へ拡散させることによって得られる。
以下に挙げた医薬製剤例1〜8は単に本発明を例示するためのものであり、い
かなる意味においても本発明の範囲を限定するためのものではない。「活性成分
」とは式(I)で示される化合物またはその製薬的に許容される塩、溶媒和物も
しくはプロドラッグを表す。
製剤例1
ゼラチン硬カプセル剤を以下の成分を使用して調製する:
用量
(mg/カプセル)
活性成分 250
乾燥デンプン 200
ステアリン酸マグネシウム 10
総量 460mg
製剤例2
錠剤を以下の成分を使用して調製する:
用量(mg/錠)
活性成分 250
微結晶セルロース 400
フュームド二酸化ケイ素 10
ステアリン酸 5
総量 665mg
上記成分を混合し、各665mg重量の錠剤を圧縮成形する。
製剤例3
以下の成分を含有するエアロゾル溶液剤を調製する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 74.00
総量 100.00
活性化合物をエタノールと混合し、この混合物をプロペラント22の一部に加
え、−30℃にまで冷却し、充填装置に移す。次いで、必要量をステンレススチ
ール製容器に取り、残りのプロペラントで希釈する。次いで、バルブユニットを
容器に取り付ける。
製剤例4
活性成分60mgを含有する各錠剤を以下のようにして調製する:
活性成分 60mg
デンプン 45mg
微結晶セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(10%水溶液として) 4mg
カルボキシメチルデンプン・ナトリウム 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1mg
総量 150mg
活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.45メッシュ米国ふるいに通し
、
十分に混合する。ポリビニルピロリドンの水溶液を得られた粉末と混合し、次い
でこの混合物をNo.14メッシュ米国ふるいに通す。このようにして調製した
顆粒を50℃で乾燥し、No.18メッシュ米国ふるいに通す。次いでこの顆粒
に、前もってNo.60メッシュ米国ふるいに通しておいたカルボキシメチルデ
ンプン・ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを加え、混合した
後、錠剤成形装置にて圧縮し、各150mg重量の錠剤を作成する。
製剤例5
活性成分80mgを含有する各カプセル剤を以下のようにして調製する:
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微結晶セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
総量 200mg
活性成分、セルロース、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、
No.45メッシュ米国ふるいに通し、200mg量のゼラチン硬カプセルに充
填する。
製剤例6
活性成分225mgを含有する各坐剤を以下のようにして調製する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mg
総量 2,225mg
活性成分をNo.60メッシュ米国ふるいに通し、前もって必要最低限の加熱
で融解させておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次いでこの混合物を名目
2g容量の坐剤の鋳型に注ぎ、冷却する。
製剤例7
用量5mlにつき活性成分50mgを含有する各懸濁剤を以下のようにして調
製する:
活性成分 50mg
カルボキシメチルセルロース・ナトリウム 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 適量
着色料 適量
純水を用いて総量5mlとする
活性成分をNo.45メッシュ米国ふるいに通し、カルボキシメチルセルロー
ス・ナトリウムおよびシロップと混合し、なめらかなペーストの剤型にする。安
息香酸溶液、香料および着色料を一部の水で希釈し、撹拌しながら加える。次い
で充分な水を加え、必要量を作成する。
製剤例8
静脈内製剤を以下のようにして調製する:
活性成分 100mg
等張塩類 1,000ml
一般に、上記成分の溶液を1分間に1mlの速度で患者に静脈投与する。
分析実験 色素産生分析
以下の色素産生分析手法により、組換えヒト分泌型ホスホリパーゼA2の阻害
物質を同定し評価した。本明細書に記載した分析法は96穴マイクロタイタープ
レートを用いる高容量スクリーニング用に合わせたものである。この分析方法の
一般的記述は文献「Analysis of Human Synovial Fluid Phospholipase A2
on Short Chain Phosphatidylcholine-Mixed Micelles: Development of Spectr
ophotometric Assay Suitable for a Microtiterplate Reader」、LaureJ.Reyno
lds、Lori L.Hughes および Edward A.Dennis、Analytical Biochemistry,204
,pp.190-197,1992 (ここに開示の内容は引用によって本明細書中に包含され
る)に見られる:
100mg/mlの濃度でクロロホルム中に加えたラセミ ジヘプタノイル チ
オ PCの測定量を乾固させ、10mMトリトンX−I00TM非イオン性界面活
性剤水溶液に再溶解する。反応緩衝液、次いでDTNBをこの溶液に加え、反応
混合物を得た。
これにより得られた反応混合物は、pH7.5緩衝水溶液中、1mMジヘプタ
ノイルチオ−PC基質、0.29mmトリトンX−100TM界面活性剤および0
.12mmDTNBを含有する。分析手法
1.反応混合物0.2mlをすべてのウェルに加える;
2.試験化合物(または溶媒のみ)10μlを適当なウェルに加え、20秒混
合する;
3.sPLA250ナノグラム(10μl)を適当なウェルに加える;
4.プレートを40℃で30分間インキュベーションする;
5.ウェルの405ナノメートルでの吸収を自動プレート読み取り機で読み取
る。
すべての化合物を3回試験した。典型的には、化合物は最終濃度5μg/ml
で試験した。化合物が405ナノメートルで測定して、阻害効果のないコントロ
ール反応に比べ、40%阻害またはそれ以上を示した場合に、この化合物は活性
があると考えた。405ナノメートルで発色しないことは阻害の証拠である。最
初に活性があると見いだされた化合物を再び分析し、活性があることを確認し、
充分に活性がある場合には、そのIC50値を求めた。典型的には、そのIC50値
は(以下の表I参照)この反応における最終濃度が45μg/ml〜0.35μ
g/mlの範囲の値をとるように試験化合物を連続して2倍希釈することによっ
て求めた。より強い阻害剤はより多くの希釈を必要とした。すべての場合におい
て、阻害効果のないコントロール反応に対し、阻害物質を含む酵素反応によって
生じる、405ナノメートルで測定の阻害パーセントを求めた。それぞれの標品
は3回滴定し、得られた値を平均し、プロットおよびIC50値の計算に用いた。
IC50は濃度の対数を10〜90%阻害範囲の阻害値に対してプロットすること
によって求めた。
ヒト分泌型ホスホリパーゼA2阻害試験結果
ヒト分泌PLA2の阻害
化合物の μM IC50±標準偏差実施例番号 (3〜4試験)
1 0.69±0.051
ある特別な態様によって上記のように本発明を例示してきたが、これらの態様
は以下の請求の範囲に記載した発明の範囲を限定するためのものではない。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 31/16 A61K 31/16
C07C 309/11 C07C 309/11
C07F 9/38 C07F 9/38 D
(81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG,
CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,T
D,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,UG
),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,
TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA,BB,
BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,EE,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LV,MD,
MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,R
O,RU,SD,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,US,UZ,VN