JP2000501393A - 膠細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産生物を用いる網膜神経節細胞損傷の治療方法 - Google Patents

膠細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産生物を用いる網膜神経節細胞損傷の治療方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)を投与することで、網膜神経節細胞の損傷または変性を治療する方法に関するものである。本発明は具体的には、緑内障に関連する視神経の損傷または変性を治療する方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物を用いる網膜神経節細胞損傷 の治療方法 発明の背景 本発明は、膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物を投与すること で、網膜神経節細胞の損傷または変性を治療する方法に関する。本発明は具体的 には、網膜神経節細胞変性が関与する緑内症その他の疾患/状態を治療する方法 に関するものである。 神経栄養因子は天然蛋白であり、神経系によって刺激される神経組織または非 神経組織に認められ、ある種の細胞群および/または膠細胞群の生存を促進し、 表現型分化を維持する機能を有する(Varon et al.,Ann.Rev.Neuroscience,1: 327,1979;Thoenen et al.,Science,229:238,1985)。この生理的役割がある ことから、神経栄養因子は、神経損傷によって生じるそのような神経細胞の変性 および分化機能の喪失を治療する上で有用である。神経損傷は、(1)軸索突起 の変性(次に神経細胞死を起こす)および/または損傷部位付近の神経細胞体の 変性 を起こす物理的損傷;(2)卒中などの神経系の一部への血流の一時的または永 久的停止(虚血)、(3)それぞれ癌およびAIDSの化学療法薬であるシスプ ラチナムおよびジデオキシシチジンなどの神経毒への意図的または偶発的曝露、 (4)糖尿病または腎臓機能障害などの慢性代謝疾患、あるいは(5)特定のニ ューロン群の変性によって生じるパーキンソン病、アルツハイマー病および筋萎 縮性側索硬化症などの神経変性性疾患などの1以上の種類の神経細胞の生存およ び/または適切な機能を障害する状態によって起こる。特定の神経栄養因子が神 経損傷の治療に有用となるには、損傷を受けた種類の神経細胞がその因子に対し て反応性でなければならない。全てのニューロン群が全ての神経栄養因子に対し て反応性であるとは限らず、それら因子によって等しく影響を受けるとは限らな いことが明らかになっている。 確認された最初の神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)であった。NGF は、ニューロトロフィン(neurotrophin)と呼ばれる明確な栄養因子類の最初の ものであり、それには現在、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフ ィン−3(NT−3)、NT−4/5およびNT−6などがある(Thoenen, Trends. Neurosci.,14:165-170,1991; Snider,Cell,77:627-638,1994; Bothwell,Ann.Rev.Neurosci.,18:223-253,1995)。これらのニューロトロフ ィン類は、trkチロシンキナーゼ受容体類、すなわちtrkA、trkB、t rkCおよび低親和性p75受容体を介して作用することが知られている(Snid er,Cell,77:627-638,1994; Bothwell,Ann.Rev.Neurosci.,18:223-253,1995; Chao et al.,TINS 18:321-326,1995)。 膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)は最近発見された蛋白であって、in v itroでの中脳ドーパミン作働性ニューロンの生存を促進し、該ニューロンの伝達 物質表現型を刺激する上でのそれの効力に基づいたアッセイを用いて、確認・精 製されている(Lin et al.,Science,260:1130-1132,1993)。GDNFは糖付 加ジスルフィド結合ホモダイマーであり、トランスフォーミング成長因子−β( TGF−β)スーパーファミリーの蛋白と一部構造的に相同している(Lin et a l.,Science,260:1130-1132,1993; Krieglstein et al.,EMBO J.,14:736-74 2,1995; Poulsen et al.,Neuron,13:1245-1252,1994)。GDNFmRNA が、筋肉および末梢神経系のシュワン細胞(Henderson et al.,Science,266:1 062-1064,1994; Trupp et al.,J.Cell Biol.,130:137-148,1995)ならびに中枢神経系のI型星状細胞( Schaar et al.,Exp.Neurol.,124:368-371,1993)で検出されている。in vivo での外因性GDNF治療により、パーキンソン病の動物モデルにおいて、黒質ニ ューロンのドーパミン作働性表現型が刺激され、軸索切断術またはドーパミン作 働性神経毒誘発の機能障害が回復される(Hudson et al.,Brain Res.Bull.,36 :425-432,1995; Beck et al.,Nature,373:339-341,1995; Tomac et al.,Na ture,373:335-339,1995; Hoffer et al.,Neurosci.Lett.,182:107-111,199 4)。最初はドーパミン作働性ニューロンに対して比較的特異的であると考えら れていたが、少なくともin vitroで、GDNFが中脳ドーパミン作働性ニューロ ンおよび体細胞性運動ニューロン以外の広い範囲の神経栄養標的を有する可能性 があることを示す証拠が出始めている(Yan and Matheson,Nature 373:341-344 ,1995; Oppenheim et al.,Nature,373:344-346,1995; Matheson et al.,So c.Neurosci.Abstr,21,544,1995; Trupp et al.,J.Cell Biol.,130:137-148 ,1995)。特に、GDNFはin vivoおよびin vitroのいずれにおいても、脳幹 および脊髄のコリン作働性運動ニューロンに対して神経栄養的効力を有すること が 認められている(Oppenheim et al.,Nature,373:344-346,1995; Zurn et al. ,Neuroreport,6:113-118,1994; Yan et al.,Nature,373:341-344,1995; Henderson et al.,Science,266:1062-1064,1994)。 本発明と関係があるものとしては、1993年4月1日公開のWO93/06 116(Lin et al.,Syntex-Synergen Neuroscience Joint Venture)がある。 該出願においては、GDNFがパーキンソン病に関連する損傷などの神経損傷の 治療に有用であることが報告されている。さらに興味深いものとしては、GDN FmRNAが検出可能となり、ピロカルピン誘発発作後に上昇したという報告( Schmidt-Kastner et al.,Mol.Brain Res.,26:325-330,1994);前脳基底部星 状細胞が培養条件下に中等度のレベルのGDNFmRNAを発現したが、GDN Fは前脳基底部ChAT活性を変えなかったという報告(Schaar et al.,Exp.N eurol.,124:368-371,1993およびSchaar et al.,Exp.Neurol.,130:387-393, 1994);ならびにGDNFが前脳基底部コリン作働性ニューロンの損傷または変 性の治療に有用であるという1995年9月28日出願で現在係属中の米国特許 出願08/535682号の報告がある。G DNFが損傷を受けた網膜神経節細胞の生存または再生を促進することはこれま で明らかにされていない。 網膜神経節細胞は、いくつかの段階で起こる視覚認知において主要な役割を果 たす。第1に、網膜の外側の層にある光受容器と呼ばれる特殊なニューロンによ って、光が電気信号に変換される。その信号は次に一つにまとめられ、介在ニュ ーロンによって網膜の内側の層にある網膜神経節細胞に伝達され、その細胞が次 にその情報を脳の視覚野領域に中継する。網膜神経節細胞軸索は集束して視神経 を形成し、それが側面の膝状核および脳の上丘、ならびに脳幹核に投影する。 網膜神経節細胞への損傷は、緑内障において認められる主要な損傷であり、緑 内障は失明の原因としては3番目に多いものである。緑内障は、網膜神経節細胞 が徐々に失われる眼球神経疾患を特徴とする障害群に使用される用語である。こ の網膜神経節細胞への損傷は、視神経頭部内での軸索輸送機能障害および軸索の 組織病理的異常を特徴とするものであり、代表的には視神経頭部の陥凹形状に関 連している。視神経変性はさらに、視神経円板の他の状態、例えば脳圧上昇によ る乳頭浮腫、乳頭炎(一種の視神経炎)または虚血によっても生じる場合がある 。 ほとんどの緑内障で、視神経損傷は眼内圧上昇によって生じる。眼内圧上昇に 関連する主要な種類の緑内障としては、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障および 二次緑内障がある。一部の緑内障では、眼内圧は正常範囲であっても、神経頭部 の同様の陥凹が起こる。いずれの場合も、眼内圧の上昇は神経損傷の増加に関連 している。緑内障は通常、内科的または外科的に眼内圧を下げるよう試みること で治療される。 慢性開放隅角緑内障が最も一般的なものであり、欧米成人の約0.5%で認め られる。この種の緑内障では、眼球内房水の再吸収遮断があるために、眼内圧が 21mmHgという正常最大圧より高くなって、視神経円板における軸索および 支持組織が徐々に破壊される。この種の緑内障は、かなり進行するまで無症候性 であるのが普通である。最初の視力低下は、周辺視野において認められる。眼内 圧測定、視神経円板検査および患者の視野検査によって診断が行われる。治療は 主として内科的であり、眼内圧を低下させる作用のある副交感神経興奮薬(ピロ カルピンおよびカルバコール)、β−アドレナリン遮断薬(チモロール)および 交感神経興奮剤(エピネフリン)の局所投与によって行われる。これらの薬剤を 個々にあるいは併用で投与 して進行性損傷が停止しない場合、間接的副交感神経興奮薬(エコチオフェート )および炭酸脱水素酵素阻害薬(アセタゾラミドおよびメタゾラミド)が処方さ れる。内科療法が不首尾である場合、外科的治療を行って、流出路を開くことが できる。開放隅角緑内障のある種の群は先天性であり、眼球におけるある種の解 剖学的構造の発達不良が原因である。 閉塞隅角緑内障では、前眼房が浅いために房水の流出が物理的に妨害される。 瞳孔ブロックが隅角における再吸収表面を妨害するまで(瞳孔を通る房水の流れ に対する抵抗を生じる)、眼内圧は正常である。そうして圧力が急激に上昇して 、50mmHgを超える場合が多い。この緑内障は片眼で起こるのが普通であり 、赤眼および眼球の疼痛、固定瞳孔および瞳孔散大、視力低下、発汗ならびに吐 き気を特徴とする。急性発作に対しては救急治療が施され、アセタゾールアミド の非経口投与、グリセリンの経口投与またはマニトールの静脈投与、ならびにピ ロカルピンおよび場合によってはチモロールの局所投与による治療が行われる。 急性発作を管理した後に、手術によって解剖学的問題を除去することができる。 二次緑内障は、別の眼球疾患の結果として生じる。例えば、 水晶体の腫脹、隅角構造における血管新生(新たな血管の形成)、慢性炎症ある いは隅角構造に対する重度の鈍的外傷がある。二次水晶体誘発緑内障の治療は、 水晶体の外科的除去である。他のほとんどの二次緑内障は、一次開放隅角緑内障 と同様に内科的に管理される。血管新生性緑内障は治療が困難であるが、レーザ 光凝固術によって改善することができる。 緑内障などの状態に関連する網膜神経節細胞損傷の治療に有用な方法および治 療用組成物が常に望まれている。そのような方法および治療用組成物は理想的に は、進行性損傷から網膜神経節細胞および視神経を保護し、損傷を受けたニュー ロンの生存または再生を促進し、しかも重度の有害な副作用を起こさないもので あると考えられる。発明の概要 本発明は、治療上有効な量の膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生 物を投与することで、網膜神経節細胞の損傷または変性を治療する方法を提供す るものである。本発明の一つの具体的な態様によれば、治療上有効量のGDNF 蛋白産生物を投与することで緑内障を治療する方法が提供される。別の態様では 、緑内障、乳頭浮腫、乳頭炎および虚血などの視神経 頭部に影響を与える状態による視神経の損傷または変性を治療する方法が提供さ れる。治療上有効な量のGDNF蛋白産生物を投与することで、視神経を形成し ている網膜神経節細胞軸索の生存または再生を促進する。そのようなGDNF蛋 白産生物には、配列番号1で示したアミノ酸配列によって描かれるものなどのG DNF蛋白、ならびにそれの変異体および誘導体などがあることが想到される。 本発明は、網膜神経節細胞が選択的にGDNF蛋白産生物を取り込み、その蛋白 を逆行輸送し、しかもGDNFがin vitroで網膜神経節細胞の生存を促進すると いう発見、ならびにGDNFがin vivoで損傷を受けた網膜神経節細胞、すなわ ち緑内障で損傷を受けたニューロンの主要部分の生存を促進するという発見に基 づいたものである。 本発明によると、GDNF蛋白産生物は、用量範囲約1μg/kg/日〜約1 00mg/kg/日、代表的には約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/ 日、通常は約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日で非経口的に投与するこ とができる。さらに、個々の患者のニーズ及び投与経路に応じて、GDNF蛋白 産生物を、毎日ではなく週1回または週数回という比較的低頻度で投与できるこ とも想到される。さらに、GDNF 蛋白産生物を直接眼内に投与できることも想到される。当業者であれば、そのよ うな眼内投与を行うことで、比較的少量のGDNF蛋白産生物を、例えば単回注 射または連続注射で約1μg/眼球〜約1mg/眼球の範囲の眼内用量で用いる ことができることは明らかであろう。さらに、GDNF蛋白産生物を、有効量の 第2の緑内障治療薬と併用であるいは同時に投与することも想到される。 本発明はさらに、緑内障治療を含めた網膜神経節細胞の損傷または変性の治療 用の薬剤または医薬用組成物の製造におけるGDNF蛋白産生物の使用を提供す るものでもある。そのような医薬組成物には、局所、経口または非経口投与用の GDNF蛋白産生物製剤などがある。当業者には、投与プロセスは、以下に後述 するように、細胞療法および遺伝子療法を介して行うことができることも明らか であろう。本発明の現在好ましい実施態様について記載した以下の発明の詳細な 説明を検討することで、当業者には、本発明の多くの別の態様および利点が明ら かになる。発明の詳細な説明 本発明は、治療上有効な量の膠細胞系由来神経栄養因子 (GDNF)蛋白産生物を投与することで、網膜神経節細胞の損傷または変性を 治療する方法を提供するものである。本発明の1態様によれば、医薬組成物、G DNF発現細胞の植え込み(implant)またはGDNF遺伝子療法を用いた治療 上有効量のGDNF蛋白産生物の投与によって、緑内障が原因の網膜神経節細胞 変性を治療する方法が提供される。本発明は、配列番号1で示したアミノ酸配列 によって示されるGDNF蛋白ならびにそれの変異体および誘導体を含めた生理 活性GDNF蛋白産生物を用いて実施することができる。GDNF蛋白産生物の 経口投与、非経口投与または局所投与に加えて、細胞療法および遺伝子療法を介 しての投与が想到される。 本発明は、GDNFが培養において網膜神経節細胞の生存を促進するという発 見、ならびに網膜神経節細胞が選択的にGDNFを取り込み、それを受容体特異 的な形で逆行輸送するという発見に基づいたものである。そして、GDNFがこ れらニューロンの発達、生存および機能維持において何らかの役割を果たすこと が明らかになった。さらに本発明は、GDNF蛋白産生物が、損傷を受けた網膜 神経節細胞、すなわち緑内障で損傷を受けたニューロンの主要部分を占める細胞 のin vivoでの生 存を増加させるという発見に基づいたものである。外因性GDNF蛋白産生物を 投与することで、外傷性損傷あるいは軸索から細胞体への神経栄養因子の輸送中 断によって生じる神経栄養因子欠乏が原因で生じる損傷から網膜神経節細胞が保 護されることが予想される。そのような治療によって網膜神経節細胞は、その処 置を行わなければ緑内障その他の視神経疾患を起こす可能性のある眼圧、血管栄 養不足その他の環境による間歇的傷害に対して耐容することができ、しかも視神 経の機能的完全性を保守することができると予想される。 本発明によると、GDNF蛋白産生物は、用量範囲約1μg/kg/日〜約1 00mg/kg/日、代表的には約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/ 日、通常は約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日で非経口的に投与するこ とができる。GDNF蛋白産生物を、直接眼内に投与することができる。そのよ うな場合、比較的少量のGDNF蛋白産生物を、例えば単回注射または連続注射 で約1μg/眼球〜約1mg/眼球の範囲で投与できる。GDNFはさらに、光 受容器層と網膜色素(pigmentosa)上皮層との間の網膜下空間に投与することも できる。さらに、GDNF蛋白産生物を、有効量の緑内障治療用 の第2の治療薬とともに投与できることも想到される。そのような第2の薬剤と しては例えば、副交感神経興奮薬(ピロカルピンおよびカルバコール)、β−ア ドレナリン遮断薬(チモロール)、交感神経興奮剤(エピネフリン)、間接的副 交感神経興奮薬(エコチオフェート)および炭酸脱水素酵素阻害薬(アセタゾラ ミドおよびメタゾラミド)などが考えられる。本発明はさらに、緑内障治療を含 めた網膜神経節細胞の損傷または変性の治療用の薬剤の製造におけるGDNF蛋 白産生物の使用を提供するものでもある。以下に、各種医薬製剤および各種投与 方法についてさらに詳細に説明する。 本明細書で使用する場合、「GDNF蛋白産生物」という用語は、精製した天 然、合成もしくは組換え膠細胞系由来神経栄養因子、生理活性なGDNF変異体 (挿入変異体、置換変異体および欠質変異体など)、ならびにそれらの化学修飾 誘導体などがある。さらに、配列番号1に示したアミノ酸配列を有するヒトGD NFと実質的に相同であるGDNFも含まれる。GDNF蛋白産生物は、その生 理活性型では、ホモダイマーやヘテロダイマーとして存在する場合もある。 本明細書で使用される場合の「生理活性」という用語は、 GDNF蛋白産生物が、配列番号1に示したアミノ酸配列を有するGDNFと類 似の神経栄養的性質を示すが、同一の性質を必ずしも全て示すとは限らず、程度 も必ずしも同じではないことを意味している。対象とする特定の神経栄養的性質 の選択は、GDNF蛋白産生物の投与を行う用途によって決まる。 本明細書で使用される「実質的に相同」という用語は、配列番号1で示したア ミノ酸配列を有するGDNFと、好ましくは70%超、最も好ましくは80%超 、さらに好ましくは90%または95%超という相同性を有することを意味して いる。例えば、ラット蛋白とヒト蛋白の間の相同性は約93%であり、好ましい 哺乳動物GDNFは同様に高い相同性を有することが想到される。本明細書に記 載の相同パーセントは、アミノ酸100個の長さに4個のギャップを導入して整 列しやすくした場合に、比較対象の配列において同一のアミノ酸残基が並ぶ2個 の配列中の短い方の配列で認められるアミノ酸残基のパーセントとして計算され る(Dayhoff,Atlas of Protein Sequence and Structure,Vol.5,p.124,Nati onal Biochemical Research Foundation,Washington,D.C.(1972)に記載のもの 。該文献は参照によって本明細書に含まれるものとする)。配列番号1の GDNFに対する抗体との交差反応性によって単離することができるか、あるい は配列番号1のGDNFをコードする遺伝子またはその遺伝子の断片とのハイブ リッド形成によって遺伝子が単離できるGDNF蛋白産生物も実質的に相同のも のに含まれる。 本発明によるGDNF蛋白産生物は、当業者には公知の手段によって単離また は生成することができる。本発明で有用なGDNF蛋白産生物を生成する方法の 例としては、1994年5月23日出願の米国特許出願08/182183号お よびそれの親出願;WO93/06116号として公開された1992年9月1 7日出願のPCT出願PCT/US92/07888号(Lin et al.,Syntex -Synergen Neuroscience Joint Venture);EP610254号として公開 された欧州特許出願92921022.7号;1995年9月28日出願の共有 で同時係属中の米国特許出願08/535681号(「Truncated Glial Cell-Li ne Derived Neurotrophic Factor」)に記載のものなどがあり、これらは参照に よって本明細書に含まれるものとする。 天然GDNF蛋白産生物は、哺乳動物ニューロン細胞調製物 あるいはGDNFを分泌もしくは発現する哺乳動物細胞系から単離することがで きる。例えばWO93/06116号には、B49神経膠芽細胞腫細胞の血清を 含まない成長調整培地からのGDNFの単離が記載されている。GDNF蛋白産 生物は、当業者には公知の手段によって化学的に合成することもできる。組換え 法によると、比較的高純度で比較的多量の蛋白を得ることができることから、G DNF蛋白産生物は好ましくは組換え法によって製造する。組換え型のGDNF 蛋白産生物には、糖付加および非糖付加型の蛋白、ならびに細菌、哺乳動物また は昆虫の細胞系で発現される蛋白などがある。 一般に組換え法には、GDNFをコードする遺伝子の単離;好適なベクターお よび細胞種へのその遺伝子のクローニング;必要に応じた遺伝子の修飾による所 望の変異体のコード;遺伝子発現によるGDNF蛋白産生物の生成が関与する。 別法として、所望のGDNF蛋白産生物をコードするヌクレオチド配列を化学的 に合成することができる。GDNF蛋白産生物は、遺伝暗号の縮退または対立遺 伝子変種のためにコドン使用において異なるヌクレオチド配列を使用することで 発現させ得ることが想到される。WO93/06116号には、ラットGDNF 遺伝子のcDNAクローンの単離および配列決定、ならびにヒトGDNF遺伝子 のゲノムDNAクローンの単離、配列決定および発現が記載されている。WO9 3/06116号にはさらに、GDNF蛋白産生物の発現のためのベクター、宿 主細胞および培養成長条件につても記載されている。大腸菌におけるGDNF蛋 白産生物の発現に好適な別のベクターが、1991年4月24日公開の欧州特許 出願EP0423980号(「Stem Cell Factor」)(引用によって本明細書に 含まれるものとする)に開示されている。成熟ヒトGDNFをコードする遺伝子 のDNA配列およびそのGDNFのアミノ酸配列が、WO93/06116号の 図19(配列番号5)に示してある。図19には、GDNFのプレ−プロ部分の 全コード配列は示されていないが、ヒトプレ−プロGDNFの最初の50個のア ミノ酸がWO93/06116号の図22(配列番号8)に示してある。 天然GDNFは、その生理活性型ではジスルフィド結合ダイマーである。細菌 系での発現後に単離されたものは実質的に生理活性を持たず、モノマーとして存 在する。生理活性ジスルフィド結合ダイマーを得るには、リフォールディングが 必要である。細菌系で発現されたGDNFのリフォールディングおよび 天然化(naturation)の方法がWO93/06116号に記載されている。GD NF活性を測定するための標準的なin vitroアッセイが、WO93/06116 号ならびに1995年9月28日出願の共有かつ同時係属出願の米国特許出願0 8/535681号に記載されている(これらは引用によって本明細書に含まれ るものとする)。A.GDNF変異体 本明細書で使用される「GDNF変異体」という用語は、天然GDNFのアミ ノ酸配列中の残基からアミノ酸が欠失したポリペプチド(「欠失変異体」)、該 残基にアミノ酸が挿入されたポリペプチド(「付加変異体」)または該残基でア ミノ酸が置換しているポリペプチド(「置換変異体」)を含むものである。その ような変異体は、そのポリペプチドをコードするDNAへ適切なヌクレオチド修 飾を組み込むことで、あるいは所望のポリペプチドのin vitroでの化学合成によ って得られる。当業者であれば、最終的な分子がGDNF生理活性を持つのであ れば、欠失、挿入および置換の多くの組み合わせが可能であることは明らかであ ろう。 1以上の特定のアミノ酸残基の置換、挿入または欠失に対す る突然変異誘発法が、当業者には公知である(例:米国特許4518584号; 引用によって本明細書に含まれるものとする)。変異体の構築には、突然変異部 位の位置と突然変異の性質という2つの主要な変数がある。GDNF変異体を形 成する場合、突然変異部位と突然変異の性質の選択は、修飾すべきGDNF特性 によって決まる。突然変異の部位は、個別にあるいは連続的に、例えば(1)最 初に保存的なアミノ酸選択によって置換を行い、次に得られた結果に応じて、よ りラジカルな選択によって置換を行うか、(2)標的アミノ酸残基の欠失を行う か、あるいは(3)指定部位に隣接してアミノ酸残基を挿入することで修飾する ことができる。1〜20個のアミノ酸での保存的修飾が好ましい。所望のGDN F蛋白産生物のアミノ酸配列が決定されたら、蛋白の発現に使用する核酸配列は 容易に決定される。N末端欠失変異体およびC末端欠失変異体を蛋白分解酵素に よって得ることもできる。 GDNF欠失変異体の場合、欠失は一般に、約1〜30個の残基、より普通に は約1〜10個の残基、代表的には約1〜5個の隣接する残基である。N末端欠 失、C末端欠失および内部の配列内欠失が想到される。他のTGF−βスーパー ファミリ ーのものとの相同性が低い領域に欠失を導入して、GDNFの活性を修飾するこ とができる。他のTGF−βスーパーファミリー配列と実質的に相同である領域 での欠失は、より大幅にGDNF生理活性を変える可能性が高い。連続欠失の数 を選択することで、システイン架橋などの影響を受けるドメインにおけるGDN F蛋白産生物の三次構造が維持される。欠失変異体の例としては、1995年9 月28日出願の共有で同時係属中の米国特許出願08/535681号(引用に よって本明細書に含まれるものとする)に記載のようなGDNFの1〜40個の N末端アミノ酸を持たない切断(truncated)GDNF蛋白産生物;GDNFの C末端残基を持たない変異体;あるいはそれらの組み合わせなどがあるが、これ らに限定されるものではない。 GDNF付加変異体の場合、アミノ酸配列の付加には代表的には、1個の残基 から100個以上の残基を有するポリペプチドまでの範囲の長さのNおよび/ま たはC末端融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の内部配列内付加など がある。内部付加は、約1〜10個の残基、より代表的には約1〜5個の残基、 通常は約1〜3個のアミノ酸残基があり得る。N末端付加変異体の例としては、 [Met-1]GDNFと称されるN 末端メチオニン残基を有するGDNF(細菌組換え細胞培養でのGDNFの直接 発現のアーチファクト)ならびに組換え宿主細胞からの成熟GDNFの分泌を促 進するための、GDNFのN末端への異種N末端シグナル配列の融合などがある 。そのようなシグナル配列は、所定の宿主細胞種から得られることから、それと 相同性である。他の神経栄養因子の配列由来のアミノ酸配列の付加などもあり得 る。本発明による使用において好ましいGDNF蛋白産生物は組換えヒト[Me t-1]GDNFである。GDNF置換変異体では、GDNFアミノ酸配列の1以 上のアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその位置に挿入されている。そのよ うな置換変異体には、1個のアミノ酸変化を生じる場合と生じない場合のある生 物群における自然のヌクレオチド配列変化を特徴とする対立遺伝子変異体などが ある。置換変異体の例としては、1995年9月28日出願の共有で同時係属中 の米国特許出願08/535681号(引用によって本明細書に含まれるものと する)に開示のものがある(例:配列番号50)。 GDNFアミノ酸配列の特異的突然変異には、糖付加部位への修飾が関与する 場合がある(例:セリン、トレオニンまたは アスパラギン)。糖付加の不在またはごく一部の糖付加は、アスパラギン連結糖 付加認識部位あるいはO−連結炭水化物付加によって修飾された分子のいずれか の部位でのアミノ酸の置換または欠失によって生じる。アスパラギン連結糖付加 認識部位は、適切な細胞糖付加酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配 列を有する。そのトリペプチド配列は、Asn−Xaa−ThrまたはAsn− Xaa−Serのいずれかであり、その場合XaaはPro以外のアミノ酸であ る。糖付加認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方での各種 のアミノ酸置換または欠失(および/または第2位置でのアミノ酸欠失)により 、修飾トリペプチド配列での非糖付加が生じる。そうして、適切に変化させたヌ クレオチド配列の発現によって、その部位で糖付加していない変種が得られる。 別法として、GDNFアミノ酸配列を変えることで、糖付加部位を加えることが できる。 突然変異誘発のためのGDNFアミノ酸残基または領域を確認するための一つ の方法は、カニンガムらの報告に記載の「アラニン走査突然変異誘発」と呼ばれ るものである(Cunningham and Wells,Science,244:1081-1085,1989)。この 方法では、 中性または負電荷を持つアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン )によって、アミノ酸残基または標的残基群(例:Arg、Asp、His、L ysおよびGluなどの電荷を持つ残基)が確認・置換されて、細胞内外の周囲 の水性環境とそれらアミノ酸との相互作用に影響を与える。次に、置換部位に追 加の残基または別の残基を導入することで、置換基に対する官能基的感受性を示 すそれらのドメインを強化する。そうして、アミノ酸配列変化を導入するための 標的部位を決定し、DNA配列の相当する標的コドンまたは領域についてアラニ ン走査または無作為突然変異誘発を行い、発現されたGDNF変異体を、所望の 活性および活性度の最適な組み合わせについてスクリーニングする。 置換突然変異誘発に関して最も興味深い部位には、各種生物からのGDNF蛋 白で認められるアミノ酸が、側鎖の大きさ、電荷および/または疎水性に関して かなり異なる部位などがある。他の興味深い部位としては、各種動物から得られ たGDNF様蛋白の特定の残基が同一である部位である。そのような位置は一般 に、蛋白の生理活性にとって重要である。最初に、これらの部位を比較的保存的 な方法で置換する。そのような保存 的置換を、好ましい置換という見出しの下に表1に示してある。そのような置換 によって生理活性の変化が生じる場合、より大幅な変化(置換例)を導入するか 、又は他の付加若しくは欠失を行うことができ、得られる生成物について活性の スクリーニングを行う。 アミノ酸配列に対する保存的修飾(およびコード核酸配列に対応する修飾)は 、天然のGDNFのものと類似の機能的・化学的特性を有するGDNF蛋白産生 物を生成すると予想される。それとは対照的に、GDNF蛋白産生物の機能的お よび/または化学的特性における実質的な修飾は、(a)例えばシート状または らせん状コンホメーションとしての置換領域におけるポリペプチド骨格鎖の構造 、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、あるいは(c)側鎖の大きさ の維持に対する効果において大きく異なる置換を選択することで行うことができ る。天然の残基は、一般的な側鎖性質に基づいて以下のように群分けされる。 1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; 2)中性親水性:Cys、Ser、Thr; 3)酸性:Asp、Glu; 4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg; 5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および 6)芳香族:Trp、Tyr、Phe 非保存的置換では、これら分類のある群のものを別のものに 交換する場合がある。そのような被置換残基は、他のTGF−βスーパーファミ リー蛋白と相同性であるGDNF蛋白の領域あるいはその分子の非相同性領域に 導入することができる。B.GDNF誘導体 GDNFまたはGDNF変異体の化学修飾誘導体は、本明細書の開示を考慮し て、当業者であれば製造することができる。誘導体化に最も好適な化学部分には 、水溶性ポリマーなどがある。水溶性ポリマーは、それが付着している蛋白が生 理的環境などの水系環境で沈殿しないことから望ましい。好ましくはそのポリマ ーは、治療薬または治療用組成物の製造において医薬的に許容されるものである 。当業者であれば、ポリマー/蛋白接合体が治療に使用可能か否か、そして使用 可能であれば望ましい用量、循環時間、蛋白分解に対する耐性および他の検討事 項などの検討事項に基づいて望ましいポリマーを選択することができる。誘導体 化の有効性は、望ましい剤型で(すなわち、浸透ポンプにより、あるいはより好 ましくは注射もしくは注入により、さらには経口投与、肺投与その他の投与経路 用に製剤されたものにより)誘導体を投与し、その有効性を測定することで確認 することができる。 好適な水溶性ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレング リコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デ キストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジ オキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共 重合体、ポリアミン酸類(ホモポリマーまたはランダム共重合体)、ならびにデ キストランもしくはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポ リプロピレングリコールホモポリマー類、ポリプロピレンオキサイド/エチレン オキサイド共重合体、ポリオキシエチル化多価アルコール類(例:グリセリン) 、ポリビニルアルコールならびにそれらの混合物があるが、これらに限定される ものではない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定で あることから、製造において有利であると考えられる。 ポリマーの分子量に制限はなく、分岐であっても直鎖であっても良い。ポリエ チレングリコールの場合、好ましい分子量は、取り扱いやすさおよび製造しやす さから、約2kDa〜約100kDaの範囲である(「約」という用語は、ポリ エチレングリコールの調製において、一部の分子の分子量が指定の分子量よ り大きく、一部の分子ではそれより小さかったりすることを示している)。所望 の治療プロファイルに応じて(例:所望の徐放期間、生理活性がある場合はその 生理活性に対する効果、取り扱いやすさ、抗原性の程度もしくはその欠如、なら びに治療効果のある蛋白もしくは変異体に対するポリエチレングリコールの他の 既知の効果)、それ以外の大きさのものを用いることができる。 そうして付着するポリマー分子の数は多様であることができ、当業者であれば 、機能上の効果を確認することができる。モノ誘導体化を行うことができたり、 あるいは同一もしくは異なる化学部分によって、ジ、トリ、テトラまたは数個の 組み合わせの誘導体化を行うことが可能である(例:分子量の異なるポリエチレ ングリコール類などのポリマー)。蛋白(もしくはペプチド)分子に対するポリ マー分子の割合は、それらの反応混合物中での濃度同様に変動するものである。 一般に、所望の誘導体化程度(例:モノ、ジ、トリなど)、選択されるポリマー の分子量、そのポリマーが分岐であるか直鎖であるか、反応条件などの因子によ って、至適比率(過剰の未反応の蛋白やポリマーがない反応の効率に関して)を 決定する。 ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)は、蛋白の機能性または 抗原性ドメインに対する効果を考慮して蛋白に付着させなければならない。当業 者が使用可能な付着方法が多くある。例えば、EP0401384号(引用によ って本明細書に含まれるものとする)(PEGのG−CSFへの結合)、マリク らの報告(Malik et al.,Exp.Hematol.,20:1028-1035,1992; 塩化トレシル( tresyl chloride)を用いるGM−CSFのPEG化について報告)などがある 。例えばポリエチレングリコールは、遊離のアミノ基またはカルボキシル基など の反応性基を介してアミノ酸残基によって共有結合的に結合することができる。 反応性基とは、活性化ポリエチレングリコール分子が結合し得る基である。遊離 アミノ基を有するアミノ酸残基には、リジン残基およびN末端アミノ酸残基など があり得る。遊離カルボキシル基を有するものには、アスパラギン酸残基、グル タミン酸残基、C末端アミノ酸残基などがあり得る。ポリエチレングリコール分 子を付着させるための反応性基として、メルカプト基を使用することもできる。 治療のためには、N末端またはリジン基での付着などのアミノ基での付着が好ま しい。受容体結合が望ましい場合、受容体結合にとって重要な残基で の付着は避けるべきである。 特にN末端で化学修飾された蛋白が望ましい場合がある。本発明の組成物を説 明する上でポリエチレングリコールを用いる場合、各種のポリエチレン分子(分 子量、分岐などによって)、反応混合物中の蛋白(もしくはペプチド)分子に対 するポリエチレングリコール分子の割合、実施するPEG化反応の種類、選択さ れるN末端PEG化蛋白を得る方法から選択することができる。N末端PEG化 品を得る方法は(すなわち、必要に応じてこの部分を他のモノPEG化部分と分 離する方法)、PEG化蛋白分子群からのN末端PEG化品の精製によるもので ある。選択的N末端化学修飾は、特定蛋白における誘導体化に使用可能な各種1 級アミノ基(リジンとN末端)の反応性差を利用する還元的アルキル化によって 行うことができる。適切な反応条件下で、含カルボニル基ポリマーによるN末端 での蛋白の実質的に選択的な誘導体化を行う。例えば、リジン残基のe−アミノ 基と蛋白のN末端残基のa−アミノ基との間のpKa差を利用できるpHで反応 を行うことで、蛋白をN末端で選択的にPEG化することができる。そのような 選択的誘導体化によって、蛋白への水溶性ポリマーの付着が調節され、ポリマー と の接合が蛋白のN末端で支配的に起こり、リジン側鎖アミノ基などの他の反応性 基にはほとんど変化が起こらない。還元的アルキル化を用いると、水溶性ポリマ ーは上記の種類のものになると考えられ、蛋白への結合のための1個の反応性ア ルデヒドを有するはずである。1個の反応性アルデヒドを有するポリエチレング リコールプロピオンアルデヒドを使用することができる。 本発明は、1以上のポリエチレングリコール分子に連結した原核生物発現GD NFである誘導体またはそれの変異体の使用、ならびアシル結合またはアルキル 結合を介して1以上のポリエチレングリコール分子に付着したGDNFまたはそ れの変異体の使用を想到するものである。 PEG化は、当業界で公知のいずれかのPEG化反応によって行うことができ る。それには各種文献がある(例:Focus on Growth Factors,3(2):4-10,1992 ; EP 0154316号(引用によって本明細書に含まれるものとする);EP 0401384号 ;ならびにPEG化に関連する本明細書で引用の他の刊行物)。PEG化は、反 応性ポリエチレングリコール分子(または類縁の反応性水溶性ポリマー)とのア シル化反応またはアルキル化反応に よって行うことができる。 アシル化によるPEG化には通常、ポリエチレングリコールの活性エステル誘 導体とGDNF蛋白もしくは変異体との反応が関与する。公知の反応性PEG分 子または今後発見される反応性PEG分子を用いて、GDNF蛋白または変異体 のPEG化を行うことができる。好ましい活性化PEGエステルは、N−ヒドロ キシコハク酸イミドにエステル化したPEGである。本明細書で使用する場合の 「アシル化」とは、治療効果のある蛋白とPEGなどの水溶性ポリマーとの間の アミド、カーバメート、ウレタンなどの形の連結(これらに限定されるものでは ないが)を含むものと理解される(Bioconjugate Chem.,5:133-140,1994参照 )。反応条件は、PEG化分野で公知のものあるいは今後開発されるものから選 択することができるが、修飾対象のGDNFまたは変異体を失活させると考えら れる温度、溶媒およびpHの条件は回避しなければならない。 アシル化によるPEG化は、ポリPEG化GDNF蛋白または変異体を生じる のが一般的である。好ましくは、連結結合はアミドとする。さらに好ましくは、 得られる生成物は、実質的にモノ、ジまたはトリPEG化したもののみとする( 例: >95%)。しかしながら、使用される具体的反応条件に応じて、PEG化度が それより高い一部化学種数種が、いくらか形成される可能性がある。所望に応じ て、特に透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロ マトグラフィーおよび電気泳動などの標準的精製方法によって、混合物、特には 未反応化学種から、より精製されたPEG化物を分離することができる。 アルキル化によるPEG化には、還元剤存在下でのPEGの末端アルデヒド誘 導体とGDNF蛋白もしくは変異体との反応が関与する。アルキル化によるPE G化によっても、ポリPEG化GDNF蛋白もしくは変異体が得られる。さらに 、反応条件を操作して、実質的にGDNF蛋白もしくは変異体のN末端のa−ア ミノ基のみでのPEG化を指向するようにすることができる(すなわち、モノP EG化蛋白)。モノPEG化またはポリPEG化のいずれの場合も、PEG基は 好ましくは、−CH2−NH−基を介して付着させる。−CH2−基について特に 言及すれば、この種の連結を本明細書で「アルキル」連結と称する。 還元的アルキル化を介しての誘導体化によるモノPEG化生 成物取得では、誘導体化に利用可能な各種1級アミノ基(リジンとN末端)の反 応性の差を利用する。その反応は、リジン残基のe−アミノ基と蛋白のN末端残 基のa−アミノ基との間のpKa差を利用できるpHで反応を行う。そのような 選択的誘導体化によって、アルデヒドなどの反応性基を有する水溶性ポリマーの 蛋白への付着が調節され、ポリマーとの接合が蛋白のN末端で支配的に起こり、 リジン側鎖アミノ基などの他の反応性基にはほとんど変化が起こらない。重要な 1態様では本発明は、モノポリマー/GDNF蛋白(または変異体)接合体分子 の実質的に均質な製造物(すなわち、ポリマー分子が実質的に1ヶ所のみ(すな わち>95%)で付着しているGDNF蛋白または変異体)の使用を想到するも のである。より具体的には、ポリエチレングリコールを使用する場合、本発明は 、抗原性となり得る連結基を持たず、GDNF蛋白もしくは変異体に直接結合し たポリエチレングリコール分子を有するPEG化GDNF蛋白もしくは変異体の 使用を含むものでもある。 そこで、本発明に従って使用されるGDNF蛋白産生物には、PEG基がアシ ル基もしくはアルキル基を介して付着したPEG化GDNF蛋白もしくは変異体 などがあり得ることが想到さ れる。前述のように、そのような生成物はモノPEG化またはポリPEG化され たものであることができる(例えば2,6−PEG基および好ましくは2,5− PEG基を含む)。PEG基は、アミノ酸のa−アミノ基またはe−アミノ基で 蛋白に付着するが、好適な反応条件下にPEG基に付着するだけの反応性を有す る蛋白に付着のアミノ基にPEG基を付着させ得ることも想到される。 アシル化法およびアルキル化法の両方で使用されるポリマー分子は、上記の水 溶性ポリマーから選択することができる。選択されるポリマーは修飾して、アシ ル化用の活性エステルまたはアルキル化用のアルデヒドなどの1個の反応性基を 有するようにして、好ましくは本発明の方法に対して提供されるように重合度を 制御できるようにしなければならない。反応性PEGアルデヒドの例としては、 水安定性のポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、あるいはそれのモノ C1〜C10アルコキシもしくはアリールオキシ誘導体がある(米国特許5252 714号)。そのポリマーは分岐でも直鎖であっても良い。アシル化反応の場合 、選択されるポリマーは、1個の反応性エステル基を持つものでなければならな い。本発明での還元的アル キル化では、選択されるポリマーは、1個の反応性アルデヒド基を持つものでな ければならない。天然のグリコシル残基は哺乳動物組換え発現系によって比較的 容易に得られることから、水溶性ポリマーは天然グリコシル残基からは選択され ない。そのポリマーの分子量については制限はなく、分岐または直鎖であること ができる。 本発明での使用に特に好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールで ある。本明細書で使用する場合、ポリエチレングリコールとは、モノ−(C1〜 C10)アルコキシまたはアリールオキシポリエチレングリコールなどの他の蛋白 を誘導体化するのに使用されているいずれの形態のPEGも含むものとする。 一般に、化学的誘導体化は、活性化ポリマー分子と生理活性物質とを反応させ るのに使用される好適な条件下に実施することができる。PEG化GDNF蛋白 または変異体を製造する方法は、(a)GDNF蛋白もしくは変異体を、その蛋 白が1以上のPEG基に付着する条件下にポリエチレングリコール(PEGの反 応性エステルもしくはアルデヒド誘導体など)と反応させる段階、ならびに(b )反応生成物を得る段階とを有する ものである。一般に、アシル化反応の最適反応条件は、公知のパラメータおよび 所望の結果に基づいて個別に決定される。例えば、PEG:蛋白の比が大きいほ ど、ポリPEG化生成物のパーセントが高くなる。 還元的アルキル化によって実質的に均質なモノポリマー/GDNF蛋白(また は変異体)接合体分子群を得る工程では、(a)GDNF蛋白または変異体のア ミノ末端でのα−アミノ基の選択的修飾を可能とするのに好適なpHで、還元的 アルキル下条件下に、GDNF蛋白または変異体を反応性PEG分子と反応させ る段階、ならびに(b)反応生成物を得る段階がある。 モノポリマー/GDNF蛋白(または変異体)接合体分子の実質的に均質な群 の場合、還元的アルキル化反応条件は、水溶性ポリマー部分のGDNF蛋白もし くは変異体のN末端への選択的付着を可能とする条件である。そのような反応条 件は通常、リジンアミノ基とN末端のα−アミノ基の間でpKa差を与える(p Kaとは、アミノ酸の50%がプロトン化され、50%がプロトン化されないp Hである)。pHはさらに、使用されるポリマー/蛋白比にも影響を与える。一 般に、pHが低いと、蛋白に対してより過剰のポリマーを使用することが望まし い (すなわち、N末端α−アミノ基の反応性が低いと、至適条件を得るのに必要な ポリマーの量が増える)。pHが高いと、ポリマー:蛋白比は大きくする必要は ない(すなわち、より多くの反応性基が使用可能となることから、必要なポリマ ー分子が少なくなる)。本発明においては、pHは通常3〜9の範囲、好ましく は3〜6の範囲となる。 別の重要な検討事項はポリマーの分子量である。一般に、ポリマーの分子量が 大きくなるほど、蛋白に付着し得るポリマー分子は減少する。同様に、それらの パラメータを至適化する場合には、ポリマーの分岐を考慮しなければならない。 一般に、分子量が大きいほど(あるいは分岐が多いほど)、ポリマー:蛋白比は 大きくなる。一般に、本発明で想到されるPEG化反応の場合、好ましい平均分 子量は約2kDa〜約100kDaである。好ましい平均分子量は約5kDaか ら約50kDaであり、特に好ましくは約12kDa〜約25kDaである。水 溶性ポリマー/GDNF蛋白もしくは変異体の比は1:1〜100:1の範囲で あり、好ましくは(ポリPEG化の場合)1:1〜20:1および(モノPEG 化の場合)1:1〜5:1である。 上記で示した条件を用いると、還元的アルキル化によって、アミノ末端にα− アミノ基を有するGDNF蛋白もしくは変異体に対するポリマーの選択的付着、 ならびにモノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体の実質的に均質 なものが得られる。「モノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体」 という用語は本明細書では、GDNF蛋白またはGDNF変異体蛋白の分子に付 着した1個のポリマー分子を含む組成物を意味するものとして用いられる。モノ ポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体は好ましくは、リジンアミノ 側鎖基にではなく、N末端に位置するポリマー分子を有する。その製造物は好ま しくは、モノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体が90%超、よ り好ましくはモノポリマー/GDNF蛋白(もしくは変異体)接合体が95%超 であり、残りの観察される分子は未反応物である(すなわち、ポリマー部分のな い蛋白)。 本発明における還元的アルキル化では、還元剤は水溶液中で安定であり、好ま しくは還元的アルキル化の初期の工程で生成するシッフ塩基のみを還元できるも のでなければならない。好ましい還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水 素化ホウ 素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボランおよびピリジン ボランから選択することができる。特に好ましい還元剤はシアノ水素化ホウ素ナ トリウムである。溶媒、反応時間、温度などの他の反応パラメータならびに生成 物の精製手段は、水溶性ポリマーによる蛋白の誘導体化に関係する発表データに 基づいて個別に決定することができる(本明細書に引用の刊行物参照)。C.GDNF蛋白産生物医薬組成物 GDNF蛋白産生物医薬組成物は代表的には、治療上有用量のGDNF蛋白産 生物を1以上の医薬的および生理的に許容される製剤材料との混合で含有する。 好適な製剤材料には、酸化防止剤、保存剤、着色剤、芳香剤および希釈剤、乳化 剤、懸濁剤、溶媒、充填剤、増量剤、緩衝剤、放出ビヒクル、希釈剤、賦形剤お よび/または医薬補助剤などがあるが、これらに限定されるものではない。例え ば、好適なビヒクルには、注射用水、生理食塩水または人工CSFなどが挙げら れるが、これらには非経口投与用の組成物に一般的な他の材料を補充することも できる。さらに別の例としては、中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混 合した生理食塩水がある。 ビヒクル中の主要な溶媒は、性質上水系または非水系であることができる。さ らにビヒクルは、製剤のpH、浸透圧、粘度、清澄度、色、無菌性、安定性、溶 解速度または臭気を調整または維持するための医薬的に許容される他の賦形剤を 含有していても良い。同様にビヒクルは、GDNF蛋白産生物の放出速度を調整 または維持したり、あるいは眼球の膜を通ってのGDNF蛋白産生物の吸収もし くは浸透を促進するためのさらに他の医薬的に許容される賦形剤を含有すること ができる。そのような賦形剤は、単位用量または複数用量製剤での非経口投与剤 を製剤するのに一般的かつ慣例的に使用される物質である。 治療用組成物を製剤したら、それを液剤、懸濁液、ゲル、乳剤、固体剤または 脱水もしくは凍結乾燥粉剤として無菌瓶に保管することができる。そのような製 剤は、そのまま使用できる形で、あるいは例えば凍結乾燥品などの投与に先だっ て再生する必要のある形態で保存することができる。 最適な医薬製剤は、投与経路および所望の用量などの検討事項に応じて当業者 が決定する(Remington's Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,1990,Mack Pu blishing Co.,Easton,PA18042,pp.1435-1712参照;これは引用によって本明 細書に含 まれるものとする)。そのような製剤は、本発明のGDNF蛋白、変異体および 誘導体の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度およびin vivoでのクリアラ ンス速度に影響を与える場合がある。 非経口徐放製剤、吸入薬ミストまたは経口活性製剤などの他の有効な投与製剤 も含まれる。例えば、持続性放出製剤では、GDNF蛋白産生物をポリマー化合 物(ポリ酢酸、ポリグリコール酸など)またはリボソームの粒子状製剤に結合さ せるか組み込むことができる。ヒアルロン酸も使用することができ、循環系にお ける持続期間を促進する効果を有する場合がある。GDNF蛋白産生物医薬組成 物はさらに、例えば眼内注入または注射によって非経口投与用に製剤することが でき、徐放性または持続性の循環製剤などもあり得る。そのような非経口投与治 療組成物は代表的には、医薬的に許容されるビヒクルに入ったGDNF蛋白産生 物を含む発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形である。一つの好 ましいビヒクルは、無菌蒸留水である。 GDNF蛋白産生物を含むある種の製剤は経口投与するものであることも想到 される。その形で投与されるGDNF蛋白産 生物はカプセル剤とすることができ、固体製剤の配合で一般に使用される担体を 含んでまたは含まずに製剤できる。そのカプセルは、生物学的利用能が最大とな り、前全身分解がわずかである時点で消化管の所定の箇所で製剤の活性部分を放 出するよう設計することができる。別の賦形剤を含有させて、GDNF蛋白産生 物の吸収を促進することができる。希釈剤、芳香剤、低融点ロウ、植物油、潤滑 剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤および結合剤を用いることもできる。 点眼液、懸濁液および軟膏などの局所眼科製剤が当業者には公知である(Remi ngton's Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Chapter 86,pp.1581-1592 ,Mack Publishing Company,1990)。他の投与形態が利用でき、それには眼内 注射(前眼房に直接または硝子室に直接注射することができる)、結膜下注射お よび眼球後注射などがあり、そのような形態の投与に好適な眼科製剤を製造する ための方法および手段も公知である。 本願で使用する場合、「眼球外」という用語は、眼球表面および眼球と眼瞼の 間の(外部)空間を指す。眼球外領域の例としては、眼瞼円蓋または盲嚢(cul- de-sac)、結膜表面および角膜表面などがある。その箇所はいずれの眼球組織に とっても 外部であり、その領域の処置には侵襲的方法は必要ない。眼球外系の例としては 、その領域に治療用物質を放出するために用いることができる挿入物ならびに「 局所」投与点眼液、ゲルまたは軟膏などがある。眼球外医療機器は通常、患者に よってさえ容易に取り外すことができる。 ヒグチら(Higuchi et al.)の米国特許3981303号、3986510号 および3995635号(薬剤を含有する生物分解性眼球挿入物)には、眼球外 領域に薬剤を投与するのに使用される眼球外系が開示されている。その挿入物は 、眼球の盲嚢、すなわち眼球と眼瞼の間の眼球外空間で保持されるよう各種形状 のものとすることができる。いくつかの一般的な生物適合性ポリマーが、その機 器を製造する上で使用するのに好適なものとして開示されている。そのポリマー には、アルギン酸亜鉛、ポリ(乳酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水 物)およびポリ(グリコール酸)などがある。上記の特許ではさらに、薬剤への 浸透が少ない膜コーティング機器および製剤を保持する中空室についても記載さ れている。 米国特許4217898号(Theeuwes)には、薬剤の徐放投与に使用される微 孔性貯液物が開示されている。この機器は、 眼球盲嚢に眼球外で取り付けられる。興味深いポリマー系には、ポリ(塩化ビニ ル)−コポリ(酢酸ビニル)共重合体がある。カウフマン(Kaufman)は、米国 特許4865846号および4882150号において、結膜嚢用の少くとも1 つ以上の生物侵食性材料または軟膏担体を含む眼球薬放出系を開示している。そ の特許には、好適な放出系として、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポ リ(ビニルアルコール)および架橋コラーゲンなどのポリマー系が開示されてい る。 網膜の疾患または損傷の治療におけるGDNF蛋白産生物の本明細書に記載の 使用においては、局所投与用眼科製剤に、眼球への治療薬の浸透または輸送を促 進する薬剤を含有させることも有利である。そのような薬剤は当業界では公知で ある。例えば米国特許5221696号(Ke et al.)は、角膜を通っての眼科 製剤の浸透を促進する材料の使用を開示している。 眼内系とは、眼球自体の組織層内、その間あるいはその周囲におけるいずれの 組織区画での使用にも好適な系である。そのような箇所には、結膜下(眼球に隣 接する眼球粘膜の下)、眼窩(眼球の背後)および眼房内(眼球自体の房内)な どがある。眼球外系とは対照的に、この領域に処置を行うには、注射また は植え込み(implant)からなる侵襲的方法が必要である。 以下の特許が、眼内機器を開示している。米国特許4853224号(Wong) には、眼房に投与するための微小カプセル封入薬剤が開示されている。この系で 使用されるポリマーには、ポリエステルおよびポリエーテルがある。米国特許4 863457号(Lee)には、治療薬の徐放のために手術によって眼内に植え込 む生物分解性機器が開示されている。その機器は、結膜(眼球の粘膜)下へ手術 によって植え込むものである。米国特許4188373号(Krezancaki)には、 ヒトの体温でゲル化する医薬ビヒクルが開示されている。このビヒクルは薬剤お よびガムまたはセルロース由来合成誘導体の水系懸濁液である。米国特許447 4751号および4474752号(Haslam et al.)には、室温で液体で体温 でゲル化するポリマー−薬剤系が開示されている。この系で使用される好適なポ リマーには、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンなどがある。米国 特許5384333号(Davis et al.)には、長期薬剤放出を行う生物分解性注 射薬放出ポリマーが開示されている。その薬剤組成物は、生物分解性ポリマー基 体に医薬的に活性な薬剤を含ませたものであり、その場合ポリマー基体は20℃ 〜 37℃の範囲の温度で固体であり、38℃〜52℃の範囲の温度で流動性である 。その薬剤運搬ポリマーは、可溶性または液体の薬剤製剤の放出のみに限定され るものではない。例えば、そのポリマーを、薬剤を含むミクロスフェア、リポソ ームその他の粒子結合薬剤を注射部位で安定化および保持するための基材として 使用することができる。 眼内注射に特に好適なビヒクルとしては無菌蒸留水があり、それでGDNF蛋 白産生物を適切に保存処理された無菌の等張液として製剤する。さらに別の眼科 製剤では、蛋白の徐放または持続性放出を行う注射可能なミクロスフェアまたは リポソームなどの薬剤を用いてのGDNF蛋白産生物の製剤を行うことができ、 それを蓄積注射として投与する。GDNF蛋白産生物の眼内投与に好適な他の手 段としては、GDNF蛋白産生物を含む植え込み可能な薬剤投与機器などがある 。 本発明の眼科製剤、特に局所投与製剤には、例えば眼科的に許容される保存剤 、等張化剤、共溶媒、湿展剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、酸化防止剤および界面 活性剤などの当業界では公知の他の成分を含有させることができる。例えば好適 な等張性促進剤には、アルカリ金属ハライド(好ましくは塩化ナトリウ ムまたは塩化カリウム)、マニトール、ソルビトールなどがある。十分な等張性 促進剤を加えることで、点眼する製剤が低張または実質的に等張となるようにす ることが有利である。好適な保存剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール 、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロビルパラベン、クロルヘキシジ ン、ソルビン酸などがあるが、これらに限定されるものではない。過酸化水素も 、保存剤として使用することができる。好適な共溶媒には、グリセリン、プロピ レングリコールおよびポリエチレングリコールなどがあるが、これらに限定され るものではない。好適な錯化剤には、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β− シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどが ある。好適な界面活性剤または湿展剤には、ソルビタンエステル類、ポリソルベ ート80などのポリソルベート類、トロメタミン、レシチン、コレステロール、 チロキサポールなどがあるが、これらに限定されるものではない。緩衝剤として は、ホウ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、重炭酸塩またはトリス−HClなどの従 来の緩衝剤を用いることができる。 これら製剤成分は、眼球外または眼内の投与部位に許容され る濃度で存在させる。例えば、緩衝剤を用いて、組成物を生理的pHまたはそれ よりわずかに低いpH、代表的には約5〜約8の範囲のpHに維持する。 別の製剤成分には、眼球外投与治療薬の長期眼球滞留を行うことで、局所接触 を高め、吸収を促進する材料などがあり得る。好適な材料には、眼科製剤の粘度 を上昇させるポリマーまたはゲル形成材料などがある。キトサンは、持続性液体 眼科薬製剤における眼球放出速度調節剤として特に好適な材料である(米国54 22116号;Yen et al.)。眼球での眼科治療薬の放出調節(例:持続性投与 および長期投与)における本発明の製剤の好適性は、当業界で公知の各種方法に よって決定することができる(例:Journal of Controlled Release,6:367-373 ,1987に記載の方法ならびにそれの変法)。 さらに別の眼科製剤では、有効量のGDNF蛋白産生物を、錠剤の製造に好適 な無毒性の眼科的に許容される賦形剤との混合物で用いることができる。無菌水 その他の適切な媒体に錠剤を溶かすことで、眼科液剤を単位製剤にて得ることが できる。好適な賦形剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナ トリウム、乳糖またはリン酸カルシウムなどの不活性 希釈剤;あるいはデンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;あるいはス テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤などがあるが 、これらに限定されるものではない。D.GDNF蛋白産生物の投与/放出 GDNF蛋白産生物は、皮下投与、筋肉投与、静脈投与、経肺投与、経皮投与 、くも膜下投与または脳内投与によって非経口的に投与することができる。眼科 的状態の治療の場合、GDNF蛋白産生物を、局所投与、挿入物、注射、インプ ラント、細胞療法または遺伝子療法によって、前述のように眼球外または眼球内 に投与することができる。例えば、生物分解性ポリマー基体に包埋された神経栄 養因子を含む徐放性インプラントは、GDNF蛋白産生物を放出することができ る。GDNF蛋白産生物は、化学修飾または組み合わせた形で脳外で投与して、 それが血液−脳関門を通過するようにできるか、あるいはGDNF蛋白産生物に よる関門通過を促進する能力を有する1以上の薬剤とともにそれを投与すること ができる。同様に、GDNF蛋白産生物を眼内投与できるか、あるいはGDNF 蛋白産生物の眼球膜を通っての通過または輸送を促進する能力を有する1 以上の薬剤と組み合わせて眼球外に投与することができる。投与の頻度は、製剤 されたGDNF蛋白産生物の薬物動態パラメータならびに投与経路によって決ま る。 具体的な用量は、体重、体表面積または臓器の大きさを考慮して計算すること ができる。上記各製剤が関与する投与に適した用量を決定するのに必要な計算を さらに詳細に行うことは、当業者が通常行うことであり、特に本明細書に開示の 用量データおよびアッセイを考慮すれば、通常行う業務の範囲内である。適切な 用量−応答データとともに、使用用量を決定するための既存のアッセイを用いて 、適切な用量を確認することができる。眼内投与製剤で使用される用量は、全身 投与または経口投与で使用される用量と比較して非常に小さいことは、当業者に は明らかであろう。 上記の状態の治療方法に関与する最終的な投与計画は、患者の年齢、状態、体 重、性別および食事、感染の重度、投与時間ならびに他の臨床的要素などの薬剤 作用に影響を与える各種要素を考慮して、担当医が決定する。試験を行うことで 、各種疾患および状態の治療に適した用量レベルに関してさらにデータが得られ る。 ある種の治療には、GDNFの連続投与または徐放が有利であることが考えら れる。連続投与は注入ポンプなどの機械的手段を介して行うことができるが、連 続投与またはほぼ連続投与の他の形態も想到される。例えば、化学的誘導体化ま たはカプセル封入によって、所定の投与法に基づいて、予想可能な量にて、連続 的存在の効果を有する蛋白の持続製剤を得ることができる。そのように、GDN F蛋白産生物には、そのような連続投与を行うために、誘導体化その他の形で製 剤された蛋白も含まれる。 GDNF蛋白産生物を産生する細胞の眼内植え込みなどのGDNF蛋白産生物 細胞療法も想到される。この実施態様では、生理活性型のGDNF蛋白産生物を 合成・分泌する能力を有する細胞を患者に植え込むものことになると考えられる 。そのようなGDNF蛋白産生物産生細胞には、GDNF蛋白産生物の天然産生 体である細胞(B49神経膠芽細胞腫細胞に類似のもの)や、あるいは発現およ び分泌を促進するのに好適なベクターで所望のGDNF蛋白産生物をコードする 遺伝子を形質転換することでGDNF蛋白産生物を産生する能力が高められた組 換え細胞などがあり得る。異種動物のGDNF蛋白産生物投与 を受ける患者における免疫反応の可能性を低下させるため、GDNF蛋白産生物 を産生する天然細胞はヒト起源のものとし、ヒトGDNF蛋白産生物を産生する ようにすることが好ましい。同様に、GDNF蛋白産生物を産生する組換え細胞 を、ヒトGDNF蛋白産生物をコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換 することが好ましい。移植細胞をカプセルに入れて、周囲組織の浸潤を回避する ことができる。ヒトまたはヒト以外の動物の細胞を、GDNF蛋白産生物の放出 を行うことができるが患者の免疫系などの周囲組織からの他の有害要素によるそ の細胞の破壊を防止する生物適合性で半透性のポリマー性封入物または膜に入れ て患者に植え込むことができる。そのような植え込みは例えば、強膜に付着させ ることで、硝子体液で直接GDNF蛋白産生物を産生・放出するようにすること ができる。 患者自身の細胞をex vivoで形質転換することでGDNF蛋白産生物を産生さ せ、カプセル封入せずに直接植え込むことも想到される。例えば、網膜ニューロ ンを摘出し、その細胞を適切なベクターとともに培養して形質転換し、患者の網 膜に移植し戻して、そのニューロンがそこで所望のGDNF蛋白またはGDNF 蛋白変異体を産生・放出するようにすることができる。 核酸構築物その他の適切な搬送ベクターの局部注射を行うことで、標的網膜細 胞中にGDNF蛋白産生物をコードする遺伝子を導入することによって、in viv oでのGDNF蛋白産生物遺伝子療法も想到される(Hefti,J.Neurobiol.,25:1418 -1435,1994)。例えば、GDNF蛋白産生物をコードする核酸配列を、網膜細 胞への搬送用のアデノ関連ウィルスベクターまたはアデノウィルスベクターに組 み入れることができる。別のウィルスベクターには、レトロウィルスベクター、 単純庖疹ウィルスベクターおよび乳頭腫ウィルスベクターなどがあるが、これら に限定されるものではない。リポソーム介在転写、直接注射(裸DNA)、受容 体介在転写(リガンド−DNA複合体)、電気泳動、リン酸カルシウム沈殿また は微粒子衝撃(遺伝子銃)によって、適宜にin vivoまたはex vivoでの物理的転 写を行うことも可能である。 生存細胞の膜カプセル封入の方法は当業者には熟知されており、患者における カプセル封入細胞の製造およびそれの植え込みは必要以上の実験を行わずに行う ことができる(例:米国特許4892538号、5011472号および510 6627号;これらはそれぞれ、引用によって具体的に本明細書に含ま れるものとする)。生存細胞をカプセル封入する系については、PCT出願WO 91/10425号(Aebischer et al.;引用によって具体的に本明細書に含ま れるものとする)に記載されている(PCT出願WO91/10470号(Aebi scher et al.);Winn et al.,Exper.Neurol.,113:322-329,1991;Aebischer et al.,Exper.Neurol.,111:269-275,1991;Tresco et al.,ASAI0,38:17-2 3,1992も参照;これらはそれぞれ引用によって具体的に本明細書に含まれるも のとする)。リポソーム担体、生物侵食性粒子またはビーズおよび蓄積注射など の他の各種持続性投与または徐放性投与手段を製剤する方法も、当業者には公知 である。 本明細書に記載のGDNF蛋白産生物製剤は、ヒトでの利用分野だけでなく獣 医的利用分野でも使用可能であること、ならびに「患者」という用語は限定的に 解釈されるべきではないことは留意すべき点である。獣医的利用分野では、用量 範囲は上記のものと同様であるべきである。 本発明の他の態様および利点については、以下の説明のための実施例を考慮す ることで理解されよう。実施例1は、網膜神経節細胞組織培養系におけるGDN F蛋白産生物投与の効果を 扱うものである。実施例2は、受容体介在の形でGDNF蛋白産生物と結合し、 それを取り込み、逆行的に輸送することができるニューロン群について調べるた めの放射能標識GDNF蛋白産生物の使用を扱うものである。実施例3は、網膜 神経節細胞損傷モデルにおけるGDNF蛋白産生物投与の効果を取り扱うもので ある。網膜神経節細胞損傷試験の結果から、GDNF反応性であることがこれま で知られていなかったこのニューロン群について、GDNF蛋白産生物が神経栄 養活性を有することがわかる。実施例 実施例1 GDNF蛋白産生物によるin vitroでの網膜神経節細胞の生存および発達の促進材料 以下の実施例で使用される材料は、次のように得たものである。細胞培地 高グルコースダルベッコ調製イーグル培地(DMEM;#11965-092)、ハムのF1 2培地(F12; #11765-021)、重炭酸ナトリ ウムを含まないライボビッツ(Leibovitz)のL15培地(#41300-039)、B2 7培地補給剤(#17504-010)、ペニシリン/ストレプトマイシン(#15070-014) 、L−グルタミン(#25030-016)、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS ;#14190-052)、カルシウム塩およびマグネシウム塩を加えたハンクス液(HBSS ;#24020-026)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスル ホン酸(HEPES;#15630-015)、マウスラミニン(#23017-015)、ウシ血清アル ブミンおよび分画V(#110-18-017)はいずれも、GIBCO/BRL社から入 手したものである(Grand Island,NY)。加熱失活ウマ血清は、ハイクローン社 (HyClone,Logan,Utah)から入手したものである。ポリ−L−オルニチン臭化 水素酸塩(P-3655)、ウシインシュリン(I-5500)、ヒトトランスフェリン(T- 2252)、プトレシン(P-6024)、プロゲステロン(P-6149)および亜セレン酸ナ トリウム(S-9133)はいずれも、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company ,Saint-Louis,MO)から入手したものである。パパイン、デオキシリボヌクレ アーゼI(DNAase)および卵白アルブミン(パパイン解離系)は、ウォーシント ン・バイオケミカル社(Worthington Biochemicals,Freehold,NJ)から入 手した。ファルコン無菌96ウェルマイクロプレート(#3072)、組織培養用プ ラスチック器具およびポリプロピレン製遠心管は、ベックトン−ディッキンソン 社(Beckton-Dickinson,Oxnard,CA)から入手した。ナイテックス(Nitex)2 0μmナイロンメッシュ(#460)は、テトコ社(Tetko,Elmsford,NY)から入 手した。4インチ解剖鉗子および4インチ剥離鋏は、ロボズ・サージカル社(Ro boz Surgical,Washington,DC)から入手した。抗体および関連の試薬 マウスThy−1,2に対するマウス/ラットモノクローナル抗体はベーリン ガー・マンハイム社(Boehringer-Mannheim,Indianapolis,IN)から入手した 。ウサギポリクローナル抗ラットおよび抗マウスIgG抗体、ビオチン処理ウマ 抗マウスIgGおよびペルオキシダーゼ接合アビジン/ビオチン複合体(ABC El ite;キット PK-6100)は、ベクター・ラボラトリーズ社(Vector Laboratories ,Burlingame,CA)から入手した。3’,3’−ジアミノベンジジンは、カッペ ル・ラボラトリーズ(Cappel Laboratories,West Chester,PA)から入手した 。スーパーブロック(Superblock)遮断緩衝剤のPBS溶液(#37515)は、ピア ス社(Pierce,Rockford,IL)から入手した。トリトンX −100(X-100)、ノニデット(Nonidet)P−40(N6507)および過酸化水 素(30%、容量基準;H1009)はシグマ社から入手した。他の試薬はいずれも 、別段の断りがない限り、シグマ・ケミカル社(Saint-Louis,MO)から入手し たものである。方法 培地の調製 DMEMおよびF12培地の1:1混合物として基礎培地を調製し、50倍濃 縮ストック液として加えるB27培地補給剤を補給した。B27培地補給剤は、 ビオチン、L−カルニチン、コルチコステロン、エタノールアミン、D(+)− ガラクトース、還元グルタチオン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、 プトレシン、酢酸レチニル、セレン、T3(トリヨード−1−チロニン、DL− α−トコフェロール;ビタミンE)、酢酸DL−α−トコフェロール、ウシ血清 アルブミン、カタラーゼ、インシュリン、スーパーオキシド・ジスムターゼなら びにトランスフェリンからなるものである。L−グルタミンを最終濃度約2mM で加え、ペニシリンを約100 IU/L、ストレプトマイシンを約100mg /Lで加えた。加熱失活ウマ血清を最終濃度約2.5%で加え、D−グルコース を最終濃度 約5g/Lで加え、HEPES緩衝剤を最終濃度約20mMで加え、ウシインシ ュリンを最終濃度約2.5mg/mLで加え、ヒトトランスフェリンを最終濃度 約0.1mg/mLで加えた。混和後、pHを約7.3に調節し、培地を4℃に 維持した。培地は使用直前に新鮮なものを調製して、実験間の変動を小さくした 。調製全体を通じてプラスチックのピペットおよび容器を使用して、蛋白吸着を 少なくした。GDNF蛋白産生物溶液 精製ヒト組換えGDNF蛋白産生物を、ウシ血清アルブミンを5%含有する濃 度1mg/mLのD−PBS(蒸留水で調製したリン酸緩衝生理食塩水)溶液と して調製した。得られた溶液は−85℃で小分けして保存した。96ウェルマイ クロプレートで連続希釈液を調製した。10倍濃縮GDNF蛋白産生物溶液10 μLを、培地(90μL)を含む細胞培地に加えた。対照培地には、アルブミン を5%含むD−PBSを加えた(10μL)。細胞を接種してから1時間後にG DNF蛋白産生物処理を行い、場合によっては2日おきにそれを繰り返した。培養基層 基層への網膜神経節細胞の付着および神経突起伸長を最大と するために、以下に記載の手順に従ってポリ−L−オルニチンと次にラミニンに よるその順序でのコーティングを行うことで、マイクロタイタープレート表面( 培養基層)の修飾を行った。プレート表面を、濃度0.1mg/mLのポリオル ニチンの0.1Mホウ酸無菌溶液(pH8.4)で室温にて1時間以上完全に覆 い、次にスーパー−Q水(Super-Q water)を含む無菌洗浄液で覆った。洗浄水 を吸引除去し、1μg/mLのマウスラミニンのPBS溶液を加え、37℃で2 時間インキュベーションした。これらの手順は、プレート使用の直前に行って、 結果の再現性を確保するようにした。ラット網膜神経節細胞培養液の調製 7日齢のスプレーグ・ドーリーラット仔(Jackson Laboratories,Bar Harbor ,Maineから入手)を断頭によって屠殺し、眼球を無菌的に切除してL15培地 (重炭酸ナトリウムを含まない)に入れた。1回の実験当たり最大24個の眼球 を処理した。眼球は1/2に切開し、水晶体およびガラス質を取り出した。網膜 神経を注意深く取り出し、色素上皮が混入しないように切開し、小さい(約1m m2以下)断片に刻み、氷冷D−PBSに入れた。細胞を回収し、分離媒体(パ パイン 120単位およびDNAase2000単位のHBSS溶液)10mLに移し入 れた。細胞を回転台振盪器で約200rpmにて約37℃で45分間インキュベ ーションした。次に、細胞を火造り毛細管ピペットでの磨砕によって分散させ、 20μmナイテックスナイロンメッシュで篩って末分離の組織を廃棄し、IEC 臨床遠心管を用いて200×gで5分間遠心した。得られた細胞ペレットを、卵 白アルブミンおよび約500単位のDNAaseを含むHBSSに再懸濁させ、 4%卵白アルブミン溶液(HBSS溶液)頂部に乗せ、500×gで約10分間 遠心した。最終的に得られたペレットを、20%ウシ胎仔血清を補給したDME M/F12に濃度107個/mLで再度懸濁させ、前述の方法(Lehwalder et al .,J.Neurosci.Res.,24:329-337,1989)に従って免疫パニング(immunopannin g)することで網膜神経節細胞を精製した。 パニングのために、35mm組織培養用プラスチック皿を抗マウスIgG抗体 (PBSで1:100に希釈したもの)で室温にて2時間前コーティングし、1 %ウシ血清アルブミンを含有するPBSで3回洗浄し、Thy−1,2に対する マウスモノクローナル抗体(1:100希釈)とともにインキュベーシ ョンした。皿をDMEM/F12で洗浄した後、網膜細胞懸濁液約1mLを前処 理済み培養皿上で室温にて1時間インキュベーションした。培地で繰り返し洗浄 することで、付着していない細胞を除去して、強固に付着している細胞のみが残 るようにした。結合した細胞をゴム製ポリスマンを用いて回収し、完全培地(前 述)に再懸濁した。次に、細胞濃度を約11000個/mLに調節し、培地をポ リオルニチンおよびラミニンで予めコーティングしておいた96ウェルマイクロ プレートに、6mmウェル当たり約1000個の密度で、細胞懸濁液90μLを 接種した。細胞の付着は急速に起こり、平板培養効率は約50%であった。網膜神経節細胞の免疫組織化学 ラット網膜神経節細胞の特性決定を行うため、以下のように若干の変更を加え て、ルイスら報告の間接免疫ペルオキシダーゼ法(Louis et al.,J.Pharmacol. Exp.Therap.,262:1274-1283,1992; Science,259:689-892,1993)を行った。 網膜神経節細胞の培養物を4%パラホルムアルデヒドのD−PBS溶液(pH7 .4)で室温にて約30分間固定し、次にD−PBS(6mmウェル当たり20 0μL)で3回洗浄した。固定化培 養物を、1%ノニデットP−40を含むスーパーブロック遮断緩衝剤のPBS溶 液中でインキュベーションして、抗体の浸透を増加させた。次に、マウスモノク ローナル抗Thy−1抗体(Boehringer-Hannheim)を同じ緩衝液中1:100 〜1:400の希釈度で加え、培養液を回転式振盪器で37℃にて1時間インキ ュベーションした。D−PBSで3回洗浄した後、網膜神経節細胞結合抗体を、 希釈度約1:500のウマ抗マウスビオチン処理IgG(Vectastain キット、V ector Laboratories,Burlingame,CA)を用いて検出した。その二次抗体を、細 胞とともに37℃で約1時間インキュベーションし、次に細胞をD−PBSで3 回洗浄した。次に二次抗体を、希釈度1:500のアビジン−ビオチン−ペルオ キシダーゼ複合体で標識し、細胞を37℃で約45分間インキュベーションした 。D−PBSでさらに3回洗浄した後、標識細胞培養物を、0.04%3’,3 ’−ジアミノベンジジン−(HCl)4、0.06%NiCl2および0.02% 過酸化水素を含む0.1Mトリス−HCl溶液(pH7.4)中で5〜20分間 反応させた。網膜神経節細胞生存の測定 各種時間で培養した後(24時間、3日間および6日間)、 ラット網膜神経節細胞培養物を、上記のように固定、処理および免疫染色し、培 養物について、倍率200倍で明光学顕微鏡を用いて検査を行った。6mmウェ ルに存在するThy−1,2−陽性ニューロンを全て数えた。生存網膜神経節細 胞は、大きく(直径30〜40μm)規則正しい形状の細胞体を特徴とし、神経 突起が約3倍長く、そのうちの一つが軸索であった。不規則で空胞化した細胞質 または寸断された神経突起を有するなどの変性の徴候を示す網膜神経節細胞は、 計数から除外した(しかしながら、変性網膜神経節細胞のほとんどは、培養基層 から脱離していた)。細胞数は、細胞個数/6mmウェルとして、あるいは対照 細胞密度と比較した倍数変化として表現した。結果 精製ラット網膜神経節細胞の培養物を用いて、生存および形態的成熟に対する GDNF蛋白産生物の効果を明らかにした。網膜神経節細胞を、抗Thy−1, 2−抗体でコーティングしたプラスチック表面での免疫パニングによって7日齢 ラット網膜から精製した。ラット網膜では、Thy−1抗原が網膜神経節細胞に 局在していることが知られている(Leifer et al.,Exp.Neurol.,113:386-390 ,1991)。そこで、得られた網膜神 経節細胞培養物の純粋な群を、B27培地補給剤、2.5%加熱失活ウマ血清、 D−グルコース、HEPES、インシュリンおよびトランスフェリンを補給した DMEM/F12中、6mmウェル当たり約1000個の密度で、ポリオルニチ ン−ラミニンコーティングマイクロプレートへ接種することで、網膜神経節細胞 の純粋な培養物を確立した。網膜神経節細胞は、Thy1,2免疫反応性の存在 によって確認した。この方法では網膜神経節細胞の収量は比較的低かったが(約 5000個/網膜)、純度は高かった(Thy−1,2−陽性細胞が約90%) 。 ラット網膜神経節細胞培養物について、生存および形態的成熟に対するGDN F蛋白産生物投与の効果を評価した。網膜神経節細胞の培養物を、ヒト組換えG DNF蛋白産生物(10ng/mL〜1pg/mLの範囲の連続3倍希釈液)で 処理した。培養物を、in vitroで24時間後、3日後および6日後に固定し、培 養物を4%パラホルムアルデヒドで固定し、Thy−1,2についての免疫染色 を行った。GDNF蛋白産生物で処理しなかった培養物では、24時間の培養後 に生存していたのは、接種した網膜神経節細胞の約32±4%(n=6)のみで あった。元の網膜神経節細胞接種物で3日後に存在していたのは約 11±3%(n=6)であり、培養6日後にもなお認められたのは、3±2%( n=3)のみであった。大腸菌発現組換えヒトGDNF蛋白産生物で培養物を処 理したところ、培養24時間後で、生存網膜神経節細胞数に約2.5倍の上昇が あった(80±6、n=6)。GDNF蛋白産生物存在下での3日間後では、元 の数の網膜神経節細胞の約50±5%(n=5)が生残し(対照の4.5倍の増 加)、6日後には、約39±4%(n=3)がなお生存していた(対照の約9. 6倍)。in vitroで3日後における網膜神経節細胞生存に対するGDNF蛋白産 生物の効果は、約300pg/mLで最大であり、ED50は約30pg/mLで あった。 網膜神経節細胞生存の促進に加えて、GDNF蛋白産生物の添加は、その形態 的発達も刺激した。GDNF蛋白産生物で処理することで、網膜神経節細胞の細 胞体の大きさならびにそれの神経突起の長さおよび分岐が増加した。in vitroで 3日後、GDNF処理培養物中の多くの網膜神経節細胞で神経突起の長さが50 0〜1000μmであったのに対して、対照培養物で認められた最も長い神経突 起は300μm未満であった。実施例2 網膜神経節細胞におけるGDNF蛋白産生物の逆行的輸送 この実験では、125I−放射能標識GDNF蛋白産生物を成体ラットの脳に注 射して、受容体介在型でGDNFに結合し、それを取り込み、逆行的に輸送する ことができるニューロン群を確認した。被験GDNF蛋白産生物は組換えヒト[ Met-1]GDNFであり、WO93/06116号に記載されている方法に従 って大腸菌で発現させることで製造したものである。精製[Met-1]GDNF は、ラクトペルオキシダーゼ法を用いてヨウ素化し、ヤンら報告の方法(Yan et al.,J.Neurobiol.,24:1555-77,1993)に従ってG−25セファデックス(Se phadex)急速スピンカラムを用いて遊離の125Iから分離した。43mg/mL の塩酸ケタミン、8.6mg/mLのキシラジン、1.43mg/mLのアセプ ロマジンのカクテルで、用量0.7mL/kgにて成体スプレーグ・ドーリーラ ットに麻酔を施した。ラット6匹からなる1群に、125I−[Met-1]GDN FのPBS/BSA溶液5μL(計4〜5×106cpmの放射能を含む)また は111倍過剰の未標識[Met-1]GDNFを含む125I−[Met-1]GD NFのPBS/BSA 溶液5μLのいずれかを、5μLのハミルトン注射器を用いて定位的に右側脳室 に注射した。6匹のラットから成る第2の群では、111倍過剰の未標識[Me t-1]GDNFを含むまたは含まない125I−[Met-1]GDNF 1μLを 右線条に注射した。6匹のラットから成る第3の群では、111倍過剰の未標識 [Met-1]GDNFを含むまたは含まない125I−[Met-1]GDNF 1 μLを上丘に注射した。注射速度は、いずれの注射においても0.1μL/15 秒とした。 20〜24時間の生存時間後、動物を屠殺し、4%パラホルムアルデヒドおよ び1%グルタルアルデヒドの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液溶液(pH7.2 )で灌流した。脳を摘出し、低温保護した。上丘注射したラットを屠殺し、その 眼球を摘出し、同じ固定液で浸漬固定した。眼球の放射能をシンチレーションカ ウンターで計数した。厚さ25μmの脳の冷凍冠状切片を滑走式ミクロトームで 切り取り、10μmの眼球切片をクリオスタットで切り取った。切片をスライド グラスに載せ、コダックNTB−3乳剤に浸漬した。曝露時間は15〜30日の 範囲とした。次にスライドグラスを展開し、トルイジンブルーで対比染色し、顕 微鏡下に検査した。 中枢神経系(CNS)への線条体内注射または脳室内(ICV)注射後、125 I−[Met-1]GDNFの取り込みおよび輸送を、黒質および腹側被がい野に おけるドーパミン作動性ニューロンにおいて観察した。過剰量の未標識[Met-1 ]GDNFの同時注射によって、125I−[Met-1]GDNFのICV注射 または線条体内注射のいずれによるニューロン標識も完全に遮断することができ た。生理的にGDNFに対して応答性であるこのドーパミン作動性ニューロンは 、取り込みおよび逆行的輸送を行う能力を有する機能的GDNF受容体を発現す ると予想された。そのように、ICV注射および線条体内注射した125I−[M et-1]GDNFによるそのドーパミン作動性ニューロンの特異的標識は、良好 な陽性対照として役立った。 さらに、ニューロンの低レベル標識を、線条体内注射後およびICV注射後の いずれにおいても、縫線の直線中心核および縫線の背核で観察した。標識[Me t-1]GDNFの取り込みは、過剰量の未標識[Met-1]GDNFの同時注射 によって遮断され、取り込みが受容体介在機序を介して起こっていることを示し ていた。他の隣接する縫線核や成体ラット脳全体における他のニューロン群では 、線条体内注射後およびICV注射 後のいずれにおいても、ニューロンの標識は認められなかった。 脳室系に通じていないがGDNFの取り込みおよび逆行的輸送を行うことがで きると考えられる眼球などの他のニューロン群を見いだすべく、上丘に125I− [Met-1]GDNFを注射した。眼球の直接カウンティング時に認められる放 射能は対側眼球に選択的に蓄積されたが、同側眼球では蓄積されなかった。この 選択性は、対側上丘への網膜神経節細胞の交差突出によるものであると予想され る。放射能蓄積は、過剰量の未標識[Met-1]GDNFの同時注射によって遮 断され得る。これら眼球の断面のオートラジオグラムは、放射能が網膜神経節細 胞と特異的に関連していることを示していた。その結果から、125I−[Met- 1 ]GDNFは受容体介在機序を介して対側網膜神経節細胞に選択的に輸送され るが、同側網膜神経節細胞には輸送されないことが明らかになった。実施例3 GDNF蛋白産生物投与による網膜神経節細胞生存の促進 この実験では、視神経軸索切断術の動物モデルにおけるGDNF蛋白産生物ま たはビヒクル投与の効果を、マンソール−ロベイらの報告に記載の方法によって 評価した(Mansour-Robaey et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,91:1632-1636,1994)。このモデルでは、視神 経の軸索切断術によって、成体ラットにおいて、再現性のある網膜神経節細胞死 が生じる。雌成体スプレーグ・ドーリーラットの左および右の両方の上丘表面に 、フルオロゴールド(Fluorogold)浸漬したゲルフォーム(Gelfoam)を塗布す ることで、網膜神経節細胞を前標識した。フルオロゴールド塗布(0日)から1 週間後、右視神経を眼球から0.5mmで切断した(各投与でn=3〜6)。左 眼は、網膜神経節細胞の標識を示す内部対照として用いた。 第0日または第7日に右眼への眼内注射によって、[Met-1]GDNF(1 mg/mLのPBS溶液)または陰性対照としてチトクロムCのいずれか1μL を動物に投与した。表2に示したように、軸索切断術および薬剤投与の効果を、 視神経切断後第7日または第14日に調べた。 眼球を4%パラホルムアルデヒドで1時間浸漬固定した。網膜の位置に印を施 した。網膜を切開し、全体をスライドガラスに載せ、蛍光顕微鏡下に検査および 写真撮影を行った。次に、写真で網膜神経節細胞数をカウントした。チトクロム c(陰性対照)を用いたあるいは用いなかった軸索切断術により、第7日で標識 網膜神経節細胞数に大幅な低下が生じ、第14日ではさらにその数が低下するこ とが認められた。第0日における[Met-1]GDNF投与により、第7日およ び第14日に網膜神経節細胞の明瞭な生残が生じた。第0日および第7日での[ Met-1]GDNF 1μLの2回投与により、第14日での網膜神経節細胞の 生存がさらに促進された。これらの結果は、網膜神経節細胞がGDNFに対して 反応性であり、GDNF蛋白産生物投与によって、緑内障における損傷ニューロ ンの主要群である損傷網膜神経節細胞の生存率が向上することを示している。 本発明の現在好ましい実施態様について前述した内容を考慮して、当業者が本 発明の実施において多くの改良および変法を行うことが予想される。従って、本 発明の範囲に対する限定は、添付の特許請求の範囲に見られるもののみである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/52 C07K 14/52 C12N 15/09 ZNA C12P 21/02 H C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // C12N 5/00 5/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ルイ,ジヤン―クロード・マルセル アメリカ合衆国、カリフオルニア・91320、 サウザンド・オークス、ウインドリフト・ コート・3022

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 網膜神経節細胞の損傷または変性を治療するための医薬組成物製造への、 膠細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産生物の使用。 2. 網膜神経節細胞の損傷または変性が緑内障に関連するものである請求項1 に記載の使用。 3. 前記医薬組成物がさらに、緑内障治療用の第2の治療薬を含有する請求項 2に記載の使用。 4. 視神経を形成する網膜神経節細胞軸索の損傷または変性を治療するための 医薬組成物製造への、膠細胞系由来神経栄養因子蛋白産生物の使用。 5. 前記視神経の損傷または変性が、緑内障、乳頭浮腫、乳頭炎および虚血か らなる群から選択される視神経頭部に影響を与える状態に関連するものである請 求項4に記載の使用。 6. 前記医薬組成物が、配列番号1に示したGDNFアミノ酸配列または該配 列の変異体もしくは誘導体を含有する請求項1ないし5のいずれかに記載の使用 。 7. 前記医薬組成物が[Met-1]GDNFである請求項6 に記載の使用。 8. 前記誘導体が水溶性ポリマーを含有する請求項6に記載の使用。 9. 前記医薬組成物が、持続性放出医薬組成物である請求項1から5のいずれ かに記載の使用。 10. 前記組成物が、GDNF蛋白産生物を産生・分泌するよう修飾された細 胞を含有する請求項1から5のいずれかに記載の使用。
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