JP2000501307A - 超音波増強形流体供給装置および方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 カテーテル本体（１６）の周方向部分上で少なくとも部分的に延びている境界面（４０）を備えたカテーテル本体を有する超音波カテーテル。境界面（４０）は、軸線方向振動および／または半径方向振動がカテーテル本体を包囲する流体環境内に放射されるように、振動ドライバ（４２）に連結されている。任意であるが、治療流体を、体管腔内の特定領域すなわち隔絶領域に供給するため、流体注入管孔および／または境界面の両側の膨張部材を設けることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 超音波増強形流体供給装置および方法 発明の背景１．発明の分野 本発明は、広くは医療用装置および方法に関し、より詳しくは、血管系その他 の体管腔内への治療用流体の超音波増強形局部的供給装置および方法に関する。 医療技術の精巧さは進歩しているが、急性心筋梗塞（心臓発作）および末梢動 脈血栓症（脚動脈の血餅）等の血管系（血管）疾患は、依然として医療コストが 嵩みかつ健康管理に非常に重大な問題がある。現在の治療法はしばしば治療費が 嵩みかつ必ずしも有効ではない。米国のみで、治療費、扶養費および血管系疾患 による生産性喪失は、１年につき４００億ドルを超える。 この問題の核心は、脂肪質、細胞片、カルシウムおよび／または血餅の沈着の 結果として血管内の病変部位が細くなりかつ最終的には閉塞されてしまい、従っ て血液の力強い流れが妨げられることにある。現在の治療法として、薬剤および 介入装置を使用する方法および／またはバイパス手術がある。血餅の溶解に、高 用量の血栓溶解剤（血餅溶解剤）がしばしば使用される。このような積極的な治 療法を用いても、血栓溶解剤では、約３０％の患者の病変血管に血流を回復させ ることはできない。また、これらの薬剤は、有益凝塊または健康組織をも溶解し てしまい、致命的な出血合併症を引き起こす可能性がある。 血管形成カテーテル、アテレクトミ(atherectomy)カテーテルおよびレーザ剥 離カテーテル等の種々の介入装置を利用できるが、このような装置を使用して閉 塞沈着物を除去すると、瘢痕の形成により治癒する傷が残るであろう。瘢痕自体 が、最終的に血管内の重大な障害（再狭窄として知られているプロセス）になる であろう。また、介入装置により治療される病変血管は、ときどき、血管狭窄（ 弾性反動）および血管の攣縮または突然の再閉鎖をもたらすプロセスを引き起こ し、これにより、血流が制限されるため、更なる介入が必要になる。治療を受け た患者の約４０％は、比較的長期間（一般に、４〜１２カ月）に亘って生じる 瘢痕形成による再狭窄の付加治療を必要とし、一方、約２０人に１人の患者は、 血管狭窄（血管狭窄は、一般に、最初の治療後４〜７２時間以内に生じる）の治 療を必要とする。 バイパス手術により、閉塞された動脈の周囲に血液が迂回され、血流を改善で きる。しかしながら、このために使用するバイパス移植片自体によって、５〜10 年以内に、閉塞を生じさせる瘢痕組織および新しい血餅が発生するため、別の治 療を行なう必要がある。すなわち、現在のあらゆる治療法は、長期間成功を収め ることが困難である。 血餅を機械的に粉砕することおよび血餅を溶解して再狭窄を防止するため薬剤 の血管内供給を増強することの両方に超音波エネルギを使用することが提案され ている。超音波エネルギは、遠位端またはその近くに超音波振動面が設けられた 特殊カテーテルを用いて血管内に供給される。一形式の超音波カテーテルは、ワ イヤまたは他の軸線方向伝導要素を使用して、超音波エネルギ振動源からのエネ ルギを、カテーテルを介して超音波振動面に供給する。このようなシステムは比 較的大量のエネルギを供給できるが、エネルギをカテーテルの全長を通して伝達 しなければならないため、患者に与える危険が大きい。 また、このようなカテーテルは一般に剛性が大きく、治療頻度の高い冠状動脈 のような細くて曲がりくねった動脈を容易に通ることはできない。カテーテルの 剛性が大きいことおよび血管の管腔に対する追随性に欠けることから、これらの カテーテルは、血管壁に孔を穿けてしまう重大な危険がある。 超音波伝導部材の使用を回避するため、超音波変換器が直接遠位端に取り付け られたカテーテルも提案されている。例えば、米国特許第5,362,309号、第5,318 ,014号、第5,315,998号、第5,269,291号および第5,197,946号を参照されたい。 カテーテル自体の内部に変換器を設けることにより、カテーテルの全長に沿う伝 導要素を用いる必要はない。このようなカテーテルの設計は、高い安全性を有す るが、大量の超音波エネルギを発生する能力が制限される。これらの設計のうち の或るもの（例えば米国特許第5,362,309号に開示されたもの）は、超音波エネ ルギの供給能力を増強する「増幅器」を用いているが、このような設計には依然 として問題がある。より詳しくは、米国特許第5,362,309号に開示のカテー テルは、比較的長くかつ剛性の大きい変換器を有し、かつガイドワイヤを受け入 れることができず、これらの２つの特徴は、血管系（特に、冠状血管系）内での カテーテルの位置決めを困難にしている。 本発明の特別な関心事項のうち、薬剤および他の治療剤の血管内局部的供給を 増強するのに超音波エネルギを使用することが提案されている。例えば、上記多 くの特許では、血管内部位の血餅および血管形成術後の一次治療のためのフィブ リン溶解剤および抗トロンボゲン剤(anti-thrombogenic agent)の血管内供給が 提案されている。一般に、超音波増強形流体供給に使用されるカテーテルには、 例えば、カテーテルから注入される流体中に超音波エネルギを伝導すべく配置さ れた超音波変換器または超音波伝導要素、薬剤注入管孔および放射面等の音響要 素が設けられている。これらのカテーテルは大きな将来性を保有するが、幾つか の大きな制限を有している。第１の制限は、特に血管疾患が生じ易い冠状動脈の ような曲りくねった動脈を通して薬剤を供給するには、一般に、音響要素の直径 、剛性および／または長さが大き過ぎることである。第２の制限は、音響要素が 、一般に、極く僅かな超音波変位(ultrasonic displacement)しか得られないこ とである。最後の制限は、超音波変位は、一般に、薬理学的分子（pharmacologi c-al molecules）の進入を増強するための、組織構造の開孔に特に適した重要な 「剪断」波（半径方向に放射される横波）をもたない、前方に放射される縦波に 制限されることである。 これらの理由から、上記問題のうちの少なくとも幾つかを解消できる改善され た超音波カテーテルの設計を提供することが望まれている。より詳しくは、超音 波変換器および薬剤供給能力の両方を有する超音波カテーテルであって、変換器 設計が、管腔内環境、特に血管内環境内に放出される薬剤と相互作用するように 最適化された超音波カテーテルを提供することが望まれている。例えば、カテー テルは、これを包囲する流体環境内に超音波エネルギを伝導するための境界面を 有することが望まれており、該境界面は比較的大きいこと（通常、約１０mm²よ り大きく、好ましくは約３０mm²大きいこと）が望ましい。また、境界面は全体 として円筒状であり、カテーテルの遠位端近くでカテーテル本体の少なくとも一 部を包囲しかつカテーテルからの超音波エネルギの軸線方向等方向的性放射 を与えることが望まれている。また、カテーテルを包囲する流体環境内および血 管壁面上に横波（剪断波）を伝導するため、カテーテルの長手方向軸線に対して 平行に移動できる境界面を提供することも望まれている。境界面の変位の振幅は 、流体環境の充分な剪断を伝導して、血管壁内への薬理学的分子の増強進入を可 能にし、特に、血管壁に到達する前に実質的にすなわち全体として減衰してはな らない。また、円筒状表面積に加え、境界面は、超音波エネルギをカテーテルか ら前方に放射できる前向きの表面領域を有することが望まれている。更に、超音 波エネルギおよび流体薬剤の同時管腔内供給を行なう方法であって、超音波エネ ルギがカテーテルの表面に隣接する流体に波動を誘起できる方法を提供すること も望まれている。しかしながら、このようなカテーテルおよび装置の使用は流体 薬剤の増強供給に限定されるべきではなく、少なくとも幾つかの場合には、流体 薬剤の同時供給を行なうことなく、血管腔内の血管壁または狭窄領域に直接作用 できるものでなくてはならない。２．背景技術の説明 血栓溶解剤および他の液体薬剤を供給できる超音波要素を備えたカテーテルが 、米国特許第5,362,309号、第5,318,014号、第5,315,998号、第5,197,946号、第 5,397,301号、第5,380,273号、第5,344,395号、第5,342,292号、第5,324,255号 、第5,304,115号、第5,279,546号、第5,269,297号、第5,267,954号、第4,870,95 3号、第4,808,153号、第4,692,139号、第3,565,062号、国際特許出願 WO 90/013 00、およびTachibanaの論文（１９９２年）JVIR 3: 第２９９〜３０３頁に開示 されている。米国特許第3,433,226号には、流体供給手段を備えた、血管プラク 治療用の高剛性超音波プローブが開示されている。米国特許第5,163,421号およ びRosenschein 等の論文（１９９０年）JACC 15: 第７１１〜７１７頁には、血 管内治療を行なうための超音波伝導ワイヤが開示されている。米国特許第5,085, 662号および欧州特許第189329号には、超音波アシスト形アテレクトミカテーテ ルが開示されている。全身的／局部的薬剤供給の超音波増強が、米国特許第5,28 6,254号、第5,282,785号、第5,267,985号、第4,948,587号、国際特許出願 WO 94 /05361およびWO 91/19529、JP 3-63041、およびYumita当業者の論文（１９９０ 年）JPN．J．CANCER RES．81: 第３０４〜 ３０８頁に開示されている。米国特許第4,936,281号には、超音波増強を行なう 電気外科血管形成カテーテルが開示されている。超音波洗浄機構を備えた注入・ 排出カテーテルが、米国特許第4,698,058号に開示されている。動脈プラクの周 囲に隔絶領域を形成するための互いに間隔を隔てた１対のバルーンを備えた薬剤 供給カテーテルが、米国特許第4,636,195号に開示されている。 発明の要約 本発明によれば、超音波エネルギの管腔内供給を行なうカテーテルは、近位端 および遠位端を備えたカテーテル本体からなる。カテーテル本体内には振動ドラ イバが配置され、境界面を備えた境界部材が振動ドライバに連結されている。カ テーテル本体の周方向表面の少なくとも一部に亘って、境界面が軸線方向に延び ている。境界面は、通常、円筒状であり、境界面の軸線方向振動および／または 半径方向振動によって、カテーテル本体に隣接する流体中に波動が誘起される。 本発明のカテーテルは、特に、流体治療剤の混合および管腔内の目標部位への治 療剤の吸収を増強させることを意図しているが、特に、周方向境界面を目標部位 に直接係合させることにより、体管腔内に超音波エネルギを直接供給するのにも 有効である。 境界面は、カテーテルの遠位端で横方向に延びる部分を更に有し、この横方向 表面は平面、凹状、凸状にすることができ、或いは、所望パターンで超音波エネ ルギを放射させるべく選択される凹凸状の形状にすることもできる。振動ドライ バは、通常、境界部材に連結されて、該境界部材に長手方向振動を誘起する。こ の場合、境界部材の周方向表面はカテーテル本体の軸線に対して平行な方向の波 動を誘起し、一方、真向きの横方向表面（これが存在する場合には）は、カテー テル本体の遠位端から離れる遠位側方向の波動を誘起する。別の構成として、カ テーテル本体から外方に延びる半径方向の波動パターンを誘起させるため、境界 面（通常、円筒状境界面）を半径方向に振動させるように振動ドライバを選択す ることができる。 本発明のカテーテルは、通常、流体薬剤を、カテーテル本体の近位端から、境 界部材の近くの位置に供給するための管孔を更に有している。この管孔は、カテ ーテル本体自体の内部に形成される。別の構成として、カテーテル本体の回りに シースを同心状に配置することにより、環状管孔を設けることもできる。しかし ながら、本発明のカテーテルは、別の流体注入カテーテル、他の薬剤放出装置お よび人工補てつ物（例えば、薬剤供給ステント）、全身投与装置（例えば、薬剤 が局部的超音波供給により活性化すなわち増強される場合）等の他の装置により 薬剤および他の液体薬剤が供給される場合にも使用できる。 本発明のカテーテルの第１の特定実施形態では、振動ドライバは、カテーテル 本体の遠位端から遠位側に延びるように取り付けられた長手方向振動ドライバで ある。長手方向振動ドライバの遠位端には境界部材が連結されており、該境界部 材は、カテーテル本体の回りで周方向に配置された部分（より一般的には、円筒 状表面）をもつ境界面を備えている。通常、境界面は、周方向部分と、横方向部 分（前向き表面）とを有し、該横方向部分は、平面、凸状、凹状または凹凸状に 形成できる。任意であるが、長手方向振動ドライバは、境界部材とカテーテル本 体とを連結するばね要素からなる共振ドライバで構成できる。ばね要素、境界部 材の質量、およびドライバの周波数特性および他の作動特性（その質量を含む） は、共振するように選択される。長手方向振動ドライバは、管状圧電変換器、圧 電スタック等の任意の慣用的な長手方向振動超音波変換器で構成できる。ドライ バは、磁歪ドライバで構成することもできる。任意であるが、カテーテルには更 に、境界面の近位側および遠位側に配置される１対の膨張部材を設けることがで き、この場合には、膨張部材は、超音波エネルギが供給される間、境界面の回り の領域を選択的に隔絶し、該領域内に治療流体を閉じ込めておくことができる。 第２の特定実施形態では、カテーテルは、カテーテル本体と、ほぼ上記のよう な境界部材とからなる。境界部材は、直列に連結された１対の長手方向振動ドラ イバにより駆動され、ドライバが振動するとき、ドライバの結合長さが実質的に 一定に維持されるようになっている。境界部材は１対のドライバを介してカテー テル本体に機械的に連結されており、ドライバの同時振動により、カテーテル本 体に対する境界面の長手方向運動が誘起される。最遠位側ドライバの遠位端およ び最近位側ドライバの近位端はカテーテル本体に対して固定されており、境界部 材は両ドライバ間の位置に固定されている。これにより、境界部材はドライバの 固定端に対して浮動した状態になりかつドライバの自由端により駆動される。別 の構成として、ドライバの内端部をカテーテル本体に対して固定し、かつ境界部 材を最遠位側ドライバの遠位端および最近位側ドライバの近位端に固定すること もできる。これにより、ドライバの外端部が境界部材を支持しかつ駆動する。こ れらの両実施形態において、境界面はほぼ円筒状であり、通常、６〜３０mmの範 囲内の長さおよび２〜５mmの範囲内の外径を有する。円筒状境界面は円滑にでき 、任意であるが、円筒状境界面を凹凸にして、該境界面が軸線方向に振動される ときに境界面への流体のカップリングを増強させることもできる。 第３の特定実施形態では、境界部材はカテーテル本体の回りで周方向に配置さ れた環状フランジで構成される。通常、フランジは、前述のように、１対の長手 方向振動ドライバにより駆動される。任意であるが、カテーテルには、境界面の 近位側および遠位側に配置される１対の膨張部材を更に設けることができる。こ の場合には、超音波エネルギが供給される間に、膨張部材が境界面の回りの領域 を選択的に隔絶し、該領域内に治療流体を閉じ込めることができる。 本発明の方法によれば、カテーテルの遠位端近くに境界部材を備えたカテーテ ルが提供される。境界部材の周方向境界面は、治療すべき管腔内部位の近くの領 域まで前進される。境界面は、周方向境界面に隣接する流体中に波動を誘起させ るべく駆動される。通常、境界面は軸線方向に振動され、カテーテル本体に対し て軸線方向の波動を誘起させる。別の構成として、周方向境界面を半径方向に振 動させて、境界面から半径方向の波動を誘起させることもできる。本発明の方法 は、血管形成術後の血管治療部位のような管腔内病変部の治療に特に有効である 。境界部材は、所望の超音波周波数（通常、約１０〜３００kHzの範囲内の周波 数）で駆動される。超音波エネルギの付与により、フィブリン溶解剤および抗ト ロンボゲン剤を含む或る種の治療剤の活性および管腔壁進入性が増強される。 図面の簡単な説明 第１図は、本発明の原理に従って構成されたカテーテルおよび超音波エネルギ 源の一例を示すものである。 第２図は、第１図のカテーテルの遠位端を断面で示す詳細図である。 第３図は、第１図のカテーテルに組み込まれる管状圧電変換器の一部を破断し て示す斜視図である。 第４図は、第３図の４−４線に沿う断面図である。 第５図は、境界部材が周方向面および前向き面を有する、本発明のカテーテル の好ましい実施形態の遠位端を示す詳細図である。 第６図は、第１図のカテーテルに使用できる圧電スタック変換器を示す斜視図 である。 第７図は、本発明の原理に従って構成されたカテーテルの他の実施形態の遠位 端を断面で示す詳細図である。 第８図は、本発明の原理に従って構成された更に別のカテーテルの遠位端を断 面で示す詳細図である。 第９図は、本発明の原理に従って構成された更に別のカテーテルの遠位端を、 血管内の断面で示す詳細図である。 第１０図は、本発明の原理に従って構成された更に別のカテーテルの遠位端を 断面で示す詳細図である。 第１１図〜第１３図は、本発明の種々のカテーテルに組み込まれる種々の境界 部材の外面の変更例を示す図面である。 特定実施形態の説明 本発明は、管腔状態、より詳しくは、冠状および末梢血管系の疾患の治療を行 なう装置および方法を提供する。特定状態として、冠状および末梢動脈の疾患お よび血栓症がある。本発明の装置および方法はこのような病気の一次治療に有効 であり、その目的は、血餅、プラクまたは病気の原因となる他の狭窄病変部を剥 離し、溶解しまたは粉砕することにある。例えば、本発明の原理に従って構成さ れたカテーテルは、超音波エネルギを狭窄物質に直接係合および伝導して該狭窄 物質を機械的に粉砕し、関連する血管管腔を開通させるのに使用できる。このよ うな機械的粉砕は、薬剤および治療剤を同時投与し（または投与することなく） 行なわれる。また、本発明の装置および方法は、治療剤が狭窄物質の粉砕に主要 効果があるときは、治療剤の投与を増強するのにも有効である。このような場合 に、カテーテルは狭窄物質と係合させるか、狭窄物質から僅かな距離を隔てて維 持することができる。超音波エネルギは、狭窄物質中への治療剤の進入を扇動お よび促進させる。適当な治療剤として、ヘパリン、組織プラスミノーゲン活性化 因子(tpA)、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼ等の既知の血栓溶解剤およ びフィブリン溶解剤がある。本発明のカテーテルおよび方法は、血管形成術、ア テレクトミ、レーザ剥離法等の他の介入技術により以前に治療した血管部位の治 療にも有効である。このような場合、カテーテルは、血管壁または他の管腔壁内 への抗トロンボゲン剤の進入を扇動および促進させて狭窄を防止するのに使用さ れる。適当な抗トロンボゲン剤として、ヒルジン、ヒルログ(hirulog)、ヘパリ ン、tpA、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ等がある。血管系の治療以外に、 本発明は、例えば、血管以外の病気の治療、例えば腫瘍のある血管系への薬剤の 局部的供給による腫瘍の治療を行なうための、血管系内での薬剤の全身的および 局部的供給に使用することもできる。 本発明のカテーテルは、近位端および遠位端を備えたカテーテル本体を有して いる。カテーテル本体は、特定用途のための寸法および物理的特徴をもたせるこ とができる。血管に適用する場合には、カテーテル本体の長さは、一般には５０ 〜２００cm、通常は７５〜１５０cmであり、直径は１〜５mm、通常は２〜４mmで ある。カテーテル本体の直径はその長さ方向に沿って変化させることができ、種 々の長さ部分は種々の材料で形成できる。例示の実施形態では、カテーテル本体 は、少なくとも１つの貫通管孔を備えた単一押出し成形体からなる。管孔は、通 常、ガイドワイヤを受け入れることができ、かつ治療剤の供給および／またはカ テーテル本体の近位端から遠位端への導電を行なう電気ワイヤの支持を行なうこ ともできる。別の構成として、カテーテル本体には、治療剤（単一または複数） の供給、超音波変換器への導電を行なう電気ワイヤの挿通およびその他の目的の ための別の管孔を設けることもできる。カテーテル本体は、その全長または一部 の長さを補強することができる。慣用的な補強材料として、ワイヤ編組、ワイヤ メッシュ、ワイヤコイル等がある。血管系内への配置のためのガイドワイヤを使 用するとき、カテーテル本体は、「オーバ・ザ・ワイヤ」設計または「迅速交換 」設計にすることができる。前者の場合、ガイドワイヤ管孔はカテーテル本体の ほぼ全長に亘って延びている。後者の場合、ガイドワイヤ管孔は、カテーテル本 体の遠位端から比較的近くの位置（通常、５０cm以内、より一般的には３０cm以 内、しばしば２５cm以内）に配置される近位側ガイドワイヤポートに終端する。 通常、 カテーテル本体の近位端には近位側ハウジングが固定され、この場合、ハウジン グにはガイドワイヤポート、治療剤注入ポート等が設けられる。 カテーテル本体には、該本体を包囲する環境内にエネルギ（一般に、超音波エ ネルギ）を放射するための境界部材が設けられる。境界部材は境界面を有し、該 境界面はその少なくとも一部が、カテーテル本体の回りで周方向に配置されてい る。周方向部分は通常は円筒状であり、境界部材および境界面は、軸線方向に（ すなわち、カテーテル本体の方向にほぼ前後に）、半径方向に（すなわち、カテ ーテル本体の軸線に対して半径方向に）、または軸線方向と半径方向とを組み合 わせた方向に振動できる。いずれの場合でも、エネルギは、境界部材の円筒状表 面から、ほぼ均一パターンで、すなわち等方向的に半径方向外方に放射される。 このような均一放射は、円筒状表面に隣接する一定長さの管腔内壁内への治療剤 の進入を増強する上で特に有効である。 例示の実施形態では、円筒状境界面は、一般に、６〜３０mm、好ましくは８〜 １５mmの長さにすることができる。円筒状表面の外径は、一般に、２〜５mm、よ り一般的には３〜４mmの範囲内にある。境界部材には更に、円筒状表面の遠位端 で一般に横方向に形成された前向きの横方向面を設けることができる。横方向面 自体は、平面状、凸状（円筒状表面の遠位端での前向きドームの形状）、凹状ま たは凹凸状にできる。円筒状表面および／または前向き横方向面には、凹凸を形 成することもできる。例えば、表面に隣接する流体中への振動の伝導を増強する ため、複数の隆起部、突出部等を設けることもできる。 カテーテル本体には、境界部材を所望の態様で振動させるドライバを設けるこ とができる。通常、ドライバは境界部材とは別体に形成される。しかしながら、 或る場合（特に、詳細に後述する半径方向振動ドライバの場合）には、境界面を も形成する振動ドライバを設けることができる。ドライバは、通常、管状の圧電 変換器、圧電スタック変換器、磁歪ドライバ等を含む超音波変換器である。任意 であるが、超音波ドライバがカテーテル本体と境界部材との間に配置される長手 方向振動ドライバであるドライバでは、一般に、境界部材をカテーテル本体に取 り付けるばね要素を含む共振駆動組立体に組み込むことができる。長手方向振動 ドライバは、通常、0.05〜４0μm、好ましくは１０〜２５μmの範囲内の振幅 で振動するように選択される。このようなドライバおよび共振駆動組立体の詳細 は、本件出願人の所有する係属中の米国特許出願第 08/565,575号（該米国特許 出願の全開示は本願に援用する）に記載されている。 長手方向振動圧電ドライバは、連続、可変または不連続周波数発生器により付 勢される。一般には連続周波数発生器が使用され、予期作動負荷の下でドライバ を共振駆動すべく選択される固定周波数で作動される。可変周波数発生器は、「 トラッキング」発生器として、フィードバックコントロールにより作動され、ド ライバの出力電流および電圧をモニタリングしかつ作動周波数をシステムのあら ゆる熱的または他のドリフト（ずれ）と一致するように調節する。可変周波数発 生器は、共振周波数を囲む周波数バンドを通して周期的に掃引するようにプログ ラムすなわち構成し、デューティサイクルを制御しかつ少なくとも或るドリフト をオフセットすることもできる。システムは各サイクルの一部のみについて共振 駆動されるので、発熱が制限される。関数発生器も、所望の生物学的効果を充分 に達成できるデューティサイクルをもつオン・オフモードすなわちバーストモー ドで作動するようにプログラムされる。 本発明のカテーテルは更に、境界部材の境界面の近位側および遠位側に配置さ れた膨張部材を有している。膨張部材（一般に、膨張可能なエラストマバルーン ）は、管腔壁と係合して、治療すべき管腔領域を隔絶するのに使用される。 ここで第１図を参照すると、カテーテルシステム１０は本発明の原理に従って 構成されたカテーテル１２を有し、かつ超音波電源（超音波発生源）１４が示さ れている。カテーテル１２は、遠位端１８および近位端２０を備えたカテーテル 本体１６と、流体注入ポート２４を備えた近位側ハウジング２２と、ガイドワイ ヤポート２６とを有している。カテーテル１２は、近位端２０から遠位端１８ま で延びかつ流体注入ポート２４およびガイドワイヤポート２６の両方に連結され ている少なくとも１つの管孔２８を有する。超音波電源１４は、ほぼ所定周波数 で超音波変換器（後述）を駆動するように選択できる。超音波電源１４は、一般 に、Hewlett-Packard 社（Palo Alto、カリフォルニア州）から市販されている ような慣用的な信号発生器と、ENI 社（Rochester、ニューヨーク州）およびKro hn-Hite社（Avon、マサチューセッツ州）から市販されているような増幅器と からなる。或いは、超音波電源は、カスタム信号発生器と、熱により誘発される 材料変化により、カテーテルチップの超音波ドライバの共振周波数がずれたとき に、駆動周波数をこの共振周波数に維持するトラッキング回路を備えた増幅器と で構成できる。 カテーテル１２は、カテーテル本体１６の一部の回りで周方向に配置された境 界面４０を有している。第１図に示すように、境界面４０は円筒状でありかつ長 さｌに亘ってカテーテル本体の全周に延びている。円筒状境界面４０の長さｌお よび外径ｄは、通常、前述の範囲内に定める。境界面４０は、必ずしもカテーテ ル本体の全周に亘って形成する必要はなく、或る場合には、３／４円筒面、1/2 円筒面等の形態に構成できる。しかしながら、本発明の境界面４０は、カテーテ ル本体の全周に亘って軸線方向（この場合も、前述の範囲内の長さ）に延びてい る。 ここで第２図から第４図を参照すると、振動ドライバ組立体４２は、外側電極 ４６と内側電極４８との間にサンドイッチされた管状圧電セラミック４４を有し ている。電極４６、４８に適当な駆動電圧を印加すると、管状圧電変換器５２を 長手方向および半径方向の両方向および厚さ方向に振動させる。適当な駆動電圧 は、１０〜２００Ｖである。この結果生じる半径方向変位および軸線方向変位が 第２図に最も良く示されており、ここでは、0.005〜0.3μmの半径方向変位およ び0.04〜２μmの軸線方向変位が非共振状態下で達成される。共振状態下（すな わち、振動ドライバ組立体が、境界面を共振させる共振システムの成分を有する 場合）では、長手方向変位が、一般に0.5〜４0μm、好ましくは１０〜２５μmの 範囲内のように非常に大きくなる。 第２図の実施形態は、互いに間隔を隔てた１対の隔絶バルーンまたは他の隔絶 部材（第９図参照）と組み合わせて使用するのが好ましい。このような隔絶バル ーンは、カテーテルの遠位端を包囲する隔絶された治療体積を形成し、横方向境 界面４０の存在は、この隔絶された流体環境内への振動の直接伝導を可能にする ため特に有効である。この場合、隔絶領域内に流体を供給するため、中央管孔２ ８からの１つ以上の灌流ポートを設けることが望ましい。 振動ドライバ組立体４２は、本発明の振動ドライバと、境界部材／境界面との 両者を提供する。振動ドライバは、外側電極４６と内側電極４８との間にサンド イッチされかつ上記のような適当な材料から形成された圧電チューブ４４を含む 管状変換器の形態に構成できる。電極４６、４８に適当な駆動電圧を印加すると 、管状変換器が長手方向および半径方向の両方向に振動される。適当な駆動電圧 は１０〜２００Ｖある。この結果生じる軸線方向変位が第２図に破線で示されて おり、ここでは、0.05〜４０μm、通常は１０〜２５μmの範囲内の変位が達成さ れる。 第２図〜第５図に示すように、ドライバは、共振システムの好ましい実施形態 に組み込まれない。ドライバは、既に本願に援用した係属中の米国特許出願第08 /565,575号に記載されたばね部材を組み込むことにより、容易に共振システムに 変換できる。変換器組立体４２は、円筒状表面４０から半径方向外方に伝播する 波先５２の形態をなす波動を発生する。第１図には示されていないが、カテーテ ル１２には、境界面４０の遠位側および近位側に、隔絶バルーンを容易に組み込 むことができる。隔絶バルーンの取付けは、第９図の実施形態に関連して後で詳 細に説明する。 ここで第５図を参照すると、カテーテル本体６２の端部には、好ましい超音波 変換器組立体６０が示されている。カテーテル本体６２は、第１図に示したカテ ーテル本体１２とほぼ同じである。変換器組立体６０は、管状圧電変換器６４（ 電極は示されていない）と、カテーテル本体６２の遠位端から遠位側に延びてい るばね部材６６と、ばね部材６６の遠位端および変換器６４に取り付けられた境 界部材６８とを有する。カテーテル６２の遠位端は、ばね要素６６および管状圧 電変換器６４の近位端の固定部を形成する。カテーテルの遠位端の有効質量は境 界部材６８の質量の数倍である。別の構成として、カテーテルの遠位端とばね要 素および変換器要素の近位端との間にはテール・マス（図示せず）を配置でき、 この場合、テール・マスの質量は、境界部材の質量の少なくとも４倍、好ましく は境界部材の質量の８倍以上である。境界部材６８は、円筒状境界面７０と、前 向き境界面７２との両方を有している。従って、境界部材６８が長手方向に振動 すると、波がほぼ２つの方向に伝播される。第１に、円筒状表面７０は、波先線 ７４により示すように、カテーテルから半径方向に放射する横方向振動「剪断」 波を発生する。第２に、前向き境界面７２は、波先線７６により示すように、遠 位側方向の長手方向波を発生する。 超音波変換器組立体６０は共振システムであるのが好ましい。この場合、ばね 部材６６および変換器６４の弾性係数および境界部材６８の質量は、特定周波数 での共振作動が得られるように選択される。任意であるが、テール・マス（図示 せず）は、変換器６４の近位端に固定できる。この場合、テール・マスは、境界 部材６８の質量よりかなり大きい質量を有する。しかしながら、テール・マスは 必ずしも必要ではなく、多くの場合、カテーテル本体６２は、変換器組立体６０ を共振態様で作動させるべく充分な固定部を形成する。境界部材７０の質量は、 通常、0.3〜４ｇ、より一般的には0.5〜２ｇの範囲内である。 超音波変換器６４は、第２図に関連して前述したように管状変換器として構成 するか、第６図に示すように、極性が交互するように電極板８２、８２′がスタ ックされ複数の圧電ディスク８０からなる圧電スタック変換器で構成することも できる。圧電スタックに長手方向振動を誘起させるため、正の電極８２は、電源 １４の正のターミナルに接続され、負の電極８２′は接地ターミナルに接続され る。第６図で、圧電スタックのセラミック層上に示す矢印は、各層の極性の方向 を示すものである。一般に、圧電スタックは、正弦波発生器（通常、正弦波は正 の電位にバイアスされている）からなる電源に接続される。スタックには、機械 加工により、第５図に示すように、ばね部材６６を収容する管孔８４が設けられ る。超音波変換器６４は、係属中の米国特許出願第 08/566,740号（該米国特許 出願の全開示は本願に援用する）により詳細に説明されているような磁歪ドライ バに置換することもできる。 境界部材とテール・マスとを結合するばね要素は、単一構成部品、例えば、長 手方向振動ドライバの内部または外部で、カテーテルまたは円筒状シェルの長手 方向軸線に沿って配置される単一の中実ロッドまたは中空チューブで構成できる 。別の構成として、ばね要素は、カテーテルの長手方向軸線の回りで対称的に配 置された複数のロッドまたはチューブのような複数の構成部品で構成できる。ば ね要素は、広範囲の種々の任意の材料、最も一般的には、少なくとも約３５のロ ックウェル硬度をもつ硬質ステンレス鋼のようなステンレス鋼で形成できる。或 い は、ニッケル−チタン合金（ニチノール）のような超弾性合金を使用することも できる。ばね要素（単一または複数）の断面積は、ばね要素がその最大変形を受 けるとき（すなわち、境界部材の前方最大変位のとき）に、材料の引張り強度（ 一般に約25,000PSI）の約２０％の最大張力が得られる大きさであれば充分であ る。テール・マス、境界部材および長手方向振動ドライバからなる組立体は、該 組立体がその最小長手方向変位に収縮するときに、連続圧縮力を発生するのに充 分な静的な力をもつばねマスにより圧縮される。境界部材およびばねマスは、こ れらが協働して、ばね要素が、最大逆加速時に境界部材に圧縮力を保持して、境 界部材がドライバ要素から分離することを防止することを確保する質量および剛 性を有するべきである。最大逆加速時は、最大前方変位時に生じる。 ここで第７図を参照すると、本発明の原理に従って構成された超音波変換器組 立体１００の他の実施形態が示されている。変換器組立体１００は、ガイドワイ ヤを受け入れるための中央管孔１０４および注入流体を受け入れるための第２管 孔１０６を備えたカテーテル本体１０２の端部に取り付けられる。管孔１０６の 排出ポート１０８が変換器組立体１００の近くに配置されており、これにより、 治療剤を変換器の直ぐ近くの領域に供給できる。図示しないが、カテーテル１０ ２は、後でより詳細に説明するように、隔絶バルーンを設けたものに変更するこ とができる。 変換器組立体１００は、カテーテル本体１０２に対して固定されたフランジ１ １４の近位側および遠位側にそれぞれ配置された第１管状変換器１１０および第 ２管状変換器１１２を有する。変換器１１０、１１２は、管状圧電変換器、圧電 スタック変換器、磁歪ドライバ等で構成できる。あらゆる場合において、変換器 １１０、１１２は、これらが、１８０゜位相をずらした同方向で、長手方向に振 動するように配線される。これにより、変換器１１０の近位端と変換器１１２の 遠位端との間の全距離は、これらの両端部が同期態様で軸線方向に変位するとき に、一定に維持される。円筒状境界面１１８を備えた境界部材１１６は、第１変 換器１１０および第２変換器１１２のそれぞれの端部に取り付けられている。こ れにより、変換器は、該変換器の特性により決定される周波数で、長手方向振動 態様で駆動される。 変換器組立体１００では、変換器１１０、１１２の内端部は、フランジ１１４ を介してカテーテル本体１０２に固定されている。第８図では、変換器組立体１ ４０は第１管状変換器１４２および第２管状変換器１４４を有し、両変換器の最 外端部は、カテーテル本体１４８に形成されたキャビティ１４６内に固定されて いる。カテーテル本体１４８は更に、中央管孔１５０および流体注入管孔１５２ を有している。境界部材１５４は周方向フランジ１５６を備え、該フランジ１５ ６が両変換器の内端部間に捕捉されるようにして、変換器１４２、１４４上に取 り付けられている。変換器１４２、１４４は、これらが、１８０゜位相をずらし た同方向で、長手方向に振動するように配線される。これにより、変換器１４２ 、１４４の外端部がカテーテル本体１４８内に固定状態に維持されると同時に、 これらの内端部が長手方向に振動し、境界部材１５４を駆動する。これにより、 境界部材１５４の外面の円筒状境界面１５８が、本発明の方法に従って長手方向 に振動される。 第９図には、更に別の変換器組立体２００が示されている。カテーテル本体２ ０２は、中央管孔２０４と、１対の管状変換器２０６、２０８とを有している。 変換器２０６、２０８は、第８図と同様の態様で、カテーテル本体２０２の凹部 内に捕捉されており、これにより、変換器が付勢されると突出フランジ部材２１ ０が長手方向に振動される。フランジ２１０は、カテーテル本体２０２を包囲す る流体領域内へと外方に突出しており、これにより、フランジは、循環線２１１ で示すように流体を循環させる。カテーテル本体２０２は更に、１対の膨張バル ーン２１６、２１８（通常は、シリコーンゴム、ラテックス等からなるエラスト マバルーン）を有している。これらのバルーン２１６、２１８を破線で示すよう に膨張させることにより、カテーテル本体を包囲する体管腔Ｖ内の領域２２０が 創出される。通常、カテーテルには、両バルーン２１６、２１８間の領域内に注 入液を放出すべく設けられた流体注入管孔（図示せず）が設けられる。 第１０図には、更に別の変換器組立体２４０が示されている。変換器組立体２ ４０は、カテーテル本体２４２の遠位端に配置されかつ第１管状変換器２４４お よび第２管状変換器２４６を有している。これらの管状変換器２４４、２４６は 、カテーテル本体２４２に対して固定されたフランジ２４８の、それぞれ近位 側および遠位側に受け入れられている。第１管状変換器２４４の近位端には第１ 弾性バンパ２５０が配置され、第２管状変換器２４６の遠位端には第２弾性バン パ２５２が配置されている。管状変換器２４４、２４６は、前述のように、位相 がずれた態様で振動するように連結されている。かくして、管状変換器の運動が バンパ２５０、２５２により吸収され、該バンパが振動される。振動バンパは、 波先線２６０で示すように、カテーテル本体２４２を包囲する媒体中に超音波エ ネルギを放射し、血管壁に剪断効果をもたらす定常波を発生する。別の構成とし て、２つの変換器を異なる周波数で駆動し、血管壁に移動剪断波を発生させるこ ともできる。 第７図〜第１０図には特に示されていないが、変換器要素および境界部材を支 持するカテーテルの遠位端は、通常、剛性材料（一般に、３５のロックウェル硬 度をもつステンレス鋼）で作られることを理解すべきである。組立て方法（図示 せず）としてほんの幾つかを例示すると、螺合シャフトおよびチューブによる結 合、溶接、ロウ付け、エポキシ等の接着剤等による接合手段による結合があるが 、これらに限定されるものではない。 ここで第１１図を参照すると、第５図の変換器組立体６０が同心状シース２８ ０内に配置された状態が示されている。シース２８０は、円筒状境界面７０の領 域に流体薬剤を供給するのに適した環状管孔２８２を形成する。任意であるが、 境界部材６８の近位端とカテーテル本体６２の遠位端との間の空間内には弾性リ ング２８４が取り付けられている。かくしてリング部材２８４は、流体が変換器 ６４の領域内に流入することを防止するように、カテーテルをシールすることが できる。 液体治療剤およびその他の薬剤の供給を容易にするため、本発明のカテーテル には他の変更例を考えることができる。例えば第５図の実施形態では、円筒状境 界面７０の近位端の直ぐ近位側に、流体注入ポートを設けることができる。境界 部材６８が近位側に変位すると、ポートを出る流体が圧縮されて、カテーテルか ら半径方向外方に押し出されるであろう。境界部材６８が遠位側に変位すると、 流体出口ポートから真空が吸引され、中央管孔から流体を吸引する。これにより 、境界部材６８の駆動が、カテーテルから流体を排出させるポンプとして部分的 に 機能する。 ここで第１２図を参照すると、境界部材６８′がほぼ球形である点を除き第５ 図に示したカテーテルと同じカテーテルが示されている。このような球形境界部 材は、ほぼ球形パターンで超音波エネルギを放射できる境界面を形成する。この ような球形チップは、その音響特性に加え、血管壁に外傷を与えることが殆どな い。 ここで第１３図を参照すると、カテーテル３００は、凹凸表面を備えた円筒状 境界面３０２を有している。より詳しくは、表面の凹凸は、表面の長さ方向に沿 って軸線方向に間隔を隔てた一連の周方向リブ３０４を有している。このような 表面の凹凸は、カテーテル表面からカテーテル３００の周囲の流体中への振動の 伝導を増強できる。 以上、明瞭に理解されることを目的として、本発明を例示の実施形態について 幾分詳細に説明したが、請求の範囲に記載した本発明の範囲内で或る変更変更を 行なうことができることは明白である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ， ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，Ｇ Ｅ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ， ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，Ｐ Ｌ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ， ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．近位端および遠位端を備えたカテーテル本体と、 カテーテル本体内に配置された振動ドライバと、 カテーテル本体の周方向表面の少なくとも一部に亘って軸線方向に延びてい る境界面を備えた境界部材とを有し、該境界部材が振動ドライバに連結されてお り、該振動ドライバが境界面に軸線方向振動および／または半径方向振動を伝導 して、カテーテル本体に隣接する流体中に横方向波動および／または長手方向波 動を誘起することを特徴とするカテーテル。 ２．前記境界面が、カテーテルの遠位端で横方向に延びた部分を更に有している ことを特徴とする請求の範囲第１項に記載のカテーテル。 ３．前記境界面が、本質的に、カテーテル本体の周方向表面上で軸線方向に延び た部分からなることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のカテーテル。 ４．前記カテーテル本体は、流体薬剤を近位端から境界部材の近くに供給するた めの管孔を更に有していることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のカテーテ ル。 ５．前記カテーテル本体上で同心状に配置されるシースを更に有し、該シースは 、流体薬剤を近位端から境界部材の近くに供給するための流体注入管孔を形成す ることを特徴とする請求の範囲第１項に記載のカテーテル。 ６．前記振動ドライバが長手方向振動部材およびばね要素を備え、前記境界部材 は、その近位端がカテーテル本体に連結されかつ遠位端が境界部材に連結され ており、前記長手方向振動部材はカテーテル本体と境界部材との間に配置され、 前記境界部材の質量、ばね部材および長手方向振動部材の弾性係数は、所定の駆 動周波数で共振作動を行なうように選択されることを特徴とする請求の範囲第１ 項に記載のカテーテル。 ７．前記共振作動は１０〜３００kHzの範囲内の周波数で行なわれることを特徴 とする請求の範囲第６項に記載のカテーテル。 ８．前記境界面の近位側および遠位側に配置される膨張部材と、該両膨張部材の 間の位置に流体薬剤を供給するための管孔とを更に有することを特徴とする請 求の範囲第１項に記載のカテーテル。 ９．近位端および遠位端を備えたカテーテル本体と、 近位端および遠位端を備えた長手方向振動ドライバとを有し、該ドライバは カテーテル本体の遠位端から遠位側に延びており、 前記長手方向振動ドライバの遠位端に連結されかつ境界面を備えた境界部材 を更に有し、境界面の少なくとも一部がカテーテル本体の回りで周方向に配置さ れていることを特徴とするカテーテル。 10．前記境界面は、横方向部分および周方向部分の両部分を備えていることを特 徴とする請求の範囲第９項に記載のカテーテル。 11．前記横方向部分が平面であることを特徴とする請求の範囲第１０項に記載の カテーテル。 12．前記横方向部分が凸状であることを特徴とする請求の範囲第１０項に記載の カテーテル。 13．前記周方向部分の少なくとも一部が凹凸表面を有し、該表面に隣接する流体 の混合を増強することを特徴とする請求の範囲第１０項に記載のカテーテル。 14．前記長手方向振動ドライバは、長手方向振動部材と、境界部材とカテーテル 本体とを連結するばね要素とを有し、前記境界部材は、ばね要素および振動ドラ イバの遠位端と係合することを特徴とする請求の範囲第９項に記載のカテーテル 。 15．前記振動ドライバは、圧電要素および磁歪要素からなる群から選択される長 手方向振動部材を有することを特徴とする請求の範囲第１４項に記載のカテーテ ル。 16．前記長手方向振動部材は、内側円筒状電極および外側円筒状電極を備えた管 状圧電変換器を備えていることを特徴とする請求の範囲第１５項に記載のカテー テル。 17．前記管状圧電変換器は、１０〜３００kHzの範囲内の周波数で振動すること を特徴とする請求の範囲第１６項に記載のカテーテル。 18．前記長手方向振動部材は、複数のセラミックディスクを備えた圧電スタック からなり、セラミックディスク間には電極が配置されていることを特徴とする 請求の範囲第１５項に記載のカテーテル。 19．前記圧電スタックは、１０〜３００kHzの範囲内の周波数で振動することを 特徴とする請求の範囲第１８項に記載のカテーテル。 20．前記境界部材は、0.3〜４ｇの範囲内の質量を有することを特徴とする請求 の範囲第１４項に記載のカテーテル。 21．前記ばね要素は、近位端がカテーテルに固定されかつ遠位端が境界部材に固 定された少なくとも１つのロッドを有することを特徴とする請求の範囲第１４項 に記載のカテーテル。 22．前記ばね要素は、カテーテル内に同心状に配置された単一ロッドからなるこ とを特徴とする請求の範囲第２１項に記載のカテーテル。 23．前記ばね要素は、カテーテル本体の軸線の回りで対称的に配置された少なく とも２つの平行ロッド部材からなることを特徴とする請求の範囲第２１項に記 載のカテーテル。 24．前記境界面のの近位側および遠位側に配置される膨張部材と、該両膨張部材 の間の位置に流体薬剤を供給するための管孔とを更に有することを特徴とする請 求の範囲第９項に記載のカテーテル。 25．近位端および遠位端を備えたカテーテル本体と、 境界面を備えた境界部材と、 直列に連結された１対の長手方向振動ドライバとを有し、該ドライバが振動 するとき、ドライバの結合長さは実質的に一定に維持され、 前記境界部材は前記１対のドライバを介してカテーテル本体に機械的に連結 されており、ドライバの同時振動により境界面の長手方向運動が誘起されること を特徴とするカテーテル。 26．最遠位側ドライバの遠位端および最近位側ドライバの近位端はカテーテル本 体に対して固定されており、境界部材は両ドライバ間の位置に固定されている ことを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカテーテル。 27．前記両ドライバ間の位置はカテーテル本体に対して固定されており、前記境 界部材は最遠位側ドライバの遠位端および最近位側ドライバの近位端に固定され ていることを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカテーテル。 28．前記境界面はほぼ円筒状であることを特徴とする請求の範囲第２５項に記載 のカテーテル。 29．前記円筒状境界面は、６〜３０mmの範囲内の長さおよび２〜５mmの範囲内の 外径を有することを特徴とする請求の範囲第２８項に記載のカテーテル。 30．前記円筒状境界面は円滑であることを特徴とする請求の範囲第２９項に記載 のカテーテル。 31．前記円筒状境界面は凹凸であることを特徴とする請求の範囲第２９項に記載 のカテーテル。 32．前記境界部材は、カテーテル本体の回りで周方向に配置された環状フランジ からなることを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカテーテル。 33．前記カテーテル本体は、流体薬剤を近位端から境界面の近くの位置に供給す るための管孔を更に有することを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカテー テル。 34．前記カテーテル本体上で同心状に配置されるシースを更に有し、該シースは 、流体薬剤を近位端から境界面の近くに供給するための流体注入管孔を形成する ことを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカテーテル。 35．前記境界面の近位側および遠位側に配置される膨張部材と、該両膨張部材の 間の位置に流体薬剤を供給するための管孔とを更に有することを特徴とする請求 の範囲第２５項に記載のカテーテル。 36．前記各長手方向振動ドライバは、圧電要素および磁歪要素からなる群から選 択される長手方向振動部材を有することを特徴とする請求の範囲第２５項に記載 のカテーテル。 37．前記長手方向振動部材は、内側円筒状電極および外側円筒状電極を備えた中 空圧電シリンダを備えていることを特徴とする請求の範囲第３６項に記載のカテ ーテル。 38．前記圧電シリンダは、１０〜３００kHzの範囲内の周波数での振動を与える 寸法を有しかつカテーテルの他の構成部品と組み合わされる材料からなることを 特徴とする請求の範囲第３７項に記載のカテーテル。 39．前記長手方向振動部材は、複数のセラミックディスクからなり、該セラミッ クディスク間には電極が配置されていることを特徴とする請求の範囲第３６項に 記載のカテーテル。 40．前記１対の長手方向振動ドライバは、カテーテル本体の遠位端の近くで共振 マス組立体内に懸架されていることを特徴とする請求の範囲第２５項に記載のカ テーテル。 41．前記共振マス組立体は、境界部材と、テール・マスと、境界部材とテール・ マスとの間に延びているばね部材とからなり、前記長手方向振動ドライバは境界 部材とテール・マスとの間に配置されていることを特徴とする請求の範囲第４０ 項に記載のカテーテル。 42．遠位端の近くに境界部材が設けられたカテーテルを準備し、 カテーテルの周方向境界面を、管腔内部位の近くの領域に前進させ、 境界面を駆動して、周方向境界面に隣接する流体中に波動を誘起させること からなることを特徴とする管腔内部位の治療方法。 43．前記管腔内部位は、血管形成手術部位であることを特徴とする請求の範囲第 ４２項に記載の方法。 44．前記境界部材は、約１０〜３００kHzの範囲内の周波数で駆動されることを 特徴とする請求の範囲第４２項に記載の方法。 45．前記境界部材は、0.001〜４０μmの範囲内の長手方向振幅で駆動されること を特徴とする請求の範囲第４４項に記載の方法。 46．前記周方向表面は、６〜３０mmの範囲内の長さおよび２〜５mmの範囲内の直 径を有する円筒状であることを特徴とする請求の範囲第４２項に記載の方法。47 ．前記カテーテルを介して、治療剤を管腔内病変部に供給する段階を更に有する ことを特徴とする請求の範囲第４２項に記載の方法。 48．前記治療剤は、超音波エネルギが前記領域内に放射されている間に供給され ることを特徴とする請求の範囲第４７項に記載の方法。 49．前記境界部材の表面が、血管閉塞部に係合されることを特徴とする請求の範 囲第４７項に記載の方法。 50．前記治療剤は、血餅を治療すべく血管狭窄部に供給されるフィブリン溶解剤 であることを特徴とする請求の範囲第４７項に記載の方法。 51．前記治療剤は、再狭窄を防止するため、以前に治療した血管部位に供給され る抗トロンボゲン剤であることを特徴とする請求の範囲第４７項に記載の方法。 52．前記境界面を駆動する間に、周方向境界面を包囲する領域を隔絶する段階を 更に有することを特徴とする請求の範囲第４７項に記載の方法。 53．前記隔絶段階は、周方向境界面の近位側部位および遠位側部位上の１対の膨 張部材を膨張させることからなり、前記膨張された膨張部材は管腔壁をシールす ることを特徴とする請求の範囲第５２項に記載の方法。 54．前記境界面は一定周波数で駆動されることを特徴とする請求の範囲第４２項 に記載の方法。 55．前記境界部材は、共振を維持すべく制御される可変周波数で共振するように 駆動されることを特徴とする請求の範囲第４２項に記載の方法。 56．前記境界部材は不連続的に駆動されることを特徴とする請求の範囲第４２項 に記載の方法。