【発明の詳細な説明】
血液調節化合物
発明の分野
本発明は、血液調節活性を有する化合物であって、造血を刺激し、ウイルス、
真菌および細菌感染症の治療に用いることができる新規な化合物に関する。
発明の背景
造血系は終生に及ぶ細胞再生プロセスであり、このプロセスにより特定の幹細
胞集団が少なくとも9種の異なる細胞系統(赤血球、血小板、好酸球、好塩基球
、好中球、単球/マクロファージ、破骨細胞およびリンパ球)のより大きな集団
の成熟分化血液細胞(Dexter TM.Stem cells in normal growth and diseas
e.Br.Med.J.1987;195:1192-1194)を生じさせる(Metcalf D.,The Molecul
ar Control of Blood Cells.1988;Harvard University Press,Cambridge
,MA)。さらに、幹細胞は、最終的に、細胞毒性物質で治療した後または骨髄移
植後の骨髄の再生に関与している。
大部分の標準的な抗腫瘍薬の用量−限定の(dose-limiting)主な毒性は骨髄
抑制に関連付けられ、これが重度であるかまたは長引くと、生命を脅かす感染性
および出血性合併症を引き起こしうる。骨髄抑制は予測可能であり、単一薬剤の
I相試験細胞毒性化合物の50%以上で用量−限定的であると報告されている(
Merrouche Y.,Catimel G.,Clavel M.,Hematopoietic growth factors
and chemoprotectants; should we move toward a two-step process for phas
e Iclinical trails in oncology?Ann Oncol1993;4;471-474)。感染の危険性
は、好中球減少症の重篤度および期間により測定される骨髄抑制の程度に直接関
係する(Brody GP,BuckleyM,Sathe YS,Freireich.EJ.Quantitati
ve relationshipbetween circulating leukocytes and infections with acute
leukemia.Ann In Med 1965;64:328-334)。
造血作用の調節は、初期多機能幹細胞および成熟循環エフェクター細胞を含む
、
造血カスケードの種々の段階での種々のサイトカインおよび増殖因子の相互作用
に影響を与える。これらの調節分子として、顆粒球コロニー刺激因子(G−CS
F)、顆粒球−マクロファージ刺激因子(GM−CSG)、マクロファージ−コロ
ニー刺激因子(M−CSF)および宿主防御において主要な役割を果たす重複す
る、付加的かつ相乗的作用を有する種々のインターロイキンが挙げられる。機構
的には、これは、顆粒球およびマクロファージの産生の向上、ならびにエフェク
ター細胞機能の活性化により達成される(Moore MAS.Hemopoietic growthfa
ctor interactions:in vitro and in vivo preclinical evaluation.Cancer S
urveys1990;9:7-80)。これらの活性を調整することで、細菌、ウイルスおよび真
菌感染症を克服するのに必要な最適宿主防御が支持される。
好中球減少症の重篤度および骨髄毒性を予防または軽減させる方法として、造
血増殖因子および/または他の造血サイトカインの使用が挙げられる。このよう
な治療法は、抗腫瘍薬の効能を改善させるかもしれない細胞毒性薬の用量を増加
させる可能性を付与し、抗腫瘍薬の使用に伴う罹患性を減少させるため、該治療
法は一般的に行われるようになってきている(Steward WR.,Granulocyte an
d granulocyte-macrophage colony stimulating factors,Lancet 1993;342:15
3-157)。臨床研究により、G−、GM−および/またはM−CSFが、細胞毒性
化学療法を受けている悪性腫瘍の患者または骨髄移植後の感染の危険性が高い患
者において好中球減少症の期間を減少させ、骨髄性回復を促進し、好中球減少症
に伴う感染症および他の感染性合併症を減少させうることがわかった(Steward
WP.,Granulocyte and granulocyte-macrophage colony stimulating facto
rs,Lancet 1993;342:153-157およびMunn DH,Cheung NKV.Preclinical
studies of macrophage colony-stimulating fector.Semin Oncol.1992;19:3
95-407)。
合成ペプチドは、骨髄基質要素からのm-CSFを含め、造血メディエイター
の合成および放出を誘発すると報告されている。米国特許出願番号08/001
905を参照のこと。
本発明者らは骨髄造血細胞に対して刺激効果を有するある種の新規な非ペプチ
ド化合物を見いだした。これらは、組織反応を抑制する免疫抑制治療による、す
なわち骨髄移植手術における骨髄機能が低下した患者を含め、骨髄損傷、無顆粒
球症および再生不能性貧血を含む骨髄造血活性の減少に苦しむ患者における骨髄
造血の刺激に有用である。これらはさらに腫瘍およびウイルス病に関する細胞増
殖抑制性化学療法および放射療法を行った後の骨髄のより迅速な再生の促進に用
いられる。これらは、患者が骨髄不全後の免疫応答の欠如による重い感染症を有
する場合に特に有用である。これらはウイルス、真菌および細菌病の治療および
予防において有用である。
発明の要約
本発明は、血液調節活性を有し、造血作用の刺激ならびに細菌、ウイルスおよ
び真菌病の予防および治療に用いることができる、後記に式(I)で表す、化合
物を含む。
これらの化合物は、種々の臨床的状況、例えば手術により誘発された骨髄抑制
、AIDS、ARDS、先天性脊髄形成異常、骨髄および臓器移植に由来の細胞
数の減少した患者における白血球の回復;白血球減少症の患者の感染症からの防
御;重症の火傷患者の治療;いくつかの細胞周期特異性抗ウイルス剤について観
察される脊髄抑制の軽減;骨髄移植を受けた患者、特に移植片対宿主疾患の患者
における感染症の治療、結核の治療およびヒトおよび動物における原因不明の熱
病の治療において有用である。化合物はさらに免疫抑制および「正常」対象の両
方におけるウイルス、真菌および細菌感染症、特にカンジダおよびヘルペスの治
療および予防においても有用である。これらはグラム陰性およびグラム陽性生物
により引き起こされる敗血症の治療において有用である。
これらの化合物はさらに同時係属の米国出願番号07/799465および米
国特許第4499081号(出典明示により本発明の一部とする)の脊髄抑制剤
と組み合わせて用いて、骨髄細胞における活性の高低の交互のピークを得、造血
の自然の約24時間周期のリズムを促進できる。このように、細胞増殖抑制療法
を低骨髄活性の期間に適用することができ、かくして骨髄損傷の危険性が軽減さ
れ、一方で次の活性のピークにより再生が促進されるであろう。本発明はさらに
、式(I)の化合物と医薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供す
る。
本発明はさらに、ヒトを含む動物の骨髄造血系の刺激法であって、これを必要
とする動物に、有効量の式(I)の化合物を投与することからなる方法を提供す
る。
本発明はさらに、免疫抑制の正常な、ヒトを含む動物におけるウイルス、真菌
および敗血症を含む細菌感染症の予防および治療法であって、これを必要とする
動物に有効量の式(I)の化合物を投与することからなる方法を提供する。
発明の詳細な記載
本発明の化合物は、構造式(I):
[式中、
R1は、独立して、NH2、OH、SH、CN、CO2Hまたは水素であり;
R2は、独立して、水素、C1-4アルキルC(O)R7、C1-4アルキルであるかま
たはR2は1または2個のC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、F、Cl、I、B
r、OHまたはN(R4)2で所望により置換されていてもよいベンジルであり;
R3は、独立して、水素、C1-5アルキル、C1-5アルキレンヒドロキシ、(CH2
)mCO2H、(CH2)yN(R4)2、(CH2)mC(O)N(R4)2、C1-5アルキレンS
H、CH2Ar、 R4は、水素、C1-5アルキルまたはベンジルであり;
Arは、1または2個のR8基で所望により置換されていてもよいフェニルま
たはインドリルであり;
Qは、(CH2)t(ここで、2個までの炭素は所望によりR5およびR6によりg
em−置換されていてもよい)であり;
tは3ないし8の整数であり;
R5およびR6は、独立して、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキ
ニル(これらはすべて、1または2個のC1-4アルキル、OH、F、Cl、Br
、I、N(R4)2、(R4)2NC(O)−、−(CH2)xR7、−(CH2)xR4、−(CH2
)xCOR7または−(CH2)xC(O)R4により置換されていてもよい)であるか、
またはR5およびR6はF、ClまたはBrであり;
またはR5およびR6は一緒になって式(IIa):
(式中、pおよびqは独立して0ないし3の整数であり、
XはO、S、CH2またはN(R4)である)の環または複素環を形成してもよい
;
R7は、OR4、N(R4)2またはSR4であり;
R8は、水素、R4またはR7であり;
ただし、pおよびqが両方0ではないであり;
Xは0ないし4の整数であり;
nは0ないし3の整数であり;
mは1ないし3の整数であり;
sは0または1であり;
yは2ないし4の整数である;
ただし、sが1のとき、nは0ではない]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
また、本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組
成物である。
アルキル基は直鎖であっても分枝であってもよい。ハロゲンは、クロロ、ヨー
ド、フルオロ、ブロモである。
好ましい化合物は、R1がOHまたは水素;R3がCH2OHまたはHおよびQ
について:nが3ないし5;R5およびR6がC1-4アルキル、OH、N(R4)2、(
CH2)R7または(CH2)xC(O)R4により置換されているC1-4アルキル;また
はR5およびR6が一緒になって式(IIa)(式中、XがO、SまたはCH2;
pおよびqが1ないし3)の環または複素環を形成してもよい;R4水素または
C1-4アルキルおよびR7がOR4またはN(R4)2である化合物である。
さらに好ましい化合物は、R1およびR3が水素、Qの定義において、nが3な
いし5、R5およびR6がC1-2アルキル、OH、N(R4)2または(CH2)xR7によ
り置換されるC1-2アルキル;またはR5およびR6が一緒になって式(IIa)
(式中、XがO;pおよびqが1または2)の複素環を形成し;R4が水素また
はC1-4アルキル;およびR7がOR4またはN(R4)2である化合物である。
本発明の化合物は1またはそれ以上の不斉炭素原子を含有し、ラセミおよび光
学活性な形態で存在してもよい。これらのすべての化合物およびジアステレオマ
ーは本発明の範囲内にあると考えられる。
本発明の好ましい化合物は:
[(S),(S)]−2,2’−(ペンタン−1,5−ジイル)ビス[6,7,8,
8a−テトラヒドロピローロ[1,2−a]ピラジン−1,4(2H,3H)−
ジオン]、
[3(S),3’(S),8a(S),8a’(S)]−N,N’−(ペンタン−1,5
−ジイル)ビス[2−(アセトアミド)−3−(ヒドロキシメチル)−6,7,
8,8a−テトラヒドロピローロ[1,2−a]ピラジン−1,4(2H,3H
)−ジオン]
である。
調製法
R1、R2およびnが式(I)において定義したとおりである式(I)の化合物
は、スキーム1に記載したのと類似した方法により調製される。
スキーム1 a)EDC、HOBt、iPr2NEt、DMF;
b)TFA、CH2Cl2;c)pTSOH、トルエン、還流;
d)NaH、THF;e)1,5−ジヨードペンタン;f)無水HF
適当な保護されたアミノ酸(スキーム1における1および2など)を標準的な溶
液相ペプチド合成法(DMF中、EDC、HOBt、iPr2NEtなど)を用
いて結合し、保護されたジペプチドを得る。窒素上で保護基を除去し、ついで、
適当な溶媒(トルエンなど)中、触媒量の穏やかな酸(p−トルエンスルホン酸
など)を用いて環化し、ジケトピペラジン(スキーム1における3など)を得る
。
ついで、ジケトピペラジンを適当な溶媒(THFなど)中、1/2モル等量の適
当なアルキル化剤(1,5−ジヨードピペラジンなど)で窒素上でアルキル化す
る。得られる付加物の保護基を通常の条件(無水HFなど)下で除去し、最終生
成物(スキーム1における4など)を得る。
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩をヒトおよび他の哺乳動物の
治療に用いるためには、通常、標準的な製薬慣習にしたがって医薬組成物として
処方される。
本発明のさらに別の特徴により、活性成分として、1またはそれ以上の前記し
た式(I)の化合物またはその生理学上適合しうる塩を医薬担体または賦形剤と
合わせて含んでなる医薬組成物が提供される。本発明の組成物は、たとえば経口
、経鼻、非経口または経直腸投与に適した形態で提供してもよい。
本明細書において用いる場合、「医薬上」なる用語は、本発明の獣医学的用途を
包含する。これらの化合物を経口投与用にカプセル化、錠剤化あるいはエマルジ
ョンまたはシロップに調製する。医薬上許容される固体または液体担体を添加し
て、組成物を増強したり、安定化したり、あるいは組成物の調製を容易にするこ
とができる。液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、グリセリン、食塩
水および水を包含する。固体担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二
水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチ
ン、アカシア、寒天またはゼラチンを包含する。担体はまた、単独でまたはワッ
クスを含む、グリセリルモノステアラートまたはグリセリルジステアラートなど
の徐放性物質を包含する。固体担体の量は変わるが、好ましくは、投与単位当た
り約20mgないし約1gの間である。医薬製剤は、錠剤形の場合、粉砕、混合
、顆粒化、および必要ならば圧縮を含み;またハードゼラチンカプセル形の場合
、粉砕、混合および充填を含む通常の調剤技術にしたがって調製される。1また
は数種の活性成分を含有するカプセルは、例えば、活性成分をラクトースまたは
ソルビトールなどの不活性な担体と混合し、混合物をゼラチンカプセル中に充填
することにより調製される。液体担体を用いる場合、製剤はシロップ、エリキシ
ル剤、エマルジョンまたは水性または非水性懸濁液の形態である。このような液
体
製剤は、直接経口投与されるか、またはソフトゼラチンカプセル中に充填される
。臓器特異性担体系もまた用いられる。
別法として、本発明の化合物またはその誘導体の医薬組成物は、非経口投与用
凍結乾燥粉末の溶液として処方してもよい。粉末は、使用前に適当な希釈剤また
は他の医薬上許容される担体の添加により復元される。液体処方は、一般に緩衝
化された等張水溶液である。適当な希釈剤の例は、通常の等張塩溶液、標準的5
%水中デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウムまたはアンモニウム溶液である
。このような製剤は非経口投与に特に適しているが、経口投与用に用いることも
できるし、吸入用に計量吸入器またはネブライザー中にいれてもよい。ポリビニ
ルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリ
コール、マンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムなどの賦形剤
を添加するのが望ましい。
直腸投与の場合、本発明の化合物の微粉末を、カカオ脂、グリセリン、ゼラチ
ンまたはポリエチレングリコールなどの賦形剤と合し、坐剤に成型する。微粉末
はさらに油状製剤、ゲル、クリームまたはエマルションと配合してもよいし、緩
衝剤処理してもしなくてもよく、また経皮貼付剤により投与してもよい。
鼻スプレーは同様に水溶液中に処方され、エアゾル噴射剤を含むかまたは手動
圧縮手段を備えたスプレー容器中に充填する。
本発明の化合物を含有する投与単位は好ましくは0.05−50mg、例えば
0.05−5mgの式(I)の化合物またはその塩を含有する。
本発明のさらに別の態様によると、骨髄造血の刺激法であって、有効量の前記
した医薬組成物を対象に投与することからなる方法が提供される。
本発明の化合物を本発明にしたがって投与した場合に、許容できない毒性はな
いと考えられる。
式(I)の化合物の生物学的活性を以下の試験により説明する。
基質細胞における造血相乗活性の誘発
基質細胞系C6.4由来のネズミ骨髄を10%FBSを含むRPMI1640
中12ウエルプレート中で増殖させる。集密に達すると、C6.4細胞を洗浄し
、
培地をFBS不含の新鮮なRPMI1640と交換する。ネズミC6.4細胞の
集密細胞層を化合物で処理する。無細胞上清を18時間後に集める。上清をCen
tricon−30分子量カットオフ膜で分画する。C6.4細胞造血相乗因子(HS
F)活性をネズミCFU−C検定において測定する。
CFU−C検定
骨髄細胞をC57B1/6雌マウスから得、10%FBSを含むRPMI16
40中に懸濁する。骨髄細胞(7.5E+4細胞/mL)を標準的ネズミソフト
寒天CFU−C検定において準最適レベルのCFU+前記からの試験C6.4細
胞30K−E上清の希釈物とともに培養する。細胞凝集物>50細胞をコロニー
として計数する。計数された寒天コロニー数はC6.4骨髄基質系上清中に存在
するHSFの量に比例する。
エフェクター細胞機能検定
雌C57B1マウスに試験化合物を8日間毎日、腹腔内または経口投与する。
処置または未処置マウスからのex vivoで用いた残存腹腔浸出細胞(PEC)を
冷カルシウムならびにマグネシウム不含のヘパリンおよび抗生物質を補足したD
PBSで最終注射後の2−4時間以内に収穫する。付着PEM集団を、標準化P
EC懸濁液をマイクロタイター皿中、2時間37℃(5%CO2)で培養し、ウ
ェルを温緩衝液で洗浄することにより非付着細胞を除去することにより調製する
。
ホルボールミリステートアセテート(PMA)(100−200nM)による
in vitro刺激に応答してエフェクター細胞または予めオプソニン処理した(オー
トローガスな血清)生シー・アルビカンス(E:T=1:10)により放出され
るスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の抑制可能なスーパーオキシドを
マイクロタイターフェリチトクロムc還元検定において定量化する。総体積20
0uL/ウェル中1%ゼラチン/HBSSおよび80uMフェリチトクロムcの
存在下で検定を行う。還元されたチトクロムcのnモル数/ウェルを37℃(5
%CO2)で1時間インキュベートした後に得た分光分析の読み(550nm)
から計算する。還元されたSOD−抑制可能なチトクロムcの量をSOD(20
0U/ウェル)を含むウェルの包含により決定する。基線となるスーパーオキシ
ド
放出を、刺激のない状態で測定する。実験データは対照群の百分率として表す。
以下の実施例は例示的なものであって、本発明の化合物を制限するものではな
い。実施例1 [(S),(S)]−2,2’−(ペンタン−1,5−ジイル)ビス[6,78a− テトラヒドロピローロ[1,2−a]ピラジン−1,4(2H,3H)−ジオン ]
プロリン−グリシンジケトピペラジン(0.34g、2.2mmol)の無水
DMF(5mL)中攪拌溶液をアルゴン下で0℃に冷却した。水素化ナトリウム
(89mg、油中60%分散物、2.2mmol)を一部分で添加した(わずか
に泡立った。)。混合物を20分間攪拌した後、1,5−ジョードペンタン(1
49μL、1.0mmol)を添加し、反応物を4時間攪拌し、その間徐々に室
温にまで温めた。水(2mL)を添加し、反応をクエンチした。混合物を飽和N
aCl(50mL)で希釈し、CHCl3で抽出した(3×50mL)。合した有
機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、白色固体にまで真空下濃縮した。フラッ
シュクロマトグラフィー(5/95 MeOH/CHCl3、シリカゲル)によ
り精製し、376mg(定量的)の標記化合物を得た。MS(ESI)m/z
377.2(MH+)。実施例2
本発明の化合物を配合した医薬用処方は、種々の形態に、多くの賦形剤を用い
て調製できる。このような処方物の例を以下に示す。
錠剤/成分 一錠剤当たり
1.活性成分(式Iの化合物) 0.5mg
2.コーンスターチ 20 mg
3.アルギン酸 20 mg
4.アルギン酸ナトリウム 20 mg
5.ステアリン酸マグネシウム 1.3mg
錠剤化操作
工程1 成分No.1、No.2、No.3およびNo.4を適当なミキサー/ブレ
ンダー中でブレンドする。
工程2 各添加後、慎重に混合しながら、工程1からのブレンドに十分な量の
水を数回にわけて添加する。そのように水を添加し、混合し、塊が湿式顆粒に変
わる濃度とする。
工程3 No.8メッシュ(2.38mm)スクリーンを用いて振動グラニュレ
ーターを通すことにより湿式塊を顆粒に変える。
工程4 ついで該湿式顆粒を140°F(60℃)のオーブン中で乾燥する。
工程5 乾式顆粒を成分No.5で潤滑化する。
工程6 潤滑化顆粒を適当な打錠プレスで圧縮する。
非経口製剤
適当量の式Iの化合物をポリエチレングリコール中に加熱しながら溶解させる
ことにより、非経口投与用医薬組成物を調製する。この溶液についでPh Eu
r注射用水で希釈する(100mlにする)。ついで、溶液を0.22ミクロンメ
ンブランフィルターで濾過することにより滅菌処理し、滅菌容器中に密封する。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 31/4985 A61K 31/495 605