JP2000500141A - リン酸化された組換えヒトベータ−カゼインを用いるヒト細胞に対するインフルエンザ菌の付着阻止方法 - Google Patents

リン酸化された組換えヒトベータ−カゼインを用いるヒト細胞に対するインフルエンザ菌の付着阻止方法

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Abstract

(57)【要約】 少なくとも3個のリン酸基を有するリン酸化組換えヒトベータ−カゼインを桿菌と接触させることによって鼻咽頭細胞のようなヒト細胞に対するインフルエンザ菌の付着を阻止する方法が提供される。リン酸化組換えヒトベータ−カゼインを含有する製品は乳児用調合乳のような腸溶性液体栄養製品でよい。腸溶性栄養製品は小児中耳炎の予防及び治療に使用され得る。また、リン酸化組換えヒトベータ−カゼインを喉噴霧剤として投与してもよく、または点鼻用液滴剤もしくは経鼻腔噴霧剤として使用してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】リン酸化された組換えヒトベータ−カゼインを用いるヒト細胞に対するインフル エンザ菌の付着阻止方法 技術的分野 本発明は、ヒト鼻咽頭細胞に対するインフルエンザ桿菌(Haemophil us influenzae)の付着阻止方法に関する。より特定的には本発明 は、3〜5個のリン酸基を含むリン酸化された組換えヒトベータ−カゼインをイ ンフルエンザ桿菌に接触させることによってヒト細胞に対するインフルエンザ菌 の付着を阻止する方法に関する。発明の背景 ヒトの母乳がヒトの乳児の最良の栄養源であることは普遍的に認識されている 。ヒトの母乳は、発育中の乳児に対する理想的な栄養源となるだけでなく、種々 の生物による感染から乳児を保護する免疫グロブリン及び非免疫性因子の双方を 含有している。ヒトの母乳はまた、乳児にも容易に消化でき、牛乳を主成分とす る乳児用調合乳よりもアレルギー反応を起し難い。 ヒトの母乳は、牛乳及び他の哺乳動物種の乳に比べて様々な 違いを有している。先ず、ヒトの母乳と牛乳とでは、タンパク質の総含量及びタ ンパク質の種類が違っている。4種類の主要なウシカゼインが同定されている。 牛乳は2種類のα−カゼインに加えてβ−カゼインとκ−カゼインとを含むが、 ヒトの母乳はβ−カゼイン及びκ−カゼインだけを含んでいる。更に、ヒトの母 乳のタンパク質のアミノ酸配列は他の哺乳類の乳タンパク質のアミノ酸配列とは 異なっている。 ヒトの母乳の有利な特性をいくつか有しており、しかも牛乳を主成分とする乳 児用調合乳に関連した欠点、例えば乳児のアレルギー反応及び消化不良、などが 除去された乳児用調合乳を開発する努力が続けられてきた。このための望ましい 方法が、天然形態のヒト母乳タンパク質のようなヒト母乳の複数種の既知成分を 調合乳に添加する方法であることは直観的に認識される。ウシ及び他の哺乳動物 の乳カゼインのアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列をもつヒトのカゼインは重 要な物質であり、天然形態で乳児用調合乳に添加されると、調合乳の栄養価を高 め、同時に、ヒト以外の動物の乳タンパク質に固有の欠点を軽減するであろう。 ヒトの母乳は、乳児の成長及び発育のために要求されるタン パク質の合成に必要なアミノ酸の供給源となるだけでなく、カゼインも含めて他 の重要な生物学的機能を有するタンパク質を含有すると認識されている。β−カ ゼインは哺乳類の乳腺で最も豊富に合成される乳タンパク質の1種である。この タンパク質は、ゴルジ装置で翻訳後修飾された後、ミセルと呼ばれるカルシウム 依存性の大凝集体として排泄される。β−カゼインは単一物質ではなく、催乳ホ ルモンに応答して授乳中に分泌されるリンタンパク質の不均一なグループである 。ヒトのβ−カゼインの一次構造は、Greenbergら(Journal of Biological Chemistry 259:5132−513 8,1984)によって決定された。これは、アミノ末端近傍に存在する特異的 なセリン残基及びトレオニン残基にリン酸化部位をもつリン酸化タンパク質であ ることが判明した。ヒト及びウシのβ−カゼインの比較は47%の一致を示した 。ヒトのκ−カゼインの配列は、Brignonら(Federation o f European Bioloical Societies Lette rs 188:48−54,1985)によって決定された。β−カゼインはリ ン酸化されているが、κ−カゼインはグリコシル化されてい る。 ヒト母乳のカゼインにはいくつかの生物学的作用があると考えられており、こ のような作用としては、(1)カルシウム吸収の増進、(2)アンギオテンシン I変換酵素の阻害、(3)鎮痛作用、及び、(4)免疫促進作用及び免疫調節の 作用などがある。 ヒトカゼインは、主として(>80%)β−形から成り、少量のκ−形が含ま れている(Greenbergら,1984)。天然型β−カゼインは25kD aのタンパク質である。ヒトの母乳中のβ−カゼイン分子は、ポリペプチド鎖あ たりリン酸基0〜5個の範囲の種々の程度の翻訳後リン酸化を示す(Green bergら,1984;Hanssonら,Protein Expressi on and Purification 4:373−381,1993)。 天然型タンパク質中のリン酸基はアミノ末端の近傍に存在するセリン残基及びト レオニン残基に結合している(Greenbergら,1984)。 細菌細胞中の外因性遺伝子の発現は、組換え真核生物タンパク質を産生するた めの有用な方法を提供する。しかしながら、大腸菌(E.coli)のような細 菌は、外因性遺伝子の発現 に必要な内在性酵素を有していないので、多くの真核生物タンパク質が要求する ような翻訳後修飾を生じさせることができない。従って、大腸菌中で産生される 真核生物タンパク質では、グリコシル化、リン酸化、アセチル化またはアミド化 のような真核細胞内部で生じるはずの特異的翻訳後修飾が欠如している。 適当なクローニング技術が開発される以前は、精製タンパク質のキナーゼによ るリン酸化は化学的試薬を用いてin vitroで行われていた。この方法で は、タンパク質基質とキナーゼ酵素とを精製する必要があり、これは効率が悪く 、商品化を目的としたときには採算が合わない。in vitroの方法はまた 、工業化のために規模拡大が望まれる場合には役に立たない。従って、タンパク 質をin vivoでリン酸化する微生物の遺伝子操作方法の開発が必要とされ ている。 Pawsonらのカナダ特許出願第2,083,521号は、リン酸化された 外因性タンパク質を宿主細胞中で産生する方法を教示している。Pawsonら の方法では、細菌細胞に2種類のベクターを導入する必要がある。一方のベクタ ーは、タンパク質キナーゼの触媒ドメインによってリン酸化され得る外因性タン パク質をコードするヌクレオチド配列を有している。他 方のベクターは、タンパク質キナーゼ触媒ドメインをコードするヌクレオチド配 列を有している。双方のベクターを大腸菌に導入し、外因性タンパク質及びタン パク質キナーゼ触媒ドメインの産生を誘発し、外因性タンパク質をリン酸化する 。次に、細菌細胞を溶解し、リン酸化された外因性タンパク質を標準単離技術を 用いて単離する。 カナダ特許出願第2,083,521号は、本発明方法を示唆するものでも開 示するものでない。本発明の発明者らは、基質及びキナーゼ酵素の双方を発現す る単一ベクターを使用する。Pawsonらの方法は2種類のベクターの使用を 必要とする。本発明に開示された発現系は、ホスホセリンに対する抗体で測定し たときに判明したように外因性タンパク質を特異的にリン酸化させるが、Paw sonらの発現系は、宿主タンパク質及び外因性タンパク質の双方を非特異的に リン酸化する。これは、工業的応用を目的とした規模拡大計画の対象として宿主 細菌を増殖させる場合には欠点となるであろう。本発明は、Pawsonらの発 明と違って、商業生産に好適なリン酸化組換えタンパク質の高レベル産生方法を 提供する。 Simcoxら,Strategies in molec ular biology 7(3):68−69(1994)は、チロシンキ ナーゼプラスミドを含む2種類の大腸菌株を構築した。これらのTK(チロシン キナーゼ)菌株を、リン酸化の標的ドメインまたはタンパク質をコードする配列 を含むプラスミドによって形質転換させて、リン酸化タンパク質を産生するため に使用できる。双方の大腸菌株が誘導チロシンキナーゼ遺伝子を含む。一方の菌 株TKB1は、その発現がT7プロモーターによって指令される遺伝子を発現さ せるために有用である。Simcoxらによって開発された系は、チロシンキナ ーゼ含有プラスミドと、リン酸化されるべきタンパク質またはドメインをコード する遺伝子を含むプラスミドベクターとから成る2種類の構築物を必要とする点 に本発明の系との違いを有している。 ヒトβ−カゼインの構造及び機能をより十分に理解し且つその合成及び分泌の 調節に影響を与える因子を研究するために、このタンパク質のcDNAをクロー ニングし、配列決定し opean Biological Societies Letters 2 69:153−156,1990)、ヒト 母乳のβ−カゼインを大腸菌Escherichia coli及びパン酵母S accharomyces cerevisiaeで産生させた(Hansso nら,1993)。Hanssonらは、pYES 2.0ベクター(Invi trogen Corp.,San Diego,CA)を用いて、組換えヒト β−カゼインがパン酵母S.cerevisiae中で発現することを証明した 。産生レベルは大腸菌で検出された産生の約10%であると算定された。しかし ながら、タンパク質をリン酸化し得る内在性酵素を有する真核細胞であるS.c erevisiaeから得られた組換えβ−カゼインはリン酸化されたが、自生 状態ではリン酸化能力が欠如している原核細胞である大腸菌によって産生された タンパク質はリン酸化されていなかった。その後、大腸菌中で産生され大腸菌か ら精製された組換えヒトカゼインキナーゼII(rhCKII)が、タンパク質 基質をin vitroでリン酸化できることが証明された(Shiら,Pro ceeding of the National Academy of S ciences,USA 91:2767−2771,1994)。本発明の1 つの特定実施態様は、大腸菌を形質転換させリン酸化β−カゼ インを産生させるために、組換えヒトカゼインキナーゼIIをコードするヌクレ オチド配列をβ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と共に単一構築物中で 使用する。本発明で開示されたような、プロモーターと、その下流のタンパク質 をコードするヌクレオチド配列と、その下流のキナーゼをコードするヌクレオチ ド配列とを含む単一ベクターが従来技術で示唆または開示されたことはない。発明の概要 本発明は、修飾された組換えタンパク質を宿主細胞中で産生させる方法を開示 している。この方法は、外因性タンパク質と外因性タンパク質を修飾し得る酵素 との双方をコードする単一ベクターの作製から成る。本発明方法によって修飾さ れ得る外因性タンパク質の非限定的代表例としては、β−カゼインのようなヒト カゼイン、細胞の受容体タンパク質、パルミトイル化タンパク質のような脂肪ア シル化タンパク質、哺乳動物の筋肉タンパク質、レトロウイルスのgagポリタ ンパク質、及び、レトロウイルスのsrcキナーゼの標的となる哺乳動物のタン パク質がある。合成後に共有結合パルミテートをもたらすトランスメンブラン糖 タンパク質としては、インスリン、アドレナ リンβ2受容体及びトランスフェリン受容体がある。細胞表面受容体として機能 するタンパク質、チロシン及びセリン/トレオニンキナーゼ、それらの基質、ホ スファターゼ、G−タンパク質及びCa2+は、脂肪アシル化されることが知ら れている。宿主細胞中で官能基を特異的外因性タンパク質に転移させる能力を有 するという理由で本発明に有用な酵素の非限定的代表例としては、チロシンキナ ーゼ、カゼインキナーゼのようなキナーゼ類、哺乳動物及び酵母のパルミトイル トランスフェラーゼのようなトランスフェラーゼ類、レトロウイルスのsrc遺 伝子によってコードされるキナーゼ類がある。本発明で有用なプロモーターの代 表例は、T7、λPL、λPR及びTacのような誘導プロモーター、bla及 びspaのような構成プロモーターである。形質転換されることができ次いで修 飾されたタンパク質を発現することができる宿主細胞の非限定的代表例としては 、大腸菌K−12及び大腸菌B、桿菌Bacillus種、乳酸桿菌Lacto bacillus種及び連鎖球菌Streptococcus種のような細菌細 胞、酵母細胞または哺乳類細胞のような真核細胞がある。 外因性タンパク質とは、当該タンパク質を産生する生物の外 部に起原を有するタンパク質を意味する。関連するDNAクローニング文献の分 野で使用されるとき、この用語はときには、形質転換されたレシピエント生物に よって産生された組換えタンパク質を意味する。または、DNAクローニング技 術を用いて産生された外因性タンパク質を組換えタンパク質と呼ぶこともある。 文献では両者が区別されないことも多いので、本文中ではこの用語を互換的に使 用する。しかしながら、開示された発明について説明するときは、形質転換され た生物によって産生されるタンパク質には「組換え」なる用語を使用し、天然型 の非組換えタンパク質または該タンパク質をコードするヌクレオチド配列には「 外因性」なる用語を使用する。 本発明は、修飾された組換えタンパク質を宿主細胞中で産生させる方法を開示 している。方法は、プロモーター配列と、外因性タンパク質配列と、外因性タン パク質を修飾し得る酵素をコードするヌクレオチド配列とを有する単一ベクター を作製する段階と、宿主細胞をベクターによって形質転換させる段階と、産生さ れた酵素が産生された組換えタンパク質を修飾するように宿主細胞中でベクター を発現させる段階と、産生され修飾された組換えタンパク質を単離する段階とか ら成る。本発明はま た、より特定的な実施態様として、リン酸化された組換えタンパク質を宿主細胞 中で産生させる方法を開示している。この方法は、プロモーター配列と、その下 流のタンパク質キナーゼによってリン酸化され得る外因性タンパク質をコードす るヌクレオチド配列と、その下流の外因性タンパク質をリン酸化し得るタンパク 質キナーゼをコードするヌクレオチド配列とを順次に含む単一ベクターを作製す る段階と、宿主細胞をベクターによって形質転換させる段階と、産生されたタン パク質キナーゼが産生された組換えタンパク質をリン酸化するように宿主細胞中 でベクターを発現させる段階と、リン酸化されたタンパク質を単離する段階とか ら成る。 より特定的には本発明は、修飾された組換えヒトタンパク質を細菌性発現系中 で産生させる新規な方法を開発した。この方法で得られる組換えヒトタンパク質 は、ヒト細胞に対するインフルエンザ菌H.influenzaeの付着の阻止 、及び、ヒト小児中耳炎の予防及び治療に有用である。キナーゼのアルファサブ ユニット及びベータサブユニットを夫々が発現する2種類のヒトカゼインキナー ゼをコードする配列の組合せを使用すると、これらの配列が組換えリン酸化ヒト β−カゼインを大 腸菌中でin vivoで産生することが証明された。ヒトカゼインキナーゼI Iをコードする配列を、β−カゼインをコードする配列とタンデム配置すると、 その結果として、大腸菌中で産生された組換えβ−カゼインの有意な部分がヒト 母乳中と同様にリン酸化されていた。本発明方法はまた、形質転換宿主細胞中で 組換えタンパク質をin vivoで特異的グリコシル化、アミド化もしくはア セチル化するため、または、形質転換宿主細胞中で適当な組換えタンパク質基質 に脂肪酸を転移するために使用できる。 本発明の特定実施態様においては、ヒトカゼインキナーゼII(hCKIIβ α)をコードするヌクレオチド配列を、ヒトβ−カゼインをコードするヌクレオ チド配列と共に単一構築物として細菌発現系で同時発現させ、組換えヒトβ−カ ゼインの適正なセリン残基及びトレオニン残基の効率的なin vivoリン酸 化を達成する。hCKIIβαをコードするヌクレオチド配列と、ヒトβ−カゼ インをコードするヌクレオチド配列とを、単一の誘導発現ベクターを用いて大腸 菌中で同時発現させる実験は、組換えhCKIIβαが組換えβ−カゼインをi n vivoでリン酸化する能力を有することを証明した。 これは、実験及び創意を必要とする自明でない予想外の結果であった。初期の調 節実験で得られた陰性結果によって証明されたように、開示された発明は予想外 の結果を示した。本発明方法は、有益なヒトタンパク質を栄養製品及び医薬製品 に添加できるという有用な且つ有益な結果を生じる。 本発明方法を用いて産生されたリン酸化β−カゼインは、ヒト咽頭細胞へのイ ンフルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻止する能力によって示され たように天然型のヒトβ−カゼインと同じ生物活性を有することが証明された。図面の簡単な説明 図1は、大腸菌中の誘導性細胞内発現のために構築された発現ベクターpS6 37及びpRJB−6の物理的地図を示す。pRJB−6を作製するためにpS 637から191塩基対を除去した。 図2は、発現ベクターpRJB−6及びpRJB−9の物理的地図を示してお り、pRJB−9を形成するためにpRJB−6をどのように切断してCKII βαに結合させるかを示している。 図3は、発現ベクターpS637及びpRJB−7の物理的 地図を示しており、pRJB−7を形成するためにpS637をどのように切断 してCKIIβαに結合するかを示している。pRJB−7は、β−カゼイン遺 伝子及びカゼインキナーゼ遺伝子の双方の上流にT7プロモーターを有している 。 図4は、誘導性発現のため及び大腸菌の細胞内に局在するタンパク質の産生を 媒介するために構築された発現ベクターpS750の物理的地図を示す。 図5は、ベクターpS750及びpET−11d−CKIIβαを用いて大腸 菌BL21株中で産生されクーマシーブリリアントブルーで染色されたMet− β−カゼインのSDS−PAGEを示す。大腸菌及び他の細菌中ではタンパク質 合成がアミノ酸メチオニンで開始されるので、プラスミドpS750の構築中に メチオニン(Met)のコドンをβ−カゼインをコードする配列の上流に配置し た。このため、リボソームがポリペプチド鎖の増幅起点を認識し得る。細胞内組 換えβ−カゼインの産生ができるのは、産生すべきタンパク質をコードする配列 の上流にMetが挿入されているときに限られる。レーン1:分子量マーカー( Bio−Rad予備染色、相対分子量106、80、49.5、32.5、27 .5、18.5kDa);レ ーン2:非リン酸化組換えβ−カゼイン;レーン3:5P−β−カゼイン;レー ン4:BL21(DE3)中のIPTG誘導pS750;レーン5:BL21( DE3)中のIPTG誘導pS750/pET−11d−CKIIβα;レーン 6:BL21(DE3)pLysS中のIPTG誘導pS750;レーン7:B L21(DE3)pLysS中のIPTG誘導pS750/pET−11d−C KIIβα;レーン8:BL21(DE3)pLysE中のIPTG誘導pS75 0;レーン9:BL21(DE3)pLysE細胞中のIPTG誘導pS750 /pET−11d−CKIIβα;レーン10:5個のリン酸基が結合した天然 型β−カゼイン(5P−β−カゼイン)。矢印は、β−カゼインバンドを示す。 図6は、ベクターpS750及びpET−11d−CKIIβαを用いてEt hyl Stains−AIIで染色した大腸菌BL21株中で産生されたMe t−β−カゼインのSDS−PAGEを示す。レーン1:5個のリン酸基が結合 した天然型β−カゼイン(5P−β−カゼイン);レーン2:BL21(DE3 )pLysE細胞中のIPTG誘導pS750/pET−11d−CKIIβα ;レーン3:BL21(DE3)p LysE中のIPTG誘導pS750;レーン4:BL21(DE3)pLys S中のIPTG誘導pS750/pET−11d−CKIIβα;レーン5:B L21(DE3)pLysS中のIPTG誘導pS750;レーン6:BL21 (DE3)中のIPTG誘導pS750/pET−11d−CKIIβα;レー ン7:BL21(DE3)中のIPTG誘導pS750;レーン8:5P−β−カ ゼイン;レーン9:非リン酸化組換えβ−カゼイン;レーン10:分子量マーカ ー(Bio−Rad予備染色、相対分子量106、80、49.5、32.5、 27.5、18.5kDa)。矢印は、リン酸化β−カゼインバンドを示す。こ れは原写真では緑色のバンドとして観察される。 図7は、ベクターpS750及びpT−11d−CKIIβαを用いてEth yl Stains−AIIで染色した大腸菌HMS174(DE3)pLys S中で産生されたMet−β−カゼインのSDS−PAGEを示す。レーン1: 分子量マーカー(Bio Rad予備染色);レーン2:非誘導pS750;レ ーン3:IPTG誘導pS750;レーン4:非誘導pS750/pET−11 d−CKIIβα;レーン5:I PTG誘導pS750/pET−11d−CKIIβα;レーン6:非誘導pE T−11d−CKIIβα;レーン7:IPTG誘導pET−11d−CKII βα;レーン8:天然型5P−β−カゼイン;レーン9:組換えβ−カゼイン; :レーン10:分子量マーカー(Bio−Rad予備染色、相対分子量106、 80、49.5、32.5、27.5、18.5kDa)。矢印はリン酸化され たβ−カゼインバンドを示す。これは原写真では緑色のバンドとして観察される 。 図8は、ヒトβ−カゼインに対する抗体を用いたウェスタンイムノブロット分 析を示す。レーン1:分子量マーカー(Gibco BRL、相対分子量43. 1、29.2、18.8、16.5、6.4kDa);レーン2:50ngの天 然型ヒトβ−カゼイン;レーン3:非誘導HMS174(DE3)pLysS( pRJB−7);レーン4:誘導HMS174(DE3)pLysS(pRJB −7);レーン5:非誘導HMS174(DE3)pLysS(pET−11d− CKIIβα);レーン6:誘導HMS174(DE3)pLysS(pET− 11d−CKIIβα);レーン7:非誘導HMS174(DE3)pLysS (pRJB−9);レーン8:誘導HMS 174(DE3)pLysS(pRJB−9)。 図9は、ホスホセリンに対する抗体を用いたウェスタンイムノブロット分析を 示す。レーン1:低分子量マーカー(Gibco BRL、相対分子量44、2 8.7、18.5、14.7、5.8、2.9kDa);レーン2:1μgの天 然型ヒトβ−カゼイン;レーン3:2μgの天然型ヒトβ−カゼイン;レーン5 :誘導HMS174(DE3)pLysS(pET−11d−CKIIβα); レーン6:誘導HMS174(DE3)pLysS(pRJB−9);レーン7 :誘導HMS174(DE3)pLysS(pRJB−7);レーン8:誘導H MS174(DE3)pLysS(pS637);レーン10:1μgの組換え ヒトβ−カゼイン;レーン11:2μgの組換えヒトβ−カゼイン。 図10は、ヒトβ−カゼインに対する抗体を用いたイムノブロット分析を示す 。レーン1:分子量マーカー(Gibco BRL、相対分子量44、28.9 、18.5、14.7、5.8kDa);レーン2:天然型ヒトβ−カゼイン; レーン3:誘導HMS174(DE3)pLysS(pRJB−9);レーン4 :誘導HMS174(DE3)pLysS(pS637); レーン5:誘導HMS174(DE3)pLysS(pET−11d−CKII βα);レーン6:組換えヒトβ−カゼイン。 図11は、ホスホセリンに対する抗体を用いたイムノブロット分析を示す。レ ーン1:分子量マーカー(Gibco BRL、相対分子量44、28.9、1 8.5、14.7、5.8、2.9kDa);レーン2:1μgの天然型ヒトβ −カゼイン;レーン3:500ngの天然型ヒトβ−カゼイン;レーン4:誘導 HMS174(DE3)pLysS(pRJB−9);レーン5:誘導HMS1 74(DE3)pLysS(pS637);レーン6:誘導HMS174(DE3) pLysS(pET−11d−CKIIβα);レーン7::1μgの組換えヒ トβ−カゼイン;レーン8:500ngの組換えヒトβ−カゼイン。発明の詳細な説明 本発明は、修飾された組換えタンパク質を宿主細胞中で産生させる方法に関す る。より特定的な実施態様において本発明は、リン酸化ヒトタンパク質を細菌細 胞中で産生させる方法に関する。方法は、タンパク質キナーゼによってリン酸化 され得る外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、適正なタンパク質 キナーゼをコードするヌクレオチド配列との双方を有す る単一ベクターを作製する段階と、産生されたキナーゼが産生された外因性タン パク質をリン酸化するように宿主細胞中でベクターを発現させる段階と、リン酸 化された組換えタンパク質を単離する段階とから成る。本発明は、リン酸化され るべきタンパク質をコードするヌクレオチド配列とキナーゼをコードするヌクレ オチド配列とを単一構築物中にプロモーターと共にタンデムに配置することによ って、高レベルの特異的リン酸化が達成され、しかも多数ベクターに伴う不利な 特徴、例えば抗生物質耐性遺伝子をマーカーとして使用する必要性が除去される という予想外の発見を提供する。単一構築物系の使用は、工業利用を目的とした 処理手順の規模拡大を容易にする。本発明方法は外因性タンパク質を発現させ得 る任意の宿主細胞系で有用であることが理解されよう。適当な宿主細胞としては 、細菌のような原核細胞と酵母及び動物細胞のような真核細胞との双方がある。 本発明の好ましい実施態様では、宿主細胞が大腸菌である。いくつかの異なる 発現フォーマットでβ−カゼインをコードするヌクレオチド配列を用い、大腸菌 の菌株中での組換えヒトβ−カゼインの発現を試験した。一連の実験後、ヒトβ −カゼイ ンをコードする配列がヒトカゼインキナーゼCKIIβαをコードする配列と単 一構築物中に配置されているときに、組換えヒトβ−カゼインが有効にリン酸化 されることが判明した。双方の遺伝子が1つのプラスミド中にタンデムに配置さ れているときのリン酸化効率は、キナーゼをコードする配列とβ−カゼインをコ ードする配列とが異なる2つのベクター中に配置されている実験系に比べて低下 してはいなかった。材料及び方法 実施例1から5に記載の試験では以下の材料及び方法を使用した。追加の材料 及び/または方法に関しては、個々の実験で必要に応じて記載する。実施例6で 使用した材料及び方法に関しては別に記載する。プラスミド 図1に示すプラスミド構築物pS637は、追加のアミノ酸であるグルタミン (Gln)を19位にコードしている以外は、Hanssonら(1993)に よって構築され記載されたpS26に等しい。この文献は参照によって本発明に 含まれるものとする。出発発現ベクターpS26を修飾し、ヒト集団中に最も多 く見出される変異体に等しい組換えβ−カゼインタンパ ク質を産生するpS637を作製した。 構築物pS637は、参照によって本発明に含まれるカゼインキナーゼIIを コードするヌクレオチド配列(Shiら,1994)と同時発現するように、β −カゼインをコードするヌクレオチド配列の下流にCKIIβαをコードするヌ クレオチド配列をカセット形態で配置することによって作製した。後者のヌクレ オチド配列は2つのカゼインキナーゼサブユニットβ及びαをコードしている。 3つのシストロンがタンデム配置された発現ベクターpET−11d−CKII βαは、Shiら(1994)によって作製されたCKIIβαを含むプラスミ ドである。先ず、β−カゼインをコードする配列の下流の2つの部位でpS63 7を切断し再結合した。2つの切断部位の間の191塩基が欠失した図1に示す プラスミドpRJB−6を単離した。pRJB−6に挿入するためのキナーゼC KIIβαを作製した。挿入後に得られた構築物をpRJB−9と命名し、図2 に示す。pRJB−9は、リン酸化β−カゼインの産生を媒介するように設計さ れた単一構築物である。更に、pS637を修飾して、プラスミドpS750及 びpRJB−7を構築した。これらのプラスミドに関しては詳細に後述する。宿主細胞 後述する本発明の特定実施態様では、記載されたベクターによって形質転換さ れた宿主生物は大腸菌であった。本発明方法で使用できる他の代表的生物として は、桿菌Bacillus,乳酸桿菌Lacatobacillus及び連鎖球 菌Streptococcusの種がある。プロモーター 後述する本発明の特定実施態様においてはT7プロモーターを使用した。本発 明方法で使用できる他の代表的プロモーターとしては、誘導プロモーターλPL 、λPR及びTac、構成プロモーターbla及びspaがある。細菌発現用プラスミドの構築詳細な方法 発現ベクターpS637 発現ベクターpS637は、β−カゼインをコードする配列の19位のアミノ 酸残基としてグルタミン(Gln)をコードするヌクレオチドトリプレットを含 むので、Hanssonら(1993)に記載のpS26とは違っている。pS 26の配列よりも頻繁にヒト集団中に見出されるヒトcDNA変異体からこのヌ クレオチド配列を単離した。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)増幅のために2つの合成オリゴヌクレオチドを合成した。合成オリゴ ヌクレオチドは、適当な制限部位を提供し、細菌によって優先的に使用されるア ミノ酸のコドンを取込んでいた。2つのオリゴヌクレオチドをSYM4174( 配列1)及びSYM4175(配列2)と命名し、以下に示す: SYM4174:5′−CGCTGCAGCATATGCGTGAAACCAT CGAATC−3′ SYM4175:5′−CGGGATCCTGGTCCTCGTGTTTAAC TTTTTCAACTTTCTGTTTGTATTCGGTGATCGATTC −3′ Ausubelら,(eds.)Current Protocols in Molecular Biology ,Vol.2,Supp.16.15. 0.3−15.1.17(1991)に記載の手順でPCR増幅を実施し、増幅 フラグメントをPstI及びAvaIIで消化して85bpのフラグメントを作 製した。Hanssonら(1993)によって記載されたプラスミドpS21 をEcoRV及びAccIによって消化し、328bpのフラグメントをゲル電 気泳動によって単離した。単離したフラグメントを電気溶出によってアガロー スゲルから精製し、AvaIIで消化した。この結果として得られた197bp のAvaII/AccIフラグメントを単離した。PstI/AvaII消化し PCR増幅した85bpのフラグメント及び197bpのAvaII/AccI を、PstI/AccI消化したpS25(Hanssonらに記載のプラスミ ド)に結合した。得られたプラスミド構築物を配列決定し、pS636と命名し た。644bpのNdeI及びBamHI制限フラグメントをpS636から単 離し、NdeI/BamHI消化したベクターpS26(Hanssonらに記 載のプラスミド)に導入した。得られた発現ベクターをpS637と命名した。発現ベクターpRJB−9 Shiら(1994)によって作製されたCKIIβαをコードする配列を含 むpET−11d−CKIIβαプラスミドを、組換えβ−カゼインと同時発現 するように操作した。先ず、pS637のβ−カゼインをコードする配列の下流 の2つのEcoR1部位を切断し再結合することによって、pS637から19 1塩基対(bp)を除去した。2つの部位の間の191bpを欠失しており、β −カゼインをコードする配列の3′端 から132塩基離れた位置に単一のEcoRV部位を保持しているプラスミドp RJB−6(図1)を単離した。CKIIβαをコードする配列を含むプラスミ ドpET−11d−CKIIβαをClaIで切断し、この部位をクレノウ酵素 (Stratagene,CA)で埋戻して平滑末端を作製した。ClaIで切 断し埋戻したCKIIβαをコードする配列を、pRJB−6のβ−カゼインを コードする配列の下流に挿入し、得られた構築物をpRJB−9と命名し、図2 に示す。発現ベクターpRJB−7 β−カゼインをコードする配列の直後にCKIIβαをコードする配列を配置 することによって、組換えβ−カゼインとCKIIβαキナーゼとを同時発現さ せるpS637を作製した。CKIIβαをコードする配列をBglII/Ba mHIフラグメントとしてpS637のBamHI部位に挿入し、pRJB−7 と命名した。このフラグメントはその出発ベクターpET−11D−CKIIβ αに由来のT7プロモーターを含んでいた。従って図3に示すように、pRJB −7は、一方がβ−カゼインをコードする配列の上流、他方がCKIIβαをコ ードする配列の上流に位置する2つのT7プロモーターを含んで いる。発現ベクターpS750 選択マーカーをアンピシリン耐性からカナマイシン耐性に変更するために、プ ラスミドpS637をPvuIによって消化し、T4 DNAポリメラーゼによ って処理して平滑末端を作製した。直鎖化したベクターを単離し、HincII カナマイシン耐性genblock(Pharmacia,Uppsala,S weden)に結合した。得られた発現ベクターをpS750と命名した(図4 )。組換えヒトカゼインキナーゼIIの発現ベクター 発現ベクターpET−11d−CKIIβα(Shiら,1994)は、Har vard Medical School,Boston,MAのDr.C.W alshによって提供された。 Studierら(Methods in Enzymology 185: 60−89,1990)によって記載された手順で発現実験を実施した。カルベ ニシリンに耐性を与える遺伝子を含むプラスミドであるpET−11d−CKI Iβαの場合には50μg/mlのカルベニシリンを含有するルリアブ イヨン(LB培地)で細菌を培養し、カナマイシンに耐性を与える遺伝子を含む プラスミドであるベクターpS750の場合には、50μg/mlのカナマイシ ンを含有するルリアブイヨン(LB培地)で細菌を培養した。クロラムフェニコ ールに耐性を与えるpLysプラスミドを含む菌株を使用したときは、培地に3 0μg/mlのクロラムフェニコールを補充した。T7発現系を誘導するために 、培養物を約OD600=0.5の密度まで増殖させ、次いで0.4mMのイソ プロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した。誘導の約9 0分後に細胞を採集した。組換えβ−カゼインの電気泳動及び検出 細胞を遠心によってペレット化し、1mlの培養物から得られたペレットを1 00μlのサンプルバッファに溶解した。サンプルバッファはTris、グリセ ロール、SDS、ジチオトレイトール(DTT)及びブロモフェノールブルーを 含有していた。Laemmli(Nature 227:680−685,19 70)に記載されているようにSDS−PAGEによってタンパク質を分離した 。Protean(Bio−Rad,Richmond,CA)電気泳動装置中 で不連続バッファ系 に勾配ゲルを流し込み、処理した。Laemmliに記載されているようにゲル を染色した。製造業者(Bio−Rad)の使用説明書に従って免疫ブロッティ ングを実施した。修飾タンパク質の単離手順 修飾されたタンパク質は当業界で公知の任意の標準手順によって単離できる。 代表的な標準手順を以下に示す。 標準的な機械的及び化学的手順によって細胞を採集し、破壊する。次に、細胞 をバッファに懸濁させ、均質化し、遠心し、上清を廃棄する。得られた不溶性ペ レットを再懸濁させ、上清を廃棄する。この結果として洗浄された不溶性ペレッ トが得られる。得られたペレットを50mMのTris及び6Mの尿素にpH8 .2で懸濁させ、均質化する。β−カゼイン上清Iを除去すると、不溶性抽出物 が得られるので、この抽出物を50mMのTris及び6Mの尿素にpH8.2 で再度懸濁させ、均質化する。β−カゼイン上清IIを取出し、上清I及びII をプールする。残りの不溶性抽出物を廃棄する。プールした上清を50mMのT ris,pH8.2で1:1に希釈し、3Mの尿素で処理して、β−カゼインを 抽出する。β−カゼインの尿素抽出物を50mMのエタノールアミン、100m Mの NaCl,pH9.5に透析し、遠心し、50mMのエタノールアミン、100 mMのNaCl,pH9.5でタンパク質濃度が5mg/mlになるまで希釈す ることによって、最終β−カゼイン溶液を得る。ペレットを廃棄する。実施例 実施例1及び2は、請求の範囲に記載の本発明の基礎を形成するものとして提 示されているが、請求の範囲に記載の本発明の構成要件ではない。実施例1及び 2に記載の実験は、β−カゼインをコードするヌクレオチド配列及びカゼインキ ナーゼをコードするヌクレオチド配列を夫々含む2つのベクターによって細菌を 同時形質転換させたときにも組換えβ−カゼインの産生に不利な影響が及ばない ことを証明する。これらの実験はまた、これらの2つのベクターを単一細菌系中 で使用することによって組換えリン酸化β−カゼインを産生できることを証明す る。 実施例3は、単一プラスミドの正確な構造が自明でもなく予測されてもいなか ったこと、その構築には創意と実験とが必要であったことを証明する。実施例4 に記載の系では、プロモーターを含み、同時に、転写されリン酸化されるべきタ ンパク質 をコードするヌクレオチド配列とキナーゼをコードするヌクレオチド配列との双 方を含む単一構築物を細菌株の形質転換に使用した。実施例4では、単一プラス ミドを用いる組換えリン酸化β−カゼインの産生を証明した。実施例5は、ヒト 天然型β−カゼインに等しい組換えリン酸化β−カゼインを細胞外に局在する形 態で発現させる単一構築物系を記載している。実施例4及び5は請求の範囲に記 載の本発明の範囲内に包含される。実施例6は、天然型ヒトβ−カゼイン及び組 換えヒトβ−カゼインの6つのリン形態が本発明のプラスミドの指令下でヒト咽 頭細胞へのインフルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻止する能力を 比較している。実施例1大腸菌B中のβ−カゼインの産生細胞内に局在する組換えMet− β−カゼインのリン酸化BL21(DE3)菌株 細菌発現系中で組換えβ−カゼインをin vivoでリン酸化する組換えヒ トCKII(rhCKII)の能力を分析するために、2つの誘導性発現ベクタ ーを用いて大腸菌中で実験を行った。発現ベクターpS750を単独で用いるか または発現ベクターpET−11d−CKIIβαと一緒に用いて、T 7宿主菌株BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS及びBL21( DE3)pLysEを形質転換した。DE3は、lac1リプレッサーとイソプ ロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導されるlac UV5プロモーターとT7 RNAポリメラーゼ遺伝子とを含むラムダファージ に由来のDNAフラグメントである。インデューサーの存在下で、T7 RNA ポリメラーゼが産生され、その結果として、外因性遺伝子が転写される。プラス ミドpLysSはクロラムフェニコール耐性を与え、外来タンパク質の増殖速度 及び産生には殆ど影響を及ぼさない。このプラスミドは、大腸菌中のプラスミド の安定性を増加し、凍結及び解凍によって細胞を溶解させ得るT7リゾチームを 含んでいる。 図5に示す結果は、大腸菌中で高レベルの組換えヒトMet−β−カゼインが 産生されること、その産生量は組換えヒトCKIIβαの同時産生の影響を受け ないないことを示している。タンパク質の電気泳動分離及びリン酸塩染色によっ て、CKIIβαが組換えヒトMet−β−カゼインをin vivoでリン酸 化したことが観察される。これは図6に示されており、2つのベクターを用いる 細菌系中のリン酸化β−カゼインの産生 能力を証明する。この実施例は請求の範囲に包含されるものではなく、実施例4 に詳細に記載した本発明の進歩性の理解において審査官の助けとなるように提示 した。実施例2大腸菌K−12中のβ−カゼインの産生細胞内に局在する組換えM et−β−カゼインのリン酸化HMS174(DE3)菌株 組換えヒトMet−β−カゼインを産生させる宿主として、大腸菌K−12株 HMS174(DE3)、HMS174(DE3)pLysS及びHMS174 (DE3)pLysEを試験するために、pS750によって形質転換させた。 最も効率的な産生はHMS174pLysSによって得られた。pS750及び pET−11d−CKIIβαを用いる同時発現実験は、組換えヒトMet−β −カゼイン産生の強力な誘導を示し、この誘導がpET−11d−CKIIβα の存在に無関係であることを示した。リン酸塩染色(図7)は、組換えヒトCK IIと共にin vivoで同時産生されたときのMet−β−カゼインの効率 的なリン酸化を示した。この実施例は実施例1の場合と同様に、請求の範囲に包 含されるものではなく、実施例4に詳細に記載した本発明の進歩性の理解におい て審査 官の助けとなるように提示した。本質的には2プラスミド系は、本発明の単一プ ラスミド系よりも望ましくない。その理由は、宿主細胞中の各プラスミドの存在 を発酵過程でモニターできるようにプラスミドの各々が抗生物質マーカーを含ん でいなければならないからである。このため、増殖培地に2種類の抗生物質を使 用する必要があり細菌増殖が遅くなる。実施例3ヒトβ−カゼイン大腸菌K−12の産生β−カゼインをコードする 配列とCKIIβαをコードする配列との双方を含む構築物pRJB−7β− カゼインをコードする配列の上流のT7プロモーターCKIIβαをコードす る配列の上流のT7プロモーター β−カゼインとCKIIβαの遺伝子を含みまた各遺伝子がその上流にT7プ ロモーターを含む構築物pRJB−7で、大腸菌宿主K−12 HMS174( DE3)LysSを形質転換させた。形質転換及び誘導の手順は、実施例4に記 載するようなNovagen pET系便覧の手順に準拠した。ウェスタンブロット分析 分離及び転移、ブロッキング及び抗体の手順については実施例4に記載する。 図8は、4つの異なる構築物を含む大腸菌H MS174(DE3)LysS細胞によるβ−カゼインの産生を比較するイムノ ブロットを示す。誘導及び非誘導の細胞培養物に由来の溶菌液を分析する。細胞 は、pET−11d−CKIIβα(CKIIβ及びαをコードする配列を含む プラスミド)、pRJB−9(β−カゼイン及びCKIIβαをコードする配列 の双方を含みβ−カゼインをコードする配列だけがその上流にT7プロモーター を含むハイブリッド構築物)、または、pRJB−7(β−カゼイン及びCKI Iβαをコードする配列の双方を含みβ−カゼイン及びCKIIβαをコードす る配列の各々が上流にT7プロモーターを含むハイブリッド構築物)を含む。p RJB−7による細菌の形質転換の結果として細菌増殖が顕著に減速した。大腸 菌HMS174(DE3)LysSは、T7プロモーターを1つだけ含む構築物 であるpRJB−9で形質転換された同じ菌株に比べてほぼ2倍の倍加時間を要 した。図8に示すウェスタンブロットは、pRJB−9を含む細胞に比較してp RJB−7を含む誘導細胞による組換えβ−カゼインの産生低下を示す。これは レーン4(誘導pRJB−7)とレーン8(誘導pRJB−9)との比較によっ て明らかである。pRJB−7及びpRJB−9の双方がpS 637に由来するが、pRJB−9だけが親構築物に均等な量のβ−カゼインを 産生した。ハイブリッド構築物中のCKII遺伝子の上流の追加のT7プロモー ターの存在は、細胞増殖を減速させ、その結果として組換えタンパク質の産生を 低下させるという効果を有していた。 図9は、リン酸化タンパク質を検出するために溶菌液をホスホセリン抗体と共 に展開したウェスタンブロット分析を示す。pET−11d−CKIIβα、p RJB−9(1つのT7プロモーターをもつハイブリッド構築物)、pRJB− 7(2つのT7プロモーターをもつハイブリッド構築物)またはpS637(β −カゼインをコードする配列を含むがCKIIβαをコードする配列を含まない )を含む誘導された大腸菌HMS174(DE3)LysS細胞によるリン酸化 組換えβ−カゼインの産生を比較した。リン酸化β−カゼインは、pRJB−9 を含む細胞中でだけ産生された(レーン6)。pRJB−7を含む細胞の溶解液 を含むレーン7ではリン酸化タンパク質は全く検出されなかった。 2つのT7プロモーターを有する構築物中でリン酸化タンパク質が検出されな かったことは、微生物中で適正に修飾された 組換えタンパク質を発現するための本発明で開示された単一構築物を開発するた めに、創意及び実験の双方が必要であったことを示す。タンパク質をコードする ヌクレオチド配列とキナーゼをコードするヌクレオチド配列とを含む単一構築物 中で2つのT7プロモーターを用いた実験は陰性結果を与えたが、異なる実験条 件下では2つ以上のプロモーター配列の使用が排除されないことも有り得る。2 つの異なるプロモーターを使用するのが好ましいという状況も本発明の範囲内に 維持される。実施例4大腸菌K−12中のヒトβ−カゼインの産生β−カゼインをコード する配列とCKIIβαをコードする配列との双方を含む構築物pRJB−9 本文中に開示された組換えヒトβ−カゼインの産生方法では、官能基を特異的 部位に転移させる情報と修飾すべきタンパク質との双方を発現する単一構築物を 使用する。本発明の特定実施態様において、転移される官能基はリン酸基である 。転移は、組換えヒトβ−カゼインの特異的部位のin vivoリン酸化を媒 介することが証明されたキナーゼによって行われる。本発明によれば、ヒトβ− カゼインが大腸菌によってin vivoで特異的にリン酸化されることが証明 されるだけでなく、 β−カゼインをコードする配列の上流に配置されたプロモーターを有しており単 一構築物系であるという利点を有している単一構築物がこの機能を適確に媒介す ることが証明される。大腸菌K−12 HMS174(DE3)pLysSの形質転換 β−カゼイン遺伝子とCKIIβα遺伝子とを含む構築物pRJB−9によっ て大腸菌宿主K−12 HMS174(DE3)LysSを形質転換した。形質 転換手順はNovagenpET系便覧(第4版、TB No.55,1994 年6月)に記載の手順に準拠した。発現の誘導 プラスミドpRJB−9(図2)、pS637(図1)、またはpET−11 d−CKIIβα(Shiら,1994)を含む大腸菌宿主HMS174(DE 3)LysS細胞を30℃でOD600=0.5〜0.6の密度まで増殖させた 。1mMのインデューサーIPTGの添加前及び添加の6時間後に培養サンプル を採取した。2つの1mlアリコート中の細胞を微小遠心管で遠心することによ ってペレット化した。細胞をゲル電気泳動用のサンプルローディングバッファに 再懸濁させた後、 各アリコートから500μlの上清を採集した。使用済みの培養培地を、Mic rocon 10スピンフィルター(Amicon)内で10,000×Gで3 5分間濃縮した。1,000×Gで3分間旋回させた後、残留液(retent ate)を収集し、2倍の濃度の等量のサンプルバッファを添加した。ウェスタンブロット分析 10−20%勾配のSDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル(Inte grated Separations System)で細胞溶解液を分離し 、半乾燥ブロッターによってImmobilon−P膜(Millipore, Bedford,MA)に移した。Trans−Blot SD Transf er Cell(Bio−Rad)を用いて定電流(0.8mA/cm2)を4 5分間流してゲルをImmobilon PVDFフィルター(Millipo re)に電気ブロットした。転移バッファは、48mMのTris、39mMの グリシン、1.3mMのSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)及び20%のメタノ ールを含有していた。転移に先立って、フィルターを、先ずメタノール、次いで 転移バッファに浸漬した。ウェスタンブロット分析のために、膜をTBS(25 mMの Tris,0.154MのNaCl,pH7.4)中の3%ウシ血清アルブミン 及び0.2%Tween中でブロックした。β−カゼインに対する一次抗体とア ルカリ性ホスファターゼヤギ抗ウサギ抗体から成る二次抗体とを、ブロッキング バッファで1:8000に希釈した。ホスホセリンを検出するために追加の抗体 を使用した。ブロッキング反応及び抗体反応は、TBS中に増幅グレードのブタ 皮膚(U.S.Biochemicals)を含む2%ゼラチン中で25〜26 ℃で2時間行った。次いで、ブロットをTBSで30分間洗浄した。マウスモノ クローナル抗ホスホセリン(Sigma)から成る一次抗体を、2%ゼラチンブ ロッカーで1:200または1:100に希釈し、2時間インキュベートした。 ブロットをTBSで5分間ずつ2回洗浄した。ヤギ抗マウスアルカリ性ホスファ ターゼ(Sigma)から成る二次抗体をゼラチンブロッカー中で1:4000 に希釈し、1時間インキュベートして、TBS中で上記同様に洗浄した。発色用 基質としてはニトロブルーテトラゾリウム及び5−ブロモ−4−クロロ−3−イ ンドイルホスフェートを使用した。 図10は、3つの異なる構築物を含む大腸菌K−12 HM S174(DE3)LysS細胞によるβ−カゼインの産生を比較するイムノブ ロットを示す。細胞は、pS637(β−カゼインをコードする配列を含むプラ スミド)、pET−11d−CKIIβα(CKIIβ及びαをコードする配列 を含むプラスミド)またはpRJB−9(β−カゼインをコードする配列及びC KIIβαをコードする配列の双方を含むハイブリッド構築物)を含む。レーン 3及びレーン4の比較は、ハイブリッド構築物pRJB−9が、CKIIβαを コードする配列を含まない起原プラスミドpS637に均等な量のβ−カゼイン を産生することを示す。この宿主細胞中でpRJB−9及びpS637の双方が 400〜500mg/リットルのβ−カゼインを産生した。この実験は、β−カ ゼインをコードする配列をCKIIβαをコードする配列とタンデムに配置して もβ−カゼインの産生量が有意に変化しないことを示す。 図11は、リン酸化タンパク質を検出するために、溶菌液をホスホセリン抗体 と共に展開させたウェスタンブロット分析を示す。図8の溶菌液以外にも、増加 量の天然型ヒトβ−カゼインと非リン酸化組換えβ−カゼインとを試験した。C KIIβαプラスミドに由来の溶菌液を含むレーン6では細菌タンパク 質のリン酸化は観察されない。これは、リン酸化が特異的であることを示す。β −カゼインをコードする配列とCKIIβαをコードする配列とをタンデムに含 むpRJB−9を含むレーン4の細胞溶解液は、抗体と交差反応する強力なバン ドを示す。レーン4のバンドは、レーン2及び3に示すように電気泳動分析によ れば天然型ヒト母乳β−カゼインと同じ分子量を有している。レーン7及び8に 示すように精製されるか、または、レーン5に示すようにpS637によってi n vivoで発現されたときに、組換え非リン酸化ヒトβ−カゼインに対する 交差反応性は存在しなかった。この実験は、単一構築物を用いた細菌系の形態の 大腸菌K−12中で完全形組換えヒトβ−カゼインの特異的な高レベルリン酸化 が生じることを証明する。実施例5大腸菌K−12中のβ−カゼインの産生細胞外に局在する組換えβ −カゼインのリン酸化大腸菌リーダー配列とプロモーターとβ−カゼインをコ ードする配列とpET−11d−CKIIβαとを含む構築物 この実施例では、大腸菌K−12を形質転換し、細胞外に局在するリン酸化β −カゼインの産生を媒介するために使用される単一プラスミドの構築を開示する 。細菌細胞のペリプラズム 腔にリン酸化タンパク質を分泌するように設計された単一構築物を作製するため に、β−カゼインをコードする配列を、ペリプラズムへのタンパク質輸送を指令 するリーダー配列を含む発現ベクターに導入する。これらの手順から得られたク ローンを標的DNAとして用い、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施する。 Midland Certified Reagent Co.(Midlan d,TX)で合成された以下のプライマーをPCRに使用し得る:RO−4:5 ′−TGT AAA ACG GCC ACT−3′(配列3)及びRO−29 :5′−GGG GAT CCG TAC GCG TGA AAC−3′(配 列4)。RO−29の下線を付けた塩基は、細菌のタンパク質合成開始コドンで あるメチオニンを除去するために、β−カゼインをコードする配列の末端にMl uI部位を生じさせる単一塩基変異を取込む。この変異取込みの目的は、得られ るタンパク質がヒトβ−カゼインのアミノ酸配列に等しいアミノ酸配列をもつよ うにするためである。次いでPCRフラグメントを精製する。修飾されていない コーディング配列の3′端をBamHIで切断する。5′平滑末端と3′Bam HI端とを有するこのフラグメントを、T7プロモーターを含む発現ベ クターpET−26b(Novagen,Madison,WI)にクローニン グし、平滑末端をMscI及びBamHIで切断する。ここに記載の構築物はT 7プロモーターを含むが、他のプロモーター配列の使用も可能である。CKII βαをコードする配列を、pRJB−9の場合に上述したように挿入する。実施 例4に記載の手順に従って発現を誘導し、ウェスタンブロット分析を実施する。 細菌細胞のペリプラズム腔から単離されたタンパク質がホスホセリンに対する 抗体と交差反応し天然型β−カゼインと同様に泳動することを確認するために、 ウェスタンブロットを実施する。この実験は、組換えヒトβ−カゼインのリン酸 化が異種の翻訳開始シグナル配列に融合した配列によってコードされていること 、この配列の上流にプロモーター配列が存在し、リン酸化されるべき配列がCK IIβαのようなキナーゼをコードする配列を含むプラスミド中に局在すること を証明する。細胞外に局在するリン酸化タンパク質の産生は、1ベクター系にお いても2ベクター系においてもこれまで開示されたことはない。 産生されるリン酸化タンパク質の細胞外局在の利点は細胞内局在の場合に比べ て精製が容易なことである。細菌細胞のペリ プラズム腔は細胞内よりも異物が少ないので精製されたタンパク質の単離が促進 される。これは商業生産には特に有利である。実施例6天然型及び組換えヒトβ−カゼインの抗付着生物活性の比較 ヘモフィルスHaemophilusは、リポ多糖−タンパク質細胞壁をもつ 小さいグラム陰性桿菌であり、ヒト及び動物種の粘膜に存在する偏性寄生菌であ る。全部ではないにしても多くのインフルエンザ菌Haemophilus i nfluenzaeの菌株の表面は、多糖カプセルで被覆されている。カプセル 被覆されない分類不能なインフルエンザ菌H.influenzaeの菌株は生 後数カ月以内に殆どの個体の上気道に転移増殖し、これらの種は中耳炎及び副鼻 腔炎などのいくつかの疾病に最も関連が深い(Murrayら,Medical Microbiology ,2nd ed.,p.260,1994)。また 慢性気管支炎を悪化させたりする。 ヒト咽頭細胞に対するインフルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻 止する活性について、天然型ヒトβ−カゼインと、pRJB−9を含む細胞中で 合成した組換えヒトβ−カゼインとの比較アッセイを実施した。0〜5個のリン 酸基をも つリン酸化タンパク質の比較を行った。細胞及び細菌株 Detroit 562ヒト咽頭癌細胞(DT562)をAmerican Type Culture Collection(Rockville,MD )から入手した。インフルエンザ菌H.influenzaeの分類不能な菌株 をオハイオ州立大のDr.Lauren Bakaletzから入手した。細胞培養物 96ウエルのプレート(Costar,Cambridge,MA)に、ウエ ルあたり20,000〜25,000細胞の密度で播種したDT 562細胞を 、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Hyclone,Logan,UT)を補充 したダルベッコの改質イーグル培地(GIBCO,Grand Island, NY)で培養した。95%空気及び5%二酸化炭素の湿潤雰囲気中で37℃で細 胞をインキュベートした。細胞が90%以上の集密度に到達したときに実験を行 った。細菌添加に先立って血清タンパク質を除去するために細胞収容プレートを 200μlのハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(GIBCO) で3回洗浄した。天然型ヒトβ−カゼイン ヒトの母乳から単離したβ−カゼインをSymbicom AB,P.O.B ox 1451,S−902 24 Umea,Swedenから購入した。リン形態の分離 7000×gで40℃で10分間遠心することによって細胞を収集した。上清 を除去し、ペレット化した細胞をJohnsonら(Bio/Technolo gy ,1994年12月,pp.1357−1360)に記載の凍結/解凍方法 で処理して、組換えβ−カゼインを遊離させた。0.45μの膜で濾過した後、 β−カゼインを含有するサンプルを、アニオン交換カラム(Mono Q 10 /10,Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden )に充填した。種々のリン形態を、20mMのエタノールアミン、6Mの尿素, pH9.5中の0−0.5MのNaClの直線勾配で50分間処理して分離した 。 組換えβ−カゼインの種々のリン形態を、夫々の溶出時間と精製された天然型 ヒト母乳β−カゼインの溶出時間との比較に よって同定した。細菌の放射性標識 インフルエンザ菌H.influenzaeを少ない継代数の凍結アリコート からチョコレート寒天プレートに画線培養し95%空気及び5%二酸化炭素の湿 潤雰囲気中で37℃で18時間インキュベートして対数増殖期培養物を得た。0 .05%のウシ血清アルブミン(BSA)を補充した燐酸塩緩衝生理食塩水(P BS)中で採取細菌を遠心し、等容のPBS/BSAに再懸濁させると、波長6 00nmの光学密度(OD600)は2.4であった。111インジウム−オキ シン(111In)(Amersham,Arlington Heights ,IL)を使用して細菌を放射性標識した。50μCiの111In溶液を2. 5mlの細菌懸濁液に添加し、37℃で20分間インキュベートした。放射性標 識した細菌を10mlのHBSSで2回洗浄し、未結合の111Inを除去し、 30nMのHEPESバッファ(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N′− 2−エタンスルホン酸)を補充した5mlのHBSSに再懸濁させた。111I n標識した25μlの細菌懸濁液を25μlの試験物質と共に96ウエルのポリ プロピレンプレート中 で37℃で15分間プレインキュベートして試験物質を細菌に結合させた。付着の定量 放射性標識した細菌と天然型ヒトβ−カゼインまたは組換えβ−カゼインとを 含む25μlのプレインキュベーション混合物を、DT562細胞を含むアッセ イプレートの各ウエルにピペット注入した。細菌が細胞単層に付着するようにア ッセイプレートを37℃で20分間インキュベートした。プレートをHBSSで 3回洗浄することによって未付着の細菌を除去した。細胞単層及び付着性インフ ルエンザ菌H.influenzaeを破壊するために、100μlの0.05 Nの水酸化ナトリウムを添加することによってアッセイを終了した。各ウエルの 内容物をCobraポリプロピレン管に入れ、Cobraガンマーカウンター( Packard,Meriden,CT)でカウントした。4つの重複サンプル の結果を平均化することによって結果を計算した。6段階の異なるリン酸化レベ ルの天然型ヒトまたは組換え(pRJB−9)β−カゼインで得られた結果を、 試験物質非含有の対照ウエル中の細菌付着に比較した細菌付着阻止パーセントと して示す。結果 抗付着活性が終始観察されたのは、β−カゼインが3、4または5個のリン酸 基でリン酸化されているときだけであった。より低いリン酸化レベルでは、天然 型β−カゼインまたは組換えβ−カゼインのいずれの場合にも抗付着活性は殆ど または全く観察されなかった。しかしながら、より高度なリン形態即ちβ−カゼ インが3、4または5個のリン酸基を有している場合、天然型ヒトβ−カゼイン または組換え(pRJB−9)ヒトβ−カゼインの間で抗付着生物活性の違いは 本質的に存在しなかった。これらの結果は、ヒト咽頭細胞に対するインフルエン ザ菌H.influenzaeの付着を阻止するβ−カゼインの生物活性がリン 酸化のレベルに依存することを示す。非リン酸化または極めて低リン酸化のβ− カゼインは効力がない。ヒト咽頭細胞に対するインフルエンザ菌H.influ enzaeの付着を阻止するためには3、4または5個のリン酸基の付着が必要 である。これらの結果はまた、本発明のプラスミドによって産生されたリン酸化 組換えβ−カゼインは、インフルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻 止するために天然型ヒトβ−カゼインと同程度の効力があることを示す。これら の 結果を表1にまとめる。 中耳炎の原因因子としてインフルエンザ菌H.influenzaeが同定さ れた(Murrayら,1994)。本発明のプラスミドの指令下で少なくとも 3つの部位でリン酸化された組換えヒトβ−カゼインがヒト細胞に対するインフ ルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻止することは前述の実験で証明 されたので、上述のようなリン酸化組換えヒトβ−カゼインが、ヒト、特にヒト 小児の中耳炎の予防及び治療に使用できるという結論が得られる。 治療効果は、3個以上のリン酸基を有するリン酸化組換えヒ トβ−カゼインを治療有効量で含む乳児用調合乳のような腸溶性液体栄養製品を 小腸内に補給するかまたは摂取させることによって与えられる。好ましくは、本 発明の実施に使用される組換えリン酸化ヒトβ−カゼインは、プロモーターとそ の下流のヒトβ−カゼインをコードするヌクレオチド配列とその下流のヒトβ− カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌクレオチド配列とから本質的に構 成されたプラスミドの指令下で合成される。本発明の実施に使用される乳児用調 合乳のような腸溶性液体栄養製品が更に、ヒト、ウシまたはヤギのような哺乳類 の母乳に由来の少なくとも1種類の別のタンパク質及び/または大豆または稲の ような植物源に由来の少なくとも1種類の他のタンパク質を含み得ることが理解 されよう。また、ヒトの口腔咽頭細胞に対するインフルエンザ菌H.influ enzaの付着は、治療有効量のリン酸化組換えヒトβ−カゼインを含む製剤を 鼻腔経由または咽喉噴霧剤として投与することによって阻止できる。このような 経鼻腔投与される製剤は液滴剤または噴霧剤のいずれの形態でもよい。ヒトβ− カゼインとの相互作用は、β−カゼインの摂取及び消化後よりも上咽頭での直接 接触によって生じると考えられるので、腸溶性製品、咽喉噴霧 製品及び経鼻腔製品の投与が有効であると考えられる。 開示された方法によれば、リン酸化された組換え哺乳類タンパク質を微生物中 で商業的規模で生産し得る。開示された方法は、組換えヒトβ−カゼインを非限 定例とする組換え外因性タンパク質を大量生産するために使用できる。バイオリ アクター中のβ−カゼインのリン酸化によって、天然型ヒトβ−カゼインと等価 の組換えβ−カゼインを発酵槽で大規模に合成することが可能になる。開示され た方法はまた、天然型のリン酸化状態のヒトβ−カゼインを含む乳児用調合乳の 製造に役立つ。開示された方法はまた、リン酸化及び脱リン酸化によって調節さ れ細胞物質代謝のシグナルとして作用する受容体のような細胞タンパク質をリン 酸化するために使用できる。開示された方法は、ペプチド受容体をリン酸化する ための費用効果的な方法を提供し、医用薬剤の製造に有用であろう。 組換えリン酸化ヒトβ−カゼインのような発酵タンパク質の工業生産には2プ ラスミド系よりも単一プラスミド系のほうが好ましい。増殖培地中の抗生物質に よって選択圧力を与えることなく組換えタンパク質を大量生産するときは、発酵 プロセス中でプラスミドのロスが生じる。その理由は、複数のプラスミ ドを含む細胞はプラスミドを1つだけ含むかまたは全く含まない細胞に比べて選 択的利点がなく、逆にプラスミドの存在が負担になって増殖が遅くなるからであ る。しかしながら、発酵過程で細菌中に双方のプラスミドを維持するために必要 な選択圧力を与える複数の抗生物質を使用すると、細菌増殖の遅滞が頻発し、所 望の組換え産物の収率が低下する。従って、工業目的には、本文中に開示した単 一プラスミド系が従来から開示されていた2プラスミド系よりもはるかに好まし い。 3〜5個のリン酸基を有するリン酸化された組換えヒトβ−カゼインは、任意 の標準的または特殊的な腸溶性液体栄養製品に添加できる。このような製品の非 限定例としては、牛乳もしくはヤギ乳のようなヒト以外の哺乳動物の乳に由来の タンパク質または大豆もしくは稲のような植物源に由来のタンパク質を含む乳児 用調合乳、並びに、その他の小児用飲料がある。3〜5個のリン酸基を有するリ ン酸化された組換えヒトβ−カゼインを添加した製品は、ヒト細胞に対するイン フルエンザ菌H.influenzaeの付着を阻止し、ヒトの小児中耳炎の治 療及び予防に有用である。 本文中に開示された天然型ヒトβ−カゼインの特性に類似の 特性または同一の特性を有する組換えリン酸化ヒトβ−カゼインを産生する新規 な方法の発見は、このタンパク質の添加によってヒトの母乳により近く、従って 乳児の発育により有利な乳児用調合乳の調製を可能にする。また、修飾された組 換えヒトタンパク質を細菌系において産生する方法の開示は、他の食物及び医薬 品へのヒトタンパク質の添加を可能にする。 添付の実験及び図面を参照しながら本発明の好ましい特定実施態様を上記に説 明してきたが、本発明がこれらの個々の実施態様に限定されないこと、本発明の 請求の範囲に定義された発明の要旨または範囲を逸脱することなく多くの変更及 び変形が当業者によって可能であることは明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンソン,レナート スウエーデン国、エス−907・38・ウーメ ア、ビヨルクベーゲン・50 (72)発明者 バクスター,ジエフリー・エイチ アメリカ合衆国、オハイオ・43021、ガレ ナ、ビツグ・ウオルナツト・ロード・6515 (72)発明者 ハーズ,ロバート・ジイ アメリカ合衆国、オハイオ・43015、デラ ウエア、メイナード・ロード・4575 (72)発明者 レオナルド,アマンダ・ユン−イヨン アメリカ合衆国、オハイオ・43230、ガハ ンナ、シエイドウツド・コート・581 (72)発明者 アンダーソン,ステイーブン・エヌ アメリカ合衆国、オハイオ・43213、コロ ンバス、タラゴン・ウエイ・82 (72)発明者 ハービイ,リンダ・エイ アメリカ合衆国、カリフオルニア・94025、 メンロ・パーク、ウエイバリイ・ストリー ト・298

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.3〜5個のリン酸基を有する組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインを治療有 効量で含む液体栄養製品を小腸内に摂取することによってヒト細胞に対するイン フルエンザ菌の付着阻止方法。 2.3〜5個のリン酸基を有する組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインを治療有 効量で含む乳児用調合乳をヒト小児に小腸内補給することによってヒト小児にお けるヒト細胞に対するインフルエンザ菌の付着阻止方法。 3.3〜5個のリン酸基を有する組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインを治療有 効量で含む腸溶性栄養製品をヒトに補給することによってヒト細胞に対するイン フルエンザ菌の付着阻止を行うヒト中耳炎の治療及び予防方法。 4.3〜5個のリン酸基を有する組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインを治療有 効量で含む乳児用調合乳をヒト小児に補給することによってヒト細胞に対するイ ンフルエンザ菌の付着阻止を行うヒト小児中耳炎の治療及び予防方法。 5.(a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で組換えリン酸化ヒトベータ−カゼ インを合成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 6.腸溶性液体栄養製品が更に、哺乳動物乳に由来の少なくとも1種類の別のタ ンパク質を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の方法。 7.乳児用調合乳が更に、哺乳動物乳に由来の少なくとも1種類の別のタンパク 質を含むことを特徴とする請求項2または4に記載の方法。 8.腸溶性液体栄養製品が更に、哺乳動物乳に由来の少なくとも1種類の別のタ ンパク質を含み、リン酸化ヒトベータ−カゼインが、 (a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で合成されることを特徴とする請求 項1または3のいずれか一項に記載の方法。 9.乳児用調合乳が更に、哺乳動物乳に由来の少なくとも1種類の別のタンパク 質を含み、リン酸化ヒトベータ−カゼインが、 (a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で合成されることを特徴とする請求 項2または4に記載の方法。 10.液体栄養製品が更に少なくとも1種類の植物タンパク質を含むことを特徴 とする請求項1または3に記載の方法。 11.乳児用調合乳が更に少なくとも1種類の植物タンパク質を含むことを特徴 とする請求項2または4に記載の方法。 12.腸溶性液体栄養製品が少なくとも1種類の植物タンパク質を含み、リン酸 化ヒトベータ−カゼインが、 (a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で合成されることを特徴とする請求 項1または3に記載の方法。 13.乳児用調合乳が少なくとも1種類の植物タンパク質を含み、リン酸化ヒト ベータ−カゼインが、 (a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で合成されることを特徴とする請求 項2または4に記載の方法。 14.3〜5個のリン酸基を有するリン酸化組換えヒトベータ−カゼインを治療 有効量で含む製剤を鼻腔から投与することによってヒト鼻咽頭細胞に対するイン フルエンザ菌の付着を阻止 する方法。 15.3〜5個のリン酸基を有するリン酸化組換えヒトベータ−カゼインを治療 有効量で含む喉噴霧製剤を投与することによってヒト鼻咽頭細胞に対するインフ ルエンザ菌の付着を阻止する方法。 16.少なくとも3個のリン酸基を有するリン酸化組換えヒトベータ−カゼイン をインフルエンザ菌と接触させることによってヒト鼻咽頭細胞インフルエンザ菌 の付着を阻止する方法。 17.リン酸化ヒトベータ−カゼインが、 (a)プロモーターと、 (b)その下流のヒトベータ−カゼインをコードするヌクレオチド配列と、 (c)その下流のヒトベータ−カゼインをリン酸化し得る酵素をコードするヌク レオチド配列と、 から本質的に構成されたプラスミドの指令下で合成されることを特徴とする請求 項14から16のいずれか一項に記載の方法。
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