JP2000357810A - テルル化カドミウム膜の製造方法および太陽電池 - Google Patents

テルル化カドミウム膜の製造方法および太陽電池

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JP2000357810A
JP2000357810A JP11170287A JP17028799A JP2000357810A JP 2000357810 A JP2000357810 A JP 2000357810A JP 11170287 A JP11170287 A JP 11170287A JP 17028799 A JP17028799 A JP 17028799A JP 2000357810 A JP2000357810 A JP 2000357810A
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cdte
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cadmium
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Seiji Kumazawa
誠二 熊澤
Akira Hanabusa
彰 花房
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Matsushita Battery Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価なソース材料を用いて、下地のCdS膜
を侵食することなく、良質なCdTe膜を形成する。ま
た、このCdTe膜を用いて、高効率で低コストのCd
Te系太陽電池を提供する。 【解決手段】 近接昇華法によるCdTe膜の製造方法
において、CdTeを主成分とする主材料100に対
し、Cdを0.01〜10の重量比率で添加したソース
材料を用いる。さらに、これにより得られたCdTe膜
を用いてCdS/CdTe太陽電池を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テルル化カドミウ
ム(以下、CdTeという)膜の製造方法と、その製造
方法によるCdTe膜を用いた太陽電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近接昇華法(以下、CSS法という)
は、CdTe系太陽電池のCdTe膜の製膜法としてし
ばしば用いられている。このCSS法によるCdTe膜
の製膜方法は、ソース保持体上に配置したCdTeを主
成分とするソース材料層に対して僅かな空隙を挟んで薄
膜形成用基板を配設し、一般的には不活性ガス雰囲気中
で、ソース材料を薄膜形成用基板の温度よりも高い温度
に加熱して昇華させ、薄膜形成用基板上にCdTeを析
出させる方法である。
【0003】上記の方法については、T.L.Chuらによっ
てThe Conference Record of the 22nd IEEE Photovolt
aic Specialists Conference (1991) Vol.2,p952-56な
どで技術開示されている。これらの中には、ソース材料
として市販の5Nの純度のCdTe多結晶、もしくは構
成元素とドーパントを直接合成させたCdTe多結晶を
適当な支持体にセットして製膜することが記述されてい
る。この製膜法の特徴は、結晶性の良好なCdTe膜が
得られることであるが、ソース材料が極めて高価である
ことが難点である。また、ソース材料層をソース保持体
上に設ける方法としては、ソース材料粉末をソース保持
体上に撒いて敷き詰めることにより粉体層を形成する方
法が一般的である。この他に、特開平9−321325
号公報には、ソース材料の微粉末をペースト状にして、
これをソース保持体上に印刷して塗布膜を形成し、ソー
ス材料層とする方法も提案されている。
【0004】さらに、ソース材料として用いるCdTe
に関しては、CdおよびTeを主成分とする材料を熱処
理して生成させたCdTe粉末が用いられている。例え
ば、特開平10−140205号公報には、出発材料と
してCdおよびTe、あるいはこれらにCdTeを加
え、これを熱処理して生成させたCdTe粉末が開示さ
れている。また、この出発材料のCdとTeのモル比は
1:0.66〜1:1.5の範囲とすることが好ましい
とされている。しかし、上記モル比の範囲の出発材料の
内、Teのモル比が過剰な場合には生成したCdTe粉
末中にTeが多く残存する。また、Cdのモル比が過剰
な場合にも、数百ppm程度の若干量の未反応のTeが
残存する場合が多い。これは、Cdの昇華温度が、Te
の昇華温度よりも低いために、熱処理時にCdTeが生
成する温度以下の低温度でCdが優先的に昇華して飛散
するため、結果的にTeと反応してCdTeを生成させ
るためのCdが不足し、生成したCdTe粉末中に未反
応Teが残存することによるものと考えられる。
【0005】CSS法による従来のCdTe膜の製造に
おいて用いられている上記のCdTeに関しては下記の
問題点があった。上記のように、ソース材料として一般
的に用いられるCdTe粉末中には微量のTeが含まれ
ている場合が多く、これが良好なCdTe膜の形成を阻
害することが第1の問題点である。ソース材料として通
常用いられている市販のCdTe粉末は、Cd粉末とT
e粉末を混合し、不活性ガス中で700℃以上に加熱す
ることにより生成させたCdTeを粉砕して作製される
のが一般的である。しかし、出発材料の配合比率や熱処
理条件を最適化しても、得られたCdTe粉末中には微
量の未反応Teが存在することを避けることが困難であ
る。
【0006】そのため、透明導電膜と硫化カドミウム
(以下、CdSという)膜が予め順次形成された薄膜形
成基板上にCSS法によりCdTe膜を形成する場合、
ソース材料中の前記未反応TeがCdTeよりも低温で
優先的に昇華し、このTeがCdSと反応してCdS膜
を侵食する。これにより、CdS膜表面の凹凸が著しく
なり、CdTe膜との接合が妨げられる。さらに、Cd
S膜にピンホールが発生し、露出した下地の透明導電膜
上に部分的にCdTe膜が形成され、良好なCdS/C
dTe構造を形成できない。また、このようにして形成
されたCdTe膜を用いた場合には、光電特性の優れた
CdS/CdTe系太陽電池の作製が困難であった。
【0007】第2の問題点は、上記の未反応Teを低減
しようとすると、CdTe粉末が高価になることであ
る。即ち、未反応Te低減のためには、作製時の反応温
度を上げたり反応時間を長くするか、あるいは反応後に
後処理を施すなどの方法を採る必要がある。後処理の方
法としては、例えば、水素ガスなどの還元ガス雰囲気中
で熱処理を行い、前記の未反応Teを水素化テルルとし
て除去する方法がある。しかし、このような方法には、
煩雑な工程が必要な上に、後処理中にCdTe粉末自身
も飛散して多量の材料ロスを生じ、材料コストが増大す
る問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、CSS法に
よるCdTe膜の従来の製造方法における上記の問題を
解決するため、安価なソース材料を用いて、下地のCd
S膜を侵食することなく、良質なCdTe膜を形成する
こと、および、安価で、光電特性の優れたCdS/Cd
Te系太陽電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のCdTe膜の製
造方法は、ソース保持体上に設けたソース材料層と薄膜
形成用基板とを空隙を挟んで近接させて対向配置し、前
記ソース材料層中のソース材料を前記薄膜形成用基板よ
りも高温になるように加熱することにより、前記ソース
材料を昇華させ、前記薄膜形成用基板上に薄膜を形成す
るCdTe膜の製造方法において、前記ソース材料が、
CdTeを主成分とする主材料100に対して、Cdを
0.01〜10の重量比率で添加したものであることを
特徴とするものである。これにより、CdTe膜が形成
される下地の膜が侵食される現象が効果的に抑制され、
良好なCdTe膜が得られる。
【0010】本発明の太陽電池は、透光性絶縁基板上に
透明導電膜が形成され、前記透明導電膜上に、n型半導
体としてのCdS膜が形成された薄膜形成用基板上の前
記CdS膜上に、前記本発明のCdTe膜の製造方法に
よりp型半導体としてのCdTe膜を形成することによ
り、p−n接合が形成されたものである。これにより、
高変換効率を備えた太陽電池を低コストで提供すること
ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のCdTe膜の製造方法に
おいて、CdTeを主成分とする主材料100に対し
て、Cdを0.01〜10の重量比率で添加したソース
材料を用いることにより、形成されるCdTe膜の下地
となる薄膜形成用基板上のCdS膜が、ソース材料中に
含まれる未反応Teの昇華により侵食される現象が効果
的に抑制され、良好なCdTe膜を形成することができ
る。
【0012】CdはTeよりも低温で昇華し、且つ下地
の膜と殆ど反応しない性質を備えている。本発明によれ
ば、このCdをソース材料中に適度に添加することによ
り、製膜初期の段階において優先的に昇華したCdがC
dS膜表面に接触し、CdS膜表面を安定化させた後
に、Teが昇華してCdS膜表面に接触する。これよ
り、下地のCdS膜に殆ど損傷を与えることなく、Cd
S/CdTe界面を形成することができ、このように形
成された良好な界面上に、後から昇華したCdTeが順
次到達し、数ミクロン程度の膜厚の結晶性の良好なCd
Te膜を形成することが可能となる。
【0013】しかし、ソース材料へのCdの添加量が、
CdTeを主成分とする主材料100に対して0.01
よりも少ない重量比率の場合には、上記のCdの添加効
果が不十分である。即ち、CdTe粉末中に含まれる微
量の未反応Teが昇華して下地のCdS膜を侵食して部
分的にCdSが欠除した個所や凹凸が発生するという、
先述の従来技術の場合のような現象を十分に抑制できな
い。また、上記のCdの添加量が、主材料100に対し
て10よりも多い重量比率の場合には、製膜初期の段階
において昇華するCdが過多となり、CdS膜上にCd
が偏在して析出する。これに妨げられて、後から昇華し
たTeがCdS膜表面に十分に到達せず、良好なCdS
/CdTe接合が得られない。
【0014】これらのことから、ソース材料へのCdの
添加量は、CdTeを主成分とする主材料100に対し
て、0.01〜10の重量比率とするのが適切である。
これにより、CdTe膜と下地の膜の界面近傍の結晶性
が改善され、良好なCdTe膜の製膜が可能となる。こ
の場合、Cdの添加量を主材料100に対して、0.5
〜1.5の重量比率とするのが特に好ましく、本発明の
最も顕著な効果が得られる。
【0015】また、上記本発明におけるソース材料の主
材料の主成分であるCdTeとして、Cd粉末とTe粉
末、あるいはCd粉末とTe粉末およびCdTe粉末を
混合したものを熱処理して生成させたCdTe粉末を用
いることが好ましい。前記のように、市販のCdTe粉
末はTe粉末とCd粉末を700℃以上の高温で加熱
し、粉砕して作製されるため、比較的高価なものであ
る。また、この中に残留する未反応のTeを除去したも
のは、さらに高価な材料となる。CdTe粉末は、上記
の原料を400℃以上の比較的低い温度で熱処理するこ
とによっても生成させることができる。しかし、この方
法では安価にCdTe粉末を作製できる反面、上記市販
のCdTe粉末の場合より、未反応状態で残存するTe
がさらに多くなる難点がある。
【0016】本発明によれば、前記のような市販の比較
的高純度のCdTe粉末や、さらにこれに未反応Teの
除去処理を施したCdTe粉末はもとより、未反応Te
を比較的多く含有する安価なCdTe粉末を用いた場合
でも、上記の適切な範囲内でCdをソース材料中に添加
することにより、良好なCdTe膜を得ることができ
る。このように、低コストなCdTe粉末をソース材料
の主材料の主成分として用いることにより、より低コス
トでCdTe膜が作製でき、このCdTe膜を用いるこ
とにより、安価で高変換効率の太陽電池を作製すること
ができる。尚、ソース材料の主材料として、上記のCd
Teを単独で用いる場合が多いが、必要に応じてアンチ
モン化合物、銅化合物などのドーパント材料などの若干
量の副成分を添加したものを用いることもできる。
【0017】さらに本発明では、ソース保持体上にソー
ス材料層を設ける方法として、前記ソース材料に溶剤を
加えてペーストにしたものをソース保持体上に塗布した
後、前記溶剤を蒸発させて前記ソース材料からなる塗布
膜を形成したものとすることが好ましい。この方法によ
れば、ペーストを調製する際の混練により、添加された
Cdがソース材料中に均一に分散される。このペースト
を印刷などにより均一な厚さで塗布することにより、均
質なソース材料層を再現性良く形成することができる。
従って、このソース材料層を1回の製膜毎に形成して使
用することにより、多数のCdTe膜を製膜した場合で
も、膜厚や結晶性のバラツキが低減される。また、本発
明ではソース材料粉末を板状あるいは皿状のソース保持
体上に撒いて敷き詰めたソース材料層を用いて、複数回
の製膜を連続して行うこともできる。しかし、この方法
では、製膜回数を重ねるにつれて、ソース材料中のCd
の含有比率が減少する傾向がある。このため、前記のペ
ースト塗布膜をソース材料層とする方法がより好まし
い。
【0018】また、本発明による太陽電池は、透光性絶
縁基板上に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜上
に、n型半導体としてのCdS膜が形成された薄膜形成
用基板上の前記CdS膜上に、上記の本発明による製造
方法によりp型半導体としてCdTe膜を形成すること
により、p−n接合が形成されたものである。これによ
り、高変換効率を備えた太陽電池を低コストで提供する
ことができる。 本発明により、特に、波長500〜6
50ナノメートルにおける分光感度特性が優れ、短絡電
流が大きい、高変換効率太陽電池を提供することができ
る。これは本発明の製造方法によるCdTe膜を用いる
ことにより、CdS/CdTe界面のCdTe膜の結晶
性と膜質が向上することによるものである。
【0019】
【実施例】次に、本発明によるCdTe膜の製造方法お
よび太陽電池について、実施例により詳細に説明する。
【0020】《実施例1》図1は、CdTe膜製膜時の
主要部材の配置を示す模式断面図である。図1におい
て、ソース保持体1上にソース材料層2が設けられてい
る。スペーサ3を介してソース材料層2と薄膜形成用基
板4を近接させて対向配置し、ソース材料層2を薄膜形
成用基板4よりも高温に加熱することにより、薄膜形成
用基板4上にCdTe膜を形成した。薄膜形成用基板4
は、硼珪酸ガラスからなる350mm×350mm×3
mmのガラス基板5上に、化学気相成長法により厚さ5
000オングストロームの酸化錫膜の透明導電膜6を形
成し、その透明導電膜6上に、ジエチルジチオカルバミ
ン酸カドミウムを熱分解させて、厚さ800オングスト
ロームのCdS膜7をn型半導体として形成して作製し
た。
【0021】ソース保持体1としては、400mm×4
00mm×3mmのカーボン板を用いた。ソース材料層
2は、粉末状のソース材料をソース保持体1上にほぼ均
一な厚さに撒いて形成した。ソース材料としては、市販
のCdTe粉末を主材料とし、これに種々の重量比率で
Cd粉末を添加したものを用いた。ソース材料中のCd
粉末の添加量は、主材料100に対する重量比率を0〜
12の範囲で変化させた。ソース材料層2と薄膜形成用
基板4とは3mmの空隙を挟んで対向させた。薄膜形成
用基板4の温度を550℃、ソース保持体1の温度を薄
膜形成用基板4の温度に対して150℃高い温度に設定
した。1Torrの減圧窒素雰囲気中で、4分間製膜を
行うことによって、薄膜形成用基板4の表面に厚さ約5
μmのCdTe膜8を形成した。
【0022】Cdの添加量を上記のように変化させたソ
ース材料を用いて作製した各CdTe膜のX線回折パタ
ーンを測定した。その結果、主材料100に対してCd
添加量を0〜10の重量比率の範囲で変化させたソース
材料を用いた場合の各CdTe膜については、(11
1)面に配向していることが確認された。また、各Cd
Te膜を化学分析した結果、膜中のCdとTeのモル比
率は何れもほぼ1:1であった。これに対して、主材料
100に対してCdの添加量が11、12の重量比率の
場合には、Cdの添加量の増加に伴い製膜速度が極端に
低下した。また、X線回折パターンでは、CdTeのピ
ーク以外に、Cdの低いピークが観測された。さらに、
化学分析の結果、膜中のCdとTeのモル比率は約5
1:49であり、Cdの比率が高くなる傾向が観測され
た。
【0023】さらに、CdS膜とCdTe膜の界面近傍
の断面をSEMで観察した結果、Cd粉末を添加しなか
った場合、CdSが侵食されて欠除した個所が部分的に
観測された。これは、CdTe粉末中に含まれる微量の
Teが、CdS膜を侵食した結果と思われる。一方、C
d粉末を0.01〜12の重量比率で添加した場合に
は、何れも、CdS膜が侵食されていないことが確認で
きた。以上のことより、主材料のCdTe粉末100に
対して、Cd粉末を0.01〜10の重量比率で添加し
たソース材料を用いることにより、CdTe膜とCdS
膜との界面状態が改善され、その上に形成されたCdT
eの結晶性がさらに向上していることが明らかになっ
た。
【0024】《実施例2》ソース材料の主材料として、
CdTe単結晶を粉砕したもの、Cd粉末とTe粉
末をモル比1:1で混合した出発材料を、不活性雰囲気
中において700℃で10時間熱処理したもの、同出
発材料を、不活性雰囲気中において700℃で1時間熱
処理したもの、同出発材料を、不活性雰囲気中におい
て400℃で10時間熱処理したもの、同出発材料
を、不活性雰囲気中において400℃で1時間熱処理し
たもの、および、Cd粉末とTe粉末とCdTe粉末
をモル比1:1:1で混合し不活性雰囲気中において4
00℃で1時間熱処理したものをそれぞれ用いた以外
は、実施例1と同様にしてCdTe膜を作製し、各々の
CdTe膜の評価を行った。
【0025】その結果、の場合には、主材料100に
対してCd添加量を0〜10の範囲で重量比率を変化さ
せて得られた各CdTe膜のX線回折パターンには、C
dTe以外のピークは見られず、(111)面に配向し
ていることが確認できた。また、化学分析からは、膜中
のCdとTeの比率がほぼ1:1という結果を得た。こ
こで用いたCdTe単結晶は、CdとTeの比率が1:
1であり、しかも未反応Teなどの不純物を殆ど含まな
い理想的な材料である。しかし、この材料からは上記の
ような良質なCdTe膜が得られるが、材料コストが極
端に高く、この材料を量産用CdTe膜の製造に用いる
ことは得策とは云えない。
【0026】で用いたCdTe粉末は、市販のCdT
e粉末の製法に相当する方法で作製したものであり、
のCdTe単結晶よりも1/10以下のコストで作製可
能である。また、からのCdTe粉末は、熱処理温
度の低温化、あるいは短処理時間化により、さらなる製
造コスト低減を目指した材料であり、のCdTe粉末
に対して1/5〜1/2のコストで作製可能である。こ
れら〜のCdTe粉末は、化学分析においてCd:
Teのモル比がほぼ1:1であり、X線回折パターンで
CdTe以外のピークは見られない。しかし、未反応T
eの含有量は〜のCdTe粉末に比べて、の場合
には若干少ないが、何れも数100ppmの未反応Te
を含有しており、この微量の未反応Teが良質なCdT
e膜の製膜の大きな妨げとなる。
【0027】これらの〜のCdTe粉末からなる主
材料100に対して、Cd粉末を0.01〜10の重量
比率の範囲で添加量を変化させたソース材料を用いて作
成した各CdTe膜を評価した結果、実施例1の場合と
同様に、何れも良質なCdTe膜であることが確認され
た。即ち、得られた各CdTe膜のX線回折パターンで
は(111)面に配向したCdTeの存在が観測され、
また、膜中のCdとTeの比率がほぼ1:1であり、C
dS膜の侵食も観測されなかった。これにより、0.0
1〜10の重量比率でのCdの添加作用により、上記未
反応Teによる弊害が除かれ、上記〜の何れのCd
Teを用いても、良質なCdTe膜が得られることが確
認された。
【0028】《実施例3》市販のCdTe粉末を主材料
とし、主材料100に対して0〜12の重量比率の範囲
でCd粉末の添加量を変化させた各種組成のソース材料
を用い、これに溶剤としてエチレングリコールモノフェ
ニルエーテルを添加してペーストを作製し、ソース保持
体としてのガラス基板上にスクリーン印刷した後、20
0℃で1時間乾燥して、ソース材料層2としての膜を形
成した。上記以外は、実施例1に示したと同様の方法で
CdTe膜を作製した。
【0029】主材料であるCdTe粉末100に対して
0〜10の重量比率の範囲でCdを添加したソース材料
を用いて得られたCdTe膜を評価した結果、実施例1
の評価結果と同様に、X線回折パターンにおいては(1
11)面に配向していることが確認され、また、化学分
析により、膜中のCdとTeのモル比率がほぼ1:1と
いう結果を得た。これに対して、主材料100に対して
Cdの添加量を11〜12の重量比率とした場合には、
実施例1の場合と同様に、Cdの添加量の増加に伴い製
膜速度が極端に低下し、X線回折パターンで低いCdの
ピークが観測された。また、化学分析からも、膜中のC
dの比率が高くなる傾向が見られた。さらに、CdS膜
とCdTe膜の界面近傍を断面SEMで観察した結果、
Cdを添加しなかった場合、CdSが侵食され、部分的
に欠除した個所が存在していることが確認できた。
【0030】さらに、主材料100に対して、0.5の
重量比率でCdを添加したソース材料を用い、上記の印
刷法により、ソース材料層2の膜を形成したソース保持
体を100枚作製し、一回の製膜毎にソース保持体を取
り替えて、同一条件にて100枚のCdTe膜の製膜を
行った。この場合には、1回目に製膜したCdTe膜と
100回目に製膜したCdTe膜の膜厚は何れも約5μ
mであり、殆ど変化が無かった。また、0.5の重量比
率でCdを添加したソース材料を用い、実施例1と同様
に、ソース材料をソース保持体1上に撒いてソース材料
層2を形成し、このソース材料層2を取り替えることな
く連続して、100枚のCdTe膜の製膜を行った。こ
の場合には、100回目に製膜したCdTe膜は1回目
と比較してCdTe膜の膜厚が10%程度薄く、下地の
CdS膜の侵食も若干観測された。これは初期製膜回数
において、添加したCdが優先して昇華するため、後期
製膜回数では、ソース材料中のCdが不足気味の状態に
変化したことと、製膜を重ねるに伴ってソース材料量が
減少して、製膜速度が低下したことによると考えられ
る。
【0031】以上のことから、ペースト状にしたソース
材料をソース保持体上に塗布してソース材料層を形成す
ることにより、良質なCdTe膜を、小さなバラツキ範
囲で製膜できることが確認された。尚、上記各実施例で
は、ソース保持体として、カーボン板を用いたが、ガラ
ス板、金属板等の他の耐熱性材料を用いても同様の効果
が得られる。また、上記各実施例において、ソース材料
層と薄膜形成用基板の設定温度および両者の対向間隔、
製膜雰囲気、製膜時間などの製膜条件について、特定の
条件下でCdTe膜を製膜したが、これらの特定の製膜
条件以外の条件を適用した場合にも、同様の効果を得る
ことができる。
【0032】《実施例4》図2に、本発明の実施例とし
て作製した太陽電池の断面構造を示す。図2において、
ガラス基板5上に透明導電膜6、CdS膜7を順次形成
したものを薄膜形成用基板とし、実施例1で示した方法
により薄膜形成用基板上にCdTe膜8を形成した。こ
のCdTe膜8上に塩化カドミウムの水溶液をコート
し、水を蒸発させた後、400℃で30分間熱処理し、
CdTeのグレインを成長させた。
【0033】次いで、このCdTe膜8上に、炭素粉末
と樹脂の有機溶媒溶液からなる増粘剤とを練合して得ら
れたカーボンペーストをスクリーン印刷法により塗布
し、乾燥後焼き付けることにより、カーボン電極層9を
形成した。次に、カーボン電極層9の周囲のCdTe膜
8を金属製の治具で削り取ってCdS膜7の表面を露出
させた。この後、銀粉末とインジウム粉末および樹脂の
有機溶媒溶液からなる増粘剤とを練合して得られたペー
ストを、CdS膜7の露出面及びカーボン電極層9上に
塗布し、乾燥および焼き付けを行い、それぞれマイナス
側電極10、及びプラス側電極11としての銀インジウ
ム電極を形成した。
【0034】このようにして作製した太陽電池の変換効
率を、AM1.5、100mW/cm2の条件下で測定
した。図3にその測定結果を示す。図3より、主材料の
CdTe粉末100に対し、Cd粉末を0.01〜10
の重量比率で添加したソース材料を用いて作製した太陽
電池の変換効率が良好であり、中でも、0.5〜1.5
の重量比率のCd粉末を添加した場合、特に高い変換効
率が得られた。一方、Cdを添加しなかった場合と過剰
に添加した場合の変換効率は、Cd粉末を0.01〜1
0の重量比率で添加した場合より低い値を示した。これ
は、主として短絡電流の差異によるものである。
【0035】次に、実施例4の太陽電池の内、Cd粉末
の添加量が主材料100に対して1の重量比率のソース
材料を用いた場合の太陽電池を本発明の代表例とし、C
d粉末を添加しないソース材料を用いた場合の太陽電池
との分光感度特性を対比するため、相対電流強度を測定
した。その結果を図4に示す。図4より、Cd粉末を添
加量が主材料100に対して1の重量比率の場合には、
おもに500〜650nmの波長域で感度が向上してい
ることが分かる。これは、ソース材料にCdを添加する
ことにより、CdS膜とCdTe膜の界面のCdTe膜
の結晶性が向上し、取り出し得るキャリアが増加したた
めと考えられる。
【0036】なお、上記各実施例では、透明導電膜とし
て酸化錫膜を用いたが、酸化インジウム錫膜、酸化亜鉛
膜等の他の膜を用いた場合でも同様の効果が得られる。
また、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウムを熱分解
させてCdS膜を製膜したが、他のカドミウム有機錯体
を用いて熱分解させる方法、液相成長法、近接昇華法、
蒸着法、スパッタ法など他の手法で製膜した場合にも、
同様の効果が得られる。また、実施例4では、実施例1
によるCdTe膜を用いて太陽電池を作製したが、実施
例2、3の方法によるCdTe膜を用いても同様の効果
が得られる。さらに、実施例4では硼珪酸ガラス製の透
光性基板上に、透明導電膜、CdS膜を順次形成した薄
膜形成用基板を用いてCdS/CdTe太陽電池を作製
したが、透光性基板としてソーダガラス製などの他のガ
ラス基板、あるいはガラス基板以外の他の透光性基板を
用い、これらの透光性基板上にCdS膜以外のCdZn
S膜等の他のn型半導体膜を形成したCdTe系の各種
太陽電池を同様の方法で作製することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、Cd粉末とTe粉末を
主成分とする出発材料を熱処理して作製した低コストな
CdTe粉末をソース材料の主成分として用いた場合で
も、良質なCdTe膜が製造できる。このようにして得
られるCdTe膜を用いることにより、安価で変換効率
が高い太陽電池の作製が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のCdTe膜製膜時の主要部材
配置を示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施例の太陽電池の模式断面図であ
る。
【図3】ソース材料へのCdの添加量と太陽電池の変換
効率の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例と比較例の太陽電池の分光感度
特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ソース保持体 2 ソース材料層 3 スペーサ 4 薄膜形成用基板 5 ガラス基板 6 透明導電膜 7 CdS膜 8 CdTe膜 9 カーボン電極層 10 マイナス側電極 11 プラス側電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソース保持体上に設けたソース材料層と
    薄膜形成用基板とを空隙を挟んで近接させて対向配置
    し、前記ソース材料層中のソース材料を前記薄膜形成用
    基板よりも高温になるように加熱することにより、前記
    ソース材料を昇華させ、前記薄膜形成用基板上に薄膜を
    形成するテルル化カドミウム膜の製造方法において、前
    記ソース材料が、テルル化カドミウムを主成分とする主
    材料100に対して、カドミウムを0.01〜10の重
    量比率で添加したものであることを特徴とするテルル化
    カドミウム膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 テルル化カドミウムが、カドミウム粉末
    とテルル粉末、あるいはカドミウム粉末とテルル粉末お
    よびテルル化カドミウム粉末を混合したものを熱処理し
    て生成させたテルル化カドミウム粉末であることを特徴
    とする請求項1に記載のテルル化カドミウム膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ソース材料層が、前記ソース材料を含む
    ペーストを前記ソース保持体上に塗布した後、乾燥する
    ことにより形成された塗布膜であることを特徴とする請
    求項1あるいは請求項2に記載のテルル化カドミウム膜
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 透光性絶縁基板上に透明導電膜が形成さ
    れ、前記透明導電膜上に、n型半導体としての硫化カド
    ミウム膜が形成された薄膜形成用基板上の前記硫化カド
    ミウム膜上に、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法によりp型半導体としてのテルル化カドミウム膜を形
    成することにより、p−n接合が形成された太陽電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008032461A1 (fr) * 2006-09-14 2008-03-20 Shimadzu Corporation Procédé de fabrication d'un détecteur de lumière ou de rayonnement, et détecteur de lumière ou de rayonnement
JP2012516573A (ja) * 2009-01-29 2012-07-19 ファースト ソーラー インコーポレイテッド 改良された結晶配向性を有する太陽光発電装置

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