JP2000357636A - 電気化学エネルギー貯蔵素子用電極、その製造方法、およびそれを用いた電気化学エネルギー貯蔵素子 - Google Patents

電気化学エネルギー貯蔵素子用電極、その製造方法、およびそれを用いた電気化学エネルギー貯蔵素子

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JP2000357636A
JP2000357636A JP11170238A JP17023899A JP2000357636A JP 2000357636 A JP2000357636 A JP 2000357636A JP 11170238 A JP11170238 A JP 11170238A JP 17023899 A JP17023899 A JP 17023899A JP 2000357636 A JP2000357636 A JP 2000357636A
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JP
Japan
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electrode
vanadium
energy storage
electrochemical energy
anode
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JP11170238A
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English (en)
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Takeshige Ichimura
剛重 市村
Tomoo Iwata
友夫 岩田
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化ルテニウムに替わる安価な電極材料を見
出し、その製造法および安価な電気化学エネルギー貯蔵
素子、特に電気化学キャパシタを提供すること。 【解決手段】 低原子価バナジウムの溶液を陽極酸化し
て、陽極に付着したバナジウム低級酸化物を掻き取って
得た粉末とカーボン粉末とを混合し、およびバインダを
添加し、および混練して電極とすることを特徴とする電
気化学エネルギー貯蔵素子の電極の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気化学キャパシタ
等の電気化学エネルギー貯蔵素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気エネルギー貯蔵素子の代表的なもの
として、二次電池および電気二重層キャパシタが挙げら
れる。
【0003】この中で二次電池は電気エネルギーを化学
エネルギーに変換して蓄電する手軽な電源として、古く
から独壇的に使われてきた。特に、1980年代になっ
て小容量モバイル機器用の小型軽量電源、電気自動車用
の高性能二次電池の要求のもとに、ニッケル水素電池、
リチウムイオン電池等の新型二次電池が開発され今日の
隆盛をみている。
【0004】ところが、二次電池が広く使われ、その性
能のより一層の向上が求められる様になって、次のよう
な限界と問題点が指摘される様になってきた。
【0005】(1)充放電繰り返し寿命が短い、正常な
充放電条件においても2000回が限度である。
【0006】(2)出力密度が小さい(電流が取れな
い)。エネルギー密度は向上し電池は長持ちするように
なったが、大きな出力に対応するのには不向きである。
【0007】(3)充電量のチェックが難しい、使用者
の立場から現状の充電状況が判らないのは都合が悪い。
【0008】これらの問題は、二次電池の動作原理に関
わるもので本質的には避けられない。根本的な解決策と
して、別の原理に基づいた電気化学エネルギー貯蔵素子
である電気二重層キャパシタに注目された。蓄電機能を
持たせ得る程の高容量キャパシタは蓄電原理から上述の
欠点は完全に解決されるものの、エネルギー密度が小さ
い欠点がある。
【0009】図6はやや古いデータであるが電気化学エ
ネルギー貯蔵素子の主要な特性であるエネルギー密度と
出力密度の特性マップを示したものである。このマップ
上で二次電池はエネルギー密度を追求する方向に位置し
ている。一方、電気二重層キャパシタは出力密度は大き
いがエネルギー密度は小さい。このマップ上で両者の中
間、つまり出力密度が大きくてしかもエネルギー密度も
ある程度の大きさをもつ電気化学エネルギー貯蔵素子が
望まれる。この狙いから、電気二重層キャパシタをさら
に進化させ、エネルギー密度を改善した電気化学キャパ
シタがB.E.ConwayによってJ. Electrochem. Soc., Vol.
138, No6, p1539(1991)に提案された。
【0010】このConwayの提案を受けて酸化ルテニウム
を主に用いた電気化学キャパシタの開発が進められてい
る。例えばJ.P.Zheng等はJ. Electrochem. Soc., Vol.1
42,No8, p2699(1995)において、ルテニウム塩化物水溶
液を水酸化ナトリウムでpHに7にすることにより、ル
テニウム水酸化物の沈殿凝集物を形成して、その沈殿凝
集物を空気中で150℃で焼成した非晶質の酸化ルテニ
ウム水和物RuO2・0.5H2Oで大きな蓄積電荷量を
得ている。
【0011】このように電気化学キャパシタが電気化学
エネルギー貯蔵素子として有用なものであることが示さ
れたが、酸化ルテニウムがグラムあたり1ドルと高価で
あり、特殊な用途には対応できても広く汎用に対応する
ことは難しいという問題を抱えている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】酸化ルテニウムを用い
た電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタよりエ
ネルギー密度において優れるが、酸化ルテニウムを用い
るために高価なものになる。本発明の課題は酸化ルテニ
ウムに替わる安価な材料を見出し、安価な電気化学キャ
パシタを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、高出力密度お
よび高エネルギー密度を有する安価な電気化学エネルギ
ー貯蔵素子、特に電気化学キャパシタに関する。本発明
はまた、前記の電気化学エネルギー貯蔵素子に用いる電
極に関する。さらに、本発明は前記電極の製造方法に関
する。
【0014】本発明の第1の実施の形態は、陽極酸化で
陽極に付着したバナジウム低級酸化物を掻き取って得た
粉末とカーボン粉末とを混合し、およびバインダを添加
して混練して電極とすることを特徴とする電気化学エネ
ルギー貯蔵素子用電極の製造方法である。
【0015】本発明の第2の実施の形態は、陽極酸化の
電解液中にカーボン粉末を懸濁させ、および前記電解液
を撹拌してカーボン粒子を陽極に衝突させながら陽極酸
化を行い、バナジウム低級酸化物を担持したカーボン粉
末を得て、このカーボン粉末にバインダを添加し、およ
び混練して電極とすることを特徴とする電気化学エネル
ギー貯蔵素子用電極の製造方法である。
【0016】本発明の第3の実施の形態は、陽極に多孔
性カーボンシートを用いて陽極酸化を行い、多孔性カー
ボンに直接、バナジウム低級酸化物を担持させて形成さ
れたシートを電極とすることを特徴とする電気化学エネ
ルギー貯蔵素子用電極の製造方法である。
【0017】本発明の第4の実施の形態は、陽極酸化の
陽極に用いる前記多孔性カーボンシートの抵抗率は0.
013Ωcm以下であることを特徴とする第3の実施の
形態に記載の電極の製造方法である。
【0018】本発明の第5の実施の形態は、第1〜4の
実施の形態のいずれかに記載の製造方法で作成されたこ
とを特徴とする電気化学エネルギー貯蔵素子の電極であ
る。
【0019】本発明の第6の実施の形態は、少なくとも
2つの電極と電解質を含む電気化学エネルギー貯蔵素子
において、前記2つの電極が請求項1〜4のいずれか1
つに記載の方法で作成された電極であることを特徴とす
る電気化学エネルギー貯蔵素子である。
【0020】本発明の第7の実施の形態は、前記2つの
電極のバナジウム低級酸化物の含有量が、カーボンに対
して15重量%〜50重量%であることを特徴とする請
求項5に記載の電気化学エネルギー貯蔵素子である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記の課題に鑑み
て、安価な素材たとえば、RuO2の1/10以下であ
り、かつ電気化学エネルギー貯蔵素子、特に電気化学キ
ャパシタの特性の前提となる電荷の蓄積特性を有するよ
うな材料の探索を重ねてきた。 その結果、バナジウム
低級酸化物において蓄積電荷量がRuO2に匹敵する程
大きいことを見出した。
【0022】バナジウム低級酸化物は陽極酸化により作
製する。陽極酸化を利用した工業的製造法の例として、
電池(乾電池)の正極材料用二酸化マンガンの製造があ
り、この方法で得られた酸化マンガンはその微細構造を
反映して電池活性が大きいことが知られている。すなわ
ち、本発明で用いるバナジウム低級酸化物も、陽極酸化
で作成することにより、アモルファス構造として得ら
れ、および大きな比表面積が得られることが期待でき
る。
【0023】本発明で用いるバナジウム低級酸化物を調
製するためには、適当なバナジウムイオンを含む電解液
を用いる陽極酸化を用いることができる。そのような適
当なバナジウムイオンは、V4+、V3+、V2+およびV+
を含む。また、そのバナジウムイオンは、VO2+のよう
な適当な酸化物イオンの形態であっても良い。効率的な
陽極酸化を行うために、バナジウムイオンを含む化合物
は水に対して良好に溶解することが必要である。そのバ
ナジウムイオンを含む化合物は、4.0g/100gH
2O以上、好ましくは8.2g/100gH2O以上の溶
解度を有する。
【0024】上記の陽極酸化には、定電流酸化法、また
は定電圧酸化法を用いることができる。均一な組成のバ
ナジウム低級酸化物を調製するために定電流酸化法を用
いることが好ましい。
【0025】この陽極酸化の際に用いられる電極は、陽
極酸化中に化学的に変化せず、および電解液中にイオン
を放出しないことが望ましい。そのような電極材料は、
グラファイト、白金、金、銀、およびガラス状炭素を含
む。特に、陽極材料に関しては、酸化すべきバナジウム
イオンよりも高い酸化電位を有する材料を用いることが
望ましい。好ましい電極材料はグラファイト、ガラス状
炭素、および白金である。
【0026】図2(a)は、本発明において用いられる
陽極酸化装置の模式図である。定電流直流電源装置を、
陽極のグラファイト板と陰極の白金板とに接続し、両電
極を電解液に浸漬して、陽極酸化を行う。図2におい
て、1は陰極の白金板、2は陽極のグラファイト板、3
は定電流直流電源装置、4は酸化されるべきバナジウム
イオンを含有する水溶液、および5は陽極酸化により形
成されたバナジウムの低級酸化物を示す。
【0027】図2(b)は、上記の装置を用いて陽極酸
化を行った後の、陽極のグラファイト板2の状態を示す
図である。陽極2の全面に、均一にバナジウムの低級酸
化物5が付着しており、この低級酸化物を掻き取って、
電極材料を形成するのに用いる。
【0028】陽極酸化の際の電流は、陽極において酸素
ガスの発生が起きないことが必要であり、好ましくは
1.5〜8mA/cm2、より好ましくは2.0〜5m
A/cm2、最も好ましくは2.5〜3.5mA/cm2
の電流を用いることができる。陽極酸化の際の電位は、
前述のように酸化すべきバナジウムイオンの酸化電位よ
りも高く、かつ電極材料の酸化電位よりも低い電位を用
いる必要がある。
【0029】また、陽極酸化は、任意の温度で行うこと
ができるが、20〜95℃の範囲内で行われ、好ましく
は20〜60℃の範囲内で行われる。
【0030】さらに、陽極酸化に用いられるバナジウム
イオンを含む化合物の水溶液の濃度は0.10〜0.5
M(mol/L)の範囲内であり、好ましくは0.15
〜0.25M(mol/L)の範囲内である。
【0031】その場合の条件として、図1に示すよう
に、陽極全面において一様なバナジウム低級酸化物を得
るために、電解液中にある陽極全面で電流密度i0の一
様な陽極電流が電解液に向かって流れることが必要であ
る。図1において、陽極の抵抗率はρ(Ωcm)、長さ
はa、幅はb、および厚さはdである。また、陽極の長
さ方向の電圧降下△φ、陽極の先端(x=a)の電圧降
下Δφaとする。この場合、微小長さdxの長方形の領
域から電解液に向かって流れる電流I’は、
【0032】
【数1】
【0033】であり、I’に起因する電圧降下dΔφ
は、
【0034】
【数2】
【0035】である。従ってΔφaは上式をx=0から
aまで積分して、
【0036】
【数3】
【0037】となる。ここで、陽極全面の電位を一定範
囲内として、酸化生成物を均一にする必要がある。陽極
の過電圧特性からいって、Δφaを0.01V以下にす
る必要がある。陽極酸化に用いる電極を長さa=5c
m、幅b=2cm、厚さd=0.05cmとし、ならび
に電流密度i0=3mA/cm2に設定する際には、0.
01≧0.003ρ×52/(2×0.05)。したが
って、ρ≦0.013Ωcmの電極材料を用いることが
できる。
【0038】この陽極酸化法でバナジウム低級酸化物を
作製し、これ自体は導電性が小さいので導電補助剤とし
てカーボンと複合化してキャパシタ電極を作製する。
【0039】上記バナジウム低級酸化物とカーボンとの
複合材料を作成する際には、適当なバインダおよび溶媒
を用いて混練することができる。そのバインダは、バイ
ンダ自身は絶縁性であるので、少ない添加量で接着機能
を発現することができるものが望ましい。そのようなバ
インダは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等
のフルオロカーボン類などの有機ポリマー類を含む。好
ましいバインダは、PTFE、ポリヘキサフルオロプロ
ピレン、ポリクロロトリフルオロエチレンを含むフルオ
ロカーボン類である。混練の際に用いる有機溶媒は、当
該技術において知られているいずれの有機溶媒を用いる
こともできる。その有機溶媒は、バインダを良好に溶解
することおよびシート形成後の熱処理により容易に除去
できることが好ましい。好ましい有機溶媒は、メタノー
ル、エタノール、ブタノール、およびプロパノールであ
る。この混練は、ロールミルのような当該技術でよく知
られている混練手段を用いて実施することができる。
【0040】バナジウム低級酸化物、カーボンおよびバ
インダを含む上記複合材料を、押出、射出、圧縮成形等
のよく知られている方法により、シート状に成形するこ
とができる。あるいはまた、適当な支持体上に上記材料
を流延し、その後に熱および/または圧力を印加し上記
材料を結着させ、その後に支持体を剥離することにより
シート状材料を得ることもできる。
【0041】あるいはまた、電極材料を作成する第2の
方法は、電解液中に微粒子カーボン粉末を懸濁させ、こ
れを強く撹拌してカーボン粒子を陽極にぶつけながら陽
極酸化反応を行えば、カーボン粒子に直接、バナジウム
低級酸化物を直接担持させることが出来る。この場合、
微粒子、高分散担持となるメリットがある。このように
して得られたバナジウム低級酸化物粒子を担持したカー
ボン粉末を、上記のように、バインダと混練し、および
シート状に成形することにより、電極として用いること
ができる。
【0042】理想的には、第3の方法として、多孔質カ
ーボンシートを陽極として陽極酸化を行い、これに直接
バナジウム低級酸化物を担持しキャパシタ電極を作製す
ることができる。この場合には、陽極酸化に用いた陽極
を洗浄および乾燥することにより、そのまま電気化学エ
ネルギー貯蔵素子、すなわち電気化学キャパシタの電極
として用いることができ、上記の混練およびシート成形
の工程を省略することが可能である。
【0043】上記で得られた本発明のバナジウム低級酸
化物を含有する電極材料を用いて、電気化学キャパシタ
を作成する。電気化学キャパシタは、少なくとも2つの
電極と、前記電極間に位置する電解液とを備える。加え
て、外装ケース、および接続端子を備える。さらに必要
に応じて、セパレータ、および絶縁シートを備えてもよ
い。
【0044】本発明においては、平面状電極を用いて、
外形が直方体であるキャパシタを形成してもよいし、あ
るいはまた、2つの電極とセパレータと絶縁材料との組
み合わせを螺旋状に巻いて円柱形状のキャパシタを形成
してもよい。また、当該技術でよく知られているよう
に、複数個のキャパシタを積層して1つのキャパシタ素
子とすることもできる。
【0045】本発明の電気化学キャパシタの2つの電極
は、双方ともに前記バナジウム低級酸化物を含む材料で
形成される。
【0046】本発明の電気化学キャパシタに用いる外装
ケースおよび接続端子は、当該技術でよく知られている
いずれの材料および手段を用いることができる。
【0047】本発明の電気化学キャパシタに用いる電解
液は、当該技術で知られている非水溶液系のいずれのも
のも使用することができる。電解液は、電解質およびそ
れを溶解する溶媒を含む。電解液は、さらに当該技術に
おいて知られている添加物を加えることができる。その
電解質は、バナジウム低級酸化物と反応して電荷を蓄積
する作用を有するイオンを含む必要があり、そのような
イオンとしてLi+を含む。また、その電解質は、本発
明の電気化学キャパシタの動作中に遭遇する可能性のあ
る電位において、バナジウム低級酸化物との反応以外の
酸化/還元等の化学変化を受けないことが好ましい。そ
のような電解質の例は、LiClO4、LiBF4、Li
PF6、およびLiClなどを含む。電解液の溶媒は、
炭酸プロピレン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、アセトニトリルおよびジメチルスルホキ
シド等の当該技術で用いられる溶媒を用いることができ
る。本発明で用いる電解液は、その比伝導率において、
5.0mScm-1以上で、好ましくは13mScm-1
上である。
【0048】本発明の電気化学キャパシタにおいて設け
てもよいセパレータは、当該技術においてよく知られて
いるセパレータを用いることができる。そのセパレータ
は絶縁体であり、2つの電極の間に設置されて、2つの
電極の電気的接触を阻止すると同時に、電解液中のイオ
ンが容易に通過させるものである。セパレータに用いら
れる材料は、必要とされる強度を有する多孔性のポリマ
ーシートであり、用いられる電解液と相互作用しないも
のである。そのような材料は、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、およびナイロン等を含む。
【0049】本発明の電気化学キャパシタにおいて設け
てもよい絶縁シートは、当該技術においてよく知られて
いる絶縁材料を用いることができる。その絶縁シート
は、2つの電極の背面が電気的に接触することを防止す
るために用いられる。従って絶縁シートは電解液中のイ
オンを通過させないような無孔性材料であり、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、およびポリイミドのような材料
を用いて形成することができる。
【0050】
【作用】本発明によって、実用に耐えうる安価な素材で
あるバナジウム低級酸化物とカーボンと複合化した電極
材料が得られ、これを用いることにより安価な電気化学
エネルギー貯蔵素子、すなわち電気化学キャパシタを作
製することが出来る。
【0051】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明する。
【0052】(実施例1)図2に示した装置構成で、表
1の陽極酸化条件でグラファイト板にバナジウム低級酸
化物を付着させる。
【0053】
【表1】
【0054】用いた白金板の大きさは20mm×50m
m、グラファイト板は15mm×50mmである。
【0055】付着する膜は、後述するように低級酸化物
であるので、化学量論的な記述はできないが、仮にV2
5であるとすれば、以下の反応式で近似できる。
【0056】 陽極:2VO2+ + 3H2O = V2O5 + 6H+ + 2e- 陰極:2H+ + 2e- = H2 グラファイト板上に厚膜状に付着したバナジウムの低級
酸化物を掻き取り、これを真空乾燥して得た粉末のX線
回折の結果を図7に示す。図7において、(a)は真空
乾燥したままの粉末、(b)は空気中200℃で20時
間処理した粉末、および(c)は空気中300℃で20
時間処理した粉末のX線回折図を示す。
【0057】(c)の空気中300℃で20時間処理し
た粉末のX線回折パターンは、V25構造を示している
が、(b)および(a)ではV25構造に至らない前段
の構造であることを示す。この構造を、本明細書中で
「低級酸化物」と呼ぶ。本発明においては、(b)およ
び(a)の構造を有するバナジウムの低級酸化物を用い
る。
【0058】グラファイト板上に厚膜状に付着したバナ
ジウム低級酸化物を掻き取り、これを真空凍結乾燥して
粉末を得、これをカーボンと混合して電極シートを作製
する。その手順を図3に示す。BP2000カーボン粉
末(キャボット社製カーボンブラック)とカーボンに対
して15重量%〜50重量%の活物質(バナジウム低級
酸化物)粉末、カーボンに対して4倍重量のエタノール
を乳鉢で機械的に混合する。ついで、この混合物にバイ
ンダとして市販品のテフロン懸濁液(PTFE30J)
を前記カーボン粉末に対して10重量%添加して、繊維
化が起こるまで混練する。繊維化が認められたら、ロー
ル機にかけて0.45mmギャップでシートを作製す
る。比較例となる電極を作成するために、バナジウム低
級酸化物を混合しないシートも、上記と同様に作成し
た。図4はカーボンに対して15重量%のバナジウム低
級酸化物を添加した電極シートのX線回折チャートを示
す。鋭いピークはバインダのピークで、バナジウム低級
酸化物はアモルファス状態であり、結晶構造はみられな
い。
【0059】このようにして得られたシートを電極とし
て用いて、キャパシタを作製し評価した。両電極ともに
前記シートから作成し、電極面積は1.0cm2であ
り、電極重量は40mgであり、2つの電極を50μm
厚のポリプロピレン製のセパレータを介して配置し、お
よび電解液には1M LiClO4/PC+DME(P
C:炭酸プロピレン;DME:1,2−ジメトキシエタ
ン)を用いた。このキャパシタの10mA/cm2の定
電流充放電特性を図5に示す。図5は、3つのキャパシ
タの特性を示しており、セル(a)はバナジウム低級酸
化物を含まない電極を用いたもの、セル(b)はバナジ
ウム低級酸化物を15重量%含んだ電極を用いたもの、
セル(c)はバナジウム低級酸化物を33重量%含んだ
電極を用いたものである。図から明らかなようにバナジ
ウム低級酸化物の添加量が増加するにつれて、容量が大
きくなりバナジウム低級酸化物の効果の著しいのが判
る。セル(c)の場合、電極重量当たりのエネルギー密
度は、20Wh/kgであり、電極重量あたりの出力密
度は1200W/kgであった。さらに、セル(c)
は、2V、10mA/cm2における2000回の充放
電を行っても、その特性に変化は認められなかった。
【0060】(実施例2)陽極に、抵抗率が0.013
Ωcm以下である多孔性カーボンシート(長さ5cm、
幅2cm、厚さ0.03cm、)を用いることを除い
て、実施例1の場合と全く同じ条件で陽極酸化を行う。
この際には、バナジウム低級酸化物はカーボンシートの
微細な空隙中に付着する。陽極酸化終了後、これを取り
出して、純水を用いる浸漬洗浄を2回行って、電解液を
除去する。つぎにこのカーボンシートを真空凍結乾燥を
行ってから、空気中60℃、15時間の加熱処理を行
う。バナジウム低級酸化物の添加量は15wt%〜50
wt%の範囲で任意に選ぶ。添加量の制御は、陽極酸化
電気量(電流×時間)で制御する。
【0061】このようにして得られた30重量%のバナ
ジウム低級酸化物を含む多孔性カーボンシートを用い
て、実施例1と同様にしてキャパシタを作成し、特性を
評価した。
【0062】電極重量当たりのエネルギー密度は18W
h/kgであり、電極重量当たりの出力密度は1200
W/kgであった。さらに2V、10mA/cm2にお
ける2000回の充放電を行っても、その特性に変化は
認められなかった。
【0063】(実施例3)陽極酸化の電解液中にカーボ
ン粉末(キャボット社製カーボンブラック)を懸濁させ
ることを除いて、実施例1と全く同じ条件で陽極酸化を
行う。電解液300mL中に、カーボン粉末3.0gを
懸濁させる。陽極酸化中は電解液は強力な攪拌状態にし
てカーボン粉末粒子が陽極に衝突するようにする。所要
の添加量から計算される陽極酸化電気量(電流×時間)
が終了した後、電解槽の下方に溜まったバナジウム低級
酸化物が担持されたカーボンのスラリーを採集して、純
水を用いて2回の遠心分離操作を行いスラリーを洗浄す
る。洗浄したスラリーを真空凍結乾燥して粉末(4.5
g)を得る。この粉末にバインダとして市販品のテフロ
ン懸濁液(0.3g)を添加して、繊維化が起こるまで
混練する。繊維化が認められたら、ロール機にかけて
0.45mmギャップでシートを作製する。
【0064】このようにして得られた30重量%のバナ
ジウム低級酸化物を含む多孔性カーボンシートを用い
て、実施例1と同様にしてキャパシタを作成し、特性を
評価した。
【0065】電極重量当たりのエネルギー密度は20W
h/kgであり、電極重量当たりの出力密度は1200
W/kgであった。さらに2V、10mA/cm2にお
ける2000回の充放電を行っても、その特性に変化は
認められなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明により、酸化ルテニウムに代わる
電極材料としてバナジウム低級酸化物が得られる。また
本発明によって得られるバナジウム低級酸化物は、陽極
酸化により容易に調製することができる。さらに本発明
により調製されたバナジウム低級酸化物を用いて形成さ
れた電気化学キャパシタは、大きなエネルギー密度およ
び出力密度を有するので、新たな電気化学エネルギー貯
蔵素子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電流分布を均一化するための電極の条件を示す
図である。
【図2】(a)は、陽極酸化の装置構成の模式図であ
り、(b)は、陽極酸化後の陽極の状態を示す模式図で
ある。
【図3】電極シート作製の手順を示す図である。
【図4】本発明で得られた電極シートのX線回折特性を
示すチャートである。
【図5】本発明で得られた電極シートを使ったキャパシ
タの定電流充放電特性を示すグラフである。
【図6】従来のエネルギー貯蔵素子の特性比較を示す図
である。
【図7】本発明の陽極酸化により得られたバナジウム低
級酸化物のX線回折図であり、(a)は、真空乾燥した
ままの粉末のX線回折図、(b)は、空気中200℃で
20時間処理した粉末のX線回折図、(c)は、空気中
300℃で20時間処理した粉末のX線回折図である。
【符号の説明】
1 陰極(白金板) 2 陽極(グラファイト板) 3 定電流直流電源 4 バナジウムイオン含有水溶液 5 バナジウム低級酸化物

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低原子価バナジウムの溶液を陽極酸化し
    て、陽極に付着したバナジウム低級酸化物を掻き取って
    得た粉末とカーボン粉末とを混合し、およびバインダを
    添加し、および混練して電極とすることを特徴とする電
    気化学エネルギー貯蔵素子用電極の製造方法。
  2. 【請求項2】 低原子価バナジウムの溶液の陽極酸化に
    おいて、前記溶液中にカーボン粉末を懸濁させ、および
    前記溶液を撹拌してカーボン粒子を陽極に衝突させなが
    ら陽極酸化を行い、バナジウム低級酸化物を担持したカ
    ーボン粉末を得て、前記カーボン粉末にバインダを添加
    し、および混練して電極とすることを特徴とする電気化
    学エネルギー貯蔵素子用電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 低原子価バナジウムの溶液の陽極酸化に
    おいて、陽極に多孔性カーボンシートを用いて陽極酸化
    を行い、多孔性カーボンに直接、バナジウム低級酸化物
    を担持させて形成されたシートを電極とすることを特徴
    とする電気化学エネルギー貯蔵素子用電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 陽極酸化の陽極に用いる前記多孔性カー
    ボンシートの抵抗率は0.013Ωcm以下であること
    を特徴とする請求項3に記載の電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の製造
    方法で作成されたことを特徴とする電気化学エネルギー
    貯蔵素子用電極。
  6. 【請求項6】 少なくとも2つの電極と電解質を含む電
    気化学エネルギー貯蔵素子において、前記2つの電極が
    請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法で作成された
    電極であることを特徴とする電気化学エネルギー貯蔵素
    子。
  7. 【請求項7】 前記2つの電極のバナジウム低級酸化物
    の含有量が、カーボンに対して15重量%〜50重量%
    であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学エネ
    ルギー貯蔵素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005260006A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Kri Inc キャパシタ及びその製造方法
JP2013220966A (ja) * 2012-04-13 2013-10-28 Univ Of Yamanashi 金属酸化物担持炭素紙の製造方法及び金属酸化物担持炭素紙

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