JP2000357499A - アルカリ蓄電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電槽などに変形や割れが発生するのを防止で
き、また、蓄電池材料中の水分の減少を防止して長寿命
化を図ることができる、アルカリ蓄電池を提供するこ
と。 【解決手段】 電槽１とこれを塞ぐ蓋２とからなる密閉
容器３内に蓄電池材料が収納されており、電槽１と蓋２
とは溶着接合されており、蓋２は、蓋本体２１に、少な
くとも安全弁２２が溶着接合されて構成されている。電
槽１及び蓋本体２１が、変性ＰＰＯ樹脂とＰＰＳ樹脂と
を含有した複合材でできており、安全弁２２が、変性Ｐ
ＰＯ樹脂のみで、又は変性ＰＰＯ樹脂とＰＰＳ樹脂とを
含有した複合材で、できており、該複合材のＰＰＳ樹脂
の含有割合が、電槽１及び蓋本体２１の複合材のそれよ
り小さく設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電槽及び蓋からな
る容器を改良してなる密閉形アルカリ蓄電池に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】水素吸蔵合金を主材とする負極を用いた
密閉形アルカリ蓄電池は、優れた充放電特性や取り扱い
の簡便さから、近年、その用途が拡大してきており、特
に電気自動車用電池としての需要が見込まれている。し
かし、電気自動車用電池としてのアルカリ蓄電池は、高
出力密度と高エネルギー密度とを兼ね備えるだけでな
く、車両に搭載するためにコンパクト且つ軽量でなけれ
ばならない。そこで、蓄電池材料を収納する容器を構成
する電槽などには樹脂が用いられており、ポリプロピレ
ン（ＰＰ）樹脂が、ヒートシール性や耐薬品性に優れて
いることから、電槽などに一般に用いられていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ＰＰ樹
脂は剛性及び耐熱性に劣るので、充放電中に生じた熱や
圧力によって電槽などに変形や割れが発生するという問
題があった。

【０００４】本発明は、電槽などに変形や割れが発生す
るのを防止でき、また、蓄電池材料中の水分の減少を防
止して長寿命化を図ることができる、アルカリ蓄電池を
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
電槽とこれを塞ぐ蓋とからなる密閉容器内に蓄電池材料
が収納されており、電槽と蓋とは溶着接合されており、
蓋は、蓋本体に、少なくとも安全弁が溶着接合されて構
成されている、アルカリ蓄電池において、電槽及び蓋本
体が、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂とポリフェニ
レンサルファイド樹脂とを含有した複合材でできてお
り、安全弁が、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂のみ
で、又は変性ポリフェニレンオキサイド樹脂とポリフェ
ニレンサルファイド樹脂とを含有した複合材で、できて
おり、該複合材のポリフェニレンサルファイド樹脂の含
有割合が、電槽及び蓋本体の複合材のそれより小さく設
定されていることを特徴としている。

【０００６】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明において、電槽及び蓋本体の複合材のポリフェニレン
サルファイド樹脂の含有割合が５０重量部以上９５重量
部以下であるものである。

【０００７】請求項３記載の発明は、請求項２記載の発
明において、安全弁の複合材のポリフェニレンサルファ
イド樹脂の含有割合が５０重量部以下であるものであ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明のアルカリ蓄電池、
具体的には５０Ａｈの電気自動車用ニッケル水素蓄電池
の単電池を示す外観斜視図である。この蓄電池は、電槽
１とこれを塞ぐ蓋２とからなる密閉容器３内に、正極、
負極、セパレータ、及び電解液からなる蓄電池材料を収
納して、構成されている。電槽１と蓋２とは部分４１に
て溶着接合されている。蓋２は、蓋本体２１に、安全弁
２２が溶着接合されるとともに正極端子２３及び負極端
子２４が取付けられて、構成されている。蓋本体２１と
安全弁２２とは部分４２にて溶着されている。

【０００９】図１に示すアルカリ蓄電池において、電槽
１、蓋本体２１、及び安全弁２２の構成材料をそれぞれ
表１及び表２のように設定して、実施形態１〜９及び比
較形態１〜６のアルカリ蓄電池を作製した。

【００１０】

【表１】

【００１１】

【表２】

【００１２】実施形態１〜９のアルカリ蓄電池と本発明
の請求項１〜３との対応関係は表３に示す通りである。

【００１３】

【表３】

【００１４】なお、請求項１〜３の発明が有する構成は
次の通りである。 ［請求項１］下記及びを有している。即ち、 電槽１及び蓋本体２１が、変性ポリフェニレンオキサ
イド（変性ＰＰＯ）樹脂とポリフェニレンサルファイド
（ＰＰＳ）樹脂とを含有した複合材でできている。 安全弁２２が変性ＰＰＯ樹脂のみでできている。又
は、安全弁２２が変性ＰＰＯ樹脂とＰＰＳ樹脂とを含有
した複合材でできており、該複合材のＰＰＳ樹脂の含有
割合が、電槽１及び蓋本体２１の複合材のそれより小さ
く設定されている。 ［請求項２］上記及びに加え、下記を有してい
る。即ち、 電槽１及び蓋本体２１の複合材のＰＰＳ樹脂の含有割
合が５０重量部以上９５重量部以下である。 ［請求項３］上記、、及びに加え、下記を有し
ている。即ち、安全弁２２の複合材のＰＰＳ樹脂の含
有割合が５０重量部以下である。

【００１５】実施形態１〜９及び比較形態１〜６のアル
カリ蓄電池について、次の試験を行った。なお、透水性
試験及び耐熱性試験については、電槽と同じ材料からな
る試験片を作製し、これを用いて行った。試験片は、電
槽と同じ材料のペレットを射出成形して角板を作製した
後、１ｍｍの厚さにプレスしてシート状とし、直径６０
ｍｍの円盤状に打抜いて、作製した。試験の結果は表４
及び表５に示した。

【００１６】［透水性試験］５０ｍｌの水を入れた１０
０ｍｌの容器の開口を試験片で塞いでシールし、この容
器を５０℃の恒温槽内に５６０時間放置した後、容器内
の水分重量の減少量を求めた。

【００１７】［耐熱性試験］試験片を１００℃の雰囲気
下に置き、その曲げ弾性率を測定した。

【００１８】［圧壊試験］蓄電池材料を収容していない
密閉容器３に内部から外向きの圧力を加えていき、部分
４１又は部分４２が破損した時の圧力を測定した。

【００１９】

【表４】

【００２０】

【表５】

【００２１】実施形態１〜９の試験結果と比較形態１〜
５の試験結果とを比較してみると、実施形態の方が、水
分重量減少量が小さいので透水性が低く、曲げ弾性率及
び圧壊強度が大きいので耐熱性及び剛性に優れている。
なお、透水性試験及び耐熱性試験の結果は、電槽１及び
蓋本体２１について示すものであり、安全弁２２につい
て示すものではないが、安全弁２２は密閉容器３におい
て僅かな表面積しか占めないので、密閉容器３の透水性
及び耐熱性には殆ど影響しない。従って、実施形態１〜
９のアルカリ蓄電池は、充放電中に生じた熱や圧力によ
って密閉容器３に変形や割れが発生するのを防止でき、
また、密閉容器３内の蓄電池材料中の水分の減少を抑制
して長寿命化を図ることができる。なお、全てにＰＰ樹
脂を用いた比較形態６の蓄電池は、透水性が非常に小さ
いが、耐熱性が極端に悪い。

【００２２】また、実施形態９と実施形態７，８とを比
較すると、実施形態７，８の方が、概ね、透水性が低
く、耐熱性が優れている、と言える。また、実施形態
７，８と実施形態１〜６とを比較すると、実施形態１〜
６の方が、概ね、耐熱性及び剛性が優れている、と言え
る。

【００２３】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、充放電中
に生じた熱や圧力によって密閉容器に変形や割れが発生
するのを防止でき、また、密閉容器内の蓄電池材料中の
水分の減少を抑制して長寿命化を図ることができる。

【００２４】請求項２記載の発明によれば、請求項１記
載の発明に比して、密閉容器の透水性を低くでき、しか
も、密閉容器の耐熱性を向上できる。

【００２５】請求項３記載の発明によれば、請求項２記
載の発明に比して、密閉容器の耐熱性及び剛性を向上で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のアルカリ蓄電池の単電池を示す外観
斜視図である。

【符号の説明】

１ 電槽 ２ 蓋 ２１ 蓋本体 ２２ 安全弁 ３ 密閉容器 ４１，４２ （溶着）部分

フロントページの続き (72)発明者 岸本 知徳 大阪府高槻市城西町６番６号 株式会社ユ アサコーポレーション内 (72)発明者 樋野 雄三 大阪府高槻市城西町６番６号 株式会社ユ アサコーポレーション内 (72)発明者 押谷 政彦 大阪府高槻市城西町６番６号 株式会社ユ アサコーポレーション内 (72)発明者 佐藤 登 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 八木 一彦 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 石倉 誉士 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 Ｆターム(参考） 5H011 AA01 BB03 CC02 DD13 KK02 5H012 AA07 BB01 EE01 5H028 AA07 EE06 HH01

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電槽とこれを塞ぐ蓋とからなる密閉容器
   内に蓄電池材料が収納されており、電槽と蓋とは溶着接
   合されており、蓋は、蓋本体に、少なくとも安全弁が溶
   着接合されて構成されている、アルカリ蓄電池におい
   て、 電槽及び蓋本体が、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂
   とポリフェニレンサルファイド樹脂とを含有した複合材
   でできており、 安全弁が、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂のみで、
   又は変性ポリフェニレンオキサイド樹脂とポリフェニレ
   ンサルファイド樹脂とを含有した複合材で、できてお
   り、該複合材のポリフェニレンサルファイド樹脂の含有
   割合が、電槽及び蓋本体の複合材のそれより小さく設定
   されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
2. 【請求項２】 電槽及び蓋本体の複合材のポリフェニレ
   ンサルファイド樹脂の含有割合が５０重量部以上９５重
   量部以下である請求項１記載のアルカリ蓄電池。
3. 【請求項３】 安全弁の複合材のポリフェニレンサルフ
   ァイド樹脂の含有割合が５０重量部以下である請求項２
   記載のアルカリ蓄電池。