JP2000355638A - ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物

Info

Publication number
JP2000355638A
JP2000355638A JP11235077A JP23507799A JP2000355638A JP 2000355638 A JP2000355638 A JP 2000355638A JP 11235077 A JP11235077 A JP 11235077A JP 23507799 A JP23507799 A JP 23507799A JP 2000355638 A JP2000355638 A JP 2000355638A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
polybutadiene
rubber
weight
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11235077A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiko Asano
之彦 浅野
Yoshimoto Baba
義甫 馬場
Masato Murakami
村上  真人
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP11235077A priority Critical patent/JP2000355638A/ja
Publication of JP2000355638A publication Critical patent/JP2000355638A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒径が2峰分布を呈するグラフトゴムを有す
る、耐衝撃性と、加工性が優れたバランスのよい新規な
スチレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 下記の特性を有する(A)成分30〜7
0重量%及び(B)成分70〜30重量%からなるポリ
ブタジエン組成物、及び、乳化剤からなることを特徴と
するゴムラテックス。 (A)成分:重量平均分子量が70万〜300万である
ポリブタジエン成分。 (B)成分:重量平均分子量(Mw)が5千〜7万であ
るポリブタジエン成分。、更に上記のラテックスに、ス
チレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体がグラフト
共重合されていることを特徴とするゴム状グラフト重合
体、並びに、スチレン系重合体及び上記のゴム状グラフ
ト重合体からなることを特徴とするのゴム強化スチレン
系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造または
成分を有するゴムラテックス、それを用いたゴム状グラ
フト重合体、及び、それを用いたゴム強化ポリスチレン
系樹脂組成物に関するものである。本発明は、ゴム粒子
径分布の異なるグラフトゴムにより、耐衝撃性が改良さ
れ、加工性が優れた新規なゴム強化ポリスチレン系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン共重合体(ABSポリマー)は、ゴム状重合体に、ス
チレン及びアクリロニトリル単量体がグラフト共重合さ
れており、耐衝撃強度が高く、曲げ弾性率が高く、熱た
わみ温度が高く、寸法精度が良好で、成形加工性等に優
れていることから、各種の成形材料に広く用いられてい
る。
【0003】ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴ
ム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエ
ンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンアクリロ
ニトリルゴム、イソプレンゴム、アクリルゴムなどをを
用いることができるが、ガラス転移点が低いハイシスポ
リブタジエンをグラフトゴムとして耐衝撃性が高く、好
ましく用いられていた。
【0004】グラフトゴムがABSの粘度を増加して、
射出成形の際、薄いものの成型品を成形する際、金型の
薄い部分に充填できないことがあり、加工性の優れた、
粘度を増加することが少ないグラフトゴムがスチレン系
樹脂組成物に望まれていた。
【0005】また、耐衝撃性をあげて、他の物性を保持
するために、ゴム状重合体のグラフト率を上げるため、
シスポリブタジエンの1,2-構造が異なるゴムを用いて、
グラフトゴムを製造することが開示されている(特開平
10−273509号公報参照)。
【0006】しかしながら、開示された方法では、高い
グラフト率のゴム状重合体ができ、耐衝撃性に優れると
いう特徴があるが、グラフトゴムの粒子径分布が単分散
であり、粘度が上昇する問題がある。
【0007】すなわち、耐衝撃性と加工性がバランスよ
く両方に優れるというABSポリマーが望まれていた。
【0008】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、特定の高分
子量のポリブタジエンと特定の低分子量のポリブタジエ
ンからなるポリブタジエン組成物を用いたゴムラテック
ス、及びグラフトゴムを提供し、さらに、耐衝撃性と、
加工性が優れたバランスのよい新規なスチレン系樹脂組
成物を提供する。
【0009】
【課題解決のための手段】本発明は、下記の特性を有す
るポリブタジエン(A)成分30〜70重量%及び
(B)成分70〜30重量%からなるポリブタジエン組
成物、並びに、乳化剤からなることを特徴とするゴムラ
テックスに関する。 (A)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が70万〜3
00万であるポリブタジエン成分。 (B)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が5千〜7万
であるポリブタジエン成分。
【0010】また、本発明は、上記の該ゴムラテックス
に、スチレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体がグ
ラフト共重合されていることを特徴とするゴム状グラフ
ト重合体に関する。
【0011】また、本発明は、スチレン系重合体、及
び、上記のゴム状グラフト重合体からなることを特徴と
するゴム強化スチレン系樹脂組成物に関する。
【発明の実施の形態】
【0012】本発明で用いられるポリブタジエン組成物
は、高分子量ポリブタジエン(A)成分と低分子量ポリ
ブタジエン(B)成分からなる。ポリブタジエンの
(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフ(G
PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が70万〜3
00万であり、好ましくは110万〜200万である。
また、トルエン中30℃で測定した固有粘度[η]とし
ては、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3.5
〜6である。
【0013】本発明で得られるポリブタジエンの(B)
成分のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
で測定した重量平均分子量(Mw)が5千〜7万であ
り、 好ましくは5千〜6万であり、特に好ましくは5千
以上3万未満であり、さらに特に好ましくは5千〜2.
5万であり、さらに特により好ましくは1万〜2.5万
である。また、トルエン中30℃で測定した固有粘度
[η]としては、好ましくは0.1〜0.5であり、よ
り好ましくは0.1〜0.4である。
【0014】本発明において、上記の(A)成分及び
(B)成分からなるポリブタジエンの製造方法として
は、特に限定しないが、(1)二段直列重合、例えば、
初槽で(A)成分を製造し、終槽で(B)成分を製造す
る方法、又は、初槽で(B)成分を製造し、終槽で
(A)成分を製造する方法、(2)一段重合、例えば、
(A)成分を製造し、ひき続き(B)成分を1槽で製造
する方法、又は、(B)成分を製造し、ひき続き(A)
成分を1槽で製造する方法、(3)二段並列重合、例え
ば、(A)成分と(B)成分を別々の槽で製造した後、
混合する方法(4)(A)成分及び(B)成分をそれぞ
れ、別々に製造したのち溶液ブレンド、溶融ブレンドな
ど混合する方法などが挙げられる。
【0015】中でも、第一重合工程で(A)成分を製造
し、次いで、第二重合工程で(B)成分を製造する二段
直列重合が好ましい。
【0016】高分子量ポリブタジエン(A)成分は、種
々の触媒系によりブタジエンを重合して製造することが
でき、触媒系によって種々のミクロ構造を有するポリブ
タジエンが得られる。例えば、コバルト化合物、有機ア
ルミニウム化合物及び水からなる触媒系、また、コバル
ト化合物、ニッケル化合物及び有機アルミニウム化合物
からなる触媒系(但し、コバルト化合物:ニッケル化合
物=1:0.01〜1(モル比))を挙げることができ
る。得られるポリブタジエンのシス−1,4− 構造含有
率は、80%以上であり、好ましくは85%以上であ
り、より好ましくは90%以上である。
【0017】具体的な触媒系および重合条件としては、
以下のものが挙げられる。
【0018】コバルト化合物としては、コバルトの塩や
錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化
コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸
コバルト等のコバルト塩や、コバルトのビスアセチルア
セトネートやトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸
エチルエステルコバルト、ハロゲン化コバルトのトリア
リールフォスフィン錯体、トリアルキルフォスフィン錯
体、ピリジン錯体やピコリン錯体等の有機塩基錯体、も
しくはエチルアルコール錯体などが挙げられる。
【0019】中でも、オクチル酸コバルト、ナフテン酸
コバルト、コバルトのビスアセチルアセトネート及びト
リスアセチルアセトネートが好ましい。られる。
【0020】ニッケル化合物を添加する場合は、ナフテ
ン酸ニッケル、ギ酸ニッケル、オクチル酸ニッケル、ス
テアリン酸ニッケル、クエン酸ニッケル、安息香酸ニッ
ケル、トルイル酸ニッケルなどの有機酸塩、ニッケルア
セチルアセトナートなどの有機錯化合物、アルキルベン
ゼンスルホン酸ニッケル、ニッケルオキシボレートなど
が挙げられる。中でも、オクチル酸ニッケルが好まし
い。
【0021】有機アルミニウム化合物としては、ハロゲ
ン含有アルミニウム化合物、トリアルキルアルミニウム
化合物などが挙げられる。
【0022】ハロゲン含有アルミニウム化合物として、
ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミ
ニウムブロマイドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキル
アルミニウムセスキブロマイドなどのアルキルアルミニ
ウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジクロライ
ド、アルキルアルミニウムジブロマイドなどのアルキル
アルミニウムジハライド等が挙げられる。
【0023】具体的化合物としては、ジエチルアルミニ
ウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノブロマ
イド、ジブチルアルミニウムモノクロライド、エチルア
ルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジク
ロライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノクロライ
ド、ジフェニルアルミニウムモノクロライドなどが挙げ
られる。
【0024】トリアルキルアルミニウム化合物として
は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。
【0025】コバルト化合物の使用量は、ブタジエン1
モルに対し、通常、コバルト化合物が5×10-7〜1×
10-4モル、好ましくは5×10-7〜1×10-5モルの
範囲である。
【0026】ニッケル化合物を用いる場合は、コバルト
化合物:ニッケル化合物=1:0.01〜1、好ましく
は、1:0.05〜0.5(モル比)の範囲である。
【0027】有機アルミニウム化合物の使用量は、コバ
ルト化合物1モルに対し、通常、10〜5000モル、
好ましくは50〜1000モルの範囲である。
【0028】水の使用量は、有機アルミニウム化合物
1モルに対して、通常、0.1〜1.2モル、好ましく
は0.2〜1.1モルである。
【0029】触媒成分の添加順序は特に制限はないが、
水、有機アルミニウム、コバルト化合物の順序に添加す
るのが好ましい。
【0030】重合方法は、特に制限はなく、溶液重合、
1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒とする塊状重合
などを適用できる。溶液重合での溶媒としては、トルエ
ン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘ
キサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水
素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水
素、1−ブテン、シス−2− ブテン、トランス−2−
ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリッ
ト、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒
や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙
げられる。
【0031】また、(a)遷移金属化合物のメタロセン
型錯体、(b)非配位性アニオンとカチオンとのイオン
性化合物、及び(c)周期律表第1〜3族元素の有機金
属化合物からなる触媒系、並びに、上記の(a)、
(b)、(c)に加えて更に(d)水を添加した触媒系
でブタタジエンを重合して高分子量ポリブタジエン
(A)成分を製造することができる。
【0032】得られるポリブタジエンのミクロ構造とし
ては、1,2−構造含有率は4〜30%、好ましくは5
〜25%である。シス−1,4−構造含有率が65〜9
5%、好ましくは70〜92%である。トランス−1,
4−構造含有率が5%以下、好ましくは4%以下であ
る。
【0033】低分子量ポリブタジエン(B)成分は、上
記の触媒系により同様に製造することができる。上記と
同様なミクロ構造を有するものが製造できる。例えば、
コバルト化合物、有機アルミニウム化合物及び水からな
る触媒系を挙げることができる。この場合、Co量、モ
ノマー濃度などの重合条件を変更する方法、また、連鎖
移動剤としてシクロオクタジエン(COD)を添加する
方法などによってポリブタジエンの分子量を調節するこ
とができる。
【0034】また、(a)遷移金属化合物のメタロセン
型錯体、(b)非配位性アニオンとカチオンとのイオン
性化合物、及び(c)周期律表第1〜3族元素の有機金
属化合物からなる触媒系、並びに、上記の(a)、
(b)、(c)に加えて更に(d)水を添加した触媒系
でブタジエンを重合して低分子量ポリブタジエン(B)
成分を製造することができる。
【0035】上記のメタロセン型錯体触媒を用いてポリ
ブタジエンを製造する場合、水素などの連鎖移動剤の存
在下重合させることにより分子量を調節することができ
る。
【0036】高分子量ポリブタジエン(A)成分を製造
するための水素の存在量は、共役ジエン1モルに対し
て、好ましくは 10ミリモル以下、あるいは、20℃
1気圧で0.24L以下であり、より好ましくは0.0
5〜5ミリモル、あるいは、20℃1気圧で0.001
〜0.12Lである。
【0037】得られるポリブタジエンのミクロ構造とし
ては、1,2−構造含有率は4〜30%、好ましくは5
〜25%である。シス−1,4−構造含有率が65〜9
5%、好ましくは70〜92%である。トランス−1,
4−構造含有率が5%以下、好ましくは4%以下であ
る。
【0038】(A)成分の高分子量ポリブタジエンと
(B)成分の低分子量ポリブタジエンとの割合は、
(A)成分30〜70重量%、好ましくは30重量%〜
50重量%であり、(B)成分70〜30重量%、好ま
しくは70重量%〜50重量%である。上記の範囲外で
あると、グラフトゴムの粒子径のバランスが適当ではな
く、耐衝撃性が低くなったり、グラフト率が上がりにく
い場合がある。
【0039】ここで重合すべきブタジエンモノマーと
は、全量であっても一部であってもよい。モノマーの一
部の場合は、上記の接触混合物を残部のモノマーあるい
は残部のモノマー溶液と混合することができる。
【0040】ブタジエンモノマー以外にイソプレン、
1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3− ブタジエ
ン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジ
エン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエン
などの共役ジエン、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、ブテン−2、イソブテン、ペンテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の非環
状モノオレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、
ノルボルネン等の環状モノオレフィン、及び/又はスチ
レンやα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ジ
シクロペンタジエン、5−エチリデン−2− ノルボル
ネン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等
を少量含んでいてもよい。
【0041】本発明のゴムラテックスは、上記のポリブ
タジエン組成物、及び、乳化剤からなることを特徴とす
るものである。
【0042】乳化剤としては、アニオン界面活性剤、カ
チオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性
剤が乳化剤として使われる。特にアニオン界面活性剤が
好ましく使うことができる。アニオン界面活性剤として
は、高級脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ア
ルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、モ
ノアルキルリン酸塩などが挙げられる。具体例として
は、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステ
アリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、アルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウ
ム、メチレンビスナフタリンスルホン酸ナトリウム、硫
酸アルキルナトリウムなどが挙げられる。乳化剤の使用
量としては、溶液に対して0.05〜3重量%、 ポリ
ブタジエン組成物に対しては、1〜10重量部が好まし
い。
【0043】上記のラテックスの製造方法としては、ポ
リブタジエンをn−ヘキサンに溶かし、乳化剤、水、水
酸化カリウムを加えた後高速撹拌できる装置で、上記ポ
リブタジエンの溶液を徐々に加えて乳化する、ついで溶
媒と水を留去してラテックスを得る。また、ラテックス
にジビニルベンゼンなど架橋剤を加えて架橋ラテックス
にしてもよい。
【0044】得られたラテックスは、粒径分布が好まし
くは、二峯性分布を有している。粒径分布は0.01〜
2.5μmであり、粒子径ピークが0.05〜0.5μ
と0.5〜3μm、好ましくは0.1〜0.3μmと
0.5〜2μmの範囲の二峰性粒子径分布を有する。ま
た、一般的には、ラテックス溶液のpHによって、界面
活性剤の働きにより単一粒子の凝集(会合)や分散によ
り粒径が調整される。
【0045】本発明のポリスチレン系樹脂組成物で用い
られるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、α−エチルスチレン、p−メチルスチレン
などが挙げられる。中でも、スチレンが好適に用いられ
る。
【0046】本発明のゴム状グラフト重合体で用いられ
る不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロ
ニトリルなどが挙げられる。中でも、アクリロニトリル
が好適に用いられる。
【0047】ゴム状グラフト重合体のスチレン系単量体
と不飽和ニトリル系単量体との重量割合は、スチレン系
単量体/不飽和ニトリル系単量体=80/20〜60/
40重量%の範囲である。スチレン系単量体、不飽和ニ
トリル単量体の他に、α,β−不飽和環状イミドとその
誘導体、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、
N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−
t−ブチルマレイミド、N−ラウロイルマレイミド、N
−フェニルマレイミド、N−(p−クロロフェニル)マ
レイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、メ
チルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアク
リレート、アクリル酸、無水マレイン酸などのビニル系
単量体を共重合成分として少量含でもよい。
【0048】ゴム状グラフト重合体(グラフトゴム)
は、上記の各成分を用いて常法に従ってグラフト共重合
により製造することができる。スチレン系単量体、不飽
和ニトリル単量体およびゴム状重合体を乳化重合して得
られるものであり、ゴム状重合体の重量平均粒子径が
0.01〜2.5μm、ゴム状重合体が30〜50重量
%、遊離のスチレン・不飽和ニトリル共重合体の重量平
均分子量が50,000〜100,000、グラフトされ
たスチレン・不飽和ニトリル共重合体の重量平均分子量
が60,000〜120,000のものが通常得られる。
【0049】(A)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマ
トグラフ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)
が70万〜300万であるポリブタジエン成分と (B)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が5千〜7万
であるポリブタジエン成分とからは、高分子量成分から
は、主に粒子径が0.5〜2.5μm、低分子量成分か
らは0.01〜0.3μmのグラフトゴムの粒子径が生
ずる傾向がある。
【0050】乳化重合は、以下の方法で行うことができ
る。すなわち、水とゴムラテックスを仕込み、60℃に
昇温した後、レドックス系開始剤、例えば、ピロリン酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、クメンハイドロパーオキサイ
ドを添加し、スチレン系単量体と不飽和ニトリル単量体
と連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタンと混合溶媒を徐
々に添加し最終的に150分かけて乳化重合をすること
ができる。重合終了後、酸化防止剤を添加し、硫酸にて
凝固をし、洗浄、脱水、乾燥してポリスチレン系樹脂組
成物(グラフトゴム)を得ることができる。
【0051】上記のゴムラテックスは、以下の方法で製
造できる。ポリブタジエンゴムを適当な溶剤に溶かし、
これに乳化剤を添加し、多価アルコールを添加する。こ
の場合、溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン
などの脂肪族または脂環式炭化水素を用いることができ
る。乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウム、不
均化ロジン酸カリウムなどのアニオン界面活性剤を用い
ることができる。多価アルコールとしては、エチレング
リコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなど
を用いることができる。乳化剤の量はポリブタジエンに
対して、1〜10重量%とすることが好ましい。ポリブ
タジエンを乳化させたのち、溶剤を留去することによ
り、粒径0.01〜2.5μm程度のラテックスを得る
ことができる。
【0052】本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、ス
チレン・不飽和ニトリル共重合体(SAN)と混合する
ことにより、ゴム強化スチレン系樹脂組成物(ABSポ
リマー)を得ることができる。混合の方法としては、該
ポリスチレン系樹脂組成物及びSANを単軸又は二軸押
出機などを用いて、溶融ブレンドする方法などが好まし
い。ABSポリマー中のゴム状重合体の含有量は、好ま
しくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重
量%であり、グラフトゴム含有量は25〜70重量%、
より好ましくは30〜60重量%である。
【0053】
【実施例】(参考例1) (ポリブタジエン組成物の製造)ミクロ構造は、赤外吸
収スペクトル分析によって行った。シス1,4構造74
0cm-1、トランス1,4構造 967cm-1、1,2
−構造 910cm -1の吸収強度比からミクロ構造を算
出した。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及
び、その比Mw/Mnは、ポリスチレンを標準物質とし
て用いたGPCから求めた。(A)成分と(B)成分の
割合は、GPCチャートの高分子量ポリブタジエンと低
分子量ポリブタジエンの面積比から算出した。
【0054】参考例 (1)(A)成分(高分子量ポリブタジエン)の製造 内容量 1.5Lオートクレーブの内部を窒素置換し、
あらかじめブタジエン30wt%、ベンゼン30wt%
および2−ブテン40wt%を混合した溶液1000m
Lを仕込み、室温にて水(H2O)を1.68mmol
添加し、700rpmで30分間強攪拌した。連鎖移動
剤としてシクロオクタジエン(COD)のシクロヘキサ
ン溶液(1mol/L)2.6mLを添加し、更にジエ
チルアルミニウムクロライド(DEAC)のシクロヘキ
サン溶液(1mol/L)2.5mlを添加し、室温で
5分間攪拌した。55℃に加温し、オクチル酸コバルト
(Co(Oct)2)のトルエン溶液(0.005mo
l/L)0.9mlを添加して重合を開始し、60℃で
25分間重合させた。老化防止剤を含むエタノール/ヘ
プタン(1/1)溶液5mLを添加し、重合を停止し
た。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエタノ
ールに投入し、ポリブタジエンを回収した。次いで、回
収したポリブタジエンを50℃で6時間真空乾燥した。
重合結果を表1に示した。 (2)(B)成分(低分子量ポリブタジエン)の製造 内容量1.5Lオートクレーブの内部を窒素置換し、あ
らかじめブタジエン20wt%、ベンゼン35wt%お
よび2−ブテン45wt%を混合した溶液1000mL
を仕込み、室温にて水(H2O)を1.14mmol添
加し、700rpmで 30分間強攪拌した。ジエチル
アルミニウムクロライド(DEAC)のシクロヘキサン
溶液(1mol/L)5.7mlを添加し、引き続きオ
クチル酸コバルト(Co(Oct)2)のトルエン溶液
(0.5mol/L)0.8mlを添加し、さらに70
℃で30分間重合させた。老化防止剤を含むエタノール
/ヘプタン(1/1)溶液5mLを添加し、重合を停止
した。オートクレーブ内部を放圧した後、重合液をエバ
ポレーターで濃縮し、次いで、回収したポリブタジエン
を50℃で6時間真空乾燥した。重合結果を表1に示し
た。
【0055】(ラテックスの製造)上記の製造例で得ら
れた高分子量ポリブタジエンと低分子量ポリブタジエン
混合溶液を用いた(表2)。まず、混合されたポリブタ
ジエン組成物1000gをn−ヘキサン5Lに溶かし、
オレイン酸ナトリウム50g添加し、完全に溶解した。
別に、水700重量部に水酸化カリウム0.9重量部溶
解した水溶液に、60℃に保ち、これに先に調製した上
記ポリブタジエンの溶液を除々に加えて乳化した後、ホ
モミキサーで攪拌した。ついで、溶剤と水の一部を留去
してラテックスを得た。このラテックスにジビニルベン
ゼン1.5重量部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチ
ルシクロヘキサン1重量部を添加して、120℃で1時
間反応させてポリブタジエン含有架橋ラテックスを調製
した。
【0056】(グラフトゴムの製造)上記のゴムラテッ
クス70重量部、水200重量部、水酸化ナトリウム
0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.9重量部、
硫酸第一鉄0.02重量部、アクリロニトリル9重量
部、スチレン21重量部、クメンハイドロパーオキサイ
ド1重量部、オレイン酸ナトリウム1重量部を仕込み乳
化重合を行った。重合温度は80℃で一定温度とした。
重合後、酸化防止剤を添加し、硫酸にて、固形分の析出
を行い、洗浄、脱水、乾燥を経て、グラフトゴムを得
た。
【0057】ゴム粒子径は、グラフトゴムをメッシュに
載せ、透過型電子顕微鏡で観察し、粒子径分布を調べ
た。グラフトゴムの粒子径(分布)を表3に示す。
【0058】(スチレン−不飽和ニトリル共重合体(S
AN)の製造)オートクレーブ内を十分に窒素で置換し
た後、スチレン単量体60重量部、アクリロニトリル単
量体30重量部、蒸留水120重量部、界面活性剤アル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.003重量部、
懸濁安定剤燐酸カルシウム0.6重量部、有機過酸化物
ベンゾイルパーオキサイド0.7重量部を仕込み、35
0rpmの割合で攪拌しつつ内温を80℃まで昇温し、
この温度で 9時間重合させた。次いで、2.5時間を
要して内温を120℃昇温し、この温度で2時間反応さ
せた。得られたスラリーを洗浄し、乾燥した。粉末状の
SANポリマーを得た。
【0059】(実施例1〜4)参考例1〜4のグラフト
ゴム30重量部とSAN70重量部を200℃で二軸押
出機によりブレンドしてペレットにした。得られたサン
プルを型締力 100トンの射出成形機により 230℃
で成形した。下記の物性を測定し、表4及び表5に示し
た。
【0060】ノッチ付アイゾット衝撃値:ASTM−2
56に準じた。厚みは1/8インチで行い、測定温度は
23℃の条件で測定した。 曲げ弾性率:ASTM−790に準じた。 成形性:流動長で表した。スパイラル型流路厚み1mm
の金型を用い、射出温度240℃、射出圧力150MP
aで測定した。L=長さ(mm)、T=厚み(mm)。
【0061】(比較例1〜2)A成分のみからなるグラ
フトゴムとB成分のみからなるグラフトゴムを製造し
た。後は実施例と同様に、SANとブレンドをおこない
成形片を得た。物性を表4及び表5に示した。
【0062】(比較例3)(ハイシスポリブタジエンの
乳化及びグラフトゴムの製造例とブレンド)ハイシスポ
リブタジエン(宇部興産社製UBEPOLE 13H
B)を参考例と同様に乳化し、ラテックスを架橋し、同
様にグラフト重合を行い、グラフトゴムを得た。グラフ
トゴムとSANを実施例と同様の組成にてブレンドし、
ペレットを得た。この試料のゴム径分布を測定した。さ
らに射出成形し耐衝撃値、曲げ弾性率及び成形性を測定
し、表4及び表5にまとめて示した。
【0063】
【発明の効果】本発明は耐衝撃性が高く加工性に優れた
バランスの良いポリスチレン系樹脂組成物を提供でき
る。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC03W AC03X AF023 BC03W BC08W BC09W BN15X BN151 EG026 EV186 EV256 FD312 FD313 FD316 HA07 4J026 AA68 AC18 AC33 BA04 BA05 BA31 BB03 DA02 DA05 DA08 DA17 DB04 DB08 DB16 FA02 GA01 GA09 GA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特性を有するポリブタジエン
    (A)成分30〜70重量%及び(B)成分70〜30
    重量%からなるポリブタジエン組成物、並びに、乳化剤
    からなることを特徴とするゴムラテックス。 (A)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
    PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が70万〜3
    00万であるポリブタジエン成分。 (B)成分:ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ(G
    PC)で測定した重量平均分子量(Mw)が5千〜7万
    であるポリブタジエン成分。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の該ゴムラテックスに、
    スチレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体がグラフ
    ト共重合されていることを特徴とするゴム状グラフト重
    合体。
  3. 【請求項3】 スチレン系重合体、及び請求項2に記載
    のゴム状グラフト重合体からなることを特徴とするのゴ
    ム強化スチレン系樹脂組成物。
JP11235077A 1999-04-12 1999-08-23 ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物 Pending JP2000355638A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11235077A JP2000355638A (ja) 1999-04-12 1999-08-23 ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10351299 1999-04-12
JP11-103512 1999-04-12
JP11235077A JP2000355638A (ja) 1999-04-12 1999-08-23 ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000355638A true JP2000355638A (ja) 2000-12-26

Family

ID=26444147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11235077A Pending JP2000355638A (ja) 1999-04-12 1999-08-23 ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000355638A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003306517A (ja) * 2002-04-15 2003-10-31 Nippon A & L Kk ゴム変性スチレン・アクリロニトリル系共重合体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003306517A (ja) * 2002-04-15 2003-10-31 Nippon A & L Kk ゴム変性スチレン・アクリロニトリル系共重合体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6812283B2 (en) Method for agglomerating dispersed rubber
KR860000302B1 (ko) 내충격성 수지의 제조방법
CA2787252C (en) Polybutadiene, modified polybutadiene, method for producing both, and rubber-reinforced styrene resin composition using same
JPH02261813A (ja) グラフト共重合樹脂
JP2000355638A (ja) ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物
JP2000103935A (ja) Abs系樹脂組成物
JP2003327639A (ja) ゴム強化樹脂ならびにその樹脂組成物
CA2372178A1 (en) Method for producing thermoplastic molding materials using rubber solutions
JP4403673B2 (ja) ポリスチレン系樹脂組成物
JP2002536515A (ja) 高衝撃性モノビニリデン芳香族ポリマー
KR20040070058A (ko) 고무 변성 내충격성 폴리스티렌계 수지 조성물
US3629370A (en) Process for the production of thermoplastic-elastic moulding compositions of high impact and notched impact strength
JP2762488B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
KR20000014172A (ko) 내충격성 및 열안정성이 우수한 내열성 열가소성 수지 제조방법
JPH10251478A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP3342808B2 (ja) 耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
US6423783B1 (en) Modified rubber polymer latex
JP5262424B2 (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2004027116A (ja) ゴムラテックス、ゴム状グラフト重合体及びゴム強化スチレン系樹脂組成物
JP3663815B2 (ja) ゴム強化スチレン系樹脂組成物
JPH1081813A (ja) 耐衝撃性および成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH1030047A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2004250691A (ja) 変性ポリブタジエン含有耐衝撃性樹脂組成物
JP2004315562A (ja) ゴム変性耐衝撃性樹脂組成物
JPH11181202A (ja) 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物