JP2000353642A - 電気二重層コンデンサ - Google Patents

電気二重層コンデンサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高駆動電圧下においても静電容量は高く、か
つ、内部抵抗も低い電気二重層コンデンサを提供する。 【解決手段】 正極である分極性電極12aとして従来
の活性炭電極を用い、負極である分極性電極12bとし
て、高静電容量・高エネルギー密度という特性を有する
活性炭Aと、低内部抵抗という特性を有する活性炭Bと
を混合した活性炭電極を用いる。これにより、高駆動電
圧下においても静電容量は高く、かつ、内部抵抗も低い
電気二重層コンデンサ1を作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電容量やエネル
ギー密度と、内部抵抗の特性が向上した電気二重層コン
デンサに関する。
【0002】
【従来の技術】分極性電極と電解質との界面に生じる電
気二重層を電荷蓄積手段として用いる電気二重層コンデ
ンサは、容量が大きいという特性から、DRAMなど半
導体素子のバックアップ用電源や、モーターの起動時の
電流供給源などの電気−機械エネルギー変換機構のバッ
クアップ用電源として利用されるようになっている。
【0003】通常、電気二重層コンデンサは、分極性電
極として活性炭電極を用いる。この活性炭電極に用いる
活性炭の賦活条件による物性、比表面積、細孔径は、電
気二重層コンデンサの静電容量、内部抵抗、蓄積エネル
ギーや耐電圧などの電気的特性に大きく影響する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば図2に
示すように、単一種の活性炭Aを用い圧縮成型された正
極及び負極の分極性電極を備えた電気二重層コンデンサ
2は、静電容量が19.6(F/cc)と高容量が得ら
れるが、内部抵抗が38.4(Ω)と高いという問題が
あった。また、単一種の活性炭Bを用い圧縮成型された
正極及び負極の分極性電極を備えた電気二重層コンデン
サ3は、内部抵抗は13.3(Ω)と低いが、静電容量
が15.7(F/cc)と低いという問題があった。す
なわち、単一種の活性炭を用いて圧縮成型された正極及
び負極の分極性電極を備えた電気二重層コンデンサで
は、静電容量が高く、内部抵抗は低いという特性のバラ
ンスのよい電気二重層コンデンサを得るのが困難であっ
た。特に負極の活性炭の特性が電気二重層コンデンサの
特性に大きな影響を与えていた。
【0005】上記事情に鑑み、本発明は、静電容量は高
く、かつ、内部抵抗も低い特性のバランスのよい電気二
重層コンデンサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1記載の発明は、分極性電極が、特性が異な
る複数種類の活性炭からなる電気二重層コンデンサであ
ることを特徴とする。
【0007】この請求項1記載の発明によれば、前記分
極性電極は、特性が異なる複数の原料活性炭を用いてい
るので、複数の原料活性炭の特性をそれぞれ生かした分
極性電極となる。従って、例えば、内部抵抗の低い活性
炭と、静電容量やエネルギー密度の大きい活性炭とを混
合することにより、静電容量やエネルギー密度は大き
く、さらに内部抵抗は低い電気二重層コンデンサを作製
できる。
【0008】ここで、原料活性炭の特性としては、分極
性電極としたときの内部抵抗や静電容量、エネルギー密
度などである。また、これらの特性は、活性炭の賦活条
件による物性、比表面積、細孔径により、ほぼ決定され
る。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の電気二重層コンデンサにおいて、前記分極性電極
は、互いに特性が異なる複数種類の活性炭をそれぞれシ
ート状に積層したことを特徴とする。
【0010】この請求項2記載の発明によれば、請求項
1記載の電気二重層コンデンサと同様優れた特性を示す
電気二重層コンデンサとなる。
【0011】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載の電気二重層コンデンサにおいて、前記分極性電極は
複数あり、これらのうち少なくとも一つは、特性が異な
る複数の活性炭を混合した混合活性炭電極であることを
特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例である電気
二重層コンデンサ1について、図を参照して詳細に説明
する。
【0013】図1は、電気二重層コンデンサ1の構成を
説明する断面概略図である。図1に示すように、板状の
セパレーター11と、セパレーター11の一面上に一体
的に設けられている分極性電極12a(単一種活性炭電
極)と、セパレーター11の他面上に一体的に設けられ
ている分極性電極12b(混合活性炭電極)と、分極性
電極12a,12bの上にそれぞれ一体的に設けられて
いて電気二重層コンデンサ1、外部と分極性電極12
a,12bとを接続する集電極13,13と、セパレー
ター11,分極性電極12a,12b,集電極13,1
3を覆うパッケージ14と、により構成されている。こ
こで、パッケージ14内部には電解液、例えばPC(プ
ロピレンカーボネイト)溶媒に電解質Et4NBF4(テ
トラエチルアンモニウム・テトラフルオロボーレイト)
を溶解したものが充填されている。
【0014】セパレーター11は、例えばPTFE(ポ
リテトラフルオロエチレン:テフロン)などの絶縁物質
からなる多孔質のフィルムである。
【0015】分極性電極12aは、単一種の活性炭Aを
シート状にした後に圧縮成型した活性炭電極である。す
なわち、周知の活性炭電極であり、正極として用いられ
る。活性炭Aは、例えば図5に示すように、比表面積が
2200〜2600程度(m 2/g)で細孔の平均径が
1.0〜1.6nm程度である。
【0016】分極性電極12bは、賦活条件が異なる二
種類の活性炭A,Bを混合してシート状にした後に圧縮
成型した活性炭電極であり、負極として用いられる。活
性炭Bは、例えば図5に示すように、比表面積が280
0〜3200程度(m2/g)で細孔の平均径が1.5
〜2.0nm程度である。ここで、活性炭Aのみで作製
した活性炭電極を正、負極に用いた電気二重層コンデン
サは、静電容量やエネルギー密度は高いが内部抵抗も高
いという性質を有しており、また、活性炭Bのみで作製
した活性炭電極を正、負極に用いた電気二重層コンデン
サは、内部抵抗は低いが、静電容量やエネルギー密度も
低いという性質を有している。また、分極性電極12b
での活性炭A,Bの混合比は例えば58vol%:42
vol%程度であるが、求める特性に応じて適宜変更し
てもよい。さらに、分極性電極12bの作製方法は、活
性炭A,Bを混合すること以外は周知の活性炭電極の作
製方法と概略同じである。
【0017】ここで、活性炭の賦活方法について説明す
る。活性炭の賦活方法は、大別してガス賦活法と薬品賦
活法がある。ガス賦活法は、前処理としての炭化処理に
より難黒鉛化性の炭素とした原料炭を、水蒸気雰囲気中
で600℃〜1000℃に加熱・保持することにより、
活性炭を賦活する方法である。また、薬品賦活法は、難
黒鉛化性の炭素とした原料炭に、カリウムなどの賦活薬
品を混ぜた後に600℃〜1000℃に加熱・保持する
ことにより、活性炭を賦活する方法である。これらの諸
条件を調節することにより、活性炭の細孔径は調節さ
れ、結果として内部抵抗や静電容量などの特性は調節さ
れる。
【0018】集電極13は導電性の板であり、例えばア
ルミ製である。また、集電極13の一端はパッケージ1
4の外に出ている。
【0019】パッケージ14は、対向させた2枚のプラ
スチックフィルムとメタル薄膜を積層したラミネートフ
ィルムであり、周縁部を密着させた周知のラミネートパ
ッケージであり、セパレーター11,分極性電極12
a,12b,集電極13,13を保護する。
【0020】次に、電気二重層コンデンサ1の使用方法
および特性について説明する。電気二重層コンデンサ1
の使用方法は、周知の電気二重層コンデンサと同じであ
るので、以下は電気二重層コンデンサ1の特性につい
て、図2を用いて詳細に説明する。
【0021】図2は、電気二重層コンデンサ1の静電容
量,エネルギー密度,内部抵抗を、従来の電気二重層コ
ンデンサである電気二重層コンデンサ2,電気二重層コ
ンデンサ3と比較して示す図表である。なお、各測定時
の電圧は3.5Vである。電気二重層コンデンサ2は、
正極,負極の双方に活性炭Aのみを用いて圧縮成型した
活性炭電極を使用している。また、電気二重層コンデン
サ3は、正極,負極の双方に活性炭Bのみを用いて圧縮
成型した活性炭電極を使用している。
【0022】まず、静電容量について説明する。電気二
重層コンデンサ1の静電容量は、18.3(F/cc)
である。これに対し、電気二重層コンデンサ2,3の静
電容量は、それぞれ19.6(F/cc),15.7
(F/cc)であった。以上から、電気二重層コンデン
サ1は、大きな静電容量を有することが判る。
【0023】次に、エネルギー密度について説明する。
電気二重層コンデンサ1のエネルギー密度は、30.6
(Wh/l)である。これに対し、電気二重層コンデン
サ2,3のエネルギー密度は、それぞれ31.6(Wh
/l),26.2(Wh/l)であった。以上から、電
気二重層コンデンサ1は、大きなエネルギー密度を有す
ることが判る。
【0024】内部抵抗について説明する。電気二重層コ
ンデンサ1の内部抵抗は17.9(Ω:オーム)であ
る。これに対し、電気二重層コンデンサ2,3の内部抵
抗は、それぞれ38.4(Ω),13.3(Ω)であっ
た。以上から、電気二重層コンデンサ1は、圧縮成型し
た分極性電極12a,12bを用いているにもかかわら
ず、実用的に問題ない程度の低い内部抵抗値を示すこと
が判る。
【0025】以上より、本発明の実施例である電気二重
層コンデンサ1によれば、正極である分極性電極12a
として従来の活性炭電極を用い、負極である分極性電極
12bとして、高静電容量・高エネルギー密度という特
性を有する活性炭Aと、低内部抵抗という特性を有する
活性炭Bとを混合した活性炭電極を用いたので、大きな
静電容量およびエネルギー密度を有すると共に内部抵抗
は低い、という電気二重層コンデンサとして望ましい特
性を示す。
【0026】なお、本発明は本実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の変形
が可能である。例えば、分極性電極12bに用いた活性
炭電極は、賦活条件の異なる2種類の活性炭を原料とし
たが、それ以上の種類の活性炭を原料として用いてもよ
い。この場合は、組み合わせる活性炭の特性の選択幅は
広がるため、分極性電極12bの特性すなわち電気二重
層コンデンサ1の特性の調節幅は広くなる。また、活性
炭電極A,Bの特性も任意に変形してよい。また、正極
である分極性電極12aを、分極性電極12bと同じ構
成としてもよい。
【0027】さらに、図3の断面概略図に示すように、
分極性電極12bと同じ構成とした活性炭電極12aの
上に、異なる組合せの複数種類の活性炭を原料とした活
性炭電極12c,12d・・・(混合活性炭電極)を積
層し、さらに、活性炭電極12bの上にも同様に、異な
る組合せの活性炭を原料とした活性炭電極12e,12
f・・・(混合活性炭電極)を積層して、それぞれ正極
・負極の活性炭電極としてもよい。この場合も、組み合
わせる活性炭の特性の選択幅は広がるため、電気二重層
コンデンサ1の特性の調節幅は広くなる。
【0028】さらに、図4の断面概略図に示すように、
正極として、単一の原料活性炭から成る活性炭電極12
aの上に、それぞれ賦活条件の異なる単一の原料活性炭
から成る活性炭電極12g,12h・・・を積層した電
極を用いて、さらに、負極として、活性炭電極12bの
代わりにそれぞれ賦活条件の異なる単一の原料活性炭か
ら成る活性炭電極12i,12j,12k・・・を積層
したものを用いても、同様の効果を得る。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、前記分極
性電極は、賦活条件が異なる複数の原料活性炭を用いて
作製されるので、複数の原料活性炭の特性をそれぞれ生
かした分極性電極となる。従って、例えば、内部抵抗の
低い活性炭と、静電容量やエネルギー密度の大きい活性
炭と、を混合することにより、静電容量やエネルギー密
度は大きく、さらに内部抵抗は低い電気二重層コンデン
サを作製できる。
【0030】また、請求項2や請求項3記載の発明によ
れば、請求項1記載と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例である電気二重層コンデンサ
1の構成を説明する断面概略図である。
【図2】電気二重層コンデンサ1の内部抵抗,静電容
量,エネルギー密度を、従来の電気二重層コンデンサで
ある電気二重層コンデンサ2,電気二重層コンデンサ3
と比較して示す図表である。
【図3】電気二重層コンデンサ1の一変形例の構成を説
明する断面概略図である。
【図4】電気二重層コンデンサ1の他の変形例の構成を
説明する断面概略図である。
【図5】原料となる活性炭単種での比表面積及び細孔径
を示す図表である。
【符号の説明】
1 電気二重
層コンデンサ 11 セパレー
ター 12a 分極性電
極 12b,12c,12d,12e,12f 分極性電
極(混合活性炭電極) 12g,12h,12i,12j,12k 分極性電
極 13 集電極 14 ラミネー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分極性電極が、特性が異なる複数種類の活
    性炭からなることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電気二重層コンデンサにお
    いて、 前記分極性電極は、互いに特性が異なる複数種類の活性
    炭をそれぞれシート状に積層したことを特徴とする電気
    二重層コンデンサ。
  3. 【請求項3】請求項1記載の電気二重層コンデンサにお
    いて、 前記分極性電極は複数あり、これらのうち少なくとも一
    つは、特性が異なる複数の活性炭を混合した混合活性炭
    電極であることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
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