JP2000353339A - 光ディスク基板 - Google Patents

光ディスク基板

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JP2000353339A
JP2000353339A JP11163516A JP16351699A JP2000353339A JP 2000353339 A JP2000353339 A JP 2000353339A JP 11163516 A JP11163516 A JP 11163516A JP 16351699 A JP16351699 A JP 16351699A JP 2000353339 A JP2000353339 A JP 2000353339A
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JP
Japan
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substrate
polycarbonate
optical disk
refractive index
glass transition
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JP11163516A
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Inventor
Masaya Ueda
昌哉 上田
Hiroyoshi Maruyama
博義 丸山
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】信号の転写性が良好で、基板のそりが少なく、
かつ、基板の垂直方向屈折率差が小さい、光ディスク基
板の提供。 【解決手段】下記式(1)のカーボネート結合単位の少
なくとも1種及び下記式(2)のカーボネート結合単位 【化1】 (式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル
基である。)を、全カーボネート結合単位中、式(1)
の結合単位の含有率が20〜80モル%となる割合で、
含むポリカーボネート共重合体又は重合体混合物であ
り、粘度平均分子量が10,000〜18,000であ
り、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルフ
ェノールで分子末端が封止されており、かつ、ガラス転
移温度が100℃〜140℃であるポリカーボネートを
用いて成形されたことを特徴とする光ディスク基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記憶媒体で
ある光ディスク基板に関するものであり、成形された透
明基板の性能、特に高転写性、低そり、低垂直方向屈折
率差を示す光ディスク基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ディスクの記録容量は、DVD(デジ
タルヴアーサタイルディスク)や高密度光磁気ディスク
の普及に伴い、ここ数年急激に増加している。記憶容量
が増加することによって、高品質の信号の記録が可能に
なるからである。近年、この光ディスクの市場の発展は
目覚ましく、その透明基板の高い品質や生産性が重要視
されるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光ディスクの透明基板
は、通常光学用のポリカーボネート樹脂の射出成形によ
り製造されており、スタンパーにあらかじめ刻印されて
いる、サブミクロンの大きさのピットやグルーブ(案内
溝)の形状を、基板に忠実に転写させることが必要であ
る。近年、その信号密度がより高くなり、それに伴いピ
ットやグルーブの深さが深くなり、グルーブ間隔も短く
なる。例えば、追記型のDVDであるDVD−Rにおい
ては、グルーブの深さは150nm以上になり、ピッチ
は0.80μm以下になる。そのため、より高度な信号
の転写技術が必要となる。さらに、DVD−ROM、−
R、−RAM、ASMO(次世代高密度光磁気ディス
ク)等の基板の単板の厚みは、従来のCDの1.2mm
と異なり、0.6mmと薄肉になるため、さらに転写が
困難になる。
【0004】光ディスク透明基板に一般的に用いられる
熱可塑性非晶質樹脂は、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート、非晶質ポリオレフィン等であるが、強
度、耐熱性等の面から、ポリカーボネートが一般的に使
用されている。高密度の信号を基板に転写させること
は、ポリカーボネートの粘度平均分子量を下げることに
より、成形時の溶融粘度が下がり流動性が向上すること
によって、ある程度は可能となっている。しかし、現在
CD(コンパクトディスク)やDVD−ROMの透明基
板に使用されている、光学用のポリカーボネートの粘度
平均分子量は、既に15,000程度であり、これ以上
分子量を下げても、転写性の著しい向上は期待できな
い。むしろ、これ以上分子量を低減することによって、
基板の強度が低下するという別の弊害が発生する。
【0005】第2の手段として、透明基板を射出成形す
る際、成形機のシリンダー温度を380℃以上に上げた
り、金型温度を135℃以上に上げることは、ある程度
は有効であるが、その様な高温成形では基板のそりが大
きくなったり、金型内でガスが発生したり、金型内での
冷却時間が長くなるため、成形サイクルが伸びて生産性
に劣るという問題が発生する。そこで、ポリカーボネー
トの分子量を下げることなく、かつ成形温度を上げず
に、転写が良好でそり量が小さい透明基板を製造する技
術が必要となる。さらには、高密度光磁気ディスクの場
合、従来の光ディスクと異なり、レーザーのレンズの開
口数が上がるため、基板に対して斜め入射成分が増大す
る。従来の光ディスク用ポリカーボネート樹脂で成形さ
れた基板の場合、基板の垂直方向屈折率差(面内の1軸
と厚み方向の軸の屈折率差)が大きいため、レーザーの
斜め入射成分が増大すると、信号特性のC/N比が低下
するという問題が発生する。
【0006】高密度の光ディスクの信号を転写させるた
めには、金型温度や樹脂温度を上げることによって効果
があることは良く知られている。しかし、例えば金型温
度を130℃以上に上げると急激にそりが増大する。こ
れは金型から取り出された基板の温度が高く、基板の弾
性率が低く柔らかいので、ねじれたり、椀状に変形する
ためである。樹脂のガラス転移温度を下げると、明らか
に転写性は向上するが、反面、金型から取り出された時
の温度での弾性率がより低くなるために、そりが増大す
る。従って、従来から用いられている光ディスク用のポ
リカーボネート樹脂では、基板の転写性とそりの関係は
相反する結果となっていた。
【0007】また、基板の垂直方向屈折率差を小さくす
るためには、従来より分子構造を改良して、光弾性係数
の低減、固有複屈折の低減等、様々な方法が試みられて
いる。例えば、特開平10−109950では、アセト
フェノン型ビスフェノールを部分的に用いることによっ
て、複屈折を減少させることを試みているが、アセトフ
ェノン型ビスフェノール構造の光弾性係数は、従来のビ
スフェノールAに比べて約3割程度しか減少しないた
め、基板の垂直方向屈折率差を小さくする、顕著な効果
は期待できない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、信号の転写性が良好で、基板のそりが少なく、
かつ、基板の垂直方向屈折率差が小さい、光ディスク基
板を発明した。ビスフェノールA型ポリカーボネートの
持つカーボネート結合単位と、式(1)で表される様な
側鎖にかさ高い芳香族基を持つカーボネート結合単位と
を、組合せることによって、基板の弾性率が増加し、成
形された基板のそりが減少することを見いだした。しか
しながら、単純に式(1)の結合単位を導入しても、ガ
ラス転移温度が増加し、信号の転写性が減少する。そこ
で、分子末端を、アルキル鎖が長いアルキルフェノール
で封止することによって、分子末端の自由度を増大さ
せ、式(1)の結合単位が導入されても、ガラス転移温
度の低下が達成できることを見いだした。さらには、驚
くべきことに、ガラス転移温度を低減することによっ
て、成形基板の垂直方向屈折率差も顕著に低減できるこ
とを見出した。
【0009】本発明は、上記の諸知見に基づいて達成さ
れたものであり、その要旨は、下記式(1)のカーボネ
ート結合単位の少なくとも1種及び下記式(2)のカー
ボネート結合単位
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基
又はフェニル基である。)を、全カーボネート結合単位
中、式(1)の結合単位の含有率が20〜80モル%と
なる割合で、含むポリカーボネート共重合体又は重合体
混合物であり、粘度平均分子量が10,000〜18,
000であり、炭素数10〜20のアルキル基を有する
アルキルフェノールで分子末端が封止されており、か
つ、ガラス転移温度が100℃〜140℃であるポリカ
ーボネートを用いて成形されたことを特徴とする光ディ
スク基板に存する。
【0012】本発明の別な要旨は、ポリカーボネートを
成形して得られる光ディスク基板に係わり、基板の構造
上は、厚み1.2mmの単板若しくは厚み0.6mmの
単板のみ、又は、いずれか一方の厚みの単板2枚の貼り
合わせによって形成されていること、信号上は、そのグ
ルーブの深さが150nm以上であり、グルーブのピッ
チが0.85μm以下であること、基板の垂直方向屈折
率差の値が300×10-6以下であること等の組み合わ
せに存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるポリカーボネートは、所定のジヒド
ロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホス
ゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニ
ルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエス
テル交換法によって得られる共重合体又は重合体混合物
であり、下記式(1)のカーボネート結合単位の少なく
とも1種及び下記式(2)のカーボネート結合単位
【0014】
【化3】
【0015】(式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基
又はフェニル基である。)を、全カーボネート結合単位
中、式(1)のカーボネート結合単位の含有率が20〜
80モル%となる割合で、含むことが必要である。式
(1)の結合単位が少なすぎると弾性率の増加、反りの
低減の効果は見られず、また多すぎるとガラス転移温度
が上がり過ぎて、末端変成によるガラス転移温度低減の
効果が達成されない。従って、式(1)の結合単位の含
有率は、通常20〜80モル%、好ましくは30〜60
モル%の範囲内から選ばれる。
【0016】式(1)のカーボネート結合単位を導入す
るジヒドロキシジアリール化合物の具体例としては、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルブタン及び1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビスフェニルメタン
からなる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニル化合物が挙げられ、式(2)のカーボネート
結合単位を導入するジヒドロキシジアリール化合物とし
ては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン[=ビスフェノールA]が挙げられる。
【0017】式(1)のカーボネート結合単位の導入方
法は、共重合法でも、機械的混合でもよい。共重合法
は、式(1)の結合単位を含む、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニル化合物の少なくとも
1種と、式(2)の結合単位を含む、ビスフェノールA
とを、所望の割合で、重合槽に仕込み、共重合させるこ
とによって行う。重合の形式は、特に制限はなく、既知
の溶液重合法、界面重縮合法(ホスゲン法)、溶融法
(エステル交換法)のいずれでもよい。また、機械的混
合法は、式(1)の結合単位を含む、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル化合物の少なく
とも1種と、式(2)の結合単位を含む、ビスフェノー
ルAとを、それぞれ別個に重合して、得られた重合体
を、2軸押出機等で混練するか、撹拌機付混合槽等で溶
液混合することによって行う。
【0018】また、上記の共重合又は機械的混合に際し
ては、所望ならば、ビスフェノールAの一部及び/又は
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ル化合物の一部を、上記式(1)及び式(2)以外の結
合単位を含むジヒドロキシジアリール化合物で置き換え
ることもできる。そのようなジヒドロキシジアリール化
合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)ブ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ
ニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シク
ロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−
テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエー
テル類、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィ
ド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルフォキシドのようなジヒドロキシジアリール
スルフォキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフォン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリー
ルスルフォン類等が挙げられる。もちろん、これらのカ
ーボネート結合単位で置き換える場合でも、全カーボネ
ート結合単位中、式(1)の結合単位の含有率が20〜
80モル%となる割合で、含ませることが必要であるこ
とに変わりはない。
【0019】本発明で使用されるポリカーボネートは、
光学的歪みが少ないことが要求されるため、分子量を低
下させて流動性を向上させることが望ましいが、ある限
度を超えると急激に強度が低下するので、その粘度平均
分子量は、通常10,000〜23,000、好ましく
は12,000〜20,000、より好ましくは14,
000〜18,000の範囲にすることが望ましい。ポ
リカーボネートが重合体混合物である場合は、重合体混
合物について粘度平均分子量を求める。ここでいう粘度
平均分子量(M)は、オストワルド粘度計を用い塩化メ
チレンを溶媒とする溶液の極限粘度(η)を測定し、以
下に示すSchnellの粘度式から算出される。 (η)=1.23×10-50.83
【0020】重要なことは、上記ポリカーボネートとし
て適切なガラス転移温度を有するものを選択することで
ある。すなわち、高記録密度の光ディスクを成形するに
は、ポリカーボネートは、100〜140℃、好ましく
は120〜139℃のガラス転移温度を有することが必
要である。ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性が不足
し、一方、高すぎると、垂直方向屈折率差の低減および
転写性の向上を図ることが極めて困難となる。ポリカー
ボネートが重合体混合物であり、ガラス転位温度が2つ
以上測定される場合は、いずれか1つが100〜140
℃、好ましくは120〜139℃の範囲にあればよい。
【0021】ポリカーボネートのガラス転移温度の低下
により、光ディスク基板の垂直方向屈折率差が低減する
ことは、以下のように説明される。基板の垂直方向屈折
率差は、基板表面のスキン層と内部のコア層の冷却速度
が異なり、冷却歪みが生じることによって生じる。スキ
ン層は金型からの冷却が直接作用するため、冷却速度が
大きく、一方内部のコア層はゆっくりと冷却固化が進む
ために、両者の間に歪みが生じ、垂直方向屈折率差の増
大に寄与すると考えられる。従って、ポリカーボネート
のガラス転移温度が低くなることによって、スキン層の
冷却固化する速度が減少し、内部のコア層との冷却速度
差が小さくなり、歪みが低減すると考えられる。
【0022】さらに、基板の垂直方向屈折率差は300
×10-6以下、好ましくは200×10-6以下が要求さ
れる傾向にある。基板の垂直方向屈折率差が300×1
-6を超えるとCN比が低くなりすぎて、特に高密度光
磁気ディスクにおいて信号の再生不良が起こりやすい。
また、望ましくは、面内位相差(ダブルパス)が20n
m以下が好ましい。ここで、基板の垂直方向屈折率差
は、次のように定義される。 VB=(Nx+Ny)/2−Nz 式中、VBは、垂直方向屈折率差であり、Nx、Nyお
よびNzは、それぞれ、基板のx軸(半径方向)、y軸
(円周方向)およびz軸(垂直方向)の屈折率である
(図1参照)。また、この垂直方向屈折率差の測定方法
は、特に制限はないが、通常、基板に斜め方向からレー
ザー光を入射したとき、基板通過に伴って生じた位相差
を実測し、下記の算式に従って、垂直方向屈折率差を算
出する方法が採られる(例えば、APPLIED OP
TICS 34[25]5719参照)。 VB=D(Rc+Rr) D=No(No2 −sin2 θ)1/2 /(2dsin2
θ) 式中、Dは、係数であり、RcおよびRrは、それぞ
れ、円周方向および半径方向の位相差である。また、N
oは、NxとNyとの平均値であり、θは、レーザー光
の入射角であり、dは、基板の厚さである。
【0023】また、ポリカーボネートのガラス転移温度
は、スタンパーが装着される側の金型の設定温度に近い
方がよい。具体的には、該金型の設定温度より0〜7℃
だけ高いガラス転移温度を有するポリカーボネートを使
用することが好ましい。
【0024】ポリカーボネートのガラス転移温度を、金
型温度に近づければ転写性向上が期待できる理由は次の
ように考えられる。通常、光ディスク基板の射出成形
は、後記するように射出圧縮法で行われるので、金型内
部で冷却中にも一定の型締め圧力がかかる。ガラス転移
温度を低くして金型温度に近づけると、冷却固化する速
度が小さいため、金型内部の冷却中でも樹脂の粘度が低
く、冷却中にスタンパーが樹脂に押し当てられる間にも
転写が促進されると考えられる。
【0025】上述のように、所定のガラス転移温度を達
成するためには、ポリカーボネートの分子末端が、炭素
数10〜20、好ましくは12〜17のアルキル基を有
するアルキルフェノールで封止されていることが必要で
ある。すなわち、本発明で使用される、末端封止剤とし
てのアルキルフェノールのアルキル基の炭素数が小さす
ぎると、末端に付与される分子鎖の長さが短いため可塑
化効果が少なく、ガラス転移温度低減の効果が発揮せ
ず、また、大きすぎるとガラス転移温度が下がり過ぎて
耐熱性に問題を生じて好ましくない。末端封止剤の具体
的な例としては、デシルフェノール、ドデシルフェノー
ル、トリデシルフェノール、ミリスチルフェノール、ペ
ンタデシルフェノール、パルミチルフェノール、ヘプタ
デシルフェノール、ステアリルフェノールが挙げられ
る。また、これらアルキルフェノールのアルキル基は、
ベンゼン核上の水酸基に対してo−、m−およびp−の
いずれの位置にあってもよく、直鎖状でも分岐鎖状でも
よい。好ましい末端封止剤としては、ドデシルフェノー
ル、トリデシルフェノール、ミリスチルフェノール、ペ
ンタデシルフェノール、パルミチルフェノール、ヘプタ
デシルフェノール等が挙げられる。本発明においては、
全末端の90モル%以上が上記アルキルフェノールで封
止されていることが望ましく、さらに望ましくは95モ
ル%以上である。末端の封止が不十分な場合、ガラス転
移温度低減の十分な効果が得られない。
【0026】本発明の光ディスク基板は、射出成形によ
り、具体的には以下の様な射出圧縮法で製造される。す
なわち、射出圧縮法は、射出成形金型の一方に、光磁気
ディスク基板に転写すべき情報を表面に刻印したスタン
パーと言われる純ニッケル製の薄い円盤を装着して型を
閉じる型締工程、所定の物性を備えたポリカーボネート
樹脂を射出する射出工程、射出後一定時間射出シリンダ
ーを作動させて圧力を保持する保圧工程、射出シリンダ
ーの作動を止め型締圧を低下させることなく冷却を行う
冷却工程および型締シリンダーの作動も止め金型を開
き、射出成形品として、スタンパーの情報が転写された
光ディスク基板を取り出す型開工程からなる。
【0027】しかして、上記射出工程において、所定の
ガラス転移温度を有し、分子末端が所定の封止剤で封止
されたポリカーボネートを用い、スタンパーが装着され
ている側の金型の設定温度を120〜130℃に設定
し、成形機のシリンダー温度の最高部の設定を320〜
360℃に設定し、成形サイクルが8〜12secで、
かつ、射出工程および保圧工程が終了した後の冷却工程
において一定の型締圧を保持し、好ましくは冷却開始か
ら少なくとも3秒の間20T以上の型締圧に設定するこ
とによって、基板の最外周まで転写が良好な光ディスク
基板が得られる。なお、射出工程で、スタンパーの装着
されている側の金型温度を130℃以上に上げると、基
板のそりが大きくなるという問題が発生する。さらに成
形サイクルが伸びるため生産性にも劣る。また、金型温
度を120℃以下に下げると転写性が悪化する。
【0028】また、上記の射出成形後、金型から取り出
した光ディスク基板は、その表面に磁化記録層や反射層
を形成させ、さらにその上に保護膜を形成させ、必要に
応じ複数枚の基板を貼り合わせて光ディスクとする。磁
化記録層は、TbFeCo、GdTbFe、TbCo、
Coフェライト、Baフェライト等のいずれを用いて形
成してもよい。反射層はアルミニウム等の薄膜を蒸着す
ることによって、また、保護層は、慣用の材料を塗布
し、硬化反応で固化することによって形成することがで
きる。基板は、上記磁化記録層や反射層を形成する前
に、アニールしてもよい。
【0029】本発明の光ディスクは、グルーブの深さが
150nm以上でグルーブのピッチが0.85μm以下
の高記録密度基板の成形に有用である。なお、貼り合わ
せる単板の厚さは、通常、0.6mmまたは1.2mm
である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これ
らの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実
施例及び比較例において、部、ppmは、特に断りのな
い限り、いづれも重量基準である。
【0031】ポリカーボネート・ペレットの調製 実施例1 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン 100部 2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン 30部 p−ドデシルフェノール 1.0部 ピリジン 500部 塩化メチレン 2300部 上記の割合で、各材料を反応器に仕込み、300rpm
の回転数にて撹拌し、20℃に保ちながら、ホスゲン5
0部を1時間かけて導入し反応を行った。反応終了後、
過剰のピリジンを中和し、純水、塩酸、純水の順で洗浄
し、塩化メチレンを蒸発乾固させてポリマー粉末を得
た。得られたポリマーの構造を、高分解能核磁気共鳴装
置(NMR)を用いて分析した結果、式(1)の結合単
位の含有率は75モル%であった。また、末端は、加メ
タノール分解物のガスクロマトグラフィ及び質量分析の
結果、97モル%がp−ドデシルフェノールで封鎖され
ていることが明らかとなった。得られたポリマー粉末に
は、離型剤であるステアリン酸モノグリセリドをポリカ
ーボネートに対して500ppm、熱安定剤であるノニ
ルフェノールエステルのホスファイトをポリカーボネー
トに対して100ppmの割合で加え、タンブラーにて
混合し、270℃の温度で40mmφ単軸押出機にてペ
レット化した。
【0032】実施例2〜3及び比較例1〜2 実施例1において、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−プロパンに対する1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタンの比率及びアルキ
ルフェノールのアルキル基の炭素数を、後記表−1の通
り変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネ
ート・ペレットを得た。
【0033】光ディスク基板の成形 得られた各種ポリカーボネート・ペレットを用いて、下
記の条件にて光ディスク基板を成形した。 成形機:住友重機DISK3 金型:12cmφDVD用金型 成形基板厚み:0.6mm スタンパーのグルーブ深さ:160nm スタンパーのグルーブのピッチ:0.80μm 成形機のシリンダーの最高設定温度:360℃ スタンパーが装着されている側の金型の設定温度:13
0℃ 射出時間:0.1秒 冷却時間:7.0秒 スクリュー回転数:360rpm スクリュー径:25mmφ 型締め力:射出、保圧中20T、冷却中25T
【0034】光ディスク基板の評価 実施例及び比較例で得られた光ディスク基板について、
下記(1)〜(4)の手順に従い、評価を行った。その
結果は、後記表−1に示した。 (1)ガラス転移温度:基板を構成するポリカーボネー
ト・ペレットについて、DSC(セイコー社製、型式:
SSC−5000)を用い、JIS K7121に準拠
し、窒素気流下で10℃/分の加熱速度で測定された、
DSC曲線の変曲点より求めた。 (2)転写性:基板の半径方向R=58mmの点の溝深
さで表示する。溝深さの測定には、原子間力顕微鏡(オ
リンパス製、型式NV2100)を用い、カンチレバ
ー:コニカル、荷重値30nN、走査ライン数:12
8、走査速度:5sec/lineとした。 (3)そり:ディスクそり角測定装置(アドモンサイエ
ンス製)を使用し、60rpmで回転する基板の半径方
向R=25mm、37mm、49mm及び57mmの点
に、波長780nmの半導体レーザーを照射し、4点の
そり角度を測定し、測定値中最高のそり角度で表示す
る。
【0035】(4)基板の垂直方向屈折率差: a) 基板の垂直方向屈折率差の算出 基板の表面に16個の測定点(通常、基板の中心を通る
直交軸をとり、各軸上に等間隔に測定点を配置する。具
体的には、測定点は、基板の記録部のほぼ最内周円、ほ
ぼ最外周円及びそれらの間を等分する2つの円からな
る、都合4つの円と直交軸との交点とする。)を決め
て、各点における垂直方向屈折率差を、下記b)に従い
測定する。直交軸が構成する4つの半径上で、それぞ
れ、4測定値中の最大値をもとめ、それら4つの最大値
の平均値を、基板の垂直方向屈折率差として表示する。 b) 各点における位相差の測定と垂直方向屈折率差の
算出 各点おける位相差は、オーク自動複屈折測定装置(オー
ク(株)製、商品名ADR−130N)を用い、基板の
傾斜方向を2様に変えて、波長632.8nmのHe−
Neレーザー光によって測定する。すなわち、図1に示
すように、レーザー光を、一方は、Rcの方向(y軸と
z軸の形成する平面上で、z軸から30°の方向)か
ら、他方は、Rrの方向(x軸とz軸の形成する平面上
で、z軸から30°の方向)から、それぞれ、測定点
(屈折率楕円体の中心に表示)に入射し、基板を通過し
たレーザー光を検出器で受光し、各点について、2つの
位相差値を測定する。前者を、円周方向位相差(Rc)
とし、後者を、半径方向位相差(Rr)とすると、各点
における垂直方向屈折率差(VB)は、上記2つの位相
差値(単位:nm)から、基板の厚み1.2mm、ポリ
カーボネートの平均屈折率1.58とした場合、次式に
従って算出される。 VB=3.9468×10-6×(Rc+Rr)
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、アルキル鎖の長い末端
停止剤で末端を封止することでガラス転移温度が低下
し、転写性が増加し、また、ガラス転移温度を低下によ
って基板の垂直方向屈折率差も低減でき、同時に、式
(1)のカーボネート結合単位の導入によって、弾性率
を増加させてそりが低減された基板を提供することがで
きるので、工業的な利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 位相差測定法を示す概念図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 博義 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB07 AC02 AD01 AD07 AE05 BB12C BB13A HA01 HC01 HC05A JB192 5D029 KA07 KB03 KC07 KC11 WB11 WB17 WC01 WD10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)のカーボネート結合単位の少
    なくとも1種及び下記式(2)のカーボネート結合単位 【化1】 (式中、Rは、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル
    基である。)を、全カーボネート結合単位中、式(1)
    の結合単位の含有率が20〜80モル%となる割合で、
    含むポリカーボネート共重合体又は重合体混合物であ
    り、粘度平均分子量が10,000〜23,000であ
    り、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルフ
    ェノールで分子末端が封止されており、かつ、ガラス転
    移温度が100℃〜140℃であるポリカーボネートを
    用いて成形されたことを特徴とする光ディスク基板。
  2. 【請求項2】光ディスク基板が、厚み1.2mmの単板
    若しくは厚み0.6mmの単板のみ、又は、いずれか一
    方の厚みの単板2枚の貼り合わせによって形成されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の光ディスク基板。
  3. 【請求項3】光ディスクの信号記録のための案内溝は、
    深さが150nm以上で、ピッチが0.85μm以下で
    あることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記
    載の光ディスク基板。
  4. 【請求項4】基板の垂直方向屈折率差が300×10-6
    以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一
    項に記載の光ディスク基板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003226750A (ja) * 2002-02-04 2003-08-12 Idemitsu Petrochem Co Ltd 直鎖状ポリカーボネートの製造方法
JP2022028757A (ja) * 2016-05-27 2022-02-16 三菱瓦斯化学株式会社 光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法並びにそれを含むメガネレンズ及びカメラレンズ

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JP2022028757A (ja) * 2016-05-27 2022-02-16 三菱瓦斯化学株式会社 光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法並びにそれを含むメガネレンズ及びカメラレンズ
JP7255656B2 (ja) 2016-05-27 2023-04-11 三菱瓦斯化学株式会社 光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法並びにそれを含むメガネレンズ及びカメラレンズ

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