JP2000346993A - 原子炉建屋内大型構造物の取扱方法 - Google Patents

原子炉建屋内大型構造物の取扱方法

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JP2000346993A
JP2000346993A JP11154637A JP15463799A JP2000346993A JP 2000346993 A JP2000346993 A JP 2000346993A JP 11154637 A JP11154637 A JP 11154637A JP 15463799 A JP15463799 A JP 15463799A JP 2000346993 A JP2000346993 A JP 2000346993A
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roof
opening
reactor building
reactor
concrete
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Takahiro Adachi
隆裕 安達
Masataka Aoki
昌隆 青木
Kiyokazu Hosoya
清和 細谷
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Hitachi Ltd
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I C C KK
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、原子炉建屋屋根に開口部を設
けて、その開口部から原子炉建屋内の大型構造物を搬出
・搬入する際に、原子炉建屋屋根の強度を確保しつつ大
型構造物の搬出・搬入作業を行うことができる原子炉建
屋内大型構造物の取扱方法を提供することである。 【解決手段】原子炉建屋の屋根に開口部を設け、前記開
口部から前記原子炉建屋内の大型構造物の搬出及び搬入
のうち少なくとも一方を行う原子炉建屋内大型構造物の
取扱方法において、前記開口部の設置による前記屋根の
強度低下を補う補強を前記屋根に施した後に前記開口部
を設け、前記大型構造物の搬出及び搬入のうち少なくと
も一方を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プラン
トにおける原子力圧力容器及び炉内構造物の取替時及び
廃炉時に、原子炉建屋内の大型構造物を外部へ搬出する
際の取扱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所は建設時に要求された耐用
年数に対して十分な余裕を持って設計されており、寿命
の尽きた機器・部品の交換を行うことで、原子力発電所
の延命化(長寿命化)を図ることができる。それら機器
・部品の中でも大型構造物を原子炉建屋から搬出入する
場合、原子炉建屋に設けられている従来の機器搬出入口
では大きさが不十分な場合がある。そのような場合、原
子炉建屋屋根に大型構造物が通過可能な開口部(以下、
単に開口部と言う)を設置する必要がある。
【0003】これに関連して、特開平8−262190 号公報
には、大型構造物である原子炉圧力容器(以下、RPV
と言う)を取替える際に、レーザ光を応用した切断機な
どを用いて原子炉建屋屋根からRPVが通過可能な大き
さのブロックを切取り、クレーンでそのブロックを吊り
上げる方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】RPV取替えを実施す
る際には、開口部を設けたことによる原子炉建屋屋根の
強度低下の抑制,原子力発電所の運転停止期間の短縮を
いかにして行うかが重要となる。
【0005】一般に原子炉建屋屋根は、原子炉建屋の強
度部材であるトラス構造を持った鋼製骨組みの上にデッ
キプレートを敷き、その上に厚さ300〜500mmのコ
ンクリートを流し込んだ多層構造を有している。このよ
うな構造を有する原子炉建屋屋根に対して、前記特開平
8−262190 号公報には、開口部を設ける際の具体的な方
法については記載がない。
【0006】従って、前記特開平8−262190 号公報に記
載の方法では、原子炉建屋屋根からブロックを切取った
際に、原子炉建屋の強度部材の切断・撤去による原子炉
建屋屋根の強度低下が避けられない。
【0007】本発明の目的は、原子炉建屋屋根に開口部
を設けて、その開口部から原子炉建屋内の大型構造物を
搬出・搬入する際に、原子炉建屋屋根の強度を確保しつ
つ大型構造物の搬出・搬入作業を行うことができる原子
炉建屋内大型構造物の取扱方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の第1の発明の特徴は、原子炉建屋の屋根に開口部を設
け、前記開口部から前記原子炉建屋内の大型構造物の搬
出及び搬入のうち少なくとも一方を行う原子炉建屋内大
型構造物の取扱方法において、前記開口部の設置による
前記屋根の強度低下を補う補強を前記屋根に施した後に
前記開口部を設け、前記大型構造物の搬出及び搬入のう
ち少なくとも一方を行う。
【0009】第1の発明によれば、開口部の設置による
屋根の強度低下を補う補強を屋根に施した後に開口部を
設け、大型構造物の搬出及び搬入のうち少なくとも一方
を行うことにより、大型構造物の搬出・搬入作業中に、
原子炉建屋の屋根の強度を確保できる。
【0010】第2の発明の特徴は、第1の発明におい
て、前記屋根の補強と、前記開口部の設置を別の定期検
査時に分けて行う。
【0011】第2の発明によれば、更に、屋根の補強と
開口部の設置の両方を、一回の定期検査で行う場合より
も原子力発電所の運転停止期間を短縮することができ
る。
【0012】第3の発明の特徴は、第1,第2の発明に
おいて、前記屋根のうち前記開口部を設けるために取り
除かれる部分を一体で搬出することで前記開口部を設け
る。第3の発明によれば、更に、屋根のうち開口部を設
けるために取り除かれる部分を一体で搬出することによ
り、屋根を構成する構造物を別個に搬出する場合に比べ
て、開口設置作業を迅速に行うことができる。
【0013】第4の発明の特徴は、第3の発明におい
て、前記開口部を復旧する際に、前記一体で搬出した屋
根の部分を用いる。
【0014】第4の発明によれば、更に、一体で搬出し
た屋根の部分を用いて開口部を復旧することにより、搬
出した屋根の部分を再利用できるので、廃棄物量を低減
できる。
【0015】第5の発明の特徴は、第4の発明におい
て、前記開口部を復旧する際に、前記一体で搬出した屋
根の部分に位置決め用のガイド機構を設け、このガイド
機構を利用して復旧作業を行う。
【0016】第5の発明によれば、更に、前記開口部を
復旧する際に、一体で搬出した屋根の部分に設けたガイ
ド機構を利用して復旧作業を行うことにより、復旧作業
に伴う位置決めを容易に行うことができる。
【0017】第6の発明の特徴は、第3乃至第5の発明
のいずれかにおいて、前記開口部を設ける際に、前記屋
根のトラスを切断し、その切断部の少なくとも一部を接
続板によって接続した後、前記トラスの上方のコンクリ
ート及びデッキプレートを切断し、その後前記接続板を
取り外して前記コンクリート,デッキプレート及びトラ
スを一体で搬出する。
【0018】第6の発明によれば、更に、屋根のトラス
を切断し、その切断部の少なくとも一部を接続板によっ
て接続した後、トラスの上方のコンクリート及びデッキ
プレートを切断することによって、トラス切断後でもコ
ンクリート及びデッキプレートを安定した状態で切断す
ることができる。また、接続板を取り外してコンクリー
ト,デッキプレート及びトラスを一体で搬出することに
より、開口設置作業を迅速に行うことができる。
【0019】第7の発明の特徴は、第6の発明におい
て、前記屋根のトラスを切断し、その切断部の少なくと
も一部を接続板によって接続する工程と、前記コンクリ
ート及びデッキプレートを切断し、その後前記接続板を
取り外して前記コンクリート,デッキプレート及びトラ
スを一体で搬出する工程を別の定期検査時に分けて行
う。
【0020】第7の発明によれば、更に、屋根のトラス
を切断し、その切断部の少なくとも一部を接続板によっ
て接続する工程と、コンクリート及びデッキプレートを
切断し、その後接続板を取り外してコンクリート,デッ
キプレート及びトラスを一体で搬出する工程を別の定期
検査時に分けて行うことにより、これら2つの工程を一
回の定期検査で行う場合よりも原子力発電所の運転停止
期間を短縮することができる。
【0021】第8の発明の特徴は、第6の発明におい
て、前記屋根のトラスを切断し、その切断部の少なくと
も一部を接続板によって接続し、その後前記コンクリー
ト及びデッキプレートを切断する工程と、前記接続板を
取り外して前記コンクリート,デッキプレート及びトラ
スを一体で搬出する工程を別の定期検査時に分けて行
う。
【0022】第8の発明によれば、更に、屋根のトラス
を切断し、その切断部の少なくとも一部を接続板によっ
て接続し、その後コンクリート及びデッキプレートを切
断する工程と、接続板を取り外してコンクリート,デッ
キプレート及びトラスを一体で搬出する工程を別の定期
検査時に分けて行うことにより、これら2つの工程を一
回の定期検査で行う場合よりも原子力発電所の運転停止
期間を短縮することができる。
【0023】第9の発明の特徴は、第1乃至第8の発明
のいずれかにおいて、前記屋根の補強は、前記開口部を
設けた後に残存する前記屋根の強度部材である主ビーム
を支持する支持部材を前記原子炉建屋のオペレーション
フロア上に設置して行う。
【0024】第9の発明によれば、更に、開口部を設け
た後に残存する屋根の強度部材である主ビームを支持す
る支持部材を原子炉建屋のオペレーションフロア上に設
置して屋根の補強を行うことにより、仮開口部を設ける
ことによる原子炉建屋の強度低下を抑制することができ
るとともに、原子炉建屋内部からの作業のみによって支
持部材設置を行うことができるので、作業を容易に進め
ることができる。
【0025】第10の発明の特徴は、第1乃至第8のい
ずれかにおいて、前記屋根の補強は、前記原子炉建屋の
屋上に設けた支持部材を用いて、前記開口部を設けた後
に残存する前記屋根の強度部材である主ビームを支持す
る。
【0026】第10の発明によれば、更に、屋根の補強
は、原子炉建屋の屋上に設けた支持部材を用いて、開口
部を設けた後に残存する屋根の強度部材である主ビーム
を支持することにより、仮開口部を設けることによる原
子炉建屋の強度低下を抑制することができるとともに、
原子炉建屋のオペレーションフロア上に屋根の補強部材
を設置しないので、仮開口部を設けた後においても、オ
ペレーションフロア上での作業に支障を及ぼさない。
【0027】第11の発明の特徴は、原子炉建屋の屋根
に開口部を設け、前記開口部から前記原子炉建屋内の原
子力圧力容器の搬出及び搬入を行う原子炉建屋内大型構
造物の取扱方法において、前記開口部の設置による前記
屋根の強度低下を補う補強を前記屋根に施した後に、前
記屋根のうち前記開口部を設けるために取り除かれる部
分を一体で搬出することで前記開口部を設け、前記原子
炉圧力容器を原子炉遮蔽体と一体で前記開口部から搬出
し、新規原子炉圧力容器を新規原子炉遮蔽体と一体で前
記開口部から搬入し、前記一体で搬出した屋根の部分を
用いて前記開口部を復旧する。
【0028】第11の発明によれば、開口部の設置によ
る屋根の強度低下を補う補強を屋根に施した後に開口部
を設けることにより、原子炉建屋の強度を確保しつつ原
子炉圧力容器の搬出および搬入を実施できる。
【0029】また、屋根のうち開口部を設けるために取
り除かれる部分を一体で搬出することにより、一体で搬
出しない場合よりも開口設置作業を迅速に行うことがで
きる。
【0030】また、新規原子炉圧力容器を新規原子炉遮
蔽体と一体で開口部から搬入することにより、新規原子
炉圧力容器を新規原子炉遮蔽体と別個に搬入する場合よ
りも工程数を削減することができる。
【0031】更に、一体で搬出した屋根の部分を用いて
開口部を復旧することにより、一体で搬出した屋根の部
分を再利用することができるので、廃棄物量を低減でき
る。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施例1)本発明の実施例1を
説明する。実施例1は、沸騰水型原子力発電所の原子炉
建屋内大型構造物の1つである原子炉圧力容器(以下、
RPVと言う)の交換に本発明を適用した実施例であ
る。
【0033】図5は、本実施例においてRPVの交換を
行う原子力発電所の原子炉建屋24の縦断面図である。
原子炉建屋24の中には、原子炉格納容器10(以下、
PCV10と言う)が設置されており、PCV10の中
にRPV2を格納している。RPV2の外側には原子炉
遮蔽体3(以下、RSW3と言う)がある。PCV10
の横には、使用済み燃料プール8が設置されており、使
用済み燃料プール8の中には使用済み燃料ラック9が設
置されている。RPV2内部には気水分離器7(以下、
セパレータ7と言う)、蒸気乾燥器6(以下、ドライヤ
6と言う)が設置されている。RPV2の上方には原子
炉圧力容器蓋5(以下、RPVヘッド5と言う)が、P
CV10の上方には原子炉格納容器蓋4(以下、PCV
ヘッド4と言う)が設置されている。本実施例ではこの
ような構成を持つ原子力発電所に対しRPV交換を行
う。
【0034】RPV交換作業は図1に示す作業フローチ
ャートにしたがって行われる。以下、図1にしたがって
実施例1を説明する。
【0035】まず、原子力発電所の定期検査開始後、ス
テップ1aで燃料等の取出し作業を実施する。燃料等の
取出し作業は、通常定期検査で実施している全燃料を炉
心内から取出す作業である。具体的には図5において、
PCVヘッド4及びRPVヘッド5を取り外し、ドライ
ヤ6及びセパレータ7を取り外した後で、炉心内に装荷
されている全燃料を炉心内から取出し、使用済燃料プー
ル8の中に設置されている使用済燃料ラック9へ移動さ
せる。
【0036】次に、RPV搬出準備工程と開口部設置工
程を並行して行う。RPV搬出準備工程は、ステップ1
bのRPV接続配管切断と、ステップ1cのRSW切断
の工程からなる。開口部設置工程は、ステップ1dの開
口部補強部材設置と、ステップ1eの開口部設置の工程
からなる。
【0037】ここで、RPV搬出準備工程と開口部設置
工程は図1のように平行して行うことも、一方を終了し
た後にもう一方を行うことも可能である。また、RPV
搬出準備工程であるステップ1b,1cについては、図
1のようにステップ1bの後にステップ1cを行うこと
も、2つのステップを並行して行うことも、ステップ1
cの後にステップ1bを行うことも可能である。
【0038】まず、ステップ1bのRPV接続配管切断
を説明する。ステップ1bではRPV2に接続されている配
管等を切断し、RPVを固定している接続を解除し、ま
たRPVを上方に搬出するための障害物を撤去すること
によってRPV搬出の準備を行う。図6は、図5におけ
るPCV10付近の詳細を示した図である。図6に示す
ように、RPV2には、主蒸気ノズル11,給水ノズル
12,炉心スプレイノズル13,再循環水入口ノズル1
4,再循環水出口ノズル15,各種計装ノズル及びドレ
ンノズル(図示せず)が設けられており、それぞれに主
蒸気配管16,給水配管17,炉心スプレイ配管18,
再循環水入口配管19,再循環水出口配管20,各種計
装配管及びドレン配管(図示せず)が接続されている。
【0039】ステップ1bでは、これらの接続配管をノ
ズル近傍で切断する。また、原子炉ウェル55とPCV
10内を仕切るバルクヘッドプレート21の切断撤去、
及び、PCV10とRSW3を接続する耐震サポートの
PCVスタビライザ22,燃料交換ベローズ23等の切
断撤去も行い、PCV10内から上部へのRPV搬出口
を確保する。
【0040】次にステップ1cのRSW切断について説
明する。本実施例ではRSW3をRPV2と共に搬出す
ることにより、RSW3をRPV搬出時の遮蔽体として
用いる。ステップ1cで、RSW3を再循環水入口ノズ
ル下部の位置で切断する。RPV2とRSW3はRPV
サポート56にて接続されているため、RSW3を再循
環水入口ノズル下部の位置で切断することにより、RP
V2を上方に搬出する際、RPV2とRSW3を一体と
して搬出することができる。RSW3の切断位置は、R
PV遮蔽体としたときにRPV2搬出の際に求められる
遮蔽能力を得られる位置であれば変更してもよい。な
お、本実施例ではRPV遮蔽体としてRSW3を用いる
が、外部から新規RPV遮蔽体を搬入しRPV2に取り
付けることで、RPV搬出時のRPV遮蔽体としてもよ
い。
【0041】次にステップ1dの開口部補強部材設置に
ついて説明する。開口部を設置する原子炉建屋屋根は、
図7に示すようにトラス27の上にデッキプレート26
を敷き、そのデッキプレート26の上にコンクリート2
5を流し込み硬化させた構造を有する。トラス27は、
原子炉建屋24の強度部材であって主ビーム28,デッ
キ受け梁29,ブレース30により構成されている。原
子炉建屋屋根のコンクリート厚さは約300〜500mm
である。デッキプレート26は、波形の鋼板である。そ
の原子炉建屋屋根の断面は図10に示すように、デッキ
プレート26の端が、主ビーム28にのっており、主ビ
ーム28とコンクリート25の接合を強化するため主ビ
ーム28にはスタッドボルト32が設けられている。
【0042】図9は、原子炉建屋を図5とは異なった方
向から見た原子炉建屋の縦断面図である。本実施例で
は、後のステップにおいて、開口部設置のために取り外
す原子炉建屋屋根40(以下、取り外し屋根部40とい
う)を取り外し、原子炉建屋に開口部38を設定する。
この取り外し屋根部を、図8(a)に示す原子炉建屋屋
根を上方から見た場合のトラス構造で見れば、斜線部が
取り外し屋根部40(取り外し後、斜線部は開口部38
となる)である。この開口部設置によって、トラスが大
きく取り除かれることになり、そのままでは原子炉建屋
の強度低下は免れない。それゆえ、ステップ1dでは、
取り外し屋根部40取り外しのために原子炉建屋屋根の
一部が切断されることに伴って生じる原子炉建屋の強度
低下を抑制するために開口部補強部材を設置する。
【0043】開口部補強部材の設置は次の手順で行う。
まず、揚重機36により取り外し屋根部40となる部分
の吊り上げ支持を行う。次に、オペレーションフロア3
4に主ビーム28を支える支柱35を設置する。支柱3
5の設置箇所は図8(a)に示すように、開口部設置後
に残る主ビームの先端付近の2箇所である。この支柱設
置箇所は必要に応じて増やしてもよい。なお、揚重機3
6による取り外し屋根部40となる部分の吊り上げ支持
と、オペレーションフロア34への支柱35の設置につ
いては、作業順序を入れ替えても、作業を並行して行っ
てもよい。
【0044】次にステップ1eの開口部設置について説
明する。本ステップでは、取り外し屋根部40の周囲を
切断し、取り外し屋根部40を取り外し、開口部を設け
る。ステップ1eは、図2に示す詳細図の手順で行う。
まず、ステップ1e−1で、ブレース30のうち取り外
す部分30a(以下、取り外しブレース30aと言う)
と、残存する部分30b(以下、残存ブレース30bと
言う)の境界として設定した切断位置でブレース30を
切断する。
【0045】次に、ステップ1e−2でデッキ受け梁2
9のうち取り外す部分29a(以下、取り外しデッキ受
け梁29aと言う)と、残存する部分29b(以下、残
存デッキ受け梁29bと言う)の境界として設定した切
断位置でデッキ受け梁29を切断する。
【0046】次に、ステップ1e−3で主ビーム28の
うち取り外す部分28a(以下、取り外し主ビーム28
aと言う)と、残存する部分28b(以下、残存主ビー
ム28bと言う)の境界として設定した切断位置で主ビ
ーム28を切断し、その切断した箇所を図8(b)のよ
うに接続板31とボルト33を用いて再接続する。この
再接続の手段は、接続板31とボルト33を用いる以外
にも容易に着脱できる手段であればよい。
【0047】この再接続は以下の理由による。すなわ
ち、ステップ1e−1,2および3における一連の切断
作業終了後には、取り外し屋根部40を支持しているも
のが、主としてコンクリート25,デッキプレート26
およびステップ1dで設置した揚重機となる。そのた
め、後にコンクリート25およびデッキプレート26の
切断(ステップ1e−5)を実施すると、取り外し屋根
部40の支持の大部分が揚重機36による吊り下げ支持
となり、揺れに対する支持が不十分となる。ステップ1
e−3で再接続を行うことによって、その揺れに対して
十分な支持を行うことができる。なお、揺れに対する支
持を行うために、ブレース30,デッキ受け梁29の切
断した部分の一部もしくはその全てを接続板によって再
接続してもよい。また、ステップ1e−1,2および3
はそれぞれの作業順序を入れ替えても、作業を並行して
行ってもよい。
【0048】次にステップ1e−4で原子炉建屋24の
屋根の上に仮設シャッター39を設置する。仮設シャッ
ター39は開口部設置による原子炉建屋24からの放射
性物質の放出を低減させるためのものである。同様の目
的を達成するために、仮設シャッター39の設置に限ら
ず、養生シートの設置や原子炉建屋内を負圧に保つなど
の対応をとってもよい。また、原子炉建屋内が大気に開
放されるよりも前(本実施例では次に述べるステップ1
e−5よりも前)であれば、いつ行ってもよい。
【0049】次に、ステップ1e−5でコンクリート2
5およびデッキプレート26のうち取り外す部分25a
および26a(以下、取り外しコンクリート25aおよ
び取り外しデッキプレート26aと言う)と、残存する
部分25bおよび26b(以下、残存コンクリート25
bおよび残存デッキプレート26bと言う)の境界とし
て設定した切断位置でコンクリート25およびデッキプ
レート26を切断する。コンクリート25およびデッキ
プレート26を別個に切断することは困難なため、一体
として切断する。切断には、大型カッタ等、切断面を平
滑なものとできる手段を用いることが望ましい。このス
テップ1e−5の切断を終了した時点で取り外し屋根部
40は上部からの揚重機36による吊り上げと、ステッ
プ1e−3で行った接続板31による主ビームの再接続
により支持されている状態となる。
【0050】次にステップ1e−6で、接続板31,ボ
ルト33を取り外す。これにより取り外し屋根部40は
原子炉建屋から分離し、揚重機36による吊り下げによ
り支持されている状態となる。次にステップ1e−7
で、揚重機36により取り外し屋根部40を搬出する。
図11は、取り外し屋根部40を一体で搬出している状
態を示した図である。取り外し屋根部40搬出後、仮設
シャッター39を閉鎖する。これにより、ステップ1e
が終了し、原子炉建屋24の屋根部におけるRPV上方に
設定した開口部が設定される。
【0051】なお、ステップ1e−1〜4の工程は原子
炉建屋の強度低下,気密性低下を招くものではないた
め、RPV2の交換を行う定期検査よりも前の定期検査
において実施してもよい。そうすることによってRPV
の交換に伴う工事を2つ以上の定期検査に分散して行う
ことができる。
【0052】次に、ステップ1fでRPV搬出を実施す
る。本ステップでは、仮設シャッター39を開け、RS
W3を取付けたRPV2およびRPVヘッド5を揚重機
36を用いて、開口部より原子炉建屋24外へ搬出す
る。搬出後、仮設シャッター39を閉じる。図12にR
PV2を原子炉建屋24の外へ搬出した後の状態を示
す。以上により、一連のRPV搬出作業が終了する。
【0053】次に、ステップ1gで新規RPV搬入作業
を実施する。本ステップでは、新規RSWを取付けた新
規RPVを揚重機36を用いて、開口部よりPCV10
内へ搬入する。本実施例ではRPV2を搬出する際に、
RSW3をRPV2と共に搬出しているため、新規RP
V70の搬入の際も新規RSWを取付けた状態で搬入す
る。なお、ステップ1fでRPV2を搬出する際に、R
SW3と一体で搬出しなかった場合は、本ステップにお
いて、新規RPV70のみの搬入を行う。
【0054】次に、新規RPV復旧工程と開口部復旧工
程を並行して行う。新規RPV復旧工程は、ステップ1
hの新規RSW据え付けと、ステップ1iのRPV接続
配管接続の工程からなる。開口部復旧工程は、ステップ
1jの開口部閉鎖と、ステップ1kの開口部補強部材撤
去の工程からなる。ここで、新規RPV復旧工程と開口
部復旧工程は図1のように平行して行うことも、一方を
終了した後にもう一方を行うことも可能である。また、
新規RPV復旧工程であるステップ1h,1iについて
は、図1のようにステップ1hの後にステップ1iを行
うことも、2つのステップを並行して行うことも、ステ
ップ1iの後にステップ1hを行うことも可能である。
【0055】ステップ1hでは、ステップ1gで搬入さ
れた新規RSW71を取り替え前のRSW残存部に据え
付ける。次にステップ1iでは、ステップ1bにおいて
切断した主蒸気配管16,給水配管17,炉心スプレイ
配管18,再循環水入口配管19,再循環水出口配管2
0,各種計装配管及びドレン配管(図示せず)を新規R
PV70の当該箇所に接続する。また、バルクヘッドプ
レート21,PCVスタビライザ22及び燃料交換ベロ
ーズ23等RPV2搬出時に加工を行った箇所の復旧も
行う。
【0056】次にステップ1jの開口部閉鎖では、ステ
ップ1eで取り外した取り外し屋根部40を開口部38
に復旧し、原子炉建屋屋根の残存部との隙間部を気密処
理することで開口部を閉鎖する。これにより、取り外し
屋根部40を再利用することができる。なお、取り外し
屋根部40の再利用を行わずに、新規に作成したものを
用いてもよい。
【0057】ステップ1jは図3に示す詳細図の手順で
行う。図13は取り外し屋根部40を開口部に復旧する
際の要領図である。まずステップ1j−1において、取
り外し屋根部40を揚重機36を用いて開口部に復旧す
る。ここで、その詳細を説明する。
【0058】図14は図13におけるB部の詳細を示す
図である。まず、復旧の前に図14(a)のように取り
出し屋根部40のコンクリート部25aからはつり部2
5cの部分をはつり、次いで図14(b)のように新規
コンクリート25dを盛り、通し穴42を設けておく。
原子炉建屋屋根の開口部縁部においては、図14(c)の
ようにつり部25eをはつり、主フレームに接続された
スタッドボルト41を設置する。次に、揚重機36によ
って取り外し屋根部40を図14(d)のように所定の
位置に近づけ、スタッドボルト41と通し穴42をガイ
ドとして図14(e)のように所定の位置に復旧する。こ
のように通し穴42とスタッドボルト41をガイドとし
て用いて取り外し屋根部40を主ビーム28上にのせる
ようにすれば、容易にその復旧を行うことができる。
【0059】次に、ステップ1j−2において、切断さ
れているトラス27を接続板31,ボルト33を用いて
再接続する。これにより、開口部設定前の原子炉建屋強
度を回復する。この際、トラスの中で原子炉建屋建設時
に建設中の原子炉建屋の強度確保の目的で設置された部
材で、原子炉建屋完成後は強度部材として作用していな
いトラスの一部分がある場合、その再接続は省略しても
よい。
【0060】次にステップ1j−3において取り外し屋
根部40と原子炉建屋屋根との隙間部にコンクリート充
填を行う。図14(e)におけるコンクリート充填箇所
43にコンクリートを充填し、原子炉建屋24の開口部
設定前の気密性を確保する。次に、ステップ1j−4で
仮設シャッター39を撤去する。以上のステップ1jに
より、開口部の閉鎖が完了する。
【0061】次に、ステップ1kの開口部補強部材撤去
について説明する。ステップ1kでは、ステップ1dで
設置した開口部補強部材を撤去する。まず、原子炉建屋
24内オペレーションフロア34上に設けた支柱35を
撤去する。次に、揚重機36による吊り上げ支持を解除
する。
【0062】最後に、ステップ1lで燃料等の搬入作業
を実施する。新規RPV70の新規RPVヘッド72を
取り外し、全燃料を炉心内へ装荷し、セパレータ7及び
ドライヤ6を取付け、RPVヘッド5及びPCVヘッド
4を取り付ける。以上により、一連のRPV交換作業が
終了する。
【0063】本実施例によれば、ステップ1dで原子炉
建屋屋根の残存部に補強部材を設置した状態でRPVの
交換作業を行うことにより、原子炉建屋の強度を確保し
つつ、RPVの搬出・搬入作業を行うことができる。ま
た、取り外し屋根部40の一体搬出および一体搬入を行
うことにより、開口部の設定及び復旧に要する作業時間
を短縮することができ、原子力発電所寿命延長工事の際
のプラント停止期間を短縮することができる。さらに、
開口部の復旧に取り出し屋根部40に加工を加えたもの
を再使用することにより、原子力発電所寿命延長工事に
伴う廃棄物の量を低減することができる。
【0064】なお、本実施例では、原子炉建屋内大型構
造物の搬出および搬出の両方に開口部を用いているが、
搬出,搬入の両方に開口部を用いずに、搬出時には、原
子炉建屋内大型構造物を原子炉建屋内で切断し、原子炉
建屋に設けられている従来の機器搬出入口から搬出し、
搬入時のみ、開口部から一体搬入を行ってもよい。ま
た、搬出時のみ、開口部から一体搬出を行い、搬入時に
は、新規の原子炉建屋内大型構造物を原子炉建屋に設け
られている従来の機器搬出入口から分割した状態で搬入
し、原子炉建屋内で組み立ててもよい。また、廃炉時に
本発明を用いる場合は、搬出のみに開口部を用いてもよ
い。
【0065】(実施例2)次に、本発明の実施例2を説
明する。本実施例が実施例1と異なる点は、図1のステ
ップ1jである。その他の手順は実施例1と同じである
ので、ここでは説明を省略する。本実施例のステップ1
jで行う開口部の閉鎖の詳細を図4を用いて説明する。
【0066】図15は取り外し屋根部40を開口部に復
旧する際の要領図である。まずステップ1j−1aにお
いて、取り外し屋根部40を揚重機36を用いて開口部
に復旧する。以下、この詳細を説明する。図16は図1
5におけるC部の詳細を示す図である。まず、復旧の前
に図16(a)のように取り出し屋根部40のコンクリ
ート部25aからはつり部25fの部分をはつる。原子
炉建屋屋根の開口部縁部においては図16(b)のよう
にはつり部25jをはつる。次に、揚重機36によって
取り外し屋根部40を図16(c)のように所定の位置
に近づけ、所定の位置に復旧する。次に、ステップ1j
−2において、切断されているトラス27を接続板3
1,ボルト33を用いて再接続する。この際、トラスの
中で原子炉建屋建設時に建設中の原子炉建屋の強度確保
の目的で設置された部材で、原子炉建屋完成後は強度部
材として作用していないトラスの一部分がある場合、そ
の再接続は省略してもよい。次にステップ1j−3にお
いて取り外し屋根部40と原子炉建屋屋根との隙間部に
コンクリート充填を行う。図16(e)におけるコンク
リート充填箇所43にコンクリートを充填し、原子炉建
屋24の開口部設定前の気密性を確保する。次に、ステ
ップ1j−4で仮設シャッター39を撤去する。以上の
ステップ1jにより、開口部の閉鎖を完了する。
【0067】本実施例でも、実施例1と同様の効果を得
ることができる。更に、本実施例の場合、実施例1に比
べ開口部38の復旧時の加工箇所が少ないため、作業時
間が更に短くなる。
【0068】(実施例3)次に、本発明の実施例3を説
明する。本実施例では、搬出するRPV2の外形とそれ
に取り付けた遮蔽体の外形、それに加え搬出時の搬出対
象物の振れ等を考慮して求められる小径開口部50を図
17の如く設定する。本実施例は、実施例1における開
口部38を小径開口部50,取り出し屋根部40を小径
取り出し屋根部61としたものである。本実施例が実施
例1と異なる点は、図1のステップ1dとステップ1k
である。その他の手順は実施例1と同じであるので、こ
こでは説明を省略する。
【0069】本実施例のステップ1dで行う開口部補強
部材設置の詳細を説明する。まず、揚重機36により小
径取り外し屋根部61となる部分の吊り上げ支持を行
う。次に、オペレーションフロア34に主ビーム28を
支える支柱35を設置する。支柱35の設置箇所は図1
7に示すように、開口部設置後に残る主ビームの先端と
なる付近の2箇所である。この支柱設置箇所は必要に応
じて増やしてもよい。さらに、小径開口部50を囲むよ
うにデッキ受け梁29の下側に補強梁44を取り付け
る。この補強梁44の設置は以下の理由による。すなわ
ち、小径開口部50を設定する場合、主ビーム28を切
断する必要がある。しかしながら、その際、主ビーム2
8によって支持されていたコンクリート25が開口部周
辺に残存する。そのため、実施例1のように主ビーム2
8に支持部材を設置しただけでは、開口部開口後の原子
炉建屋屋根のコンクリート25を支えるに十分な強度を
維持できない。それゆえ、補強梁44を小径開口部の周
囲に設置し、小径開口部50の周辺のコンクリートの強
度を確保する。なお、揚重機36による小径取り外し屋
根部61となる部分の吊り上げ支持、オペレーションフ
ロア34より主ビーム28の下に支柱35の設置、小径
開口部50を囲むようにデッキ受け梁29の下側に補強
梁44を取り付けることについては、作業順序を入れ替
えても、作業を並行して行ってもよい。ステップdによ
り、開口部補強部材設置を完了する。
【0070】次に、本実施例のステップ1kで行う開口
部補強部材撤去の詳細を説明する。ステップ1kでは、
ステップ1dで設置した開口部補強部材を撤去する。ま
ず、原子炉建屋24内オペレーションフロア34上に設
けた支柱35を撤去する。次に、揚重機36による吊り
上げ支持を解除する。次に、補強梁44を取り外す。ス
テップkにより開口部撤去を完了する。なお、原子炉建
屋24内オペレーションフロア34上に設けた支柱35
を撤去すること、揚重機36による吊り上げ支持を解除
すること、補強梁44を取り外すことについては、作業
順序を入れ替えても、作業を平行して行ってもよい。
【0071】本実施例でも、実施例1と同様の効果を得
ることができる。更に、本実施例の場合、実施例1に比
べて開口部が小さくなるため、取り外し屋根部の重量を
小さくでき、それに伴う揚重作業時の取り扱いが容易に
なる。
【0072】(実施例4)次に、本発明の実施例4を説
明する。本実施例は、実施例1において支柱35にて行
っていた開口部補強を図18に示すように原子炉建屋2
4の屋上から原子炉建屋24の屋根をワイヤにて補強し
た実施例である。本実施例が実施例1と異なる点は、図
1のステップ1dとステップ1kである。その他の手段
は実施例1と同じであるので、ここでは説明を省略す
る。
【0073】本実施例のステップ1dで行う開口部補強
部材設置の詳細を説明する。図18は、原子炉建屋24
の屋上に設置した柱45から原子炉建屋24の屋根をワ
イヤにて補強する要領図である。まず、揚重機により取
り外し屋根部となる部分の吊り上げ支持を行う。次に、
原子炉建屋24の屋上に4本の柱45を立て、図18
(b)の如くワイヤ46を渡す。そして、残存主ビーム
28bの先端部となる付近の主ビームに吊り上げ金具4
7を取り付ける。吊り上げ金具47は、コンクリート2
5を縦に貫通するピン73を主ビーム28の両側に設
け、主ビーム28の下に下支持板74を設け、吊り上げ
金具47とピン73と下支持板74を締結することによ
り残存主ビーム28bの先端部となる付近の主ビームと
固定する。次に、吊り上げ金具47にワイヤ46をつな
ぐ。これにより開口部設置後の原子炉建屋24の屋根の
強度低下を抑える。ステップdにより、開口部補強部材
設置を完了する。
【0074】次に、本実施例のステップ1kで行う開口
部補強部材撤去の詳細を説明する。ステップ1kでは、
ステップ1dで設置した開口部補強部材を撤去する。ま
ず、柱45,ワイヤ46,吊り上げ金具47,ピン7
3,下支持板74を撤去する。次にピン73が通ってい
た穴にコンクリートを充填する。柱45を立てるために
原子炉建屋屋根に加工を行った場合は、その復旧を行っ
てもよい。ステップkにより開口部補強部材撤去を完了
する。
【0075】本実施例でも、実施例1と同様の効果を得
ることができる。更に、本実施例の場合、実施例1とは
異なり、残存主ビーム28bを原子炉建屋24の屋根上
からの吊り上げによって補強するため、オペレーション
フロア34上に補強部材を設置する必要がない。これに
よりオペレーションフロア34内の作業が容易に進めら
れるようになる。
【0076】(実施例5)次に本発明の第5実施例を説
明する。本実施例は、実施例1において支柱35にて行
っていた開口部補強を図19に示すように原子炉建屋2
4屋上から原子炉建屋24屋根をビームにて補強した実
施例である。なお、図を簡略化する図19においてブレ
ース30は省略している。本実施例が実施例1と異なる
点は、図1のステップ1dとステップ1kである。その
他の手段は実施例1と同じであるので、ここでは説明を
省略する。
【0077】本実施例のステップ1dで行う開口部補強
部材設置の詳細を説明する。図19は、原子炉建屋24
屋上から原子炉建屋24屋根をビーム48にて補強する
方法を示す補強要領図である。まず、揚重機により取り
外し屋根部となる部分の吊り上げ支持を行う。次に、図
19の如く、原子炉建屋24の屋上に主ビーム28と直
行する方向で、上方から見て残存主ビーム28bの先端
部となる付近で主ビームと交差する位置に補強ビーム4
8を設置する。次に、補強ビーム48の両端にスタッド
52を設けて補強ビーム48を固定する。次に、コンク
リート25を縦に貫通するピン49を主ビーム28の両
側に設ける。そして、主ビーム28の下に設置する下支
持板51とピン49と補強ビーム48を締結することに
より、残存主ビーム28bの先端部となる主ビーム付近
を支持する。これを開口部38の設置により主ビーム2
8が切断される2箇所にそれぞれ実施する。これにより
開口部設置後の原子炉建屋24の屋根の強度低下を抑え
る。ステップdにより、開口部補強部材設置を完了す
る。
【0078】次に本実施例のステップ1kで行われる開
口部補強部材撤去の詳細を説明する。ステップ1kで
は、ステップ1dで設置した開口部補強部材を撤去す
る。まず、補強ビーム48,スタッド52,ピン49,
下支持板51を撤去する。次に、ピン49,スタッド5
2が通っていた穴にコンクリートを充填する。ここで、
スタッド52が通っていた穴へのコンクリート充填を行
ってもよい。ステップkにより開口部補強部材撤去を完
了する。
【0079】本実施例でも、実施例1と同様の効果を得
られる。更に、本実施例の場合、残存主ビーム28bを
原子炉建屋24の屋根上からの補強ビーム48により補
強することにより、オペレーションフロア34内に補強
部材を設置する必要がないため、オペレーションフロア
34内の作業が容易に進められるようになり、且つ、原
子炉建屋24の屋根上にも大きな突出物がないため、揚
重機36による作業が容易に進められる。
【0080】上述の各実施例によれば、原子炉建屋の強
度を確保することができ、開口部設置のために取り外す
屋根の一体搬出・搬入が行えるので、開口部の設定及び
復旧時間が短縮され、原子力発電所寿命延長工事の際の
原子力発電所の運転停止期間を短縮することができる。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、原子炉建屋屋根に開口
部を設けて、その開口部から原子炉建屋内の大型構造物
を搬出・搬入する際に、原子炉建屋屋根の強度を確保し
つつ大型構造物の搬出・搬入作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一連のRPV搬出・搬入作業のフローチャート
図。
【図2】実施例1におけるステップeの詳細図。
【図3】実施例1におけるステップjの詳細図。
【図4】実施例2におけるステップjの詳細図。
【図5】原子力発電所の原子炉建屋の縦断面図。
【図6】原子力発電所の原子炉建屋におけるPCV付近
の詳細を示した図。
【図7】原子炉建屋屋根の構造図。
【図8】実施例1における補強部材設置状態を示す図。
【図9】実施例1における原子炉建屋の縦断面図。
【図10】原子炉建屋屋根の断面の構造を示す図。
【図11】実施例1における取り外し屋根部を一体で搬
出している状態を示した図。
【図12】RPV2を原子炉建屋24の外へ搬出した後
の状態を示す。
【図13】取り外し屋根部40を開口部に復旧する際の
要領図。
【図14】図13におけるB部の詳細を示す図。
【図15】取り外し屋根部40を開口部に復旧する際の
要領図。
【図16】図15におけるC部の詳細を示す図。
【図17】実施例3における補強部材設置状態を示す
図。
【図18】実施例4における補強部材設置状態を示す
図。
【図19】実施例5における補強部材設置状態を示す
図。
【符号の説明】
1a…燃料等の取出、1b…RPV接続配管切断、1c
…RSW切断、1d…開口部補強部材設置、1e…開口
部設置、1f…RPV搬出、1g…新規RPV搬入、1
h…RSW据え付け、1i…RPV接続配管接続、1j
…開口部閉鎖、1k…開口部補強部材撤去、1l…燃料
の搬入、2…RPV、3…RSW、4…PCVヘッド、
5…RPVヘッド、6…蒸気乾燥器、7…気水分離器、
8…使用済み燃料プール、9…使用済み燃料ラック、1
0…PCV、11…主蒸気ノズル、12…給水ノズル、
13…炉心スプレイノズル、14…再循環水入口ノズ
ル、15…再循環水出口ノズル、16…主蒸気配管、1
7…給水配管、18…炉心スプレイ配管、19…再循環
水入口配管、20…再循環水出口配管、21…バルクヘ
ッドプレート、22…PCVスタビライザ、23…燃料
交換ベローズ、24…原子炉建屋、25…コンクリー
ト、26…デッキプレート、27…トラス、28…主ビ
ーム、29…デッキ受け梁、30…ブレース、31…接
続板、32…スタッドボルト、33…ボルト、34…オ
ペレーションフロア、35…支柱、36…揚重機、38
…開口部、39…仮設シャッター、40…取り外し屋根
部、41…スタッドボルト、42…通し穴、43…コン
クリート充填箇所、44…補強梁、45…柱、46…ワ
イヤ、47…吊り上げ金具、48…補強ビーム、49,
73…ピン、50…小径開口部、51…下支持板、52
…スタッド、55…原子炉ウェル、56…RPVサポー
ト、61…小径取り出し屋根部、70…新規RPV、7
1…新規RSW、72…新規RPVヘッド、74…下支
持板。
フロントページの続き (72)発明者 青木 昌隆 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 細谷 清和 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉建屋の屋根に開口部を設け、前記開
    口部から前記原子炉建屋内の大型構造物の搬出及び搬入
    のうち少なくとも一方を行う原子炉建屋内大型構造物の
    取扱方法において、 前記開口部の設置による前記屋根の強度低下を補う補強
    を前記屋根に施した後に前記開口部を設け、前記大型構
    造物の搬出及び搬入のうち少なくとも一方を行うことを
    特徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記屋根の補強と、前
    記開口部の設置を別の定期検査時に分けて行うことを特
    徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記屋根のう
    ち前記開口部を設けるために取り除かれる部分を一体で
    搬出することで前記開口部を設けることを特徴とする原
    子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記開口部を復旧する
    際に、前記一体で搬出した屋根の部分を用いることを特
    徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記開口部を復旧する
    際に、前記一体で搬出した屋根の部分に位置決め用のガ
    イド機構を設け、このガイド機構を利用して復旧作業を
    行うことを特徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方
    法。
  6. 【請求項6】請求項3乃至5の何れかにおいて、 前記開口部を設ける際に、前記屋根のトラスを切断し、
    その切断部の少なくとも一部を接続板によって接続した
    後、前記トラスの上方のコンクリート及びデッキプレー
    トを切断し、その後前記接続板を取り外して前記コンク
    リート,デッキプレート及びトラスを一体で搬出するこ
    とを特徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記屋根のトラスを切
    断し、その切断部の少なくとも一部を接続板によって接
    続する工程と、前記コンクリート及びデッキプレートを
    切断し、その後前記接続板を取り外して前記コンクリー
    ト,デッキプレート及びトラスを一体で搬出する工程を
    別の定期検査時に分けて行うことを特徴とする原子炉建
    屋内大型構造物の取扱方法。
  8. 【請求項8】請求項6において、前記屋根のトラスを切
    断し、その切断部の少なくとも一部を接続板によって接
    続し、その後前記コンクリート及びデッキプレートを切
    断する工程と、前記接続板を取り外して前記コンクリー
    ト,デッキプレート及びトラスを一体で搬出する工程を
    別の定期検査時に分けて行うことを特徴とする原子炉建
    屋内大型構造物の取扱方法。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8の何れかにおいて、 前記屋根の補強は、前記開口部を設けた後に残存する前
    記屋根の強度部材である主ビームを支持する支持部材を
    前記原子炉建屋のオペレーションフロア上に設置して行
    うことを特徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱方
    法。
  10. 【請求項10】請求項1乃至8の何れかにおいて、 前記屋根の補強は、前記原子炉建屋の屋上に設けた支持
    部材を用いて、前記開口部を設けた後に残存する前記屋
    根の強度部材である主ビームを支持することを特徴とす
    る原子炉建屋内大型構造物の取扱方法。
  11. 【請求項11】原子炉建屋の屋根に開口部を設け、前記
    開口部から前記原子炉建屋内の原子力圧力容器の搬出及
    び搬入を行う原子炉建屋内大型構造物の取扱方法におい
    て、 前記開口部の設置による前記屋根の強度低下を補う補強
    を前記屋根に施した後に、前記屋根のうち前記開口部を
    設けるために取り除かれる部分を一体で搬出することで
    前記開口部を設け、 前記原子炉圧力容器を原子炉遮蔽体と一体で前記開口部
    から搬出し、 新規原子炉圧力容器を新規原子炉遮蔽体と一体で前記開
    口部から搬入し、 前記一体で搬出した屋根の部分を用いて前記開口部を復
    旧することを特徴とする原子炉建屋内大型構造物の取扱
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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