JP2000346829A - 昇温脱離ガス分析装置 - Google Patents

昇温脱離ガス分析装置

Info

Publication number
JP2000346829A
JP2000346829A JP11162746A JP16274699A JP2000346829A JP 2000346829 A JP2000346829 A JP 2000346829A JP 11162746 A JP11162746 A JP 11162746A JP 16274699 A JP16274699 A JP 16274699A JP 2000346829 A JP2000346829 A JP 2000346829A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
sample
gas
desorbed
desorbed gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11162746A
Other languages
English (en)
Inventor
Taizo Uchiyama
泰三 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DENSHI KAGAKU KK
Original Assignee
DENSHI KAGAKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DENSHI KAGAKU KK filed Critical DENSHI KAGAKU KK
Priority to JP11162746A priority Critical patent/JP2000346829A/ja
Publication of JP2000346829A publication Critical patent/JP2000346829A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【効果】質量分析計の検出信号強度は原理的に質量に依
存するが、これを質量が異なる物質間で比較することが
できるように、補正係数を乗算して表示する。併せて質
量分析計の個体によるばらつきを補正して表示する。 【解決手段】昇温脱離ガス分析装置の完成試験のときに
基準試料により補正情報を作成し、これをこの装置に接
続されるコンピュータ装置に設定しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積回路用半導体
チップその他小型かつ精密な部品の試験に利用する。本
発明は、被試験物となる試料を高真空中に配置し、その
試料を加熱することにより放出されるきわめて微量の脱
離ガスを捕捉してその質量および量を分析することによ
り、その試料の製造工程を評価し、その製造工程を改良
するために利用する。本発明はとくに、脱離ガスの感度
が脱離ガスの質量に対して均一にならない現象を補正す
るための発明に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体チップの製造工程では薬品による
処理、洗浄、蒸着などの工程が組み合わされて実行され
るが、製造歩留りを向上するには、その製造工程のどの
部分をどのように改良すればよいかを発見しなければな
らない。このために、半導体チップの製品または半製品
の脱離ガスを検出する技術が知られている。これは、製
造工程の終点または途中で摘出された製品または半製品
を試料として、これをきわめて高い真空中に配置し、こ
の試料を加熱する。そうすると、その試料に残留してい
る薬品などの微量成分がガス状になって放出される。こ
のガスをその真空雰囲気の中で捕捉し、その質量分析を
行うとそのガスの組成を特定することができる。そのガ
スの種類から、たとえばどの工程の洗浄が不十分であっ
たかなど、製造工程を改善するために適正な評価をする
ものである。
【0003】本願出願人は、このための装置を飛躍的に
改良した発明について特許権を保有する(特許第261
9731号)。また、試料に残留する物質を脱離ガスと
して真空中で捕捉するとき、その脱離ガスの質量を分析
して脱離ガスの種類を特定するだけでなく、その脱離ガ
スを定量する発明について特許出願した(特開平6−2
75697号公報、以下この発明を先願発明という)。
この定量する技術は、離脱ガスの量に応じて質量分析計
に観測される検出信号強度が変化することを利用し、高
度の真空中に配置した試料を加熱の開始から観測をはじ
め、さらに加熱してもガスがほとんど放出されなくなる
まで観測し、その信号強度を時間軸上で積分し、その試
料から放出された当該ガスの全量に比例する値を検出す
るものである。そして、水素イオンをインプラントした
特定の試料を利用して、その信号強度を量的なリファレ
ンスとし、当該ガスの全量を推定するものである。
【0004】この先願発明により、試料に付着する物質
の質量を知りその物質が何であるかを判別するととも
に、その付着する物質の量を知ることができるようにな
り、製造工程の評価精度がいちじるしく向上した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】質量分析計の感度は質
量数に対して一様ではないから、これを利用する顧客は
質量分析計の検出電気信号の大きさから検出される分子
の量を単純に比例計算により推定することができない。
それには二つの理由がある。
【0006】その第一は、質量分析計の感度(電気信号
の大きさ)は、原理的に検出する脱離ガスの質量に依存
することである。磁場型質量分析計では、真空雰囲気中
の開口に到来する脱離ガスの分子をイオン化し、電極間
を通過させて加速し、さらに磁界中を通過させると、そ
の分子の質量に応じて異なる経路をたどることから、そ
の経路を識別することによりその分子の質量を分析する
ものである。すなわちその飛翔した分子の着下点に発生
する電気信号の電極位置からその分子の質量を知ること
ができる。実際には分子の着下点となる目標電極の位置
を固定しておき、加速電極の電圧を変更することによ
り、特定の質量の分子だけがその目標電極に到達するよ
うに構成することにより、目標電極に電気信号が発生し
たときの加速電極の電圧からその分子の質量を特定する
ことができる。そしてその電気信号の大きさからその分
子の量を推定することができる。
【0007】したがって同一の質量の分子、つまり同一
種類の脱離ガスについては、その電気信号の大きさは捕
捉した脱離ガスの量に比例する。しかし、質量の異なる
分子については、観測されたときの加速電極の印加電圧
が異なることから、目標電極に到達する時間当たりの分
子の数は質量に依存することになる。したがって、発生
する電気信号の大きさを種類の異なる脱離ガスの間で単
純に比較することができなくなる。また、質量数に対し
て感度が一様でないことは四重極質量分析計においても
同様である。これは昇温脱離ガス分析装置をその測定原
理にまで思い致すことなく、単純な工業用の測定器とし
て使用する利用者にとっては不便なことであるととも
に、測定操作や測定結果の評価を誤る原因となることが
ある。
【0008】その第二は、質量分析計の感度が個体によ
り異なることである。質量分析計は量産する製品ではな
く、注文に応じて個別に製造するものであるから、設計
仕様は同一であっても、製造時期により購入部品の特性
にばらつきがあり、製造担当者も異なることになる。し
たがって、その特性の個体差をなくするように製造を管
理することは現実にきわめて困難である。このため昇温
脱離ガス分析装置を複数台購入した顧客から、同一の条
件下で採取した試料について、装置によりその測定結果
に相違が生じるとの苦情がでることになる。
【0009】本願発明者は上記の二つの問題あるいは顧
客からの苦情に対応して、脱離ガスの質量に対して質量
分析装置の感度をみかけ上一様にし、しかも質量分析装
置の感度について個体のばらつきをみかけ上なくするに
は、製造完了後の試験の段階で安定な試料により計測を
行い、計測したデータを基に正当な補正係数を設定し、
その補正係数により観測結果を補正して表示することが
合理的であるとともに、この装置の利用目的にかなうと
の考えに達した。
【0010】本発明はこのような背景に行われたもので
あって、本発明は、昇温脱離ガス分析装置の定量測定に
際して、観測する脱離ガスの分子質量に対して、みかけ
上均一な感度を示す装置を提供することを目的とする。
本発明は、装置の利用状態が単純化され誤って使用され
ることのない昇温脱離ガス分析装置を提供することを目
的とする。さらに本発明は、質量分析計の個体のばらつ
きを較正して表示する装置を提供することを目的とす
る。本発明は、昇温脱離ガス分析装置を用いて半導体製
造工程の評価を行うために、さらに便利な装置を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空チャンバ
(1)と、この真空チャンバ内に配置された試料(3)
を加熱する加熱器(4)と、この試料から前記チャンバ
(1)内に脱離するガスを検出する質量分析計(5)
と、この質量分析計の出力電気信号を入力信号とする演
算回路(7)とを備え、この演算回路(7)は脱離ガス
の質量毎に前記電気信号の強度を記録する手段を含む昇
温脱離ガス分析装置において、前記演算回路(7)は、
前記質量分析計(5)について検出物質の質量に対応す
る検出感度の補正情報を記録したメモリ手段(10)
と、前記電気信号の強度をこのメモリ手段(10)から
読出した補正情報により補正する演算手段(7a)とを
含むことを特徴とする。上記括弧内の数字は実施例図面
に用いる符号の参照数字であり、構成を理解しやすくす
るために便宜的に付すものである(以下同じ)。
【0012】すなわち本発明の装置は、真空ポンプ(1
a)によりきわめて高い真空状態に維持されている真空
チャンバ(1)を備え、その真空チャンバ(1)内に試
料(3)を配置し、この試料(3)を加熱器(4)によ
り加熱する。この試料(3)は例えば、半導体製造工程
の終点または途中点からピックアップされた半導体チッ
プまたはその半製品である。この試料(3)を真空雰囲
気中で加熱することにより、試料に付着残留している洗
浄薬品などの微量の物質が真空雰囲気の中に脱離ガスと
して浮遊する。これは、開口がこの真空雰囲気の中に設
けられた質量分析計(5)により捕捉され、その分子の
質量および強度が測定される。質量分析計(5)の原理
は上の「発明が解決しようとする課題」の欄で簡単に説
明したが、公知技術であるのでここでは詳しい説明を省
略する。質量分析計(5)により脱離ガスの分子の質量
対応に電気信号が得られ、これは質量分析計(5)の制
御回路(6)および入出力回路などを介して、演算回路
(7)に取込まれる。演算回路(7)は、実用的な一例
としては、いわゆるパーソナルコンピュータに必要なソ
フトウエアをインストールした装置である。この演算回
路(7)の演算結果は、表示装置(8)およびプリンタ
(9)に出力表示される。
【0013】ここで本発明の特徴は、演算回路(7)に
接続されたあるいは内蔵されたメモリ手段(10)に、
補正情報を記憶しておき、演算回路(7)はその補正情
報にしたがって、質量分析計(5)の測定結果を補正し
て出力するところにある。
【0014】この演算回路(7)は、検出物質の質量毎
に試料の加熱開始から脱離ガスがきわめて小さくなるま
での電気信号の強度の積分値を演算する手段を含み(こ
れは上述のように先願発明の特許出願によりすでに開示
した技術である)、上記メモリ手段(10)の補正情報
を利用してこの演算回路(7)により実行する補正は、
この積分値を補正するものとすることが望ましい構成で
ある。
【0015】その補正情報は補正係数を含み、その補正
係数Kは脱離ガスの質量をXとするとき、 K=1/(a+bX+cX2) 1) なる二次関数で表示され、この二次関数およびその係数
(a,b,c)を上記メモリ手段(10)に記憶してお
くことができる。
【0016】本発明のもう一つの観点は、この補正演算
を行うための補正情報を記録する方法である。すなわち
本発明は、質量が既知である物質をインプラントした試
料(較正用試料)を異なる複数の質量の物質につき複数
個用意し、その複数の試料についてそれぞれ前記物質が
脱離ガスとして検出される検出出力を昇温脱離ガス分析
装置により観測し、その観測結果から当該装置に固有の
質量に対する感度の補正情報を記録することを特徴とす
る。この方法により、それぞれの昇温脱離ガス分析装置
は、その工場出荷の際に、あるいは修理保守を行う際
に、較正用試料を用いて測定を行い、メモリ手段(1
0)にその較正用試料を用いた測定結果に基づく感度の
補正情報(補正係数を含む)を記録する。
【0017】このとき、この感度の補正情報をその昇温
脱離ガス分析装置に接続されるコンピュータ装置(演算
回路7)により読取可能な記録媒体に記録することが望
ましい。
【0018】さらに本発明のもうひとつの観点は、この
記録媒体である。すなわち本発明は、昇温脱離ガス分析
装置の質量に対する感度の補正情報がその昇温脱離ガス
分析装置に接続されたコンピュータ装置により読取可能
に記録された記録媒体である。この記録媒体は、コンピ
ュータ装置に内蔵されるハードディスクなどの記録媒体
でもよいし、コンピュータ装置に読取られるコンパクト
・ディスクあるいはフロッピ・ディスクなどでもよい。
前記補正情報は、補正係数そのもの、補正係数を演算す
る演算式、その補正係数を用いて測定結果を補正する処
理手順、その他を含むことができる。
【0019】このような構成により、本発明の装置は、
ひとつの工業用測定装置として便利に使用することがで
きるとともに、質量分析計などの測定原理を理解してい
ない者でも誤りなく利用することができることになる。
また、異なる質量の脱離ガスについての量的な比較をし
やすくなるとともに、個体により生じる測定値の違いを
見かけ上なくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施例装置を図面を用い
て説明する。図1は本発明実施例昇温脱離ガス分析装置
の要部ブロック構成図である。図2は本発明実施例装置
全体の概観形状を示す正面図である。図3は本発明実施
例装置要部の概観形状を示す斜視図である。
【0021】この昇温脱離ガス分析装置は、真空ポンプ
1aによりきわめて高い真空状態に維持されている真空
チャンバ1を備え、その真空チャンバ1に設けた試料ス
テージ2に試料3を配置し、この試料3を加熱器4によ
り加熱する。この加熱器4は赤外線ランプを備え、試料
3の背面から輻射熱により照射して試料温度を約100
0℃まで加熱することができる。この試料3は、半導体
製造工程の終点または途中点からピックアップされた半
導体チップまたはその半製品である。
【0022】この試料3を真空雰囲気中で加熱すること
により、試料に付着残留している洗浄薬品などの微量の
物質が真空雰囲気の中に脱離ガスとして浮遊する。これ
は、開口がこの真空雰囲気の中に設けられた質量分析計
5により捕捉され、その分子の質量が測定される。質量
分析計5により脱離ガスの分子の質量対応に電気信号が
得られ、これは質量分析計5の制御回路6および入出力
回路などを介して、演算回路7に取込まれる。演算回路
7は、市販のパーソナルコンピュータに必要なソフトウ
エアをインストールした装置である。この演算回路7の
演算結果は、表示装置8およびプリンタ9に出力表示さ
れる。
【0023】真空チャンバ1の外殻には、中心軸がほぼ
鉛直に配置された一つの金属円筒11と、この金属円筒
11の上端に被せられた蓋12とを含み、この蓋12に
はほぼその中心に試料3を照射した余分の赤外線をこの
真空チャンバ1の外に放散させるための赤外線透過窓1
2aが設けられ、この赤外線透過窓12aに並んで質量
分析計5がこの蓋12に取付けられる。ポート12cは
外部からこの真空チャンバ1の中にアクセスするための
ものであるが、真空チャンバ1が真空状態に維持されて
いるときには、このポート12cは閉塞されている。こ
のポート12cの蓋にはガラス窓が設けられ、真空状態
で試料の様子を観察できるように構成される。のぞき窓
11aも試料を観察するための窓である。試料3は試料
出入ポート17から、ロードロックチャンバ15を介し
て試料ステージ2に載置される。この作業はマニピュレ
ータ16を用いて行われる。試料の温度は測温装置20
により測定される。
【0024】この装置の測定についてその概要を説明す
ると、図4は較正用の測定結果の一例を示す図である。
横軸に試料温度をとり、縦軸に質量分析計5の出力信号
強度を示す。はじめに既知量のイオンをプラントしたシ
リコン基板を基準試料として測定する。基準試料を配置
して必要な高真空が達成されてから、加熱器4を起動し
て試料を加熱する。質量分析計5の観測質量を「2」す
なわち質量が2である分子H2 を観測する状態に設定し
て、その出力信号強度を温度の上昇にしたがって記録す
ると、図4に示す曲線が得られる。温度490.0℃か
ら855.4℃まで、質量「2」の脱離ガスが観測され
たことになる。そしてこの範囲で斜線を施した部分の面
積SH2 を積分計算する。この面積SH2 が試料から放出
された水素ガスの総量に比例することになる。基準試料
はあらかじめインプラントされたイオンの数がわかって
いるから、この面積SH2 が基準面積とする。
【0025】つぎに被測定試料を配置し、同様に加熱し
ながら水分子(質量18)の脱離状態を観測する。その
結果は図5のようになる。水分子の脱離は101℃から
657℃まで観測され、その基底雑音曲線(N)を差し
引いた図5の斜線部分の面積SH2Oを積分演算する。こ
れを水素分子と対応させることにより脱離した水分子の
数を知ることができる。これを積分演算した面積で単純
に対応すると上で説明した誤りがでることになる。
【0026】ここで本発明の特徴は、演算回路7におよ
びこれに内蔵されたメモリ手段10に、装置毎に固有の
補正情報を記憶しておき、演算回路7はその補正情報に
したがって、質量分析計5の測定結果を補正して出力す
るところにある。
【0027】図6は本発明実施例装置の感度比曲線の一
例を示す図である。横軸に質量数をとり縦軸に水素に対
する感度比を示す。水素分子(質量2)について感度係
数を1とすると、分子の質量にしたがって計測された図
5に例示するような面積について、この感度係数の逆数
を乗じた値が分子数に比例する値となる。例えば、図5
で計測した面積SH2Oは、図6に示す感度比曲線を参照
して、水分子の質量「18」に対応する感度係数2.5
の逆数を乗じた値が図4で計測した水素分子の数に対応
する値となる。
【0028】図6の補正曲線は、昇温脱離ガス分析装置
が完成したときに、1台づつ基準試料を計測することに
より作成する。これにより原理的な補正値と、質量分析
計の個体ばらつきによる補正値とを共に含む補正係数を
得ることができる。
【0029】基準試料は、水素イオン(H2 、質量2)
をインプラントしたシリコン基板、ネオンイオン(N
e、質量20)をインプラントしたシリコン基板、およ
びアルゴン(Ar、質量40)をインプラントしたシリ
コン基板を用いる。それぞれ図4または図5に相当する
計測を実行し、その積分面積を演算し、試料の面積から
単位面積当たりの分子数を考慮して図6に示す感度比曲
線を作成する。
【0030】そして、多数の装置についてこのような感
度比曲線を作成した結果、この感度比曲線から求められ
る補正係数Kは、脱離ガスの質量をXとするとき、 K=1/(a+bX+cX2) 1) なる二次関数でよく近似されることが分かった。したが
って、昇温脱離ガス分析装置の完成試験のときに、上で
説明した3種類の基準試料を用いて試験を行うことによ
り、上記二次関数の係数を特定することができる。この
二次関数およびその係数(a,b,c)を上記メモリ手
段10に記憶しておくことにより、脱離ガスの質量によ
る補正および質量分析計の個体ばらつきによる補正を同
時に行うことができる。
【0031】この実施例による補正情報の作成および利
用の手順を詳しく説明する。 1.測定 1)水素イオン1E+16/cm2 (1平方センチメー
トル当たり10の16乗、以下同様)をインプラントし
た試料の水素の信号強度(面積)を求める。この試料の
重量を測定する。 2)ネオンのイオン1E+16/cm2 をインプラント
した試料でネオン(質量20)の信号強度(面積)を求
める。この試料の重量を測定する。 3)アルゴンのイオン5E+15/cm2 をインプラン
トした試料でアルゴン(質量40)の信号強度(面積)
を求める。この試料の重量を測定する。 2.補正係数計算プログラムへのデータ入力 水素(質量2)の信号強度(面積)をPa-2 、ネオン
(質量20)の信号強度(面積)をPa-20、アルゴン
(質量40)の信号強度(面積)をPa-40とし、水素
試料の重量をSw-h(ミリグラム)、ネオン試料の重量を
Sw-ne (ミリグラム)、アルゴン試料の重量をSw-ar
(ミリグラム)として、これらを補正計算プログラムへ
入力する。 3.理論的なネオンの信号強度(面積)、アルゴンの信
号強度の計算 1)測定した信号強度(面積)を試料面積1cm2 で正
規化する。
【0032】 水素試料のサイズ Ss-h=Sw-h×1E-3/2.33 ×0.06 ネオン試料のサイズ Ss-ne=Sw-ne×1E-3/2.33 ×0.05 アルゴン試料のサイズ Ss-ar=Sw-ar×1E-3/2.33 ×0.06 ここでシリコンの比重は2.33、水素試料およびアルゴン
試料の厚みは0.06cm、ネオン試料の厚みは0.05cmであ
る。
【0033】 水素の正規化信号強度(面積)は Pa(1)=Pa-2
/Ss-h ネオンの正規化信号強度(面積)は Pa(2)=Pa-2
0/Ss-ne アルゴンの正規化信号強度(面積)は Pa(3)=Pa-4
0/Ss-ar である。 2)質量分析計のイオン・マルチプライヤに印加する電
圧に依存する比例定数Kkを水素のデータから求めると、 Paf(1)=Kk × (5E+15×Xf2 ×Ff2 ×Tf2) したがって Kk=Pa(1)/(5E+15×Xf2 ×Ff2 ×Tf2) となる。
【0034】ここで水素イオンは 1E +16/cm2をインプ
ラントしたので、測定される水素分子はこの半分とな
る。
【0035】理論的なネオンの正規化信号強度(面積)
は Paf(2)=Kk ×1E+16×Xf20×Ff20×Tf20 理論的なアルゴンの正規化信号強度(面積)は Paf(3)=kK ×3E+15×Xf40×Ff40×Tf40 である。ここで Xf はイオン化効率 Ff はフラグメンテーション・ファクタ Tf は質量28に対する透過効率 である。
【0036】なお、アルゴンのイオンをインプラした試
料からは2本のピークが観測されるが、測定の簡便さか
ら900℃付近に出現するピークだけを測定する。この
信号強度(面積)が全体の60%であることはあらかじ
め測定してある。
【0037】ネオンとアルゴンの測定した正規化した信
号強度(面積)と理論的な正規化信号強度(面積)との
比を求めると、 ネオンについて F-20=Pa(2)/Paf(2) アルゴンについて F-40=Pa(3)/Paf(3) となる。 4.この値を二次の近似式(上記式1))にあてはめた感
度比曲線から補正係数を求める。その感度比曲線の一例
を図6に示す。これをハードディスクにストアする。
【0038】本発明装置の演算回路は、測定数値を表示
するときには、ハードディスクからこの補正情報を読出
して、式1)に示す係数を演算し、信号強度および面積の
数値にこの係数を乗算する。
【0039】なお、本発明は大気雰囲気中の加熱でも実
施することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明の装置では、観測する脱離ガスの
分子質量に対して、みかけ上均一な感度を表示する。こ
れにより装置の利用状態が単純化され誤って使用される
ことが少なくなる。さらに本発明は、質量分析計の個体
のばらつきを較正して表示するから、複数の装置により
その計測結果が異なるようなことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例昇温脱離ガス分析装置の要部ブロ
ック構成図。
【図2】本発明実施例装置全体の概観形状を示す正面
図。
【図3】本発明実施例装置要部の概観形状を示す斜視
図。
【図4】水素分子(質量2)についての測定結果の一例
を示す図。
【図5】水分子(質量18)についての測定結果の一例
を示す図。
【図6】感度係数Yを質量Xの二次関数で近似した関数
グラフの一例。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 1a 真空ポンプ 2 試料ステージ 3 試料 4 加熱器 5 質量分析計 6 制御回路 7 演算回路(7a演算手段) 8 表示装置 9 プリンタ 10 メモリ手段 11 金属円筒 11a のぞき窓 12 蓋 12a 赤外線透過窓 12b、12c ポート 15 ロードロックチャンバ 16 マニピュレータ 17 試料出入ポート 20 測温装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱チャンバと、この加熱チャンバ内に
    配置された試料を加熱する加熱器と、この試料から脱離
    するガスを検出する質量分析計と、この質量分析計の出
    力電気信号を入力信号とする演算回路とを備え、この演
    算回路は検出された脱離ガスの質量毎に前記電気信号の
    強度を記録する手段を含む昇温脱離ガス分析装置におい
    て、 前記演算回路は、前記質量分析計が検出する脱離ガスの
    質量に対応する検出感度の補正情報を記録した記憶媒体
    と、前記電気信号の強度をこの記憶媒体から読出した補
    正情報により補正する手段とを含むことを特徴とする昇
    温脱離ガス分析装置。
  2. 【請求項2】 前記演算回路は、脱離ガスの質量毎に前
    記試料の加熱開始から脱離ガスがきわめて小さくなるま
    での電気信号の強度の積分値を演算する手段を含み、前
    記補正する手段はこの積分値を補正する手段を含む請求
    項1記載の昇温脱離ガス分析装置。
  3. 【請求項3】 前記補正情報は補正係数を含み、その補
    正係数Kは脱離ガスの質量をXとするとき、 K=1/(a+bX+cX2) なる二次関数である請求項1または2記載の昇温脱離ガ
    ス分析装置。
  4. 【請求項4】 質量が既知である物質をインプラントし
    た試料を異なる複数の質量の物質につき複数個用意し、
    その複数の試料についてそれぞれ前記物質が脱離ガスと
    して検出される検出出力を昇温脱離ガス分析装置により
    観測し、その観測結果から当該装置に固有の検出対象脱
    離ガスの質量に対する感度の補正情報を記録する補正情
    報の記録方法。
JP11162746A 1999-06-09 1999-06-09 昇温脱離ガス分析装置 Pending JP2000346829A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11162746A JP2000346829A (ja) 1999-06-09 1999-06-09 昇温脱離ガス分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11162746A JP2000346829A (ja) 1999-06-09 1999-06-09 昇温脱離ガス分析装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000346829A true JP2000346829A (ja) 2000-12-15

Family

ID=15760485

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11162746A Pending JP2000346829A (ja) 1999-06-09 1999-06-09 昇温脱離ガス分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000346829A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012032223A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Ulvac-Riko Inc 昇温脱離ガス分析装置およびその方法
JP2012247202A (ja) * 2011-05-25 2012-12-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 分析方法および装置
JP2015018786A (ja) * 2013-06-12 2015-01-29 電子科学株式会社 質量分析装置
JP2017009376A (ja) * 2015-06-19 2017-01-12 日本電信電話株式会社 分析方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012032223A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Ulvac-Riko Inc 昇温脱離ガス分析装置およびその方法
JP2012247202A (ja) * 2011-05-25 2012-12-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 分析方法および装置
JP2015018786A (ja) * 2013-06-12 2015-01-29 電子科学株式会社 質量分析装置
JP2017009376A (ja) * 2015-06-19 2017-01-12 日本電信電話株式会社 分析方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3298974B2 (ja) 昇温脱離ガス分析装置
JP3344724B2 (ja) マトリクス支持式レーザー脱離法の測定で用いられる質量分析システムおよび方法
JP3062251B2 (ja) 元素質量分析計において干渉を減少させる方法
JP6158965B2 (ja) Srmアッセイにおけるバックグラウンド干渉の決定のためのtof−msmsデータの可変xic幅の使用
US20170352528A1 (en) Apparatus and method for static gas mass spectrometry
WO2008053530A1 (fr) Procédé de quantification d&#39;échantillons
CN104979158B (zh) 评估质谱仪中的真空条件的方法
CN106404884A (zh) 一种利用hs‐imr‐ms快速评价挥发性烟用香精香料质量一致性的方法
Di Natale et al. Sensor-array calibration time reduction by dynamic modelling
Bickel et al. The determination of hydrogen and deuterium in Zr–2.5 Nb material by hot vacuum extraction mass spectrometry
JP2000346829A (ja) 昇温脱離ガス分析装置
JP3936745B2 (ja) 固体物質の触媒活性を検出する方法と装置
US7989761B2 (en) Gas analyzing method and gas analyzing apparatus
WO2022162999A1 (ja) クロマトグラフ装置
Zajec et al. Quantification of hydrogen in a gas mixture of noble gases
Silvestri et al. Thermal desorption mass spectrometer for mass metrology
JP7320249B2 (ja) ガス分析装置
Johnson et al. High spatial resolution spectroscopy in the elemental microanalysis and imaging of biological systems
JP2002090342A (ja) 昇温脱離ガス分析装置
JP2004349102A (ja) 四重極型質量分析計とそれを有する真空装置
JP2021067599A (ja) 質量分析装置、画像生成方法および画像生成プログラム
Jones et al. Metabolite profiling by direct analysis in real-time mass spectrometry
Halas et al. New isotope ratio mass spectrometric method of precise δ37Cl determinations
JP2009535619A (ja) 少なくとも2つの元素を含む試料の調査のための分光法における方法
CN113670766B (zh) 一种厚膜混合集成电路产品烘烤参数的确定方法