JP2000346060A - 液体動圧軸受及びスピンドルモータ - Google Patents

液体動圧軸受及びスピンドルモータ

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JP2000346060A
JP2000346060A JP11158607A JP15860799A JP2000346060A JP 2000346060 A JP2000346060 A JP 2000346060A JP 11158607 A JP11158607 A JP 11158607A JP 15860799 A JP15860799 A JP 15860799A JP 2000346060 A JP2000346060 A JP 2000346060A
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Japan
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bearing
dynamic pressure
surface portion
linear expansion
shaft member
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JP11158607A
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English (en)
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Tadao Iwaki
岩城  忠雄
Naoki Kawada
直樹 川和田
Atsushi Ota
敦司 太田
Koji Nitori
幸司 似鳥
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Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくともシャフト部材と、このシャフト部
材を受けるスリーブ部材と、軸受隙間を含む微小隙間に
充填された潤滑油とで構成された液体動圧軸受及びこれ
を具備したスピンドルモータにおいて、簡単な構成で、
広い温度範囲にわたって軸受剛性をほぼ一定にするこ
と。 【解決手段】シャフト部材であるフランジ付シャフト部
材1の下側には線膨張係数の大きな材料の円筒部材2a
を外嵌する。円筒部材2aの外周面にはラジアル動圧発
生溝を形成する。段付円筒状スリーブ部材4の下側の小
径円筒部には線膨張係数の大きな材料の円筒部材4aを
内嵌する。このような構成により、温度変化に対する軸
受隙間の間隔の自動的な調節の幅を大きくした。従っ
て、広い温度範囲にわたって、潤滑油の粘性係数による
軸受剛性の変化を軸受隙間による軸受剛性の変化で補償
できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体動圧軸受及び
これを具備したスピンドルモータに関し、特に広い温度
範囲にわたって軸受剛性をほぼ一定に保持する手段に関
する。
【0002】
【従来の技術】液体動圧軸受は少なくともシャフト部材
と、このシャフト部材を受けるスリーブ部材と、これら
2つの部材の間に形成された軸受隙間を含む微小隙間に
充填された潤滑油とで構成されたものである。液体動圧
軸受の軸受剛性は、温度が上昇すると低下する。これ
は、温度が上昇すると潤滑油の粘性係数が低下するから
である。このため、液体動圧軸受の軸受剛性を広い温度
範囲にわたって可能な限り一定に保持する手段がいくつ
か提案ないし実施されてきた。
【0003】従来の液体動圧軸受を示す図7において、
シャフト部材であるシャフト部材は円柱部材2と、この
円柱部材2に圧入されたスラスト動圧用円盤部材3とか
らなるフランジ付シャフト部材1である。このフランジ
付シャフト部材1が回転自在に嵌合するスリーブ部材
は、底のある小径の円筒部が下段に、且つ大気に開口し
た開口端を有する大径の円筒部が上段に夫々形成された
段付の円筒状スリーブ部材4である。円筒状スリーブ部
材4の開口端は環状押さえ部材5によって塞がれてい
る。ラジアル動圧発生溝G1は円柱部材2の下側の外周
面に形成されている。スラスト動圧発生溝G2はスラス
ト動圧用円盤部材3の上面と下面に夫々形成されてい
る。
【0004】フランジ付シャフト部材1、円筒状スリー
ブ部材4及び環状押さえ部材5との間には、微小隙間R
1、R2、R3、R4及びR5が形成されている。微小
隙間R1、R2、R3、R4は軸受隙間であり、微小隙
間R5は潤滑油溜りとして機能するものである。これら
すべての微小隙間には、潤滑油Fが充填されている。こ
れらの微小隙間は、流体動圧軸受のサイズ、回転数及び
潤滑油の粘性係数にもよるが、数μmから数100μm
程度である。
【0005】また、円筒状スリーブ部材4はステンレス
鋼で作製し、且つフランジ付シャフト部材1はステンレ
ス鋼よりも大きな線膨張係数を有する材料、例えば真ち
ゅうで製作されている。このように線膨張係数を考慮し
て軸受部材の材料を選定することによって、温度上昇に
伴って軸受隙間の間隔が狭くなるようにしてある。軸受
隙間の間隔は、温度によって自動的に調節されているの
である。この軸受隙間の間隔の自動的な調節の効果によ
って、軸受剛性も自動的に調節されている。即ち高温域
では、シャフト部材とスリーブ部材との間に形成された
軸受隙間はその間隔が狭くなり、軸受剛性は増加する。
この軸受剛性の増加は、潤滑油の粘性係数低下による軸
受剛性の減少を或程度は補償する。
【0006】図7に示す従来の液体動圧軸受は、円筒状
スリーブ部材4とフランジ付シャフト部材1を後者の線
膨張係数が前者のそれよりも大きくなるように選定する
ことによって、軸受隙間の間隔を温度によって自動的に
調節し、高温域での軸受剛性の低下を或程度は抑制する
ものである。しかしながら、一般に金属材料間の線膨張
係数の差は高々2〜5×10−5/℃程度であるから、
温度により軸受隙間の間隔を自動的に調節できる幅が小
さく、このため、従来の液体動圧軸受では軸受剛性を広
い温度範囲にわたってほぼ一定に保持することは現実に
は極めて困難である。実現できたとしても、軸受を構成
する材料の選定の幅が非常に狭く、様々な用途に適した
液体動圧軸受をこのような方法では実現できないという
問題がある。
【0007】米国特許第5,524,985号公報に
は、金属製シャフト部材と金属製スリーブ部材と、これ
ら2つ部材間に形成されたラジアル軸受隙間を含む微小
隙間に充填された潤滑油とから構成された液体動圧軸受
であって、ラジアル軸受隙間を形成する前記金属製スリ
ーブの内周面に合成樹脂のライニングを施した液体動圧
軸受が開示されている。即ち、この液体動圧軸受は、合
成樹脂の線膨張係数が金属よりも大きいことを利用し
て、高温域ではラジアル軸受隙間の間隔を狭め軸受剛性
をほぼ一定に維持するようにしたものである。しかしな
がら、この液体動圧軸受も軸受を構成する材料の選定の
幅が非常に狭く、様々な用途に適した液体動圧軸受をこ
のような方法では実現できないという問題がある。
【0008】これに対して、特開平10−112955
号公報に開示された液体動圧軸受は、少なくともシャフ
ト部材と、このシャフト部材を受けるスリーブ部材と、
潤滑油とで構成されたものである。そして前記スリーブ
部材は、その内周面を金属微粒子焼結物の如き多孔質材
料で形成し、且つこの金属微粒子焼結物の多数の微小孔
内にその焼結物よりも線膨張係数が大きな樹脂材料を充
填させ、更にその内周面以外の全ての表面を潤滑油の漏
出を防止するために水ガラスで封止してなるものであ
る。また、シャフト部材には、線膨張係数がスリーブ部
材の線膨張係数よりもやや大きな材料が採用されてい
る。
【0009】この液体動圧軸受においては、潤滑油が常
温以下である場合、その粘性係数は高くなるが、スリー
ブの内周面の微小孔に微小間隙を有するので、潤滑油は
その微小孔を通じて圧力が高い部分から低い部分へ漏れ
て圧力の上がり過ぎを防ぎ、常温時以下における軸損の
増大を軽減する。言わば、一種の含油軸受として機能さ
せながら、スリーブの内周面に形成された多数の微小孔
の微小間隙を温度によって自動的に調節しているもので
ある。一方、潤滑油の温度が上昇すると、その粘性係数
は低下するが、スリーブの内周面の微小孔の微小間隙が
縮小し又は閉塞するので、潤滑油の圧力はその温度にお
ける潤滑油の粘性係数及び軸受隙間の間隔等のパラメー
タで決まる圧力に近づくか又はその圧力自体になり、温
度上昇による軸受剛性の低下が防がれる。
【0010】特開平10−112955号公報に開示さ
れた液体動圧軸受は、その内周面を金属微粒子焼結物の
如き多孔質材料で形成したスリーブ部材に充填された樹
脂材料の熱膨張を利用して、多孔質材料の微小孔の微小
間隙を温度によって自動的に調節し、軸受剛性を広い温
度範囲にわたって可能な限り一定に保持しようとするも
のである。しかしながら、この方法によっても広い温度
範囲にわたって軸受剛性をほぼ一定にした液体動圧軸受
を実現することは現実には困難である。また、、特殊な
スリーブ部材を用いたものであるから、その設計及び製
作は容易ではなく、加工コストが高いという問題があ
る。
【0011】潤滑油を適切に選定することによって、液
体動圧軸受の軸受剛性の温度依存性をある程度は緩和す
ることができる。ところで、粘性係数が低い潤滑油は広
い温度範囲にわたって粘性係数の変化が小さいので、液
体動圧軸受の軸受剛性の温度依存性をある程度は緩和す
るという目的に適うものである。しかしながら、このよ
うな潤滑油は作り難いという問題がある。これに対し
て、粘性係数が高い潤滑油は作り易いが、広い温度範囲
にわたって粘性係数が大きく変化する。従って軸受剛性
は低温域では大きくなり過ぎ、また高温域では小さくな
り過ぎる傾向がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、シャフト部材と、このシャフト部材を受け
るスリーブ部材と、これら2つの部材の間に形成された
軸受隙間を含む微小隙間に充填された潤滑油とで構成さ
れた液体動圧軸受及びこれを具備したスピンドルモータ
において、簡単な構成で、広い温度範囲にわたって、潤
滑油の粘性係数による軸受剛性の変化を軸受隙間による
軸受剛性の変化で補償し、軸受剛性をほぼ一定にするこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、シャフト部材と、スリーブ部材と、これら2つの部
材の間に形成された軸受隙間を含む微小隙間に充填され
た潤滑油とを含んで構成された液体動圧軸受において、
前記シャフト部材の外面部を内面部の材料の線膨張係数
よりも大きな材料で形成し、且つ前記スリーブ部材の内
面部を外面部の材料の線膨張係数よりも大きな線膨張係
数を有する材料で形成し、軸受隙間の間隔を温度によっ
て自動的に調節するようにした。
【0014】また、フランジ付シャフト部材と、円筒状
スリーブ部材と、環状押さえ部材と、これらの部材の間
に形成された軸受隙間を含む微小隙間に充填された潤滑
油とで構成された液体動圧軸受において、前記シャフト
部材の外面部を内面部の材料の線膨張係数よりも大きな
材料で形成し、前記スリーブ部材の内面部を外面部の材
料の線膨張係数よりも大きな材料で形成し、更に前記環
状押さえ部材の内面部を外面部の線膨張係数よりも大き
な線膨張係数を有する材料で形成し、軸受隙間の間隔を
温度によって自動的に調節するようにした。
【0015】更に、前記シャフト部材を外面部が内面部
に外嵌されて形成された金属製シャフト部材とし、且つ
前記スリーブ部材を内面部が外面部に内嵌されて形成さ
れた金属製スリーブ部材として、液体動圧軸受を構成し
た。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係るスピンドルモータの
一実施例は図1に示す如く、フランジ付シャフト部材1
と段付円筒状スリーブ部材4とを含む液体動圧軸受、フ
ランジ付シャフト部材1の端部に同軸にして固着されハ
ードディスク等の回転体を保持するカップ状ハブ6、こ
のカップ状ハブ6のスカート部の内周面に取り付けられ
たロータ磁石7、段付円筒状スリーブ部材4の外周面に
取り付けられてロータ磁石7と共働して回転力を発生さ
せるステータコイル8、及びモータ基板9とから構成さ
れている。
【0017】図1のスピンドルモータに採用される液体
動圧軸受の第1実施例は、潤滑油を除いた断面図である
図2及び潤滑油を充填した部分断面図である図3に微小
隙間を誇張して示す如く、フランジ付シャフト部材1と
円筒状スリーブ部材4を含むものである。フランジ付シ
ャフト部材1は円柱部材2と、この円柱部材2と一体に
形成されたスラスト動圧用円盤部材3と、円柱部材2の
下側に外嵌された円筒部材2aとから構成された断面十
字型部材である。ここで、シャフト外面部は円筒部材2
aであり、シャフト内面部は円筒部材2aを除いたフラ
ンジ付シャフト部材1の残りの部分である。シャフト外
面部はシャフト外面部の材料の線膨張係数よりも大きな
線膨張係数を有する材料で構成されている。
【0018】円筒状スリーブ部材4は、下段には底を有
する小径の円筒部が、且つ上段には大気に開口した開口
端を有する大径の円筒部が夫々形成され、更にその小径
の円筒部に円筒部材4aが内嵌された部材である。ここ
で、スリーブ内面部は円筒部材4aであり、スリーブ外
面部は円筒部材4aを除いた円筒状スリーブ部材4の残
りの部分である。スリーブ内面部はスリーブ外面部の材
料の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有する材料で
構成されている。
【0019】円筒状スリーブ部材4の開口端には環状段
部が形成されており、この環状段部には環状押さえ部材
5が圧入され、これによって円筒状スリーブ部材4の開
口端は塞がれている。ラジアル動圧発生溝G1は例えば
部分溝又はヘリングボーン溝であって、円柱部材2の下
側に外嵌された円筒部材2aの外周面に形成されてい
る。また、スラスト動圧発生溝G2は例えば図6に示す
ヘリングボーン溝であって、スラスト動圧用円盤部材3
の上面と下面に夫々形成されている。ラジアル動圧発生
溝G1は、円筒部材2aでなく、スラスト動圧用円盤部
材3の外周面に形成してもよい。
【0020】フランジ付シャフト部材1、円筒状スリー
ブ部材4及び環状押さえ部材5との間に形成された微小
隙間R1、R2、R3、R4及びR5には、潤滑オイル
Fが充填されている。第1実施例において、ラジアル用
軸受隙間は微小隙間R4であり、スラスト動圧用軸受隙
間は微小隙間R1とR2である。円柱部材2の上側の外
周面と環状押さえ部材5の内周面との間には断面が大気
に開いた環状の微小なテーパー溝Sが形成されている
が、これは毛細管現象と表面張力の作用を利用した潤滑
油Fのキャピラリーシ−ルである。
【0021】第1実施例において、ラジアル動圧用軸受
隙間R4に面するシャフト外面部を形成している部材と
その内面部を構成している部材は、前者が後者よりも線
膨張係数が大きい材料であり、且つラジアル動圧用軸受
隙間R4に面するスリーブ内面部を形成している部材と
その外面部を構成している部材は、前者が後者よりも線
膨張係数が大きい材料である。
【0022】このため、温度が上昇すると、フランジ付
シャフト部材1、段付円筒状スリーブ部材4、環状押さ
え部材5が膨張して微小隙間R1、R2、R3、R4及
びR5の間隔が狭くなるが、特にラジアル動圧用軸受隙
間R4の間隔の狭まり方が大きい。シャフト部材1にお
いては線膨張係数の小さい部材で内側が規制されてお
り、且つスリーブ部材4においては線膨張係数の小さい
部材で外側が規制されているため、線膨張係数の大きい
シャフト側の円筒部材2aとスリーブ側の円筒部材4a
は軸受隙間の内側へより多く膨張するからである。逆
に、温度が低下すると、フランジ付シャフト部材1、段
付円筒状スリーブ部材4、環状押さえ部材5が収縮して
微小隙間R1、R2、R3、R4及びR5の間隔が広く
なるが、特にラジアル動圧用軸受隙間R4の間隔の広が
り方が大きい。
【0023】このようにして軸受隙間の間隔を従来装置
よりも大きく変化させることができるようになり、本発
明に係る液体動圧軸受においては温度により自動的に調
節できる幅が広がった。従って、この温度による軸受隙
間の間隔の自動的な調節の効果を利用して、軸受剛性を
よりダイナミックに自動的に調節することができる。即
ち高温域では、シャフト部材とスリーブ部材との間に形
成されたラジアル動圧用軸受隙間はその間隔が狭くな
り、軸受剛性は増加する。この軸受剛性の増加は、潤滑
油の粘性係数低下による軸受剛性の減少を補償する大き
さであり、従って高温域では所定の軸受剛性が保持され
る。一方、低温域では、シャフト部材とスリーブ部材と
の間に形成されたラジアル動圧用軸受隙間はその間隔が
広くなり、軸受剛性は低下する。この軸受剛性の低下
は、潤滑油の粘性係数上昇による軸受剛性の増加を補償
する大きさであり、従って低温域でも所定の軸受剛性が
保持される。即ち、広い温度範囲にわたって、潤滑油の
粘性係数による軸受剛性の変化を軸受隙間による軸受剛
性の変化で補償できるようになった。
【0024】次に、液体動圧軸受の第2実施例は、潤滑
油を除いた断面図である図4及び潤滑油を充填した部分
断面図である図5に微小隙間を誇張して示す如く、その
基本構成は第1実施例と同じである。違いは、温度によ
る軸受隙間の自動的な間隔調節を実現する構成にある。
即ちフランジ付シャフト部材1は円柱部材2と、この円
柱部材2と別体に形成され円柱部材2の中間部に外嵌さ
れたスラスト動圧用円盤部材3aと、円柱部材2の下側
に外嵌された円筒部材2aとから構成された断面十字型
部材である。スラスト動圧用円盤部材3aと円筒部材2
aは一体に形成されている。ここで、シャフト外面部は
円筒部材2aとスラスト動圧用円盤部材3aであり、シ
ャフト内面部は円筒部材2aとスラスト動圧用円盤部材
3aを除いたフランジ付シャフト部材1の残りの部分で
ある。シャフト外面部はシャフト外面部の材料の線膨張
係数よりも大きな線膨張係数を有する材料で構成されて
いる。
【0025】液体動圧軸受の円筒状スリーブ部材4は、
下段には底を有する小径の円筒部が、且つ上段には大気
に開口した開口端を有する大径の円筒部が夫々形成さ
れ、更にその小径の円筒部と大径の円筒部とその間の段
部には段付円筒部材4aが内嵌された部材である。ここ
で、スリーブ内面部は円筒部材4aであり、スリーブ外
面部は円筒部材4aを除いた円筒状スリーブ部材4の残
りの部分である。スリーブ内面部はスリーブ外面部の材
料の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有する材料で
構成されている。
【0026】円筒状スリーブ部材4の開口端には環状段
部が形成されており、この環状段部には環状押さえ部材
5が圧入され、これによって円筒状スリーブ部材4の開
口端は塞がれている。環状押さえ部材5は微小隙間R1
に面する内側に円盤部材5aが内嵌されたものである。
ここで、この円盤部材5aの線膨張係数は、円盤部材5
aを除いた環状押さえ部材5の残りの部分の線膨張係数
よりも大きい。
【0027】第2実施例において、ラジアル動圧用軸受
隙間R4に面するシャフト外面部を形成している部材と
その内面部を構成している部材は前者が後者よりも線膨
張係数が大きい材料であり、且つラジアル動圧用軸受隙
間R4に面するスリーブ内面部を形成している部材とそ
の外面部を構成している部材は前者が後者よりも線膨張
係数が大きい材料である。また、スラスト動圧用軸受隙
間R1に面するシャフト内面部を形成している部材と環
状押さえ部材の内面部を形成している部材は、夫々の外
面部を形成している部材と比較して、線膨張係数が大き
い部材である。更に、スラスト動圧用軸受隙間R3に面
するシャフト外面部を形成している部材とその内面部を
構成している部材は前者が後者よりも線膨張係数が大き
い材料であり、且つスラスト動圧用軸受隙間R3に面す
るスリーブ内面部を形成している部材とその外面部を構
成している部材は前者が後者よりも線膨張係数が大きい
材料である。
【0028】このため、温度が上昇すると、フランジ付
シャフト部材1、段付円筒状スリーブ部材4、環状押さ
え部材5が膨張して微小隙間R1、R2、R3、R4及
びR5の間隔が狭くなるが、特にスラスト動圧用軸受隙
間R1とR2及びラジアル動圧用軸受隙間R4の間隔の
狭まり方が大きい。逆に、温度が低下すると、フランジ
付シャフト部材1、段付円筒状スリーブ部材4、環状押
さえ部材5が収縮して微小隙間R1、R2、R3、R4
及びR5の間隔が広くなるが、特にスラスト動圧用軸受
隙間R1とR2及びラジアル動圧用軸受隙間R4の間隔
の広がり方が大きい。
【0029】このようにして軸受隙間の間隔を従来装置
よりも大きく変化させることができるようになり、本発
明に係る液体動圧軸受においては温度により自動的に調
節できる幅が広がった。従って、この温度による軸受隙
間の間隔の自動的な調節の効果を利用して、軸受剛性を
よりダイナミックに自動的に調節することができる。即
ち高温域では、シャフト部材とスリーブ部材との間に形
成された軸受隙間はその間隔が狭くなり、軸受剛性は増
加する。この軸受剛性の増加は、潤滑油の粘性係数低下
による軸受剛性の減少を補償する大きさであり、従って
高温域では所定の軸受剛性が保持される。一方、低温域
では、シャフト部材とスリーブ部材との間に形成された
軸受隙間はその間隔が広くなり、軸受剛性は低下する。
この軸受剛性の低下は、粘性係数上昇による軸受剛性の
増加を補償する大きさであり、従って低温域でも所定の
軸受剛性が保持される。即ち、広い温度範囲にわたっ
て、潤滑油の粘性係数による軸受剛性の変化を軸受隙間
による軸受剛性の変化で補償できるようになった。
【0030】なお、線膨張係数の大きい材料としてはリ
ン青銅や真ちゅうなどの銅系金属、アルミニウム系金
属、チタン系金属が適しており、また、線膨張係数の小
さな材料としてはステンレスや純鉄などの鉄系金属やモ
リブデン系金属、タングステン系金属が適している。本
発明に係る液体動圧軸受の設計においては、設計条件に
基づいて、これらの材料の中から最適の組み合わせのも
のが選ばれる。また、軸受隙間は、使用最高温度におい
ても隙間を保つように形成されていることは勿論であ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る液体動圧軸受は、シャフト
部材の外面部を内面部の材料の線膨張係数よりも大きな
材料で形成し、且つ前記スリーブ部材の内面部を外面部
の材料の線膨張係数よりも大きな材料で形成し、軸受隙
間の間隔の温度による変化幅を従来装置よりも大きくさ
せることができるようになり、温度により自動的に調節
できる幅が広がった。従って、広い温度範囲にわたっ
て、潤滑油の粘性係数による軸受剛性の変化を軸受隙間
による軸受剛性の変化で補償できるようになり、軸受剛
性をほぼ一定に保持することが可能になり、軸受性能の
安定化を実現できた。
【0032】また、その構成は製作しやすい比較的簡単
なものであるから、液体動圧軸受の製造コストの上昇を
抑えることができた。更に、広い温度範囲にわたって軸
受隙間間隔の温度による自動的な調節が可能になったの
で、潤滑油の温度特性に対して自由度の高い設計が可能
となり、小型薄型のスピンドルモータを容易に実現でき
るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体動圧軸受を備えたスピンドル
モータの一実施例の断面図である。
【図2】本発明に係る液体動圧軸受の第1実施例の断面
図である。
【図3】本発明に係る液体動圧軸受の第1実施例の部分
断面図である。
【図4】本発明に係る液体動圧軸受の第2実施例の断面
図である。
【図5】本発明に係る液体動圧軸受の第2実施例の部分
断面図である。
【図6】スラスト動圧発生溝の一例を示す図である。
【図7】従来の液体動圧軸受の一例の部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1 フランジ付シャフト部材 2 円柱部材 2a シャフト外面部となる円筒部材 3 スラスト動圧用円盤部材 3a シャフト外面部となるスラスト動圧用円盤部材 4 段付円筒状スリーブ部材 4a スリーブ内面部となる円筒部材 4b スリーブ内面部となる段付円筒状スリーブ部材 5 環状押さえ部材 5a 環状押さえ部材の内面部を構成する円盤部材 6 カップ状ハブ 7 ロータ磁石 8 ステータコイル 9 モータ基板 F 潤滑オイル G1 ラジアル動圧発生溝 G2 スラスト動圧発生溝 R1、R2、R3、R4、R5 微小隙間 S キャピラリーシール
フロントページの続き (72)発明者 太田 敦司 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番 セイ コーインスツルメンツ株式会社内 (72)発明者 似鳥 幸司 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番 セイ コーインスツルメンツ株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA04 AA08 BA02 BA09 CA02 DA01 JA02 KA04 MA01 QA07 QA17 3J016 AA02 AA03 BB01 5H607 AA14 BB01 BB14 BB17 BB25 CC01 DD03 GG01 GG02 GG07 GG12 GG15 GG25 5H621 HH01 JK19 PP03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面部と外面部とからなるシャフト部材
    と、内面部と外面部とからなるスリーブ部材と、これら
    2つの部材の間に形成された軸受隙間を含む微小隙間に
    充填された潤滑油とを含んで構成された液体動圧軸受に
    おいて、前記シャフト部材の外面部を内面部の材料の線
    膨張係数よりも大きな材料で形成し、且つ前記スリーブ
    部材の内面部を外面部の材料の線膨張係数よりも大きな
    線膨張係数を有する材料で形成し、軸受隙間の間隔を温
    度によって自動的に調節するようにしたことを特徴とす
    る液体動圧軸受。
  2. 【請求項2】内面部と外面部とからなるフランジ付シャ
    フト部材と、内面部と外面部とからなる円筒状スリーブ
    部材と、内面部と外面部とからなる環状押さえ部材と、
    これらの部材の間に形成された軸受隙間を含む微小隙間
    に充填された潤滑油とで構成された液体動圧軸受におい
    て、前記シャフト部材の外面部を内面部の材料の線膨張
    係数よりも大きな材料で形成し、前記スリーブ部材の内
    面部を外面部の材料の線膨張係数よりも大きな材料で形
    成し、更に前記環状押さえ部材の内面部を外面部の線膨
    張係数よりも大きな線膨張係数を有する材料で形成し、
    軸受隙間の間隔を温度によって自動的に調節するように
    したことを特徴とする液体動圧軸受。
  3. 【請求項3】前記シャフト部材は外面部が内面部に外嵌
    されて形成された金属製シャフト部材であり、且つ前記
    スリーブ部材は内面部が外面部に内嵌されて形成された
    金属製スリーブ部材であることを特徴とする請求項1又
    は2の液体動圧軸受。
  4. 【請求項4】軸受に請求項1又は2の液体動圧軸受を用
    いたことを特徴とするスピンドルモータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005028885A1 (ja) * 2003-09-22 2005-03-31 Ntn Corporation 動圧軸受装置
JP6408113B1 (ja) * 2017-11-15 2018-10-17 株式会社エムエスデー 熱処理装置

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