JP2000345996A - ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水経路の揚程や圧力損失の増加に対し
て排水流量の低下および排出不能な残水の量の増加のな
い排水洗浄共用ポンプを提供することにある。 【解決手段】 スクロールと、羽根車と、正逆回転
可能なモータと、モータが正転した際に洗浄水が吐出さ
れる第一の吐出口と、スクロール内面と羽根車の外周か
ら形成される流路に入口部を有する第二の吐出口と、第
二の吐出口にはその入口部を塞ぐように回転開閉可能に
取り付けられた弁板を有し、弁板は羽根車が正転した場
合にはその水流を受け第二の吐出口を閉鎖し、羽根車が
逆転した場合には第二の吐出口を開放するようになされ
た食器洗浄機用の洗浄排水共用ポンプにおいて、第二の
吐水口がスクロール内の排水動作時流水向きの法線方向
から流水方向に傾けることによって、羽根車逆転時の第
二の吐出口からの流量を大きくしたり、排水後の槽内の
残水量を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、食器洗浄機用の洗
浄、排水共用ポンプに係り、良好な排水性能を与えるも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来の食器洗浄機用のポンプとして、ス
クロールと、羽根車と、正逆回転可能なモータと、モー
タが正転した際に洗浄水が吐出される第一の吐出口と、
スクロール内面と羽根車の外周から形成される流路に入
口部を有する第二の吐出口と、第二の吐出口にはその入
口部を塞ぐように回転開閉可能に取り付けられた弁板を
有し、弁板は羽根車が正転した場合にはその水流を受け
第二の吐出口を閉鎖し、羽根車が逆転した場合には第二
の吐出口を開放するように形成された食器洗浄機用の洗
浄排水共用ポンプがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の洗浄排水共用ポ
ンプでは羽根車を逆転させて第二の吐出口から洗浄水を
排水する場合、第二の吐出口の弁が開き洗浄水を槽外に
排出するものの洗浄槽に対して第一の吐出口は常に開い
ているためスクロール内を流れる洗浄水の一部は第一の
吐出口にも分流されて洗浄槽内に噴射される。ここで第
二の吐出口の下流の排水経路が高く持上げられたり詰ま
ったりして排水経路の揚程や圧力損失が大きくなった場
合、第一の吐出口に分流される比率が大きくなり排水さ
れる流量が低下し製品の性能低下を招くこととなる。ま
た、排水が進んで洗浄槽内の水位が下がりポンプが空気
を吸い始めてそれ以上排水できなくなった水位に達した
ときにも第一の吐出口からは幾分かの洗浄水が吐出さ
れ、それが吸い込み口に戻るという循環を行なうため第
一の吐出口への分流の比率が高いほど排水終了時にポン
プが停止した際に排出しきれない水が多くなるという欠
点を有していた。

【０００４】こうした欠点を補うために、第二の吐出口
を大きくする、若しくは羽根車逆転時に第一の吐水口を
閉塞する手段を設ける等の策が考えられるが、スペース
上の制約やコストの条件等によりそれらの手段が取れな
い場合、やはり排出する流量が少なくなったり、排水終
了時に十分に排水しきることができないという欠点を有
していた。

【０００５】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、本発明の第１の目的は排水経路の揚程や圧
力損失の増加に対して排水流量の低下および排出不能な
残水の量の増加のない排水洗浄共用ポンプを提供するこ
とにある。

【０００６】また、第２の目的は、吐出口の大きさ拡大
や、ポンプ逆転中の第一の吐水口閉塞手段を用いること
なく排水流量を従来のものより向上させた排水洗浄共用
ポンプを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記目的を達成するために請求項１は、スクロールと、羽
根車と、正逆回転可能なモータと、モータが正転した際
に洗浄水が吐出される第一の吐出口と、スクロール内面
と羽根車の外周から形成される流路に入口部を有する第
二の吐出口と、第二の吐出口にはその入口部を塞ぐよう
に回転開閉可能に取り付けられた弁板を有し、弁板は羽
根車が正転した場合にはその水流を受け第二の吐出口を
閉鎖し、羽根車が逆転した場合には第二の吐出口を開放
するようになされた食器洗浄機用の洗浄排水共用ポンプ
において、第二の吐水口がスクロール内の排水動作時流
水向きの法線方向から流水方向に傾けることによって、
羽根車逆転時の第二の吐出口からの流量を大きくした
り、排水後の槽内の残水量を低減することができる。

【０００８】また請求項２は、同洗浄排水共用ポンプに
おいて、ポンプインペラの出口角度を小さくすることに
より、排水動作中に第一の吐出口への流水量を小さくす
ることができ、結果第二の吐出口からの流量を大きくし
たり、排水後の槽内の残水量を低減することができる。

【０００９】請求項３では、同洗浄排水共用ポンプにお
いて、羽根車外周の開口部と対峙するスクロール内面の
第一の吐出口近傍の面に突出部を設けることにより、羽
根車を逆転させて第二の吐出口から洗浄水を排水する場
合、羽根車の外周から羽根車の外周面に対峙するスクロ
ール内面に衝突した洗浄水の流れの内第一の吐出口に向
く流れを第一の吐出口近傍に設けた突出部により阻害す
るため排水時に第一の吐出口に分流される比率を低く維
持し、排水後の槽内の残水量を低減することができる。

【００１０】請求項４では、同洗浄排水共用ポンプにお
いて、第二の吐出口に設けられた弁板の開度を規制する
措置を講じたため、モータの逆転時の水流を受けて第二
の吐出口を開放するように開く弁が羽根車外周とスクロ
ール内面で形成される流路を塞ぐ割合が、上記措置を講
じない当該ポンプに比べて少なくなるため、排水時の弁
近傍の流速の増加が少なくなり水を排出する駆動力とな
る静圧の低下が抑えられ排水時の吐出流量の低下を抑え
ることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。

【００１２】図１に示すように食器洗浄機１００の底部
に食器洗浄機用ポンプ１が配設されている。図１、２に
示すように食器洗浄機用ポンプ１はスクロール２とスク
ロール２の内部に配設された羽根車３と、羽根車３を回
転駆動する正逆回転可能なモータ４を備えている。モー
タ４が正転した際に通常の渦巻ポンプと同様動作するよ
うに第一の吐出口８が形成されている。羽根車３の外周
３ａと、スクロール内面２ａの間に流路２ｂが形成され
ている。流路２ｂには、第二の吐出口５が形成され、第
二の吐出口の入口部５ａには、モータ４により羽根車３
が正転した際には、羽根車３の回転方向の水流によって
弁板６が閉じる方向に力を受け、モータ４により羽根車
３が逆転した際には羽根車３の回転方向の水流により弁
板６が開く方向に力を受けるような位置に回転可能に弁
板６が取り付けられている。なお、弁板６が閉じた際に
外部との水密を保つ為の弁体５ｂが配設されている。

【００１３】なお図３，４，５は、ポンプスクロールを
斜め上方及び断面から見たところであるが、図４のよう
に第二の吐水口を流水の向きの法線方向から１°〜９０
°流水方向に傾けることにより、図３のように第２の吐
水口がスクロール内の流れ方向に垂直になっているタイ
プよりも第２の吐水口からの流水性能を高めることがで
きる。なお、３０°以上程度のθが大きい場合、弁板６
での水流による弁開閉がしにくくなる問題があるが、図
５のように弁板６の回転軸を挟んで第二の吐水口と反対
側に弁板６を延長して形成した水流受け６ａを取り付け
ることにより、弁板６の開閉を容易にしやすくすること
ができる。

【００１４】また図６，７は、ポンプインペラの出口角
度を示した図であるが、図７のように、ポンプインペラ
を構成する羽根を入り口から出口に掛けて徐々に厚くす
ること等により、ポンプ逆転時のインペラ出口角度を小
さくすると、図６のように出口角度が大きいものに比し
て、排水時に羽根車と対峙する第一の吐水口近傍のスク
ロール内面に向かう流れが、より第２の吐水口に近くな
り、結果的に第一の吐水口への流水割合が小さくなり、
第２の吐水口からの流水性能を高めることができる。

【００１５】食器洗浄機用ポンプ１の動作を以下に説明
する。食器洗浄機用ポンプ１おいてはモータ４により羽
根車３が図２の白抜き矢印で示す方向へ正転する循環動
作時には、ポンプの吸入口を通過して羽根車３の中央開
口３ｂへ流入した洗浄水が羽根車３の翼間流路を通って
羽根車３の外周部３ａから吐出し流路２ｂ内を第一の吐
出口に向かって流れる。弁板６は、図９（ａ）の矢印で
示す洗浄水循環時の流路２ｂ内の水流方向に関して第二
の吐出口５よりも上流側に回動部が取り付けられ、弁板
６の自由端は、第二の吐出口５よりも下流側に位置する
ように配設されている為、流路２ｂ内の水流により弁板
６に発生する流体力によって弁体５ｂの方へ回動し、第
二の吐出口を閉鎖する。この結果、流路２ｂ内を流れる
洗浄水は、第二の吐出口から本体外へ排出されることな
く第一の吐出口から吐出され洗浄に供される。

【００１６】モータ４により羽根車３が図２で二重白抜
き矢印で示す方向へ逆転する排水動作時には、羽根車３
の外周部３ａから吐出した洗浄水は、流路２ｂ内を循環
時とは逆方向へ流れる。排水時には、弁板６は、図９
（ｂ）の二重矢印で示す洗浄水排水時の流路２ｂ内の水
流方向に関して第二の吐出口５よりも下流側に回動部が
取り付けられ、弁板６の自由端は、第二の吐出口５より
も上流側に位置するように配設されている為、流路２ｂ
内の水流により弁板６に発生する流体力によって弁体５
ｂから離れる方向に回動し、第二の吐出口を開放する。
この結果、流路２ｂ内を流れる洗浄水は、第二の吐出口
５から本体外へ排出されることとなる。

【００１７】この際、図４のように、第二の吐水口を流
水の向きの法線方向から流水方向に１°〜９０°傾ける
ことにより、第二の吐水口からの流水量を傾けないより
も多くすることができる。なお、３０°以上程度のθが
大きい場合、弁板６での水流による弁開閉がしにくくな
る問題があるが、図５のように弁板６の回転軸を挟んで
第二の吐水口と反対側に弁板６を延長して形成した水流
受け６ａを取り付けることにより、弁板６の開閉を容易
にしやすくすることができる。また図７のようにポンプ
・インペラの翼を入射から出口に向けて徐々に厚くする
こと等によりポンプ逆転時の出口角度θ２を正転時の出
口角度θ１の補角（180°−θ１）よりも小さくする構
造を施し、出口角を小さくすることにより、スクロール
内面２ａの位置を意図的に第一の吐出口から遠ざける方
向へずらし、第一の吐出口に流出する流れ10ａを小さく
することで、相対的に第２の排出口からの排水流量を大
きくすることができ、また第一の吐出口８から吐出する
割合が小さくなるので、残水量を小さくすることができ
る。

【００１８】なお上記した方法に、図８（ａ）に示すよ
うに、羽根車３外周の開口部と対峙するスクロール内面
２ａの第一の吐出口８近傍の面に突出部７を設ける措置
を加えることにより、ポンプ逆転時の第一の吐出口８か
らの吐水を小さくして残水量を小さくすることができ
る。図８の突出部は、紙面手前から奥に向かってスクロ
ール上下間すべて壁ができていればよく、形状は例えば
図８の（ｂ）に示すようなリブ状のものや図８（ｃ）に
示すようなのような突出部７の第二の吐出口側の面は第
一の吐出口の方へ凸となる、略円筒面の突出部７ｂでも
構わない。

【００１９】また、図９のように第二の吐出口５と対峙
するスクロールの内面から弁板６に向かって弁板６の回
動範囲の規制措置９を施す措置を加えると、ポンプ逆転
時の流路２ｂの流路断面積の減少を少なくすることがで
き、結果、排水時における弁板６近傍の流速の増加が緩
和され、ひいては、第２の吐出口５へ洗浄水を押し出す
駆動力となる弁板６近傍の静圧低下を緩和でき回動範囲
の規制措置９がない場合のポンプよりも大きな排水流量
を実現できる。この規制措置９は、流路２ｂの流路断面
積を減少させないよう、紙面垂直方向の厚みが十分薄く
設定されている。

【００２０】また、弁板６の回動範囲の規制措置９は図
１０（ａ）に示すように弁板６の先端に突き当てられる
紙面垂直方向に十分薄いリブ状の突起９ａでも良い。ま
た、図１０（ｂ）に示すように弁板６の回転軸を挟んで
第二の吐出口と反対側に弁板６を延長して形成したスト
ッパーでも構わない。

【００２１】

【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項１では、第二の吐出口がスクロール内の排
水動作時流水向きの法線方向から流水方向に傾いている
ポンプにより、羽根車逆転時の第二の吐出口からの流量
を大きくしたり、排水後の槽内の残水量を低減すること
ができる。

【００２２】請求項２では、洗浄水を第一の吐出口から
吐出するポンプ正転の時に後退翼となるようなインペラ
を有し、更に逆転時のインペラ出口角度が正転時の出口
角度の補角よりも小さくなっているポンプにより、結果
第二の吐出口からの流量を大きくしたり、排水後の槽内
の残水量を低減することができる。

【００２３】請求項３では、羽根車外周の開口部と対峙
するスクロール内面の第一の吐出口近傍の面に突出部を
設けることにより、羽根車を逆転させて第二の吐出口か
ら洗浄水を排水する場合、排水時に第一の吐出口に分流
される比率を低く維持し、排水後の槽内の残水量を低減
することができる。

【００２４】請求項４では、第二の吐出口に設けられた
弁板の開度を規制する措置を講じることにより、排水時
の弁近傍の流速の増加が少なくなり水を排出する駆動力
となる静圧の低下が抑えられ排水時の吐出流量の低下を
抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る食器洗浄機用ポンプの側面図であ
る。

【図２】図１のａ−ａ矢視図である。

【図３】従来のポンプの外観図、及び弁板・第二の吐出
口周辺の拡大図である。

【図４】本発明のポンプの外観図、及び弁板・第二の吐
出口周辺の拡大図である。

【図５】本発明のポンプの外観図、及び弁板・第二の吐
出口周辺の拡大図である。

【図６】従来のポンプにおいて、排水時の羽根車から排
出された吐出された洗浄水のうち第一の吐出口近傍のス
クロール内面に向かう流れを表した図である。

【図７】本発明のポンプにおいて、排水時の羽根車から
排出された洗浄水のうち第一の吐出口近傍のスクロール
内面に向かう流れを表した図である。

【図８】羽根車外周の開口部と対峙するスクロール内面
の第一の吐出口近傍の面に突出部を設けた例。

【図９】第二の吐出口に設けられた弁板の開度を規制す
る措置を講じた例。

【図１０】本発明の弁板の回動範囲の規制措置に関する
他の実施例。

【符号の説明】

１ … 食器洗浄機用ポンプ ２ … スクロール ２ａ … スクロール内面 ２ｂ … 流路 ３ … 羽根車 ４ … モータ ５ … 第二の吐出口 ６ … 弁板 ６ａ… 水流受け ６ｂ… ストッパー ７ … 突出部 ８ … 第一の吐出口 ９ … 回動範囲の規制措置 １０ … 排水時に羽根車と対峙する第一の吐出口近傍
のスクロール内面に向かう流れ １００ … 食器洗浄機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3H033 AA03 AA13 AA20 BB01 BB06 CC01 DD03 EE17 EE19 3H034 AA03 AA13 AA20 BB01 BB06 CC01 CC03 DD08 DD12 DD26 DD27 EE18

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スクロールと、羽根車と、正逆回転可能
   なモータと、モータが正転した際に洗浄水が吐出される
   第一の吐出口と、スクロール内面と羽根車の外周から形
   成される流路に入口部を有する第二の吐出口と、第二の
   吐出口にはその入口部を塞ぐように回転開閉可能に取り
   付けられた弁板を有し、弁板は羽根車が正転した場合に
   はその水流を受け第二の吐出口を閉鎖し、羽根車が逆転
   した場合には第二の吐出口を開放するようになされた食
   器洗浄機用の洗浄排水共用ポンプにおいて、第二の吐出
   口がスクロール内の排水動作時、流水向きの法線方向か
   ら流水方向に傾いていることを特徴とするポンプ。
2. 【請求項２】 スクロールと、羽根車と、正逆回転可能
   なモータと、モータが正転した際に洗浄水が吐出される
   第一の吐出口と、スクロール内面と羽根車の外周から形
   成される流路に入口部を有する第二の吐出口と、第二の
   吐出口にはその入口部を塞ぐように回転開閉可能に取り
   付けられた弁板を有し、弁板は羽根車が正転した場合に
   はその水流を受け第二の吐出口を閉鎖し、羽根車が逆転
   した場合には第二の吐出口を開放するようになされた食
   器洗浄機用の洗浄排水共用ポンプにおいて、洗浄水を第
   一の吐出口から吐出するポンプ正転の時に後退翼となる
   ようなインペラを有し、更に逆転時のインペラ出口角度
   が正転時の出口角の補角よりも小さくなっていることを
   特徴とするポンプ。
3. 【請求項３】 羽根車外周の開口部と対峙するスクロー
   ル内面の第一の吐出口近傍の面に突出部を設けたことを
   特徴とする請求項１又は２に記載のポンプ。
4. 【請求項４】 第二の吐出口に設けられた弁板の開度を
   規制する措置を講じたことを特徴とする請求項１〜３に
   記載のポンプ。