JP2000345561A - 鋼管杭打設方法及び鋼管杭 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 削孔動力を抑えつつ削孔能率を向上するとと
もに先端支持力を確保することができる鋼管杭の打設方
法及びその鋼管杭を提供する。 【解決手段】 鋼管杭１の中空部１ａにセットしたオー
ガスクリュー４によって地盤を削孔しつつ鋼管杭１を圧
入する鋼管杭打設方法において、上記鋼管杭１の先端を
塞ぐように仕切板２を取付け、この仕切板２はオーガス
クリュー４を回転可能に挿通する掘進窓３を開口したも
のを使用し、この掘進窓３からオーガスクリュー４によ
って削孔する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管杭の打設方法
及びその鋼管杭に関し、特に、削孔動力を抑えつつ削孔
能率を向上するとともに先端支持力を確保することがで
きる鋼管杭の打設方法及びその鋼管杭に関する。

【０００２】

【従来の技術】オーガスクリューによる従来の鋼管杭打
設方法は、図３の縦断面図で示すように、鋼管杭１０１
内にオーガスクリュー１０２をセットし、鋼管内部を削
孔しながら同鋼管杭１０１を打設する方法である。この
鋼管杭打設方法は、圧入地盤の先端抵抗を緩和して鋼管
杭を能率良く打設するものであり、鋼管径に対して小径
のオーガ装置を用いることによって削孔部の過度の緩み
を抑え、一定の周面抵抗および先端支持力を確保するこ
とができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記鋼
管杭打設方法は、鋼管杭の内径寸法に対してオーガスク
リュー１０２が小径をなすことから、スクリュー１０２
によって掘り出された排土が鋼管内を落下して削孔部を
埋め、再びスクリュー１０２によって掘り出されて排土
が循環動作するので排土効率の低下と削孔部の周壁の緩
みを招くと共に、スクリュー１０２の振れ廻り動作によ
って削孔能率の低下の問題を避けることができない。こ
れに対しオーガ径を大きくすると大きな回転動力を要す
るのみならず、杭の先端部の土の排出によって鋼管杭の
外径を超えて削孔部の周壁が緩むことから、埋め戻した
際に杭周面および先端支持力が確保できないという問題
が生じる。

【０００４】本発明の目的は、削孔動力を抑えつつ削孔
能率を向上すると共に先端支持力を確保することができ
る鋼管杭の打設方法及びその鋼管杭を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、オーガスクリューによって削孔しつつ地盤に圧入す
るためのオーガ工法用の鋼管杭において、上記鋼管杭
は、その先端を塞ぐように仕切板を取付け、この仕切板
はオーガスクリューを回転可能に挿通する掘進窓を開口
して鋼管杭を構成する。上記鋼管杭は、鋼管杭の中空部
にセットしたオーガスクリューによって地盤を削孔しつ
つ鋼管杭を圧入する場合に、その掘進窓からオーガスク
リューによって削孔することにより、オーガスクリュー
が掘り出した排土を仕切板の掘進窓から鋼管杭の中空部
内に送り込むことから、この排土は削孔部に戻ることな
く鋼管杭の中空部内に仕切板によって保持されるので、
排土効率の向上によって削孔性が改善され、また、掘進
窓によってオーガスクリューの振れ廻りの範囲が規制さ
れて削孔部の周壁の緩みが小さく抑えられるので、この
削孔部を埋め戻した際に鋼管杭の先端支持力が確保され
る。

【０００６】前記仕切板の掘進窓にオーガスクリューの
回転をガイドする案内筒を設け、この案内筒付きの掘進
窓から削孔することにより、案内筒がオーガスクリュー
の振れ廻りを拘束して周壁の緩みを防止し、案内筒の長
さがスクリューの１ピッチ寸法に達する場合はオーガス
クリューの振れ廻りがなくなってスクリュー外形寸法に
等しい削孔部が形成されるので、同スクリューの逆転に
よる圧密埋め戻しにより案内筒の長さに応じた周面支持
力を含む先端支持力を得ることができる。

【０００７】前記オーガスクリューによる削孔部に充填
するべく、同オーガスクリューの逆転によって排土を埋
め戻しし、または、前記オーガスクリューによる削孔部
に充填するべく同オーガスクリューを介してモルタル等
の充填材を注入することにより、いずれも、削孔部が確
実に埋め戻されるので、簡易に先端支持力を確保するこ
とができる。この場合、掘進窓を塞ぐことにより鋼管杭
の全断面で先端支持力を発生し、また、案内筒を設けた
場合は、その中空部をオーガスクリューの逆転動作によ
り排土を案内筒内に圧密しつつ埋め戻すことによって長
さに応じた周面支持力を得ることができる。また、案内
筒をつぶしたり、塞止板を設けることで容易に先端支持
力を得ることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図1は本発明の鋼管杭打設方法を
示す鋼管杭の縦断面図である。図（Ａ）は鋼管杭打設方
法の基本構成を示し、打設するべき鋼管杭１は、その先
端を塞ぐように仕切板２を溶接等によって取付け、この
仕切板２は掘進窓３を開口したものを使用する。この掘
進窓３は、オーガスクリュー４を回転可能に挿通するた
めに同スクリューの外径寸法以上の円形孔として原則的
に鋼管杭の中心に形成する。

【０００９】この鋼管杭の打設方法は、鋼管杭１の中空
部１ａ内にその掘進窓３を挿通してオーガスクリュー４
をセットし、このオーガスクリュー４の回転によって掘
進窓３から地盤を掘進し、削孔によって先端抵抗を抑え
つつ鋼管杭１を圧入する。

【００１０】この場合、上記オーガスクリュー４は、そ
の先端の削孔部Ａから掘り出した排土を仕切板２の掘進
窓３から鋼管杭１の中空部１ａ内に送り込む。この排土
は削孔部Ａに戻ることなく鋼管杭１の中空部１ａ内に仕
切板２によって保持される。したがって、排土効率の向
上によって削孔性が改善される。また、掘進窓３によっ
てオーガスクリュー４が位置決めされることからその振
れ廻りが小さく抑えられて過大な削孔が防止されるの
で、削孔部Ａの地盤の緩みが小さく抑えられる。したが
って、この削孔部Ａを埋め戻した際に鋼管杭の先端支持
力を確保することができる。

【００１１】図（Ｂ）は鋼管杭打設方法の別の構成を示
し、この鋼管杭１は仕切板２の掘進窓３に案内筒５を取
付けて構成する。この案内筒５は、オーガスクリュー４
を回転可能に挿通するために同スクリューの外径寸法を
確保するとともに、オーガスクリュー４の数ピッチの長
さ、少なくとも１ピッチの長さで掘進窓３に合わせて起
設する。

【００１２】上述のように鋼管杭１を構成することによ
り、案内筒５がオーガスクリュー４の振れ廻りを拘束し
て削孔部Ａの周壁の緩みを防止し、案内筒５の長さがス
クリュー４の１ピッチ寸法に達する場合はスクリュー外
形寸法に等しい削孔部が形成されるので、同スクリュー
の逆転により所定の先端支持力を得るための圧密埋め戻
しが可能となる。この圧密埋め戻しが案内筒の中空部に
及ぶ場合は、その内周面の摩擦力により、その長さに応
じた周面支持力を得ることができる。

【００１３】削孔部の埋め戻しは、オーガスクリュー４
の中心軸を介してモルタル等の充填材を注入することに
よっても、上記同様に先端支持力を確保することができ
る。また、案内筒５をつぶし、その他の手段により掘進
窓３を塞ぐことにより鋼管杭の全断面で先端支持力が発
生することから、鋼管杭によって大なる支持力を確保す
ることができる。

【００１４】図２は本発明の方法に係る鋼管杭の先端形
状の変形例を示す縦断面図である。図（Ａ）は先端が小
径のテーパ状をなす仕切板６を用いた構成例であり、図
（Ｂ）は上記と逆に先端が開いたラッパ状をなす仕切板
７を用いた構成例である。これらを前述の平坦タイプに
代えて選択することにより、地盤の組成や硬度に応じて
本発明の鋼管杭打設方法を効率良く実施することができ
る。

【００１５】なお、上記２タイプの先端形状はテーパ状
またはラッパ状の傾斜角を選択し、そのほかに、前述の
平坦タイプ、または、曲線形状を含む組合わせによる複
合的な先端形状に構成することによって地盤状況や施工
条件に適宜対応することができ、そのような鋼管杭によ
る場合も、上記同様の作用効果を奏することが明らかな
ので説明を省略する。

【００１６】

【発明の効果】本発明の鋼管杭打設方法は以下の効果を
奏する。上記構成の鋼管杭打設方法は、オーガスクリュ
ーが掘進窓から削孔し、掘り出した排土を仕切板の掘進
窓から鋼管杭の中空部内に送り込むことから、この排土
は削孔部に戻ることなく鋼管杭の中空部内に仕切板によ
って保持される。

【００１７】したがって、排土効率の向上によって削孔
性が改善され、また、掘進窓によってオーガスクリュー
の振れ廻りの範囲が規制されて削孔部の周壁の緩みが小
さく抑えられるので、この削孔部を埋め戻した際に鋼管
杭の先端支持力が確保される。

【００１８】このように、本発明の鋼管杭打設方法は、
簡易な構成の鋼管杭と小径のオーガスクリューとによっ
て削孔動力を抑えつつ効率の良い削孔によって圧入施工
能率が向上されるので、圧入性に優れる鋼管杭によって
作業性を確保しつつ大なる先端支持力を得ることができ
るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鋼管杭打設方法を示す鋼管杭の縦断面
図

【図２】本発明の鋼管杭打設方法に係る鋼管杭の先端形
状の変形例を示す縦断面図

【図３】従来の鋼管杭打設方法を示す鋼管杭の縦断面図

【符号の説明】

１ 鋼管杭 １ａ 中空部 ２ 仕切板 ３ 掘進窓 ４ オーガスクリュー ５ 案内筒 ６ 仕切板 ７ 仕切板 Ａ 削孔部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼管杭の中空部にセットしたオーガスク
   リューによって地盤を削孔しつつ鋼管杭を圧入する鋼管
   杭打設方法において、上記鋼管杭は、その先端を塞ぐよ
   うに仕切板を備え、この仕切板はオーガスクリューを回
   転可能に挿通する掘進窓を開口し、この掘進窓からオー
   ガスクリューによって削孔することを特徴とする鋼管杭
   打設方法。
2. 【請求項２】 前記仕切板の掘進窓にオーガスクリュー
   の回転をガイドする案内筒を設け、この案内筒付きの掘
   進窓から削孔することを特徴とする請求項１記載の鋼管
   杭打設方法。
3. 【請求項３】 前記オーガスクリューによる削孔部に充
   填するべく、同オーガスクリューの逆転によって排土を
   埋め戻しすることを特徴とする請求項１記載の鋼管杭打
   設方法。
4. 【請求項４】 前記オーガスクリューによる削孔部に充
   填するべく同オーガスクリューを介してモルタル等の充
   填材を注入することを特徴とする請求項１記載の鋼管杭
   打設方法。
5. 【請求項５】 オーガスクリューによって削孔しつつ地
   盤に圧入するためのオーガ工法用の鋼管杭において、上
   記鋼管杭は、その先端を塞ぐように仕切板を備え、この
   仕切板はオーガスクリューを回転可能に挿通する掘進窓
   を開口してなることを特徴とする鋼管杭。
6. 【請求項６】 前記仕切板の掘進窓にオーガスクリュー
   の回転をガイドする案内筒を設けてなることを特徴とす
   る請求項５記載の鋼管杭。