JP2000345556A - 杭打工事における共下がり防止方法、および同防止機器 - Google Patents

杭打工事における共下がり防止方法、および同防止機器

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JP2000345556A
JP2000345556A JP11294294A JP29429499A JP2000345556A JP 2000345556 A JP2000345556 A JP 2000345556A JP 11294294 A JP11294294 A JP 11294294A JP 29429499 A JP29429499 A JP 29429499A JP 2000345556 A JP2000345556 A JP 2000345556A
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sheet pile
pile
joint
fastening
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JP11294294A
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Itsuki Nagase
巖 永瀬
Yukichi Suzuki
勇吉 鈴木
Junichi Katsube
淳一 勝部
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NEKUSUTO KK
Chowa Kogyo Co Ltd
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NEKUSUTO KK
Chowa Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設シートパイル1Jが、図外の打込み中の
シートパイルに引きずられて共下がりすることを防止す
る。 【解決手段】 2個のチャック12,同12のフレーム
を相互に連結した一体フレーム11を形成した締付固定
具10を構成し、共下がりを防止しようとする既設パイ
ル1Jと、これに隣接する既設パイル1Iとを挟み付け
て相互に固定し、係合部1jの滑りを阻止する。ただ
し、前記2個のチャック12は、係合部1jの高さ寸法
C以上の間隔を設け、かつ、係合部1jによって形成さ
れる段差寸法Aだけ「チャックの締付方向」にずらせ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートパイルの継
手を相互に係合せしめて、地盤中に打設する際、既設の
シートパイルが、打ち込まれつつあるシートパイルとの
継手部分の摩擦によって沈下せしめられる、いわゆる共
下がりを防止するための方法、および、同防止機器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、多数のシートパイル相互の継手
を係合せしめた状態を説明するために示した斜視図であ
る。シートパイルの形状,寸法はJISに規定されてお
り、その長手方向の平行2辺に沿って継手1aと継手1
bとが形成されている。列設されている5本のシートパ
イル1A〜1Eのうちの1本であるシートパイル1Bに
ついて考察すると、その凹側の面に対向して見たとき
(本図5に表されている状態)、向かって右側の継手1
aと、向かって左側の継手1bとは、いわゆる鏡像対称
をなしている。多数のシートパイル(例えば1A〜1
E)を、順次に係合して列設する場合、本図5から理解
されるように、隣接するシートパイル相互の間におい
て、右側継手1aと右側継手1aとが係合し、左側継手
1bと左側継手1bとが係合する。右側継手1aと左側
継手1bとは、隣接するシートパイルの間において係合
し得ない。なお、説明の便宜上、本図6に符号1jを付
して示したように、継手と継手とが係合している箇所を
係合部と呼ぶことにする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図7は、多数のシート
パイルを相互に係合せしめて列設する場合に発生する共
下がりの問題を説明するために示したもので、杭の打設
工事の途中における既設シートパイルと、この時点で打
ち込みつつあるシートパイルとを描いた模式的な正面断
面図である。符号1F〜1Jを付して示したのは、既に
打設された多数のシートパイルである(説明の便宜上、
既設のシートパイルを既設パイルと略記する場合が有
る。本発明においては、シートパイル以外のパイル(例
えば鋼管パイルなど)は取扱わないので、パイルと言え
ばシートパイルである)。ただし、シートパイルとは、
異形シートパイル(L形やハット形)を含む。
【0004】前記の既設パイル1F〜1Jは、相互に継
手を係合させて所定深度まで打ち込まれている。ただ
し、パイルの下端部の深さを直接的に計測することは容
易でないから、パイル上端の地上高Hが作業指示書で与
えられた所定寸法となるように揃えられていて、この寸
法が許容誤差範囲から外れていると、杭打工事の検査に
合格できない。前記多数の既設パイル1F〜1Jは、1
F,1G,1H,1I,1Jの順に打設され、これらの
中では既設パイル1Jが最も新しく打ち込まれたシート
パイルである。なお、本発明において多数のシートパイ
ルと言うときの「多」とは、3以上の整数を意味する。
この定義は平面幾何学における多角形の「多」と同様の
意味を有している。
【0005】符号1Kを付して示したのは打設シートパ
イルである。本発明において打設シートパイルとは、工
程の進行状態を叙述している時点において、地盤の中へ
打ち込みつつあるシートパイルを言う。本例において
は、クレーン3で吊持された起振機2によって打設シー
トパイル1Kの頂部をチャックし、該起振機2を作動せ
しめて打設シートパイル1Kに対して、主として上下方
向の激しい振動を与える。打設シートパイル1Kが上下
に激しく振動すると、該打設シートパイル1Kの側面と
地盤との間において「摩擦が切れる」という現象を生じ
て、見掛けの摩擦係数が著しく減少する。この摩擦の減
少を概要的に見れば、静止摩擦の状態が動摩擦の状態に
変換されたものと考えても良い。
【0006】さらに、打設シートパイル1Kが上下に激
しく振動すると、該打設シートパイル1Kの底面が地盤
に対して激しく衝突したり、地盤を局部的に撹拌したり
して、地盤の貫入抵抗を減少させる。これにより打設シ
ートパイル1Kは、該打設パイル自身の重力荷重と起振
機2の重力荷重との和によって、地盤中に沈下してゆ
く。
【0007】上述した打設シートパイル1Kの沈下は、
既設シートパイル1Jの継手と打設シートパイル1Kの
継手との係合部を滑らせながら行なわれるのであるが、
この係合部滑り面の摩擦によって、既設杭1Jは矢印f
のごとく下向き方向の摩擦力を受ける。このため、所定
の地上高Hまで打ち込まれている既設パイル1Jは、打
設シートパイル1Kに引きずられる形で、いわゆる共下
がりしてしまう。この既設パイルの地上高が所定寸法よ
りも減少(沈下)してしまうと工事仕様を満たさなくな
り、検収不合格となる。検収に合格するためには、共下
がりした既設シートパイル1Kを若干引き抜き方向に上
昇させねばならないが、一旦打ち込んだ後に半ば引き抜
いたシートパイルは、(目には見えないが、底面に対向
している部分の地盤が空疎になっている虞れが有るの
で)所期の耐力(支持力)を期待することは出来ない。
【0008】上述のような共下がりを防止するため、本
図6に仮想線で示したように、既設パイル1Jをサブク
レーン4で吊りながら打設シートパイル1Kを打ち込む
などの工夫が為されるが、どのくらいの大きさの摩擦力
(矢印f)が作用するかを算定することが極めて困難で
あるため、サブクレーン4による吊上げ力を適正に設定
することは事実上不可能である。従って、経験的な勘と
目分量でサブクレーン4の吊上力を調節せざるを得ず、
打設品質の信頼性を低下させているのが実情である。ま
た、既設シートパイルを相互に溶接することによって、
打設シートパイル1Kに隣接している既設シートパイル
の共下がり防止することも現に行なわれているが、多大
の時間と労力とを要し、不経済である。
【0009】さらに、最近の金属材料学(冶金学)的な
進歩により、シートパイルは調質された製品が供給され
るようになり、圧延によって結晶組織が長手方向に揃え
られるとともに、結晶粒度が制御されており、鉄鋼材料
の組成に応じて最高の強度と靭性とが与えられているの
で、みだりに溶接を施すことは結晶の粗大化と機械的強
度の低下とを招く。シートパイルを溶接することによっ
てA変態点以上の温度ならしめることは不都合であ
る。近い将来の金属材料学的な進歩や、製鋼工場におけ
る工程管理の向上に伴ってシートパイルの不用意な溶接
が、これ以上に厳しく禁忌されるようになることは間違
い無い。従って、共下がり防止のための溶接は厳禁され
るようになるものと予測される。
【0010】地盤中に打設されたシートパイルは、その
まま構築物の一部分として利用される場合もある。しか
し、仮設工事としてシートパイルを打ち込んだ後、本工
事の進捗に応じて仮設シートパイルを抜き取る場合も少
なくない。抜き取ったシートパイルは再使用される。こ
のようにして、同じシートパイルが何回も繰り返して打
ち込まれたり抜き取られたりする例が多い。同じシート
パイルを繰り返して使用していると、次第に歪みを生
じ、継手が変形する。変形した継手同士は滑りが悪くな
るので、共下がり現象を助長する。その上、係合された
継手の接触面に錆や粘土などが挟み込まれると、いっそ
う共下がりし易くなる。
【0011】図5に示した例は起振機(通称バイブロハ
ンマー)による杭打ちであったが、この共下がりという
現象は、起振機に限らず、ほとんど総べての方式の既製
杭打込み工事(例えば圧入機やディゼルハンマーなど)
においても発生し得る。また、特殊な作業条件において
は共上がりを生じることも有る。本発明においては、こ
の共上がりはマイナス方向の共下がりであると考えて、
共下がりに含めるものとする。本発明は上述の事情に鑑
みて為されたものであって、シートパイルを打ち込む場
合、該シートパイルに溶接や穿孔などの「強度を低下さ
せる虞れの有る加工」を施すことなく、しかも、各種方
式の杭打工事において適用し得る、共下がり防止技術を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると次のとおりであ
る。すなわち、既設シートパイル1Jが、図外の打込み
中のシートパイルに引きずられて共下がりすることを防
止するため、2個のチャック12,同12のフレームを
相互に連結した一体フレーム11を形成した締付固定具
10を構成し、共下がりを防止しようとする既設パイル
1Jと、これに隣接する既設パイル1Iとを挟み付けて
相互に固定し、係合部1jの滑りを阻止する。ただし、
前記2個のチャック12は、係合部1jの高さ寸法C以
上の間隔を設け、かつ、係合部1jによって形成される
段差寸法Aだけ「チャックの締付方向」にずらせる。
【0013】以上に説明した原理に基づいて、請求項1
に係る発明方法の構成は、長手方向の平行な2辺のそれ
ぞれに沿って継手が形成されているシートパイルを地盤
中に打ち込む場合、既設のシートパイルの継手に対して
打設すべきシートパイルの継手を係合せしめて、多数の
シートパイルを順次に打ち込んでゆく工法において、打
設すべきシートパイルに対して片方の継手を係合されて
いる既設のシートパイルと、この既設のシートパイルの
他方の継手に対して係合されているもう一つの既設シー
トパイルの継手との係合部を相互に固定する方式の共下
がり防止方法であって、2箇所の挟持部を有し、一体的
に連設されたフレームを共有している締付固定具を用
い、相互に固定すべきシートパイルの継手係合部を挟ん
だ両側それぞれを、前記締付固定具の2箇所の挟持部そ
れぞれによって挟持して締め付けることにより、上記相
互に固定すべきシートパイルが、その継手に沿って滑ら
ないようにすることを特徴とする。
【0014】以上に説明した請求項1の発明方法による
と、「一体的に連設されたフレームを共有する締付固定
具」の2箇所の挟持部によって、「打設シートパイルの
継手に対して係合されている既設シートパイル」と「上
記既設シートパイルに対して継手を介して係合されてい
る隣接既設シートパイル」とを締め付け固定して、継手
対偶が滑らなくなる。すなわち、打設シートパイルと継
手係合している既設シートパイルが、該継手係合部の摩
擦力で引きずり込まれる形に共下がりしようとするのに
対して、「この共下がりしようとしている既設シートパ
イルの後側に隣接している既設シートパイル」が、締付
固定具によって連結固定されているので、「共下がりの
原因である下向き方向の継手係合部摩擦力」に拮抗する
地盤の貫入反力が2倍になる。さらに、必要に応じて前
記締付固定具の使用個数を2個にすると、上記の貫入反
力は3倍になり、事実上、共下がりを完全に防止するこ
とができる。
【0015】この請求項1の発明方法は、既設シートパ
イルに対して溶接を施さないので、該既設シートパイル
の材料組織に対して結晶粗大化などの悪影響を及ぼす虞
れが無い。さらに、該既設シートパイルに穿孔したりす
ることも無いので、その構造力学的強度を低下させる虞
れも無い。しかも、本請求項1の方法は締付固定具を
「共下がりの虞れ有る既設シートパイル」および「共下
がりの虞れ有る既設シートパイルに隣接している既設シ
ートパイル」に取り付けるので、杭打ち工事の進捗に伴
って共下がりの虞れが無くなり、かつ、共下がりの虞れ
有る既設シートパイルが近隣に存在しなくなった既設シ
ートパイルから、前記締付固定具を取り外して、これを
繰り返して使用に供することができる。すなわち、本請
求項1に係る共下がり防止方法を実施する場合、本発明
方法の実施に原因する消耗部品コストや消耗資材コスト
はゼロであって、経済性に優れている。
【0016】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記の締付固定
具は少なくとも2個を用いることとし、シートパイルを
ほぼ垂直ならしめた状態で、該シートパイルの凸側もし
くは凹側の何れか片方の特定の側から見たとき、右側の
継手付近を挟持して締め付ける締付固定具と、同じく左
側の継手付近を挟持して締め付ける締付固定具とによっ
て、「打設すべきシートパイルと、該打設すべきシート
パイルに係合された既設シートパイルとの間」、およ
び、「上記の打設すべきシートパイルに係合された既設
シートパイルと、この既設シートパイルに係合された隣
接する既設シートパイルとの間」を、それぞれ滑り止め
して締付固定し、かつ、前記の打設すべきシートパイル
が所定深度まで打ち込まれて、最新の既設のシートパイ
ルになり、この最新の既設シートパイルに対して、次の
工程で打設すべきシートパイルが係合されたとき、シー
トパイルを順次に打設している打設地点進行方向に関し
て、最も後方に位置している締付固定具を取り外して、
「次の工程で打設すべきシートパイルと、最近の既設シ
ートパイルとの間の係合部付近」を挟み付けて締付固定
し、1本のシートパイルを打ち終えるごとに、上述の締
付固定具の取外し、取付けを繰り返して、前記少なくと
も2個の締付固定具を交互に前進方向へ飛越し移動させ
てゆくことを特徴とする。
【0017】以上に説明した請求項2の発明方法による
と、「共下がりの虞れが有る既設シートパイルと、これ
に隣接する既設シートパイルとの連結固定」、および、
「共下がりの虞れが有る既設シートパイルに隣接する既
設シートパイルと、共下がりの虞れが有る既設シートパ
イルに対して一つ置きの位置に在る近隣の既設シートパ
イルとの連結固定」を行なうことができる。これを、打
設シートパイルを基準にして見ると、「打設シートパイ
ルから、打設進行方向に関して後方に打ち込まれている
一つ目の既設シートパイルと二つ目の既設シートパイル
との連結固定」、および「同じく、二つ目の既設シート
パイルと三つ目の既設シートパイルとの連結固定」を行
なうことができる。さらに必要に応じて「三つ目の既設
シートパイルと四つ目の既設シートパイルとの連結固
定」および「四つ目の既設シートパイルと五つ目の既設
シートパイルとの連結固定」を行なうこともできる。
(注・本請求項2は請求項1の従属項であって、上記の
連結固定とは請求項1における締付固定具による連結固
定を意味している)。
【0018】本請求項2の発明方法の技術的な意義の因
ってきたるところは、先に図5を参照して説明したよう
に、シートパイルの右側継手と左側継手とが鏡像対称を
為していて、右側継手同士もしくは左側継手同士でない
と係合しないことに在る。従って、右側継手同士が係合
した係合部と、左側継手同士が係合した係合部とは、係
合部周辺を含めて鏡像対称の関係にある。この結果、右
側継手係合部に適合する締付固定具を左側継手係合部に
装着することはできず、左側継手係合部に適合する締付
固定を右側継手係合部に装着することもできない。そし
て、シートパイルを相互に係合せしめて列設した場合、
必ず右側継手係合部と左側継手係合部とが交互に位置し
て形成される。
【0019】本請求項2の発明方法は上述の事情に対応
して、右側継手係合部用の締付固定具と左側継手係合部
用の締付固定具とをペアとして用い、これを交互に前進
(杭打設の進行方向に向けて、いわゆる馬飛び式に交互
に飛越し前進)させて運用することにより、小数の締付
固定具(推奨さるべくは2個の締付固定具)を用いて多
数のシートパイルについて共下がりを防止することがで
きる。特に、本請求項2の発明方法における2種類の締
付固定具の取り付け,取り外し、再取り付けという作業
サイクルは、地上の、しかも地表に近い所で行なわれる
ので作業が容易であり、しかも安全である。
【0020】請求項3に係る発明方法の構成は、前記請
求項2の発明方法の構成要件に加えて、前記の締付固定
具は偶数個、望ましくは2個用いるものとし、前述した
シートパイルの特定の側から見たとき左側の継手付近を
締め付けるように構成された左勝手形の締付固定具と、
同じく右側の継手付近を締め付けるように構成された右
勝手形の締付固定具との2種類の勝手違いの締付固定具
を同数ずつ用い、かつ、前記左勝手形の締付固定具と右
勝手形の締付固定具との違いを塗装、鋳出し、もしくは
ラベル・プレート貼付またはこれに類した手段により、
色調もしくは文字・記号、またはこれらの組合せによっ
て標示することを特徴とする。
【0021】以上に説明した請求項3の発明方法による
と、請求項2に係る2種類の締付固定具の区別を色調も
しくは文字・記号によって標示するので、作業員に格別
の知識や熟練を要せずに上記2種類の締付固定具を識別
することができる。このように、容易に、かつ確実に識
別できることは、現場における作業管理のみならず、機
材倉庫における管理業務、および杭打設工事現場におけ
る作業の段取りといった面においても実用的な効果を発
揮する。請求項2に係る2種類の締付固定具、およびシ
ートパイルの左,右の継手の特性により、2種類の締付
固定具をペアとして揃えなければ共下がり防止の実効を
期待することができない。すなわち、もし仮に、右側継
手係合部用の締付固定具が10個有っても、左側継手係
合部用の締付固定具が無ければ、共下がりを防止するこ
とは出来ない。その反対に左側継手係合部用の締付固定
具ばかりで、右側継手係合部用の締付固定具が無い場合
も同様である。
【0022】従って、機材倉庫においては、必ず右側継
手係合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定
具とを明確に区別して保管管理しなければならない。し
かし、建設工事業者の機材倉庫には各種の機器類が保管
されている上に、その大半は中古品であり、製造メーカ
ーもまちまちであって、全品目の仕様,用途区分に精通
することはなかなか困難である。こうした情況下で、外
観的に類似している右側継手係合部用の締付固定具と左
側継手係合部用の締付固定具とを荷札によって区分して
おいても、作業繁忙の際に取り違えの絶無を期すること
はできないのが実情である。こうした条件下において、
右側継手係合部用の締付固定具とが色分けされていれ
ば、その差が一目瞭然であり、格別の知識や経験が無く
ても間違いを起こしにくい。遠くから見ただけで直感的
に気付くという点では色分けが最も有効であるが、これ
に文字,記号が併用されていることはいっそう望まし
い。すなわち、色調の差異によって注意を惹かれ、よく
見ると「右」「左」の文字(もしくはL,Rの記号)が
標示されていれば、容易にこれらの機器がペアであって
互換性の無いことに気付き得る。
【0023】同様の問題は作業現場の段取りについても
存在する。大規模の工事は工区を区分して遂行される
が、いまN個の工区にそれぞれ1台ずつの杭打機が配置
された場合を想定すると、それぞれの工区に右側継手係
合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定具と
がペアになって配置されなければならない。大型機器の
搬送に追われている作業現場では、小型機器類の管理に
まで注意を配ることはなかなか大変であるが、もし締付
固定具の左,右の区分についての配置を誤ると、連絡調
整・交換に要する時間と労力とは大きい損失である。こ
うした場合、例えば「赤,青を1個ずつ」というように
標示されていれば、作業指示者も楽であり、不慣れな作
業員が指示を受けても取り違えてトラブルを生じる虞れ
が無い。
【0024】杭打ち工事が開始された後においても、作
業指示者が不慣れな労務補助者に対して作業を説明した
り、号令したりする際、単に言葉で「右側継手係合部用
の締付固定具(実際には適宜の略称・例えば右側のチャ
ック)」と指定しても、一般レベルの労務補助者には通
じ難く、かつ取り違え易い。このようなとき、例えば
「赤い方を外して前へ送れ」とか、「青い方は未だ外す
な」というように指示することにより、容易に、間違い
なく杭打ち作業を進めて共下がりを防止することができ
る。
【0025】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記2箇所の挟
持を「フレームに形成されているコの字状部分の対向部
の片方に設けられた、球面座で支持されている揺動挟持
歯」と、「上記コの字状部分の対向部の他方に設けられ
た、メネジに螺合されている押しネジ」とによって行な
い、または、「フレームに成形されているコの字状部分
の対向部の片方に設置された固定挟持歯」と、「上記コ
の字状部分の対向部の他方に設けられたメネジに螺合さ
れている押しネジの先端に冠着されて、該押しネジに対
する回動が自在で、フレームに対する回動を係止されて
いる可動挟持歯」とによって行なうことを特徴とする。
【0026】以上に説明した請求項4の発明方法による
と、例えばスパナのような汎用のハンドツールを携帯し
ていることを条件として、他から何らの支援を受けるこ
と無く(すなわち、電線による電力供給や、ホースによ
る圧力油供給などを受ける必要が無く)、既設パイルの
締付固定によって継手係合部に滑り止めを施して、既設
シートパイルの共下がりを防止することができる。しか
も、同じハンドツール(例えばスパナ)を用いて既設シ
ートパイルの取付け締め付け作業も、取外し作業も遂行
することができ、例えば手押しポンプなどの補助機器を
必要としない。その上、押しネジを適正なトルクで締め
付けておくと、締付が不用意に緩んで既設杭が共下がり
してしまうといった不具合を生じる虞れが無い(この
点、油圧式の締付機構が漏油によって弛緩する危険性を
有していることに比して、ネジ式の長所である)。さら
に、揺動挟持歯を用いた場合は、挟持用の歯の片方が球
面座を介して支持されるので、既設シートパイルに対す
る締付け固定具のフレームの姿勢を厳格に規制しなくて
も、該既設シートパイルの板面に対して垂直方向の挟持
力を与えることができる。このように、自動的に挟持力
の方向が調整されることは、作業員に格別の熟練や知識
を要しないという面においても、作業員の精神的負荷を
軽減し得るという面においても、取付作業の能率を高め
るという面においても、正確な取り付けによって確実に
継手係合部の滑りを阻止して共下がりを防止し得るとい
う面においても、大きい実用的価値が有る。また、固定
挟持歯と、回動を係止された可動挟持歯とを用いると、
シートパイルに対して共下がりさせるように作用する力
が大きくても、確実に共下がりを防止することができ
る。
【0027】請求項5に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記2箇所の挟
持を、「フレームに形成されているコの字状部分の対向
部付近」に設けたシリンダ手段によって行ない、もしく
は同電気モーターによって行なうことを特徴とする。
【0028】以上に説明した請求項5の発明方法による
と、作業員に多大の労力を煩わせること無く、強い力で
既設シートパイルを締付け固定して、確実に共下がりを
防止することができる。液圧シリンダもしくはエアシリ
ンダを用いると、ホースを引かねばならないが圧力源は
杭打機から機器を受け得る。電気モーターを使用する場
合は、電線を引かずにバッテリーを利用することができ
る。
【0029】請求項6に係る発明機器の構成は、直交3
軸X,Y,Zを想定するとともに、段差寸法Aと厚さ寸
法Bとを有する、X−Z面に沿った2枚の平行な板状部
材Iと板状部材Jとを想定し、前記板状部材Iを挟み付
ける締付手段と、前記板状部材Jを挟み付ける締付手段
とがX軸方向に寸法Cを隔てて配置されており、かつ、
上記2つの締付手段が、フレームを共有して一体的に連
結された1組のポータブルな機器を構成しており、前記
の段差寸法Aは、JISに規定されたシートパイルの継
手部分の係合状態におけるY軸方向寸法の最大値と最小
値とをカバーし得る20ミリメートルないし80ミリメ
ートルであり、前記の厚さ寸法Bは、JISに規定され
たシートパイルの継手付近の板厚寸法の最大値と最小値
とをカバーし得る7ミリメートルないし10ミリメート
ルよりも大きく想定され、前記の間隔寸法Cは、JIS
に規定されたシートパイルの継手部分の係合状態におけ
るX軸方向寸法の最大寸法にも最小寸法にも干渉しない
よう、余裕寸法を含めて30ミリメートル以上、150
ミリメートル以下に設定されていることを特徴とする。
【0030】以上に説明した請求項6の発明機器による
と、シートパイルの継手係合部に相当する段差を有する
平行な板状部材を挟み付ける2つの締付手段を備えてお
り、かつ、該2つの締付手段はシートパイルの継手係合
部を収納し得る間隔を有しているので、継手係合された
2枚のシートパイルを挟み付けて相互に固定することが
できる。上記の機能を有しているので、本請求項6の機
器によれば、前述した請求項1の発明方法を容易に実施
して、その効果を充分に発揮せしめることができる。
【0031】請求項7に係る発明機器の構成は、前記請
求項6の発明機器の構成要件に加えて、前記の板状部材
Iの締付手段と、板状部材Jの締付手段とは本質的にほ
ぼ同形同寸の構成部分であって、シートパイルに装着し
たときほぼY−Z面に沿う姿勢となり、ほぼY軸方向に
対向するコの字状に類似した「フレームのコの字状部」
と、上記フレームのコの字状部の対向部分の片方に形成
された凹球面座に嵌合する凸球面部を一体的に連設され
た揺動可能な固定側挟持歯、または、該コの字状部の対
向部分の片方に固定的に設置された固定挟持歯と、前記
フレームの対向部分の他方に、ほぼY軸方向に形成され
たメネジと、上記のメネジに螺合して、押しネジとして
機能するオネジ部材と、上記オネジ部材と一体的に連設
された、該オネジを回すための工具に係合する六角頭、
もしくは、これと同様の機能を果たし得るように構成さ
れた工具係合部と、を具備していることを特徴とする。
【0032】以上に説明した請求項7の発明機器による
と、作業員がハンドツール(例えばスパナ)を用いて当
該機器を既設シートパイルに装着して締結したり、取り
外したりすることができ、油圧力や電気力などの動力の
供給を受けなくてもよい。その上、適正なトルクで押し
ネジを締め付けておけば、杭打ち作業の途中で不用意に
弛緩して共下がりを生じるなどのトラブルを発生する虞
れが無く、作動信頼性が高い。
【0033】請求項8に係る発明機器の構成は、前記請
求項6の発明機器の構成要件に加えて、前記の板状部材
Iの締付手段と、板状部材Jの締付手段とは本質的にほ
ぼ同形同寸の構成部分であって、シートパイルに装着し
たときほぼY−Z面に沿う姿勢となり、ほぼY軸方向に
対向するコの字状に類似した「フレームのコの字状部」
と、上記フレームの対向部分の少なくとも片方に設置さ
れて、該対向部分の内側に向けて伸縮する液圧式もしく
は空気圧式のシリンダ手段と、上記シリンダ手段のピス
トンロッドの先端もしくはラムの先端に設けられた、シ
ートパイルを挟圧する構成部分と、を具備していること
を特徴とする。
【0034】以上に説明した請求項8の発明機器による
と、作業者に多大の労力を費さしめることなく、動力を
用いて既設シートパイルを強力に締め付けて、継手係合
部の滑りを完全に防止して、確実に共下がりを防止する
ことができる。この場合、油圧力もしくは空気圧力の供
給は、杭打機から受けることができる。また、電気力の
供給は、杭打機から電線によって受けることもでき、バ
ッテリを利用することもできる。
【0035】請求項9に係る発明機器の構成は、前記請
求項6〜8の発明機器の構成要件に加えて、前記2つの
締付手段がフレームを共有して構成している1組のポー
タブルな機器は、鏡像対称をなすように構成された2組
の機器が1対となっており、前記1対をなす2組のポー
タブルな機器の内の1組は、ほぼ垂直に立てられたシー
トパイルの凹面側に対向している作業者から見て右側の
シートパイル継手の係合部へ装着するように、前記仮想
の平行な板状部材の段差方向を想定して構成されてお
り、前記1対をなす2組のポータブルな機器の内のもう
1組は、ほぼ垂直に立てられたシートパイルの凹面側に
対向している作業者から見て左側のシートパイル継手の
係合部へ装着するように、前記仮想の平行な板状部材の
段差方向を想定して構成されており、凸面側と凹面側と
を交互に反転させて地盤中に打設されるとともに、その
頂面を揃えて列設されている多数のシートパイル相互の
多数の係合部の何れに対しても、前記2組の機器のいず
れか片方を挟持装着できるようになっていることを特徴
とする。
【0036】以上に説明した請求項9の発明機器による
と、1対の鏡像対称をなす機器によって、多数のシート
パイルの列設について共下がりを防止することができ
る。さらに、複数対の機器を用いていっそう確実に共下
がりを防止することもでき、該1対の、もしくは複数対
の鏡像対称をなす機器(締付固定具)を交互に配置して
用いることによって、シートパイルの継手係合部の総べ
てに適合せしめることができる。すなわち、本請求項9
に係る1対の締付固定具(共下がり防止機器)を用いる
ことによって、「共下がりの虞れが有る既設シートパイ
ルと、これに隣接する既設シートパイルとの連結固
定」、および、「共下がりの虞れが有る既設シートパイ
ルに隣接する既設シートパイルと、共下がりの虞れが有
る既設シートパイルに対して一つ置きの位置に在る近隣
の既設シートパイルとの連結固定」を行なうことができ
る。これを、打設シートパイルを基準にして見ると、
「打設シートパイルから、打設進行方向に関して後方に
打ち込まれている一つ目の既設シートパイルと二つ目の
既設シートパイルとの連結固定」、および「同じく、二
つ目の既設シートパイルと三つ目の既設シートパイルと
の連結固定」を行うことができる。
【0037】さらに必要に応じて「三つ目の既設シート
パイルと四つめの既設シートパイルとの連結固定」およ
び「四つ目の既設シートパイルと五つ目の既設シートパ
イルとの連結固定」を行なうこともできる。(注・本請
求項9は請求項6の従属項であって、上記の連結固定と
は請求項6におけるポータブルな機器による連結固定を
意味している)。
【0038】本請求項9の発明方法の技術的な意義の因
ってきたるところは、先に図5を参照して説明したよう
に、シートパイルの右側継手と左側継手とが鏡像対称を
為していて、右側継手同士もしくは左側継手同士でない
と係合しないことに在る。従って、右側継手同士が係合
した係合部と、左側継手同士が係合した係合部とは、係
合部周辺を含めて鏡像対称の関係にある。この結果、右
側継手係合部に適合する締付固定具を左側継手係合部に
装着することはできず、左側継手係合部に適合する締付
固定を右側継手係合部に装着することもできない。そし
て、シートパイルを相互に係合せしめて列設した場合、
必ず右側継手係合部と左側継手係合部とが交互に位置し
て形成される。
【0039】本請求項9の発明機器は上述の事情に対応
して、右側継手係合部用の締付固定具と左側継手係合部
用の締付固定具とをペアとして用い、これを交互に前進
(杭打設の進行方向に向けて、いわゆる馬飛び式に交互
に飛越し前進)させて運用することにより、小数の締付
固定具(推奨さるべくは2個の締付固定具)を用いて多
数のシートパイルについて共下がりを防止することがで
きる。特に、本請求項9の発明機器における2種類の締
付固定具の取り付け,取り外し、再取り付けという作業
サイクルは、地上の、しかも地表に近い所で行なわれる
ので作業が容易であり、しかも安全である。以上に述べ
た請求項9に係る発明機器の作用,効果を要約すると、
請求項9の発明機器によれば、請求項2に係る発明方法
を容易に実施して、その効果を充分に発揮せしめること
ができる。
【0040】請求項10に係る発明機器の構成は、前記
請求項9の発明機器の構成要件に加えて、前記の鏡像対
称をなす2組の機器のそれぞれは、前記フレームのコの
字状部の開口を下方に向けた姿勢で、一体的に連設され
ているフレームの上方に提げ手が設けられており、か
つ、該2組の機器それぞれが、右側シートパイル継手係
合部に装着される構成の機器であるか、左側シートパイ
ル継手係合部に装着される構成の機器であるかを、「前
記フレームが、前記提げ手によって、外部障害物による
摩擦や衝突から防護されている面」に、色調により、お
よび/または文字・記号により標示されていることを特
徴とする。
【0041】以上に説明した請求項10の発明機器によ
ると、請求項9に係る2種類の締付固定具(ポータブル
な機器)の区別を色調もしくは文字・記号によって標示
するので、作業員に格別の知識や熟練を要せずに上記2
種類の締付固定具を識別することができる。このよう
に、容易に、かつ確実に識別できることは、現場におけ
る作業管理のみならず、機材倉庫における管理業務、お
よび杭打設工事現場における作業の段取りといった面に
おいても実用的な効果を発揮する。請求項9に係る2種
類の締付固定具、およびシートパイルの左,右の継手の
特性により、2種類の締付固定具をペアとして揃えなけ
れば共下がり防止の実効を期待することができない。す
なわち、もし仮に、右側継手係合部用の締付固定具が1
0個有っても、左側継手係合部用の締付固定具が無けれ
ば、共下がりを防止することは出来ない。その反対に左
側継手係合部用の締付固定具ばかりで、右側継手係合部
用の締付固定具が無い場合も同様である。
【0042】従って、機材倉庫においては、必ず右側継
手係合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定
具とを明確に区別して保管管理しなければならない。し
かし、建設工事業者の機材倉庫には各種の機器類が保管
されている上に、その大半は中古品であり、製造メーカ
ーもまちまちであって、全品目の仕様,用途区分に精通
することはなかなか困難である。こうした情況下で、外
観的に類似している右側継手係合部用の締付固定具と左
側継手係合部用の締付固定具とを荷札によって区分して
おいても、作業繁忙の際に取り違えの絶無を期すること
はできないのが実情である。こうした条件下において、
右側継手係合部用の締付固定具とが色分けされていれ
ば、その差が一目瞭然であり、格別の知識や経験が無く
ても間違いを起こしにくい。遠くから見ただけで直感的
に気付くという点では色分けが最も有効であるが、これ
に文字,記号が併用されていることはいっそう望まし
い。すなわち、色調の差異によって注意を惹かれ、よく
見ると「右」「左」の文字(もしくはL,Rの記号)が
標示されていれば、容易にこれらの機器がペアであって
互換性の無いことに気付き得る。
【0043】同様の問題は作業現場の段取りについても
存在する。大規模の工事は工区を区分して遂行される
が、いまN個の工区にそれぞれ1台ずつの杭打機が配置
された場合を想定すると、それぞれの工区に右側継手係
合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定具と
がペアになって配置されなければならない。大型機器の
搬送に追われている作業現場では、小型機器類の管理に
まで注意を配ることはなかなか大変であるが、もし締付
固定具の左,右の区分についての配置を誤ると、連絡調
整・交換に要する時間と労力とは大きい損失である。こ
うした場合、例えば「赤,青を1個ずつ」というように
標示されていれば、作業指示者も楽であり、不慣れな作
業員が指示を受けても取り違えてトラブルを生じる虞れ
が無い。
【0044】杭打ち工事が開始された後においても、作
業指示者が不慣れな労務補助者に対して作業を説明した
り、号令したりする際、単に言葉で「右側継手係合部用
の締付固定具(実際には適宜の略称・例えば右側のチャ
ック)」と指定しても、一般レベルの労務補助者には通
じ難く、かつ取り違え易い。このようなとき、例えば
「赤い方を外して前へ送れ」とか、「青い方は未だ外す
な」というように指示することにより、容易に、間違い
なく杭打ち作業を進めて共下がりを防止することができ
る。以上に述べた請求項10に係る発明機器の作用効果
を要約すると、請求項10の発明機器によれば、請求項
3に係る発明方法を容易に実施して、その効果を充分に
発揮せしめることができる。
【0045】請求項11に係る発明機器の構成は、前記
フレームのコの字状部の開口部を下方に向けた姿勢なら
しめて、該コの字状開口部を垂直なシートパイルの上端
部に嵌め合わせた状態において、上記シートパイルの頂
面に当接するパイル押え部材が、フレームからX軸方向
に突出していることを特徴とする。
【0046】以上に説明した請求項11の発明機器によ
ると、継手部材を相互に係合された2本のシートパイル
が相互に滑ろうとしたとき、相対的に上昇しようとする
方のシートパイルの頂部にパイル押え部材が当接して上
記の滑りを阻止して、共下がり防止効果をいっそう確実
ならしめる。
【0047】請求項12に係る発明機器の構成は、前記
フレームのコの字状部の開口端付近に、「シートパイル
の上端部が相対的に接近してきたとき、該上端部がコの
字状開口部の中へ相対的に進入して嵌合するように誘導
する部材」が取り付けられていることを特徴とする。
【0048】以上に説明した請求項12の発明機器によ
ると、作業員が締付固定具の提げ手を片手で持って、そ
のコの字状開口部をシートパイルの上端部に係合させる
際、大凡の見当をつけて持ってゆくと、誘導部材の作用
によって半ば自動的に嵌合されるので、作業員の労力が
軽減され、かつ作業能率が向上する。凸状の部材に凹状
の部材を嵌合する際、該凹状部材の開口端付近にガイド
部材を取り付けるということだけを抽象的に考えれば公
知技術であるかのごとく錯覚する虞れが有るが、シート
パイルの共下がり防止機器特有の条件を勘案して評価し
なければならない。すなわち、可動側の挟持歯を広く開
いておけば嵌め合わせ易いが、広く開いておくと締め付
け作業の所要時間が長くなる。本請求項12に係る誘導
部材を設けておくと、挟持歯が広く開かれていなくて
も、シートパイルの厚さ寸法よりも大きく開きさえすれ
ば、格別の注意や熟練を要しないで、当該締付固定具を
迅速,容易にシートパイルに取り付けることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る共下がり防
止方法を実施するために構成した本発明に係る共下がり
防止機器の1実施形態を示し、2本のシートパイルを挟
み付けている状態の底面図である。シートパイルには
大,小各種が有るが、いずれもJIS規格によって形
状,寸法を定められている。1Jおよび1Iは、前掲の
図7に示した既設シートパイル1Jと既設シートパイル
1Iである(図には既設パイルと略記)。すなわち、既
設パイル1Jは、図1には現れていない打設パイルに対
して継手を係合されていて、「共下がりする虞れのある
状態」である。そして既設パイル1Iは「共下がりの虞
れある既設パイル」に対して継手係合された隣接パイル
である。
【0050】1jは、既設シートパイル1Jと既設シー
トパイル1Iとの継手係合部であり、1fはフランジ部
ある。2本のシートパイル1Jと同1Iとを継手係合し
た場合、本図1にハッチングを付して示した断面形状は
JISに基づいて自ずから次のように定まってくる。す
なわち、双方のシートパイルのフランジ1f同士は、段
差寸法Aの平行板状をなす。上記の段差寸法は、シート
パイルの大小によって異なるが、特殊なものを除いて5
3ミリメートルないし57ミリメートルである。本発明
を実施する際、継手係合部のガタや、特殊仕様シートパ
イルや、歪みを生じた中古シートパイルを考慮に入れ
て、上記段差寸法Aは20ミリメートルないし80ミリ
メートルの間で、実情に応じて対応すれば良い。
【0051】シートパイルのフランジ部1fの厚さ寸法
Bは、1個のシートパイルについても厚い所と薄い所と
が有るが、概要的に7ないし10ミリメートルである。
本発明を実施する場合、この厚み寸法は7ミリメートル
以上と考えれば良い。この厚み寸法を過小に想定すると
挟みつけ出来ない。また、この厚み寸法を過大に想定し
ても、大は小を兼ねる…であるが、過剰品質となって不
経済であるのみでなく、機器が大型,大重量になって取
り扱いにくい。図示の寸法Cは、35ミリメートルない
し45ミリメートルであるが、本発明を実施する際、特
殊仕様のシートパイルを考慮に入れて、30ミリメート
ルないし150ミリメートルと想定することが適当であ
る。
【0052】シートパイルの形状,寸法、および係合状
態が上述のごとくであることを念頭に置いて、図1に示
した2個のフランジ1f,同1fを抽象化して、「段差
寸法A,厚さ寸法Bの、平行な2板の平板」を想定す
る。そして、寸法C以上の間隔を設けて2個のチャック
12Cを配置する。ここに言うチャックとは、機械用語
辞典に「シャコ万力」として示されている挟持具、およ
び、これに類似する挟持締付具の意である。シャコ万力
は、Cクランプとも呼ばれ、C字形ないしコの字形のフ
レームを有している。(図2(A)参照)。前記2個の
チャック12は、フランジ1fの段差寸法Aに対応させ
て、その挟持方向に寸法Aだけずらして配置される。上
述のごとく、段差寸法A,板厚寸法Bの平行な板状部材
(2枚のフランジ1fを抽象化された物体)を想定し、
板面に対して垂直に挟み付ける2個のチャック12を、
平行に、かつ、間隔寸法をC以上として配置し、かつ、
2個のチャック12のフレームを相互に一体的に連結し
た一体フレーム11を構成する。
【0053】図2は、本発明に係る機器である締付固定
具の斜視図であって、(A)は前掲の図1に示した実施
形態における締付固定具を描き、(B)は上記と異なる
実施形態の締付固定具を描いてある。図2(A)に、チ
ャック12のコの字形ないしはC字形のフレームの2個
を一体に連結した一体フレーム11が表されている。こ
の図2(A)と図1とを対比して、前記コの字形(ない
しC字形)フレームの対向部の片方に、球面座12aが
形成されている。そして、上記球面座12aに嵌合する
凸球部を有する揺動挟持歯12bが設けられている。前
記コの字形フレームの対向部の他方に、フランジ1fに
対してほぼ垂直となるようにメネジ12cが形成されて
いる。上記のメネジ12cに、押しネジとして機能する
六角ボルト形のオネジ部材12dが螺合されている。本
発明を実施する際、必ずしも六角ボルト形に限られるも
のではないが、締付用工具の係合部を有するオネジ部
材、もしくは、締付手段を備えたオネジ部材を用いる。
上述のチャック12の構成により、フランジ1fが僅か
なテーパを有していたり、軽度の損傷を被って歪んでい
たりしても、また、継手係合部1jのガタのため2枚の
フランジ1fの平行度に若干の狂いが有っても、シート
パイルを強固に締め付けることができる。
【0054】一体フレーム11で連結された2個のチャ
ック12のそれぞれが、既設シートパイル1Jと既設シ
ートパイル1Iとを強固に締め付けると、該2個の既設
シートパイル1J,1Iは相互に固定され、継手係合部
1jが長手方向(図1において紙面と直角)に滑らなく
なる。前記の押しネジ12dの押圧力がフランジ1fに
対して厳密に直角でなくても、揺動挟持歯12bが球面
座12aに対して回動し得るので、こじれることなく確
実にフランジ1fを把持することができる。また、前記
押しネジ12dを弛めると、当該締付固定具10を既設
シートパイルから取り外すことができる。(図1参照)
固定挟持歯12cにはオネジ状の脚が一体に連設されて
いて、このオネジ脚がメネジ座12dに螺着されてい
る。このようにして、フレーム11に対して固定された
挟持歯を設けると、シートパイルの把持が強固になり、
特にY軸まわりに相対的に回らなくなるので、継手係合
部1jの滑りをより確実に阻止することができる。
【0055】(図2(B)参照)本実施形態では、押し
ネジ形のチャックに代えて油圧式チャック12′を設け
てある。12fは油圧シリンダである。図示を省略する
が、油圧に代えて空気圧を用いることもできる。また、
図示を省略するが、シリンダ手段の代りに電気モータに
よる締付手段を設けても良い。油圧,空気圧などの動力
の供給を受けるためにはホースを引かなければならない
が、杭打機から油圧,もしくは空気圧を分与して貰うこ
とができるので、油圧モータや空気圧縮機を専用に設置
するには及ばない。また、電気モータを用いる場合は電
線を引いても良いが、バッテリを利用すれば電線を引か
なくても良い。油圧,空気圧,電動力などを利用する
と、作業員が多大の労力を費さなくても強固な締め付け
が可能である。
【0056】図2(B)の実施形態においては、フレー
ムのコの字状開口部の開口端に、ガイド部材13,1
3′を設置してある。本例の1対のガイド部材13,1
3′は、固定挟持歯12bと可動挟持歯12h′との間
にシートパイル(図外)の頂部を導くように、奥の方の
幅寸法Wよりも入口の幅寸法Wを大きく設定してあ
る。このガイド部材の実用上の意義は次のごとくであ
る。相当の重量物である締付固定具を手で提げて、シー
トパイルの頂部に嵌め合わすことは労力を要する。従っ
て、前記の固定挟持歯12bに対して可動挟持歯12
h′を大きく開いておいた方が取り扱い易い(この間隔
が狭いと、シートパイルに嵌め合わせにくく、多大の労
力を要する)。しかし、この間隔が大きいと締付操作に
多くの時間と労力とを費す。すなわち、例えば図2
(A)のように押しネジ12dを用いている場合、シー
トパイルを締めつける1対の挟持歯を広く開くには該押
しネジ12dを何回も回さねばならない上に、シートパ
イルを嵌め合わせてから締め付けるにも再度多数回の回
転操作を必要とする。これにより時間を費すと、シート
パイルの打設工事全体の工事が遅れる。
【0057】しかし、本発明に係るガイド部材13,1
3′を設けておくと、1対の挟持歯(その片方は可動側
挟持歯、他方は固定側挟持歯である)の間隔を「シート
パイルの厚さ寸法よりも若干大きい寸法」にしておけば
容易にシートパイルの頂部を該1対の挟持歯の間に嵌め
合わせることができる。上記1対の挟持歯が広く開かれ
ていなければ、押しネジ12dを回して該シートパイル
を挟みつける操作も迅速,容易に行なわれる。本実施形
態(図2(B))においては前記のガイド部材13,1
3′を、Y−Z面に沿った板状部材で構成した。すなわ
ち、鋼板を切り抜いた部材をフレームに溶接して固着し
た。上記1対のガイド部材13,13′のガイド縁はZ
軸に関して対称に下開きテーパに形成してある。本発明
を実施する際、1対のガイド縁の片方とZ軸に対してほ
ぼ垂直ならしめても良い。
【0058】図3は、鏡像対称をなすように構成された
2組の締付固定具・甲,乙によって3本の既設シートパ
イルを相互に連結した状態を描くとともに、2箇所の段
差の方向性を付記した底面図である。本図3の右半部
は、前掲の図1を約1/2に縮小したものである。ただ
し、縮尺を小さくしたので詳細な構成部分の符号と名称
とは省略してある。さらに、本図3においては、描かれ
ている2組の締付固定具10相互の差異を表すよう、部
材名称に甲,乙の区別を付するとともに、符号にA,B
を付して区別した。既設パイル1Jは、先に述べたよう
に、図外の打設パイルから数えて一つ目の既設シートパ
イルであり、既設パイル1Iは同じく二つ目のシートパ
イルであり、既設パイル1Hは同じく三つ目のシートパ
イルである。
【0059】図3において中央の既設シートパイル1I
から見ると、両側の既設シートパイル1J、および同1
Hは、左右対称に位置している。従って、既設シートパ
イル1Iを基準として既設パイル1Jに対する段差寸法
に方向性を加味して考えると(ベクトル量としての段差
Aを考えると)、既設シートパイル1Hに対する段差は
−Aとなる。このため、反対向きの段差部を挟持するよ
うに構成された締付固定具・甲10Aと、締付固定具・
乙10Bとは鏡像対称をなしている。シートパイルは、
その凹面側と凸面側とを交互に反対方向に向けて配列さ
れるので、隣接している継手係合部1jは、右側継手1
a同士の係合部と、左側継手1b同士の係合部とが交互
に並ぶことになる。
【0060】締付固定具・甲10Aは右側継手係合部用
の締付固定具であり、締付固定具・乙は左側継手係合部
用の締付固定具である。1対(2組)の締付固定具を用
いるときは、右側継手係合部用の締付固定具・甲10A
と左側継手係合部用の締付固定具・乙10Bとを並べて
用いる。また、2対(4組)の締付固定具を用いるとき
は、右側継手係合部用の締付固定具・甲10Aと、左側
継手係合部用の締付固定具・乙10Bとを交互に並べて
用いる。多数のシートパイルを順次に継手係合させて杭
打施工してゆくとき、右側継手係合部と左側継手係合部
とが交互に形成される。このため、工事の進行に伴っ
て、右側継手係合部用の締付固定具とを、間違い無く順
序良く「打設シートパイルに隣接しているシートパイ
ル」に供給してゆかねばならない。
【0061】図4は、本発明に係る共下がり防止機器を
用いて本発明に係る共下り防止方法を実施している状態
を示し、(A)は模式的に描いた正面図であって従来例
における図6の一部に対応しており、(B)は模式的に
描いた底面図に作業工程を表す矢印を付記した図であ
る。本図4(A),(B)においては、打設中のシート
パイル(打設パイル1K)を鎖線で描き、既設パイルを
実線で描いてある。ただし、上記打設パイル1Kが所定
深度に打ち込まれた後は既設パイルとなる。シートパイ
ル1Kが打ち込まれつつある状態において、すなわち、
打設パイルである状態において、既設パイル1Jは打設
パイルから数えて一つ目の既設パイルである。同様に、
既設パイル1Iは二つ目の既設パイルであり、既設パイ
ル1Hは三つ目の既設パイルである。
【0062】いま、説明の順序として、仮想線で描いた
締付固定具・乙10Bを無視して、実線で描いた締付固
定具・甲10Aと、締付固定具10Bとについて考察す
る。図4(B)において、二つ目の既設パイル1Jの左
右両側に締付固定具・乙10Bと締付固定具・甲10A
とが装着されている。この状態は前掲の図3に示した状
態と同様である。図4は、図3に比して縮尺が小さいの
で略図法を用いて描いてあるが、上記締付固定具・甲が
右側継手係合部用の締付固定具であり、締付固定具・乙
が左側継手係合部用の締付固定具であることも、図3に
おけると同様である。ここに、右側継手係合部と左側継
手係合部とについては、先に図5を参照して定義したご
とくである。なお、一見したとき左,右の呼称を取り違
えているように思われた場合は、図3および図4(B)
が平面図ではなくて底面図であることに御留意を頂きた
い。
【0063】いずれにせよ、本図4を参照して説明せん
とするところを御理解頂く為には、シートパイルの右側
継手係合部には右側継手係合部用の締付固定具・甲10
Aでなければ適合せず、シートパイルの左側継手係合部
には左側継手係合部用の締付固定具・乙10Bでないと
係合しないこと、すなわち、右側継手係合部用の締付固
定具と左側継手係合部用の締付固定具との間に互換性が
無いことを御承知頂けば足りる。図3および図4(B)
に、底面図として示した締付固定具・甲10A,同乙・
10Bの装着状態を、正面図として見れば図4(A)の
ごとくである。この図4(A)と、前掲の斜視図図2と
を対比してみると、本例の締付固定具を既設シートパイ
ルの頂部に対して容易に着脱できることが理解される。
【0064】図4において(先に述べたごとく、仮想線
で描かれている締付固定具・乙10Bは無いものとし
て)、打設パイル1Kが図外の杭打機によって下方へ打
ち込まれるとき(杭打機の種類は問わない)、該打設パ
イルに対して継手係合されている一つ目の既設パイル1
Jは共下がりしようとする。しかし、上記の共下がりし
ようとする一つ目の既設パイル1Jが、右側継手係合部
用の締付固定具10Aによって、二つ目の既設パイル1
Iに対して連結固定されているので、上記一つ目の既設
パイる1Jの共下がりが防止される。しかし、これだけ
では、二つ目の既設パイル1Iを道連れにして、2個の
既設パイル1J,1Iが一緒に共下がりしてしまう虞れ
無しとしない。
【0065】ところが、上記既設パイル1Iは、左側継
手係合部用の締付固定具・乙10Bによって三つ目の既
設パイル1Hに連結固定されているので、3本の既設パ
イル1J,1I,1Hが一体的に連結されて、一つ目の
既設パイル1Jの共下がりを阻止する。本発明者らの実
験によると、特殊な作業条件でない限り、1対の締付固
定具によって共下がりを防止することができる。しか
し、必要に応じて、さらに多数の締付固定具を用いるこ
ともでき、より確実に共下がりを防止することができ
る。ただし、いかなる場合も右側継手係合部用の締付固
定具と左側継手係合部用の締付固定具とを交互に配列し
て装着しなければならない。
【0066】図4に示したようにして打設シートパイル
1Kを打ち込み終ると、このシートパイル1Kは既設シ
ートパイルとなる。図示を省略するが、次の工程とし
て、既設シートパイルとなったシートパイル1Kの右側
に、継手係合せしめて、さらに新たなシートパイルが打
ち込まれる。このため、この時点で新たに既設シートパ
イルとなった符号1Kのシートパイルと、これに隣接す
る既設シートパイル1Jとを連結して、該新たな既設シ
ートパイル(符号1K)の共下がりを防止しなければな
らない。そこで、実線で描かれた締付固定具・乙10B
を取り外して、鎖線矢印aで示したように締付固定具・
甲10Aを飛び越して、仮想線で描かれた締付固定具・
乙10Bの位置に装着する(この時点では、打設パイル
1Kが打ち込み終えられて、その頂部が点線で示した位
置hまで下がっていて、締付固定具を装着できる状態に
なっている)。
【0067】上述のごとく、最後尾の締付固定具が、先
行の締付固定具を馬跳び式に飛び越して先頭に進出し、
以後、これを繰り返す。このため、実際の作業において
は、それぞれの締付固定具について、右側継手係合部用
の締付固定具であるか左側継手係合部用の締付固定具で
あるかを明確にしなければならない。そこで、本実施形
態においては図2に示すごとく、一体フレームの上面に
標示塗装12gを施して、右側継手係合部用の締付固定
具と左側継手係合部用の締付固定具とを色わけ標示し
た。本発明を実施する際、上記の塗装に代えてラベルを
貼付しても良い。この色わけ標示は、提げ手12eによ
って保護されている区域に設けることが望ましい。さら
に、色わけ標示と併用して、もしくは色わけ標示に代え
て、左,右を表す文字,記号などを用いても良い。例え
ば右側継手係合部用の締付固定具には文字「右」もしく
は記号「R」を、左側継手係合部用の締付固定具には文
字「左」もしくは記号「L」を、塗装,ラベル、もしく
は鋳出しなど、適宜の手段で標示する。
【0068】図2(A)に示した12h、および図2
(B)に示した12h′は、シートパイルを挟持する可
動挟持歯である。図では隠れているが、揺動挟持歯12
bに対向する面に滑り止めの凹凸を形成してある。図2
(B)に示した油圧式の締付固定具の場合、前記可動挟
持歯12h′を設けることにより、滑らない安定した挟
持用の接触面を得ることができる。また、図2(A)に
示した押しネジ式の締付固定具の場合、この可動挟持歯
12bを押しネジ12dの先端部に対して、軸心周りの
回動可能に冠着する。これにより、押しネジ12dを回
してネジ送りしたとき、可動挟持歯が回転を吸収して、
シートパイルに対して回動すること無く、該シートパイ
ルを押圧して強固に挟持することができる。なお、本発
明者らの実験によれば、可動挟持歯12hは稼働に伴っ
て、緩徐ながら損耗するので、本例の稼働挟持歯12h
は押しネジ12dに対して脱着交換できるように構成し
てある。
【0069】図4について説明したように、本発明を実
施する際には右側継手係合部用の締付固定具・甲10A
と左側継手係合部用の締付固定具10Bとを交互に馬跳
び式に前進させなければならない。このため、本発明に
係る機器が図2に示したようにポータブルであることの
実用的意義は大きい。さらに、提げ手12eが設けられ
ていると、この締付固定具を交互に進めてゆく作業が容
易である。上記の提げ手12eは、可搬性の幇助および
標示塗装の保護という効果(記述)を奏する上に、一体
フレーム11の剛性を支持するという実用的に貴重な作
用も果たしている。
【0070】図5は、本発明に係る前記と異なる実施形
態を示し、(A)は部分的に破断して模式的に描いた側
面図であり、(B)はその断面d−d矢視図、(C)は
同じくe−e断面矢視図である。図5(A)に鎖線で示
して符号1tを付したのはシートパイルの頂面である。
上記の頂面1tに当接するように、パイル押え13が設
けられていて、該パイル押え13は一体形のフレーム1
1からX軸方向に突出している。本実施形態においては
前記のフレーム11を鋳鋼で鋳造するとともに、パイル
押え13を鋳鋼で一体に鋳造した。ただし、本発明を実
施する際、該パイル押え13を別体に構成して装着して
も良い。装着は着脱可能な構造であっても良く、着脱不
可能な構造であっても良い。作業条件によって、このパ
イル押え13が無くても共下がりを防止するに充分な場
合も有るので、このような場合はパイル押え13が取り
外せれば取り外した方が取り扱いの労力が軽減される。
また、本図5(A)の例では左右1対のパイル押え13
を設けてあるが、当該締付固定具で挟み付けられている
2枚のシートパイルの内で、片方は相対的に下がろうと
し、他方は相対的に上がろうとする。こうした力の働き
を勘案すると、前記のパイル押え13は「相対的に上が
ろうとする側、つまり共下がり力を直接的に受けていな
い側のシートパイル」の頂面に当接しているもののみが
有効に作用する。従って、相対的に下がろうとするシー
トパイルの頂部に対向している側のパイル押え13は取
り外しておいた方が合理的である。
【0071】図5(A)に可動挟持歯12iの挟持面が
現れている。本例においてはY軸方向に見たとき長方形
をなしている。必ずしも長方形とは限らないが非円形を
なしていることが必要で、望ましくはY軸方向視におい
て対向する平行2辺を有する形状にして、回り止め12
jの作用を有効ならしめる。上記可動挟持歯12jは、
そのd−d断面を描いた図5(B)に表されているよう
に、押しネジ12dの先端に冠着され、リング溝12r
に抜止めネジ12sを係合して、相対的回転可能なよう
に抜け止めを施されている。回動可能ならしめてあるか
ら、可動挟持歯の挟持面(本図5(B)において左側
面)がシートパイル(本図において図示省略)に当接さ
れた状態で、押しネジ12dを回して押圧することがで
きる。上記可動挟持歯12iを押しネジ12dから引き
抜く方向の大きい力は作用しないので、前記抜止めネジ
12sは可動挟持歯12iの脱落・紛失を防止し得れば
足りる。すなわち小形軽量の部材であっても良い。上記
可動挟持歯12iのe−e断面を描いた図5(C)に現
れているように、前掲の(A)図について説明した長方
形の平行2面が、回り止め12jと同12jとに挟まれ
て、押しネジ12dの中心線まわりにコの字形フレーム
に対して回動しないように係止されている。
【0072】本発明装置は1対の挟持歯でシートパイル
の頂部を挟みつけ、締めつけて固定する。上記1対の挟
持歯の片方は、コの字形フレームに対して位置を変えな
い固定側の挟持歯である。この固定側の挟持歯には、図
1に示した固定挟持歯12cや揺動挟持歯12bが属し
ている。上記1対の挟持歯の他方は、前記固定側の挟持
歯に対して接近・離間せしめられる構造の可動側挟持歯
である。図2に示した可動挟持歯12h,12h′や図
5に示した可動挟持歯12iは可動側挟持歯の例であ
る。なお、図1の実施例においては押しネジ12dの先
端面が可動側挟持歯の機能を兼ねている。そこで、固定
側の挟持歯を図1の固定挟持歯12cによって構成する
とともに可動側の挟持歯を図5の可動挟持歯12iによ
って構成すると、これら1対の挟持歯は、いずれもフレ
ームに対してY軸まわりに回動しない。従って、これら
の挟持歯で挟み付けられたシートパイルは、当該締付固
定具に対してY軸まわりに相対的に回らない。このよう
に相対的回動が阻止されることの具体的な作用は次のご
とくである。例えば図4(A)において、既設パイル1
Jが既設パイル1Iに対して相対的に沈もうとすると、
これら双方の既設パイルを締め付けている締付固定具・
甲10Aとの間に回動を生じる。このとき、該回動を阻
止する力は、既設パイル1Jの相対的な沈み(この沈み
は共下がりである)を防止するように作用する。
【0073】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、「一体的に連設されたフレームを共有する
締付固定具」の2箇所の挟持部によって、「打設シート
パイルの継手に対して係合されている既設シートパイ
ル」と「上記既設シートパイルに対して継手を介して係
合されている隣接既設シートパイル」とを締め付け固定
して、継手対偶が滑らなくなる。すなわち、打設シート
パイルと継手係合している既設シートパイルが、該継手
係合部の摩擦力で引きずり込まれる形に共下がりしよう
とするのに対して、「この共下がりしようとしている既
設シートパイルの後側に隣接している既設シートパイ
ル」が、締付固定具によって連結固定されているので、
「共下がりの原因である下向き方向の継手係合部摩擦
力」に拮抗する地盤の貫入反力が2倍になる。さらに、
必要に応じて前記締付固定具の使用個数を2個にする
と、上記の貫入反力は3倍になり、事実上、共下がりを
完全に防止することができる。
【0074】この請求項1の発明方法は、既設シートパ
イルに対して溶接を施さないので、該既設シートパイル
の材料組織に対して結晶粗大化などの悪影響を及ぼす虞
れが無い。さらに、該既設シートパイルに穿孔したりす
ることも無いので、その構造力学的強度を低下させる虞
れも無い。しかも、本請求項1の方法は締付固定具を
「共下がりの虞れ有る既設シートパイル」および「共下
がりの虞れ有る既設シートパイルに隣接している既設シ
ートパイル」に取り付けるので、杭打ち工事の進捗に伴
って共下がりの虞れが無くなり、かつ、共下がりの虞れ
有る既設シートパイルが近隣に存在しなくなった既設シ
ートパイルから、前記締付固定具を取り外して、これを
繰り返して使用に供することができる。すなわち、本請
求項1に係る共下がり防止方法を実施する場合、本発明
方法の実施に原因する消耗部品コストや消耗資材コスト
はゼロであって、経済性に優れている。
【0075】請求項2の発明方法によると、「共下がり
の虞れが有る既設シートパイルと、これに隣接する既設
シートパイルとの連結固定」、および、「共下がりの虞
れが有る既設シートパイルに隣接する既設シートパイル
と、共下がりの虞れが有る既設シートパイルに対して一
つ置きの位置に在る近隣の既設シートパイルとの連結固
定」を行なうことができる。これを、打設シートパイル
を基準にして見ると、「打設シートパイルから、打設進
行方向に関して後方に打ち込まれている一つ目の既設シ
ートパイルと二つ目の既設シートパイルとの連結固
定」、および「同じく、二つ目の既設シートパイルと三
つ目の既設シートパイルとの連結固定」を行なうことが
できる。さらに必要に応じて「三つ目の既設シートパイ
ルと四つ目の既設シートパイルとの連結固定」および
「四つ目の既設シートパイルと五つ目の既設シートパイ
ルとの連結固定」を行なうこともできる。(注・本請求
項2は請求項1の従属項であって、上記の連結固定とは
請求項1における締付固定具による連結固定を意味して
いる)。
【0076】本請求項2の発明方法の技術的な意義の因
ってきたるところは、先に図5を参照して説明したよう
に、シートパイルの右側継手と左側継手とが鏡像対称を
為していて、右側継手同士もしくは左側継手同士でない
と係合しないことに在る。従って、右側継手同士が係合
した係合部と、左側継手同士が係合した係合部とは、係
合部周辺を含めて鏡像対称の関係にある。この結果、右
側継手係合部に適合する締付固定具を左側継手係合部に
装着することはできず、左側継手係合部に適合する締付
固定を右側継手係合部に装着することもできない。そし
て、シートパイルを相互に係合せしめて列設した場合、
必ず右側継手係合部と左側継手係合部とが交互に位置し
て形成される。
【0077】本請求項2の発明方法は上述の事情に対応
して、右側継手係合部用の締付固定具と左側継手係合部
用の締付固定具とをペアとして用い、これを交互に前進
(杭打設の進行方向に向けて、いわゆる馬飛び式に交互
に飛越し前進)させて運用することにより、小数の締付
固定具(推奨さるべくは2個の締付固定具)を用いて多
数のシートパイルについて共下がりを防止することがで
きる。特に、本請求項2の発明方法における2種類の締
付固定具の取り付け,取り外し、再取り付けという作業
サイクルは、地上の、しかも地表に近い所で行なわれる
ので作業が容易であり、しかも安全である。
【0078】請求項3の発明方法によると、請求項2に
係る2種類の締付固定具の区別を色調もしくは文字・記
号によって標示するので、作業員に格別の知識や熟練を
要せずに上記2種類の締付固定具を識別することができ
る。このように、容易に、かつ確実に識別できること
は、現場における作業管理のみならず、機材倉庫におけ
る管理業務、および杭打設工事現場における作業の段取
りといった面においても実用的な効果を発揮する。請求
項2に係る2種類の締付固定具、およびシートパイルの
左,右の継手の特性により、2種類の締付固定具をペア
として揃えなければ共下がり防止の実効を期待すること
ができない。すなわち、もし仮に、右側継手係合部用の
締付固定具が10個有っても、左側継手係合部用の締付
固定具が無ければ、共下がりを防止することは出来な
い。その反対に左側継手係合部用の締付固定具ばかり
で、右側継手係合部用の締付固定具が無い場合も同様で
ある。
【0079】従って、機材倉庫においては、必ず右側継
手係合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定
具とを明確に区別して保管管理しなければならない。し
かし、建設工事業者の機材倉庫には各種の機器類が保管
されている上に、その大半は中古品であり、製造メーカ
ーもまちまちであって、全品目の仕様,用途区分に精通
することはなかなか困難である。こうした情況下で、外
観的に類似している右側継手係合部用の締付固定具と左
側継手係合部用の締付固定具とを荷札によって区分して
おいても、作業繁忙の際に取り違えの絶無を期すること
はできないのが実情である。こうした条件下において、
右側継手係合部用の締付固定具とが色分けされていれ
ば、その差が一目瞭然であり、格別の知識や経験が無く
ても間違いを起こしにくい。遠くから見ただけで直感的
に気付くという点では色分けが最も有効であるが、これ
に文字,記号が併用されていることはいっそう望まし
い。すなわち、色調の差異によって注意を惹かれ、よく
見ると「右」「左」の文字(もしくはL,Rの記号)が
標示されていれば、容易にこれらの機器がペアであって
互換性の無いことに気付き得る。
【0080】同様の問題は作業現場の段取りについても
存在する。大規模の工事は工区を区分して遂行される
が、いまN個の工区にそれぞれ1台ずつの杭打機が配置
された場合を想定すると、それぞれの工区に右側継手係
合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定具と
がペアになって配置されなければならない。大型機器の
搬送に追われている作業現場では、小型機器類の管理に
まで注意を配ることはなかなか大変であるが、もし締付
固定具の左,右の区分についての配置を誤ると、連絡調
整・交換に要する時間と労力とは大きい損失である。こ
うした場合、例えば「赤,青を1個ずつ」というように
標示されていれば、作業指示者も楽であり、不慣れな作
業員が指示を受けても取り違えてトラブルを生じる虞れ
が無い。
【0081】杭打ち工事が開始された後においても、作
業指示者が不慣れな労務補助者に対して作業を説明した
り、号令したりする際、単に言葉で「右側継手係合部用
の締付固定具(実際には適宜の略称・例えば右側のチャ
ック)」と指定しても、一般レベルの労務補助者には通
じ難く、かつ取り違え易い。このようなとき、例えば
「赤い方を外して前へ送れ」とか、「青い方は未だ外す
な」というように指示することにより、容易に、間違い
なく杭打ち作業を進めて共下がりを防止することができ
る。
【0082】請求項4の発明方法によると、例えばスパ
ナのような汎用のハンドツールを携帯していることを条
件として、他から何らの支援を受けること無く(すなわ
ち、電線による電力供給や、ホースによる圧力油供給な
どを受ける必要が無く)、既設パイルの締付固定によっ
て継手係合部に滑り止めを施して、既設シートパイルの
共下がりを防止することができる。しかも、同じハンド
ツール(例えばスパナ)を用いて既設シートパイルの取
付け締め付け作業も、取外し作業も遂行することがで
き、例えば手押しポンプなどの補助機器を必要としな
い。その上、押しネジを適正なトルクで締め付けておく
と、締付が不用意に緩んで既設杭が共下がりしてしまう
といった不具合を生じる虞れが無い(この点、油圧式の
締付機構が漏油によって弛緩する危険性を有しているこ
とに比して、ネジ式の長所である)。さらに、挟持用の
歯の片方が球面座を介して支持されるので、既設シート
パイルに対する締付け固定具のフレームの姿勢を厳格に
規制しなくても、該既設シートパイルの板面に対して垂
直方向の挟持力を与えることができる。このように、自
動的に挟持力の方向が調整されることは、作業員に格別
の熟練や知識を要しないという面においても、作業員の
精神的負荷を軽減し得るという面においても、取付作業
の能率を高めるという面においても、正確な取り付けに
よって確実に継手係合部の滑りを阻止して共下がりを防
止し得るという面においても、大きい実用的価値が有
る。
【0083】請求項5の発明方法によると、作業員に多
大の労力を煩わせること無く、強い力で既設シートパイ
ルを締付け固定して、確実に共下がりを防止することが
できる。液圧シリンダもしくはエアシリンダを用いる
と、ホースを引かねばならないが圧力源は杭打機から機
器を受け得る。電気モーターを使用する場合は、電線を
引かずにバッテリーを利用することができる。
【0084】請求項6の発明機器によると、シートパイ
ルの継手係合部に相当する段差を有する平行な板状部材
を挟み付ける2つの締付手段を備えており、かつ、該2
つの締付手段はシートパイルの継手係合部を収納し得る
間隔を有しているので、継手係合された2枚のシートパ
イルを挟み付けて相互に固定することができる。上記の
機能を有しているので、本請求項6の機器によれば、前
述した請求項1の発明方法を容易に実施して、その効果
を充分に発揮せしめることができる。
【0085】請求項7の発明機器によると、作業員がハ
ンドツール(例えばスパナ)を用いて当該機器を既設シ
ートパイルに装着して締結したり、取り外したりするこ
とができ、油圧力や電気力などの動力の供給を受けなく
てもよい。その上、適正なトルクで押しネジを締め付け
ておけば、杭打ち作業の途中で不用意に弛緩して共下が
りを生じるなどのトラブルを発生する虞れが無く、作動
信頼性が高い。
【0086】請求項8の発明機器によると、作業者に多
大の労力を費さしめることなく、動力を用いて既設シー
トパイルを強力に締め付けて、継手係合部の滑りを完全
に防止して、確実に共下がりを防止することができる。
この場合、油圧力もしくは空気圧力の供給は、杭打機か
ら受けることができる。また、電気力の供給は、杭打機
から電線によって受けることもでき、バッテリを利用す
ることもできる。
【0087】請求項9の発明方法によると、1対の鏡像
対称をなす機器によって、多数のシートパイルの列設に
ついて共下がりを防止することができる。さらに、複数
対の機器を用いていっそう確実に共下がりを防止するこ
ともでき、該1対の、もしくは複数対の鏡像対称をなす
機器(締付固定具)を交互に配置して用いることによっ
て、シートパイルの継手係合部の総べてに適合せしめる
ことができる。すなわち、本請求項9に係る1対の締付
固定具(共下がり防止機器)を用いることによって、
「共下がりの虞れが有る既設シートパイルと、これに隣
接する既設シートパイルとの連結固定」、および、「共
下がりの虞れが有る既設シートパイルに隣接する既設シ
ートパイルと、共下がりの虞れが有る既設シートパイル
に対して一つ置きの位置に在る近隣の既設シートパイル
との連結固定」を行なうことができる。これを、打設シ
ートパイルを基準にして見ると、「打設シートパイルか
ら、打設進行方向に関して後方に打ち込まれている一つ
目の既設シートパイルと二つ目の既設シートパイルとの
連結固定」、および「同じく、二つ目の既設シートパイ
ルと三つ目の既設シートパイルとの連結固定」を行うこ
とができる。
【0088】さらに必要に応じて「三つ目の既設シート
パイルと四つめの既設シートパイルとの連結固定」およ
び「四つ目の既設シートパイルと五つ目の既設シートパ
イルとの連結固定」を行なうこともできる。(注・本請
求項9は請求項6の従属項であって、上記の連結固定と
は請求項6におけるポータブルな機器による連結固定を
意味している)。
【0089】本請求項9の発明方法の技術的な意義の因
ってきたるところは、先に図5を参照して説明したよう
に、シートパイルの右側継手と左側継手とが鏡像対称を
為していて、右側継手同士もしくは左側継手同士でない
と係合しないことに在る。従って、右側継手同士が係合
した係合部と、左側継手同士が係合した係合部とは、係
合部周辺を含めて鏡像対称の関係にある。この結果、右
側継手係合部に適合する締付固定具を左側継手係合部に
装着することはできず、左側継手係合部に適合する締付
固定を右側継手係合部に装着することもできない。そし
て、シートパイルを相互に係合せしめて列設した場合、
必ず右側継手係合部と左側継手係合部とが交互に位置し
て形成される。
【0090】本請求項9の発明機器は上述の事情に対応
して、右側継手係合部用の締付固定具と左側継手係合部
用の締付固定具とをペアとして用い、これを交互に前進
(杭打設の進行方向に向けて、いわゆる馬飛び式に交互
に飛越し前進)させて運用することにより、小数の締付
固定具(推奨さるべくは2個の締付固定具)を用いて多
数のシートパイルについて共下がりを防止することがで
きる。特に、本請求項9の発明機器における2種類の締
付固定具の取り付け,取り外し、再取り付けという作業
サイクルは、地上の、しかも地表に近い所で行なわれる
ので作業が容易であり、しかも安全である。以上に述べ
た請求項9に係る発明機器の作用,効果を要約すると、
請求項9の発明機器によれば、請求項2に係る発明方法
を容易に実施して、その効果を充分に発揮せしめること
ができる。
【0091】請求項10の発明機器によると、請求項9
に係る2種類の締付固定具(ポータブルな機器)の区別
を色調もしくは文字・記号によって標示するので、作業
員に格別の知識や熟練を要せずに上記2種類の締付固定
具を識別することができる。このように、容易に、かつ
確実に識別できることは、現場における作業管理のみな
らず、機材倉庫における管理業務、および杭打設工事現
場における作業の段取りといった面においても実用的な
効果を発揮する。請求項9に係る2種類の締付固定具、
およびシートパイルの左,右の継手の特性により、2種
類の締付固定具をペアとして揃えなければ共下がり防止
の実効を期待することができない。すなわち、もし仮
に、右側継手係合部用の締付固定具が10個有っても、
左側継手係合部用の締付固定具が無ければ、共下がりを
防止することは出来ない。その反対に左側継手係合部用
の締付固定具ばかりで、右側継手係合部用の締付固定具
が無い場合も同様である。
【0092】従って、機材倉庫においては、必ず右側継
手係合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定
具とを明確に区別して保管管理しなければならない。し
かし、建設工事業者の機材倉庫には各種の機器類が保管
されている上に、その大半は中古品であり、製造メーカ
ーもまちまちであって、全品目の仕様,用途区分に精通
することはなかなか困難である。こうした情況下で、外
観的に類似している右側継手係合部用の締付固定具と左
側継手係合部用の締付固定具とを荷札によって区分して
おいても、作業繁忙の際に取り違えの絶無を期すること
はできないのが実情である。こうした条件下において、
右側継手係合部用の締付固定具とが色分けされていれ
ば、その差が一目瞭然であり、格別の知識や経験が無く
ても間違いを起こしにくい。遠くから見ただけで直感的
に気付くという点では色分けが最も有効であるが、これ
に文字,記号が併用されていることはいっそう望まし
い。すなわち、色調の差異によって注意を惹かれ、よく
見ると「右」「左」の文字(もしくはL,Rの記号)が
標示されていれば、容易にこれらの機器がペアであって
互換性の無いことに気付き得る。
【0093】同様の問題は作業現場の段取りについても
存在する。大規模の工事は工区を区分して遂行される
が、いまN個の工区にそれぞれ1台ずつの杭打機が配置
された場合を想定すると、それぞれの工区に右側継手係
合部用の締付固定具と左側継手係合部用の締付固定具と
がペアになって配置されなければならない。大型機器の
搬送に追われている作業現場では、小型機器類の管理に
まで注意を配ることはなかなか大変であるが、もし締付
固定具の左,右の区分についての配置を誤ると、連絡調
整・交換に要する時間と労力とは大きい損失である。こ
うした場合、例えば「赤,青を1個ずつ」というように
標示されていれば、作業指示者も楽であり、不慣れな作
業員が指示を受けても取り違えてトラブルを生じる虞れ
が無い。
【0094】杭打ち工事が開始された後においても、作
業指示者が不慣れな労務補助者に対して作業を説明した
り、号令したりする際、単に言葉で「右側継手係合部用
の締付固定具(実際には適宜の略称・例えば右側のチャ
ック)」と指定しても、一般レベルの労務補助者には通
じ難く、かつ取り違え易い。このようなとき、例えば
「赤い方を外して前へ送れ」とか、「青い方は未だ外す
な」というように指示することにより、容易に、間違い
なく杭打ち作業を進めて共下がりを防止することができ
る。以上に述べた請求項10に係る発明機器の作用効果
を要約すると、請求項10の発明機器によれば、請求項
3に係る発明方法を容易に実施して、その効果を充分に
発揮せしめることができる。
【0095】請求項11の発明機器によると、継手部材
を相互に係合された2本のシートパイルが相互に滑ろう
としたとき、相対的に上昇しようとする方のシートパイ
ルの頂部にパイル押え部材が当接して上記の滑りを阻止
して、共下がり防止効果をいっそう確実ならしめる。
【0096】請求項12の発明機器によると、作業員が
締付固定具の提げ手を片手で持って、そのコの字状開口
部をシートパイルの上端部に係合させる際、大凡の見当
をつけて持ってゆくと、誘導部材の作用によって半ば自
動的に嵌合されるので、作業員の労力が軽減され、かつ
作業能率が向上する。凸状の部材に凹状の部材を嵌合す
る際、該凹状部材の開口端付近にガイド部材を取り付け
るということだけを抽象的に考えれば公知技術であるか
のごとく錯覚する虞れが有るが、シートパイルの共下が
り防止機器特有の条件を勘案して評価しなければならな
い。すなわち、可動側の挟持歯を広く開いておけば嵌め
合わせ易いが、広く開いておくと締め付け作業の所要時
間が長くなる。本請求項12に係る誘導部材を設けてお
くと、挟持歯が広く開かれていなくても、シートパイル
の厚さ寸法よりも大きく開きさえすれば、格別の注意や
熟練を要しないで、当該締付固定具を迅速,容易にシー
トパイルに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る共下がり防止方法を実施するため
に構成した本発明に係る共下がり防止機器の1実施形態
を示し、2本のシートパイルを挟み付けている状態の底
面図である。
【図2】本発明に係る機器である締付固定具の斜視図で
あって、(A)は前掲の図1に示した実施形態における
締付固定具を描き、(B)は上記と異なる実施形態の締
付固定具を描いてある。
【図3】鏡像対称をなすように構成された2組の締付固
定具・甲,乙によって3本の既設シートパイルを相互に
連結した状態を描くとともに、2箇所の段差の方向性を
付記した底面図である。
【図4】本発明に係る共下がり防止機器を用いて本発明
に係る共下り防止方法を実施している状態を示し、
(A)は模式的に描いた正面図であって従来例における
図6の一部に対応しており、(B)は模式的に描いた底
面図に作業工程を表す矢印を付記した図である。
【図5】本発明に係る前記異なる実施形態を示し、
(A)は部分的に破断して模式的に描いた側面図であ
り、(B)はその断面d−d矢視図、(C)は同じくe
−e断面矢視図である。
【図6】多数のシートパイル相互の継手を係合せしめた
状態を説明するために示した斜視図である。
【図7】多数のシートパイルを相互に係合せしめて列設
する場合に発生する共下がりの問題を説明するために示
したもので、杭の打設工事の途中における既設シートパ
イルと、この時点で打ち込みつつあるシートパイルとを
描いた模式的な正面断面図である。
【符号の説明】
1A〜1E…列設されたシートパイル 1F〜1J…既設のシートパイル(略称・既設パイル) 1K…打ち込み中のシートパイル(略称・打設パイル) 1a,1b…継手 1j…係合部 2…起振機 3…クレーン 4…サブクレーン 10…押しネジ式の締付固定具 10′…油圧式の締付固定具 10A…右側継手係合部用の締付固定具・甲 10B…左側継手係合部用の締付固定具・乙 11…一体フレーム 12…チャック 12a…球面座 12b…揺動挟持歯 12c…メネジ 12d…押しネジ形のオネジ 12e…提げ手 12f…シリンダ 12g…標示塗装 12h…可動挟持歯 12i…可動挟持歯 12j…回り止め 12r…リング溝 12s…抜止めネジ 13…パイル押え
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝部 淳一 東京都品川区大崎1−6−4 調和工業株 式会社内 Fターム(参考) 2D049 FA07 FB03 FB12 FC03 FC15

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向の平行な2辺のそれぞれに沿っ
    て継手が形成されているシートパイルを地盤中に打ち込
    む場合、既設のシートパイルの継手に対して打設すべき
    シートパイルの継手を係合せしめて、多数のシートパイ
    ルを順次に打ち込んでゆく工法において、 打設すべきシートパイルに対して片方の継手を係合され
    ている既設のシートパイルと、この既設のシートパイル
    の他方の継手に対して係合されているもう一つの既設シ
    ートパイルの継手との係合部を相互に固定する方式の共
    下がり防止方法であって、 2箇所の挟持部を有し、一体的に連設されたフレームを
    共有している締付固定具を用い、 相互に固定すべきシートパイルの継手係合部を挟んだ両
    側それぞれを、前記締付固定具の2箇所の挟持部それぞ
    れによって挟持して締め付けることにより、 上記相互に固定すべきシートパイルが、その継手に沿っ
    て滑らないようにすることを特徴とする、杭打工事にお
    ける共下がり防止方法。
  2. 【請求項2】 前記の締付固定具は少なくとも2個を用
    いることとし、 シートパイルをほぼ垂直ならしめた状態で、該シートパ
    イルの凸側もしくは凹側の何れか片方の特定の側から見
    たとき、右側の継手付近を挟持して締め付ける締付固定
    具と、同じく左側の継手付近を挟持して締め付ける締付
    固定具とによって、「打設すべきシートパイルと、該打
    設すべきシートパイルに係合された既設シートパイルと
    の間」、および、「上記の打設すべきシートパイルに係
    合された既設シートパイルと、この既設シートパイルに
    係合された隣接する既設シートパイルとの間」を、それ
    ぞれ滑り止めして締付固定し、 かつ、前記の打設すべきシートパイルが所定深度まで打
    ち込まれて、最新の既設のシートパイルになり、この最
    新の既設シートパイルに対して、次の工程で打設すべき
    シートパイルが係合されたとき、 シートパイルを順次に打設している打設地点進行方向に
    関して、最も後方に位置している締付固定具を取り外し
    て、「次の工程で打設すべきシートパイルと、最近の既
    設シートパイルとの間の係合部付近」を挟み付けて締付
    固定し、 1本のシートパイルを打ち終えるごとに、上述の締付固
    定具の取外し、取付けを繰り返して、前記少なくとも2
    個の締付固定具を交互に前進方向へ飛越し移動させてゆ
    くことを特徴とする、請求項1に記載した杭打工事にお
    ける共下がり防止方法。
  3. 【請求項3】 前記の締付固定具は偶数個、望ましくは
    2個用いるものとし、前述したシートパイルの特定の側
    から見たとき左側の継手付近を締め付けるように構成さ
    れた左勝手形の締付固定具と、同じく右側の継手付近を
    締め付けるように構成された右勝手形の締付固定具との
    2種類の勝手違いの締付固定具を同数ずつ用い、 かつ、前記左勝手形の締付固定具と右勝手形の締付固定
    具との違いを塗装、鋳出し、もしくはラベル・プレート
    貼付またはこれに類した手段により、色調もしくは文字
    ・記号、またはこれらの組合せによって標示することを
    特徴とする、請求項2に記載した杭打工事における共下
    がり防止方法。
  4. 【請求項4】 前記2箇所の挟持を『フレームに形成さ
    れているコの字状部分の対向部の片方に設けられた、球
    面座で支持されている揺動挟持歯」と、「上記コの字状
    部分の対向部の他方に設けられた、メネジに螺合されて
    いる押しネジ」とによって行ない、または、「フレーム
    に形成されているコの字状部分の対向部の片方に設置さ
    れた固定挟持歯」と、「上記コの字状部分の対向部の他
    方に設けられたメネジに螺合されている押しネジの先端
    に冠着されて、該押しネジに対する回動が自在で、フレ
    ームに対する回動を係止されている可動挟持歯」とによ
    って行なうことを特徴とする、請求項1に記載した杭打
    工事における共下がり防止方法。
  5. 【請求項5】 前記2箇所の挟持を、「フレームに形成
    されているコの字状部分の対向部付近」に設けたシリン
    ダ手段によって行ない、もしくは同電気モーターによっ
    て行なうことを特徴とする、請求項1に記載した杭打工
    事における共下がり防止方法。
  6. 【請求項6】 直交3軸X,Y,Zを想定するととも
    に、 段差寸法Aと厚さ寸法Bとを有する、X−Z面に沿った
    2枚の平行な板状部材Iと板状部材Jとを想定し、 前記板状部材Iを挟み付ける締付手段と、前記板状部材
    Jを挟み付ける締付手段とがX軸方向に寸法Cを隔てて
    配置されており、 かつ、上記2つの締付手段が、フレームを共有して一体
    的に連結された1組のポータブルな機器を構成してお
    り、 前記の段差寸法Aは、JISに規定されたシートパイル
    の継手部分の係合状態におけるY軸方向寸法の最大値と
    最小値とをカバーし得る20ミリメートルないし80ミ
    リメートルであり、 前記の厚さ寸法Bは、JISに規定されたシートパイル
    の継手付近の板厚寸法の最大値と最小値とをカバーし得
    る7ミリメートルないし10ミリメートルよりも大きく
    想定され、 前記の間隔寸法Cは、JISに規定されたシートパイル
    の継手部分の係合状態におけるX軸方向寸法の最大寸法
    にも最小寸法にも干渉しないよう、余裕寸法を含めて3
    0ミリメートル以上、150ミリメートル以下に設定さ
    れていることを特徴とする、杭打工事における共下がり
    防止機器。
  7. 【請求項7】 前記の板状部材Iの締付手段と、板状部
    材Jの締付手段とは本質的にほぼ同形同寸の構成部分で
    あって、 シートパイルに装着したときほぼY−Z面に沿う姿勢と
    なり、ほぼY軸方向に対向するコの字状に類似した「フ
    レームのコの字状部」と、 上記フレームのコの字状部の対向部分の片方に形成され
    た凹球面座に嵌合する凸球面部を一体的に連設された揺
    動可能な固定側挟持歯、または、該コの字状部の対向部
    分の片方に固定的に設置された固定挟持歯と、 前記フレームの対向部分の他方に、ほぼY軸方向に形成
    されたメネジと、 上記のメネジに螺合して、押しネジとして機能するオネ
    ジ部材と、 上記オネジ部材と一体的に連設された、該オネジを回す
    ための工具に係合する六角頭、もしくは、これと同様の
    機能を果たし得るように構成された工具係合部と、を具
    備していることを特徴とする、請求項6に記載した杭打
    工事における共下がり防止機器。
  8. 【請求項8】 前記の板状部材Iの締付手段と、板状部
    材Jの締付手段とは本質的にほぼ同形同寸の構成部分で
    あって、 シートパイルに装着したときほぼY−Z面に沿う姿勢と
    なり、ほぼY軸方向に対向するコの字状に類似した「フ
    レームのコの字状部」と、 上記フレームの対向部分の少なくとも片方に設置され
    て、該対向部分の内側に向けて伸縮する液圧式もしくは
    空気圧式のシリンダ手段と、 上記シリンダ手段のピストンロッドの先端もしくはラム
    の先端に設けられた、シートパイルを挟圧する構成部分
    と、を具備していることを特徴とする、請求項6に記載
    した杭打工事における共下がり防止機器。
  9. 【請求項9】 前記2つの締付手段がフレームを共有し
    て構成している1組のポータブルな機器は、鏡像対称を
    なすように構成された2組の機器が1対となっており、 前記1対をなす2組のポータブルな機器の内の1組は、
    ほぼ垂直に立てられたシートパイルの凹面側に対向して
    いる作業者から見て右側のシートパイル継手の係合部へ
    装着するように、前記仮想の平行な板状部材の段差方向
    を想定して構成されており、 前記1対をなす2組のポータブルな機器の内のもう1組
    は、ほぼ垂直に立てられたシートパイルの凹面側に対向
    している作業者から見て左側のシートパイル継手の係合
    部へ装着するように、前記仮想の平行な板状部材の段差
    方向を想定して構成されており、 凸面側と凹面側とを交互に反転させて地盤中に打設され
    るとともに、その頂面を揃えて列設されている多数のシ
    ートパイル相互の多数の係合部の何れに対しても、前記
    2組の機器のいずれか片方を挟持装着できるようになっ
    ていることを特徴とする、請求項6ないし請求項8の何
    れかに記載した杭打工事における共下がり防止機器。
  10. 【請求項10】 前記の鏡像対称をなす2組の機器のそ
    れぞれは、前記フレームのコの字状部の開口を下方に向
    けた姿勢で、一体的に連設されているフレームの上方に
    提げ手が設けられており、 かつ、該2組の機器それぞれが、右側シートパイル継手
    係合部に装着される構成の機器であるか、左側シートパ
    イル継手係合部に装着される構成の機器であるかを、
    「前記フレームが、前記提げ手によって、外部障害物に
    よる摩擦や衝突から防護されている面」に、色調によ
    り、および/または文字・記号により標示されているこ
    とを特徴とする、請求項9に記載した杭打工事における
    共下がり防止機器。
  11. 【請求項11】 前記フレームのコの字状部の開口部を
    下方に向けた姿勢ならしめて、該コの字状開口部を垂直
    なシートパイルの上端部に嵌め合わせた状態において、
    上記シートパイルの頂面に当接するパイル押え部材が、
    フレームからX軸方向に突出していることを特徴とす
    る、請求項7ないし請求項10の内の何れかに記載した
    杭打工事における共下がり防止機器。
  12. 【請求項12】 前記フレームのコの字状部の開口端付
    近に、「シートパイルの上端部が相対的に接近してきた
    とき、該上端部がコの字状開口部の中へ相対的に進入し
    て嵌合するように誘導する部材」が取り付けられている
    ことを特徴とする、請求項7ないし請求項11の内の何
    れかに記載した杭打工事における共下がり防止機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011132715A (ja) * 2009-12-24 2011-07-07 Nishimatsu Constr Co Ltd 共下がり防止治具およびヤットコ、鋼管矢板の打設方法
JP2017101394A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 ジェコス株式会社 鋼矢板の継手部固定金具

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