JP2000342916A - 耐熱性濾過素材と耐熱性フィルタエレメント及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性濾過素材と耐熱性フィルタエレメント及びその製造方法

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JP2000342916A
JP2000342916A JP11158702A JP15870299A JP2000342916A JP 2000342916 A JP2000342916 A JP 2000342916A JP 11158702 A JP11158702 A JP 11158702A JP 15870299 A JP15870299 A JP 15870299A JP 2000342916 A JP2000342916 A JP 2000342916A
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heat
resistant
water glass
nonwoven fabric
filter element
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JP11158702A
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Seizo Kobayashi
征三 小林
Hitoshi Otaka
仁志 大高
Katsunori Osaki
活規 大崎
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Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保持材を省略しても高効率で粉塵の捕集が可
能であり、しかも、高い耐熱性とを備え基材の耐久性を
向上できる耐熱性濾過素材と耐熱性フィルタエレメント
及びその製造方法を提供することである。 【解決手段】 水ガラスが含浸された状態で所定形状に
加熱成形される耐熱性不織布よりなる耐熱性濾過素材を
提供し、その表面にフッ素樹脂コーティングがなされた
耐熱性フィルタエレメントを提供し、耐熱性不織布に水
ガラスを含浸させ、所定形状金型でこの水ガラスが含浸
された耐熱性不織布を加熱成形して耐熱性濾過素材と
し、この耐熱性濾過素材の表面にフッ素樹脂コーティン
グを施して耐熱性フィルタエレメントを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含塵ガスから粉塵
を分離捕集する集塵機、例えば、工場における環境保全
のための集塵機、又は乾燥機、ボイラー、焼却炉等の排
気中に含まれる粉塵を捕集するための集塵機、或いは粉
粒体の製品を回収するための捕集機に使用されるフィル
タエレメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より工場等において発生する粉塵を
集塵する手段や製品が粉粒体である場合に該製品を捕集
する手段として、繊維を編組してなる濾布を袋状に縫製
したバグフィルタや、合成樹脂粉体を焼結して連通多孔
質の板材とした濾過材即ち焼結型フィルタエレメントが
用いられている。
【0003】このバグフィルタは特に機械的強度に劣る
ことから、近年では合成樹脂粉体を焼結して連通多孔質
とした、所謂焼結型フィルタエレメントがバグフィルタ
の一部にとって変わりつつある。焼結型フィルタエレメ
ントとしては、ポリエチレンやポリプロピレン及びこれ
らの混合粉体を焼結し、自立形状を有するフィルタエレ
メントとしたもの(特公平1−5934号公報参照)、
その表面にポリテトラフルオロエチレン粒子を接着剤と
共にコーティングしたもの(特公平2−39926号公
報参照)、更に、特定粒径の超高分子量ポリエチレン粒
子とポリオレフィン系粒子とを特定割合で配合したもの
(特公平7−21081号公報参照)等が提案されてい
る。
【0004】ところが、このような焼結型フィルタエレ
メントは、常温付近では材質の変化などなく使用に耐え
うるが、70〜90℃以上の温度になると、材料の変化
が生じ始め、フィルタとしての使用が困難となる。そこ
で、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性合
成樹脂を焼結したフィルタ(特開平2−277520号
公報参照)が示されている。しかし、これらについても
耐熱温度は160℃止まりである。そこで、さらに高い
耐熱性を備える不織布として供給できるポリイミドフェ
ルト(耐熱温度250℃)を所望形状に焼成・硬化して
熱成形し、その表面にポリテトラフルオロエチレン粒子
をコーティングした自立性を有するフィルタが提供され
ている(特開平6−285316号、特開平7−730
号公報参照)。このような耐熱性の材料としては、ポリ
イミド繊維やポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエ
ステル繊維、ポリプロピレン繊維等のがあり、これをベ
ースとして熱成形されてフィルタエレメントが作成され
る。
【0005】ここで、フィルタエレメントの形状として
は有底筒状とし、濾過装置としては、フィルタエレメン
トの内部通路を吸引源に接続することにより濾過する含
塵ガスを吸引し、ガス中に含まれる粉塵をフィルタの外
側表面に捕集して、清浄なガスを内部通路内に得る構成
が一般的である。そして、濾過能力を維持するために
は、フィルタの外側表面に捕集された粉塵を払い落とす
必要があり、含塵ガスの吸引方向とは逆方向のパルスジ
ェットエアを一定時間間隔で自動的に導入することで、
捕集されてある程度の固まりとなった粉塵の均一且つ効
率の良い払い落としである「逆洗」を実施している。さ
らに、通常濾過時のガスの吸引力に起因してエレメント
外壁が受ける内部方向へのへこみを抑えるために、エレ
メントの内部支持部材が設けられている。更に、上記逆
洗時のパルスジェットエア圧力に起因してエレメント外
壁が受ける外方向への膨張力をある程度抑える外部支持
部材が備えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記耐
熱性の不織布フィルタでは、それ自体の剛性が低いので
内部支持部材が必要で、パルスエアーによる逆洗の際に
大きく膨らんで払い落とし効果が低下することを抑制す
るため、外側を抑える帯状の外部支持部材が必要とな
る。この保持材(内部支持部材及び外部支持部材)は、
コストの上昇となるばかりでなく、重量がフィルタエレ
メント本体に更に5割増しにもなることがあり、また、
フィルタが実質的に厚くなって集塵機内でのスペース上
不利となり、集塵機内へのフィルタエレメント取付け・
取り外し等の作業性が悪いという問題がある。また、耐
熱性の不織布を所望形状に熱成形する実際の温度として
は、300℃もしくは、それ以上であり、基材自体は耐
熱性のある材料ではあるが、このような高温での焼成は
基材の耐久性を低下させる要因ともなるという問題もあ
る。
【0007】そこで、本発明の目的は上記問題を解決す
ることにあり、保持材を省略しても高効率で粉塵の捕集
が可能であり、しかも、高い耐熱性とを備え基材の耐久
性を向上できる耐熱性濾過素材と耐熱性フィルタエレメ
ント及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、水ガラスが含浸された状態で所定形状に加
熱成形される耐熱性不織布よりなる耐熱性濾過素材とし
ている。また、本発明は、上記目的を達成するため、水
ガラスが含浸された状態で所定形状に加熱成形される耐
熱性不織布から成り、その表面にフッ素樹脂コーティン
グがなされている耐熱性フィルタエレメントとしてい
る。この耐熱性不織布の加熱成形体が有底筒形状とする
ことができる。さらに、本発明は、上記目的を達成する
ため、耐熱性不織布に水ガラスを含浸させ、所定形状金
型でこの水ガラスが含浸された耐熱性不織布を加熱成形
して耐熱性濾過素材とし、この耐熱性濾過素材の表面に
フッ素樹脂コーティングを施す耐熱性フィルタエレメン
トの製造方法としている。
【0009】すなわち、耐熱性濾過素材を水ガラスが含
浸された状態で加熱成形された耐熱性不織布とするので
あるが、この水ガラスは、十分に加熱することにより水
分が蒸発し、造膜する特性を有し、蒸発した水蒸気の作
用で発泡化しながら不織布と一体化される。そこで、造
膜した水ガラスは不織布の各繊維間を固定する働きを有
することとなり、この耐熱性濾過素材が十分な剛性と適
度な可撓性を得ることで、自己保持性を備えることがで
きる。そして、この耐熱性濾過素材を使用し、その表面
にフッ素樹脂コーティングして有底筒形状の耐熱性フィ
ルタエレメントとすることで、十分な剛性による自己保
持性によって、保持材を省略しても、吸引力に起因して
エレメント外壁が受ける内部方向への圧縮力と、逆洗時
のパルスジェットエア圧力に起因してエレメント外壁が
受ける外方向への膨張力とに対して、十分に対抗するこ
とができる。
【0010】そして、この耐熱性フィルタエレメントの
製造時において、上記のように、耐熱性不織布に水ガラ
スを含浸させる際、水ガラスの濃度としては、フィルタ
エレメントとなった時に、十分な通気性が備えられ、且
つ、十分な捕集性が備えられる程度に、耐熱性不織布に
水ガラスが付着できる程度が好ましい。
【0011】このようにして得られた、水ガラス含浸済
みの耐熱性不織布を所定の金型に入れ込む。この金型は
形状を適用するものであり、筒型形状を長手方向に二つ
に割った形状で、片方ずつを焼成する。この金型を加熱
炉に入れて焼成し、十分な冷却を行い、耐熱性濾過素材
を形成する。この状態の耐熱性濾過素材では、表面開孔
部に大きな気孔が多数存在するため、これをそのまま使
用すると、特に微粒粉塵の場合、所謂目抜けを生じ、フ
ィルタとしての効率が低下する。そこで、焼結により形
成した耐熱性濾過素材の表面に、該耐熱性濾過素材の表
面に開口している気孔より小さい粒径のフッ素樹脂粒子
をコーティングすることで、濾過素材母材より気孔径が
小さい表面層を形成させる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係る濾
過素材、耐熱性フィルタエレメント及びその製造方法を
詳細に説明する。まず本発明に使用される耐熱性不織布
は、厚み2〜4mm、目付量300〜600g/m2
繊維径が1〜30μmの耐熱ナイロン、メタ系アラミド
(商品名:ノーメックス〔デュポン社〕、テイジンコー
ネックス〔テイジン社〕、ポリフェニルサルホン(商品
名:ライトン〔フィリップ社〕)ポリイミド(商品名:
P84〔レンチング社〕)等の樹脂繊維からなるフェル
ト、あるいはポリテトラフルオロエチレンとガラス繊維
(商品名:ティファイヤー〔デュポン社〕)を用いた混
紡フェルト等が挙げられる。
【0013】次に耐熱性不織布に含浸する水ガラスは、
一般式Na2 O・nSiO2 ・xH 2 O(n=2〜4)
で表示される液状の珪酸ナトリウムであり、JIS K
−1408ではNa2 OとSiO2 の比率の相違で1
号、2号、3号に種類分けされている。これらの液状、
珪酸ナトリウムをそのまま希釈しないで使用することも
できるが、珪酸ナトリウムに対して10倍を上限として
水で希釈して使用することもできる。このように水量を
増加すると、不織布への水ガラスの含浸量(付着量)が
徐々に減少する。したがって希釈量を変化させることに
より含浸量を調整し、濾過素材の剛性と可撓性のバラン
スをコントロールすることができる。なお水による希釈
は10倍が限度であり、これを越すと不織布への付着量
が非常に少なくなるため、目的の性状の濾過素材が得ら
れない。
【0014】また同JISに記載されているメタ珪酸ナ
トリウム粉末、1種(n=5)および2種(n=9)の
10%以上の水溶液も本発明に好適に使用できる。メタ
珪酸ナトリウムの濃度が10%以下の場合は不織布へほ
とんど含浸(付着)しないため、好ましくない。
【0015】なおシリコンを主成分とし、シラノール
(SiH4-6 OH2)塩とシロキサン(H2 Si−O−S
iH2)をアルカリ水溶液化した無色透明の液体セラミッ
クと呼ばれる商品も水ガラスとして使用可能で、液状の
珪酸ナトリウムと同様な作用効果を示す(特公平7−1
4801)。
【0016】以下に、耐熱性フィルタエレメントの製造
工程と共に、そのベースとなる耐熱性濾過素材の製造工
程を説明する。まず、この製造工程の大まかな流れとし
ては、耐熱性不織布に水ガラスを含浸させる含浸工程
と、所定形状金型でこの水ガラスが含浸された耐熱性不
織布を加熱成形して耐熱性濾過素材とする加熱成型工程
と、この耐熱性濾過素材の表面にフッ素樹脂コーティン
グを施して耐熱性フィルタエレメントとする表面処理工
程とからなる。
【0017】耐熱性不織布への水ガラス含浸工程を以下
に説明する。図1(a),図1(b)は本発明の実施形
態に係る耐熱性不織布への水ガラス含浸工程を示す概略
図である。図1(a)は、耐熱性不織布全体を水ガラス
の収容容器内に全てつけ込む形態である。つまり、所定
のサイズに裁断した耐熱性不織布Sを水ガラス液22の
収容容器20内に浸漬させる。水ガラス液22の収容容
器20は成形する耐熱性不織布Sの縦と横全体が浸漬さ
れるような大型のサイズのものが好ましいが、焼成前の
耐熱性不織布Sは柔軟であるので、縦か横の短い方向の
みが浸漬できる長さを持つ大きさであれば、長手方向は
軽く折り曲げた状態で耐熱性不織布Sの全体を水ガラス
液22に浸漬し、含浸を行ってもよい。浸漬の時間は不
織布の種類、目付、厚みにより異なるが、通常、10秒
〜5分間、好ましくは30秒〜1分間浸漬させる。浸漬
時間とともに含浸量は増加するが、一定時間を越すと含
浸量は飽和する。
【0018】図1(b)は浸漬後の水ガラス液切りの例
を示す概略図である。所定時間の浸漬が終了したら、水
ガラス液から耐熱性不織布Sを取り出し、それをそのま
まの状態で加熱することも可能ではあるが、好ましくは
一度、図1(b)に示すように、対のロール30間を通
過させ、過剰に付着した水ガラス液を通常の状態で滴ら
ない程度に絞るようにして除去するのが望ましい。
【0019】図2は、本発明の実施形態に係る耐熱性不
織布へ水ガラスを含浸させる他の工程を示す概略図であ
る。この工程は、耐熱性不織布S全体を水ガラスの収容
容器内で移動させながら浸漬する形態である。水ガラス
の収容容器40には一方の縁部に耐熱性不織布Sの搬入
ローラ44が配置され、その反対側縁部には耐熱性不織
布Sの搬出ローラ46が配置されている。搬入ローラ4
4と搬出ローラ46との間では搬送経路を形成するガイ
ド48が配置されている。そして、少なくとも搬出ロー
ラ46は収容されている水ガラス液42の上方に配置さ
れている。搬入ローラ44により搬送される耐熱性不織
布Sは浸漬ローラ49により押さえられつつ水ガラス液
42に浸漬された後、ガイド48に沿って搬送され、搬
出ローラ46に挟持される。この耐熱性不織布Sは部分
的に浸ることとなるが、各部分の浸っている時間として
はほぼ同じ時間とすることができ、図1の浸漬工程と同
様に10秒〜5分間、好ましくは30秒〜1分間であ
る。
【0020】次に、水ガラス含浸不織布を所望の形状に
焼成するために金型上に固定し、加熱炉に入れて加熱成
形工程を説明する。この加熱成形工程により、水ガラス
は水分が蒸発し、造膜する特性を有し、蒸発した水蒸気
の作用で発泡化しながら不織布と一体化し、不織布の繊
維の交差部を固定・補強する。
【0021】濾過素材(又はフィルタエレメント)の形
状を次に説明する。図3は本発明の実施形態に係るフィ
ルタエレメントの全体斜視図である。フィルタエレメン
ト1は、矩形状のフィルタ枠材2を挟んで中空部分を形
成して取り付けられた同一形状で一対の濾過素材3,4
と、これらの濾過素材3,4の外周縁を覆うようにフィ
ルタ枠材2の周囲に取り付けた押さえ部材5,6,7と
からなる。濾過素材3,4の断面形状は単にシート状で
もよいが、濾過面積を広くして濾過効率を上げるために
波状構造とするのが好ましい。ここで、本発明のフィル
タエレメント形状は、波状構造を基本としているが、こ
れに限らず、吸引や逆洗のための開口部とそれに対向す
る底部を備える筒形状(袋形状)であれば、どのような
形状でもよい。
【0022】加熱成形工程において、上記のような濾過
素材(又はフィルタエレメント)の形状を成形すると
き、水ガラス含浸不織布を上下の金型で挟み込むような
状態で成形するのが好ましい。水ガラス含浸不織布を単
に下の金型の上に乗せただけの状態で成形を行うと、成
形された濾過素材3,4の上面に固化したガラスが析出
し、見かけ上、好ましくないばかりでなく、厚み方向で
ガラス量が不均一となり、反り等の変形を生じ、性能的
にアンバランスな濾過素材3,4が成形されてしまう。
なお成形後、金型から成形品の離脱を容易にするため
に、成形前に金型のシリコン系あるいはフッ素系の離型
剤を塗布するのが好ましい。
【0023】加熱炉の温度は通常150〜300℃、好
ましくは180〜250℃で行う。150℃以下の場合
は水分の蒸発が不十分となり、水が濾過素材中に残存
し、剛性不足、変形等の原因となり好ましくない。ま
た、300℃以上では不織布に不要な熱履歴を与えてし
まい、不織布自体の耐久性を低下させてしまう。また成
形時間は10分〜2時間、好ましくは30分〜1時間の
範囲が望ましい。10分以下では、150℃以下の加熱
の場合と同様に成形品中に水が残存し、2時間以上の加
熱では、不織布自体の耐久性の低下を招くおそれもあ
り、何のメリットもなく、エネルギーの浪費で不必要で
ある。以上のように、耐熱性不織布への水ガラスの含浸
量、成型時の加熱温度、加熱時間を適宜に設定すること
で、必要とする剛性と可撓性とのバランスを与えること
ができる。加熱炉の熱源は電気ヒーター、LPGガス、
赤外線ヒーター等いずれでもよいが、成形品の種類、量
により、経済面も考慮して採用する。所定時間成形後、
金型ごと加熱炉から取り出し、十分冷却後、金型から成
形品を取り外す。このようにして十分な剛性と且つ適度
の可撓性を有した自己保持性の濾過素材3,4が得られ
る。
【0024】次に表面処理工程を説明する。上記で得ら
れた濾過素材はそのままでもフィルタエレメントとして
使用することは可能であるが、通常は濾過性能およびダ
ストの離脱性等をさらに向上させるために、濾過素材表
面にフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン)のコーティング層を形成させる。コーティング層は
ポリテトラフルオロエチレン粒子と接着剤として熱硬化
性樹脂および水とを混合した懸濁液を濾過素材表面に噴
霧塗布し、加熱硬化させることによって形成される。な
おポリテトラフルオロエチレン粒子は通常、低分子量ポ
リテトラフルオロニチレンが使用され、平均径は3〜1
0μmの範囲が好ましい。
【0025】以上のような工程で成形された濾過素材2
枚を1組としてフィルタエレメント1が製造される。図
4は図3に示したフィルタエレメント1の分解斜視図で
ある。フィルタ枠材2は一対の濾過素材3,4の外縁よ
り僅かに小さく形成したもので、濾過素材3,4を所定
の間隔をあけて保持すべく一定の厚み以てスペーサの役
目も担っている。濾過部材3,4はフィルタ枠材2を挟
み包む形状に成形され、フィルタ枠材2を包むように配
置され、その周囲を押さえ部材5,6,7で固定され
る。
【0026】図5は図3のA部断面図である。この図5
に示すように、一対の濾過部材3,4はフィルタ枠体2
に備えられた折り曲げ片10,10を包み込むように折
り返された外周縁部3a,4aを備えており、このフィ
ルタ枠体2の側部2bと押さえ部材5とにより外周縁部
3a,4aを挟むように組み付け、押さえ部材5をビス
(あるいはリベット)11を介してフィルタ枠体2に取
り付ける。なお濾過素材3,4の他の外周縁部も同様
に、各押さえ部材6,7によりフィルタ枠体2の側部2
aおよび底部2cに取り付けられている。なおフィルタ
枠体と濾過素材3,4との間や濾過素材3,4と押さえ
部材5,6,7との間には耐熱性シール剤を塗布してフ
ィルタエレメント1のシール性をさらに高めることがで
きる。
【0027】次に、本発明の作用効果を実施例を用いて
説明する。 (実施例)図1(a)に示した含浸工程を使用し、耐熱
性不織布として目付が500g/m2 、長さ1550m
m、幅1700mmにカットしたポリイミド繊維フェル
トを1600×1000×500mm(深さ)の容器内
の水ガラス液(ケイ酸ソーダ3号:Na2O:9〜10
%、SiO2:28〜30%、キシダ化学株式会社の製
品を使用)に折り込んだ状態で約30秒間浸ける。30
秒後、水ガラス含浸フェルトの一端を取り出し、図1
(b)で示したように、これを適度に加圧された2本の
回転ゴムロール間を通過させ、付着した過剰の水ガラス
を絞り落とした。
【0028】次に、長さ1500mm、幅1000mm
のアルミニウム製で複数の平行波形突状(突起高さ約3
0mm)を与える下金型に、その表面形状に沿って上
記、水ガラス含浸フェルトを載置し、その上から刀剣状
の押さえ金型で突状形状間を固定した。さらにこれらの
上に平板状の上金型を載置し、上下金型間をシャコ万力
で軽く固定した。すなわち水ガラス含浸フェルトを上下
の金型に挟み込んだ状態とし、これをガス炉に入れ、2
00℃、1時間加熱し、成形を行った。成形後、金型を
炉から取り出し、冷却後、成形物を金型から外した。こ
のようにして十分な剛性を有する自己形状保持性の、長
さ1500mm、幅1000mmの波形の濾過素材を得
た。この濾過素材2枚を1組として、上述の図のように
鉄製のチャンネルとフラットバーからなる長さ1500
mm×幅1000mmの支持枠等により、フィルタエレ
メントを組み上げた。次にポリテトラフルオロエチレン
粉末24重量%と熱硬化性接着剤3重量%、メタノール
3重量%および水70重量%をよく混合した懸濁波を上
記、フィルタエレメント表面にスプレー法により塗布
し、引続いて、乾燥機で180℃で30分、コーティン
グ層を熱硬化させた。
【0029】(比較例1)水ガラスを含浸させずにポリ
イミドフェルトをガス炉で320℃、2時間加熱し、焼
成を行う以外は実施例と同様に行い、長さ1500mm
×幅1000mmの支持枠等により、フィルタエレメン
トを得た。実施例同様、このフィルタエレメントの負荷
試験を実施したが、焼成濾過素材の剛性の不足のため、
払い落としのためのパルス打ちの際に外側に大きく膨ら
み、運転開始20時間後にフィルタ枠体2下部に取り付
けられている部分で濾過素材が破損し、実験不能となっ
た。
【0030】(比較例2)図6は比較例である従来のフ
ィルタエレメントの構成を示す部分透視斜視図である。
この図は基本的な構成は図3のフィルタエレメント1と
同様で、比較例1により得られた濾過素材13,14と
フィルタ枠材12及び押さえ部材15,16,17から
フィルタエレメント19を構成し、さらに、下記の形状
保持材18(外部支持部材、内部支持部材)を装着して
負荷試験を行った。 外部支持部材(ステンレス製): 5本 外形12×25mm, 厚み1.6mm角パイプ 内部支持部材(ステンレス製): 5本 幅30mm, 厚み0.3mm
【0031】以上の実施例、比較例1及び比較例2をフ
ィルタエレメントを負荷試験機に取り付けて集塵機とし
て使用し、以下の条件で負荷試験を実施し、飽和圧損、
粉塵濃度、エレメントの損傷について検討し、結果を表
1に示した。 負荷試験条件: 温度:230℃ 風速:1m/分(230℃) パルス条件:圧力 4.5kgf/cm2 、時間 0.2秒、間隔120
秒 粉体:炭酸カルシウム(d30=11μm)、濃度5g/m
3
【0032】
【表1】
【0033】飽和圧損について:圧力損失値(フィルタ
エレメントの入口、出口の圧力差)は運転開始後次第に
上昇するが、10〜20時間経過するとほぼ一定値とな
り、安定化する。このときの値を飽和圧損と呼んでい
る。なお圧力損失値はマノメーターにより測定した。 粉塵濃度について:濾過効率を調べるために使用してお
り、集塵機から排出される排ガス単位体積当たり(標準
状態)の粉塵量をデジタル粉塵計(柴田科学機器工業
(株)製)を使用して測定した。
【0034】この表から判るように、実施例のフィルタ
エレメントでは、飽和圧損、粉塵濃度いずれについて
も、比較例2の保持材付きフィルタエレメントと同様の
性能である。特に粉塵濃度については、実施例と比較例
2とで圧損値がほとんど同じレベルなのに粉塵濃度が低
く、比較例2を上回る性能である。また、エレメントの
損傷については保持材に起因する傷は付きようがないの
で、比較例2のものより性能が高いのは明らかである。
また、耐久性についても、上記条件で20日間の試験に
耐えられるということは、一般の使用で十分なものであ
る。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の濾過素材およびそれを使用したフィルタエレメント及
びその製造方法は以下の効果がもたらされる。濾過素材
は十分な剛性と適度な可撓性を有しているため、保持材
(外部膨張抑制材および内部形状保持材)の使用が省略
できる。このことにより、フィルタエレメントの価格、
重量、外観およびフィルタエレメント脱着時の作業性の
面で有利である。また補強材が濾過面の一部をふさぐこ
とがないため、実質的な濾過面積が増加する。さらに集
塵機内部において、隣のエレメントとの間隔の制限がな
くなることから、集塵機内部の容積の有効利用が図れ
る。本発明のフィルタエレメントは、不織布の繊維集合
体の内部及び周辺に改めてセラミックの粒がはり付いて
形成されることになるため、より小粒径の粉塵が捕捉さ
れ、濾過効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b)は本発明の実施形態に係る耐
熱性不織布への水ガラス含浸工程を示す概略図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る耐熱性不織布へ水ガ
ラスを含浸させる他の工程を示す概略図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るフィルタエレメント
の全体斜視図である。
【図4】 図3に示したフィルタエレメントの分解斜視
図である。
【図5】 図3のA部断面図である。
【図6】 比較例2である従来のフィルタエレメントの
構成を示す部分透視斜視図である。
【符号の説明】
1,19 フィルタエレメント 2,12 フィルタ枠材 2a,2b 側部 2c 底部 3,4,13,14 濾過素材 3a,4a 外周縁部 5,6,7,15,16,17 押さえ部材 10 折り曲げ片 20 収容容器 22 水ガラス液 30 ローラ対 40 収容容器 42 水ガラス液 44 搬入ローラ 46 搬出ローラ 48 ガイド 49 浸漬ローラ S 耐熱性不織布
フロントページの続き (72)発明者 大崎 活規 栃木県下都賀郡野木町大字野木922番2号 日鉄鉱業株式会社内 Fターム(参考) 4D019 AA01 BA04 BA06 BA13 BA17 BA18 BB03 BB04 BC12 CA02 CA04 CB01 CB06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水ガラスが含浸された状態で所定形状に
    加熱成形される耐熱性不織布よりなることを特徴とする
    耐熱性濾過素材。
  2. 【請求項2】 水ガラスが含浸された状態で所定形状に
    加熱成形される耐熱性不織布から成り、その表面にフッ
    素樹脂コーティングがなされていることを特徴とする耐
    熱性フィルタエレメント。
  3. 【請求項3】 前記耐熱性不織布の加熱成形体が有底筒
    形状であることを特徴とする請求項2に記載の耐熱性フ
    ィルタエレメント。
  4. 【請求項4】 耐熱性不織布に水ガラスを含浸させ、 所定形状金型でこの水ガラスが含浸された耐熱性不織布
    を加熱成形して耐熱性濾過素材とし、 この耐熱性濾過素材の表面にフッ素樹脂コーティングを
    施すことを特徴とする耐熱性フィルタエレメントの製造
    方法。
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