JP2000342247A - 焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地およびその製造方法 - Google Patents

焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼酎蒸留残液を原料とした、水不溶性成分お
よび着色成分が極めて少なく微生物の増殖促進効果に優
れた、微生物用培地およびその製造方法を提供する。 【解決手段】大麦を原料とする焼酎製造において副成す
る焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を
ろ過して清澄液を得、該清澄液を濃縮して濃縮液を得、
該濃縮液を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して非吸着
性画分を得、該非吸着性画分を乾燥することにより得ら
れる乾燥物を有効成分として含有することを特徴とする
微生物用培地およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼酎製造で副成する
焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地、およびその製
造方法に関する。より詳しくは本発明は,大麦を原料と
する焼酎製造において副成する焼酎蒸留残液を固液分離
して液体分を得、該液体分をろ過して清澄液を得、該清
澄液を濃縮して濃縮液を得、該濃縮液を合成吸着剤を用
いる吸着処理に付して非吸着性画分を得、該非吸着性画
分を乾燥することにより得られる乾燥物を有効成分とし
て含有することを特徴とする微生物用培地およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼酎製造において副成する焼酎蒸留残液
は,家畜用飼料あるいは肥料として一部で利用される場
合があるが、大部分は海洋投棄,大地還元,焼却処分な
どにより廃棄処分されるのが一般的である。海洋投棄は
焼酎蒸留残液の安価な処分方法であるが,世界的な環境
問題の高まりにより,法的に規制され全面禁止されるこ
とになっている。また,大地還元も地下水や河川を汚染
する問題があり,焼却処理はコストおよびダイオキシン
発生等の問題がある。このようなことから、現在、多方
面において焼酎蒸留残液の有効利用が検討されている。
これまでに、上述したように焼酎蒸留残液を飼料あるい
は肥料として利用する方法等が提案されている。
【0003】また、上述の提案の他に、焼酎蒸留残液の
微生物用培地への利用が提案されている。例えば、特開
平8−308590号公報(以下、文献1と言う。)に
は、ポリ−γ−グルタミン酸を製造する際に、ポリ−γ
−グルタミン酸産生土壌細菌の培地として焼酎蒸留残液
を用いることが記載されている。一般に、焼酎蒸留残液
は0.1〜2g/Lのグルタミン酸を含むことに鑑み
て、文献1においては、ポリ−γ−グルタミン酸生産の
ためのグルタミン酸供給源として焼酎蒸留残液を利用し
ている。具体的には、固液分離を行って得られた焼酎蒸
留残液を固液分離に付して得られた上清(pH3.8)
を、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に調整し、こ
れをそのまま培地として使用している。しかしながら、
焼酎蒸留残液は、水分を90%近く含み、しかもそのB
ODが70000〜100000mg/Lと極めて高い
ため腐敗の進行が早く、文献1に記されているように、
焼酎蒸留残液の上清を中和後そのまま培地として用いた
場合には保存性が極めて悪い。また当該焼酎蒸留残液の
上清は水不溶性成分を多く含み、さらにSS(懸濁物
質:水中に分散している固形粒子分のなかで、2mm以
下の径でろ紙の目にとどまるもの)を含有するため、こ
れを微生物用培地として用いた場合には、培養中の菌体
濃度の測定や培養終了後の菌体の回収が困難である。そ
のため培地としての価値を著しく低める原因となってし
まうことから好ましくない。この他に当該焼酎蒸留残液
の上清は、培地成分としては望ましくない着色成分も多
く含んでいるため、着色成分を含んだ微生物用培地をそ
のまま用いる場合には、培養中の菌体濃度の測定が困難
になるだけでなく、培養終了後に得られる菌体が着色さ
れてしまう。このことは、培地としての価値を著しく低
めてしまう。
【0004】ところで、本発明者らの一人は、焼酎蒸留
残液を有効利用する観点から、特開平8−56584号
公報(以下、文献2と言う。)において、焼酎蒸留残液
から飼料を製造する方法を提案している。文献2では、
焼酎蒸留残液を固液分離して液体分と固体分に分け,該
液体分のSS(懸濁物質:水中に分散している固形粒子
分のなかで、2mm以下の径でろ紙の目にとどまるも
の)の量を100g/L以下に調整後に所定の水分まで
乾燥させた前記液体分の乾燥物と、別の方法で乾燥させ
た前記固体分の乾燥物を混合することにより飼料を製造
する方法が記載されている。
【0005】本発明者らは,文献2において得られる飼
料を、そのまま酵母等の微生物用培地として用いたとこ
ろ、以下のような問題があることが判明した。すなわ
ち、当該飼料は固体分乾燥物を混合しているために水不
溶性成分が多く,さらに着色成分も多いため、そのまま
では微生物用培地として使用に適していないことが判っ
た。また、前記液体分の乾燥物をそのまま酵母等の微生
物用培地として用いたところ、同じく水不溶性成分と着
色成分が多く,そのままでは微生物用培地として使用に
適していないことが判った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように,文
献1においては、固液分離を行った焼酎蒸留残液の上清
を水酸化ナトリウム水溶液でpH6.5に調整して培地
として用いるが、この場合、当該培地は液体であるため
に保存性が悪く、さらに水不溶性成分およびSS、さら
に培地成分としては望ましくない着色成分を含有し、こ
れらは培地としての価値を著しく低めてしまうという問
題がある。また、文献2に記載された飼料、あるいは液
体分の乾燥物をそのまま微生物用培地として用いた場合
には、上述したように水不溶性成分およびSS、さらに
培地成分としては望ましくない着色成分を含有するため
に、そのままでは微生物用培地として使用に適していな
い。これらの問題は焼酎蒸留残液の微生物用培地への有
効利用を進める上で早急に解決を要する問題である。
【0007】本発明は,上述した従来技術における問題
点に鑑みて、さらなる研究の結果完成に至ったものであ
る。本発明の主たる目的は,焼酎蒸留残液からの微生物
用培地製造に係る従来技術における上記問題点を解決
し,焼酎蒸留残液から、水不溶性成分および着色成分が
極めて少なく、これを微生物用培地として用いた場合
に、得られる培養菌体の量が著しく増加する微生物用培
地およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,焼酎蒸留
残液からの微生物用培地製造における上述した問題を解
決し,焼酎蒸留残液をより有効に利用する観点から,水
不溶性成分および着色成分が極めて少なく,微生物用培
地として用いた場合に、得られる培養菌体の量が著しく
増加する微生物用培地を得ることを目的として,実験を
介して鋭意研究を重ねた。その結果,大麦を原料とする
焼酎製造において副成する焼酎蒸留残液を固液分離して
液体分を得、該液体分をろ過して清澄液を得、該清澄液
を濃縮して濃縮液を得、該濃縮液を合成吸着剤を用いる
吸着処理に付して非吸着性画分を得、該非吸着性画分を
乾燥することにより、水不溶性成分および着色成分が極
めて少なく,これを微生物用培地として用いた場合、得
られる培養菌体の量が著しく増加する微生物用培地が得
られ,上記課題が解決されることが判明した。本発明は
この判明した事実に基づくものである。
【0009】以下本発明の好ましい態様について述べる
が,これらによって何ら本発明が制限されるものではな
い。本発明の微生物用培地は、図1に示すように、大麦
を原料とする焼酎製造において副成する焼酎蒸留残液を
固液分離して液体分を得る第1の工程、該液体分をろ過
して清澄液を得る第2の工程、該清澄液を濃縮して濃縮
液を得る第3の工程、該濃縮液を合成吸着剤を用いる吸
着処理に付して非吸着性画分を得る第4の工程、得られ
た該非吸着性画分を乾燥する第5の工程により得られる
ものである。以下に本発明の微生物用培地を製造する際
に原料として用いる焼酎蒸留残液、および各工程につい
て詳述する。
【0010】本発明において言う焼酎蒸留残液は、大麦
又は精白大麦を原料として大麦麹および蒸麦を製造し、
得られた大麦麹および蒸麦中に含まれるでんぷんを麹お
よび/又は酵素剤を使用して糖化し、さらに酵母による
アルコール発酵を行い焼酎熟成もろみを得、得られた焼
酎熟成もろみを減圧蒸留または常圧蒸留等の単式蒸留装
置を用いて蒸留する際に蒸留残さとして副成するものを
意味し、代表的には例えば大麦焼酎の蒸留残液が挙げら
れる。さらに米焼酎、甘藷焼酎、そば焼酎の製造におい
ても、これらの焼酎製造において原料の一部として大麦
を使用する場合に副成する焼酎蒸留残液も本発明におい
て言う焼酎蒸留残液に包含される。
【0011】本発明において、焼酎製造の蒸留工程で得
られた焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る第1の
工程は、焼酎蒸留残液から原料大麦あるいは麹由来の水
不溶性の発酵残渣や酵母菌体を除去し、液体分を得るこ
とを目的として行うものである。この第1の工程におい
ては、一般的にスクリュープレス方式やローラープレス
方式、あるいはろ過圧搾式の固液分離機を用いて行うこ
とが出来る。こうして、第1の工程で得られる該液体分
をろ過して清澄液を得る第2の工程は、該液体分に依然
として多く含まれているSSを除去して清澄液を得るこ
とを目的として行うものである。第2の工程のろ過処理
においては、各種の遠心分離機、ケイソウ土ろ過装置、
セラミックろ過装置、あるいはろ過圧搾機等を用いて行
うことができる。
【0012】また、本発明において、第2の工程で得ら
れる清澄液を濃縮して濃縮液を得る第3の工程は、次の
第4の工程において吸着処理に付す清澄液の濃度を高め
る目的のために実施するものである。この第3の工程の
清澄液の濃縮方法には公知の方法を用いることができ、
具体的には、減圧濃縮装置、真空蒸発装置等を用いて行
うことができる。
【0013】第3の工程で得られる該濃縮液を合成吸着
剤を用いる吸着処理に付して非吸着性画分を得る第4の
工程は、該濃縮液に含まれる培地成分としては望ましく
ない着色成分を取り除くことを目的として行うものであ
る。なお、着色成分が培養液中に多量に存在すると、培
養中の菌体濃度の測定が困難になるだけでなく、培養終
了後に得られる菌体が着色されてしまうことから、培地
としての価値を著しく低めてしまう。第4の工程で使用
する合成吸着剤としては,芳香族系、芳香族系修飾型、
メタクリル系の合成吸着剤を用いることができる。例え
ば、合成吸着剤として好適なものとしては、三菱化学社
製のセパビーズSP850およびダイヤイオンHP2
0、さらにオルガノ社製のアンバーライトXAD16等
を使用することができる。
【0014】また第4の工程で得られる非吸着性画分を
乾燥する第5の工程は、該非吸着性画分を乾燥する方法
として,ディスク型ドライヤー、ドラム型ドライヤー、
スプレー型ドライヤー等の乾燥装置、あるいは凍結乾燥
機を用いて行うことができる。
【0015】ところで、微生物の生育用培地について
は、それぞれの微生物に最適のpHがあり、細菌用の培
地はpH6.8〜7.2、カビ・酵母用の培地はpH
5.0〜6.0に調整するのが一般的である。焼酎蒸留
残液は麹菌由来のクエン酸を含むため、そのpHは3〜
4と低く、これをそのまま培地原料として用いた場合に
は、得られた培地のpH値が一般的に微生物の培養に最
適とされるpH値よりもかなり低くなり好ましくない。
従って、本発明においても、第2の工程で得られた清澄
液、あるいは第3の工程で得られた濃縮液を適当な中和
剤を用いて中和処理することが望ましい。こうした中和
剤としては,水酸化ナトリウム/水酸化カリウム等を使
用することができる。
【0016】さらに、第4の工程で得られる該非吸着性
画分を乾燥する第5の工程においては、微生物用培地乾
燥物の粒子の均一化を図るために、乾燥前の該非吸着性
画分に賦形剤を添加することもでき、そうした賦形剤と
しては、噴霧乾燥により粉末製品を得る際に一般的に用
いられる賦形剤を使用することができる。好ましい具体
例としては、ばい焼デキストリンや酵素変性デキストリ
ン等のデキストリン類、あるいはエーテル化デンプンや
酸処理デンプン等のデンプン類を挙げることができる。
【0017】なお、本発明の微生物用培地は、特に、酵
母、乳酸菌、及びビフィズス菌の菌体を培養する際に、
酵母エキス、カゼインペプトン、肉エキス等の窒素源の
代替として使用することができる。この場合、本発明の
微生物用培地が窒素源として利用されるだけではなく、
培養菌体の増殖速度を高め、その結果、得られる培養菌
体の量が著しく増大する。この他、本発明の微生物用培
地は、特に、酵母、乳酸菌、及びビフィズス菌の菌体を
培養する際に、窒素源を十分に含有する培地に増殖促進
因子として添加することができる。この場合、本発明の
微生物用培地により菌体の増殖が一層促進されると共
に、菌体の増殖速度が一層高められ、そしてまた、前記
の場合と同様に、得られる培養菌体の量が著しく増大す
る。前記酵母としてはSaccharomyces属の酵母を挙げる
ことができ、前記乳酸菌としてはLactobacillus属のLac
tobacillus acidophilus、Lactobacillus plantarum、
Lactobacillus fermentum等を挙げることができ、さら
に前記ビフィズス菌としてはBifidobacterium属のBifid
obacterium bifidum、Bifidobacterium longum等を挙げ
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが,本発明はこれらの実施例によって何ら限定され
るものではない。
【0019】
【大麦製焼酎蒸留残液の取得】以下の実施例に供する目
的で大麦製焼酎の製造を行った。仕込みの割合は表1に
示す通りとした。原料としては、大麦(70%精白)を
用いた。麹の製造は大麦を40%(W/W)吸水させ、
40分間蒸した後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり
1kgの種麹(白麹菌)を接種し、38℃、RH95%
で24時間、32℃、RH92%で20時間で行った。
蒸麦は大麦を40%(W/W)吸水させ40分間蒸した
後、40℃まで放冷後、1次仕込みに加えた。1次仕込
みでは前述の方法で製造した大麦麹(大麦として3ト
ン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母
の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、
得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に
付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を
終えた1次もろみに、水11.4キロリットル、前述の
方法で製造した蒸麦(大麦として7トン)を加えて11
日間の発酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次
仕込み、2次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発
酵を終えた2次もろみを常法により単式蒸留に付し、大
麦製焼酎10キロリットルと大麦製焼酎蒸留残液15キ
ロリットルを得た。得られた大麦製焼酎蒸留残液を以下
の実施例に用いた。
【0020】
【実施例1】大麦製焼酎製造の蒸留工程で得られた前記
大麦製焼酎蒸留残液1キロリットルを信和エンジニアリ
ング(株)製のスクリュープレス方式の固液分離機で固
液分離し,得られた液体分をさらに藪田産業(株)社製
のろ過圧搾機を用いてさらにSS分を分離し,約0.8
5キロリットルの清澄液を得た。次に、該清澄液を
(株)大河原製作所製の真空蒸発装置を用いて約1/3
に濃縮して濃縮液を得た。得られた該濃縮液を三菱化学
社製の合成吸着剤セパビーズSP850を充填したカラ
ムに接触させ、当該カラムから溶出してきた当該合成吸
着剤に対して非吸着性を示す非吸着性画分を得た。得ら
れた非吸着性画分を(株)大河原化工機製スプレー型乾
燥機を用いて、入口温度 150℃,出口温度80℃,熱風量
0.45m3 / min,および噴霧空気量 1.0 kgf /cm2の条件
で噴霧乾燥し、微生物用培地に使用する約10kgの粉
末状の培地用乾燥物を得た。
【0021】
【比較例1】大麦製焼酎製造の蒸留工程で得られた前記
大麦製焼酎蒸留残液1キロリットルを信和エンジニアリ
ング(株)製のスクリュープレス方式の固液分離機で固
液分離し,約0.85キロリットルの液体分を得た。該
液体分を(株)西村鉄鋼所製ディスク型乾燥機を用いて
乾燥し、約70kgの乾燥物を得た。得られた該乾燥物
を(株)西村鉄鋼所製の粉砕機により粉砕し,微生物用
培地に使用する粉末状の培地用乾燥物を得た。
【0022】
【評価】前記実施例1および前記比較例1で得られた培
地用乾燥物について、以下の実験を介して、それらの有
用性を評価した。
【0023】
【実験1】微生物用培地に求められる基本的な条件とし
て、水に溶解した場合の水不溶性成分量が少ないことが
挙げられる。このような水不溶性成分が培養液中に多量
に存在すると、培養中の菌体濃度の測定や培養終了後の
菌体の回収が困難になり、培地としての価値を著しく低
めてしまう。そこで前記実施例1および前記比較例1で
得られた培地用乾燥物について、以下の実験1におい
て、それらを水に溶解した場合の水不溶性成分量の比較
をおこなった。
【0024】実施例1で得られた培地用乾燥物10gを
20℃の水1リットルに溶解し攪拌後、得られた溶解液
を8000rpmで15分間遠心分離し,湿重量で0.
05gの水不溶性成分を得た。これと同様に、比較例1
で得られた培地用乾燥物10gを20℃の水1リットル
に溶解し攪拌後、得られた溶解液を8000rpmで1
5分間遠心分離し,湿重量で3.2gの水不溶性成分を
得た。
【0025】上記実験1において得られた水不溶性成分
量の結果を表2に示す。表2に示した結果から明らかな
ように、比較例1で得られた微生物用培地の場合には、
水不溶性成分の割合が使用した培地用乾燥物の32%に
達した。一方、本発明の実施例1で得られた前記微生物
用培地の場合には、水不溶性成分の割合は使用した培地
用乾燥物のわずか0.5%以下であった。以上のことか
ら、本発明の実施例1で得られた培地用乾燥物に含まれ
る水不溶性成分は、比較例1で得られた培地用乾燥物に
含まれる水不溶性成分の1/60以下の量であった。す
なわち、本発明で得られた培地用乾燥物は、培養中の菌
体濃度の測定や培養終了後の菌体の回収の際に何ら問題
を生じない、微生物培養に極めて適した性質を有してい
ることが明らかとなった。
【0026】
【実験2】微生物用培地に求められる基本的な条件とし
て、水に溶解した場合の着色成分量が少ないことが挙げ
られる。着色成分は培地成分として不要であり、これら
の着色成分が培地中に多量に存在すると、培養中の菌体
濃度の測定が困難になるだけでなく、培養終了後に得ら
れる菌体が着色されてしまう。このため、培地としての
価値を著しく低めてしまう。そこで以下の実験2におい
て、前記実施例1および前記比較例1で得られた培地用
乾燥物の着色成分についての評価を行った。
【0027】上記実験1で得られたそれぞれの溶解液を
遠心分離して上清を得、得られた上清について、該上清
の色を目視観察し、さらに吸光光度計を用いて該上清の
430nm、および480nmにおける吸光度を測定し
た。実験2において調べたそれぞれの溶解液の結果を表
3に示す。表3に示した結果から明らかなように、それ
ぞれの溶解液の上清についてその色を目視観察した結
果、本発明の実施例1で得られた溶解液の上清は無色を
呈し、着色は認められなかった。一方、比較例1で得ら
れた溶解液の上清は濃褐色を呈し、着色成分が多量に含
まれていることが明らかであった。また、表3に示した
結果から明らかなように、それぞれの溶解液の上清につ
いてその430nmおよび480nmの吸光度を測定し
た結果、本発明の実施例1で得られた溶解液の上清は、
比較例1で得られた溶解液の上清と比較して、極めて低
い吸光度を示した。
【0028】さらに以下の実験3および実験4におい
て、前記実施例1において得た清澄液と、該清澄液を合
成吸着剤を用いる吸着処理に付して得た非吸着性画分の
それぞれの凍結乾燥物について、それらの着色成分につ
いての評価を行った。
【実験3】上記実施例1において得た清澄液と該清澄液
を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して得た非吸着性画
分のそれぞれ1リットルを凍結乾燥し、得られたそれぞ
れの凍結乾燥物の重量を測定した。その結果、該清澄液
1リットルからは28.1gの凍結乾燥物が得られたの
に対して、非吸着性画分1リットルからは、25.7g
の凍結乾燥物が得られた。このことから清澄液を合成吸
着剤を用いる吸着処理に付して非吸着性画分を得ること
により、該清澄液1リットル当たり2.4gの不要な着
色成分を取り除くことができることがわかった。
【0029】
【実験4】さらに別に以下の実験4を行った。すなわ
ち、上記実施例1において得た培地用乾燥物と、上記実
施例1における該濃縮液を合成吸着剤を用いる吸着処理
に付さずにそのまま噴霧乾燥して得た培地用乾燥物を用
いて、酵母の培養試験を行い、得られる培養酵母菌体の
色の評価を行った。
【本発明の培地による培養試験】上記実施例1において
得た培地用乾燥物30g、ブドウ糖32.5g,炭酸ア
ンモニウム8.5g,リン酸アンモニウム2g,硫酸マ
グネシウム0.3g,及び50%乳酸27.5gを水1
リットルに溶解し,pH4.5に調整後,市販の焼酎酵
母を接種し,30℃で40時間好気培養し、得られた培
養液を10000rpmで15分間遠心分離した。その
結果,該酵母菌体本来の白色を呈する湿重量36.2g
の酵母菌体が得られた。
【対照の培地による培養試験】上記実施例1における該
濃縮液を合成吸着剤を用いる吸着処理に付さずにそのま
ま噴霧乾燥して得た培地用乾燥物30g,ブドウ糖3
2.5g,炭酸アンモニウム8.5g,リン酸アンモニ
ウム2g,硫酸マグネシウム0.3g,及び50%乳酸
27.5gを水1リットルに溶解し,pH4.5に調整
後,市販の焼酎酵母を接種し,30℃で40時間好気培
養し、得られた培養液を10000rpmで15分間遠
心分離した。その結果,該酵母菌体本来の白色とは異な
る褐色を呈した湿重量32.5gの酵母菌体が得られ
た。以上のことから、本発明による微生物用培地は、着
色成分の含有量が極めて低いため、培養中の菌体濃度の
測定の際に何ら問題を生じず、得られる培養菌体におい
ても着色がほとんど認められない微生物培養に極めて適
した性質を有していることが明らかとなった。
【0030】
【実験5】前記実施例1で得られた培地用乾燥物、およ
び従来から一般的に使用されている廃糖蜜を用いて、酵
母の培養試験を行い、本発明により得られた微生物用培
地の評価を行った。
【0031】
【本発明の培地による培養試験】実施例1で得られた培
地用乾燥物30g,ブドウ糖32.5g,炭酸アンモニ
ウム8.5g,リン酸アンモニウム2g,硫酸マグネシ
ウム0.3g,及び50%乳酸27.5gを水1リット
ルに溶解し,pH4.5に調整後,市販の焼酎酵母を接
種し,30℃で40時間好気培養し、得られた培養液を
10000rpmで15分間遠心分離した。その結果,
湿重量で37.5gの菌体が得られた。
【対照の培地による培養試験】廃糖蜜50g、ブドウ糖
32.5g,炭酸アンモニウム8.5g,リン酸アンモ
ニウム2g,硫酸マグネシウム0.3g,及び50%乳
酸27.5gを水1リットルに溶解し,pH4.5に調
整後,市販の焼酎酵母を接種し,30℃で40時間好気
培養し、得られた培養液を10000rpmで15分間
遠心分離し,湿重量で28.0gの菌体が得られた。
【0032】実験5において調べた酵母培養試験の結果
を表4に示す。表4に示した結果から明らかなように、
本発明の実施例1で得られた培地用乾燥物を用いた場合
の酵母菌体の湿重量は、対照の廃糖蜜を用いた場合の
1.34倍に達した。さらに,この結果を培地添加量あ
たりで比較すると、本発明の実施例1で得られた培地用
乾燥物を用いた場合の酵母菌体の湿重量は、対照の廃糖
蜜を用いた場合の2.23倍に達することが判った。さ
らに、培養中の酵母菌体の湿重量を経時的に調べたとこ
ろ、本発明の実施例1で得られた培地用乾燥物を用いた
場合には、培養開始後30時間目において、すでに対照
の廃糖蜜を用いた場合の培養終了時(40時間目)とほ
ぼ同じ菌体湿重量に達していることが判った。このこと
から、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地
を用いることにより、従来よりも短い培養日数で所望の
酵母菌体が得られることが明らかとなった。
【0033】
【実験6】前記実施例1で得られた培地用乾燥物、およ
び従来から一般的に使用されている培地用酵母エキスを
用いて、乳酸菌の培養試験を行い、本発明により得られ
た微生物用培地の評価を行った。
【0034】
【本発明の培地による培養試験】実施例1で得られた培
地用乾燥物5g,ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,
及び塩化ナトリウム5gを水1リットルに溶解し,pH
7に調整後,ラクトバチルス アシドフィラスIFO1
3951Tを接種し,30℃で40時間培養し、得られ
た培養液を10000rpmで15分間遠心分離した。
その結果,湿重量で41.5gの菌体が得られた。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,及び塩化ナトリウ
ム5gを水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ラク
トバチルス アシドフィラスIFO13951Tを接種
し,30度で40時間培養し、得られた培養液を100
00rpmで15分間遠心分離し,湿重量で29.4g
の菌体が得られた。
【0035】実験6において調べた乳酸菌培養試験の結
果を表5に示す。表5に示した結果から明らかなよう
に、本発明の実施例1で得られた培地用乾燥物を用いた
場合の乳酸菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.41倍に達した。また、培養中の乳
酸菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発明の実
施例1で得られた培地用乾燥物を用いた場合には、培養
開始後28時間目において、すでに培地用酵母エキスを
用いた対照の場合の培養終了時(40時間目)とほぼ同
じ菌体湿重量に達していることが判った。このことか
ら、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地を
用いることにより、従来よりも短い培養日数で所望の乳
酸菌菌体が得られることが明らかとなった。
【0036】
【実験7】前記実施例1で得られた培地用乾燥物を、従
来の乳酸菌培養の際に用いる乳酸菌培養用の対照培地に
1%添加して、乳酸菌の培養試験を行い、本発明により
得られた培地用乾燥物の乳酸菌増殖促進因子としての評
価を行った。
【0037】
【対照培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,ブ
ドウ糖10g,ポリペプトン5g,及び塩化ナトリウム
5gを水1リットルに溶解し,pH7に調整する手法で
3個の培地を作製した。ラクトバチルス プランタラム
IFO3070,ラクトバチルス アシドフィラスIF
O13951T,及びラクトバチルス ファーメンタム
IFO3071のそれぞれを個別に前記培地の1つに接
種し,30℃で40時間培養した。これにより3個の培
養液を得た。得られた3個の培養液のそれぞれを100
00rpmで15分間遠心分離した。このようにして前
記3種類の乳酸菌のそれぞれについて培養菌体を得た。
【対照培地に本発明の培地を1%添加した培養試験】実
施例1で得られた培地用乾燥物10g,培地用酵母エキ
ス5g,ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,及び塩化
ナトリウム5gを水1リットルに溶解し,pH7に調整
する手法で3個の培地を作製した。ラクトバチルス プ
ランタラムIFO3070,ラクトバチルス アシドフ
ィラスIFO13951T,及びラクトバチルス ファ
ーメンタムIFO3071のそれぞれを個別に前記培地
の1つに接種し,30℃で40時間培養した。これによ
り3個の培養液を得た。得られた3個の培養液のそれぞ
れを10000rpmで15分間遠心分離した。このよ
うにして前記3種類の乳酸菌のそれぞれについて培養菌
体を得た。
【0038】その結果、前記対照培地に本発明の実施例
1で得られた培地用乾燥物を1%添加することにより、
上述の乳酸菌それぞれの増殖が著しく促進されることが
判った。具体的には、前記対照培地に本発明の実施例1
で得られた培地用乾燥物を1%添加することにより、乳
酸菌の菌体湿重量が、ラクトバチルス プランタラムI
FO3070では対照培地の3.13倍、ラクトバチル
ス アシドフィラスIFO13951Tでは対照培地の
2.58倍、ラクトバチルス ファーメンタムIFO3
071では対照培地の2.67倍に達した。このことか
ら本発明により得られる微生物用培地は優れた乳酸菌の
増殖促進効果も有することが判った。
【0039】
【実験8】前記実施例1で得られた培地用乾燥物、およ
び従来から一般的に使用されている培地用酵母エキスを
用いて、ビフィズス菌の培養試験を行い、本発明により
得られた微生物用培地の評価を行った。
【0040】
【本発明の培地による培養試験】実施例1で得られた培
地用乾燥物10g,ブドウ糖10g,カゼインペプトン
10g,肉エキス5g,リン酸水素2カリウム3g,L-
システイン塩酸塩0.5g,アスコルビン酸ナトリウム
10g ,及び1mlの界面活性剤Tween80(商標名)
を水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ビフィドバ
クテリウム ビフィダムJCM1254を接種し,37℃
で48時間培養し、得られた培養液を10000rpm
で15分間遠心分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,カゼインペプトン10g,肉エキス5
g,リン酸水素2カリウム3g,L-システイン塩酸塩
0.5g,アスコルビン酸ナトリウム10g ,及び1ml
の界面活性剤Tween80(商標名)を水1リットルに
溶解し,pH7に調整後,ビフィドバクテリウム ビフ
ィダムJCM1254を接種し,37℃で48時間培養
し、得られた培養液を10000rpmで15分間遠心
分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【0041】その結果、それぞれの培養試験において得
られたビフィズス菌菌体の湿重量を比較したところ、本
発明の実施例1で得られた培地用乾燥物を用いた場合の
ビフィズス菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.63倍に達した。また、培養中のビ
フィズス菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発
明の実施例1で得られた培地用乾燥物を用いた場合に
は、培養開始後35時間目において、すでに培地用酵母
エキスを用いた対照の場合の培養終了時(48時間目)
とほぼ同じ菌体湿重量に達していることが判った。この
ことから、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用
培地を用いることにより、従来よりも短い培養日数で所
望のビフィズス菌菌体が得られることが明らかとなっ
た。
【0042】
【実施例2】大麦製焼酎製造の蒸留工程で得られた前記
大麦製焼酎蒸留残液1キロリットルを信和エンジニアリ
ング(株)製のスクリュープレス方式の固液分離機で固
液を分離し,得られた液体分をさらに巴工業(株)社製
のデカンタ型遠心分離器を用いて固液を分離し,得られ
た液体分をさらに日本シューマッハー(株)社製のセラ
ミック濾過装置を用いてさらにSS分を分離し,約0.
85キロリットルの清澄液を得、当該清澄液を水酸化ナ
トリウムで中和し,約0.9キロリットルの中和液を得
た。次に、当該中和液を(株)大河原製作所製の真空蒸
発装置を用いて約3倍まで濃縮して濃縮液を得、得られ
た当該濃縮液を三菱化学社製の合成吸着剤セパビーズS
P850を充填したカラムに接触させ、当該充填カラム
から溶出してきた当該合成吸着剤に対して非吸着性を示
す非吸着性画分を得、得られた非吸着性画分を(株)大
河原化工機製スプレー型乾燥機を用いて、入口温度 150
℃,出口温度80℃,熱風量0.45m3 / min,および噴霧空
気量 1.0 kgf /cm2の条件で噴霧乾燥し、微生物用培地
に使用する約8kgの培地用乾燥物を得た。
【0043】
【実験9】前記実施例2で得られた培地用乾燥物、およ
び従来から一般的に使用されている培地用酵母エキスを
用いて、乳酸菌の培養試験を行い、本発明により得られ
た微生物用培地の評価を行った。
【0044】
【本発明の培地による培養試験】実施例2で得られた培
地用乾燥物5g,ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,
及び塩化ナトリウム5gを水1リットルに溶解し,pH
7に調整後,ラクトバチルス アシドフィラスIFO1
3951Tを接種し,30℃で40時間培養し、得られ
た培養液を10000rpmで15分間遠心分離した。
その結果,湿重量で45.3gの菌体が得られた。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,及び塩化ナトリウ
ム5gを水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ラク
トバチルス アシドフィラスIFO13951Tを接種
し,30度で40時間培養し、得られた培養液を100
00rpmで15分間遠心分離し,湿重量で29.7g
の菌体が得られた。
【0045】実験9において調べた乳酸菌培養試験の結
果を表6に示す。表6に示した結果から明らかなよう
に、本発明の実施例2で得られた培地用乾燥物を用いた
場合の乳酸菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.53倍に達した。また、培養中の乳
酸菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発明の実
施例2で得られた培地用乾燥物を用いた場合には、培養
開始後28時間目において、すでに培地用酵母エキスを
用いた対照の場合の培養終了時(40時間目)とほぼ同
じ菌体湿重量に達していることが判った。このことか
ら、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地を
用いることにより、従来よりも短い培養日数で所望の乳
酸菌菌体が得られることが明らかとなった。
【0046】
【実験10】前記実施例2で得られた培地用乾燥物、お
よび従来から一般的に使用されている培地用酵母エキス
を用いて、ビフィズス菌の培養試験を行い、本発明によ
り得られた微生物用培地の評価を行った。
【0047】
【本発明の培地による培養試験】実施例2で得られた培
地用乾燥物10g,ブドウ糖10g,カゼインペプトン
10g,肉エキス5g,リン酸水素2カリウム3g,L-
システイン塩酸塩0.5g,アスコルビン酸ナトリウム
10g ,及び1mlの界面活性剤Tween80(商標名)
を水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ビフィドバ
クテリウム ビフィダムJCM1254を接種し,37℃
で48時間培養し、得られた培養液を10000rpm
で15分間遠心分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,カゼインペプトン10g,肉エキス5
g,リン酸水素2カリウム3g,L-システイン塩酸塩
0.5g,アスコルビン酸ナトリウム10g ,及び1ml
の界面活性剤Tween80(商標名)を水1リットルに
溶解し,pH7に調整後,ビフィドバクテリウム ビフ
ィダムJCM1254を接種し,37℃で48時間培養
し、得られた培養液を10000rpmで15分間遠心
分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【0048】その結果、それぞれの培養試験において得
られたビフィズス菌菌体の湿重量を比較したところ、本
発明の実施例2で得られた培地用乾燥物を用いた場合の
ビフィズス菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.81倍に達した。また、培養中のビ
フィズス菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発
明の実施例2で得られた培地用乾燥物を用いた場合に
は、培養開始後35時間目において、すでに培地用酵母
エキスを用いた対照の場合の培養終了時(48時間目)
とほぼ同じ菌体湿重量に達していることが判った。この
ことから、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用
培地を用いることにより、従来よりも短い培養日数で所
望のビフィズス菌菌体が得られることが明らかとなっ
た。
【0049】
【実施例3】大麦製焼酎製造の蒸留工程で得られた前記
大麦製焼酎蒸留残液1キロリットルを信和エンジニアリ
ング(株)製のスクリュープレス方式の固液分離機で固
液を分離し,得られた液体分をさらに巴工業(株)社製
のデカンタ型遠心分離器を用いて固液を分離し,約0.
85キロリットルの液体分を得た。次に、当該液体分を
(株)大河原製作所製の真空蒸発装置を用いて約1/3
に濃縮して濃縮液を得、得られた当該濃縮液を三菱化学
社製の合成吸着剤セパビーズSP850を充填したカラ
ムに接触させ、当該充填カラムから溶出してきた当該合
成吸着剤に対して非吸着性を示す非吸着性画分を得、得
られた非吸着性画分に可溶分の 1.5倍量の(株)日澱化
学製食品添加用デキストリン・アミコール 6-Lを添加
後,(株)大河原化工機製スプレー型乾燥機を用いて、
入口温度 150℃,出口温度80℃,熱風量0.45m3 / min,
および噴霧空気量 1.0 kgf /cm2の条件で噴霧乾燥し、
微生物用培地に使用する約12kgの乾燥物を得た。
【0050】
【実験11】前記実施例3で得られた培地用乾燥物、お
よび従来から一般的に使用されている培地用酵母エキス
を用いて、乳酸菌の培養試験を行い、本発明により得ら
れた微生物用培地の評価を行った。
【0051】
【本発明の培地による培養試験】実施例3で得られた培
地用乾燥物5g,ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,
及び塩化ナトリウム5gを水1リットルに溶解し,pH
7に調整後,ラクトバチルス アシドフィラスIFO1
3951Tを接種し,30℃で40時間培養し、得られ
た培養液を10000rpmで15分間遠心分離した。
その結果,湿重量で43.1gの菌体が得られた。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,ポリペプトン5g,及び塩化ナトリウ
ム5gを水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ラク
トバチルス アシドフィラスIFO13951Tを接種
し,30度で40時間培養し、得られた培養液を100
00rpmで15分間遠心分離し,湿重量で29.2g
の菌体が得られた。
【0052】実験11において調べた乳酸菌培養試験の
結果を表7に示す。表7に示した結果から明らかなよう
に、本発明の実施例3で得られた培地用乾燥物を用いた
場合の乳酸菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.48倍に達した。また、培養中の乳
酸菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発明の実
施例3で得られた培地用乾燥物を用いた場合には、培養
開始後28時間目において、すでに培地用酵母エキスを
用いた対照の場合の培養終了時(40時間目)とほぼ同
じ菌体湿重量に達していることが判った。このことか
ら、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用培地を
用いることにより、従来よりも短い培養日数で所望の乳
酸菌菌体が得られることが明らかとなった。
【0053】
【実験12】前記実施例3で得られた培地用乾燥物、お
よび従来から一般的に使用されている培地用酵母エキス
を用いて、ビフィズス菌の培養試験を行い、本発明によ
り得られた微生物用培地の評価を行った。
【0054】
【本発明の培地による培養試験】実施例3で得られた培
地用乾燥物10g,ブドウ糖10g,カゼインペプトン
10g,肉エキス5g,リン酸水素2カリウム3g,L-
システイン塩酸塩0.5g,アスコルビン酸ナトリウム
10g ,及び1mlの界面活性剤Tween80(商標名)
を水1リットルに溶解し,pH7に調整後,ビフィドバ
クテリウム ビフィダムJCM1254を接種し,37℃
で48時間培養し、得られた培養液を10000rpm
で15分間遠心分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【対照の培地による培養試験】培地用酵母エキス5g,
ブドウ糖10g,カゼインペプトン10g,肉エキス5
g,リン酸水素2カリウム3g,L-システイン塩酸塩
0.5g,アスコルビン酸ナトリウム10g ,及び1ml
の界面活性剤Tween80(商標名)を水1リットルに
溶解し,pH7に調整後,ビフィドバクテリウム ビフ
ィダムJCM1254を接種し,37℃で48時間培養
し、得られた培養液を10000rpmで15分間遠心
分離し,ビフィズス菌菌体を得た。
【0055】その結果、それぞれの培養試験において得
られたビフィズス菌菌体の湿重量を比較したところ、本
発明の実施例3で得られた培地用乾燥物を用いた場合の
ビフィズス菌菌体の湿重量は、培地用酵母エキスを用い
た対照の場合の1.73倍に達した。また、培養中のビ
フィズス菌菌体の湿重量を経時的に調べたところ、本発
明の実施例3で得られた培地用乾燥物を用いた場合に
は、培養開始後35時間目において、すでに培地用酵母
エキスを用いた対照の場合の培養終了時(48時間目)
とほぼ同じ菌体湿重量に達していることが判った。この
ことから、本発明の焼酎蒸留残液から得られる微生物用
培地を用いることにより、従来よりも短い培養日数で所
望のビフィズス菌菌体が得られることが明らかとなっ
た。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の焼酎蒸留
残液から得られる微生物用培地の製造方法によれば、以
下の効果を奏することができる。すなわち、大麦を原料
とする焼酎製造において副成する焼酎蒸留残液を固液分
離して液体分を得、該液体分をろ過して清澄液を得、該
清澄液を濃縮して濃縮液を得、該濃縮液を合成吸着剤を
用いる吸着処理に付して非吸着性画分を得、該非吸着性
画分を乾燥することにより、これを微生物用培地として
用いた場合、水不溶性成分および着色成分が極めて少な
くなり,得られる培養菌体の量が著しく増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微生物用培地の製造工程を示す製造
工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 理佐 大分県宇佐市大字山本2231−1 三和酒類 株式会社内 (72)発明者 梅本 泰史 大分県宇佐市大字山本2231−1 三和酒類 株式会社内 (72)発明者 下田 雅彦 大分県宇佐市大字山本2231−1 三和酒類 株式会社内 Fターム(参考) 4B065 AA01X BC01 BD15 BD50 CA46 CA55

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大麦を原料とする焼酎製造において副成
    する焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分
    をろ過して清澄液を得、該清澄液を濃縮して濃縮液を
    得、該濃縮液を合成吸着剤を用いる吸着処理に付して非
    吸着性画分を得、該非吸着性画分を乾燥することにより
    得られる乾燥物を有効成分として含有することを特徴と
    する微生物用培地。
  2. 【請求項2】 前記微生物が、酵母、乳酸菌、及びビフ
    ィズス菌である請求項1に記載の微生物用培地。
  3. 【請求項3】 大麦を原料とする焼酎製造において副成
    する焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る第1の工
    程、該液体分をろ過して清澄液を得る第2の工程、該清
    澄液を濃縮して濃縮液を得る第3の工程、該濃縮液を合
    成吸着剤を用いる吸着処理に付して非吸着性画分を得る
    第4の工程、該非吸着性画分を乾燥する第5の工程を含
    むことを特徴とする微生物用培地の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の工程で得られた清澄液、ある
    いは前記第3の工程で得られた濃縮液を中和する工程を
    さらに有する請求項3に記載の微生物用培地の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記合成吸着剤が、芳香族系合成吸着
    剤、芳香族系修飾型合成吸着剤、およびメタクリル系合
    成吸着剤のうちから選ばれるものである請求項3または
    4に記載の微生物用培地の製造方法。
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