JP2000337374A - 軸受装置 - Google Patents

軸受装置

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JP2000337374A
JP2000337374A JP15235199A JP15235199A JP2000337374A JP 2000337374 A JP2000337374 A JP 2000337374A JP 15235199 A JP15235199 A JP 15235199A JP 15235199 A JP15235199 A JP 15235199A JP 2000337374 A JP2000337374 A JP 2000337374A
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JP
Japan
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bearing
bearing device
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porous sintered
movable body
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JP15235199A
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Hideo Ozawa
秀夫 小沢
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Oiles Industry Co Ltd
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Oiles Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静圧気体軸受への圧縮気体の供給が停止され
るか又は供給される圧縮気体圧が低くなっても、静圧気
体軸受の軸受面にかじりを発生させることなしに、しか
も、高速に移動する可動体を、発熱又は早期の摩耗等の
問題を生じさせることなしに、高精度に且つ移動振動な
しに可動に支持できる軸受装置を提供する。 【解決手段】 軸受装置1は、回転軸2を静圧気体軸受
3及び4と転がり軸受5及び6とで軸心Aの周りでR方
向に回転自在に支持するようになっている。軸受装置1
では、回転軸2と転がり軸受5との間の軸受隙間37の
距離δ1を、回転軸2と静圧気体軸受3との間の軸受隙
間24の距離δ2よりも小さくしてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静圧気体軸受と転
がり軸受とを具備して、通常では、静圧気体軸受で可動
体を可動に支持し、静圧気体軸受への圧縮気体の供給が
停止される場合又は供給される圧縮気体圧が低く、静圧
気体軸受により可動体を所望に支持できないような場合
には、転がり軸受で可動体を可動に支持する軸受装置に
関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】光若しくは磁気ディス
ク等の検査装置又は鏡面加工する工作機械には、光若し
くは磁気ディスク又は工具等を高速で高精度に回転させ
るために通常スピンドルモータが用いられる。斯かるス
ピンドルモータには、スピンドル(回転軸)が高速で回
転しても摩擦抵抗、発熱が少なく、加えて、スピンドル
に回転振動を生じさせないような軸受が好ましく用いら
れる。
【0003】静圧気体軸受は、スピンドルの周りに空気
膜を形成して、この空気膜を介してスピンドルを回転自
在に支持するものであるために、好ましく製造された静
圧気体軸受は、鋼球を具備した転がり軸受と比較して、
それが本来的に有するセンタリング機能と相俟って、高
速回転するスピンドルに回転振動を生じさせないで、低
摩擦、低発熱でもって当該スピンドルを回転支持でき
る。
【0004】静圧気体軸受は、上述の通り、空気膜を介
してスピンドルを回転自在に支持するものであるため
に、静圧気体軸受への圧縮気体の供給が停止されるか又
は供給される圧縮気体圧が低くなると、所定の空気膜を
形成し得なくなる結果、空気膜を介してスピンドルを回
転自在に支持できなくなり、静圧気体軸受の静止した軸
受面と回転するスピンドルとの間に接触が生じ、静圧気
体軸受の軸受面又はスピンドルの外表面にかじりを生じ
る。特に、軸受面が多孔質焼結金属層の露出面からなる
多孔質静圧気体軸受では、多孔質焼結金属層が脆弱であ
るために、このかじりは、多孔質静圧気体軸受自体の破
壊等の重大な結果を招来する。
【0005】更に、多孔質静圧気体軸受は、圧縮気体の
通路手段を施した裏金に多孔質焼結金属体を組み付けて
形成され、この多孔質焼結金属体の形成材料として、青
銅、アルミニウム合金、ステンレスを主体としたもの、
特に、青銅を主体としたものが多く用いられるが、この
ような形成材料を用いた多孔質静圧気体軸受では、多孔
質焼結金属体それ自体は一応好ましい通気性を有する
が、多孔質焼結金属体の寸法精度や表面粗さが十分でな
いので、多くの場合には、10−3mmオーダの軸受表
面粗さを得るべく、更にその軸受表面に機械加工が施さ
れる。
【0006】この機械加工は、主として旋盤およびフラ
イス加工や研削により行われるが、この旋盤およびフラ
イス加工や研削は多孔質焼結金属体の表面に目詰りを惹
起させ、その通気性(絞り特性)に大きく影響を与える
ことになる。特に、研削においては、多孔質焼結金属体
の表面に塑性流動を惹起させ、カエリやバリを生じさせ
る。
【0007】また、多孔質焼結金属体の製造には、通
常、円筒状の裏金に円筒状の多孔質焼結金属体を圧入嵌
着する手段がとられるが、一見密に圧入嵌着されている
両者の接触部に微細な隙間が存在するために、多孔質焼
結金属体内の圧縮気体の本来の流通よりも、この隙間か
らの気体の漏洩が大きくなる場合がある。この隙間から
の気体の漏洩は、当然、多孔質静圧気体軸受としての負
荷容量の減少など性能の低下を来たすことになるので極
力これを防止することが好ましいのである。これに対処
するために、締め代を大きくして大きな圧入力で嵌着す
れば、この部分の隙間はほぼ完全に無くすことができる
が、逆に、裏金によってきわめて大きな絞りを受ける多
孔質焼結金属体の外表面側で焼結金属の塑性流動が生ず
る虞があり、したがって、裏金に嵌着後、圧縮気体の流
通が多孔質焼結金属体の嵌着面側で大きく阻害されると
いう問題が新たに生じる。
【0008】一方、鋼球を具備した転がり軸受において
は、かじりによるその破壊等の問題は生じ難いが、2万
rpm乃至5万rpm、更には、10万rpm程度で回
転するスピンドルを回転自在に支持することは、発熱又
は早期の摩耗等の問題が生じ、加えて、鋼球の真球度等
を極めて高くしないと、ぶれ(振動)のないスピンドル
回転を得ることが極めて困難である。
【0009】本発明は、前記諸点に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、静圧気体軸受への
圧縮気体の供給が停止されるか又は供給される圧縮気体
圧が低くなっても、静圧気体軸受の軸受面にかじりを発
生させることなしに、しかも、高速に移動する可動体
を、発熱又は早期の摩耗等の問題を生じさせることなし
に、高精度に且つ移動振動なしに可動に支持できる軸受
装置を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的とするところは、供給圧
縮気体の漏洩のない、しかも、好ましい通気性と平面度
を有した軸受表面でもって可動体を高精度に且つ移動振
動なしに可動に支持できる軸受装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の態様の軸
受装置は、可動体を静圧気体軸受と転がり軸受とで可動
に支持する軸受装置であって、可動体と転がり軸受との
間の軸受隙間の距離δ1を、可動体と静圧気体軸受との
間の軸受隙間の距離δ2よりも小さくしてなる。
【0012】第一の態様の軸受装置によれば、転がり軸
受の軸受隙間の距離δ1の方が静圧気体軸受の軸受隙間
の距離δ2よりも小さいために、静圧気体軸受への圧縮
気体の供給が停止されるか又は供給される圧縮気体圧が
低くなって、所望の気体膜が静圧気体軸受側の軸受隙間
に生じなくなっても、転がり軸受によって可動体が可動
に支持されて、静圧気体軸受の軸受面への可動体の接触
を回避できる結果、静圧気体軸受の軸受面にかじりを発
生させることがなく、しかも、所望の気体膜が形成され
ている場合には、転がり軸受の軸受面への可動体の接触
を回避できるために、高速に移動する可動体を、発熱又
は早期の摩耗等の問題を生じさせることなしに高精度に
且つ移動振動なしに可動に支持できる。
【0013】本発明の第二の態様の軸受装置では、第一
の態様の軸受装置において、静圧気体軸受は、距離δ2
の軸受隙間に噴出される圧縮気体を供給する手段を具備
している。
【0014】本発明の第三の態様の軸受装置では、第一
又は第二の態様の軸受装置において、静圧気体軸受は、
裏金と、この裏金の少なくとも一方の面に一体に接合さ
れた多孔質焼結金属層とを具備した多孔質静圧気体軸受
からなり、多孔質焼結金属層の粒界には無機物質粒子が
含有されている。
【0015】第三の態様の軸受装置によれば、多孔質焼
結金属層の粒界には無機物質粒子が含有されているの
で、多孔質焼結金属層の目詰りが抑制されて、理想的な
絞り構造となっており、而して、可動体と静圧気体軸受
との間の軸受隙間に所望の気体膜を形成できる。
【0016】なお、本発明の軸受装置において、多孔質
静圧気体軸受の軸受面となる多孔質焼結金属層の露出表
面の粗さを10−3mm以下にして、可動体の移動振動
を極力少なくするように構成するとよい。
【0017】本発明の第四の態様の軸受装置では、第三
の態様の軸受装置において、多孔質焼結金属層は、焼結
により裏金に一体に接合されている。
【0018】第四の態様の軸受装置によれば、多孔質焼
結金属層が裏金に焼結によって一体化されているので、
この接合部からの圧縮気体の漏洩をなくし得、無駄なく
可動体と静圧気体軸受との間の軸受隙間に所望の気体膜
を形成できる。
【0019】本発明の第五の態様の軸受装置では、第三
又は第四の態様の軸受装置において、多孔質焼結金属層
は、少なくとも錫、ニッケル、燐及び銅を含んでおり、
無機物質粒子は、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ
化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化
ケイ素のうちの少なくとも一つからなる。
【0020】本発明の第六の態様の軸受装置では、第三
から第五のいずれかの態様の軸受装置において、裏金
は、鉄及び鉄合金並びに銅及び銅合金よりなる群から選
ばれた金属からなる。
【0021】本発明の第七の態様の軸受装置では、第三
から第六のいずれかの態様の軸受装置において、圧縮気
体を供給する手段は、外部からの圧縮気体を多孔質焼結
金属層に導くように裏金に設けられた通路手段を具備し
ている。
【0022】本発明の第八の態様の軸受装置では、第三
から第七のいずれかの態様の軸受装置において、裏金
は、円筒状に形成されており、多孔質焼結金属層は、裏
金の円筒状内面に焼結されている。
【0023】本発明の第九の態様の軸受装置では、第一
から第八のいずれかの態様の軸受装置において、可動体
は、回転軸であって、静圧気体軸受及び転がり軸受は、
回転軸に対してラジアル軸受として用いられている。
【0024】本発明の第十の態様の軸受装置では、第一
から第八のいずれかの態様の軸受装置において、可動体
は、回転軸であって、静圧気体軸受及び転がり軸受は、
スラスト軸受として用いられている。
【0025】なお、本発明の軸受装置は、第九及び第十
の態様のように、ラジアル軸受又はスラスト軸受として
用いられていてもよいが、ラジアル軸受及びスラスト軸
受の両方に動作するように構成してもよい。
【0026】本発明の第十一の態様の軸受装置では、第
三から第七のいずれかの態様の軸受装置において、裏金
は平板状に形成されており、多孔質焼結金属層は、裏金
の平板状の一方の面に焼結されている。
【0027】本発明の第十二の態様の軸受装置では、第
一から第七のいずれか又は第十一の態様の軸受装置にお
いて、可動体は、直動体であって、静圧気体軸受及び転
がり軸受は、直動軸受として用いられている。
【0028】本発明の軸受装置は、第八から第十二の態
様のように、円筒状又は平板状であって、回転軸受又は
直動軸受であっても、更には、ラジアル又はスラスト軸
受として用いられてもよく、この場合、可動体として
は、回転軸であっても、直動体、すなわちいわゆるスラ
イダであってもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を、図に
示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、
本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0030】図1及び図2において、本例の軸受装置1
は、可動体としての回転軸2を静圧気体軸受3及び4と
転がり軸受5及び6とで、回転軸2に対してラジアル軸
受として可動に、すなわち軸心Aの周りでR方向に回転
自在に支持するようになっている。
【0031】静圧気体軸受3と4と及び転がり軸受5と
6とは、夫々互いに同様に構成されて同様に動作するの
で、以下、静圧気体軸受3と転がり軸受5とについて詳
細に説明する。
【0032】静圧気体軸受3は、鉄及び鉄合金並びに銅
及び銅合金よりなる群から選ばれた金属からなって、円
筒状に形成された裏金11と、裏金11の少なくとも一
方の面、本例では円筒状の内周面12に焼結されて当該
内周面12において裏金11に一体に接合されている円
筒状の多孔質焼結金属層13とを具備した多孔質静圧気
体軸受からなる。
【0033】裏金11には、外部からの圧縮気体を多孔
質焼結金属層13に導く通路手段15が設けられてお
り、通路手段15は、裏金11を貫通して当該裏金11
に形成された導入孔16と、内周面12において裏金1
1に形成された複数の環状溝17と、導入孔16に連通
すると共に、環状溝17を相互に連通させる導通溝18
とを具備している。
【0034】多孔質焼結金属層13は、少なくとも錫、
ニッケル、燐及び銅を含んでおり、多孔質焼結金属層1
3の粒界に含有される無機物質粒子は、塑性変形をする
ことがない無機物質であるところの、黒鉛、窒化ホウ
素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、酸化アルミニウ
ム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの少なくとも一つ
からなる。このような無機物質が多孔質焼結金属層13
の錫、ニッケル、燐及び銅に分散配合されていると、こ
のもの自体が機械加工によって塑性変形することがな
く、加えて、多孔質焼結金属層13の素地の金属部分の
塑性変形を分断し軽減する働きがあるため、機械加工に
おける多孔質焼結金属層13の目詰りを抑えることがで
きる。
【0035】回転軸2は、その大径部21の円筒状の外
表面22と多孔質焼結金属層13の円筒状の露出面であ
る内周面23との間に距離δ2の環状の軸受隙間24を
もって静圧気体軸受3を貫通して当該静圧気体軸受3に
挿着されており、静圧気体軸受3への所定圧の圧縮気体
の供給で、その大径部21において静圧気体軸受3に対
して距離δ2の軸受隙間24をもって軸心Aの周りでR
方向に回転できるようになっている。
【0036】転がり軸受5は、内輪31と、外輪32
と、内輪31と外輪32との間に配された多数の鋼球3
3とを具備している。回転軸2は、その小径部34の円
筒状の外表面35と内輪31の円筒状の内周面36との
間に距離δ1の環状の軸受隙間37をもって転がり軸受
5を貫通して当該転がり軸受5に挿着されており、静圧
気体軸受3への所定圧の圧縮気体の供給で、その小径部
34において転がり軸受5に対して距離δ1の軸受隙間
37をもって軸心Aの周りで回転できるようになってい
る。
【0037】軸受装置1では、回転軸2と転がり軸受5
との間の軸受隙間37の距離δ1を、回転軸2と静圧気
体軸受3との間の軸受隙間24の距離δ2よりも小さく
してなる。
【0038】以上の軸受装置1では、通路手段15を含
む圧縮気体を供給する手段により距離δ2の軸受隙間2
4に圧縮気体が噴出されて、軸受隙間24に所定圧の気
体膜が形成されると、回転軸2は、軸心Aに関してセン
タリングされて、内周面23及び36のいずれにも接触
しないようにして、高速回転自在となるように支持され
る。一方、静圧気体軸受3への圧縮気体の供給が停止さ
れるか又は供給される圧縮気体圧が低くなり、軸受隙間
24に所定圧の空気膜を形成し得なくなると、回転軸2
に対しての軸心Aに関するセンタリングが行われなくな
り、回転軸2は、軸心Aから偏心して回転されようとす
る。この偏心が一定以上になると、距離δ1が距離δ2
よりも小さいために、回転軸2は、内周面23に当接す
ることなしに、その小径部34で内周面36に当接して
転がり軸受5により回転自在に支持されるようになる。
【0039】このように軸受装置1では、転がり軸受5
の軸受隙間37の距離δ1の方が静圧気体軸受3の軸受
隙間24の距離δ2よりも小さいために、静圧気体軸受
3への圧縮気体の供給が停止されるか又は供給される圧
縮気体圧が低くなって、所望の気体膜が静圧気体軸受3
の軸受隙間24に生じなくなっても、転がり軸受5によ
って回転軸2が回転自在に支持されて、静圧気体軸受3
の軸受面である内周面23への回転軸2の接触を回避で
きる結果、静圧気体軸受3の内周面23にかじりを発生
させることがなく、しかも、所望の気体膜が形成されて
いる場合には、転がり軸受5の軸受面である内周面36
への回転軸2の接触を回避できるために、高速に回転す
る回転軸2を、発熱又は早期の摩耗等の問題を生じさせ
ることなしに高精度に且つ回転振動なしに回転自在に支
持できる。
【0040】また、軸受装置1によれば、多孔質焼結金
属層13の粒界には無機物質粒子が含有されているの
で、多孔質焼結金属層13の目詰りが抑制されて、理想
的な絞り構造となっており、而して、回転軸2と静圧気
体軸受3との間の軸受隙間24に所望の気体膜を形成で
き、加えて、多孔質焼結金属層13が裏金11に焼結に
よって一体化されているので、多孔質焼結金属層13と
裏金11との接合部39からの圧縮気体の漏洩をなくし
得、無駄なく軸受隙間24に所望の気体膜を形成でき
る。
【0041】上記の軸受装置1は、回転軸2のラジアル
軸受として用いた例であるが、これに代えて、図3に示
すように、回転軸のスラスト軸受として用いてもよい。
図3に示す軸受装置41は、円盤状のフランジ部42及
び43を有する回転軸44を静圧気体軸受45及び46
と転がり軸受47及び48とで、回転軸44のR方向の
回転において、スラスト方向、すなわち軸心A方向に関
して回転自在に支持するようになっている。
【0042】静圧気体軸受45と46と及び転がり軸受
47と48とは、互いに同様に構成されて同様に動作
し、静圧気体軸受45は、静圧気体軸受3の裏金11、
多孔質焼結金属層13及び通路手段15と同様の裏金5
1、多孔質焼結金属層52及び通路手段53を具備した
多孔質静圧気体軸受からなり、転がり軸受47は、転が
り軸受5の内輪31、外輪32及び鋼球33と同様の内
輪55、外輪56及び鋼球57を具備しており、軸受装
置41でも、軸受装置1と同様に、回転軸2のフランジ
部42と転がり軸受47の内輪55との間の軸受隙間6
1の距離δ1を、回転軸2のフランジ部43と静圧気体
軸受45の多孔質焼結金属層52との間の軸受隙間62
の距離δ2よりも小さくしてなる。
【0043】軸受装置41では、軸受隙間62に所定圧
の気体膜が形成されている場合には、回転軸44は、静
圧気体軸受45と46との間で軸心A方向に関してセン
タリングされて、静圧気体軸受45及び転がり軸受47
のいずれにも接触しないようにして、高速回転自在とな
るようにスラスト方向に関して支持され、軸受隙間62
に所定圧の空気膜が形成されない場合には、静圧気体軸
受45と46との間で軸心A方向に関して変位して回転
されようとし、この変位が一定以上になると、距離δ1
が距離δ2よりも小さいために、回転軸44のフランジ
部42は、例えば多孔質焼結金属層52に当接する前
に、内輪55に当接して転がり軸受47によりスラスト
方向に関して回転自在に支持されるようになる。したが
って、軸受装置41でも、軸受装置1と同様に、静圧気
体軸受45にかじりを発生させることがなく、しかも、
高速に回転する回転軸44を、発熱又は早期の摩耗等の
問題を生じさせることなしに高精度に且つ回転振動なし
にスラスト方向に関して回転自在に支持できる。
【0044】以上は、可動体として回転軸3又は44を
回転自在に支持する軸受装置の例であるが、図4から図
6に示すように可動体として直動体71をX方向に直動
自在に支持する直動軸受として軸受装置72を形成して
もよい。図4から図6に示す軸受装置72は、基台73
上に配された静圧気体軸受74及び転がり軸受75を具
備しており、静圧気体軸受74は、平板状であるが、裏
金11と同様に形成された裏金76と、裏金76の平板
状の一方の平坦な面77に、多孔質焼結金属層13と同
様にして焼結された多孔質焼結金属層78とを具備した
多孔質静圧気体軸受からなっており、転がり軸受75
は、X方向に転がり移動自在に基台73上に配された複
数の鋼球83を具備しており、裏金76には、通路手段
79として、裏金76を貫通して当該裏金76に形成さ
れた導入孔80と、導入孔80に連通すると共に、面7
7において裏金76に形成された複数の直線溝81と、
直線溝81を相互に連通させる複数の導通溝82とを具
備している。軸受装置72では、直動体71の下面85
と転がり軸受75の鋼球83との間の軸受隙間86の距
離δ1を、直動体71の下面85と静圧気体軸受74の
多孔質焼結金属層78の上面87との間の軸受隙間88
の距離δ2よりも小さくしてなる。
【0045】図4から図6に示す軸受装置72でも、軸
受隙間88に所定圧の気体膜が形成されている場合に
は、直動体71は、図4に示すように、多孔質焼結金属
層78から距離δ2だけ浮き上がって、多孔質焼結金属
層78及び鋼球83のいずれにも接触しないようにし
て、X方向に高速直動自在となるように支持され、軸受
隙間88に所定圧の空気膜が形成されない場合には、直
動体71と多孔質焼結金属層78との距離δ2が維持さ
れなくなり、直動体71が多孔質焼結金属層78に向か
って変位して、この変位が一定以上になると、距離δ1
が距離δ2よりも小さいために、直動体71は、図6に
示すように、多孔質焼結金属層78に当接する前に、鋼
球83に当接して転がり軸受75により軸受装置方向に
直動自在に支持されるようになる。したがって、軸受装
置72でも、軸受装置1及び41と同様に、静圧気体軸
受74にかじりを発生させることがなく、しかも、高速
に移動、すなわち直動する直動体71を、発熱又は早期
の摩耗等の問題を生じさせることなしに高精度に且つ振
動なしにX方向に直動自在に支持できる。
【0046】以上において、多孔質焼結金属層13、5
2又は78は、例えば、重量比で錫4〜10%、ニッケ
ル10〜40%、燐0.5〜4%、黒鉛3〜10%及び
残部銅からなる混合粉末を加圧成形して円筒状又は平板
状の圧粉体を製造し、この圧粉体を、鉄、鉄合金、銅又
は銅合金などからなる円筒状又は平板状の裏金11、5
1又は76の内周面に挿入し又は平坦表面に載置し、こ
れを還元性雰囲気もしくは真空中で800〜1150℃
の温度で20〜60分間焼結して形成する。焼結中、圧
粉体の内周面又は平坦表面を適宜の手段を用いて加圧し
て、圧粉体を裏金の内周面に又は平坦表面に押し付ける
とよい。圧粉体の製造においての圧粉圧力としては、2
〜7トン/cm程度が好ましい。
【0047】こうして裏金11、51又は76の一方の
面に焼結された多孔質焼結金属層13、52又は78を
具備した軸受素材を得て、得られた軸受素材の多孔質焼
結金属層13、52又は78の露出面を、その粗さが1
−3mm以下となるように、研削やラッピングにより
機械加工して、所望の多孔質静圧気体軸受を得る。
【0048】得られた多孔質静圧気体軸受では、多孔質
焼結金属層13、52又は78から噴出される気体の流
量が、機械加工前の軸受素材における流量の1/10〜
1/30程度になる。また、多孔質焼結金属層13、5
2又は78は、裏金11、51又は76との間に相互に
金属成分の拡散を生じ強固に密着一体化し、その密着強
度も1000kg/cm以上を示し、しかも、両者の
間には隙間はなく、この部分からの圧縮気体の漏れは皆
無であることが確認された。
【0049】なお、多孔質焼結金属層13、52又は7
8のための上記形成成分の混合粉末に有機質結合剤水溶
液を添加し、均一に混合して原料粉末とし、該原料粉末
を圧延ロールに供給して原料粉末からなる圧延シートを
形成し、この圧延シートを所望の寸法に切断し、切断し
た圧延シートを裏金11、51又は76の内周面に円筒
状にして挿入し又はそれ自体を裏金の平坦表面に載置
し、これを還元性雰囲気もしくは真空中で870〜11
50℃の温度で0.1〜5.0kgf/cmの圧力下
で20〜120分間焼結して、圧延シートの焼結と裏金
11、51又は76への拡散接合とを同時に行わせて、
裏金11、51又は76の一方の面に焼結された多孔質
焼結金属層13、52又は78を具備した軸受素材を形
成し、こうして得られた軸受素材の多孔質焼結金属層1
3、52又は78の露出面を上記と同様にして機械加工
して、所望の多孔質静圧気体軸受を得るようにしてもよ
い。
【0050】この例示の圧延シートの圧粉密度は、5.
48〜6.72g/cm、その厚さ1.38〜1.8
3mmであって、焼結時間及び温度の設定により、得ら
れる多孔質焼結金属層13、52又は78の密度および
多孔度は異なるが、概ね上述した条件で、焼結密度5.
15〜6.19g/cm、多孔質度(含油率換算)2
1.1〜34.1容積%であり、このように製造された
軸受素材でも、多孔質焼結金属層13、52又は78
は、裏金11、51又は76に拡散接合して一体化して
おり、接合部からの圧縮気体の漏洩は皆無であり、多孔
質静圧気体軸受として十分に満足して使用し得るもので
あることを確認した。
【0051】なお、多孔質焼結金属層13、52又は7
8の両環状端面又は周囲91及び92から気体が逃げ
て、当該多孔質焼結金属層13、52又は78からの気
体の吐出圧力が低下するのを防止するために、端面又は
周囲91及び92に接着剤等を塗り込んで封孔処理を行
うとよい。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、静圧気体軸受への圧縮
気体の供給が停止されるか又は供給される圧縮気体圧が
低くなっても、静圧気体軸受の軸受面にかじりを発生さ
せることなしに、しかも、高速に移動する可動体を、発
熱又は早期の摩耗等の問題を生じさせることなしに、高
精度に且つ移動振動なしに可動に支持できる軸受装置を
提供することができる。
【0053】また、本発明によれば、好ましい通気性と
平面度を有した軸受表面でもって可動体を高精度に且つ
移動振動なしに可動に支持できる軸受装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の一例の断面図で
ある。
【図2】図1に示す静圧気体軸受の拡大断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態の他の例の断面図
である。
【図4】本発明の好ましい実施の形態の更に他の例の断
面図である。
【図5】図4に示す静圧気体軸受の拡大断面図である。
【図6】図4に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 軸受装置 2 回転軸 3、4 静圧気体軸受 5、6 転がり軸受 24、37 軸受隙間 δ1、δ2 距離

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動体を静圧気体軸受と転がり軸受とで
    可動に支持する軸受装置であって、可動体と転がり軸受
    との間の軸受隙間の距離δ1を、可動体と静圧気体軸受
    との間の軸受隙間の距離δ2よりも小さくしてなる軸受
    装置。
  2. 【請求項2】 静圧気体軸受は、距離δ2の軸受隙間に
    噴出される圧縮気体を供給する手段を具備している請求
    項1に記載の軸受装置。
  3. 【請求項3】 静圧気体軸受は、裏金と、この裏金の少
    なくとも一方の面に一体に接合された多孔質焼結金属層
    とを具備した多孔質静圧気体軸受からなり、多孔質焼結
    金属層の粒界には無機物質粒子が含有されている請求項
    1又は2に記載の軸受装置。
  4. 【請求項4】 多孔質焼結金属層は、焼結により裏金に
    一体に接合されている請求項3に記載の軸受装置。
  5. 【請求項5】 多孔質焼結金属層は、少なくとも錫、ニ
    ッケル、燐及び銅を含んでおり、無機物質粒子は、黒
    鉛、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、酸化
    アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの少な
    くとも一つからなる請求項3又は4に記載の軸受装置。
  6. 【請求項6】 裏金は、鉄及び鉄合金並びに銅及び銅合
    金よりなる群から選ばれた金属からなる請求項3から5
    のいずれか一項に記載の軸受装置。
  7. 【請求項7】 圧縮気体を供給する手段は、外部からの
    圧縮気体を多孔質焼結金属層に導くように裏金に設けら
    れた通路手段を具備している請求項3から6のいずれか
    一項に記載の軸受装置。
  8. 【請求項8】 裏金は、円筒状に形成されており、多孔
    質焼結金属層は、裏金の円筒状内面に焼結されている請
    求項3から7のいずれか一項に記載の軸受装置。
  9. 【請求項9】 可動体は、回転軸であって、静圧気体軸
    受及び転がり軸受は、回転軸に対してラジアル軸受とし
    て用いられている請求項1から8のいずれか一項に記載
    の軸受装置。
  10. 【請求項10】 可動体は、回転軸であって、静圧気体
    軸受及び転がり軸受は、スラスト軸受として用いられて
    いる請求項1から8のいずれか一項に記載の軸受装置。
  11. 【請求項11】 裏金は平板状に形成されており、多孔
    質焼結金属層は、裏金の平板状の一方の面に焼結されて
    いる請求項3から7のいずれか一項に記載の軸受装置。
  12. 【請求項12】 可動体は、直動体であって、静圧気体
    軸受及び転がり軸受は、直動軸受として用いられている
    請求項1から7のいずれか一項又は請求項11に記載の
    軸受装置。
  13. 【請求項13】 請求項1から12のいずれか一項に記
    載の軸受装置に用いられる可動体、静圧気体軸受又は転
    がり軸受。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011095261A (ja) * 2009-10-29 2011-05-12 Bruker Biospin Corp 多孔質セラミック軸受を有するnmr用masのロータアセンブリ
JP2011241955A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Toshiba Mach Co Ltd ロールの軸受方法
CN105179482A (zh) * 2015-09-21 2015-12-23 宁波朗曼达工具有限公司 一种静动压主轴
KR20180066686A (ko) * 2016-12-09 2018-06-19 경북대학교 산학협력단 플레인 베어링, 및 이를 구비한 양극 회전형 엑스선관

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