JP2000336153A - 耐熱性ポリピロール及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性ポリピロール及びその製造方法

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JP2000336153A
JP2000336153A JP11148177A JP14817799A JP2000336153A JP 2000336153 A JP2000336153 A JP 2000336153A JP 11148177 A JP11148177 A JP 11148177A JP 14817799 A JP14817799 A JP 14817799A JP 2000336153 A JP2000336153 A JP 2000336153A
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polypyrrole
resistant
heat
polypropylene
polymerization
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JP11148177A
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English (en)
Inventor
Kunihiko Imanishi
邦彦 今西
Kenichiro Oda
健一郎 小田
Kazukiyo Aiba
一清 相場
Masami Kizaki
正美 木崎
Naomi Murakami
直美 村上
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温においてもドーパントが失われにくい高
導電性の高耐熱性ポリピロールを提供。 【解決手段】 ドーパントとして末端スルホン化ポリプ
ロピレンを用いた耐熱性ポリピロールであり、また末端
スルホン化ポリプロピレンを支持電解質として用い、電
解酸化重合する耐熱性ポリピロールの製造方法であり、
さらに末端スルホン化ポリプロピレンのFe(III)
塩を酸化剤として用い、化学酸化重合する耐熱性ポリピ
ロールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性ポリピロー
ル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、エレクトロニクスの進歩に伴いデ
バイスの小型化、軽量化、大容量化が求められ、そこに
使用される導電性高分子材料に対しても種々の物性が要
求されるようになってきている。特に、高導電性重合体
であるポリピロールは、電解コンデンサーやポリマーバ
ッテリーの電極等として様々な電子機器に用いられてい
るが、より大容量の電解コンデンサーの電極等として使
用される場合には、ハンダ付け処理等のより高温にさら
されることが多くなってきている。一般に、ポリピロー
ルは、重合の際、硫酸、硝酸などのプロトン酸やアルキ
ルスルホン酸塩などの界面活性剤などのアニオンをドー
プすることによって電気導電性を得ている。しかし、こ
のようにして製造されたポリピロールは、ハンダ付け等
の高温にさらされると、アニオンであるドーパントが失
われやすく、電気伝導度が低下し、性能が悪化するとい
う問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
においてもドーパントが失われにくい高導電性の高耐熱
性ポリピロールを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、ドーパントとして高
分子量の末端スルホン化ポリプロピレンを用いることに
より、高温化処理においても、脱ドープせず、電気伝導
度の低下の少ない高耐熱性ポリピロールが得られること
を見出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、ドーパントとして末
端スルホン化ポリプロピレンを用いた耐熱性ポリピロー
ルであり、また末端スルホン化ポリプロピレンを支持電
解質として用い、ピロールを電解酸化重合する耐熱性ポ
リピロールの製造方法であり、さらに末端スルホン化ポ
リプロピレンのFe(III)塩を酸化剤として用い、
ピロールを化学酸化重合する耐熱性ポリピロールの製造
方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の耐熱性ポリピロールは、
重合時にアニオンとして高分子量である末端スルホン化
ポリプロピレンをドープすることによって得られるが、
ポリピロールの合成には、電解酸化重合と化学酸化重合
の2種類の方法があり、どの方法を用いても本発明の耐
熱性ポリピロールを得ることができる。それらについて
以下に詳しく説明する。
【0007】1.末端スルホン化ポリプロピレン 本発明で用いる末端スルホン化ポリプロピレンは、ポリ
プロピレンの末端にスルホン基が導入されたポリプロピ
レン系ポリマーであり、ポリプロピレン又はエチレン−
プロピレンランダム共重合体の末端がスルホン基で修飾
され、かつ単分散に近いポリプロピレンである。ここで
ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体に限ら
ず、プロピレンと他のα−オレフィン(例えばエチレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テン等)との1種または2種以上のブロック共重合体を
包含する。
【0008】本発明で用いる末端スルホン化ポリプロピ
レンは、どのような方法で得られたものでも良いが、例
えば、特開平10−168125号公報に記載されてい
るような方法で製造されたものが好ましい。すなわち、
特定のバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とか
らなる触媒の存在下でプロピレンをリビング重合して得
られるポリプロピレンをスルホン基含有モノマーと反応
させることにより製造する。
【0009】プロピレンのリビング重合の触媒であるバ
ナジウム化合物としては、V(アセチルアセトナ
ト)、V(2−メチル−1,3−ブタンジオナ
ト)、V(1,3−ブタンジオナト)が好ましい。
また、有機アルミニウム化合物としては、炭素数1〜1
8個、好ましくは炭素数2〜6個を有する有機アルミニ
ウム化合物またはその混合物または錯化合物であり、例
えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキ
ルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセス
キハライドなどが挙げられる。
【0010】リビング重合反応は、重合反応に対して不
活性で、かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが好ま
しい。そのような溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素、
飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられる。プ
ロピレンの重合時の重合触媒の使用量はプロピレン1モ
ル当たりバナジウム化合物が1×10−4〜0.1モ
ル、好ましくは5×10−4〜5×10−2モルで、有
機アルミニウム化合物が1×10−4〜0.5モル、好
ましくは1×10−3〜0.1モルである。なお、バナ
ジウム化合物1モル当たり、有機アルミニウム化合物は
4〜100モル用いられるのが望ましい。
【0011】リビング重合は、通常−100℃〜100
℃で、0.5〜50時間行われる。得られるポリプロピ
レンの分子量は反応温度および反応時間を変えることに
より調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下に
することにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマ
ーとすることができる。−50℃以下ではMw(重量平
均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.05〜1.4
0の重合体とすることができる。また、重合時に、反応
促進剤を用いることができる。反応促進剤としては、ア
ニソール、水、酸素、アルコール(メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等)、エステル(安息香酸エチ
ル、酢酸エチル等)が挙げられる。反応促進剤の使用量
は、バナジウム化合物1モル当たり、通常0.001〜
2モルである。上記のようにして、約800〜400,
000の数平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポ
リプロピレンを製造できる。
【0012】次に、ポリプロピレンの末端にスルホン基
構造を導入するために、上記反応で得られたリビングポ
リマーに、スチレン又はその誘導体を反応させて、ポリ
プロピレンを末端修飾させた後、これをスルホン化処理
することによって、末端スルホン化ポリプロピレンが得
られる。スチレン又はその誘導体としては、スチレン、
ジビニルベンゼン、アリルスチレン、ブテニルスチレン
等が挙げられ、単独もしくは2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0013】リビングポリプロピレンとスチレン又はそ
の誘導体との反応は、リビングポリマーが存在する反応
系にスチレン又はその誘導体を供給し、−100〜15
0℃の温度で、5分〜50時間行う。反応温度を高くす
るか、反応時間を長くすることにより、スチレン又はそ
の誘導体によるポリプロピレン末端の変性率を増大する
ことができる。リビングポリプロピレン1モルに対し
て、スチレン又はその誘導体を1〜1000モル使用す
る。
【0014】リビングポリプロピレンとスチレン又はそ
の誘導体との反応物は、次いでプロトン供与体と接触さ
せる。プロトン供与体としては、メタノール、エタノー
ル、フェノール、塩酸、硫酸等が挙げられる。プロトン
供与体との接触は、通常−100℃〜100℃で1分〜
10時間行われる。プロトン供与体処理に引き続き、ス
ルホン化を行う。スルホン化は、慣用の方法で行うこと
ができ、例えば、上記で得られた末端修飾ポリプロピレ
ンに硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸を作用させる等
の方法が挙げられる。
【0015】上記のようにして得られた末端スルホン化
ポリプロピレンは約800〜500,000の数平均分
子量(Mn)を有し、かつ前記のポリプロピレンそのも
のを踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.
05〜1.40)を有する。しかも、その末端に、平均
して0.1〜500個、好ましくは0.5〜100個の
スルホン基含有末端構造を有する。またこのようにして
製造した末端スルホン化ポリプロピレンは、シンジオタ
クチックダイアッド分率が0.6以上であることが1つ
の特徴である。
【0016】2.ピロールの重合 (1)電解酸化重合 一般に電解酸化重合においては、重合しようとするモノ
マーを電解質溶液に溶解し、電解質溶液に電極対を浸漬
し、電圧を印加して電気化学的に陽極酸化重合して導電
性高分子を製造する方法であって、この場合、ドーパン
トとしては溶液に存在する電解質塩の陰イオンが導電性
高分子に導入される。本発明の耐熱性ポリピロールの電
解酸化重合にあたっては、末端スルホン化ポリプロピ
レンを支持電解質として、モノマーのピロールを溶媒に
溶解した電解質溶液に電極対を浸漬し、電気化学的に陽
極酸化してピロールを重合し、耐熱性ポリピロールを得
る方法、予め電極表面に末端スルホン化ポリプロピレ
ンのフィルムを形成させておき、その表面上で、ピロー
ルの電解酸化重合を行いポリピロール内に末端スルホン
化ポリプロピレンをドーパントとして導入して耐熱性ポ
リピロールを得る方法がある。
【0017】電解酸化重合に用いられる電極としては、
特に限定はないが、電気化学的酸化に対して安定である
ことが必要であり、例えば、白金、パラジウム、金、
銀、ニッケル、チタン、タンタル、ニオブ等の金属また
はこれらに類した導電性材料や炭素材料の電極を用いる
ことができる。また、電解酸化重合の電解液に用いられ
る溶媒としては、一般に電気化学反応に用いられる溶
媒、例えばアセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピレ
ンカーボネート、エチレンカーボネート、ニトロベンゼ
ン、テトラヒドロフラン、ニトロメタン、ジメチルホル
ムアミド等及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
【0018】電解酸化重合は、末端スルホン化ポリプロ
ピレンを溶媒に0.01〜2.0mol/lの濃度で加
えて支持電解質溶液とし、この支持電解質溶液にピロー
ルを0.01〜5.0mol/lの濃度で溶解させ、該
溶液に電極対を浸漬し、電極に電圧印加し、電解酸化重
合を行う。電解酸化重合時に加える電圧は、電極間で
1.0V以上、好ましくは3.0〜4.5Vである。ま
た、重合温度は、−50〜50℃が好ましく、−40〜
40℃がより好ましい。
【0019】(2)化学酸化重合 一般に化学酸化重合とは、酸化剤を用いる重合法であっ
て、酸化剤が還元されながら、生成される陰イオンがド
ーパントとして使われ、モノマーが重合される際に、重
合体に導入され導電性高分子を形成する。本発明の耐熱
性ポリピロールの化学酸化重合にあたっては、モノマー
のピロールを酸化剤の存在化に重合を行う際、末端スル
ホン化ポリプロピレンを酸化剤を構成するアニオンとし
て用いることにより、末端スルホン化ポリプロピレンが
導入された耐熱性ポリピロールを得ることができる。
【0020】末端スルホン化ポリプロピレンをアニオン
とする酸化剤としては、遷移金属塩化化合物、例えば、
Fe(III)塩、Cr(VI)塩等が挙げられる。化
学酸化重合は、溶媒中にピロールを溶解させた後、酸化
剤を加えて酸化重合する方法や酸化剤を含む溶液にピロ
ールを加えて酸化重合する方法か、あるいは酸化剤の成
形体にピロールの蒸気を接触させる方法等が挙げられ
る。
【0021】化学酸化重合において用いられる溶媒とし
ては、ポリピロールを溶解させるものであれば特に限定
されず、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系溶
媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、m−クレゾール、
ニトロベンゼン等の芳香族系炭化水素溶媒、テトラヒド
ロフラン、ヘキサン、アセトニトリル等の炭化水素系溶
媒、ニトロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶
媒等が挙げられる。また、重合温度は、−50〜50
℃、好ましくは−40〜40℃で行うのが好ましい。
【0022】3.耐熱性ポリピロール 上記のようにして得られる本発明の耐熱性ポリピロール
は、高分子量の末端スルホン化ポリプロピレンがドーパ
ントとして使用されているので、高温でも脱ドープせ
ず、電気伝導度が低下しない。従来のドーパントとして
p−トルエンスルホン酸あるいはドデシルベンゼンスル
ホン酸等を用いたポリピロールは、窒素中で昇温する
と、250℃でドーパントの一部が失われ、約5%程度
重量が減少し、電気伝導度が大幅に低下する。それに対
して、本発明の高分子量の末端スルホン化ポリプロピレ
ンをドーパントとして使用したポリピロールは、250
℃でほとんど重量減少が見られず電気伝導度の低下を抑
えることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明する。な
お、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものでは
ない。本実施例における試験方法は以下の通りである。 (1)電気伝導度(4端子法):ポリピロールフィルム
から20mm×2mmの試験用サンプルを切り出し、サ
ンプルの両末端及びその中間2箇所に金線と銀ペースト
で4つの端子を取り付ける。両末端に定電流をながし、
中間に取り付けた2つの端子間の電圧を測定する。中間
に取り付けた2端子間の長さ、幅、厚さを正確に測定す
る。電流I(mA)、電圧V(mV)、2端子間の長さ
L(cm)、幅W(cm)、厚さT(cm)から、次式
により電気伝導度(S/cm)を算出した。 電気伝導度=I×L/(V×T×W) (2)TGの測定:SEIKO TG200を用い、室
温から10℃/分で250℃まで昇温し、250℃で保
持し、熱減量を測定した。
【0024】合成例 (a)プロピレンのリビング重合 窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、トル
エン30mlを入れ、−60℃に冷却した。この温度で
液化プロピレン200ミリモルを加え、トルエンに溶解
した。次いで、15ミリモルのAl(CCl
のトルエン溶液および1.5ミリモルのV(2−メチル
−1,3−ブタンジオナート)のトルエン溶液を加
え、攪拌と共に重合を開始した。プロピレンの重合を−
60℃で1時間行った。
【0025】(b)スチレンとの反応 上記の反応系にスチレン7ミリモルを−60℃で添加
し、同温度で30分間反応させた。その後、この反応溶
液を500mlのエタノール中に注ぎ入れて、ポリマー
を析出させた。析出物をn−ヘキサンに溶解させ、遠心
分離により上澄み液を得た。この上澄み液を500ml
のメタノール中に注ぎ入れて、再度ポリマーを析出させ
た。得られたポリマーをメタノールで5回洗浄後、室温
で減圧乾燥し、1.47gのポリマーを得た。得られた
ポリマーの分子量及び分子量分布を、GPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)モデル150(Wa
ters社製)を用いて求めた。溶媒としてo−ジクロ
ロベンゼンを用い、測定温度135℃、溶媒流速1.0
ml/分にて行った。カラムはGMH6HT(商品名、
東ソー社製)を使用した。測定にあたり、東ソー社製の
単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検
量線を作成した。これにより、ユニバーサル法によりポ
リプロピレンの検量線を作成した。得られたポリマーの
GPC流出曲線は、単峰性であった。このポリマーの数
平均分子量(Mn)は4.2×10であり、分子量分
布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は
1.34と単分散に近い値であった。
【0026】(c)ポリマーの構造決定 得られたポリマーの構造決定を、IRとNMRで次のよ
うにして測定した。 IR:日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)
赤外線分光光度計を用いて、液膜法(KBr板)にて測
定した。1600cm−1付近にベンゼン環のC−C結
合の伸縮振動に基づく吸収、および700cm−1付近
にC−Hの面外変角振動に基づく吸収が観察された。 H−NMR:日本電子社製GSX−400(商品名)
フーリエ変換型NMRスペクトロメーターを用い、40
0MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件で測定し
た。試料は重クロロホルムに溶解して調製した。ポリプ
ロピレンのプロトンに起因するピーク(δ=0.7〜
1.7ppm)以外に、スチレンのベンゼン環のプロト
ンに起因するピーク(δ=6.3〜7.3ppm)が観
察された。ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ
=0.7〜1.7ppm)と、スチレンのベンゼン環の
プロトンに起因するピークのシグナルとの面積比から、
得られたポリマーは、ポリプロピレンの末端に平均して
7個のスチレンユニットが導入されたものであることが
判明した。
【0027】(d)スルホン化反応 窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、上記
で得られたポリマー1.0gとクロロホルム100ml
を入れ、ポリマーをクロロホルムに溶解させた。これを
−8℃に冷却、攪拌してクロルスルホン酸を1ミリモル
加え、この温度で2時間反応させた。次いで、1モル/
リットルの水酸化ナトリウム水溶液5mlを加えて、さ
らに1時間反応させた。この溶液を水で5回洗浄した
後、1リットルのメタノール中に注ぎ入れて、ポリマー
を沈殿させ、回収した。回収したポリマーは、室温で減
圧乾燥した。得られたポリマーを元素分析したところ、
S含量2.5重量%であった。すなわち、末端に導入さ
れたスチレンユニットの内、53モル%がスルホン化さ
れていた(末端スルホン化ポリプロピレン)。
【0028】実施例1(電解酸化重合) 十分に乾燥したガラス容器にピロール0.3mol/l
と支持電解質として合成例で得られた末端スルホン化ポ
リプロピレン0.01mol/lを溶解させたニトロベ
ンゼンを入れ、チタン板を電極とし、電極間距離を3m
m、電極電圧4V、室温でピロールの電解酸化重合を6
0分間行った。陽極上に得られたフィルムを引き剥が
し、アセトンで洗浄した後、減圧で乾燥し、ポリピロー
ルを得た。得られたポリピロールの電気伝導度を測定し
たところ、30S/cmであった。次に、窒素雰囲気下
でTG測定を行ったところ250℃までの重量減少は、
1%であった。また、250℃で1時間保持したサンプ
ルを室温で電気伝導度を測定したところ25S/cmで
あった。
【0029】実施例2(電解酸化重合) 合成例で得られた末端スルホン化ポリプロピレンをトル
エンに溶解させ、チタン板表面に塗布し、トルエンを乾
燥させ、チタン板表面に末端スルホン化ポリプロピレン
のフィルムを形成した。次に、十分に乾燥したガラス容
器にピロール0.3mol/lと支持電解質としてp−
トルエンスルホン酸0.01mol/lを溶解させたア
セトニトリルを入れ、表面に末端スルホン化ポリプロピ
レンのフィルムを形成したチタン板を電極とし、電極間
距離を3mm、電極電圧4V、室温でピロールの電解酸
化重合を60分間行った。陽極上に得られたフィルムを
引き剥がし、アセトンで洗浄した後、減圧で乾燥し、ポ
リピロールを得た。得られたポリピロールの電気伝導度
を測定したところ、15S/cmであった。次に、窒素
雰囲気下でTG測定を行ったところ250℃までの重量
減少は、1%であった。また、250℃で1時間保持し
たサンプルを室温で電気伝導度を測定したところ13S
/cmであった。
【0030】比較例1(電解酸化重合) 支持電解質として、末端スルホン化ポリプロピレンの代
わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)を用
いた以外は、実施例1と同様にして電解酸化重合を行っ
てポリピロールを得た。得られたポリピロールの電気伝
導度を測定したところ、40S/cmであった。次に、
窒素雰囲気下でTG測定を行ったところ250℃までの
重量減少は、6%であった。また、250℃で1時間保
持したサンプルを室温で電気伝導度を測定したところ5
S/cmであった。
【0031】実施例3(化学酸化重合) (1)末端スルホン化ポリプロピレン鉄塩の合成 十分に乾燥した3つ口フラスコに攪拌機と滴下ロートを
付け、窒素置換した後、合成例1で得られた末端スルホ
ン化ポリプロピレンのトルエン溶液(10重量%)を1
00mlフラスコに入れ、FeClのトルエン溶液2
00mlを室温で滴下した。滴下終了後、1時間攪拌
し、溶液をメタノール1000ml中に滴下し、析出し
た黄色のポリマーを回収した。さらにメタノールで3回
洗浄下後、減圧で乾燥後、9gの末端スルホン化ポリプ
ロピレン鉄塩を得た。
【0032】(2)ピロールの重合 (1)で得られた末端スルホン化ポリプロピレン鉄塩を
トルエンに溶解させ、ガラス板上に塗布し、乾燥した。
乾燥後、室温で、ピロール蒸気を満たしたデシケータ中
に末端スルホン化ポリプロピレン鉄塩を塗布したガラス
板を入れ、30分間ピロール蒸気に晒し、重合を行っ
た。30分後、デシケータから取り出し、メタノールで
洗浄した後、2時間減圧乾燥を行った。2時間後、ガラ
ス板からポリピロールフィルムを剥がし、電気伝導度を
測定したところ、3S/cmであった。次に、窒素雰囲
気下でこのフィルムのTG測定を行ったところ250℃
までの重量減少は、1.2%であった。また、250℃
で1時間保持したサンプルを室温で電気伝導度を測定し
たところ2S/cmであった。
【0033】比較例2(化学酸化重合) 末端スルホン化ポリプロピレン鉄塩の代わりにドデシル
ベンゼンスルホン酸鉄塩を使用し、実施例3と同様にし
てピロールの化学酸化重合を行った。得られたポリピロ
ールの電気伝導度を測定したところ、5S/cmであっ
た。次に、窒素雰囲気下でこのフィルムのTG測定を行
ったところ250℃までの重量減少は、9%であった。
また、250℃で1時間保持したサンプルを室温で電気
伝導度を測定したところ0.3S/cmであった。
【0034】
【発明の効果】本発明の耐熱性ポリピロールは、ドーパ
ントとして高分子量の末端スルホン化ポリプロピレンを
用いているので、高温下においても安定で、特に250
℃でほとんど重量減少がみられず、電気伝導度の低下も
わずかであり、ハンダ付け等の熱処理にも耐えられ、高
温で成形する固体電解コンデンサー等に使用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/822 (72)発明者 木崎 正美 埼玉県上福岡市中福岡371 (72)発明者 村上 直美 埼玉県川越市砂新田125−1−102 Fターム(参考) 4J002 BB262 CE001 GQ00 GQ02 4J032 BA13 BC01 BC13 BC21 BC25 BD02 CG01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドーパントとして末端スルホン化ポリプ
    ロピレンを用いた耐熱性ポリピロール。
  2. 【請求項2】 末端スルホン化ポリプロピレンを支持電
    解質として用い、ピロールを電解酸化重合する耐熱性ポ
    リピロールの製造方法。
  3. 【請求項3】 末端スルホン化ポリプロピレンのFe
    (III)塩を酸化剤として用い、ピロールを化学酸化
    重合する耐熱性ポリピロールの製造方法。
  4. 【請求項4】 末端スルホン化ポリプロピレンをドーパ
    ントとして含有する耐熱性ポリピロールを電極とした電
    解コンデンサ。
JP11148177A 1999-05-27 1999-05-27 耐熱性ポリピロール及びその製造方法 Pending JP2000336153A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009503184A (ja) * 2005-07-29 2009-01-29 スー・クワンスック 部分置換された高分子ドーパントを用いて合成された伝導性高分子

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