JP2000332294A - Iii族窒化物半導体素子 - Google Patents
Iii族窒化物半導体素子Info
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Abstract
層をSi単結晶基板上に安定して形成するために、緩衝
層が備えるべき構造を明らかにする。 【解決手段】珪素(Si)単結晶からなる基板上に、緩
衝層を介して、III族窒化物半導体結晶からなる積層
構造を形成する際に、緩衝層を、基板上に接して形成さ
れた砒素(As)またはリン(P)の少なくとも一方と
硼素(B)とを含むIII−V族化合物半導体からなる
第1の緩衝層と、第1の緩衝層上に形成されたIII族
窒化物半導体からなる第2の緩衝層とから構成する。
Description
晶基板上にIII族窒化物半導体結晶からなる積層構造
を形成して作製したIII族窒化物半導体素子であっ
て、上記積層構造が基板上に好適な緩衝層を介して設け
たものであるIII族窒化物半導体素子に関する。
化物半導体結晶層は、青色〜緑色のような短波長可視光
用の発光デバイス或いは高周波電子デバイス等に用いら
れる発光層やチャネル(channel)層等の活性層
を構成するために利用されている。
III族窒化物半導体結晶からなる積層構造は、もっぱ
ら六方晶(hexagonal)系のサファイア(Al
2O3単結晶)や炭化珪素(SiC)単結晶からなる基板
上に形成されていた(Jpn.J.Appl.Phy
s.,Vol.34、Pt.2、No.10(199
5)、L1332〜L1335頁)。
上に形成したIII族窒化物半導体結晶からなる積層構
造を用いて発光素子を構成する例がある(Appl.P
hys.Lett.,72(4)(1998)、415
〜417頁)。これは、ダイヤモンド(diamon
d)構造型のSi単結晶を基板とすれば、(1)[01
1]結晶方向への劈開を利用して個別素子(チップ)に
裁断できる、(2)半導体レーザー素子にあって、劈開
により簡便に光共振面を形成できる等の素子形成上の利
点があることに依る。加えて、導電性を有するSi単結
晶から基板を構成すれば、素子のオーミック(Ohmi
c)電極が都合良く形成できるからである。
urzite)型の六方晶窒化ガリウム(GaN)との
格子定数の差異(格子ミスマッチ度)は、約17%の大
きさに達する。このため、Si単結晶基板上には、Ga
Nの様なIII族窒化物半導体結晶からなる連続性のあ
る平滑な層を直接積層するのは困難であった。
(BP)からなる緩衝層を介して、III族窒化物半導
体結晶層を成長する技術が開示されている(特開平2−
275682号公報)。リン化硼素(BP)は、閃亜鉛
鉱結晶型のIII−V族化合物半導体であり、BP層の
形成に利用される温度は、従来850℃から1150℃
であった(特開平2−288371号及び特開平2−2
88388号各公報参照)。
1オングストローム)とBP(a=4.538オングス
トローム)との格子ミスマッチ度も約16.5%に達す
る。そのため、Si単結晶基板上に形成したBP層は、
通常は表面を平坦とする連続性のある層ではなく、四角
錐状のBPからなる成長島が散在した様な不連続層しか
得られないのが通例であった(「日本結晶成長学会
誌」、Vol.24(No.2)(1997)、150
頁参照)。このため従来技術では、Si基板上に連続性
のある平坦なBPからなる緩衝層を安定して形成するこ
とができず、その上に形成されるIII族窒化物半導体
結晶層も連続性のある良質な層とならないのが現状であ
った。
いてIII族窒化物半導体の積層構造を形成すると、前
述の如く素子作製上の様々な利点がある。しかし、従来
技術では、Si単結晶基板上に連続性を有するGaN等
のIII族窒化物半導体結晶層を直接積層させるのは困
難であった。
結晶層との格子の不整合性を緩和する目的で、従来のよ
うにBPからなる緩衝層を介してSi単結晶基板上にI
II族窒化物半導体結晶層を形成したところで、そもそ
もSi単結晶結晶上に連続性を有するBP層が積層でき
ないことにより、連続性の有る良質のIII族窒化物半
導体結晶層を得ることはできなかった。これは、Si単
結晶基板上に連続性のあるIII族窒化物半導体結晶層
を積層するために必要な緩衝層の構造が、従来明らかで
はなかったためである。
されたもので、基板材料としてSi単結晶が有する特質
を活用すべく、連続性のある良質のIII族窒化物半導
体結晶層をSi単結晶基板上に安定して形成するため
に、緩衝層が備えるべき構造を提示するものである。本
発明は、好適な緩衝層を介して連続性を有する良質なI
II族窒化物半導体結晶層から成る積層構造をSi単結
晶基板上に形成し、Si単結晶基板の有する素子作製上
の様々な利点を利用して、特性に優れるIII族窒化物
半導体素子を提供することを目的とする。
(Si)単結晶からなる基板と、該基板上に形成された
緩衝層と、該緩衝層上に形成されたIII族窒化物半導
体結晶からなる積層構造とを具備するIII族窒化物半
導体素子において、前記緩衝層が、前記基板上に接して
形成された砒素(As)またはリン(P)の少なくとも
一方と硼素(B)とを含むIII−V族化合物半導体か
らなる第1の緩衝層と、該第1の緩衝層上に形成された
III族窒化物半導体からなる第2の緩衝層とを有する
ことを特徴とする。
六方晶相と立方晶相とが交互に積層された結晶構造の領
域を内包する結晶層からなることを特徴とする。
化窒化硼素(BP1-XNX:0≦X<1)からなり、第2
の緩衝層が窒化アルミニウム・ガリウム(Al1-YGaY
N:0<Y≦1)からなることが望ましい。
第2の緩衝層が、200℃以上700℃以下の温度で、
気相成長方法により形成されたものであることを特徴と
する。
る砒素(As)またはリン(P)の少なくとも一方と硼
素(B)とを含むIII−V族化合物半導体結晶として
は、砒化硼素(BAs)やリン化硼素(BP)の2元化
合物がある。また、これらの混晶である砒化リン化硼素
(BAs1-APA:0<A<1)を用いることもできる。
更に、第V族構成元素として窒素(N)を含む砒化窒化
硼素(BAs1-BNB:0≦B≦1)や窒化リン化硼素
(BNCP1-C:0≦C≦1)を用いることもできる。本
発明では、上記のAsまたはPの少なくとも一方とBと
を含有するIII−V族化合物半導体結晶層を、Si単
結晶基板の表面に接合させる第1の緩衝層として配置す
る。
してIII族窒化物半導体結晶層を重層させる。この第
2の緩衝層をなすIII族窒化物半導体結晶層は、一般
式Al DGaEIn1-D-EN(0≦D≦1、0≦E≦1、
0≦D+E≦1)で示すIII族窒化物半導体から構成
できる。あるいは、As或いはP等の窒素以外の第V族
元素を含む一般式AlDGaEIn1-D-EN1-FMF(0≦
D≦1、0≦E≦1、0≦D+E≦1、Mは窒素以外の
第V族元素を表し、0≦F<1)で示すIII族窒化物
半導体から構成することもできる。
2の緩衝層を、Si単結晶基板表面に直接堆積するので
はなく、上記のIII−V族化合物半導体結晶層からな
る第1の緩衝層を介して積層させると、Si単結晶基板
との良好な密着性を有し、且つ連続性のある第2の緩衝
層を形成できる。すなわち、第1の緩衝層であるIII
−V族化合物半導体結晶層は、Si単結晶基板と第2の
緩衝層であるIII族窒化物半導体結晶層との間の密着
性を向上させると共に、第2の緩衝層の連続性を向上さ
せる働きをする。これが、Si単結晶基板と接する第1
の緩衝層の上にIII−V族化合物半導体結晶からなる
第2の緩衝層を配置する最たる理由である。
とに加えて、緩衝層上に積層するIII族窒化物半導体
結晶からなる積層構造が、Si単結晶基板との格子の不
整合性により結晶性を低下させるのを回避するために、
本発明の緩衝層の製造方法では、第1の緩衝層および第
2の緩衝層を、III族窒化物半導体結晶からなる積層
構造を形成する温度より低温で成長する。第1および第
2の緩衝層は、有機金属化学気相堆積法(MOCVD
法)、分子線エピタキシャル法(MBE法)、あるいは
ハロゲン(halogen)乃至ハイドライド(hyd
ride)気相成長法(VPE法)等の方法により形成
できる。本明細書では、上記の方法を総称して気相成長
方法と呼ぶ。例えばMOCVD法を用いる場合、第1の
緩衝層および第2の緩衝層の成長温度は、200℃以上
700℃以下の範囲とするのが望ましい。成長温度が2
00℃未満の低温では、MOCVD法の原料の熱分解が
進行し難いため、第1および第2の緩衝層の形成自体が
起こり難い。また、第1の緩衝層および第2の緩衝層を
700℃を越える高温で成長すると、第1および第2の
緩衝層が該層の形成の段階で単結晶の層と成り易く、そ
の上に形成する積層構造とSi単結晶基板との格子不整
合を充分に緩和できる緩衝層とはならない。
に係わる第1および第2の緩衝層を成長させる場合、更
に好ましくする利用できる温度は280℃以上580℃
以下の範囲である。これは、従来用いられていたBPか
らなる緩衝層の成長温度である850℃〜1150℃に
比較すれば、より低温である。上記の第1および第2の
緩衝層の成長のための好適な温度範囲は、他の気相成長
方法、例えば三塩化硼素(BCl3)と三塩化リン(P
Cl3)を原料とするハロゲンVPE法にも共通するも
のである。またMBE法に依る形成では、成長のための
好適な最低温度は、約320℃〜350℃とVPE法の
場合に比較して若干高温側に移行するが、最高温度はM
OCVD法の場合と殆ど変わらない。すなわち本発明に
おいて、気相成長方法により第1の緩衝層および第2の
緩衝層を成長する場合、その成長温度は、200℃以上
700℃以下の範囲とするのが望ましい。
m以上必要である。第1の緩衝層または第2の緩衝層の
厚さが1nm未満では、Si単結晶基板の表面に緩衝層
により被覆されない部分が生じるおそれがある。逆に、
第1の緩衝層または第2の緩衝層の厚さが約100nm
を越えると、該緩衝層の表面状態は損なわれたものとな
りやすい。従って、本発明の第1及び第2の緩衝層の層
厚は、各々1nm以上100nm以下とすることが望ま
しい。
層、特に第1の緩衝層に具備される特徴は、Si単結晶
基板との接合近傍の領域が単結晶を主体として構成され
ていることである。図2は、この本発明に係わる緩衝層
の特徴を説明するためのas−grown状態に於ける
緩衝層の断面構造を示す模式図である。図2において、
Si単結晶基板10の表面上には、III−V族化合物
半導体から成る第1の緩衝層11が接合されている。第
1の緩衝層11上には、III族窒化物半導体からなる
第2の緩衝層12が重層されている。第1の緩衝層11
と第2の緩衝層12とにより本発明の緩衝層13が構成
されている。先に述べた好ましい範囲内の温度で成長し
た第1の緩衝層11の特徴は、Si単結晶基板10との
接合界面10aの近傍の領域10bが単結晶層Sを主体
として構成されている点である。単結晶から主体的に構
成される領域10bの上方の領域10cは、非晶質Tを
主体とし多結晶Vを含むものである。第1の緩衝層11
上に成長された第2の緩衝層12は、第1の緩衝層11
の上方領域10cに含まれる多結晶Vを核として発達し
た単結晶Sと多結晶Vを含む場合もあるが、ほとんどが
非晶質Tを主体として構成される。この様な緩衝層13
の構成は、Si単結晶基板表面の面方位並びにミスオリ
エンテェーションが異なっても実現されるものである。
よりも高温でIII族窒化物半導体結晶層を成長し、積
層構造を形成する。積層構造を構成する各構成層は、M
OCVD法に依る成長手段の場合、約800℃から約1
000℃を越える温度で成長する。700℃以下の低温
で形成した第2の緩衝層の表面上に積層構造の構成層を
成長するためには、第2の緩衝層12の成長後、基板の
温度を構成層の成長温度に昇温させる必要がある。その
昇温過程に於いて、第2の緩衝層を主に構成する非晶質
が結晶化し、立方晶(cubic)相と六方晶(hex
agonal)相とが共存する結晶となる。更に、基板
を昇温する雰囲気を好適とすると、第2の緩衝層を六方
晶相と立方晶相とが交互に積層された結晶構造の領域を
内包する結晶層からなるものとすることができる。
成長した後の緩衝層の内部結晶構造を示す断面模式図で
ある。昇温に伴う非晶質の結晶化により、第2の緩衝層
12の内部は、閃亜鉛鉱型の立方晶から成る結晶相14
とウルツ鉱(wurzite)型の六方晶から成る結晶
相15とが共存する結晶構造となる。積層構造の構成層
16の形成温度に依存して、第2の緩衝層12の内部の
立方晶相14と六方晶相15の体積比率は変化する。形
成温度が低温である程、立方晶相14が占有する体積比
率は大となる傾向がある。立方晶相14と六方晶相15
とが相互に隣接して共存する状態にある領域17aに比
較して、立方晶相14と六方晶相15とが交互に積層し
た結晶構造からなる共存領域17bは、緩衝層上に形成
される積層構造の構成層16の結晶性を向上させるのに
特に有効に働く。これは、この様な異なる結晶系に属す
る結晶相が交互に積層した結晶構造では、立方晶の結晶
軸で[011]方向に積層欠陥(stacking f
ault)が発生して、基板10と積層構造の構成層1
6との格子定数の相違による格子歪を都合良く緩和でき
るからである。なお、この様な結晶系の異なる結晶が共
存する領域17a,17bは、第1の緩衝層11の内部
の非晶質であった部分にも発生する。
るIII族窒化物半導体結晶層を得るために、六方晶相
と立方晶相とが交互に積層された結晶構造の領域を内包
する結晶層を緩衝層として利用することが望ましい。立
方晶の結晶相14と六方晶の結晶相15とが交互に積層
した結晶構造からなる共存領域17bを第2の緩衝層内
に効率良く発生させるには、緩衝層13の成長後に積層
構造の構成層16の成長温度へ基板温度を昇温する際の
雰囲気の構成が重要となる。第2の緩衝層に立方晶相1
4と六方晶相15とが交互に積層した結晶構造からなる
共存領域17bを都合の良く形成するには、上記の昇温
時の雰囲気ガスを窒素を含み熱分解により窒素原子を放
出する物質からなる構成するのが好ましい。上記の窒素
を含む物質には、例えばアンモニア(NH3)やヒドラ
ジン(hydrazine)類がある。あるいはピリジ
ン(pyridine)等の有機窒素化合物も利用でき
る。しかし、比較的低温で高い分解効率を有する非対称
の分子構造をもつジメチルヒドラジン(di−meth
yl hydrazine)類が、雰囲気ガスを構成す
る物質として好適に使用できる。雰囲気ガスは、これら
の窒素を含む物質の単体から構成するのが最も好まし
い。また、上記の窒素を含む物質と窒素(N2)やアル
ゴン(Ar)等との混合気体を雰囲気ガスとして用いた
場合は、窒素を含む物質の体積比率を約70%を越える
ものとすると好結果がもたらされる。
s)またはリン(P)の少なくとも一方と硼素(B)と
を含むIII−V族化合物半導体材料は、Si単結晶基
板に堅牢に固着するため、基板上との密着性に優れる緩
衝層が構成できる。一例として本発明の緩衝層は、リン
化硼素(BP)からなる第1の緩衝層とGaNからなる
第2の緩衝層とから構成できる。また、第1の緩衝層を
BP0.97N0. 03とし、第2の緩衝層をAl1-YGaYN
(0<Y≦1)として構成できる。また、第1の緩衝層
としてBAs0.77N0.23、第2の構成層12としてGa
Nを用いることができる。特に第1の緩衝層が、リン化
窒化硼素(BP1-XNX:0≦X<1)からなる場合、基
板上との密着性に特に優れる緩衝層が得られる。
0.97N0.03や窒素組成比を23%とするBAs0.77N
0.23は、立方晶のGaNに略一致する約4.51オング
ストロームの格子定数を有する結晶である。そのため、
BP0.97N0.03やBAs0.77N0. 23から第1の緩衝層を
構成すると、その上に立方晶のGaNからなる第2の緩
衝層を設けることにより、第1の緩衝層と第2の緩衝層
とが格子整合した結晶性の良い緩衝層が構成できる。そ
の結果、結晶性の良いIII族窒化物半導体結晶からな
る積層構造の構成層を緩衝層上に形成することができ
る。このように、第1の緩衝層がリン化窒化硼素(BP
1-XNX:0≦X<1)からなり、第2の緩衝層が窒化ア
ルミニウム・ガリウム(Al1-YGaYN:0<Y≦1)
からなる緩衝層では、XおよびYの値を適当に選ぶこと
により、第1の緩衝層と第2の緩衝層の格子定数の一致
させ、結晶性の良い緩衝層を形成することができ、その
上部にIII族窒化物半導体結晶からなる結晶性の良い
積層構造の構成層を形成することができる。
るIII族窒化物半導体結晶からなる積層構造の構成層
を、第2の緩衝層と同じ組成の立方晶の結晶とすると、
第2の緩衝層と積層構造の構成層とを格子整合させるこ
とができ、結晶性の良い積層構造を得ることができる。
第2の緩衝層は、Al1-YGaYNから構成するのが好ま
しい。インジウム(In)を含有するIII族窒化物半
導体を用いると、低温での第2の緩衝層の形成に於いて
インジウムの液滴が発生して、第2の緩衝層の表面モフ
ォロジー(morphlogy)が劣化する場合があ
る。そのため第2の緩衝層は、インジウムを含むIII
族窒化物半導体結晶層から構成することは好ましくな
い。
窒化物半導体素子として発光ダイオード(LED)を作
製する場合を例にして具体的に説明する。図1は、本実
施例1に係わるLEDの構造を示す断面図である。LE
Dは、アンチモン(Sb)をドープした(001)面を
有するn形のSi単結晶からなる基板101と、該基板
101上に成長した緩衝層102と、緩衝層102上に
成長したIII族窒化物半導体結晶層からなる積層構造
106とを備えたものである。
層厚を約4nmとする緩衝層102は、第1の緩衝層1
02aと第2の緩衝層102bとから構成されている。
Si単結晶基板101の表面に直接接する第1の緩衝層
102aは、三塩化硼素(BCl3)と三塩化リン(P
Cl3)と水素(H2)とを用いるハライド(halyd
e)VPE法により、350℃で形成した。第1の緩衝
層102aは、層厚を約3nmとするリン化硼素(B
P)からなる。
緩衝層102bは、一般的な常圧MOCVD法により4
30℃で形成したアンドープの窒化ガリウム(GaN)
層からなる。第2の緩衝層102bの層厚は約1nmで
あった。
部の断面の結晶構造を、as−grown状態で透過型
電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果、第1の緩
衝層102a内の基板101との接合界面近傍の領域に
は、単結晶層が配置されているのが認められた。単結晶
層の厚さは約1nmであった。第1の緩衝層102a内
の単結晶層の上部並びに第2の緩衝層102bの全んど
は、非晶質から構成されていた。
体積混合比率を1:4とする窒素と非対称型のジメチル
ヒドラジンとの混合気体のみをMOCVD反応炉内に流
通して、基板を昇温するための雰囲気を創出した。次
に、上記の基板の温度を430℃から積層構造の成長温
度である1030℃まで、毎分約100℃の速度で上昇
させた。
部の断面の結晶構造を、TEMで観察した。その結果、
昇温後の緩衝層102の内部の結晶構造では、第1の緩
衝層102a及び第2の緩衝層102bに、立方晶相と
六方晶相が共存する領域が発生していた。特に第2の緩
衝層102bは、およそ全領域がこの共存領域で構成さ
れるものとなった。さらに、格子像を撮像してより詳細
に共存領域の構造を観察したところ、立方晶相と六方晶
相とが周期的に交互に積層した領域が大部分であった。
またその部分に、積層欠陥(積層不整)に起因するスト
リーク(streak)状の散漫散乱が認められた。立
方晶相と六方晶相とが交互に周期的に積層した結晶構造
内部でのこの積層欠陥の発生に依り、基板101と第1
の緩衝層102aとの界面で発生した欠陥が上部へ波及
するのが抑制されていることが認められた。
CVD法により1030℃で、ジシラン(Si2H6)を
使用してSiをドーピングした六方晶のn形の窒化ガリ
ウム(GaN)層103を成長した。GaN層103の
キャリア濃度は1.1×1018cm-3であり、層厚は3
μmであった。GaN層103の成長温度を1000℃
を越える高温に設定したため、n形GaN層103は六
方晶を主体とするものとなった。引き続きn形GaN層
103の表面上には、インジウム組成比を0.10とす
るn形窒化ガリウム・インジウム混晶(Ga0.90In
0.10N)層104を成長した。Ga0.90In0.10N層1
04のキャリア濃度は4×1017cm-3であり、層厚は
0.9nmとした。Ga0.90In0.10N層104は、イ
ンジウム組成を相違する相(phase)からなる多相
構造の結晶層であった。Ga0.90In0.10N層104上
には、アルミニウム組成に勾配を付したマグネシウム
(Mg)ドープのp形窒化アルミニウム・ガリウム(A
lxGa1-xN)層105を積層した。AlxGa1-xN層
105内のAl組成は、層厚の増加方向にAl組成xが
0.20から0に単調に直線的に減少するよう設定し
た。AlxGa1 -xN層105の層厚は0.2μmとし
た。上記のn形GaN層103、Ga0.90In0.10N層
104、AlxGa1-xN層105を積層構造の構成層と
して、III族窒化物半導体結晶からなる積層構造10
6を構成した。このようにして形成したLED用のエピ
タキシャルウェハの発光部は、上記のn形GaN層10
3を下部クラッド層とし、n形Ga0.90In0.10N層1
04を発光層とし、上記のようにAl組成に勾配を付し
た六方晶のAlxGa1-xN層105を上部クラッド層と
して構成されている。
4、105は、本発明に係わる緩衝層102上に形成さ
れているため、何れも連続性を有する結晶性に優れた結
晶層となった。
裏面にn形オーミック電極108を、上部クラッド層の
AlxGa1-xN層105の表面にp形オーミック電極1
07を各々形成し、その後Si単結晶基板の劈開を利用
して素子に分離して作製した。p形およびn形のオーミ
ック電極107、108は共にAlから構成した。
0ミリアンペア(mA)の動作電流を通流して、LED
を発光させた。LEDからは、発光中心波長を約455
nmとし、半値幅を約12nmとするスペクトルを有す
る青色の光が出射された。一般的な積分球を利用して測
定されたLEDの発光強度は約20マイクロワット(μ
W)となった。
施例1に記載したものとは異なる構造を有するLEDを
作製する場合を例にして、本発明の内容を説明する。
構造を有するLEDを作製した。Si単結晶基板101
は、実施例1と同じものを用いた。本実施例2では、S
i単結晶基板101上に、ジボラン(B2H6)/ホスフ
ィン(PH3)/水素(H2)を用いた減圧MOCVD法
で、460℃でBP0.97N0. 03からなる第1の緩衝層1
02aを形成した。また第1の緩衝層102a上には、
MOCVD法で同様にして、第2の緩衝層102bとし
てAl組成を0.10とするSiドープのAl0.10Ga
0.90Nからなる層を形成した。このようにして、第1の
緩衝層102aの層厚を約1.5nmとし、第2の緩衝
層の層厚を約1.7nmとする合計の層厚が約3.2n
mの緩衝層102を形成した。as−grown状態で
の緩衝層102の内部の結晶構造は、実施例1に記載の
緩衝層の結晶構造と類似のものとなった。
ジメチルヒドラジンとアルゴンの割合を9:1とする混
合気体の雰囲気中で、昇温速度を60℃/分に設定し
て、基板の温度を850℃に昇温した。この昇温によ
り、第1及び第2の緩衝層を、立方晶相と六方晶相とが
共存する結晶からなるものにした。
非対称ジメチルヒドラジンと三塩化ガリウム(GaCl
3)をそれぞれ窒素原料及びGa原料とするVPE法に
より、実施例1と同様のn形GaN層103、Ga0.90
In0.10N層104、AlxGa1-xN層105を順次積
層し、積層構造106を形成した。
格子定数に略一致するBP0.97N0.03(格子定数=4.
51オングストローム)から構成したことと、実施例1
より低温の850℃でIII族窒化物半導体結晶からな
る積層構造106を積層したことにより、上記の積層構
造106の構成層103、104、105は、立方晶を
主体としていることが反射電子線回折(RHEED)法
により確認された。
ウェハに、実施例1に準じてp形及びn形オーミック電
極107、108を設け、素子に分離してLEDを作製
した。このLEDに、順方向に20mAの電流を通流し
た際には、中心波長を470nmとする青色の発光が得
られた。本実施例2のLEDは、実施例1のLEDと比
較して発光波長が約15nm長波長となった。発光スペ
クトルの半値幅は約10nmと実施例1のLEDに比較
し狭くなった。また、一般的な積分球を使用して測定さ
れるLEDの発光強度は約18μWであった。
のある良質のIII族窒化物半導体結晶層をSi単結晶
基板上に安定して形成するために、緩衝層が備えるべき
構造を明らかにした。その結果、連続性を有する良質な
III族窒化物半導体結晶層から成る積層構造をSi単
結晶基板上に形成することができ、Si単結晶基板の有
する素子作製上の様々な利点を利用して、特性に優れる
III族窒化物半導体素子を提供することができた。な
お上記の実施例では、Si単結晶基板上に形成したII
I族窒化物半導体結晶層からなる積層構造を用いて高輝
度のLEDを作製した例を示したが、本発明は半導体レ
ーザやFETのような他のIII族窒化物半導体素子の
作製にも用いることができる。
面図。
於ける断面構造を示す模式図。
す断面模式図。
領域 17b 立方晶相と六方晶相とが交互に積層して共存し
ている領域 S 単結晶 T 非晶質 V 多結晶
Claims (4)
- 【請求項1】珪素(Si)単結晶からなる基板と、該基
板上に形成された緩衝層と、該緩衝層上に形成されたI
II族窒化物半導体結晶からなる積層構造とを具備する
III族窒化物半導体素子において、前記緩衝層が、前
記基板上に接して形成された砒素(As)またはリン
(P)の少なくとも一方と硼素(B)とを含むIII−
V族化合物半導体からなる第1の緩衝層と、該第1の緩
衝層上に形成されたIII族窒化物半導体からなる第2
の緩衝層とを有することを特徴とするIII族窒化物半
導体素子。 - 【請求項2】前記第2の緩衝層が、六方晶相と立方晶相
とが交互に積層された結晶構造の領域を内包する結晶層
からなることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒
化物半導体素子。 - 【請求項3】前記第1の緩衝層がリン化窒化硼素(BP
1-XNX:0≦X<1)からなり、前記第2の緩衝層が窒
化アルミニウム・ガリウム(Al1-YGaYN:0<Y≦
1)からなることを特徴とする請求項1または2に記載
のIII族窒化物半導体素子。 - 【請求項4】前記第1の緩衝層および第2の緩衝層が、
200℃以上700℃以下の温度で、気相成長方法によ
り形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至
3のうちの1項に記載のIII族窒化物半導体素子。
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---|---|---|---|
JP14152099A JP4174910B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | Iii族窒化物半導体素子 |
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JP4174910B2 JP4174910B2 (ja) | 2008-11-05 |
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JP14152099A Expired - Fee Related JP4174910B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | Iii族窒化物半導体素子 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003536257A (ja) * | 2000-06-09 | 2003-12-02 | セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク | 窒化ガリウムのコーティングの製造方法 |
US6716655B2 (en) | 2001-06-05 | 2004-04-06 | Toyoda Gosei Co., Ltd. | Group III nitride compound semiconductor element and method for producing the same |
JP2005129856A (ja) * | 2003-10-27 | 2005-05-19 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 半導体電子デバイス |
JP2014003056A (ja) * | 2012-06-15 | 2014-01-09 | Nagoya Institute Of Technology | 半導体積層構造およびこれを用いた半導体素子 |
-
1999
- 1999-05-21 JP JP14152099A patent/JP4174910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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