JP2000328059A - 液晶組成物、液晶素子及びその駆動方法 - Google Patents

液晶組成物、液晶素子及びその駆動方法

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JP2000328059A JP11139390A JP13939099A JP2000328059A JP 2000328059 A JP2000328059 A JP 2000328059A JP 11139390 A JP11139390 A JP 11139390A JP 13939099 A JP13939099 A JP 13939099A JP 2000328059 A JP2000328059 A JP 2000328059A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カイラルスメクチック液晶を用いたアクティ
ブマトリクスタイプの液晶素子において、ヒステリシス
に基づく残像や経時的な配向の劣化、焼き付きを防止し
て信頼性の高い液晶素子を提供する。 【解決手段】 液晶として、スメクチック相または潜在
的スメクチック相を持つフッ素含有液晶化合物であっ
て、(a)カイラルまたはアカイラルな、少なくとも一
つの連鎖中エーテル酸素を有していてもよいフルオロケ
ミカル末端部分と、(b)カイラルまたはアカイラルな
炭化水素末端部分と、(c)上記(a)末端部分と
(b)末端部分とを結んでいる中央コア部分からなるフ
ッ素含有液晶化合物を含有し、連鎖中エーテル酸素を有
していないフルオロケミカル末端部分を持つフッ素含有
液晶化合物を10重量%含有するカイラルスメクチック
液晶組成物を用いて、アクティブマトリクスタイプの液
晶素子を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットパネルデ
ィスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンタ
ー等に用いられるライトバルブに使用される液晶組成
物、液晶素子及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から最も広範に用いられてきている
ディスプレイとしてはCRTが、テレビやVTRなどの
動画出力、或いはパーソナルコンピュータ等のモニター
として広く用いられている。しかしながら、CRTはそ
の特性上、静止画像に対してはフリッカや解像度不足に
よる走査縞等が視認性を低下させたり、焼き付きによる
蛍光体の劣化が起こったりする。また、最近ではCRT
が発生する電磁波が人体に悪影響を与えることがわか
り、VDT作業者の健康を害することが懸念されてい
る。そして、CRTはその構造上、画面後方に広く体積
を有することが必須であることから、情報機器の利便性
を著しく阻害し、オフィス、家庭の省スペース化を阻害
している。このようなCRTの欠点を解決するものとし
て液晶素子がある。例えば、M.シャット(M.Sch
adt)とW.ヘルフリッヒ(W.Helfrich)
著、アプライド・フィジックス・レターズ(Appli
ed Physics Letters)第18巻、第
4号(1971年2月15日発行)第127頁〜128
頁において示されたツイステッドネマチック(twis
ted nematic)液晶を用いたものが知られて
いる。近年、このタイプの液晶を用いてTFT(薄膜ト
ランジスタ)タイプと呼ばれる液晶素子の開発、製品化
が行われている。このタイプの液晶素子は、一つ一つの
画素にトランジスタを作製するものであり、クロストー
クの問題がなく、また、近年の急速な生産技術の進歩に
よって10〜12インチクラスのディスプレイがよい生
産性で作られている。しかしながら、さらに大きなサイ
ズ或いは動画を問題なく再現できるという点の60Hz
以上のフレーム周波数という点では、未だ生産性、液晶
の応答速度、視野角に問題が存在している。
【0003】一方、自発分極をスイッチングトルクとす
る液晶素子が、クラーク(Clark)及びラガウェル
(Lagerwall)により提案されている(特開昭
56−107216号公報、米国特許第4367924
号明細書)カイラルスメクチック液晶素子がある。この
素子に用いる液晶としては、一般にカイラルスメクチッ
クC相またはカイラルスメクチックH相を有する強誘電
性液晶が用いられている。この強誘電性液晶は、自発分
極により反転スイッチングを行うため、非常に早い応答
速度を有し、さらに視野角特性も優れていることから、
高速、高精細、大面積の単純マトリクス表示素子或いは
ライトバルブとして適していると考えられる。また、最
近ではチャンダニ、竹添らにより、カイラルスメクチッ
ク反強誘電性液晶素子も提案されている(ジャパニーズ
・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Ja
panese Journal of Applied
Physics)第27巻、1988年L729頁)。
そして、最近、この反強誘電性液晶材料のうち、しきい
値レスで、ヒステリシスが小さく、階調表示に有利な特
性を有するV字型応答特性が発見された(例えば、ジャ
パニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジック
ス 第36巻、1997年、第3586頁)。また、自
発分極をスイッチングトルクとするV字スイッチング液
晶としては、単安定表面安定化FLC(例えば、ジャー
ナル・オブ・アプライド・フィジックス 第61巻、1
987年、第2400頁)、デフォームドヘリックスF
LC(例えば、フェロエレクトリクス 第85巻、19
88年、第173頁)、ツイストスメクチックFLC
(例えば、アプライド・フィジックス・レターズ 第6
0巻、1992年、第280頁)、しきい値レス反強誘
電性液晶、高分子液晶安定化FLC(例えば、SID’
96 ダイジェスト 1996年、第699頁)などが
ある。これらの液晶を用い、アクティブマトリクスタイ
プの液晶素子とし、高速のディスプレイを実現しようと
いう動きが活発になってきている(例えば、特開平9−
50049号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記強
誘電性を有するカイラルスメクチック液晶を用いたアク
ティブマトリクスタイプの液晶素子においては、ヒステ
リシスに基づく残像、経時的な配向の劣化、焼き付き等
信頼性の面で尚問題があり、この面での改善が強く求め
られている。
【0005】また、強誘電性を有するカイラルスメクチ
ック液晶を用いたアクティブマトリクスタイプの液晶素
子においては、液晶の有する自発分極が液晶に印加され
るスイッチング電圧を著しく降下させることが知られて
おり、該自発分極の低減化が大きな課題となっている。
また、液晶材料の信頼性の面では、ネマチック系液晶材
料に比べて著しく遅れており、なお様々な課題が残って
いる。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、その課題とするところは、高速応
答、高画質、高信頼性のカイラルスメクチック液晶材料
を提供し、該液晶材料を用いて高性能の液晶素子を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、以下の構成をとることにより、上記課題
を解決し、高速応答、高画質、高信頼性の液晶素子が実
現することを見出し、本発明を達成した。
【0008】即ち本発明の第一の液晶素子は、対向する
一対の基板間に液晶を狭持してなり、複数の画素をマト
リクス駆動するための電極と画素毎にアクティブ素子を
備えた液晶素子であって、上記液晶が少なくとも2つの
安定状態を有し、且つ、スメクチック相または潜在的ス
メクチック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、
(a)カイラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの
連鎖中エーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカ
ル末端部分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化
水素末端部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末
端部分とを結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有
液晶化合物を含有し、連鎖中エーテル酸素を有していな
いフルオロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合
物を10重量%含有するカイラルスメクチック液晶組成
物であることを特徴とする。
【0009】また、本発明は、上記本発明の第一の液晶
素子の駆動方法であって、交互に極性の異なるリセット
信号と書き込み信号を印加し、書き込み信号に応じた階
調表示を行うことを特徴とする駆動方法を提供するもの
である。
【0010】さらに、本発明の液晶組成物は、スメクチ
ック相または潜在的スメクチック相を持つフッ素含有液
晶化合物であって、(a)カイラルまたはアカイラル
な、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を有していて
もよいフルオロケミカル末端部分と、(b)ラセミでな
いアカイラルな炭化水素末端部分と、(c)上記(a)
末端部分と(b)末端部分とを結んでいる中央コア部分
からなるフッ素含有液晶化合物を含有し、ラセミまたは
自発分極が相殺関係にある複数のカイラルなフッ素含有
液晶化合物を30重量%以上含有していることを特徴と
する液晶組成物であり、本発明の第二の液晶素子は、対
向する一対の基板間に液晶を狭持してなり、複数の画素
をマトリクス駆動するための電極と画素毎にアクティブ
素子を備えた液晶素子であって、上記液晶が少なくとも
2つの安定状態を有し、且つ上記本発明の液晶組成物で
あることを特徴とする。またさらに、本発明は、上記本
発明第二の液晶素子の駆動方法として、交互に極性の異
なるリセット信号と書き込み信号を印加し、書き込み信
号に応じた階調表示を行うことを特徴とする駆動方法を
提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明にかかる液晶につい
て説明する。本発明の第一の液晶素子に用いられる液晶
組成物は、スメクチック相または潜在的スメクチック相
を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)カイラル
またはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エーテル
酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部分と、
(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端部分
と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分とを結
んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合物を
含有し、連鎖中エーテル酸素を有していないフルオロケ
ミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合物を10重量
%含有するカイラルスメクチック液晶組成物である。
【0012】また、本発明の第二の液晶素子に用いられ
る、本発明の液晶組成物は、スメクチック相または潜在
的スメクチック相を持つフッ素含有液晶化合物であっ
て、(a)カイラルまたはアカイラルな、少なくとも一
つの連鎖中エーテル酸素を有していてもよいフルオロケ
ミカル末端部分と、(b)ラセミでないアカイラルな炭
化水素末端部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)
末端部分とを結んでいる中央コア部分からなるフッ素含
有液晶化合物を含有し、ラセミまたは自発分極が相殺関
係にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物を30
重量%以上含有している液晶組成物である。
【0013】本発明第一の液晶素子に用いられる液晶組
成物に用いられる、スメクチック相または潜在的スメク
チック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)
カイラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中
エーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端
部分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末
端部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分
とを結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化
合物は、例えば、米国特許第5,082,587号明細
書、WO93/22396号、米国特許第5,482,
650号明細書、WO96/33251号等に記載され
ている化合物が挙げられ、具体的には、以下の一般式
(1)、(2)、(3)で表される化合物が好ましい構
造として例示される。
【0014】
【化1】 を表わす。
【0015】a,b,cは夫々独立に0又は1〜3の整
数(但し、a+b+cは少なくとも1である)を表わ
す。
【0016】A及びBは夫々独立に下記のグループ(方
向は問わない)より選択される(kは1〜4の整数であ
る)。
【0017】共有結合、−CO−O−、−CO−S−、
−CO−Se−、−CO−Te−、−(CH2CH2k
−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−C
2−O−、−CO−、−O−
【0018】X,Y,Zは夫々独立に、−H、−Cl、
−F、−Br、−I、−OH、−OCH3、−CH3、−
CF3、−OCF3、−CN、−NO2より選択される。
【0019】l,m,nは夫々独立に0又は1〜4の整
数を表わす。
【0020】Dは下記のグループ(方向は問わない)よ
り選択される。
【0021】共有結合、−CO−O−Cr2r−、−O
−Cr2r−、−O−OC−Cr2r−、−C≡C−、−
CH=CH−、−CO−、−O−(Cs2sO)t−Cr'
2r'−、−Cr2r−、−(Cs2sO)t−Cr'2r'
−、−O−、−S−、−OSO2−、−SO2−、−SO
2−Cr2r−、−Cr2r−N(Cp2p+1)−SO
2−、−N(Cp2p+1)−、−Cr2r−N(C
p2p+1)−CO−、−CH=N−、及びこれらの組み
合わせ。ここで、r及びr’は独立に0〜20の整数、
sは各(Cs2sO)について独立に1〜10の整数、
tは1〜6の整数、pは0〜4の整数である。
【0022】Rは、−O−((Cq'2q'-v'−(R’)
v')−O)w−Cq2q+1-v−(R’)v、−((Cq'
2q'-v'−(R’)v')−O)w−Cq2q+1-v−(R’)
v、−CO−O−Cq2q+1-v−(R’)v、−O−OC
−Cq2q+1-v−(R’)v
【0023】
【化2】 −CR’H−(D)g−CR’H−Cq2q+1-v
(R’)v、を表わし、R’は独立に、−Cl、−F、
−CF3、−NO2、−CN、−H、−Cq2q+1、−O
−OC−Cq2q+1、−CO−O−Cq2q+1、−Br、
−OH、−OCq2q+1を表す。q’は各(Cq'2q'
O)について独立に1〜20の整数、qは1〜20の整
数、wは0〜10の整数、vは0〜6の整数、各v’は
独立に0〜6の整数、gは1〜3の整数である。各Dは
独立に前記Dが選択されるグループ(方向は問わない)
から選択される(但し、Dを含む環は3〜10の原子か
ら環が構成される)。各Wは独立にN、CR’、SiR
から選択される。Rはカイラルもしくはアカイラルであ
る。
【0024】Rf’は−R*−D−(O)x−CH2−D’
−Rfを表わし、ここでR*は環状或いは鎖状のカイラル
部分である。D及びD’は夫々独立に前記Dが選択され
るグループ(方向を問わない)から選択される。xは0
又は1の整数、Rfはフルオロアルキル基、パーフルオ
ロアルキル基、フルオロエーテル基、パーフルオロエー
テル基を表わす。
【0025】
【化3】 を表わす。
【0026】a,b,cは夫々独立に0又は1〜3の整
数(但し、a+b+cは少なくとも2である)を表わ
す。
【0027】A及びBは夫々独立に下記のグループ(方
向は問わない)より選択される(kは1〜4の整数であ
る)。
【0028】共有結合、−CO−O−、−CO−S−、
−CO−Se−、−CO−Te−、−(CH2CH2k
−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−C
2−O−、−CO−、−O−
【0029】X,Y,Zは夫々独立に、−H、−Cl、
−F、−Br、−I、−OH、−OCH3、−CH3、−
CF3、−OCF3、−CN、−NO2より選択される。
【0030】l,m,nは夫々独立に0又は1〜4の整
数を表わす。
【0031】Dは下記のグループ(方向は問わない)よ
り選択される。
【0032】共有結合、−CO−O−Cr2r−、−O
−Cr2r−、−O−(Cs2sO)t−Cr'2r'−、−
r2r−、−OSO2−、−SO2−、−SO2−Cr
2r−、−Cr2r−N(Cp2p+1)−SO2−、−Cr
2r−N(Cp2p+1)−CO−。ここで、r及びr’は
独立に1〜20の整数、sは各(Cs2sO)について
独立に1〜10の整数、tは1〜6の整数、pは0〜4
の整数である。
【0033】Rは、直鎖状或いは分岐状のいずれでもよ
く、−O−(Cq2q−O)w−Cq'2q'+1、−(Cq
2q−O)w−Cq'2q'+1、−Cq2q−R’、−O−Cq
2q−R’、−CO−O−Cq2q−R’、−O−OC
−Cq2q−R’である。ここでR’は−Cl、−F、
−CF3、−NO2、−CN、−H、−O−OC−Cq'
2q'+1、−CO−O−Cq'2q'+1のいずれかである。q及
びq’は夫々独立に1〜20、wは1〜10である。
【0034】Rfは−(CF2w'−O−(Cx2xO)z
y2y+1であり、ここでw’は5〜16の整数、xは
各(Cx2xO)について夫々独立に1〜10の整数、
yは1〜10の整数、zは1〜10の整数である。
【0035】
【化4】 を表わす。
【0036】a,b,cは夫々独立に0又は1〜3の整
数(但し、a+b+cは少なくとも2である)を表わ
す。
【0037】A及びBは夫々独立に下記のグループ(方
向は問わない)より選択される。
【0038】共有結合、−CO−O−、−CO−S−、
−CO−Se−、−CO−Te−、−CH2CH2−、−
CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−CH2
O−、−CO−、−O−
【0039】X,Y,Zは夫々独立に、−H、−Cl、
−F、−Br、−I、−OH、−OCH3、−CH3、−
CN、−NO2より選択される。
【0040】l,m,nは夫々独立に0又は1〜4の整
数を表わす。
【0041】Dは−CO−O−Cr2r−、−O−Cr
2r−、−Cr2r−、−OSO2−、−SO2−、−SO2
−Cr2r−、−O−Cr2r−O−Cr'2r'−、−Cr
2r−N(Cp2p+1)−SO2−、−Cr2r−N(Cp
2p+1)−CO−である。ここで、r及びr’は独立に
1〜20の整数、pは0〜4の整数である。
【0042】Rは、直鎖状或いは分岐状のいずれでもよ
く、−O−Cq2q−O−Cq'2q'+1、−Cq2q−O
−Cq'2q'+1、−Cq2q−R’、−O−Cq2q
R’、−CO−O−Cq2q−R’、−O−OC−Cq
2q−R’のいずれかであり、R’は−O−OC−Cq'
2q'+1または−CO−O−Cq'2q'+1、q及びq’は独
立に1〜20である。
【0043】RfはCq2q−Xであり、ここでXは−H
または−F、qは独立に1〜20である。
【0044】さらに、具体的な構造の例を挙げる。
【0045】
【化5】
【0046】
【化6】
【0047】
【化7】
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
【化13】
【0054】
【化14】
【0055】
【化15】
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
【0058】
【化18】
【0059】
【化19】
【0060】
【化20】
【0061】
【化21】
【0062】
【化22】
【0063】
【化23】
【0064】
【化24】
【0065】
【化25】
【0066】
【化26】
【0067】本発明の第一の液晶組成物に10重量%以
上の割合で用いられる連鎖中エーテル酸素を有しないフ
ルオロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合物
は、上記一般式(3)で表される化合物である。
【0068】アクティブマトリクスタイプの液晶素子に
おいては特に、残留DCや電圧保持率への配慮から、交
互に極性の異なる電圧信号が印加される、いわゆるAC
対称駆動法が好ましく用いられる。また、その駆動信号
の周波数は、アクティブマトリクス素子の場合、通常6
0Hz程度のフレーム周波数の等倍或いは2〜3倍程度
である。双安定性を有するカイラルスメクチック液晶素
子の場合、ネマチック系液晶と異なり、片極性側でのみ
書き込みを行い、その逆極性電圧でリセットを行う方法
が好ましくとられ、本発明においては、この交互に極性
の異なるリセット信号と書き込み信号が印加される駆動
方法を前提としている。
【0069】このような駆動条件下において、液晶とし
て、スメクチック相または潜在的スメクチック相を持つ
フッ素含有液晶化合物であって、(a)カイラルまたは
アカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を
有していてもよいフルオロケミカル末端部分と、(b)
カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端部分と、
(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分とを結んで
いる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合物を含有
する双安定性を有するカイラルスメクチック液晶組成物
を用いると、黒表示状態を表示する場合にしばしば、カ
イラルスメクチック液晶の層方向に反転欠陥が発生す
る。この欠陥はコントラスト比に重大な悪化要因とな
り、大きな問題となっていた。本発明者等はこの問題に
着目し、ある種の液晶材料を用いることでこの欠陥の発
生を劇的に低減し、コントラスト比を飛躍的に向上する
方法を見出した。即ち、当該液晶組成物に、連鎖中エー
テル酸素を有しないフルオロケミカル末端部分を持つフ
ッ素含有液晶化合物を10重量%含有させて用いること
により、黒表示状態を表示する場合にしばしば発生する
反転欠陥を劇的に改善できることを見出したのである。
【0070】このように、連鎖中エーテル酸素を有しな
いフルオロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合
物を10重量%以上含有させることで欠陥が改善される
現象は、単純マトリクス駆動の液晶素子においては全く
見られなかった。連鎖中エーテル酸素を有しないフルオ
ロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合物はごく
少量を液晶組成物に加えることで効果を発揮するが、実
質的には10重量%以上が有効である。好ましくは20
重量%以上である。
【0071】また当該液晶組成物においては、(a)カ
イラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エ
ーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部
分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端
部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分と
を結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合
物として、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を有す
るフルオロケミカル末端部分を持つ化合物のみからなる
場合の方が、層傾きの小さな、いわゆるブックシェルフ
構造を取り易い点があるため、連鎖中エーテル酸素を有
しないフルオロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶
化合物を用いない液晶組成物処方が取られ易いが、処方
の方法如何によっては、十分層傾き角の小さな液晶組成
物を調整することは可能であり、本発明においてはその
ような層傾き角の小さな組成物が好ましく用いられる。
【0072】また、本発明の第一の液晶素子において
は、液晶として、スメクチック相または潜在的スメクチ
ック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)カ
イラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エ
ーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部
分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端
部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分と
を結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合
物群のみからなるカイラルスメクチック液晶組成物とす
ることが望ましい。但し特性を悪化させない範囲で極微
量の不純物等が混入することは許容される。上記化合物
群は、精製によってイオン含有量を少なくできる点、良
好なユニフォーム配向性を持つ点で好ましく用いられる
ものである。
【0073】また、本発明第二の液晶素子に用いられる
本発明の液晶組成物に用いられる、スメクチック相また
は潜在的スメクチック相を持つフッ素含有液晶化合物で
あって、(a)カイラルまたはアカイラルな、少なくと
も一つの連鎖中エーテル酸素を有していてもよいフルオ
ロケミカル末端部分と、(b)ラセミでないアカイラル
な炭化水素末端部分と、(c)上記(a)末端部分と
(b)末端部分とを結んでいる中央コア部分からなるフ
ッ素含有液晶化合物としては、具体的には、上記一般式
(1)、(2)、(3)で表される化合物が好ましく、
具体的な構造としては、上記例示化合物の1−18及び
1−19を除く化合物が挙げられる。
【0074】本発明の第二の液晶素子に用いられる本発
明の液晶組成物について詳しく説明する。
【0075】特許第2692815号の発明では、本発
明の液晶組成物に用いられるフッ素含有液晶化合物では
ない、いわゆる炭化水素鎖で構成される液晶化合物を用
いて、自発分極の異なる化合物を混合して、カイラルス
メクチックC相(SmC*)の温度域を拡大、温度特性
の改善を図っているが、該材料系では層傾き角の大きな
いわゆるシェブロン構造を形成し、コントラストがよく
ないという問題があった。さらには、アクティブマトリ
クスタイプの液晶素子に用いる場合、他の液晶材料の場
合よりもさらに電圧保持率が悪化し、実使用上大きな問
題が存在していた。
【0076】本発明の液晶組成物は、ラセミまたは自発
分極が相殺関係にある複数のカイラルなフッ素含有液晶
化合物を30重量%以上含有するところに大きな特徴が
ある。該組成物においては、フッ素含有液晶材料特有の
層傾き角の小さないわゆるブックシェルフ構造を現出
し、高コントラストが実現する。また、アクティブマト
リクスタイプの液晶素子における問題、即ち自発分極の
低減化と信頼性の確保という点について、本発明者等が
鋭意検討を行ったところ、ラセミまたは自発分極が相殺
関係にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物を用
いた場合には、そうでない場合に比較して自発分極以外
の諸特性を悪化させないばかりでなく、驚くべきこと
に、カイラルスメクチック相の温度範囲についてはより
広い温度範囲を確保できること、粘性をも同等かそれ以
下にできること、低温保存性に関しても同等かそれ以上
の性能を有すること、アクティブマトリクスタイプの液
晶素子用として重要な特性である電圧保持率に関しても
全く変化しないことを見出した。この現象は、フルオロ
ケミカル末端部分を有するラセミまたは自発分極が相殺
関係にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物の含
有率が増加するに従ってその効果を発揮するが、実質的
に30重量%以上であることでその効果が顕著に得られ
る。より好ましくは、ラセミまたは自発分極が相殺関係
にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物の含有率
は50重量%以上である。
【0077】さらに、本発明の液晶組成物においては、
含有されるラセミまたは自発分極が相殺関係にある複数
のカイラルなフッ素含有液晶化合物の相対比率を変化さ
せることで、他の特性をほとんど変化させることなく、
自発分極を低減することが可能である。この点を利用し
て、設計される液晶素子のパラメーターに合わせて、自
発分極を自由にコントロールすることができる。
【0078】本発明で用いられる、ラセミまたは自発分
極が相殺関係にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化
合物の好ましい化学構造は、カイラル部或いはラセミ部
の構造としてフッ素カイラルであり、さらに具体的に
は、前述の一般式(1)中のRf’、即ち−R*−D−
(O)x−CH2−D’−RfのR*が非環状のフッ素カイ
ラルもしくはラセミの構造を有するものである。より具
体的な例としては、先に示した、例示化合物1−1〜3
6,2−1〜73、3−1〜84の構造のうち、1−
1、2,4,5,8〜17,26,28,30,32,
36が挙げられる。
【0079】本発明の液晶組成物においては、スメクチ
ック相または潜在的スメクチック相を持つフッ素含有液
晶化合物であって、(a)カイラルまたはアカイラル
な、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を有していて
もよいフルオロケミカル末端部分と、(b)カイラルま
たはアカイラルな炭化水素末端部分と、(c)上記
(a)末端部分と(b)末端部分とを結んでいる中央コ
ア部分からなるフッ素含有液晶化合物群のみで構成する
ことが好ましく、本質的に他の化合物を含まない液晶組
成物が望ましい。但し特性を悪化させない範囲で極微量
の不純物等が混入することは許容される。上記化合物群
は、精製によってイオン含有量を少なくできる点、良好
なユニフォーム配向性を持つ点で好ましく用いられるも
のである。
【0080】次に、本発明の液晶素子の構成について説
明する。尚、本発明第一の液晶素子及び第二の液晶素子
は液晶材料以外の構成は同じである。よって以下の説明
も両素子に共通である。
【0081】図1に本発明の液晶素子の一実施形態の断
面模式図を、図2に本発明の液晶素子に周辺駆動回路を
組み込んだ場合のアクティブマトリクス基板側の平面模
式図を示す。図中、11,12は基板、13は画素電
極、14はTFT、16は共通電極、15,17は配向
制御層、18は液晶層、19はスペーサー、20はシー
ル材、21は走査信号線ドライバ、22は情報信号線ド
ライバ、23は走査信号線、24は走査信号線端部、2
5は情報信号線、26は情報信号線端部である。
【0082】本発明の液晶素子は、一対の基板11,1
2間に液晶層18を狭持してなる。基板11側はアクテ
ィブマトリクス基板であり、基板12側は対向基板であ
る。基板11,12は通常ガラスやプラスチック等の透
明基板が用いられるが、反射型の液晶素子を構成する場
合には、基板11をシリコン基板等で構成する場合もあ
る。基板11上には、透明な画素電極13と該画素電極
13に接続されたアクティブ素子とがマトリクス状に形
成されている。本実施形態においてはアクティブ素子と
してTFT14が用いられている。アクティブ素子とし
て好適なトランジスタとしては、アモルファスシリコン
ベース、ポリシリコンタイプ、或いはマイクロクリスタ
ルシリコンベース、単結晶シリコン等の半導体が用いら
れる。TFTは通常、基板上に形成されたゲート電極
と、該ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁
膜の上に形成された半導体層と、該半導体層の上に形成
されたソース電極及びドレイン電極とから構成される。
【0083】図2に示すように、画素電極13の行間に
走査信号線(ゲート線)23が配線され、列間に情報信
号線(ソース線)25が配線されている。各TFT14
のゲート電極は、対応する走査信号線23に接続され、
ドレイン電極は対応する情報信号線25に接続されてい
る。そして、走査信号線23は端部24を介して走査信
号線ドライバ21に接続され、情報信号線25は端部2
6を介して情報信号線ドライバ22に接続される。走査
信号線ドライバ21は走査信号線23を順次選択してゲ
ートオン信号を印加し、これと同期して情報信号線ドラ
イバ22からは各情報信号線25に表示データに対応す
る情報信号を印加する。走査信号線23は端部24を除
いてTFT14のゲート絶縁膜で覆われており、情報信
号線25は該ゲート絶縁膜の上に形成されている。画素
電極13は該ゲート絶縁膜の上に形成され、その一端部
においてTFT14のソース電極に接続されている。
【0084】また、基板12には、画素電極13と対向
する共通電極16が形成されている。共通電極16は、
表示領域全体にわたる面積の1枚の電極から構成され、
基準電圧が印加される。その結果、液晶層18には情報
信号電圧に応じた電圧が印加され、透過率が変化し、階
調表現を行うことができる。また、画素毎に補助容量と
なるコンデンサが配置されることもある。
【0085】画素電極13及び共通電極16は通常IT
O等の透明導電材で形成されるが、反射型の液晶素子を
構成する場合には、画素電極13を反射能の高い金属で
構成したり、或いは画素電極の上または下に反射部材を
設ける場合がある。
【0086】配向制御層15,17の少なくとも一方は
一軸配向制御層とする。一軸配向制御層の形成方法とし
ては、例えば基板上に溶液塗工または蒸着、或いはスパ
ッタリング等により、一酸化珪素、二酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、ジルコニア、フッ化マグネシウム、酸化セ
リウム、フッ化セリウム、シリコン窒化物、シリコン炭
化物、ホウ素窒化物などの無機物や、ポリビニルアルコ
ール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエステル、
ポリアミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシレン、
ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリビニル
クロライド、ポリスチレン、ポリシロキサン、セルロー
ス樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂など
の有機物を用いて被膜形成した後、表面をビロード、布
或いは紙等の繊維状のもので摺擦(ラビング)すること
により得られる。また、SiO等の酸化物或いは窒化物
などを基板の斜方から蒸着する、斜方蒸着法なども用い
られ得る。また、この他にショート防止層を設けること
も可能である。
【0087】特に、より良好な一軸配向性を得るため
に、ポリイミドラビング膜を一軸配向制御層として用い
ることが好ましい。また、通常ポリイミドはポリアミッ
ク酸の形で塗膜し、焼成することで得られる。ポリアミ
ック酸は溶剤に易溶解性であるため、生産性に優れる。
最近では、溶剤に可溶なポリイミドも生産されており、
そういった技術の進歩の上からもポリイミドはより良好
な一軸配向性を得られ、高い生産性を有する点で好まし
く用いられる。特に、下記一般式(P)で示される繰り
返し単位を有するポリイミドが好ましく用いられる。
【0088】
【化27】 上記式中、 A:芳香環、芳香族環、または縮合多環構造の4価の基 B:脂環基を含む脂肪族基、または−(Ph)a
(O)c−(CH2x−(D)e−(CH2y−(O)d
−(Ph)b− Ph:フェニル基
【0089】
【化28】 1、R2は、それぞれ独立に−Hまたはメチル基であ
る。
【0090】a,b:0または1、但しa=b c,d:a=b=0の時0、a=b=1の時0または
1、但しc=d e:0または1 x、y:それぞれ独立に1以上の整数 但し、x+y+eは2以上10以下である。
【0091】両基板は、スペーサー19を介して対向し
ている。かかるスペーサーは、基板間の距離(セルギャ
ップ)を決定するものであり、通常シリカビーズ等が用
いられる。ここで決定されるセルギャップについては、
液晶材料の違いによって最適範囲及び上限値が異なる
が、均一な一軸配向性、または電界無印加時に液晶分子
の平均分子軸をほぼ配向処理軸の平均方向の軸と実質的
に同一にする配向状態を発現させるべく、0.3〜10
μmの範囲に設定することが好ましい。
【0092】また、両基板に配向制御層としてポリイミ
ド膜を形成した場合、その膜厚は薄い方が反電場による
悪影響を抑制する意味で好ましく、また、双安定性の向
上のためにも薄い方が好ましい。具体的には、200Å
以下が好ましい。
【0093】本発明においては、配向制御層15と17
が異なる構成も好ましく適用される。
【0094】液晶層18としては、前記した、特定の液
晶組成物、即ち、スメクチック相または潜在的スメクチ
ック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)カ
イラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エ
ーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部
分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端
部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分と
を結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合
物を含有し、連鎖中エーテル酸素を有していないフルオ
ロケミカル末端部分を持つフッ素含有液晶化合物を10
重量%含有するカイラルスメクチック液晶組成物、或い
は、スメクチック相または潜在的スメクチック相を持つ
フッ素含有液晶化合物であって、(a)カイラルまたは
アカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を
有していてもよいフルオロケミカル末端部分と、(b)
ラセミでないアカイラルな炭化水素末端部分と、(c)
上記(a)末端部分と(b)末端部分とを結んでいる中
央コア部分からなるフッ素含有液晶化合物を含有し、ラ
セミまたは自発分極が相殺関係にある複数のカイラルな
フッ素含有液晶化合物を30重量%以上含有している液
晶組成物を用いる。好ましくは、双安定性を有する強誘
電性液晶を用いる。
【0095】本発明の液晶素子は、用いた液晶が自発分
極をスイッチングトルクとしているため、高速液晶素子
を実現することができる。例えば、5V程度の駆動電圧
でスイッチングスピードとして1msec以下、或いは
500μsec以下、さらには100μsec以下にす
ることも可能である。良好な双安定性を発現するために
は、2つの状態間の遷移の活性化エネルギーが大きい必
要があり、様々な方法で実現し得る。以下に双安定性を
得やすい例を挙げる。
【0096】カイラルスメクチック液晶においては、チ
ルト角が大きいものが好ましく用いられる。代表的に
は、15°以上が好ましい。また、ツイスト状態を持た
ない、ユニフォームの2状態を持つ双安定性液晶も好ま
しく用いられる。この場合、ツイスト状態を抑制する意
味で液晶中のイオンの存在が少ないほど好ましい。さら
なる例としては、自発分極があまり大きくないカイラル
スメクチック液晶も2状態間のしきい値電圧が大きくな
る傾向を持っており、好ましく用いられる。代表的に
は、自発分極は10nC/cm2以下が好ましい。ま
た、ヒステリシスを抑制する意味でも小さい自発分極が
好ましい。
【0097】本発明の液晶素子は、少なくとも2つの安
定状態を有するため、この変調状態を複数のドメイン共
存状態、或いは一方のドメインのみが存在する状態でメ
モリーすることができ、一部分をメモリー状態としその
他の部分を駆動状態とする部分画素書き換え、全面メモ
リー状態として使用する静止画モード、また低消費電力
モードといった応用展開ができるというメリットを有し
ている。
【0098】本発明の液晶素子においては、ゲートオン
状態に電荷が画素である液晶セルに注入され、短時間で
ゲートがオフとなり、次の走査ライン上の画素に情報が
書き込まれる。本発明で用いられる液晶は自発分極を有
することから、ゲートオン時間内にスイッチングを完了
する場合を除き、自発分極の反転に伴い、ゲートオフ時
の電圧降下因子となる。従って、自発分極は大きすぎな
いことが好ましく、この点からも自発分極は10nC/
cm2以下が好ましい。これは、極性の不純物等の混入
による配向劣化を抑制するためにも好ましい。
【0099】本発明の液晶素子の好ましい駆動方法とし
ては、一画素に着目すると、情報信号線から交互に極性
の反転した、リセットと書き込みの電圧信号が入力され
る、いわゆるAC対称駆動法である。場合によっては、
ヒステリシスを改善するため、或いはその他の目的で、
これら以外の電圧信号を加えてもよい。本発明におい
て、このような極性反転駆動を行う場合、以下に記載す
る方法が好ましく用いられる。
【0100】まず、初期状態から一方の双安定方向へス
イッチングする極性の電圧信号を与え、液晶をスイッチ
ングさせ、光変調信号に変換する。これは階調表現が可
能である。次に極性の異なる信号を与えると、初期方向
にスイッチングする。初期方向にスイッチングした状態
は、直行した偏光板の光軸の一方を初期状態の光軸に合
わせて使用するノーマリーブラックとして使用した場
合、黒状態またはそれに非常に近い状態を表現すること
になる。この場合、表示素子としてこの素子を見ると非
ホールド型表示となり、本発明の液晶素子が高速スイッ
チングすることから、動画表示の画質に優れる点で非常
に好ましい。初期方向にスイッチングさせている期間と
もう一方の双安定方向にスイッチングさせている期間の
時間比は特に限定されないが、DC成分の偏りを最小化
することで焼き付きを抑制する意味で、時間比を1対1
とし、極性の異なる信号が直前のまたは直後の光変調信
号と絶対値の同等の信号を与える方法が好ましい。
【0101】また、本発明の液晶素子においては、中間
電圧信号を用いることで容易にアナログ階調表現が可能
であるが、その場合、特に本発明第一の液晶素子におい
て、双安定性を有する液晶を用い、該液晶の一方の安定
状態から他方の安定状態へ50%反転する際のしきい値
電圧(50%反転しきい値電圧)の差の絶対値が1V以
下であり、且ついずれの階調信号を用いた場合にも、液
晶に印加される直流電圧成分の合計が等しくなるか直流
電圧成分が100mV以下である駆動方法を用いた場
合、或いは、50%反転しきい値電圧の差の絶対値が2
00mV以下であり、且つ、直流電圧成分の合計が1フ
レーム平均で1V以下である場合において、残留DCや
イオンの偏在等による焼き付き現象を大きく改善でき
る。従来の液晶素子の場合には、いずれの場合も前述し
たスメクチック液晶の層方向に生じる反転欠陥が顕著に
なるという問題があったが、本発明においては、この欠
陥が抑制されるという効果が得られるため、当該構成が
好ましく採用される。
【0102】本発明の液晶素子は透過型或いは反射型の
いずれのタイプでも好適に用いられ、透過型であれば通
常光源が用いられる。また、反射型であれば反射層が素
子中に構成される。また、投写型、直射型のいずれにも
応用される。さらに、プリンター等のライトバルブとし
ても使用可能である。
【0103】
【実施例】(実施例1)本発明第一の液晶素子を作製し
た。
【0104】〔液晶組成物〕液晶組成物としては、以下
の液晶化合物を下記重量比で混合して液晶組成物αを調
整した。
【0105】
【化29】 混合比:A/B/C/D=5/87/5/3(重量比) 相転移温度:Tisoが78℃(昇温時)、SmA→Sm
*が50℃ チルト角:25°(30℃) 自発分極:3.8nC/cm2(30℃)
【0106】〔セルA〕厚さ1.1mmのガラス基板2
枚にそれぞれ、透明電極として厚さ約70nmのITO
膜を形成した。
【0107】一方の基板に対して、下記繰り返し単位を
有するポリイミド前駆体のポリアミック酸0.7重量%
溶液を1回目は500rpmで5秒間、2回目は150
0rpmで30秒間の条件で回転塗布した。
【0108】
【化30】
【0109】その後、80℃で5分間の前乾燥を行った
後、220℃で1時間加熱焼成を施した後、一軸配向処
理としてナイロン布によるラビング処理を施した。膜厚
は60Åであった。
【0110】他方の基板に、ラダー型のポリシロキサン
の母材にアンチモンドープのSnOxの酸化物超微粒子
(粒径約100Å)の分散した固形分濃度5重量%のエ
タノール溶液を1500rpm、10秒間の条件でスピ
ンコート法により塗布した。80℃、5分間の前乾燥を
行った後、200℃で1時間加熱乾燥した。この基板上
に平均粒径が2.4μmのシリカビーズを0.01重量
%で分散させたIPA(イソプロパノール)溶液を15
00rpm、10秒間の条件でスピン塗布し、分散密度
100個/mm2程度のビーズスペーサを散布した。さ
らに、当該基板の周辺部に、熱硬化型の液状接着剤を印
刷法により塗工した。得られた2枚の基板を対向して貼
り合わせ、150℃のオーブンで90分間加熱硬化し、
セル(空セル)を得た。
【0111】前記液晶組成物aに活性アルミナ微粒子を
1重量%混合した後、上記空セルに注入した。得られた
セルAに、5Hz、±7Vの三角波を印加し、後述する
光学応答測定法により電圧−透過率曲線を測定したとこ
ろ、典型的な双安定強誘電性液晶のヒステリシスカーブ
が得られた。50%反転しきい値電圧の差は50mVで
あった。
【0112】〔アクティブ素子A〕上記セルA(面積:
0.9cm2)、単結晶シリコントランジスタ(オン抵
抗:50Ω)、及びセラミックコンデンサ(容量:2n
F)を用いて、図5に示すアクティブ素子Aを構成し
た。図中、23は走査信号線、25は情報信号線、51
は単結晶シリコントランジスタ、52は液晶セル、53
はコンデンサである。
【0113】このアクティブ素子Aに、選択期間が30
μsecとなるようなゲート信号を与え、情報信号線2
5からは図3に示した波形を与えた。図3では、正極性
方向の電圧で白もしくはグレー状態へのスイッチングを
行い、負極性方向の電圧で初期(黒)状態へのリセット
が行われる。1フレームは16msecで、8msec
を表示期間(t1)、8msecを非表示期間(t2)と
した。
【0114】〔光学応答〕作製したセルA及びアクティ
ブ素子Aの電気光学応答を測定した。測定は、光電子増
倍管を備えた偏光顕微鏡を用い、透過率の変化をクロス
ニコル下で測定した。この時、電界無印加の状態で最暗
となるようにセルを設置した。
【0115】下記に白1の時の透過率を100%とした
場合の各フレーム毎の透過率を以下に示す。
【0116】 白2 100% 白3 100% 白4 100% グレー1 37% グレー2 40% グレー3 39% グレー4 39% 黒1 <1% 黒2 <1% 黒3 <1% 黒4 <1%
【0117】以上のように、前状態の如何に関わらず、
再現性良く光変調が行われ、ヒステリシスほほとんどな
かった。また、白状態へのスイッチングスピード(90
%スイッチングまでの時間)を測定したところ、290
μsecであった。また、黒状態における層方向の欠陥
もほとんどなく、コントラスト比は白1/黒4でとる
と、103であった。
【0118】(実施例2)実施例1で用いた液晶化合物
A〜Dを用いて、下記液晶組成物b、c、dを調整し
た。 液晶組成物b 混合比:A/B/C/D=5/82/10/3(重量
比) 相転移温度:Tisoが79℃(昇温時)、SmA→Sm
*が50℃ チルト角:25°(30℃) 自発分極:4.0nC/cm2(30℃) 液晶組成物c 混合比:A/B/C/D=5/72/20/3(重量
比) 相転移温度:Tisoが80℃(昇温時)、SmA→Sm
*が53℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:4.1nC/cm2(30℃) 液晶組成物d 混合比:A/B/C/D=15/62/20/3(重量
比) 相転移温度:Tisoが86℃(昇温時)、SmA→Sm
*が52℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:3.9nC/cm2(30℃)
【0119】上記組成物を用い、実施例1と同様の同様
のアクティブ素子を作製して、実施例1と同様に評価し
たところ、いずれの素子においても黒状態の層方向の欠
陥は改善されており、コントラスト比はb、c、dそれ
ぞれ、124、150、209であった。
【0120】(実施例3)実施例1のアクティブ素子を
用い、図3の駆動波形にリセットが強くなる方向にDC
バイアスを0.5V乗せて用いた以外は実施例1と同様
にして評価を行ったところ、本例でも黒表示状態での層
方向の欠陥はほとんど発生しなかった。
【0121】(実施例4)ポリイミド膜の膜厚を120
Åにした以外は実施例1と同様にしてセルを作製した。
このセルの50%反転しきい値電圧の差は100mVで
あった。このセルを用いて実施例1と同様のアクティブ
素子を作製し、評価したところ、階調再現性良く光変調
が行われた。また、黒表示状態の層方向の欠陥はほとん
どなかった。
【0122】(比較例1)実施例1で示した液晶化合物
A〜Dを用い、下記液晶組成物eを調整した。
【0123】混合比:A/B/C/D=0/97/0/
3(重量比) 相転移温度:Tisoが71℃(昇温時)、SmA→Sm
*が48℃ チルト角:25°(30℃) 自発分極:3.7nC/cm2(30℃)
【0124】上記液晶組成物eを用い、実施例1と同様
にアクティブ素子を作製して評価したところ、黒表示状
態で層方向の欠陥が目立った。コントラスト比を測定し
たところ、23であった。
【0125】(比較例2)前記液晶組成物bとdを用い
て実施例1と同様のアクティブ素子を作製し、図4に示
した駆動波形を用いて、単純マトリクス駆動におけるコ
ントラスト比を比較したところ、dを用いた素子では情
報信号による揺らぎが大きく、コントラスト比は8、b
を用いた素子ではコントラスト比が130で、連鎖中エ
ーテル酸素を有しないフルオロケミカル末端部分を持つ
フッ素含有液晶化合物を含有した効果は全く逆であっ
た。
【0126】(実施例5)本発明第二の液晶素子を作製
した。
【0127】液晶組成物としては、以下の液晶化合物を
下記重量比で混合して液晶組成物fを調整した。
【0128】
【化31】 上記化合物GとHはカイラル部分の立体がそれぞれRと
Sであり、自発分極は打ち消し合う符号を持っている。
【0129】混合比:E/F/G/H/I=10/25
/25/15/25(重量比) 相転移温度:Tisoが85℃(昇温時)、SmA→Sm
*が53℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−19℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:9.7nC/cm2(30℃)
【0130】上記液晶組成物fを用いる以外は、実施例
1と同様にしてセルBを作製し、さらに該セルBを用い
て、実施例1と同様にしてアクティブ素子Bを作製し
た。得られたセルBに、5Hz、±7Vの三角波を印加
し、実施例1と同様の光学応答測定法により電圧−透過
率曲線を測定したところ、典型的な双安定性強誘電性液
晶のヒステリシスカーブが得られた。
【0131】また、上記セルBを用いて低温保存試験を
行った。−18℃で20時間保存したが、配向状態は保
存前と全く変わらなかった。また、三角波による電圧−
透過率曲線も全く変化がなかった。
【0132】さらに、アクティブ素子Bについて、実施
例1と同様に図3の駆動波形を用いて光学応答を評価し
た。以下に白1の時の透過率を100%とした場合の各
フレーム毎の透過率を示す。
【0133】 白2 100% 白3 99% 白4 100% グレー1 52% グレー2 55% グレー3 55% グレー4 55% 黒1 <1% 黒2 <1% 黒3 <1% 黒4 <1%
【0134】以上のように、前状態の如何に関わらず、
再現性良く光変調が行われ、ヒステリシスはほとんどな
かった。また、白状態へのスイッチングスピード(90
%スイッチングまでの時間)を測定したところ、180
μsecであった。また、黒状態における層方向の欠陥
もほとんどなく、コントラスト比は白1/黒4でとると
101であった。
【0135】(実施例6)実施例5で用いた液晶化合物
E〜Iを用い、下記液晶組成物gを調整した。
【0136】混合比:E/F/G/H/I=10/15
/30/25/20(重量比) 相転移温度:Tisoが88℃(昇温時)、SmA→Sm
*が55℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−17℃ チルト角:27°(30℃) 自発分極:5.8nC/cm2(30℃)
【0137】上記液晶組成物gを用いる以外は実施例1
と同様にしてセルを作製し、低温保存試験を行った。−
16℃で20時間保存したが、配向状態は保存前と全く
変わらなかった。また、三角波による電圧−透過率曲線
も全く変化がなかった。
【0138】液晶組成物ηを用いる以外は実施例1と同
様にしてアクティブ素子を作製し、実施例1と同様の評
価を行ったところ、前状態の如何に関わらず、再現性欲
光変調が行われ、ヒステリシスはほとんどなかった。ま
た、白状態へのスイッチングスピード(90%スイッチ
ングまでの時間)を測定したところ、210μsecで
あった。また、黒状態における層方向の欠陥もほとんど
なく、コントラスト比は105であった。
【0139】(実施例7)実施例5で用いた液晶化合物
E〜Iを用い、下記液晶組成物hを調整した。
【0140】混合比:E/F/G/H/I=10/25
/20/15/30(重量比) 相転移温度:Tisoが84℃(昇温時)、SmA→Sm
*が51℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−23℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:5.6nC/cm2(30℃)
【0141】上記液晶組成物hを用いる以外は実施例1
と同様にしてセルを作製し、低温保存試験を行った。−
22℃で20時間保存したが、配向状態は保存前と全く
変わらなかった。また、三角波による電圧−透過率曲線
も全く変化がなかった。
【0142】(実施例8)実施例5で用いた液晶化合物
E〜Iを用い、下記液晶組成物i、jを調整した。 液晶組成物i 混合比:E/F/G/H/I=10/25/22/18
/25(重量比) 相転移温度:Tisoが85℃(昇温時)、SmA→Sm
*が53℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−19℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:4.5nC/cm2(30℃)
【0143】液晶組成物j 混合比:E/F/G/H/I=10/25/21/19
/25(重量比) 相転移温度:Tisoが85℃(昇温時)、SmA→Sm
*が53℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−19℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:2.3nC/cm2(30℃)
【0144】液晶組成物i、jを用いて、実施例1と同
様にしてセルを作製し、電圧−透過率曲線を測定したと
ころ、双安定性を示す実施例1と同様の特性が観測され
た。また、−15℃で3時間放置した後、同様の測定を
行なったが、その特性に変化はなかった。
【0145】(比較実施例1)実施例5で用いた液晶化
合物のうち、ラセミまたは自発分極を相殺しない単独の
カイラル化合物を用い、下記の組成の液晶組成物kを調
整した。
【0146】混合比:E/F/G/I=15/37.5
/10/37.5(重量比) チルト角:25°(30℃) 自発分極:10.0nC/cm2(30℃) 上記液晶組成物kと、実施例5で用いた液晶組成物fの
電圧保持率をそれぞれ東陽テクニカ社製「VHR−1
A」で測定したところ、いずれも99.5%であった。
【0147】(比較実施例2)実施例5で用いた液晶化
合物E〜G,Iと、液晶化合物Hとはカイラル部分の立
体が反対のRであるH’を用いて、下記液晶組成物lを
調整した。
【0148】混合比:E/F/G/H’/I=10/2
5/25/15/25(重量比) 相転移温度:Tisoが85℃(昇温時)、SmA→Sm
*が52℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−17℃ チルト角:26°(30℃) 自発分極:50.1nC/cm2(30℃)
【0149】上記液晶組成物lを用い、実施例5と同様
にスイッチングスピードを測定し、粘性を実施例5の液
晶組成物fと比較したところ、lはfの2.4倍になっ
ていた。
【0150】また、同様にして下記液晶組成物mを調整
した。
【0151】混合比:E/F/G/H’/I=15/3
7.5/6.25/3.75/37.5(重量比) 相転移温度:Tisoが82℃(昇温時)、SmA→Sm
*が49℃、高次スメクチック相または結晶相への転
移温度(降温時)が−5℃であり、実施例5の液晶組成
物fに比較して、カイラルスメクチックC相の温度範囲
が狭かった。
【0152】チルト角:26°(30℃) 自発分極:9.5nC/cm2(30℃)
【0153】上記液晶組成物mを用いて実施例5と同様
にしてセルを作製し、低温保存試験を行った。−4℃で
20時間保存したところ、保存前には見られなかったジ
グザグ欠陥が多数出現し、層構造が全く変化してしまっ
た。また、実施例5と同様にスイッチングスピードを測
定したところ、380μsecであり、実施例5に比較
して非常に遅かった。
【0154】(比較実施例3)以下の炭化水素鎖系の液
晶化合物J〜Lを用い、ノンカイラルベースに単独カイ
ラル化合物を用いた液晶組成物nと、自発分極の正負が
異なるカイラルを混合して自発分極を小さくした液晶組
成物oをそれぞれ調整した。
【0155】
【化32】 液晶組成物nの混合比:J/K=90/10(重量比) 液晶組成物oの混合比:J/K/L=70/20/10
(重量比) 実施例8と同様に電圧保持率を測定したところ、液晶組
成物nが55.2%、οが36.3%であった。いずれ
もフッ素含有液晶化合物を用いたときに比べ非常に悪い
ばかりでなく、炭化水素鎖系の液晶化合物を用いて自発
分極の正負が異なるカイラルを混合して自発分極を小さ
くした液晶組成物を調整すると、自発分極を構成する極
性分子構造部分が液晶組成物中に増加することからくる
イオン成分の増加と考えられる、電圧保持率の低減が認
められた。
【0156】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
メモリー性を有する高機能、高速応答、高画質の液晶素
子が提供され、表示特性に優れた表示装置の構成が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図で
ある。
【図2】本発明の液晶素子の一実施形態に周辺駆動回路
を接続した状態のアクティブマトリクス基板側の平面模
式図である。
【図3】本発明の実施例で用いた駆動波形を示す図であ
る。
【図4】本発明の比較例で用いた駆動波形を示す図であ
る。
【図5】本発明の実施例で構成したアクティブ素子の構
成を示す回路図である。
【符号の説明】
11,12 基板 13 画素電極 14 TFT 15,17 配向制御層 16 共通電極 18 液晶層 19 スペーサー 20 シール材 21 走査信号線ドライバ 22 情報信号線ドライバ 23 走査信号線 24 走査信号線端部 25 情報信号線 26 情報信号先端部 51 単結晶シリコントランジスタ 52 液晶セル 53 コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/136 500 G02F 1/136 500 G09G 3/36 G09G 3/36 (72)発明者 野口 幸治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 柳生 峰人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 糠信 恒樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB08Y HC05 LA04 MA05 MB01 MB06 2H092 JA24 KA03 KA07 KB13 NA05 PA06 RA04 RA05 2H093 NA12 NA34 NA53 NB05 ND32 ND60 NE10 NG02 NG12 NH12 NH16 4H027 BA06 BC04 BC05 BD08 BD24 BE03 DE03 DE09 5C006 BA12 BB16 BB28 EA01 EC11 FA11 FA34 GA03

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の基板間に液晶を狭持して
    なり、複数の画素をマトリクス駆動するための電極と画
    素毎にアクティブ素子を備えた液晶素子であって、上記
    液晶が少なくとも2つの安定状態を有し、且つ、スメク
    チック相または潜在的スメクチック相を持つフッ素含有
    液晶化合物であって、(a)カイラルまたはアカイラル
    な、少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を有していて
    もよいフルオロケミカル末端部分と、(b)カイラルま
    たはアカイラルな炭化水素末端部分と、(c)上記
    (a)末端部分と(b)末端部分とを結んでいる中央コ
    ア部分からなるフッ素含有液晶化合物を含有し、連鎖中
    エーテル酸素を有していないフルオロケミカル末端部分
    を持つフッ素含有液晶化合物を10重量%含有するカイ
    ラルスメクチック液晶組成物であることを特徴とする液
    晶素子。
  2. 【請求項2】 上記液晶組成物が、スメクチック相また
    は潜在的スメクチック相を持つフッ素含有液晶化合物で
    あって、(a)カイラルまたはアカイラルな、少なくと
    も一つの連鎖中エーテル酸素を有していてもよいフルオ
    ロケミカル末端部分と、(b)カイラルまたはアカイラ
    ルな炭化水素末端部分と、(c)上記(a)末端部分と
    (b)末端部分とを結んでいる中央コア部分からなるフ
    ッ素含有液晶化合物群のみからなる請求項1記載の液晶
    素子。
  3. 【請求項3】 上記液晶が双安定性を有する請求項1ま
    たは2に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 上記液晶組成物の自発分極が10nC/
    cm2以下である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶
    素子。
  5. 【請求項5】 上記アクティブ素子がトランジスタであ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 上記トランジスタが薄膜トランジスタで
    ある請求項5記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 上記一対の基板の液晶との界面に互いに
    異なる配向膜を設けた請求項1〜6のいずれかに記載の
    液晶素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の液晶素
    子の駆動方法であって、交互に極性の異なるリセット信
    号と書き込み信号を印加し、書き込み信号に応じた階調
    表示を行うことを特徴とする液晶素子の駆動方法。
  9. 【請求項9】 液晶素子の液晶が双安定性を有し、一方
    の安定状態から他方の安定状態へ50%反転する際のし
    きい値電圧の差の絶対値が1V以下であり、いずれの階
    調表示においても液晶に印加される直流電圧成分が等し
    いか或いは直流電圧成分の合計が100mV以下である
    請求項8記載の液晶素子の駆動方法。
  10. 【請求項10】 液晶素子の液晶が双安定性を有し、一
    方の安定状態から他方の安定状態へ50%反転する際の
    のしきい値電圧の差の絶対値が200mV以下であり、
    上記直流電圧成分の合計が1フレーム平均で1V以下で
    ある請求項8記載の液晶素子の駆動方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも一部の画素において、液晶
    をメモリー状態で使用する請求項8〜10のいずれかに
    記載の液晶素子の駆動方法。
  12. 【請求項12】 スメクチック相または潜在的スメクチ
    ック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)カ
    イラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エ
    ーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部
    分と、(b)ラセミでないアカイラルな炭化水素末端部
    分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分とを
    結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合物
    を含有し、ラセミまたは自発分極が相殺関係にある複数
    のカイラルなフッ素含有液晶化合物を30重量%以上含
    有していることを特徴とする液晶組成物。
  13. 【請求項13】 上記ラセミまたは自発分極が相殺関係
    にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物が50重
    量%以上含有している請求項12記載の液晶組成物。
  14. 【請求項14】 上記ラセミまたは自発分極が相殺関係
    にある複数のカイラルなフッ素含有液晶化合物のカイラ
    ル部分の化学構造がフッ素カイラルである請求項12ま
    たは13記載の液晶組成物。
  15. 【請求項15】 スメクチック相または潜在的スメクチ
    ック相を持つフッ素含有液晶化合物であって、(a)カ
    イラルまたはアカイラルな、少なくとも一つの連鎖中エ
    ーテル酸素を有していてもよいフルオロケミカル末端部
    分と、(b)カイラルまたはアカイラルな炭化水素末端
    部分と、(c)上記(a)末端部分と(b)末端部分と
    を結んでいる中央コア部分からなるフッ素含有液晶化合
    物群のみからなる請求項12〜14のいずれかに記載の
    液晶組成物。
  16. 【請求項16】 自発分極が10nC/cm2以下であ
    る請求項12〜15のいずれかに記載の液晶組成物。
  17. 【請求項17】 対向する一対の基板間に液晶を狭持し
    てなり、複数の画素をマトリクス駆動するための電極と
    画素毎にアクティブ素子を備えた液晶素子であって、上
    記液晶が少なくとも2つの安定状態を有し、且つ請求項
    12〜16のいずれかに記載の液晶組成物であることを
    特徴とする液晶素子。
  18. 【請求項18】 上記液晶が双安定性を有する請求項1
    7記載の液晶素子。
  19. 【請求項19】 上記アクティブ素子がトランジスタで
    ある請求項17または18に記載の液晶素子。
  20. 【請求項20】 上記トランジスタが薄膜トランジスタ
    である請求項19記載の液晶素子。
  21. 【請求項21】 上記一対の基板の液晶との界面に互い
    に異なる配向膜を設けた請求項17〜20のいずれかに
    記載の液晶素子。
  22. 【請求項22】 請求項17〜21のいずれかに記載の
    液晶素子の駆動方法であって、交互に極性の異なるリセ
    ット信号と書き込み信号を印加し、書き込み信号に応じ
    た階調表示を行うことを特徴とする液晶素子の駆動方
    法。
  23. 【請求項23】 少なくとも一部の画素において、液晶
    をメモリー状態で使用する請求項17〜22のいずれか
    に記載の液晶素子。
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KR100810289B1 (ko) * 2005-03-31 2008-03-07 엔이씨 엘씨디 테크놀로지스, 엘티디. 액티브 매트릭스형 쌍안정성 표시 장치

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