JP2000327814A - プリプレグ及びこれを用いた管状成形体 - Google Patents

プリプレグ及びこれを用いた管状成形体

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JP2000327814A JP11139313A JP13931399A JP2000327814A JP 2000327814 A JP2000327814 A JP 2000327814A JP 11139313 A JP11139313 A JP 11139313A JP 13931399 A JP13931399 A JP 13931399A JP 2000327814 A JP2000327814 A JP 2000327814A
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Toshiyuki Ito
稔之 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形後の外観表面が均一で良好であり、成形
体の強度を安定発現させることのできるプリプレグ及び
これを用いた管状成形体の提供を課題とする。 【解決手段】 プリプレグ(a)においては、その繊維
引き揃え方向に対して直角方向の凹凸係数Rzを15μ
m以下とした。また、管状成形体においては、このよう
な凹凸係数Rzを有するプリプレグを用いて管状成形体
を成形するものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強化繊維と樹脂か
らなるプリプレグ及びこれを用いた管状成形体に関し、
特に成形後の外観と強度に優れた一方向繊維強化プリプ
レグ及びこれを用いた管状成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維等の補強繊維と、エポキシ樹脂
等のマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料(F
RP)は、その機械特性が優れているために釣り竿、ゴ
ルフシャフトなどの汎用用途から産業用途、航空機用途
までの幅広く使用されている。これらFRP成形体を成
形する方法としては、幾つかの方法が実際に行われてい
るが、炭素繊維を補強繊維とする場合の方法としては、
プリプレグと呼ばれる、予め補強繊維に樹脂を含浸させ
た中間材料を用いる方法が最も広く用いられている。
【0003】ゴルフシャフトや釣り竿の様な管状成形体
の場合には、長手方向の剛性と直径方向のつぶし強度が
重要な特性として要求される場合が多い。管状体の長手
方向の剛性を高める為には長手方向に沿って炭素繊維を
配列させることが有効であり、直径方向のつぶし強度を
向上させるためには炭素繊維を周方向に沿って配置させ
ることが有効である。ゴルフシャフトにおいては、通
常、炭素繊維目付が125g/m2以下のプリプレグをシ
ャフトの長手方向に20〜90°の範囲で傾きをつけた
アングルプライ層に使用するようになってきている。こ
のプリプレグの平滑性が悪いと成形後の表面に凹凸が発
生し、強度低下の要因となる。また釣り竿においては、
周巻き方向補強層として炭素繊維目付60g/m2以下の
薄いプリプレグが使用されるようになってきているが、
このプリプレグの平滑性が悪いと釣り竿の外観に顕著に
反映され、外観不良、強度低下を起こす要因となる。
【0004】このようにゴルフシャフト、釣り竿等の軽
量化に伴い、均一で薄いプリプレグの要求が高まってい
る(均一で平滑性の良いプリプレグの指標としては、例
えば特開平9−207132に、引き揃え方向に対して
90度の方向における100mm長さ当たりの表面変位
曲線の長さが150mm以下であると、接着性、巻き付
け性が向上するという技術が開示されているが、これを
満足するプリプレグでは、表面平滑度という点において
は必ずしも満足できるものではなく、凹凸の形が均一に
小さくないと成形後の外観が不良になる問題があっ
た。)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら軽量化の
ためにプリプレグの強化繊維目付を下げて厚みの薄いプ
リプレグを得ようとすると、使用する強化繊維束の開繊
斑が発生しやすくなり、プリプレグの表面平滑度が悪く
なってしまう傾向にある。この表面平滑度の悪いプリプ
レグを釣り竿、ゴルフシャフト等の管状成形体に使用し
た場合、以下のような問題が生じることとなる。すなわ
ち、ゴルフシャフトにおいては、シャフトの長手方向に
20〜90°の範囲で傾きをつけたアングルプライ層に
使用した場合に、成形後の表面に凹凸が発生して強度低
下の要因となる。同様に、釣り竿においても、周巻き方
向補強層に使用した場合に、外観に凹凸が発生して強度
が低下するという問題が発生する。
【0006】本発明は、上記事情を鑑みてなされたもの
であって、成形後の外観表面が均一で良好であり、成形
体の強度を安定発現させることのできるプリプレグ及び
これを用いた管状成形体の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプリプレグ及び
これを用いた管状成形体は、上記課題を解決するために
以下の手段を採用した。すなわち請求項1記載のプリプ
レグは、一方向引き揃え強化繊維束に樹脂を含浸させた
プリプレグにおいて、繊維引き揃え方向に対して直角方
向の凹凸係数Rzが15μm以下であることを特徴とす
る。上記請求項1記載のプリプレグによれば、繊維引き
揃え方向に対して直角方向の凹凸係数Rzが15μm以
下のプリプレグを使用することにより、プリプレグ表面
の平滑性が確保される。
【0008】請求項2記載のプリプレグは、請求項1記
載のプリプレグにおいて、前記凹凸係数Rzが10μm
以下であることを特徴とする。上記請求項2記載のプリ
プレグによれば、凹凸係数Rzを10μm以下とするこ
とで、より一層、プリプレグ表面の平滑性が高められ
る。
【0009】請求項3記載のプリプレグは、請求項1ま
たは請求項2記載のプリプレグにおいて、強化繊維目付
が125g/m2以下であることを特徴とする。上記請求
項3記載のプリプレグによれば、強化繊維目付を125
g/m2以下とすることで、プリプレグ表面の平滑性を高
めることに加えて軽量化をも実現できる。
【0010】請求項4記載のプリプレグは、請求項1〜
3のいずれかに記載のプリプレグにおいて、強化繊維目
付が60g/m2以下であることを特徴とする。上記請求
項4記載のプリプレグによれば、強化繊維目付を60g
/m2以下とすることで、より一層の軽量化が実現でき
る。
【0011】請求項5記載の管状成形体は、請求項1〜
4のいずれかに記載の前記プリプレグを用いて成形した
ことを特徴とする。上記請求項5記載の管状成形体によ
れば、繊維引き揃え方向に対して直角方向の凹凸係数R
zが15μm以下または10μm以下という低いプリプ
レグを積層して成形された環状成形体は、従来よりも外
観表面の均一性が向上し、強度の安定発現性も向上され
ている。さらには、強化繊維目付を125g/m2以下ま
たは60g/m2以下とすることにより、軽量化をも実現
している。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に説明す
るが、本発明がこれらに限定解釈されるものでないこと
は、もちろんである。本実施形態のプリプレグは、強化
繊維とマトリックス樹脂からなる。この強化繊維として
は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、
炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチール繊維などが用
いられるが、特に炭素繊維が成形後の機械的特性に優れ
ることから好適に用いられる。本実施形態のプリプレグ
に用いられるマトリックス樹脂組成物としては、特に限
定されないが、通常、エポキシ樹脂が用いられる。エポ
キシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジ
ルアミン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ
樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを使用することができ
る。これらのエポキシ樹脂は、液状のものから固体状の
ものまで使用できる。また単独または2種類以上をブレ
ンドして使用することもできる。
【0013】通常、エポキシ樹脂は硬化剤を加えて使用
されるが、この硬化剤としては、アミン系、酸無水物
系、フェノール系、メルカプタン系、イミダゾール系、
BF3系等の硬化剤が挙げられる。また、アミン系硬化
剤としては、芳香族アミン、脂肪族アミン、第2、3ア
ミン、ジシアンジアミド、ポリアミノアミド系等が挙げ
られる。またプリプレグの保存安定性を高めるために、
マイクロカプセル化した潜在性硬化剤も好適に使用でき
る。これら硬化剤には、その活性を高めるために適当な
硬化促進剤を組み合わせることができる。また、これら
エポキシ樹脂と硬化剤あるいは一部を予備反応させたも
のを使用する方法もあるが、この方法は粘度調節に有効
な場合がある。さらにエポキシ樹脂の粘度調整や、プリ
プレグの取り扱い性制御のために熱可塑性樹脂を配合す
る場合もある。熱可塑性樹脂の好ましい例としては、ポ
リビニルフォルマール、フェノキシ樹脂、ポリビニルブ
チラール、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエ
ーテルイミド等が挙げられるが、これらの樹脂を2種類
以上混合して用いても構わない。
【0014】通常のプリプレグにおいては、強化繊維目
付が125g/m2以下になると目付斑が生じやすく表面
の平滑度が悪くなり、さらに60g/m2以下では表面の
凹凸斑が顕著に現れやすくなるが、本実施形態のプリプ
レグでは、繊維引き揃え方向に対して直角方向(90度
方向)の凹凸係数Rzを15μm以下とすることで、こ
の問題を解決している。凹凸係数Rzが15μm以上に
なると、このプリプレグを積層して管状成形体に使用し
た場合、管状成形体の外観の平滑性が悪くなり、また所
望の物性が得られにくいという問題が発生する。したが
って、繊維引き揃え方向に対して直角方向(90度方
向)の凹凸係数Rzは15μm以下とするのが好まし
く、さらに好ましくは10μm以下とするのが良い。
【0015】本実施形態の凹凸係数Rz(繊維引き揃え
方向に対して直角方向の十点平均粗さ)が15μm以下
であるプリプレグを得るためには、引き揃えた繊維束を
均一に開繊させることが必要であり、その開繊方法とし
ては、通常のプリプレグ製造装置を使用する際に、その
加熱ニップ含浸ロール部の温度を通常より高めにすると
ともに、線圧も高めにして行うことが必要である。本実
施形態の繊維引き揃え方向に対して直角方向(90度方
向)の凹凸係数Rzが15μm以下のプリプレグを成形
してゴルフシャフトや釣り竿等の管状成形体にすると、
プリプレグ表面の凹凸が小さいので成形体外観が優れた
ものが得られ、強度も安定したものが得られる。
【0016】[実施例]以下、本実施形態のプリプレグ
を用いて製造された管状成形体(実施例1、実施例2)
と、従来のプリプレグで製造された管状成形体(比較例
1、比較例2)とを比較することにより、本実施形態を
より詳しく説明する。なお実施例中の凹凸係数Rzは、
図1に示すように、例えば幅1000mmのプリプレグ
の幅方向において、両端部から100mmの2点と、中
央(両端から500mmの位置)の1点との計3点で測
定を行い、それぞれの凹凸係数Rz(すなわち、繊維引
き揃え方向に対して直角方向の凹凸係数Rz)を算出し
た。ここで凹凸係数Rzは、以下に示す手順で測定を行
って算出した。3次元表面粗さ測定器として、Kosa
ka Laboratory Ltd.製の型番SE−
30Kを使用し、検出器として触針の先端半径が2μm
のものを使用し、検出速度0.5mm/secでプリプ
レグ繊維引き揃え方向に対して直角方向に40mmの幅
で測定を行った。例えば図2に示すように、40mm幅
(基準長さl=40mm)で検出した断面曲線1より求
めた凹凸の平均値である平均線2を引き、この平均線2
に平行、かつ断面曲線1を横切らない任意の直線3から
厚み方向に測定した最大山高さから5番目までの高さの
平均値と、最深から5番目までの谷底の高さの平均値と
の差をμmで表したものを凹凸係数Rzとして、次式
(1)により算出した。
【0017】
【数1】
【0018】管状成形体の成形後の評価は、目視による
管状成形体外観の評価と、4点曲げ試験とで行った。管
状成形体の4点曲げ試験には、オリエンテック株式会社
製万能力学試験機テンシロンを用い、応力集中を防ぐた
めに、内径11.5mm、厚さ2mm、幅10mmのア
ルミ製リングを管状成形体のサポート及び圧子の当たる
部分に装着し、移動圧子間距離500mm、固定圧子
(サポート)間距離150mm、固定圧子の移動速度1
5mm/minで測定し、6点の測定値の平均値を曲げ
強度とした。
【0019】[実施例1] (1)プリプレグの作製 下記原料の内、EP828、EP1002、N−775
を予め溶解させ均一混合樹脂を製造した後、N−77
5、DICY、DCMUを混錬してプリプレグ用一液硬
化型エポキシ樹脂組成物を調製した。各化合物略号の説
明及び配分は、以下の通りである。 ・EP828:油化シェルエポキシ株式会社製ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、エピコート828(エポキシ
当量:184〜194、常温で液状)を45重量部 ・EP1002:油化シェルエポキシ株式会社製ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、エピコート1002(エポ
キシ当量:600〜700、常温で固体状)を35重量
部 ・N−775:大日本インキ化学工業株式会社製フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、エピクロンN−775
(軟化点:70〜80℃)を30重量部 ・DICY:油化シェルエポキシ株式会社製ジシアンジ
アミド、エピキュア DICY7(分子量:84)を6
重量部 ・DCMU:保土谷化学工業株式会社製、DCMU−9
9(分子量:233)を4重量部
【0020】上記プリプレグ用一液硬化型のエポキシ樹
脂組成物をロールコーターを用いて離型紙上に塗布し、
樹脂フィルムを作製した。次に一方向に引き揃えた炭素
繊維と樹脂フィルムとを重ねて加熱加圧により樹脂を含
浸させ、以下のプリプレグ(a)を作製した。この時、
加熱ニップ含浸ロール部の温度は80℃に設定し、線圧
を50kg/cmにして行った。 ・プリプレグ(a):炭素繊維目付29g/m2(三菱レ
イヨン(株)製 MR30 3L 引張弾性率280g
/Paを使用):樹脂含有率37.5%
【0021】(2)表面粗さ測定 このプリプレグ(a)を上記説明の凹凸係数Rzの算出
方法により、プリプレグ繊維引き揃え方向に対して直角
方向に40mm幅で、プリプレグ(a)の幅方向におい
て両端部から100mmの部分(A、B)、中央の部分
(C)と計3箇所測定を行った(図1参照)。その結
果、各箇所での凹凸係数Rzは、A点でRz(A)=
5.0μm、B点でRz(B)=6.0μm、C点でR
z(C)=5.5μmという結果を得た。
【0022】次に、このプリプレグ(a)と下記に示す
プリプレグ(b)を使用して下記手順で管状成形体を成
形した。 ・プリプレグ(b):炭素繊維目付150g/m2(三菱
レイヨン(株)製 HR40 12M 引張弾性率 4
08g/Paを使用):樹脂含有率25%
【0023】高目付のプリプレグ(b)と低目付のプリ
プレグ(a)とを繊維軸方向が直交するように貼り合わ
せることによって積層プリプレグを作製した。得られた
積層プリプレグは密着不良部分が無く、触感による評価
では表面も平滑で良好なプリプレグとなった。このプリ
プレグを直径10mmのマンドレルに、低目付のプリプ
レグ(a)が内側でかつ周方向を補強するように4周
(8層分)巻き付けて積層体とした。この積層体の成形
は、その表面にポリプロピレン製の成形用テープ(厚み
30μm、幅15mm)を張力6.5kg/15mm、
ピッチ3mmでテーピングし、130℃の硬化炉で1時
間、加熱処理することにより行った。硬化後、マンドレ
ルを積層体より抜き取り、テープをほどいて肉厚0.6
mmの管状成形体を得た。この管状成形体を外観検査し
た結果、凹凸のないものが得られた。また、この管状成
形体を上述した4点曲げ試験の手順に従って試験したと
ころ、4点曲げ強度は1450MPaであるという結果
を得た。
【0024】[実施例2] (1)プリプレグの作製 プリプレグの炭素繊維目付を20g/m2、樹脂含有率を
33%とし、プリプレグ製造時の加熱ニップ含浸ロール
部の温度を70℃に設定し、線圧を50kg/cmにし
た以外は、実施例1と同様の方法で下記プリプレグ
(c)を作製した。・プリプレグ(c):炭素繊維目付
20g/m2(三菱レイヨン(株)製 MR30 3L
引張弾性率 280g/Paを使用):樹脂含有率33
【0025】(2)表面粗さ測定 このプリプレグ(c)を上記説明の凹凸係数Rzの算出
方法により、プリプレグ繊維引き揃え方向に対して直角
方向に40mm幅で、プリプレグ(c)の幅方向におい
て両端部から100mmの部分(A、B)、中央の部分
(C)と計3箇所測定を行った(図1参照)。その結
果、各箇所での凹凸係数Rzは、A点でRz(A)=
6.5μm、B点でRz(B)=6.0μm、C点でR
z(C)=6.5μmという結果を得た。
【0026】次に、このプリプレグ(c)と上記プリプ
レグ(b)とを使用して実施例1と同様に管状成形体を
成形した。この管状成形体を外観検査したところ、凹凸
のないものが得られた。また、この管状成形体に上述し
た4点曲げ試験を行った結果、4点曲げ強度は1389
MPaであるという結果が得られた。
【0027】[比較例1] (1)プリプレグの作製 プリプレグ製造時の加熱ニップ含浸ロール部の温度を5
0℃に設定し、線圧を5kg/cmにした以外は、実施
例1と同様のプリプレグ(d)を作製した。・プリプレ
グ(d):炭素繊維目付29g/m2(三菱レイヨン
(株)製 MR30 3L 引張弾性率280g/Pa
使用):樹脂含有率37.5%
【0028】(2)表面粗さ測定 このプリプレグ(d)を上記説明の凹凸係数Rzの算出
方法により、プリプレグ繊維引き揃え方向に対して直角
方向に40mm幅で、プリプレグ(d)の幅方向におい
て両端部から100mmの部分(A、B)、中央の部分
(C)と計3箇所測定を行った(図1参照)。その結
果、各箇所での凹凸係数Rzは、A点でRz(A)=2
5μm、B点でRz(B)=22μm、C点でRz
(C)=24μmという結果を得た。
【0029】次に、このプリプレグ(d)と上記プリプ
レグ(b)とを使用して実施例1と同様に管状成形体を
成形した。この管状成形体を外観検査した結果、管状成
形体の長手方向に凹凸斑が見られた。また、この管状成
形体に上述した4点曲げ試験を行った結果、4点曲げ強
度が1372MPaであるという結果を得た。
【0030】[比較例2] (1)プリプレグの作製 プリプレグ製造時の加熱ニップ含浸ロール部の温度を5
0℃に設定し、線圧を5kg/cmにした以外は、実施
例2と同様のプリプレグ(e)を作製した。 ・プリプレグ(e):炭素繊維目付20g/m2(三菱レ
イヨン(株)製 MR30 3L 引張弾性率 280
g/Paを使用):樹脂含有率33%
【0031】(2)表面粗さ測定 このプリプレグ(e)を上記説明の凹凸係数Rzの算出
方法により、プリプレグ繊維引き揃え方向に対して直角
方向に40mm幅で、プリプレグ(e)の幅方向におい
て両端部から100mmの部分(A、B)、中央の部分
(C)と計3箇所測定を行った(図1参照)。その結
果、各箇所での凹凸係数Rzは、A点でRz(A)=2
0μm、B点でRz(B)=21μm、C点でRz
(C)=20μmという結果を得た。
【0032】次に、このプリプレグ(e)と上記プリプ
レグ(b)とを使用して実施例1と同様に管状成形体を
成形した。この管状成形体を外観検査した結果、管状成
形体の長手方向に凹凸斑が見られた。また、この管状成
形体に上述した4点曲げ試験を行った結果、4点曲げ強
度が1304MPaであるという結果を得た。
【0033】以上説明の実施例1、実施例2、比較例
1、比較例2で作製された各管状成形体を比較したもの
を表1にまとめる。同表に示すように、実施例1及び実
施例2は、5.0μm〜6.5μmという低い凹凸係数
Rzを有するプリプレグの使用により、20μm〜25
μmという高い凹凸係数Rzのプリプレグを使用した比
較例1及び比較例2の管状成形体に比べて、4点曲げ強
度が向上していることが確認された。
【0034】
【表1】
【0035】本実施形態によると、一方向引き揃え強化
繊維束に樹脂を含浸させたプリプレグにおいて、繊維引
き揃え方向に対して直角方向の凹凸係数Rzが15μm
以下のプリプレグを使用することにより、プリプレグ表
面の高い平滑性が確保され、さらには、該プリプレグを
積層して成形された管状成形体の外観表面の均一性も向
上するので、強度の安定発現性も向上することが可能と
なる。
【0036】
【発明の効果】本発明の上記請求項1記載のプリプレグ
によれば、一方向引き揃え強化繊維束に樹脂を含浸させ
たプリプレグにおいて、繊維引き揃え方向に対して直角
方向の凹凸係数Rzが15μm以下のプリプレグを使用
することにより、プリプレグ表面の高い平滑性を確保す
ることができるので、強度の安定発現性も向上させるこ
とが可能となる。また、上記請求項2記載のプリプレグ
によれば、凹凸係数Rzを10μm以下とすることで、
より一層、プリプレグ表面の平滑性と強度の安定発現性
を高めることが可能となる。また、上記請求項3記載の
プリプレグによれば、強化繊維目付を125g/m2以下
とすることで、プリプレグ表面の平滑性及び強度の安定
発現性に加えて、軽量化をも実現することが可能とな
る。また、上記請求項4記載のプリプレグによれば、強
化繊維目付を60g/m2以下とすることで、より一層の
軽量化を実現することが可能となる。また、上記請求項
5記載の管状成形体によれば、繊維引き揃え方向に対し
て直角方向の凹凸係数Rzが15μm以下または10μ
m以下という低いプリプレグを積層して成形された環状
成形体は、従来よりも外観表面の均一性が向上し、強度
の安定発現性も向上される。さらには、強化繊維目付を
125g/m2以下または60g/m2以下とすることによ
り、軽量化をも実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態であるプリプレグの表面粗
さの測定個所を示す図であって、平面図である。
【図2】 表面粗さ計による測定例を示すチャートであ
る。
【符号の説明】
a・・・プリプレグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 101:10 703:04 B29L 24:00 C08L 63:00 (72)発明者 後藤 和也 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 Fターム(参考) 2B019 AB03 2C002 AA05 MM02 PP01 4F072 AB10 AB21 AB34 AD23 AD28 AG03 AH26 AL09 AL17 4F205 AA39 AD02 AD16 AF16 AG08 AH02 AH59 HA08 HA23 HA33 HA37 HA45 HB01 HC02 HC17 HE30 HL12 HL13 HM02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方向引き揃え強化繊維束に樹脂を含浸
    させたプリプレグにおいて、 繊維引き揃え方向に対して直角方向の凹凸係数Rzが1
    5μm以下であることを特徴とするプリプレグ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のプリプレグにおいて、 前記凹凸係数Rzが10μm以下であることを特徴とす
    るプリプレグ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のプリプレ
    グにおいて、 強化繊維目付が125g/m2以下であることを特徴とす
    るプリプレグ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のプリプ
    レグにおいて、 強化繊維目付が60g/m2以下であることを特徴とする
    プリプレグ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の前記プ
    リプレグを用いて成形したことを特徴とする管状成形
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012057277A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Toray Ind Inc 複合強化繊維束の製造方法およびそれを用いた成形材料
CN108472831A (zh) * 2016-01-15 2018-08-31 日立化成株式会社 Frp前体、层叠板、覆金属层叠板、印刷布线板、半导体封装体及它们的制造方法

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