JP2000326239A - 研削・研磨用ロール - Google Patents

研削・研磨用ロール

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JP2000326239A
JP2000326239A JP11132945A JP13294599A JP2000326239A JP 2000326239 A JP2000326239 A JP 2000326239A JP 11132945 A JP11132945 A JP 11132945A JP 13294599 A JP13294599 A JP 13294599A JP 2000326239 A JP2000326239 A JP 2000326239A
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roll
polishing
grinding
woven fabric
fiber
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Kenji Irie
健嗣 入江
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KENKEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被研削・研磨材に外周面を押しつけながら回
転させて、それらの表面を研削又は研磨するために使用
される研削・研磨用ロールにおいて、研削・研磨力の向
上を図りつつ、研磨面の仕上げを向上させ、特に研磨筋
の発生を確実に防止する。 【解決手段】アルミナ繊維等からなる織物シート1を螺
旋構造の略1周分となるように裁断し、ロール軸心Xに
沿って、かつロールRの一端から他端まで連続する4条
の螺旋構造をなすように積層して、接着剤樹脂により接
着固定する。各螺旋構造の終端である織物シート1の端
縁部1cを、ロールRの両端部でそれぞれ円周方向に等
間隔を空けて配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鋼板や鋼線
等の被研削・研磨材に外周面を押しつけながら回転させ
て、それらの表面を研削しながら研磨するために使用さ
れる研削・研磨用ロールの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の研削・研磨用ロール
としては、砥粒等の研削・研磨材を樹脂化合物等の結合
材でロール状に固めたものや、例えば特公昭59−15
57号公報に開示されるように、砥粒を混練混入した繊
維にさらに砥粒を混ぜ合わせて、樹脂化合物によりロー
ル状に固めたものが知られており、この他、砥粒を混練
混入した繊維からなるブラシロールも一般に用いられて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記各従来
例のように砥粒を混入したものでは、研削・研磨性能を
高めるために砥粒を大きくすると研磨面が粗くなってし
まい、反対に砥粒粒度を細かくすれば、面粗度は小さく
なり滑らかな仕上がりが得られるものの、砥粒を細かく
すればするほど研磨力が低下するという欠点がある。つ
まり、前記従来例のものでは、研削・研磨力の向上と研
磨面の良好な仕上がりとを同時に実現することができな
い。
【0004】また、そのように砥粒を混入したもので
は、ロールの摩耗により使用途中で砥粒が脱落してしま
うので、研削・研磨に対する砥粒の寄与率を十分に高め
ることができないという不具合がある。
【0005】これに対し、例えばアルミナ繊維からなる
織物シートを重ね合わせ、接着剤により固めてロールを
形成することが考えられ、このロールを用いれば、アル
ミナ繊維により連続的に研削・研磨が行われるので、研
削・研磨に対する寄与率を十分に高めることができ、し
かも、繊維径を細くすることで研磨目を細かくすること
も可能になる。
【0006】しかし、そのように織物シートを重ね合わ
せたロールでは、シート間に空隙が生じやすく、その場
合には、ロール表面に織物シートの外周縁部と空隙部と
が交互に存在することになる。そして、この空隙部があ
ることで、被研磨面を均一に仕上げることが困難にな
り、場合によっては研磨筋が発生する虞れもある。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、研削・研磨用ロール
の構造に工夫を凝らして、研削・研磨力の向上を図りつ
つ、研磨面の仕上げを向上させるとともに、研磨筋の発
生を確実に防止できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では、無機化合物繊維の織布をロールの一端
から他端まで螺旋面状に連続させる構成とした。
【0009】すなわち、請求項1の発明の研削・研磨用
ロールは、ロール軸心方向の一端部から他端部まで螺旋
面状に連続するように配置された無機化合物繊維の織布
を、ロール軸心方向に積層一体化してなるものとする。
【0010】この構成によれば、まず、研削・研磨用ロ
ールの外周面(以下、ロール表面ともいう)には、織布
の無機化合物繊維の断面が存在するので、この繊維断面
によって砥粒と同様に被研削・研磨材を研削・研磨する
ことができる。そして、例えば前記の繊維として、多数
の極めて細い単糸を撚り合わせたものを用いれば、1本
1本の単糸径は極めて小さいので、被研磨面を滑らかに
仕上げることができる一方、多数の単糸によって全体と
して強い力で研削・研磨を行うことができ、よって、研
磨の仕上がりを細かくしつつ、研削・研磨力を向上させ
ることができる。
【0011】また、前記織布が全体として、ロール軸心
方向の一端部から他端部まで螺旋面状に連続しているの
で、ロール表面における織布の外周縁部の位置は、ロー
ルの回転に伴いその一端部から他端部まで連続的に変化
することになり、このことで、そのロール表面に織布の
外周縁部と空隙部とが交互に存在していても、被研削・
研磨材には必ず織布の外周縁部が当たるようになる。よ
って、織布と被研削・研磨材との当たりが平均化されて
研磨むらが減少し、ひいては研磨筋の発生を防止でき
る。しかも、ロールをその外径が内径と殆ど同じになる
まで使い切っても、前記の作用効果を得ることができ
る。
【0012】請求項2の発明では、少なくとも2枚の織
布をそれぞれ螺旋構造をなすように交互に積層するもの
とする。こうすれば、例えば3枚の織布により3条の独
立した螺旋構造を構成する場合、各螺旋構造は一周毎に
織布の3枚分の厚みだけロール軸心方向にずれるように
なる。つまり、ロール表面において織布の外周縁部をロ
ール軸心に直交する平面に対し大きく傾斜させて、請求
項1の発明の作用効果を十分に得ることができる。
【0013】請求項3の発明では、請求項2の発明にお
けるロール軸心方向の両端部に、それぞれ各螺旋構造を
なす織布の端縁部を、円周方向に等間隔を空けて配置す
る構成とする。
【0014】この構成によれば、各螺旋構造はロール円
周方向について等間隔に位置し、ロール全体としてバラ
ンスの良い構造となる。また、例えば3枚の織布により
3条の独立した螺旋構造を構成すれば、この各螺旋構造
の終端である織物シートの端縁部は、ロール両端部にお
いてロール軸心に直交する同一平面上に略120°間隔
で配置される。これにより、ロールをその両端部からフ
ランジ部材により締め付けたときに、該フランジ部材は
自ずとロール軸心に直交するようになるので、ロールの
研削・研磨装置に対する取付を容易にかつ正確に行うこ
とができる。
【0015】請求項4の発明では、織布を、螺旋構造の
略1周分となるように裁断された織物シートからなるも
のとする。こうすれば、織物シートをロール軸心に沿っ
て積層することにより、連続する螺旋構造を容易に構成
することができる。
【0016】請求項5の発明では、請求項1の発明にお
ける織布は、縦糸及び横糸が互いに交差し、その交点で
互いに接着剤により接着されてなるものとする。
【0017】このことで、ロール表面には織布の縦糸及
び横糸の断面が存在し、この縦糸及び横糸を構成する1
本1本の繊維の断面により、被研削・研磨材の研削・研
磨が行われる。このとき、前記縦糸及び横糸にはそれら
を押し曲げようとする力が作用するが、それらの糸は互
いに交差する糸によって補強されていて、加えられた力
が糸の交点で他の糸にも分散されるようになっているの
で、研削・研磨のために十分な強い力が得られ、よっ
て、研削・研磨力を十分に向上させることができる。
【0018】請求項6の発明では、請求項1の発明にお
ける織布の繊維の単糸径は、50μm以下とする。こう
すると、研磨目を細かくして、面粗度を十分に小さくす
ることができ、よって、滑らかな仕上がりを得ることが
できる。
【0019】請求項7の発明では、請求項1の発明にお
ける織布の繊維は、アルミナ繊維、炭化珪素繊維又はガ
ラス繊維の少なくとも1つからなるものとする。このこ
とで、無機化合物の繊維が具体化され、十分な研削・研
磨能力と耐久性とを併せ持った織布が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0021】図1は本発明の実施形態に係る研削・研磨
用ロールRを示し、このロールRは外径Dの略円筒形状
をなし、その外周面(ロール表面)を被研削・研磨材に
押しつけながら回転させて、それらの表面を研削又は研
磨するために用いられるものである。また、このロール
Rは、多数の略円盤状の織物シート1,1,…がロール
軸心Xに沿って積層されて、互いに接着剤樹脂により接
着固定されたものであり、その中心部には直径dの円形
断面を有する中心孔r1がロール軸心Xに沿って貫通形
成され、この中心孔r1に略同径の回転シャフト2が挿
通されている。そして、その回転シャフト2には、図示
しないが、両端側から一対のフランジ部材が外嵌合され
て、ロールRの両端部をロール軸心X方向に締め込んで
固定するようになっている。
【0022】前記織物シート1,1,…は、ロールRの
両端部のものを除いてそれぞれ所定箇所で半径方向に切
断されており、この切断部が互いに織物シート1の厚み
4枚分だけ離れて、別の織物シート1に繋がるように積
層されている。すなわち、本発明の特徴部分であるが、
前記織物シート1,1,…の大部分は、それぞれ螺旋構
造の1周分となるように裁断されていて、それらが積層
されることにより、全体として、ロールRの一端から他
端まで螺旋面状に連続する4つの独立した螺旋構造が構
成されている。また、詳しくは後述するが、その各螺旋
構造の終端である織物シート1,1,…の端縁部1c,
1c,…は、ロールRの両端部において、それぞれロー
ル円周方向に等間隔を空けて配置されている。そして、
このような構造により、ロールRが回転されると、ロー
ル表面における織物シート1,1,…の外周縁部の位置
が、全体としてロールRの一端から他端まで連続的に変
化するようになる。
【0023】ここで、一般的に螺旋面とは、図2に例示
するように、直角三角形AA′B′を円柱に巻き付け
て、該直角三角形AA′B′の斜辺AB′により螺旋状
の空間曲線ABを形成したときに、その空間曲線AB上
の点から円柱の軸心Xに対して曳いた垂線により構成さ
れる面のことである。従って、同図における2点ABの
上下方向の間隔を織物シートの1枚分の厚みと同じにす
れば、ロールRを構成する螺旋構造は1つになる。ま
た、この実施形態のように、独立した4つの螺旋構造と
するためには、ABの間隔を織物シートの4枚分の厚み
と同じにすればよい。
【0024】前記織物シート1,1,…は、それぞれ研
削・研磨材として十分な強度を有する無機化合物の繊維
からなる織布を、樹脂で硬化させた後に裁断したもので
ある。この織布としては、多数の単糸を合糸又は撚糸と
するか、或いは合糸とした後に撚糸とし、それを縦糸1
a及び横糸1bとして従来周知の平織り、朱子織り、綾
織り等の方法で織ったものが用いられる。この他、前記
縦糸1a及び横糸1bに斜め糸を加えて、いわゆる四軸
織りとしたものを用いてもよい。ここで、ロールRによ
る被研磨面の粗度を十分に小さくするためには、前記繊
維の単糸径を50μm以下にすればよく、被研磨面をさ
らに滑らかに仕上げるためには単糸径を5〜20μmく
らいにするのが好ましい。また、無機化合物繊維として
は、例えば高純度Al2O3系や、Al2O3-SiO2系、
Al2O3-SiO2-B2O3系等のアルミナ繊維、炭化珪
素繊維、ガラス繊維等を用いればよい。尚、前記織物シ
ート1,1,…の全体を樹脂で固めることは必ずしも必
要ではなく、互いに交差する縦糸1aと横糸1bとの交
点を接着剤樹脂で固着するだけでもよい。
【0025】(ロール製造方法)上述の如き研削・研磨
用ロールRを製造するためには、まず、織布を円板状に
裁断するための治具を製作する。詳しくは、図3に示す
ような所定寸法の金属製ブロック10を準備し、この金
属製ブロック10を放電加工機等によって切断して、6
つのブロック11〜13に分割する。すなわち、まず、
金属製ブロック10をその上面10aと底面10bとが
いずれも略水平になるように配置しておいて、同図
(a)に実線で示すように水平面に対して傾斜角度θを
なす切断面10cに沿って切断して、上側と下側とに2
分割する。
【0026】続いて、前記上側及び下側ブロックを重ね
合わせたままで、同図(b)に実線で示すように、金属
製ブロック10をロールRの外径D及び内径dにそれぞ
れ対応する同心上の円周に沿って切断して、外側ブロッ
ク11,11と中間ブロック12,12と、内側ブロッ
ク13,13とをそれぞれ2つずつ作製する。すなわ
ち、図4にも示すように、前記外側ブロック11は、前
記金属ブロック10を上下に2分割して、その中心にロ
ールRの外径に相当する円形断面の貫通孔部11aを形
成したものである。
【0027】また、前記中間ブロック12は、ロールR
と略同じ外径及び内径を有するように円板状に形成さ
れ、上下両端面のうちの一方が中心孔12aの軸心に直
交する一方、他方の面は前記一方の面に対し傾斜角度θ
をなすように斜めになっている。さらに、前記内側ブロ
ック13は、ロールRの内径と略同じ外径を有する円柱
形状とされ、上下両端面のうちの一方が軸心に直交する
一方、他方の面と前記一方の面とは傾斜角度θをなして
いる。
【0028】このようにして得られた6個のブロックの
うちから、中間ブロック12及び内側ブロック13を1
つずつと、2つの外側ブロック11,11とを用いて、
裁断用治具を組み立てる。すなわち、図4に示すよう
に、別に準備しておいた金属製ベース板14を水平に配
置し、その上に、外側ブロック11と内側ブロック13
とを同心位置に、かつ互いの上面が同一平面上に位置す
るように固定して、これを下側把持台15とする。続い
て、その下側把持台15の上方に、もう一つの外側ブロ
ック11を対向する面同士が平行になるように配置し
て、これを上側把持台とする。
【0029】そして、前記上側把持台11と下側把持台
15との間に予め準備しておいた織布16を挟んで把持
固定しておいて、その上側把持台11の貫通孔部11a
に上方から内側ブロック13を嵌め込んで、さらに下方
に押し込むことにより、該内側ブロック13と下側把持
台11との間に織布16を挟み込むようにして、中心孔
を有する円板状に裁断する。この円板状シートは、図5
に誇張して示すように長円形状になるので、その最長方
向(図の左右方向)の一方の径線LC1に沿って切断し
て、織物シート1を得る。
【0030】前記の作業を繰り返し行って、必要な枚数
の織物シート1,1,…を作成するとともに、ロールR
の両端部に用いるために、別に3枚の織物シート1,
1,…を作成し、そのうちの1枚を長手方向の他方の径
線LC2に沿って切断して、織物シート1の1/2分割
片を2枚、作成する。一方、残りの2枚の織物シート
1,1はそれぞれ最短方向の一方の径線SCに沿って切
断し、織物シート1の1/4分割片及び3/4分割片をそ
れぞれ2枚ずつ、作成する。
【0031】次に、上述の如く作成した織物シート1,
1,…及びその分割片を積層して、ロールRを構成す
る。すなわち、図6に示すように、上面が水平なベース
板20上に、外径がロール内径に略等しい円柱状のガイ
ドポール21を鉛直上方に延びるように立設する。そし
て、このガイドポール21の下端側を囲むように、前記
ベース板20上に4つのガイドブロック22,22,…
を配置する。このガイドブロック22,22,…は、そ
れぞれ平面視で中心角が略90°の扇形をなし、4つが
組み合わされた状態で外径がロールRの外径Dと略同じ
になるとともに、その1つ1つは、図7に示すように、
円周方向一側の端縁部の高さt1が他側の端縁部の高さ
t2よりも高くなるように、上面が螺旋面状とされてい
て、その両端縁部の高さの差t1−t2が、織物シート
1の厚みと略同じとされている。
【0032】そして、前記4つのガイドブロック22,
22,…のうちの1つに、織物シート1の1/4分割片
P1をその両端部が一致するように載せて、その上面に
接着剤を塗布する。続いて、前記1/4分割片P1とそ
の隣のガイドブロック22との上に跨るように、同様に
して織物シート1の1/2分割片P2を載置し、その上
に、同様にして織物シート1の3/4分割片P3を載置
し、さらにその上に、分割していない織物シート1を載
置する。このようにして、ロールRの一方の端部(図の
下端部)が4片の織物シート1,1,…により構成さ
れ、該端部には、4つの螺旋構造の終端となる4つの織
物シート1,1,…の各端縁部1c、1c、…が、ロー
ル円周方向に等間隔を空けて配置される。
【0033】続いて、図示省略するが、前記織物シート
1の上に、必要な枚数の織物シート1,1,…をそれぞ
れに接着剤を塗布しながら重ね合わせた後、前記と逆の
順序で織物シート1の3/4分割片P3、1/2分割片P
2及び1/4分割片P1を積層して、ロールRのもう一
方の端部(図1参照)を構成する。そして、それらの積
層した織物シート1,1,…を上方から押さえ板により
押圧して、該押さえ板とベース板20とにより織物シー
ト1,1,…を上下に圧着固定する。この状態で加熱し
て接着剤を十分に硬化させた後に、所定時間だけ冷却し
て、完成したロールRをガイドポール21から取り外し
て、ロールRが完成する。
【0034】したがって、この実施形態では、前記のよ
うに製造した研削・研磨用ロールRを用いて被研削・研
磨材を研削・研磨すると、ロール表面にある織物シート
1,1,…の外周縁部に、縦糸1a又は横糸1bの切断
面が存在するので、この切断面によって砥粒と同様に研
削・研磨を行うことができる。そして、この縦糸1a及
び横糸1bが50μm以下の細い単糸を撚り合わせたも
のなので、この細かい単糸1本1本の断面で研磨される
被研磨面の粗度を十分に小さくして、良好な仕上がりと
することができる。
【0035】一方、前記縦糸1a及び横糸1bは多数の
単糸を撚り合わせたものなので、被研削・研磨材から加
わる押曲げ力に対して集合体として強い抵抗力を有し、
しかも、交差する多数の糸によって互いに補強されてい
るので、十分に強い力で研削・研磨を行うことができ
る。つまり、研磨の仕上がりを滑らかにしながら、研削
・研磨性能も十分に向上させることができる。さらに、
撚り合わせた単糸の間には微小な空間が存在するととも
に、織布の縦糸1a及び横糸1bの間には規則的な微小
空間が存在するので、研削・研磨屑による目詰まりが軽
減され、このことによって、研磨性能のさらなる向上が
図られる。
【0036】このことにより、砥粒を混入した従来型の
砥石を用いる場合には、まず、被研削・研磨材を粗い砥
石を用いて研削し、その後、段階的に細かい砥石に交換
して徐々に被研磨面を仕上げるというように、いくつも
の砥石を交換して用いる必要があるのに対し、この実施
形態のロールRは、前記のように従来型の砥石に比べて
高い研削・研磨性能を有しながら、それらを上回る良好
な仕上がりを得られるものであるから、1つのロールR
によって、被研削・研磨材を研削・研磨しながら、一気
に仕上げることもできるという、画期的な効果が得られ
るものである。
【0037】ところで、上述の如く織物シート1,1,
…を積層したロールRでは、各織物シート1の間に空隙
が生じやすく、たとえロール軸心X方向に強く圧接させ
て接着剤樹脂で固定したとしても、ロール表面1aには
織物シート1,1,…の外周縁部と接着剤樹脂のみの部
分(空隙部)とが交互に存在することになる。そして、
その研削・研磨能力のない接着剤樹脂のみの部分が存在
することで研磨むらが発生し、場合によっては研磨筋が
現れる虞れがある。
【0038】これに対し、この実施形態に係る研削・研
磨用ロールRでは、織物シート1,1,…をそれぞれ螺
旋構造の1周分として形成し、それらを積層することに
より、織物シート1,1,…が全体として、ロールRの
一端から他端まで螺旋面状に連続する螺旋構造をなすも
のとしている。このことで、ロール表面に織物シート
1,1,…の外周縁部とその間の樹脂だけの部分とが交
互に存在しているにもかかわらず、ロールRが回転する
と、織物シート1,1,…の外周縁部はロール表面を軸
心方向一端側から他端側まで連続的に変位して、必ず被
研削・研磨面に当たるようになる。これにより、織物シ
ート1,1,…と被研削・研磨材との当たりを平均化し
て、研磨むらを十分に小さく抑え、研磨筋の発生等の問
題を解消することができる。
【0039】しかも、このロールRでは、前記織物シー
ト1,1,…の螺旋構造が4条になっていて、各織物シ
ート1がロール軸心Xに直交する平面に対し大きく傾斜
しているので、上述の如き被研削・研磨材との当たりの
平均化という作用効果を十分に得ることができる。ま
た、そのような作用効果はロールRが使用により摩耗し
て、その外径Dが内径dと殆ど同じになったとしても、
つまり、ロールRを使い切るまで、変わらずに得ること
ができる。
【0040】さらに、このロールRの両端部では、それ
ぞれ、各螺旋構造の終端である織物シート1,1,…の
端縁部1c,1c,…が、ロール軸心Xに直交する同一
平面上に円周方向に等間隔を空けて配置されている。こ
のため、ロールRの両端部に取り付けられるフランジ部
材は、自然にロール軸心Xに直交するように位置づけら
れ、これにより、ロールRの研削・研磨装置に対する取
付を容易にかつ正確に行うことができる。加えて、前記
4条の螺旋構造が各々ロール円周方向について等間隔に
位置するので、ロール全体としてバランスの良い構造に
なり、ロールの製造や回転バランスの調整等の作業の容
易化が図られる。
【0041】尚、本発明は前記実施形態に限定されるも
のではなく、その他の種々の実施形態を包含するもので
ある。すなわち、前記実施形態では、織物シート1,
1,…の螺旋構造を4条にしているが、これに限らず、
例えば3条にすることもできる。この場合には、ロール
Rの両端部に用いる織物シート1,1,…として、前記
実施形態と同様の織物シート1を平面視でそれぞれ1/
3及び2/3に分割した分割片を用いるとともに、図6
及び図7に示すガイドブロック22に代えて、平面視で
中心角が略120°の扇形をなす3つのガイドブロック
を用いるようにすればよい。
【0042】また、同様にして、螺旋構造を2条又は3
条としてもよく、或いは1条のみの螺旋構造とすること
もできる。さらに、螺旋構造を5〜8条とすることも可
能であるが、織物シート1,1,…の厚みと傾斜角度と
のバランスを考慮すれば、螺旋構造は6条くらいまでと
することが好ましい。
【0043】また、前記実施形態のように略円板状の織
物シート1,1,…を積層してロールを構成する以外
に、予め螺旋面状の織布を準備して、この螺旋面状の織
布を積層一体化してロールを構成するようにしてもよ
い。
【0044】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。
【0045】(実施例)まず、実施例のものは、アルミ
ナ繊維の直径7μmの単糸を2880本束ねて撚りをか
け、これを縦糸及び横糸として、タテヨコいずれも11
本/25mmの密度の平織りの織布とした。続いて、上述
の実施形態に記載したように、前記織布に20%濃度の
フェノール樹脂水溶液を含浸させて、ゴムロールで絞っ
た後に150°Cに加熱して硬化させ、この硬化後の織
布を裁断して、外径略120mm、内径略60mmのロール
Rが得られるような円板状の織物シートを所定枚数だけ
製作した。また、この織物シートをさらに切断して、1
/4分割片、1/2分割片及び3/4分割片を得た。そし
て、これらの織物シートを上述の手順に沿って積層し、
160°Cで加熱して一体化させ、実施形態と同様の4
条の螺旋構造を有する軸方向長さ30mmの研磨ロール
を得た。
【0046】前記実施例の研削・研磨ロールを回転シャ
フトに取付け、平面研削装置を使用して鋼板の研削試験
を行った。すなわち、モータにより駆動される回転シャ
フトに研磨ロールを固定し、それを一定回転数で回転さ
せる一方、この研磨ロールの下方に上下動可能でかつ前
後左右に所定のスピードで移動させることできる移動テ
ーブルを配置し、この移動テーブル上に厚さ3mmのステ
ンレス鋼板を固定して、研磨ロールの回転方向に対して
対向する方向から一定のスピードで送りながら研磨し
(1パス)、これを繰り返し行った後に、被研磨材の研
磨深さを測定した。
【0047】但し、研磨条件は以下の通りである。すな
わち、 ロール回転数:3000rpm、 切り込み量:0.001mm/1パス 被研磨材送りスピード:10mm/min パス回数:100パス 尚、ロールはドレッシングした後に試験に供している。
【0048】そして、前記実施例のロールによれば、研
磨深さが0.08mmで、表面粗度が0.01μmにな
り、被研磨面に研磨筋は見られないという優れた試験結
果が得られた。さらに、このロールをその外径が70mm
になるまでダイヤモンド砥石で削り、前記と同じ条件で
研磨試験を行って、摩耗した後のロールによる研削・研
磨性能と被研磨面の仕上がりを確かめたところ、研磨深
さが0.07mmになってわずかに低下したものの、表面
粗度は0.01μmで摩耗前と変わらず、また、研磨筋
も見られなかった。
【0049】(比較例)一方、比較例として、従来より
一般的に用いられている#1000の溶融アルミナ砥粒
を混入した砥石を用いて、前記と同じ条件で研磨試験を
行った。但し、この比較例を用いて切り込み量を0.0
01mm/1パスとした場合、続けて5パス研磨すると、
モータの負荷が大きくなり過ぎてトリップしてしまうの
で、2パス研磨する度に次の2パスは研磨しないで研磨
ローラを空転させるというように、研磨と非研磨とを交
互に繰り返しながら、100パス分の研磨を行った。
【0050】この研磨試験によれば、従来型の砥石では
研磨深さが0.02mmになり、実施例のものとは比較に
ならない程、小さいにも拘わらず、被研磨面に研磨筋は
見られないものの、表面粗度が0.02μmで本願発明
の実施例よりもかなり劣る結果となった。
【0051】従って、以上のような試験結果によれば、
本発明のロールは砥粒を用いた従来型の砥石に比べて格
段に高い研削・研磨性能を有し、それにも拘わらず、被
研磨面の粗度を極めて細かくして、従来型の砥石を上回
る良好な仕上がりを得られることが分かる。しかも、織
物シートを積層した構造でありながら研磨むらを十分に
小さくすることができ、ロールの使い始めはもちろん、
摩耗によりロール外径が小さくなっても、被研磨面に研
磨筋が現れることはないという優れた特性を有してい
る。
【0052】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る研削・研磨用ロールでは、無機化合物繊維からな
る織布を積層した構造とすることで、研磨目の細かい良
好な仕上がりが得られる上に、研削・研磨力を十分に向
上させることができ、このことで、1つのロールによっ
て研削・研磨から仕上げまでを一気に行うことができる
という画期的な効果が得られる。しかも、織布を螺旋面
状に連続する構造とすることで、研磨むらを大幅に低減
して、研磨筋の発生を防止することができる。
【0053】請求項2の発明によると、織布を大きく傾
斜させて、請求項1の発明の効果を十分に得ることがで
きる。
【0054】請求項3の発明によると、ロール全体とし
てバランスの良い構造とすることができ、研削・研磨装
置に対する取付も容易かつ正確に行うことができる。
【0055】請求項4の発明によると、ロール製造の容
易化が図られる。
【0056】請求項5の発明によると、織布の縦糸及び
横糸をその交点で互いに接着剤により接着することで、
研削・研磨のために十分な強い力を加えて、研削・研磨
力を十分に向上させることができる。
【0057】請求項6の発明によると、織布の繊維の単
糸径を50μm以下とすることで、研磨目を細かくし
て、滑らかな仕上がりを得ることができる。
【0058】請求項7の発明によると、アルミナ繊維等
を用いることで、十分な研削・研磨能力と耐久性とを併
せ持った織布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る研削・研磨ロールの構
成を示す斜視図である。
【図2】螺旋面の一般的な説明図である。
【図3】織物シートの裁断用治具の正面図(a)及び上
面図(b)である。
【図4】裁断用治具を用いて織物シートを裁断する方法
を示す斜視図である。
【図5】織物シートを単体で示す上面図である。
【図6】織物シートを積層する方法を示す斜視図であ
る。
【図7】図6のガイドブロックを単体で示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
R 研削・研磨用ロール 1 織物シート(織布) 1a 縦糸 1b 横糸 1c 織物シート端縁部 X ロール軸心

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール軸心方向の一端部から他端部まで
    螺旋面状に連続するように配置された無機化合物繊維の
    織布が、ロール軸心方向に積層一体化されてなることを
    特徴とする研削・研磨用ロール。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 少なくとも2枚の織布がそれぞれ螺旋構造をなすように
    交互に積層されていることを特徴とする研削・研磨用ロ
    ール。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 ロール軸心方向の両端部には、それぞれ各螺旋構造をな
    す織布の端縁部が円周方向に等間隔を空けて配置されて
    いることを特徴とする研削・研磨用ロール。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、 織布は、螺旋構造の略1周分となるように裁断された織
    物シートからなることを特徴とする研削・研磨用ロー
    ル。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 織布は、縦糸及び横糸が互いに交差し、その交点で互い
    に接着剤により接着されてなることを特徴とする研削・
    研磨用ロール。
  6. 【請求項6】 請求項1において、 織布の繊維の単糸径は、50μm以下であることを特徴
    とする研削・研磨用ロール。
  7. 【請求項7】 請求項1において、 織布の繊維は、アルミナ繊維、炭化珪素繊維又はガラス
    繊維の少なくとも1つからなることを特徴とする研削・
    研磨用ロール。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009022571A1 (ja) * 2007-08-10 2009-02-19 Sumitomo Metal Industries, Ltd. 管のねじ継手部のバリ除去方法及び装置
JP2017087329A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 アイシン・エーアイ株式会社 歯車用研磨体を用いた歯車研磨方法

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JPWO2009022571A1 (ja) * 2007-08-10 2010-11-11 住友金属工業株式会社 管のねじ継手部のバリ除去方法及び装置
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