JP2000323058A - 熱吸収膜およびカラー陰極線管 - Google Patents

熱吸収膜およびカラー陰極線管

Info

Publication number
JP2000323058A
JP2000323058A JP11127934A JP12793499A JP2000323058A JP 2000323058 A JP2000323058 A JP 2000323058A JP 11127934 A JP11127934 A JP 11127934A JP 12793499 A JP12793499 A JP 12793499A JP 2000323058 A JP2000323058 A JP 2000323058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat absorbing
film
absorbing film
ray tube
cathode ray
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11127934A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Mori
政俊 森
昭彦 ▲吉▼田
Akihiko Yoshida
Kimiyo Ibaraki
紀美代 茨木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP11127934A priority Critical patent/JP2000323058A/ja
Publication of JP2000323058A publication Critical patent/JP2000323058A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電反射膜との良好な結着性を有し、これに
より色ズレや色純度のばらつきを抑えた熱吸収膜、およ
びこれを用いたカラー陰極線管の提供が望まれている。 【解決手段】 カラー陰極線管1においてそのパネル1
0の内面の蛍光面11上に形成された導電反射膜の上に
設けられる熱吸収膜であり、熱吸収材料とSiO2 とを
有している。また、この熱吸収膜を導電反射膜上に形成
してなるカラー陰極線管1。熱吸収材料としてはカーボ
ン微粉末が好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管に
おいてそのパネルの内面の蛍光面上に形成された導電反
射膜の上に設けられる熱吸収膜と、この熱吸収膜を備え
たカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のカラー陰極線管として、
例えば図6に示すパネル構造のものが知られている。図
6において符号21はカラー陰極線管の透明パネルであ
り、この透明パネル21には、その内面に赤・緑・青の
各色の蛍光体ストライプとそれらの間を埋めるカーボン
ストライプとからなる蛍光面22が形成されている。こ
の蛍光面22は、その各色の蛍光体ストライプに電子銃
から発せられた電子ビームがアパチャーグリル等からな
る色選別電極(図示せず)を介して選択的にランディン
グすることにより、カラー画像を表示するようになって
いる。
【0003】また、この蛍光面22上には、これを覆い
さらに該蛍光面22の外周部をも覆った状態でメタルバ
ックと称されるアルミニウム製の導電反射膜23が形成
されている。この導電反射膜23は、光反射率及び電子
透過率が高いアルミニウムによって形成されているた
め、該蛍光面22が発光した際、電子銃(図示せず)側
へ向かって発せられる光を透明パネル21側に反射して
表示輝度を高め、かつ、蛍光面22の電位を安定させる
ように機能している。
【0004】ところで、アルミニウムは熱に対する反射
率も高いため、この導電反射膜23が露出していると、
電子ビームが衝突したことで加熱された色選別電極から
の放射熱が、導電反射膜23で反射されて再度色選別電
極に放射されることにより、この色選別電極はさらに加
熱されてしまう。このようにして色選別電極が加熱さ
れ、熱膨張すると、色選別電極と蛍光面22における蛍
光体ストライプとの対応関係が変動し、電子ビームが蛍
光面22にミスランディングしてしまい、色ズレが発生
してしまう。
【0005】そこで、従来では、導電反射膜23上に熱
吸収膜24を形成することにより、色選別電極から放射
された熱をこの熱吸収膜24で吸収し、導電反射膜23
から色選別電極への熱の反射及び放射を抑制して色選別
電極の熱膨張を抑える、といった手法が一部に採用され
ている。
【0006】このような熱吸収膜24の例として、特公
昭62−47341号公報に記載されたカラー陰極線管
では、0.2〜0.3Torr程度の真空中におけるア
ルミニウムの蒸着により、黒色アルミニウム膜からなる
熱吸収膜24を形成している。
【0007】また、特開昭51−52782号公報に記
載されたブラウン管では、アルコール類を主とする溶媒
にカーボンを溶かした溶液をスプレーし、熱吸収膜24
となるカーボン膜を導電反射膜23上に形成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記のカラ
ー陰極線管の例では、熱吸収膜24の形成を0.2〜
0.3Torrという低真空下での蒸着で行うため、蒸
着装置内が汚染され易く、また所望の真空度を得ること
が困難であり、したがって熱吸収膜24の膜厚およびそ
の熱吸収効果が不安定になる。
【0009】このため、導電反射膜23から色選別電極
への熱の反射および放射を有効に抑制することができ
ず、したがって蛍光面22への電子ビームのミスランデ
ィングを確実に防止することが難しく、色ズレを十分に
少なくしたカラー陰極線管の製造が困難であった。ま
た、熱吸収膜24の膜厚のばらつきにより、散乱電子に
起因する色純度のばらつきも引き起こされていた。
【0010】また、前記のブラウン管の例では、熱吸収
膜24としてのカーボン膜と導電反射膜との結着性が弱
く、外部からの振動によりカーボン膜の脱落が容易に起
こってしまうことから、色ズレに対して高い信頼性を得
ることが困難であった。
【0011】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、導電反射膜との良好な結
着性を有し、これにより色ズレや色純度のばらつきを抑
えた熱吸収膜と、この熱吸収膜を用いてなるカラー陰極
線管とを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の熱吸収膜では、
カラー陰極線管においてそのパネルの内面の蛍光面上に
形成された導電反射膜の上に設けられる熱吸収膜におい
て、熱吸収材料とSiO2 とを有してなることを前記課
題の解決手段とした。この熱吸収膜によれば、SiO2
が結着剤(バインダー)として機能することにより、熱
吸収材料の導電反射膜との結着性が良好になる。
【0013】ここで、前記熱吸収材料としては、カーボ
ン微粉末とするのが十分な熱吸収効果を得るうえで好ま
しく、その場合にこのカーボン微粉末の含有量を熱吸収
膜の全固形分に対して90重量%以下とするのが、結着
剤として機能するSiO2 の量を十分に確保して導電反
射膜との良好な結着性を得ることができ、好ましい。ま
た、このような熱吸収膜の膜厚としては、30nm未満
では熱吸収膜としての熱吸収効果等が十分に発揮され
ず、また550nmを越えると熱吸収効果はより大きく
なるものの、陰極線管の他特性に悪影響を及ぼすおそれ
があることから、30nm以上でかつ550nm以下と
するのが好ましい。
【0014】また、熱吸収膜を、その塗布面に配される
下層とこの下層の上に配される上層との二層の積層膜に
よって構成してもよく、その場合に前記下層を、該下層
中における前記カーボン微粉末の含有量が該下層の全固
形分に対して90重量%以上とし、前記上層を、該上層
中における前記カーボン微粉末の含有量が該上層の全固
形分に対して90重量%以下とするのが好ましい。
【0015】このような積層膜とすれば、下層では熱吸
収材料であるカーボン微粉末の含有量が90重量%以上
であることから十分に高い熱吸収効果が得られ、また上
層ではカーボン微粉末の含有量が90重量%以下であっ
て相対的に結着剤として機能するSiO2 の量が増える
ことから十分な結着性が得られる。また、下層をカーボ
ン微粉末から形成し、上層をSiO2 から形成するよう
にしてもよく、その場合には各層を形成するうえでの材
料の調製が容易になり、生産性が良くなる。
【0016】本発明のカラー陰極線管では、パネル内面
に蛍光面が形成され、かつ該パネル内面に蛍光面を覆っ
た状態で導電反射膜が蒸着され、この導電反射膜上にこ
れより赤外線反射率の低い熱吸収膜が設けられてなり、
前記熱吸収膜が、熱吸収材料とSiO2 とを有してなる
ことを前記課題の解決手段とした。このカラー陰極線管
によれば、熱吸収膜として前述した熱吸収材料とSiO
2とを有したものを用いているので、この熱吸収膜の導
電反射膜との結着性が良好になる。
【0017】また、前記熱吸収膜を、前記蛍光面が形成
された領域である有効画面部の外の無効画面部にのみ形
成すれば、表示特性についてその輝度を低下させること
なく、無効画面部のみに形成された熱吸収膜による熱吸
収効果により、色ズレを抑えることが可能になる。ま
た、前記熱吸収膜を、前記蛍光面が形成された領域であ
る有効画面部における塗布膜厚より、蛍光面が形成され
た領域の外の無効画面部における塗布膜厚の方を厚く形
成すれば、熱吸収膜による輝度の低下を抑え、かつ、熱
吸収膜の熱吸収効果による高い色ズレ防止効果を得るこ
とが可能になる。
【0018】また、蛍光面においては、その幅方向にお
ける中心部、すなわちこの中心部において縦方向に延び
る中心帯領域は、色選別電極の熱変形による色ズレ影響
が小さい。したがって、この中心帯領域においては蛍光
体ストライプを幅広に形成することに支障がないことか
ら、このように中心帯領域において蛍光体ストライプを
幅広に形成するとともにカーボンストライプの幅を狭く
し、その状態で前記熱吸収膜を、導電反射膜上において
前記中心帯領域に対応するセンター帯部にのみ形成し、
あるいはこのセンター帯部における塗布膜厚を、センタ
ー帯部外における塗布膜厚より厚く形成すれば、熱吸収
膜による輝度低下の影響を軽減し、かつ、熱吸収膜の熱
吸収効果により色ズレを防止することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明のカラー陰極線管の一実施形態例を示す
図であり、図1中符号1はカラー陰極線管である。この
カラー陰極線管1は、全体として略フラスコ状を呈する
とともに内部を真空状態としたバルブ2内に、電子銃3
と、複数列のストライプ状のスリットを有した色選別電
極4とを備えて構成されたものである。なお、この例で
は、色選別電極4としてアパチャーグリル方式のものを
採用している。
【0020】バルブ2は、電子銃3が配設されるネック
部6と、このネック部6から張り出して形成されるファ
ンネル部7と、主にスクリーン面を形成するフェース部
8、およびこのフェース部8の周囲から立ち上がって形
成されるスカート部9からなるパネル部10とによって
構成されている。
【0021】前記色選別電極4は、パネル部10の内部
に配設されたものとなっている。そして、このように色
選別電極4がパネル部10内に配設された後に、パネル
部10とファンネル部7が溶着接合されてシール部12
が形成されることにより、バルブ2が組み立てられるよ
うになっている。
【0022】フェース部8を形成するガラス面の内面に
は、蛍光面11が形成されている。この蛍光面11は、
赤、緑、青の蛍光体が縦方向にストライプ状に焼き付け
られて蛍光体ストライプが形成され、これら蛍光体スト
ライプが横方向に規則的に配列されたことによってなる
ものである。なお、これら蛍光体ストライプの間にはカ
ーボンストライプが配設されており、これによって蛍光
面11のコントラスト比の改善がなされている。
【0023】また、この蛍光体面11上には、蛍光体ス
トライプによって形成された表面の凹凸を平滑にするた
め、有機中間膜(図示せず)が形成されており、この有
機中間膜上には、図6に示したのと同様に、アルミニウ
ムの加熱蒸着によって導電反射膜(図1に示さず)が形
成されている。そして、この導電反射膜上には、図6に
示したのと同様に、本発明の熱吸収膜(図1に示さず)
が形成されている。
【0024】この熱吸収膜は、熱吸収材料と、結着剤
(バインダー)として機能するSiO2 とを有してなる
ものである。熱吸収材料としては、グラファイトやカー
ボンブラック等のカーボン微粉末が、より良好な熱吸収
効果を得ることができることから好適に用いられるが、
これ以外にも、例えばアンチモン・スズの酸化物や、マ
ンガン、アルミニウムの酸化物が用いられる。
【0025】また、SiO2 としては、これの材料とし
てシリコンアルコキシドの加水分解によって生成したシ
リカゾルを用いるのが好ましい。したがって、この熱吸
収膜の形成法としては、前記シリカゾルとカーボン微粉
末等の熱吸収材料とを分散させた非水性分散液を形成
し、これを塗布乾燥することによって熱吸収膜を形成す
る、といった手法が好適に採用される。
【0026】この熱吸収膜の形成法を具体的に説明する
と、例えば、従来公知の方法でパネル10に導電反射膜
を形成した後、まず、このパネル10を加熱炉中で常温
以上の温度に適宜時間保持する。そして、加熱炉からパ
ネル10を取り出し、スプレー法によって前記非水性分
散液を導電反射膜上に均一に噴霧塗布する。この後、得
られた塗布膜を乾燥する。ここで、前記非水性分散液に
ついては、SiO2 およびカーボン等の熱吸収材料の固
形分以外に、例えば加水分解促進剤として硝酸を添加
し、残りの大半をエタノールとして調製する。
【0027】次いで、パネル10とファンネル部7との
フリット付着工程において、酸化雰囲気にて450℃で
20分加熱することにより前記塗布膜の脱水、脱アルコ
ールを進め、これにより特にシリカゾルをゲル化して酸
化膜(SiO2 )とし、熱吸収膜を得る。すなわち、こ
のようにして形成された酸化膜が結着剤となり、この酸
化膜中に熱吸収材料が分散してなる熱吸収膜が得られる
ことにより、結果としてこの熱吸収膜は導電反射膜上の
全面に強固に結着したものとなる。その後、従来と同様
にしてカラー陰極線管の製造プロセスを行い、本発明の
カラー陰極線管を得る。
【0028】このようにして得られるカラー陰極線管の
熱吸収膜としては、例えば熱吸収材料としてカーボン微
粉末を用いた場合、このカーボン微粉末の含有量を、熱
吸収膜の全固形分に対して90重量%以下とするのが、
結着剤として機能するSiO2 の量を十分に確保して導
電反射膜との良好な結着性を得ることができ、好まし
い。
【0029】また、このような熱吸収膜の膜厚として
は、30nm以上でかつ550nm以下とするのが好ま
しい。なぜなら、30nm未満では熱吸収膜としての熱
吸収効果等が十分に発揮されず、また550nmを越え
ると熱吸収効果はより大きくなるものの、陰極線管の他
特性に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。すなわ
ち、熱吸収膜の膜厚が550nmを越えると、カラー陰
極線管の発光輝度が許容範囲を外れて低下してしまう。
そこで、これを補正するため電流量を上げると、フォー
カス特性が劣化するなど、陰極線管の他特性に悪影響が
与えられてしまうのである。
【0030】ここで、本例のカラー陰極線管1におけ
る、熱吸収膜の膜厚と色選別電極4の熱変形による色ズ
レの改善率との関係を図2に示す。なお、この熱吸収膜
については、熱吸収材料としてカーボン微粉末を用いる
とともに、このカーボン微粉末の含有量を、熱吸収膜の
全固形分に対して50重量%とした。
【0031】また、色ズレの改善率は、以下のようにし
て求めた。熱吸収膜を設けないときの色ズレの発生率を
X、熱吸収膜を設けたときの色ズレの発生率をYとし
て、色ズレ改善率={(X−Y)/X}×100〔%〕
と定義した。そして、熱吸収膜の膜厚を種々変えてこの
色ズレ改善率を求め、結果を図2に示した。図2より、
熱吸収膜の膜厚を特に30nm以上とすれば、色ズレを
より良好に改善できることが分かった。
【0032】また、本例のカラー陰極線管1における、
熱吸収膜中の全固形分に対するカーボン微粉末の含有率
{カーボン重量%/(SiO2 %+カーボン重量%)}
と、前記色ズレ改善率との関係を図3に示す。なお、こ
の熱吸収膜については、その膜厚を180nmとした。
図3より、カーボン微粉末の含有量が90%以下の範囲
では、色ズレ量が大幅に改善されていることが分かっ
た。
【0033】なお、熱吸収膜については、塗布面となる
導電反射膜上に配設される下層と、この下層の上に配設
される上層との二層の積層膜によって構成してもよい。
このような積層膜構造とした場合、前記下層を、該下層
中における前記カーボン微粉末の含有量が該下層の全固
形分に対して90重量%以上とし、上層を、該上層中に
おける前記カーボン微粉末の含有量が該上層の全固形分
に対して90重量%以下とするのが好ましい。このよう
な構成とすれば、下層では、熱吸収材料であるカーボン
微粉末の含有量が90重量%以上であることから十分に
高い熱吸収効果が得られ、また上層では、カーボン微粉
末の含有量が90重量%以下であって相対的に結着剤と
して機能するSiO2 の量が増えることから十分な結着
性が得られる。
【0034】また、下層をカーボン微粉末からなるカー
ボン膜で形成し、上層をSiO2 からなるシリコン酸化
膜で形成するようにしてもよく、その場合には、前述し
たように下層で十分に高い熱吸収効果が得られ、上層で
十分な結着性が得られるのに加え、各層を形成するうえ
での材料の調製が容易になり、生産性が良くなる。
【0035】また、図1に示したカラー陰極線管1にお
いては、熱吸収膜を導電反射膜上の全面に形成したが、
本発明はこれに限定されることなく、例えば図4(a)
に示すように導電反射膜上において、その下の蛍光面1
1が形成された領域である有効画面部Aの外の無効画面
部Bにのみ熱吸収膜13を形成してもよい。このように
無効画面部Bにのみ熱吸収膜13を形成すれば、有効画
面部Aには熱吸収膜13が無いことから表示特性につい
てその輝度を低下させることなく、無効画面部Bの熱吸
収膜13による熱吸収効果により、色ズレを抑えること
ができる。
【0036】また、図4(b)に示すように、導電反射
膜上の全面に熱吸収膜13を形成するものの、蛍光面1
1が形成された領域である有効画面部Aにおける塗布膜
厚より、その外の無効画面部Bにおける塗布膜厚の方を
厚くした状態に形成してもよい。このように形成すれ
ば、有効画面部Aにおける熱吸収膜13の塗布膜厚が相
対的に薄いことによってこの熱吸収膜による輝度の低下
を抑えることができ、さらにこの有効画面部Aにおける
熱吸収膜とこれより膜厚が厚く形成された無効画面部B
における熱吸収膜との熱吸収効果により、高い色ズレ防
止効果を得ることができる。
【0037】ここで、図4(a)に示した熱吸収膜13
と、図4(b)に示した熱吸収膜13とによる色ズレの
改善率、および発光輝度への影響を調べた。熱吸収膜1
3については、熱吸収材料としてカーボン微粉末を用い
て非水性分散液を作製し、この分散液をスプレー法によ
ってアルミニウム加熱蒸着で形成した導電反射膜上に、
図4(a)、(b)に示したように塗布し、さらにこれ
を乾燥することによって形成した。
【0038】なお、前記非水性分散液については、この
分散液中におけるカーボン微粉末の比率が1重量%、同
じくSiO2 の比率が1重量%となるように調製した。
また、図4(a)に示した熱吸収膜13については、そ
の膜厚を500nmとし、図4(b)に示した熱吸収膜
13については、有効画面部Aにおける膜厚を80nm
とし、無効画面部Bにおける膜厚を500nmとした。
【0039】このようにして形成した熱吸収膜13を備
えたカラー陰極線管を作製し、その色ズレ率、および発
光輝度への影響を調べた。得られた結果を以下の表に示
す。なお、比較のため、図4(c)に示すように有効画
面部A、無効画面部Bのいずれにも熱吸収膜を設けるこ
となく、導電反射膜を露出させたカラー陰極線管を作製
し、前記のカラー陰極線管と同様に色ズレおよび発光輝
度への影響を調べ、その結果を以下の表に併記した。
【表1】
【0040】ここで、色ズレ率については、以下のよう
にして求めた。熱吸収膜を設けないときの色ズレの発生
率をX、熱吸収膜を設けたときの色ズレの発生率をYと
して、色ズレ率=(Y/X)×100〔%〕と定義し
た。なお、図4(c)に示した導電反射膜のみの場合に
ついては、Y=Xとし、色ズレ率=100%とした。ま
た、発光輝度については、導電反射膜を露出させたカラ
ー陰極線管の場合を100%とし、これに対する比率で
示している。
【0041】前記表に示したように、熱吸収膜13を無
効画面部Bのみに形成することで、輝度変化の影響を防
ぐとともに、色ズレを効果的に改善できることが確認さ
れた。また、熱吸収膜の塗布膜厚を、無効画面部Bに比
べ有効画面部Aを十分に薄くすることで、輝度低下を許
容範囲内に抑えることができるとともに、色ズレをより
効果的に改善できることが確認された。
【0042】導電反射膜上への熱吸収膜の形成について
は、図4(a)や図4(b)に示したような形態以外に
も、例えば図5に示すように導電反射膜上の縦方向に延
びる中心帯となるセンター帯部Cにのみ形成するように
してもよく、さらには、図示しないものの、熱吸収膜を
導電反射膜上の全面に形成するとともに、センター帯部
Cにおける塗布膜厚を、このセンター帯部Cの外におけ
る塗布膜厚より厚く形成するようにしてもよい。
【0043】ここで、蛍光面においては、その幅方向に
おける中心部、すなわちこの中心部において縦方向に延
びる中心帯領域は、色選別電極の熱変形による色ズレ影
響が小さい。したがって、この中心帯領域においては蛍
光体ストライプの塗布面積を大きくすることに支障がな
いことから、このように中心帯領域において蛍光体スト
ライプの塗布面積を大きくし、その状態で前述したよう
に熱吸収膜13を、導電反射膜上の前記中心帯領域に対
応するセンター帯部Cにのみ形成し、あるいはこのセン
ター帯部Cにおける塗布膜厚を、センター帯部C外にお
ける塗布膜厚より厚く形成すれば、熱吸収膜13による
輝度低下の影響を軽減し、かつ、熱吸収膜の熱吸収効果
により色ズレを防止することができる。
【0044】なお、センター帯部Cとしては、その幅
を、図5中に示すように有効画面部Aの幅の1/3以上
とするのが好ましく、このような範囲の幅にセンター帯
部Cを設定すれば、このセンター帯部Cの下の蛍光面に
おいては色選別電極の熱変形による色ズレの影響が少な
いことから、その蛍光ストライプを幅広に、またその分
カーボンストライプを幅狭に形成して輝度補正し、熱吸
収膜13形成による輝度の低下を抑えることができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明の熱吸収膜
は、SiO2 を結着剤(バインダー)として機能させる
ことにより熱吸収材料の導電反射膜との結着性を良好に
したものであるから、導電反射膜から色選別電極への熱
の反射や放射を抑制することができ、これにより色選別
電極の熱変形に起因してカラー陰極線管による表示に色
ズレや色純度のばらつきが生じるのを確実に抑えること
ができる。また、導電反射膜との結着性が良好になるこ
とにより、熱吸収膜の厚さや品質のばらつきが少なくな
り、高い信頼性が得られる。
【0046】また、本発明のカラー陰極線管は、熱吸収
膜として前述した熱吸収材料とSiO2 とを有したもの
を用いたもので、この熱吸収膜の導電反射膜との結着性
を良好にしたものであるから、色選別電極の熱変形によ
り蛍光面への電子ビームのミスランディングが起こり、
カラー陰極線管による表示に色ズレや色純度のばらつき
が生じるのを確実に抑えることができ、したがって色ズ
レの少ない高品質のカラー陰極線管となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー陰極線管の概略構成を示す斜視
図である。
【図2】熱吸収膜の膜厚と、色選別電極の熱変形による
色ズレの改善率との関係を示すグラフ図である。
【図3】熱吸収膜中の全固形分に対するカーボン微粉末
の含有率と、色選別電極の熱変形による色ズレ改善率と
の関係を示すグラフ図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は、導電反射膜上への
熱吸収膜の形成の形態を示す説明図である。
【図5】導電反射膜上への熱吸収膜の形成の形態を示す
説明図である。
【図6】本発明に係るパネルの断面図である。
【符号の説明】
1…カラー陰極線管、10…パネル部、11…蛍光面、
13…熱吸収膜、A…有効画面部、B…無効画面部、C
…センター帯部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茨木 紀美代 愛知県稲沢市大矢町茨島30番地 ソニー稲 沢株式会社内 Fターム(参考) 5C036 BB07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラー陰極線管においてそのパネルの内
    面の蛍光面上に形成された導電反射膜の上に設けられる
    熱吸収膜であって、 熱吸収材料とSiO2 とを有してなることを特徴とする
    熱吸収膜。
  2. 【請求項2】 前記熱吸収材料がカーボン微粉末である
    ことを特徴とする請求項1記載の熱吸収膜。
  3. 【請求項3】 膜厚が30nm以上でかつ550nm以
    下に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の熱
    吸収膜。
  4. 【請求項4】 前記カーボン微粉末の含有量が、熱吸収
    膜の全固形分に対して90重量%以下であることを特徴
    とする請求項2記載の熱吸収膜。
  5. 【請求項5】 塗布面に配される下層とこの下層の上に
    配される上層との二層の積層膜によって構成され、 前記下層が、該下層中における前記カーボン微粉末の含
    有量が該下層の全固形分に対して90重量%以上であ
    り、 前記上層が、該上層中における前記カーボン微粉末の含
    有量が該上層の全固形分に対して90重量%以下である
    ことを特徴とする請求項2記載の熱吸収膜。
  6. 【請求項6】 塗布面に配される下層とこの下層の上に
    配される上層との二層の積層膜によって構成され、 前記下層がカーボン微粉末からなり、 前記上層がSiO2 からなることを特徴とする請求項2
    記載の熱吸収膜。
  7. 【請求項7】 パネル内面に蛍光面が形成され、かつ該
    パネル内面に蛍光面を覆った状態で導電反射膜が蒸着さ
    れ、この導電反射膜上にこれより赤外線反射率の低い熱
    吸収膜が設けられてなるカラー陰極線管において、 前記熱吸収膜が、熱吸収材料とSiO2 とを有してなる
    ことを特徴とするカラー陰極線管。
  8. 【請求項8】 前記熱吸収材料がカーボン微粉末である
    ことを特徴とする請求項7記載のカラー陰極線管。
  9. 【請求項9】 前記熱吸収膜は、その膜厚が30nm以
    上でかつ550nm以下に形成されていることを特徴と
    する請求項7記載のカラー陰極線管。
  10. 【請求項10】 前記熱吸収膜中における前記カーボン
    微粉末の含有量が、該熱吸収膜の全固形分に対して90
    重量%以下であることを特徴とする請求項8記載のカラ
    ー陰極線管。
  11. 【請求項11】 前記熱吸収膜が下層と上層との二層の
    積層膜によって構成され、 前記導電反射膜上に配される下層が、該下層中における
    前記カーボン微粉末の含有量が該下層の全固形分に対し
    て90重量%以上であり、 前記下層上に配される上層が、該上層中における前記カ
    ーボン微粉末の含有量が該上層の全固形分に対して90
    重量%以下であることを特徴とする請求項8記載のカラ
    ー陰極線管。
  12. 【請求項12】 前記熱吸収膜が下層と上層との二層の
    積層膜によって構成され、 前記導電反射膜上に配される下層がカーボン微粉末から
    なり、 前記下層上に配される上層がSiO2 からなることを特
    徴とする請求項8記載のカラー陰極線管。
  13. 【請求項13】 前記熱吸収膜が、前記蛍光面が形成さ
    れた領域である有効画面部の外の無効画面部にのみ形成
    されていることを特徴とする請求項7記載のカラー陰極
    線管。
  14. 【請求項14】 前記熱吸収膜は、前記蛍光面が形成さ
    れた領域である有効画面部における塗布膜厚より、蛍光
    面が形成された領域の外の無効画面部における塗布膜厚
    の方が厚く形成されていることを特徴とする請求項7記
    載のカラー陰極線管。
  15. 【請求項15】 前記熱吸収膜は、前記導電反射膜上の
    縦方向に延びる中心帯となるセンター帯部にのみ形成さ
    れていることを特徴とする請求項7記載のカラー陰極線
    管。
  16. 【請求項16】 前記熱吸収膜は、前記導電反射膜上の
    縦方向に延びる中心帯となるセンター帯部における塗布
    膜厚が、このセンター帯部の外における塗布膜厚より厚
    く形成されていることを特徴とする請求項7記載のカラ
    ー陰極線管。
JP11127934A 1999-05-10 1999-05-10 熱吸収膜およびカラー陰極線管 Pending JP2000323058A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11127934A JP2000323058A (ja) 1999-05-10 1999-05-10 熱吸収膜およびカラー陰極線管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11127934A JP2000323058A (ja) 1999-05-10 1999-05-10 熱吸収膜およびカラー陰極線管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000323058A true JP2000323058A (ja) 2000-11-24

Family

ID=14972260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11127934A Pending JP2000323058A (ja) 1999-05-10 1999-05-10 熱吸収膜およびカラー陰極線管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000323058A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4792003B2 (ja) 発光装置及びそれを用いた表示装置
EP0067470B1 (en) Display tube and method of manufacturing a display screen for such a display tube
JP2000323058A (ja) 熱吸収膜およびカラー陰極線管
JP2000206307A (ja) 機能性フィルム及びこれを採用する陰極線管
JPH0320934A (ja) カラー陰極線管
US3878427A (en) Apertured-mask cathode-ray tube having half-tone array of heat-absorbing areas on target surface
JP2002033043A (ja) カラー陰極線管の製造方法
JP3621225B2 (ja) 発光表示デバイス
JP2865902B2 (ja) シャドーマスクの熱変形を最小化するためのカラーブラウン管製造方法
JP2000208044A (ja) カラ―陰極線管及びその製造方法
JP2002110036A (ja) 陰極線管及び蛍光体パネルの製造方法
WO2000030140A1 (fr) Tube cathodique couleur et son procede de fabrication
US20020024289A1 (en) Color cathode ray tube, manufacturing method thereof, and composite material for a vapor deposition
JPH08279341A (ja) 帯電防止低反射型陰極線管およびその製造方法
JPS6091534A (ja) カラ−受像管の製造方法
US20030034726A1 (en) Color cathode -ray tube and method of manufacturing the same
JPS5838522Y2 (ja) 陰極線管
JP2964939B2 (ja) カラー陰極線管
JPS5848984B2 (ja) カラ−インキヨクセンカンノスクリ−ン ノ セイゾウホウホウ
JP2005536838A (ja) ニュートラルデンシティフィルタを有するcrt
JPS61224245A (ja) カラ−受像管
JPH11273592A (ja) 陰極線管および導電性反射防止膜の製造方法
JPH0676754A (ja) カラーブラウン管蛍光面及びその形成方法
JPH0515027B2 (ja)
JPH11238457A (ja) 蛍光表示管の製造方法