JP2000323031A - ガス放電表示装置の蛍光体層形成方法 - Google Patents

ガス放電表示装置の蛍光体層形成方法

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JP2000323031A
JP2000323031A JP12893399A JP12893399A JP2000323031A JP 2000323031 A JP2000323031 A JP 2000323031A JP 12893399 A JP12893399 A JP 12893399A JP 12893399 A JP12893399 A JP 12893399A JP 2000323031 A JP2000323031 A JP 2000323031A
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phosphor
dam
phosphor layer
paste
phosphor paste
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JP12893399A
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English (en)
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Susumu Sakamoto
進 阪本
Masahiro Takagi
雅宏 高木
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Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
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Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】隔壁端部近傍における蛍光体層厚みが薄くなる
ことを好適に抑制し得るガス放電表示装置の蛍光体層形
成方法を提供する。 【解決手段】蛍光体層42を形成するに際して、蛍光体
ペースト塗布工程においては、堰止め突設工程で背面板
14上に堰止め46が突設された状態で蛍光体ペースト
48が塗布される。このとき、堰止め46は隔壁18の
端部に略密接し且つその長手方向に垂直に伸びて形成さ
れることから、隔壁18間を満たすように塗布される流
動性の高い蛍光体ペースト48が隔壁18端部から流れ
出ることが、その堰止め46によって抑制される。した
がって、その端部近傍においても塗布された蛍光体ペー
スト48がそのまま内側位置と同様な厚さで保持される
ため、その蛍光体ペースト48から乾燥処理を経て形成
される蛍光体層42の厚さは隔壁18の端部まで略一様
となって、その端部近傍において蛍光体層42の厚さが
薄くなることが好適に抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス放電表示装置
を製造するに際して蛍光体層を形成する方法の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】一対の平行平板間に形成された気密空間
を備え、それら一対の平行平板の一方を構成する基板上
に突設された複数本の長手状の隔壁によってその気密空
間内に複数本の放電空間が区画形成され、その放電空間
内のガス放電で発生させられた紫外線により、その放電
空間内に備えられた蛍光体層を励起発光させる形式のプ
ラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Pane
l:以下、PDPという)等のガス放電表示装置が知ら
れている。上記の蛍光体層は、多色表示をする場合に
は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の蛍光
体層の何れかが放電空間毎に塗り分けられる。そして、
例えば、隔壁の長手方向と垂直な方向に沿って所定間隔
を以て配置された複数対の放電電極によって放電空間を
その長手方向において電気的に区分して、全体として格
子状に配列された複数の発光区画を構成し、各発光区画
を選択的に発光させることで文字、記号、図形等の所望
の画像が表示される。このようなガス放電表示装置は、
平板型で薄型化および軽量化が容易であるため、CRT
に代わる画像表示装置として期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な蛍光体層を備えたガス放電表示装置において高輝度を
得るためには、蛍光体の塗布面積を大きくすると共にそ
の塗布厚みを厚くすることが望まれることから、基板表
面だけでなく隔壁表面にも蛍光体層を厚く設ける必要が
ある。この場合において、全体として凹凸面となってい
る基板表面および隔壁側面に、スクリーン印刷法等を用
いて直接的に蛍光体ペーストを所望の厚さに塗布するこ
とは困難である。そのため、従来、蛍光体層を形成する
に際しては、例えば、多量の液成分を含んで流動性の高
い蛍光体ペーストを隔壁間に満たされるように塗布し、
乾燥処理によって所望の厚さの蛍光体層を得ることが行
われていた。多量に液成分を含む蛍光体ペーストは、そ
の液成分が蒸発して除去される過程で体積減少させられ
ることから、充填された隔壁間において基板表面および
隔壁側面に倣った表面形状に収縮して略一様な厚さとな
る。また、高い流動性を有していることにより、ガス放
電表示装置の狭い隔壁間に気泡を巻き込んだりブリッヂ
を形成することなく蛍光体ペーストを塗布できるのであ
る。
【0004】しかしながら、上記のように流動性の高い
蛍光体ペーストが用いられる結果、図10(a) 、(b) に
示すように、隔壁100の長手方向における端部近傍で
は、その端部から蛍光体ペースト102が流れ出て、そ
こにおける基板104表面からの塗布厚さtが薄くなっ
ていた。このように塗布厚さtが薄くなった範囲Aで
は、乾燥収縮後の蛍光体層厚さが薄くなって輝度が低下
するため、画像品質の低下をもたらすこの範囲Aを画像
表示に利用することはできない。しかも、端部近傍にお
いては、流れ出た蛍光体ペースト102が相互に混ざり
合うことによる混色も生じ易い。したがって、基板10
4端部から有効表示領域Eまでのダミー・エリアDが上
記範囲Aを含む大きな範囲になるという問題があった。
一般に、画像表示装置においては、表示に無効な領域を
可及的に小さくして小型化を図ることが望まれるのであ
る。なお、蛍光体ペーストの粘性が高く流動性が低けれ
ば、隔壁端部においても表面張力の作用で隔壁間に留ま
るため、上記のような問題は発生し難いが、前述したよ
うに放電空間の内壁面に均一な厚さの蛍光体層を形成す
るためには、高い流動性が必須である。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、隔壁端部近傍における蛍
光体層厚みが薄くなることを好適に抑制し得るガス放電
表示装置の蛍光体層形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、基板の表面から突設
された隔壁によって区画形成された複数の放電空間内で
ガス放電を発生させることにより、その放電空間内に備
えられた蛍光体層を励起して発光させる形式のガス放電
表示装置を製造するに際して、蛍光体粉末を所定の液中
に分散させた蛍光体ペーストを前記隔壁相互の間に塗布
してその隔壁相互間をその蛍光体ペーストで満たす蛍光
体ペースト塗布工程と、その蛍光体ペーストを乾燥処理
して前記液を蒸発させることにより前記基板の表面およ
び前記隔壁の側面に所定厚さの蛍光体層を形成する乾燥
工程とを含む工程によって前記放電空間内に前記蛍光体
層を形成する方法であって、(a) 前記蛍光体ペースト塗
布工程に先立って実施され、前記複数本の隔壁の端部に
略密接し且つその長手方向と垂直な方向に沿って伸びる
所定高さの堰止めを前記基板上に突設する堰止め突設工
程を含むことにある。
【0007】
【発明の効果】このようにすれば、蛍光体層を形成する
に際して、蛍光体ペースト塗布工程においては、堰止め
突設工程で基板上に堰止めが突設された状態で蛍光体ペ
ーストが塗布される。このとき、堰止めは隔壁の端部に
略密接し且つその長手方向に垂直に伸びて形成されるこ
とから、隔壁間を満たすように塗布される流動性の高い
蛍光体ペーストが隔壁端部から流れ出ることが、その堰
止めによって抑制される。したがって、その端部近傍に
おいても塗布された蛍光体ペーストがそのまま内側位置
と同様な厚さで保持されるため、その蛍光体ペーストか
ら乾燥処理を経て形成される蛍光体層の厚さは隔壁の端
部まで一様となって、その端部近傍において蛍光体層厚
さが薄くなることが好適に抑制される。
【0008】ここで、好適には、(a-2) 前記堰止めは、
前記隔壁よりも低い高さ寸法に形成されるものである。
このようにすれば、堰止めの頂部が隔壁の頂部よりも下
側に位置するため、厚膜スクリーン印刷法等を用いて複
数種類の蛍光体ペーストを塗り分ける場合等において、
スクリーン製版の裏面と隔壁頂部との接触が堰止めによ
って妨げられることはない。そのため、その接触が不完
全になることに起因して蛍光体ペーストの塗布量がばら
ついて隔壁端部近傍において輝度むらが発生し、或い
は、隣接する放電空間内に蛍光体ペーストが流れこんで
混色が発生すること等が好適に抑制される。
【0009】また、好適には、前記堰止めが前記隔壁よ
りも低くされる場合において、(a-3) その堰止めは、前
記蛍光体ペーストよりも表面張力の小さいものである。
このようにすれば、堰止め上における蛍光体ペーストの
接触角が大きくなって濡れ難くなることから、その堰止
め上において蛍光体ペーストが広がることが抑制され
る。そのため、堰止めが隔壁よりも低く形成される場合
にも、塗布された蛍光体ペーストの隔壁端部における保
持量を内側位置と同様に多くして、形成される蛍光体層
の厚さを一様に保つことができる。
【0010】また、好適には、(a-4) 前記堰止めは、有
機化合物から成るものである。このようにすれば、有機
化合物は蛍光体ペースト中に含まれる樹脂成分を加熱処
理によって除去する過程で熱分解され且つ除去されるこ
とから、ガス放電表示装置の内部に堰止めが残留するこ
とに起因する蛍光体層の汚染延いては輝度ムラの発生が
好適に抑制される。因みに、堰止めを無機化合物で構成
する場合には、そのままガス放電表示装置内に残ること
となるため、無機化合物である蛍光体と反応してその発
光効率を低下させる蛍光体層の汚染原因になるという問
題がある。
【0011】また、好適には、前記何れかの態様のガス
放電表示装置の製造方法において、(b) 前記蛍光体ペー
ストは所定の液体に不溶な第1の樹脂を含むものであ
り、(a-5) 前記堰止めは前記所定の液体に可溶な第2の
樹脂を含むものであり、(c) 前記乾燥工程の後に実施さ
れ、前記堰止めを前記所定の液体で洗浄して除去する洗
浄工程を含むものである。このようにすれば、蛍光体ペ
ースト塗布工程の後に実施される乾燥工程において蛍光
体ペースト中の液成分が除去されることにより所定厚さ
で硬化させられた後、洗浄工程において所定の液体で洗
浄することにより、それに可溶な第2の樹脂を含む堰止
めはその第2の樹脂が溶解されることによって容易に基
板上から除去される。一方、その所定の液体に不溶な第
1の樹脂を含む蛍光体ペースト(厳密には蛍光体ペース
トから乾燥により生成された厚膜)は、その第1の樹脂
が溶解されないためそのまま基板上に残存する。したが
って、ガス放電表示装置内に発光のためには不要な堰止
めが残留しないことから、その堰止めの存在に起因する
ダミー・エリアの拡大が好適に抑制されて、一層ダミー
・エリアを小さくすることができる。
【0012】また、好適には、(a-6) 前記堰止めは、前
記気密空間を形成するために前記基板の周縁部に沿って
設けられる封着材を兼ねるものである。このようにすれ
ば、堰止めが封着材を兼ねることから、その封着材に内
側において堰止めの存在に起因してダミー・エリアが拡
大することが好適に抑制され、一層ダミー・エリアを小
さくすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の一適用例のガス放電表示
装置の蛍光体層形成方法を用いて製造されたカラーPD
P10の構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。図
において、PDP10は、例えばソーダ・ライム・ガラ
ス製の平板から成り、透光性を有する前面板12と、同
様にソーダ・ライム・ガラス製の平板から成る背面板1
4と、それら前面板12および背面板14との間に形成
された気密空間を一方向に沿って配列された複数の放電
空間16に区画形成する複数本の長手状の隔壁(ストラ
イプ状リブ)18とを備えて構成されている。本実施例
においては、背面板14が基板に相当する。
【0015】上記の前面板12上には、上記隔壁18の
長手方向と直交する一方向に沿って互いに平行に配置さ
れた複数対の表示放電電極20a、20b(以下、特に
区別しないときは単に表示放電電極20という)が、例
えば各対の中心間隔が600(μm)程度となるように、硼珪
酸ガラス等の低軟化点ガラスから成る誘電体層22およ
びMgO 等から成る保護膜24で覆われて設けられてい
る。この表示放電電極20は、例えばITO(Indium T
in Oxide:酸化インジウム錫)やATO(Antimon Tin
Oxide :酸化アンチモン錫)等の透明導体材料から成る
透明電極26と、その透明電極26の導電性を補うため
に表示放電電極20の各対毎の外側位置に重ねて設けら
れ、例えば銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)等の金属
材料から成る金属電極28とから構成されている。な
お、上記保護膜24は、誘電対層22のスパッタリング
を防止する目的で設けられたものであるが、二次電子放
出係数の高い誘電体から構成されていることから、実質
的に放電電極として機能する。
【0016】一方、上記の背面板14上には、その全面
を覆うアンダ・コート30が設けられ、その上に後述の
ように上記の表示放電電極20aとの間で書込放電させ
られる複数本の書込電極32が、前記複数の隔壁18に
沿ってそれらの間の位置にオーバ・コート34に覆われ
て設けられている。この書込電極32は、例えば厚膜銀
等の導電性の高い金属から形成されたものであり、相互
の中心間隔は200 〜500(μm)程度である。また、上記の
アンダ・コート30は例えば低アルカリガラス或いは無
アルカリガラス等から成り、オーバ・コート34は例え
ば低軟化点ガラスおよび無機フィラーから成るものであ
る。これらアンダ・コート30およびオーバ・コート3
4は、書込電極32が加熱処理によって拡散し易く且つ
不純ガスを吸着し易い厚膜銀から成ることから、その書
込電極32と背面板14との反応および後述の蛍光体層
42の汚染を防止する目的で設けられている。したがっ
て、書込電極32がニッケル(Ni)厚膜や、アルミニウ
ム(Al)、クロム−銅(Cr−Cu−Cr)、金(Au)等の薄
膜から構成される場合にはアンダ・コート30やオーバ
・コート34は設けられなくともよい。また、オーバ・
コート34に含まれる無機フィラーは、例えば酸化チタ
ン等から成る白色フィラーであり、オーバ・コート34
を白色化することで蛍光体の発光を表示側へ反射させて
輝度を高める目的で添加されている。
【0017】また、前記隔壁18は、例えば、B2O3、Pb
O 系等の低軟化点ガラスを主成分とするものであり、幅
80〜150(μm)程度、高さh=100 〜200(μm)程度の寸法
に、書込電極32の中心間隔に略等しい200 〜500(μm)
程度の中心間隔で上記のオーバ・コート34上に設けら
れている。前述のようにオーバ・コート34は背面板1
4の全面を覆うものであるため、隔壁18は実質的に背
面板14上から立設されていると言える。この隔壁18
は、例えばアルミナ等の無機充填材(フィラ−)やその
他の無機顔料等を適量含んで構成された多孔質のガラス
膜である。
【0018】また、背面板14の内面(厳密にはオーバ
・コート34の表面)38および隔壁18の側面40、
すなわち放電空間16の内壁面のうち前面板12の内面
を除く位置には、各放電空間16毎に塗り分けられた蛍
光体層42が例えば 50(μm)程度以下の範囲で色毎に定
められた厚みで設けられている。各発光色の蛍光体層4
2の厚さは、それぞれ放電空間16の長手方向の全域に
おいて、すなわち端部近傍の部分も内側の部分も略一様
である。また、蛍光体層42は、例えば紫外線励起によ
り発光させられるR(赤),G(緑),B(青)等の発
光色に対応する蛍光体の何れかから成るものであり、隣
接する放電空間16相互に異なる発光色となるように設
けられている。
【0019】なお、本実施例においては、前面板12と
背面板14との間に形成される気密空間内においてマト
リクス状(縦横)に配列された発光の最小単位を成す発
光区画(セル)は、一対の表示放電電極20a、20b
と書込電極32との交点毎に形成されている。すなわ
ち、発光区画の中心間隔はこれらの交点の中心間隔に等
しい。RGB3色から成るPDP10の一画素は、書込
電極32に沿った方向に一列および表示放電電極20に
沿った方向に3列の発光区画から構成されており、書込
電極32に沿った方向においては上記交点の中心間隔
で、表示放電電極20に沿った方向においては上記交点
の3倍の中心間隔で配列されている。但し、図1から明
らかなように、隔壁18による物理的な放電空間16の
区分は、書込電極32に沿った方向だけで為されてい
る。そのため、各発光区画は、相互に異なる発光色が並
ぶ表示放電電極20に沿った方向においては、隔壁18
によって物理的に区分されているが、書込電極32に沿
った方向においては、各対の表示放電電極20a、20
bの間の中央位置近傍すなわち表示放電の効果が及ぶ範
囲の境界によって電気的な作用で実質的に区分されてい
る。
【0020】以上のように構成されるPDP10は、例
えば、以下のように駆動される。すなわち、先ず、一方
の表示放電電極20aに所定の負電圧を印加して順次走
査すると同時に、その走査のタイミングに同期して所定
の書込電極32に所定の正電圧を印加することにより、
正電圧が印加された書込電極32と表示放電電極20a
との間で順次書込放電させて、表示放電電極20aを覆
う誘電体層22上(厳密にはそれを更に覆う保護膜24
上)に電荷を蓄積して発光させる区画(表示区画)を選
択する。その後、全ての表示放電電極20a、20bに
所定の放電維持パルスを印加して表示放電を発生させ且
つ所定時間維持して、選択された表示区画内の蛍光体層
42を励起して発光させ、その光を前面板12を通して
射出することにより、一画像を表示する。上記の表示区
画の選択および発光が一定周期で繰り返されることによ
り所望の画像が連続的に表示される。なお、詳細な駆動
方法は本実施例の理解に不要であるため説明を省略す
る。
【0021】この場合において、本実施例では前述のよ
うに蛍光体層42が放電空間16の長手方向の全域にお
いて略一様な厚みになっていることから、一様な輝度が
得られるため、図2に模式的に示されるように、その隔
壁18が設けられている範囲の略全域が表示領域Eとし
て有効に機能する。すなわち、表示領域Eの外側に形成
される非表示領域(ダミー・エリア)Dは、隔壁18の
長手方向においてはその両端部よりも外側の範囲だけに
限定されて十分に小さくなっている。また、図において
周縁部に沿って設けられて斜線を施された部分36は、
PDP10を気密に封止するための封着材である。
【0022】ところで、上記のPDP10は、例えば、
図3に工程図の概略を示される製造工程に従って製造さ
れる。先ず、アンダ・コート形成工程S1−aにおい
て、厚膜絶縁ペーストを背面板14の一面に繰り返し塗
布して焼成することにより前記アンダ・コート30を形
成する。次いで書込電極形成工程S2−aにおいては、
そのアンダ・コート30上に例えば厚膜スクリーン印刷
法や薄膜法等を用いて所定の導電材料から前記書込電極
32を形成する。続くオーバ・コート形成工程S3−a
においては、この書込電極32上から低軟化点ガラスお
よび無機フィラーを含む厚膜絶縁ペーストをアンダ・コ
ート30の全面を覆って繰り返し塗布して焼成すること
により前記オーバ・コート34を形成する。そして、隔
壁形成工程S4−aにおいて、低軟化点ガラスを主成分
とする厚膜絶縁ペーストを厚膜スクリーン印刷法等によ
って所定パターンでオーバ・コート34上に繰り返し塗
布、乾燥して、更に厚膜絶縁ペーストの種類に応じて定
められる例えば500 〜650(℃) 程度の熱処理温度で焼成
する。この隔壁18を形成するための厚膜絶縁ペースト
にも無機フィラーおよび無機顔料が適宜混合される。こ
れにより、ペースト中の有機成分が焼失させられると共
にガラス成分が軟化・溶融し、更に焼結して冷却に伴っ
て硬化させられ、前記の隔壁18が生成される。なお、
乾燥温度は有機溶剤の種類に応じて定められ、例えば80
〜200(℃) である。これらの各工程において、厚膜ペー
ストの一回の塗布厚みは 20(μm)程度と薄いことから上
記のように塗布および乾燥が繰り返されるが、その回数
は形成する膜厚みに応じて適宜定められる。
【0023】隔壁18が所望の高さに形成された後、続
く蛍光体層形成工程S5においては、例えば樹脂成分が
有機溶剤中に溶解させられたビヒクル中に所定の蛍光体
粉末を分散させた蛍光体ペーストを用いて、前記の蛍光
体層42を形成する。本実施例においては、有機溶剤を
多く含む流動性の高い蛍光体ペーストを用いて、以下の
ように、蛍光体層形成工程S5を更に細かな工程に分け
た図4に従って蛍光体層42が形成される。以下、図4
における工程の各段階の状態を示す図5、図6(a) 〜
(e) を参照して、図4に従って蛍光体層42の形成方法
を説明する。
【0024】図4において、堰止めペースト塗布工程S
51においては、例えば、複数本の隔壁18の端部に略
接する位置に、その長手方向に垂直な方向に沿って堰止
めペースト44をディスペンサ等を用いて塗布する。図
5(a) は、塗布後における隔壁18の端部近傍の要部を
示す斜視図であり、同図(b) は、隔壁18の長手方向に
沿った断面を示している。この堰止めペースト44は、
例えば、エチルセルロース等の樹脂をターピネオール等
の有機溶剤に溶解してペースト化したものである。上記
の堰止めペースト44の塗布幅wは、例えば100(μm)程
度であり、塗布厚みtは例えば 1〜 30(μm)程度であ
る。すなわち、堰止めペースト44の塗布厚みは、隔壁
18の高さhの1/200 〜1/3 程度であって、その頂部の
高さ位置が隔壁18に比較して十分に低くなる厚みに留
められる。また、図においては隔壁18の長手方向にお
ける一方の端部だけを示しているが、堰止めペースト4
4は他方の端部にも同様に設けられる。
【0025】このようにしてペースト44を塗布した
後、乾燥工程S52において自然乾燥或いは乾燥機内で
80〜200(℃) 程度の温度で乾燥処理を施して有機溶剤を
除去することにより、隔壁18の端部に沿ってその幅方
向に垂直な配列方向に伸びる堰止め46が形成される。
図6(a) は、この状態を示している。本実施例において
は、堰止めペースト塗布工程S51および乾燥工程S5
2が堰止め突設工程に対応する。なお、図6(a) 〜(e)
においては、便宜上隔壁18にもハッチングを施してい
るが、これは断面であることを表したものではない。
【0026】続く蛍光体ペースト塗布工程53において
は、例えば図6(b) に示されるように、厚膜スクリーン
印刷等によって蛍光体ペースト48を隔壁18の上から
(頂部から)塗布する。本実施例においては蛍光体層4
2を放電空間16毎に3色に塗り分けるため、相互に異
なる隔壁18間にそれぞれ開口(非エマルジョン部)5
0を有するスクリーン製版52を用いて、それらを順次
塗布することとなる。図は、一色目の蛍光体ペースト4
8を隔壁18間に満たされるように塗布した状態を示し
ている。蛍光体ペースト48は、前述のように高い流動
性を有するように調合されているため、気泡等を殆ど巻
き込むことなく、略一様な液面高さとなるように隔壁1
8間に満たされることとなる。なお、図においては、ス
クリーン製版52が隔壁18から離隔して位置させられ
ているが、図示しないスキージを用いてペースト48を
塗布するに際しては、そのスキージで押圧されることに
よってスクリーン製版52の裏面が隔壁18の頂部に接
触させられる。隔壁18の端部に接して設けられている
堰止め46は、その隔壁18よりも低く形成されている
ことから、このように蛍光体ペースト48を塗布する際
にスクリーン製版52の裏面と隔壁18頂部との接触を
妨げることはない。
【0027】このとき、隔壁18間に塗布された蛍光体
ペースト48のその隔壁18の幅方向への広がりは、上
記図6(b) からも明らかなように、その隔壁18によっ
て制限される。すなわち、隔壁18を越えて隣接する放
電空間16に入り込むことはない。一方、隔壁18の長
手方向においては、ストライプ状に平行配列されている
隔壁18には、蛍光体ペースト48の広がりを抑制する
作用はない。しかしながら、隔壁18の端部位置には、
前記の堰止め形成工程S51、S52において形成され
た堰止め46がその端部に略接触して備えられている。
そのため、蛍光体ペースト48は、隔壁18の長手方向
の端部から流出することがその堰止め46によって抑制
されることから、その長手方向においても、隔壁18間
に略一様な液面高さとなるように満たされるのである。
【0028】なお、堰止め46は、前述したように隔壁
18よりも低く形成されているため、図6(b) に示され
るように、塗布された蛍光体ペースト48の液面よりも
低い位置に上端が位置する。蛍光体ペースト48のその
堰止め46よりも上側の部分は、図7に示されるように
表面張力の作用に基づいて隔壁18の端面よりも凸に膨
らんだ状態で保たれることから、堰止め46を乗り越え
て隔壁18間から流れ出ることが抑制されるため、堰止
め46をそれほど高くする必要はないのである。すなわ
ち、エチルセルロースから成る堰止め46の固体表面張
力は蛍光体ペースト48との界面における固液界面張力
よりも小さいことから、蛍光体ペースト48の接触角が
大きく濡れ難いため、蛍光体ペースト48は隔壁18間
に保持される。なお、堰止め46を必要以上に高くして
も特に利点もなく、高くすると却って形状が長手方向に
おいて不均一になったり、その一部が隔壁18間に入り
込む等の不都合も生じ得る。更に、隔壁18よりも高い
場合には、スクリーン製版52と隔壁18との接触性を
阻害し、蛍光体ペースト48の塗布量のバラツキや塗布
位置ずれ等の問題も引き起こす。したがって、堰止め4
6の高さ寸法は、蛍光体ペースト48の流出を防止し得
る範囲で低くすることが望ましく、上記のような表面張
力の関係等に基づいて、或いは実験的に定められてい
る。
【0029】上記のようにして蛍光体ペースト48を隔
壁18間に満たした後、乾燥工程54において、有機溶
剤の種類に応じて予め定められている温度で乾燥処理を
施すことにより、ペースト48中の溶剤成分が蒸発させ
られる。有機溶剤を多量に含む蛍光体ペースト48は、
その溶剤が蒸発して除去される過程で体積減少させられ
る。そのため、多孔質に形成されている隔壁18の側面
40に多量に残留しつつその側面40および背面板内面
38に倣った表面形状となるように蛍光体ペースト48
が収縮する。このとき、前述したように蛍光体ペースト
48は隔壁18にその長手方向において略一様な液面高
さとなるように満たされていることから、収縮後の厚さ
がその長手方向で略一様となる。したがって、その濃度
等に応じて定められる略一様な厚さで、それら側面40
および内面38に樹脂を含む蛍光体の膜が付着させられ
ることとなる。図6(c) は、この乾燥後の状態を示して
いる。
【0030】そして、上記の蛍光体ペースト塗布工程S
53および乾燥工程S54を、形成する蛍光体層42の
色数だけ、本実施例においては3種類の蛍光体層42が
設けられているため3回だけ繰り返すことにより、全て
の隔壁18間に蛍光体ペースト48が内面38および側
面40に倣った形状で塗布されることとなる。図6(d)
は、この状態を示しており、青の発光色(B)に対応す
る蛍光体ペースト48B、赤の発光色(R)に対応する
蛍光体ペースト48R、および緑の発光色(G)に対応
する蛍光体ペースト48Gが、放電空間16毎に隣接す
るもの相互に異なる色となるように設けられている。
【0031】このようにして、全ての放電空間16内に
蛍光体ペースト48の塗布膜を形成した後、熱処理工程
S55においては、蛍光体ペースト48中に含まれる樹
脂成分の種類に応じて定められる例えば350 〜500(℃)
程度の所定温度で背面板14に熱処理を施す。これによ
り、蛍光体ペースト48中の樹脂成分が熱分解され且つ
ガス化して(すなわち燃焼して)除去され、蛍光体粒子
が専ら分子間力で相互に結合して隔壁18の側面40お
よび背面板14の表面38に固着されて前記複数種類の
発光色の蛍光体層42が形成される。この熱処理の過程
において、樹脂で構成される堰止め46も燃焼して完全
に除去されるため、放電空間16内には樹脂から成る構
成部材は何ら残留しない。したがって、堰止め46を設
けて蛍光体ペースト48を塗布することに起因してその
堰止め46からのアウト・ガス等がPDP10の表示品
位や寿命等に影響を与えることはない。
【0032】図3に戻って、前面板12については、先
ず、透明電極形成工程S1−bにおいて、例えばITO
等の透明電極材料を用いて薄膜・フォトリソ法等により
透明電極26を形成し、次いで、金属電極形成工程S2
−bにおいて例えば厚膜銀ペースト等の厚膜導電ペース
トを用いて厚膜スクリーン印刷法等によって金属電極2
8を形成する。なお、これら透明電極26および金属電
極28の形成方法は薄膜法や厚膜法等の中から材料等に
応じて適宜決定される。その後、誘電体層形成工程S3
−bにおいて厚膜絶縁ペーストを前面板12の一面に繰
り返し塗布して焼成することにより電極26、28を覆
って前記誘電体層22を形成する。そして、保護膜形成
工程S4−bにおいて、例えば蒸着法等を用いてMgO 等
から成る保護膜24を誘電体層22上に形成することに
より、前面板12上への膜形成工程は終了する。
【0033】上記のようにして背面板14および前面板
12上にそれぞれ膜形成した後、接合工程S6において
は、それら背面板14および前面板12を図2に示され
るように、周縁部においてフリット・ガラス等の封着材
36(図2参照)を用いて内部が気密となるように相互
に接合する。このとき、前述したように堰止め46は既
に除去されていることから、その堰止め46の占めた範
囲を何ら考慮すること無く、封着材36を隔壁18の端
部近傍に塗布することができる。そのため、背面板14
のその隔壁18の長手方向における長さ寸法を、予め定
められている表示領域Eの長さ寸法に略等しい隔壁18
の長さ寸法に、封着や電極端子取出のために必要な僅か
な長さ寸法を加えただけの長さに留め得る。すなわち、
蛍光体層42を一様な厚さに形成する目的で設けられる
堰止め46の存在に起因する非表示領域は全くない。そ
して、放電ガス封入工程S7において、例えば、放電空
間16内を一旦真空状態にし、更に、例えばHe,Ne,Xe
等の放電ガスを 200〜500(Torr) 程度の所定圧力で封入
することによって、前記PDP10が製造される。な
お、前面板12と隔壁18とは突き合わされているだけ
で互いに接合されてはいない。
【0034】以上、説明したように、本実施例によれ
ば、蛍光体層42を形成するに際して、蛍光体ペースト
塗布工程S53においては、堰止め突設工程(堰止めペ
ースト塗布工程S51、乾燥工程S52)で背面板14
上に堰止め46が突設された状態で蛍光体ペースト48
が塗布される。このとき、堰止め46は隔壁18の端部
に略密接し且つその長手方向に垂直に伸びて形成される
ことから、隔壁18間を満たすように塗布される流動性
の高い蛍光体ペースト48が隔壁18端部から流れ出る
ことが、その堰止め46によって抑制される。したがっ
て、その端部近傍においても塗布された蛍光体ペースト
48がそのまま内側位置と同様な厚さで保持されるた
め、その蛍光体ペースト48から乾燥処理を経て形成さ
れる蛍光体層42の厚さは隔壁18の端部まで略一様と
なって、その端部近傍において蛍光体層42の厚さが薄
くなることが好適に抑制される。この結果、その厚みム
ラに起因するダミー・エリアDの拡大が抑制されること
から、背面板14の全面積に対する表示エリアEの占め
る割合が多くすることができる。
【0035】しかも、本実施例においては、堰止め46
は、隔壁18よりも低い高さ寸法に形成されて、その頂
部が隔壁18の頂部よりも下側に位置する。そのため、
厚膜スクリーン印刷法等を用いて複数種類の蛍光体ペー
スト48を塗り分ける場合等において、スクリーン製版
52の裏面と隔壁18頂部との接触が堰止め46によっ
て妨げられない。したがって、その接触が不完全になる
ことに起因して蛍光体ペースト48の塗布量がばらつい
て隔壁18端部近傍において輝度むらが発生し、或い
は、隣接する放電空間16内に蛍光体ペースト48が流
れ込んで混色が発生すること等が好適に抑制される。
【0036】また、本実施例においては、堰止め46の
固体表面張力は、蛍光体ペースト48との固液界面張力
よりも小さいため、堰止め46上における蛍光体ペース
ト48の接触角が大きくなって濡れ難くなることから、
その堰止め46上において蛍光体ペースト48が広がる
ことが抑制される。そのため、堰止め46が隔壁18よ
りも低く形成されているにも拘わらず、塗布された蛍光
体ペースト48の隔壁18端部における保持量を内側位
置と同様に多くして、形成される蛍光体層42の厚さを
一様に保つことができる。
【0037】また、本実施例においては、堰止め46
は、有機化合物から成るため、蛍光体ペースト48中に
含まれる樹脂成分を加熱処理によって除去する過程(熱
処理工程S55)で熱分解され且つ除去される。そのた
め、PDP10の内部に堰止め46が残留することに起
因する蛍光体層42の汚染延いては輝度ムラの発生が好
適に抑制される。しかも、このように除去された後に背
面板14と前面板12との封着処理が為されることか
ら、堰止め46の存在に起因するダミー・エリアDの拡
大も好適に抑制され、一層そのダミー・エリアDを小さ
くし得る。
【0038】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】図8は、図4に示される工程の一部を変更
したものであって、図3の製造工程中の蛍光体層形成工
程S5の詳細工程の他の態様を説明する工程図である。
図において省略した工程は図4の場合と略同様である。
但し、本実施例では、堰止めペースト44の樹脂成分に
PVA等の水溶性のものを用いる一方、蛍光体ペースト
48の樹脂成分には前述の実施例と同様に有機溶剤に可
溶なエチルセルロース等(すなわち水に不溶な「溶剤
性」と称されるもの)を用いる。したがって、本実施例
においては「水」が所定の液体に、PVAが第1の樹脂
に、エチルセルロースが第2の樹脂にそれぞれ相当す
る。なお、堰止め46の保形性を高めたい場合等には、
堰止めペースト44にガラスやシリカ等の無機化合物の
粉末を適量加えることもできる。
【0040】本実施例において蛍光体層42を形成する
に際しては、先ず、上記のペースト44を用いて、前述
の実施例の場合と同様にして堰止め46を形成し、蛍光
体ペースト48を全ての隔壁18間に塗布する。このと
き、PVAから成る堰止め46の固体表面張力は、エチ
ルセルロースでペースト化された蛍光体ペースト48と
の界面における固液界面張力よりも小さくなる。そのた
め、蛍光体ペースト48の接触角が一層大きくなること
から、蛍光体ペースト48を隔壁18間に確実に保持し
つつ堰止め46の高さを一層低くできる。そして、乾燥
処理を施した後、乾燥工程S54に続く洗浄工程S54
bにおいて、例えば蒸留水を用いて背面板14の洗浄処
理を行う。これにより、水溶性樹脂で無機粉末が結合さ
れて成る堰止め46は、その樹脂が水に溶解されて背面
板14上から洗い流されることとなる。このように洗い
流される結果、堰止め46に保形性を高めるために含ま
れている無機粉末は蛍光体と反応することはない。な
お、蛍光体ペースト48に含まれる樹脂は水に不溶であ
るため、この洗浄処理によってもその塗布膜は除去され
ない。このようにして堰止め46を除去した後、熱処理
工程S55において加熱処理を施すことにより、図4の
場合と同様にして背面板内面38および隔壁側面40に
蛍光体層42が形成される。したがって、本実施例にお
いても、隔壁18間からの蛍光体ペースト48の流出が
堰止め46によって防止されることから、放電空間16
の長手方向の両端部を含む略全体で一様な蛍光体厚さが
得られるため、その厚みムラに起因するダミー・エリア
Dの拡大が好適に抑制される。
【0041】なお、洗浄工程S54bにおける堰止め4
6の除去が不完全であった場合には、その後の熱処理の
過程で残留分が焼失させられる。すなわち、本実施例に
おいては、PDP10の機能上は不要な堰止め46が、
洗浄処理および熱処理の2回の処理によって除去され
る。そのため、後者の熱処理では、洗浄処理によって堰
止め46の大部分が除去された後に僅かな残留分が燃焼
させられることから、その熱処理後に有機成分や灰分が
残留する可能性が減じられる。この結果、本実施例にお
いては、堰止め46が一層確実に除去されることから、
その存在に起因するダミー・エリアDの寸法拡大が一層
確実に抑制される。
【0042】図9は、本発明の更に他の実施例を説明す
る図5に対応する図である。図において、隔壁18の端
部に沿って伸びる堰止め54は、封着材36として用い
られるガラス・フリット等の無機材料を主成分とするも
のであって、隔壁18と略同様な高さ寸法(例えば、隔
壁18よりも 1乃至100(μm)程度の僅かな寸法だけ低い
高さ寸法)を備えている。この堰止め54は、無機粉末
および樹脂が有機溶剤等に分散させられたものであっ
て、例えば前記の図5に示される実施例等と同様にディ
スペンサ等で塗布形成されている。蛍光体層42の形成
時における堰止め54の機能は図4、5、6等に示され
る場合と略同様である。但し、本実施例においては、堰
止め54の高さ寸法が高くなっている結果、蛍光体ペー
スト48の接触角が小さい場合にもその流出が確実に抑
制されるという相違点はある。なお、堰止め54は、少
なくとも隔壁18よりも上に突き出すまでの高さ寸法に
なってはいないことから、高くなったことによってスク
リーン製版52の接触が妨げられる等の不都合は何ら生
じない。
【0043】上記のような堰止め54が設けられた場合
においても、PDP10は、図3および図4に示される
各工程に従って製造される。以下、各工程における相違
点を中心に説明する。先ず、蛍光体ペースト48を塗布
した後の図4に示される熱処理工程S55においては、
蛍光体ペースト48中の樹脂成分が除去されることによ
って蛍光体層42が生成されるが、その際、堰止め54
は、多量に無機粉末が含まれていることから燃焼除去さ
れない。すなわち、その熱処理後にも図9に示される形
状に略保たれている。そして、図3に示される接合工程
S6においては、別途膜形成処理が為された前面板12
を、堰止め54に対応する位置にガラス・フリット等の
封着材36を塗布して背面板14上に重ね合わせ、熱処
理を施す。これにより、堰止め54と前面板12上の封
着材36とが熔融させられて一体化させられ、且つ冷却
過程で硬化させられることにより、その堰止め54上で
背面板14と前面板12とが気密に封着される。
【0044】したがって、本実施例においては、堰止め
54が封着材36を兼ねることから、その封着材36の
内側において堰止め54の存在に起因してダミー・エリ
アDが拡大することが好適に抑制され、一層ダミー・エ
リアDを小さくすることができる。
【0045】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施さ
れる。
【0046】例えば、実施例においては、本発明がフル
・カラーPDP10の背面板14上に3種類の蛍光体層
を形成する方法に適用された場合について説明したが、
本発明は、蛍光体層42を備えたPDP10等のガス放
電表示装置において、気密空間を構成するための一対の
基板(前面板12および背面板14)のうち、隔壁18
が備えられる一方の基板上に蛍光体層42を形成するも
のであれば、何れかの基板上に1乃至複数種類の蛍光体
層42を塗り分ける場合にも同様に適用される。
【0047】また、実施例においては、主に樹脂から成
る堰止め46が蛍光体層42の形成後に除去され、或い
は主に無機粉末から成る堰止め54が蛍光体層42の形
成後にも残留させられて封着材36として機能させられ
る場合について説明したが、無機粉末から成る堰止め5
4が堰止め46と同様な高さ寸法に設けられると共に、
気密空間の構成上或いは発光機能上何ら寄与しない堰止
め54が封着材36の内周側に残留した状態でPDP1
0を構成してもよい。但し、このような堰止め54を放
電空間16内に残留させることは、蛍光体の汚染原因に
なるため、有機物で堰止め46を構成して封着前に除去
する方法が最も好ましい。
【0048】また、実施例においては、堰止め46、5
4が隔壁18よりも低い高さ寸法に形成されることによ
り、スクリーン製版52と隔壁18頂部との接触性を確
保していたが、堰止め46、54を、隔壁18と同様な
高さ寸法に設けることもできる。但し、その場合には、
印刷時においてスクリーン製版52と隔壁18とが密着
させられた状態でその内部からの空気の抜ける通路が確
保できるように塗布方法を工夫する必要がある。
【0049】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の蛍光体層形成方法が適用さ
れたカラーPDPの構成を一部を切り欠いて示す斜視図
である。
【図2】図1のPDPの表示領域を説明する図である。
【図3】図1のPDPの製造工程を説明する工程図であ
る。
【図4】図3の製造工程における蛍光体層形成工程を詳
細に説明する工程図である。
【図5】(a) は、図4の製造工程において、堰止めを形
成した状態を示す斜視図であり、(b) は、(a) における
b−b視断面を示す図である。
【図6】(a) 〜(e) は、図4の製造工程の各段階におけ
る断面状態を説明する図である。
【図7】図6(b) の段階を上から見た状態で示す図であ
る。
【図8】本発明の他の実施例の製造工程を説明する図4
の要部に対応する図である。
【図9】本発明の更に他の実施例の製造工程において蛍
光体ペーストを塗布した状態を説明する斜視図である。
【図10】(a) 、(b) は、従来の蛍光体層形成方法にお
ける問題点を説明する図である。
【符号の説明】
10:PDP(ガス放電表示装置) 14:背面板(基板) 16:放電空間 18:隔壁 38:(背面板の)内面 40:(隔壁の)側面 42:蛍光体層 46:堰止め 48:蛍光体ペースト
フロントページの続き (72)発明者 高木 雅宏 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 ノリタケ電子工業株式会社内 Fターム(参考) 5C028 FF16 HH14 5C040 FA01 GA03 GB02 GF12 GG09 HA01 JA13 KA13 LA02 MA03 MA22 MA23 MA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面から突設された隔壁によって
    区画形成された複数の放電空間内でガス放電を発生させ
    ることにより、その放電空間内に備えられた蛍光体層を
    励起して発光させる形式のガス放電表示装置を製造する
    に際して、蛍光体粉末を所定の液中に分散させた蛍光体
    ペーストを前記隔壁相互の間に塗布してその隔壁相互間
    をその蛍光体ペーストで満たす蛍光体ペースト塗布工程
    と、その蛍光体ペーストを乾燥処理して前記液を蒸発さ
    せることにより前記基板の表面および前記隔壁の側面に
    所定厚さの蛍光体層を形成する乾燥工程とを含む工程に
    よって前記放電空間内に前記蛍光体層を形成する方法で
    あって、 前記蛍光体ペースト塗布工程に先立って実施され、前記
    複数本の隔壁の端部に略密接し且つその長手方向と垂直
    な方向に沿って伸びる所定高さの堰止めを前記基板上に
    突設する堰止め突設工程を含むことを特徴とするガス放
    電表示装置の蛍光体層形成方法。
  2. 【請求項2】 前記堰止めは、前記隔壁よりも低い高さ
    寸法に形成されるものである請求項1のガス放電表示装
    置の蛍光体層形成方法。
  3. 【請求項3】 前記堰止めは、前記蛍光体ペーストより
    も表面張力の小さいものである請求項2のガス放電表示
    装置の蛍光体層形成方法。
  4. 【請求項4】 前記堰止めは、有機化合物から成るもの
    である請求項1乃至3の何れかのガス放電表示装置の蛍
    光体層形成方法。
  5. 【請求項5】 前記蛍光体ペーストは所定の液体に不溶
    な第1の樹脂を含むものであり、 前記堰止めは前記所定の液体に可溶な第2の樹脂を含む
    ものであり、 前記乾燥工程の後に実施され、前記堰止めを前記所定の
    液体で洗浄して除去する洗浄工程を含むものである請求
    項1乃至4の何れかのガス放電表示装置の蛍光体層形成
    方法。
  6. 【請求項6】 前記堰止めは、前記気密空間を形成する
    ために前記基板の周縁部に沿って設けられる封着材を兼
    ねるものである請求項1乃至3の何れかのガス放電表示
    装置の蛍光体層形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005050559A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 表示装置の製造方法
JP2009272045A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Shinoda Plasma Kk ガス放電管および表示装置

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