JP2000321041A - 浸炭層の検出方法及びその厚さの測定方法 - Google Patents

浸炭層の検出方法及びその厚さの測定方法

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JP2000321041A JP11126820A JP12682099A JP2000321041A JP 2000321041 A JP2000321041 A JP 2000321041A JP 11126820 A JP11126820 A JP 11126820A JP 12682099 A JP12682099 A JP 12682099A JP 2000321041 A JP2000321041 A JP 2000321041A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属管の浸炭層の発生を非破壊試験で検出す
る。 【解決手段】 金属管1の外面1″に間隔をとって超音
波斜角探傷試験用の送信側探触子5と受信側探触子6と
を設け、超音波V透過法の試験により、探触子5から出
射されて金属管1の管面等で反射し、探触子6に反射パ
ルスとして受信された超音波の受信レベル及び路程長を
測定し、金属管1の内面で反射した最も大きい内面反射
パルスV0 の受信レベルが最大になるように、探触子
5,6の間隔を初期間隔Y0に設定した後、探触子5,
6の間隔を間隔Y0から狭くし、金属管1の内面側の浸
炭層2と,この層2より金属管1の外面側の非浸炭層4
との界面F1 で反射した隣接反射パルスV1の受信の有
無を検出し、この反射パルスV1の受信により浸炭層2
の発生を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油化学プラント
の炉内配管等の金属管の内,外面の浸炭層の検出及びそ
の厚さの測定を非破壊試験で行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、石油化学プラントの代表例である
エチレン製造装置,重油脱硫装置,BTX装置等の加熱
炉や反応塔の配管(加熱炉管等)は、外側からの加熱や
内側の高温流体の通流等によって高温加熱されるため、
低合金鋼9Cr−1MO,2(1/2)Cr−1MO,
インコロイ800,SUS321HTF等の金属管で形
成される。
【0003】そして、これらの高温加熱される金属管に
あっては、使用によって管の内,外面に浸炭層が発生
し、次第にその層が厚くなって劣化するため、定期的な
検査等で浸炭層の発生(有無)及びその厚さを監視し、
その結果に応じて管の取換え等の措置をとる必要があ
る。
【0004】ところで、この種の金属管は長く、しか
も、プラント内等に多数配設されるため、それらの浸炭
状況を、1本ずつ切断,研削等して破壊検査すること
は、検査効率や費用の面から極めて不経済である。
【0005】そこで、従来はこの種の金属管の浸炭状況
を、とりあえず電磁誘導式の浸炭計で計測して非破壊検
査し、その結果に基づき、疑わしい場合に切断,研削等
して浸炭層の発生の検出及びその厚さの測定を行ってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の電磁誘導式
の浸炭計は、浸炭層が磁性層であることに着目して浸炭
状況を計測するものであり、計測可能な金属管がインコ
ロイやSUS等の非磁性体の金属管に限られ、いわゆる
鋼管等の磁性体の金属管については計測することができ
ない。
【0007】しかも、浸炭計の計測では磁性層の厚さを
知ることは困難であり、内側にフィンを付けた押出管の
ような内径の不均一な金属管や溶接部分を有する金属管
の計測も困難である。
【0008】すなわち、従来は磁性管や内径が不均一な
管等の浸炭層の発生を、非破壊試験で知ることができ
ず、しかも、浸炭層の厚さについては、磁性管,非磁性
管を問わず、非破壊検査で知ることができない問題点が
ある。
【0009】本発明は、石油化学プラント等のこの種の
金属管につき、磁性管,非磁性管を問わず、その内,外
面の浸炭層の発生の検出及び厚さの測定が、非破壊試験
で行えるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、請求項1の本発明の浸炭層の検出方法において
は、金属管の外面に間隔をとって超音波斜角探傷試験用
の送信側探触子と受信側探触子とを設け、超音波V透過
法の試験により、送信側探触子から出射されて金属管の
管面等で反射し、受信側探触子に反射パルスとして受信
された超音波の受信レベル及び路程長を測定し、受信側
探触子が受信する反射パルスのうちの金属管の内面で反
射した最も大きい内面反射パルスの受信レベルが最大に
なるように、両探触子の間隔を初期間隔に設定した後、
両探触子の間隔を初期間隔より狭くし、金属管の内面側
の浸炭層と,この浸炭層より金属管の外面側の非浸炭層
との界面で反射した内面反射パルスの短路程側の隣接反
射パルスの受信の有無を検出し、短路程側の隣接反射パ
ルスの受信により、金属管の内面側の浸炭層の発生を検
出する。
【0011】この場合、超音波V透過法の試験により、
金属管の外面の送信側探触子から内面側に斜めに出射さ
れた超音波は、金属管の内面で反射するだけでなく、内
面側に浸炭層が発生していると、この浸炭層とその外面
側の非浸炭層との界面でも反射する。
【0012】そして、これらの超音波の反射パルスにお
いては、内面反射パルスが他の反射パルスより著しく大
きく、また、内面側の浸炭層と非浸炭層との界面での反
射パルスの管内の路程長(伝播距離)は内面反射パルス
の路程長より短くなる。
【0013】そのため、最初に受信側又は送信側の探触
子を、最も大きい内面反射パルスの受信レベルが最大に
なる位置に移動し、両探触子の間隔を初期間隔に設定す
ると、受信側探触子が内面反射パルスの受信点(到達
点)に位置する。
【0014】そして、受信側又は送信側の探触子をその
間隔が狭くなるように移動すると、内面側に浸炭層が発
生し、この層とその外面側の非浸炭層との界面での反射
パルスがあるときに、この反射パルスが内面反射パルス
の短路程側の隣接反射パルスとして受信側探触子に受信
される。
【0015】したがって、この短路程側の隣接反射パル
スの受信により、金属管の内面側に浸炭層が発生してい
ることを、切断,研削等することなく、現場の非破壊試
験で検出することができ、この場合金属管が磁性管や内
径が不均一な管等であっても、確実に内面側の浸炭層の
発生を検出することができる。
【0016】つぎに、請求項2の本発明の浸炭層の厚さ
の測定方法においては、送信側探触子と受信側探触子と
の間隔を初期間隔にして内面反射パルスの路程長を求め
た後、両探触子の間隔を初期間隔より狭くし、金属管の
内面側の浸炭層と,この浸炭層より金属管の外面側の非
浸炭層との界面で反射した内面反射パルスの短路程側の
隣接反射パルスを受信したときに、短路程側の隣接反射
パルスの受信レベルが最も大きくなる路程長を内側浸炭
層反射パルスの路程長として求め、内面反射パルスの路
程長と内側浸炭層反射パルスの路程長との差の1/2に
超音波の屈折角の余弦関数値の係数を乗算して金属管の
内面側に発生した浸炭層の厚さを測定する。
【0017】この場合、内面反射パルスの路程長及びそ
の短路程側の隣接反射パルスの路程長の1/2に超音波
の屈折角の余弦関数値の係数を乗算すると、それぞれ反
射面から金属管の外面までの距離(長さ)になる。
【0018】そして、内面反射パルスの路程長の1/2
に前記の余弦関数値の係数を乗算した長さは金属管の内
面から外面までの厚さになり、短路程側の隣接反射パル
スの路程長の1/2に前記の余弦関数値の係数を乗算し
た長さは金属管の浸炭層より外面側の非浸炭層の厚さに
なる。
【0019】したがって、両反射パルスの路程長の差の
1/2に前記の余弦関数値の係数を乗算した長さから、
金属管の内面側の浸炭層の厚さを求めて測定することが
でき、このとき、金属管が非磁性管等であっても正確に
内面側の浸炭層の厚さを測定することができる。
【0020】つぎに、請求項3の本発明の浸炭層の検出
方法においては、両探触子の間隔を初期間隔に設定した
後、両探触子の間隔を初期間隔より広くし、金属管の内
面で反射して外面で再反射し、金属管の外面側の浸炭層
と,該浸炭層より内面側の非浸炭層との界面で再々反射
した内面反射パルスの長路程側の隣接反射パルスの受信
の有無を検出し、長路程側の隣接反射パルスの受信によ
り、金属管の外面側の浸炭層の発生を検出する。
【0021】この場合、金属管の外面側に浸炭層が発生
すると、金属管の内面反射パルスは金属管の外面で再反
射し、その再反射パルスが前記界面で外面側に再々反射
し、この再々反射の反射パルスが内面反射パルスの長路
程側の隣接反射パルスとして受信側探触子で受信され
る。
【0022】そのため、両探触子の間隔を初期間隔に設
定した後、受信側探触子又は送信側探触子をその間隔が
広くなるように移動すると、外面側に浸炭層が発生して
いるときに、金属管の内面で一旦反射し、外面で再反射
した後、浸炭層とその内面側の非浸炭層との界面で再々
反射した超音波の反射パルスが内面反射パルスの長路程
側の隣接反射パルスとして受信側探触子に受信される。
【0023】したがって、この長路程側の隣接反射パル
スの受信により、金属管の外面側に浸炭層が発生してい
ることを非破壊試験で検出することができ、この場合、
金属管が磁性管や内径が不均一な管であっても、確実に
外面側の浸炭層の発生を検出することができる。
【0024】つぎに、請求項4の本発明の浸炭層の厚さ
の測定方法においては、両探触子の間隔を初期間隔にし
て内面反射パルスの路程長を求めた後、両探触子の間隔
を初期間隔より広くし、金属管の内面で反射して外面で
再反射し、金属管の外面側の浸炭層と,該浸炭層より金
属管の内面側の非浸炭層との界面で再々反射した内面反
射パルスの長路程側の隣接反射パルスを受信したとき
に、長路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大き
くなる路程長を外面側浸炭層反射パルスの路程長として
求め、この外面側浸炭層反射パルスの路程長と内面反射
パルスの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦
関数値の係数を乗算して金属管の外面側に発生した浸炭
層の厚さを測定する。
【0025】この場合、両探触子が初期間隔のときの内
面反射パルスの路程長及びその長路程側の隣接反射パル
スの路程長の1/2に超音波の屈折角の余弦関数値の係
数を乗算すると、内面から金属管の外面までの距離(長
さ),この距離に外面側の浸炭層の厚さを加えた距離に
なる。
【0026】したがって、長路程側の隣接反射パルスと
内面反射パルスとの路程長の差の1/2に前記の余弦の
係数を乗算した長さから、金属管の外面側の浸炭層の厚
さを求めて測定することができ、このとき、金属管が非
磁性管等であっても正確に内面側の浸炭層の厚さを測定
することができる。
【0027】つぎに、請求項5の本発明の浸炭層の検出
方法においては、両探触子の間隔を初期間隔に設定した
後、金属管の内面側の浸炭層の発生の検出により、両探
触子の間隔を初期間隔より狭くし、金属管の内面側の浸
炭層と,該浸炭層より前記金属管の外面側の非浸炭層と
の界面で反射した内面反射パルスの短路程側の隣接反射
パルスの受信の有無を検出し、短路程側の隣接反射パル
スの受信により、金属管の内面側の浸炭層の発生を検出
し、金属管の外面側の浸炭層の発生の検出により、両探
触子の間隔を初期間隔より広くし、金属管の内面で反射
して外面で再反射し、金属管の外面側の浸炭層と,該浸
炭層より金属管の内面側の非浸炭層との界面で再々反射
した内面反射パルスの長路程側の隣接反射パルスの受信
の有無を検出し、長路程側の隣接反射パルスの受信によ
り、金属管の外面側の浸炭層の発生を検出する。
【0028】したがって、この場合は請求項1の検出方
法と請求項3の検出方法とを組合わせた検出方法によ
り、金属管の内面側及び外面側の浸炭層の発生を非破壊
試験で正確に検出することができる。
【0029】つぎに、請求項6の浸炭層の厚さの測定方
法においては、両探触子の間隔を初期間隔にして内面反
射パルスの路程長を求めた後、金属管の内面側に発生し
た浸炭層の厚さの測定により、両探触子の間隔を初期間
隔より狭くし、金属管の内面側の浸炭層と,該浸炭層よ
り金属管の外面側の非浸炭層との界面で反射した内面反
射パルスの短路程側の隣接反射パルスを受信したとき
に、短路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大き
くなる路程長を内面側浸炭層反射パルスの路程長として
求め、内面反射パルスの路程長と内面側浸炭層反射パル
スの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦関数
値の係数を乗算して金属管の内面側に発生した浸炭層の
厚さを測定し、金属管の外面側に発生した浸炭層の厚さ
の測定により、両探触子の間隔を初期間隔より広くし、
金属管の内面で反射して外面で再反射し、金属管の外面
側の浸炭層と,該浸炭層より金属管の内面側の非浸炭層
との界面で再々反射した内面反射パルスの長路程側の隣
接反射パルスを受信したときに、長路程側の隣接反射パ
ルスの受信レベルが最も大きくなる路程長を外面側浸炭
層反射パルスの路程長として求め、外面側浸炭層反射パ
ルスの路程長と内面反射パルスの路程長との差の1/2
に超音波の屈折角の余弦関数値の係数を乗算して金属管
の外面側に発生した浸炭層の厚さを測定する。
【0030】したがって、この場合は請求項2の測定方
法と請求項4の測定方法とを組合わせた測定方法によ
り、金属管の内面側及び外面側に発生した浸炭層の厚さ
を非破壊検査で正確に測定することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき、図1
ないし図10を参照して説明する。図1は例えばBTX
装置の加熱炉の鋼管等の金属管1の管軸方向(長手方
向)の断面図であり、図中の2は金属管1の内面側に発
生した浸炭層(内面側浸炭層)、3は金属管1の外面側
に発生した浸炭層(外面側浸炭層)、4は浸炭層2,3
間の金属管1の非浸炭層である。
【0032】5,6は金属管1の外面1′に管軸方向に
間隔をとって設けられた超音波斜角探傷試験用の送信側
探触子,受信側探触子である。
【0033】そして、金属管1の浸炭状況の検査(保守
点検)はBTX装置の運転が停止等されて金属管1に熱
が加わらないときに現地で実施される。
【0034】このとき、金属管1は加熱炉等に縦向き又
は横向きに配設され、探触子5,6が1組の場合、図1
に実線及び破線で示したように、探触子5,6の設置位
置を金属管1の各検査部位の外面1′に順に移動して検
査が行われる。
【0035】つぎに、具体的な検査について説明する。
まず、探触子5,6を用いた超音波V透過法の試験によ
り、反射パルスと呼ばれる超音波の反射エコーの計測か
ら、金属管1の内面側浸炭層2の検出及び厚さの測定を
行う。
【0036】この場合、図1の一部の拡大図である図2
に示すように、探触子5,6の間隔を、最初に、金属管
1の内面1″で反射した超音波の反射パルス(内面反射
パルスV0)の受信レベルが最大になる初期間隔Y0に調
整して設定する。ところで、送信側探触子5は超音波を
図2の屈折角θで出射する。
【0037】そして、この屈折角θは30°,45°,
60°,70°等に適当に設定してよいが、いわゆるU
字管等の場合も考慮して種々実験したところ、45°に
することが汎用性等の面から最も好ましいことが判明し
た。
【0038】なお、検出及び測定を精度よく行うため、
屈折角θはいわゆる公称屈折角でなく、予め実験等で測
定した実測角である。
【0039】また、探触子5,6は図示省略された本体
装置の制御,監視により、超音波の送受信が制御,監視
される。
【0040】そして、その送受信結果に基づく本体装置
のマイクロコンピュータ等の演算処理により、斜角探傷
法のうちのタンデム法を変形した周知のV透過法で反射
パルスを測定し、金属管1の音速及びその超音波の出射
(送信)から受信までの時間計測等に基づき、例えば図
2の矢印線に示す送信側探触子5から受信側探触子6に
至るまでの超音波の伝播路の長さを、反射パルスの路程
長として求める。
【0041】さらに、この路程長と受信レベルとの関係
を示す図3のような波形のグラフを、モニタ表示器等に
画面表示する。
【0042】図3は内面反射パルスV0の場合の画面表
示を示し、路程長L0の1/2の往路又は復路の路程長
をビーム路程長W0 とし、ビーム路程長を横軸,受信レ
ベルを表わす任意単位のエコー高さ(%)を縦軸にして
内面反射パルスV0 を画面表示したものである。
【0043】そして、送信側探触子5から出射された超
音波は、実際には、内面1″だけでなく、浸炭層2,3
と非浸炭層4との界面F1,F2でも反射するが、内面
1″で反射した内面反射パルスV0 のレベルが他のパル
スより著しく大きくなる。
【0044】そこで、初期間隔Y0 に調整する場合、モ
ニタ表示器の画面表示をみながら、受信ゲインを調整し
つつ送信側探触子5,受信側探触子6のいずれか一方又
は両方を、表示された最も大きい反射パルスが最大レベ
ルになるように、すなわち図3のように内面反射パルス
0 が最も大きく表示されるように、近づく方向又は離
れる方向に少しずつ移動して超音波の送受信をくり返
し、位置決めする。
【0045】なお、図3においては内面反射パルスV0
の受信レベルが最大であることが分り易いように、最大
レベルのときに100%でなく、80%になるように表
示したものであり、この場合、他の反射パルスについて
はレベルが小さく、画面には現れない。
【0046】つぎに、内面側浸炭層2が発生している場
合、この浸炭層2とその外面側の非浸炭層4との界面F
1 でも超音波が反射し、その反射パルス(短路程側の隣
接反射パルスV1)の路程長L1は、図4からも明らかな
ように内面反射パルスV0 の路程長L0 より浸炭層2の
厚さに相当する数ミリメートル程度の微小な長さだけ短
くなる。
【0047】そこで、モニタ表示器の表示画面をみなが
ら、受信ゲインを調整しつつ探触子5,6のいずれか一
方又は両方を近づく方向に移動して両探触子5,6の間
隔を初期間隔Y0 から少しずつ狭くし、図5に示すよう
に、表示画面の内面反射パルスV0の短路程側近傍に隣
接反射パルスV1が明瞭に分離して出現し、反射パルス
1 が検出されるか否かを観察する。
【0048】なお、本発明の反射パルスV0,V1等は横
波のパルスであるが、実際には横波のパルスの他に、縦
波のパルス等の疑似エコーと呼ばれる反射パルスも発生
し、これらの反射パルスもモニタ表示等に画面表示され
る場合がある。
【0049】しかし、横波の反射パルスV0,V1等と疑
似エコーの反射パルスとは探触子5,6の間隔を変えた
ときの表示変化等から区別することができ、しかも、疑
似エコーの反射パルスは反射パルスV1 より短路程側に
群パルス状に発生する。
【0050】そこで、図5等にあっては、本発明を分り
易くするため、疑似エコーの反射パルスは省略して表し
ている。
【0051】そして、隣接反射パルスV1 が明瞭に分離
して検出されると、この検出によって内面側浸炭層2の
発生が検出される。
【0052】つぎに、本形態ではその厚さを検出するた
め、隣接反射パルスV1 が最大レベルになるように探触
子5,6の間隔を初期間隔Y0から狭くして間隔Y1にす
る。
【0053】このとき、図2からも明らかなように、内
面反射パルスV0の路程長L0の1/2をW0とすると、
その余弦関数値W0・cosθが金属管1の内面1″から外
面1′までの厚さt0になる。
【0054】さらに、図4からも明らかなように、隣接
反射パルスV1の路程長L1の1/2をW1とすると、そ
の余弦関数値W1・cosθが界面F1から外面までの厚さ
(t0−t1)になる。
【0055】したがって、内面側浸炭層2の厚さt
1 は、路程長L0,L1の差の1/2に屈折角θの余弦関
数値cosθの係数Kを乗算するつぎの数1の式から求め
られて測定される。
【0056】
【数1】 t1=((L0−L1)/2)・K=(W0−W1)・cosθ
【0057】そして、金属管1の端面を示した図6の内
面側浸炭層2の厚さt1 につき、数1の式から求めた測
定値の精度を確かめたところ、実際に切断して確認した
値(検証厚)と、数1の式から求めた値(測定厚)とに
つき、図7の各○印の結果が得られた。
【0058】この図7によると、例えば実測の検証厚
0.5mmに対して数1の式から求めた測定厚はその+
0.3mm〜−0.2mmの範囲になり、誤差が少なく、数
1の式から金属管1の内面側浸炭層2の厚さt1 を非破
壊試験で精度よく求めて測定できることが確かめられ
た。
【0059】つぎに、探触子5,6を用いた金属管1の
外面側浸炭層3の検出及び厚さの測定について説明す
る。
【0060】ところで、金属管1等にあっては、管内の
高温流体の通流によって浸炭層が内面側に発生し、加熱
炉管等の管外から熱が加わるものについては、内面側だ
けでなく、外面側にも浸炭層(外面側浸炭層3)が発生
する。
【0061】そして、この外面側浸炭層3の有無を検出
する場合も、最初に内面反射パルスV0の受信に基づ
き、探触子5,6の設置間隔を初期間隔Y0に設定す
る。
【0062】つぎに、外面側浸炭層3が発生している場
合、探触子5から出射された超音波は、図8に示すよう
に一部は外面側浸炭層3と非浸炭層4との界面F2 ,非
浸炭層4と内面側浸炭層2との界面F1 で反射するが、
大部分は金属管1の内面1″で反射する。
【0063】そして、界面F2 で反射した超音波は金属
管1の外面1″で再反射し、その後、界面F2 での反射
と外面1″での反射とをくり返し、探触子6に到達する
までに著しく減衰する。
【0064】また、界面F1で反射した超音波(内面側
浸炭層反射パルスV1)は外面1′の内面反射パルスV0
の到達点より探触子5に近い地点で受信される。
【0065】一方、内面1″で反射した超音波は内面反
射パルスV0 であることから他の反射パルスより著しく
大きく、この内面反射パルスV0 が外面1′で再反射し
て界面F2で再々反射すると、外面1″の内面反射パル
スV0の到達点より外面側浸炭層3の厚さに応じた路程
(距離)離れた地点で十分な大きさの反射パルスとして
受信することができる。
【0066】そして、この反射パルスが内面反射パルス
0 の長路程側の隣接反射パルスV 2であり、探触子
5,6を初期間隔Y0 に設置した後、モニタ表示器の表
示画面をみながら、受信ゲインを調整しつつ探触子5,
6のいずれか一方又は両方を離れる方向に移動して両探
触子5,6の間隔を初期間隔から少しずつ広くし、図9
に示すように、モニタ表示器の表示画面の内面反射パル
スV0 の長路程側近傍に隣接反射パルスV2が明瞭に分
離して出現し、反射パルスV2が検出されるか否かを観
察する。
【0067】そして、隣接反射パルスV2 が明瞭に分離
して検出されることにより、外面側浸炭層3の発生が検
出される。
【0068】つぎに、外面側浸炭層3の厚さを検出する
ため、隣接反射パルスV2 が最も大きく受信されるよう
に、探触子5,6の間隔を初期間隔Y0から広くして間
隔Y2にする。
【0069】このとき、隣接反射パルスV2の出射から
受信までの全路程長L2は、図8からも明らかなよう
に、内面反射パルスV0の路程長L0(=2・W0=2・
2a)に、外面1″で再反射して界面F2で再々反射す
る路程長2・W2bを加算した長さL0+2・W2b(=2
(W2a+W2b))になる。
【0070】そして、金属管1の厚さt0は(L0/2)
・cosθ(=W0・cosθ=W2a・cosθ)であり、外面側
浸炭層3の厚さt2は(2・W2b/2)・cosθ(=W2b
・cosθ)である。,
【0071】そのため、外面側浸炭層3の厚さt2 は、
路程長L2,L1の差の1/2に係数K(=cosθ)を乗
算するつぎの数2の式から求められて測定される。
【0072】
【数2】t2=((L2−L0)/2)・K=(W2
0)・cosθ=W2b・cosθ
【0073】そして、図6の外面側浸炭層3の厚さt2
につき、数2の式から求めた測定値の精度を確かめたと
ころ、図7と同様の図10の結果が得られ、この図10
から明らかなように、数2の式から外面側浸炭層3の厚
さt2 を精度よく求めて測定できる。
【0074】したがって、探触子5,6を用いた超音波
V透過法の試験により、金属管1の内面側浸炭層2,外
面側浸炭層3の発生の検出及びその厚さの測定が、金属
管1を切断,研削等することなく確実に精度よく行え
る。
【0075】そして、従来の電磁誘導式の浸炭計を用い
た場合のような金属管1の材質や内面形状等による制限
がなく、磁性管,非磁性管を問わず、どのような金属管
であっても、現場での非破壊試験で精度よく、しかも、
経済的に効率よく浸炭層2,4の発生を検出し、その厚
さを測定することができる。
【0076】なお、浸炭層の有無が表示画面から容易に
分かり、しかも、その厚さが数1,数2の式から簡単に
求められるため、浸炭層2,3の検出や厚さの測定に超
音波の反射エコーについての高度の熟練等を要しない利
点もある。
【0077】ところで、金属管によっては内面側浸炭層
2又は外面側浸炭層3についてのみ、浸炭層の発生の検
出又はこの検出とその厚さの測定を行うようにしてもよ
い。また、探触子5,6を複数組用いて複数の金属管の
検出,測定又は1本の金属管の複数個所の検出,測定を
一度に行うようにしてもよい。
【0078】さらに、探触子5,6が送受する超音波の
屈折角θは45°に限られるものでなく、30°,45
°,60°,70°等の種々の角度であっても、同様に
適用できるのは勿論である。
【0079】そして、本発明は熱が加わる種々の金属管
の浸炭層の発生の検出及びその厚さの測定に適用でき
る。
【0080】
【発明の効果】本発明は、以下に記載する効果を奏す
る。まず、請求項1の検出方法の場合は、最初に受信側
又は送信側の探触子6,5を、金属管1の外面1″の内
面反射パルスV0 の受信レベルが最大になる位置に移動
し、両探触子5,6の間隔を初期間隔Y0 に設定する
と、受信側探触子6が内面反射パルスV0 の受信点(到
達点)に位置し、つぎに受信側又は送信側の探触子6,
5をその間隔が狭くなるように移動すると、内面側に浸
炭層2が発生し、この層2とその外面側の非浸炭層4と
の界面F1 での反射パルスがあるときに、この反射パル
スを内面反射パルスV0の短路程側の隣接反射パルスV1
として受信側探触子6で受信することができる。
【0081】そして、この短路程側の隣接反射パルスV
1 の受信により、金属管1の内面側に浸炭層2が発生し
ていることを、切断,研削等することなく、現場の非破
壊試験で検出することができ、この場合、金属管1が磁
性管や内径が不均一な管等であっても、確実に内面側の
浸炭層2の発生を検出して浸炭状況を把握することがで
きる。
【0082】また、請求項2の測定方法の場合は、内面
側の浸炭層2の検出時、反射パルスV0,V1の路程長L
0,L1の差の1/2(W0−W1)に屈折角θの余弦関数
値の係数を乗算した長さ(W0−W1)cosθから金属管
1の浸炭層2の厚さt1 を求めて測定することができ、
このとき、金属管1が非磁性管等であっても正確に内面
側の浸炭層2の厚さを測定して浸炭状況を一層正確に把
握することができ、その結果に基づいて管の取換え等の
必要な補修等を適切に行うことができる。
【0083】さらに、請求項3の検出方法の場合は、探
触子5,6の間隔を初期間隔Y0 に設定した後、受信側
又は送信側の探触子6,5をその間隔が広くなるように
移動すると、外面側に浸炭層3が発生しているときに、
金属管1の内面1′で一旦反射し、外面1″で再反射し
た後、浸炭層3とその内面側の非浸炭層4との界面F 2
で再々反射した超音波の反射パルスが内面反射パルスV
0 の長路程側の隣接反射パルスV2 として受信側探触子
6で受信することができる。
【0084】したがって、この長路程側の隣接反射パル
スV2 の受信により、金属管1の外面側に浸炭層3が発
生していることを切断,研削等することなく、現場の非
破壊試験で検出することができ、この場合、金属管1が
磁性管や内径が不均一な管であっても、確実に外面側の
浸炭層3の発生を検出して浸炭状況を把握することがで
きる。
【0085】また、請求項4の測定方法の場合は、外面
側の浸炭層3の検出時、長路程側の隣接反射パルスV2
と内面反射パルスV0との路程長L2,L0 の差の1/
2((W2−W0)に屈折角θの余弦関数値の係数を乗算
した長さ(W2−W0)cosθから金属管1の外面側の浸
炭層3の厚さt2 を求めて測定することができ、このと
き、金属管1が非磁性管等であっても正確に外面側の浸
炭層3の厚さを測定して浸炭状況を一層正確に把握する
ことができる。
【0086】つぎに、請求項5の検出方法の場合は、請
求項1の検出方法と請求項3の検出方法とを組合わせた
検出方法により、金属管1の内面側及び外面側の浸炭層
2,3の発生を現場の非破壊試験で確実に検出して浸炭
状況を把握することができる。
【0087】また、請求項6の測定方法の場合は、請求
項2の測定方法と請求項4の測定方法とを組合わせた測
定方法により、金属管1の内面側及び外面側に発生した
浸炭層2,3の厚さt1,t2を非破壊試験で正確に測定
して内面側及び外面側の浸炭状況を一層正確に把握する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の1形態の金属管の管軸方向の切
断面図である。
【図2】図1の金属管の内面反射パルスの反射の説明図
である。
【図3】図2の内面反射パルスの受信波形の説明図であ
る。
【図4】図1の金属管の内面側浸炭層反射パルスの反射
の説明図である。
【図5】図4の内面側浸炭層反射パルスの受信波形図で
ある。
【図6】図1の金属管の端面図である。
【図7】図1の金属管の内面側浸炭層の厚さの測定結果
の1例の説明図である。
【図8】図1の金属管の外面側浸炭層反射パルスの反射
の説明図である。
【図9】図8の外面側浸炭層反射パルスの受信波形図で
ある。
【図10】図1の金属管の外面側浸炭層の厚さの測定結
果の1例の説明図である。
【符号の説明】
1 金属管 1′ 外面 1″ 内面 2 内面側浸炭層 3 外面側浸炭層 5 送信側探触子 6 受信側探触子 F1,F2 界面 L0,L1,L2 路程長 V0 内面反射パルス V1 内面側浸炭層反射パルス V2 外面側浸炭層反射パルス Y0 初期間隔 t0,t1,t2 厚さ θ 屈折角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中林 政廣 大阪府大阪市大正区鶴町2丁目15番26号 株式会社ニチゾウテック内 (72)発明者 林 正 千葉県市原市姉崎海岸1番1号 出光石油 化学株式会社内 (72)発明者 四辻 美年 千葉県千葉市中央区新田町37番24号 出光 エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 2F068 AA28 BB09 BB14 CC16 FF03 FF12 FF15 FF16 FF25 HH02 JJ11 KK14 2G047 AA07 AB01 BA03 BB02 BC02 BC03 DB03 EA08 GB03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の内面側の浸炭層の発生を検出する浸炭層の検出方
    法において、 前記金属管の外面に間隔をとって超音波斜角探傷試験用
    の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔に設定した後、 前記両探触子の間隔を前記初期間隔から狭くし、 前記金属管の内面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属
    管の外面側の非浸炭層との界面で反射した前記内面反射
    パルスの短路程側の隣接反射パルスの受信の有無を検出
    し、 前記短路程側の隣接反射パルスの受信により、前記金属
    管の内面側の浸炭層の発生を検出することを特徴とする
    浸炭層の検出方法。
  2. 【請求項2】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の内面側に発生した浸炭層の厚さを測定する浸炭層
    の厚さの測定方法において、 前記金属管の外側面に間隔をとって超音波斜角探傷試験
    用の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔にして前記内面反射パルスの路程長を求めた後、 前記両探触子の間隔を前記初期間隔から狭くし、 前記金属管の内面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属
    管の外面側の非浸炭層との界面で反射した前記内面反射
    パルスの短路程側の隣接反射パルスを受信したときに、
    前記短路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大き
    くなる路程長を内面側浸炭層反射パルスの路程長として
    求め、 前記内面反射パルスの路程長と前記内面側浸炭層反射パ
    ルスの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦関
    数値の係数を乗算して前記金属管の内面側に発生した浸
    炭層の厚さを測定することを特徴とする浸炭層の厚さの
    測定方法。
  3. 【請求項3】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の外面側の浸炭層の発生を検出する浸炭層の検出方
    法において、 前記金属管の外面に間隔をとって超音波斜角探傷試験用
    の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔に設定した後、 前記両探触子の間隔を前記初期間隔から広くし、 前記金属管の内面で反射して外面で再反射し、前記金属
    管の外面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属管の内面
    側の非浸炭層との界面で再々反射した前記内面反射パル
    スの長路程側の隣接反射パルスの受信の有無を検出し、 前記長路程側の隣接反射パルスの受信により、前記金属
    管の外面側の浸炭層の発生を検出することを特徴とする
    浸炭層の検出方法。
  4. 【請求項4】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の外面側に発生した浸炭層の厚さを測定する浸炭層
    の厚さの測定方法において、 前記金属管の外側面に間隔をとって超音波斜角探傷試験
    用の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔にして内面反射パルスの路程長を求めた後、 前記両探触子の間隔を前記初期間隔から広くし、 前記金属管の内面で反射して外面で再反射し、前記金属
    管の外面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属管の内面
    側の非浸炭層との界面で再々反射した前記内面反射パル
    スの長路程側の隣接反射パルスを受信したときに、前記
    長路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大きくな
    る路程長を外面側浸炭層反射パルスの路程長として求
    め、 前記外面側浸炭層反射パルスの路程長と前記内面反射パ
    ルスの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦関
    数値の係数を乗算して前記金属管の外面側に発生した浸
    炭層の厚さを測定することを特徴とする浸炭層の厚さの
    測定方法。
  5. 【請求項5】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の内面側及び外面側の浸炭層の発生を検出する浸炭
    層の検出方法において、 前記金属管の外面に間隔をとって超音波斜角探傷試験用
    の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔に設定した後、 前記金属管の内面側の浸炭層の発生の検出により、前記
    両探触子の間隔を前記初期間隔から狭くし、 前記金属管の内面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属
    管の外面側の非浸炭層との界面で反射した前記内面反射
    パルスの短路程側の隣接反射パルスの受信の有無を検出
    し、 前記短路程側の隣接反射パルスの受信により、前記金属
    管の内面側の浸炭層の発生を検出し、 前記金属管の外面側の浸炭層の発生の検出により、前記
    両探触子の間隔を前記初期間隔から広くし、 前記金属管の内面で反射して外面で再反射し、前記金属
    管の外面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属管の内面
    側の非浸炭層との界面で再々反射した前記内面反射パル
    スの長路程側の隣接反射パルスの受信の有無を検出し、 前記長路程側の隣接反射パルスの受信により、前記金属
    管の外面側の浸炭層の発生を検出することを特徴とする
    浸炭層の検出方法。
  6. 【請求項6】 加熱炉,反応塔の配管等の熱が加わる金
    属管の内面側及び外面側に発生した浸炭層の厚さを測定
    する浸炭層の厚さの測定方法において、 前記金属管の外面に間隔をとって超音波斜角探傷試験用
    の送信側探触子と受信側探触子とを設け、 超音波V透過法の試験により、前記送信側探触子から出
    射されて前記金属管の管面等で反射し、前記受信側探触
    子に反射パルスとして受信された超音波の受信レベル及
    び路程長を測定し、 前記受信側探触子が受信した反射パルスのうちの前記金
    属管の内面で反射した最も大きい内面反射パルスの受信
    レベルが最大になるように、前記両探触子の間隔を初期
    間隔にして内面反射パルスの路程長を求めた後、 前記金属管の内面側に発生した浸炭層の厚さの測定によ
    り、前記両探触子の間隔を前記初期間隔より狭くし、 前記金属管の内面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属
    管の外面側の非浸炭層との界面で反射した前記内面反射
    パルスの短路程側の隣接反射パルスを受信したときに、
    前記短路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大き
    くなる路程長を内面側浸炭層反射パルスの路程長として
    求め、 前記内面反射パルスの路程長と前記内面側浸炭層反射パ
    ルスの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦関
    数値の係数を乗算して前記金属管の内面側に発生した浸
    炭層の厚さを測定し、 前記金属管の外面側に発生した浸炭層の厚さの測定によ
    り、前記両探触子の間隔を前記初期間隔より広くし、 前記金属管の内面で反射して外面で再反射し、前記金属
    管の外面側の浸炭層と,該浸炭層より前記金属管の内面
    側の非浸炭層との界面で再々反射した前記内面反射パル
    スの長路程側の隣接反射パルスを受信したときに、前記
    長路程側の隣接反射パルスの受信レベルが最も大きくな
    る路程長を外面側浸炭層反射パルスの路程長として求
    め、 前記外面側浸炭層反射パルスの路程長と前記内面反射パ
    ルスの路程長との差の1/2に超音波の屈折角の余弦関
    数値の係数を乗算して前記金属管の外面側に発生した浸
    炭層の厚さを測定することを特徴とする浸炭層の厚さの
    測定方法。
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