JP2000317002A - 身体の転倒検出・防御方法および装置 - Google Patents

身体の転倒検出・防御方法および装置

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JP2000317002A
JP2000317002A JP11131436A JP13143699A JP2000317002A JP 2000317002 A JP2000317002 A JP 2000317002A JP 11131436 A JP11131436 A JP 11131436A JP 13143699 A JP13143699 A JP 13143699A JP 2000317002 A JP2000317002 A JP 2000317002A
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sensor
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English (en)
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Kazutoshi Yakimoto
数利 焼本
Hiroshige Shinohara
廣繁 篠原
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Japan Steel Works Ltd
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Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人が歩行中に転倒をはじめてから障害物と衝
突して打撃を被るまでの短い時間の間に人の転倒を検出
し、転倒による打撃、衝撃等から身体を防御する身体の
転倒検出・防御方法および装置を提供する。 【解決手段】 高齢者、身障者等が身体の一部に転倒を
検知するセンサ1を取り付け、該センサ1は、障害物と
身体との距離および相対速度を検出するよう形成し、身
体と障害物との距離が所定値以下であり、かつ身体と障
害物との相対速度が所定値以上であるときに転倒と判断
し、転倒を開始してから身体が障害物に衝突するまでの
間に、迅速にエアバッグ7を膨張させて、身体と障害物
との間にエアバッグ7を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高齢者等の転倒検
出・防御方法および装置に係るものであり、詳しくは、
高齢者、身障者等が家庭内の地面、床、階段、段差、玄
関、風呂等、あるいは屋外の地面、歩道、階段、段差等
の双方において、何らかの理由により転倒して骨折等の
怪我をするのを防止するため、転倒による打撃、衝撃等
を被る前に身体をこれから防御する高齢者等の転倒検出
・防御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】日常生活または業務中における人の転
倒、転落や、乗り物の衝突事故等に際して、人の身体を
防御する方法および装置に関する従来の技術を大別する
と、(1)人または人を含む車両等の主体と、これらに
打撃を与える障害物との距離、相対速度よび衝撃時の衝
撃等を検出する方法およびセンサに関するもの、(2)
打撃に対して身体を防御するエアバッグ装置に関するも
の、(3)転倒、転落および衝突により身体が打撃を被
った後に、打撃を被ったことをセンサ等で検出し、通
報、警報等何らかの処置を行う方法および装置に関する
もの、(4)転倒、転落および衝突により身体が打撃を
被る前に、打撃を被ることをセンサ等を用いて予知し、
身体を防御する方法および装置に関するもの、(5)何
らセンサ等を用いることなく、身体に常に装着した緩衝
物等により、転倒、転落による衝撃から身体を防御する
方法および装置に関するもの、(6)転倒、転落および
衝突等により人が打撃を被る道路、床、階段、浴槽等の
障害物に転倒、転落および衝突等を検出する手段あるい
は緩衝物を具備する方法および装置に関するもの、
(7)特に自動車の衝突を検出し、未然にこれを防止す
るか、あるいはその打撃が身体に及ぶ前に身体を防御す
る方法およびこれに関するもの、とに分けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術に関す
る問題点について説明する。
【0004】(1)人または人を含む車両等の主体と、
これらに打撃を与える障害物との距離、相対速度および
衝撃時の衝撃等を検出する方法およびセンサに関するも
のとしては、特に正面あるいは側面からの自動車衝突を
衝突前あるいは衝突後に検知する方法が報告されてい
る。衝突後に自動車に装着した加速度センサにより衝撃
を検知する方法および装置は、自動車衝突時にエアバッ
グ装置として広く普及している。しかし、加速度センサ
は車が衝突した後に衝突を検出できるが、人の転倒時に
加速度を検出することは、転倒の動作そのものを検出で
きても、人の障害物との相対関係において、人が転倒し
はじめてから障害物により打撃を被るまでの間のどこに
位置するかについて情報は得られない。人と障害物との
距離は相対的なものであり、状況により種々変化するた
め、人が転倒しはじめてから障害物に打撃を被るまでの
間に確実にその危険性を検知し、もってこれらの間に確
実に打撃から身体を防御する手段を講じる必要がある。
例えば、階段で転倒する場合、登り側と降り側のどちら
の方向に転倒するかで、打撃を受けるまでの距離は大幅
に変化し、加速度でこれらを識別できるわけではない。
以上の理由より加速度ではこれらの手段を講じることの
できる検出値とならない。一方、自動車に衝突する前に
事前にこれを検知する方法およびセンサについては、特
開平06―160525、特開平06―160527、
特開平07―84047、特開平07―20242、特
開平08―122434等のように、障害物探査用投・
受光器を有するセンサを自動車に搭載し、投光部から障
害物に光ビームを照射して障害物からの反射光を受光部
で受光し、障害物との距離および相対速度を検出し、衝
突直前に衝突の危険性を評価してエアバッグ、プリテン
ション等の生命防御装置を起動させる方法が報告されて
いる。これらの方法は、衝突前に衝突の危険性を評価す
る方法である。しかし、これらは自動車の衝突を目的と
しており、検出最小距離は1m以上である。人の転倒で
は、転倒しはじめてから障害物と衝突するまでの距離は
数十cmの近距離であること、衝突するまでの時間が
0.1〜0.5秒程度の短時間であること、転倒する方向
が多様であること、人の往来による接近、傘さし、横に
なる、起き上がる、座る等動作が多様であることから、
自動車の衝突とは比べられない多様な情報の中で転倒を
検出しなくてはならないこと、人が装備するには軽量、
小型かつ安価であることが必要であること等の条件があ
り、このような条件を十分に満足するものとは言えな
い。
【0005】(2)打撃に対して身体を防御するエアバ
ッグ装置に関しては、特に二輪車における走行中の転倒
による乗員の保護を目的としたものが特開平09―66
789にて報告されている。これは、あらかじめ乗員が
上半身に着用するもので、二輪車等の転倒時の衝撃から
頚椎、脊椎、頚骨、背骨の損傷を防御することを主目的
としている。爆薬の爆発時に発生する気体または圧搾気
体を発生するインフレータと、袋状の構造を有したエア
バッグ本体とを有し、爆薬の爆発時に瞬時に膨張して外
部からの衝撃力を吸収する。本エアバッグは、エアバッ
グと車両との間に連結された連結部が解除されることで
インフレータが作動するようになっている。また、膨張
した気体をエアバッグ本体から大気中に自由に開放でき
る。この装置は、連結解除によって作動するもので、あ
くまで乗り物からの乗員の離脱を検出した上で動作する
ものである。したがって、歩行中の転倒等に際して、転
倒をはじめて障害物に打撃を受ける直前に作動すること
はできない。また、この装置は上半身に常時着用する必
要があり、日常の人の転倒において、保護すべき頭部、
首、大腿骨頚部等の要所に局所的に取り付けることがで
きるものではない。以上の理由により、本装置は人の転
倒に際して身体を防御する上では不十分である。
【0006】(3)転倒、転落および衝突により身体が
打撃を被った後、打撃を被ったことをセンサ等で検出
し、通報、警報等何らかの処置を行う方法及び装置に関
しては、数多くの報告がなされている。特開昭63―2
32500は、トイレ内の低位置に電磁誘導波を発する
ループアンテナを設置し、病人、老人等の対象者が送信
機を首にぶら下げて所持し、対象者がトイレ内で転倒し
てループアンテナのエリア内に入ると、電磁誘導波によ
り転倒を検出し、通報するものである。この方法では、
人が屋外を歩行する際の転倒を検知できなし、検知した
時点では倒れており、転倒による打撃から身体を防御す
ることはできない。特開平08―287385は、要人
が装着する携帯発信装置の動作検知センサにて転倒を検
知したときに、緊急信号を発信し、受信装置が受信して
通報するものである。動作検知センサは動作、静止を検
出するもので、転倒自身を検知しないので、転倒して身
体が打撃を被る前に身体を防御することはできない。特
開平09―147263は、作業者が加速度センサを着
用し、作業機機への巻き込みや急な転倒等の急激な動作
異常を即座に検出し無線通報する。また、加速度の変化
量が所定以下の小さいレベルを所定時間継続したときま
たは急激に所定量を超えるかのいずれかで緊急信号を発
する。しかし、この方法では、加速度センサを用いてい
るため、転倒を開始してから障害物に打撃を受ける前に
防御を行える時点で、転倒を確実に検知できるものでは
ないため、転倒時に身体を防御することはできない。特
開平09―305875は、高齢者の転倒を、傾き、振
動および衝撃の少なくともいずれか一つで検出し、これ
らの所定値を超えたとき、高齢者が所定時間リセットし
ない場合は転倒として警報信号を出力し、家族のもつ受
信装置にブザーにて異常を知らせ、介護者の負担を軽減
するものである。本方法は、直接高齢者の転倒を検出す
るものであるが、傾き、衝撃、振動のいずれにおいて
も、転倒によって保護する部位を特定できないし、転倒
をはじめてから障害物から打撃を受けるまでの間の身体
が如何なる状態であるかを検出するものではない。傾き
では、これが安全かつ意図的に傾いたものなのか、不意
に倒れたものかを検出できない。また、傾いた時点で
は、既に打撃を被っている可能性がある。例えば階段で
昇り方向、降り方向のどちらに転倒するかによって、同
じ傾きであっても打撃を受けるか否かが大きく異なる。
したがって、これらの検出値から転倒時に身体を確実に
防御することはできない。特開平10―232985
は、CCDカメラにて人間姿勢認識データを取得し、こ
れにより床に倒れている人間の状態を総合判断し、警報
を発するもので、老人ケアセンター、老人ホーム等で使
用されるものである。本方法は人が倒れた状態を認識す
るものであり、転倒して打撃を被る前に身体を防御でき
るものではない。特開平10―295649は、加速度
センサを人の腰部に装着し、所定時間以上の転倒状態ま
たは所定以上の加速度を検知して異常信号を通知するも
のである。さらに詳しくは、互いに直交する3軸の加速
度を検知して各加速度データを解析し、歩行状態、静
止、発作等による転倒を識別し、異常を検知したときに
異常信号を出力する携帯型事故監視装置に関するもので
ある。転倒時は3軸共各加速度に変化がなく、一定であ
る。しかし、重力加速度がZ軸でなくY軸に負荷されて
1Gとなる。しかし、この時点では、障害物との相対関
係において、転倒をはじめて障害物に打撃を被るまでの
どの過程に身体が位置しているか否かを識別できない。
このため、転倒時に打撃から身体を確実に防御できる時
点での検出値とは言えない。特開平04―285529
は、老人等の転倒検出装置として、体温、脈拍からある
一定時間以上転倒している場合に医師等に報知するもの
である。転倒検出装置には、電波発信器と、体温、脈拍
等が逸脱したとき電波を発信する装置を備え、垂直・水
平検出スイッチを有し、老人等が倒れて横になったとき
に微弱電波を発信するものである。これは全て転倒した
後の検知を目的としたものであり、転倒時に身体を打撃
から防御することはできない。特開平10―16539
5は、高齢者に装着した加速度センサにより、歩行中の
加速度を検出すると共に、異常歩行を判定する高齢者の
歩行観察方法および装置に関するものであって、ボケや
足腰の弱り等を早期に発見することを目的としたもので
ある。本方法では、歩行中のつまづき、転倒を異常歩行
として検出することによって、高齢者のボケや足腰の弱
りの症状を兆候として検出するものであって、転倒を直
接的に予知して身体を打撃から防御できるものではな
い。また、加速度では例え転倒が検出できたとしても、
どこが転倒によって打撃を受けるかを判別することがで
きず、したがって、転倒によって打撃を受ける身体部位
を確実に保護できる情報は得られない。特開平10―4
0483は、GPS受信装置で現在の位置情報を検出
し、緊急事態検知センサにより転倒等の緊急事態を検出
し、警報を発すると共に無線通信装置でホストコンピュ
ータに送信するものである。転倒等の緊急事態は加速度
センサ、心拍数センサ、ペースメーカ等で検出する。こ
の方法は、加速度および生理情報に基づくものであるた
め、転倒して障害物に打撃を受ける前に確実に転倒を検
出することはできない。また、打撃を受ける部分を特定
して事前に防御することはできない。特開平08―14
1098は、作業者の転倒等の事故を加速度センサで検
出し、作業者をロープで牽引、救助するもので、加速度
検知では身体を防御できないことは前記の通りである。
特開昭63―2428は、患者が発信器を携帯し、転倒
した際、緊急信号が発信するものである。発信器に内蔵
された加速度センサにより、気絶や失神による患者の転
倒を検出する。この方法は、転倒したことを検知してこ
れを伝達する方法であり、前記の通り転倒をはじめてか
ら打撃を被るまでの間に身体を防御できるものではな
い。
【0007】(4)転倒、転落および衝突により身体が
打撃を被る前に、打撃を被ることをセンサ等を用いて予
知し、身体を防御する方法および装置に関しては、以下
のものが報告されている。特公平03―2961は、エ
アバッグを有するオートバイ用安全服を着用したライダ
ーがトリガー装置から所定距離以上離れるとトリガー装
置によりエアバッグが膨張することにより、オートバイ
が転倒したときにライダーの身体を防御するものであ
る。これは、車体に装着されたトリガー装置とライダー
との解離を持ってエアバッグが作動するので、歩行中の
人の転倒を検知して身体を防御することはできない。特
開平08―58523は、高所運転室をもつ車両転倒時
に、傾斜センサで検出された傾斜角によりエアバッグを
作動させるものである。前述の通り、傾斜角度では、障
害物と人との相対関係において、人が歩行時に転倒して
打撃を受けるまでの間に確実に身体を防御する検出値と
はならない。特開平02―160906は、車体に取り
付けた衝撃センサで衝突、転倒を検出し、フルフェイス
ヘルメット内に取り付けたエアバッグを膨張させて鞭打
ち、首骨折等の事故を防止するものである。この方法
は、車体に取り付けた衝撃センサにて車の転倒、衝突を
検知することではじめて作動するため、ヘルメットを着
用しない歩行者の転倒を検知ないしは防御することはで
きない。特開平09―234136は、地震センサで地
震の発生を検出し、エアー供給装置から電磁弁を作動さ
せてエアーを供給してエアバッグを膨張させ、家具の転
倒や家屋の倒壊による下敷きからベッド就寝者を守るも
のである。この方法は、歩行者自身の転倒を検知するも
のではない。また、地震発生時の家具の転倒や家屋倒壊
において、確実に障害物から身体を防御できる保証は得
られない。かえって、身動きがとれなくなり、逃げ遅れ
て人命に関わる場合もでてくる。特開平09―3228
35は、感震センサの信号を受けてエアバッグを膨張、
立ち上がらせることにより、貴重品あるいは窓ガラスを
保護するものである。これは人を対象としたものではな
く、また、感震センサでは、転倒時に人を防御すること
はできない。特開平09―38228は、装着者の両足
が足場から離れたことを各靴で検出し、空気袋に高圧ガ
スを吐出・膨張して人体の落下衝撃を吸収するものであ
る。特開平10―179776は、装着者の両足および
尻部が足場から離れたことを各靴および尻部部の感圧セ
ンサで検出し、空気袋に高圧ガスを吐出・膨張して人体
の落下衝撃を吸収するものである。上記の2つの方法で
は、足が足場から所定時間以上離れたことで転落を判定
するため、0.1〜0.5秒程度の短時間で身体が接地す
る転倒を検知することは容易でない。また、転倒の場合
は必ずしも両足が同時に離れた状態であるとは言えな
い。したがって、この方法では転倒検出および身体が接
地する前にエアバッグ等の膨張駆動により身体を防御す
ることはできない。特開平10―297423は、側突
センサとロール角速度センサを基に、車両内にある頭部
保護用のエアバッグを作動させる乗員頭部保護装置に関
するものである。側突センサは所定値以上の側突荷重が
作用した場合に側突状態を検出し、したがってこれは車
が衝突した後には、身体を防御できるが、歩行中の人が
転倒する場合、同じような検出方法では、検出したとき
は障害物に打撃を受けたときの荷重となっており、衝撃
から身体を防御できない。加速度センサでは、身体のど
こが接地して衝撃を受けるかまでは判定できないので、
障害物に衝突する身体部位を確実に保護することまでは
できない。特開平09―109967は、走行中の自転
車にとりつけた角速度センサにて自転車のロール方向の
角加速度、角加速度を算出し、進行方向の速度を検出
し、これらにより転倒の危険性を示す警告を運転者に発
するものである。この方法の有効性は自動二輪車に限定
される。また、転倒の危険性を検出した時点では転倒し
ている可能性があり、必ずしも警報を発して身体を防御
する有効な手段となるとは言えない。
【0008】(5)何らセンサ等を用いることなく、身
体に常に装着した緩衝物等により転倒、転落および衝突
時に身体を防御する方法および装置に関するものとして
は、以下のものが報告されている。特開平08―503
526は、せん断濃化またはダイラタント材料を含む包
囲体を被服に固定し、転倒中に大腿骨に加わる衝撃力を
下げ、骨折を防止するものである。せん断濃化材料を用
いて、転倒による衝撃が加わると粘性が増加して大腿骨
周囲部分に装着されたせん断濃化材料が剛直化し、大腿
骨自身への力の伝達を最小にして周囲の柔軟組織に衝撃
エネルギーを吸収させる。この方法はセンサを必要とせ
ず、なおかつ通常は柔軟な特性を有する材料を身につけ
ているので着心地に大きな支障がなく、かつ転倒衝撃に
は粘性が増大して骨折を防止する有効な手段である。し
かし、階段からの転倒等、衝撃が大きい場合には確実に
怪我を防御できるとは言えない。また、防御しようとす
る部位に常に装着しておかなくてはならないが、頭部、
首、膝等に常時着用できるとは言えない。したがって、
転倒時の衝撃を和らげるものの、確実に身体を防御でき
る方法とは言えない。特開平08―209409は、下
着の腰廻りに衝撃吸収材を収納し、転倒時の骨折を防止
しようとするものであり、上記と同様の制約を有する。
特開平09―310217は、弾性部材からなる基板を
固定したプロテクターに関するものであり、上記と同様
の制約を有する。特開平09―327544は、衝撃吸
収材と剛性部材を備えたプロテクター構造を有し、転倒
時に手や手首の損傷を防止する手袋に関するものであ
る。特にスノーボード等のスポーツにおいて、転倒時に
手をついて身体を支持もしくは保護しようとするため、
手指や手首の関節の捻挫や骨折、靭帯損傷や打撲を防止
するものである。しかし、指が自由に動かせないので、
日常生活での使用には困難を伴う。特開昭60―256
403は、履き物の裏底面に粘着剤とくいこみバリを貼
り付けた滑り止め防止板に関するものであるが、一旦転
倒した場合には効果がない。特開平09―285481
は、エアキャップシートからなる緩衝部材と、これを保
持するプレスネットからなる骨折予防装具に関するもの
である。空気を内部に装填し、転倒等の衝撃でエアキャ
ップが破裂する寸前の大きさと膜厚とし、衝撃を吸収緩
和する。老人の4大骨折部位に装着できる。この方法
は、適正部位に装着できるという利点はあるが、階段か
らの転倒等、大きな衝撃がかかる場合には、衝撃は和ら
げるものの、確実に身体が損傷から免れられるものでは
ない。
【0009】(6)転倒、転落および衝撃等により人が
打撃を被る道路、床、階段、浴槽等の障害物に転倒、転
落、および衝突等を検出する手段あるいは緩衝物等を具
備する方法および装置に関するものとして、特開平09
―48575には、階段昇降用補助装置として、移動す
る把持具を垂下したもの、特開平08―280562に
は、底壁に滑り止め用凹凸面を形成した浴槽、特開平0
9―195210には、硬質の無機物粒子をゴム粒子と
混合・成形した歩道舗装用ブロックにより歩行者の滑り
を防止する方法等が報告されている。しかし転倒時の衝
撃を和らげることはできても、確実に身体を防御できる
ものではない。
【0010】(7)特に自動車の衝突を検出し、未然に
これを防止するか、あるいはその打撃が身体におよぶ前
に身体を防御する方法および装置に関するものとして
は、以下のものが報告されている。特開昭56―131
443は、パルス変調された光信号を用いて、後方の障
害物との距離を検出し、警報を出力するものである。特
開平08―58503は、後側方車両との相対的な運動
状態を算出し、自車両の車速を検出して危険度を判定し
て警報を発するものである。特開昭55―96475
は、パルス変調レーザで車両前方を走査し、物標からの
反射光により位置関係と距離等を検出し、衝突の可能性
を判断するものである。特開昭56―131443は、
パルス変調された光信号により後方の障害物を検知し、
距離を比較して自動車後進時の衝突を防止するものであ
る。特開平04―93712は、光学系で車間距離を算
出し、エアバッグを膨張させて衝撃を緩和するものであ
る。特開平07―237521は、側方からの障害物の
距離、相対速度および大きさを検出し、障害物の危険度
を評価し、衝突を予知してサイドエアバッグを自動的に
展開するものである。第1検出手段は探知範囲が広く、
障害物までの相対的な距離と速度を検出し、第2検出手
段は探知範囲が狭く障害物の大きさを検出する。障害物
までの距離、相対速度、障害物の大きさに基づいて障害
物の危険度を評価し、危険と判定した場合にはサイドエ
アバッグを自動展開する。2つのセンサを用いることに
より、サイドエアバッグの誤展開を防止する。第1検出
器はマイクロ波やミリ波の電磁波を用いたレーダ装置で
あり、検出範囲は2m程度の半径を有する。第2検出器
はレーザ光や超音波、赤外線等を用いたレーダ装置であ
り、1m以内の領域である。障害物には、電柱等が含ま
れる。この方法は、自動車内におけるエアバッグの展開
を対象としたものであり、衝突前に障害物との距離およ
び相対速度を検出するという点で、確実に防御が可能で
ある。しかし、人がセンサを装着して転倒する場合を対
象とするものではない。人の転倒を検出するためには、
物体との接近方向や、速度範囲がさらに広く、特別な情
報処理が必要である。センサの検出範囲は50cm〜1
m、速度は1〜4m/sとなる。指向性が強すぎると転
倒を検出できない。安全性が必要となる。センサ、エア
バッグ共に軽量・コンパクトでなくてはならない。人の
往来等の誤動作を避けるためには、極力近距離の50c
m程度で速度を検出し、0.1秒以下の極めて短時間で
即座にエアバッグを駆動させなくてはならない。このよ
うな用途には、前記の方法は適合しているとは言えな
い。
【0011】以上のように、従来の技術では、人が歩行
中に転倒をはじめてから歩道、床、階段、段差、玄関等
の障害物と衝突して打撃を被るまでの短い時間の間に人
の転倒を検出し、転倒による打撃、衝撃等から身体を防
御する方法および装置については、報告されておらず、
また、実用化が可能な方法および装置は存在しなかっ
た。
【0012】本発明は、人が歩行中に転倒をはじめてか
ら障害物と衝突して打撃を被るまでの短い時間の間に人
の転倒を検出し、転倒による打撃、衝撃等から身体を防
御する身体の転倒検出・防御方法および装置を提供する
ことを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では、高齢者、身
障者等が家庭内の地面、床、階段、玄関、風呂等、ある
いは屋外の地面、歩道、階段、段差等の双方において、
何らかの理由により転倒して骨折等の怪我をするのを防
止するため、高齢者、身障者等が身体の一部に転倒を検
知するセンサを取り付け、該センサは、地面、床、階
段、段差、風呂、玄関、歩道等の障害物と身体との距離
および相対速度を検出するよう形成し、身体と障害物と
の距離が所定値以下であり、かつ身体と障害物との相対
速度が所定値以上であるときに転倒と判断し、転倒を開
始してから身体が障害物に衝突するまでの間に、迅速に
エアバッグ等の緩衝手段を膨張させて、身体と障害物と
の間にエアバッグ等の緩衝手段を介在させることによ
り、転倒による打撃、衝撃等を被る前に身体を防御す
る。
【0014】また、転倒を検知するセンサを地面、床、
階段、段差、玄関、風呂、歩道等の一部に取り付け、該
センサは、地面、床、階段、段差、玄関、風呂、歩道等
の障害物と身体との距離および相対速度を検出するよう
に形成し、身体と障害物との距離が所定値以下であり、
かつ身体と障害物との相対速度が所定値以上であるとき
に転倒と判断し、転倒を開始してから身体が障害物に衝
突するまでの間に、地面、床、階段、段差、玄関、風
呂、歩道等の一部に取り付けられたエアバッグ等の緩衝
手段を迅速に膨張させて、身体と障害物との間にエアバ
ッグ等の緩衝手段を介在させることにより、転倒による
打撃、衝撃等を被る前に身体を防御する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。
【0016】本発明の第1の実施の形態である身体の転
倒検出・防御方法および装置は、高齢者、身障者等の身
体の一部、例えば頭部、首部、背部、腰部、胸部、膝
部、手等に地面等の障害物との距離および相対速度を検
知するセンサ、具体的には超音波センサ、レーザ光式セ
ンサ等を装着し、このセンサから短いサンプリング周期
で距離および相対速度のデータをマイクロプロセッサあ
るいはコンピュータに取り込み、転倒、衝突と判断され
る条件すなわち(身体と障害物との距離≦所定値)かつ
(身体と障害物との相対速度≧所定値)を満たすか否か
を常に計算し、この条件が成り立ったときに、エアバッ
グ等の緩衝手段を駆動するための信号を出力し、この信
号によりエアバッグ等の緩衝手段のガス発生器駆動回路
部を動作させエアバッグを膨張させて身体と障害物との
間に介在させ、転倒による打撃、衝撃を被る前に身体を
防御するものである。
【0017】本発明の第2の実施の形態である身体の転
倒検出・防御方法および装置は、転倒を検知するセンサ
を地面、床、階段、段差、玄関、風呂、歩道等の一部に
取り付け、該センサ、具体的には超音波センサ、レーザ
光式センサ等を設置し、このセンサから短いサンプリン
グ周期で距離および相対速度のデータをマイクロプロセ
ッサあるいはコンピュータに取り込み、転倒、衝突と判
断される条件すなわち(身体と障害物との距離≦所定
値)かつ(身体と障害物との相対速度≧所定値)を満た
すか否かを常に計算し、この条件が成り立ったとき、エ
アバッグ等の緩衝手段を駆動するための信号を出力し、
この信号によりエアバッグ等の緩衝手段のガス発生器駆
動回路を動作させ、エアバッグを膨張させて身体と障害
物との間に介在させ、転倒による打撃、衝撃を被る前に
身体を防御するものである。
【0018】次に、本発明の実施の形態を、第1の実施
の形態に基づき更に詳しく説明する。なお、本発明で
は、センサとして超音波センサあるいはレーザ光式セン
サを用いる。以下超音波センサの場合で説明するが、レ
ーザ光の場合も同様である。
【0019】図1は、身体の転倒検出・防御装置のブロ
ック図であり、図2は、超音波センサのパルス反射方式
の距離測定の原理図であり、通常の歩行時の状態を示
し、図3は、転倒時の反射時間と距離の説明図である。
【0020】図1〜図3において、人と地面、床、階
段、段差、風呂、玄関、歩道等の障害物との距離を測定
するため、センサ回路部2は、図2に示すようにパルス
信号を3〜10ms以下のサンプリング周期で送信パル
スとして出力し、障害物から反射してくる受信パルスを
入力する。これを受けて計算処理部4では、送信パルス
と地面等から反射して返ってきた受信パルスとの間の歩
行時反射時間tを算出する。物体までの距離Lは下記数
式1で計算できる。
【0021】
【数1】L=C・t/2 C:超音波のときは音速(340/sec)、レーザ光
のときは光速 人が転倒する場合、転倒しはじめてから地面等に衝突す
るまでの距離は頭部でも人の身長以下であり、距離Lは
短い値となる。したがって、図3に示すように、反射時
間t1も短いものとなる。受信パルスを3〜10ms以
下のタイミングで常に取り込み、反射時間t1を計算処
理部4で求めれば、距離L≦設定距離であるか否かが転
倒、衝突の第1条件として判定できる。転倒を判断する
上で好適な設定距離は500mm〜1000mmの範囲
である。
【0022】次にサンプリング間隔をΔtとし、前回の
サンプリング時の距離L2と今回のサンプリング時の距
離L1から、下記数式2により相対速度vが求まる。
【0023】
【数2】相対速度v=(L2―L1)/Δt 以上により、相対速度v≧設定速度が転倒、衝突の第2
条件として判定できる。転倒を判断する距離を500m
m、サンプリング時間を100msec、人の歩く速度
を5km/hとすると、人が電柱に衝突する場合に1サ
ンプリング間隔当たりの変位は13.9mmとなる。伸
長1.5mの人が転倒すると仮定すると、頭部の最上部
が地面に衝突する際の速度は5.5m/s となり、距離
500mmに接近したときの速度は4.5m/sであ
る。この場合、1サンプリング間隔当たりの変位は45
mmであり、地面に衝突する455mm手前で相対速度
が4.5m/sであることを検出できることになる。転
倒と判断する相対速度の設定値としては、1m/s〜4
m/s程度が妥当である。上記数式1と数式2より、人
と地面等との距離が500mm以下となり、相対速度が
例えば2m/s以上であるときに転倒と判定することと
なる。ここで、身長1.5mの人が転倒する場合、人と
地面等との距離が500mmに接近し、地面に衝突する
までの時間は0.13秒であり、エアバッグユニット1
4のエアバッグ7は0.1秒位で膨張する必要がある。
エアバッグ7の駆動には、電気着火装置、着火剤、ガス
発生剤(アジ化ナトリウムを主成分とする)、ディフュ
ーザからなるガス発生器駆動回路部6に電気信号を出力
してエアバッグ7を膨張させる方式と、高圧ボンベに、
電磁切換弁または火薬の爆発により吐出口の栓を開放さ
せるように構成された開放器を接続し、電磁切換弁また
は開放器に電気信号を出力してエアバッグを膨張させる
方式がある。本発明では、エアバッグ膨張時間が0.1
3秒程度と短いが、エアバッグ7が首、腰等の局部に接
着するものであるために容積が小さくて済み、どのよう
な方式を用いても構わない。前記計算処理部4のマイク
ロプロセッサまたはコンピュータでは、誤動作を防止す
るために、サンプリング周期を長くし、距離と速度の平
均化処理ないしは平滑化処理を行うことができる。
【0024】具体的な形態としては、身体の一部、例え
ば頭部、首部、背部、腰部、胸部、膝部、手等に取り付
けるセンサ1と、センサ回路部2、センサ・計算処理イ
ンタフェース部3、計算処理部4、計算処理・ガス発生
器駆動回路5のインタフェース部、操作/動作状態表示
部8、電源9を装填した収納容器10との2つの部分に
分ける形態と、センサ1と収納容器10内の部分を全て
一体にしたモジュール形態のものを身体の一部に取り付
ける形態との2つの形態が可能である。前者の形態の場
合、センサ1と収納容器10はケーブル11によって接
続され、収納容器10とエアバッグユニット14は、ケ
ーブル12とガス発生器駆動回路部6のコネクタ13に
よって接続されている
【0025】
【実施例】本発明の実施例を、超音波センサを使用した
場合に基づき、図面を参照して説明する。
【0026】図4は、図1に示した身体の転倒検出・防
御装置の超音波センサーの信号処理の概念的な説明図で
ある。
【0027】通常の歩行をしている場合、図4に示す計
算処理部4から図2(a)に示す送信パルスを出力す
る。このパルスは、センサ・計算処理インタフェース部
3のデジタル出力回路20を通り、センサ回路部2のパ
ルス送信回路17から超音波センサ1の発信圧電素子1
5に加えられる。このパルスによる振動が長い距離Lに
ある壁面等にあたり、反射した信号を図2(b)のよう
に受信信号として受信圧電素子16が入力する。受信信
号は、センサ回路部2の受信回路18を通ってクリップ
回路19で図2(c)の受信パルスに整形され、センサ
・計算処理インタフェース部3のデジタル入力回路21
を経て、計算処理部4の1チップマイクロプロセッサあ
るいはコンピュータに取り込まれる。1チップマイクロ
プロセッサあるいはコンピュータは、図2に示す送信パ
ルスと受信パルスの間の歩行時反射時間tを3〜10m
sec以下の一定サンプリング周期で常に読み取り、下記
数式3で壁面等との長い距離Lを算出する。
【0028】
【数3】L=C・t/2 C:超音波のときは音速(340m/sec)、レーザ
光のときは光速 これが普通に歩行しているときの距離である。実際に
は、ノイズ等の受信パルスにばらつきが現れるので、計
算処理部4では平滑化、平均化等の処理を行う。
【0029】次に、転倒した場合も、図3(a)の送信
パルスを出力し、(b)の受信信号から(c)の受信パ
ルスを計算処理部4の1チップマイクロプロセッサある
いはコンピュータで受信するのは、上述の歩行時と同じ
である。しかし転倒時には、距離L1が急激に短くな
り、一定サンプリング周期内の距離の急激な変化(L―
L1)を知る。図3に示す転倒時の反射時間t1と数式
3から、L1=C・t1/2として求まる。また、さら
にサンプリングを続け、サンプリング間隔をΔtとし、
前回のサンプリング時の距離L2と今回のサンプリング
時の距離L1から、下記数式4により相対速度svを検
出し、距離L1≦所定値、かつ相対速度v≧所定値を満
たすとき、転倒、衝突と判断する。
【0030】
【数4】相対速度v=(L2―L1)/Δt 計算処理部4の1チップマイクロプロセッサあるいはコ
ンピュータにより転倒、衝突と判断したときは、計算処
理・ガス発生器駆動回路5のインタフェース部のデジタ
ル出力回路22に、転倒信号を出力し、ガス発生器駆動
回路6を作動させ、エアバッグ7を膨張させる。操作・
動作状態表示部8は、本装置を携帯して使用するとき
は、動作スイッチ25を通して動作ONに対応する信号
をデジタル入力回路23に入力し、動作を始めることを
計算処理部4の1チップマイクロプロセッサあるいはコ
ンピュータに知らせ、デジタル出力回路24を通して動
作中であることを示すLED動作表示26を転倒と表示
する。
【0031】図5は、ガス発生器でエアバッグを膨張さ
せる方式の身体の転倒検出・防御装置の装着図であり、
センサ1と収納容器10は、ケーブル11によって接続
され、収納容器10と、エアバッグ7に接続されている
ガス発生器6aは、ケーブル12によって接続されてい
る。
【0032】図6は、高圧ガスボンベでエアバッグを膨
張させる方式の身体の転倒検出・防御装置の装着図であ
り、図5に示すガス発生器に代えて、ガスボンベ31と
電磁切換弁32または開放器33を使用している。この
場合には、図1と図2に示す計算処理・ガス発生器駆動
回路5が計算処理・ボンベ駆動回路となり、ガス発生器
駆動回路部6はボンベ駆動回路となる。ボンベ駆動回路
は、電磁切換弁32または開放器33を開放してガスボ
ンベ31からエアバッグ1にガスを供給するため、所定
の電圧レベルの信号を出力する。
【0033】すなわち、本発明で用いるエアバッグユニ
ット4は、電気着火装置、着火剤、ガス発生剤、ディフ
ューザからなるガス発生器6aに電気信号を出力してエ
アバッグ1を膨張させる方式でもよいし、小型の高圧ガ
スボンベ31に電磁切換弁32を取り付け、デジタル出
力回路22(図4参照)により電磁切換弁32を迅速に
開放してエアバッグ7を膨張させるようにしたものであ
ってもよいし、小型の高圧ガスボンベ31を開放器33
に接続し、ボンベ駆動回路からの出力信号を火薬を爆発
させる点火装置に出力して作動させ、開放器33の吐出
口の栓を迅速に開放させてエアバッグ7を膨張させるよ
うに構成したものであってもよい。
【0034】図7は、レーザ光方式を使用した場合の信
号ブロック図である。レーザ光方式は、図1と図2に示
す超音波センサの圧電素子15、16が、レーザ光式セ
ンサ1の半導体レーザ素子27、28となり、それを駆
動する回路17、18がレーザ発信回路29、レーザ受
信回路30となる以外は、上記の超音波センサの場合と
同様である。
【0035】図8は、高齢者が首後部(衣服の後襟の部
分)と後腰部(ベルトの後部)に超音波センサ1とエア
バッグ7を設けた場合の実施例である。目眩みや立ち眩
み、急性脳疾患により、高齢者が後ろに倒れると後頭部
を強打するため致命傷になることがある。また、大腿骨
頚部骨折を引き起こすことがある。首後部および後腰部
に取り付けた超音波センサ1により、高齢者が転倒して
地面に衝突する前にエアバッグ7が膨張するので、頭部
打撲、大腿骨打撲による怪我を防止することができる。
【0036】図9は、超音波センサ1を後腰部(ベルト
の後部)に下向きに取り付け、尻部にエアバッグを取り
付けた場合の実施例である。
【0037】冬場等の床や地面が滑りやすいときに転倒
すると、尻部を打撲して腰を痛めると同時に、身を守ろ
うとして手をつくため、手の骨折や捻挫の事故が多い。
足が滑って尻餅をつく前に、エアバッグが膨張し、腰部
を保護すると共に、エアバッグにより身を守ろうとして
手を出しても、尻部と地面の間にエアバッグがあり、手
が地面に届かない状態であるので、手首の捻挫、骨折も
防止できる。
【0038】図10は、最も数が多い段差等でのつまず
きによる転倒に対して身体を防御するための、胸元、前
腰部に超音波センサ1を装着し、前胸部、前腰部、膝部
にエアバッグを装着した場合の実施例を示す。地面との
距離が50cm以下となり、地面との相対速度が2m/s
以上となった時点でエアバッグ7を膨張させる。前腰
部と膝部のエアバッグ7は、前腰部の超音波センサ1に
よる転倒の判定で膨張する。前胸部のエアバッグ7は胸
元の超音波センサ1で膨張する。この結果、つまづいて
転倒しても、胸部、腰部、膝を打撲することがなく、な
おかつエアバッグ7により肩と地面との幅が維持される
ので、転倒時に手をついて手首、肘、肩に衝撃がかから
ず、手の骨折、脱臼、捻挫も防止できる。
【0039】図11は、非常に危険性が高い階段での後
ろ向きの転倒である。これは、延髄、後頭部の打撲によ
り、致命傷となる。そこで、図8と同じ超音波センサと
エアバッグを装着した。この結果、頭部、延髄、背部、
腰部が保護され、致命傷となるのを防止できる。
【0040】図12は、階段でしばしば発生するつまづ
きによる前向き転倒である。第10図と同じ超音波セン
サ1とエアバッグ7の装着を行い、肘部、手部、胸部、
膝部を保護することができる。
【0041】図13は、身体ではなく、遊歩道に複数の
レーザ光式センサ1とエアバッグ7を埋設し、これらの
センサ1の送受信を1つのコンピュータで行った実施例
を示す。通常の歩行では転倒と判定しないようにするた
め、センサ1間の距離を60cmと広くし、隣接する2
つのセンサが、同時に転倒と判定したときにこれらセン
サ1の中間に埋設されたエアバッグ7が膨張するように
なっている。複数の歩行者が近接して歩いたときは、通
常の歩行であるにも拘わらず転倒と判定してしまう可能
性が危惧されたが、複数の人が前後に60cmまで近接
して歩くケースは極めて少ないため、誤動作の可能性は
極めて低いことがわかった。
【0042】図14は、階段に遊歩道に複数のレーザ光
式センサ1とエアバッグ7を埋設し、これらのセンサ1
の送受信を1つのコンピュータで行った実施例を示す。
隣接する2つのセンサ1が、同時に転倒を判定したと
き、これらセンサ1の中間に埋設されたエアバッグ7
と、これより下段のエアバッグ7が全て膨張するように
なっている。これは、転倒により下段に向けて転落する
場合があるためである。これにより、転倒時の打撃を防
止できるだけでなく、転落による損傷も防ぐことができ
る。これらは同様に、風呂場の平面、段差、段差に適用
することができる。また、エスカレータや遊戯施設にも
適用することができる。
【0043】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、転倒による打撃、衝撃等を被る前に確実に
身体を防御することができ、大腿骨頚部骨折、頭部打
撲、捻挫等の転倒による怪我を確実に防止することがで
きる。これにより、高齢者や身障者が安心、自立して歩
行することができ、健康の維持増進、入院や寝たきりの
防止、高齢者や身障者の社会参加を促すことができ、急
速な高齢化社会を迎える今日にあって、活力のある社会
作りに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】身体の転倒検出・防御装置のブロック図であ
る。
【図2】超音波センサのパルス反射方式の距離測定の原
理図であり、通常の歩行時の状態を示している。
【図3】転倒時の反射時間と距離の説明図である。
【図4】図1に示した身体の転倒検出・防御装置の超音
波センサーの信号処理の概念的な説明図である。
【図5】ガス発生器でエアバッグを膨張させる方式の身
体の転倒検出・防御装置の装着図である。
【図6】ガスボンベでエアバッグを膨張させる方式の身
体の転倒検出・防御装置の装着図である。
【図7】レーザ光方式を使用した場合の信号ブロック図
である。
【図8】高齢者が、首後部(衣服の後襟の部分)と後腰
部(ベルトの後部)に超音波センサとエアバッグを設け
た場合の実施例を示す図である。
【図9】超音波センサを後腰部(ベルトの後部)に下向
きに取り付け、尻部にエアバッグを取り付けた場合の実
施例を示す図である。
【図10】胸元、前腰部に超音波センサを装着し、前胸
部、前腰部、膝部にエアバッグを装着した場合の実施例
を示す図である。
【図11】階段での後ろ向きの転倒に対する実施例を示
す図である。
【図12】階段で発生するつまづきによる前向き転倒に
対する実施例を示す図である。
【図13】身体ではなく、遊歩道の複数のレーザ光式セ
ンサとエアバッグ埋設し、これらのセンサの送受信を1
つのコンピュータで行った実施例を示す図である
【図14】階段に遊歩道に複数のレーザ光式センサとエ
アバッグを埋設し、これらのセンサの送受信を1つのコ
ンピュータで行った実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 センサ 2 センサ回路 3 センサ・計算処理インタフェース部 4 計算処理部 5 計算処理・ガス発生器駆動回路 6 ガス発生器駆動回路部 6a ガス発生器 7 エアバッグ 8 操作・動作状態表示部 9 電源 10 収納容器 11、12 ケーブル 13 コネクタ 14 エアバッグユニット 15 発信圧電素子 16 受信圧電素子 17 パルス送信回路 18 受信回路 19 クリップ回路 20、22、24 デジタル出力回路 21、23 デジタル入力回路 25 動作スイッチ 26 LED動作表示 27 半導体レーザ素子(送信用) 28 半導体レーザ素子(受信用) 29 レーザ発信回路 30 レーザ受信回路 31 ガスボンベ 32 電磁切換弁 33 開放弁

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 身体の一部に、障害物との距離および相
    対速度を検知するセンサを装着し、このセンサから短い
    サンプリング周期で距離および相対速度のデータを計算
    処理部に取り込み、身体と障害物との距離≦所定値、か
    つ身体と障害物との相対速度≧所定値の条件を満たすか
    否かを常に計算し、この条件が成り立ったときに、緩衝
    手段を駆動するための信号を出力し、この信号により緩
    衝手段を身体と障害物との間に介在させることを特徴と
    する身体の転倒検出・防御方法。
  2. 【請求項2】 転倒を検知するセンサを障害物の一部に
    取り付け、このセンサから短いサンプリング周期で距離
    および相対速度のデータを計算処理部に取り込み、身体
    と障害物との距離≦所定値、かつ身体と障害物との相対
    速度≧所定値の条件を満たすか否かを常に計算し、この
    条件が成り立ったとき、緩衝手段を駆動するための信号
    を出力し、この信号により緩衝手段を身体と障害物との
    間に介在させることを特徴とする身体の転倒検出・防御
    方法。
  3. 【請求項3】 身体の一部に取り付けて障害物との距離
    および相対速度を検出するためのセンサと、該センサに
    パルス信号を出力すると同時に障害物から反射し、セン
    サが受信したパルス信号を入力するセンサ回路部と、受
    信パルス信号をデジタルデータに変換するセンサ・計算
    処理インタフェース部と、障害物との距離および相対速
    度を算出すると同時に、身体と障害物との距離≦所定
    値、かつ身体と障害物との相対速度≧所定値の条件を満
    たすか否かを常に計算し、この条件が成り立つ場合にエ
    アバッグを膨張させる指令信号を出力する計算処理部
    と、前記指令信号のレベル変換を行う計算処理・ガス発
    生器駆動回路と、該回路からの信号により作動するガス
    発生器駆動回路部とガス発生器と、エアバッグとからな
    ることを特徴とする身体の転倒検出・防御装置。
  4. 【請求項4】 身体の一部に取り付けて障害物との距離
    および相対速度を検出するためのセンサと、該センサに
    パルス信号を出力すると同時に障害物から反射し、セン
    サが受信したパルス信号を入力するセンサ回路部と、受
    信パルス信号をデジタルデータに変換するセンサ・計算
    処理インタフェース部と、障害物との距離および相対速
    度を算出すると同時に、身体と障害物との距離≦所定
    値、かつ身体と障害物との相対速度≧所定値の条件を満
    たすか否かを常に計算し、この条件が成り立つ場合にエ
    アバッグを膨張させる指令信号を出力する計算処理部
    と、前記指令信号のレベル変換を行う計算処理・電磁切
    換弁駆動回路と、該回路からの信号により作動する電磁
    切換弁とガスボンベと、エアバッグとからなることを特
    徴とする身体の転倒検出・防御装置。
  5. 【請求項5】 障害物の一部に取り付けて身体との距離
    および相対速度を検出するためのセンサと、該センサに
    パルス信号を出力すると同時に障害物から反射し、セン
    サが受信したパルス信号を入力するセンサ回路部と、受
    信パルス信号をデジタルデータに変換するセンサ・計算
    処理インタフェース部と、障害物との距離および相対速
    度を算出すると同時に、身体と障害物との距離≦所定
    値、かつ身体と障害物との相対速度≧所定値の条件を満
    たすか否かを常に計算し、この条件が成り立つ場合にエ
    アバッグを膨張させる指令信号を出力する計算処理部
    と、前記指令信号のレベル変換を行う計算処理・ガス発
    生駆動回路と、該回路からの信号により作動するガス発
    生器駆動回路とガス発生器と、エアバッグとからなるこ
    とを特徴とする身体の転倒検出・防御装置。
  6. 【請求項6】 障害物の一部に取り付けて身体との距離
    および相対速度を検出するためのセンサと、該センサに
    パルス信号を出力すると同時に障害物から反射し、セン
    サが受信したパルス信号を入力するセンサ回路部と、受
    信パルス信号をデジタルデータに変換するセンサ・計算
    処理インタフェース部と、障害物との距離および相対速
    度を算出すると同時に、身体と障害物との距離≦所定
    値、かつ身体と障害物との相対速度≧所定値の条件を満
    たすか否かを常に計算し、この条件が成り立つ場合にエ
    アバッグを膨張させる指令信号を出力する計算処理と、
    前記指令信号のレベル変換を行う計算処理・電磁切換弁
    駆動回路と、該回路からの信号により作動する電磁切換
    弁とガスボンベと、エアバッグとからなることを特徴と
    する身体の転倒検出・防御装置。
  7. 【請求項7】 前記電磁切換弁に代えて開放弁としたこ
    とを特徴とする請求項4または6記載の身体の転倒検出
    ・防御装置。
  8. 【請求項8】 前記センサが超音波センサであることを
    特徴する請求項1〜7のいずれか1項に記載の身体の転
    倒検出・防御装置。
  9. 【請求項9】 前記センサがレーザ光式センサであるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の身
    体の転倒検出・防御装置。
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