JP2000316826A - 粘着性電極、および粘着性電極の製造方法 - Google Patents

粘着性電極、および粘着性電極の製造方法

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JP2000316826A
JP2000316826A JP11124503A JP12450399A JP2000316826A JP 2000316826 A JP2000316826 A JP 2000316826A JP 11124503 A JP11124503 A JP 11124503A JP 12450399 A JP12450399 A JP 12450399A JP 2000316826 A JP2000316826 A JP 2000316826A
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Shunsuke Koki
俊輔 高貴
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分を含んでなる導電性粘着層を用いた粘着
性電極において、保存中の水分含有量を効果的に保持で
き、導電性粘着層の乾燥を効果的に防止することができ
る粘着性電極を提供する。 【解決手段】 a)水分を含んでなる導電性粘着層と、 b)その導電性粘着層の一方の面を被覆するライナー
と、 c)その導電性粘着層の他方の面を被覆するバッキング
と、 d)その導電性粘着層と接触し、上記ライナーおよびバ
ッキングのいずれでも被覆されない露出部分を有する端
子、とを含んでなる粘着性電極において、 上記ライナーおよびバッキングは、上記導電性粘着層を
それらの間に密封する様に、シーラントにより剥離可能
に接着されている、ことを特徴とする粘着性電極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を含んでなる導
電性粘着層と、その導電性粘着層を保護するバッキング
およびライナーと、電極外部に露出した部分を有する端
子、とを有する粘着性電極に関し、特に、導電性粘着層
の乾燥が効果的に防止された粘着性電極を有する。本発
明の粘着性電極は、好適には生体電極として利用でき
る。
【0002】
【従来の技術】たとえば、心臓の活動電位を計測する際
に、生体表面に貼り付ける生体電極として、粘着性電極
が使用されている。生体電極は、心臓の活動電位を計測
し、記録する心電計において、体表面に生じる電位変化
を検出する電極であり、通常、生体表面に貼り付けた状
態で使用される。この様な生体電極で検出された生体表
面における電位変化は心電計に入力され、心電図情報と
なる。生体電極の端子と心電計とは、接続ケーブル(リ
ード線)により接続される。
【0003】この様な生体電極には、たとえば、Ag/
AgCl導電体アイレットと、カーボン(または金属)
のスタッドとを端子として含み、体表面と接触する導電
層として、導電性の非粘着性ゲル層を含むものも知られ
ている。この様な導電性非粘着性ゲルは、たとえば、特
表昭56−501108号公報(米国特許4,406,
827号の日本対応出願)に開示されている。この様な
生体電極は、それを生体表面に固定するための粘着テー
プをさらに含む必要があった。一方、導電層として導電
性粘着層を含む粘着性電極では、この様な粘着テープを
生体電極に備え付ける必要はない。
【0004】この様な導電性粘着層として使用可能な、
いわゆる導電性粘着剤は、特公平8−19394号公
報、米国特許4,524,087号明細書等に開示され
ている。また、この様な導電性粘着剤を利用した、生体
電極としての粘着性電極は、登録実用新案第25701
83号公報、米国特許5,078,139号明細書等に
開示されている。この様な粘着性電極は、固定用のバッ
キング粘着テープを含まなくても生体表面に貼り付け固
定できる。
【0005】この様な粘着性電極は、 a)電解質水溶液を含んでなる、実質的に親水性粘着相
からなる導電性粘着層と、 b)その導電性粘着層の一方の面を被覆するライナー
と、 c)その導電性粘着層の他方の面を被覆するバッキング
と、 d)その導電性粘着層と接触し、上記ライナーおよびバ
ッキングのいずれでも被覆されない露出部分を有する端
子、とを含む構成を有する。この電極を生体に貼り付け
る時は、上記ライナーを剥離し、導電性粘着層の一方の
面(すなわち、接着面)を露出させ、その接着面と生体
表面とを接触させて軽く圧着するだけで、容易に電極を
固定することができる。
【0006】しかしながら、通常の導電性粘着層は、初
期接着力は十分に高いが、皮膚からの発汗を粘着層が吸
収し、これにより接着力が弱くなる傾向が見られた。そ
のため、粘着テープが長期間の貼り付けには必要であっ
た。また、保存中の導電性粘着層からの水分の揮散によ
る性能(接着力、電気特性等)の劣化も、通常の構成の
電極では防止できない。
【0007】一方、米国特許5,779,632号明細
書には、電解質水溶液を含む親水性導電相と、疎水性粘
着相とが互いに分離した連続相を形成している構造を持
つ、いわば「連続2相型(bicontinuous)導電性粘着
剤」が開示されている。この様な連続2相型導電性粘着
剤では、疎水性粘着相が接着機能を受け持ち、皮膚から
の発汗は親水性導電相が吸収するので、上記の様な接着
力の低下は効果的に改善された。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、導電性粘着
剤を用いた生体電極等の粘着性電極では、保存中の水分
含有量の保持が重要なポイントの1つであった。これ
は、電解液等が水を含有するので、電極は導電性粘着剤
の乾燥(水の揮散)を防止するために、防湿袋内で保存
しなければならなかった。また、袋の開封後は、通常1
0日から30日以内に使用しなければならなかった。も
し、導電性粘着剤が乾燥すると、十分な電気特性(十分
に低いインピーダンス等)が得られなくなるからであ
る。特に、2相型導電性粘着剤では、水を含む親水性導
電相が粘着剤全体に占める割合が比較的小さく、短期間
に乾燥してしまうので、この様な問題が顕著であった。
【0009】したがって、本発明の目的は、電解質水溶
液を含有する導電層を用いた場合であっても、保存中の
水分含有量を効果的に保持でき、導電層(導電性粘着
層)の乾燥を効果的に防止できる構成を有する、粘着性
電極を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、上
記課題を解決するために、a)水分を含んでなる導電性
粘着層と、b)その導電性粘着層の一方の面を被覆する
ライナーと、c)その導電性粘着層の他方の面を被覆す
るバッキングと、d)その導電性粘着層と接触し、上記
ライナーおよびバッキングのいずれでも被覆されない露
出部分を有する端子、とを含んでなる粘着性電極におい
て、上記ライナーおよびバッキングは、上記導電性粘着
層をそれらの間に密封する様に、シーラントにより剥離
可能に接着されている、ことを特徴とする粘着性電極を
提供する。
【0011】本発明の粘着性電極の導電層は、水を含ん
でなる導電性粘着層である。好適には、前述の連続2相
型導電性粘着剤から形成するのが良い。前述の様な、皮
膚からの発汗による接着力の低下が効果的に改善される
からである。しかも、乾燥に特に弱いとされる2相型導
電性粘着剤を用いた場合でも、後述する様に、良好な粘
着層の乾燥防止効果を有する。
【0012】本発明の粘着性電極は、従来の生体電極と
同様に、導電性粘着層の一方の面(接着面)を被覆する
ライナーと、導電性粘着層の他方の面を被覆するバッキ
ングと、導電性粘着層と接触し、上記ライナーおよびバ
ッキングのいずれでも被覆されない露出部分を有する端
子、とを含んでなる構成を有する。しかしながら、本発
明の特徴は、上記ライナーおよびバッキングは、上記導
電性粘着層をそれらの(ライナーとバッキングとの)間
に密封する様に、熱シーラント等のシーラントにより剥
離可能に接着されていることにある。これにより、保存
中の導電性粘着層の乾燥(たとえば、電解液からの水の
揮散)を、効果的に防止することができる。ここで、保
存とは、ライナーを剥離し、電極(導電性粘着層)の接
着面を露出するまでのことを言い、すなわち、保存中
は、電極接着面は、ライナーで被覆されている。したが
って、電極を防湿袋から取出した後でも、十分な乾燥防
止効果を発揮することができる。
【0013】ライナーとバッキングの接着は、たとえ
ば、それらの一方(たとえば、バッキング)の周縁の実
質的に全周囲にわたって、すなわち、上記導電性粘着層
の実質的に全周囲を取り囲む様にして、熱シーラントに
より剥離可能に接着される。前記ライナーは、従来公知
のタイプのものが使用できるが、好適には疎水性フィル
ムを含むもの、または防湿性フィルムを含んでなるライ
ナーを使用する。これにより、電極保存中の乾燥防止効
果をさらに効果的に高めることができる。特に好適に
は、前記バッキングも防湿性フィルムを含んでなる場合
である。これにより、特に、親水性導電相が粘着剤全体
に占める割合が比較的小さい、2相型導電性粘着剤を含
んでなる導電性粘着層を用いた場合でも、保存中に短期
間に乾燥してしまうことを効果的に防ぐことができる。
【0014】一方、シーラントによる密封操作を容易に
行うときには、前記ライナーの、少なくとも前記導電性
粘着層の一方の面と接する部分に剥離層が配置されてお
り、少なくとも前記熱シーラントが接着する部分には剥
離層が配置されてない様にするのが好適である。本発明
で使用されるシーラントは、ライナーおよびバッキング
を、導電性粘着層をそれらの間に密封する様に、互いに
剥離可能に接着することができるものであれば特に限定
されない。たとえば、シーラントは熱接着可能な熱シー
ラントであり、好適には、ポリオレフィンを含んでなる
のが良い。ポリオレフィンを含んでなる場合、密封操作
を容易に行うことができ、しかも、ライナー容易剥離性
(ライナーをバッキングから容易に剥離すること)も良
好だからである。この様な観点から、好適なポリオレフ
ィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含んでな
る樹脂である。この様な樹脂は、通常ポリエチレンホモ
ポリマーまたはポリプロピレンホモポリマーであるが、
本発明の効果を損なわない限り、ポリエチレン単位また
は/およびポリプロピレン単位を分子内に含む共重合体
でも良い。
【0015】前記熱シーラントは、シーラントフィルム
として用いるのが好適である。密封操作を容易に行うこ
とができ、また、ライナー容易剥離性も良好だからであ
る。好適なシーラントフィルムは、ポリエチレンを含ん
でなるシーラントフィルムである。これにより、密封操
作容易性とライナー容易剥離性とをバランスさせて高め
ることができる。
【0016】一方、前記ライナーの防湿性を高めるため
に、少なくとも2つのポリマー層を含む多層フィルムを
含んでなるライナーを用いるのが好適である。また、同
様の目的のため、金属箔を含む多層フィルムを含んでな
るライナーも好適である。また、前述の様に、バッキン
グの防湿性を高めることは、本発明の効果を高めるのに
有利である。したがって、上記の様な多層フィルムを含
んでなるライナーと組み合わせて、(i)少なくとも2
つのポリマー層を含む多層フィルムを含んでなるバッキ
ング、または(ii)金属箔を含む多層フィルムを含ん
でなるバッキング、を用いるのが好適である。
【0017】ところで、前記ライナーの防湿性は、好適
には、平均の透湿度(WVTR)で評価される。このW
VTRは、JIS Z0208法を改良したカップ法
(詳細は後述する。)により容易に測定できる。この方
法により測定されたライナーの平均の透湿度(WVT
R)は、20度C−20%RH下での測定値が0.9g
/m2 ・dayより小さいのが好適である。この様な値
であれば、57度C(135F)−0%RH下でのWV
TRの測定値が0.5g/m2 ・dayより大きい場合
でも、乾燥防止効果は良好である。一方、乾燥防止効果
をさらに高めるには、57度C(135F)−0%RH
下でのWVTRの測定値が0.5g/m2 ・dayより
小さいのが特に好適である。
【0018】また、前述の様に、バッキングの防湿性を
高めることは、本発明の効果を高めるのに有利である。
したがって、上記の様な防湿性能を有する防湿性フィル
ムを含んでなるライナーと組み合わせて、20度C−2
0%RH下での測定値が、0.9g/m2 ・dayより
小さい平均のWVTRを有するバッキングを用いるのが
好適であり、57度C(135F)−0%RH下での測
定値が、0.5g/m 2 ・dayより小さいWVTRを
有するバッキングを用いるのが特に好適である。
【0019】この様な乾燥防止効果と、ライナーおよび
バッキングのWVTRとの関係を、以下の例に沿ってこ
こで説明する。たとえば、本発明の電極は、防湿袋中に
保存すれば、室温(20度Cから25度C)のどのよう
な湿度環境下においても、その導電性粘着層が長期にわ
たり(たとえば、2年間)乾燥せずに保存できる。一
方、20度C−20%RH下での測定されたバッキング
フィルムとライナーフィルムのWVTRが、0.9g/
2 ・dayより小さい場合、防湿袋の外で、20度C
−20%RHの低湿条件下においても、30日以内に導
電性粘着層が乾燥しない様にすることができる。粘着層
の乾燥は、たとえば、後述する方法で測定したACイン
ピーダンスが、2000Ωを超えてしまうことを意味す
る。この様な電極は、通常の方法では、生体電極として
使用困難である。また、バッキングフィルムとライナー
フィルムのWVTRが、20度C−20%RH下で測定
して0.4g/m2 ・day以下である場合は、防湿袋
の外で20度C−20%RHの低湿条件下においても、
導電性粘着層は60日以内に乾燥しない様にすることが
できる。さらに、バッキングフィルムとライナーフィル
ムのWVTRが、57度C(135F)−0%RH下で
測定して0.5g/m2 ・dayより小さい場合、電極
の粘着層は、電極を防湿袋中で保存しない場合でも、室
温(20度Cから25度C)の、どの様な湿度環境下に
おいても、さらに長期にわたり(たとえば、2年間)乾
燥しない様にすることができる。
【0020】なお、本発明の効果を損なわない限り、ラ
イナーとバッキングとが同時に、高い防湿性を有する必
要はない。たとえば、防湿性の比較的高いライナーと、
防湿性の比較的低いバッキングとを組み合わせて、ライ
ナーのWVTRとバッキングのWVTRの平均値(たと
えば、単純合計を2で割ったもの)が、上記の範囲(所
定値以下の範囲)に入る様に選択することもできる。
【0021】すなわち、本発明の好適な形態によれば、
防湿性の高いフィルム(防湿性フィルム)をライナーに
用い、シーラントによるシール機構を組み合わせること
により、保存のための防湿袋なしの場合でも、乾燥しに
くい電極を提供できる。
【0022】本発明の粘着性電極は、好適には次の方法
で製造する。 (1)バッキングを用意し、(2)前記バッキングと端
子とを、前記端子が露出部分を有する様に接着し、
(3)前記端子と、導電性粘着層の他方の面(被着体と
の接触面に対して反対側の面)とが接触する様に、前記
導電性粘着層の他方の面を前記バッキングで被覆し、
(4)前記導電性粘着層の一方の面(被着体との接触
面)を被覆する様に、前記ライナーを配置し、(5)前
記ライナーおよびバッキングを、上記導電性粘着層をそ
れらの間に密封する様に、シーラントにより剥離可能に
接着する、製造方法である。この方法によれば、ライナ
ーおよびバッキングを、導電性粘着層をそれらの間に密
封する様に剥離可能に接着するのが容易である。また、
この様な方法で製造された粘着性電極は、導電性粘着層
の乾燥防止効果にもすぐれる。したがって、この様な方
法で製造された電極は、生体電極として好適に用いるこ
とができる。
【0023】また、次の様な方法でも同様に製造するこ
とができる。すなわち、(1)ライナーを用意し、
(2)前記ライナーの上に、導電性粘着層を、その一方
の面が接触する様に配置し、(3)前記導電性粘着層の
他方の面と端子を接触させ、(4)前記導電性粘着層の
他方の面を被覆する様に、ただし、前記端子が、前記ラ
イナーおよびバッキングのいずれでも被覆されない露出
部分を有する様に、前記バッキングを配置し、前記ライ
ナーおよびバッキングを熱シーラントにより剥離可能に
接着する、製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】(粘着性電極)図1〜4は、本発
明の好適な形態による、粘着性電極の構造を示す。本発
明の1形態を、図1および2に沿って説明すると、粘着
性電極は、 導電性スタッド(1)およびアイレット(2)から
なる端子、 バッキング(バリアバッキングフィルム)(4)、 導電性粘着剤の層(5)、 剥離層からなる剥離領域(6)を有するライナー
(バリアライナー)(7)、または、ライナーカップ
(バリアライナーカップ)(8)、 アイレット(2)とバッキング(4)間に配置され
た熱シール可能な接着フィルム(9)、 バッキング側に備え付けられ、バッキングとライナ
ーとの間に配置される容易剥離性の熱シーラント層
(3)、および バッキングの外周縁の一部分に備え付けられた引き
剥がし用タブ(10)、 とから構成される。また、本発明の形態を別な観点から
見れば、(A)上記ライナーを除く〜、および〜
からなる粘着面が露出した粘着性電極と、(B)上記
ライナーとを有し、この粘着面露出電極の導電性粘着層
をライナーで被覆しつつ、バッキング−ライナー間に
密封した構造を有する、ライナー付き粘着性電極である
とも見なせる。
【0025】ライナーは、通常の平坦な剥離層を有する
ものの他、ライナーカップが使用できる。このライナー
カップは、フィルム状のライナーを用い、導電性粘着層
と実質的に接触しない凹部を有する様に真空成形された
もので、剥離層を設けなくても、導電性粘着層がライナ
ーに不要に強固に接着しない様にできる。
【0026】図示の例において、バッキングおよびライ
ナーは、単層の、好適には多層の、防湿性フィルムを含
んでなり、水分遮蔽性(バリア性)が高められるのが好
適である。また、通常、(i)ライナーに面する側のバ
ッキングの片面、または、(ii)バッキングに面する
側のライナーの片面に、熱シール可能で、かつシール後
はライナー剥離が容易な、熱シーラントフィルムが配置
される。この様な形態では、バッキングまたはライナー
は、基材となるフィルムの上に、シール温度で溶融する
樹脂、またはその温度で熱接着する樹脂を含んでなる熱
シーラントフィルムを積層して形成できる。また、熱シ
ーラントとなる材料を含有する塗布液から形成された塗
膜からなる熱シーラントフィルムを採用しても良い。な
お、シーラント層の厚みは、通常10μmから1mm、
好適には15μmから800μmである。なお、シーラ
ントは、本発明を損なわない限り、溶剤の適用により接
着性が発現するタイプのものでも良い。
【0027】図示の例では、熱シーラントフィルムとし
て、ヒートプレスによってシール可能なものが使われて
いる。また、端子を構成する導電性アイレットとバッキ
ングとの接着は、熱接着フィルムを用い、ヒートプレス
によってシールする。なお、粘着層の密封用のシーラン
トフィルムと異なり、導電性アイレットの接着用の接着
フィルムは、剥離困難な、または剥離不可能な永久接着
できるものを使用するのが好適である。
【0028】導電性粘着層の密封用のシーラントフィル
ムは、導電性粘着層の外周縁を取り囲む様に、バッキン
グとライナーとをヒートプレスによって接着し、導電性
粘着層を、バッキングとライナーとの間の空間に密封す
る。これにより、導電性粘着層中の水分が、シール部の
エッジ部分を通じて揮散することを効果的に防止でき
る。一方、導電性アイレットとバッキングとの間の隙間
は、熱接着フィルムを接着剤として用い、ヒートプレス
によってはくり困難またははくり不可能に接着かつシー
ルされている。
【0029】上記熱シーラントフィルムとして、防湿効
果の高い樹脂(たとえば、後述するポリオレフィン系の
ポリマーアロイ)を利用した場合、0.5mm幅以上の
接着部を通しての導電性粘着層からの水分の揮散は、バ
ッキングとライナーを通じての揮散より非常に小さい。
したがって、接着部を通じての粘着層の乾燥は、シール
失敗によるピンホールがなければ、無視することができ
る。このように、粘着層の密封と、導電性アイレットと
バッキングとの接着に、上記の様な熱シーラントフィル
ム及び熱接着フィルムを用いると、導電性粘着層の乾燥
は特に効果的に防止できる。なお、この様な熱シーラン
トフィルム及び熱接着フィルムの効果は、図1および2
に示される、アイレットに代えて、導電性タブを用いた
形態(図3および4参照)でも同様である。
【0030】前述の様に、粘着層の乾燥のしにくさは、
使用されるバッキングとライナーの透湿度(WVTR)
にも依存する。したがって、前述の様なWVTRを有す
る防湿性フィルムをバッキングおよびライナーの両方に
用いることは、粘着層の乾燥を防止効果をいっそう高め
るには、非常に有利である。
【0031】一方、防湿性バッキングフィルムと防湿性
ライナーフィルムとの間の剥離力が、1,000g以上
の場合、ライナー剥離は非常に重くなる。したがって、
ポリオレフィンを利用した、容易剥離性シーラントフィ
ルム、またはイージーピール機構をバッキングとライナ
ー間のシール用に利用するのが好適である。これによ
り、500g以下の低い剥離力でのライナー剥離が可能
な電極を得ることができる。上記の様な構成により、粘
着層が乾燥しにくく、かつ、ライナー剥離が容易な粘着
性電極を形成することができる。
【0032】(アイレット/スタッド型端子を有する電
極)本発明の粘着性電極は、前述の様な構成を有するも
のであれば、特にその構造は限定されない。しかしなが
ら、それを生体電極として用いる場合、好適には次の様
な構造を有する。
【0033】本発明による生体電極の1つの好適な構造
では、図1および2に示される様に、端子は、露出部分
として、バッキングを貫通するピン部を有する、いわゆ
る、アイレット/スタッド型端子である。この型の端子
は、通常、(A)ピン部と、前記ピン部の一端が接続さ
れた表面を有するベース部とを有してなる導電性アイレ
ットと、(B)その導電性アイレットのピン部を被覆す
る鞘部分を有する導電性スタッドとを含んでなり、上記
アイレットは上記ベース部の表面において前記バッキン
グと接着され、上記ベース部の裏面において前記導電性
粘着層と接している。
【0034】上記アイレットは上記ベース部の表面にお
いて、接着層(図示の例では、円形の「接着フィルム
9」)を介して、バッキングと接着される。また、上記
ベース部の裏面において前記導電性粘着層と接してい
る。
【0035】アイレット等の端子をバッキングに固定す
るための接着層は、接着フィルムまたは永久的な(すな
わち、剥離困難または不可能な)シーラントフィルムか
ら形成するのが好適である。たとえば、ポリエステル、
ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ポ
リスチレン、エポキシ樹脂等を含んでなるのが好適であ
る。熱接着性を容易にするためには、ポリオレフィンが
特に好適である。ポリオレフィンとしては、たとえば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等である。また、接着層
に防湿性の高い接着フィルムまたは永久的なシーラント
フィルムを用いることも、乾燥防止効果の点で好適であ
る。
【0036】ライナーとバッキングは、導電性粘着層の
外周囲を囲む様にして、互いに剥離可能に接着される。
これにより、導電性粘着層の密封を完了させる。密封
は、熱シーラントの溶融接着操作により行う。溶融接着
操作は、熱シーラントを加熱圧着しても良いし、高周波
加熱を利用して圧着しても良い。
【0037】バッキングの周縁の実質的に全周囲に、熱
シーラントを配置しておくには、バッキングとして、前
記熱シーラントを含む層を有してなる多層フィルムを用
いるのが好適である。
【0038】上記とは反対に、ライナーの方に熱シーラ
ントを配置し、導電性粘着層の外周囲を囲む様にして、
ライナーとバッキングを接着しても良い。
【0039】前述の様に、ライナーとしては、少なくと
も前記導電性粘着層の一方の面と接する部分に剥離層が
配置されているが、ただし、少なくとも前記熱シーラン
トが接着する部分には剥離層が配置されてないものが良
い。この様なライナーは、たとえば、剥離性は低いがシ
ーラントによる接着性が良好な表面を有する支持フィル
ムの表面に、剥離層を配置して形成できる。剥離層は、
たとえば、剥離剤を含む塗布液の塗膜や、上記表面に積
層、接着された剥離性フィルムである。
【0040】電極使用時に、ライナー剥離操作を容易に
するために、ライナーまたはバッキングに、引き剥がし
用タブが設けられている。図示の例では、円形のバッキ
ングの外周縁の一部分から延長した、帽子のつばの様な
形の引き剥がしタブが採用されている。
【0041】(タブ型端子を有する電極)本発明による
生体電極のもう1つの好適な構造では、図3および4に
示される様に、前記端子は、前記露出部分として、前記
バッキングを貫通する露出片を有してなる、いわゆる、
タブ型端子である。図示の例では、端子は、露出片と、
その露出片の一端から延長した延長片とを有してなる導
電性タブ(11)を含んでなる。この導電性タブ(1
1)は、上記延長片において導電性粘着層(5)と接し
ている。
【0042】図示の電極では、バッキング(4)は、第
1防湿性フィルムと、第2防湿性フィルムと、それら2
つの防湿性フィルムを接着する接着層(図では「接着フ
ィルム9」)とを含んでなる。接着層は、通常は2枚
の、接着フィルムまたは永久的なシーラントフィルムか
らなり、導電性タブは、その2枚のフィルムに挟まれ
る。導電性タブは、2つの防湿性フィルムの接着が完了
した時、上記2枚の接着フィルムまたは永久的なシーラ
ントフィルムから形成された接着層を貫通した状態にな
る。なお、ここで使用される接着層の材料は、前述のア
イレットをバッキングに固定するためのものと同じもの
が使用できる。
【0043】次に、電極の各部品について、詳細に説明
する。 (スタッド)スタッドは、ECGモニター、TENZ装
置等の医療機器からのリード線を接続させるための端子
の一部として機能する。スタッドは、金属または、AB
S樹脂のような熱可塑性樹脂と導電性カーボンブラック
を混合してなる電気伝導性樹脂から作られる。スタッド
は商業的に容易に入手可能なものが利用できる。
【0044】(アイレットまたは導電性タブ)アイレッ
トまたは導電性タブは、導電性粘着層と電気的に接続さ
れる導電体である。アイレットはスタッドと組み合わせ
て端子を構成する。アイレットまたは導電性タブとして
は、通常、Ag/AgCl導電体からなるものが、EC
Gモニター用電極において利用され、アルミニウム等の
金属やカーボン製のものが、その他の生体電極において
利用される。
【0045】Ag/AgClアイレットは、アイレット
形状の部品を樹脂から形成し、その表面にAg/AgC
lメッキを施して作られる。Ag/AgClアイレット
は、商業的に容易に入手可能なものが利用できる。
【0046】導電性タブとしては、柔軟な導電性タブが
利用できる。柔軟導電性タブは、商業的に容易に入手可
能なもので、10μmから1mmの厚さのプラスチック
フィルムに、Ag/AgClを含む導電性インクを塗布
して作られた導電体フィルムから所望の寸法のタブを切
り取って形成する。商業的に利用できる導電体フィルム
として、米国3M(株)社製の「(品番)MSX−45
10」を挙げることができる。
【0047】(導電性粘着層)導電性粘着層の形成に用
いられる導電性粘着剤は、たとえば、前述の特公平8−
19394号公報や米国特許4,524,087号明細
書に開示のものが使用できる。この導電性粘着剤は生体
に対して、十分な電気導電性と接着力を持っている。
【0048】また、前述の米国特許5,779,632
号明細書に開示の、親水性導電相と疎水性粘着相から構
成される、連続2相型導電性粘着剤も好適に利用でき
る。このタイプの粘着剤は、親水性導電相中に電解質水
溶液を含み、疎水性粘着相中に粘着性ポリマーを含有す
る。このタイプの粘着剤では、親水性導電相と分離して
いる疎水性相の作用により、十分な接着強度が長期間維
持できる。この様な粘着剤は、親水性導電相と疎水性粘
着相用の各原材料を界面活性剤を利用し、それらを互い
に安定に分離したミクロな連続相として含むマイクロエ
マルジョンを形成した後、その分散液に紫外線重合処理
を施して形成できる。
【0049】なお、導電性粘着層の厚さは、電気特性
(十分に低いインピーダンス等)と生体への接着力が良
好に保てれば特に限定されない。通常5μm から3m
m、好適には50μm から2mm、特に好適には100
μmから1.5mmである。
【0050】(防湿性フィルム)バッキングまたは/お
よびライナー用のフィルムは、食品包装用の単層または
多層の防湿性フィルム(バリアフィルム)が使用でき
る。防湿効果は、前述の様に、透湿度( 略称WVTR、
単位は、g/m2 ・day) で示される。WVTRは材
質、構造、厚さ、加工方法に依存する。
【0051】フィルムのWVTRは、JIS Z020
8法を改良したカップ法により測定される。この測定方
法について、ここで説明する。まず、被験体フィルム
を、蒸留水を入れたカップの口の縁に合成ゴム等の接着
剤により接着する。さらに、接着部の外周をパラフィン
等の防湿性接着剤で密封し、接着部からの水の蒸発を防
止する。被験体フィルムは常に直接水に接触するよう
に、口を下向きにして、このフィルム付きカップ(試験
カップ)を、温湿度制御されたチェンバー内に置く。そ
して、試験カップの重量減を、所定の時間間隔で測定
し、WVTR[g/m 2 ・day]を計算で求める。
【0052】ハイバリアフィルムとしては、少なくとも
1層のポリマーフィルムからなる基層に、バリア層とし
て金属箔を貼り合せてなる多層フィルム、またはアル
ミ、シリコン酸化物、アルミナ等の蒸着膜からなるバリ
ア層を積層してなる多層フィルムが好適である。ポリマ
ーフィルムとしては、ポリエステル(PET)等が使用
できる。金属箔としては、アルミ箔が柔軟性と耐久性等
の観点から好適である。アルミ箔を含む多層フィルムで
あれば、ライナーとして使用した場合でも、ライナー剥
離も容易である。また、ポリマーフィルムと、アルミ箔
とを貼り合せた多層フィルムは、水分遮蔽性(バリア
性)が比較的高い。この様な複合フィルムでは、アルミ
箔層にピンホールが存在しなければ、WVTRは、ほと
んど0[g/m2 ・day]である。
【0053】また、上記の様なフィルムの一方または両
方の面上に、他のフィルムを積層したり、塗膜を設け
て、バリア層を保護するのが好適である。一方、他のフ
ィルムや塗膜からなる熱シーラント層を設けることもで
きる。さらに、柔軟性や硬さの調整や、その他の特性を
与えるための層を付加することもできる。
【0054】一方、ポリエチレン−ビニルアルコール共
重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVD
C)、または、ナイロンのフィルムを単層のバリアフィ
ルムとして用いることもできる。また、この様な単層フ
ィルムに、その他のフィルムや材料からなる層を積層す
ることで、水分バリア性を容易に高めることができる。
さらに、フィルム全体の厚みを厚くし、防湿効果を高め
ることもできる。
【0055】さらに、比較的バリア性の低いフィルムで
はあるが、ポリエステルフィルムや、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィンフィルムも使用でき
る。この様なフィルムの防湿効果はそれほど高くないも
のの、フィルム厚が500μmより厚い場合は、そのフ
ィルムのWVTRは十分に低くなる。また、その他のフ
ィルムや材料からなる層、たとえば、前述のシリコン酸
化物層やナイロンフィルムを積層することで、水分バリ
ア性を容易に高めることもできる。
【0056】バリアバッキングの厚みは、柔軟性と防湿
効果とのバランスを良好に保つために、好適には10μ
mから1,000μmの範囲、特に好適には20μmか
ら500μmである。一方、バリアライナーの厚みは、
容易剥離性と防湿効果とのバランスを良好に保つため
に、好適には10μmから5mmの範囲、特に好適には
20μmから3mmである。また、バッキングの粘着層
と接する面は、粘着層との接着性が良好な材料からなる
か、または、プライミングを施すのが好適である。これ
により、ライナー剥離の際に、バッキングから粘着層が
脱落することを効果的に防ぐことができる。
【0057】本発明の粘着性電極では、導電性粘着層の
密封のために、バッキングとライナーとが、ヒートプレ
スによって接着かつシールされる。一方、導電性アイレ
ットまたはタブとバッキングフィルム間の隙間も、熱シ
ール可能な接着フィルムを利用して、ヒートプレスによ
って接着かつシールされる。したがって、バッキングフ
ィルムの表面は熱シールが可能な、熱可塑性樹脂層また
は熱シーラント層で覆われているのが好適である。ここ
で用いられる熱可塑性樹脂は、熱シーラントとは異な
り、シール温度では実質的に溶融しないが、軟化する樹
脂が良い。この様な熱可塑性樹脂としては、たとえば、
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル等を
用いることができる。これにより、保存中は十分なシー
ル強度を達成しつつ、剥離容易にライナーとバッキング
とを接着できる。例えば、熱シーラント層がバッキング
フィルムの表面に配置される場合、ライナー側の表面
に、上記の様な熱可塑性樹脂を配置するのが良い。
【0058】バリアフィルムをライナーとして用いる場
合、シリコーンライナーテープとバリアフィルムとを貼
り合せ、バリアフィルムの表面の一部分(粘着層が接触
する部分)に剥離層を設ける。また、バリアフィルムの
表面の一部分に、シリコーン剥離剤を塗布して剥離層を
形成することもできる。剥離層の厚さは、特に限定され
ないが、通常1μmから50μm、好適には2〜30μ
mである。
【0059】(熱シーラント)熱シーラントは、通常、
シール温度で溶融する樹脂、またはその温度で熱接着す
る樹脂を含んでなる。ライナーとバッキングとを接着す
るための熱シーラントとして、通常、低密度ポリエチレ
ン(LDPE)を使用する。しかしながら、ライナー
(またはバッキング)側に配置されたLDPEシーラン
トは、バッキング(またはライナー)側の熱可塑性樹脂
層に強固に接着する傾向があり、ライナー剥離力は比較
的大きい。
【0060】一方、ポリオレフィンと、他のポリマーと
からなるポリオレフィンポリマーアロイは、ライナーを
容易に剥離できる熱シーラントとして有用である。しか
も、適当なシール強度(保存中に自然にライナーが剥離
することのない接着強度)を有し、水分バリア性もポリ
エチレン単体と同程度である。
【0061】この様なポリマーアロイとしては、ポリエ
チレンとポリスチレンとのポリマーアロイが好適であ
る。ポリエチレンとポリスチレンのポリマーアロイを含
有する熱シーラントフィルムとしては、日本の和田化学
工業(株)社製の容易剥離性シーラントフィルム「(品
番)VMXシリーズ」を挙げることができる。また、出
光石油化学(株)社から入手可能な、「(商標)マジッ
クトップイージーオープン機構」を備えるシール材を利
用することもできる。この機構を用いる場合、シーラン
ト層の端部が容易に切れる構造を持つイージーピール機
構が、バッキングとライナー間のシール(接着)部分に
利用される。
【0062】(端子接着用の接着剤)導電性アイレット
またはタブを、バッキングフィルムに接着するための接
着剤(または永久的シーラント)は、通常、熱接着(す
なわち、ヒートシール)可能な熱可塑性樹脂フィルムが
使われる。この様な熱可塑性樹脂の種類は、特に限定し
ないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンの様
なポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポ
リウレタン等である。フィルムの厚さは、通常10μm
から1mm、好適には20μmから800μmである。
また、ここで用いられる熱可塑性樹脂フィルムのガラス
転移点温度は、通常0度C以下、特に好適には−5度C
以下である。
【0063】好適な実施形態では、50μmから200
μm厚の熱シール可能なポリエチレンフィルムが使用で
きる。また、ホットメルト接着剤シート、または、ホッ
トメルト接着剤を熱可塑性樹脂シートの片面または両面
に塗付した接着剤シートも利用できる。この様な接着剤
シートの具体例として、米国3M( 株) 社製の「(商
標)サーモボンドフィルム」等を挙げることができる。
さらに詳細な具体例として、好ましくは、米国3M(
株) 社製の「(商標)サーモボンド(品番)845」
が、導電性アイレット等の端子と、熱可塑性樹脂層を内
側面に有するバッキングとの接着およびシーリングに適
している。「(商標)サーモボンド(品番)845」
は、100μm厚のポリオレフィン系接着剤フィルムで
ある。
【0064】(電極の製造方法)粘着性電極または生体
電極を製造工程について、ここで詳細に説明する。ま
ず、導電性アイレットまたはタブと、バッキングがヒー
トプレス装置を用いて接着される。アイレット/スタッ
ド型端子の場合、続いて、カーボンスタッドが導電性ア
イレット上にはめ込まれる。
【0065】次に、導電性粘着剤が導電性アイレットの
裏面上、または導電性タブの下面に接着される。この状
態で、導電性粘着層の他方の面をバッキングが被覆す
る。その次に、ライナーまたはライナーカップが導電性
粘着層の一方の面を被覆する様に配置される。この状態
で、端子の露出部分は、ライナーおよびバッキングいず
れでも被覆されていない。
【0066】最後に、シール部分が導電性粘着層の周縁
全体を囲む様に、ヒートプレスによってバッキングとラ
イナーとが剥離可能に接着される。ヒートプレス装置の
プレス幅は、シーラントのシール部分を通じて粘着層
(電解液)が乾燥しないために、通常0.5mmから1
0mm、好適には1mmから7mmである。この様な寸
法のシール部分は、水分の通過距離が十分長いので、こ
こでの乾燥はほとんど無視できる。一方、バッキングの
シール部分は、生体表面には接着しない部分となるの
で、可及的に小さい方が良い。シール幅が広すぎる場
合、この様な生体表面には接着しない部分が比較的大き
くなり、接着された電極のめくれや剥がれが生じやすく
なるので、実使用上好ましくない。
【0067】ヒートプレス装置としては、通常のヒート
プレス機や、マイクロヒートプレス機と言われるような
加圧面積の小さなプレス機等が利用できる。装置の、加
熱圧着時に電極材料に押し当てられる部品は、加熱圧着
される部分に、加熱用の板状部品が当たるように、金属
ブロックを加工して作製する。圧着された部分の表面
は、通常は平面であるが、格子状または波状の凹凸面で
ある場合、シール欠陥を少なくするために好適である。
【0068】加熱機構は特に限定されないが、連続加熱
ヒータやインパルスヒータ、超音波、RF加熱、ランプ
ヒータ等が利用できる。加熱温度は80度Cから250
度C程度が好ましく、加圧圧力は0.1kg/cm2
ら10kg/cm2 程度が好ましく、加圧時間は、通常
0.1秒〜5秒の範囲である。これらのパラメータは、
十分な接着と密閉性が得られるように、使用される電極
材料により調整される。
【0069】加熱圧着機構は、単独機だけでなくロータ
リーコンバーターに代表される連続加工機のロ−ルに組
み込んで使うことも出来る。
【0070】シールされた電極は、通常、ダイカッター
等の裁断装置を使い、バッキングが、ライナーを容易に
剥がすための引き剥がしタブを有する形状に加工され
る。
【0071】(電極の包装)57度C(135F)−0
%RHの条件で測定されたWVTRが、0.5g/m2
・dayより小さいハイバリアフィルム(高防湿性フィ
ルム)を、バッキングおよびライナーの両方の形成に用
いた場合、本発明の電極を保存するためには、防湿袋は
必要でない。したがって、比較的包装の簡単な紙箱に保
存することができる。
【0072】一方、57度C(135F)−0%RHの
条件で測定されたWVTRは0.5g/m2 ・dayよ
り大きいが、20度C−20%RHの条件で測定された
WVTRが0.9g/m2 ・dayより小さい、中程度
のバリアフィルムを、バッキングおよびライナーの両方
の形成に用いた場合は、通常、アルミ箔等の金属箔を含
む多層フィルムから形成された防湿袋内に保存する。
【0073】(使用期限と乾燥特性)電極の使用期限の
目標は、通常、室温(20度C〜25度C)下で、防湿
袋中に保存した場合で2年間である。たとえば、57度
C−0%RHで10週間または、66度C−0%RHで
6週間エージングされた電極が、AAMI(Association
for the Advancement of Medical Instrumentation )
の規格に関する電気特性を満たした場合、その電極は、
室温(20度Cから25度C)において、2年間の使用
期限を持つものと認められる。
【0074】したがって、ハイバリアフィルム(WVT
Rが、57度C(135F)−0%RH下で0.5g/
2 ・dayより小さいもの)を、バッキングとライナ
ーの両方の形成に用いた場合、紙箱中でのエージング試
験を、57度C−0%RHのチェンバー中で10週間
と、66度C−0%RHのチェンバー中で6週間行い、
上記目標を達成するかどうか評価するのが良い。また、
上記中程度のバリアフィルムを、バッキングとライナー
の両方の形成に用いた場合、上記の様な防湿袋中でのエ
ージング試験を、66度C−0%RHのチェンバー中で
6週間行い、上記目標を達成するかどうか評価するのが
良い。また、参考のため、さらに、低湿条件として20
度C−20%RHのチェンバー中で60日間、紙箱中の
エージング試験も行い、乾燥しにくさの目安とするのが
良い。
【0075】
【実施例】(比較例)まず、本発明の効果を具体的に示
すために、比較例として、市販品の乾燥特性を評価し
た。Ag/AgCl導電体アイレットと導電性スタッ
ド、非接着性の電気伝導性ゲル組成物を含んでなる導電
層、電極固定用の粘着テープ、およびポリエステル製ラ
イナーカップを有してなる、従来技術に属する生体電極
として、米国3M(株)社製のECG モニタリング電
極、「(商標)RED DOT(品番)2259」を使
用した。この電極はバリア効果の比較的小さなフォーム
バッキングが使われているので、電極は防湿袋内に保存
される。
【0076】一方、Ag/AgCl導電体アイレットと
導電性スタッド、親水性導電相と疎水性粘着相からなる
2相型導電性粘着剤を含んでなる、導電性粘着層、バリ
ア効果の比較的小さなフォームバッキング、および紙製
ライナーからなる、従来技術に属する粘着性の生体電極
として、米国3M(株)社製のECG モニタリング電
極、「(商標)RED DOT(品番)2590」を使
用した。この電極も、保存のために防湿袋が使われてい
る。
【0077】表−1と2は、防湿袋内で66度C−0%
RH下で3週間と6週間放置(エージング)した電極の
電気特性を測定した結果を示す。各電気特性は、Associ
ation for Advancement of Medical Instrumentation発
行のAAMI任意規準「American National Standard f
or Pregelled ECG Disposable Electrodes」中に記載さ
れている方法に準拠して測定した。これらの電極は防湿
袋内では非常に安定であった。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】次にこれらの電極を防湿袋の外で66度C
−0%RHの環境下で放置し、前述と同様にして、測定
した電気特性を、表−3および4に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】これらの電極は、バッキングとライナーと
はシールされておらず、したがって、ゲルまたは粘着剤
を含んでなる、水を含有する導電層は密封されていな
い。また、防湿性のライナーも使用されていない。した
がって、66度C−0%RH環境下で防湿袋の外では、
容易に乾燥してしまった。特に連続2相型の導電性粘着
層を備える「(品番)2590」は、相対的に早く乾燥
してしまい、放置一日めで、ACインピーダンスがAA
MI規格の2000Ωを、はるかに超えてしまった。
【0084】また、これらの比較例の電極を20度C−
20%RH環境下で防湿袋外で保存した時の測定結果
を、表−5および6に示す。その結果、非粘着性ゲル組
成物を使った「(品番)2259」は、この様な比較的
低温条件では30日間乾燥しなかったが、連続2相型の
導電性粘着層を備える「(品番)2590」は、20日
までには乾燥してしまった。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】(導電性粘着層の形成)実施例で用いた粘
着剤の組成を、表7を示す。この表に記載の各原料を、
同表に記載の重量部で用いて導電性粘着剤を形成した。
【0088】
【表7】
【0089】まず、次の様にして、導電性粘着層の原料
となるマイクロエマルジョンを調製した。疎水性相に含
まれる粘着性ポリマーの原料(モノマー)として、アク
リル酸とイソオクチルアクリレートを使用した。そして
これらの材料を界面活性剤を利用して、連続した親水性
相中に安定して分離している、疎水性材料からなる連続
相を形成した。界面活性剤としては、米国シグマ(株)
社製より入手可能なポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル「(品番)Brij97」を使用した。また、疎水性
相を重合するために、疎水性相用の紫外線重合開始剤と
してチバガイギー(株)社製の「(商標)イルガキュア
ー(品番)184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−
フェニルケトン」を使用した。
【0090】親水性相の形成に用いられたエチレンオキ
サイドモノアクリレートは、米国サトーマ(株)社製の
「(品名)メトキシポリエチレングリコール550モノ
アクリレート(表中では“MPEG550MA”と表
示。)」を使用した。保湿剤としては、商業上容易に入
手可能なプロピレングリコールを使用した。親水性相用
の紫外線重合開始剤としては、チバガイギー(株)社製
の「(商標)イルガキュアー(品番)2959、1−
(4−(2−ハイドロキシエトキシ)−フェニル)−2
−ハイドロキシ−2−メトキシ−1−プロパン−1−オ
ン」を使用した。電解液は、4重量%濃度のKCl(塩
化カリウム)水溶液であった。
【0091】原材料の混合液は透明液体であった。これ
は、親水性相と疎水性相の大きさが自然光の波長より小
さいマイクロエマルジョン構造を有することを示してい
る。
【0092】各原材料の分散液中にはチッソガスを通
し、溶存酸素を追い出した後、このマイクロエマルジョ
ンを用い、次の様にして導電性粘着層を形成した。ま
ず、商業上容易に入手可能な、2枚の透明ポリエステル
ライナーのシリコーン塗布面を向かい合せ、その間にキ
ンバリー(株)社製の「(商品名)KC Tissu
e」と呼ばれる不織布シートを挟み込ませた。次に、一
方のポリエステルライナーをめくり、不織布シート上に
上記マイクロエマルジョンを塗布した後、その一方のポ
リエステルライナーを被せ、低圧水銀ランプで1800
mJ/cm2 の照射量で、紫外線重合処理を施した。こ
れにより、厚さ約0.9mmの導電性粘着層を得た。
【0093】(実施例1)本例では、図1および2に示
されるタイプの、アイレット/スタッド型端子を有す
る、粘着性の生体電極を作製した。また、本例では、ハ
イバリア(比較的高い防湿性の)ライナーを使用した。
【0094】本例で使用されたバッキングフィルムは、
日本の三菱化学興人パックス(株)社から、ポリエステ
ルフィルム「(商標)TECHBARRIER H」を含む多層バッ
キングフィルムとして入手可能である。このフィルムの
構成は、延伸ナイロンフィルム(厚さ=15μm)と、
日本の三菱化学興人パックス(株)社製のポリエステル
フィルム「(商標)TECHBARRIER H」と、低密度(LD
PE)ポリエチレンフィルム(厚さ=60μm)とを、
この順にドライラミネートし、三層を互いに接着してな
る多層フィルムであった。上記ポリエステルフィルム
は、ポリエステルフィルムの一方の面にシリコン酸化物
の蒸着層が形成されており、この蒸着層上に、上記低密
度ポリエチレンフィルムを積層した。また、多層フィル
ム全体の厚さは、92μmであった。なお、LDPEは
熱シール可能なシーラントフィルム(またはシーラント
層)として機能する。このバリアバッキングフィルムの
WVTRは、前述の方法で測定した値で、0.8g/m
2 ・day[57度C(135度F)−0%RH]であ
った。
【0095】一方、ハイバリアライナーは、アルミ箔の
層を含んでなる多層フィルムであった。その構造は、無
延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム:厚さ=
200μm) と、日本の和田化学(株)社製のバリアフ
ィルム「(品番)A−10(厚さ=72μm)」とを積
層したフィルムであった。このバリアフィルムは、PE
Tフィルム(厚さ=12μm)/アルミ箔(厚さ=9μ
m)/ポリエチレン層(厚さ=20μm)/接着層( 厚
さ=30μm) 、をこの順に積層してなる多層フィルム
であった。
【0096】接着層は、CPPフィルムとバリアフィル
ムとを接着し、ライナー用の多層バリアフィルムを形成
するためのもので、日本の和田化学(株)社製の熱シー
ラントフィルム「(品番)VMX XB10FT」であっ
た。この多層バリアフィルム形成用シーラントフィルム
は、ポリエチレン系ポリマーアロイからなる。また、P
ETフィルムとアルミ箔は、ラミネート用接着剤を介し
てドライラミネートされていた。
【0097】CPPフィルム層はバッキングのLDPE
シーラント層に対する熱可塑性樹脂層として機能し、ラ
イナーとバッキングとを剥離容易に接着しつつ、導電性
粘着層を密封することができる。
【0098】このライナーフィルムのWVTRは0.5
g/m2 ・day[57度C (135 F)-0%RH]であっ
た。導電性粘着層に接触するCPPフィルム層の選択さ
れた部分にはシリコーン剥離剤の塗布層/PET層( 3
8μm) /両面粘着テープ( 160μm) を、この順に
積層してなる剥離性フィルムが接着され、剥離層を形成
した。両面粘着テープは、3M(株)社製粘着テープ
「(品番)1522」であった。また、剥離性フィルム
は直径22mmの円形形状を有し、CPP層の表面のほ
ぼ中心位置に接着された。
【0099】なお、この剥離層部分のWVTRも、0.
5g/m2 ・day[57度C (135F)-0%RH]であっ
た。また、バッキングおよびライナーの平均(合計の単
純平均)のWVTRは、0.65g/m2 ・day[5
7度C (135 F)-0%RH]であった。
【0100】バッキングとライナーの各フィルムは、5
cm×5cmの正方形状フィルムに裁断された。そし
て、バッキングの中心部には、直径1mmの穴を開け
た。一方、熱シール性接着剤用の3M(株)社製の
「(商標)サーモボンド(品番)845」を直径1cm
の円形に裁断し、その中心に直径1mmの穴を開け、端
子固定用接着層を得た。
【0101】次に、市販のAg/AgCl導電性アイレ
ットのピン部を、上記端子用接着層の穴に通し、さらに
その上にバッキングを重ね、LDPE層と端子用接着層
とが接触する様にし、ピン部をバッキングの穴に通し
た。このアイレット付きバッキングを、マイクロヒート
プレス装置で熱圧着しアイレットとバッキングとをシー
ル接着(上記穴をシールしつつ接着)した。なお、この
装置は、アイレットシール用の平な表面を有する加熱ブ
ロックを備え、そのブロックを140度Cに加熱し、
0.5kg/cm2 の圧力で3秒間圧着操作を行った。
【0102】最後に、カーボンスタッドを上記アイレッ
トのピン部を被覆する様に押し込み、端子付きバッキン
グを得た。
【0103】一方、前記ライナーの剥離層の上に、前述
の導電性粘着層(直径22mmの円形)を配置した。そ
の導電性粘着層と、端子付きバッキングのアイレットの
ベース部とが接着する様に、ライナー、粘着層およびバ
ッキングを重ね、これらからなる未シール積層体を得
た。
【0104】最後に、この未シール積層体をヒートプレ
ス装置にかけ、バッキング−ライナー間のシール用の平
らな表面を持つ加熱ブロックを130度Cに加熱し、導
電性粘着層の外周縁を取り囲む様に、バッキングとライ
ナーとをヒートプレスによって接着し、粘着層をバッキ
ング側に接着し、かつ粘着層をバッキングとライナーと
の間の空間に密封し、本例の粘着性電極を完成させた。
なお、シール(ヒートプレス)された部分は導電性粘着
層の外周縁から約0.5mm離れた位置で、シール幅は
1mmであった。また、圧着条件は、1kg/cm2
圧力、5秒間であった。また、電極からライナーを剥
離、除去を容易にするために、縦4mm×横15mmの
長方形の引き剥がしタブを、ダイカッターを用いた裁断
により、バッキング側に形成した。
【0105】本例の電極は「HA電極」と名づけられ
た。また、本例の電極では、バッキングとライナーと
は、剥離操作を行うまでは剥がれることなく、ライナー
剥離時には、人の手による剥離操作が可能であった。
【0106】このHA電極を防湿袋内で、57度C−0
RH%環境下での乾燥性能を、前述の比較例と同様にし
て評価した結果、10週間後もAAMI規格を満たして
いた。さらに、20度C−20%RH環境下で防湿袋外
で保存し、前述の比較例と同様にして評価した結果、こ
のHA電極は、粘着層が2相型導電性粘着層であるにも
かかわらず、防湿袋なしでも30日間後もAAMI規格
を満たし、粘着層の乾燥が防止できることが分かった。
一方、HA電極を防湿性材料を含まない紙箱に保存し、
57度C−0RH%、および66度C−0RH%環境下
での乾燥性能を評価した。前述の比較例と同様にして測
定したAMMI電気特性を表−8および9に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】HA電極は、粘着層が2相型導電性粘着層
であるにもかかわらず、防湿袋なしでも1〜2週間程度
は、粘着層の乾燥が防止できることが分かった。しかし
ながら、3週間以上経過すると、乾燥がかなり進行する
ことも分かった。すなわち、平均WVTRが0.65g
/m2 ・day[57度C (135 F)-0%RH]であるバッ
キングとライナーを用いて作製した電極は、防湿袋内で
の粘着層の乾燥は効果的に防止できる。また、防湿袋の
外で保存した時も、シーラントの効果により、従来品に
比べて長く粘着層の乾燥を防止できる。しかしながら、
後述する実施例2および3に比べると、乾燥防止効果は
低下する傾向が見られた。
【0110】(実施例 2)本例では、実施例1とは異
なり、バッキングにもハイバリアフィルムを用いた。な
お、バッキングとして、2種類の多層フィルムを用い
た。第1のハイバリアバッキングは、日本の和田化学
(株)社製の、アルミ箔層を含んでなるバリアフィルム
「(品番)A−15:厚さ=72μm」と、そのPET
層上に接着された3M(株)社製ポリエチレン(PE)
粘着テープ「(品番)1521:163μm」を含んで
なる多層バリアフィルムであった。PE粘着テープは、
バリアバッキングの強度を補強するために用いた。ま
た、バリアフィルム「(品番)A−15」の構造は、P
ETフィルム(厚さ=12μm)/アルミ箔(厚さ=9
μm)/ポリエチレン層(厚さ=20μm)/接着層(
厚さ=30μm) 、をこの順に積層してなり、接着層
は、日本の和田化学(株)社製の熱シーラントフィルム
「(品番)VMX XB15FT」で、ポリエチレン系ポリ
マーアロイから形成された。また、PETフィルムとア
ルミ箔は、ラミネート用接着剤を介してドライラミネー
トされていた。上記多層バリアフィルム(バッキング全
体)のWVTRは、0.5g/m2 ・day[57度C
(135 F)-0%RH]であった。
【0111】第2のハイバリアバッキングは、第1のハ
イバリアバッキングで用いたPEテープに代えて、3M
(株)社製の熱シール性ポリエステルフィルム「(商
標)Scotchpak(品番)9967:厚さ=50
μm」を用いた以外は、第1ハイバリアバッキングと同
じであった。このポリエステルフィルムも、バリアバッ
キングの強度を補強するために用いた。また、ポリエス
テルフィルムの接着は、180度Cの加熱ローラーによ
り行った。この多層バリアフィルムのWVTRは、0.
4g/m2 ・day[57度C (135 F)-0%RH]であっ
た。
【0112】これら2種のハイバリアバッキングを用い
た以外は、実施例1で述べた手法が繰り返され、本例の
2種の電極が作製された。なお、ライナーのCPP層に
接着される熱シーラント層として、上記ポリマーアロイ
層が使用された。これにより、ライナーとバッキングと
は剥離容易に接着され、導電性粘着層を密封することが
できた。なお、第1ハイバリアバッキングを用いた方を
「HB電極」と、第2ハイバリアバッキングを用いた方
を「HG電極」と呼ぶことにする。HB電極では、バッ
キングとライナ−の単純平均WVTRは0.5g/m2
・day[57度C (135 F)-0%RH]であった。また、
HG電極では、バッキングとライナ−の単純平均WVT
Rは0.45g/m2 ・day[57度C (135 F)-0%
RH]であった。
【0113】HBおよびHG電極の評価を次の様にして
行った。まず、電極(ライナー付き)を、防湿性材料を
含まない紙箱に保存した。57度C−0RH%、および
66度C−0RH%環境下での評価結果を、表−10〜
13に示す。
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
【表12】
【0117】
【表13】
【0118】本例の2つの電極は2種類のエージング条
件によるテストをクリア可能であった。したがって、本
例の結果より、ライナーとバッキングの単純平均のWV
TRが0.5g/m2 ・day[57度C (135 F)-0%
RH]以下の、バッキングとライナーとの組み合わせは、
本発明の電極を、室温(20から25度C)でのどんな
湿度下に置いても、2年間の使用期限を持つとみなされ
るものにできることが分かった。
【0119】(実施例3)以下の2種のバッキングと、
CPP単層フィルムからなるライナーとを用いた以外は
実施例1の手法が繰り返され、本例の2種の電極を作製
し、それぞれ「LB電極」および「LA電極」と名づけ
られた。
【0120】LB電極用のバッキングは、日本の和田化
学(株)社製のナイロン層を含む多層フィルム「(品
番)N−16」であった。この「N−16」は、延伸ナ
イロン(15μm)層/ナイロン(15μm) 層/PE
(20μm) 層/ポリマーアロイフィルム層、をこの順
に含んでなる多層フィルムであった。ポリマーアロイフ
ィルムは、和田化学(株)社製の「(品番)VMX X
B16C:厚さ=30μm」であり、ポリエチレン系ポ
リマーアロイからなる、容易剥離性シーラントフィルム
である。また、2つのナイロン層は、ラミネート用接着
剤を介してドライラミネートされていた。このバッキン
グのWVTRは1.4g/m2 ・day[20度C−2
0%RH]であった。
【0121】一方、LA電極用のバッキングは、上記
「N−16」フィルムの延伸ナイロン層上に、補強層と
して、前述のPEテープ「(品番)1521」を接着し
たものである。すなわち、LB電極と同様に、容易剥離
性シーラント層はポリマーアロイ層であった。なお、こ
のバッキングのWVTRは0.4g/m2 ・day[2
0度C−20%RH]であった。
【0122】両電極に使われたライナーは、200μm
厚の単層のCPPフィルムである。このCPPフィルム
は、バッキング側のポリマーアロイフィルムからなるシ
ーラント層によって、熱シール可能な熱可塑性樹脂フィ
ルムである。このライナーのWVTRは1.5g/m2
・day[20度C−20%RH]であった。また、前
述の剥離性フィルムが配置された部分のWVTRは0.
4g/m2 ・day[20度C−20%RH]であっ
た。
【0123】なお、LB電極のバッキングとライナ−の
単純平均のWVTRは、0.9g/m2 ・day[20
度C−20%RH]であった。一方、LA電極では、剥
離層部分における単純平均のWVTRは、0.4g/m
2 ・day[20度C−20%RH]であった。
【0124】これらの電極を、まず防湿袋内に保存し、
前述と同様にして評価した。測定された電気特性を、そ
れぞれ表−14および15に示す。また、乾燥条件での
評価では、電極は20度C−20%RH下で60日間防
湿袋の外で保存された。測定結果をそれぞれ表16およ
び17に示す。
【0125】
【表14】
【0126】
【表15】
【0127】
【表16】
【0128】
【表17】
【0129】両電極はともに、66度C−0%RH環境
下で防湿袋内でのエージング試験をクリアできた(6週
間、すべてのAAMI規格を満たした)。したがって、
これらの電極は、防湿袋内で2年間の保存安定性を持っ
ていることが認められた。
【0130】一方、平均WVTRが、WVTRは、0.
9g/m2 ・day[20度C−20%RH]であるL
B電極は20度C−20%RHの低湿度下で防湿袋を用
いず30日間安定に保存でき、平均のWVTRが0.4
g/m2 ・day[20度C−20%RH]であるLA
電極は、20度C−20%RHの低湿度下で防湿袋を用
いず、60日間安定に保存できることが分かった。
【0131】(実施例4)実施例3で用いたLA電極と
同じバッキングと、以下に説明するライナーを用いた以
外は、実施例1の手法を繰り返して本例の電極を作製
し、「LLG電極」と名づけた。
【0132】本例で使用されたライナーは、実施例3で
用いたCPPフィルムの一方の面に前述のPEテープ
「(品番)1521」を接着し、他方の面に前述の剥離
性フィルムを接着したものである。ライナーの剥離性層
部分の0.3g/m2 ・day[20度C−20%R
H]であった。また、バッキングとライナーの、剥離層
部分における平均WVTRは0.35/m2 ・day
[20度C−20%RH]であった。
【0133】これらの電極を、まず防湿袋内に保存し、
前述と同様にして評価した。測定された電気特性を表−
18に示す。また、乾燥条件での評価では、電極は20
度C−20%RH下で60日間防湿袋の外で保存され
た。測定結果を表−19に示す。
【0134】
【表18】
【0135】
【表19】
【0136】LLG電極は、66度C−0%RH環境下
で防湿袋内でのエージング試験をクリアできた(6週
間、すべてのAAMI規格を満たした)。したがって、
この電極は、防湿袋内で2年間の保存安定性を持ってい
ることが認められた。一方、20度C−20%RHの低
湿度下で防湿袋を用いず、60日間安定に保存できるこ
とが分かった。LLG電極は、60日間乾燥が効果的に
防止され、1,000オ−ム以下のACインピーダンス
を維持できることが分かった。
【0137】(ライナー剥離強度)比較例のモニタリン
グ電極「(商標)RED DOT(品番)2259」
と、実施例1のHA電極、実施例2のHB電極、および
実施例3のLA電極において、バッキングとライナーと
の間のT剥離試験による、ライナー剥離強度を測定し
た。剥離試験は常法に従い、引っ張り試験機を用いて行
った。なお、引っ張り速度は30cm/分であった。結
果を表−20に示す。
【0138】
【表20】
【0139】従来のECGモニタリング電極では、ライ
ナーとバッキングとは軽剥離の感圧粘着剤で接着されて
いるので、ライナー剥離は非常に容易であった。一方、
LDPEシーラントを使ってシールしたHA電極では、
ライナー剥離強度は比較的大きかった。ライナー剥離強
度が1,400g以上の場合、バッキングフィルムが破
断する場合があり、また、バッキング上に残ったシーラ
ント層(LDPE層)のささくれ立ちが発生するおそれ
がある。
【0140】一方、ポリエチレン系ポリマーアロイ層を
シーラント層として用いた電極(HBおよびLA電極)
では、ライナー剥離強度は従来品並みであり、ライナー
剥離は非常に容易であった。また、シーラント層のささ
くれも生じなかった。この様なポリマーアロイ層からな
る容剥離性シーラント層は、粘着層の乾燥を効果的に防
止するためには非常に有利である。
【0141】すなわち、金属箔を含むライナーおよびバ
ッキングを有し、かつポリオレフィン系ポリマーアロイ
層からなるシーラント層を用い、粘着層を密封した電極
は、本発明の特に好適な形態の1つである。
【0142】
【発明の効果】本発明の水分を含んでなる導電層を用い
た粘着性電極は、保存中の水分含有量を効果的に保持で
き、導電層(導電性粘着層)の乾燥を効果的に防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着性電極の1態様を示す分解斜視図
である。
【図2】図1の粘着性電極の断面図である。
【図3】本発明の粘着性電極の別の態様を示す分解斜視
図である。
【図4】図3の粘着性電極の断面図である。
【符号の説明】
1…導電性スタッド 2…アイレット 3…熱シーラント層 4…バッキング 5…導電性粘着剤の層 6…剥離領域 7…ライナー 8…ライナーカップ 9…接着フィルム 10…引き剥がし用タブ 11…導電性タブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)水分を含んでなる導電性粘着層と、 b)その導電性粘着層の一方の面を被覆するライナー
    と、 c)その導電性粘着層の他方の面を被覆するバッキング
    と、 d)その導電性粘着層と接触し、上記ライナーおよびバ
    ッキングのいずれでも被覆されない露出部分を有する端
    子、とを含んでなる粘着性電極において、 上記ライナーおよびバッキングは、上記導電性粘着層を
    それらの間に密封する様に、シーラントにより剥離可能
    に接着されている、ことを特徴とする粘着性電極。
  2. 【請求項2】 請求項1の粘着性電極の製造方法であ
    り、 (1)前記バッキングを用意し、 (2)前記バッキングと前記端子とを、前記端子が前記
    露出部分を有する様に接着し、 (3)前記端子と、前記導電性粘着層の他方の面とが接
    触する様に、前記導電性粘着層の他方の面を前記バッキ
    ングで被覆し、 (4)前記導電性粘着層の一方の面を被覆する様に、前
    記ライナーを配置し、 (5)前記ライナーおよびバッキングを、上記導電性粘
    着層をそれらの間に密封する様に、シーラントにより剥
    離可能に接着する、製造方法。
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