JPH033283Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は生体から発生する電気信号を取り出す
ための生体用電極に関するものである。

〈従来の技術〉 従来から心臓の活動電流及び活動電位を測定す
るための電極として被験者の生体表面に装着し、
固定しうる構造のものが種々開発されており、密
着性を向上させるために電極と生体表面との間に
導電性クリームやペーストを介在させるなどの手
段が講じられている。

一方、生体用電極の装着時の簡便さの点から
略々円形ワンタツチ式のものが開発されている。
この電極は金属箔からなる導電性電極片の片面側
に粘着性を有する導電性接着材料層を設けたもの
であり、生体医学的診断装置との接続のための舌
片部分は導電性電極片の前記材料層非形成部分と
したものである。この電極の使用は前記導電性ク
リームやペーストの使用と比べて電極の装着操作
性や皮膚面の非汚染性などの点で優れているもの
である。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかし、導電性クリームやペーストは塗布操作
の煩雑さ、発汗時の密着性不良、皮膚面の汚染な
ど種々の問題点がある。

また、従来のワンタツチ式の生体用電極は舌片
部分が導電性電極片の外部に突出した形状である
ので生体医学的診断装置に接続するためのクリツ
プ等のリード線端子を舌片部分に接続すると舌片
部分に応力が働き、かかる応力は、導電性接着材
料層の近縁端部に作用して電極が端子によつて持
ち上げられるような状態になり、接続後の皮膚面
と導電性接着材料層との間に壁開応力が作用し
て、舌片部分側から導電性接着材料層が浮き上が
つて剥がれたり、密着性不良に伴う電気信号の不
安定性の原因となる。特に、モニタリング用など
の長時間使用においてこのような現象が顕著に発
現する場合がある。

さらに、これらの電極を構成する導電性電極片
は、一般に不分極性物質としての銀／塩化銀の使
用や、ニツケル、スズ、クロムなどの高価な金属
箔の使用が主体であり、簡易型の使に捨て電極と
して重要な因子である製造コストの低減化のため
には電極片の端部から突出した舌片部分を設ける
ことは製造上の煩雑さや歩留りの点からも満足な
ものとは言えないものである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は以上の如き問題点を解決すべく案出さ
れたものであり、電極片内部に舌片部分を切れ目
によつて設ける構造としたことによつて被験者の
生体表面に簡単に装着出来て、且つ皮膚との密着
性を損なうことなく生体医学的診断装置との接続
用のリード線端子を接続することが可能で、粘着
シートで固定することによつて皮膚接着性が良好
となりモニタリング用電極としても長時間にわた
つて安定して使用でき、しかも安価に製造するこ
とが可能な生体用電極を提供するものである。

すなわち、本考案は皮膚面に追従する柔軟な電
極片と、実質的に非粘着な小面積の薄層と、生体
からの電気信号を前記電極片に伝達する柔軟な導
電性物質層とがこの順序で積層され、前記電極片
上には該片の周縁部を少なくとも部分的に越えて
突出するように粘着シートが貼着され、且つ前記
電極片の薄層形成区域内に切れ目にて導電性舌片
が形成されている生体用電極に関するものであ
る。

以下、図面を用いて本考案の生体用電極を具体
的に説明する。

第１図は本考案の生体用電極の一実例を示す平
面図であり、皮膚面に追従する柔軟な電極片１と
実質的に非粘着な小面積の薄層２と、柔軟な導電
性物質層３（図中、電極片１及び薄層２の下面に
ある）とがこの順序で積層され、前記電極片１上
には該片の相対する二辺を越えて粘着シート４が
貼着されており、前記電極片１の該薄層形成区域
内に略々コ字型の切れ目５によつて導電性舌片６
を形成させたものである。切れ目５によつて設け
られた導電性舌片６は本考案の生体用電極を皮膚
面に適用したのち、切れ目５部分より起立させて
用いる。また、第１図のように切れ目５端部を粘
着シート４で固定することによつて、導電性舌片
６を起立させる際に生じる壁開応力による導電性
物質層３の皮膚面からの剥がれも防ぐことが出
来、且つ最小面積のシート４で効果的に皮膚面へ
の固定化が出来るものである。

第２図及び第３図は本考案の生体用電極の他の
実施例の平面図、及び第２図の−′線での断
面図であり、、電極片１の周縁部全域を越えて粘
着シート４が貼着されており、実質的に非粘着な
薄層２は該電極片１の略々中央域に積層され、切
れ目５は該電極片１及び粘着シート４に設けられ
ているものである。

第４図は本考案の生体用電極の他の実例の平面
図であり、それぞれ山型の切れ目５を底辺部が近
接するように相対して設けた生体用電極である。
第４図の如き切れ目５によつて設けた導電性舌片
６は起立させて二枚重ねにして使用出来るのでリ
ード線端子の脱落がなく、しつかりと長時間接続
出来るものである。

第５図は本考案の生体用電極の他の実例の平面
図であり、第１図のように薄層２及び導電性物質
層３を積層したのち、一辺から通じる二条の切れ
目５を電極片１及び粘着シート４に設けた生体用
電極であり、端部に導電性舌片６を有するので接
続させやすく、製造工程においても容易に形成す
ることが出来るものである。

電極片１は導電性物質層３を介して皮膚面から
取り出した電気信号を生体医学的診断装置へ導く
ための媒体となるものであり、例えば銅、スズ、
ニツケル、アルミニウムの如き金属からなるシー
ト状物、或いは無電解鍍金、真空蒸着などの手段
によつて金属薄膜層を設けたプラスチツクフイル
ム、紙、織布、不織布の如き導電性を有するシー
ト状物などが挙げられ、装着する皮膚面の動きに
追従する程度の柔軟性を有するものを適宜選択し
て使用する。また、電極片１の導電性物質層３と
は反対の面に電気絶縁層を設けて導電層と電気絶
縁層との積層形態とすることによつて、本考案の
生体用電極と生体表面に適用、装着し、電気信号
を取り出す際の外的接触等によるノイズを防止す
ることが出来る。

上記電極片１および非粘着な薄層２上に設けら
れている導電性物質層３は本考案の生体用電極を
皮膚面上に装着、固定して取り出した電気信号を
生体医学的診断装置へ導くための柔軟な層であ
り、導電性を有する物質から形成されている。こ
れらの物質としては、例えばカラヤガムなどの多
糖類、天然ゴムなどの天然系高分子物質、各種セ
ルロース類などの半合成系高分子物質、ポリアク
リル酸（又はその塩）、ポリアクリル酸エステル
誘導体、ポリビニルアルコール、又はその誘導体
などの合成系高分子物質を使用出来るが、該高分
子物質の導電性をさらに良くするために各種金属
粉末、カーボン、水などの導電性材料を添加して
もよい。また、該導電性材料は、実質的に導電性
を有さない公知の充填剤などの材料と組み合わせ
て使用することもできる。

上記高分子物質からなる導電性物質層３はその
ままで前記電極片１及び非粘着な薄層２の上に設
けることが出来るが、さらに該物質層３の保型性
を強化し、皮膚面に対する糊残りなどの汚染を防
止するために、該物質層３の導電性を阻害しない
ような補強用シートを皮膚面側の表面及び内部に
介在させることが出来る。これら補強用シートと
しては、紙、織布、不織布、各種プラスチツクフ
イルム、金属箔などが挙げられるが、導電性を有
しないようなものを用いる場合は、補強用シート
に貫通孔を設けて導通させて使用する。

本考案における実質的に非粘着な薄層２は上記
のように形成された導電性舌片６に生体医学的診
断装置との接続用端子を接続する際に、該舌片６
を起立させやすくするための層であり、導電性舌
片６と粘着しないもの、または粘着しにくいもの
が選択される。例えば各種プラスチツクフイル
ム、織布、不織布、紙類、金属などの材質から選
ばれた薄層を用いたり、シリコーン、フツ素など
の低接着性物質を塗布するなどの手段が挙げられ
る。

前記電極片１上に貼着される粘着シート４は、
本考案の生体用電極を皮膚面に適用する際の長時
間にわたる密着性を更に向上させ、電気信号測定
中の脱落などをなくすためのものであり、通常用
いられている医療用、外科用の粘着シートを使用
することが出来る。さらに、導電性舌片６を起立
させた際に切れ目５端部から電極片１が裂けるの
を防止するために導電性舌片６を起立させる方向
と直交する方向に方向性を有する、例えば一軸又
は二軸延伸プラスチツクフイルム又はシート、打
ち込み本数又は打ち込み糸の材質を変えた織布な
どを利用した粘着シートなどを使用することは好
ましいことである。

〈考案の効果〉 以上のように本考案の生体用電極は、粘着シー
トによつて皮膚面に固定出来るので長時間良好に
密着、固定出来て、生体医学的診断装置と接続す
るための導電性舌片にリード線端子を取りつける
際に、非粘着な薄層を介在させているので導電性
舌片を起立させやすく、従来の如き舌片を外部に
有する生体用電極と比べて内部に舌片を有する本
考案の生体用電極は非常に接続操作が簡便とな
り、接続後に導電性物質層が生体表面の接続端面
から浮き上がることなく、またリード線端子の接
続後の重量負荷も生体用電極全体にかかるので、
局部負荷による密着性不良やそれに付随する電気
信号の不安定性を改善することが出来る。

また各図から明らかなように、本考案の生体用
電極は電極片の内部区域に切れ目によつて接続用
の導電性舌片を設けているので高価な電極片材料
の無駄がなく、しかもコンパクトに包装出来、且
つ保存時の嵩張りを少なくすることが出来るとい
う特徴を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の生体用電極の平面図、第２図
他の生体用電極の平面図、第３図は第２図の−
′線での断面図、第４図及び第５図は他の生体
用電極の平面図である。 １……電極片、２……薄層、３……導電性物質
層、４……粘着シート、５……切れ目、６……導
電性舌片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 皮膚面に追従する柔軟な電極片と、実質的に
   非粘着な小面積の薄層と、生体からの電気信号
   を前記電極片に伝達する柔軟な電導性物質層と
   がこの順序で積層され、前記電極片上には該片
   の周縁部を少なくとも部分的に越えて突出する
   ように粘着シートが貼着され、且つ前記電極片
   の薄層形成区域内に切れ目にて導電性舌片が形
   成されている生体用電極。 (2) 電極片が導電層と電気絶縁層との積層物から
   なり、導電層側に前記薄層及び導電性物質層が
   順次設けられている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の生体用電極。