JP2000314809A - カラー液晶プロジェクタ用サファイアガラス板付き偏光板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】明るさと耐久性のいずれもが良好なカラー液晶
プロジェクタを得るための偏光板の提供。 【解決手段】サファイアガラス板と偏光板を有し、該サ
ファイアガラス板の結晶軸と該偏光板の偏光透過軸が平
行または直交の関係にあるカラー液晶プロジェクタ用サ
ファイアガラス板付き偏光板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー液晶プロジェク
タ用サファイアガラス板付き偏光板およびカラー液晶プ
ロジェクタに関する。

【０００２】

【従来の技術】カラー液晶投射型ディスプレー、即ちカ
ラー液晶プロジェクタの場合、その液晶画像形成部に偏
光板を使用する為に光が大幅に吸収されること、および
１インチ〜６インチの小面積の画像を数１０インチない
し数１００インチ程度まで拡大すること等により、明る
さの低減は避けられず、その為光源としては高い輝度の
ものが使用される。一方、プロジェクタの一層の明るさ
の向上要望も根強く、その結果として自ずと、使用する
光源強度は益々強くなって来ている。

【０００３】ところで、一般にカラー液晶プロジェクタ
の液晶画像形成部には、偏光板として、偏光性能の良好
なニュートラルグレーの沃素系偏光板が使用されてい
た。しかし、沃素系偏光板は沃素が偏光子であるが故に
耐光性、耐湿熱性が十分でないという問題がある。この
問題を解決するため、染料系の二色性色素を偏光子とし
た偏光板が使用されるようになってきた。このような偏
光板は、通常非晶質のガラスを支持体として使用されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、最近のカラー
液晶プロジェクタの小型化、軽量化の要請により、使用
する光源強度は益々強くなり、明るさと耐久性を兼ね備
えた偏光板およびカラー液晶プロジェクタが望まれてい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題を
解決するため種々検討した結果、偏光板の支持体として
サファイアガラス板を使用し、かつサファイアガラス板
の結晶軸と該偏光板の偏光透過軸を一定の関係にするこ
とにより、明るさと耐久性を兼ね備えた偏光板が得ら
れ、また位相差板を併用しかつサファイアガラス板の結
晶軸とその遅相軸または進相軸を一定の関係にすること
により、耐久性が良好で映像のより明るいカラー液晶プ
ロジェクタが得られることを見い出し、本発明を完成し
た。即ち、本発明は、（１）サファイアガラス板と偏光
板を有し、該サファイアガラス板の結晶軸と該偏光板の
偏光透過軸が平行または直交の関係にあるカラー液晶プ
ロジェクタ用サファイアガラス板付き偏光板、（２）サ
ファイアガラス板と偏光板の間に１／２波長板を有し、
該１／２波長板の遅相軸が該サファイアガラス板の結晶
軸に対し４５度の関係にある（１）に記載のカラー液晶
プロジェクタ用サファイアガラス板付き偏光板、（３）
サファイアガラス板と偏光板および両者の間に１／２波
長板を有し、該サファイアガラス板の結晶軸に対し該偏
光板の偏光透過軸が４５度の関係にあり、該１／２波長
板の遅相軸または進相軸が該サファイアガラス板の結晶
軸に対し偏光透過軸に向かって２２．５度の関係にある
カラー液晶プロジェクタ用サファイアガラス板付き偏光
板、

【０００６】（４）（１）ないし（３）のいずれか一項
に記載のサファイアガラス板付き偏光板を有するカラー
液晶プロジェクタ、（５）サファイアガラス板を通過す
る偏光の偏光軸がサファイアガラス板の結晶軸と平行ま
たは直交関係になるようにサファイアガラス板付き偏光
板を配置した（４）に記載のカラー液晶プロジェクタ、
（６）偏光ビームスプリッターを有する（４）または
（５）に記載のカラー液晶（７）偏光板面を液晶表示パ
ネル側にして、入射側にサファイアガラス板付き偏光板
を配置し、さらに偏光ビームスプリッターから照射され
る偏光の偏光軸がサファイアガラス板の結晶軸と平行ま
たは直交関係になるように配置した（６）に記載のカラ
ー液晶プロジェクタ、（８）偏光板面を液晶表示パネル
側にして、出射側にサファイアガラス板付き偏光板を配
置した（４）または（５）に記載のカラー液晶プロジェ
クタ、に関する。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明のカラー液晶プロジェクタ
用サファイアガラス板付き偏光板は、サファイアガラ
ス板と偏光板を有し、該サファイアガラス板の結晶軸と
該偏光板の偏光透過軸が平行または直交の関係にあるこ
と、またはサファイアガラス板と偏光板および両者の
間に１／２波長板を有し、該サファイアガラス板の結晶
軸に対し該偏光板の偏光透過軸が４５度の関係にあり、
該１／２波長板の遅相軸または進相軸が該サファイアガ
ラス板の結晶軸に対し偏光透過軸に向かって２２．５度
の関係にあることを特徴とする。

【０００８】サファイアガラスは、無色透明なサファイ
ア（コランダム）の単結晶である。この単結晶は酸化ア
ルミニウムからなり、六方晶系の結晶系を有する。本発
明で使用するサファイアガラス板は、この無色透明なサ
ファイアの単結晶を板状にしたもので、例えば結晶軸に
対して平行な面（Ａ面）に切断したもの、結晶軸に対し
て垂直な面（Ｃ面）に切断したもの、結晶軸に対して斜
めな面（Ｒ面）に切断したもの等の種種のものがあげら
れる。このサファイアガラス板の大きさは所望の大きさ
で良く、例えば一辺または径が５〜３００ｍｍ、好まし
くは２０〜２００ｍｍ程度であり、その形状は長方形、
正方形、円形等、特に制限はないが、通常は長方形が好
ましい。サファイアガラス板の厚さは０．１〜５ｍｍ、
好ましくは０．３〜２ｍｍ程度がよい。

【０００９】本発明で使用する偏光板は，ヨウ素系でも
染料系でもよいが、より高い耐久性を考慮すると染料系
が好ましい。このような偏光板は、ヨウ素や二色性染料
で高分子フィルムを染色し、ついでそので高分子フィル
ムを一軸延伸することにより、また必要に応じこの延伸
フィルムを二枚の支持フィルムで狭持することにより、
製造することができる。高分子フィルムを一軸延伸した
後、ヨウ素や二色性染料で染色することによっても、染
色と一軸延伸を同時に行っても良い。高分子フィルムの
一軸延伸法としては、例えば湿式法、乾式法などがあげ
られる。延伸は４〜５倍程度が普通である。

【００１０】高分子フィルムとしては、例えばＰＶＡ
（ポリビニルアルコール）系膜、このＰＶＡ系膜をエチ
レン、プロピレンのようなオレフィンや、クロトン酸、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和
カルボン酸などで変性したもの、ＥＶＡ（エチレン／ビ
ニルアセテート）樹脂、ケン化ＥＶＡ樹脂、ナイロン樹
脂、ポリエステル樹脂等の偏光膜基材が挙げられるが、
ＰＶＡ系膜が、染料の吸着性や配向性の点から、好まし
い。ＰＶＡ系膜としては、例えばＰＶＡ膜、ポリビニル
ブチラール膜等があげられるが、ＰＶＡ膜が好ましい。
偏光膜の膜厚は１０〜５０μ、好ましくは２５〜３５μ
程度が好ましい。

【００１１】偏光膜のみで偏光機能は有するが、強烈な
光線照射、高温または高温高湿の苛酷な環境条件に対し
て十分高い耐久性を付与する為に、好ましくは紫外線吸
収剤を含有する、トリアセチルセルロース等の支持フィ
ルムを両面より積層接着して偏光板とするのが好まし
い。支持フィルムとしては、例えばＴＡＣ（トリアセチ
ルセルロース）等のセルロースアセテート系フィルムや
アクリル系フィルム、四フッ化エチレン／六フッ化プロ
ピレン系共重合体のようなフッ素系フィルム、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂
もしくはポリアミド系樹脂からなるフィルム処理したも
のがあげられるが、ＴＡＣフィルムが好ましい。この支
持フィルムの膜厚は、３０〜２５０μ、好ましくは５０
〜１９０μ程度がよい。

【００１２】本発明で使用する偏光板の表面には透明な
保護膜を設けても良い。保護膜としては、例えばアクリ
ル系やポリシロキサン系のハードコート膜やウレタン系
の膜等があげられる。また、この保護膜の上にＡＲ（反
射防止）層を設けてもよい。ＡＲ層として、例えば二酸
化珪素、酸化チタン等の物質を蒸着またはスパッタリン
グ処理によって形成することができ、またフッソ系物質
を薄く塗布することにより形成することができる。

【００１３】この偏光板の大きさは、所望の大きさで良
く、例えば一辺または径が５〜３００ｍｍ、好ましくは
２０〜２００ｍｍ程度であり、その形状は長方形、正方
形、円形等、特に制限はないが、通常は長方形が好まし
い。その厚さは０．１〜１ｍｍ、好ましくは０．１〜
０．３ｍｍ程度がよい。

【００１４】本発明のカラー液晶プロジェクタ用サファ
イアガラス板付き偏光板における一つの態様は、上記の
サファイアガラス板と偏光板を、該サファイアガラス板
の結晶軸と該偏光板の偏光透過軸とが平行または直交の
関係になるように両者を貼付したものである。このよう
にすることにより、透過する偏光の偏光状態を維持する
ことができ、映像のコントラストをよりはっきりさせる
ことができる。また、単板光透過率をより向上させるた
めに、そのサファイアガラス面または偏光板面の一方も
しくは双方の面にＡＲ層を設けることが好ましい。

【００１５】また、上記のカラー液晶プロジェクタ用サ
ファイアガラス板付き偏光板のサファイアガラス板と偏
光板の間に１／２波長板を狭持させても良い。この場
合、該１／２波長板の遅相軸または進相軸が該サファイ
アガラス板の結晶軸に対し４５度の関係になるように狭
持させる。また、１／２波長板が遅相軸または進相軸を
複数設けたものである場合、複数の遅相軸同士または進
相軸同士の平均値が４５度の関係になるように狭持させ
る。このようにすることにより、映像の明るさがより向
上し、色相がより鮮明となる。また、カラー液晶プロジ
ェクタの３原色光集光部における集光漏れによる３原色
のクロストークを防止することができる。

【００１６】また、本発明のカラー液晶プロジェクタ用
サファイアガラス板付き偏光板における他の態様は、サ
ファイアガラス板と１／２波長板と偏光板がこの順序で
積層され、該サファイアガラス板の結晶軸に対し該偏光
板の偏光透過軸が４５度の関係になるように、また該１
／２波長板の遅相軸（または進相軸）が該サファイアガ
ラス板の結晶軸に対し偏光板の偏光透過軸に向かって２
２．５度の関係になるように積層されたものでもよい。
１／２波長板が遅相軸または進相軸を複数設けたもので
ある場合、複数の遅相軸同士または進相軸同士の平均値
が２２．５度の関係になるように積層される。

【００１７】このようにすることにより、透過する偏光
の偏光状態を維持することができ、映像のコントラスト
をよりはっきりさせることができる。また、映像の明る
さがより向上し、色相がより鮮明となる。また、カラー
液晶プロジェクタの３原色光集光部における集光漏れに
よる３原色のクロストークを防止することができる。ま
た、単板光透過率をより向上させるために、そのサファ
イアガラス面または偏光板面の一方もしくは双方の面に
ＡＲ層を設けることが好ましい。

【００１８】本発明のカラー液晶プロジェクタ用サファ
イアガラス板付き偏光板を製造するには、例えばまずサ
ファイアガラス板の結晶軸、偏光板の偏光透過軸、１／
２波長板の遅相軸または進相軸を正確に測定し、１つの
辺を基準として所望の軸角度と大きさで、矩形に切り、
サファイアガラス板に透明な接着（粘着）剤を塗布し、
ついでこの塗布面に偏光板を貼付すればよい。また、偏
光板に透明な接着（粘着）剤を塗布し、ついでこの塗布
面にサファイアガラス板を貼付してもよい。ここで使用
する接着（粘着）剤は、例えばアクリル酸エステル系の
ものが好ましい。なお、１／２波長板を狭持させる場合
は、例えば偏光板と１／２波長板を両者の軸が所望の角
度となるように、貼付した後、１／２波長板面に接着
（粘着）剤を塗布し、ついでこの塗布面にサファイアガ
ラス板を貼付してもよい。また、位相差板側をガラス成
形品に貼付するほうが通常であるが、偏光板側をサファ
イアガラス板に貼付してもよい。

【００１９】本発明のカラー液晶プロジェクタは上記の
サファイアガラス板付き偏光板を有する。通常は液晶表
示パネルの入射側（光源側）に、サファイアガラス板を
光源側にして、配置される。液晶表示パネルの出射側は
通常のガラス付き偏光板を使用してもよく、また本発明
のサファイアガラス板付き偏光板を使用してもよい。ま
た、上記のサファイアガラス板付き偏光板には、大きく
分けて、サファイアガラス板の結晶軸と偏光板の偏光軸
が平行または直交関係にあるものと、４５度の関係にあ
るものの２種類に存在するが、使用する液晶表示パネル
の種類に応じ、適宜選択される。

【００２０】液晶表示パネルの液晶セルは、例えば液晶
の配向方向によって、入射偏光軸角度が０度または９０
度のものと４５度または１３５度のものが一般に使用さ
れている。前者にはサファイアガラス板の結晶軸と偏光
板の偏光軸が平行または直交関係にあるものが使用さ
れ、後者にはサファイアガラス板の結晶軸と偏光板の偏
光軸が４５度の関係にあるものが使用される。また、液
晶セルとしては、例えば電極及びＴＦＴが形成された透
明基板と対向電極が形成された透明基板との間にＴＮ液
晶を封入して製造されるツイストネマチック（ＴＮ）型
のアクティブマトリクス駆動方式のものがあげられる。

【００２１】本発明のカラー液晶プロジェクタは、光源
と入射側偏光板の間に偏光ビームスプリッターを設ける
ことが、偏光板に対する負荷を減らすことができ、好ま
しい。この場合、サファイアガラス板を通過する偏光の
偏光軸がサファイアガラス板の結晶軸と平行または直交
関係になるようにサファイアガラス板付き偏光板を配置
する。また、出射側偏光板の負荷のほうが、入射側偏光
板の負荷よりも大きくなるので、出射側偏光板に本発明
のサファイアガラス板付き偏光板を配置したほうが好ま
しい。この場合、入射側偏光板は従来のガラス板付き偏
光板を使用することができる。また、ガラス板の外面に
は反射防止用の多層膜（反射防止膜）が形成されてい
る。さらに、紫外線カットフィルタを光源と上記の間に
配置したものが好ましい。なお、偏光ビームスプリッタ
ーは、自然光を互いに直交する偏光に分離する機能を有
する光学部品のことである。

【００２２】光入射側偏光板は強度の光にさらされる。
このため、その温度が高くなる。通常の液晶表示素子の
ように、液晶セルと光入射側偏光板が密着していると、
光入射側偏光板の熱が液晶セルに伝達し、液晶セル内の
液晶がＮＩ点を越えて、表示ができなくなってしまう。
これを避けるため、液晶セルと光入射側偏光板とを離間
して配置し、冷却ファン等により空気やガスを循環させ
て、液晶セルの過熱を防止する（水冷方式でもよい）。

【００２３】本発明のカラー液晶プロジェクタの１例を
あげると、メタルハライドランプ等の光源から放射され
た光は、紫外線カットフィルタや偏光ビームスプリッタ
ーを通過し、ついで２つのダイクロイックミラーでＲ
（赤色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）の３原色の光にわけ
られ、それぞれ上記偏光板を通過して液晶表示パネルに
照射される。液晶表示パネルを通過した３原色の光は、
出射側の偏光板を通過しダイクロイックプリズムにより
集光された後、投射レンズにより拡大されてスクリーン
に投影される。

【００２４】

【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。なお、本実施例においてフィルムカット時の角度
表示は、フィルムに存在する粘着剤層を裏側にして長辺
を手前にセットして、反時計回りに測定した角度であ
る。

【００２５】実施例１ 結晶軸に平行に切り出され、片面をＡＲ加工処理された
長方形状のサファイアガラス板（縦３０ｍｍ、横３６ｍ
ｍ、厚さ０．７ｍｍ、結晶軸は縦方向）の結晶軸を偏光
顕微鏡で確認したところ、０．５度以内の誤差で縦方向
であった。また、片面に粘着剤層を有し、他面にＡＲ加
工処理を施した染料系偏光板（ポラテクノ社製）を、偏
光透過軸の角度が９０度となるように、その原反からサ
ファイアガラス板と同じ大きさに正確に切り出した。こ
の偏光板の偏光透過軸を偏光顕微鏡で確認したところ、
０．５度以内の誤差で縦方向であった。この偏光板の粘
着剤面にサファイアガラス板を、サファイアガラス板の
縦軸と染料系偏光板の縦軸を正確にあわせかつそのＡＲ
加工処理面を外側にして、貼付し、本発明のサファイア
ガラス板付き偏光板を得た。

【００２６】実施例２ 片面に粘着剤層を有するポリビニルアルコール系１／２
波長板（ポラテクノ社製、青用；位相差値２２５ｎｍ、
緑用；位相差値２７５ｎｍ、赤用；位相差値３０５ｎ
ｍ）を、その原反から、縦３０ｍｍ、横３６ｍｍの大き
さで、遅相軸角度が４５度となるように長方形状に正確
に切り出した。この１／２波長板の遅相軸を偏光顕微鏡
で確認したところ、０．５度以内の誤差で４５度の方向
であった。次に、この１／２波長板の上に実施例１記載
の片面に粘着剤層を有し、他面にＡＲ加工処理を施した
染料系偏光板（ポラテクノ社製）のカットしたフィルム
を各辺が一致するように粘着剤面に正確に貼付した。こ
の１／２波長板付き偏光板を実施例１記載のサファイア
ガラス板の各辺と染料系偏光板の各辺を正確にあわせ
て、サファイアガラス板のＡＲ加工処理面を外側にし
て、貼付し、青用、緑用、赤用という３枚の本発明のサ
ファイアガラス板付き偏光板を得た。

【００２７】実施例３ 片面に粘着剤層を有し、他面にＡＲ加工処理を施した長
方形状の染料系偏光板（ポラテクノ社製）を、その原反
から偏光透過軸角度が４５度になるように、縦３０ｍ
ｍ、横３６ｍｍの大きさで、長方形に正確に切り出し
た。この偏光透過軸を偏光顕微鏡で確認したところ、
０．５度以内の誤差で４５度であった。また、片面に粘
着剤層を有するポリビニルアルコール系１／２波長板
（ポラテクノ社製、青用；位相差値２２５ｎｍ、緑用；
位相差値２７５ｎｍ、赤用；位相差値３０５ｎｍ）を、
遅相軸角度が６７．５度となるように、その原反から、
縦３０ｍｍ、横３６ｍｍの大きさで長方形に正確に切り
出した。この１／２波長板の遅相軸角度を偏光顕微鏡で
確認したところ、０．５度以内の誤差で６７．５度の方
向であった。次に、実施例２と同様の方法で染料系偏光
板と１／２波長板を貼付し、その後実施例１記載のサフ
ァイアガラス板を実施例２と同様の方法で貼付し、青
用、緑用、赤用という３枚の本発明のサファイアガラス
板付き偏光板を得た。

【００２８】実施例４ ポリビニルアルコール系１／２波長板の遅相軸角度を２
２．５度とする以外は実施例３と同様にして青用、緑
用、赤用という３枚の本発明のサファイアガラス板付き
偏光板を得た。

【００２９】実施例５ 実施例１の方法で得られたサファイアガラス板付き偏光
板を使用した液晶プロジェクタの例を図１に示す。この
例では、通常のガラス板に１／２波長板付き偏光板を貼
付したガラス板付き偏光板を入射側偏光板として、偏光
板面を液晶側にして配置し、サファイアガラス板付き偏
光板は液晶セルの出射側に、偏光板面を液晶側にして配
置している。光源（メタルハライドランプ）１から出射
された可視光線は紫外線カットフィルタ（赤外線カット
機能も有している）２を通過し、偏光ビームスプリッタ
４により偏光とされた後、第一の分解用ダイクロイック
ミラー５で赤（Ｒ）が分離され、ついで第二の分解用ダ
イクロイックミラー５で緑（Ｇ）と青（Ｂ）に分解され
て３原色を得る。Ｒ、Ｇ、Ｂそれぞれの光線は入射側偏
光板７Ｂ、７Ｒ、７Ｇに入射され、一定方向の偏光の光
線のみが液晶セル８に入射する。液晶セル８を通過した
偏光は本発明のサファイアガラス板付き偏光板を配置し
た出射側偏光板９Ｂ、９Ｒ、９Ｇの偏光板側に入射す
る。出射側偏光板９Ｂ、９Ｒを通過したＲ、Ｂそれぞれ
の光線は直接合成用ダイクロイックミラー付クロスプリ
ズム１１へ入射し、また９Ｇを通過したＧの光線は１／
２波長板１０を通過して合成用ダイクロイックミラー付
クロスプリズム１１へ入射する。その後、クロスプリズ
ム１１を通過して合成された偏光は、投射レンズ１２を
介してスクリーン１３に投射される。

【００３０】実施例６ 実施例５において、実施例２記載のサファイアガラス板
付き偏光板を入射側偏光板とし、偏光板面を液晶側にし
て、配置し、偏光ビームスプリッタから発射される偏光
の偏光軸がサファイアガラス板の結晶軸と平行となるよ
うにした以外は実施例５と同様にして、本発明の液晶プ
ロジェクタを得る。

【００３１】実施例７ 実施例５において、１／２波長板１０の存在しない色合
成用ダイクロイックミラー付クロスプリズム１１を使用
し、実施例３記載のサファイアガラス板付き偏光板を入
射側偏光板及びＢ用、Ｒ用の出射側偏光板とし、また実
施例４記載のサファイアガラス板付き偏光板をＧ用の出
射側偏光板として、偏光板面を液晶側にして、配置し、
偏光ビームスプリッタから発射される偏光の偏光軸がサ
ファイアガラス板の結晶軸と平行となるようにした以外
は実施例５と同様にして、本発明の液晶プロジェクタを
得る。

【００３２】実験例 偏光ビームスブリッターのない単板プロジェクタに、実
施例１のサファイアガラス板付き偏光板を入射側及び出
射側偏光板として使用し、投射映像を観察した。その結
果、投射映像は明るく、コントラストも良好で、かつ鮮
明であった。また、耐久性試験を行ったところ、８００
時間後でも投射画面に変化はなく、良好な投射映像であ
った。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、明るさと耐久性のいず
れもが良好で、高コントラストの画像を長時間安定的に
表示できる液晶プロジェクタが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例５にかかる液晶プロジェクタの
構造を示す図である。

【符号の説明】 １：光源（メタルハライドランプ） ２：ＵＶ・ＩＲカットフィルタ ３： インテグレーターレンズ（マルチレンズ） ４：偏光ビームスプリッタ ５：色分解用ダイクロイックミラー ６：ミラー ７Ｒ：赤用入射側偏光板 ７Ｇ：緑用入射側偏光板 ７Ｂ：青用入射側偏光板 ８：ＴＦＴ液晶セル ９Ｒ：赤用出射側偏光板 ９Ｇ：緑用出射側偏光板 ９Ｂ：青用出射側偏光板 １０：１／２波長版 １１：色合成用ダイクロイックミラー付クロスプリズム １２：投射レンズ １３：スクリーン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植木 和恵 新潟県中頸城郡板倉町稲増192−６ (72)発明者 川辺 和幸 新潟県中頸城郡板倉町稲増192−６ (72)発明者 石月 紀男 新潟県中頸城郡板倉町稲増192−６ (72)発明者 古橋 繁樹 新潟県中頸城郡板倉町稲増192−６ (72)発明者 松尾 正 新潟県中頸城郡板倉町稲増192−６ Ｆターム(参考） 2H049 BA02 BA05 BA06 BA25 BA26 BB03 BB42 BC03 BC22 2H088 EA14 HA01 HA13 HA16 HA18 HA20 HA21 HA24 MA02 MA06 MA20 2H091 FA05Z FA08Z FA10Z FA11Z FA14Z FA26X FA26Z FA41Z FB02 FC08 GA01 LA11 LA16 LA17 MA07

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】サファイアガラス板と偏光板を有し、該サ
   ファイアガラス板の結晶軸と該偏光板の偏光透過軸が平
   行または直交の関係にあるカラー液晶プロジェクタ用サ
   ファイアガラス板付き偏光板。
2. 【請求項２】サファイアガラス板と偏光板の間に１／２
   波長板を有し、該１／２波長板の遅相軸が該サファイア
   ガラス板の結晶軸に対し４５度の関係にある請求項１に
   記載のカラー液晶プロジェクタ用サファイアガラス板付
   き偏光板。
3. 【請求項３】サファイアガラス板と偏光板および両者の
   間に１／２波長板を有し、該サファイアガラス板の結晶
   軸に対し該偏光板の偏光透過軸が４５度の関係にあり、
   該１／２波長板の遅相軸または進相軸が該サファイアガ
   ラス板の結晶軸に対し偏光透過軸に向かって２２．５度
   の関係にあるカラー液晶プロジェクタ用サファイアガラ
   ス板付き偏光板。
4. 【請求項４】請求項１ないし３のいずれか一項に記載の
   サファイアガラス板付き偏光板を有するカラー液晶プロ
   ジェクタ。
5. 【請求項５】サファイアガラス板を通過する偏光の偏光
   軸がサファイアガラス板の結晶軸と平行または直交関係
   になるようにサファイアガラス板付き偏光板を配置した
   請求項４に記載のカラー液晶プロジェクタ。
6. 【請求項６】偏光ビームスプリッターを有する請求項４
   または５に記載のカラー液晶プロジェクタ。
7. 【請求項７】偏光板面を液晶表示パネル側にして、入射
   側にサファイアガラス板付き偏光板を配置し、さらに偏
   光ビームスプリッターから照射される偏光の偏光軸がサ
   ファイアガラス板の結晶軸と平行または直交関係になる
   ように配置した請求項６に記載のカラー液晶プロジェク
   タ。
8. 【請求項８】偏光板面を液晶表示パネル側にして、出射
   側にサファイアガラス板付き偏光板を配置した請求項４
   または５に記載のカラー液晶プロジェクタ。