JP2000314380A - 密閉形電動圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、運転回転速度の制御が可能な冷蔵庫
やルームエアコン等に使用される密閉形電動圧縮機にお
いて、低速回転では圧縮機構部への潤滑油をより多く供
給し信頼性を高めた密閉形電動圧縮機を提供することを
目的とする。 【解決手段】本発明の給油構造は例えばインバータ等に
よる低速運転時においても、シリンダとピストンに十分
な潤滑油を供給することが可能となる。また、潤滑油に
よるシリンダとピストンの冷却不足による温度上昇を防
止し、吸入される冷媒の過熱やシリンダとピストンのシ
ール性の低下を防止することで、圧縮機の体積効率の低
下を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は密閉形電動圧縮機の
給油機構に係わり、特に、圧縮機構部に潤滑油を充分に
供給できるようにした密閉形電動圧縮機に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】以下従来の密閉形電動圧縮機の給油機構
について図５を用いて説明する。図５は密閉形電動圧縮
機の一例を示す縦断面図である。

【０００３】図５において給油構造はクランクシャフト
１とクランクシャフト１に圧入された給油ピース２、及
びクランクシャフト１を支持するフレーム３からなり、
クランクシャフト１はフレーム３に貫挿され、電動機要
素であるロータ４と直結されている。また給油ピース２
の先端は密閉容器５の底部に貯留されている潤滑油６を
吸い込むための先端穴２ａが設けられている。

【０００４】従来の給油構造は、クランクシャフト１が
回転することにより給油ピース２の先端穴２ａより流入
した潤滑油６を遠心力によって給油通路１ａ内の中心軸
７より最も外側の壁面をつたい上方へ押し上げられる。
その後クランクシャフト１の外周に螺旋形の流路溝１ｂ
まで届くと粘性、及びフレーム３との相対速度により、
螺旋形の流路溝１ｂに沿って上方へ運ばれ、中心軸７よ
り偏心した位置に設けられたクランクシャフトピン部８
の内径にたどり着くと遠心力によりクランクシャフトピ
ン部８の内径の壁面をつたいクランクシャフトピン部８
の上端部より飛散し、シリンダ９やピストン１０等の摺
動部に給油している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のような構成では、例えば密閉形電動圧縮機がインバ
ータ等により可変速に運転され、特に低速で運転された
際、クランクシャフトの回転運動も低下するため、圧縮
機構部８の給油能力が低下し、シリンダとピストンへの
給油量が低下してしまう。

【０００６】従って、低速運転時に、シリンダとピスト
ンの給油不足による潤滑不良が発生することで、信頼性
への問題が生じる。また、潤滑油によるシリンダとピス
トンの冷却が不足して、シリンダとピストンの温度が上
昇し、吸入される冷媒が過熱されたり、シリンダとピス
トンのシール性が低下することによって、圧縮機の体積
効率が低下するといった問題があった。この種のクラン
クシャフトに給油溝を設ける公知例として平10−82366
号記載のもの等があげられる。

【０００７】本発明は従来の課題を解決するもので、例
えばインバータ等による低速運転時においても、シリン
ダとピストンに十分な潤滑油を供給することが可能とな
る。また、潤滑油によるシリンダとピストンの冷却不足
による温度上昇を防止し、吸入される冷媒の過熱やシリ
ンダとピストンのシール性の低下を防止することで、圧
縮機の体積効率の低下を防止できる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の密閉形電動圧縮機は、クランクシャフト縦穴
内壁部にコイルスプリングを設け、クランクシャフト縦
穴内壁部とコイルスプリングの相対速度の差によって、
低速運転時においても圧縮機構部に給油ができる構造と
して達成することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図１ないし
図３を用いて説明する。

【００１０】図１は本発明の一実施例の密閉形電動圧縮
機の縦断面図、図２は本発明のクランクシャフト縦穴内
壁部にコイルスプリングを設けた拡大図、図３は本発明
のクランクシャフト縦穴内壁部にコイルスプリングを設
けコイルスプリングの傾斜を大きくとった拡大図、図４
は本発明のクランクシャフト縦穴内壁部にコイルスプリ
ングを設け潤滑油に浸かるコイルスプリングの部分だけ
コイルスプリングの径をクランクシャフト内壁部の径方
向に小さくとった拡大図である。

【００１１】図１，図２，図３，図４においてコイルス
プリング１１は密閉容器５の下部に設置されているスト
ッパ１３に固定され、クランクシャフト１のクランクシ
ャフト縦穴内壁部１ｃに挿入されるように位置されてい
る。

【００１２】以上のように構成された密閉形圧縮機にお
いて以下その動作について説明する。

【００１３】クランクシャフト１が回転することにより
クランクシャフト縦穴内壁部１ｃに挿入されたコイルス
プリング１１がストッパ１３に固定され、コイルスプリ
ングのコイル傾き１２を設けることで密閉容器５の下部
に溜まった潤滑油６はクランクシャフト１とコイルスプ
リング１１との相対速度の差によってコイルスプリング
１１に連通した潤滑油６ａが形成されたのち、上方へ押
し上げられクランクシャフト１の螺旋形の流路溝１ｂま
で届くと粘性、及びフレーム３との相対速度により、螺
旋形の流路溝１ｂに沿って上方へ運ばれ、中心軸７より
偏心した位置に設けられたクランクシャフトピン部８の
内径にたどり着くと遠心力によりクランクシャフトピン
部８の内径の壁面をつたいクランクシャフトピン部８の
上端部より飛散し、シリンダ９やピストン１０等の摺動
部に給油する。

【００１４】また、上記コイルスプリングのコイル傾き
１２を大きくすることでシャフト１の一回転中の給油量
は増加する。

【００１５】さらに、潤滑油６に浸かるコイルスプリン
グ１１の部分だけコイルスプリング１１の径をクランク
シャフト内壁部１ｃの径方向に小さくとることによっ
て、コイルスプリング１１の抵抗が減り、さらに、給油
量は増加することになる。

【００１６】したがって、例えばインバータ等による低
速運転時においても、シリンダとピストンに十分な潤滑
油を供給することが可能となる。また、潤滑油によるシ
リンダとピストンの冷却不足による温度上昇を防止し、
吸入される冷媒の過熱やシリンダとピストンのシール性
の低下を防止することで、圧縮機の体積効率の低下を防
止できる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明はクランクシ
ャフト１が回転することによりクランクシャフト縦穴内
壁部１ｃに挿入されたコイルスプリング１１がストッパ
１３に固定され、コイルスプリングのコイル傾き１２を
設けることで密閉容器５の下部に溜まった潤滑油６はク
ランクシャフト１とコイルスプリング１１との相対速度
の差によってコイルスプリング１１に連通した潤滑油６
ａが形成されるため、例えばインバータ等による低速運
転時においても、シリンダとピストンに十分な潤滑油を
供給することが可能となる。また、潤滑油によるシリン
ダとピストンの冷却不足による温度上昇を防止し、吸入
される冷媒の過熱やシリンダとピストンのシール性の低
下を防止することで、圧縮機の体積効率の低下を防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の密閉形電動圧縮機の一例を示
す縦断面図。

【図２】本発明のクランクシャフト縦穴内壁部にコイル
スプリングを設けた拡大図。

【図３】本発明のクランクシャフト縦穴内壁部にコイル
スプリングを設けコイルスプリングの傾斜を大きくとっ
た拡大図。

【図４】本発明のクランクシャフト縦穴内壁部にコイル
スプリングを設け潤滑油に浸かるコイルスプリングの部
分だけコイルスプリングの径をクランクシャフト内壁部
の径方向に小さくとった拡大図。

【図５】従来の密閉形電動圧縮機の一例を示す縦断面
図。

【符号の説明】

１…クランクシャフト、１ａ…給油通路、１ｂ…螺旋形
の流路溝、１ｃ…クランクシャフト縦穴内壁、２…給油
ピース、３…フレーム、４…ロータ、５…密閉容器、６
…潤滑油、６ａ…コイルに連通した潤滑油、７…給油通
路中心軸、８…クランクシャフトピン部、９…シリン
ダ、１０…ピストン、１１…コイルスプリング、１２…
コイルスプリングのコイルの傾き角度、１３…ストッ
パ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石山 明彦 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 川南 茂也 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 Ｆターム(参考） 3H003 AA02 AB03 AC01 BD03 BD07 CA01

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧縮機構部と電動モータ部を一体化して密
   閉容器内に納め、前記電動モータ部の回転子にて駆動さ
   れるクランクシャフトが前記密閉容器内に溜められた潤
   滑油を備えたものにおいて、前記容器内下部に垂直方向
   にコイルスプリングを固定し、且つ前記クランクシャフ
   トの縦穴内壁部に接するようにコイルスプリングを設け
   る給油構造とした密閉形電動圧縮機。