JP2000313606A - 高度さらし粉と塩化カルシウム水溶液の併産方法 - Google Patents
高度さらし粉と塩化カルシウム水溶液の併産方法Info
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Abstract
ムと塩化カルシウムから高度さらし粉と塩化カルシウム
水溶液を合理的に、経済的に、かつ工業的に併産する方
法を提供する。 【解決手段】 (イ)石灰乳を得、(ロ)該石灰乳を塩
素化して次亜塩素酸カルシウム二水化物を晶析させる
際、種晶として所定の柱状次亜塩素酸カルシウム二水化
物を添加し、粗大な次亜塩素酸カルシウム二水化物スラ
リーを得、(ハ)該粗大次亜塩素酸カルシウム二水化物
スラリーを分離して、次亜塩素酸カルシウム二水化物の
湿潤ケークと、所定の母液を得、(ニ)該次亜塩素酸カ
ルシウム二水化物の湿潤ケークを乾燥して高度さらし粉
を製造し、(ホ)(ハ)の所定の母液に塩酸を添加し、
または該母液とMn、Fe、Co、Ni、Cu、Pdの
少なくとも1種の酸化物と接触させ、次亜塩素酸カルシ
ウムを分解して、塩化カルシウム水溶液を得る高度さら
し粉と塩化カルシウム水溶液の併産方法。
Description
剤として使用される高度さらし粉及び融雪剤、防塵剤、
冷媒等に用いられる塩化カルシウム水溶液の経済性に優
れ、生産性が良く、環境保全面にも優れた併産方法に関
するものである。
ウム二水化物の乾燥により得られ、その製造方法は多岐
に渡っており、その多くは原料として石灰と塩素のみで
なく苛性ソーダも用いている。原料として石灰と塩素と
苛性ソーダを用いる製造方法としては、例えば、特開昭
50−87994号公報、USP3251647号公
報、特開昭52−134895号公報などがあげられ
る。
ーダが用いられることにより、製造段階で次亜塩素酸カ
ルシウム二水化物結晶と食塩結晶が同時に析出し、両結
晶を分級により分別しているが、分別が十分でないた
め、高度さらし粉の純度も、副生する食塩の純度も十分
でなかった。
ソーダを用いないで石灰の塩素化で次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物を製造する方法が最も合理的である。また、
母液の主成分は塩化カルシウムであり、食塩と比べてそ
の利用価値は高い。
成長は難しいため結晶形は絹糸状となり、その濾過は大
変難しく、得られるケークの有効塩素濃度も低いもので
あった。水を加えて母液の塩化カルシウム濃度を低くす
れば結晶成長はよくなるが、水バランスの悪化、そして
塩素原単位の悪化につながる。また、母液中の塩化カル
シウム濃度が低く、その利用価値が小さくなる。
報においては、特異な柱状種晶を添加する方法で、母液
の塩化カルシウム濃度が高くても次亜塩素酸カルシウム
二水化物の、粗大な結晶が製造できる方法を提案してい
る。この方法によれば結晶の濾過性も改善され、乾燥で
の分解も少なく、製品の有効塩素濃度を高く維持でき
る。
ついて具体例はなく、その品質についての記載もない。
母液には次亜塩素酸カルシウム、塩化カルシウム以外
に、塩素酸カルシウム、水酸化カルシウム、金属不純物
等が含まれ塩化カルシウムの製品化にはその除去精製が
必要になるが、その方法は示されていない。
ら具体的に塩化カルシウムおよび塩素酸カルシウムを生
産することを開示した、USP4348371、434
8372号公報がある。これは、母液に存在する塩化カ
ルシウムや塩素酸カルシウムを積極的に回収商品化しよ
うとするもので、まず母液を濃縮して塩化カルシウムを
結晶として回収し、塩化カルシウムを回収した後の母液
を更に濃縮して塩素酸カルシウムの結晶を回収し、回収
後の母液を高度さらし粉製造プロセスにリサイクルする
ものである。
ロセスが複雑となり、また、特に原料消石灰に由来する
金属等の不純物の蓄積も心配される。さらに次亜塩素酸
カルシウム二水化物結晶の成長が充分でなく濾過性が悪
いという問題点ももっている。
ウム母液から次亜塩素酸カルシウム二水化物を晶析させ
る時、塩素化原料である石灰乳は高濃度となり、その調
製が重要となる。
灰ケークと次亜塩素酸カルシウム二水化物の分離母液を
混合する例が示されている。本発明者等の検討では、単
なる混合では分散が充分ではなく、表面に殻をもった石
灰の粒状物(継粉と呼ぶ)が生成する。これが生成する
と塩素化が難しくなり、また、分離後の次亜塩素酸カル
シウム二水化物結晶に混入し著しい製品品質の劣化をも
たらす問題があった。
れまでの技術は、原理から必要のない苛性ソーダを併用
したり、石灰のみの塩素化であっても副生する塩化カル
シウムの利用がなされていない、また、利用できたとし
ても複雑なプロセスで煩雑な操作を伴う方法であり、工
業的、経済的に、また、環境的に満足できるものではな
かった。
ものであり、前記した従来法の課題の解決、即ち石灰の
塩素化で生成する次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウ
ムから高度さらし粉と塩化カルシウム水溶液を合理的
に、経済的に、かつ工業的に併産する方法を提供するこ
とを目的とする。
が解決できる製造方法について多くの先行技術を調査
し、そして、研究を積み重ね鋭意検討した。その結果、
石灰原料として水酸化カルシウムを用い、その分散剤と
して塩化カルシウム水溶液を使用すること、濾過の容易
な次亜塩素酸カルシウム二水化物結晶の製造は柱状種晶
の使用で達成でき、そしてそれは石灰と塩素の反応で容
易に製造できること、さらに塩化カルシウム水溶液は、
該二水化物結晶の分離母液中の次亜塩素酸カルシウムを
分解して調製できることを見出し、遂に高度さらし粉と
塩化カルシウム水溶液の併産方法を完成するに至った。
即ち本発明は、(イ)実質的に塩化カルシウムよりなる
水溶液に水酸化カルシウムを分散させ石灰乳とし、
(ロ)該石灰乳を塩素化して次亜塩素酸カルシウム二水
化物を晶析させる際、種晶として、a、b、c各軸の比
が0.5≦b/a≦2.0、c/a≧1.5であり、か
つc軸が5ミクロン以上である柱状次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物を添加し、粗大な次亜塩素酸カルシウム二水
化物スラリーを得、(ハ)該粗大次亜塩素酸カルシウム
二水化物スラリーを分離して、次亜塩素酸カルシウム二
水化物の湿潤ケークと、次亜塩素酸カルシウムと塩化カ
ルシウムを含む母液を得、(ニ)前記次亜塩素酸カルシ
ウム二水化物の湿潤ケークを乾燥して高度さらし粉を製
造し、(ホ)(ハ)の次亜塩素酸カルシウムと塩化カル
シウムを含む母液に塩酸を添加し、または該母液とM
n、Fe、Co、Ni、Cu、Pdの少なくとも1種の
酸化物と接触させ、次亜塩素酸カルシウムを分解して、
塩化カルシウムの水溶液を得ることを特徴とする塩化カ
ルシウム水溶液と高度さらし粉の併産方法である。
る。
よりなる水溶液に水酸化カルシウムを分散させ石灰乳と
することを必須とする。ここでいう実質的とは、水以外
の成分のほとんどが塩化カルシウムであることを意味す
るが、これに少量の塩化ナトリウムや塩素酸カルシウム
が存在する塩化カルシウム水溶液も本発明に含まれる。
塩化カルシウムよりなる水溶液における塩化カルシウム
の濃度は特に限定するものではないが、通常10〜45
重量%である。塩化カルシウム濃度が低い場合、該石灰
乳の塩素化晶析での母液粘度が低下し、操作し易いが、
次亜塩素酸カルシウム二水化物の収率を維持したり、製
品として得られる塩化カルシウム濃度を維持して経済的
効果を高めるため、20〜40重量%がさらに好まし
い。塩化ナトリウムや塩素酸カルシウム等の他の成分は
少ない程良いが5重量%以下で好適に使用できる。ま
た、この実質的に塩化カルシウムよりなる水溶液が次亜
塩素酸カルシウム二水化物を分離した母液中の次亜塩素
酸カルシウムを分解して得た塩化カルシウム水溶液の一
部である時、水バランスが良く、次亜塩素酸カルシウム
二水化物の収率を高めることができ、さらに好ましい。
も、石灰乳を濾過して得られる石灰ケークでも、また、
ペースト状の石灰乳でも良い。その濃度は特に限定する
ものではないが、高い程、次亜塩素酸カルシウム二水化
物の収率を高くでき、また、併産される塩化カルシウム
濃度を高くできるので好ましい。具体的には、30重量
%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さ
らには95重量%以上の消石灰が好ましい。不純物含有
量は少ない程良いが、JIS1号、2号いずれも使用で
きる。本発明の方法では上記含有不純物の分離が容易で
あり、高品質の高度さらし粉と塩化カルシウム水溶液が
得られる。それ故安価な汎用の消石灰を使用できること
も本発明の大きな特徴である。
または分散装置が適用できる。塩化カルシウムへの水酸
化カルシウムの分散は容易であり、均一な石灰乳が調製
できる。このことも、本発明の大きな特徴である。ただ
し分散に時間をかけると、できる石灰乳の粘度が上昇す
るので分散時間は必要最小限にする。温度が低い時、塩
化カルシウムと水酸化カルシウムの複塩(CaCl2・
3Ca(OH)2・12H2O)が生成することもある
が、この複塩は継粉を生成することがなく後の塩素化で
容易に消費されるので、問題とはならない。また、分散
時の石灰乳温度を30℃以上にすれば、生成は抑えら
れ、40℃以上では生成することはない。得られる石灰
乳は均一でなめらかであり、その塩素化は容易であり次
亜塩素酸カルシウム二水化物の結晶成長は良く、純度の
高い高度さらし粉が得られる。石灰乳濃度は特に限定す
るものではないが、次亜塩素酸カルシウム二水化物の収
率を高め、併産される塩化カルシウム水溶液濃度を高め
るためと操作性を高めるために、10〜45重量%が良
く、さらには20〜40重量%が好ましい。
化カルシウムからなる水溶液は、本プロセスの次亜塩素
酸カルシウム二水化物を分離した母液中の、次亜塩素酸
カルシウムを分解して得られる液で、その一部をリサイ
クルする時、このリサイクル量を調節することによっ
て、後述する塩素化反応における次亜塩素酸カルシウム
二水化物結晶のスラリー濃度を調節でき、塩素化の容易
な範囲で運転することができることも、本発明の大きな
特徴の一つである。
化して次亜塩素酸カルシウム二水化物を晶析させる際、
種晶としてa、b、c各軸の比が 0.5≦b/a≦
2.0、c/a≧1.5であり、かつc軸が5ミクロン
以上である柱状次亜塩素酸カルシウム二水化物を添加
し、粗大な次亜塩素酸カルシウム二水化物スラリーを得
ることを必須とする。
亜塩素酸カルシウム二水化物は、c軸が異常に発達し、
a軸、b軸の成長が極度に抑制された次亜塩素酸カルシ
ウム二水化物、すなわち、a、b、c各軸の比が 0.
5≦b/a≦2.0、c/a≧1.5であり、かつc軸
が5ミクロン以上であれば特に限定するものではない。
例えば、特開昭54−117396号公報にその形状及
び製造法が示されており、カルボン酸、カルボン酸塩お
よび炭水化物より選ばれた一種類以上の媒晶剤の存在下
で次亜塩素酸カルシウム二水化物を晶出させることによ
り、該柱状次亜塩素酸カルシウム二水化物が製造され
る。形状としては、円柱状、四角錐状、四方両錐台状お
よびこれらの中間的な形状等、全てを含む。a、b、c
各軸の比が0.5≦b/a≦2.0に含まれないと種晶
の成長が不十分となり、粗大な次亜塩素酸カルシウム二
水化物が得られない。また、c/a≧1.5でない場合
やc軸が5ミクロン未満の場合は、種晶使用量が増した
り、微細な次亜塩素酸カルシウム二水化物が析出し、粗
大な次亜塩素酸カルシウム二水化物が得られない。
が、その成長性はすこぶる良く、瞬時の内に粗大次亜塩
素酸カルシウム二水化物となる。特にa軸、b軸の成長
速度は大きく、従来結晶のそれと比較すると2〜3倍に
達する。成長結晶の形状は通常四角柱状、四角両錐台状
で、そのスラリー粘度は低く、そのためスラリー濃度を
高く維持でき、また、濾過性も優れる。
成する粗大次亜塩素酸カルシウム二水化物の20重量%
以下、5重量%以下、さらには2重量%以下にもでき非
常に効率が良い。この柱状次亜塩素酸カルシウム二水化
物の種晶としての使用法は、例えば、特開昭54−12
7897号公報に示されており、次亜塩素酸カルシウム
二水化物の晶出の際、種晶として、次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物のa、b、c各軸の比が0.5≦b/a≦
2.0、c/a≧1.5であり、かつc軸が5ミクロン
以上である柱状次亜塩素酸カルシウム二水化物を添加す
る粗大次亜塩素酸カルシウム二水化物の製造方法等があ
げられ、本発明は基本的にこの方法を用いることができ
る。
い。また、石灰乳の塩素化は連続式、回分式いずれも実
施できるが、連続式が生産性が高く操作性容易であり好
ましい態様である。晶析装置は、完全混合型でもDT
B、DP型でも好適に使用できる。
るものではないが、15〜25重量%の時、特に好まし
く、スラリー粘度は低く、均一な流動状態が保て、塩素
ガスの吸収効率は高く、ほぼ完全吸収が実現でき、ま
た、生産効率も高い。塩素ガスの吸収効率が高いこと
は、原料の有効利用率が高いことだけでなく、塩素ガス
の排出が抑えられることであり、除害装置の軽減化、環
境保全にもつながる。
のではないが、次亜塩素酸カルシウムが2〜7重量%、
塩化カルシウムが20〜40重量%が特に好ましい。こ
の組成では、塩素ガスの吸収率は高く、種晶の成長は良
く、また、後の次亜塩素酸カルシウムの分解は容易で、
高濃度の塩化カルシウム水溶液が作られ、経済性も高
い。
が、通常5〜50℃で行われ、10〜40℃が特に好ま
しい。この温度範囲では、次亜塩素酸カルシウムの熱に
よる分解が抑えられ、種晶の成長速度は大きくできる。
また、常温に近く、塩素化熱の除去も容易であり、経済
性が高い。
水化物スラリーを分離して、次亜塩素酸カルシウム二水
化物の湿潤ケークと、次亜塩素酸カルシウムと塩化カル
シウムを含む母液を得る。
る。分離機は通常の固液分離機、例えば遠心分離機、ベ
ルトフィルター、ドラムフィルター、フィルタープレス
等が使用できる。また、分離前に該スラリーを濃縮して
スラリー濃度を高めると分離性は一段と向上するので好
ましい。濃縮には、シックナー、液体サイクロン等が使
用できる。
亜塩素酸カルシウム二水化物濃度の高い取り扱いの容易
な湿潤ケークが得られる。ケーク中の次亜塩素酸カルシ
ウム二水化物濃度は、通常60重量%以上、70重量%
以上にも達する。この分離時に水を用いても洗浄しても
良い。洗浄は容易で少量の水で付着母液を除去でき高純
度の湿潤ケークが得られる。遠心分離機を用い、洗浄水
をケークに対して5〜30重量%使用することで、例え
ば、次亜塩素酸カルシウムが60〜75重量%、塩化カ
ルシウムが5重量%以下の湿潤ケークが得られる。分離
母液と洗浄母液は一緒にしても、また、分けても良い。
分ける場合後者は水酸化カルシウムの分散に用いると分
散操作性が向上する。
ケークは乾燥して高度さらし粉を製造する。湿潤ケーク
の次亜塩素酸カルシウム濃度は高く水分は少ないので、
乾燥操作も容易で、短時間の内に水分を除去でき、高品
質の高度さらし粉を製造できる。乾燥機は通常用いられ
ている気流乾燥機、流動乾燥機、パドルドライヤー、コ
ニカルドライヤー等がいずれも使用できる。また、連続
式、回分式いずれでも良い。
結晶水も除去して良い。乾燥して得られる高度さらし粉
は、次亜塩素酸カルシウムが70重量%以上、80重量
%以上、さらには90重量%以上にも達する。この次亜
塩素酸カルシウム濃度の調節には塩化ナトリウムの粉末
を添加、混合しても良い。こうして通常、次亜塩素酸カ
ルシウムを60〜80重量%とする。水分は通常3〜3
0重量%であるが、高度さらし粉の安全性、安定性を高
めるために7〜27重量%が好ましい。その他成分は塩
化カルシウム、塩化ナトリウム、塩素酸カルシウム等で
あり、通常5〜30重量%である。
物の分離母液、即ち次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシ
ウムを含む母液に塩酸を添加するか、または該母液とM
n、Fe、Co、Ni、Cu、Pdの少なくとも1種の
酸化物と接触させ、次亜塩素酸カルシウムを分解して、
塩化カルシウム水溶液を得る。
ウム水溶液の併産プロセスの骨子の1つは、この次亜塩
素酸カルシウムの分解にある。分解によって、利用価値
の高い塩化カルシウム水溶液を得ると共に、その一部を
前述した水酸化カルシウムの分散剤として用い、均質な
反応性の高い石灰乳を調製する。即ちこの分解は、本併
産法にとって、運転操作上、経済上、極めて重要であ
り、合理的併産プロセス成立のポイントになる。ここで
の次亜塩素酸カルシウムの大部分は、溶解状態である
が、先の分離操作で母液に漏れ込んだ次亜塩素酸カルシ
ウム二水化物の結晶を含んでいても良い。また、該分離
母液は、次亜塩素酸カルシウム二水化物を分離した母液
に水酸化カルシウムを加えて半塩基性次亜塩素酸カルシ
ウム(Ca(ClO)2・1/2Ca(OH)2)や2塩
基性次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2・2Ca
(OH)2)を析出させて得た次亜塩素酸カルシウム濃
度の低下した母液でも良く、また、次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物を分離した母液を更に冷却して次亜塩素酸カ
ルシウム二水化物を析出させて得た次亜塩素酸カルシウ
ム濃度が低下した母液でも良い。ここでの析出物は、先
の塩素化工程等にリサイクルし、高度さらし粉として回
収できる。分解には塩酸、またはMn、Fe、Ni、C
o、Cu、Pdの少なくとも1種の酸化物を用いる。
生成反応が均一に速やかに、ほぼ定量的に進む。
l2+2Cl2↑+2H2O 生成する塩素は、石灰乳の塩素化に利用できる。温度は
高いほど反応速度は大きく、塩素回収率を高くできるの
で好ましく、装置材質の耐食性を考慮すると20〜80
℃が好ましく、30〜60℃がさらに好ましい。この反
応は発熱反応であり、加温するためのエネルギーに多く
を必要としない。また、この分解反応の速度は大きく、
そのため処理時間は短くて済み、通常0.2〜5Hrで
ほぼ完全に分解できる。反応形式は回分式、連続式いず
れも適用できるが、生産性、運転操作性を高くできるこ
とから連続式が好ましい。用いる塩酸は高濃度ほど良
く、分解後の塩化カルシウム濃度を高くできる。この点
から、塩化水素ガスは汎用性、取り扱い性に難があり、
また、経済性も薄い。通常、20〜35重量%の塩酸が
使用され、好ましくは30〜35重量%である。
時に少量副生する塩素酸カルシウムも分解できる。
Cl2+6Cl2↑+6H2O また、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Pdの少なくと
も1種の酸化物(以下、Mn等の酸化物という)も次亜
塩素酸カルシウムを分解でき、本発明に含まれる。
基本的には次の発生方式、即ち接触分解反応となる。
ウムと酸素ガスであり、除害装置は必要なくむしろ環境
保全上有益である。また、塩酸添加時には塩酸から随伴
する水、反応によって生成する水で生成塩化カルシウム
濃度は低下するが、この接触分解反応では塩化カルシウ
ム濃度の低下はなく、むしろ高くなる。また、別に薬剤
を消費することもない。したがって、次亜塩素酸カルシ
ウムの分解に対してこのMn等の酸化物を用いること
は、より好ましい方法であり、運転操作性も良く、経済
性も高い。
量%、塩化カルシウムが31.1重量%の母液をMn等
の酸化物で分解すると、約36重量%の塩化カルシウム
水溶液が得られる。Mn等の酸化物とは、これら金属の
酸化物(過酸化物を含む)および水酸化物(酸化物でも
あり水酸化物でもあるオキシ水酸化物を含む)の少なく
とも1種であり、具体的には、Mn(OH)2,Mn
O,MnO2,Mn2O3,Mn3O4,Fe(OH)2,F
e(OH)3,Fe2O3,Fe3O4,FeO,Co(O
H)2,Co(OH)3,Co2O3,Co3O4,Co
O2,Ni(OH)2,NiO,Ni2O3,NiO2,N
iOOH,Cu(OH)2,CuO,Cu2O,Pd(O
H)2,PdO,Pd2O3,PdO2,PdO3などを例
示することができる。これらの内、好ましいのはNi,
Co,Pdの酸化物であり、少量で大きな分解能と触媒
としての長い寿命を有する。
は、粉末で使用しても、またペレット状、球状に成型し
て用いても良い。成型時には、有機系、無機系の公知の
バインダーを用いても良い。また、有機陽イオン交換体
にこれらMn等の酸化物を担持した複合体(以下、Mn
等酸化物担持複合体という)を用いた時、その操作性、
分解性能は著しく向上するのでさらに好ましい態様であ
る。特に、有機陽イオン交換体がフッ素系有機陽イオン
交換体である時、耐食性も高く、Ca、Mg化合物の付
着も抑えられるのでより好ましい態様である。Mn等酸
化物担持複合体の調製法を例示すると、フッ素系有機陽
イオン交換体を、その対イオンをMn等のイオンとした
のち、アルカリおよび/または酸化剤と接触させて得ら
れる。このMn等酸化物担持複合体の調製方法は、例え
ば、特開平6−23375号公報に例示してあり、本発
明は基本的にこれを用いることができる。Mn等の酸化
物を用いた母液中の次亜塩素酸カルシウムの分解は、懸
濁床でも固定床でも良く、また、回分式でも連続式でも
良い。操作の容易さから、懸濁床かつ連続式が好まし
い。
化カルシウム水溶液の一部を前述した水酸化カルシウム
の分散剤に用い、残りを塩化カルシウム水溶液として製
品にしても良い。水酸化カルシウムの分散剤とした時、
前述したように継粉の生成はなく、操作性良く、水バラ
ンス良く均質な石灰乳を調製できる。また、分解液を濾
過して、その濾液を分散剤や塩化カルシウム水溶液とし
ても良い。更にMn等の酸化物での分解後、少量の塩素
酸カルシウムが存在することがある。この場合、これと
の還元当量以上の塩酸を添加することで完全に分解する
ことができる。好ましい塩酸の添加量は、1〜5倍当
量、1.1〜3倍当量がより好ましい。この時の温度は
特に限定するものではなく、高い程反応速度を高くでき
るが、エネルギーの量を少なくし、また、装置材質がグ
ラスライニング等高級化するのを防止するため、30〜
100℃、好ましくは40〜90℃である。処理時間は
0.2〜5Hr、好ましくは0.3〜2Hrである。ま
た、反応形式は連続式が好ましい。
塩化カルシウム水溶液は、前記と同様にその一部を水酸
化カルシウムの分散剤、残りは塩化カルシウム水溶液の
製品とすることができる。
分解後、またはMn等酸化物で分解して塩酸で塩素酸カ
ルシウムを分解後、発生する塩素の一部が塩化カルシウ
ム水溶液に溶存することがある。この塩素の除去に亜硫
酸塩を用いても良い。亜硫酸塩の添加量は、1.0〜
3.0還元当量が好ましく、1.1〜2.0当量がさら
に好ましい。また、温度は40〜90℃、処理時間は
0.2〜2.0Hrが好ましく、完全に溶存塩素を還元
除去できる。この処理液の一部、または濾過してその濾
液の一部を前記水酸化カルシウムの分散剤に、残りを塩
化カルシウム水溶液の製品にしても良い。
乳で中和して、微量の溶解金属不純物やFe、Al等を
水難溶性の沈殿物とし濾過除去しても良い。中和pHは
5〜9、温度40〜90℃、処理時間0.2〜2.0H
rが好ましく、反応形式は連続式が好ましい。この操作
で得られる塩化カルシウム水溶液は、不純物を含まない
高純度の塩化カルシウム水溶液であり、その一部を前記
水酸化カルシウムの分散剤、残りを塩化カルシウム水溶
液の製品として効果的、経済的に利用できる。
濃縮して高濃度の塩化カルシウム水溶液にも、また、固
型の粒状塩化カルシウムにもできる。
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
量%塩化カルシウム水溶液2.1重量部/Hr、水1.
7重量部/Hr、96重量%消石灰1.3重量部/Hr
を連続して供給し、Ca(OH)224.1重量%、C
aCl214.4重量%の石灰乳スラリーを連続して抜
き出した。温度は30℃、平均滞在時間は0.5Hr
で、継粉が全くない滑らかな均質な石灰スラリーが得ら
れた。
オーバーフロー管を備え、攪拌機と冷却コイル付の円筒
型晶析槽に連続的に供給し、同時に塩素ガス1.1重量
部/Hrと7重量%の柱状種晶スラリー0.11重量部
/Hrを連続フィードした。温度は30℃、平均滞在時
間は5Hrであり、塩素化は容易で塩素ガスの吸収は完
全で、スラリー粘度は低く、柱状種晶の成長はすこぶる
良く、微粒の発生はなく、短時間の内に粗大な次亜塩素
酸カルシウム二水化物結晶がスラリー濃度19重量%で
得られ、これをオーバーフロー管から連続して抜き出し
た。この時の柱状種晶は、次の方法で製造した。即ち、
水酸化カルシウム112重量部48%苛性ソーダ水溶液
239重量部、水449重量部、そしてクエン酸3重量
部を撹拌機を備えた2リットルの晶出槽に導入し、20
℃に維持しつつ、塩素ガスを約100g/(Hr・l)
の速度にて吹き込んだ。塩素化終了後、約15時間20
℃に維持しつつ撹拌のみを続けたところ、a、b軸が5
〜15ミクロン、c軸が20〜120ミクロン、c/a
=約7、b/a=1.0の結晶を得た。この柱状種晶ス
ラリーを濾過し、ケークをCa(ClO)28重量%,
CaCl220重量%の液でリパルプして、柱状種晶ス
ラリーとした。また、粗大次亜塩素酸カルシウム二水化
物は、a、b軸が10〜100ミクロン、c軸が5〜3
00ミクロンの四方両錐台状結晶であり、その沈降性は
大きく良好であった。
スラリーをバスケットタイプの遠心分離機で濾過、そし
て少量の水で洗浄し、Ca(ClO)263重量%の次
亜塩素酸カルシウム二水化物ケーキを得た。この濾過洗
浄操作は極めて容易で、短時間の内に付着水分含量の低
い、取り扱い性の良いケーキを得た。そして、高度さら
し粉の有効塩素含量を調節するため、該ケークに対して
5重量%の食塩粉末を添加・混合し、乾燥した。食塩の
添加混合は容易で、均一な混合物が得られ、又乾燥性も
良く、短時間でCa(ClO)2の分解もほとんどなく
Ca(ClO)275重量%、NaCl7.4重量%、
CaCl23.1重量%、H2O10重量%で水不溶解成
分のほとんどない高品質の高度さらし粉が得られた。
スラリーを遠心分離して得られる、分離母液はCa(C
lO)27.1重量%,CaCl231.0重量%,Ca
(ClO3)20.2重量%であり、次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物結晶も少量残っており、この液をオーバーフ
ロー管と撹拌機を備え、内部にNi2O3坦持触媒を懸濁
保持した円筒型分解槽に連続的にフィードした。
槽は2槽直列方式とした。なお、Ni2O3坦持触媒は、
フッ素系有機陽イオン交換体との複合体であり、この複
合体の乾燥重量に対するNiの比率が2.0重量%で成
分がNi2O3であった。
法で製造した。即ち、イオン交換膜法食塩電解に使用し
たフッ素系有機陽イオン交換膜Nafion954(D
uPont社製)をよく洗浄した後、10mm×10m
mの大きさに切断した。2リットルビーカーにN−Ni
Cl2水溶液1.5リットルおよび上記の切断したフッ
素系有機陽イオン交換膜300g(湿潤状態)を入れ、
1.0時間撹拌しながらイオン交換処理した。次に、溶
液を抜き出し、新たにN−NiCl2水溶液1.5リッ
トルを入れ、同様に1.0時間処理し、溶液を抜き出し
た。次に、3.0wt%NaClO水溶液(PH10)
1.5リットルを入れた2リットルビーカーにイオン交
換処理した上記イオン交換体を全量入れたところ、ニッ
ケルイオンは黒色の酸化物となった。これをX線光電子
分光法で複合体表面に付着している金属酸化物類を分析
したところ、Ni2O3であった。また、担持しているN
i2O3の63%がイオン交換膜の内部にあった。
lで使用した。また、このNi2O3坦持触媒を用いた前
記Ca(ClO)2液の分解手順も前記方法に準拠して
行った。ここでの分解は容易で分解処理液はCa(Cl
O)20.3重量%、CaCl236.1重量%、Ca
(ClO3)20.5重量%であり、Ca(ClO)2の
分解率は96重量%に達した。なお、この分解は環境保
全上有益な酸素とCaCl2が生成する反応であり、効
果的に行うことができた。
35重量%塩酸を連続式で添加したところ、Ca(Cl
O3)2を完全に分解でき、そして微量残存する有効塩素
に対して、還元当量の3倍量の亜硫酸ナトリウムを20
重量%水溶液として添加し、有効塩素を分解した。そし
てpH計を用い、石灰乳で中和し濾過した。この濾液は
CaCl235.3重量%,NaCl1重量%以下、C
a(ClO)2とCa(ClO3)2は検出できず、ま
た、Fe,Ni,Al等の金属イオンも沈殿除去されて
おり、高品質の塩化カルシウム水溶液であった。
1重量部/Hrで消石灰の分散液として、最初の工程に
リサイクルした。リサイクルでは、消石灰の分散・乳化
は極めて良好で、継粉の生成は全くなく、均質な石灰ス
ラリーが得られた。また、この石灰スラリーの塩素化も
良好で、塩素ガスは完全に吸収でき、スラリー粘度は低
く、柱状種晶の成長性もすこぶる大きく、良好であっ
た。また、この塩化カルシウム水溶液のリサイクルでは
水バランスが良く、Ca(ClO)2の収率は高く、塩
素基準での次亜塩素酸カルシウム二水化物収率83%で
あった。
小限として操作可能な最高濃度の石灰スラリーとする以
外、実施例と同様の操作を行った。
00CP以下で、かつ塩素化晶析での塩素吸収率が高い
スラリーの濃度は、35重量%とわかり、水2.3重量
部/Hrフィードしてこれを調製した。当然ながら継粉
の生成はなく、均質な石灰スラリーが得られた。塩素化
では若干の未反応塩素ガスが排出し、苛性ソーダ水溶液
に吸収除害した。しかし柱状種晶の成長性は良く、実施
例と同様の四方両錐台状の粗大次亜塩素酸カルシウム二
水化物結晶を得た。この結晶スラリー濃度は、25重量
%であり、この為スラリー粘度が高くなり、塩素ガスが
一部排出したと考えられる。また、得られた粗大次亜塩
素酸カルシウム二水化物結晶のフィード塩素に対する収
率は、実施例より12%も低下しており、経済性が低い
ことが判った。また、該二水化物結晶を濾過して得られ
る母液はCa(ClO)28重量%、CaCl221重量
%であり、これを実施例と同様の操作で精製して得られ
る塩化カルシウム水溶液の濃度は28重量%であり、実
施例の35重量%に比較して7重量%も低く、製品とし
て市販するには濃縮が必要であった。
化カルシウム水溶液と高度さらし粉を生産性良く、経済
的に併産でき、また、環境保全上も優れた方法である。
化カルシウム水溶液を1つの方法で併産できる。
性が高い。
均一であり、汎用の消石灰を使用でき継粉の発生がな
く、運転操作性が良く、高品質の高度さらし粉が得られ
る。
ルシウム水溶液が得られる。
造することによって、次亜塩素酸カルシウム等の有効塩
素や金属を含む廃液が発生せず、環境保全上優れる。
離母液から容易に、高純度で高濃度の塩化カルシウム水
溶液が得られる。
Claims (3)
- 【請求項1】 (イ)実質的に塩化カルシウムよりなる
水溶液に水酸化カルシウムを分散させ石灰乳とし、
(ロ)該石灰乳を塩素化して次亜塩素酸カルシウム二水
化物を晶析させる際、種晶として、a、b、c各軸の比
が0.5≦b/a≦2.0、c/a≧1.5であり、か
つc軸が5ミクロン以上である柱状次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物を添加し、粗大な次亜塩素酸カルシウム二水
化物スラリーを得、(ハ)該粗大次亜塩素酸カルシウム
二水化物スラリーを分離して、次亜塩素酸カルシウム二
水化物の湿潤ケークと、次亜塩素酸カルシウムと塩化カ
ルシウムを含む母液を得、(ニ)該次亜塩素酸カルシウ
ム二水化物の湿潤ケークを乾燥して高度さらし粉を製造
し、(ホ)(ハ)の次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシ
ウムを含む母液に塩酸を添加し、または該母液とMn、
Fe、Co、Ni、Cu、Pdの少なくとも1種の酸化
物と接触させ、次亜塩素酸カルシウムを分解して、塩化
カルシウム水溶液を得ることを特徴とする高度さらし粉
と塩化カルシウム水溶液の併産方法。 - 【請求項2】 (イ)の実質的に塩化カルシウムよりな
る水溶液が(ホ)で得られた塩化カルシウム水溶液の一
部であり、かつ塩化カルシウム濃度が10〜45重量%
であることを特徴とする請求項1に記載の高度さらし粉
と塩化カルシウム水溶液の併産方法。 - 【請求項3】 (ロ)の粗大次亜塩素酸カルシウム二水
化物の晶析を温度5〜50℃、母液の次亜塩素酸カルシ
ウム濃度2〜7重量%、塩化カルシウム濃度20〜40
重量%、粗大次亜塩素酸カルシウム二水化物の濃度15
〜25重量%でかつ連続式で行うことを特徴とする請求
項1又は請求項2記載の高度さらし粉と塩化カルシウム
水溶液の併産方法。
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