JP2000310889A - 電子写真プリント配線板のレジスト剥離方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電子写真プリント配線板のレジスト剥離法に於
いて、アルカリ型フォトポリマー既存の剥離液および剥
離装置を使用し、かつ迅速容易なレジスト剥離を行う方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】電子写真法を利用してプリント配線板を作
製する工程の内、残存する光導電層及びトナー画像から
なるレジスト画像を強アルカリ水溶液を利用して除去す
るレジスト剥離工程の前過程に、有機溶剤等を用いてト
ナー層の全部もしくは一部を光導電層表面より除去する
処理を行う電子写真レジスト剥離方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、銅張積層板の少な
くとも片面に光導電層を有してなる電子写真積層板を使
用して電子写真プリント配線板を作製する方法の内のレ
ジスト剥離工程に関し、エッチング工程後に不要となっ
た残存する光導電層およびトナー画像からなるレジスト
画像を容易かつ迅速に除去する電子写真プリント配線板
のレジスト剥離方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】プリント配線板の製造方法に於いて、フ
ォトポリマーに挙げられるエッチングレジスト材料が従
来より知られている。該レジスト材料は、溶剤現像型、
アルカリ現像型と大きく２種に分類され、環境衛生上、
比較的アルカリ現像型の方が近年では多く使用されてい
る。アルカリ現像型のフォトポリマーに於けるレジスト
剥離液には１〜５％の水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等の強アルカリ水溶液が利用され、４５〜７１℃の条
件下、ブラッシング、高圧スプレー及び超音波等がそれ
ぞれ単独で、もしくは同時に使用され、残渣のない良好
なレジスト剥離が迅速に行われている。

【０００３】しかし、特開平６−２２４５４１号公報等
に開示されている電子写真法を利用したプリント配線板
の製造方法に於けるエッチングレジスト材料は光導電層
とトナー層とからなるが、光導電性物質とアルカリ可溶
性の親油性結着樹脂からなる光導電層を覆うようにして
非水溶性のトナー層が位置しているため、既存のアルカ
リ型フォトポリマーの剥離液および剥離装置等を用いた
剥離条件では、レジスト材がシート状でとれ大きな破片
となり、基板状に再付着したり、スプレーノズルを詰ま
らせたりすることがあり、さらに剥離完了まで非常に長
い時間を費やす問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真プリント配線板のレジスト剥離法に於いて、アルカ
リ型フォトポリマー既存の剥離液および剥離装置を使用
し、かつ迅速容易なレジスト剥離を行う方法を提供する
ことにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、電子写真法を利用してプリント配線板を作製する工
程の内、残存する光導電層及びトナー画像からなるレジ
スト画像を強アルカリ水溶液を利用して除去するレジス
ト剥離工程の前過程に、トナー層の全部もしくは一部を
光導電層表面より除去する処理を行えば、迅速なレジス
ト剥離が進行することを見いだした。

【０００６】また、以上のトナー層除去方法において、
使用する感光体接着樹脂やトナーの成分によっても異な
るが、感光層とトナー層の内、少なくともトナー層を容
易に溶解および膨潤させる有機溶剤を利用することで迅
速なレジスト剥離が達成された。

【０００７】本発明に用いるトナーは、トナー現像後の
トナー画像部以外を溶解除去する現像工程でレジスト材
として作用するため、１％程度の炭酸ナトリウム水溶液
などの弱アルカリ現像液に対し、実用溶出処理時間内で
不溶性の樹脂成分で構成されていなければならない。樹
脂成分の例としては、メタクリル酸、メタクリル酸エス
テル等からなるアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビ
ニルとエチレンまたは塩化ビニル等との共重合体、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラー
ルの様なビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、スチレ
ンとブタジエンやメタクリル酸エステル等との共重合
物、ポリエチレン、ポリプロピレン及びその塩化物、ポ
リエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレー
ト等のポリエステル樹脂、ポリカプラミドやポリヘキサ
メチレンアジポアミド等のポリアミド樹脂、フェノール
樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル変性アル
キッド樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等
のセルロースエステル誘導体、その他ワックス、蝋等が
好ましい。

【０００８】このような、樹脂を溶解もしくは膨潤させ
る溶剤であって、本発明に於いて使用できる溶剤として
は、メタノール、エタノール、１−プロパノール、１−
ブタノール、２−メチル−１−プロパノール、２−ブタ
ノール、１−ペンタノール、２−プロパノール及びベン
ジルアルコール等のアルコール類、オキソラン、オキサ
ン、及び１，４−ジオキサン等の環状エーテル類、２−
メトキシエタノール、２−エトキシエタノール、２−
（１−プロポキシ）エタノール、２−（ブトキシ）エタ
ノール、１−メトキシ−２−プロパノール、及び１−エ
トキシ−２−プロパノール等のグリコールエーテル類、
ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピル
ケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、及
び酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン及びジメチル
ベンゼン等の芳香族炭化水素類、Ｎ，Ｎ−ジメチルホル
ムアミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルアセトアミド等の窒素化合
物、また、ジメチルスルホキシド、ハロゲン化炭化水素
類、脂肪族炭化水素などが挙げられるが、トナー樹脂を
溶解もしくは膨潤させるものであればその他の常温で液
体の溶剤でも良い。これらのトナー可溶性溶剤は単独で
用いても良いし、２種以上の混合を使用してもよい。

【０００９】また、上記したトナー可溶性溶剤であっ
て、トナー層のみならずアルカリ可溶性の親油性結着樹
脂からなる光導電層をも溶解もしくは膨潤させるもので
あれば、レジスト剥離速度がさらに迅速に行うことがで
きる。

【００１０】また、低引火点の溶剤を用いた場合、引火
性や爆発性等の危険性を考慮した上で、例えばトナーを
溶解しない１〜５％の水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等の強アルカリ水溶液を該有機溶剤に添加しても、そ
の混合溶液がトナーを溶解もしくは膨潤させるものであ
れば適用できる。

【００１１】該トナー可溶性溶剤を使用し、レジスト剥
離を行う際に使用する処理装置としては、通常使用され
ているフォトポリマーのレジスト剥離装置であって該有
機溶剤使用可能なものであれば、ブラッシング、高圧ス
プレー及び超音波装置等、何れであっても非常に効果が
ある。処理液温度は、室温程度でも十分に対応できる。

【００１２】またトナー層をすべて除去せず、トナー層
除去の次のレジスト剥離工程で強アルカリ水溶液などの
フォトポリマー剥離液と露出したアルカリ可溶性の親油
性結着樹脂からなる光導電層が接触する面積が広がるだ
けでも非常に効果的であるので、既存の剥離装置を使用
せず、該処理液にレジスト材が浸るような機構があれば
適用でき、処理時間が十分に短くても効果が得られる。

【００１３】このように、トナー層の全部もしくは一部
を光導電層表面より除去した後、アルカリ現像型のフォ
トポリマーの剥離液および剥離装置を利用し、電子写真
プリント配線板の完全なレジスト剥離が完了する。本発
明のトナー層除去処理後に適用できるフォトポリマーの
レジスト剥離液としては、使用する光導電層の結着樹脂
が容易に溶解もしくは膨潤する液状の物質であれば何れ
においても効果的である。本発明に於ける光導電層は光
導電性物質とアルカリ可溶性の親油性結着樹脂からなる
ので、例えば１〜５％の水酸化ナトリウム水溶液および
１〜５％水酸化カリウム水溶液等の強アルカリ水溶液が
挙げられる。また、該強アルカリ水溶液に剥離を促進す
る添加剤として、アルコール類やグリコールエーテル類
の有機溶剤もしくは界面活性剤を含んでいても全く問題
はなく適用できる。

【００１４】また、本発明のトナー層除去処理後に適用
できるフォトポリマーのレジスト剥離方法は、上記の剥
離液を使用して、さらにプリント配線板より物理的にレ
ジストを除去する装置を用いたレジスト剥離方法であれ
ばよい。例えば、上記の剥離液が４５〜７１℃の条件下
で、ブラッシング、高圧スプレー及び超音波等がそれぞ
れ単独で、もしくは同時に使用され、残渣のない良好な
レジスト剥離が迅速に行える。

【００１５】

【実施例】本発明の実施例を具体的に説明する。本発明
はその主旨を越えない限り、下記の実施例に限定される
ものではない。

【００１６】実施例１ ３４０ｍｍ×５１２ｍｍ×０．６ｍｍ（銅厚１８μｍ）
の長方形状の両面銅張積層板（三菱ガス化学（株）製、
ＣＣＬ−Ｅ１７０）の両面に、浸漬法により５μｍ厚み
で光導電層を形成した電子写真積層板を用意した。この
際、該電子写真積層板の短辺の一辺には端部から１０ｍ
ｍの幅で光導電層を形成せず、接地用マージンを確保し
た。

【００１７】次に、暗中に於いて、該電子写真積層板の
現像面（片面）をコロナ帯電装置を使用して略均一に＋
２５０Ｖに帯電した後、走査型ＬＥＤ露光機（米Ｌａｖ
ｅｎｉｒ社製、Ｐｕｌｓａｒ８０００）にて赤色ＬＥＤ
で走査露光処理を施してレジスト画像に対応する静電潜
像を形成した。

【００１８】次に、特開平８−１３７２７６号公報の実
施例記載の電子写真プリント配線板の液体現像装置を利
用して、液体トナーの電着およびトナー像の溶融定着を
完了した。

【００１９】次に、トナー現像した基板に、３０℃に加
熱した１重量％炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、
水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の光導
電層を溶出除去した後、４５℃に加熱した塩化第二鉄水
溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。

【００２０】このように、作製したレジスト剥離前の導
体回路パターンと光導電層とトナー画像からなる基板
を、超音波洗浄機で発振周波数３８ｋＨｚを曝した２−
プロパノールに約１０秒浸し、その後簡単に２−プロパ
ノールを水で洗い流した。

【００２１】次に、３％の水酸化ナトリウム水溶液を４
５℃の条件下、１．２ｋｇ／ｃｍ²の圧でスプレーし、
約３０秒で残渣のない良好なレジスト剥離を完了した。

【００２２】比較例 ここでは、実施例１に示した電子写真プリント配線板の
レジスト剥離方法について比較例を述べる。

【００２３】実施例１と同様にして、電子写真積層板の
両面に配線パターンに対応するレジスト画像を得、エッ
チングまで行った。

【００２４】作製したレジスト剥離前の基板をトナー除
去工程を介すことなく、３％の水酸化ナトリウム水溶液
を４５℃の条件下、１．２ｋｇ／ｃｍ²の圧でスプレー
したが、約６０秒間剥離装置内に通しても光導電層およ
びトナー画像の約７０％が完全に除去できず、基板上に
付着した状態のままに終了した。

【００２５】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明のレジスト剥
離方法によれば、電子写真プリント配線板に於けるレジ
スト剥離を行う際、通常使われているアルカリ可溶型フ
ォトポリマーの剥離装置および剥離液を用いることがで
き、さらに迅速に光導電層およびトナー画像を除去する
ことが可能となる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子写真法を利用してプリント配線板を
   作製する工程の内、残存する光導電層及びトナー画像か
   らなるレジスト画像を強アルカリ水溶液を利用して除去
   するレジスト剥離工程の前過程に、トナー層の全部もし
   くは一部を光導電層表面より除去する処理を行うことを
   特徴とする電子写真プリント配線板のレジスト剥離方
   法。
2. 【請求項２】 該処理工程において、有機溶剤を利用す
   ることを特徴とする請求項１記載の電子写真プリント配
   線板のレジスト剥離方法。