JP2000306230A - 磁気記録媒体および磁気記憶装置 - Google Patents
磁気記録媒体および磁気記憶装置Info
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Abstract
可能で信頼性の高い磁気記憶装置を提供することであ
る。 【解決手段】 磁気記録媒体と、これを記録方向に駆動
する駆動部と、記録部と再生部から成る磁気ヘッドと、
上記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対して相対運動さ
せる手段と、上記磁気ヘッドへの信号入力と該磁気ヘッ
ドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手
段を有する磁気記憶装置において、前記磁気ヘッドの再
生部がスピンバルブ型磁気ヘッドで構成し、かつ、前記
磁気記録媒体が、磁性層がhcp構造を有すCoを主成分と
した合金からなり、該磁性層が実質的に(11.0)面を基板
面と略平行とした配向をとり、かつ平均粒径が8nm以
上、14nm以下であり、かつc軸の相対角度が0度以上、10
度以下、または80度以上、90度以下で隣接しているCo合
金結晶粒群を一つのクラスターとみなしたとき、該クラ
スターを形成している結晶粒群の基板に略平行面の面積
の総和が、全ての結晶粒の基板に略平行面の面積の総和
の50%以下とする。
Description
的には1平方インチ当たり10ギガビット以上の記録密度
を有する磁気記憶装置と、これを実現するための低ノイ
ズで、かつ熱磁気緩和による再生出力の減衰が抑制され
た高い安定性を有す薄膜磁気記録媒体に関するものであ
る。
分解能化を実現するために、磁性層は(11.0)面を基板面
と略平行とした配向(以後、(11.0)配向と略す)をと
り、磁化容易軸であるc軸を膜面内方向に向けているこ
とが好ましい。これを実現させるために基板上と磁性層
間にCr下地層を形成している。これは、従来のNiP鍍金
をコーチィングしたAl-Mg合金基板(以後、Al基板と記
す)上に形成されたCrは(100)面を基板面と略平行にし
た配向をとるため、その上に形成された磁性層はエピタ
キシャル成長により、(11.0)配向をとるためである。ま
た、磁性層が原子半径の大きいPtを高濃度に含有する場
合には、CrにVやTi等を添加して格子定数を増加させた
下地層を用いることによって、格子整合性が高まり、保
磁力化が向上することが特開昭62-257618や、特開昭63-
197018に開示されている。一方、基板にガラスを用いた
場合、該基板上に形成したCr、またはCr合金下地層は前
述のような(100)配向をとらない。よって、下地層に(10
0)配向をとらせるため、基板と下地層間に更にシード層
等と呼ばれる新たな層が形成されている。このようなシ
ード層の例としてはTa(特開平4-188427)やMgO(J. Ap
pl. Phys. 67, 3638 (1995))等が開示されている。
地結晶上に、c軸を互いに直行させた複数のCo合金が成
長したバイクリスタル構造をとることが報告されている
( J. Appl. Phys., vol. 73, 418(1993), J. Appl. P
hys., vol. 73, 5566 (1993))。このような、バイクリ
スタル構造をとることにより、磁性粒径は下地粒径より
微細化され、媒体ノイズが低減されるという利点がある
が、反面、隣接する磁性粒間の交換相互作用により、実
効的な磁気異方性が相殺され、著しい保磁力低下を引き
起こすという欠点がある。これを改善するため、B2構造
のNiAl合金からなるシード層の導入が提案されている
(IEEE Trans. Magn. vol. 30, 3099 (1992))。該NiAl
シード層上では、Cr下地層が(211)配向するため、磁性
層がエピタキシャル成長により(10.0)配向した媒体が得
られる。このような媒体では磁性層のc軸は、(11.0)配
向した磁性層と同様、膜面内方向を向いており、かつ、
上述の様なバイクリスタル構造をとらず一つの下地結晶
粒上に一つの磁性結晶粒が成長している。このため、実
効的な磁気異方性の低下を招かず、高い保磁力が得られ
る。
Cr合金下地層中の平均粒子サイズは15nm程度であり、磁
性結晶粒も同程度の粒子サイズとなる。これは、10Gb/i
n2以上の記録密度を実現できる低ノイズな媒体を得るの
に十分でない。また、不可避的に発生した肥大な下地結
晶粒上に成長した磁性結晶粒は、該下地結晶粒と同程度
に肥大化するため、著しいノイズ増大を招く。
層に(11.0)配向をとらせたまま、バイクリスタルクラス
ターの形成を抑制することにより、低ノイズで、かつ熱
磁気緩和が抑制された磁気記録媒体を提供することであ
る。更に、これを高感度なスピンバルブ型磁気ヘッドと
組み合わせ、条件を最適化することにより、1平方イン
チ当たり10ギガビット以上の記録密度を持った信頼性の
高い磁気記憶装置を提供することができる。
p構造を有すCoを主成分とした合金からなり、該磁性層
が実質的に(11.0)面を基板面と略平行とした配向をと
り、かつ磁性層中の平均粒径が8nm以上、14nm以下であ
り、かつc軸の相対角度が0度以上、10度以下、または80
度以上、90度以下で隣接しているCo合金結晶粒群を一つ
のクラスターとみなしたとき、該クラスターを形成して
いる結晶粒群の基板に略平行面の面積の総和が、磁性層
中の全ての結晶粒の基板に略平行面の面積の総和の50%
以下であることを特徴とする磁気記録媒体と、これを記
録方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部から成る磁
気ヘッドと、上記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対し
て相対運動させる手段と、上記磁気ヘッドへの信号入力
と該磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再
生信号処理手段を有する磁気記憶装置において前記磁気
ヘッドの再生部が磁気抵抗効果型磁気ヘッドで構成され
る磁気記憶装置により達成される。
の磁気抵抗センサ部は、互いの磁化方向が外部磁界によ
って相対的に変化することによって大きな抵抗変化を生
じる複数の導電性磁性層と、その導電性磁性層の間に配
置された導電性非磁性層によって構成されたスピン・バ
ルブ効果を利用したものとする。該抵抗センサ部を挟む
2枚のシールド層の間隔(シールド間隔)は0.25μm以下
が好ましい。これは、シールド間隔が0.25μm以上にな
ると分解能が低下し、信号の位相ジッターが大きくなっ
てしまうためである。
金からなり、実質的に(11.0)面を基板面と略平行とした
配向をとっている。該磁性層の表面TEM観察より得られ
た格子像中には、Co合金のc面を表わす縞模様が観察さ
れた。図1に該格子像の模式図を示す。図中の直線は、
各結晶粒のc面報告(c軸と直角方向)を表わす。該格子
像中には、図中の斜線で囲まれた領域のような、バイク
リスタルクラスターと呼ばれる、互いのc面(c軸)の相
対角度が0度以上、10度以下、または80度以上、90度以
下で隣接しているCo合金結晶粒群が観察された。この様
なクラスターを形成している全ての結晶粒群の合計面積
の、観測された全ての結晶粒の合計面積に対する比率を
以後、バイクリスタル面積比率と定義する。図1の格子
像の場合、観察した全領域でc面を表わす格子縞がみら
れたため、バイクリスタル面積比率は、該格子像中の全
ての結晶粒の面積の合計に対する、斜線部領域の面積比
率となる。統計誤差をなくすため、該面積比率の計算に
は、100〜150個以上の結晶粒を用いることが好ましい。
また、磁性層の(11.0)配向の劣化、或いは該(11.0)配向
面の分散の増大等により、c面を表わす格子縞が観察さ
れない場合は、c面が観察された領域のみを対称として
面積比率の算出を行う。
ことにより、2.8kOe以上の高い保磁力を有す磁気記録媒
体が得られる。該面積比率が50%を上回ると、バイクリ
スタルクラスターを形成しているCo結晶粒間の磁気異方
性の相殺効果が顕著となり、著しい保磁力低下を招くの
で好ましくない。また、バイクリスタル面積比率を、更
に30%以下とすると、より一層の低ノイズ化が図れるの
で好ましい。更に、該面積比率を20%以下とした場合、
これらの特性向上に加え、分解能の大幅な向上が得られ
るので更に好ましい。バイクリスタル面積比率が5%を
下回ると、不可避的に形成された巨大な下地結晶粒上に
成長した、磁性結晶の微細化効果が損なわれるので好ま
しくない。磁性結晶粒の平均粒径が8nmよりも小さくな
ると熱磁気緩和の影響が顕著になり、また、14nmよりも
大きくなると媒体ノイズが増大するため好ましくない。
該平均粒径を更に9nm以上、12nm以下とすると、より一
層低ノイズで、かつ高いオーバーライト特性を有す磁気
記録媒体が得られるので好ましい。また、本磁気記録媒
体の磁性層の結晶配向は主として(11.0)面を基板面と平
行にした配向であるが、(00.2)配向や、(10.1)配向等の
他の配向をとった結晶粒が混在していても、X線回折ス
ペクトラムにおけるこれらの面からの回折ピーク強度
が、(11.0)面からの回折ピーク強度の50%未満であれ
ば、上述の効果は得られる。また、X線回折スペクトラ
ムのピーク位置より算出したCo合金(11.0)面間隔dCo(1
1.0)と、Cr合金(200)面間隔dCr(200)を用いて[√3・dCo
(11.0) - √2・dCr(200)] / √2・dCr(200)×100 (%)と定
義された格子ミスフィットは0%以上、8%以下が望まし
い。これは、該ミスフィットが8%を上回ると、磁性結
晶中に多くの欠陥が生じ、熱揺らぎにより容易に磁化反
転が引き起こされ、また、0%を下回ると磁性結晶粒に
引っ張り応力が働き、保磁力低下を招くためである。
の平均粒径に強く依存しており、該粒径を15nm以下とす
ることによって、特に効果的に低減させることが可能と
なる。但し、該粒径が5nmを下回ると磁性層の結晶粒径
が著しく増大し、ノイズ増大を引き起こすため好ましく
ない。また、下地層の平均粒径に加え、バイクリスタル
面積比率は、磁性層と下地層間の格子ミスフィット、下
地層の(100)配向度、基板バイアス等の成膜プロセス等
にも影響されるため、これらを制御することによって
も、低減可能である。
素を主成分とした合金が用いられる。該下地合金は、格
子定数向上を目的としたTi, Mo, V, W等の添加元素を含
有していてもよい。また、更に粒径微細化を目的として
B, C, Si等が添加されていてもよいし、これらを組合せ
た多層構造としてもよい。
00)配向させるため、MgO, Ta, NiP,CoCrZr, NiTa, NiN
b、及びこれらを主成分とする材料等が好ましい。ま
た、シード層と基板との間に耐周動性向上を目的とした
凹凸を形成するための層、或いは密着性向上を目的とし
た層を形成してもよい。
のほか、化学強化ガラス基板、結晶化ガラス基板、非晶
質カーボン基板等を用いることができる。磁性層の保護
層としてカーボンを厚さ3nm〜20nm形成し、さらに吸着
性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を厚
さ2nm〜10nm設けることにより信頼性が高く、高密度記
録が可能な磁気記録媒体が得られる。保護層としては水
素、または窒素を添加したカーボン膜、或いは、炭化シ
リコン、炭化タングステン、(W-Mo)-C、(Zr-Nb)-N等の
化合物から成る膜、或いは、これらの化合物とカーボン
の混合膜を用いてもよい。
易軸方向に測定した保磁力を2800エルステッド以上と
し、残留磁束密度Brと膜厚 t の積Br×tを30ガウス・ミ
クロン以上、80ガウス・ミクロン以下とすると、1平方
インチ当たり10ギガビット以上の記録密度領域におい
て、良好な記録再生特性が得られるので好ましい。円周
方向の保磁力が2800エルステッドよりも小さくなると、
高記録密度(350kFCI以上)での出力が小さくなり好ま
しくない。また、Br×tが80ガウス・ミクロンより大き
くなると分解能が低下し、30ガウス・ミクロンよりも小
さくなると再生出力が小さくなり好ましくない。
2、図3、図4を用いて説明する。本実施例の磁気記憶装
置の平面摸式図、断面摸式図を図2(a)、及び図2(b)に示
す。この装置は磁気ヘッド21、及びその駆動部22と、該
磁気ヘッドの記録再生信号処理手段23と磁気記録媒体24
とこれを回転させる駆動部25とからなる周知の構造を持
つ磁気記憶装置である。
磁気ヘッドは基体31上に形成された記録用の電磁誘導型
磁気ヘッドと再生用のスピンバルブ型磁気ヘッドを併せ
持つ複合型ヘッドである。前記記録用ヘッドはコイル32
を挟む上部記録磁極33と下部記録磁極兼上部シールド層
34からなり、記録磁極間のギャップ層厚は0.30μmとし
た。また、コイルには厚さ3μmのCuを用いた。前記再生
用ヘッドは磁気抵抗センサ35とその両端の電極パタン36
からなり、磁気抵抗センサは共に1μm厚の下部記録磁極
兼上部シールド層と下部シールド層37で挟まれ、該シー
ルド層間距離は0.22μmである。尚、図3では記録磁極間
のギャップ層、及びシールド層と磁気抵抗センサとのギ
ャップ層は省略してある。
該センサの信号検出領域41は、酸化Alのギャップ層42上
に、5nmのTaバッファ層43、7nmの第一の磁性層44、1.5n
mのCu中間層45、3nmの第二の磁性層46、10nmのFe-50at%
Mn反強磁性合金層47が順次形成された構造である。前記
第一の磁性層にはNi-20at%Fe合金を使用し、第二の磁性
層にはCoを使用した。反強磁性層からの交換磁界によ
り、第二の磁性層の磁化は一方向に固定されている。こ
れに対し、第二の磁性層と非磁性層を介して接する第一
の磁性層の磁化の方向は、磁気記録媒体からの漏洩磁界
により変化するため、抵抗変化が生じる。再生用ヘッド
には、このような二つの磁性層の磁化の相対的方向の変
化に伴う抵抗変化を利用したスピンバルブ型磁気ヘッド
を使用した。信号検出領域の両端にはテーパー形状に加
工されたテーパー部48がある。テーパー部は、磁気抵抗
強磁性層を単磁区化するための永久磁石層49と、その上
に形成された信号を取り出すための一対の電極11からな
る。永久磁石層は保磁力が大きく、磁化方向が容易に変
化しないことが必要であり、CoCr、CoCrPt合金等が用い
られる。
す。アルカリ洗浄を施した化学強化ガラス基板51を200
℃まで加熱した後、MgOシード層52を30nm、B濃度を2か
ら10at%まで変化させたCr-20at%Ti-Xat%B合金下地層(X=
2-10)53を30nm、Co-22at%Cr-10at%Pt磁性層54を18nm、
カーボン保護膜55を10nm、真空中で連続的に成膜した。
基板加熱はランプヒーターを用いて行い、MgOシード層
のみRFスパッタで形成し、他の層は全てDCスパッタによ
り、10mTorrのArガス雰囲気中で行った。尚、比較例媒
体としてBを添加しないCr-20at%Ti合金下地層を用いた
磁気記録媒体を作製した。
層の平均粒径、バイクリスタル面積比率、保磁力、媒体
ノイズ、及び分解能の値を示す。
体を表面側(カーボン保護膜側)からイオンミリング
し、カーボン保護膜、及び磁性層を削除した磁気記録媒
体のTEM観察を行うことによって求めた。尚、磁性層の
削除はオージェ測定によって、Co、またはPtが検出され
なくなることによって確認した。また、規格化媒体ノイ
ズは、線記録密度350kFCIで記録したときの媒体ノイズN
dを、孤立再生波出力E0で規格化した値Nd/E0と定義し、
分解能は該記録密度での再生出力E350kFCIと孤立再生波
出力E0の比E350k/E0×100 (%)と定義した。下地層の平
均粒径が20nm以上と大きい比較例媒体では、バイクリス
タル面積比率は70%以上であり、保磁力が低い。これに
対し、本実施例媒体では下地層の平均粒径が14nm以下
で、かつ該クラスター面積比率が50%以下となり、2.8k
Oe以上の高い保磁力が得られている。また、バイクリス
タル面積比率が30%以下となる実施例媒体1C-1Fでは、
媒体ノイズが特に低減されており、該面積比率が更に20
%以下の実施例磁気記録媒体1E、1Fではそれらに加え、
高い分解能を示した。
たのち、上記磁気ヘッドとともに磁気記憶装置に組み込
み、一平方インチ当たり10ギガビットの条件で記録再生
特性を評価したところ、2.2という高い装置S/Nが得られ
た。また、コンタクト・スタート・ストップ試験(CSS
試験)を行ったところ、3万回のCSSを行っても摩擦係
数は0.2以下であった。
ード層を20nm形成したのち、ランプヒーターにより300
℃まで加熱し、10nmのCr-30at%V-3at%C下地層、17nm
のCo-19at%Cr-8at%Pt-3at%Ta磁性層、12nmのカーボン保
護膜を連続的に成膜した。Taシード層の成膜は、ArにN2
を2%添加した混合ガス雰囲気中で行い、ガス圧を5から
15mTorrまで変化させた。その他の層は全て5mTorrの純A
rガス雰囲気中で形成した。また、比較例としてTaシー
ド層を、30〜50mTorrのArにN2を20%添加した混合ガス
雰囲気中で形成した磁気記録媒体を作製した。本実施例
及び比較例における磁気ディスク媒体の特性について表
2に示す。
れも、磁性層の平均粒径は11〜14nmと大きな差はなく、
またバイクリスタル面積比率も全て50%以下であった。
X線回折測定を行ったところ、磁性層からの回折ピーク
は、すべての磁気記録媒体に於いて、CoCrPtTa(11.0)ピ
ークとCoCrPtTa(00.2)ピークのみであった。しかし、本
実施例磁気記録媒体では両者のピーク強度比ICo(11.0)/
ICo(00.2)は2.0以上と、磁性層は強い(11.0)配向を示し
ていたのに対し、比較例磁気記録媒体では磁性層は、強
い(00.2)配向を示し、該強度比は2.0未満であった。こ
れは、本実施例磁気記録媒体のTaシード層が主としてベ
ータ構造であったのに対し、比較例磁気記録媒体のTaシ
ード層は主としてアルファ構造であったためと考えられ
る。本実施例磁気記録媒体はいずれも2.8kOe以上の高い
保磁力と、0.02μVrms/μVpp以下の低い媒体ノイズを示
した。よって以上より、バイクリスタル面積比率が50%
以下の磁気記録媒体では、磁性層に(11.0)配向以外の結
晶粒が混在していても、(11.0)面からの回折ピーク強度
が他の面からのピーク強度の2倍以上であれば、良好な
磁気特性が得られることが明らかになった。
のち、上記磁気ヘッドとともに磁気記憶装置に組み込
み、一平方インチ当たり10ギガビットの条件で記録再生
特性を評価したところ、2.0という高い装置S/Nが得られ
た。
化ガラス基板を150℃まで加熱した後、Ni-30at%Taシー
ド層を20nm、Cr-Xat%Mo-5at%B下地層(X=20, 30, 40,
50)を40nm、Co-23at%Cr-12at%Pt-2at%Ta磁性層を14nm、
カーボン保護膜を12nm、連続的に成膜した。カーボン保
護膜以外は、全て10mTorrのArガス雰囲気中で形成し、
下地層、及び磁性層形成時にそれぞれ、-100V、-300Vの
基板バイアスを印加した。カーボン保護膜は、Arガスに
メタンを10%添加した混合ガス中で形成した。また、比
較例としてCr-50at%Mo-5at%B下地層を用い、下地層、
磁性層ともに基板バイアスを印加せずに形成した磁気記
録媒体を作製した。
記録媒体、比較例磁気記録媒体とも磁性層からのhcp(1
1.0)ピーク、及び下地層からのbcc(200)ピークのみが観
察された。また、TEM観察より求めた磁性層の平均粒径
は、いずれの磁気記録媒体も12〜14nm程度であった。表
3に各磁気記録媒体のバイクリスタル面積比率、格子ミ
スフィット、媒体ノイズ、及び再生出力の減衰率を示
す。
ペクトラムのピーク位置より算出したCo合金(11.0)面間
隔dCo(11.0)と、Cr合金(200)面間隔dCr(200)を用いて
[√3・dCo(11.0) - √2・dCr(200)] / √2・dCr(200)×100
(%)と定義された値である。また、再生出力の減衰率
は、記録直後の再生出力E0と48時間後の再生出力E48hを
用いて(E48h-E0)/E0×100(%)と定義された値である。
尚、本実施例では、熱揺らぎによる記録磁化の減衰を顕
著にするため、意図的に膜厚が薄く、かつ高Cr濃度の磁
性層を用いた。
クリスタル面積比率は50%以下であり、0.02μVrms/μV
pp以下の低い媒体ノイズを示している。これに対し、バ
イアスを印加せずに成膜した比較例磁気記録媒体のバイ
クリスタル面積比率は50%を上回り、媒体ノイズが大き
い。一方、実施例磁気記録媒体のうち、格子ミスフィッ
トが8%以下である実施例3Cと実施例3Dは低ノイズであ
るのに加え、再生出力の減衰率がより低減されていた。
よって、格子ミスフィットを8%以下とすることによ
り、低ノイズ化に加え、熱揺らぎによる再生出力の減衰
を抑制できることがわかった。
のち、上記磁気ヘッドとともに磁気記憶装置に組み込
み、一平方インチ当たり10ギガビットの条件で記録再生
特性を評価したところ、2.0という高い装置S/Nが得られ
た。また、コンタクト・スタート・ストップ試験(CSS
試験)を行ったところ、3万回のCSSを行っても摩擦係
数は0.2以下であった。
PメッキAl-Mg合金基板上に、第一のシード層として50nm
のCo-30at%Cr-8at%Zr合金、第二のシード層としてTaを1
0nm室温で形成し、次いで260℃まで加熱した後、Cr-20a
t%Ti合金下地層を30nm、Co-22at%Cr-12at%Pt磁性層を18
nm、カーボン保護膜を10nm、DCスパッタにより、10mTor
rのArガス雰囲気中で連続的に成膜した。また、比較例
としてTa/CoCrZr二層シード層の代わりに50nmのNiAl合
金シード層を用いた磁気記録媒体を同一成膜条件で形成
した。
ラムでは、強いCoCrPt(11.0)ピークが観測され、バイク
リスタル面積比率は28%であった。これに対し、比較例
磁気記録媒体の磁性層、下地層からはそれぞれ、強いCo
CrPt(10.0)ピーク、CrTi(211)ピークが観測され、(211)
配向した下地層上に、磁性層が(10.0)配向をとってエピ
タキシャル成長していることがわかった。表4に本実施
例磁気記録媒体、及び比較例磁気記録媒体の粒径パラメ
ーターを示す。
ったが、比較例磁気記録媒体の磁性層のTEM像中には、
粒径が30nm以上の巨大な結晶粒がいくつか観察された。
これは、該磁性結晶が、不可避的に形成された粒径30nm
以上の巨大な下地粒径上に形成されたためと考えられ
る。これに対し、実施例磁気記録媒体ではこのような巨
大な磁性結晶粒は観察されず、粒径分散を表わす標準偏
差値は、比較例磁気記録媒体に対し30%程度低かった。
また、表4には保磁力、及び記録再生特性の値も示して
あるが、本実施例磁気記録媒体は、保磁力はやや低いも
のの、0.02μVrms/μVpp以下の低い媒体ノイズと、10%
以上の高い分解能を示している。即ち、磁性層の平均粒
径が同程度でも、磁性層が(11.0)配向をとり、低頻度で
バイクリスタルクラスターが形成された磁気記録媒体の
方が、磁性層が(10.0)配向をとり、バイクリスタルクラ
スターを形成しない磁気記録媒体よりも保磁力は若干低
いが、より低ノイズで、かつ高分解能であることが明ら
かになった。
のち、上記磁気ヘッドとともに磁気記憶装置に組み込
み、一平方インチ当たり10ギガビットの条件で記録再生
特性を評価したところ、2.3という高い装置S/Nが得られ
た。
高分解能化、及びノイズ低減効果を持つ。本発明の磁気
記録媒体とスピンバルブ型磁気ヘッドを用いることによ
り、一平方インチ当たり10ギガビット以上の記録密度を
有し、かつ平均故障回数が30万時間以上の磁気記憶装置
の実現が可能となる。
面TEM像を示す模式図である。
の磁気記憶装置の平面模式図およびそのA-A' 断面図で
ある。
断面構造の一例を示す斜視図である。
磁気抵抗センサ部の断面構造の一例を示す模式図であ
る。
一例を示す模式図である。
Claims (9)
- 【請求項1】磁性層がhcp構造を有すCoを主成分とした
合金からなり、該磁性層が実質的に(11.0)面を基板面と
略平行とした配向をとり、かつ該磁性層の平均結晶粒径
が8nm以上14nm以下であり、かつc軸の相対角度が0度以
上10度以下または80度以上90度以下で隣接しているCo合
金結晶粒群を一つのクラスターとみなしたとき、該クラ
スターを形成している結晶粒群の基板に略平行面の面積
の総和が、磁性層中の全ての結晶粒の基板に略平行面の
面積の総和の50%以下であることを特徴とする磁気記録
媒体。 - 【請求項2】上記クラスターを形成している結晶粒群の
基板に略平行面の面積の総和が、磁性層中の全ての結晶
粒の基板に略平行面の面積の総和の、更に30%以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。 - 【請求項3】上記クラスターを形成している結晶粒群の
基板に略平行面の面積の総和が、磁性層中の全ての結晶
粒の基板に略平行面の面積の総和の、更に20%以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。 - 【請求項4】上記結晶粒の平均粒径が更に9nm以上、12n
m以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
媒体。 - 【請求項5】上記磁性層の(11.0)面からの回折ピーク強
度が、磁性層の他のいずれの面からの回折ピーク強度に
対しても、2倍以上であることを特徴とする請求項1記
載の磁気記録媒体。 - 【請求項6】上記磁性層が実質的に(100)面を基板面と
略平行とした配向をとるbcc構造の下地層上に形成され
ており、該下地層の平均粒径が5nm以上、15nm以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。 - 【請求項7】上記磁性層が実質的に(100)面を基板面と
略平行とした配向をとるbcc構造の下地層上に形成され
ており、X線回折スペクトラムのピーク位置より算出し
た該下地層の(200)面間隔dCr(200)、及び該磁性層の(1
1.0)面間隔dCo(11.0)を用いて[√3・dCo(11.0) - √2・dC
r(200)] / √2・dCr(200)×100 (%)と定義した格子ミス
フィットが、0%以上、8%以下であることを特徴とする
請求項1記載の磁気記録媒体。 - 【請求項8】磁気記録媒体と、これを記録方向に駆動す
る駆動部と、記録部と再生部から成る磁気ヘッドと、上
記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対して相対運動させ
る手段と、上記磁気ヘッドへの信号入力と該磁気ヘッド
からの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段
を有する磁気記憶装置において、前記磁気ヘッドの再生
部が互いの磁化方向が外部磁界によって相対的に変化す
ることによって抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層
と、該導電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層を
含む磁気抵抗センサによって構成されたスピンバルブ型
磁気ヘッドで構成され、かつ、前記磁気記録媒体が請求
項1乃至7記載の磁気記録媒体で構成されることを特徴
とする磁気記憶装置。 - 【請求項9】前記スピンバルブ型磁気ヘッドの磁気抵抗
センサ部が、互いに0.25μm以下の距離だけ隔てられた
軟磁性体からなる2枚のシールド層の間に形成されてお
り、かつ、前記磁性膜の厚さtと、記録時における該磁
気記録媒体に対する上記磁気ヘッドの相対的な走行方向
に磁界を印加して測定した残留磁束密度Brの積Br×tが3
0ガウス・ミクロン以上、90ガウス・ミクロン以下であ
り、さらに、上記の磁界印加方向と同じ方向に磁界を印
加して測定した前記磁気記録媒体の保磁力が2800エルス
テッド以上であることを特徴とする請求項8記載の磁気
記憶装置。
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