JP2000215438A - 磁気記録媒体および磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気ディスク装置

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JP2000215438A
JP2000215438A JP11327763A JP32776399A JP2000215438A JP 2000215438 A JP2000215438 A JP 2000215438A JP 11327763 A JP11327763 A JP 11327763A JP 32776399 A JP32776399 A JP 32776399A JP 2000215438 A JP2000215438 A JP 2000215438A
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Yotsuo Yaku
四男 屋久
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浩二 阪本
Yuzuru Hosoe
譲 細江
Akira Kato
章 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Cr とTi を含む非磁性合金から成る下地膜とCo
-Cr-Pt-Ta 系合金あるいはCo-Cr-Pt-B 系合金から成る
磁性膜との間にCo-Cr-Pt 合金から成る磁性中間膜が存
在する磁気記録媒体。 【解決手段】媒体起因のノイズが低減され、高いS/Nと
低いビットエラーレートが得られ、1平方インチ当たり
5ギガビット以上の高い記録密度の磁気記憶装置が実現
出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータの補
助記憶装置等に用いる磁気記憶装置、およびその装置に
用いる磁気記録媒体に係わり、さらに詳しくは、1平方
インチ当たり5ギガビット以上の高い面記録密度を有す
る磁気記録媒体および磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報化社会の進行により、日常的に扱う
情報量は増加の一途を辿っている。これに伴って、磁気
記憶装置に対する高記録密度・大記憶容量化の要求が強
くなっている。従来の磁気ヘッドには磁束の時間的変化
に伴う電圧変化を利用した電磁誘導型磁気ヘッドが用い
られていた。これは一つのヘッドで記録と再生の両方を
行うものである。これに対して近年、記録用と再生用の
ヘッドを別にし、再生用ヘッドにより高感度な磁気抵抗
効果型ヘッドを利用した複合型ヘッドの採用が急速に進
みつつある。磁気抵抗効果型ヘッドとは、ヘッド素子の
電気抵抗が媒体からの漏洩磁束の変化に伴って変化する
ことを利用したものである。また、複数の磁性層を非磁
性層を介して積層したタイプの磁性層で生じる非常に大
きな磁気抵抗変化(巨大磁気抵抗効果、或いはスピンバ
ルブ効果)を利用した更に高感度なGMRヘッドの開発
も実用化されつつある。この効果は非磁性層を介した複
数の磁性層の磁化の相対的方向が、媒体からの漏洩磁界
により変化し、これによって電気抵抗が変化する効果で
ある。
【0003】現在、実用化されている磁気記録媒体で
は、磁性膜としてCo-Cr-Pt、Co-Cr-Ta、Co-Cr-Pt-Ta
等、Co を主成分とする合金が用いられている。これら
のCo 合金はc 軸方向を磁化容易軸とする六方晶構造(h
cp 構造)をとるため、磁化を磁性膜面内で反転させて
記録する面内磁気記録媒体としてはこのCo合金のc 軸が
面内方向をとる結晶配向すなわち(11.0) 配向が望まし
い。しかし、この(11.0) 配向は不安定であるため基板
上に直接Co 合金を形成しても一般には起こらない。そ
こで体心立方構造(bcc 構造)をとるCr(100) 面がCo(1
1.0) 面と整合性が良いことを利用して(100) 配向したC
r の下地膜をまず基板上に形成し、その上にCo合金磁性
膜をエピタキシャル成長させることによってCo 合金磁
性膜のc 軸が面内方向を向いた(11.0) 配向をとらせる
手法が用いられている。また、Co 合金磁性膜とCr 下地
膜界面での結晶格子整合性を更に向上させるために、Cr
に第二元素を添加し、Cr 下地膜の格子間隔を増加させ
る手法が用いられている。これによってCo(11.0) 配向
が更に増大し、保磁力を増加させることが出来る。この
ような技術の例としては、特開昭62-257618号公報や、
特開昭63-197018号公報に示されているようにCr下地膜
にV, Ti 等を添加するものが挙げられる。高記録密度化
に必要な要素としては、記録媒体の高保磁力化と並んで
低ノイズ化が挙げられる。上記のような磁気抵抗効果型
ヘッドは再生感度が極めて高いため、高密度記録に適し
ているが、磁気記録媒体からの再生信号のみならず、ノ
イズに対する感度も同時に高くなる。このため、記録媒
体には従来以上に低ノイズ化が求められる。これに関し
ては、特許第2650282号には保磁力、角形比が共に高く
なり、媒体ノイズが低くなる下地膜として、Cr-Mo等の
合金膜が提案されている。また、特開平10-228621号公
報にはCr-Mo下地膜とCo-Cr-Pt-Ta磁性膜を組み合わせた
ものが報告されている。さらに、特開平4-221418号公報
に、高記録密度化に対応し保磁力を高める目的で、Co
合金磁性層に少なくともPt とB を含んでいる磁気記録
媒体が提案されている.さらに、特開平9-293227号公報
にはCr-Mo下地膜とCo-Cr-Pt-B磁性膜を組み合わせたも
のが報告されている。
【0004】また、特開平10-74314に示されているよう
に、Coを主体とした非磁性合金層を上記下地膜の下に設
けることにより媒体ノイズが低減される。さらに、特開
平10-143865に示されているように、このCoを主体とし
た非磁性合金層に酸化傾向の高いCrやZrを含ませ、その
表面を酸素雰囲気に曝して表面を若干酸化することによ
り媒体ノイズが更に安定して低減できる。また、特開平
9-265619や特開平10-214412には、Crを主成分とし、Zr
やTi等を含有する複合膜(シード層)の上にCrを主成分
とするb. c. c. 構造をとる下地層を形成した磁気記録
媒体が示されている。
【0005】一方、高密度記録特性を実現することを目
的に、磁性膜を二層化し、第1層にCoを主成分とする記
録膜とし、第2層にCoおよびCrを主成分としC,Ti,Zr,Nb
およびW等を含有させた 記録膜を設けた磁気記録媒体が
特開平1-303624 号公報に提案されている。しかし、該
公報に開示された媒体の保磁力は64 kA/m(800エルステ
ッド)と小さく、本発明で要求される160 kA/m(200
0エルステッド)以上の保磁力を得られない。また、同
様に磁性膜を二層化し、その下層を媒体ノイズの低いCo
CrTaとし、上層を保磁力の高いCo-Cr-Ptとして、ノイズ
低減と高記録密度を実現する方法が特開平05-114128に
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】媒体ノイズの低減に
は、磁性膜中の結晶粒の微細化、均一化が有効なことが
知られている。上述した従来技術もこの効果を利用しよ
うとするものである。その例として、ジャーナル オブ
アプライド フィジックス、第79巻(1996年)の第53
51頁から第5353頁(J. Appl. Phys.,vol.79, pp.5351-5
353 (1996))に、Cr-Ti合金下地膜を用いると従来のCr
下地膜に比べ結晶粒が微細になり、またCo-Cr-Ptと格子
定数の整合性が良くなるため保磁力が向上することが報
告されている。さらに本論文にも述べられているよう
に、媒体の低ノイズ化にはCo-Cr-Pt 磁性膜においてはC
r濃度の増加が効果的であることが良く知られている。
一方、ガラス基板を用いた媒体においては、特開平10-1
43865で報告したように、例えばCo-Cr-Zrシード層表面
を微量に酸化してからCr-Ti合金下地膜およびCo-Cr-Pt
磁性膜を形成すると、Co-Cr-Pt磁性膜のh.c.p.構造にお
ける磁化容易軸であるc軸が膜面に平行な(11.0) 配向
が実現でき、かつ結晶粒が微細化するため高いS/N特性
が得られることが分かっている。そこで、上記Co-Cr-Zr
シード層を60at.%Co-30at.%Cr-10at.%Zr 組成とし、そ
の表面を微量に酸化した後、80at.%Cr-20at.%Ti下地膜
とCo-Cr-Pt磁性膜を形成した媒体において、該磁性膜の
Cr濃度を73at.%Co-19at.%Cr-8at.%Pt、71at.%Co-21at.%
Cr-8at.%Pt、69at.%Co-23at.%Cr-8at.%Ptと変えて媒体
を作製し、1平方インチ当たり5ギガビットの面記録密
度の磁気ディスク装置において記録再生特性を評価した
ところ、Co-Cr-Pt磁性膜のCr濃度が高いほど良好であ
り、69at.%Co-23at.%Cr-8at.%Pt磁性膜の場合に、媒体
ノイズが最も低くなり、媒体ノイズとしては要求仕様を
満足した。次に、上記の媒体に対し7090 fr/mm(180 FC
I)で記録したときの再生出力の低下を1000時間経過の
前後で調査した。その結果、73at.%Co-19at%Cr-8at%Pt
磁性膜と71at.%Co-21at.%Cr-8at.%Pt磁性膜を用いた媒
体では、再生出力の低下は認められなかったのに対し、
69at.%Co-23at.%Cr-8at.%Pt磁性膜の場合は約5%低下
した。この再生出力の低下率が経過時間に対して一様と
仮定すれば、10年後には約10%の出力低下が予想され
る。これは磁気ディスク装置において実用上大きな問題
になると考えられる。この問題については、アイ・イー
・イー・イー トランザクション オンマグネティック
ス、第34巻(1998年)の第1528頁から第1533頁 (IEEE
Trans.on Magn., vol. 34 (1998) PP.1528-1533)に報
告されているように、媒体に記録された磁化が時間とと
もに減少するいわゆる「熱揺らぎ」の問題として議論さ
れている。また、上記69at.%Co-23at%Cr-8at%Pt磁性膜
の媒体は、S*が0.65程度と小さいため記録分解能が小さ
く要求仕様を満足できなかった。上記の熱揺らぎの問題
に対して、上記の特開平10-228621号公報に示されたCo-
Cr-Pt-Ta 磁性膜とCr-Mo下地膜を組み合わせた媒体を試
作したところ、再生出力の低下率が小さく耐熱揺らぎ特
性に優れていることが分かった。しかし、Cr-Mo 下地膜
の場合、結晶粒が大きくなるため、媒体ノイズが増大す
ることが分かった。そこで、上記の結晶粒が小さく、(2
00) 配向したCr-Ti 下地膜を形成した上にCo-Cr-Pt-Ta
磁性膜を形成したところ、耐熱揺らぎ特性に効果がある
約2at.%以上のTa 濃度においては、Co-Cr-Pt-Ta 磁性
膜のc軸は膜面に対し3次元的に分散してしまい(11.0)
面がエピタキシャル的に成長しなかった。そのため、Cr
-Ti 下地膜とCo-Cr-Pt-Ta 磁性膜と積層した磁気記録媒
体では、保磁力や保磁力角形比が低く、良好な記録再生
特性が得られなかった。
【0007】また、上記の特開平9-293227号公報に示さ
れた媒体構成の一例としてCo-Cr-Pt-B 磁性膜とCr-Mo下
地膜を組み合わせた媒体を試作したところ、再生出力の
低下率が小さく耐熱揺らぎ特性に優れていることが分か
った。しかし、Cr-Mo 下地膜の場合、結晶粒が大きくな
るため、媒体ノイズが増大してしまうことが分かった。
そこで、上記の結晶粒が小さく、(200) 配向したCr-Ti
下地膜を形成した上にCo-Cr-Pt-B 磁性膜を形成したと
ころ、耐熱揺らぎ特性に効果がある約2at.%以上のB 濃
度においては、Co-Cr-Pt-B 磁性膜のh.c.p. 構造におけ
るc軸は基板面に対し3次元的に分散してしまい(11.0)
面がエピタキシャル的に成長しなかった。そのため、Cr
-Ti 下地膜とCo-Cr-Pt-B 磁性膜と積層した磁気記録媒
体では、保磁力や保磁力角形比が低く、良好な記録再生
特性が得られなかった。
【0008】また、上記の特開平9-293227号公報に示さ
れた媒体構成の一例としてCo-Cr-Pt-B 磁性膜とCr-Mo下
地膜を組み合わせた媒体を試作したところ、再生出力の
低下率が小さく耐熱揺らぎ特性に優れていることが分か
った。しかし、Cr-Mo 下地膜の場合、結晶粒が大きくな
るため、媒体ノイズが増大してしまうことが分かった。
そこで、上記の結晶粒が小さく、(200) 配向したCr-Ti
下地膜を形成した上にCo-Cr-Pt-B 磁性膜を形成したと
ころ、耐熱揺らぎ特性に効果がある約2at.%以上のB 濃
度においては、Co-Cr-Pt-B 磁性膜のh.c.p. 構造におけ
るc軸は基板面に対し3次元的に分散してしまい(11.0)
面がエピタキシャル的に成長しなかった。そのため、Cr
-Ti 下地膜とCo-Cr-Pt-B 磁性膜と積層した磁気記録媒
体では、保磁力や保磁力角形比が低く、良好な記録再生
特性が得られなかった。
【0009】本発明の目的は、上記の問題を解決し、1
平方インチ当たり5ギガビット以上の高い面記録密度を
有する磁気記憶装置を実現するために適した、媒体ノイ
ズが低くても再生出力の時間的低下率の小さい、いわゆ
る熱揺らぎに強く、かつ記録分解能が高い磁気記録媒体
を提供することに有る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、結晶粒径
を小さくできるCr-Ti 系非磁性合金から成る下地膜の上
に熱揺らぎの小さいCoーCr-Pt-Ta 合金あるいはCoーCr-Pt
-B 合金から成る磁性膜を準エピタキシャルに成長させ
ることができれば達成される。発明者等は、そのような
系として、Cr-Ti 系非磁性合金から成る下地膜とCo-Cr-
Pt から成る中間膜を設けることにより達成できること
を見い出した。基板面に対し(200) 配向させたb.c.c.
構造を有するCr-Ti 下地膜上にCo-Cr-Pt 合金中間膜を
形成することにより、h.c.p. 構造を有するCo-Cr-Pt 合
金を(11.0) 配向させることができる。さらにこの上にC
o-Cr-Pt 合金と同じh.c.p. 構造を有するCo-Cr-Pt-Ta
系合金あるいはCoーCr-Pt-B 合金磁性膜を形成するとエ
ピタキシャル成長により磁化容易軸であるc軸が膜面に
平行な(11.0) 配向が実現できる。このようにh.c.p. 構
造を有する磁性膜のc軸が膜面に平行に揃うと面内の磁
気異方性が強くなるため、保磁力および角形比が増大
し、高S/N化および高記録分解能化に有効である。以
上により、Cr-Ti 下地膜の結晶粒微細化の効果と、Co-C
r-Pt-Ta 系磁性膜の熱揺らぎに強い効果が両立できる面
内磁気記録媒体が得られる。Cr-Ti 下地膜のTi 濃度は1
0at.%〜26at.%,より望ましくは14at.%〜24at.%とす
る.これは,このTi 濃度範囲で結晶粒が微細化しやす
いからである.ここで、Co-Cr-Pt-Ta系合金は、Co を主
成分とし、かつ、少なくともCr とPt とTa を含有する
合金である。Co-Cr-Pt-Ta 合金の他、Co-Cr-Pt-Ta に1
〜3at.% 程度のNb, B, Ti等を添加した合金も用いるこ
とができる。この場合も結晶粒径を微細化もしくは均一
化することができるので好ましい効果が得られる。Bを
添加すると結晶粒径を微細化できると同時に,高い保磁
力が得られるので,高記録密度化する上で特に好まし
い。また,ここでCo-Cr-Pt-B 系合金は、Co を主成分と
し、かつ、少なくともCr とPt とB を含有する合金であ
る。
【0011】上記Co-Cr-Pt 合金から成る中間膜が強磁
性体であれば、保磁力や角形比、残留磁化等の磁気特性
を制御できるので望ましい。ただし、Co-Cr-Pt 合金中
間膜の組成において、Cr濃度が少なすぎると媒体ノイズ
が増大し、多すぎると保磁力が低下するため、Cr 濃度
は18〜24 at.%が適当である。さらに,Cr濃度を20〜24a
t.%とすると特に媒体ノイズが低くなるので,より好ま
しい。また、保磁力をおよそ175〜287 kA/m(2.2 〜3.5
キロエルステッド) の範囲で制御するためにPt濃度は
8〜20 at.%が適当である。また、Co-Cr-Pt 合金中間層
に1.5 at.% 以下のTa を添加すると媒体ノイズの低減に
効果があった。この効果は, Co-Cr-Pt-B合金を磁性膜
として用いた場合に,特に顕著であった。この時、Ta
添加量を1.5at.%より多くするとCo-Cr-Pt-Ta 合金中間
層の上記(11.0) 配向が乱れ、保磁力、角形比が著しく
低下するので, Ta 添加量は1.5at.%以下であることが
好ましい。さらに、面記録密度が高くなり1平方インチ
当たり10ギガビット以上の場合には、上記Co-Cr-Pt 合
金中間膜のCr 濃度を28at.% 程度以上にして非磁性とす
る方が熱減磁に対してより強くなるので好ましい。
【0012】ところで、上記の目的を達成するには、必
ずしもCo-Cr-Pt-Ta 系あるいはCo-Cr-Pt-B 系磁性膜の
下にCo-Cr-Pt中間膜を形成した二層構造のCo 合金膜を
形成する必要はなく、Cr -Ti系下地膜に接する面の近
傍の組成がCo-Cr-Pt 合金であり、成長方向に沿って、
媒体表面に近づくにつれてTaあるいはBの濃度が連続的
に高くなるCo-Cr-Pt-Ta 合金あるいはCo-Cr-Pt-B合金磁
性膜を用いた場合にも同様の効果が得られる。このよう
な膜厚方向のTa あるいはBの濃度勾配を有する磁性膜を
用いた場合には、磁性膜結晶の格子欠陥が少ないために
結晶粒の均一性が向上すると同時に、磁性膜の成長方向
における磁気的な連続性の向上により記録時の磁化反転
が急峻になり、媒体ノイズがより低減するので好まし
い。
【0013】また,前記のCr とTi を含む非磁性合金か
ら成る下地膜とCo-Cr-Pt 合金から成る中間膜の間にCr
を主成分として、Mo、Wからなる群より選ばれた少なく
とも1種の元素を含む第2の下地膜を形成することによ
り,高記録密度化に適したより高い保磁力を得ることが
できる。この効果は,Co-Cr-Pt-Ta 系合金あるいはCo-C
r-Pt-B 系合金から成る磁性膜に含まれるPtの濃度が12
〜20 at.%の範囲にあり,かつ,上記第2の下地膜に含ま
れるMoとWの濃度の合計が16〜50 at.%の範囲にある場合
に特に顕著である。また,Co-Cr-Pt 合金中間膜の厚さ
が4nm以上の場合には,中間膜を介した第2の下地膜と磁
性膜のエピタキシャル性を高める上で,中間膜中に含ま
れるPtの濃度も12〜20 at.%の範囲にあることが望まし
い。
【0014】上記磁性膜の磁気特性としては、膜面内に
磁界を印加して測定した保磁力を200 kA/m(2.5キロエ
ルステッド)以上とし、膜面内に磁界を印加して測定し
た残留磁束密度 Br と膜厚 t の積 Br×t を2.0 T・nm
(20ガウス・ミクロン)以上、10 T・nm (100ガウス・
ミクロン)以下とすると、1平方インチ当たり5ギガビ
ット以上の記録密度領域において、良好な記録再生特性
が得られるので好ましい。保磁力が200 kA/m(2.5キロ
エルステッド)よりも小さくなると、12000 fr/mm(300
kFCI)を越える高記録密度での出力が小さくなり好ま
しくない。ここでFCI は線記録密度の単位であり、flux
reversals per inch の略である。 また、Br×t が10
T・nm (100ガウス・ミクロン)より大きくなると12000
fr/mm(300 kFCI) を越える高記録密度での再生出力が
低下し、2.0 T・nm(20ガウス・ミクロン)よりも小さく
なると低記録密度での再生出力が小さくなり好ましくな
い。また、膜面内に磁界を印加して測定した保磁力を28
0 kA/m(3.5キロエルステッド)以上とし、膜面内に磁
界を印加して測定した残留磁束密度 Br と膜厚 t の積B
r×t を2.0 T・nm(20ガウス・ミクロン)以上、6.5 T・n
m(65ガウス・ミクロン)以下とすると、1平方インチ
当たり20ギガビット以上の記録密度領域において、良好
な記録再生特性が得られるので特に好ましい。保磁力が
280 kA/m(3.5キロエルステッド)よりも小さくなる
と、16000 fr/mm(400 kFCI)を越える高記録密度での
出力が小さくなり好ましくない。また、Br×t が6.5 T・
nm(65ガウス・ミクロン)より大きくなると16000 fr/m
m(400 kFCI)を越える高記録密度での再生出力が低下
し、2.0 T・nm(20ガウス・ミクロン)よりも小さくなる
と低記録密度での再生出力が小さくなり好ましくない。
【0015】さらに、磁性膜の上にカーボンを主成分と
するを厚さ3 nm〜12 nm の膜を形成し、その上に吸着性
のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑膜を厚さ
1 nm〜3 nm 設けることにより信頼性が高く、高密度記
録が可能な磁気記録媒体が得られる。また、基板とし
て、Ni-PをメッキしたAl 合金基板を用いた場合にも、
ガラス基板を用いた場合と同様、低ノイズ化および熱揺
らぎに強くなるという効果が確認された。
【0016】上記の磁気記録媒体と、これを記録方向に
駆動する駆動部と、記録部と再生部から成る磁気ヘッド
と、上記磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対して相対運
動させる手段と、上記磁気ヘッドへの信号入力と該磁気
ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処
理手段を有する磁気ディスク装置において、前記磁気ヘ
ッドの再生部を互いの磁化方向が外部磁界によって相対
的に変化することによって大きな抵抗変化を生じる複数
の導電性磁性層と、その導電性磁性層の間に配置された
導電性非磁性層を含む磁気抵抗センサによって構成し
た、いわゆるGMRヘッドで構成することにより、高記
録密度における十分な信号強度を得ることができ、1平
方インチ当たり5ギガビット以上の記録密度を持った信
頼性の高い磁気ディスク装置を実現することが出来る。
【0017】また、本発明の磁気記録媒体を磁気ディス
ク装置で用いる場合、前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドと
しては、その磁気抵抗センサ部を互いに0.12μm以上0.2
μm以下の距離だけ隔てられた軟磁性体からなる2枚のシ
ールド層の間に形成することが望ましい。シールド層の
間隔が0.2μmよりも大きくなると、8700 fr/mm(220 kF
CI)を超える最高線記録密度領域で十分な再生出力が得
られなくなる。また、シールド層の間隔が0.12μmより
も小さくなるとシールド層と磁気抵抗センサの絶縁性を
維持することが困難になる。
【0018】
【発明の実施の形態】<実施例1>図1に本実施例の磁
気記録媒体の膜構成を示す。基板10 には2.5インチ型の
化学強化されたソーダライムガラスを使用した。この基
板を洗浄した後、その上に、インテバック(Intev
ac)社製の枚葉式スパッタリング装置(MDP250
B)を用いて、タクト9秒で以下の多層膜を形成した。
このスパッタリング装置のチャンバ構成あるいはステー
ション構成は図2に示した通りである.まず、基板10の
上に70at.%Ni-20at.%Cr-10at.%Zr 合金からなるシード
膜11, 11' を27 nm、80at.%Cr-20at.%Ti 合金からなる
下地膜12, 12' を28 nm、68at.%Co-22at.%Cr-10at.%Pt
磁性中間膜13, 13' 、68at.%Co-21at.%Cr-8at.%Pt-3at.
%Ta 合金磁性膜14, 14' 、更に10 nm のカーボン保護膜
15, 15' を形成した。各膜の形成時のアルゴン(Ar) ガ
ス圧はすべて0.9 Pa(7 mTorr)とした。成膜中のメイ
ンチャンバ29 でモニタした酸素分圧はおよそ1×10のマ
イナス7乗〜1×10のマイナス6乗(Pa)(1×10のマ
イナス9乗〜1×10のマイナス8乗(Torr))であった。
シード膜は基板を加熱しない状態でシード膜形成室22
で形成し、加熱室23 でランプヒーターにより270℃まで
加熱し、その後酸化室24で99vol%Ar-1vol%O2 混合ガス
の圧力0.9 Pa (7 mTorr)(ガス流量20 mL(Normal)/mi
n (20 sccm) )の雰囲気に3.5秒間曝し、その後その上
に上記各膜を下地膜形成室25、磁性中間膜形成室26、磁
性膜形成室27、保護膜形成室28, 28'で順に形成した。
ここで上記カーボン保護膜まで形成した後、パーフルオ
ロアルキルポリエーテルを主成分とする潤滑剤を塗布し
て厚さ1.7 nm の潤滑膜16, 16' として塗布した。
【0019】上記の磁性膜中間膜と磁性膜の膜厚は表1
に示すように、媒体としての残留磁束密度Brと磁性膜厚
tの積であるBr×t を7.5 T・nm(75 ガウス・ミクロン)
となるように、それぞれの膜厚を設定し試料a、試料b、
試料cを作製した。これらの媒体を断面TEMにより観
察したところ、いずれの媒体も磁性膜と磁性中間膜との
明瞭な境界は判別されず、略一体の膜となっていた。
【0020】<比較例1>上記実施例1において,68a
t.%Co-21at.%Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金磁性膜14,14' を
形成せず、また、残留磁束密度Brと磁性膜厚tの積であ
るBr・t は再生出力に関るため、これを合わせるため
に、図3に従い、68at.%Co-22at.%Cr-10at.%Pt 磁性中
間膜13, 13' の膜厚を21 nmとした以外は実施例1と同
一の膜構成および成膜条件で作製した磁気記録媒体を比
較例1とした。ここで、図3はCo-Cr-Pt磁性膜のCr 濃
度を変えた磁気記録媒体において、角形比 、S(飽和磁
束密度、Bs に対する残留磁束密度、Br の比)が略0.75
である媒体におけるBr の値をCr濃度に対してプロット
したものである。
【0021】<比較例2>上記実施例1において、68a
t.%Co-22at.%Cr-10at.%Pt 磁性中間膜13, 13' を形成せ
ず、また、残留磁束密度Brと磁性膜の厚さt の積である
Br×t は再生出力に関るため、これを7.5 T・nm(75 ガ
ウス・ミクロン) に合わせるために,上記68at.%Co-21
at.%Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金磁性膜14, 14' の膜厚を2
4 nmとした以外は実施例1と同一の膜構成および成膜条
件で作製した磁気記録媒体を比較例2とした。ここで上
記68at.%Co-21at.%Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金磁性膜14,
14'の膜厚は図3に従い、Ta もCr 同様に比磁性材料で
あるため、Cr 濃度とTa 濃度の合計である24 at.% のCr
濃度としてBr = 0.31 T (3.1 キロガウス)と見積も
った. <比較例3>上記実施例1において、磁性中間膜13, 1
3'の替りに70at.%Cr-30at.%Mo 合金からなる下地膜を25
nm形成し、68at.%Co-22at.%Cr-10at.%Pt 磁性中間膜1
3, 13' を形成しないこと、さらに上記68at.%Co-21at.%
Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金磁性膜14, 14' の膜厚を24 nm
とした以外は実施例1と同一の膜構成および成膜条件で
作製した磁気記録媒体を比較例3とした。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表1に実施例1と比較例1の媒体の磁気特
性および記録再生特性を示す。また、表2に比較例2と
比較例3の媒体の磁気特性および記録再生特性を示す。
ここで磁気特性は室温にて試料振動型磁力計により最大
印加磁界400 kA/m(5 キロエールステッド)で測定し、
保磁力(Hc)、保磁力角形比(S*)および磁性膜と磁
性中間膜の総厚さt と残留磁束密度Brとの積(Br×t )
を評価した。記録再生特性はシールドギャップ長Gsを0.
18μmとしたスピンバルブ型の再生素子と、ギャップ長
が0.3μmの電磁誘導型書き込み素子からなる磁気ヘッ
ドを用いて測定した。Slf は孤立波再生出力、Nは142
00 fr/mm(360 kFCI)の線記録密度での媒体ノイズであ
り、これらの比をSlf/Nで評価した。また、記録分解
能として、7090 fr/mm(180 kFCI) における再生出力
に対する14200 fr/mm(360 kFCI)における再生出力の
比、Resolution で評価した。このSlf/Nが高く、Res
olution が大きいほど、媒体として高い記録密度特性を
有する。表1より実施例1のa、bおよびcの媒体は、
Co-Cr-Pt-Ta磁性膜とCo-Cr-Pt磁性中間膜の膜厚の割合
により保磁力(Hc)を調整できる。また、Co-Cr-Pt-Ta
の磁性膜厚の膜厚の割合がCoCrPt磁性中間膜の膜厚より
高い方が、Slf/Nが高く、Resolution が低い傾向に
あるが、いずれも比較例2,3よりSlf/N、Resoluti
on ともに高い値を示した。比較例1の媒体のResolutio
n が最も高いがSlf/Nが低いため、エラーレートで比
較すると実施例1の媒体a、b、cの方が、いずれも約
0.5dB高かった。
【0025】また、図5に実施例1と比較例1の媒体の
それぞれのX線回折パターンを示す。いずれの媒体も主
にCrTi のb.c.c. 構造の(200) 面とCo-Cr-Pt-Ta 乃至 C
o-Cr-Pt のh.c.p. 構造の(11.0) 面が配向している。一
方、比較例2の媒体は図6のX線回折パターンに示すよ
うに,Co-Cr-Pt-Ta 磁性膜のh.c.p. 構造の(11.0)ピー
クがほとんど見られず,(00.2)ピークが強いため,磁性
膜の垂直磁気異方性が大きくなっており、いわゆる垂直
磁化膜になってしまった.そのためS* 、記録再生特性
は測定困難なレベルであり記載しなかった。また、比較
例3の媒体でも、h.c.p. 構造の(11.0)ピークがわずか
に見られるものの、やはりCo-Cr-Pt-Ta磁性膜のh.c.p.
構造の(00.2)ピークが強いため、Br×t 、S*およびHcが
いずれも小さく、良好な記録再生特性は得られなかっ
た。
【0026】<実施例2>上記実施例1と同様の膜構成
で磁気記録媒体を作製した。基板10 には2.5インチ型の
化学強化されたアルミノシリケートガラスを使用した。
この基板を洗浄した後、その上に、インテバック(In
tevac)社製の枚葉式スパッタリング装置(MDP
250B)を用いて、タクト8秒で以下の多層膜を形成
した。まず、基板10の上に60at.%Co-30at.%Cr-10at.%Zr
合金からなるシード膜11, 11' を25 nm、78at.%Cr-22a
t.%Ti 合金からなる下地膜12, 12' を25 nm、67at.%Co-
21at.%Cr-12at.%Pt 磁性中間膜13, 13' を9 nm、70at.%
Co-19at.%Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金磁性膜14, 14'を9 n
m 、更に8 nm のカーボン保護膜15, 15' を形成した。
各膜の形成時のアルゴン(Ar) ガス圧はすべて0.87 Pa
(6.5 mTorr)とした。成膜中のメインチャンバ29 でモ
ニタした酸素分圧はおよそ1×10のマイナス7乗〜7×
10のマイナス7乗(Pa)(8×10のマイナス10乗〜5×10
のマイナス9乗(Torr))であった。シード膜は基板を
加熱しない状態でシード膜形成室22 で形成し、加熱室2
3 でランプヒーターにより270℃まで加熱し、その後酸
化室24で95vol%Ar-4vol%N2-1vol%O2 混合ガスの圧力 0.
9 Pa(7 mTorr)(ガス流量21 mL(Normal)/min (21 scc
m , Standard Cubic Centimeter per Minute) )の雰囲
気に3.5秒間曝し、その後その上に上記各膜を下地膜形
成室25、磁性中間膜形成室26、磁性膜形成室27、保護膜
形成室28, 28'で順に形成した。ここで上記カーボン保
護膜まで形成した後、パーフルオロアルキルポリエーテ
ルを主成分とする潤滑剤を塗布して厚さ1.8 nm の潤滑
膜16, 16' として塗布した。
【0027】
【表3】
【0028】その結果、磁性膜と磁性中間膜の膜厚を実
施例1の媒体に比べて薄く、かつ Hc を高くすることが
できたため、表3に示すように、実施例1と同等以上の
記録再生特性を示した。
【0029】上記の実施例および比較例はいずれも、ロ
ード・アンロード方式の磁気ディスク装置に対応し、表
面の平坦な磁気記録媒体に関するものである。一方、C
SS方式の磁気ディスク装置において、磁気ヘッドを搭
載したスライダと磁気記録媒体表面との粘着力を低減す
るため、磁気記録媒体の表面に凹凸形状が必要である。
また、ロード・アンロード方式においても、塵埃等の外
乱によりスライダと磁気記録媒体表面とが偶発的に接触
する際の衝撃力を緩和する目的で磁気記録媒体表面に微
細な凹凸が必要な場合がある。そこで、これらの要求に
対応した磁気記録媒体を以下の実施例3に示す。
【0030】<実施例3>図1は本発明の磁気記録媒体
の一実施の形態の断面構造図である。基板60として、
厚さ0.635 mm、2.5インチ型の表面を化学強化したソー
ダライムガラス基板を用いた。この基板を洗浄した後、
その上に、インテバック(Intevac)社製の枚葉
式スパッタリング装置(MDP250B)を用いて、タ
クト9秒で以下の多層膜を形成した。このスパッタリン
グ装置のチャンバ構成あるいはステーション構成は図7
に示した通りである.まず、基板60の上にプリコート膜
形成室71で厚さ27 nm の60at.%Co-30at.%Cr-10at.%Zr合
金から成るプリコート膜61,61' を形成した。その後、
第1加熱室 72 でランプヒーターにより基板を約160
℃に加熱した後、シード膜形成室73 で90at.%Al-10at.%
Cr合金からなる離散的な突起を有する凹凸形成膜62, 6
2' を形成し、その上にシード膜形成室73で厚さ20 nmの
70at.%Ni-20at.%Cr-10at.%Zr合金から成るシード膜63,
63' を形成した。さらに、その後、第2加熱室74 でラ
ンプヒーターにより基板の温度を約270℃に加熱した
後、酸化室77 で99vol%Ar−1vol%O2混合ガスの圧力0.
9 Pa(7 mTorr)(ガス流量21 mL(Normal)/min (21 scc
m) )の雰囲気に3.5秒間曝し、その後、下地層形成
室78 で厚さ30 nmの80at.%Cr-20at.%Ti合金からなる下
地膜64, 64' を形成し、その上に中間膜形成室79 で厚
さ11 nmの68at.%Co-22at.%Cr-10at.%Pt 合金からなる磁
性中間膜65, 65' を形成し、その上に磁性膜形成室80で
厚さ11nmの68at.%Co-21at.%Cr-8at.%Pt-3at.%Ta 合金
からなる磁性膜66, 66' を形成し、その上に2つの保護
層形成室81 および81' で厚さ5 nmずつ、合計10 nmの保
護膜67, 67' を形成した。その後、取り出し室82 で基
板をスパッタ装置から取り出し、保護膜上にパーフルオ
ロアルキルポリエーテルを主成分とする潤滑剤を塗布し
て厚さ1.8 nmの潤滑層68, 68' を形成した。上記プリコ
ート膜61, 61'、シード膜63, 63' 、下地膜64, 64' 、
中間膜65, 65'、および磁性膜66,66' の形成には、すべ
て放電ガスとしてArを用い、ガス圧は0.9 Pa(7 mTor
r)とした。また、保護膜67, 67' の形成時には放電ガ
スとしてArを用い1.3 Pa(10mTorr)とした。一方、凹
凸形成膜62, 62' の形成には、99vol%Ar−1vol%O2混
合ガスを用い、ガス圧力は0.9 Pa(7 mTorr)とした。
このようにして形成した磁気記録媒体の表面形状を間欠
接触型の原子間力顕微鏡を用いて評価した結果、高さが
約8nmの突起が10μm角当り約500個の密度で形成
されていることが確認された。突起の平均的な直径は約
100nmであった。この評価では、約1秒間で10μm
の長さを走査して512ポイントのデータを取り込み、
走査線を走査方向に直行する方向に20nmピッチでシフ
トしながら10μm×10μmの領域の表面形状を評価し
た。また,この測定データから求めた中心線平均面粗さ
Raの値は1〜2nmであった。ここで突起の高さは、ベア
リングカーブの負荷比率1%から99%までの高さと定
義した。得られた磁気記録媒体の磁気特性を上記試料振
動型磁力計を用いて評価したところ、保磁力は221 kA/m
(2.78 キロエールステッド)、保磁力角形比は0.78、
磁性膜の厚さtと残留磁束密度Brとの積Br×t は7.2 T・
nm(72 ガウス・ミクロン)と実施例1と同等な磁気特
性を示した。
【0031】実際に上記の実施例の磁気記録媒体91と、
該磁気記録媒体を駆動する駆動部92と、記録部と再生部
からなる磁気ヘッド93と、該磁気ヘッドを上記磁気記録
媒体に対して相対運動させる手段94と、該磁気ヘッドへ
の信号入力手段と該磁気ヘッドからの出力信号再生を行
なうための記録再生信号処理手段95とを有する磁気ディ
スク装置を図8に示すように構成した。磁気ヘッドとし
ては,再生部が互いの磁化方向が外部磁界によって相対
的に変化することによって大きな抵抗変化を生じる複数
の導電性磁性層と、該導電性磁性層の間に配置された導
電性非磁性層を含む磁気抵抗センサで構成された磁気抵
抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)を用いた。この磁気
ヘッドと磁性膜表面との磁気的スページングを40 nmと
して,線記録密度310 kBPI(bit per inch)、トラック
密度19.5 kTPI(track per inch)の条件で記録再生特
性を評価したところ、実施例1、実施例2および実施例
3の磁気記録媒体は、面記録密度が1平方インチ当たり
6ギガビットの磁気ディスク装置の記録再生特性仕様を
充分満たした。また、本発明は、基板をガラス基板を特
定する必要はなく、Ni-PメッキしたAl合金基板、結晶化
ガラス基板やSi 基板等の磁気記録媒体用の基板として
知られる材料はいずれにおいても効果がある。
【0032】次に、上記図1および図2における中間膜
が非磁性体である場合の実施例を示す。
【0033】<実施例4>上記実施例1において、磁気
記録媒体の膜構成を示す図1おける中間膜13, 13' を、
厚さ7 nmの58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt 合金とし、磁
性膜14, 14' を厚さ19 nm のCo-21at.%Cr-12at.%Pt-3a
t.%Ta 合金とした以外は実施例1と同一の膜構成および
成膜条件で作製した磁気記録媒体を実施例4とした。こ
の実施例5の磁気記録媒体の磁気特性を上記試料振動型
磁力計を用いて評価したところ、保磁力は263 kA/m(3.
3 キロエールステッド)、保磁力角形比は0.76、Br×t
は5.9 T・nm(59 ガウス・ミクロン)であり、低いBr×t
で高い保磁力と高い保磁力角形比が得られた。さら
に、上記58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt 中間膜13, 13'
を30 nm形成し、14, 14' を形成しない以外はすべて実
施例5と同一の膜構成および成膜条件で磁気記録媒体を
作製し、試料振動型磁力計(理研電子製 BHV-50)によ
り磁気特性を測定したところ、磁化の測定レンジが3.1
pWb・m(0.0025 emu) で、Br×t は測定可能限界以下
であり、上記58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt中間膜は略非
磁性を示した。実施例4の磁気記録媒体の記録再生特性
は面記録密度が1平方インチ当たり10 ギガビットの磁
気ディスク装置仕様を満足した。さらに、70℃で100時
間放置してもビットエラーレートの劣化は0.5桁以下で
あった。面記録密度が1平方インチ当たり10 ギガビッ
ト以上の場合、本実施例4のようにCo-Cr-Pt 中間膜を
ほぼ非磁性とすることが有効である。そのCo-Cr-Pt 中
間膜の組成としては、Cr濃度が28〜40at%、Pt濃度が8〜
20at%とすると略非磁性になると共にC-Cr-Pt-Ta磁性膜
がエピタキシャル的に成長するため好ましい。
【0034】実際に上記の実施例の磁気記録媒体を磁気
ディスク装置に組み込んで、線記録密度310kBPI(bit p
er inch)、トラック密度19.5kTPI(track per inch)の
条件で磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)により
磁性膜表面との磁気的スページング40 nmで記録再生特
性を評価したところ、実施例1、実施例2および実施例
3の磁気記録媒体は、面記録密度が1平方インチ当たり
6ギガビットの磁気ディスク装置の記録再生特性仕様を
充分満たした。また、本発明は、基板をガラス基板を特
定する必要はなく、Ni-PメッキしたAl合金基板、結晶化
ガラス基板やSi基板等の磁気記録媒体用の基板として知
られる材料はいずれにおいても効果がある。
【0035】<実施例5>図1に示す膜構成の磁気記録
媒体を作製した。基板10 には2.5インチ型の化学強化さ
れたアルミノシリケートを使用した。この基板を洗浄し
た後、その上に、インテバック(Intevac)社製
の枚葉式スパッタリング装置(MDP250B)を用い
て、タクト8.5 秒で以下の多層膜を形成した。このスパ
ッタリング装置のチャンバ構成あるいはステーション構
成は図2に示した通りである.まず、基板10の上に65a
t.%Ni-20at.%Cr-15at.%Zr 合金からなるシード膜11, 1
1' を40 nm、80at.%Cr-20at.%Ti 合金からなる下地膜1
2, 12' を25 nm、66at.%Co-22at.%Cr-12at.%Pt 磁性中
間膜13, 13' 、63at.%Co-21at.%Cr-12at.%Pt-4at.%B 合
金磁性膜14, 14' 、更に5 nm のカーボン保護膜15, 15'
を形成した。各膜の形成時のアルゴン(Ar) ガス圧はす
べて0.9 Pa(7 mTorr)とした。成膜中のメインチャン
バ29 でモニタした酸素分圧はおよそ1×10のマイナス
7乗〜1×10のマイナス6乗(Pa)(1×10のマイナス
9乗〜1×10のマイナス8乗(Torr))であった。シード
膜は基板を加熱しない状態でシード膜形成室22 で形成
し、加熱室23でランプヒーターにより220℃まで加熱
し、その後酸化室24で99vol%Ar-1vol%O2混合ガスの圧力
0.9 Pa(7 mTorr)(ガス流量20 mL(Normal)/min (20
sccm) )の雰囲気に3.5 秒間曝し、その後その上に上記
各膜を下地膜形成室25、磁性中間膜形成室26、磁性膜形
成室27、保護膜形成室28, 28'で順に形成した。ここで
上記カーボン保護膜まで形成した後、パーフルオロアル
キルポリエーテルを主成分とする潤滑剤を塗布して厚さ
1.5 nm の潤滑膜16, 16' として塗布した。上記の磁性
膜中間膜と磁性膜の膜厚は表4に示すように、媒体とし
ての残留磁束密度Brと磁性膜厚tの積であるBr×t を5〜
6 T・nm(50〜60 ガウス・ミクロン)程度となるよう
に、それぞれの膜厚を設定し試料a、試料b、試料cを作
製した。
【0036】<比較例4>上記実施例5において,63a
t.%Co-21at.%Cr-12at.%Pt-4at.%B 合金磁性膜14,14' を
形成せず、また、残留磁束密度Br と磁性膜厚t の積で
あるBr×t は再生出力に関るため、これを5 T・nm(50
ガウス・ミクロン)に合わせるために、66at.%Co-22at.
%Cr-12at.%Pt 磁性中間膜13, 13' の膜厚を18 nmとした
以外は実施例5と同一の膜構成および成膜条件で作製し
た磁気記録媒体を比較例4とした。
【0037】<比較例5>上記実施例5において、66a
t.%Co-22at.%Cr-12at.%Pt 磁性中間膜13, 13' を形成せ
ず、上記63at.%Co-21at.%Cr-12at.%Pt-4at.%B 合金磁性
膜14, 14' の膜厚を21 nmとした以外は実施例5と同一
の膜構成および成膜条件で作製した磁気記録媒体を比較
例5とした。
【0038】<比較例6>上記実施例5において、磁性
中間膜13, 13'の替りに80at.%Cr-20at.%Mo 合金からな
る下地膜を25 nm形成し、66at.%Co-22at.%Cr-12at.%Pt
磁性中間膜13, 13' を形成しないこと、さらに上記68a
t.%Co-21at.%Cr-12at.%Pt-4at.%B 合金磁性膜14, 14'
の膜厚を18 nmとした以外は実施例5と同一の膜構成お
よび成膜条件で作製した磁気記録媒体を比較例6とし
た。ここで、Cr-Mo 合金下地膜としては、Mo 濃度を10
〜40at.% の範囲で変えて実験した結果、上記の80at.%C
r-20at.%Moとした場合がHc の値が最も大きくなったの
で、この組成のCr-Mo 合金下地膜を用いた。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】表4に実施例5と比較例4の媒体の磁気特
性および記録再生特性を示す。また、表5に比較例5と
比較例6の媒体の磁気特性および記録再生特性を示す。
ここで磁気特性は室温にて試料振動型磁力計により最大
印加磁界800 kA/m( 10 キロエールステッド)で測定
し、保磁力(Hc)、保磁力角形比(S*)および磁性膜
と磁性中間膜の総厚さt と残留磁束密度Brとの積(Br×
t )を評価した。記録再生特性はシールドギャップ長Gs
を0.15μmとしたスピンバルブ型の再生素子と、ギャッ
プ長が0.2μmの電磁誘導型書き込み素子からなる磁気
ヘッドを用いて測定した。Sは8660 fr/mm(220 kFCI)
の再生出力、Nは17300 fr/mm(440 kFCI)の線記録密
度での媒体ノイズであり、これらの比をS/Nで評価し
た。また、記録分解能として、8660 fr/mm(220 kFCI)
における再生出力に対する17300 fr/mm(440 kFCI)に
おける再生出力の比、Resolution で評価した。このSl
f/Nが高く、Resolution が大きいほど、媒体として高
い記録密度特性を有する。表4より実施例5のa、bお
よびcの媒体は、Co-Cr-Pt-B磁性膜とCo-Cr-Pt磁性中間
膜の膜厚の割合により保磁力(Hc)を調整できる。実施
例5のa、b、cの媒体はいずれも比較例4、5、6よ
りSlf/N、Resolution ともに高い値を示した。
【0042】<実施例6>上記実施例5と同様の膜構成
で磁気記録媒体を作製した。基板10 には2.5インチ型の
化学強化されたアルミノシリケートガラスを使用した。
この基板を洗浄した後、その上に、インテバック(In
tevac)社製の枚葉式スパッタリング装置(MDP
250B)を用いて、タクト8秒で以下の多層膜を形成
した。まず、基板10の上に60at.%Co-30at.%Cr-10at.%Zr
合金からなるシード膜11, 11' を25 nm、78at.%Cr-22a
t.%Ti 合金からなる下地膜12, 12' を25 nm、67at.%Co-
21at.%Cr-12at.%Pt 磁性中間膜13, 13' を8nm、63at.%C
o-20at.%Cr-12at.%Pt-5at.%B合金磁性膜14, 14'を8 nm
、更に5 nm のカーボン保護膜15, 15' を形成した。各
膜の形成時のアルゴン(Ar) ガス圧はすべて0.87 Pa(6.
5 mTorr)とした。成膜中のメインチャンバ29 でモニタ
した酸素分圧はおよそ1×10のマイナス7乗〜7×10のマ
イナス7乗(Pa)(8×10のマイナス10乗〜5×10のマイ
ナス9乗(Torr))であった。シード膜は基板を加熱し
ない状態でシード膜形成室22 で形成し、加熱室23 でラ
ンプヒーターにより230℃まで加熱し、その後酸化室24
で95vol%Ar-4vol%N2-1vol%O2 混合ガスの圧力 0.9 Pa
(7 mTorr)(ガス流量21 mL(Normal)/min (21 sccm)
)の雰囲気に3.5秒間曝し、その後その上に上記各膜を
下地膜形成室25、磁性中間膜形成室26、磁性膜形成室2
7、保護膜形成室28, 28'で順に形成した。ここで上記カ
ーボン保護膜まで形成した後、パーフルオロアルキルポ
リエーテルを主成分とする潤滑剤を塗布して厚さ1.5 nm
の潤滑膜16, 16' として塗布した。
【0043】
【表6】
【0044】その結果、磁性膜と磁性中間膜の膜厚を実
施例5の媒体に比べて薄く、かつ Hc を高くすることが
できたため、表6に示すように、実施例5と同等以上の
記録再生特性を示した。
【0045】実際に上記の実施例の磁気記録媒体を磁気
ディスク装置に組み込んで、線記録密度510 kBPI(bit
per inch)、トラック密度41 kTPI(track per inch)の
条件で磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)により
磁性膜表面との磁気的スページング24 nmで記録再生特
性を評価したところ、実施例5および実施例6の磁気記
録媒体は、面記録密度が1平方インチ当たり21ギガビッ
トの磁気ディスク装置の記録再生特性仕様を満たした。
さらに、70℃で100時間放置してもビットエラーレート
の劣化は0.5桁以下であった。また、本発明は、基板を
ガラス基板を特定する必要はなく、Ni-PメッキしたAl合
金基板、結晶化ガラス基板やSi 基板等の磁気記録媒体
用の基板として知られる材料はいずれにおいても効果が
ある。
【0046】次に、上記図1における中間膜が非磁性体
である場合の実施例を示す。
【0047】<実施例7>上記実施例5において、磁気
記録媒体の膜構成を示す図1おける中間膜13, 13' を、
厚さ7 nmの58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt 合金とし、磁
性膜14, 14' を厚さ18 nm の62at.%Co-21at.%Cr-12at.%
Pt-5at.%B 合金とした以外は実施例5と同一の膜構成お
よび成膜条件で作製した磁気記録媒体を実施例7とし
た。この実施例7の磁気記録媒体の磁気特性を上記試料
振動型磁力計を用いて評価したところ、保磁力は330 kA
/m(4.15 キロエールステッド)、保磁力角形比は0.6
9、Br×tは5.4 T・nm(54 ガウス・ミクロン)であり、
低いBr×t で高い保磁力と高い保磁力角形比が得られ
た。さらに、上記58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt 中間膜
13,13' を30 nm形成し、14, 14' を形成しない以外はす
べて実施例7と同一の膜構成および成膜条件で磁気記録
媒体を作製し、試料振動型磁力計(理学電子製 BHV-5
0)により磁気特性を測定したところ、磁化の測定レン
ジが3.1 pWb・m(0.0025emu)で、Br×t は測定可能限界
以下であり、上記58at.%Co-30at.%Cr-12at.%Pt中間膜は
略非磁性を確認した。実施例7の磁気記録媒体の記録再
生特性は面記録密度が1平方インチ当たり30 ギガビッ
トの磁気ディスク装置仕様を満足した。さらに、70℃で
100時間放置してもビットエラーレートの劣化は0.5桁以
下であった。面記録密度が1平方インチ当たり30 ギガ
ビット以上の場合、本実施例のようにCo-Cr-Pt 中間膜
をほぼ非磁性とすることが有効である。そのCo-Cr-Pt
中間膜の組成としては、Cr濃度が28〜40at%、Pt濃度が8
〜20at%とすると略非磁性になると共にC-Cr-Pt-B磁性膜
がエピタキシャル的に成長するため好ましい。
【0048】<実施例8>実施例6の磁気記録媒体にお
いて,磁性膜14, 14'を厚さ8 nmの63at.%Co-20at.%Cr-1
2at.%Pt-1at.%Ta-4at.%B合金膜とした磁気記録媒体を作
製した。実施例5の場合と同様にして評価した磁気記録
媒体の磁気特性と記録再生特性を表7に示す。この表に
見るように,磁性膜にTaとBを同時に添加した合金を用
いることにより,実施例6の媒体に比べて高いS/Nが得
られている。
【0049】
【表7】
【0050】実際に上記の実施例の磁気記録媒体を磁気
ディスク装置に組み込んで、線記録密度535 kBPI(bit
per inch)、トラック密度43 kTPI(track per inch)の
条件で磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)により
磁性膜表面との磁気的スページング23 nmで記録再生特
性を評価したところ、面記録密度が1平方インチ当たり
23ギガビットの磁気ディスク装置の記録再生特性仕様を
満たした。さらに、70℃で100時間放置してもビットエ
ラーレートの劣化は0.5桁以下であった。
【0051】<実施例9>図9に本実施例の磁気記録媒
体の膜構成を示す。この膜構成は、図1に示した膜構成
の下地膜12, 12'と中間膜13, 13'の間に第2の下地膜17,
17'を形成した構成となっている。多層膜の形成には,
実施例5と同様、インテバック(Intevac)社製
の枚葉式スパッタリング装置(MDP250B)を用い
た。洗浄した2.5インチ型の化学強化されたアルミノシ
リケート基板10の上に65at.%Ni-20at.%Cr-15at.%Zr 合
金からなるシード膜11, 11' を40 nm、80at.%Cr-20at.%
Ti 合金からなる下地膜12, 12' を15 nm、Cr 合金から
なる第2の下地膜17, 17' を7 nm、65at.%Co-21at.%Cr-1
4at.%Pt 磁性中間膜13, 13' 、62at.%Co-20at.%Cr-14a
t.%Pt-4at.%B 合金磁性膜14, 14' 、更に5 nm のカーボ
ン保護膜15, 15' を形成した。各膜の形成時のアルゴン
(Ar) ガス圧は,実施例5と同じくすべて0.9 Pa(7 mTo
rr)とした。また,実施例5と同様に,シード膜は基板
を加熱しない状態で形成し、その後ランプヒーターによ
り220℃まで加熱し、さらに99vol%Ar-1vol%O2 混合ガス
の圧力 0.9 Pa(7 mTorr)(ガス流量20 mL(Normal)/mi
n (20 sccm) )の雰囲気に3.5 秒間曝した後,上記下地
膜以降の膜を形成した。さらに上記カーボン保護膜まで
形成した後、パーフルオロアルキルポリエーテルを主成
分とする潤滑剤を塗布して厚さ1.5 nm の潤滑膜16, 16'
として塗布した。上記第2の下地膜のCr合金の組成を表
8に示すように、75at.%Cr-25at.%Mo 合金および75at.%C
r-25at.%W 合金とした試料a、試料bを作製した。実施例
5の場合と同様にして評価した磁気特性と記録再生特性
を表8に示す。この表に見るように,75at.%Cr-25at.%M
o 合金あるいは75at.%Cr-25at.%W 合金から成る第2の下
地層を形成した本実施例の磁気記録媒体は,実施例6の
媒体に比べて高いResolutionが得られている。
【0052】
【表8】
【0053】実際に上記の実施例の磁気記録媒体を磁気
ディスク装置に組み込んで、線記録密度560 kBPI(bit
per inch)、トラック密度43 kTPI(track per inch)の
条件で磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)により
磁性膜表面との磁気的スページング23 nmで記録再生特
性を評価したところ、面記録密度が1平方インチ当たり
24ギガビットの磁気ディスク装置の記録再生特性仕様を
満たした。さらに、70℃で100時間放置してもビッ
トエラーレートの劣化は0.5桁以下であった。
【0054】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、媒体ノイズの
低減、および耐熱揺らぎに効果を持つ。本発明の磁気記
録媒体と磁気抵抗効果型ヘッドを用いることにより、1
平方インチあたり5ギガビット以上の記録密度を有する
磁気記憶装置の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面構造の一例を示す
模式図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の膜形成装置の一例を示
す模式図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の磁性膜における残留磁
束密度 Br とCr 濃度の関係を示す図である。
【図4】本発明の磁気記録媒体の実施例および比較例の
媒体のX線回折パターンである。
【図5】本発明の磁気記録媒体の比較例の媒体のX線回
折パターンである。
【図6】本発明の磁気記録媒体の断面構造の一例を示す
模式図である。
【図7】本発明の磁気記録媒体の膜形成装置の一例を示
す模式図である。
【図8】本発明の磁気ディスク装置の一例を示す模式図
である。
【図9】本発明の磁気記録媒体の断面構造の一例を示す
模式図である。
【符号の説明】
10 … 基板、11, 11' … シード膜、12, 12' … 下地
膜、13, 13' …中間膜、14, 14' … 磁性膜、15, 15'
… 保護膜、16, 16' … 潤滑膜、17, 17'… 第2の下地
膜、20 … 基板、21 … 仕込み室、22 … シード膜形成
室、23 … 加熱室、24… 酸化室、25 … 下地膜形成
室、26 … 中間膜形成室、27 … 磁性膜形成室、28, 2
8' … 保護膜形成室、29 … 取り出し室、30 … メイン
チャンバ、60 …基板、61, 61' … プリコート膜、62,
62' … 凹凸形成膜、63, 63' … シード膜、64, 64'
… 下地膜、65, 65' … 中間膜、66, 66' … 磁性膜、6
7, 67' …保護膜、68, 68' … 潤滑膜、70 … 基板、71
… 仕込み室、72 … プリコート膜形成室、73 … 第1
加熱室、74 … 凹凸膜形成室、75 … シード膜形成室、
76… 第2加熱室、77 … 酸化室、78 …下地層形成室、
79 … 中間膜形成室、80… 磁性膜形成室、81 … 保護
膜形成室、81' … 保護膜形成室、82 … 取り出し室、8
3 … メインチャンバ、91…磁気記録媒体、92…磁気記
録媒体を駆動する駆動部、93…磁気ヘッド、94…磁気ヘ
ッドを磁気記録媒体に対して相対運動させる手段、95…
記録再生信号処理手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 浩二 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 細江 譲 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 加藤 章 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr とTi を含む非磁性合金から成る下地膜
    とCo-Cr-Pt-Ta 系合金から成る磁性膜との間にCo-Cr-Pt
    合金から成る中間膜が存在することを特徴とする磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】上記Co-Cr-Pt 合金から成る中間膜が強磁
    性を有する磁性中間膜であることを特徴とする請求項1
    に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】上記Co-Cr-Pt 合金から成る磁性中間膜の
    組成が、Cr 濃度:18〜24 at.%、Pt濃度:8〜20 at.%、
    残部がCo であることを特徴とする請求項1に記載の磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】Cr とTi を含む非磁性合金から成る下地膜
    上にCo-Cr-Pt-Ta系磁性膜が形成された媒体において、
    該Co-Cr-Pt-Ta系磁性膜のTa濃度が該下地膜表面近傍か
    ら膜の成長方向に向かって高くなっていることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】上記下地膜が (100) 面配向した体心立方
    構造を有する多結晶体から成り、かつ上記磁性膜ないし
    上記中間膜が (11.0) 配向した六方晶構造を有する多
    結晶体から成ることを特徴とする請求項1に記載の磁気
    記録媒体。
  6. 【請求項6】上記下地膜と中間膜の間にCrを主成分とし
    て、Mo、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の元
    素を含む第2の下地膜を形成したことを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】上記Co-Cr-Pt-Ta 系合金から成る磁性膜に
    含まれるPtの濃度が12〜20 at.%の範囲にあり,かつ,
    上記第2の下地膜に含まれるMoとWの濃度の合計が16〜50
    at.%の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の
    磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】Cr とTi を含む非磁性合金から成る下地膜
    とCo-Cr-Pt-B 系合金から成る磁性膜との間にCo-Cr-Pt
    合金から成る中間膜が存在することを特徴とする磁気記
    録媒体。
  9. 【請求項9】上記Co-Cr-Pt 合金から成る中間膜が強磁
    性を有する磁性中間膜であることを特徴とする請求項8
    に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】上記Co-Cr-Pt 合金から成る磁性中間膜
    の組成が、Cr 濃度:18〜24 at.%、Pt濃度:8〜20 at.
    %、残部がCo であることを特徴とする請求項8に記載の
    磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】Cr とTi を含む非磁性合金から成る下地
    膜上にCo-Cr-Pt-B 系磁性膜が形成された媒体におい
    て、該Co-Cr-Pt-B 系磁性膜のB 濃度が該下地膜表面近
    傍から膜の成長方向に向かって高くなっていることを特
    徴とする請求項8に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】上記下地膜が (100) 面配向した体心立
    方構造を有する多結晶体から成り、かつ上記磁性膜ない
    し上記中間膜が (11.0) 配向した六方晶構造を有する
    多結晶体から成ることを特徴とする請求項8に記載の磁
    気記録媒体。
  13. 【請求項13】上記下地膜と中間膜の間にCrを主成分と
    して、Mo、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の
    元素を含む第2の下地膜を形成したことを特徴とする請
    求項8に記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】上記Co-Cr-Pt-B 系合金から成る磁性膜
    に含まれるPtの濃度が12〜20 at.%の範囲にあり,か
    つ,上記第2の下地膜に含まれるMoとWの濃度の合計が16
    〜50 at.%の範囲にあることを特徴とする請求項
    13に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を駆動
    する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、
    該磁気ヘッドを上記磁気記録媒体に対して相対運動させ
    る手段と、該磁気ヘッドへの信号入力手段と該磁気ヘッ
    ドからの出力信号再生を行なうための記録再生信号処理
    手段とを有する磁気ディスク装置において、磁気ヘッド
    の再生部が互いの磁化方向が外部磁界によって相対的に
    変化することによって大きな抵抗変化を生じる複数の導
    電性磁性層と、該導電性磁性層の間に配置された導電性
    非磁性層を含む磁気抵抗センサで構成され、かつ磁気記
    録媒体がCr とTiを含む非磁性合金から成る下地膜と
    Co-Cr-Pt-Ta 系合金あるいはCo-Cr-Pt-B 系合金から成
    る磁性膜との間にCo-Cr-Pt 合金から成る中間膜が存在
    する磁気記録媒体であることを特徴とする磁気ディスク
    装置。
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